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1948-06-26 第2回国会 衆議院 農林委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月二十六日(土曜日)     午前十時十四分開議  出席委員    委員長 井上 良次君    理事 岩本 信行君 理事 森 幸太郎君    理事 佐竹 新市君 理事 永井勝次郎君    理事 寺島隆太郎君 理事 萩原 壽雄君    理事 北  二郎君       小川原政信君   小野瀬忠兵衞君       佐々木秀世君    佐瀬 昌三君       重富  卓君    田口助太郎君       綱島 正興君    野原 正勝君       松野 頼三君    八木 一郎君       梁井 淳二君    渡邊 良夫君       勝間田清一君    田中織之進君       清澤 俊英君    黒田 寿男君       溝淵松太郎君    野上 健次君       神山 榮一君    守田 道輔君       関根 久藏君    菊池  豐君       坪井 亀藏君   的場金右衞門君       平工 喜市君    松澤  一君       森山 武彦君    山口 武秀君       大瀧亀代司君  出席國務大臣         農 林 大 臣 永江 一夫君  出席政府委員         農林政務次官  大島 義晴君         大藏事務官   福田 赳夫君         農林事務官   山添 利作君         食糧管理局長官 片柳 眞吉君  委員外出席者         農林事務官   小倉 武一君         專門調査員   片山 徳次君         専門調査員   岩隈  博君 六月二十五日委員河合義一君辞任につき、その補 欠として金子益太郎君が議長の指名で委員に選任 された。     ――――――――――――― 六月二十五日  種畜法案内閣提出)(第一八六号)の審査を  本委員会に付託された。 六月二十五日  供出米割当制度の改革に関する陳情書  (第八八九号)  雹害復旧援助に関する陳情書外五件  (第八九一号)  昭和二十三年産麦類供出事前割当補正等に関  する陳情書  (第八九七号)  食糧増産対策等に関する陳情書  (第  八九九号)  畜産の振興に関する陳情書  (第九〇〇号)  水害耕地復旧認承事業費増額並びに土地改良事  業費國庫補助陳情書  (第九〇二号)  米單作農家の救済に関する陳情書  (第九二〇号)  農地調整法調整に関する陳情書  (第九三七号)  醤油自給体制の確立に関する陳情書  (第九四七号)  林地開墾に関する陳情書  (第九五三号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  食糧確保臨時措置法案内閣提出)(第一一五  号)     ―――――――――――――
  2. 井上良次

    井上委員長 これより会議を開きます。  食糧確保臨時措置法案を議題として質疑を継続いたします。清澤君。
  3. 清澤俊英

    清澤委員 この間これは農政部長質問が済んでおるのでありますが、なお確認しておきたいために、第六條の異議申立條項につきまして、大体町村長異議申立に対して決定しまするには、「同項の期間満了後二十日(第三項の場合にあつて四十日)以内に決定しなければならない。」こういうように規定はせられておりますが、しかもその手続縣知事の許可、認可、承認縣知事はまた農林大臣承認等を受けるいろいろな手数がかかるのでありまして、今までのいわゆるお役所の手続としましては、四十日以内にできない場合が多く予想せられると思うのであります。もしそれが異議を申し立てたが、四十日以内に村長がこれを決定しない場合には、自分異議承認せられたもの、こう考えてよろしいのか、そうしてもらわなければいけないことになるのでありまするが、そう考えてよろしいのか、それでなかつたならば、少くとも納期というものが前に迫つておるのでありますから、仕方がなく、ときによると泣寢入りになる、こういうような問題が出ますので、この場合において、その手続が遅れたその責任は当然政府が負つて申請者がそのものを承認した、こういうことにしてもらわなければならないと思うのでありますが、この点をはつきりしておきたいと思いますので、お伺いしておきたいと思います。
  4. 山添利作

    山添政府委員 この問題は、事前割当をいたしますときにはそれほど問題がないのでありまして、結局この條文を準用しております供出量補正するときに起る問題であります。そのときには、農家の方で補正を申し立てますと、地方長官一定の期日を指定いたしますが、これは收穫時であります。その前に災害の状況というものはその都度届け出でてあり、それに対して村の委員調査しておりますとともに、これは國の作物報告所も同時に調査しておる。そこで收穫時に農家の方から異議を申し立てて減額の要求であるわけですが、しばらく経つたときに國の方からこの辺の損害額があつたということが確認されておつて、それを府縣市町村に対しある程度わくを與えておくわけですね。損害以外のトータルのわくを與えて、その範囲内で市町村長が個人的に減額数量をきめることに相なるわけであります。そういうふうに、この供出補正については市町村委員におきましても、また府縣におきましても、國におきましてもその事前調査をしておきますので、四十日の期間があれば、これは間に合う。また間に合うようなやり方をいたすのであります。しかしそれでもときに間に合わぬということが起ることは、これは容易に想像し得るわけであります。その場合には國が遅れておれば國の責任でありますが、農家異議申立というのは、その間に決定がなかつたからといつて、無効になるわけではない。まだそれはペンデイングになつておるということであります。それでは四十日経つたら農家請求通り異議成立があつたものと認めるかというと、これはまた行過ぎでありまして、この法律といたしましては、四十日以内に処置をする、またその処置ができるようにこの損害査定等措置はくふうをいたしておるわけであります。
  5. 清澤俊英

    清澤委員 山添さん、あなたは條項をよくごらんになつたのでしようか。第六條は、前條第一項の農業計画に係る生産者は、当該農業計画について異議があるのです。こういう麦をいくらつくれ、米をいくらつくれという計画を與えたとき、これはどうも私はつくれないという集議を申し出た。それを四十日以内にきめてもらわなけれが、——その自分計画をきめてくれぬということになると、供出とは離れた問題になるのではないのですか。
  6. 山添利作

    山添政府委員 わかつておるのです。わかつておるのですが、その事前割当のときには、しかし問題が起らぬので、具体的の問題が起るのは、供出補正というときに起るから、その場合のことを申し上げた。しかし事前供出割当の場合におきましても、國はそういうつくれないようなものは割当をいたすつもりもなければ、そういう考えもありません。しかし異議がありますれば、これはもちろん四十日以内にやります。
  7. 清澤俊英

    清澤委員 異議がないということは、私はないと思うのです。この法案自身は、後ほど大島政務次官によくお伺いしようと思つておるのでありますが、中央審議会においてきめたものを、上から縣へ、縣から町村へとずつとくるのでありますから、現在われわれの雪害地帶等に参りますれば、麦の割当よりは芋をもらつた方がよろしい、こういうようなことから、異議形式で、自分計画申請して出る場合がないとも限らぬ。そういう場合、四十日経つても五十日経つてもきまりませんで、やむを得ないと言われたのでは、麦もしかたなくせんければならぬというように、泣寢入りになるから、四十日以内に來なかつたならば、自分申請計画がよろしいとして実行していいかどうか。これは重大問題だて思う。ここをはつきりしてもらわなかつたならば、あとになつて違反だとか、そういうことはいかぬということになりましたら、たいへんなことになる。そこの点をはつきりして、どこに責任があるか、こういうことをはつきりしてもらうことと、いま一つは、ここに四十日と限定してある限りにおいては、少くとも農業計画というものを発表なさる期間は、おそらく四十日以前に、少くとも五十日以前にこの農業計画農民の最末端に届くような発表でなければ、第六條の規定に効力をなさんと、こう考えるのでありますから、そういう條項を入れることに対しては、大体どうお考えになつておるかお伺いしたいと思います。
  8. 大島義晴

    大島政府委員 事前割当の時期が非常に急迫するようなことをおつしやいましたが、これは昨日食糧管理局長官も明言しておるのであつて、麦については大体八月に事前割合を発表する、米については一月にこれを発表するということにいたしておりますので、その間相当余裕があるのであります。もう一つ今あなたのお伺いの中に、たとえば麦よりも馬鈴薯がよいという場合に、それを異議形式をとつて訂正を求めるというような御意見でありましたが、これは第五條の第二項に、農業計画というものは生産者意見を徴してきめるのであつて、必ずしも上から押しつけるというのではない。從つてこの意見を徴するという場合に、そういう御意見を十分申し出ていただきますと、その目的は達せられる、かように考えておりますので、この点、五條と六條との関連性をひとつ御了承願いたいと思う。
  9. 清澤俊英

    清澤委員 これはこういう規定になつていれば、第五條は、なるほどよく見ますれば、「左の事項を勘案してこれを定めなければならない。」というのでありますから、相当緩和するでありましようけれども、この場合、あとで問題の出たときのことをわれわれは考えなければならぬ。その場合に、この問題をはつきりしておかなければならぬが、六條の問題をこれほどたしかだとするならば、四十日以内に決定することができなかつた場合には、その責任政府なり村長なりがもつて、そうして申請等のものが承認せられる、こういうことをはつきりしておいてもらえばよい。こういうものがあるからそんなことはあるまいでは、これは問題にならない。
  10. 山添利作

