○
片柳政府委員 ただいま
委員長から
お話がありました
主要食糧の今後の需要の見透しにつきまして、最近の
情勢を私から御
説明申し上げます。
まず今月から端境期十月までの全体の
需要高の総計は、概算二千八十万石であります。但し最近の
雹害等の
関係で農家が予定しておりました麦の食いつきができないという
情勢も起きておりますので、この
需要高は若干増加するかもわかりませんが、
從來府縣と折衝いたしました
数字によりますと、概算二千八十万石、それに翌年度への持越し、
最少限度約九十万近いものを必要としますので、
持越高を合しました
需要高は二千百六十万
程度ということになります。それに対しまして
國内食糧の
供給の見透しでありますが、六月現在で
政府が
手持ちをしております米は、
凍結米を除外しますと約四百万石であります別途に
凍結米が約三百五十万石ございますが、
凍結米は
輸入食糧に準じて
放出を願
つておりますから、これを除外しますと約四百万石と相なります。それ以外に
國内食糧で今後期待のできますものは、目下やがて
出荷期にはい
つてまいります今年の
馬鈴薯と麦を予定しておりますし、また九月、十月にはいりますと、甘藷、新米の
供給力も予定しておりますが、これを合計しますと約七百三十二万石を予定しているのであります。後ほど麦の
関係では最送の
作況等も併せて御
説明申し上げたいと思いますが、一應
從來の計画では七百三十二万石を予定しているようなわけであります。そういたしますと、
不足高は今申し上げました二千百六十万石から
國内食糧の
供給高の計は千百三十一万石ばかりでありますから、その差類の千百十万石くらいが
不足高ということになります。これに対しましてはもちろん
國内食糧をさらに
供給力を増強するという問題もありますが、概して以上申し上げました七百三十二万石の
國内食糧の
供給は、むしろ昨今の麦の
作況が惡いという
関係から、むしろこの七百三十二万石を確保するについても
一つの問題があるわけでありまして、すでにこれは
相当強氣に見ておりますので、概して
國内食糧をこれ以上に期待することは困難ではないかと思います。從いまして、この
不足量は結局今後はい
つてまいります
輸入食糧に期待せざるを得ないということになるのであります。しかしその中に約三百五十万石の
凍結米がございますから、これを除外いたしますと
外國食糧としましては、六百八十二万石
程度の
放出がなければ、
現行配給量が維持できないという結論になるのであります。
そこで
輸入食糧の
状況でありますが、実はこの辺が非常にまだ確定的な
状況には
なつておらないのでありますが、先月の
入庫状況が、砂糖の方は概して順調にはい
つておりますが肝腎の
穀類の
輸入が非常に落ちている。
穀類の
輸入は五月の実績が二万五千トン内外というような
状況でありまして、今月の
状況も急激には好轉を見ないというような
状況に
なつておりまして、この辺でいろいろ現在各方面とも折衝しておりまするし、それぞれ対策を講じておるわけでありますが、さればと
言つて、にわかに
輸入食糧を六月にたくさんつけるということも、時間的の
関係からも困難でありますが、結局現在の方針では、当初は概して七月以降の夏場に
放出をいたしたい意味でと
つておきました三百五十万石の
凍結米を、六月七月に繰上げて、
遅配防止に万全を期していかなければならぬ。こういうような
状況に
なつております。実は六月の
放出量も、
凍結米の
放出が一番多かつたような
情勢でありまして、七月の
状況も
放出食糧の中で、やはり
凍結米の
放出が一番大きな比率を占めておるのではないかというような
状況にまい
つております。
結論しますれば、八月以降の米の
混食率を
相当程度犠牲にして、六七月に米を
配給して
遅配防止をせざるを得ない。さらに言いますれば、八月以降の米の
混食率は非常に低下をいたすというような見透しに
なつておるのであります。八月以降の
状況は、不作とは言いながら麦も八月になりますれば、本格的な出廻期に入
つてまいりますし、
馬鈴薯の方は
作況は大体順調のようであり、かつまた
輸入食糧の
情勢も、七月下旬ごろからは現在の
情勢では
相当好轉をする見透しでありますから、八月以降は今
言つた米の
混食率は落ちますけれども、量的には何とかなるという見透しであるのであります。ただ問題は、
馬鈴薯等はすぐさま
消費者に
配給ができますが、麦類になりますと、これを製粉、
精麦等の
加工をしなければならぬという
一つの過程がはい
つてまいるのであります。しかもそのときには内
麦外麦が相競合してはい
つてくるという
状況であるのであります。この点は昨年度も
相当苦い経驗をなめております。現物は着きながら
消費者への
配給が遅れて、その間に
遅配が起きるという
状況に
なつておりますので、今年は製粉、精麦の点につきましては、現在から設備の補修なり、あるいは
電力設備の優先的の
供給なり、その他の資材の確保につきましても、いろいろ手当をいたしております。今後麦が
内外ともにたくさんはい
つてまいつた場合におきましても、これを
最高度に
加工のできるような態勢をと
