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1948-06-07 第2回国会 衆議院 農林委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月七日(月曜日)     午後一時十九分開議  出席委員   委員長 井上 良次君    理事 岩本 信行君 理事 森 幸太郎君    理事 佐竹 新市君 理事 永井勝次郎君    理事 鈴木 強平君 理事 寺島隆太郎君    理事 北  二郎君       小川原政信君   小野瀬忠兵衞君       重當  卓君    田口助太郎君       綱島 正興君    八木 一郎君       河合 義一君    清澤 俊英君       黒田 寿男君    田中織之進君       成瀬喜五郎君    野上 健次君       溝淵松太郎君    菊池  豐君       小林 運美君    関根 久藏君       寺本  齋君    中垣 國男君       坪井 亀藏君    大瀧亀代司君  出席政府委員         総理廳事務官  長谷川 清君         総理廳事務官  向井 鹿松君         農林事務官   山添 利作君         農林事務官   平田左武郎君  委員外出席者    議員 菊池 重作君 議員 石野 久男君    議員 鈴木 明良君         專門調査員   片山 徳次君         專門調査員   岩隈  博君     ――――――――――――― 同月二日  農村工業助成に関する請願寺島隆太郎紹介  )(第一一三一号)  現行供出制根本改革請願中野四郎紹介  )(第一一三二号)  甘藷澱粉買上價格の全國統一に関する請願(的  金右衞門君外一名紹介)(第一一三五号)  同(川野芳滿君外二名紹介)(第一一三六号)  旧明治新開復旧干拓事業施行請願佐竹新市  君紹介)(第一一三八号)  主食三合配給実施請願田中稔男紹介)(  第一一五五号)  九州地区國立林業試驗場設置請願田中稔  男君紹介)(第一一五六号)  荒廃林地復旧事業費國庫補助増額請願田中  稔男紹介)(第一一五七号)  柑橘の虫害防除対策費國庫補助請願田中稔  男君紹介)(第一一五八号)  農産品適正價格決定に関する請願田中稔男  君紹介)(第一一五九号)  農村工業助成に関する請願外四十四件(寺島隆  太郎君紹介)(第一一六六号)  大積山開拓に関する請願佐竹新市紹介)(  第一一六七号)  下黒瀬村の國有林開拓に関する請願佐竹新市  君紹介)(第一一六八号)  養蚕農家に対する報奬物資増配請願田中稔  男君紹介)(第一一六九号)  食糧増産及び供出完遂方策に関する請願(田  中稔男紹介)(第一一七二号)  農業災害補償法による農業保險料金國庫負担  増額請願田中稔男紹介)(第一一七三号  )  泉村所在養魚池の一部を農地還元請願(中  野四郎紹介)(第一一七四号)  主食増産のため供出配給制度改善に関する請願  (成瀬喜五郎紹介)(第一一七五号)  雪國農村工業助成に関する請願圖司安正君紹  介)(第一一七六号)  造賀村の開拓幹線道路事業継続施行請願(佐  竹新市紹介)(第一一八八号)  生鮮食糧品統制合理化に関する請願田中稔男  紹介)(第一一九一号)  野辺山貯水池築設の請願井出一太郎紹介)  (第一二一六号)  鹿兒島縣土地改良費國庫補助請願外九件(  的金右衞門紹介)(第一二一七号)  盛岡市の國立農事試驗場廃止請願山本猛夫  君紹介)(第一二二九号)  北海道の耕地改良事業に関する請願飯田義茂  君紹介)(第一二三〇号)  埼玉縣水害耕地旧費國庫補助請願古島義  英君外七名紹介)(第一二三一号)  中蒲原郡における開拓事業林業との調整に関  する請願高岡忠弘紹介)(第一二三五号) 同月三日  宮川上流ダム築設の請願中野寅吉紹介)(  第一二五四号)  中蒲原郡における開拓事業林業との調整に関  する請願神山榮一紹介)(第一二六〇号)  農村工業助成に関する請願早稲田柳右工門君  紹介)(第一二六二号)  阪神地方都市建設に反する農地開放の是正に  関する請願原建三郎紹介)(第一二八五号  )  開懇しない山林の買收中止に関する請願外一件  (恒四郎紹介)(第一二八七号)  高瀬村の土地改良事業施行請願金野定吉君  紹介)(第一二八八号)  満俺肥料生産奬励請願外三件(中嶋勝一君紹  介)(第一三〇三号)  貸與田地返還請願豊澤豊雄紹介)(第一  三〇四号) の審査を本委員会に付託された。 六月三日  土地改良事業費國庫補助増額陳情書  (第四五〇号)  主食の欠配に関する陳情書  (  第四六六号)  玉屑繭の処理に関する陳情書  (第四七五号)  土地改良事業に関する陳情書  (第四七七号)  土地改良並びに災害復旧事業実施に関する陳情  書  (第四八〇号)  土地改良事業促進に関する陳情書  (第四八一号)  宮崎縣土地改良事業費國庫補助増額陳情書  (第四八九号)  牛乳の供出制度に関する陳情書  (第四九一号)  鹿兒島種畜牧場存置陳情書  (第五〇〇号)  松樹害駆除に関する陳情書  (第五十四号)  東海北陸土地改良事業費國庫補助に関する陳  情書  (第五〇八号)  薪炭需給枠拡大に関する陳情書  (第五一四号)  木炭生産者地位向上に関する陳情書  (第五四〇号)  薪買上價格輸送代行手数料及び輸送費引上の  陳情書  (第五四二号)  農林復興金庫設置陳情書  (第五四三号)  繭價格引上の陳情書  (第五四四号)  民有林造林事業促進に関する陳情書  (第五四五号)  農地調整法の一部改正に関する陳情書  (第五四八号)  食糧事前割当に関する陳情書  (第五四九  号)  甘藷、干甘藷改訂價格決定に関する陳情書  (第五五〇号)  土地改良並びに補助開懇事業費國庫補助増額の  陳情書  (第五五一号)  松樹害虫駆除に関する陳情書  (第五  五二号)  報奬物資急速配給に関する陳情書  (第五五三号)  森林組合技術員に対し國庫補助増額陳情書  (第五五五号)   以上二十四件農林委員会に送付を本委員会に 送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  米價に関する件  農産物価に関する件  雹害に関する件     ―――――――――――――
  2. 井上良次

    井上委員長 ただいまより会議を開きます。  この際お諮りいたします。さきに設けられました米價調整委員会委員長中間報告委員長手もとまで提出されております。一應これを報告いたしまして、小委員会決議によるものを本常任委員会としていから取扱うかについてお諮りいたしたいと思います。    農林常任委員会米價調整小員会委員長中間報告  六月一日附農林常任員会決定に基く米價調整委員人は、小委員長司令により六月三日午後一時第十一委員室において開催、各委員より熱心なる意見の開陳が行われ、左記結論を得ましたので、ここにその概要の主なるものを抽出報告いたします。  一、現行パリテイ方式食糧管理法第三條の米價決利方式によりして違法であるので檢討を要する。  二、現行供出方法強制的性格をもつているので、物價改訂に伴う米價調整金はこれを供出農家交付するの措置を講ずること。  三、調整金交付せざるにおいては、これが代案として肥願價格の点で調整すること。  四、農林委員会閣議決定案を支持し、これを表明すること。  五、この調整價格算出根拠の資料を要求すること。  六、米價調整委員会調整金交付、二十三年度想定米價最終米價の三本建てにわけて檢討を進めること。  七、小委員会米價調整金交付について、これを各派共同提案による院議決定を行うよう農林常任委員会において決議すること。  なお小委員会として左記決議いたしました。    決 議   政府は今回物價体系補正に伴い二十二年産米價格調整を企図しているが、農林常任委員会調整金処分につき左記理由に基き、その金額を供出農家交付するよう、各派共同提案により院議を以て決議せられんことを決議し、これが措置を講ずる。     理 由  一、現行供出方法法的措置を背景にした責任供出制度に基き、制約された期限付提出が行われているので、之が調整金交付はきわめて当然である。  二、物價体系補正に伴い二十三年度農家購入用品相当額の値上りをみるので、再生産確保見地より調整金はこれを供出農家交付する必要がある。  三、二十二年度産米價格決定をみたパリテイ方式の計計基礎となりたる所要営農資材が完配されないため、反当生産費は著しく昂騰しているので、これが補填のためにも調整金交付すべきである。  四、二十二年度農業所得税額はその過重負担において耕作農民経済題基販を動搖せしめ、加うるにインフレ高進に基く農家経済は極度に窮迫し、はなはだしき資金難に遭遇する際、調整金交付はきわめて緊要である。  五、二十三年度において食糧の一割増産が要請せられている際、これが達成には格段の鶴力を要するが、調整金交付せざるにおいては農民増産意欲をはなはだしく低下せしめ、その結果國民経済一般に與える打撃はきめわて大きい。  六、農地改革に伴う土地買收に要する農民所要資金の総額は巨額に達するが、最近の農家経済の現況はこれぜ調達を不可能としており、かかる際米價調整措置を講ぜざるときは農地改革に至大の影響を與えることになる。   昭和二十三年六月三日       米價調整       小委員長 清沢 俊英    農林委員長井上良次殿かくのごとき小委員会報告が提出されましたので、本常任委員会としてこれをいかに取扱うかについて皆さんにお諮りいたします。
  3. 田中織之進

