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1948-03-22 第2回国会 衆議院 農林委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年三月二十二日(月曜日)     午前十一時四十八分開議  出席委員   委員長代理 理事 大島 義晴君    理事 鈴木 強平君 理事 森 幸太郎君    理事 萩原 壽雄君 理事 北  二郎君       黒田 寿男君    佐竹 新市君       永井勝次郎君    成瀬喜五郎君       野上 健次君    細野三千雄君       小林 運美君    佐々木秀世君       関根 久藏君    圖司 安正君       寺本  齋君    中垣 國男君       堀川 恭平君    八木 一郎君       重富  卓君    田口助太郎君       野原 正勝君    益谷 秀次君       梁井 淳二君    山村新治郎君  出席政府委員         商工事務官   和田 大郎君  委員外出席者         大藏事務官   正示啓次郎君         大藏事務官   忠  佐市君         商工事務官   大野 數雄君     ――――――――――――― 一月二十七日  家畜用血精類取締法案内閣送付)(予第三号) の審査を本委員会に付託された。 二月二十三日  十三湖及び小川原沼干拓事業費國庫負担請願山崎岩男紹介)(第一〇号)  愛別村に代馬購入資金國庫補助増額等請願小川原政信紹介)(第一九号)  新得町農業会経営澱粉加工工場原料割当配給請願坂東幸太郎紹介)(第二二号)  牛乳の公定價格改訂請願加藤シヅエ紹介)(第二三号)  トーツル沼干拓工事促進請願永井勝郎紹介)(第二六号)  新川沿岸農業水利改良事業継続施行請願舟崎由之君外三名紹介)(第二九号)  島根縣風水害耕地復旧費補助金増額請願生越三郎君外二名紹介)(第三三号)  北海道アイヌ族所有農地に対して農地適用除外請願三好竹勇紹介)(第四七号)  乳幼兒ピーナツツミルク原料としての落花生対策に関する請願野溝勝紹介)(第五五号)  公団式食糧配給統制反対請願外一件(石井繁丸紹介)(第六七号)  曽根干拓事業施行請願成重光眞紹介)(第七七号) 三月十六日  北海道土功組合事業國庫補助請願北二郎君外九名紹介)(第九四号)  幾春別川水利事業國営に関する請願北二郎君外九名紹介)(第九五号)  五十沢村地内林道開設請願田中角榮紹介)(第一〇一号)  浜松市に競馬場設置に関する請願川合彰武紹介)(第一一八号)  農藥取締法制定その他の関する請願野溝勝紹介)(第一三一号)  北海道土地改良客土事業施行請願北二郎紹介)(第一六二号)  薪炭生産農直結並びに自由販賣に関する請願坂東幸太郎紹介)(第一六四号)  森林整備に関する請願山名義芳紹介)(第一六五号)  勇拂原開発に関する請願三好竹勇紹介)(第一七五号) の審査を本委員会に付託された。 三月十三日  報奬肥料の是正に関する陳情書(第二号)  薪炭配給統制規則改正に関する陳情書(第五号)  農地改革事業に対し國庫補助増額陳情書(第六号)  早場米の奬励金制度改正に関する陳情書(第一〇号)  集團開拓地における地元増反緩和に関する陳情書(第一二号)  水源涵養林確保に関する陳情書(第一三号)  家畜衞生施設強化に関する陳情書(第一四号)  農業技術員指導農場整備拡充に関する陳情書(第二二号)  空俵空叺還元に関する陳情書(第三一号)  米麦の搗精度に関する陳情書(第三四号)  造林計画樹立各進に関する陳情書(第四四号)  燃料危機突破対策に関する陳情書(第四五号)  鼠族並びに昆虫駆除費全額國庫負担に関する陳情書(第五三号)  主食完全配給に関する陳情書(第五五号)  農地改革事業経費全額國庫負担に関する陳情書(第五九号)  農地制度改正に関する陳情書(第六四号)  造林事業拡充強化に関する陳情書(第七九号)  公団式主食配給統制機関説置反対陳情書外百三十四件)(第八  〇号)  農業災害補償法に関する陳情書(第八九号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  化学肥料生産状況並びに農業所得税に関する説明聽取     ―――――――――――――
  2. 大島義晴

    大島(義)委員長代理 それではこれから開会いたします。  公報で申し上げております通り、きようは化学肥料生産状況について当局より説明を聽取するの件、及び農業所得税の問題につきまして当局より説明を承りたいと思います。まず農業所得税の方を先に議題といたします。
  3. 正示啓次郎

