○大野
説明員 第一番の信越化学の問題につきましては、ただいま農政部長が申されました
通り私どもの監督が不十分でありましたことははなはだ遺憾に存じ
ます。ただ從來のごとく
肥料の余
つているときでしたら、あの
工場を一應完全に間違いなく確保するために努力することはできたかと思い
ますが、今
増産の時期であり
ますので、技術者を派遣して——私どもの技術者だけでは不安心だと思いましたので、日本
窒素肥料からも優秀な技術者を派遣して、なぜああいうことが行われたかということについて、主として技術的な面から檢討して、その結果——
もちろん
農林省の方では品質の立場からお調べにな
つており
ますので、私どもの方ではそれ以外の面から調べたところ、やはり設備が森さんが御覽に
なつたように旧式で、これで
増産するため相当むりな
生産を行
つたというところに
一つの原因があ
つたようであり
ます。御
承知の
通り、昔の石炭窒素ですと二〇%でしたが最近では一六であり
ます。もし一五、一三というものができた場合には、一六よりも品質は落ち
ますが、しかし一三でも
肥料としては使え
ます。しかし生のままで出せば農民をだましたことになるから、一三ができるなら、はたしてそのできる裝置があるかどうかということで、二週間にわたつと檢討いたしましたところ、今の技術者の見方では誠意をも
つてやれば一三%、一四%、よい原料がはいれば一六%のものもできるという見透しがつきました。そこで
増産の上から、品質の惡いものをよいと称して再び出すことのないように、技術上できる見透しがつきましたので、これを動かしたいと思いまして、
会社自体の方針はどういうものかというところの案を向うに立てさせて、私どももそれを檢討いたしており
ます。御
承知の
通り信越化学には二つの
工場があ
つて、
一つは新潟にあ
つて、これは優秀な
工場で、
工場主もしつかりしており
ます。そこでそこに三十名の技術者と工員の職長級の者をいれて、古い設備ではあるが、一生懸命やればできるということの見透しがつきましたので、ただいま行わさしており
ます。その後最近までの分析の結果を取寄せて見
ますと、誠意をも
つてやれば合格するものができており
ますので、今のところ、その実績のある期間は続けていきたいと思
つており
ます。
次に
会社自体の人事の問題であり
ますが、これはどこまで本社と
工場の現場とに
責任の範囲があるかということについては、檢察廳でや
つていただくよりしかたがないので、その結果をまちたいと思い
ますが(あくまでも本社に任したものならば、本社が当然その
責任を負うべきものであり
ます。なおああいう大
事件を本社が知らなか
つたということでは済まない、さような
会社内部の機構は、私どもとしては從來においてもまた今後においても受解れない。またそういうことを知らなか
つたというのでは済まぬので、その機構もかえ、人も入れかえ、技術者もいれかえるということで進んでおり
ますので、しばらく改悛のあとの実績を私どもよく観察して、万々一再びさようなおそれのあるときには、
肥料増産の見地からは多少困ることがあ
つても
生産を止めなければならぬと思
つており
ます。今はさような状態ですので御了承いただきたいと存じ
ます。
二番目の深夜
電力の問題であり
ますが、仰せのごとく深夜にな
つてどかどかと來られても、その
工場の能力上つかえる。大体
肥料工場の大部分は八時間三交替で二十四時間運轉をしており
ます。特に石炭窒素のごときは、カーバイトをつく
つて貯藏しておき
ますと、カーバイトから石炭窒素にいくときの
電力はごくわずかで、トン当り数百キロワツト・アワー、カーバイトをつくるまでがトン当り四千キロワツト・アワーであり
ますので、できるだけ深夜
電力の余
つたものでカーバイトをつくらしており
ます。
電力の貯水池のようなものであり
ますが、それにまわすようにしており
ます。なお
硫安の
工場におきましても、むしろ今は逆に深夜の方が
工場をフルに動かして、晝間はもら
つた電力だけで賄
つており
ますが、今年の第一・四半期におき
まする
電力は、
安定本部の方から配当を受けたものが約九億キロワツト・アワーでそのほかに八千五百別にもらうことにしており
ますので、約十億キロワツトアワー、そうし
ますとこれは進駐軍、家庭等を除き
まする全産業用の三割で、これを
化学肥料だけで食うことになり
ます。かような
肥料だけに全産業にふり向ける
電力の三割をと
つて、なおかつこの上ということになると、これは日本産業全体が麻痺するという、全般を見る人の立場からの意見もあり
ますが、私どもは五貫五百を
約束したからには、それに必要な
電力は
政府が五貫五百を破棄するといえば別ですが、そうでない限りは絶対必要であるということで、その
電力は今確保いたしました。その以外に深夜に余
つたものをもらうことにしており
ますが、基本的のものにつきましては一應
電力の確保をしており
ます。
それから第一四半期の
計画の実施であり
ますが、これは昨日局長から申し上げましたように、昨年一・四半期の
配給は、
農林省の御
説明もあ
つたと思い
ますが、六十七万トンに対して今年は百五万トンですから、倍まではいきませんが、五割以上の相当大巾な今年の
割当にな
つており
ます。詳細は
安定本部から御
説明があると思い