    田中(織)委員 ただいま委員長から御報告になりました小委員会決議については、全面的に賛意を表するものでありますが、この問題は実は私らの日本社会党の方で、院議をもつて米價改訂に関する決議案を本会議に上提すべく提案いたしたのであります。それを各派交渉会においてお取上げ願いまして、各派協同提案として本会議決議案を出そうというふうに、現在各派交渉会において話が進められておるように承つておりますので、院議をもつて各派協同提案として國会の意思を決定するという場合には、現に各派交渉会において関係方面とその折衝中のものとの調整を御考慮願いたいと、かように考える次第であります。
  4. 坪井亀藏

    坪井委員 ただいま米價調整委員長から農林委員長宛に出ました報告並びに決議内容については、過般小委員会を開きまして、その小委員の一致した意見委員長手もと報告されておるのでありまして、私どもこれに関與した小委員といたしましては、当然これは院議をもつて決議を必要とするということが、しかも急速に行われなくてはならぬということで、過般も急員長に進言いたし、小委員長がただいま委員長より朗読されたその内容並びに理由また当議という点を御発表になつたのであります。ただいま社会党としてすでにこれについては各派協同提案において決議をする段取をしておるという話でありますが、それはそれといたしまして、とにかく委員会委員会といたしまして、ただいまのこの小委員長報告通りこれを決議いたしまして、そうしてどこまでも急速に院議をもつて決議するということを私は特に委員長に要望いたす次第であります。どうかこの点は一般に諮られて、ただちにその委員長報告についての賛否をとられんことを特に私は重ねて要望する次第であります。
  5. 岩本信行

    岩本委員 今小委員長から委員長へ御報告になつた、それをお読み上げになつた言葉の中に、何か調整金還元ができない場合は、代案として肥料によつて調節するというようなことが現われておりましたが、それは小委員会でそんなような意見を出された方もあつたように記憶はいたしますが、それをもつて決議とはしなかつたはずであります。今ちよつとお聽き漏らしたかもしれませんが、その点もう一遍お読み上げになつて、当時立ち会つた人の御理解を求められた方がいいと思うのであります。
  6. 井上良次

    井上委員長 最初読み上げましたのは、小委員会経過について報告をいたしまして、その経過の過程にそういう意見も出たというのであつて決議の中にはそういうものははいつておりません。
  7. 岩本信行

    岩本委員 そういう意見が出たというだけですか。
  8. 井上良次

    井上委員長 そうです。
  9. 坪井亀藏

    坪井委員 もし私の申い上げた中に、小委員会決議したということがありますれば、これだけは取消しておきます。
  10. 井上良次

    井上委員長 そういたしますと、小委員長報告通り、本農林常任委員会は、小委員会決定されました決議を本会議報告し、院議をもつて決定願うように取計らうことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 井上良次

    井上委員長 満場御異議なしと認めます。それではさよう取計らいます。     —————————————
  12. 井上良次

    井上委員長 この際特に公團人事問題について発言を求められておりますから、これを許します。田口君。
  13. 田口助太郎

    田口委員 大臣が來ておられませんから、農政局長にお伺いします。肥料公團総裁監事が現在欠員になつておりまして、政府においてはこれを補充することになつたと聞いております。これについて巷間傳えられるところによりますと、総裁鈴鹿和三郎氏でありまして、監事佐成篤三郎氏であります。この総裁が最も重要なる肥料配給公團総裁として適任であるかどうかということについては、相当疑問があると思います。その一つは、同氏肥料商としては相当有名な方であり、エキスパートであることは私も認めます。しかし同氏はだれも知つているように反産運動の鬪將でありました。肥料配給は今後は農業協同組合がこれに大部分当るようになると思います。從つて、反産運動をやつた人協同組合等將來の摩擦というような問題を考えますと、非常に心配する点があるのであります。また同氏戰時中統制組合理事長をしたというように傳えられておりますが、これは追放その他に該当しないかどうか。また、民主化途上にある現在、かくのごとき人が適当であるかどうかという点について政府見解を承りたい。また、これは時間の関係上私調査できなかつたのでありますが、何議会でしたか、河野一郎氏が農林委員会不正肥料を販賣したというような問題を取上げて農林委員会で相当問題になり、当時農政局長はそのために靜岡縣に轉任をされたといういきさつがあると聞いておりますが、速記録を私調べませんが、政府においてはそういう事情も調査されたかどうかを伺いたいと思います。それから監事の問題でありますが、監事は、公團法の十條に基いて、公團業務全般監査をする重大な任務を負うておるので、もつとも公平であり、しかも会計経理面については相当明るい人でなければならないし、肥料行政についてもまたエキスパートでなければならないことは当然であります。しかるに監事に予定されておると言われる佐成篤三郎氏の経歴を調べますと、昭和十二年に東京歯科医專を卒業された方であります。その後昭和二十一年に社会党常任書記をされ、同年九月には社会党中央委員をやり、同年十月には幹事になり、二十二年五月には社会党参議院事務局長となり、同年十二月十七日に農林大臣祕書官となり、二十三年三月三十一日に依頼免官になつておる方でありす。この経歴考えますと、肥料行政については何ら知つておらない。学校は歯科医專であり、その後は社会党書記その他事務系統仕事をやつてつて会社経理とか公團経理とか官廳経理についての経歴その他は全然認められない。また肥料に対する知識というものもこの経歴面からは全然わからない。かくのごとき者が、日本全部の肥料配給操作をし、最も公平でなければならない監事として適当であるかどうかということについて政府見解を承りたいと思います。特に監事は公平でなければならぬ。しかるに、社会に出てからはほとんど党の仕事だけに專念しておる方であります。もしこういうことが行われますならば、將來公團その他に相当政党人事というものがはいるおそれもありますので、政府はそうした点についていかなる考えをもつて予定されておるか。この点について伺いたいと思います。
  14. 山添利作

