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1948-06-08 第2回国会 衆議院 農林委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月八日(火曜日)     午後一時三十八分開議  出席委員   委員長 井上 良次君    理事 岩本 信行君 理事 森 幸太郎君    理事 佐竹 新井君 理事 永井勝次郎君    理事 鈴木 強平君 理事 北  二郎君       小川原政信君   小野瀬忠兵衞君       重富  卓君    田口助太郎君       綱島 正興君    野原 正勝君       松野 頼三君    八木 一郎君       渡邊 良夫君    勝間田清一君       河合 義一君    清澤 俊英君       黒田 寿男君    田中織之進君       成瀬喜五郎君    野上 健次君       溝淵松太郎君    守田 道輔君       菊池  豐君    関根 久藏君       坪井 亀藏君   的場金右衞門君  出席政府委員         大藏事務官   正示啓次郎君         農林政務次官  大島 義晴君         農林事務官   山添 利作君         農林事務官   平田左武郎君  委員外出席者    議員 石野 久男君 議員 菊池 重作君    議員 石井 繁丸君         專門調査員   片山 徳次君         專門調査員   岩隈  博君     ————————————— 本日の会議に付した事件  雹害対策に関する件  農業災害対策小委員選定に関する件     —————————————
  2. 井上良次

    井上委員長 これより会議を開きます。  かねて公報で御通知申し上げました通り、本日は雹害対策並びに病害に対する対策、これらの問題を中心に会議を開きたいと思います。  雹害現状につきましては、すでに昨日現地を視察されまして坪井委員より詳細に報告をされました。なお本日現地視察報告書ができましたので、この朗読を省略いたしまして、全文をこのまま速記録に載せることにいたしておきます。つきましてはこの雹害対策に対しまして、災害保險の問題、営農資金の問題、営農資材の問題、免税及び地方財政の問題、それから主食の特配の問題、供出割当の補正の問題、災害地農家救済の問題、並びに災害地農村金融の問題、これらの諸問題についてそれぞれ審議を進めていきたいと思います。最初に坪井君。
  3. 坪井亀藏

    坪井委員 ただいま委員長から昨日雹害状況については、私から詳細に報告があつたと申しれましたが、この数字というものは非常に貴重でありまして、違つた報告をしてはいかぬということによりまして、一應あの報告書にある日の現在のよつた被害状況数字が明細に報告してあるわけでありますから、病害等が含まれた関係で今後ある程度殖えてくることもあり得るということを前もつて私から申し上げておきたいと存じます。  ただいま委員長から言われたようにこの雹害につきましての私ら現地視察をしてまいりましたいろいろ要望等を檢討いたしまして、本日は大島次官並びに局長、その他関係各係官も見えましたから、質問と同時に特に要望いたしたいと存じます。  特にいろいろ要望された中で、こうして今までの共済事業によるところのもので保險金支拂でありますが、昨年の水稻被害も、この共済金が一年かかつたようやく被害農家ところに交付されたという現状では、あまりにも遅いではないか、むしろこうした保險金共済金被害のあつた当時に、大体その被害状況に應じて内渡しをすべきものだと思う。今回の茨城縣、及び栃木縣あるいは群馬縣におけるこうした雹害等については、ほとんどもう收穫皆無であるということは何人がこれを見ても間違いないのです。そうすれば、ある程度の共済きその地方における損害共済評價員が評價したその事実に基いて、大体の額というものは保險金の先渡しをしてもらいてい、こういう要望がありましたが、過去の例から見ると、一年も経たなければ拂えなかつたのでありますが、今回そうしたことが一体でき得るかどうかということについて、まずお尋をいたしたいと思います。
  4. 大島義晴

    大島政府委員 農業災害補償法におきましては、実は昨年は組合の成立が非常に遅れておりましたので、支拂に非常に支障を來しておつたのですが、今年は幸いに五月末日をもつて大部分の組合が成立いたしましたので、早速支拂手配をいたしております。さように進めておりますので、近く農民の手に渡ることと存じます。
  5. 坪井亀藏

    坪井委員 次にお尋ねしたいのでありますが、養蚕関係でありますけれども、これは今日局長がまいつておらないが……。補償関係のことであります。あるいは一グラムについていくらという養蚕に対しての不作があつた場合には補償されることになつておるわけですが、これは桑園が今度雹害において全滅したというのについて、その補償がないというように現地の者が言われておりますが、これははたしてないのか、またそうしたことについては、今後当然、雹害あるいは霜害等については、あるべきだと私は考えるのでありますが、その点も要望がありましたからお尋ねをし、なかつたならば今後これを是正してもらいたい、こういう意見を附け加えてお尋いたします。
  6. 大島義晴

