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1948-06-29 第2回国会 衆議院 農林委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月二十九日(火曜日)     午後一時二十六分開議  出席委員   委員長 井上 良次君    理事 岩本 信行君 理事 森 幸太郎君    理事 佐竹 新市君 理事 永井勝次郎君    理事 小林 運美君 理事 寺島隆太郎君    理事 萩原 壽雄君 理事 北  二郎君       小川原政信君   小野瀬忠兵衞君       佐々木秀世君    重富  卓君       田口助太郎君    綱島 正興君       野原 正勝君    松野 頼三君       八木 一郎君    渡邊 良夫君       清澤 俊英君    黒田 寿男君       田中織之進君    成瀬喜五郎君       野上 健次君    溝淵松太郎君       守田 道輔君   青木清左ヱ門君       小林 運美君    関根 久藏君       寺本  齋君    中垣 國男君       坪井 亀藏君   的場金右衞門君       平工 喜市君    松澤  一君       森山 武彦君    山口 武秀君       大瀧亀代司君  出席國務大臣         農 林 大 臣 永江 一夫君  出席政府委員         農林政務次官  大島 義晴君         農林事務官   山添 利作君         農林事務官   遠藤 三郎君  委員外出席者         農 林 技 官 鹿島  恒君         專門調査員   岩隈  博君     ————————————— 六月二十八日  肥料配給公團令の一部を改正する法律案内閣  提出参議院送付)(第一九一号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  種畜法案内閣提出)(第一八六号)肥料配給  公團令の一部を改正する法律案内閣提出、参  議院送付)(第一九一号)     —————————————
  2. 井上良次

    井上委員長 それでは会議を開きます。  午前中懇談会を開いて、肥料配給公團令の一部を改正する法律案並びに種畜法案の両案を議題に供し、政府側から両案に対する提案理由説明を求めました。この提案理由説明は、そのまま速記録に載せることにいたしたいと思います。     —————————————
  3. 大島義晴

    大島政府委員 種畜法案提案理由を御説明申し上げます。  農地改革農業協同組合組織進展等により、今や農村民主化農業生産力発展に関する基本的政策が着実に進行を見てはおりませんが、これらの措置のみをもつて直ちに右の目的成れりとすることは、決してできないのであります。そのためには農業経営の実際におきまして、我が國農業零細経営から來る不利益を補い、経営合理化及び生産性をはかつておいることが、きわめて緊要となつてまいるのであります。かかる見地から、近時農業経営の中に家畜を導入して、輪作方式による農地高度利用とその総合的多角化と労働の生産性を向上させるような、安定した有畜営農方式を推進普及してゆかなければならぬという畜産振興に対する声が澎湃として高まつてまいりつつあり、特に開拓地方面経営を安定させるために焦眉の急務とされているのであります。  畜産振興必要性は、單に農業経営見地のみならず、國民食生活の改善や乳幼兒病弱者必需品確保見地からも強く叫ばれているのであります。右のような次第から政府と致しましても、畜産振興に関する具体的方策を昨年來策定しつつあるのでありますが、百法案はその実施の第一着手と致しまして、從來種馬統制法及び地牡牛檢査法廃止して、新情勢に即應して、家畜改良増殖源座たる種畜確保とその利用合理的増強をはかつて家畜改良増殖を一段と促進しようとするのであります。以下本法案の主要なる内容について、その概要を申し上げたいと思います。  先づ第一は、從來種馬統制法及び種牡牛檢査法に見られたような強度統制的色彩を拂拭して、家畜飼育者の自主的な改良増殖意欲の助長をはかつたことであります。従ち從來の如き強度統制に基く特定体型資質等を標準とする強制檢査制度や、配合統制及び種付事業特許制度等を廃して、主として衞生的疾患について檢査を行い。その條件に適合するものに主務大臣種畜としての証明書を交付するのでありまして、從つて種付供用出來種牡畜選択範囲が拡大され、かつ飼養者自由意思により、自己の欲する種を行い得るのであります。  第二は、家畜の優良な体型資質の固定と能力の向上を保進する家畜登録事業に関し、眞に公正かつ信用のある民主的な登録協会の設立を助長し、家畜改良事業普及奬励をはかつたことであります。  第三は、最近の情勢に鑑みまして、優良種畜確保増殖に遺憾なからしめるため、当面の緊急措置として、主務大臣が必要があると認めるときは、特定家畜について、その移動又は屠殺について調整を行い得る措置を講じたことであります。これは、眞に必要ある場合に限り所要の命令を出し得るのでありまして、この措置によりいやしくも家畜取引等支障を來さぬよう愼重を期す所存であります。本法はその円滑なる施行によりまして、現下の畜産振興に対する澎湃たる要望の一端にこたえ、今次の戰爭による家畜の損耗を可及的速やかに回復して、畜産飛躍的発展実現に資したいと存ずるのであります。  右のような理由によりまして、この法案提出した次第であります。何とぞ愼重御審議の上、速やかに可決せられんことをお願い申し上げます。  次に肥料配給公團令の一部を改正する法律案提案理由を申し上げます。  重要農業生産資材であります農楽は、その使用の対象が農作物の病害虫防除にあるのでありますが、この病害虫発生は年により、所によりまして著しい差異があるばかりでなく、傳播性をもつて居りますので、農薬配給は、その発生に即應して、しかも時期を失せずに行われなければ全然効果がないのであります。  農薬配給につきましては、昨年九月臨時物資需給調整法に基きまして、農業資材配給規則を制定し、從來の一手買取反賣の統制方式廃止いたしまして、新にクーポン制による配給制度を採用し、実施いたしておるのでありますが、このクーポン制におきましては、病害虫発生常習地に対する農薬配給は、大体支障なく行うことができますが、病害虫が大発生したり、または異状発生した場合においては、從來の一手買取機関の如き保管施設が無いために、輸送難の現状と相まつて、これに必要な農薬配給はきわめて困難であり、病害虫の猖獗に施す術もなく、不測の損害を招く。おそれがきわめて多いのであります。これが対策としてこれら緊急事態に対処して適切な農薬配給を行うためにはこれに必要な農薬病害虫発生危險地方に貯藏保管し、何時でもただちに配給できる態勢を整えておくことが肝要でありますが、現配給制度におきましては、かような保管施設がないために、同じ農業生産資材を取扱つて居ります肥料配給公團に、これを行わせることが最も適当と認めまして、肥料配給公團にこの緊急用農業を取扱わせるため必要とする肥料配給公團令の一部を改正する法律案提出いたしました次第であります。
  4. 井上良次

    井上委員長 午前に引続き質疑を継続いたしますが、この際特に北陸地方震災について、農林省としてこの震災に対する應急対策を実施いたしておりますから、これについて大臣から発言を求められておりますので、お許しします。永江農林大臣
  5. 永江一夫