    山添政府委員 肥料公團人事に関する御質問でありますが、この総裁並びに監事の今あげられました人も、いずれも目下安定本部において審査をしておる段階に置かれておりますので、その点お含みおきを願いたいと思うのであります。総裁候補者としてただいまいろいろ審議されております鈴鹿和三郎氏の点でございますが、鈴鹿さんは昔から古い深川の肥料問屋であつた関係から、肥料に関する事情は精通しておられる。しかしながら、その過去における立場、それが現在並びに將來公團業務に適当であるか否かという点であります。この点につきましては、農林大臣鈴鹿氏に会つてみられて、それらの点はよく質されたそうであります。で、鈴鹿氏自身は、そういう昔のような観念は全然もつていない。なるほど昔は反産運動の一方の旗頭をやつたことはある。しかし現在、そういう考え、またそういう狹い視野からものをするという考え一つもない。長い間肥料に携わつて自分として、まあ相当年齡年齡でありますので、ひとつこういう仕事についてやれるならば御奉公をしてみたい、こういう心境にあるそうであります。それから統制組合理事をしておつたという点につきましては、公團役員になりますには、太平洋戰爭中全國的な統制團体理事なり幹事なりの職についておつた人は、公團役員になれないという覚書がございますので、その点に関しましては、いずれ安本の方で結論を出すと思います。鈴鹿さんの点につきましては、そういうことであります。  それから監事に推されております佐成さんのことでありまするが、経歴はただいまお述べになりました通りであります。監事要件といたしまして、肥料事情に精通しておるとか、あるいは経理に詳しいとかいうような事柄の要求されることは、そういう点がありますることが適当だと思いますが、しかし根本は、これは何事にいたしましても人柄、人格並びにその人のパレントの問題だろうと思うのであります。何よりも公正にして嚴格なる性格をもち、かつ監事の職務でありまするから、そろばんに詳しいということよりも、炯眼達識、廣い範囲にわたつて眼の届くような、そういう一種性格があれば一層望ましいと考えておるのであります。肥料はその機構といたしましても、各府縣公團の支所があり、さらに郡等に行きますと派出所があるというように、非常に復雜機構で、かつ多人数が働いております。また肥料そのものが非常にいろいろなことの起りやすい品物でございまするので、この公團監事といたしましては、全般にわたつて正しいことが行われると同時に、不正の起ることがないように眼をつけておるという役目だと思うのでありまするが、さような点におきまして、佐成氏は一つの特徴をもつておられるように私は考えておるのであります。なるほど、たまたま社会党に所属しておられたということはございまするけれども、ひとたび公團監事になりますれば、そういう政党政派という関係はないわけであります。もつぱら役人といいまするか、官廳の職員と同じに扱われる公團役員として働いてもらわなければならぬし、またそういうことだと考えておるのであります。いずれにいたしましても、このお二方とも公團役員に就任しますにつきましては、ひとり日本政府のみならず、関係方面同意も要することでありまして、その方の審査もあるのであります。從つて現在の段階におきまして、あまり立入つた事柄を申し上げることも適当ではないと思います。概略以上お答え申し上げます。
  15. 田口助太郎

    田口委員 先ほど來安本に行つて審議していると言われ、何か農林省では自信のないようなことを言つておりますが、公團法に基くと、任命権農林大臣であつて安本はこれに対して法律建前はないわけであります。いかなる権限で安本がやるか。公團法では農林大臣が任命する、しかも会議をするというような規定は方々にありますが、人事についてはありません。これは農林大臣責任をもつてしなければならない。農林大臣信念をもつて最も適当だと思つてこそ、はじめて安本なりその他に会議しあるいは同意を求めることが当然であると思います。從つて農林省は全國單位理事長をしたかどうか、またこれを出して向うで蹴られるかもしれぬとか、適当かどうかしらぬけれども、向うが認めればよいというような考え方で推薦するということは間違つておる。自分責任をもつと認識し、しかも法律建前を知るならば、明らかに農林大臣が任命することになつておるのでありますから、その選考については、もつと責任をもつてやらなければならないと思います。政府責任をもつて推薦しておるかどうか、絶対に向うから反対されないという確信をもつてやられておるかどうかということを承りたいと思います。  それから監事については、人格が円満であり識見が廣ければ、肥料行政はわからなくとも、あるいは経理は全然わからなくとも差支えないのだというようなことを政府委員は言われましたが、それは実に間違つた考えだと思います。特に肥料操作は非常にむずかしい問題であつて、相当技術的、科学的の見地から監査をしなければなりません。現在肥料公團で先日私が本会議で指摘いたしましたように、相当不正配給もありまして、嚴格にやらなければならない。また経理も非常に放漫であつて、本年度は聞くところによると、二億八千万円くらいの赤字さえ出しておるというふうに聞いております。相当これは監査に人を得て、会計面においても、もつともつとつつこんだ科学的の監査、監督をする必要があると思つております。しかるにかかわらず、経理の全然わからない、また肥料にも全然関係したことのない、ただ人格がよいからというだけでは、私は適格性はないと思います。從つて農林省考え方は、こういうものは將來とも大きな問題でありますが、そういう経理肥料行政もわからないというようなものを監事に、しかも監事は一人であります。そのたつた一人の監事かくのごときものを入れるということは失当である。特に理事というように複数制のものでありますならば、將來の見透しその他についての考え方の人も必要であろうと思いますが、これをたつた一人の監事が、経理肥料行政もわからない人が適当だとは、私はどうしても考えられない。最後にこの問題も安本その他と協議中であると申されますが、この人が農林省から最も適任だという信念のもとに推薦されておるのかどうか、ふたたびお伺いいたします。
  16. 山添利作

    山添政府委員 農林大臣責任をもつてやるのであります。やるのでありますけれども、今申しますように、いろいろな機関を通じ、いろいろなところの同意を得るという点がありますことと、それから資格要件等についてはそこにおのずから解釈の問題等もございますので、ただいまそういう意味において打合せをいたしておるのであります。それから監事の点についての御所説でございますが、もとよりこれは肥料にも通じ、おまけに経理のことにもよく目が届くという人が得られますればそれに越したことはございません。しかし先ほど申しましたように、肥料公團業務の性質から、不正が行われることなからしむるということが、監事の最も大きな役目と私は考え、ておりますので、そういうように非常に廣く、またいろいろな隅の方、あるいはもう少し露骨に申せば裏の方まで目の届くような、一種の才能をもつた人が、少くとも一人は必要ではないかと考えております。監事の定員は二名でありますが、そのうちの一人は、もし今申しますような人があれば、これまた非常に適当ではないかというように考えておるのであります。
  17. 井上良次

    井上委員長 この際先般本委員会より茨城縣栃木縣群馬縣雹害並びに病害の調査にまいりましたので、その報告を求めます。坪井君にやつていただきましよう。
  18. 坪井亀藏

