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1948-06-09 第2回国会 衆議院 通信委員会財政及び金融委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月九日(水曜日)     午後一時五十分開議  出席委員   通信委員会    委員長 土井 直作君    理事 白井 佐吉君 理事 重井 鹿治君    理事 長谷川政友君    千賀 康治君       多田  勇君    中野 寅吉君       林  讓治君    宮幡  靖君       森  直次君    伊瀬幸太郎君       海野 三朗君    片島  港君       荊木 一久君    田島 房邦君       長谷川俊一君    中野 寅吉君       林  百郎君   財政及び金融委員会    委員長 早稻田柳右エ門君    理事 塚田十一郎君 理事 中崎  敏君       梅林 時雄君 理事 吉川 久衛君       石原  登君    泉山 三六君       大上  司君    倉石 忠雄君       島村 一郎君    松田 正一君       宮幡  靖君   山口喜久一郎君       赤松  勇君    川合 彰武君       佐藤觀次郎君    田中織之進君       松原喜之次君    後藤 悦治君       中曽根康弘君    長野 長廣君       細川八十八君    井出一太郎君       内藤 友明君    本藤 恒松君       堀江 實藏君    本田 英作君  出席國務大臣         逓 信 大 臣 冨吉 榮二君  出席政府委員         逓信政務次官  五坪 茂雄君         逓信事務官   大野 勝三君         逓信事務官   小笠原光壽君         逓信事務官   中山 次郎君         逓信事務官   村上  好君  委員外出席者         專門調査員   氏家  武君         專門調査員   吉田 弘苗君     ————————————— 本日の会議に付した事件  電信電話料金法案内閣提出)第八四号)  郵便法の一部を改正する法律案内閣提出)(  第八五号)     —————————————
  2. 土井直作

    土井委員長 これより会議を開きます。  電信電話料金法案郵便法等の一部を改正する法律案一括議題といたします。まず政府提案理由説明を求めます。冨吉國務大臣。     〔議案は通信委員会議録第十四号参照
  3. 冨吉榮二