    大島政府委員 ただいま養蚕に関する補償の問題でありますが、ちようど被害の直後に被害地に参りまして、現実にこの問題を見てまいりました。地方人々の申しますのには、養蚕違算を生じた場合には災害補償がもらえるがガ桑だけの場合にはもらえないという宣傳が非常に大きく響いておりまして、蚕を捨てておるという現実に出くわしたのであります。そこで私はただちにこれを止めまして、そういうことは断じてない。桑葉がすでに被害を受ければ、その分の保險金支拂もある。さらに繭において非常な違算が生ずるならば、これまた別種の保險金が交付されるのであるから、ぜひ蚕を捨てずして、荒廃する桑園はそのままとしてただちに他から桑を買い入れて蚕を捨てずにやつてくれということを村長、農業会長を通じて極力お願いいたしました。特にその地に起つた現象を申し上げますと、警察が自動車に対する過剩人員の制限を嚴重に取締つてつたのでありますが、私がちようどその場に居合わしために、私の名刺にその理由を書いて、警察諸公にこの急を要する桑の買入れに対しては、できるだけ便宜を與えてほしいと言つておいた。もう二、三日で上簇する、この蚕を捨てるということは、何としても國家のために忍びないということで、これを全部放棄させることを止めさして帰つてまいつたわけであります。農業災害補償にも桑葉被害養蚕被害と両方の補償があるということを御了承願いたいと思います。
  7. 坪井亀藏

    坪井委員 次にお尋ねしたいことは食糧特配でありますが、現地被害町村等のいろいろな要望を伺いますと、少くとも特配を四合ぐらいもらわなければ、今後の農業の再生産ができないという話でありますが、実際その通りだろうと思う。この日の長い時に、それこそ二十時間以上も働くというようなことであれば、少くとも私はそのくらいなければやれないのではないか。今私が二十時間と言つたらお笑いになつたが、被害地農家はそのくらいのことは当然やつておるのであります。現地を視察すれば、必ずこれはやらざるを得ないのです。それだけの労力拂つて麦畑の跡始末をしなければならぬ。桑園などでもこれに豆を植える、またいろいろな代作をやる。いろいろやるのでありますが、普通の時の数倍の労力を要しておる。轉落農家も相当多い。そうして現在でもこの麦を非常にあてにしておるのであるが、何としても四合ぐらい特配をしてもらいたい、こういう話ですが、私はこれは当然のことと考えます。これについて食管ではどんなふうな御方針をとられるか、やれるかやれぬか。私はこれはやるべきだと思う。これについての政府の態度をお聽きしたい。
  8. 大島義晴

    大島政府委員 被害地における食糧が非常に窮迫しておる事実は、私もよく見てまいつておるのであります。これに対しましてはできるだけ速やかにその調査を急いで、手当米を差上げるようにいたしたいと思つておりますが、御承知通り昨年の水害によつて收穫皆無の轉落農家が、依然として二合五勺の配給しかもらつておらぬのであります。そこでそれらの処置はどうするかと申しますと、結局農繁加配米というものを一應わくの範囲内で出す計画をいたしておつたのでありますから、やはりそれと同じ扱いをしていく以外に途はないのであります。特に雹害地帶であるからよけいやるということはできないのであります。昨年の水害の收穫皆無の人々と同じ取扱いをしておるということで御了承願いたいと思います。
  9. 坪井亀藏

    坪井委員 次に災害地における営農資金の問題でありますが、いろいろ各ら陳情要望がありました。ほとんど茨城縣においても、あるいはどの府縣においてもそうですが、代作として、あるいはまたその他の種苗関係、特に甘藷苗のごときは、茨城縣において千数百万本足らない。縣内において約半分くらいは需給ができるが、あと六、七百万本というものが、縣外から甘藷苗をもつてこなければいけない。そうしてこれらを輸送する上においても、トラツクに二十万本積みましても、少くとも三十台、三十五台のトラツクがなければこの種苗がはいらない。この輸送についての燃料補給をぜひひとつやつてもらいたいという要望があるが、この燃料を特に政府配給でき得るや否や。でき得ればただちにやつていただきたいと思うのであります。また労力被害地としてはたいへんでありますから、これは特に縣から要望があつたわけですが、地元としても甘藷苗圃が全滅を食つたのでありますから、何としてもこれだけは確保しなければならない。これについて苗の價格という点でありますが、何とかできるならば、無償にしてもらいたい。なぜならば昨年の水害以來農家のふところにはほとんど金がない。甘藷苗というものを買うのに、少くとも一反歩千円なり千五百円の金が、マル公買つてさえも要るのだ。その買う金さえないのだ。こういうことをはつきり言われておるのであります。どうかこの現状に鑑みましてこれら種苗に対するところ無償要望されておられるが、これができるかできないか。もし無償ができなかつたならば、どれだけこれに対する助成をするか。またこれらの輸送に対する処置はどういうぐあいにするか。要望としては油の配給をしてもらいたいというのでありますが、これについて質問いたします。
  10. 大島義晴