    坪井委員 農林委員会は四日、五日、六日にわたりまして、四日の日には茨城縣、五日には栃木縣、六日には群馬縣、この三日間にわたつて、三縣の雹害最も甚大なる町村を視察いたしました。  その第一日の茨城縣でありますが、水戸を中心とし、なおまた内原を中心といたしました茨城縣におきましては、東茨城郡あるいは西茨城郡、このほかに那河郡、久慈郡、この四つの郡が相当被害を多くこうむつております。特に東茨城郡におきましては、下中妻村等は内原駅を中心としておりまして、最も被害激甚であります。ほとんど収穫皆無でありまして、麦の穂などは一粒もついておらない、しかも卵大、またはもつと大きな湯呑型以上の雹が降つたために、結局麦稈をたたかれまして、ほとんど疊を敷いたことくになつておるのでありまして、まつたく悲惨な現状を呈しておるのであります。おそらくこの下中妻村のびときは、全村ほとんど被害をこうむつております。特に麦ばかりではありません。タバコとかあるいはそのほか馬鈴薯あるいは一般蔬菜というようなものが被害をこうむり、その他果樹等も相当の被害をこうむつておるのであります。かような被害状況でありまして、私どもはまつたく雹害のいかに甚大であるかということが——水害と違いまして、水害は大体川の流域でありますが、雹害はほとんどその全地域に及ぼしておるというのが、特に違つておるのでありまして、しかも水害ならばある程度の収量は得られるというのでありますが、ほとんどこれは収穫皆無の状態であるというような現況であります。村へまいりまして、村長さん及び食糧委員、あるいは話係各方面のいろいろな地方事務所長、その他各位から、いろいろ調査の実情を伺いましたが、また数字的には細部にわたつて今調査中でありますから、追つてなお明細なる報告をするという現状になつておらます。いろいろ困つた問題がありますが、特に要望されておるような点につきましては、とにかく被害農家に特配を願いたいというような現況になつております。どうしても今後農家が大いにここで働くという上において、特配をもらわなければやつていけない。ほとんど麦を当てにしておつたものが、その麦が全滅でありますので、非常に食糧に困つておるという現状であります。なおまた営農資金といいますか、ほとんどあと作の甘藷のつるを買つて植えるという金さえも、現状では被害農家の手もとにない。何とか金を協同組合なり、その他から借りなくては甘藷のつるも買えないというような現状になつておることも、るる陳情されたのであります。そのほかいろいろ要望する事項はたくさんありますが、いずれまたあと書面で委細を報告いたしたいと思います。特に私どもが久慈郡の山田村に参りましたが、この村は昨年水害でもひどい災害を受けまして。また本年こうした雹害を受けまして、本年はもう自村だけでは立ち上るだけの力がないというようなことさえ、村長から申されておつたのであります。この村は五部落ありますが、そのうちの二部落半は麦作その他タバコ一切の農作物の全滅の状態であるという悲惨なる状態を見受けました。この雹害、なおまた併せて水害等をこうむりまして、まつたく被害農家としても困つて、何とかして立ち上りたいが、もう今後自力だけでは立ち上れないから、ひとつ政府のできる限りの援助を仰ぎたいというような要望が、村長を通し、地方事務所長を通じてあつたのであります。そのほか世喜村等においては、降雹と同時に相当の降雨量があつたそうでありまして、学校の子供が帰りぎわに二人が流され、そうしてそのうち一人はそのために死んだというような大水害があつた從つて田畑その他が流失または埋沒した箇所がありました。山田村等におきましても、私どもの見た部落においては、十数町歩が荒れ、また河川も荒れておつたのでございます。昨年被害を受けて、また本年こうした被害を受けているという現状は、まつたく私どもはお氣の毒にたえない。何とかしてこれは私ども帰りまして、農林委員会はただちに緊急にこうした対策について、特に委員会を開きまして、これら被害地に対する諸般の遺憾のない、要望にこたえるような努力をいたさなければならぬということを、痛切に感じてまいつたのであります。  一昨日は栃木縣へまいりました。栃木縣の下都賀郡水代村、藤和村、桑村、生井村というように順次参りました。いろいろ被害状況を調査いたしましたが、栃木縣の方は茨城縣から比べますと、比較的その被害の度が少いのではないかと思いますが、しかし赤かび病の病害の被害が特に栃木縣は多いのであります。ほとんど全縣に及んでいるという現状でありまして、被害については目下それぞれ調査中でありまして、そのうちにはこの調査のまとまつたものが出るのではないかと思いますが、これは降雹と同時に、なおまたこうした赤かび病が特に全縣にまたがつている。これは本年の氣候が降雨が多く、そうして低温であり、日照の日数が少く、非常に軟弱にできておる。そこに赤かびが蔓延いたしまして、ここ四、五日あるいは十日前ごろから、少しその徴候があつたが、どうすることもできなくて、一挙にこれが発生したというわけで、藥剤撤布等もやつたそうですが、一回程度で、その効果がなかつた。これで非常に減收になつたということで、いろいろ要望等がありまして、食糧不足の農家には飯米の特配を願いたい、あるいはまた供出割当の変更を願いたい。あるいはまた営農資金を何とかしてもらいたいとか、いろいろな要望がありましたが、とにかく栃木縣といたしましてはをむしろ雹害よりも、全縣を通ずればそうした病害の方が多いという現状のように見受けてまいたつのであります。  次に昨日は群馬縣へ参りました。最初に荒砥村、この村も被害が非常に甚大でありました。差にここにおいては養蚕等もやられておりますので、もう二日か三日で上簇するという養脅も、一、二割を除いて他はほとんどすべて捨ててしまつたというような現況であります。ここの村においても、いろいろこまかい説明等を承隣ましたが、昨年水害等の被害をこうむり、本年またこうした雹害をこうむつたということで、これまた村として立ち上れない。被害農家についてはぜひひとつ特配をしてもらいたい。あるいはその他肥料等の特配を願いたい。あるいは営農資金の問題、いろいろたくさんな要望等もありましたが、私どもは帰つてから、できるだけ御期待に副うべく努力をいたしたいということを申し上げてまいつたのであります。この村などは被害が非常に激甚であつたのでありまして、この村の村長さん等からもいろいろと進言がありましたが、やはり農家の被害のところにいろいろお見舞に行くと、婦人の方々はほとんど泣いておつて、ものが言えないというような現状にあるということを申されておりましたが、まつた食糧を失い、收入の道を失つた被害農家については、私どもも心から同情申し上げた次第であります。  次に勢多郡の上川淵村、下川淵村、佐波郡の上陽村、勢多郡の木瀬村、かような順序で昨日は被害甚大なるところを四箇村まわりましたが、群馬縣におきましてもこの地帶、この四箇村等はほとんど全滅の状態でありまして、木瀬村のごときはほとんど千町歩以上にも及ぶという現状で、まつたく被害激甚でありまして、村といたしましてはどうすることもできないということを、村長さんからも報告を受けております。これら各村をすみずみまで実は調査いたしたいと思いましたが、車もはいらないのででき得なかつたのでありますが、大体見受けたところ、全村ほとんど一本の麦も立つておらない。ほとんどたたかれており、しかも実は落ちております。しかし農家はもつたいないといつて、これを今拾い集めておるようでありますが、集めたものは全部しいなばかりで、鷄のえさにもならぬという現状でありまして、まつたくこうした村の今後の食糧ということについて、私どもは、どうしてもただちに特配等をしてあげなくちやいかぬと考えてまいつたのであります。そのほか縣廳等においては、長官並びに農務課長さん、食糧課長さん、あるいは各郡の地方事務所長さんからるる要望がありましたが、今までの農業災害の補償でありますが、昨年の共済金が一年経つてきた、こういうようなことでは困るから、本年はこのきまつた共済事業の補償金だけは、大体を見込んで先渡しをしてもらいたいというような要望が強くあつたのであります。まつたく私ども同感でありまして、何とかこれらの手を打つということも痛切に考えてまいつたわけであります。十月一ぱいまでの食糧のないものには、どうしても今後の農家の食糧増産に対しては相当量の保有米を必要とするという要望もありました。なおまた資金難でありますので、とりあえずどういう手を打ちましてもこの資金融通の途をひとつ講じてもらいたい。なおまた群馬縣などは農業会長の臼田一郎さんから要望がありましたが、何としても即効性の肥料を早く特配してもらいたい。あるいは家畜、家禽等の飼料を何とか特配してもらいたい。あるいは資金も、さきに申しましたように、被害農家一軒に五万円程度は最小限度で、五箇年無利子ぐらいで貸してもらいたい。こういう要望もあつたのであります。なおまた供出割当の補正を願いたい。また税金の減免を願いたい。この税金の減免等についてはいろいろ御意見もあつたようですが、特に強く要望されておつたのであります。そのほか、種子とかあと作についても、地元でいろいろやりましてできないものは、ぜひともこれらの種子とか種苗に対する斡旋、あるいは助成金等の交付を願いたい。主食の特配は特にお願いいたしたいというような、いろいろ強い要望等もありましたが、私どもが見てまいりました点におきましては、何としても群馬縣が全縣的にわたりまして、まつたく被害が劇甚であつたのに驚いたのであります。数字的に申い上げることは省きまして、いずれまた書面をもつて後から詳しい数字は提出いたしますが、各縣よりこれらの動かぬ数字が出ましたならば、それぞれ各方面と連絡をとりまして、そうしてこれらの要望に私ども委員会としてこたえたい、かように考えておりますので、どうか委員長におかけましては、速急に特にこれらの雹害等についての対策の緊急委員会をお開き願いまして、しかもこれには安本及び大藏省、あるいはまた厚生省というような、各関係省の閣僚並びに関係官に御出席を求めて、そうして過去のいろいろな対策というものはあまりにも手ぬるかつたということが、いろいろ要望等の中にもありまして、過去の視察等はまことにきき目がない、と言つては失礼だが、どうも調査はされたけれども、比較的効果が少く、まつたく期待はずれが多かつた。今度の視察だけはそういうことのないようにしていつてもらいたいという要望もたくさん各所からありました。私どもは、ごもつともだ、しかしながらまた要望される皆さん方も、一遍でなく、どうか根強く所期の目的を達するまで陳情あるいはまた要望されるようにお願いをいたしたいということを私ども申し上げておきますから、どうかひとつこの委員会におきましても愼重審議をしまして、今回の害雹がいかに激甚であつたかということは、われわれ視察した者といたしましてはほんとうに心から同情せずにおられません。どうかひとつこの委員会はこの被害農家が安んじて農業再生産のでき得るような方途を講ずるように、特にお願いいたしたいと考えます。時間がありませんので以上あらまし雹害あるいは病害等が関連いたしまして、被害が激甚であつたということを一般委員にも御了承願うと同時に、どうかこれらの緊急または恆久的処置について十二分にひとつ角度を違えまして、何とか速急にこれらの方々の安心のできるような方途を講ずるように、委員会としてお取計らい願いたい。  以上簡單でありますが三日間にわたる雹害及び病害の視察をいたしました経過について、その大要をかいつまんで御報告申し上げる次第であります。
  19. 井上良次