    冨吉國務大臣 ただいま議題となりました郵便法等の一部を改正する法律案並びに電信電話料金法案につき、一括して提案理由の御説明を申し上げます。  逓信事業明治十八年逓信省創立以來多少の消長はありますが、一貫して黒字を出して來たのでありまして、公益性の要求を満たしつつ、企業的にも採算がとれていたのであります。しかるに昭和二十年度以降は、各年度とも引続き欠損を生じまして、昭和二十二年度におきましては、六十六億九千五百六十三万三千円という巨額の赤字を出したのであります。このように終戰後連年赤字を出している原因は、戰爭による被害、戰時中の設備酷使等によりまして、收入減少してまいつております。半面、インフレの高進により、人件費及び物件費が急激に上昇したことによるのであります。終戰以來逓信省は、設備の復旧とサービスの改善に努めておりますが、通信事業取扱物数について見ましても、電報が良好な復興を示しているのみでありまして、郵便及び電話は、戰前の水準に到達するには、今後相当の努力と年月とを要するのであります。  ところで收入のもとをなしておる各種通信料金について申し上げますと、現行料金昭和二十二年度初めにおきまして、千二百円の給與水準と、昭和二十一年十月の物價水準に対應して、從前の約三倍に改訂されたものでありまして、このときの基礎となつた給與水準物價水準とに変化のない限り、收支はほぼ相償う見込みでありました。ところが給與水準年度当初において、早くも千六百円に引上げられ、さらに七月以降において、千八百円水準に改めるとともに、物價水準もいわゆる新物價水準の設定に伴いまして、大幅に引上げられたのであります。その後生活補給金二・八月分を支給したほか、本年一月に遡つて、二千九百二十円給與水準を採用することになつたのでありますが、通信料金はその間ずつとすえおきになつていたので、收入不足を補填する財源は、もつぱら一般会計よりの繰入金及び借入金によつて賄わざるを得なかつたのでありまして、結局昭和二十二年度通信事業特別会計損益勘定(特第一〇号補正予算)の收支は、收入において百三十七億二千四百七十一万二千円であり、支出において二百四億二千三十四万五千円でありまして、差引不足額六十六億九千五百六十三万三千円となつたのであります。しからば昭和二十三年度收支見込みはどうかと申しますと、現行料金をすえおくとしますれば、二千九百二十円の給與水準と、現在の物價水準によりましても、收入の百七十八億五千二百六十万一千円に対しまして、支出が三百二十億七百四万二千円となり、差引百五十一億五千二百四十四万一千円の不足を生ずるのであります。このような状況では、特別会計建前である独立採算制は無意味となり、いたずらに一般会計負担を大きくする結果になりますので、速やかにできるだけ事業收支の均衡をはかり、現在の歪められた姿を改める必要があります。そこで近く改訂せられる給與水準及び物價水準をも考慮して、通信料金のおおむね四倍の値上げを計画した次第であります。通信事業收支は今回の値上げを実施しましても、なお五十億円の赤字を生ずるのでありますが、これは一般会計からの繰入金によつて補填いたしたいと存ずるのであります。  以上の如く通信料金改訂は、各種料金とも、おおむね四倍引上げ原則として策定いしたのでありますが、料金政策上あるいは徴收技術等の点を考慮に入りまして、個々の料金値上げの間には、若干の開きをみることとなりました。  今そのおもなるもののうち、まず郵便に関する料金について拾つてみますると、第一種郵便物すなわち封書は、料金徴收上の便宜から、現行一円二十銭のものを、五円に引上げることといたしましたが、速達、配達証明内容証明書のごとき一部特殊取扱料金につきましては、その取扱に要する手数その他利用價値などの点を勘案して、これらの料金は三倍ないし、三・七五倍程度に止ることといたしました。なお料金引上に関連いたしまして、書留郵便物を亡失または毀損いたしました場合における損害賠償額は、現行百円となつておりますものを、四百円に改めたのであります。  次に郵便為替及び郵便振替貯金関係改正料金でありますが、他の通信料金と異なり、もともと送金制度であります関係上、直接金銭に繋つておりますので、極端な引上は許されない事情にあり、殊に郵便官署利用する小口送金でありますだけに、國民大衆の利益を格別に擁護する必要があると考えました結果、郵便為替については、平均引上倍率を一・八三倍、郵便振替貯金については、同じく三・八四倍といたしたのであります。  次に電信関係改訂料金でありますが、これまた現行法金の四倍という建前によりましたことは、郵便料金の場合と同樣でありますが、この際料金制度並びに利用制度合理化をはかるため、至急電報料は、現在普通電報料の三倍となつていましたものを、今回はこれを二倍とすることとし、又新たに市内電報及び翌日配達電報制を創設いたしまして、その料金はそれぞれ一般電報の約三分の二程度に止めることといたしましたほか、時間外の制度を廃止いたしまして、夜間におきましても、特別の附加料を課することなく、電報を受付けることといたしたのであります。  以上の如き低額電報制度創設等による電信收入減少を補い、全体として四倍引上收入を確保いたしますため、普通電報料は、現行料金の五倍に引上げることといたしたのであります。  次に電話料金でありますが、電話使用料並び附加使用料とも、加入関係料金につきましては、おおむね四倍の値上げをいたすこととしましたが、公衆電話その他郵便官署取扱にかかる市内通話料は、主として加入電話を持たぬ一般公衆利用せられるものであり、その大衆負担をいささかでも軽減いたしまするために、現行五十銭を一円に引上ぐるに止めました。また市外通話料につきましては、キロ当り單金平準化をはかりますために、十二キロまでの区間については現行の三倍、八十キロまでの区間現行の五倍に、八十キロ以上は現行の四倍に引上げたのであります。  また予約新聞通話料は、一般と著しく不均衡な低率料額なつておりましたので、若干これを是正する意味で、一般の六分の一程度まで引上げることとしたのであります。  以上料金改訂に関するおもなる点を申し上げましたが、電信電話料金法案は、從來命令をもつて規定せられておりました電氣通信に関する料金を、財政法第三條の規定が施行せられましたに伴い、法律をもつて定むるの必要を生じましたので、今回の料金改訂を機会に、新たに法律を制定せんとするものであります。  また郵便法等の一部を改正する法律案は、すでに郵便法並びに郵便貯金法に規定せられておりますところの料金等改正を行わんとするのほか、目下御審議を煩わしております。郵便振替貯金法案並びに郵便為替法案が制定せられるものとして、同法案に規定せられておりまする料金につき、所要の改正をなさんとするものであります。  以上、両法案提案の目的、内容等につき御説明いたしましたが、何とぞ十分御審議の上、速やかに御賛成くださるようお願いする次第であります。
  4. 土井直作

