○
坪井委員 この
農藥取締法案について質問いたしたいのでありますが、
提案の
理由といたしましては、末尾に「不良粗惡
農藥の出廻りが多く、
農業生産に支障を來す虞があるので、
農藥の
檢査取締を行い、
不良農藥を排除する必要がある。これが、この
法律を提出する
理由である。」とあります。もちろん不良粗惡な
農藥が出るというこの
原因を十分に追究しなくちやならぬと思いますが、ややもしまするとこの不良粗惡な
農藥が出てくるという
原因は、質よりも量というような点から、やはりないから何でもいい、まあひとつやろうということに私は帰着すると思う。私どもの
見解は、少くとも
家畜においてさえ、
家畜傳染病法において全部費用を
國家が負担して
家畜の
傳染病を
取締つておる。しかるにわれわれ八千万の食するこの
食糧に対する
ところの、しかもこうした
病虫害に対する
ところの
防除藥の
農業、こうしたものを今まで
國家で取上げずに、ただこれを民間任せで、しかもこれらに対して手を打
つていなか
つたということが、そもそも
政府としても手遅れじやないか、こういう観点から見れば、むしろこれこそ
國営で、しかも國がつく
つて必要なるときにおいて
防除を
國家が行うべきである。こう私は
考えておるのであ
つて、むしろそうなればこんな
法律は出さなくてもいいのじやないか。こう
考えていますが、しかし今窮余の一策で、不正なる物が出た場合の
取締りをするということも、
緊急処置として私はやむを得ぬ
事項じやないかと
考えております。
家畜でさえも
傳染病法において
國家が保障してすべての予防をや
つておるにかかわらず、
主食である
米麦その他甘藷、馬鈴薯一切のものに対する
病虫害についての
防除費なるものを、
補助費の一部くらいでこれをや
つていこどういうことが間違
つておる。またこれを
一般業者に任しておいて、そうしてただ
取締るなんということが、すでに私は姑息な
考えだ、こう
考えておるわけであります。こういう
見解についても一
應農政局長の御
意見を伺いたい。時間がありませんから、なお重ねて逐次質問いたしたいと思いますが、これが一点であります。
次にこの第一條の三項に、
製造業者及び
輸入業者、
販賣業者、
防除業者ということがありますが、十二分にいい質のものをつくるという上においては、この
製造過程の前において、
原料業者と言いますか、そうしたものをなぜ
登録させないのか。やはりいいものをとにかくも
つてきてつくらせるということになれば、それだけ不良なる、粗雜なる
藥剤が少くな
つてくる。だから
原料を扱う
業者を十二分に
取締らなければだめだ、私はこう
考えます。これらについての御
見解を飼いたい。
その次にこれが
登録ということを頻りに言
つておりますが、もちろん
登録すればそこで認証するとか、許可するということになりますが、なぜこれを
許可制にしないか。こういう重要なものについては、
登録なんかせずになぜ
許可制にしないかということをお尋ねします。
次に第
二條の四項にまいりまして、「
農林大臣は、
前項の
檢査につき、省令で定める
ところにより、
申請者から
手数料を徴收することができる」。とありますが、いやしくも
國家的に一つのこうした仕事をやろうというのに、
手数料などを徴收するということが根本的に間違いである。しかもこうしてことは
國家がみずから進んでやるべきだ。しかるに
手数料などとるということはも
つてのほかである。これについての御
見解をお伺いいたします。
次に第三條にまいりまして、「
農林大臣は、前條第三項の
檢査の結果、同條第二項の
書面の
記載事項に
虚偽の事実があると認めるとき又はその
書面に記載する
使用法により当
該農藥を
使用する場合に
農作物、
農林産物若しくは
使用者に害があると認めるときは、同條第三項の
規定にかかわらず
登録を保留して、
申請者に対しその
書面の
記載事項を訂正し、又は当
該農藥の
品質を
改良すべきことを
指示することができる。」これはまことに子供だましのような、子供に
飴玉をくれるような
簡單なことに
考えられております。こうした場合においては、これはどこまでも
虚偽のあ
つた場合とか、あるいはまた
被害があ
つた場合には、
責任をも
つて損害賠償をすると同時に、ただちに
業者をして廃業せしめる、
営業停止を命ずるというような、もちろん罰則にはあるでしようけれども、これは非常に軽い
意味にな
つておるが、この点はどういう
考えであるか、私はこれをもつと重く
考えなくてはいかぬ、こう
考えておりますが、この点伺いたい。
なおその次は第二項でありますが、「
前項の
指示を受けた者が、その
指示を受けた日から一箇月以内にその
指示に基き
書面の