    永江國務大臣 この際昨日福井縣下並びに石川縣下に起きました震災につきまして、農林省としてとりました應急の処置について御報告申し上げたいと思います。そずれその震災の実情につきましては、逐次正確なる報告があると思ますので、この点の詳細なる報告が到着次第、適当な機会に農林省としては発表いたしますが、一應ただいままで判明いたしております緊急処置について御報告申し上げておきます。  ただいままでのところ、福井縣からは通報に接しておるのでありますが、石川縣の分は未着であります。農林省におきましては、緊急処置として、概略次通りのことをいたしておりますが、特に農林省方針としては、農林漁業生産力の維持及び民生の安定に万遺憾なきを期するという点に重点をおいておるのであります。第一には福井縣所在凍結米中七千石をとりあえず放出することにいたしまして、さらに愛知縣岐阜縣滋賀縣の各府縣食糧配給公團より、必要人員を派遣いたしまして、震災地における主食配給確保に万全を期しておる次第であります。なお石川縣におきましても、通報のあり次第同様の処置を講ずる所在であります。  第二には日本食糧管理局植林局林野局三局の係官からなる現地調査團二班を編成いたしまして、福井縣石川縣両縣に至急視察調査せしめるつもりであります、なおみそ、醤油、カン詰等の副食物、住宅復興用製材等緊急需要の充足に遺憾のないよう、併せて処置をするつもりでございます。右とりあえず御報告申し上げます。
  6. 平工喜市

    ○平工委員 大臣ちよつとお尋ねしておきたいのですが、福井縣福井縣ですけれども、あれだけの強震では隣縣、たとえば岐阜縣なんかはその脅威を感じておる。去る濃尾震災震源地と今度の震源地は大方二十里とは隔つておらないと思う。そこで山村の方で被害があつても、縣廳の人員が少く、本省の方に被害報告の手続が遅れていたとしても、福井縣と同じような被害があれば、福井縣並救済手段を講じてもらいたいと思うが、その御用意をお願いしたい。
  7. 永江一夫

    永江國務大臣 ごもつともな御意見でありまして、ただいまのところ福井縣石川縣が大きな被害を受けておるという予想でありますが、もちろんこの震災によりまして、それらの縣以外の縣におきましてもいろいろ被害が判明いたしますならば、当然ただいま報告いたしましたような線に沿いまして、應急処置を講ずる意図でございます。     —————————————
  8. 井上良次

    井上委員長 それでは種畜法案についての質疑を継続いたします。ちよつとこの際申し上げておきますが、御存じの通り午後本会議がございまして、本会議が開会されますと、委員会は一時休憩しますか、散会かの処置をとりますから、できるだけ質疑者は要点に限つて質疑を継続されて、時間的に能率をあげていただくようにお願いをしておきたいと思います。
  9. 小川原政信

    小川原委員 私は種馬統制法種牡牛檢査両法廃止されるのにつきまして、ここに特に一言お尋ねをしておかなければならぬ問題があるのであります。廃止でありますから事が大きくないように思いますけれども、非常に大きな問題が起ると思うのであります。御承知のごとくこの法案の第一條を見ますと、「畜産振興を図るため、種畜確保し、その利用を増強し、もつて家畜改良増殖を促進することを目的とする。」こうあるのでありまして、廃案であるけれども、今度の目的というものと非常に大きな関連をしておる。なぜそう申すかというと、種馬統制法は軍馬のためにほとんどできておるようなもので、國家はそういう強力な方法によつて増産をはかつてまいつたので、これが廃止になりますと、それに伴つて配合檢査というものもやめねばならぬという結論になるのではないかと思う。國家が今まで非常な多額の金を持出して、馬のために非常に骨を折つてまいりまして増産を奬励した。今度それをやめてしまうというと、この法案を見るとどこに書いてあるかは知りませんが、どうも國家種牡馬をもつていくというのではないように見受けられます。國家種壯馬を今まで通りに所有していくのならばよろしいが、もし所有していかないとすると、この増産をはかるということは、種畜確保するということになりましても、その目的は達しられないと考えるのであります。この点ひとつ大臣のお考えを願いたい、かように考えるのであります。  第二点につきましては、増産をするということでありますが、敗戰後におきましては、私の資料によりますと牛も馬も非常に減つておるのであります。昭和二十一年度かと思いますが、今ちよつとはつきりしませんけれども、六月ごろに日本の馬と牛の現在数を調べて、自分が割り出してみますと、非常に不足になつておるのであります。そこでこのことを当局に申し上げ、自分のこしらえた数字関係の人にも見せましたが、大体それに同数のような数をもちまして畜産局は五箇年計画というものをお立ちになつたようであります。そのお立てになる前に私はこの数字を発表しておいたのでありますが、五箇年計画があるとおつしやられまして、それは心配ないのだということになるかもしれませんが、私の見るところではそうはまいらぬと思うのであります。この種馬統制法というものをとつてまつたあと、増産施設いかようにしていこうとお考えでありますか。この二点をまずもつてお聽きいたしましてさらに話を進めたいと思います。
  10. 永江一夫

    永江國務大臣 第一点につきまして、從來通り國が種馬をもつてやるという方針につきましては、財政の許す範囲においてはそういう方法をとりたいと思つております。しかし今まで通りと違いまして、この法案にありますような委員会がこれを主として掌るということにしておりますので、われわれとしても、今後の家畜増殖改良等を促すためには、やはり本法案が示しておるような委員会が中心でやつていくことが妥当である、こう考えておる次第であります。  なお第二の点については、國がこの点について力を抜くのではないか、その結果実際五箇年計画立てておいても、その効果があがらぬのではないかという御心配がありますが、法の精神が官僚的な集権的な傾向を避けておるわけでありますから、その線から申しまして、第一段に申しましたような委員会の運営によつて、この新しい法の目的を達しまするとともに、國で立てておる五箇年計画については、政府のいろいろの面からの指導育成の強化によつて、その目的を達することができると考えております。
  11. 小川原政信

    小川原委員 一問に対しては委員会を設けてやるからというお話でありますが、それも一つ方法で決して惡いと思えぬのであります。けれども何を申しましても、戰後におきまして私どももその道について努力をいたしておりますが、いかよう努力をいたしましても、その條件がかわつてまいりまして、馬一頭何万円、種馬一頭三十万円、五十万円という金をかけていかなければならぬというのに、口さきばかりでやつたから言つても、決して農民はこれに呼應してくるものではないのであります。そこで何ほど委員会ができましても、この農業経営経済面から考えまして、これを殖やすことは容易でない問題であります。そうすると自然に減耗するかというと更新をしていかなければならぬからです、人間のように自然繁殖をするならばよろしいが、馬のごときはそういかないので、更新を重ねていきますと、その更新に日を重ねてこれががた落ちに落ちてしまうのでありますが、委員会口さき手さきの仕事ではできないから、この経済というものに相当思い切つた金をかけなければならぬのであります。私はこの委員会に反対するのではないのでありますが、委員会をお立てになるとすれば、國家はどれだけの金をここに注ぎ込まれるかということであります。まず経済問題がものを言うのでありますから、その点の御計画をひとつお示し願いたい、かように考えます。
  12. 遠藤三郎