    大島政府委員 被害農家営農資金に非常に不足をつけておるということは事実でありまして、これは私どもも見てまいつておるのでありますが、いかんせん今の金融の機関におきましては、営農資金としては出資しがたいのであります。從つて即効肥料をただちに配給するというこれらの面は、やはり農業手形で決済できますけれども営農資金といたしましては、なかなかこれらの方法ではやりにくいのであります。これは別途に方法を考えて、ただいまその話を進めております。先日も農林中央金庫の係りの方に來ていただきまして、いろいろ打合せをいたしまして、御希望に副い得る段階に達することと思うのであります。特にただいま甘藷苗の御説明がありましたが、私実に意外に聽いておるのであります。本年は非常に早くから氣候が温暖で、私ども地方では甘藷苗は余つておるのであります。從つて甘藷苗がそれほどの不足をつけるということは、実は以外でありまして、各地を通じて今年の甘藷苗は代出しをしているような状態で、早く伸び過ぎてそのまま移植できないので、代出しをして植え直すというほど甘藷苗は余つているのでありますから、もしそういうことがありますれば、早速手配できると思います。  それから苗の輸送について燃料特配するということはできないかということでございましたが、トラツクは現に一定の台数があるのでありまして、これらに対しては、このトラツトが運行できる程度の燃料は特別に配給たいしておりますので、甘藷苗を運ぶから特配燃料を出せということがなくても、トラツクは十分輸送できるのでありますから、この点あらかじれ御了承願いたいと思います。
  11. 坪井亀藏

    坪井委員 これは今までの桑苗の運搬というものが急を要する。あるいは生蘇食料品というようなものは優先的にトラツクを使用し、なおかつこうしたものには燃料特配があるように伺つておりますが、そうして方法でもとりまして、何とか、今まで配給されていると言われますけれども茨城縣方面としてはそういうことは全然ないと言われております。これらについて、特にそうしたものについて特配する意思ありや否や。結局私としてはぜひともこれは特配して上げなければならぬものだと思います。  それから今次官は、甘藷苗は余つているのだ、補給はつくと言うが、九州あるいは北海道にあつたところが間に合わない。少くとも隣縣くらいでなくては間に合わぬという現状であるし、この縣だけで千数百万本だから、半分を自給してもなお他縣から六、七百万本入れなければならないという茨木縣現状は、これは縣から数字のこまかいものをもらつて申し上げるので、一被害農村だけの関係ではなく、縣全体の問題として申し上げるのでありますから、その点はどうか御再調願つて、実際不足する場合においては、急遽この甘藷苗、あるいはその他の種苗、だいずなり、あずきなり、あわ、きび、その他いろいろ種苗がありましようがこれらは農林省においては、何とか特に災害によるという点において願いたい。  それから無償ができるかどうかという点、あるいは無償ができぬならば、ある程度の助成ができるかどうかという点と、今の燃料特配はこの際やれるか、やれぬかということを特に伺いたいと思います。
  12. 大島義晴

    大島政府委員 その被害地方に特に苗が不足しておるということが判明いたしますれば、早速にその手配をして、できるだけ間に合うようにいたしたいと思つております。至急調べさしてやることにいたします。なお燃料特配につきましては、私は奬励の意味において一部の燃料を差上げるということはできると思いますが、全部トラツクを動かすようなものは、先ほど申し上げました通り一定わく配給することになつておりますので、全部このトラツクを動かすほどのものを配給することは困難である。しかし一部の燃料特配するということはできると思いますので、これは調査の上実行いたしたいと思つております。  苗を無償にしたらどうかという御意見でありますが、やはり一面には農業災害補償補償いたしておりますし、苗を無償にするということには困難があろうと思いますので、この点はあしからず御了承願いたいと思います。
  13. 坪井亀藏