    山添政府委員 四十日までに決定をいたすのですが、万一それよりも遅れた場合の責任は、もとより行政官廳にあるわけでありますが、しかしその四十日を過ぎたからといつて、ただちに農家申立成立をしたと見ることは適当でない。もつとも植付前には必ず決定をいたします。しかし植付時期を過ぎてなお決定をしないときには、これは明瞭に行政廳責任であるから、これは農家の方がそういう申請をした通り植付をやつてもやむを得ないと思います。
  11. 清澤俊英

    清澤委員 それでは次にお伺いいたします。これはこの前ちよつと質問しておいたのですが、第七條の第五号の、農業生産計画とともに農業物資配給に対する町村長責任規定であります。このとき農政局長さんは、こういう物資が入らぬときは当然減免するようになる、こうおつしやいましたが、それは少くとも秋ぐちの收穫を見て減免せられる、こういうことになりますが、過去のわれわれがとつてまいりました態度は、かりに肥料が來なくても、農機具が來なくても、なければないで、あるいはやみで買い、多額の労力をかけて、いろいろの心配をいたしまして、少くとも收穫が減らないような努力をいたしまするのが農民の常の姿があります。そのとき自分責任を果さなければならない。主要生産必需物資が來なくして、農民努力によつてこの場合收穫があつたのだから、それでよいではないか、こういう結論に達しましては、これは重大なことになると思いまするので、この点を明らかにして、はたして農政局長が言われるごとく、こういう物資責任配給できない場合には、それはもう今日の價格上どのくらいのものが行かなかつたらどういう減收をするということくらいは、大体わかるのでありますからそれを割当率から引いたものを基準にして、それ以上のものをかりに供出してもらう、こういう懇談的な態度をとつてつております際に、それには労力をかけたのであるから、それ相当の補償をしてやることが正しくないか、これくらいの親切心がなければならないと私は考えるのでありますが、この点に対しまして、いま少しつつこんだ——はなはだめんどうでありましようけれども、その点をもつとはつきりして、そうして政令ということも何ですから、局長さんたちが相談していただいて、これくらいの物資が十分行かぬときにはこうとか、あるいは農機具が実際渡らないで、それをやみ買つた場合には、それを補償するということを、はつきりしてもらうことができるかできないかということです。ただ收穫を見てだけでは、草だらけにしてほつぽらかして、こないからこれだけの減收なつたということでは、たいへんだと思います。その点をひとつはつきりしておきたいと思います。
  12. 山添利作

    山添政府委員 清澤さんのおつしやることは、個人々々の農民の立場から見ると、確かにそういう感じであろうと思いますが、しかし取扱いとしてそういうことをいたしますることは、結局混雜を招くことになると思うのであります。なるほど農民諸君肥料が遅れたからといつて漫然手をこまねいておるものではない。確かにやみ肥料でも買つて増産しようというのが、農民諸君の意氣込みであるわけであります。しかし國の制度といたしましては、この法律個々農家と何か取引契約をするという建前でおるのではないのであります。政府としては、あくまでも一定計画に基いて事前肥料配給数量を定め、またこれをとことんまで、政府政府責任において完成する。同時に農家の方では、事前割当数量については、特別の災害その他によつて減收をきたす。眞にやむを得ない理由によつて減收をきたした場合以外は、ともかく供出数量相当するものは出してもらうという、それぞれ責任をもつてやる、こういう建前になつておるのであります。なるほど政府としては、公約の肥料が若干遅れたという場合が必ずしも絶対にないとは言えない。そのときにおきましても、農家といたしまして自家保有数量確保し、なおかつ供出し得るという收穫をあげ得るのでありましたならば、これはやはり供出をしていただく。こういう考え方をもつておるのであります。あまりそこのところをこまかく申しましても、これは事実問題として取扱いができないと思います。
  13. 清澤俊英

    清澤委員 私どもがこういうことを申し上げるのは、われわれは供出を何もいやだというのではない。供出をしたいのであります。しかしその供出に対して責任を負い、過重な租税の負担も黙してやつておる。米價も社会政策的な米價にも從順に承服しようとしておる。今も農政局長が言われる通り政府農民一体となつて、今日の日本のこの窮乏を打開するために、ひとつ骨を折ろうというとき、いろいろ農民には責任規定の中にもたせるが、しかし政府の方におきまするところの——政府という言葉を使わないで、打ちとけた言葉で言いますならば、いわゆる指導者とでも言おうか。その方面では、こういうものを農業計画としてやむを得ないからつくつてもらいたい。こういうものはわれわれは責任をもつてやるのだと言う。これがこない場合にはこの責任はさらに問われない。これはよけいな話かもしれませんが、この間もここで問題になつた報獎物資なども、約束しましたものがほとんど問題にならないような報獎物資が出てくる。あるいは農機具等が渡りました場合にも、はなはだひんしゆくすべき農機具等が渡る。肥料なども始終がたびししてこない。それらの事情はよくわかる。わかるが、しかしこれだけの、双方一体となつてその責任を完遂しようという建前をとるならば、その計画が、自分責任におけるものが、満足にいかなかつた場合には、その方の責任も何とか規定一つくらい入用ではないか。これが根本の私の言い方なら、そのときにひとつ出してもらいたいだけでは問題にならない。それは出しましよう。出しましようが、その代りに初めからわかつておるのだから、それに対してどれだけの報獎はできるぐらいの意思表示が、はつきりしたものが出てこなければ、これは問題でないので、今やつておることが全部それなんです。あるいはこれだけしてやるのだ。報獎物資はこうしてやるのだ。しかしくるのは、みなうそなんです。こちらには罰則責任もみなかかる。おどかしながら罰金刑もありますが、片方が責任を負わないときには罰則も何もない。これは納まらぬ話である。だからそれくらいのことを明確にして出してきてもらわなければ、双方が起上るところの意氣込みというものがくじけるじやないか。こういうのが私のお伺いしておる観点であります。これをはつきりお殘してきたい。こういうことなのであります。しかもこのことは、物資などというものは農林省だけの責任ではないと思います。商工省安本もいろいろ個々責任農林省にもつてつて農民だけたたいても問題にならない。安本商工省も全部責任を負つてやる。よこすだけの物はきちんとよこさなければ、われわれは決して責任をもつてやれないというくらいの強い決心をもつてかかれば、決して農民がひんしゆくするような銘仙などは渡らぬ。初めからちやんとした規格のものをつくれば、農民によい物が渡るに違いない。報獎用にはべらべらしたものをつくつてあとはよいものをつくつて賣るというようなことでは、一体何をしているかわからぬ。農機具にしても、きちんと責任をもつてやらなければ、それつくれ、やれつくれということは言えないのじやないかと思いますから、その点、はつきりしておきたいと思います。
  14. 大島義晴

    大島政府委員 いろいろ御意見伺つたのでありますが、この法の第一のねらいは供出制度改善にあるのであります。從來のような供出制度で、立毛の檢査あるいは檢見をするということで、一生懸命努力してよいものをつくつた者がよけいとられるということで、怠けてよいものをつくらない者がその割合でしか供出しないでよいということでは、全体を通じて増産にならぬのであります。從つて本法七條第四項に示してありますのは、これは條文で御承知の通り事前割当割当てられた供出数量を超えて、政府はどういう事情があろうとも追加供出を命ずることができない。こういうことが非常に大きな影響をもつてくるのであります。從つて麦におきましては八月に事前割当を受ける。米においては一月にいくらという早い事前割当を受けて、今年こそ一俵よけいとろうということで一生懸命努力なさる。その努力に対しまして、いかによいものをつくられても政府追加割当をすることができないというように、政府自身の行動に対して、こういう制肘を加える明文を明確に入れておいたわけであります。しかもその割当が不公平である場合には、さらにまた組合せ等に不平がある場合には、それに対してその訴願の途を開いて、これを是正するの途を講じ、さらにまた病虫害その他の理由によつて減産を來した場合には、供出数量の変更も請求できる、かようにいたしているのでありまして、ただいま報獎物資等についてもいろいろ御意見があつたようでありますが、報獎物資はまた別の方法で私は考えておりますので、たとえば本年度のごときは銘仙というのを全面的に廃止して、これを綿布の原反でやろう。加工するということは、結局途中の業者にのみ利益を與えるから、原反のまま農民の手に渡るようにということで、政府最善努力をいたしておりますので、漸次改善をしていくという考え方をもつているのでありまして、この法律は少くとも精農がいかに努力してつくられても、割当数量を出す以上、それを公然と保有できる。政府は何らの理由を問わず、それに追加供出割当を命ずることができないということを明確にしているのであります。
  15. 清澤俊英