    遠藤(三)政府委員 五箇年計画実現に対する具体的な方策、特に予算の点でありますが、いろいろ増殖計画のやり方については困難な問題が出てまいりますが、しかしあらゆる困難を克服して五箇年計画の達成に努めたい。予算の点につきましても、昨年度は一億五、六千万円程度でございましたが、五箇年計画を実施するという見地に立ちまして、大覆六億五、六千万円の予算を今回の予算案にも計上しているような次第であります。これらの経費の内容を見てまいりますと、いろいろありますが、要するに五箇年計画をあらゆる方面から達成するように、その目的のもとに編成されたものでありますから、御了承願いたいと考えます。
  13. 小川原政信

    小川原委員 時間がありますから、その問題は保留して、後刻お尋ねすることにいたします。大臣が御答弁なければ、大臣の方にひとつ問題をかえて御質問申し上げます。五箇年計画ができたけれども、この五箇年計画というものは私はあてにならぬと思うのであります。一体なぜあてにならぬかと申しますと、この種馬法がありましたときには、國の力というものから、農民はいやでも應でも配合せねばならぬという義務を負わせられたから、配合して増産をしておつたのであります。ところが一旦これをとつてまつたら自由意思であるのだ、こういうことになりますと、この法案がなくなれば、いかよう考えましても、前申しました通り経済というものが伴わなければ、増産をするということにはならぬのでありますから、そこでこの五箇年計画という数字は、私はあてにならぬ数字であつて、私どものこしらえましたところの自分のこのしおりは、まず國家というものの力を頼つてこしらえた数字が、私どものこしらえた数字でありますので、今日のようになつては、さらに直していかなければならぬ。そうでなければ主食物——ここに出ております食糧確保臨時措置法案につきましても、私は大臣お尋ねしようと思つてつたのであります。今日はしませんが、明日でもいたしたいと思うのは、この畜産というものを基本考えなければ、食糧増産というものは絶対にできない。数字頼つてつたならば、食糧増産がた落ちになり、畜産はもとよりがた落ちになるのであります。それはお前は見解の相違だと言われれば、それまでのことでありますけれども、実際の問題はそういう簡單なものではないのでありますから、この点私は農家経営にあたりまして、一体どの点まで馬なり牛を保有しておいて、どういう方法にしていけば日本農業基本というものができるのかということを、大臣お尋ねしたいと思います。
  14. 永江一夫

    永江國務大臣 基本を示せということでありますが、もちろん原則的には、御承知のようにわが國の農業有畜農業として、総合的な経営をなさなければならないということは、すべての人々の認めるところであります。從つてこの有畜農業の実体を充実していくための具体的な施策についてお尋ねのことと思いますけれども、一農家どれくらいのものが理想であるかということについては、その土地々々の特殊な事情によりまして、数字的に一農家当りいくらという数字を出すということは、單なる机上のプランに終るのではないかと思つているのであります。やはりその地方々々におきまして、それぞれ違うものと思うのであります。今ここで一戸当りどれだけの率を馬なり牛について保有することが適当であるかという数字については、私はにわかに結論的に申し上げることはできない、こう思つております。
  15. 小川原政信

    小川原委員 馬の多くおります地方は、御承知通り九州と北海道と東北でありますが、この日本の形態をみますと、今申しましたような動物のいる方面が主として生産を高めておるのでありますけれども、御承知のごとく牧場というものが縮小されまして、四十町歩をもつて馬を養うということでありますが、四十町歩牧場でもつて馬を何頭放すことができるかと言えば、五頭くらいしか放すことができないと思う。五町歩に一頭といたしましたならば、もつと多く放されますが、七、八頭の馬を放しておいたとするならば、その牧場はその翌年になつて何を放すか。一方は種馬統制法が抑えられ、一方は牧場が抑えられて、そうして開発していかなければならぬ土地はたくさんあるのでありますが、國家立てました計画根本から破壊されてしまう。私からみますと、こんな五箇年計画などというものは鼻紙にしてよいと思う。そういうことになりまして、増産しようなどということ、あるいは家畜を保有するなどということは、それは痴人の夢であると思うのでありますが、それはどういうふうにお考えになつておりますか。これは重大問題でありますから、一つの言葉じりや一つの文字ではない。日本農業基本問題でありますから、ひとつしつかりと事実問題についてお話を願いたいと思います。
  16. 永江一夫

    永江國務大臣 いろいろ役馬、役牛につきましての御意見でありますけれども、あるいは三町歩に一頭とか、一町歩に一頭とかいうようなことは、それぞれ飼料関係で、適当な数字なり実際の効果についての基礎が出てくると思つております。しかし今お話の中にありました四十町歩牧場制限して、その結果結局効果が薄いということでありますが、これはアメリカなどの例をとつてみましても、やはり非常に飼料関係ということがわが國とは違つておりますが、そういう状態を勘案いたしましても、やはり四十町歩をもつて制限いたしまして、日本のあらゆる家畜の面における増産ということは、合理的に経営すれば可能であるという根拠をもつておるわけであります。しかしこれについていろいろ御議論がありましたように、また片方の一つの理論から申しますと、相当廣い地域に限定して、四十町歩に限定しない方がよいという御議論もありますけれども、御承知のように、関係方面ともいろいろ意見を交換いたしました結果、四十町歩という制限が置かれたのであります。私どもは、この制限のもとにおいて最高度能率をあげていくという具体的な方策をとつていきたいと思つております。
  17. 小川原政信

    小川原委員 私は種馬統制法廃止について反対ではないので、廃止してよろしいという前提のもとに申し上げておるのですが、ところが牧場というものはそういうものではない。まつたく牧場というものを知らない人の観念です。一体牧場というものは二つなければ理想ではない。アメリカアルゼンチンあたり牧場日本のそれは違うのであります。そういうことを申し上げると長くなるのでありますが、牧場は草が生えているから牧場と思うことは大きな誤りで、草が生えているから牧場ではない。そういうことが一切日本人にわからない。実に情けないと思う。そのことは時間がかかるから申し上げませんが、理論的また実質的に考えて、日本土地と、アメリカ土地と、アルゼンチン土地とでは違う。地質が違い、氣候が違い、四囲の環境が違う。しかるにフランスにいい馬ができたから、日本にも必ずいい馬ができると考えることは、痴人のたわごとであります。そういうものではない。それを面積でいくというようなことを考えることがいかぬし、現在日本人家畜に対する態度と、外國人家畜に対する態度が違い、日本には日本の永い習慣があつたものでありますから、これをやめると、がた落ちするということはわかりきつておるのであります。がた落ちしてしまつて生産があがらぬならばそれを取返すのに何年あるいは何十年かからなければならぬ。そうして努力が足りなければ、それきりになつてしまうのでありますから、これは非常に大きく考えなければならぬもので、この種馬統制法をおやめになつたならば、一体種畜をどういうようにして保存していこうとお考えになられるのであるか、この点をお伺いいたしたい。いろいろ議論もありますし、お尋ねいたしたいこともありますが、今のお話を聞くと、早くやつてくれということで、不満でありますけれども、これは根本ですからお尋ねしておかなければならない。
  18. 永江一夫