    坪井委員 無償でできなければ何かそれに代るべき一つ助成関係ができるかどうかということを一つお伺いしておきます。
  14. 山添利作

    山添政府委員 災害対策といたしまして、もとは種苗に対する助成をやつてつたのですが、しかし近年は一切そういうことはやつておりません。やはり金融方策をもつて対処すべきである。近年におけるやり方といたしましては、やはり金のせわをするということの方がいいのじやないかというふうに考えております。
  15. 坪井亀藏

    坪井委員 粗税の減免でありますけれども災害地に対して、過去の例は知りませんが、聞くところによりますと、收穫四割以上減收した場合においては、いわゆる地粗は申すに及ばず、その他においてもやはり地方税等は免税されておるということを伺つておりますが、今度災害地につきましてもそうした要望が出ております。この減免あるいは減税と思しますか、とにかくそうした内容について、いわゆる過去のとられた関係をお伺いいたしたいのであります、なおまたこの要望については、できるかどうか、その限度はどうかということについて、お尋ねいたします。
  16. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 粗税の減免徴收猶予の点につきましての御質問でありまかが、大藏省からお答えをいたします。  このたびの雹害状況につきましては、先ほど農林省当局から御説明のありましたように、大藏省といたしましても、現地調査のために本省から人を派遣いたしまして、相当詳細に実情調査いたしております。また申すに及ばないことでありますが、現地税務署、財務局も鋭意調査をいたしておりまして、その結果報告が続々まいつております。粗税の減免徴收猶予の問題は子体三つにわけて考えられると思います。一つは新しい二十三年度の所得税の問題でございます。これは御承知のように本日國会の方に法案が出たのでありますが、これから大体七月にはいりましてから申告することに相なります。その際はこの災害によつて減收しましたものは、申告の当時においておのずから少くなつて申告される。こういう結果に相なると思います。第二の問題は、二十二年度の、すなわち過年度の所得であります。この所得税の中で大体税務署が更正決定いてしました分で、まだ收つたおらぬ分があるのであります。これも大体の数字は調べておるのでありますが、この分につきましては所得税法の中の規定によりまして、これは資産の喪失が非常に著しくありまして、いわゆる納税困難というふうな状態になりました場合には、減免をするというふうな規定になつております。これらの規定はなかなか今まで非常に嚴格に解釈いたしておるのが過去の実情でありますが、われわれとしましては、今度の事例につきまして、実情に應じましてこの規定を適用してまいりたいと考えます。その結果あるいは減免、あるいは滯納になつておりますもののいわゆる滯納処分を緩和するというふうな措置を講ずることに相なろうかと思います。なお第三の問題といたしましては、ただいま御指摘もありましたが、地方税地粗の免除の規定でありますが、これは大体從來からの扱いといたしましては、收穫が皆無になつた場合に地粗は免除する、こういう扱いになつておるのであります。以上のような取扱いでございますが、われわれといたしましては、さきに大臣も、たしか別の機会にお話があつたと思いますがこのたびの災害につきましても十分実情調査いたしまして、善後措置に遺憾なきを期したい。かように考えております。
  17. 坪井亀藏