    清澤委員 今大島さんのおつしやつたことは大体わかりますが、もちろん農民努力して、割当てられた数量以上がとれた場合、これをとらないということは、今までの経過から見て非常に結構なことであると思う。私は割当責任を果す過程において、計画の一端として、お前の方はこれだけつくれ、おれの方はこれだけのものを渡すと言つておきながら、物が來ないときはどうだということを聽いておるのであります。大島次官はよくその点を考えてもらわなければかなわない。もうこれで御返答は要りません。だからこの質問はこれで終ります。  その次に永江農林大臣が來ておられぬから大島政務次官に聽きますが、第一年度はこういう方法農業計画を進めていかれることは、これより方法がないと思うが、來年度からは少くともある概数だけを府縣に示すだけで、あとのものは町村中心になつて、その生産計画を立てたものを基本にして割当するという方法が、技術的に、もしくはいろいろの点から考えられる。私はこれこれのものが何々縣においては生産ができるというめやすがついておるのでありまするから、それだけを都道府縣に指定して、あとのものを都道府縣において一應計画を立てて申請する、それを基本にして割当てられないか、こういう意見なのです。
  16. 大島義晴

    大島政府委員 お説のように、割当制度もこの法にも書いてあります通り耕作者の意向を聽いて計画するということにいたしておりますので、この結果はお説のようになろうと思います。なお來年度からの方法としましては、本年すでに部落内にはこれをお願いしておるのでありますが、地方調査あるいは反別確保等最善努力をいたしまして、できるだけ公平に近いものをつくりあげよう、できるだけ農民増産意欲を高める方向にこれをもつていこうということを考えておりますので、その点は何もほかに考えておるわけではないのであります。從つて地方調査あるいは反別確保というようなことを鋭意行いまして、さらに農民意見を聽いて、できるだけ生産努力したい。ただ現下日本食糧事情から申しまして、尊の不急作物を認めるということには一定の限界があるという点は、御了承願いたいと思います。
  17. 清澤俊英

    清澤委員 これでもう質問は終りますが、非常にこの点に私は考え方重要性があると思うのであります。今のままの割当食糧事情の関係上、数十箇年ということもありますまいけれども、続くようなことがありましたならば、日本農業生産は委縮するだけであつて、決して伸び伸びと太らないと思うのであります。農民自身にいたしましても、都道府縣から町村に至りましても、國の食糧が不足しているぐらいのことはわかるのであるから、その食糧わく内において、伸び伸びとした計画を立てさせてみる。その村を中心に……。それくらいの一つ自主性をもたせまするならば、同じ食糧増産をするにも、一つ考え方と方策とが各々のくふうに應じて別なものになりはしないか、こういうことをわれわれは考えるのであります。ただ國でこれだけのものが要るからというので、毎年毎年頭から机上プランでかぶせていつたら、人間というものは太らない。諸君等事情をわかつておるから、みんな間に合うようなものをつくつてくれないか、それをするには米を麦にかえようと、麦を芋にかえようと、あるいは芋を肉にかえようと、乳にかえようと、これでいいのだからひとつ思いきりの計画をやつて、二割でも三割でも増産をやつてみてくれないかという一つ方法を明示する。なお生産がそのわく内で太つていく方法として、下から民主的な趣旨をやつていくことの方法考えられるのではないか、こう私は言うておるのでありますが、これは幾ら議論しても時期があると思いますからこれで質問打切つて、いずれの機会にかもう一度お伺いしたいと思います。主計局長が見えておりませんから、來られましたら質問することにして、私はこれで打切ります。
  18. 大島義晴

    大島政府委員 ただいまのお説は、國の必要量が充される場合にはいいじやないか、こういう御意見のように拜聽しておるのであります。それはその通りです。現にそういうふうに実行いたしております。昨年度の場合においては、反別云々という字句があつたのでありますが、本法においては反返云々という字句を入れておりません。從つて割当られた供出数量が完遂されるということになりますと、ある程度の自由はあるということを御了承願いたいと思うのであります。
  19. 井上良次

    井上委員長 次は的場君。
  20. 的場金右衞門

    的場委員 まずこの食糧確保臨時措置法案の全体を眺めてみますと、私はかような法律がなければ主要食糧確保できないというところを、どうも発見できないのであります。食糧農作物だけで農業というものは成り立つておるのではないのでありまして、農業全体がうまくいかなければ食糧確保も困難であろうと思います。昨年の臨時農業生産調整法にいたしましても、今度のこの法律にいたしましても、常に政府においては、農民を圧迫して強制的に生産をせしめ、強制的に供出をさせよう、押しつけさえすれば百姓は何でもつくるんだ、こういうような根本観念によつてかような法案ができておるように思うのであります。もう少し親切に、農業というものを育成することによつて食糧確保ができるような構想に基く法案が欲しい。もう少し農業というものを親切に育成して、それによつて食糧確保できるような方向へ構想をかえてもらわなければ、現在のようにきつく締めつけさえすれば生産が上り、食糧確保されるという考え方が、根本的に間違つておるのではないか、むしろこういう法律をつくることによつて農民生産意欲が阻害をされまして、非常に反感をもつようになりまして、政府のねらつておる増産とは逆な方向へ行くのではないか、かように考えます。この点もう少し考え直してもらう御意思はないのでありますか。もう少し政府考え直さなければ、今のような考え方では食糧確保はできません。殊に本年は一割増産ということが計画されておりますが、一割増産ではなしに、一割増産ということを盾にとつて、一割増産したはずであるからまた一割よけい出せという、供出の方が先に考えられた一割増産ではないか。一割増産ができるような根本的は施策が行われておらぬではないか。今考えられておるような程度のことでは、はつきりと一割の増産ができるのかどうか。むしろああいう一割増産というような計画農林省がなさることは、百姓はこわがつておる。また一割増産、一割よけい供出を強いられるのではないか。かように増産計画してやれというようなことであると、こわがつておるというのが農民たちの実情であります。この点根本問題でありますから、こういう法律は私どもの考えでは増産確保のための法律のように思えないのであるが、この法律を施行することによつて、どの点が食糧確保になる重要なポイントどあるか、この点をひとつお伺いしたいのであります。
  21. 山添利作

    山添政府委員 この法律の意図しまするところは、的場委員が言われますところと同じ観点に立つております。といいますのは、要するに供出というものが、現在の食糧事情のもとにおいて、必要だということは何人も異論がない。その供出が非常な農家の負担であり、義務であるということもまた異論がないのであります。そういう國全体、また供出農家の負担であるという事実に立脚して、その供出というものを合理化し、かつその供出の義務の限界をつけて、そうして農民を解放しよう。解放しようというと言葉が大きいのでありますが、負担を公平にし、限度をつけることによつて農民増産意欲を解放しようというのがこの骨子であります。こういう制度がありますから、供出制度というものはいずれにしてもある。それを今までのような收穫を見ての割当にするか、事前割当にするか、これだけの違いであります。私どもは事前割当をすることによつて、提案理由の説明にありました、國として合理的に期待し得るところの一定数量確保する。それから農民諸君供出の義務に一定の限界を置いて、それ以上強制的な意味における超過供出がないということによつて増産意欲を高揚する。それから負担の公平をはかる。この三つのことを解決していきたい。そのことによつて的場委員の言われるように、今の供出制度を合理的なものにするということが結局増産の基礎要件でありますから、それを達成しようという考えにほかならないのであります。われわれはもとより農民諸君を圧迫しようなどという考えはもつておりません。なるほど供出がおおいかぶさつておるという、客観的にそういう事態があることはもちろんでありますけれども、その圧迫を緩和した形にしたいというのがわれわれの考えなのであります。一割増産の結果増産したことによつて將來の供出もまた基準が殖えはしないか。これはもつともらしい心配でありますが、われわれはそういう考えをもつていない。これは平年作をあくまでも基準とする。將來も本年事前割当をいたしました数字を基礎にして、今後数字の基礎において多少違うところがあれば、それを合理的に直していくという程度にしたいのでありまして、これは年々の豊凶によつて事前割当数量を殖やしたり減らしたりするというような考えはもつておりません。こういうことをすれば事前割当の目的は達せられないのであります。そういう考えでありまして心持が一致しております。ただ出ずる方途についておのずから限界を置くことにしておるということになるのではないかと思うのであります。
  22. 的場金右衞門

