○
圖司委員 きわめて
簡單に
農林大臣に御所見をお伺いいたしたいのであります。実は
山形縣の
供米に関する
事柄でありますけれ
ども、
山形縣は御
承知のように、全國第二位で昨年度
供米を完了いたしたのであります。ところで
山形縣最上郡の
西小國村という所でございますが、この村の
強権発動をめぐりまして、多少いざこざがございまして、その間
農林大臣と
縣並びに地方事務所、
村当局との間に、多少誤解があるのではないかと思われますので、その間の
事情を
農林大臣によ
つてこの際明らかにせられていただくということは、
供出制度を円満に遂行せしめる上において、きわめて重要な
事柄だと存じますので、そのことについてまず
事情を明らかにして、
大臣の御所信を承りたいと存じます。
この
山形縣の最上郡
西小國村というのは村長がきわめて進歩的な人でありまして、まず
個人別に
割当をするにつきましても、反收及び
反別等につきましては、きわめて
愼重なる
態度をと
つたのであります。あまりに
愼重な
態度をとりすぎたがために、あるいは事実に反するような結果が現われたかもしれませんけれ
ども、科学的な
基礎資料によりまして、まず
作付面積につきましては、
一筆ごとの実測をいたしたのと、反当
收量につきましては、粒数計算の
方法を新らたにと
つたのであります。そうしてその結果を食糧
委員会にかけたのでありますが、経過を日時によ
つて申し上げますと、昨年の九月八日に村の食糧調整
委員会に諮りまして、以上のような標準に
從つて割当を決定いたしたのであります。九月十六日に食糧檢査員と
農業会の
技術者と一緒になりまして、全地区の檢見を実施せしめたのであります。十月二十四日には
地方事務所から正式の
割当の決定をみたのであります。十月三十日には、さらにその
地方事務所からまいりました
割当決定書につきまして、村の食糧調整
委員会を開いて
審議し、十月三十一日に全部
個人別の決定をいたした。その際に申立期間を十一月の十日と決定いたしたのであります。そして十一月十五日には村の
割当量二千三十石の全部の供出完了をみたのでありますが、その際未完納者は十二名であ
つたのであります。しかしその後
村当局との折衝によりまして、だんだん未完納者は供出するに至りまして、一月十日にな
つて七名を残すに至
つたのであります。そこで食糧調整
委員会で、
最後に残りました七名に対して、どのような
措置を講ずべきかということについて協議をいたしたのであります。その七名の中の斎藤與助、菅寅之助という最も惡質と思われる者を除きまして、他の五名については、もう一回供出を勧告して、完納せしめたらよかろうということにな
つたのであります。一月三十一日には結局この五名のものも全部完納いたしまして、
最後に惡質者斎藤及び菅の二人だけが残りまして、その者に対して
強権発動の申請書を
地方事務所に提出して、
地方事務所がこれを受理したということにな
つたのであります。二月二十六日に至りますと、この二人のものは、
強権発動は不当であるという理由で、
地方事務所長に対して陳情いたしましたので、
地方事務所長はさらに
愼重な
態度をと
つて、村の食糧調整
委員会に対して再審査方を村長に通知いたしたのであります。三月六日に村ではまたまた食糧調整
委員会を開きまして、未完納者はもちろんのこと、
地方事務所からも、
村当局もともに列席いたしまして、いろいろと折衝いたしたのでありますが、依然として二人のものは供出をがえんじませんので、三月九日までの日限を切
つて、もしその日に至るもなお完納しない場合においては、
強権発動するということを
委員会において決定いたしたのであります。ところで三月十日でありますが、その九日までの約束の期限内に、依然として前記二名のものは完納いたしませんので、遂に
強権発動申請書を再び
地方事務所に提出して、
地方事務所がこれを受理いたしたのでありますが、三月十一日になりますと、
地方事務所長はこの二名のものに令書を通達したわけであります。ところが三月十七日になりますと、どうしたものか、全然
関係のない全國
農民組合の派遣員であると称する大須賀某と板垣某というものとが、未完納者を帶同いたしまして、
地方事務所に
強権発動は不当であるというような強硬なる陳情を行
つたのであります。三月十九日に、前々日の十七日の陳情に基きまして、さらに
地方事務所では
愼重な
態度をと
つて、村
農業会に出向きましていろいろ懇談をいたしたのでありましたが、どうしても全國
農民組合の大須賀某というものがあくまでも
強権発動には反対であり、同時にそうした令書に対しては應ずる必要がないということで拒否いたしましたので、やむなく