    坪井委員 病害関係であります。私ども病害視察にまいりましたが、茨城縣栃木縣群馬縣に発生しておりますが、特に茨城縣あるいは埼玉縣に多かつたわけであります。小麦等において立枯病、あるいはまた大麦においては赤かび病、あるいは赤さびというように、これらの病氣が蔓延いたしましてほとんど收穫六、七割以上も減收のものが相当ある。昨日來もここに陳情されるときに持つてきたその被害の茎葉があるようですが、特にこうした被害激甚であり、またもちろん本年の客観情勢から見ますと、天候不良であるということは、早いうちに干燥し、その後雨量が多く、しかも低温であつて、日照時間も非常に少い。こういう関係で軟弱にできたという関係、なおまた肥料等の追肥において、硝安とかあるいは硫安のような窒素性肥料が過多であつたというような関係もありましようが、とにかく数十年來、こうした病害のためにほとんど五割以上の被害をこうむるということが、全地域にわたるということは非常に少いのであります。これらについては、今後農林当局としては何か試驗場で十分にこの原因を調査させるとか、あるいはまた今後再びこれを繰返させないような手を打つ、予防を十二分にやらせるとか、あるいはまた何か栽培法を十二分にかえるとか、とにかく天候には何ら手を打つことはできませんので、人為的に打てるだけの手は打つということにしなければいかぬと思う。これらについては、何か試驗場等で特にこうした立枯病、あるいは赤かび病、赤さび病等いろいろありますが、病害に対するところの遺憾のない手を打つていただきたい。結局病害あるいは虫害なんてものは。今まで全作物の一割ぐらいは、いくら手を打つて被害は通例にあるようですが、今回のように四割も五割も、多い所は七割も八割も減收をするといことはたいへんなことだと思う。本年は主要食糧の一割増産をしようというときに、かようなことが再び発生したのでは、一割増産どころじやない、むしろ減産をたどつていることに鑑みて憂慮にたえない。私は靜岡縣の出身でありますが、靜岡縣あたりは本年はこうした病害による減收はおびただしいもので、皆さんの言うところによると、四、五割はやはり減收じやないかと言つておられますが、これは病害はほとんど全國的のものだと思う。やはり今年は天候に支配され、あるいは肥料その他に支配された点が、相当多いと思いますが、これは困つたことだ、どうにもならぬ、天候で仕方がない、といつこれを農林当局はそのままに一笑に付するのかどうか。もちろんそんなことはあるまいと思いますが、しかし何とか打てる手は打たなければならぬ。相当技術者もいるし、またこれに対するいろいろな角度から見た予防策は、農林省としては考えているのでしようが、そうした具体策があるならば、それをひとつ承りたい。なおまだないならば、今後十二分に檢討した上に対策を立たれて、再びこうした病害による大減收が起きないように願いたい。これはひとり茨城栃木群馬だけの問題ではない。全國にこの病害はあるのでありますから、この点について何とか政府としては、今後これについての科学的の防除というか、予防というか、そうした方法があるのではないか。その他農業藥剤については、実際これをやるとしたならば、今後やるだけその藥品の入手がでるかどうか。とにかく家畜でさえも家畜傳染病法があつて國家の費用で今までやつている。こうした主要食糧病害については、ただある程度の、今まだわずかな補償金があつたくらいで、百姓に任せきりであつた。そんなばかなことはない。これはどこまでもこの主要食糧に対するこうした病害——もちろん病害虫害もそうですが、特にこうした病害などについては、自衞的になかなかいかない。だから何とか國家がこれを補償して、全額負担防除を今後やらなければ、この被害を食い止めることはできないと思います。これに丁する大島農林政務次官のお考え、もしわからなければ農林大臣、わからなかつたら総理大臣に聽いてもいいから、とにかくこれらについては最も大きな関心をもつて、この病虫害に対する防除策についての御意見を、これを契機として伺いたいと思います。
  18. 大島義晴

    大島政府委員 本年が天候不順の結果、各所病害が発生いたしておりますのは、はなはだ遺憾千万なことであるのであります。私どももしばしばこれらの陳情を受け、その実態も拜見いたしているのでありますが、実き本年の一割増産に関しましては、G・H・Qの方の指令にもあります運り、日本は病虫害を完全に除去すれば、それだけで一割増産はできるのだということは、ただいま坪井さんのおつしやる通りに、この数字に間違いないのであります。そこで農林当局といたしましては、まず種の消毒から始まつて、麦は腰を立てる前に一回の消毒を希望し、特に水田等におきましては、苗代において二回、三回の消毒をして、稻熱の根絶を期するような呼びかけを各所にいたしているのでありますが、いかんせん今までこういう消毒に慣れておりません。またこういう何でもないような状態にあるものを消毒することは、むだなことのように農民は考えておりますので、なかなか消毒という面に力を入れていただけないので、実に残念なことだと思つているのでありますが、今後はこれらに対しましては、できるだけ全力をあげてこの消毒奬励し、かくして病虫害を未然に防ぐという方法をとりたい。かように考えているようなわけであります。  なおこの機会にもう一つ申し添えておきたいと思いますことは、先ほど雹害対策の一環といたしまして、私ども速効肥料をただちに配給いる。たとえば麦の間にまいてある陸稻が麦と同じような雹害を受けておりますために非常に被害を受けている、あるいはまた甘藷等においてもその通り、特にひどいのは果樹園等におきましては、実と情を落されたばかりでなく、さらに木の皮をむかれております。桑園におきましても、大きな雹の被害を受けた桑園では、本株の皮をむかれているような状態にありますので、これらも速効肥料を施して急に回復せしめる必要がありますので、各府縣から精細な調査を待つてわくを出すことにいたしておりますが、各府縣のストツクの窒素肥料等を便法として出すことに同意いたしまして、その手配をなさしめ、一部順次肥料出している。こういうこともこの機会に申し上げておきたいと思います。
  19. 坪井亀藏