    的場委員 事前割当の問題について少しお伺いするのでありますが、私どもは事前割当、まだできる前から割当をするということは、今大島次官の説明にもありましたように、これだけを供出しろといつて命令的な事前割当をするということは、それ以上生産することに努力をするから生産が増加されるのだ、増産になるのだ、こういうような話でありますけれども、わが國のような災害の多い地方で、事前割当ということは意味をなさないと思うのであります。必ず異議申立があり、それがまた調査をしなければならない。縣の計画に支障があれば知事の承認を得なければならない。知事の承認を得るためには、知事が調査をせしめなければならないといつたような煩雜な手数がかかりまして、法に規定してあります四十日ぐらいではこのけりはつかないと思う。かように煩雜なことを繰返して事前割当をするということになりますと、遂に少々被害があつてできが惡くても、これはもう知事は承認をしない。知事が承認をしなければやむを得ない。災害があつたけれども事前割当通りできなかつたもの、出せないものを出せというような、子供の言うようなことに結果はなる。ないものを出せ、そういうことになると、出せない、出せ、こういうことになつて、正直な農民たちは、現在でも芋が足りなければ、高いやみ價格で芋を買つて供出をしておる。米をやみ價格で買つて供出をしておる百姓が多数ある。さような結果になりまして、今局長の言われるように圧迫を緩和するための法律にはならない。必ず圧迫を強化して無理を強いることになつて、その弊害が非常に多いと思う。ですから私どもは、事前割当というものは理屈はよいけれども、結果においては百姓を泣かせる法律である。かように考えるのであります。さような場合のことはいかなる取扱いをされるのか、私どもの考えでは、その法律に書いてある通りの煩雜な方法では、とうてい知事は承認できない結果になり、遂にいかなる無理をしてでも事前割当責任を果さなければならない。これは百姓が好んで少くつくつたのではない場合が多いのである。雨とか風とか、あるいはこの前のようなひよう害とか、いろいろな災害がわが國は多いのでありまして、この災害の場合の処置がこの法律ではできぬと思うのでありますが、どういうふうにしてさばいていかれるのか、その辺のところを詳しく納得のいくように御説明願いたいのであります。
  23. 山添利作

    山添政府委員 まず農家の側からいきますと、災害がありました都度、第八條第二項でありますが、この事柄を届出ておく、この事柄は農業共済保險の場合にも同様でありまして、一体をなしておるわけであります。雨、風、水害、その他災害があればその都度届けをしておく、それから地方長官が定めます一定の時期、すなわち收穫時にこれこれ減收であつたから供出はこれこれしかできない、こういう請求をする。一方村の方ではその災害の事実、並びに收穫時においていくら減收を來したかということ、それから一定の限度以上の災害でありますと、これを市町村だけで扱うわけにはいかないので、市町村長は知事の承認とか、知事は政府承認を得るというように書いてございますが、國の方といたしましては、あらかじめそれらの災害食糧事務所等を通じて調査をしておく。そこで各府縣においては、この程度の災害があるということを見極めておきまして、これを知事に通達しておく。同時にそれは村別になつておりますので、村の方にも通達をしておく。そこでその範囲において、市町村長供出数量補正をいたす。もつとも國でそういうように調査をしておきますのはやや時期が早めになりますので、國の調査以後における災害がございます。これらのものについては、現地における國の機関の確認によつて処理をすることにいたしたい考えであります。
  24. 的場金右衞門

    的場委員 どうも私ども、そういうことでそれがうまくいくとは思われないのでありますけれども、これは見解が違うからその点の質問はこの程度で保留をしておきますが、農業計画の中で、肥料、農藥、農器具の配給数量については、行政廳においてその計画を定められる、これはわかりますが、農業計画で一番大事なのは農業資金であると思うのであります。この法律ではその資金の面については、何らの考慮が拂われておりません。現在いろいろな農器具なり、肥料なりの配給がありますが、肥料なり、農器具、農藥があまりに高價のために、百姓は金がなくて買えない。買えなかつた場合に肥料は施されない。さような結果になるのでありますが、さような場合においての資金の面に、この法律では何らの考慮が拂われておらない、これはどういうわけか。また別に何か考慮されておるのか、その点を伺いたい。
  25. 山添利作

    山添政府委員 資金が要ることは当然でありまして、米價のスライド制ということができません限りは、今後一層本年のようなことが起る可能性があるわけであります。その対策といたしましては、御承知のように農業資材につきましては、農業手形制度をもつて供給をいたしていく。現在は農業手形の制度は、今年始めたばかりでありますのと、その主体が農業会等でありますために、非常に複雜であります。協同組合になりますと、手続と附属書類とは非常に簡單になりますから、これによつて生産資金は円滑にまいると思います。しかしそれだけではおそらく十分でないというような事態もあろうと思います。これらについてはきわめて短期の、当面の資金ということについては、系統組織の中において工面をする。またやや長期にわたるものについては、これからもやはり農業生産をあげていく面に非常に大きな関係をもつており、また毎年蓄積される資金も、やや長期に投入される場合もあるのでありますから、そういう長期資金も、やはり農業金融全体には相当考えをいたさなければならぬ、それについては、御承知のように特殊の政府金融を考えておる、こういうわけでありまして、この点については十分注意を拂つております。また今後の施設すべき点が資金については相当ありますので、必要なことは着々これを実現いたすように努力していきたいと考えております。
  26. 的場金右衞門

    的場委員 この法律できめてあります雜穀というのは何を意味しておるか。
  27. 片柳眞吉

    ○片柳政府委員 雜穀というのはいわゆる狹義の雜穀以外にだいず、豆類等があります。
  28. 的場金右衞門

    的場委員 豆類だけですか。雜穀の種目を明示できないのですか。
  29. 片柳眞吉

    ○片柳政府委員 その雜穀の意味は食糧管理法できめております雜穀の定義がありまして、その範囲内であります。
  30. 的場金右衞門

    的場委員 それが何かということを聽いておる。
  31. 片柳眞吉

    ○片柳政府委員 本件は昭和二十二年の農林省告示で指定になつておりまして、この告示の第六号に書いてございます。すなわちだいず、あずき、えんどう、なたまめ、そらまめ、ささげ、緑豆、そば、燕麦、大麦、あわ、ひえ、きび、もろこし、とうもろこし、落花生以上であります。
  32. 的場金右衞門

    的場委員 そういう小さな百姓が少しばかり一畝とか半畝とかつくるようなものがはいつておるようでありますが、つくらないものもあるようですが、そういうものまで窮屈にこんな法律規定しなければならない理由がどこにあるか。
  33. 片柳眞吉

    ○片柳政府委員 その点は主要食糧として充当するものにつきましては総合いたしまして、ただまいの雜穀等は概して供出には出ていないのでありますが、主要食糧として四合保有を計算する場合におきましては、数量はわずかでも、やはり全体の計算の中に入れておきませんとバランスを失するというわけであります。ここに雜穀と書いてありましても、ただちにこれが雜穀として供出されるということにはならないのであります。なる場合もあります。そういう計算の際を考えてさようにいたしてあるのであります。
  34. 的場金右衞門

    的場委員 農業計画がなされるにあたつて、國の方で府縣割当て、府縣市町村計画をしてやつておる。それからその市町村個々の一人々々の百姓の農業計画というものは村の役場で立てられる。文章ではそういうことはできますが、実際、各府縣農業計画は國が最善計画を立てられるものであるし、かりにそれがりつぱな最善農業計画が樹立できたとして、縣か市町村の全体の農業計画というものを樹立する、その市町村個々の一人一人の百姓の農業計画を立てる、かようなことは文章ではできるけれども、実際には私はできないと見込んでいるのであるが、農林省としてはこれはできる自信があられるのかどうか。今日米麦の供出量割当については、個人にずつと割当をしなければならぬはずでありますが、町村によつては一人々々にいくら出せという個人割当ができかねている状態である。ただ供出数量割当てることでさえが困難を感じておる。それに個々農業生産計画というものが村の役場で樹立できるかどうかというところに、私ども非常な疑問をもつものであります。ただ機械的に反別いわゆる田畑の面積を考慮して、これに作物の種類に應じて按分をして、面積をきめるというようなことが農業計画と思つたら、それは大きな間違いであります。農村の農業生産の要素は土地の面積だけではございません。その家族の数なり、家畜の数なり附近の山野の状態なり、すべて農業生産の要素に加えて考えなければならぬのでありまして、同じ面積を保有している農家でも、家族の労力に違いがあり、家畜の飼育頭数に差異があり、あるいは家畜の種類に相違があることによつてその計画は異らなければならない。同一の定規にははまらないのでありますが、さような点を、いかなる方法市町村は各個人の農業計画を立てるのでありましようか、その辺のところをもう少し詳細に説明を聽かなければ、私ども納得ができぬのであります。私の考えでは、個人別の農業計画がかりにできても、それは空文であつて、実際の生きた農産物の生産計画になり得ない、かように考えているのでありますが、その点御説明を願います。
  35. 山添利作