つていきたいと思
つておるのであります。しかし遺憾ながら質的に米の
配給が非常に減るというような
状況に
なつておるのであります。これはしかし
遅配を起さないという建前から、ある
程度米の
混食率の
年均價というものは、この際犠牲にならざるを得ないというような
状況に
なつております。しかし先ほど
委員長からも御指摘がありましたが、全体の
状況から見て何とかなるのではないかという現在の見透しであります。
ただ問題は、麦の
作況は、実は本日から
地方廳を呼びまして御相談をいたしているのでありますが、当初の
事前割当では、麦の
生産量を約千九百万石の
生産見込みで
割当をいたしている。
面積の方では全國で百五十八万九千
町歩の
面積のもとに約千九百万石の
生産見込の前提のもとに
割当てをせられておるわけでありまするが、五月一日現在の
統計調査局の発表によりますれば、五月一日の收穫予想は、
相当よろしい
数字が出ておるのであります。これは御承知と思いまするが、
北海道を除外いたしまして千七百七十三万五千石、これに
北海道の
生産見込が大体四十三万九千石ばかりでありますから、千八百二十万くらいの
数字でありまして、まずまず五月一日の
状況では、これは
相当平年に近いというような
状況でありましたが、遺憾ながら五月中旬以降におきまして
雹害等不測の災害もございましたけれども非常に
廣範囲にわたりまして病虫害の発生をいたしまして、最近ではほとんど私どもも連日陳情の應接にいとまのないような
状況でございます。さような趣旨で、ただいま各縣の
情勢をつぶさにお聽きをしておりますが、ともかく五月にはいりまして以來、
相当麦の
作況は悪い
状況でありまして、特に五月一日現在の
作況決定委員会の
作況予想は、
面積の方は
北海道を入れまして百五十万
町歩を越すと思いますけれども、
作況の方は、主として五月一日におきまする麦の茎数と粒数で大体反当収量を見ておる。從いまして、現在粒はついておるけれども、ほとんどこれが実
つておりませんとか、あるいは実
つておりましても、非常に粒が小さいというようなフアクターはほとんど考慮にはい
つておらないのでありまして、その辺を今後つぶさに調査いたしまして、適当なる
減額補正をせざるを得ないと思
つております。ただ
需給状況から見てまいりますると、私の方では事前に
割当数量は
米換算約七百万石の
供出見透しで案を立てております。しかし
供出割当は七百万石でありまするが、私の方の
需給推算では、
供出量は約六百万石、実は多少こういう
安全率をかけまして
需給推算は立てておるのでございます。六百万石の中、約百万石
程度がみそ、醤油の
加工用にまわります、
從つて差引五百万石を
主要食糧にしてこれを見ておるわけでありまして、しかも五百万石の全量を十月末までに
加工することが困難でありますので、先ほど申しました七百三十数万石の
國内食糧に上には、麦としましては四百万石を見ておるような次第であります。從いまして
相当の減収がありましても、十月までに四百万石の数量をきるということはまずないのではないだろうかという感じをも
つておるのであります。
ただ問題は、各県とも今年の
事前割当をするにつきましては非常な問題がありまするし、しかもかような
作況が非常に悪いというような
状況でありますので、減額をしてまで
供出をあるいは手控えるというような傾向がありますることを心配いたしておるのであります。しかしそうなりますると、六月、七月は
相当量國内の
馬鈴薯、麦の
供給力に期待しておりますので、もちろん補正の方も、
関係方面との折衝の
関係もありまするが、できるだけ急いでいきたいと思
つております。
それはそれといたしましても、
差当りの各縣の需給上必要なる
最低額はぜひとも
供出を願いたいということで、各縣に連絡をしておるようなわけでありまするが、ともかく麦の
作況は遺憾ながらどうも思わしくないというような昨今の
情勢であります。
そこで先ほど
委員長から
お話のありました全
國遅配の
関係であります。どうも経過的な
遅配ということは非常におかしいというような
お話でありますが、
從來からも
輸送なりあるいは消費のわくが苦しい、
公團の
手持ちが少いという
関係から起きておるということを申し上げたのでありまするが、この
遅配も今後の努力によ
つて解消し得るという
状況であるのであります。そこで最近の私の方の
食糧事務所からとりました五月三十一日現在の全國の
遅配状況であるまするが
北海道が札幌を最高といたしまして、小樽、室蘭が七、八日の
遅配に
なつておりまして、札幌が九・九日の
遅配というような
状況に
なつております。この
原因は、
一つは五月に
放出を予定しておりました
輸入船が一隻非常に入港が遅れたということでありまするが、もう
一つはああいうような非常に地域が廣いにもかかわらず、現在の
公團手持ちがわずか八日二分くらいしかも
つておりませんので、外部からの
補給力に
一つの齟齬がありましたことも
一つの
原因と思いまするが、
公團手持ちがやや少きに失するのではないだろうかということで、
公團手持ちの増につきまして今後善処してまいりたい。なお道内の