    永江國務大臣 この点は最初にお答えしたと思いますが、やはり種馬につきましては、國が持つベきものは國の財政の許す範囲におきまして持ちまして、民間においても民間財政事情の許す範囲におきまして、できるだけ多くのものを保有いたしまして、両者の協力によつて保存していくという考えを持つております。
  19. 小川原政信

    小川原委員 そういうお答えなら局長に聽いた方がよろしいので、あまりお尋ねせぬことにいたします。  次に一点お尋ねいたします。総理大臣がその施政方針一端といたしまして、日本林野を三百万町歩開放すると言われたが、一体この三百万町歩を開放して何に利用するのか、利用ということになれば農林大臣の所管であるが、どうお考えになつておりますか。これは牧場にでもして、馬や牛や羊を入れて利用していこうというお考えでありますか。  もう一点は、五箇年計画——われわれは五箇年計画では不足であると思うのでありますが、もしこの五箇年計画の卓上プランが十分できたと考えまして、日本畜産製品の輸出はどの辺までいくかという計画、見透しをつけてやつておりますか、私どもはちやんとその見透しをつけて数字をこしらえたのでありますが、國の数字にも必ずその見透しがあろうと思いますので、この二点をお伺いいたします。
  20. 永江一夫

    永江國務大臣 実は総理から本会議の席上で、三百万町歩の波丘地帯について、將來適当に開発をしたいという言明がありました。これに從いまして農林省におきましては、中央開拓委員会がありますので、この委員会に去る二十五日にかけまして、その中で未墾地利用のために小委員会をつくりまして、鋭意研究を進めているわけであります。その目的とするところは、もちろん輸出のために、いわゆる波丘地帯の中で約三十万町歩くらいの桑畑の開墾というようなことも、一つ計画として入れております。もちろん今お尋にあります牧畜の点について、どれだけの適地があるかということの研究も中に入つております。從つてこの研究のためには、あるいは林産、蚕糸、畜産等の面からこれを研究いたすと同時に、もう一つは、今やつておりますような開拓、開墾の見地から、こういう各方面から研究をいたしますために、小委員会で全國的な調査をいたしまして、そうして今までやつております開拓の実際とこの計画とを結びつけて、漸次これを具体化していくという方針であります。從いましてこの調査の結果が明らかになりますと、牧畜についてもさらに大きな面が開かれる、こう考えます。  第二の五箇年計画の話ですが、大体畜産についてこの貿易については、東亞圏内をその対象とするという程度の案しかないのであります。
  21. 小川原政信

    小川原委員 最後に、昨年度におきまして十七万五千町歩の開発事業をやつて、五万町歩ばかりは人が入つたようでありますが、あとは馬や牛や、すなわち家畜がなくて農耕ができぬという事情にあるのであります。こういう速急を要する家畜をどういうふうにして將励して、早く有畜農業をなさしめようというような考えがありますか。お考えがありますならば述べていただきたいと思います。これは非常に大きな問題だと思います。
  22. 永江一夫

    永江國務大臣 この点につきましては、開拓地におきましていろいろ政府の補助いたします資金の面についても、ただ金を渡さずに、金に代るベき他の開拓に必要なものでやる。こういうようなことでいろいろ御審議を願つております。そういう精神に從いまして、開拓地における開墾上必要な家畜を、政府の斡旋で導入していくというような考えをもつております。
  23. 小川原政信

    小川原委員 もう大臣お尋ねいたしませんが、畜産の方には大臣、もう少し心を配つて、何とか増産するようなふうに御配慮願わなければならぬ。失礼な言葉で申し上げてお許しを願わなければならぬが、どうも私の考え大臣の御答弁はしつくりしない点がある。これは畜産についてのお考えがそこまで至らぬ。御熱心でないと思う。こう申し上げては悪いが、これでは日本農業というものは成り立たぬ。私ども畜産のための畜産でなくて、農業のための畜産で、日本人のための畜産でありますから、何とか御研究願つて畜産の方に経済的にも、いろいろな面におきましても、ひとつ大臣としてお骨折を願いたい、こう考えております。ただそれだけ申し上げまして大臣に対する御質問はやめます。
  24. 永井勝次郎

    ○永井委員 大臣お忙しいようでありますが、一つだけ大臣にお聽きして、あとは局長にいろいろお尋ねしたいと思います。  馬産の増殖をはからなければならないのでありますが、それの生産地帯において一番現在障害になつているのは傳貧の問題であります。数字の上から申しますと、傳貧の殺処分をしたものは、頭数が漸次減つてきておりますが、実際は届出をしない、あるいは戰時中のような、これに対する取締りを十分にやつていなかつた。やらない結果、実はどんどん殖えている。そういうふうな潜在したものが非常な数に上つていると思います。これに対して徹底的な取締りをやるとともに、これに対する処置を講じなければならぬ。しかるにこれに対する何らかの措置が講ぜられていない。殊にこの傳貧の問題に対しては、ほかの動物をもつて試驗ができないというわけで、これに対する予防的な措置、治療的な措置を講ずる方法がまだつかめない。こういう現状にあるのでありますから、病馬を大学なり試驗機関なりに集めて、徹底的に病氣の原因を追究することを強化し、それから潜在しているものを明らかにして、根本的な対策を立てるという根本策を樹立する必要がある。これに対して大臣はどれほどの認識と、これに対する決意をもつておられるか。この点だけ大臣にお伺いいたします。
  25. 永江一夫

    永江國務大臣 今お尋ねの点も非常で重要なことでありますが、それについて具体的に私どもがやろうといたしましたことは、予算に現われているわけでありますが、これもいろいろ議論のあるところで、この予算で十分であるとは申し上げかねます。しかしただいまの全般の予算の立場においては、本年はこの程度で私どもは最大の効果をあげたい、こう考えております。
  26. 北二郎

    ○北委員 種畜のおもなる生産地は、馬にしても、牛にしても、やはり北海道であると言うことができると思うのでありますが、せつかくこの法案ができましても、たとえば今農地改革によつて六十町歩つくつておるものが、四十町歩になる。これは内地でありますが、たとえば小岩井農場にいたしましても、非常に縮小する。そういたしますれば、この種畜の改良上に非常に重大な支障を來すと思うが、農林省はいかなる手を用意しているか、この点をまず伺いたい次第であります。
  27. 永江一夫

    永江國務大臣 速記を止めて。
  28. 井上良次

    井上委員長 ちよつと速記を止めて……。     〔速記中止〕
  29. 井上良次

    井上委員長 速記を始めて。
  30. 北二郎

    ○北委員 次に、最近農林省種畜に対するすべての行政を見まするに、北海道に一番優秀なものがあるにもかかわらず、これを捨てておいて、内地の雜種牛を種牡牛に使うとか、あるいはそうたいして優秀でない馬を種牡馬に使う。こういう傾向が非常にあるのでありますが、北海道における優秀なものを内地に持つてきて、そうして内地の牝牛なり種牝馬なりに交配して、いい牛をつくり、いい馬をつくるというお考えはないかどうか。
  31. 永江一夫