    山添政府委員 個々農家もしくは村等の理想的な、完全な合理的な各作物にわたるところの農業計画を立てるという意味ではないのであります。なるほど農業計画というと、そういう的場さんのおつしやるようなことまで考えるのが農業計画と言うのでしようが、この法律における農業計画は、第二條第二項にあげている通りでありまして、結局主要食糧生産数量、その供出数量を定める、それに即應した肥料、農器具等の配給をする、こういうことであります。その主要食糧生産並びに供出数量を定めるについては、農家の諸般の事情を考慮して適当に定めるという意味であります。
  36. 的場金右衞門

    的場委員 主要食糧の中に雜穀がはいつているのであり、しかもその雜穀が今局長の言われるような非常に廣般なものであるとすれば、私が今申し上げるような綿密な、その農家々々の個々生産要素に適用する、ぬかりのない農業計画を樹立するのでなければ、生産数量割当供出数量割当というものがただ架空な割当であつて、実際米がいくらでき、あわがいくらできるということを予想して的確な生産数量供出数涼を割当てるということにはならないのであります。そうなりますると、できるかできないか知れないようなものを官廳が割当てて、まだ作付もしないうちに供出割当をして、これだけ出せというようなことを強要するということは、これはただ百姓に脅威を與えるだけであつて、今説明があるような結果にならないように考えるのですから、計画というものが、ただ主要作物の生産数量供出数量割当てるのだといつたような生産計画ならば意味をなさぬのでないか、かように考える。ですから今こんな不要な法律で百姓をいぢめるようなかつこうをしないで、もつと親切な、もつと百姓が喜ぶような方法増産ができ、供出ができるようなことをくふうなさつた方がよかろう、私はかように考えるのであります。
  37. 山添利作

    山添政府委員 雜穀等は結局主要食糧の米などの代替として認めておるのであります。個々の雜穀をいくらいくらつくる、こういうことを言つておるのではありません。その雜穀も含めていわゆる主要食糧農家経営の中にどの程度生産し、供出してもらうか、すなわち全体の個々農家農業生産の中で、どの程度主要食糧生産をしてもらうか、こういうことをきめるのでありまして、その事柄を全体の農家経営の中で合理的な範囲にきめる、こういうわけなんであります。その事柄が結局全体の農家経営を合理的に発展さしていくゆえんだ、こういう考えであります。
  38. 的場金右衞門

    的場委員 どうもその保有量の中に雜穀が考慮されるので、雜穀を入れなければならぬとすれば、米と雜穀とは同じ重みをもつて考えなければ、この農業計画はむしろ非常に百姓にとつては惡い結果になるのです。保有量の中に雜穀を入れて、保有の方は雜穀で賄つたあと、米とか麦とかいうもので保有をせしめるということになれば、雜穀の方が百姓にとつては米よりも重大な影響があるということになるのですから、雜穀をかりそめにできない、大事にしなければならぬ、米同様あるいはそれ以上重視しなければならない結果になるのでありますから、今私が申し上げる、すべての小さな面積の雜穀まで計画が立たなければ、その結果は空文に終つてしまう、計画でない計画だということにしかならないと思うのであります。それから農家の保有量のことについて少し伺つておきたいのでありますが、今農林省では農家の保有米四合というものはこれで差支えないとお考えになつておるのでありますか。これは地方によつて違うでしようけれども、私どもは農作業の重労働を、しかも時間に制限なしに働いております百姓たちが、四合ではとうてい仕事はできない、間に合わないと考えておるのでありますが、その点は農林省としてはどんなにお考えになつておるのでありますか。農家は今世間が明るくなる前に野良に出て働き、晩は暗くなるまでやりますから、九州あたりでは九時まで野良におる。朝、夜の明けないうちから出て、夜九時まで野良に働いて、家へ帰りますとうまやのことやその他のことで、しばらくはまた家においてあすの準備をしたり、馬を養つたりしなければならぬ。すると十一時ごろまでかかる。また明くる日は夜の明けないうちに出ていくというあの重労働を、わずか四合の保有米で賄つていけるとお考えになつておるのでありますか、どうですか。またこれではどうも困るだろう、それでは今度四合を少し殖やそうというようなお氣持ちはないのでありますか。この点をお伺いしておきます。
  39. 片柳眞吉

    ○片柳政府委員 農家の保有量の四合の点についての御質問でありまするが、実はこの四合と決定いたしました経過なりをまず御説明したいと思います。もちろんこれはいろいろな調査がございまするけれども、しかし農家の実際の消費量を正確に調べたものはございません。ただ私の方で便宜米の生産費の調査農家につきまして実際上どの程度の主食を消費しておるかというような調査がございますので、それによりますると、もちろん地方によつてある程度の相違があるようでありまして、平均四合以上のところも相当ございまするが、まずまずこの四合ということでありますれば——もちろんこれは十分でないと私は思うのでありますが、消費者との均衡等も考慮しますれば、ます現在では四合ということでいかざるを得ないという結論に到達をいたしたわけであります。もちろんわれわれはこれで十分とは考えておらないのであります。その点は若干ではありまするが、四合保有以外に、ある程度の労務加配も考えていきたいというような考えをもつておりまする点からも、四合だけでは苦しいということがここに現われておるのでありまして、今後この点につきましては、さらに全体の需給とも関連いたしまして、考慮していきたいと思つております。ただ問題は四合保有だけを殖やすだけでは、私は問題の解決はできないと思うのであります。四合はあくまで人間の口にはいりまする食糧という意味の四合でありまして、問題はそれ以外に牛馬等の飼料の保有は別計算になつておるという関係になつておりまして、從つて四合それ自身の檢討問題もあろうと思いますが、それ以外に農畜の飼料用の保有についてもさらに檢討いたしまして、総合して農家の経営に支障のない程度をきめるということが適当と思うのであります。四合それ自身についても檢討していきたいと思つておりますが、それ以外に飼料用等の保有につきましても、これはわずかな数量しか認めておらぬのであります。しかしこれはあくまで國全体の食糧の需給計画の一環として、これを考えなければならぬと思うのであります。結論といたしましては、四合で十分であると私は考えております。
  40. 井上良次

    井上委員長 ちよつと的場君に御注意申し上げますが、さいぜん清澤君が質問を保留して、主計局長が予算委員会に出なければならぬのをわざわざ呼んできておりますから、そのおつもりで簡單に願います。
  41. 的場金右衞門

    的場委員 私はこの供出の問題について、一番根本をなすものは二つあると思います。その一つは、今お尋ねをいたしました保有の問題であります。百姓がみずからつくつたものをみずから食わずに納める。その保有を必要量認めないというところに供出に難点があるのであります。これは農村の実情を少し知つておる人ならばよくわかると思いますが、どうしてこのような労働基準法の適用も受けない、みずから進んで夜遅くまで働く百姓たちに、彼らがみずからつくつたものを食うだけ保有を認めないのか。そんな殘酷なことをして供出を強いても、供出の成績はよくなりません。その次は第二の問題としては、私は價格の問題だと思うのであります。農産物の適正な價格が決定をいたしますれば、あるだけのものはこんな窮屈な法律なんかつくらなくたつて供出するのであります。自由経済のときでも自分で使つたあとは賣つた、それと同じであります。けれども農家生産する農作物だけは、非常な低廉な犠牲的な價格に抑えつけて供出をせよという。そのつくつたものを賣つてつておる家畜なり、家族なりの食糧を供給せずして、供出をせよという。この二つの無理が供出を困難ならしめ、農民たちをいぢめる結果になつておるのでありますが、この價格問題と保有の面とについて、もう少し考え直す御意思はないのであるか。價格の面等についても一應お答えを願いたいと思います。これで満足されておるのでありますか。私どもは價格を是正することと、必要量だけ保有せしめることと、その二点を解決せずして、法律増産供出を強要しても、その結果はよくないということを考えるものであります。この二つの点をもう少し明確にお答えを願いたいと思います。
  42. 山添利作

    山添政府委員 保有量の点について私からお答えいたします。保有の点については先ほどお答えいたしましたように、もちろんこれで十二分であるとは私も考えておりませんが、ただ國全体の需給関係を頭におきまして、やはりこの問題は考慮しなければならぬと思います。ただ戰爭中の農家保有量は、御承知のように大体三合程度でありましたものを、今回一昨年以來これを相当大幅に引上げまして、四合ということにいたしたわけであります。この点は戰爭中よりもよほど殖やしておるような状態であります。ただ問題は四合それ自身だけで問題が解決できないと私は思うのでありまして、その他飼料用、種子用その他のものと併せて考慮すべきであると思うのであります。ただ全体の需給関係と関連いたしまして、この問題は解決するよりほかはないと思います。
  43. 的場金右衞門

    的場委員 もう一つそれに関連してお尋ねいたします。條文をちよつと忘れましたけれども、供出に対して異議があつた場合に、十日以内でしたか、異議があつたら、それを取上げて是正をするということになつておるのだが、その場合異議があつても、政府の買上げる数量は変更しないで買上げることにするといつたような條文があるようでありますが、この場合にやはり保有量の問題は、確実に認めてあとを買上げるということに、はつきりこの法律規定する必要はないのでありますか、その点をお尋ねいたします。
  44. 山添利作