    ○正示説明員 それでは実は先般本委員会にお呼びいただきましたので、参りまして、相当いろいろ御質問もございまして、また大藏省として考えておりますことは申し上げ、なお御要求によりまして資料を先般差上げ、これに関しましても、掛りの者が参りまして一應御説明はいたしておるのでありまするが、本日全般的な説明をするようにというお話でございまするので、一應私の方で目下農業所得につきましてやつております方針の大体を御説明申し上げます。  御承知のように、本年度の粗税收入が非常に予算の上におきまして大きな比重を占めております。これは單に農業所得のみならず勤労所得営業所得、いずれも非常な大きな比重を占めておるのでございまして、殊に本年度は御承知のように、申告納税制度が採用されまして初めての年になつております関係等もございまして、またこの制度に対する一般の御理解政府側における趣旨の徹底等においてもなお不十分な点もあつたかと考えるのであります。かてて加えまして、御承知のように税務官署戰爭中以來まことに人手不足に悩んでおります。かつて勤勉力行の模範とまで言われました税務署が、今日の状態はまことにおはずかしい状況なつておりまして、この点はわれわれ税務関係する者といたしましては、大方國民各位の絶大御同情を賜わりたいと考えておるのであります。とにかくそのような状況のもとにおきまして、非常に大きな税の徴收という仕事を課せられまして、できるだけの努力はいたしたつもりでございまするが、不十分な点等もあつたことは、これは認めなければならぬと存ずるのであります。  農業所得につきましては、國会でお定めになりました税法によりまして、各地作柄状況、地味の状況その他を基本といたしまして昭和二十二年度生産物からあがりまするところの一切の收入に対して、この生産をあげまするに必要な一切の経費を支出いたしまして、その差引金額をもつて所得といたしました。これに対しまして法律の定められたる税率において徴收するという方針をとつておるのであります。この点は基本的には何らわれわれといたしましては、税法の実際に定められましたるらちを少しも出ておることはありません。問題は前段申し上げましたような客観的ないろいろな事情、また税務署における主体的ないろいろな事情、この事情の二つから生じますところの個々の結論が、いわゆる建前としては法律の定めるところによつておりまするが、結果といたしましてあるいは正確な資料に基かないような結果に相なつておる点もあろうかと考えるのであります。これに対しましては税法の定めるところによりまして、審査の御請求がございまする場合におきましては、税務署においてはその御請求に示されました資料によりまして再調査をいたし、誤謬につきましては躊躇せずにこれを訂正するという方針のもとに、目下進んでおる次第であります。しかし御承知のように、すでに勤労者は毎月々々の赤字の中から源泉徴收によつて所要税額を納めているのでございます。農業者方々におかれましても全般的にはどうかこの勤労者の、または正確に申告をなされました方々負担されましたところの現実負担と、農業者方々負担をされるものが実質的に変らない負担であります限りは、なんとしてもこれをお納め願わないことには、本年度予算に定められましたいわゆる健全財政ということも一片の画餅に帰してしもうことに相なりまして、インフレの怒濤の中に何もかも失つてしもうというようなことでは、まつたく國会せつかくつくりになりましたりつぱな予算りつぱな税法というものがなんらの意義をもたないことに相なり、この点につきましてはなにとぞ議員各位におかれましても、根本的方針につきましてはすでに皆樣方のおつくりになりました方針によつておるということを重ねて御確認願いたいと考えるのであります。われわれといたしましては、先ほど申しましたような惡條件のもとに、とにかくベストを盡くしていく、その結果起りますところの間違いは、どこまでも間違いとして謙虚にこれを直してまいりたい、かような意味で進んでおりますことを重ねて申し上げまして、御理解をいただきたいと考えるのであります。時間もございませんので簡單にわれわれの基本的心構えを申し上げまして御参考に供します。
  4. 大島義晴

    大島(義)委員長代理 今の御説明に対して御質疑ありませんか。
  5. 森幸太郎

    ○森(幸)委員 ただいまの御説明では詳細のお考えよくわかつたわけでございますが、反当收入というものはもちろん各地府縣におきましても、縣内部でいろいろ差等があるわけでありまして、これが税額をきめるのに最も重要な点でありますが、反收に対してはどういう標準によつておきめなつておりますか。
  6. 忠佐市

    忠説明員 ただいまの御質問でございますが、方針といたしましては個々農家の実收高による、かような方針なつております。但し個々農家につきまして、実際の收穫高を個々に判定することは非常に困難でありますので、なんらかの一つ基準をみつけることになるような状況にございます。その点につきましては農林省の調査がございます、そのほかに各都道府縣調査もございますし、あるいは地元の各農業團体調査もございます。それらの正確と認められる材料によりまして檢討いたしまして、大体各村ごとあるいは部落ごとに收穫高を標準的のものとして一定の数量を求める、こういうような方式がとられておると思います。実情について申し上げますと、供出米数量とそれから保有米数量と合わせたものによつて收穫高をみるという地方もございます。その合計いたしまして收穫高につきまして、多少の増減をいたしておる地方もございます。これは結論的に申し上げますれば、個々農家の正確な実收高をとらえる。かような観点からいたしまして、各地方において実情に合うようなきめ方をする、かように考えておる次第であります。
  7. 森幸太郎