    永江國務大臣 その点は、先ほど私がお答え申し上げましたように、政府財政が許す範囲においては、そういう方法をやりますと同時に、やはり委員会の治用等によりまして、民間の方々の御協力を得て、こういう方法をやつていきたい、こう思つております。
  32. 北二郎

    ○北委員 これで大臣への質問を終ります。
  33. 小川原政信

    小川原委員 それでも畜産局長にお尋ねいたしたいと思います。五箇年計画のことについて今お話がありましたが、この五箇年計画をやります上におきまして、將來の日本の馬のあり方、農用馬、輓馬、それから競馬用の馬というように、大体において三然くらいにわけてつくります上において、輓馬は一体何ほど國は要求しておるのか、それから農用馬はどのくらいあればよいのか、競馬というものはどれくらいに止めようとするのであるか、これらの三つの点についてお伺いしたいと思います。
  34. 遠藤三郎

    遠藤(三)政府委員 五箇年計画におきまして、馬をどの程度増殖するかということにつきましては、馬事会その他馬の関係の團体の方々と密接な連絡をとつて研究してまいつたのでありますが、一應五箇年計画を目標としてまして、現在百四万九千頭ばかりありますのを、百三十五万頭、そうしてそれは年度初めでありますから、大体年度の終りには百五十万頭になるという含みをもつて増殖計画立てたい。こういう考えでまいつておるのであります。ただいまお尋ねの農用馬、あるいは輓用昇、あるいは競馬用に使うサラブレツト等の、種類別の増殖の目標でありまするが、農用馬につきましては、おおむね体高一・四五メートル程度のもの、体重三百七十五キロ程度のものを標準にして、種類は中間種を主とする増殖計画立てておるのであります。なお北海道においては、中間種のほか、重種を要することも考えております。そういうような方針をもつて進んでおります。それから輓用馬につきましても、おおむね大高一・五八メートル、体重五百三十キロを標準といたしまして、多少重種の血液を含む中間種を主といたしまして、北海道においては中間種及び重種とする。こういうふうな考え方をもつて進んでおります。なお競走用馬については、これは申し上げるまでもないのでありますが、軽種と中間種と両建にしてまいります。これらのそれぞれの馬の増殖の頭数——何をどれだけというような頭数の問題については、それぞれの関連を考え、全体の調整をはかりつつ、全体の目標百三十五万頭に近づけるようにやつていきたいというふうに考えております。
  35. 小川原政信

    小川原委員 大体わかりました。そこで、今お話しになりましたことから考えてみますと、この種馬統制法をやめまして、そうして配合檢査というものをやりますならば、これが中間種であるとか、一・四五メートルとかいうようなことが一体何によつてできるか。これはサラブレツトであるということを何によつて考え出すか。こういうことになる。その頭数が、要求しておる頭数とまつたく食違いが起つてくる、そういうふうに私は思います。それから、一体現有の北海道におけるある種の馬などはかたわであります。ペルシユマン種ならペルシユマン種ということにしても、ほんとうのペルシユマンではない。かたわのペルシユマンをこしらえておる。ああいうものを標準馬として一体これからお進めになるかどうか。一例をとつと申しますと、北海道では体高も大きくならない、体重も大きくならない、なるほど一人前の馬であるように思いますが、温かい地方に持つてくると、それがノコノコ大さくなつてしまう。お化けみたいな馬をつくつておる。そういうことになりますと、種馬統制法がないということになれば、これは非常に違つたものができてくる。こういうことになつてきますが、そういう点はいかようにお考えになりますか。
  36. 遠藤三郎

    遠藤(三)政府委員 ただいま御指摘の、配合その他種馬統制についての力を非常にゆるめてまいつて、はたして目標としておる所要の頭数が維持できるかどうかという点でありますが、この点につきましては、御指摘のように、強い統制をしてまいりませんので、こちらのいろいろ計画してまいりましたその計画に、ぴつたりしていくということはなかなか困難だと思います。もつとも、この計画立てます場合に、從來種馬統制法のような形で、強力に統制するということを考えないで、前提として相当自由にやつていくという、現在ここに提案してありますような種畜法のような建前をもつて、種牡の供給をそういう目標でもつてやると同時に、具体的な指導において、こういうものがよろしいのだという技術指導をやる。同時に、経済的な諸條件を整えてまいりまして、強制をしないで、おのずから農民自由意思をもつてその目標に近づいていく。こういうふうな考え方で計画も定め、種畜法の建前もきめてまいつたような次第であります。もちろんそうやつてまいりますと、非常になまぬるいところがございます。しかし大体の大見当を定めて、そこにだんだんもつていくというふうな氣持でおりますので、御了承を願いたいと思います。
  37. 小川原政信

    小川原委員 そうするとここに書いてある体型ということは、一体どういうことを考えたのでしよう。体型というものは馬の形ちをしておつて、足なりかつこうがよくて、足が丈夫であれば、それで体型を整えた。こう見るわけでありますか。これは民間において種馬として取扱う場合において見ることでありますが、どういうふうに見たらいいのでありますか。
  38. 遠藤三郎

    遠藤(三)政府委員 その点につきましては、非常に技術的な問題になつてまいりますから、お差支えなければ説明員に説明させてもらいます。
  39. 小川原政信

    小川原委員 こまかな説明は要りませんが、これは優秀なものである。優秀ということをここで見なければ種牡馬にならぬのでありますが、この優秀という見方をどう見るのですか。たとえば甲、乙、丙というようにわけて証明書に書かなければ、あるいは優良馬なら優良馬、体型が優なら優というふうに書かなければ、表現ができないと思いますが、そういうふうに種牡馬としての値打を見るときに、どういうふうに表わすか。今までのように種馬統制法によつてできておつたものなら、この馬にこの馬を配合してできたところの馬は大体においていいから優だ。買い上げてから馬の型がどう変ろうとかまわないというようなことで買い上げていつたが、今度はそうじやない。実際自分のものとして馬をつくつていく上において、今おつしやつたように体型というものをつくつてつて、そうして甲だとか言われると、それに即しないことになる。体型もどうでもよろしい、大きさもどうでもよろしい。こういうことでありまするならば、私どもは何も聽かないのですけれども、一應は今までの統制会にあるように、馬の体重がいくらで、高さがいくらということを考えておいて、そうして種馬だけを考えないということになるとおかしなものができます。食い違いが起りますが、その点を心配するからお尋ねするわけであります。それであるから、この表現については簡單でよろしうございます。何も專門的に聽くのではありません。
  40. 鹿島恒