    山添政府委員 これは供出そのものが生産数量から保有量を差引いたものを供出と見ておるのであります。その供出数量ができない場合には異議申立ができるのでありまして、そこに保有量は当然保有せしめる。こういう趣旨がでておるのであります。從つてその事柄は法律の趣旨として、そもそも供出量がきまるというのは、生産数量から自家保有量を差引いたものであるというところに趣旨がでておるわけであります。
  45. 井上良次

    井上委員長 的場さん、もうその程度にしておいていただきたい。
  46. 的場金右衞門

    的場委員 まだこのことがわからないから聽いておるのです。
  47. 井上良次

    井上委員長 それは後にしてください。清澤君に質問を許します。     〔発言する者多し〕
  48. 清澤俊英

    清澤委員 それではほんの一分間ばかりですから……。  主計局長にお伺いいたします。ただいま私どもが必死で審議しておりますこの食糧確保臨時措置法、これを実施いたしまする経費として八億九千四百二十四万九千余円、約九億円足らずの予算が見積つてあるのでありまするが、この予算がどういうところからでてくるのか、その予算の出場所をひとつお伺いしたいのであります。それが第一点であります。
  49. 福田赳夫

    ○福田政府委員 本法施行に伴いまして必要とする経費は八億以上でありまして、これはただいまお話の通りでありまするが、これの出場所につきましては、ただいまのところでは、食糧管理特別会計より支弁いたすということにいたしまして、さようなことで予算は編成しております。しかしながらこれにつきましては、予算を提出した後におきまして、関係方面との話合い等におきましてまだ多少おちつかないところがあるのであります。ただいまのところでは食糧管理特別会計から支弁するというふうにいたしておりまするが、これは今後あるいはその方式が変更される場合があり得るかもしれぬということをお含みおき願いたいと思うのであります。その際におきましては、またあらためて御審議を何らかの形においてお願いする、かようなことに相なるかと思います。
  50. 清澤俊英

    清澤委員 この法案が通つてから食糧管理法の特別会計の方からお出しになる考えだ。こういうお答えであつたと思いまするが、食管法の特別会計で出されるとしまするならば、食管の特別会計の中に食糧確保臨時措置法のこの経費を出してよろしいということになつておるでしようか。食管法をかえなければ、この金は出ないことになるのじやないかと思うので、そういうお考えであれば、食管法の一部を改正する法律案というものが一緒に出なければならないと考えまするが、その点はどういうことになりますか。
  51. 福田赳夫

    ○福田政府委員 その問題は、御提議の問題があるわけでありまして、これはまだはつきり関係各方面との話がついておらないのでありまするが、場合によりますると、この食管会計の方の改正を要するというふうに相なろうかと思うのであります。もしこれが、さような解釈をとつた場合に、本國会に提案というようなことにならぬときにおきましては、予算上食管から支出するということができないようなことになるかもしれません。しかしながら、ただいまさような法の改正を要するかどうかという点につきましても、農林、大藏その他関係方面で相談をしておる段階であります。そような事態になりました際におきましては、あるいは一般会計の予備金で支弁いたしますとか何とかいうようなことに相なるかもしれぬと存じております。まだこの問題はどうも終局的におちついておらぬということを御承知を願いたいと思います。
  52. 清澤俊英

    清澤委員 今までもそうでありますが、これほど重要な法案を施行まて、日本の全食糧確保していくというのに、その経費がまだ出場所がきまらない。しかもそれが今いろいろ交渉中だ、こういうようなことでかりにもう麦の割当が、今の答弁では八月せられるというが、もうすぐその事前から、いろいろ地域の調査であるとか、面積の問題であるとか、その他諸般の問題は、今からでも手を着けて活動しなければならぬものが、金は一文もなくてしろ、米は全部出してしまえということでは、断じて完全な食糧増産はできないと考えまするので、そういう氣の長いことを言わないで、もし管理法でもつて特別会計で賄うことが非常に遅れるというような場合は、今言われる通り、一般会計の予備金で出すなら出すと、腹をきめた御返答をきちんとしておいていただきたいと思うのでありまするが、そういうことは言わけないことになりますかどうか。私は少くともここで、こういう場合になつたらこう、こういう場合になつたらこうと、少くとも一般会計の予備金から出すから御心配は要りませんというくらいの、財政上の腹を割つた御明言を主計局長からひとつ欲しいのであります。それでなかつたらこの法案を出してみても、動きはつかない。しかもこの予算それ自身に対しては、後ほど食糧管理局長並びに農政局長質問だけはしたいと思いまするが、絶対足らないのであります。それだけのものを出してどうするのか、腹のはつきりしたところをひとつ聽かしておいていただきたい。
  53. 福田赳夫

    ○福田政府委員 ただいま申し上げました通り、この問題は関係各方面のお話がついておらぬということは、まことに遺憾に存じます。しかしながらこの法の施行に伴う経費は、何らかの方法によりまして支弁いたすということを、これは御質問に対しましてはつきりとお答え申し上げます。
  54. 清澤俊英

    清澤委員 これ以上追究してみても、もうどうにもならぬと思いますが、とにかく今もここで言われる通り、現在はやすでにぐんぐんやつているのです。それだのに金は一文もなくてできない。まだ金の出場所がどこだかわからぬ。こういうことでは問題になりませんから、一ときも早く何とかしてもらわなければならぬと思いますことと、もしこれをかりに食管が賄うとしますならば、食管はその財源をどこから出すのでありますか、その財源の出場所をひとつ伺いたい。
  55. 山添利作

    山添政府委員 この経費は、六月までの暫定予算は一般会計で出ておる。それから先は今のように食管特別会計の負担にしたい。その場所にはこれを食糧管理に要する経費といたしまして、食糧管理に要する経費はまだ買上價格と賣渡價格の差額で大体賄う、こういう建前になつておるのであります。
  56. 清澤俊英

    清澤委員 主計局長に対する質問はこれで終れます。  それからもう一つお尋ねいたしますが、このプリントで渡されました予算を見ますると、約九億円はなるほど見積つてありますが、ほとんど委員手当、書記給與、事務費、こういうようなもので、調査費であるとか、地方に参りましての会議費もなければ、旅費も見積つていない。こういう重要なものがほとんど見積つてない。この予算でやれということは、きのうも農政局長質問しましたときに、これは國の供出だから、当然國が全額をもつのは当り前だ、しかし予算の技術上補助という名前にしておくけれども、実際は全額をもつのだという。これでは全額をもつていないということがきつきりしておるのですが、これらに対して不足が出たときには、追加予算でもつて、その不足分を補助していただくという御計算で立てておるのであるか、ひとつお伺いしたいと思います。
  57. 山添利作

    山添政府委員 本年度の予算においてさらに増額するという考えはもつておりません。大体この前に申しましたように、從來市町村に交付いたしておりました経費は、わずかに一町村一千円というようなことでありました。それを今回こういうような増額をいたして、大体これをもつてつてもらいたいと考えております。
  58. 清澤俊英

    清澤委員 的場さんから何か御質問があるそうですから、私はこれで打ち切ります。
  59. 井上良次

    井上委員長 ちよつと皆樣にお諮りいたしますが、昨日も理事会を開きました結果、ごらんのように各委員会が毎日開かれておりまして、速記がとても足らないので、現に予算委員会など速記なしで開かれないようなわけであります。そういう関係でありますから、できるだけ各人速記者の來たときに重要な問題について各党代表的にやつていただくということになつておるのであります。委員長といたしましては、できるだけ皆樣の発言を重要視して、議論をしたいただきたいと考えておりますけれども、そういう特殊事情をよく御考慮願いまして、どの委員会もきわめて大事でありますからぜひひとつその点をお含みの上でやつていただきたい。大体一人あたり三十分見当でおやり願いたい、こういうことを昨日から申しておるのであつて的場さんはすでに一時間やりましたから、委員長そういう点について御注意申し上げたのですが、その点は御了承願いたいと思います。まだありますか——簡單に願います。
  60. 的場金右衞門