    ○森(幸)委員 これははなはだやつかいな問題であると思うのでありますが、なるほど大藏省においてはそういう方針でお進みになるのは当然な話なんですが、これが各末端へ行きますると、ほとんど補促でき得ないのだろうと思うのであります。これは供出制度がすでに推定的な実收高を予定して、それを基準として保有量を認め、その余剩米を供出さすというような方針なつているのでありますが、それが非常に收穫の厚い田も薄い田も、しまいには大体この部落はこのくらいなものだろうというような推定でやつているわけです。そこに今日保有量を割いてまで供出しなくちやならぬという裸供出の問題が起つて、非常に難儀している農村があるのです。そういう点からみましても、なかなかこれは政府の実際やられる上において苦しい点を思いますけれども、やはり実際に合うような收穫量を定めるということが、納得して農家課税應ずるということになるのであつて、そこに私は無理があるのではないかと思うのであります。これは一例ですけれども、漁業者税額負担が、推定でそうなんです。これは私の方は淡水魚でありますが、漁業会において生産高記帳を、いわゆる檢査をやつております。ところが檢査場へ出すと所得税をかけられるからというので、やみに流すというような癖があります。それでわれわれはこれは非常によろしくないことで、非常な賦課をされました場合に、お前は税務署行つて、私は絶対不正なことはいたしておりませんという啖呵がきれるか、そういうことが言えなければお前は不正なことをしているのだから、いたし方がないではないかと諭しているのでありますが、今後は必ず税務署行つて、この通りしか私は收穫を上げておりません、まじめに生産数量を記録しろということをやかましく言うておるわけであります。ところがその税務署のやり方を見ると、実に正直にやつた者が馬鹿をみて、やみで流した者は得をする。まじめに届け出た者はそれを基準にして査定されるという、こういうような点が多いのであります。現に、これは小さい河川漁業者でありますが、一年間まじめにやりまして十一万円以下です、それが十万円課税されている。そうすると一万円しか所得がない。これでは五人家族はどうしても食えない。けれどもほかの者もやつているのだからお前もこのほかにやみに流しているに違いない。こういう税務署の態度らしいのですが、こんなことならこれを隠して四万円か五万円としておけばよい。まじめに記帳してうそも隠しもない十一万円の報告をしたら、それに十万円の課税をされるということでは実に困る。こういう事実があるのであります。米にしても收穫高をつかむということは、神樣でないと無理かとも思いますが、その地方においても、部落においても非常に隔差があるのであります。それを常に調査するというところまで、親切に税務署考えてやつていただかなければ、納得した納税はできない。こういうことになろうと思うのであります。これは供出の問題と絡んでいるわけでありますし、統計が今はつきりいたしておりませんために、はつきりした数字をつかむということは困難な問題と思いますが、しかし調査してできないことはないのであります。これは納税者納税の義務をよく弁えて、眞に自分はこれだけの米がとれたのだという、きれいな清い心持でやれば、そこにまじめな税額がきまる。それに対してお前は隠しているのだろう。國民は何か納税に対して偽りを言うのだろうという、この先入感をもつて臨まれると、まじめな者がばかをみて、そう言われるのならうそをついた方がいいということになりはしないかと思いますが、その点について將來十分考慮を拂つていただきたいと思うわけであります。  なおもう一つこの際お伺いしたいと思いますのは、養蚕に対する課税であります。この納税者というものは、繭百匁もごまかしがきかないのであります。すつかり農業團体その他の手でおせわになつ供出するのでありますから、隠すことができない。しかも養蚕は繭の生産に対して課税されるのと、桑園に対して課税されるのと二つある。自分の桑でやる養蚕、その自分の桑に対しても税金をとられる。またそれを使つてつくつた繭についても税金をとられる。二重課税なつております。今日養蚕國際関係から申しましても、最も必要な事業でありますが、やはりこれが依然としてこういうことが行われているということは、せつかくつた繭が一粒も隠すことができない。桑畑には税金をかけられる。繭には税金をかけられる。これではとても自分の家計の助けにはならない。こういう不平を聞くのでありますが、この点については將來修正をしていかなければならぬと私は思うのであります。この点について、どういうお考えでありますか、お伺いしたいと思います。
  8. 正示啓次郎

    ○正示説明員 ただいまの森委員からのお尋ねにお答え申し上げます、前段申されました米の実收高に関連いたしまして淡水魚お話等もございましたが、この点は私たちもまつたく森委員のおつしやられた点に同感でございます。願わくは正しい申告ということが基本になりまして、それによつて問題なく正しく税がかけられるという事態が一日も早く日本にできることを望んでやまないのであります。まことに嘆かわしいことでございますが、御承知のような現在の経済情勢社会情勢なつておりまして、たまたま例外的に正しい方がおられましても、そういう方にもある程度疑いの目をもつて見るというふうなことをせざるを得ないような世相でございます。一日も早く基本が各人の正直な申告ということで問題が解決するというような事態がまいることを望んでやまない次第であります。しかしながらわれわれといたしましては、現在の世相のもとにおいても、各地から納税美談として種々情報がまいつております。ほんとうに正しい申告をされた方、また多少つり合い上自分の実際の所得より多いということになつた場合でも、進んでそれを納税して、むしろ大きなやみをやつているような者を、惡い言葉ではございましようが、つかまえるというような点に御協力くださつている方々もあるのであります。われわれといたしましては、これは例外的なものではない。それが原則となつて、脱税をする者がほんとうに例外である。そういう者を税務署としてはつかまえるだけで済むのだというような事態が、一日も早く実現するように祈つてやみません。それまではわれわれといたしましては、御注意がありましたような点をよく注意してまいりまして、税制の運営上できるだけ正直な方に御迷惑をかけることが少いようにやつてまいりたいと思つております。先ほど申し上げました通り、万一間違いがございました場合には、どうかこの点は率直にお申し出で願いまして、どこまでもはつきりした資料がございますれば、それによりまして税務署と御折衝を思いたいと考えております。  第二点として御質問になりました養蚕の問題でございますが、これは御承知通り桑園のためにいろいろ経費がおかかりになる。それらは一切経費として差引きをいたしまして、それから養蚕によつてあげられました收入と、今の経費との差額を見まして、これに課税するという建前なつておることは御承知通りであります。おそらく問題は、その経費見方等において現実の問題があろうかと思うのでありますが、建前といたしましてはさようにすることによりまして、二重課税にはならぬようになつておるのでございます。この点は御了解いただきたいと思います。
  9. 野上健次

    野上委員 先ほどの政府委員の御説明によりまして、さらにまた提出された資料等によりまして、大体本年度農業所得税に関しては、基本的な方針理解できたのでありますが、地方税務署管内において、必ずしも農家の反当收入決定が妥当でない向きが相当見られるのであります。私今度地方をまわりまして、しばしばそうした問題にぶつかつたのでありますが、同じ税務署管内において、しかも地味、地方耕作條件等が大体ひとしいにもかかわらず、甲の村においては三千七百円、乙の村落においては二千八百円といつたような、格段の査定の相違があるわけなのです。これをいろいろと地方実情について調べてみますと、どうもやはりその間に、はなはだ明朗ならざる動きをしばしば看取することができる。それは税務署に足しげく通つたところの町村の方が、きわめて安い査定を受けたというようなことを現に私は聽いてきたのでありますが、事実そういうようなことで未だ納まらないで困つているところもあるのです。なほ農業所得査定が非常に困難であり、しかも農家経済においてはきわめて非科学的に農家経営が行われておつて、殊に納税者自身がどれくらいの收入があつたかということを、明確にみずから計算して出せないような状況にある。そのためにお前のところはこれこれ收入があつたのだろうというようなことで、異議の申立てを持つていきましても、威されると、あるいはそうかなというようなところで、すでに收入を費消してしまつているような関係から、一應は納得して税務署を出てくるが、どうしてもそれだけの收入はなかつたというようなあいまいな点がありまして、実際には納めるものを持たないというような実情におかれているわけなのであります。そこで私は痛切に感じたのでありますが、これは今御説明もありましたように、税務署側においてもいろいろ主体的な要件として思わしくない、嘆かわしい状態におかれているというようなことでありますけれども、同時に少数の人員をもつて多くの仕事をやつていかなければならない今日において、もう少し納得をして納められるような組織機構というようなものをお考えなつているかどうか。農村民主化運動が第二次農地改革につれて着々として進みつつありますが、これと並行いたしまして、新たに農業協同組合運動等が進み、ようやくその緒についたときでもありますし、同時に國家財政の基礎を培つていく上におきましても、農村の負拒する面というものは非常に大きな面がありますので、私は特に後れた農村経営を、常時明確に把握していくというような、同時にまた納税にあたつても、大体納得して納税できるような機構をここに考えなくてはならぬのではないかと思うわけであります。そのためには協同組合であるとか、あるいは農民組合であるとか、その他從來は納税組合等がありましたが、きわめて民主的な一つ納税指導、あるいは收入調査とかいうことをするところの組織考えられたらどうか、かように思う次第であります。これに関する当局側の御意見を承つておきたいと思います。
  10. 正示啓次郎