    井上委員長 ただいま報告されました雹害並びに病害等による農作物の被害の問題につきましては、明日午後一時より特にこの問題のために委員会を開きまして、関係大臣並びに政府委員の出席を求めまして、本問題に関する應急対策なり恆久対策について十分審議を進めたいと思いますから、さよう御了承を願います。  なおこの際特に委員外からこの問題に関連して業言を求められておりますが、許して差支えありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 井上良次

    井上委員長 それではまだあとに委員から質問が出ておりますから、発言者はごく要点をつかんで簡單に願います。最初に鈴木さん。
  21. 鈴木明良

    鈴木明良君 ただいま同僚議員からいろいろ御報告活ありまして、大体のことはよくわかりました。私は具体的問題を取上げまして政府の御理解ある御処置を願いたいと思います。特に被害のひどかつた水戸地方における雹害、茨城縣の結城、猿島、眞壁、筑また甚大であります。この病虫害になつた原因は、天候に左右されたことが一つ、また過燐酸肥料それから燐酸こういつた肥料の不足が原因となつております。一例をあげて申しますと、猿島のごときは平年作で大麦が十一万石、小麦が五万石、合計十六万石でありますが、今回の被害のために約四割半程度が減收になつたことが確認されるに至りました。その麦の状態はここに実物が出ております。あとでひとつ政府委員の方がよくこれをごらんくださいまして善処されんことを要望いたします。今日の食糧不足においてまことに私は憂慮にたえないものがあります。しかるに事前割当等が生じまして、猿島郡に例をとりましても、平年作十六万石に対して七万五千石の供出量があります。結城郡、眞壁郡その他の郡においても同樣であります。そうしてこれを計算上差引いたしますと、平年作にこれを勘定して、供出量七万五千石、これから七万二千石減收になりまして差引一万三千石残る計算になります。こういうことでは農家の保有量はほとんど皆無の状態になります。  そういう事情で他郡についても、あるいは他縣についても同樣のことが言えると思うのであります。明日あらためてこの問題を審議いる上においては、政府委員におかれましては、特に御留意くださいまして、この供出量の問題もひとつ考えていただきたい。こういうことを進言いたしまして私の発言を終ります。
  22. 井上良次

  23. 菊池重作

    菊池重作君 ただいま鈴木君から詳しいお話がありましたから簡單に申し上げます。わが茨城縣の麦作の状況は、この間視察に行つてくだすつた人たちによつて報告されましたけれども、この間の視察は大体雹害を中心にして、その他の病虫害は從になつてつたように考えられるのであります。なるほど雹害の被害は実に惨憺たるものがあることは申すまでもないのでありまして、これに対する対策を特に要望することは申すまでもありませんけれども、その後におきまして急速に病害が蔓延してきまして、わずか一週間ばかりの間にほとんど小麦が白く立ち枯れてしまつたというような状態にあるわけであります。これをよくごらんになつていただけばわかりますけれども、もしこの穗を落して乾かしましたならば、ほとんど皮だけになつてしまつて、ふすまだけしかとれないというような状態でありまして、農民は非常に落膽しております。そうして現在の供出量はとても出すことはできない。いつそのこと労力だけもらつてこれを全部差出すということでやつてもらいたいというような意向をもつております。中にはどうせ出せないのだからどうなつてもかまわないというような、自暴自棄に陷つておる者もあるのであります。こういう状態にあるときこれを放任しておくならば、それこそ今後の食糧増産に非常な影響を來すと考えられるのであります。從つて至急にこの病害の調査を徹底的にやつていただいて、そうして現在茨城縣に割当てられておるところの供出の割当を、ぜひとも改訂していただけるように、明日の委員会におきまして諸公の絶大なる御苦心をいただきたいと考える次第であります。どうぞ茨城縣の現状をお察しくださいまして、適当なる処置をいただきたいと考える次第であります。
  24. 成瀬喜五郎

    ○成瀬委員 議事進行について……雹害の問題につきましては、農民としての経験の立場におきましてまつたく御同情にたえないのでありますが、雹害以外の問題につきまして、徳島縣におきましても立枯れの関係及び雨量の関係におきまして相当量の減收を生じておるのであります。さようなことにつきましてはあすのことでもいいのでありますが、特にわれわれ政府の不当なる割当に基く農民の苦痛のほどを申し入れまして、それに対する対策を聽きたいと考えておるのでありますが、本日の委員会においては、両方を併せていかれるつもりであるか。この点もお伺いしたい。
  25. 井上良次

    井上委員長 大体先に坪井さんから報告されましたように、雹害の実施視察にまいりましたから雹害関係を中心にしておりますが、その視察にまいりましたときに、たまたま今菊地さんからお話がありました病害が非常に深刻なものがありましたので、その方も併せてできるだけ時間をとりまして視察をしてまいつたのでございます。從つて病害問題も一緒に明日は審議をしなければならぬと思つておりますが、ただ病害につきましては各村落ともはつきりした資料がまだ整つておりません。しかし雹害の方は大体において資料が整いつつありますから、これは至急に対策を立てませんと、後作その他の関係もありましていけませんから、先に雹害問題を扱いたいと思います。ただ病害の問題を扱います場合は、いずれ調査の上でということに政府は答弁されると思いますから、それでよろしうございましたらそれを一緒にその程度で扱いたいと思つております。もうあと一名だけ発言を要求されておりますから許します。石野さん。
  26. 石野久男

    ○石野久男君 ただいま農林委員会の視察の状況報告の中にもこまかく報告されておりますが、私の選出縣である茨城縣の雹害の状況につきまして、簡單に御報告申し上げまして、皆樣方の絶大なる御協力を得て、この雹害地農民の救済ためのに急速なる対策をおとりくださらんことを切にお願いしたいと思うのでございます。たれかが今度の雹害地を原始爆彈を受けた状況にあるということを言つておりますが、まことに農村におきましては家を除いてその他の物はすべて今度の雹害のためになくしてしまつております。そしてほとんどがあすの糧にも困るというような実情にあります。今ここに陳情にまいつておる方々も、後ほど皆樣方にいろいろとその実情を訴えると思いますが、実に農家におきましてみそ汁を炊くのにも、その中に入れる実がないというような状態にまでなつておるというこのことは、おそらくただ新聞や写眞等で見るだけでは、その実感がうつらないのではなかろうか。こういうように思われるくらい悲惨なものがある被害調査に当りました委員の方々の御努力とともに、皆さん方がこの問題をお救いになるにあたりまして、かつて廣島と長崎において受けましたあの原始爆彈の被害と同じ実情にあるという認識の上に立つて、御救済を願いたいと思うのであります。特に今度の問題は稻だけではありませんので、何と言つても今申しましたようにタバコだとか、あるいは桑園等主として農家の金銭收入の途であるすべての途が途絶えてしまつております。特に山間地帶におきまして、果樹園等をもちまして、農家の経済をこの果樹園から得ようとしておつたところは、柿の木はもうすべて枯葉だけになつておりますし、また実りつつあつた梅は全部落ちてしまつてつて、何らの役にも立たないような状態になつておる。特にタバコ産地であるような所ではほとんどタバコの苗が折角努力したにもかかわらず、全然跡方もなく消えてしまつておるというような実情にあるのが、現在この被害地の実際の状態でございます。どうかひとつ詳しいことはもうすでに調査團の皆さんが十分お究めになつておられまするので、こういうような状態にあるのだという概況だけを皆さんに訴えまして、皆さんの明日におけるこの御審議にあたりましては、こういう実情をよくお映しになつていただいて、その対策を立ててくださらんことを特に被害地選出の議員としてお願い申し上げたいと思つておる次第であります。よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  27. 井上良次