記載事項の訂正又は
品質の
改良をしないときは、
農林大臣は、その者の
登録の
申請を却下する」そんな場合には一箇月なんて余裕をおかず、なぜ
即時にこれをやらないのか。不正があ
つた場合に、一箇月も経
つてから勝手なことをして、やはりそういう不正をするくらいな者は金をもうけてしまう。
即時にやらなければいかぬと思うが、この点はどうか。
三項にまいりまして、「
農林大臣は、前二項の
処分をするには、
農藥審議会の
議決を経なければならない。」こうありますが、私はもちろん
審議会の必要もあろう、そうして
即時審議会にかけるという場合と、場合によ
つてはもつと急な場合においては、
農林大臣においてただちにこれについて処置することができる。いわゆる
善後処置をすることができるということをなぜこれにうたわないか。こう
考えております。それについて伺いたい。
その次へまいりまして、第五條の
登録の
有効期間でありますけれども、「第
二條の
登録の
有効期間は三年とする。但し、同條第二項第二号の
事項中に
変更を生じたときは、
登録はその効力を失う。」こうありますが、これは時々刻々変
つていくし、やはり不正を
取締るということがありますから、やはり一遍
免許をと
つて、あるいは
登録したものを、居すわりで三年も放置するということは
ぐあいが惡いから、他の自動車の
免許証のごときも年に一遍は
車体檢査をや
つておるし、あるいはそうした
免許証の再交付を一年に一遍や
つていく。しかるにこれを三年もすえおきにすることはどうか、少くとも私はむしろこうした
重要性のあるものは六箇月目には
登録していく、長くても一年を超えてはならぬと思うが、これに対する御
見解をお聽かせ願いたいと思います。
それから
登録でありますが、
製造業者及び
輸入業者の
農藥の
表示ということがありますけれども、目的はいずれ不正からつくり出すものにと
つては、もうけさえすればいいのだ、高ければいいのだという者があります。なぜその中に
マル公厳守で、
價格の
表示をさせないか。私はこの三條の中にあるように、
製造業者とかあるいは
輸入業者、あるいは
販賣業者あるいは
防除業者は、なぜ
價格まで
表示をしないのか、やはり最終の目的というものは
價格というものが伴いますので、もうかるからやるのだというような最終目的は、不正
肥料を扱う者は
農藥の効力いかんというよりも、もうけいかんということでや
つておる
関係上、私どもの
考えとしては、そうしたものにも全部マル公
價格を明示するということがむしろ必要だと
考えるが、これらについいどんなお
考えをも
つておるかということであります。
そうして第十七條へまいりまして、「左の各号の一に該当する者は、これを一年以下の徴役又は一万円以下の罰金に処する。但し、違反行為に因
つて得た対價の額が一万円を超える場合には、罰金は、その対價の額以下とする」。左の各号がずつと一から三号までありますけれども、これは私軽いと思う。ただひとりもうか
つたとか、もうからぬとかいうことでなく、こうした一つの不正なる
ところの藥品を
製造し、輸入し、
販賣し、
防除をされて、ばかを見るのは結局
農家自体が
被害を受ける、その
農藥の代價をただもら
つたつて、多少の補助をされた
つて、それによ
つて被害があ
つた場合には、主要
食糧の全部、あるいはまたその大半にもしそうした
被害を及ぼしたときには、相当の補償をしなければいかぬ。こういうときにはもちろん
國家も
責任があるのだから、
國家でも
被害のあ
つたものについては相当の補償をしてしかるべきだ。結局
農業凶災の方にはちよつと今記憶がありませんが、虫害はいかぬが、病害の方は今度から認められることにな
つたようでありますけれども、
農業災害補償の方の
関係から見ても、こうした惡い不正藥品をつい知らずに散布した、いいと思
つてや
つたところが
藥害があ
つて農作物に大
被害が出た場合には、結局それを扱
つた業者に対して相当過重な刑に処す。と同時に、場合によ
つては
國家においても何か災害補償とか、そうした
方面に相当の補償をする必要があると
考えるが、そうしたことはどんなことにな
つておるか。これは重要な問題である。そうして一年以下の懲役は、少くとも五年以下の懲役、一万円以下というのは、十万円以下の罰金というくらいに、多きにも
つていかなければ効果がないと思う。うんとや
つて大いにもうけさえすればいいぢやないかということで、がさが少いから、もうけようと思えば、いくらでももうか
つてしまう。そういうような最初から不正
農藥を扱おうという精神から出ておるような者については、もつと重い刑に処するのが当然だと思うが、それらについての
見解を伺いたいと思います。大体以上であります。