    ○正示説明員 お答え申し上げます。御指摘のように基準といたしましては、先ほど申し上げましたようないろいろな資料をもとにして基準を立てます。しかしながらどこまでも農家の直接御申告なつたものが基本なつておりますことは、税法に定められた通りであります。実際の実情は御指摘のように、個々農家におかれましては、記帳等もなかなか十分におやりになつていないということは、その通りであると考えます。そこでやむを得ずできるだけの資料を集めまして、税務署の方で調査したところによつて決定をいたしておるのでありますが、その際御指摘のように、町村間にある程度のでこぼこがあるというふうなことも、あるいは実際そういうこともあろうかと考えます。これにつきましてはわれわれとしては、更正決定というのは五箇年間できることになつております。安過ぎるものについては、なお五箇年間更正決定をやるという建前なつております。なおそのお言葉の中に、税務署の綱紀の問題に関連するようなお言葉がありましたが、これらの点につきましては、どうか十分看視の目を光らせていただきまして━━今日は税務署としましても、よほどそういうことはできにくくなつておることは、私が申し上げるまでもなく御理解いただけることと考えるのであります。現在の税務職員は、非常に民主的な動きをいたしております。署長あるいは課長が独断でもつて勝手なことができない、そういう税務署実情なつております。しかしながらこの点につきましては、なお例外的にそういう問題がございまして、綱紀問題が起るようなことになりますれば、まことに遺憾でございますが、具体的に御指摘願いたいと考えるのであります。  なお第二にお話になりました一つ組織機構考えて、納得ずくで税が納められるように改善したらどうかという御意見でございますが、この点につきましてはまことにお言葉通り、われわれとしてもできるだけそうもつてまいりたいと考えるのであります。ただ御承知のように、団体交渉ということは一切禁ぜられておるのでございます。これは一方においては、ボス的存在の排撃という民主主義の根本的な制度との関係上、団体交渉は一切認められておらないのでございます。そこで現在といたしましては、われわれは各地協同組合——今度農業会が解散されて協同組合となるのでありますが、そういう組合の方からは、参考資料は十分いただき、また御意見は十分お聽かせを願うという方針をとつております。但しこの資料、この御意見によつては拘束を受けないという建前なつておるのでございますが、これらの資料なり御意見十分参考としまして、これによつて先ほど申し上げましたような調査の不備を補つてまいる、こういう方針をとつておるのであります。そういう方面につきましては、將來ますます意を用いてまいりたいと考えております。なほ現在といたしましては、從來市町村相当税務方面に御協力をいただいておつたのでございますが、これまた御承知のように地方自治制度との関連上、制度的にはあまりこれを公に認めてまいつておらぬのであります。しかしながら日本の地方行政の実情からいたしますと、府縣とか市町村というものが、いかに民情の把握という点において税務署等よりは進んでおるかということは、申すまでもないことと考えます。そこで運用上許される限りにおいて、市町村等の御協力も得て——これは制度的には認められておりませんが、運用上支障のない限りにおいては、これらの御協力を得てまいりまして、実情の把握に遺憾なきを期してまいりたいと考えているのであります。  それからもう一つ税務協力委員というものを、これは今のところ制度は初めてでございますので、十分機能を発揮しておられるかどうか存じませんが、とにかく税務協力委員方々を委嘱いたしまして、これらの方々からも種々御協力を得る態勢を整えているのであります。なおこれらの点につきましては、不備な点もあろうかと考えますので、將來國会等におきましてこれらの点の整備につきましては種々お考えをいただきまして、そういう方向にもつてまいつて納得づくで税を納めていくということは、私たちといたしましてもその通りいたしたい、かように考えている次第であります。
  11. 野上健次

    野上委員 いま一つ私は指摘したいことは、畑作の收穫査定にあたつて、たとえば都市近傍の畑耕作者、これらの收入と山村におけるところの、まつたく自家用のわずかの野菜をつくつているところの收入と同樣な比率で決定されているというようなこともあるのです。これは全般的には先般示された資料によりましても、大体格差のあることがわかるのでありますが、なおやはり地方的には、地方税務署に本省の趣旨が徹底していなかつた、あるいはそのせいかもわかりませんが、私は大分縣でありますが、大分縣の山村において都市近傍の農業者と同じような所得査定をなさるのであります。そうすると百姓は自分のところでつくるつけ物の大根一本が、都市とおよそ同じようなやみ價格の、一本五円にも査定される、こういうような状態であります。これは決して賣るものではなければ、また賣れるような環境におかれておらない。わずかに自家消費に充てるところのそうしたものすらも、そういう高い評價をされて税の査定がなされております。そういう点で現実に非常に税の過重に悩んでいることを見てきたのでありますが、これは私所轄の税務署長に是正を願うよう直接に会つてつてきたとこなのであります。大体において税務署におきまして今度の農業所得税説明が農民に十分どういうふうに申告を書き、どういうふうに所得を把握するのだということは、徹底しないような憾みを感じました。今後におきましては管下の各税務署を通じて、もつとこの税の性質及び事務的な方法等につきましても、この趣旨を徹底させる必要があるのではないかと思われますので、特にこの点はぜひ趣旨の徹底をはかられたいと思う次第であります。
  12. 正示啓次郎