    井上委員長 この際お諮りいたしますが、ただいま御報告いたしました通り、今回の災害はきわめて甚大なるに鑑みまして、これが対策の徹底を期するために、また今後予想されます農業災害に対処するため、本常任委員会に農業災害対策小委員会を設置したいと思いますが、いかがでございましようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 井上良次

    井上委員長 ついては小委員委員長において一任願いたいと思います。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 井上良次

    井上委員長 後ほど御指名をいたすことにします。  さらにきの際、新繭掛目と新麦價格に関する緊急質問を要求されておりますから、これを許します。八木君。
  30. 八木一郎

    ○八木委員 政府は四日の閣議決定と称して、今回突如新麦の價格を発表しておるのでありますが、この新麦と同じ扱いをすると言われておつた新繭の掛目、すなわち新繭の價格に関しては、どうなつておるかということを質したいと思うのであります。まず農林省の蚕糸局長にお伺いいたしたいと思いますが、蚕糸局長は政府の名において、全國各地の業界、農民その他の公開の席におきまして、繭の掛目すなわち繭價格の決定は二つの方針をもつてこれに当る。その一つパリテイ方式であり、その二つは新麦と新どやがとの同じ扱いにおいて、同じ時期に発表していく。こういうことを公約せられておりまするし、私も直接間接にこの点をだめ押しいたしまして、さように承知をいたし、その筋においてもこの点は了解しておると言つておるのでありますが、これは事実今日においても変つていないかどうか、この点を第一点にお伺いいたしたいと思います。  第二点は、その價格決定の時期は、遅くも繭出廻り期までということになつて農民は待ちあぐんでありますが、すでに繭は出ております、値もきまらない繭を收奪されるのは忍びないところであるので、いわゆる前提價格とか称して、インチキなやりくり算段をいたした價格のとりきめをしておるということは、巷間傳えられるところから聞いておるのでありますけれども、この点は政府としてはいわゆる黙認をしておるのかどうかという点を第二点に伺いたいと思います。  第三点は、かような値段を見透して、一体いつになつたらこれがきまるのか、まずこの三つを蚕糸局長にお伺いいたします。
  31. 平田左武郎

    ○平田(左)政府委員 本年の本繭の價格につきましては、ただいま八木委員より御質問になりましたように、大体昨年採用いたしましたようなパリテイの方式によつてきめるということは、関係方問と打合せの上、すでに三月から、われわれとしては機会あるごとに御質問に應じてお答えしてまいつたのであります。と申しますのは、大体繭の増産をお願いいたさなければならぬのでありますけれども、その價格の見据えがおよそどうなるかということがはつきりいたしませんと、養蚕農民の諸君におきましても、どうなるか、昨年のような轍をふむおそれがないかという御心配があることと存じまするので、具体的の掛目は後日きめることといたしまして、掛目の決定さるべき方針は、大体昨年と同樣にパリテイの方式できめるのであるということを申し上げておつたのであります。そうしてそのパリテイの基礎となりまするものは、主食との関連におきまして繭價がきめられておりまするので、想定米價を基礎にしました麦の價格がきまりまする際に、そこに一応パリテイの数字というものが浮んでまいりまするので、それを採用するようにという氣持を現わしておつたのであります。決定の時期といたしましては五月ないし六月ということを申しておつたのでありまするが、從來から申し上げました方針につきましては、現在までのところまだ変更はいたしておりません。その通りの方針で進んでおるのであります。しからば麦について暫定價格がきまつたのに、繭についてなぜ價格をきめないか、こういうことに相なろうかと存じます。ところが麦の價格はパリテイによつた價格ではないのでありまして、暫定價格として、いずれ物價廳の方より御説明があることと存じますが、一種特別のきめようをされた價格が暫定的にきまつたのでありまして、これは嚴密の意味のパリテイ價格ではないのであります。從つて繭につきましても、そうした方式できめらるべきことを申し上げておつたのではないのでありまするから、本式のパリテイということできめなければならぬのでありまするが、しからば麦で暫定價格をきめたならば、繭もまた暫定價格をきめるべきではないかという議論が起つてまいるのであります。この点につきましても、われわれの方で内部的にいろいろ檢討を重ねたのでありまするが、麦は最終の生産價格であり、しかもそれは一手に政府機関によつて買取られるのでありますけれども、繭、それから生産されまする生糸については、現在までは日本蚕糸業会が一手に荘い取つてつたのでありまするが、すでに先般司令部よりも発表がありましたように、また農林当局においても発表いたしておりますように、近く問屋制度を復活育成いたしまして、生糸の取引について個人取引を開始しようといたしておるのであります。そうしておる際でありまするから、暫定價格と本式の價格と一本建にするということになりますと、個人間の取引のあとを追及してまいらなければならふということからいたしまして、差額の支拂というようなことについても、主食の場合と異つた複雜な場面が惹起せられることになるのではないかと考えまするので、麦でとられたような暫定價格、嚴密なパリテイでない價格を採用することについては、現在のところ少しこれは適当でないのではなかろうかという考え方を懐いておるのであります。  從つていつきめるかという第三の御質問の問題でありまするが、われわれとしては、すでに麦について暫定價格がきめられたような関係もありまするので、これはできるだけ速やかに、近い機会に決定することが諸般の情勢上望ましいのではあるまいかと考えておりまして、物價廳の方面とも内々連絡をしと作業を進めておりまするので、しかるべき機関の決定を経まするならば、あまり遠くない機会に御発することができるのでないか、かように考えておる次第であります。
  32. 八木一郎

    ○八木委員 ただいま第二にお伺いいたしましたのは、暫定價格はやる意思はないと言われますが、現実には暫定價格というか、前提價格というか、二千六百掛では一般のやみが一万掛もしておる今日、事利取引はないのであります。その実態が出ているのに、まだ暫定價格なしに、近い将來にきめるのだという農林省ののんきさ加減にはあれきざるを得ないのでありまして、実際に農民からいえば、坐つてつても一万掛くらいで賣れる繭を、政府に協力しようとして、値もきまらない繭を渡しておるのであります。麦がきまればそのときには繭の價格がきまつてくるのだという政府の言明を信頼いたして、今も変らないという政網の言明を信頼して、繭を引渡しておるのであります。この実態を見て、これをどうする。つき詰めていけば價格違反だということになつてしまうが、一体これをどうするつもりかということを、第二点としてお伺いいたしたのであります。これはお答え願いたいのでありますが、関連性がありますから、その前に麦と繭とがいかにも殿樣と足軽のように、麦の方はさつさと進んでいくが、繭の方は足軽で放つたらかされておるという扱いを受けるのであります。この繭をつくり麦をつくつております農民の側から見ますと、ここに優劣があつて、いわゆる特殊取扱を政府がしておるような感じをもつのでありますから、麦についてこれを所管されております物價廳の第二部長にお尋ねいたしたいのであります。麦と繭とは同じときに同じ扱いをもつてきめるということは、当初から了解済みであつたかどうかということを、第一点に伺いたいのであります。第二点は、閣議で決定されたと仰せられまする價格なるものは、どう解したらいいかという点を釈明していただきたい。
  33. 長谷川清