鉄道輸送力の
関係も多少あるようでありまして、これは今後はいります船を優先的に
北海道につけまして、これを解消してまいりたいと努力しておる次第であります。
それから
青森縣が主として
津軽半島の地区でありまするが、〇・四日の
遅配に
なつております。これは非常に交通不便な
関係で、海上から米その他の
食糧を
輸送するということで、主として
輸送上の点から問題が起きてきておるようでありまして、
公團の
手持ちは、
青森縣の
公團が現在五月までは二十六日半の
手持ち食糧を持ちておりまするから、
輸送がうまくいきますればかようなことはないと考えるのであります。それから
茨城縣がまだ
相当米がありながら、全縣では一日の
遅配があります。これはやはり縣のわくそのものに若干のむりがあるようでありまして、不日解消のできる
見込みであります。
それから
埼玉縣が二・九日の
遅配がありまするが、しかし
公團手持ちは約十日分の
配給量の
手持ちを持
つております。これまた倉庫が非常に点在しておる
関係で、やはり
配給操作が主たる
原因ではないだろうかというふうに考えまして、
関係方面を目下督励中であります。
千葉縣が、これはいろいろ問題の多い縣でありまするが、三・四日の
遅配に
なつておりますが、これは
公團手持ちがわずかに四・四日しかないというような
関係でありまして、主として
千葉縣の
消費わくの問題、
公團手持ちの非常に少い
関係と考えております。これは
目下手を打
つておるような次第であります。
それから
神奈川縣につきましても、先ほど
井上委員長からも
お話がありましたが、これはもう現在では大体解消しておると考えております。五月末に〇・六日の
遅配がありましたが、これは主として
輸入食糧の
加工、
輸送の
関係でかような
遅配がおきたようなわけでありまして、これはすでに解消し得ておるという報告であります。
山梨縣、これは実は五月末の現在が一七・三日というような非常に大きな
遅配に
なつておりますが、この問題は主として
轉落農家に対する縣廳からの
割当が非常に遅れておるという
関係からきておるようでありまして、一七・三日の
遅配でありますが、
公團の
手持ちは二十二日分のストツクを持
つておるというような点からいたしましても、さような
手続上の問題からきておるというふうにわれわれは考えておるわけであります。
それから
静岡縣が〇・一日の
遅配でありますが、これは主として
山間地帯の
輸送の不円滑に
原因をしておるという報告であります。これも解消し得る
見込みであります。
愛知縣、これは大
消費地を控えておりますが、四・五日の
遅配でありまして、この
原因を調査いたしましたところによりますと、
愛知縣では
精米所を大規模に
企業整備をいたしまして、大
精米所主義で
精米加工をや
つておるという
関係で、
精米所から末端への
配給が最近では遅れておる、こういうような
情勢でありまして、
公團手持ちは一一・一日の
手持ちをも
つておるようなわけでありまして、
手持ちからしますればかような
遅配は解消し得るというふうに見ております。
廣島縣は〇・一日の
遅配でありますが、これも主として
島嶼部に対する
輸送の
関係からきております。
高知縣は一・一日という
遅配でありますが、やはりこれも主として縣内の
輸送の
関係から、わずかながら起
つておるという
状況であります。
それから
大分縣は米が
相当あるところでありますが、これがやはり〇・一日の
遅配である。
公團手持ちは一四・二日の
手持ちを持
つておるようなわけでありまして、これも主として
山間地帯の
輸送の遅延からきておる。
宮崎縣は三・九日の
遅配でありますが、これは
宮崎縣の
立地関係で、
輸入食糧の
輸送が遅れておるという
関係からしてきておるのであります。
公團手持ちは一八・九日の
手持ちを持
つておる
関係からいたしまして、これもやはり経過的なものと称して差支えないと思
つております。
そこでもう
一つは、
從來の
遅配の
原因といたしまして、
輸入食糧のわくをもらいましても、それがなかなか届かないで
遅配が起きるというような現象がありましたが、しかしこの五月、六月につきましては、
輸入穀類の
放出が非常に少いのでありまして、先ほども申し上げましたように、もつ
ぱら凍結米と砂糖で
代替放出をいたしておるのであります。
穀類の方は六月の
放出はわずかに二万三千トンしかございません。それに対しまして
凍結米が十二万二千トン、砂糖が
米換算で十二万トンというようなわけでありますから、米、砂糖の方は大体もう各府縣に現物として届いて存置されておるというような
状況でありますから、この点からもこの
遅配は少くとも解消し得る時期が早く來るというふうに見ておるのであります。ただ問題は八月以降になりますと、先ほど申し上げましたような
輸入穀類が非常に多く
なつてくる。また内地産の麦も
相当大幅に
配給しなければならぬ
状況でありますから、八月以降は
加工と
輸送の
関係でずれが起るということが、
一つの過去の経驗からも問題に
なつておりますので、この点につきましてはさらに全力を盡していきたいと考えております。