    坪井委員 ただいま大島次官から、速効性の肥料はもうすでに出すように手配をした。まことにこれは被害者としてはありがたいことだと考えます。どうかなるべく要望にこたえて、再生産のできる範囲の速効性の肥料を放出願うように特に私は希望いたしたいと思います。  なおまたついでに被害地等の要望があつた点はいろいろの蔬菜も、現在においてはほとんどみそ汁の種にしたくもない、そういう状態から見て、何か副食をカン詰、びん詰でもよいから、食管においては、窮余策として何とかなるならばひとつ見舞品というか、そうしたものが受けられないものだろうかというような、実は強い要望とは言われぬが、そういう空氣が各所に見受けられたのであります。こうしたことは言われてやるよりもむしろ言われぬでも親心をもつて、今後農業再生組するものにはより以上の労力がかかる。被害地に村長さんが見舞、慰問に行けば、女の方は泣いておつて物が言えないという現状であります。結局こうしたときにおいて、やはり物はわずかであつても、給與されたこれが見舞であるという氣持、しかもこれは私は必ずや農業再生産について、このありがたさは必ず増産の面、ひいては供出の面に影響しようと思う。結局どの町村へ行つても、もうすでに今年の米の割当は今被害さ中でも食糧委員会は全部やつてしまつた、村長さんが言うように、村においては幾日も幾日も寄つて、個人割当も全部責任割当を米までやつてしまつた。先の先までも、やはり今年の秋供出する米の割当までも、すなわち被害町村においてすらそれまでやられているのであります。どうか現状を見られて、飾りのないところまつたくひどい状態でありますから、何も余分なことは申しませんから、ひとつ打つべき手を打つて、何とか救つてもらいたいと言わぬばかりの、どこの村へ行つても村長さんの依頼でありますから、これらのついて何とか手を打つて、副食特にカン詰とか、その他何かでできる範囲のおいて、被害地に対しての特別給與品と言いますか、そうしたもののの放出をしてやることが私は当然だと考えておりますが、これについて政府で何かそうしたことができるかどうか、できなければ、私は何とかできる方法を今度講じてもらいたい。こういう要望をいたしまして質問を終ります。
  20. 大島義晴

    大島政府委員 昨年の水害におきましては、家財を失い、あるいは農器具を失う等の事実がありましたので、これらのものの補填という意味において、各般のものを出しておりますが、雹害においては、農作物はなるほぢ收穫皆無の地帶が多いのでありますが、そういう方面においては被害はないと思いますので、今の日本の食糧事情のもとにおきまして、それらのものを出すということはなかなか困難ではなかろうかと思うのであります。なおよく関係者と打合せをいたしまして、御希望に副い得るように努力はいたしたいと存どておりますが、その実現はなかなか困難であるということに御了解願いたいと思うのであります。
  21. 坪井亀藏

    坪井委員 ちよつと補足いたしておきます。主食面はさつきも言われましたがなおまたそうした特配でありますから、何でもという意味に私は解してよいと思う。そうすれば特に副食というような面において、できる範囲において檢討されて願いたいが、水害についてはあるいは家財とかその他を失つたと言われますけれども、これはやはりまだ局部的の関係もあろうが、やはり食糧というものが今後は相当配給があつても、まだ足りなければ相当高い價格で仕入れなければならない。結局半年分の食糧は收穫皆無であるという関係にありますので、何とかそうしたできる面において、やるべきが当然だと考えております。ひとつただいまの御意見通り、十二分に考えて、違法脱法があつては困りますが、そうでない範囲において私はお願いいたしたいと思います。それからなおある村のごときは家畜、家禽は相当いるのでございまして、これらを賣らなければ今後農業資金もなくてやれないという現状にあるからどんどん家畜を賣る者が出始まつて、こうしたことを將來食止める必要もあろうが、一面においた伺料をどうしても——特に災害地について特配を願いたい。こういう要望が強いけれども、これについては、今後どんな方針のもとに特配ができるかできぬか。何とか打つ手がありましたならば、これについても特配のできるような方途を講じていただきたい。かように考えますが、これについての政府の御意見をお伺いしたいと思います。
  22. 大島義晴