    ○鹿島説明員 ただいま体型、能力等の点について御質問がありましたが、局長が今申し上げましたのは、大体日本において馬の趨向を示す標準であります。しかし御承知通り日本の地形は帶のごとく長いのでありまして、必ずしもあれがどこにも適合になるとは考えられない。しかも今後その地方地方農業の状況、その地方々々の要求にマツチするように、その地方々々で標準がおそらく定められなければならないと思います。從つてその地方地方によつて生産方針というものが立つと思います。しかもその生産方針は、需要によく適合するように、いほゆる賣れていくように、それも考えなければいかぬ。でありますから、結局は農業経営の樣式、その要求によりまして、その標準なり能力なりがきまるものと考えるわけであります。種馬統制法時代は、一つの要求する主点がきまつておりました。しかも日本全國の馬をそれにあてはめなければならなかつた。しかし今度はそういうふうにはいかない。その地方々々の特色を大いに尊重するということに相なると思います。
  41. 小川原政信

    小川原委員 大体話がよくわかつてきたようですが、証明書に一体どう書くかということです。証明を與えたときに優なら優、特優なら特優と書かなければならぬが、相当の形体を備えておるものでなければ特優とは書き得ない。ですから形体というものについて、種牡馬を持つている者は困る。今まではどう扱うても、種牡馬を持つてはならぬというのであるから、どんな型の惡いものを持つてつても、どんな馬を持つてつても、國が持つておるのだから、國民ははいはいと言うた。今度は型が惡くなりますと、自由勝手につくるのでありますから型の悪いものは平氣でくると思う。それで私に証明書をくださいと言うたときに、この証明書に何と書いたらよろしいか。これはどういうことになるのでありますか。この点をお伺いしておるのであります。
  42. 黒河内説明員

    ○黒河内説明員 それは大体こういうふうに考えております。大体三段階ぐらいに今のところ考えておりまして、從來種馬統制法種牡馬檢査法の種畜は優、今後新たに加わつたものが良、可、こういうふうに大体三段階ほどぐらいにわけたいと考えております。  それから今度の法案の最も重要な特色は、要するに種付を受ける人が自由意思によつて自由選択をやる。そういうことがこの法案のねらいであります。
  43. 小川原政信

    小川原委員 ついでにお尋ねしておきます。お話を聽いておると登録協会というものを新設されるということでありますが、登録協会というものはどういうものでありますか。それをお伺いしたい。  衞生檢査を行うのは今までとどういうように変りがあるのかないのか。この点をひとつ伺つとおきたいと思います。これが馬についてのお尋ねであります。次に牛のことを二点だけお尋ねしておきたいと思います。これからはどのくらい役牛を養つていこうというのでありますか。肉牛はどのくらい養おうというお考えでありますか。この三つの点についてお尋ねいたします。
  44. 遠藤三郎

    遠藤(三)政府委員 ただいまお尋ね登録協会の問題でありますが、登録協会はこの法律でもつて特に法人格を認めまして、登録の仕事を專門にやる法人にしようということを考えております。從來登録に関するいろいろな團体がございましたが、今回は登録協会に統一してまいりたい。そして登録協会が法律でもつて與えられた特別の團体になることによつて登録協会の基礎がだんだん固くなつてまいりますれば、登録事業の信用は非常に高まつてまいるということで、事業そのものは民間の事業にする考えでおりますけれども、それをつくる法律の基礎になる法人は、この法律で認めていきたい。こういう考え方をもつておるのであります。  それから役牛と肉牛の問題でありますが、役牛の養牛は昭和二十一年におきましては、百八十二万六千頭でございます。これを五箇年計画では、二十七年に二百二十万頭を目標にやつております。なお最後のお尋ねの衞生檢査につきましては、家畜傳染病予防法のあの檢査と、大体同じような考え方で檢査をしたいと思います。
  45. 永井勝次郎

    ○永井委員 牡馬のきん拔きは從来通り実行するのかどうか。はら馬について種馬用適格馬というようなものを、ある程度選択してやつていく考えであるかどうか。はら馬の方はどうするか。それからやはり生産地帶、育成地帶という地帶朴区域を從來通り考えておるか。それからペルならペル、ハクニーならハクニーというような純血を、一つ基本的な純血として残すというようないき方でいくかどうか。純血は全然考えないで、いろいろな混血を考えていくのか。それから日本畜産というものを今後ドイツ的な性格でもつていくのか、あるいはアメリカ的な性格でもつていくのか、ドイツ的な性格でもつていくならば、農業経営の上に立つていく畜産というものは、ドイツの場合であれば自給粗飼料範囲において畜産考えていく。そういう場合役牛が主としてそれに用立てられておるのであつて、馬は放牧地帶をもつて、そこで生産し育成されているというような方法でありますが、アメリカの場合は農業経営の中に馬がはいつておる。非常に廣い面積をもつておる経営においては、それでいいでありましようけれども日本のように零細な農業経営の形態に立つ場合においては、粗飼料その他の関係からいつて、ある程度役牛を農業経営の中に織りこんで、馬の関係は放牧地帶その他もう少し合理的に経営をやつていくというような、土地利用土地別にくふうしてやつていくということが考えられやしないか。こういう点についての根本的なお話を伺いたい。
  46. 遠藤三郎

    遠藤(三)政府委員 日本畜産の大きな目標をどこに置くかという最後のお尋ねでありますが、この点につきましては、やはり日本のように國土の狭小な國では、廣大な放牧地や採草地を生かしていくということは非常に困難であります。從來経営がきわめて非集約的でありまして、その生産力の点からいつても、きわめて非合理的な経営だということをしばしば言われるのでありますけれども、その点はある程度もつともな点でありまして、われわれとしては土地の集約的な経営、しかも各農業経営の中にピツタリ融合し、統合された経営というものが、理想的な経営であろうと考えております。今後日本畜産業に残つれた一番大きな問題は、放牧採草地を耕地その他の目的のために開放し、そうして限られた面積の保有が認められまして、その限られた面積の保有が認められまして、今までの生産力を減限させないように、しかもなお進んで生産力を高めていくというところに、今回の放牧採草地の開放のねらいがある。しかもその点が最も根本でありますので、これらの問題は、その点に集注して政策をやつていかなければならぬ、こういうふうに考えております。なおいろいろ技術的な問題もお尋ねがありましたが、説明員の方から申し上げます。
  47. 鹿島恒

    ○鹿島説明員 先ほど去勢のことでお話がございましたが、この去勢は御承知通り明治三十何年からの話でありまして、大分徹底いたしまして、それでおそらく睾丸をつけておりましては使役に不便でありますから、この点が徹底いたしましてから、皆種畜にならないものは去勢する習慣になりましたが、近々この去勢法は廃止される意向があるのであります。  それから次に牝馬——はら馬とおつしやつたのであますりが、これは牝馬の方でも、いい種馬をどういう規格を置くかというお話であつたと思います。これは先ほど來お話のありました家畜等の登録というものは、その地方地方に適合する標準ができると思います。でありますからその規徹にあてはまるものを、優秀な牝馬、基礎牝馬になると考えてよいと思います。  それからもう一つ次はハクニー、アングロ純血の話でありますが、日本の馬は御承知通りほとんど混血種であります。その種畜となり原々種となるものを外國から入れております。それで外種としての馬は純血をそう尚びませんが、ただ種馬となるものは純血を尚ぶのであります。
  48. 永井勝次郎