    ○正示説明員 ただいまお話のように、今度の課税につきまして、その趣旨の徹底が不十分であつたというふうな御指摘でございまするが、これは初めに申し上げましたように、制度自体につきましても十分これを徹底させる点につきまして不十分であつたといあことは、私たちも認めている次第でうりまして、この点につきましては、先般國会の中心の租税完納運動中央本部というものが、やつと本年一月になつて結成を見たのでございますが將來はこの完納運動中央本部及び各地方本部の組織、それからその地方本部に設けられます委員各位の御活動にまちまして、十分これらの趣旨の徹底をはかり、また役所といたしましても機会あるごとに街頭に進出いたしまして、納税者方々と胸襟を開いてお話合いをいたす機関に十分もちたい。それにはどういたしましても、來年度におきましては税務署の拡充なり、素質の向上等必要な徴税費につきましては画期的な引上げを國会にもお願いをいたしまして税務署が不手足や、経費の不足で十分活動ができないということのないように、お願いいたしたいと考えている次第でございます。それから先ほど大分縣の実例としてお話くださいました点は、税務署お話くださつたのでその土地の実情は私たちには詳しくわからないのでございますが、御承知のようにまず農家でも米の生産者價格は一本になつております。野菜のいわゆるやみ價格等の問題になりますと、いろいろ都市近辺その他でその地方々々の実情によつて違う点もあろうと存じますが、一應われわれとしては、建前としてあまり大きなやみというようなものは考えておりません。從つて野菜等については一應の自由價格というようなことで、これはあまり縣内でそう違いはないものというふうに一應考えておるのであります。しかしながらその地方々々の実情はどうなつておりますか、その点は税務署とよくお話しくだされば結構でございます。
  13. 野上健次

    野上委員 野菜つけ物等の價格については、相当縣内においても開きがあるのです。  それから畜産関係收入見込が、これまた非常に開きがあるように思われますが、御承知と思いますけれども、牛馬のごときは市場にかけて正式の取引をするものはきわめて少い。一例を上げると大分縣の直入は牛の本場でありますが、從來年間三千頭から三千二三百頭のものが市場にかかつたのであります。今日では八百頭内外しかかかつていない。多数がやみからやみへ賣買されておる。しかもその間にばくろうあるいは無免許の牛馬商が跳梁跋扈して、これを正式にかけたときには税金で皆取られてしまうじやないか。それよりかわれわれの手でうまく処分しようというようなことで、やられておるような実情であります。そこで農家所得査定にあたつて、この牛馬の取引関係から見るところの査定額がきわめて大きな差を生じておりまして、税務署においては、これは署長の話でありましたが、殆ど戸別に調査して大体把握したということは言つておりますけれども、正当な認識が欠除した結果、これをやみに流しておるのでありまして市場へかけて正式に税を拂つた場合には、やみにかけてあとから徴税されるよりも決して損にはならないのだ。きわめて生産者にとつては有利であるというようなことをよく理解徹底をしめなければならない、かように感ずる次第です。これは單に大分の一例だけでなく、全國にもそういう例が多いと思いますが、今日肉牛が非常に高價を呼んでおりますために、そうしたやみ行為が多いのです。特に農業所得税に関しまして正確な收入を把握するためには、そういう点についても特に留意される必要があると思います。
  14. 正示啓次郎

    ○正示説明員 ただいま重ねて御指摘の点はその通り考えます。われわれとしてはやみに流すようなことをすれば結局損であるというところを━━損というか、何も不当課税をするわけではないが、正直に申告されたものは決して損をしないということを徹底させるようにもつてまいりたいと考えておるのであります。
  15. 野原正勝