    的場委員 さつきお尋ねしました價格に対する関係の御答弁もないようでありますから、これをもう一ぺん大臣も來られましたからお尋ねいたしておきたいと思います。私どもは先ほど來いろいろとお尋ねをいたしまして、大体政府のお考えはわかつたのですが、まだ十分合点がいきません。私どもはほんとうを言うと、こういう法律で百姓をいじめなくても、もつと百姓が自発的に増産をし、供出をするような方途を講ずる必要があるのではないかと考えて、いろいろお尋ねしたのであります。これは政府の要求する供出を完全にさせようというのがねらいであるというお話でありますが、供出を完全にやらせるには、百姓が自家で使つております保有量、家畜の飼料等を必要量だけ認めるということ、もう一つは適正なる農産物の價格を決定しなければ、べらぼうに安い價格で供出を強いては供出が困難ではないか、この二つの点を根本的に改革しなければ、法律増産を抑えつけて奪いとろうとする構想は、これは全國の農民たちが納得しないだろう。だからこの自家保有、家畜飼料というものについて、もう少し親切な考え方をなさるお考えはないかどうかということが一つ。第二は價格の面においてもう少し他の物價と均衡のとれる——生産費を償つて他の物價と均弁のとれる適正價格に農産物の價格を是正する御意思はないのか、この二つが解決しなければ増産供出もできかねるということを私ども考えるのでありまして、この点について先ほど來お尋ねをいたしておりますが、明確な御答弁がないのでありまして、ひとつ大臣に御答弁を願いたいと思います。殊にこの法律の第八條四項に「第一項の請求は、食糧管理法第三條第一項の規定による賣渡命令の効力を停止しない。」とあります。そうすると賣渡の命令を停止しないのであるから、あつてもなくてもとられてしもうというような結果になるのではないか、この点をさつきお尋ねしたのであります。だからここには自家保有については何か確保せしむるという意思表示の文句がなければ納得できないのではないかと考えておるのであります。この二つの点をお尋ねいたしたいと思います。
  61. 永江一夫

    永江國務大臣 第一点のお尋ねにつきましては、先ほど政府委員からもお答えをしたと思いますが、自家保有の量をこれ以上増加せしめるということは、今日の全國的な配給事情から申しまして困難であろうと存じます。ただ飼料等につきましてはできるだけこれを増加するように政府としては努力するつもりであります。  第二の点の價格の点でありますが、これもたびたび御議論がありましたところでありまして、私どもといたしましては、やはり本年度もパリテイ計算による方途によつて米價決定してまいりたいと考えております。しかしながらその内容におきますいろいろな品種、いろいろなウエイトについては十分合理化してまいりたい。今お尋ねの賣渡命令の効力を停止しないと法文で明示しておりまして、これはやはりこの法文をこのまま御了承願いたいと思います。その点についてはいろいろ生産農民の側において供出についての異議については、なお相当期間の間、異議申立てが認められておるわけでありますから、その間に合理的に解決ができると考えております。
  62. 井上良次

    井上委員長 重富君。
  63. 重富卓

    ○重富委員 私は二十四日に農林大臣に対しましてお尋ねいたしましたことについて、速記がありませんでしたので、速記のあるこの際にあらためてもう一度お伺いしたいと思います。  二十三年産主要食糧供出実施要領の前書きに、臨時主要食糧生産供出加工措置法の趣旨に準じ云々とあつたのでありますが、どうした理由でかようなことがされたのかということを本会議でお尋ねいたしましたときに、調査の上で答えるというお答えでありましたから、私の方からこの際特にそれに関する証拠を出しませんでもおわかりのことと思いますので、御返事をいただきたい、かように申しましたのに対して、大臣は案という字が漏れたのである、これは誤りであるというふうに申されたのであります。その通りであるかどうか、この際もう一度お伺いしておきます。  また各府縣から要求いたしました還元米の五百万石の府縣別内訳と、百六十万石の還元された府縣別内訳の表をお示し願いたいと申したのに対して、必要であれば示すということでございましたが、ぜひさようにお願いいたしたい。その理由は昨日永井委員からも説明がありました通りでありますので、速やかにこの表をお示し願いたいと思います。  次に政府が眞実に把握して、政府の意図通りに動かし得ましたところの米の量はいくらであるか、これをお尋ねいたしたのであります。本年でも三千六十二万石出たと言われておりますが、その中で百六十万石は還元されておりますので、三千九百二万石より以上は政府の意図通りには動いていないと思われるのであります。そのほかにうわさによりますと、凍結米の三百五十万石もふたを開けてみましたならば、その通りはなかつたといううわさもある。この眞実のほどは知りませんが、そのようなこともあり得るのではないかと思われる節が多々あるのであります。と申しますのは、俗に名目供出と申しまして、配給の前借りをして供出したものや、から供出したものがあるというような事態もありますし、また食糧事務所の出庫指令をも拒否しておるという事実もありますから、こうした事実から想像いたしますときには、あるいはそうした凍結米のふたを開けてみたところが、なかつたというようなこともあり得るのだと考えられます。そこで政府考え通りに動かした米がいくらであるかということにつきましては、よほど私どもとしては懸念いたすのであります。この点をはつきりとお伺いいたしたいと思うのであります。そこで政府がほんとうに何ほどのものを動かしたかということをはつきりお尋ねいたします。  以上お尋ねいたしましたことは、先日速記がなかつたので、今日またあらためてお伺いするわけであります。
  64. 永江一夫

    永江國務大臣 第一の点につきましては、先般もお答えいたしました通りに「法」の次に「案」という字を、印刷で落しておりましたので、この点はまことに恐縮をしておる次第であります。その際にも申し上げましたように、この法の大体ねらつております方向というものは、第一回の國会に提出いたしました法につきましては、國会で一應審議未了に終つておりますけれども、その審議未了になりました際に、國会におきまして皆さんからいろいろ御意見がありましたものを、十分に参酌をいたしまして本法案が提出されたのであります。從つてその法案の趣旨に準じて行いたい、こういう意味をこれに盛つたわけであります。  それから第二の本年の還元米についての内容を知らせろ、五百万石くらいの還元米要求に対して、政府府縣割当てたその数について、数字的に示せという御要求でありますが、この点も昨日一應お断りを申しておりますように、その数字の発表によりまして、府縣においていろいろな事情がありまして、そこにデリケートな問題が起きることについては、私どもできるだけこれを避けたい、こう考えておるのでありますが、もしこの委員会におきまして、百六十万石の各府縣別に還元をした内容を発表せよという御要求が御決議になりますれば、私どもとしては発表をいたすつもりでおります。  第三の点は、実際供出というものは、数字の上に表われておるものと違うという御趣旨でありますが、この点は私どももいろいろな方面から聞いておるのであります。しかし政府といたしましては、一應地方の官廳の手を通じまして、政府に報告されましたところを信じておるのであります。もし今後凍結米の操作その他におきまして、そこに実際と数字の上で開きが生じましたときには、政府としてはこれに適当なる処置をいたしたい。こう考えておるわけでありまして、一應政府が発表いたしました三千五十五万石は、その数字通り供出をされたものと私は信じておるわけであります。
  65. 重富卓

    ○重富委員 ただいまの御答弁の中で表を示していただきたいということについて、大臣の方としては百六十万石に重きを置いておられるようでありますが、今日ここに提案されておりますところの法案を審議いたしますために必要なのは五百万石の方であります。五百万石だけは、ぜひお示しを願いたい。初めから私の方は五百万石を申しておるのであります。永井委員のもやはりそれなんであります。それで百六十万石の方はしいてとは私申しておりません。(「両方やれ」と呼ぶ者あり)両方とも皆さんの御意見によつてお願いいたします。それから凍結米その他のことにつきましても、各食糧事務所で出庫指令を拒否された例がたくさんありますので、そういつた例はすでにわかつておると思いますから、はつきりお答えを願いたいと思います。今日でなくても結構であります。
  66. 八木一郎

    ○八木委員 重富委員質問の第一点は、憲法の第七十三條により政府法律を誠実に施行しているか否かという点について、もう少しつつこんだ審査を要すると思うのであります。昨日委員長は二件をあげまして、政府に勧告いたしております。すなわち第一点は、今の重富委員の言われた、法がないのに、法がすでに施行されておるごとき通牒を発した事実を、單に案の一字が活字から落ちたというようなことでは看過できない。第二は農業協同組合法の改正について、すでに改正されたかのごとき行政の行使に移つておる、その事実を究明しなければならない。(「関連していない」と呼ぶ者あり)憲法第七十三條の一項により、法律政府が誠実に執行していないという事実を指摘されていることについては、関連があるから質問を継続するのであります。農業協同組合の問題は五月の十四日附をもつて、各府縣に向つて、連合会の設立は法が改正をしたから待てという電報を発したと聞いておりますが、その事実があるかどうか。五月の十九日に……(「農業協同組合は別にやつてくれ」と呼ぶ者あり)この二つの事実の審査をいたす必要がありますから、この際政府においてその事実ありや、この点をお伺いいたします。
  67. 永江一夫

    永江國務大臣 ただいまのお尋ねの点につきまして、二点とも事実そういう処置をいたしております。それについては昨日委員長から政府に対して御警告がございまして、この点は調査をいたしております。
  68. 八木一郎