    ○永井委員 種馬檢査をして合格したもの以外は去勢をするということが励行される場合は、ある程度種馬の質を落しても、これはそう増殖の上において心配はないのでありますが、去勢を強制的にするという面を持主の自由であるというふうに解放して、そうしてこの種馬を國有でなくて、原則として持てる範囲においてある程度民間種馬を持たせるということになれば、当然種付料というものは非常に高騰するわけであります。そうなると、一頭の種付に二千円とか三千円とかいうような多額の種付料金を必要とするような状態になりますと、種馬檢査不合格の馬でも、相当量田舎の方ではどんどん種付によつて生産するということが行われるだろう。そうなると現在種馬檢査を、こういうふうな種畜法をつくつてやるということが、趣旨と実際とがうらはらになつておる、逆になる傾向があると思いますが、そういう点に対する御見解はどうでありますか。
  49. 遠藤三郎

    遠藤(三)政府委員 ただいまの御質問の点は、この種畜法のねらつておる種馬考えと大分違つておるように思います。それは今回の種畜法では、種牡であれば傳染病にかかつておらない限りは、所有者が希望するならば、どういうものでもみな種牡馬にするという建前になつております。むしろ非常につまらない馬が種牡馬になることになりはせんか、その点が心配なのであります。そこはしかしあまりくだらぬ馬でしたならば、種牡馬としても用をなさないのでありますから、おのずから限界がでてくる。種牡馬が非常に足らなくなれば、その次の段階のものが種牡馬に活用されるということになつて、きわめて経済の自然で動いていくという建前になつておるわけであります。
  50. 小林運美

    小林委員 ちよつと議事進行について申し上げます。  種畜法はただいま審議中でありますが、途中でありますけれども、午前中に質疑を終了いたしました肥料配給公團令の一部を改正する法律案につきまして、討論を省略されまして、ただちに採決されんことを望みたいと思います。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 井上良次

    井上委員長 ただいま小林君から、肥料配給公團令の一部を改正する法律案を、討論を省略してただちに採決されたいとの動議が出ました。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 井上良次

    井上委員長 それでは採決いたします。肥料配給公團令の一部を改正する法律案の原案に賛成する諸君は起立を願います。     〔賛成者起立〕
  53. 井上良次

    井上委員長 起立総員であります。よつて原案の通り可決いたしました。なお、衆議院規則第八十六條により、報告書作成の件は委員長に一任するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 井上良次

    井上委員長 御異議なしと認めまして、左樣決しました。     —————————————
  55. 井上良次

    井上委員長 引続いて種畜法の審議に移ります。永井君。
  56. 永井勝次郎

    ○永井委員 病馬や何かの場合に種馬の不適格にすることはよいのでありますが、去勢を励行しないということになればこれは隨時できるわけでありますが、それはこの罰則その他がありましても、経済的な原則で、今言つたように一頭何千円ということになれば、どうしてももぐりが出てくる。こういう面に対して種馬適格馬以外は、去勢を励行するということができないものでしようか。     〔速記中止〕
  57. 井上良次

    井上委員長 速記を始めてください。
  58. 清澤俊英

    清澤委員 先ほど馬の五箇年計画で百三十六万頭の増産計画が確定しておるということでありますが、馬に限らずその他の畜産全体の増産計画は、どういう点を基本にして、それだけの数量が要るようになつておるのか。その点を御説明願いたい。
  59. 遠藤三郎

    遠藤(三)政府委員 五箇年計画立てる場合に、資料を集めていろいろ研究したのでございますが、いろいろの見地から計画は立つと思います。それは國民の栄養の点から申しますと、栄養対策審議会で結論が出ておりますので、大体六千万頭の家畜計画をもつております。もう一つ日本農業経営において、はたしてどの程度の家畜を維持することができるか、どの程度の家畜経営を内部に入れることが合理的であるかという見地から檢討しておるわけであります。この見地から申しますと、一町歩経営農家が大家畜一頭、二町歩は一業畜二頭に、中小家畜三頭といつたぐあいに、経営別にそれぞれ包容し得る家畜の頭数がきまつてまいります。それを全國的に調査すると、大体六百万頭單位程度まで入れることができることになつております。都市近郊の畜産業を專業とする地域を五十万單位とみまして、大体六百五十万單位程度までは経営の規模の見地から入れることができることになつております。ただもう一つの観点からみますと、種畜生産力におのずから限界がある。一年に一頭しか子供を産まないし、三年に二頭程度しか種をつけることができないということでありまして、種畜の方の制約がございます。その種畜事情を考慮して、最大限度に増殖をしていくという計画をしてまいつたのであります。その計画の結果が現在三百三十万單位の家畜でありますが、それは五箇年計画で四百四十万程度まで増殖することができる。これは大体三割の増殖になつておりまして、過去の日本畜産業における最大頭数まで復元するような結果になつておる、五箇年計画で過去に復元するという結果になつてまいりましたので、大体五箇年計画の目標についてはそういう見地からきめたのであります。
  60. 清澤俊英

    清澤委員 それで馬の百三十六万頭というのは、戰前の数字に帰えるという考えですか。
  61. 遠藤三郎

    遠藤(三)政府委員 大体馬についても、戰前の数に帰えるような計画になつております。しかし考え方として、戰前にただ機械的に帰えすというのでなくて、地区別に馬がどれだけ必要かということを詳しく調べまして、たまたまその結果がこういう馬の頭数になつたということであります。
  62. 清澤俊英

    清澤委員 戰前の馬の振当は、大体軍馬を中心にして考えられたものが相当あると思うのですが、偶然にその数と合致したというわけですか。
  63. 遠藤三郎

    遠藤(三)政府委員 軍馬でございますが、軍馬は平時において大体五十万頭程度であります。軍馬は全体として大したことはないのでありまして、軍馬のことは全然考えていないのであります。先ほど申しましたように輓馬、ことに農耕用の馬を生産することに最重点をおいて、日本農業と馬産というものをうまくマツチさせていくように考えております。特に軍馬がなくなりましたので、馬の生産は必要なしという議論もあるのでありますが、やはり農耕馬としてすぐれたもの、あるいは輓馬用の馬をつくる。こういう考えで進めていきたいと思つておる次第であります。
  64. 森山武彦

    ○森山委員 ちよつとお伺いいたしますが、本法は家畜増産をめざした点において、われわれ非常に賛意を表するのでありますが、最近聞くところによりますと、國立の種畜牧場の減らすという案もあるという話であります。かように増産をしなければならない時期に、この種銅牧場を減らすことは重大なる問題であると思うのであります。これに関して政府の御所見を承りたいのであります。
  65. 遠藤三郎

    遠藤(三)政府委員 牧場の整備の問題につきましては、先般來特の民間の放牧採草地の開放の問題とも関連して、日本の國土全体について、もう少し集約的な経営をし、土地生産力を高めなくてはならないという見地から、放牧採草地の開放をいたしたのでありますが、その精神で國立の牧場等についても、考え直してみようということにしてまいつたのであります。現在その問題をいろいろ研究しておりますが、私どもとしてはただいま御指摘のように、できる限り種馬あるいは種牡牛の供給機金を拡充いたしまして、五箇年計画の目標達成の中心的な機関にしてまいりたいという希望をもつて進んでおります。しかしいろいろの議論がありますので、目下せつかくどうあるべきかということについての研究を進めておる次第であります。
  66. 森山武彦