    ○野原委員 農業所得税関係に関連いたしまして、特に山林課税の問題について伺いたいと思います。山林の課税は非常に把握しにくい点もありますが、最近の立木賣買、あるいはまた立木処理に対するいろいろな課税などは非常に殖えてまいりまして、ほとんどそのために林業問題が大きな暗礁に乘り上げて、伐採したあとに対してはだれも木を植える者もないということになつてしまいます。これは非常に困つた問題でありますので、特にこの機会に主税局次長に大藏当局考えを伺つてみたいと思います。御承知通り山林というものは、今さら論ずるまでもないのでありますが、それが伐採されるまでの期間というものは非常に長いのでありまして、植えましてからそれが收穫を得るまでの間というものは、長いものは五十年百年もかかるというものに対しまして、それを伐採いたしますときに、それに対する課税が遠慮会釈もなくとれらる。もちろん他の課税に比しましては、幾分か山林課税は税率は低くなつておりますけれども、年々收穫を見るような普通の農業所得であるとか、あるいはまた年に何回も資金の廻轉がつく、利潤のあがるようなものと違いまして、数十年に一回きりあがらないという山林の課税に対しまして現行の山林所得税法そのものも非常に、欠陷がございますけれども、なおそれを運用する面におきまして、山林課税というものの本質を弁えない税務官吏が、ただいたずらに所得される賣買の値段を適当に憶測いたしまして、相当に山林はやみなつておる、木材は相当やみ價格が高いというような市場の話を聞いて、山林所得者に対しまして、伐採のときには非常に高額の税金を割当てる。これは実情でございまして、今こまかな資料を持つておりませんから、具体的には申し上げられませんが、そこの点が非常に今日の林業問題を困難にさせ、ひいては昨年のあの水害の根本的な原因の一つなつておるのであります。これは今ここで根本的な問題をつぶさに論及しておる時間もございませんけれども、普通の農業所得などと異つて、林業の所得というものの特殊性を十分考えていただいて、現在の山林の賣買されておる値段に対しましても、十分実情考えた上で課税してもらわなければ困るのであります。御承知通り、今日本材の値段は、製材されて市場に賣買される値段は相当高くなつております。しかしながらこれが山林所得者の手にはいる場合に、どういうふうになつておるかと申しますと、非常に低いのであります。一般の物價がやみでどんどん上つておるようなときにおきまして、山林の所得は、その中間における輸送であるとか、あるいはまた製材のための労銀であるとか、ありとあらゆる中間における生産過程の経費に食われてしまいまして、実際上山を持つておる人たちに対して支拂われる金額は、非常に低いのであります。ところが、それにもかからわず生産されるいろいろな諸経費の高騰に対しては、きわめてそれを平面的に考えられて、そうして市場の値段の値上りをただちに山林の所得が殖えたかのごとく考えられることは、まことに迷惑千万な話であります。こういうことがしばしば行われますと、山を持つておられる方たちは、伐るとあとを植えることを考える者はないのであります。もちろん木を植えるくらいな人は從來相当に資力もあり、單に自分の一個の利害打算のみならず、これら自分の家を守る、あるいはまた一つの道樂で山をやるというような氣分の方もあつたのであります。最近では山林に対する認識が十分ありませんために、とかく冷遇されるということで、一面においては開拓地として開放を強要される、あるいはまた、たまたまそれを伐採すれば、不当な税金をとられるということで、山に木を植えようというようなことを考える人はほとんどなくなつてしまつた。こういうことで今日まさに國土荒廃の危機に直面しております。この状態で行きますと、日本の國は今後三十年か三十五年でもつて、まつたく丸坊主になつてしまう。これが年々の水害を発生いたしまして、おそらく國土は荒廃するという段階にまで迫つておるのであります。昨年の水害の結果を見ますと明かでありまして、これはなんとかして、あらゆる方面から山に木を植える、林業を振興するという方向に政策を向けなければならない。特にそれに対しまして決定的な力をもつておるのが、山林の課税問題であります。税制問題の改革なくしては、とうてい満足な林業の振興はあり得ないのであります。そういう点から考えましても、今日行われておる山林の課税に対しましては、税務当局はもつと林業の特殊性を十分の御認識になつて、その上で不当な課税のないように、嚴重に税務方面に御指示願いたい。私ただいまこまかな資料をもつてまいりませんので具体的に申し上げられませんが、各森林組合等におきまして、澎湃として森林課税の不当を難ずる意見が出ております。ただいま農業課税に対するいろいろな話が出ましたので、それに関連いたしまして、この点に対する主税局の方面のお考えを伺つておきたいと思います。
  16. 正示啓次郎

    ○正示説明員 ただいま野原委員から御質問の御趣旨は、私たちもよくわかつておりまして、山林所得につきましては、御承知のように税法上も、ただいまお話のような特殊の考慮が拂われておるのであります。問題は税法通りに運用しておるかどうか、運用が正しく行つていないという点についての御質問のようでございます。  この点につきましては、先ほど委員があるいはお見えにならぬ間でございましたが、私いろいろ今日の税の非常に苦しい実情さるる申し上げておるのでございまして、もし税務署におきまして、手不足その他調査の不行届の点で、税法通り課税が行われておりませんような具体的な事実がございますれば、これはひとつぜひ所要の手続をもちまして、審査の御請求をしていただくというようにもつていきまして、お互いに税法の正しい運用によりまして、國会でお定めになりました通り、山林の行政に対する政策が十分行われますことを希望する次第でございます。  なおただいまの御意見があるいは税法上なおそういう点につきましての配慮が足りないというような御趣旨でございますれば、これは税法改正の問題になるのでございますが、これは改めて國会で十分御審議をお願いをしなければならぬかと思うのであります。  われわれといたしましては、ただいまお述べになりました通り、山林というものがいかに重要であり、先般來の水害等に鑑みましても、山林の保存ということは國土の資源の保存の上からまことに重要であるということは十分考えてまいらなければならぬと思つております。これは單なる税法だけの問題ではないと考えまするが、全般にさようなことは十分認識してまいらなければならぬ。たまたま税法の運用上さよう点につきまして誤りを犯しました場合につきましては、個々に御指摘願いまして、審査請求をなさることを希望する次第でございます。なお具体的な問題等につきましては、何か資料等をおもちいただきまして、別にお話いただきますれば、十分拜聽いたしたいと思います。全体の方針としてはさよう考えます。
  17. 野原正勝

    ○野原委員 ただいまの御説明よくわかりました。ただ一点だけ伺つておきたい。この山林課税は技術的に見ましてなかなか普通の税務事務と違つてむずかしい問題だと思うのであります。実は私どもとしては、山林課税を正しく運営していただくためには、税務官吏の中にそうした林業に対する知識をもつた者がやはり必要じやないか。私どもいろいろ調べてみたのでありますが、林業に対して認識をもつた税務官吏が全國的にほとんでいないのであります。これははなはだ遺憾でありまして、農業に対しても、林業に対しても、正しい運営をしていただく以上は、そうした技術者——ほんとうに正しい税額、税源、課税技術の完璧を期する上において、そういう技術者、林業に対する十分な認識をもつた人を税務官吏に採用するということが当然考えられなければならないが、今まではほとんどそういうことに対して考慮が拂われておらぬのであります。私ども根本的な税制改革の問題に対して意見もございますが、それは國会仕事でありますので、また改めてやるわけでありますけれども、特にそういうようなことに対して、税務当局がそのくらいな認識、お考えをもつて今後進んでいただきたい。これは私から希望として申し上げておきたい。
  18. 正示啓次郎