    大島政府委員 今回の被害において、営農資金、かつまた家畜の飼料等に困つて、大動物を手放すとすうようなことは、実はわれわれも見てまいつておるのであります。特に有畜農業奬励するわれわれの立場から申しますと、こういう現象に対しましては身を切られるよりもつらい思いがするのでありまして、この点を深く私どもは洞察いたしまして、帰りますとただちに畜産局長とも相談し、また飼料公團等ともいろいろ相談いたしておりますが、御承知の治り、最近いろいろ中國方面からふすまがはいり始めたような状態でありますまので、とうてい滿足を得る程度の飼料の確保は困難だろうと思うのでありますが、しかしたとえ幾分なりともこの際飼料の増配をいたしまして、大動物を手放さないような処状を講じていきたいと思のであります。
  23. 坪井亀藏

    坪井委員 これで終りにいたしますが、昨日われわれは災害地から視察を終えて帰りましたので、簡單な説明をしておきましたが、先ほど委員長の言われたように、報告書は全部速記にこれを讓ることにいたしまして、この現状については公開するというお話でありましたが、どうか過去の視察された各委員が、各角度からされまして、それではよろしい、われわれが何とかする、ひとつ早く手を打つてあなた方の希望に副うように努力をするといつて、皆視察した各位がその被害地を引揚げて帰つて來る。ところが、いつでも結果においては半年遅れ、一年遅れ、しかもそれがほとんど期待の十分の一にも副わないというような現状が多かつた。どうか今度の視察等についてはそういうことのないように、特にあなた方は、委員会等においては十二分に檢討されて決議をし、なおまたこれを國会に上程して、院議による一つの決議をして、できり限りの対策の手を打つて願いたいという要望がありましたから、私どもはこれにこたえて、何とか以前の視察とは違つて、われわれ命懸けで今度のこうした災害については、あなた方の期待に副うように、帰りましてから、委員会は申すに及ばず、関係機関とも緊密なる連絡をとつて努力をいたしたい。さいわいに忙しい中を割いて、しかも委員長が今回はわざわざ視察をされておるのだから、委員長に十二分にその件を進言してやるということを私ども申してまいりました。委員長も十二分にこれは承知のはずであります。いろいろまだ私ども質問したい細部の点がありますけれども、時間の関係で、大まかに私からは以上質問並びに水害地の雹害等に関係いたしました点を要望した次第であります。どうかこれら関係各省は緊密なる連絡をとりました雹害あるいは病害手当について万遺憾なきを期せられるよう、特に要望いたしまして、私の質問を終ります。
  24. 井上良次

    井上委員長 発言通告書が非常にたくさんございますから、できるだけ冗言を省いて、要点に主力を注いで御質疑を願いたいと思います。
  25. 岩本信行

    ○岩本委員 ちよつとお願いがあるのです。本会議が今始まりまして、きようは予算の説明ということでありますから、われわれのこの仲間にも質問に立つ者もありますので、この問題も非常に重大でありますけれども、できれば本会議を聽かしてもらつてからにさせていただきたいということでございますが、いかがでございましようか。
  26. 井上良次