    ○森山委員 よくわかりました。この点について希望を申し上げておきます。この問題はぜひともただいまのお話のごとく、いい結果になるように努力していただきたいのであります。  次にもう一つお伺いしたいことは、この罰則を見ますと、非常に軽い罰金のようであります。二千円とか、三千円とか、五千円とか、罰則があつてもなくてもほとんど効果がないというような罰則がありますが、この点はいかがですか。
  67. 遠藤三郎

    遠藤(三)政府委員 罰金その他の罰則は、あまり嚴重にしてまいるのもどうかと思いまして、ほとんどそんなものがなくても、畜産にほんとうに熱心な者であれば、この規定はどんどん励行されていくようにありたい、こう考えて罰則はなるべく低くと考えた次第であります。
  68. 北二郎

    ○北委員 この法案が出た際でありますので、ちよつと申し上げますが、ただいま北海道においては種牡牛の血液が非常にダブつておるのでありまして、何とか当局と協力して、関係方面へ十頭ぐらいの種牡牛の輸入を至急に懇請したいと思うのであります。ひとつさように至急手続されることをお願いしたいと思います。
  69. 遠藤三郎

    遠藤(三)政府委員 特に優秀な補牡牛を入れて、日本の種牡牛の血液の更新をはかることは、きわめて必要なことであると存じます。政府としましては、今回の輸出入計画におきましても、若干の種牡牛の輸入をはかるように計画をいたしております。ただ実際問題としましては、なかなか輸出入のバランスがとれてまいりませんので、困難でありますが、先般も二十五頭ばかりララの物資として、乳牛の種牡を送つていただきました。また近いうちに五十頭ばかり乳牛の種牡がはいつてくる見込みでございます。それらをもつてさしあたり血液の更新に役に立てたいということを期待している次第であります。
  70. 成瀬喜五郎

    ○成瀬委員 種畜法につきまして、目的なりその他につきまして質疑を重ねてまいりましたが、私はこの法案がわが國の農業経営上におきまして、一大革新をもたらすというような種々の目的の列挙いたしていることにつきましては賛成でありますが、ただ單に種畜法を改正いたしまして、そうしてそれらの種畜法のみをもつて増産目的を達することはむずかしいのでありますから、今日酪農その他におきましては、きわめて高額なるところの資金を要することでありますし、從つてこういうような種畜法の制定と同時に、いかにして本案の目的達成のために、地方農民の要望に答えるために、この増殖目的を達することができるか。そういつた具体的方法につきまして、ひとつ説明を求めたいと思います。
  71. 遠藤三郎

    遠藤(三)政府委員 この増殖の具体的な方法、特に資金あるいは資材等の問題につきましては、お説のごとく最近の金融の情勢からいたしますと、資金の問題に一番悩んでおります。私どもとしましても、畜産増殖をはかるために相当資金が必要であり、その資金をスムースに供給する方法を講じなければ、生産業者も非常に大きな圧迫を受けますし、それを受入れて農業経営の改善をはかつていこうという面の人々にも、非常に大きな打撃を與えますので、資金をなんとかして融通したいということを、最近特に考えている次第であります。大体畜産の資金といたしましては、十億程度の計画になつております。十億あれば現在の情勢では、大体畜産関係の資金もおおよその見透しがついてまいる、こういうふうに考えまして、他の農林関係の特別の資金融通の施策をも、他方において進めておりますので、それと相まちまして、資金面の逼迫を緩和したいというふうに考えております。なおその他の資材問題等につきましては、その問題に当面いたしまするごとに、一つ一つ解決していくという考え方でまいりたいと思います。
  72. 成瀬喜五郎

    ○成瀬委員 役畜及びこういつた畜産増殖のためには、飼料がもつとも重大な関連をもつのでありますが、過般食糧割当委員会におきまして、農林次官の答弁によりますれば、いわゆる役畜飼養につきましての飼料反別は、各末端府縣に対して指令を出してあるということでありましたが、はたして具体的に役畜に対しては何反歩、あるいはまた乳牛に対しては何反歩、こういうふうにそれぞれ牛馬等の飼料確保に対する面積について、具体的の数字をこの際発表してもらえますならば、われわれはもつて政府の保護政策と相まつて民間における増殖運動を展開していきたいとかように思うのであります。また畜産などの方におきましては、食管その他政府の方に対して、基本的にどれほどの反別が必要であるかというような要求をしたことがあるかどうか。そういう点に関連しても説明を求めたいと思います。
  73. 遠藤三郎

    遠藤(三)政府委員 畜産増殖の基礎について、飼料の問題、特に自家飼料の問題につきましては、きわめて重要なことであります。そこで私どもといたしましては、二十三年度の作付計画をいたします場合に、大体どの程度飼料圃の設置を認めるかということにつきましては、農業生産の方の相当の者といろいろ協議いたしてまいりました。大体二十二年度においては十一万町歩ほど認める程度でありましたが、二十三年度におきましては四十七万町歩程度を認めようというような、大きな方針をきめてまいつたのであります。ただこの四十七万町歩を個々の農家におろす場合におきまして、実はどこの農家へ何町歩というような、おろし方のこまかいことはきめてありません。それを強制的におろす法規も何もございませんので、大体指導の方針としてはこうだというふうになつておりますから、非常に食糧事情が窮屈な所は、その與えられた飼料圃の面積もずつと食いこまれる。食糧事情がゆたかな所では、これが逆に大きくなつていくというような事情があるかと思います。現在個々の農家飼料圃の面積が非常によく確保されております縣と、なかなか確保されておらない縣があるようでありますが、それは畜産の方がだんだん認識され、そうして他面また食糧事情が緩和されていくことによりまして、やはり強制力を用いなくても、なお均衡のとれた割当が下の方までおりていくようになるのではないか、こういうことを考えて、四十七万町歩を下へおろすことにつきましては、無理がなくそれが末端に届くということを指導しているような次第であります。
  74. 成瀬喜五郎

    ○成瀬委員 この飼料の問題でありますが、米麦作は亡國農業だと言われているのであります。そういうような地帶に対しましては、牧野等のそれほどの面積がありませんので、米麦等のそれらの反別については、一頭については一反二畝とか、三畝とかいうようなことについて、もつともつと末端オーダーに対して、その実情に副うたところの研究なり、具体的の法方をもつて、將來方法を講じてもらいたいということを希望申し上げて質問を打切ります。
  75. 永井勝次郎

    ○永井委員 種畜法に関する質疑はこれをもつて打切られんことを望みます。
  76. 井上良次

    井上委員長 永井君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 井上良次

    井上委員長 異議なければ種畜法に対する質議はこれをもつて打切ります。採決は明日にいたすことにいたしまして、本日はこれをもつと散会いたします。     午後二時五十分散会