    ○正示説明員 ただいま御指摘の点は運用上十分心掛けようということでございますが、これは先ほど農業について申しましたような一つの仕組として、御承知のように団体交渉はどこまでも認められないのでございまするが、関係の団体の御意見を伺うとか、また関係のりつぱな業者の方々を協力委員にお願いいたしまして、そういう方々の御意見を十分受入れて運用していくということは、まつたく御同感でございます。なおそれらの点について不備の点があれば、これまた一つ制度の問題といたしまして、税法改正等の機会に十分に御審議をしていただきたいと思います。
  19. 大島義晴

    大島(義)委員長代理 北二郎君。
  20. 北二郎

    ○北委員 先ほどの主税局次長のお言葉の中に、今度の納税に対して申告制であるとか、税制の通りにやるということを言われましたけれども、その中に大体正直者が例外だというようなお言葉がありましたが、これは一体どういう考えでそういうことを言われたのか伺いたい。
  21. 正示啓次郎

    ○正示説明員 私不用意のうちにそういうことを申し上げたかもしれませんが、先ほど森委員といろいろ話合をしております際に、正直に申告をした者がばかを見るというようなお話もあつたのでございます。実は私アメリカの実情をある程度存じておるのでありまするが、アメリカにおいては申告納税制度が非常に完全に行われまして、税務署といざこざを起すということがむしろ例外になつております。ところが今日日本の各地においては、この間も新聞に出ておりましたが、更正決定をやらなければならぬケースが非常に多いのであります。この更正決定というようなことが非常に少くなつて、むしろ例外ケースになることを希望する。こういう意味で申し上げたのであります。
  22. 北二郎

    ○北委員 私はあらゆる仕事の中で一番農業が正直だと思つております。この正直な農民に今非常に重税をかけておる。これを民主的にやるのにはどうしても農民の団体交渉ということによつて解決しなければならぬと思うのでありますが、先ほどのお話の中に、団体交渉はどうしてもできないと言われましたが、これはどこに根拠をおいて、この団体交渉ができないのかということをお伺いしたいのであります。
  23. 正示啓次郎

    ○正示説明員 これは北委員もよく御承知通り申告納税制度は一人々々の納税者の方が御自分所得を計算し、税額を計算して納めるという建前なつておるのであります。税法にはつきりそういうことになつております。またそれができない場合においては、やむを得ず税務署が更正ないし決定をいたしまして、各納税者に通知する。こういうことになつておるのであります。その間に団体が介入することは税法上認められておらないのであります。
  24. 北二郎

    ○北委員 しかし今やられておるところの農村課税状態というものは、非常に、何というか、大藏省なら大藏省の官吏が勝手氣ままにやつておる。農村意見など一つも聽き入れない。そこでどうしても農村の団体の力によつでこれを解決しなければならぬ。それにはどうしても団体交渉をする必要があると思うのでありますが、政府の見解はいかがですか。
  25. 正示啓次郎

    ○正示説明員 御意見税法の運用の主と税制の問題と両方の関連すると思うのでありますが、むろん國会において団体交渉というようなことが税制上必要であるということに御決定に相なりますれば、これは別でありますが、現在の税制は先ほど申し上げた通りに御決定なつておる次第であります。今日の更正決定が役所の一方的の資料によつて行われておる。これをまとめるには——團体交渉というお言葉の意味がどういうことかよく具体的には存じませんが、何か団体といろいろ折衝するというようなことも必要ではないかという意味でございますれば、先ほども申し上げました通り、われわれとしましては農業協同組合なり、また実行組合と申しますか、そういう組合意見、あるいは資料というようなものは、十分これは参考にしてまいらなければならぬと考えております。しかしながら現在の税制上は、団体と交渉いたしまして、個人々々の税額を団体と折衝してきめるということは税法上許されないことになつておりますので、これはわれわれとしましても、非常に從來からの制度の切替えとしては相当手数もかかり、骨も折れるのでありますが、これはしかしながら民主日本という一つの新しい制度のために税法もそういうことになつたものと心得まして、そういう点につきましては法律にお定めになつ通りにやつていかなければならぬ、かように考えております。
  26. 北二郎

    ○北委員 実はこれは私聞いた話でありまして、事実はわかりませんが、地方において農民がいわゆる税金がかかつてくるのが不当だと言われた場合に、これは議員がきめた、農林委員会がきめたということを地方税務署長が言つておるそうであります。私はそういうことを今までかつてきめたことはないと思うのでありますが、そういう指令を出しておるのでありますか。
  27. 正示啓次郎

    ○正示説明員 そういう指令はむろん出しておりませんが、われわれ役人は國会でお定めになつ税法を正しく運用する、それがわれわれ役人の職分であるということだけは心得ております。日ごろそれをモツトーにいたしております。運用上誤りがあれば、これを直すのが役人としての当然の責任である。しかしながらわれわれは國会でお定めになつ法律を、まげて税を軽くするということは許されないと考えております。
  28. 北二郎

    ○北委員 こまかいことはまた資料をもつてきてあすからやりますが、一体こんな税のかけ方では、農村は今の百姓を放棄しよう百姓は厭になつたという氣持になつております。一体こんなことをしておつて農村生産意欲を低下さした場合には政府はどんな責任を負うか、これをお伺いしたい。
  29. 正示啓次郎

    ○正示説明員 御質問は、私のようなへつぽこにはなんでありますから、これはひとつ別の機会に大臣あたりにお伺いしていただきたいと考えますが、われわれとしては先ほども申し上げましたように、われわれ月給取なり労働者は天引で課税されているのです。國会でお定めになる税法は、実質的な負拒において、これら勤労者農業者との間の均衡は十分お考えなつておやりになつたと思うのであります。われわれは毎月たけのこもし、赤字を出して税を納めているのであります。そういう客観的な日本の情勢によつて納めていくということは、これは農業者の方も営業者の方も皆同じである。かように心得ている次第でございます。
  30. 北二郎