    ○八木委員 質問の内容は、委員長の昨日の警告と、本日の重富委員質問された第一点と併を考えまして、私は法律を誠実に執行せざる事実であるということに結論を断定いたしまして、関連質問を終ります。
  69. 平工喜市

    ○平工委員 昨日溝淵委員から質問がありまして、それに対する大臣の御答弁が、どうも要点をはずれておるというのか、あるいは漆塗りの盆に水をぶつかけてはね返されるというのか、何も効き目がなかつたのであります。八木委員質問や、それから重富委員質問に対しても、どうも私ども大臣の答弁が氣に食わぬ。私どもは個人的には二重にも三重にも信頼しておりますけれども、社会党から出た大臣であるけれども、一年に三遍もかわつて、その三度目の大臣の日本農民運動の長老溝淵君の質問に対する答弁が、何ら納得のできない答弁をされたから、この問題については、今でなくても、明日でもよろしいから、相談しておいて、はつきりと納得のできる答弁をしていただきたい。與党のうちでも特に労働運動の長老たる大臣が、農民運動の長老たる溝淵委員質問に対して、要領を得ぬ答弁をされるということは、大臣就任以來しばしば壯語大言せられたにかかわらず、こういうことでははなはだ遺憾であるから、溝淵委員質問に対するはつきりした、歯ごたえのある答弁を願いたい。それは、ほかでもないが、第三條の第一項について、中央農業調整委員会の構成及び運営についてまるつきり根本的に違うのです。この点について、今でなくてもよろしいから、あとで十分打合せの上で、はつきりと農林委員会が納得のできる御答弁をいただきたいと思います。それから、食糧措置法に対して、大臣ばかりではない、食糧長官にしても、農政局長にしても、個人としては私ども信頼すべき特別の筋合をもち、信じきつております。ところがこういう答弁になつてくると、まるつきり大臣が浮き上つて、大臣が離れてしまつたような観がある答弁になつてくるのであります。われわれは本会議で醜いところは見せたくはないから、この農林委員会においては、ぜひそういうことにならないような答弁をしてもらいたい。この食糧措置法が天降りで、そうして大臣がいつかわるかもしれぬ、政変があつてかわる、またしても一年に四回も五回も大臣がかわつてしまうということになると、農林省内の役人たちの方で、もう勝手にやるよりしようがないという傾向が現われるのじやないかと思うので、極端に言えば、個人々々は善人でも、官僚フアツシヨ的傾向になつてくると思う。たとえば、この食糧確保という言葉がある以上は、まず水害、災害等に対して適当な措置がとられることが前提條件である。それが、農林省では、公平に同じようにやると答えておいて、一方は非常に手厚い救済をしておつて、一方は救済をなさらないというようなことは、これは目の前にわずかな期間に豪雨が襲來したときに、すぐ目に見えることになると思う。そういうことを予想して、われわれはこの食糧措置法案についても、何といつても心理的に全國農村に及ぼす影響が大きいと思うがために、この問題については、漆塗りの盆に水をかけて、はね返しはね返しして、何の効き目もないようなことを何回繰返してもしようがないから、一遍性根をまず政府からはつきりと答えてもらいたい。まず終末を告げる前に、われわれは彈劾的な空氣も出てくるから、しつかりと答弁を願いたい。
  70. 井上良次

    井上委員長 質問の要旨にはいつてください。
  71. 平工喜市

    ○平工委員 その点はまた次会に讓ります。
  72. 岩本信行

    ○岩本委員 関連して。先ほど重富委員質問に対して、農林大臣は、いわゆる還元米の要求した府縣、量、及び百六十万石の実際に配付になつた分、そうした内容を、決議があれば発表する、こういうお話でありまして、決議があればということはいかにもまずいことであると思いますけれども、さように仰せられます以上、その点がこの農林委員会の審議のために絶対に必要であると存じますので、決議にしたいと存じますから、委員長からお諮りを願いたいと思います。
  73. 永江一夫

    永江國務大臣 今の岩本君の御発言の中で、誤解があるといけませんから、一言附加えて御了承願いたいと思います。決議があれば應ずるというそういう固苦しいつもりで申し上げたのではないのであります。前にもお答えいたしましたように、この点は、何か公平にやつていない点があつて、これを政府が逃げておるというような印象を與えては困りますので、政府から、個々府縣責任者に数字を申しまして、それぞれ配分を終つたのでありますが、その個々府縣におきましては、これを農家の還元米といたしましても、あるいは轉落農家に渡しまする分も、それぞれその府縣の特有の事情がありまして、政府から渡されました数量が、ある程度はその府縣事情によつて処理をされておる面がありまして、こういう点については、それぞれ地方の特殊の事情がありますことが公になりますために、いろいろとそれで問題が派生してまいることについては、やはり関係地区における各委員のそれぞれの御意見もあろうと思いますが、できればそういうことは、決議とおつしやられなくても、御要求があれば出すべき筋合のものでありますけれども、どの府縣においてもそういうことを公にしていいというお考えでありますならば、私どもの方ではいつでも出す。こういう趣旨で申し上げたのであります。決議があればとかなければとかいう固苦しい意味ではないのであります。
  74. 永井勝次郎

    ○永井委員 今岩本委員からこれを委員会に諮れという話でありましたが、本日は出席していない党派もありますし、出席が少いのでありますから、これを委員長において理事会に諮られて運営されんことを希望する次第であります。
  75. 坪井亀藏

    ○坪井委員 関連して。昨日も理事会を開いていろいろ議事進行について話があつたようでありますが、この点と関連いたしまして、今理事会へもつてつてこれを諮つてやろうと言われますが、理事会では、聞くところによると、個人の質問はなるべく避けて、党で代表してやれ、しかもそれは半時間に制限しろということであつたのに、なぜ私どもの方の的場委員に一時間以上も継続させたか。これは委員長がその権限を無視しておるのではないか。委員長みずから無視しておいて、そうして他の質問を抑圧するということに出るということは、これは議事進行から見ておもしろくないと思う。でありますから、もう少し理事会においてそれを愼重審議やつてくれることはいいけれども、理事会にただ委ねても、あとうやむやになるというようなことになつてはいかぬから、私は、当然これはこの委員会で決議するという精神を尊重するならば、理事会へもつていくということは反対であります。もしやるならば絶対委員会で決議すべしということを私は申しておきます。その点を委員長としてどう考えるか。なおまた、農林大臣も、本日いろいろ弁明がありました。この際落ちておつたから申訳ないとか、さつき言つた農業協同組合法についても、指令を発したとか、あとになつて間違いだとか連われますけれども、そうしたいわゆるあいまいなることが、結局一般國民に及ぼす影響というものが非常に大きいと思う。いつもだまされておるという点が、相当今まで多かつた。前に農業協同組合を府縣につけてやる。ちようど農林大臣が見えましたから、なお附け加えておきますが……。
  76. 井上良次

    井上委員長 ちよつと待つてください。今永井さんが申します通り、一應理事会で諮りまして、政府側の意向もあることですから、その上で政府側でどうしてもぐあいが惡いということになりましたら、一應理事会で案をきめて皆さんに諮つた上できめたいと委員長は思つております。農林大臣としても、政府の立場というものがあるわけでありますから、ここで採決をしてどうこうというよりも、一應委員の皆さんにお諮りした上で、どうしても採決をやらなければならぬものならそういうふうにいたしますが、そうでなしに済みはしないかと思いますから、そういうことに願えませんか。
  77. 岩本信行

    ○岩本委員 御相談申し上げます。要求いたしました資料を出していただけるなら決議をする必要もないと思います。それを出していただけるかどうか、決議がなければだめなのか、その点を一遍お答え願つてからで結構です。
  78. 永江一夫

    永江國務大臣 お答え申し上げます。政府は出すことにやぶさかではありません。御要求があれば出すということを当初から申し上げております。ただそれが公表になりました場合に、その府縣におきまして、この取扱いで特殊的な方法をとられた府縣が、かえつてそのためにいろいろ問題が起るのを私どもは心配しております。そう申し上げております。出すことには私は反対をしておるわけではありません。
  79. 岩本信行

    ○岩本委員 出すことに異議はないそうでありますから出してもろうことを要求いたします。
  80. 井上良次

    井上委員長 この際お諮りいたしますが、現在まで本法律案についての質疑通告者は二十幾名あります。この調子でまいりますと、会期一ぱいかかりましてもなかなか審議が終らぬ状況でございますから、從つて委員長は皆さんにお諮りをいたしますが、本日午後さらに審議をいたしたいと思います。但し速記の関係がありますから、どうしても速記をやらなければならぬという場合は、午後一時に正式にお集まりをいただいて、もし速記がございません場合は、政府側と懇談的に質疑を続けることにいたしますから、さよう御了承願いたいと思います。それではこれで休憩いたします。     午後零時十五分休憩