    ○長谷川政府委員 まず麦の暫定價格につきまして御説明申し上げたいと思います。  御承知のように農産物の價格につきましては、農家の購入品の價格との均衡をはかる意味合からいたしまして、農家購入品の價格から算出いたしまする農業パリテイ・システムに基いて計算するということでやつてきておるのであります。これをまた御承知のように、政府は近く全般的の物價改訂を行おうとしているのでありますが、実はその全般的の價格パリテイの基礎になります鉄道運賃等につきましても、現在國会で御審議を願つておるような状況でありまして、まだ最終確定を見ておらないのであります。從いましてあらゆる農産物價格の決定いたしまするその基礎をなしまするところの農業パリテイ・システムが、本日までまだ確定的にこれを見透すことができない事情にあるのであります。さればと申しまして、一方麦、馬鈴薯はすでに出廻つておりますし、食糧管理法の規定に基きまして、これをすぐ政府に賣り渡すというようになつておりますので、いつまでも價格をきめずに置きますことは、供米成績にも非常に影響を來すと考えまして正式の價格は農業パリテイがきまりましたときに正式にきめたいと思いまするが、その前に内渡的な意味におきまして暫定價格を設けることにいたしたのであります。その暫定價格の考え方は、農業パリテイ・システムとは全然関係なく、昨年産米が一石あたり千七百五十円というふうに決定したものがありますので、とりあえず今年の新しい麦はその價格、すなわち麦と申しまするのは小麦、裸麦でありますが、小麦、裸麦を一石当り千七百五十円で、内拂をしておくということをきめたのであります。この一石当り千七百五十円、一俵当りに直しますとこれが新聞等にも発表になりましたように、小麦及び裸麦につきましては六十キロ以上のもの一俵七百五十円ということになるのであります。それとまつたく同じ考え方におきまして、大麦につきましては一俵当り五百七十三円ということにしたのでありまして、これはたびたび申しますように、内渡價格でありまして、將來農業パリテイが確定をいたしまして、正式の價格がきまりますれば、その間の差額は、当然にその新しい價格がきまりましたときに農家に追加拂いをする、こういうふうに考えておるのであります。  それから繭の價格につきまして、麦等のいわゆる主要食糧の價格の基礎であります農業パリテイ指数と関連をしてきめられるということにつきましては、われわれもその通り考えておるのであります。おそらく近くきまりまする繭の価段につきましても、その農業パリテイ、すなわち麦に採用せられる農業パリテイによりまして、繭の價格も決定せられることと考えております。ただ農業パリテイの指数がはつきりいたしませんので、ちようど麦と同じように繭につきましても、すでに実物は出廻つておるのであるが、それに対して價格ができないという非常に困つた問題があるのでありまして、しからばこの際何か適当な農業パリテイを考えてつくるということも、これは実際問題としてなかなか至難なことでありまして、できるだけ早くきめたいとは思いますけれども、御承知のように鉄道運賃につきましても、今國会で御審議を願つておるのでありまして、あれがどうきまりますかによつて農業パリテイの指数も変つてくることに相なるのであります。ただわれわれの考えといたしましては、なるほど遅れますことは、これは農家に対する非常な御迷惑なことと存じますが、しかしまた一面新しくきまります價格によりまして、農家はまた來年の繭を生産し、あるいは來年の小麦、馬鈴薯を生産する、こういう立場にありますので、近く相当大幅の物價改訂があるということになりますれば、大体その物價改訂のきまりしたその物價改訂の指数によつて、繭の価段なり、麦の価段をきめることが実際にも合い、また農家経済にも都合がいいというふうに考えているのでありまして、指数の見透しが今のところはつきりいたしませんので、若干遅れてはおりますけれども、おそらくそう長くないうちに農業パリテイ指数も大体確定すると思いますので、もう暫くの間お待ちを願いたい。かように思う次第であります。
  34. 平田左武郎

    ○平田(左)政府委員 第二の御質問の点は、いずれ物價廳の方から有権的な解釈がおありになることは存じますが、繭の價格が農作物とのパリテイできまるということを申し上げているのであり、そうしてまた麦について一種のそうした措置がとられたことでもございますので、巖密な法的解釈については、またいずれ申し上げることにいたしまして、農民の方たちがそうした予想のもとに取引せられるということはあり得ることではないかと考えております。
  35. 八木一郎

    ○八木委員 今の御説明によりますと、繭と麦とは同じ扱いで一緒にやつてやるという政府の言明は、事実においてはうそになつたと私は承知しまして、その点の責任の問題はあとに残して質問を進及いたしませんが、ここに特に明らかに願いたいのは、事実人為價格はできない、机の上でパリテイというような数字の遊戯をしておつても、なかなかいつまで経つてもできない。まわりまわつて現在の政府が予算もきまらないで、政府事業さえきまらないことからして、労賃もきまらないということからいつて、これができない。しかしそういう数字の遊戯に追われて、人為價格ができないからといつて、がまんしてくれと言つても、太陽は東から西に毎日動いている。この自然を相手にしている農家が、自然の價格で取引をするのを阻止する責は、一体どうしてくれるか、待つておれ、今暫定價格だといつてそれで拂つてくれても、暫定價格では、これは上るかもしれないし、下るかもしれない。追加拂いができるかもしれないし、追加追徴をするかもしれないということは、理論上は納得できるかもしれない。やがて追加拂いをしてやるという。これを例でもつて具体的に言うならば、自然價格はいわゆるマル公の五倍になつているから、そのうち倍だけはやる。間違いないからというので倍でがまんする。そうしてあとできまるであろう價格に対して、インフレは高進し、金の値打は下がつてしまつて、泣いた子にあめをくれるような調子になつて調整金をもつて百姓をがまんさせるということを、毎年繰返している。これは今年だけではない毎年繰返している。この事実を見まして、いかに人為價格が無理であるか、自然を無視した操作をしているかということを、この際深く認識していただきまして、政府自体の農産物に対する価格政策については、これを契機とし、この問題を動機といたしまして、大いに考慮をいたして檢討してもらいたい。委員長に伺えばあした午後農産物價格問題の審議があるということですから、私はこれ以上追及せずにこれで打切ります。
  36. 井上良次

    井上委員長 実は明日物價廳から農産物價について、特に発言を求められておりますから、その報告を聽きました上で、農産物價に対する委員各位の眞劍な御審議を願いたいと思います。
  37. 北二郎

    ○北委員 今のパリテイ・システムの基礎でありますが、一体昭和九年、十年、十一年というのは、いかなる考えであれを基準年度にもつてきたか、これをお伺いしたい。
  38. 平田左武郎

    ○平田(左)政府委員 年次の九年、十年、十一年につきましては、大体昭和の初めのいわゆる不景氣な時代をだんだん回復してまいりまして、大分明るい経済にはいつてきたときであります。また一面戰爭の前でありまして、いわゆる戰爭経済にはいつておらないときでありますので、現在から振返つてみまして、日本経済が一應安定しておつたであろうと思われます時期は、最近におきまして九年、十年、十一年ごろが最もその時期にふさわしいというふうな考え方から、九年、十年、十一年がとられているわけであります。
  39. 北二郎

    ○北委員 よくわかりましたが、その九年、十年、十一年の農作物の價格に一体政府はいくら補助しておつたか、御存じでございましようか、この点をちよつと伺います。
  40. 長谷川清

    ○長谷川政府委員 その時いろいろ政府からの助成金が農産物に対してとられておつたということは承知しておりまするが、具体的にどういう品目にどの程度のものということにつきましては今承知しておりません。
  41. 北二郎

    ○北委員 私の調べたところによりますと、大体米だけで十億、政府は補助しております。そうしますと、一体九年、十年、十一年にこの十億を補助したところの農産物の價格というものは正しいものであるかどうか、この点をちよつとお伺いします。
  42. 長谷川清

    ○長谷川政府委員 九年、十年、十一年のころの價格につきましては、いわゆる生産費計算で一應経算してつくつたというふうに記憶しております。
  43. 北二郎

    ○北委員 その十億からの金を、たとえば米だけに補助しておつたところの價格を、今日もその比例にするのが正しいものであるかどうかということを私は聽いているのです。
  44. 長谷川清