    ○北委員 あとの質問はあすにいたしますが絶対的に正しい方法で私はやつておらぬと思うのであります。この問題について徹底的にお伺いしたいと思いますからてよろしくお願いいたします。
  31. 大島義晴

    大島(義)委員長代理 それではきようはせつかく商工省も出てきておりますし、この農業所得の問題と重大でありますから、明日午前十時からこれを継続することにいたしまして、きようは商工省の肥料生産状況をこれから御説明願いたいと存じます。和田化学局長さんどうぞ。
  32. 和田大郎

    ○和田政府委員 それではこの一月から七月にかけての春肥の生産見透しにつきまして御説明申し上げたいと存じます。  春肥の供給につきましては、昨年の秋、稻反当り平均窒素肥料五貫五百匁、燐酸肥料二貫目の配給を確保するという政府の公約がある次第でございます。これを確保いたしますためにこの一月から七月までにどの程度の物をつくる必要があるかということと申し上げをすと、まず國内向けの量といたしまして窒素肥料九十六万九千トン、それから輸出が六万七千トン余り、それに量目の欠けました場合の補填等も計算いたしますと、窒素肥料は百五万六千トン余りの需要があることに相なります。これは二十二年の春肥の実績に比べますと、二十二年度は國内消費六十六万七千トン、輸出が三千トンでございまして、合計六十七万トンでございますから、相当大幅の需要増に相なつております。それから燐酸肥料の方は國内消費といたしまして三十九万トン、輸出用といたしまして七万五千トン、これに量目の不足いたしましたものを補填するものを加えまして、合計四十七万六千トン余りのものが必要に相なるのでございます。これに対しまして供給の面を申し上げますと、窒素肥料におきましては、昨年からの繰越が二十二万一千五百トンと推定せられておりますし、輸入肥料といたしまして二十四万九千トン余りのものが予想せられております結果、生産を必要といたしますものは硫安におきまして五十二万二千九百トン、石灰窒素におきまして硫安換算十一万トンを必要とするのでございます。それから燐酸肥料につきましては、繰越が四万六千トンでございますので、生産といたしまして五十一万六千トンというものが計画せられております。ただいま申し上げました需要と供給との差額はこれは次期への繰越ということに相なる次第でございます。ところですでに三月も下旬に相なつておりますが、一月から三月までの生産実績、あるいは予想を申し上げますと硫安におきましては一月に五万六千八百トン、二月におきまして五万一千百トンの生産を收めております。なお三月は大体七万トン生産せられるものというぐあいに推定をいたしております。この総量十七万七千九百トンを、先ほど申し上げました五十二万二千九百トンから差引きますと、四月ないし七月におきまして三十四万五千トンの硫安を生産する必要が出てまいります。石灰窒素におきましては一月の実績八千九百トン、二月九千百トン、三月の予想といたしまして一万五千トンでございますから、先ほど流安換算で石灰窒素十一万トンつくる必要があると申しましたが、これを石灰窒素そのものにいたしますと、十三万七千六百トンと相なりますから、これから一、三の数字を差引きますと、四月、七月におきまして、石灰窒素十万五千トンを確保する必要があるのでございます。また過燐酸石灰におきましては、一月の実績七万六千トン、二月八万トン、三月の予想が七万二千トンでございますから、四月、七月の間におきまして二十八万八千トンの生産をしなければ相ならないということになるのでございます。御承知通り一月から三月にかけましては生産があまり振つておりませんが、これは御承知通り電氣が非常に規制をせられました結果、こういう数字に相なつているのでございます。從いまして今後の四月からの豊水期を目がけましてただいま申し上げました生産目標を確保すべく努力をいたしているのでございます。これに必要な原料といたしまして、一番問題に相なりますのは電力と硫化鉱であろうと思うのでございます。しかしてこれらの必要な資材につきましては、安定本部その他関係筋とこれが確保について協議をいたしておりまして、これはごく最近の機会に決定をしたいと考えておるのでございますが四月ないし七月の間におきまして、電力として十一億八千九百キロワツトアワーのものが大体確保される見込みでございます。また硫化鉱におきましては、月々十二万二千トンばかりのものを各工場に送り込まなければならないのでございますが、これに対しまして現在のところ硫化鉱の生産の計画といたしましては、四月ないし七月の間におきまして四十二万一千トンばかりのものが考えられておるのであります。これではもちろん不足でございますので、ただいま山元にございます貯鉱の中から六万四千トンのものをこの期間に拂い出しまして、これによつて硫化鉱の確保をはかつてまいりたいと考えております。これらの所要原料が確保いたされ、かつ輸送も確実に行われますれば、これらの計画の数字を生産することは可能であると考えておりますし、私どもといたしましては、是が非でもこれらのものを確保いたしまして、所期の生産量を確保したいと考えております。なおそういう原材料の確保に万全の努力を拂いますとともに、この非常に窮屈な生産あるいは輸送の状況のもとにおきましては、工場内部のいろいろな技術の改善でございますとか、あるいは設備の補修というようなところに力を入れまして、各工場の原單位の引下げを極力はかつていかなければならないと考えまして、これにつきましても今後強力な手を打つてまいりたい、かような計画のもとに仕事をしておる次第でございます。
  33. 大島義晴

    大島(義)委員長代理 ただいま和田化学局長から肥料の生産について数字的な御説明がありましたが、他の委員諸君からの請求もありますので、ただいまの御説明を数字にまとめた資料として本委員会に御提出願いたいと思うのであります。なお肥料の問題は政府が極力慫慂しております一割増産運動とは不可分の関係がありますので、非常に大きな問題でありますし、さらに叶委員から最近不正肥料が相当多量に配給せられておるということも申されておるのでありますが、これらに関する事実も、お取調べの上次の機会に説明のできるよう御用意を願いたいと思うのであります。  今日はこれで散会いたします。     午後一時四分散会