地方事務所は強権をも
つて斎藤と菅の両名の現に保管してあ
つた籾を差押えたというような
事情でございます。ところで問題はその後に起
つたのでございますが、どうしたことかその間の
事情は判明いたしませんけれ
ども、とにかく三月二十二日に突如
農林大臣名をも
つて強権発動しばらく待てという電報がまい
つたのであります。その電報はその後の調査によ
つて明らかにな
つたのでありますが、
山形縣の方にはまいりませんで、單に最上
地方事務所長及び
山形縣最上郡
西小國村長の両名あてにまい
つたのであります。
從つて地方事務所長と村長とは、とりあえず
強権発動によるもみの運搬は中止いたしまして、その間の
事情を明らかにすべく、縣当局に対していろいろ折衝いたしたのでございましたが、縣当局においては全然その間の
事情が不明であ
つたのであります。しかもその電文ははなはだ
簡單なものでありまして、單に
強権発動しばらく待てという電文でありまして、ま
つたく十分の意を盡しておらなか
つたのであります。それがために
農林大臣と第一線行政にある
地方事務所及び
村当局の間には、少からざる誤解を招いたのでございまして、それが本年度の供出に対して惡影響を來した店は少くないと認められるのであります。といいますのは、その後に至りまして次のような決議を最上郡全体の食糧
委員会が満場一致で決議しております。読み上げますと、「
山形縣最上郡
西小國村の
昭和二十二年産米未完納者に対する
西小國村食糧調整
委員会の申請に基く
山形縣知事の
強権発動に関して、三月二十二日突加最上
地方事務所長及び
西小國村長に対し
農林大臣が電報をも
つて停止を命じたことは、食糧管理法にもとるもので
供出制度を破壊するものと断ぜざるを得ないとともに、かかる指示を発せられるにおいてはわれわれ食糧調整委員は主要食糧の供出に関しその責を果し得ない事態に逢着したに鑑み、
農林大臣の責臣ある回答を求める、右
山形縣最上地方食糧調整
委員会満場一致をも
つて決議する、
昭和二十二年四月一日
山形縣最上地方食糧調整
委員会。」こんなような決議をいたしまして、携えて総理
大臣、
農林大臣、參議院議長及び衆議院議長にその間の
事情の説明に參
つたようなわけでございます。しかし先ほど來申し上げます
通り、こうした悶着が起きましたのは、
農林大臣と最上
地方事務所及び
西小國村との間に、どうも多少の誤解があ
つたのではないかと思われますのと、四月三日に片柳長官から縣の方に対して電報があ
つたのでありまするが、
強権発動をしたるものならば執行差支えなし、善後
措置しかるべく頼むという電報がまい
つたということによ
つても、その間決して
農林大臣の眞の意向というものが、
末端に行き届かなか
つたであろうということが、私
どもには想像せられるのであります。
そこでお伺い申し上げたいことは、右のような
事情は
農林大臣としてはたして眞に
強権発動という事態を止める意思でお出しにな
つたものであるかどうか、それともその間の
事情を
地方事務所なり
村当局なりにもつとはつきりさせることによ
つて、円満に
個人々々の
農民が納得して、
強権発動という事態に訴えないでも供出
制度というものを円満に遂行せしめる、こういう
意味において、
將來のことも案ぜられたる上でこうした
措置を講ぜられたのであるかどうか、もしそうであるとするならば、現在のところでは、片柳長官から縣に対して善後
措置はしかるべく頼むというような電報を発せられておりますが、
農林大臣と島てはただ
強権発動しばらく待てという電報を打たれたばかりで、その後の
措置について何らのこともなされておらぬというようなことで、
地方事務所なり
村当局としては多少わだかまりをも
つておるようでございますので、その間の円満なる解決策を
大臣から講ぜられていただきたいと思うのですが、そうしたお
考えがおありになるかどうかということが第一点でございます。第二点は全國
農民組合の派遣員と称する者が、かりそめにも村の供出の問題にまでさしでがましい口をきいて、そうして
村当局なりあるいは
地方事務所なり、また食糧
委員会というような、正式
機関が責任をも
つてなしておる
措置に対して、いろいろ干渉がましいことをやるということははたしてどうであるか。もしそのようなことがよしんば全農ばかりでなく、その他の
個人あるいはまた團体、そうした方面からもなされるというようなことになりましたならば、供出
制度というものは根底から破壞されるのではないか。私はその点を最も重要視せねばならぬと思うのでありますが、こうしたことに対しての
農林大臣の御所見と、この二点についてお伺い申し上げたいと存じます。