    ○長谷川政府委員 農業のパリテイの項目のとり方につきましては、この委員会においてもいろいろ御意見があるように、あそこでとられている品目以外に考えられます問題はいろいろあるのであります。たとえば小作料のごときものを、あの項目にとることが適当であるかどうかというような問題であるとか、あるいは地租、家屋税その他の租税というようなものを、あの項目にとるかどうかというようなこと等、問題はまだあるというふうに考えております。しかしそういう問題は、さらにほかの問題ともいろいろ関係いたしまして、これだけではなかなか解決しにくい問題であります。またそれをどういうふうに解決するかということによつて、出てくる結果の数字が非常に狂うというふうにも考えられませんので、一應そういう点は現在のパリテイ方式の中にはとられておらないのであります。結果が非常に大きく狂うものにつきましては、もちろん愼重に考えなければならぬと思いますが、今申し上げましたように、いろいろ技術的に複雜な問題もありまして、一々の品目を取上げることは差控えているような状況であります。
  45. 北二郎

    ○北委員 私は今のようなことを聽いているのではなくて、昭和九年、十年、十一年、いわゆる主食の買入に困つて、十億も政府が補助しておつた。その補助しておつたところの農産物の價格というものは正しい價格であるか、正しい價格ではないかということを尋ねておるのであります。
  46. 長谷川清

    ○長谷川政府委員 その当時十億の金がどういうふうな目的に使われておつたかということにつきまして、ただいま正確なる知識をもちませんので、よく調べてからまた御別事をいたすことにいたしたいと思います。
  47. 北二郎

    ○北委員 まずその十億がたとえば米に補助されておつたものとすれば、そのときの價格というもらは正しい價格か正しい價格でないかということをお尋ねいたします。
  48. 長谷川清

    ○長谷川政府委員 もう少し具体的の事実を調べましてから御返事申し上げたいと存じます。
  49. 北二郎

    ○北委員 昭和九年、十年、十一年に十億も補助したところの價格は正しいか正しくないかということは、物價廳でわからぬですか。正しいか正しくないかということがどうしてわからぬ。この点。
  50. 井上良次

    井上委員長 政府の答弁ありません。
  51. 北二郎

    ○北委員 答弁できないことは当然だと思います。続いて質問いたしますが、私は昭和九年、十年、十一年の基礎年数というものは正しくないと思う。そこで十二年の七月が大体正しい時だと思いますが、この九年、十年、十一年をおやめになつて、十二年にもち越す考えはないか、十二年を基礎にする意思はないか、この点お尋ねいたします。
  52. 長谷川清

    ○長谷川政府委員 今具体的の資料等を詳細もち合せませんので、具体的には申し上げかねますが、現在のところ九年、十年、十一年をとることが大体妥当であろうというふうに考えておりまして、それをかえるという考えは今のところありません。しかしお話の十二年の点につきましては、一應十二年の具体的の数字がどういうふうになつておるものか。さらに研究はしてみることにいたしたいと思います。
  53. 北二郎

    ○北委員 それからパリテイ計算は、われわれは科学的の経算で賛成でありますが、パリテイ計算は私は物價廳で一つの部室でやるべきものでないと思う。これはどうしても生産者代表、消費者代表、労働組合、これらの代表が集つて、あなた方と協議すべきものだと思いますが、いかに感ずるかお伺いいたします。
  54. 長谷川清

    ○長谷川政府委員 具体的のパリテイ計算のやり方につきましては、これは調整資料をどういうふうに集めるかというような問題になります。この点につきましては、農村関係の、特にその方面に、御熱心な方々の御意見等をも、從來でもいろいろ聽いてやつております。また現在でも機会あるごとに、御意見なりあるいは資料の御提出をいただきまして、少しでもこのパリテイ計算が正確になるように務めておるつもりでおります。
  55. 北二郎

    ○北委員 私の言うのは、あなたたちがどつから資料を集めてきましても、物價廳が一つの部室で、ただあなたたち五六人できめるべきものでない、生産者代表も消費者代表も入れてきめるべきものだと思いますが、この点どう考えるか。
  56. 長谷川清

    ○長谷川政府委員 ただいま申し上げましたように、具体的の数字等につきましては、農村の代表者の各位の御意見等をも入れましてやつておるつもりでありまするが、ただこれを正式に——農林委員会なら農林委員会、あるいは議会なら議会というものと、正式にこれをやるかどうかということにつきましては、私は答弁する資格もないと思いますが、御承知のように現在の米價決定につきましては、関係方面意見等もありますので、そういうことを形式的にやることがいいかどうか、むしろ私は実質的に御意見、あるいは資料等がありますれば、お互いにそれをつき合わせて研究してみる方がいいのじやないか、こういうふうに考えます。
  57. 北二郎

    ○北委員 最後にもう一つお尋ねしますが、私はパリテイ計算というのは非常にいい計算の方法だと思いますが、昨年の米におきまして、政府は、パリテイ計算できめると言い、しかも出荷の時期をきめて——農村の自由販賣でない出荷の時期をきめて、しかも農村に強制した、それでパリテイ計算の原理からいけば、物價の値上りとともにこの差額を農村に返さなければならない、これが当然なパリテイ計算の原理だと思う。これが返されなかつたならば、パリテイ計算という言葉において農民をだましたと私は思うのですか、その点どう感ずるか。
  58. 長谷川清

    ○長谷川政府委員 パリテイ計算ではじきまして一旦米價決定いたしました後に、物價の改訂が行われた、しかもそれが大幅に行われたということについて、すでに決定せられました米價との間の関係をどういうふうに考えるかという点につきましては、これも少し理窟つぽい議論にはなろうかと思いますが、この差額を理論上、当然調整をしなければならないかどうかというようなことにつきましては、理屈つぽい議論をいたしますると、いろいろ議論はあろうかと考えております。しかしながら実際問題といたしまして途中で物價改訂が行われたいということにつきまして、何らかの処置を講ずることが必要であるというこにつきましては、われわれもできるだけそういうふうに考えなければならないと思つておる次第であります。
  59. 井上良次

    井上委員長 北君まだ続きますか。
  60. 北二郎

    ○北委員 委員長の言葉もありますから、質問を保留しまして、今日はこれで打ち切ります。
  61. 坪井亀藏

    坪井委員 蚕糸業会が解体されまして、その後新しい蚕糸協会が生れたのであります。各縣ともこの協会をつくつたようでありますが、いろいろ奨励金その他の関係は、各府縣は協会を通じて助成いたされるのかどうか。協会は任意組合でなければいけないのであるから、養蚕の農業協同組合を設置しなければならぬ。それができればその方で交付するという方針であるか、この点が今もつてはつきりいたしません。各縣としても、すでに年度も過ぎておりますので、いろいろ昭和二十三年度栃に対しての助成等もしなければならぬと同時に、また二十三年度事業の計画、收支予算等もつくらなければならぬ。これらの点について、蚕糸局としてはどんな考えでありますか、ひとつ御内示を賜りたいと思います。
  62. 平田左武郎

    ○平田(左)政府委員 中央の蚕糸業会の解体に関連いたしまして、また地方の農業團体の解体、改組に伴いまして、いろいろ過渡的の新しい問題が起つてくるわけであります。その間におきましてただいま御質問になりましたような、養蚕上の助成金の取扱いに対して、政府はどういう考えをもつておるかという御質問でありましたが、これは行く行くはいずれ農業協同組合の形において、正式の法人格をもつた團体が設立せられることと信じておりまするが、その正式の農業協同組合及びその連合会に至りまする過渡的の間の措置といたしまして、ただいまもお話のありましたように、養蚕協会というような形において、その空白時代を処理せんとする試みが行われておることも、これまたわれわれの承知いたしておるところであります。從つて助成金のもつ性質によりまして、政府助成金等であつて、はつきりした法人格がなければいかぬようなことがございますれば、それはまた別問題でありますが、いろいろな業者の團体等が取扱いまする復興施設というような問題に関しましては、それほど巖密に区別すべき理由もないことと存じまするので、新しい協同組合ができる先駆としての養蚕協会等が設立せられて、同一目的で運営せられるということでございますれば、これは業界のそうした復興施設の主体として適当な場合が多いのではなかろうかと考えております。
  63. 井上良次

    井上委員長 それでは農産物價の問題は明日さらに物價廳から発言を求められておりますから、その際疑問がある点については質問を願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時七分散会