    井上委員長 今本会議の議事日程を調べにやつておりますから……。成瀬委員。
  27. 成瀬喜五郎

    ○成瀬委員 不可抗力によるこの未曽有の雹害によりまして、大きな損害を受けた農家各位、また各縣のそれぞれの地方に対しましては、深甚の御同情を申し上げる次第でありまして、本農林委員会は、全力を盡してこれらの農家の救済のために働かなくちやならぬ、こう存ずねのであります。しかしこの際にお尋ね申し上げたいのは、昨年の関東水害においても、私はいち早く栗橋にまいりますと、災害を受けておらない茨城縣の方から、たくさんの馬鈴薯その他の救済品がまいつてつたのであります。また二十一年の南海大地震においては、関係六縣でありますが、これまた一農家にわら十五貫とか、野菜、馬鈴薯等相当量見舞品として送つたのでありまして、かかる災害の場合における各農家の隣保相助の精神が発揮されて、それらの災害地方も非常に助かつておるのであります。かような面から考えてみますと、今回の雹害に対する対策として考えることは、國の予算によつて、國の予備費から支出いたしまして、それによつてこれらの災害農家を救済するのであるか。またそれは一部であつて、縣の方の縣費支弁によつてどの程度の救済計画をなされておるのであるか、あるいはさいぜん言つたような、各農家の同情による見舞金等のことが考えられるのでありまして、こういう点の内容がどの程度に予想されるかということを承りたい。また雹害病害も同じでありますが、昨年成立いたしました農業災害補償法の適用を受けて、どの程度の緩和、救済ができるものであるかということを詳らかにしていただきたい、かように存ずる次第であります。  それからせつかく共済金として受けた金額に対しましては、大藏省所得税の免除ということがなされてあるか。いわゆる早場米その他の奬励金に対してまでも、総合所得関係からいたしまして税金をかけましたならば、せつかく農家に対する救済金を意味するこれらの共済金は、まつたく意味をなさないということも考えられますし、また共済金がただちに支拂い得るような準備ができているかどうか。もしこの共済金支拂が時期を失するということでありましたならば、何にもならない。そこで営農関係における金融面について、政府も大いに考慮を拂つていかなければならぬと考えるのであります。  それから食糧の問題でありますが、食糧の問題が縣内における何パーセントの被害農家に及ぶかしれませんが、それらが縣内の操作において、一應の見透しがつけられるものであるかどうか。あるいは特別に食管の方から出してやらなくてはならぬ性質のものであるかどうかということを、お尋ねしたいのであります。  またこの種の災害につきましては、國家においても全体的な立場から大いに救済の金を支出しなくてはなりませんが、昨年の災害、旱害等に対して五千万円の救済金を支出するというようなことも聞き及んでおりますが、それらの旱害及び災害に対する金が、どういう縣にどういうふうに分配されているか。実は昨年徳島縣におきましても、地震のための沈下による塩害によりまして、相当廣範囲の收穫皆無、あるいは多大なる減收を生じているし、また一部におきましては、旱害による被害も非常に大きかつたのでありますが、過般の政府の資料に基きますならば、香川縣と高知縣のみがこの農業災害補償法の適用を受けているということだけを考えてみる場合、少くともこういつた面に対しましては、公平を期していかなければならない。同じ雹害を受けた場合におきましても、縣と縣との運動や、それの力関係、政治関係において、不公平が生じてはならないのでありまして、こうした見地からいたしまして、私はこの機会に昨年におけるそういつた方面の資料を要求するし、また共済金の内容につきましても聽きたい。かような点についてお尋ね申し上げまして、私の質問を終る次第であります。
  28. 大島義晴

    大島政府委員 成瀬君の御質問にお答え申し上げます。  災害補償法は第一回國会において通過いたしましたので、その生の災害補償金の支拂が非常に遅れたことは、政府側の手落ちであつたか存じませんが、一つにはこの組合が完成していなかつたことも事実であります。しかるに五月末日をもつて大部分の組合が完成いたしました。政府においても支拂の用意がありますので、被害調査の完了次第、即時支拂う準備をいたしていることを御了承願いたいと思います。  なおただいま災害等に関する各般のお話がありましたが、食糧の問題につきましては、縣の操作し得る食糧一つもありません。日本の食糧は全部國の操作に基いて、食糧の操作が行われているということを御了承願いたいと思うのであります。  なお今回の災害等を通じて、私も現地で拜見してまいつておりますことは、被害のある町村等に対しましては、被害のない附近の農村から、総出でこれが救援に当つている。あるいは物をもつてくる、あるいは手間を貸すというようなことで、実にうるわしい情景を見てまいりまして、日本においても未だ道義すたれずということを、今回の被害を通じて親しく拜見いたしましたことは、これは特に記念すべき一つの現象と考えているわけであります。
  29. 井上良次

    井上委員長 農林委員会はこの災害対策をさらに愼重に審議したいのでございますが、本日は本会議で大藏大臣の財政演説がございますし、なお農林委員会から、各派共同提案によつて米價調整に関する案件、並びに農藥取締法案が本会議に提案されることになつておりますので、本災害並びに病害等被害による対策の問題につきましては、明後木曜日にさらに続開をいたします。なお明後日は経済安定本部の方から麦、馬鈴薯並びに薪炭、それから漁業等に関するリンク物資の要綱について発表があるそうでありますから、この問題を併せて取り上げることにいたします。  なお、この際昨七日協議決定いたしました、農業災害対策小委員を委員長において、指名いたします。      小野瀬忠兵衞君    重富  卓君       八木 一郎君    永井勝次郎君       成瀬喜五郎君    溝淵松太郎君       菊池  豊君    鈴木 強平君       小林 運美君    坪井 亀藏君       北  二郎君 以上であります。  本日はこれにて散会いたします。     午後二時三十二分散会