ますが、これだけのものはぜひ農村に渡したいと思いまして、多少の危惧もありましたが、当時輸入も相当あるという見込みでありましたので、輸入等の点を鑑みまして、安全ケースを多分にも
つておりました。この輸入につきましては
農林省からも一應御
説明があろうかと思い
ますが、だんだん輸入の方もうまくと申し
まするか、安全ケースを見てお
つたものがだんだん詰
つてきて、ぜひとも内地の
生産だけは
計画通り実績をあげていきたいと、こう思いまして先般來
安定本部と交渉しました結果、
電力、石炭、硫化鉱の
輸送、これはこの
計画に必要な数量だけは必ず出すということに話がきまりまして、これだけは係官できま
つただけでは困るから、閣議で
政府として確認してもら
つて、その確認した原材料を出さないところがあれば、閣議決定に違反することになるから、どしどじ進めていくという態勢にしまして、多分金曜日ころに閣議決定になろうと思い
ます。しかし決定になりましても、なおそれだけで安心できませんので、私どもあらゆる手を今打
つており
ます。第一に
電力につきましては、これは
政府の方針がきまれば、これに必要な
電力は
考えており
ますので、この点量は多いのですけれども、
電力のために
肥料の
計画に大きな齟齬を來たすことはないと思
つており
ます。異常の渇水が四月にあるということであれば別ですが、平年度の
電力であれば……。石炭についても相当大きな量ですが、これも三千五百万トンのベースにい
つており
ます関係上、
肥料部門に配当されており
ます石炭が落ちるということは、從來の経過から
考えてない。問題は硫化鉱、これに見合うだけのものが、
輸送とかがうまくいくかどうか、ここに実は多少危惧の念をも
つており
ますが、先般來鉱山局の係官が、各山々に
生産の督励に參り、出荷の方は鉄道の方と連絡をとりまして、約五割増の
輸送計画を、一應
計画数より殖して、これを山別に、
工場別に一昨日きめました。今の私どもの見透しとしましては、異常なる、特別なる大きな問題が起きなか
つたならば、この
計画は必ず実現していくという見透しでおり
ます。きのう申し上げました
数字のうちで、月別等局長は申し上げましたが、私どもはこれを確保する
数字で、これより少し
電力、石炭等が上まわ
つてもら
つており
ますので、五月から七月までの間におきましては三十四万五千トンとみており
ます。その確保が済んだら、一應私どもの
計画としては、
計画的には三十七万トンばかりを最低つくろう、それだけの原材料を手当して、万々一、二万トンぐらいの齟齬を來しても、この
計画を割らないというふうに今思
つており
ます。
次に、石灰石のか
ます積出しがあ
つたということですが、私どもさようなものを出した
工場があ
つたとすれば、これははなはだけしからぬ次第なんですが、石灰石が
輸送中水分を受けて裂けて、マル通で袋がないためにか
ますに積んで出すということが間々あ
つたと思い
ますが、あるいはさようなものであ
つたか、あるいは
工場からか
ますで出したか、その点はよく存じませんが、もし
工場から出すようなことがありましたら、これは私ども、今までは聞かなか
つたのですが、十分
注意いたし
ます。
最後の燐鉱石の問題であり
ますが、おつしやる
通り、從來クリスマスとかナウルとか、比較的よい品物がはいていたのが、今は二流、三流品が相当はい
つており
ます。これは実はざつくばらんに申し上げ
ますと、アメリカから全部今もら
つておるのでありまして、向うさんのいろいろな御都合で、必ずしも私どもの希望する、この品物々々というような選択のできない
事情であり
ます。從
つてこれせ何とか製品にする場合に、從來の過
燐酸に比べて肥効が落ちるということは困るから、製造の方法で、この肥効を過
燐酸と変らないようにしたい。いいのはクリスマス、フロリダあたりであり
ますが、いいものと惡いものとまぜて
配給しており
ます。從
つてどの特定
工場におきましても、不良な燐鉱石だけで製造するということは今のところありません。
それから輸入している二十二年度の数量でござい
ますが、これはきようちよつと
資料のこまかいのをも
つておりません。大体燐鉱石は今のところ在庫が約七十万トンあり
ます。一トンから過
燐酸二トンでき
ますから、過
燐酸に直し
ますと百四十万トン分あり
ます。今各
工場と、各港の上屋等にあり
ます。現在月々つぶしており
ますのが三万五千トンくらいであり
ますから、今の調子でまいり
ますと、約二年分近くのものが在庫いたしており
ます。これは至急処理して農村に
配給したいと思うのですが、燐鉱石に食わす硫酸があるのです。この硫酸のもとは硫化鉱です。この方が足りないものですから、今燐鉱石が余
つておるのです。硫化鉱からできた硫酸を
硫安につくらそうか、過
燐酸にしようかというのが私どもの
生産計画になるのですが、これは
農林省の方の御
計画によりまして、
窒素肥料十に対して、過
燐酸石灰は七とか八とかいう割合がありまして、その割合において
硫安をつく
つており
ますから、少し燐鉱石が残
つており
ます。過
燐酸につきましては今のところ原料を抱えておると思い
ますが、硫酸を極力
増産いたしたいと思い
ます。
工場別の
生産、燐鉱石の数量、これはあとでひ
とつお届け申し上げたいと思い
ます。