    土井委員長 引続き質疑に入ります。質疑はこれを許します。川合君。
  5. 川合彰武

    川合委員 私はまず逓信大臣にお伺いしたいのでありますが、おそらく今までにこの通信委員会におきましては、事前審査とか、そういうような形式で審議されたと思うのであります。從つてあるいは質疑内容が重復するかもしれませんが、私どもといたしましては今回が初めての審議でありますので、どうかその点は通信委員会委員の方はしばらく御寛容な態度をもつて善処願いたい、かように考えるのであります。  それでまず最初逓信大臣にお伺いしたい点は、この法案が実施された曉において、あるいは取袋量減少伴つて、所期されたような予定の收入金額に達するかどうかという点を最初お尋ねしたいと思います。
  6. 冨吉榮二

    冨吉國務大臣 御案内のごとく、料金値上の際には、その何ものたるとを問わず、利用減ということがございますので、大体一割程度見込んでおるのでございますが、その点で收入欠陷は來さないものと考えております。
  7. 川合彰武

    川合委員 次にお伺いしたい点は、これはほかのたとえば鉄道関係でもそうでありますが、いろいろな收支予算を見まするに、賃金は二千九百二十円の水準が近く改訂せられ、三千七百円ベースが実施されることになつておるようでありますが、われわれは実は二千九百二十円の賃金ベースは一月ないし三月のこの暫定期間にのみ適用されて、四月以降の新年度においては三千七百円の新賃金ベースが適用されると思つておるのでありますが、今までの資料を見ますと、そうでなくして、やはり六月の半ば以降に新賃金が実施されるというように想像されるわけですが、はたして金逓労働組合あたりがこういうことに対して十分納得するかどうかという点に関しまして、逓信大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  8. 冨吉榮二

    冨吉國務大臣 この賃金の問題につきましては、それぞれいろいろの分野からのいろいろの御意見もあろうかと存じますが、大体三千七百円のベースをもつて予算編成の基幹といたしましたことは御了承通りでありますが、これにつきましては、相当政府が有しまする統計上の見地から割り出して、何らその間には政治的な考慮を未だ拂つておらないのでございます。全逓がこれを了承するか否かというような御議論でございますが、全逓の方といたしましては、すでに川合君も御承知のごとく、最低賃金制なるものを主張しておられるのでございまして、賃金に対する一つのイデオロギーが政府の現在行つておりまする賃金とは異なつていることは御承知通りでございまして、これが必ず喜んで受容れられるということは、期待が困難であろうと思いまするけれども、諸般の情勢國家財政都合等を勘案いたしまして、決してこれが非常に完全なる、生活を営んでいく十分なるものではないと信じまするけれども、大体わが國の今日の情勢に照らし合わせて、このベースの了解はしていただけるものだと期待をいたしている次第でございます。
  9. 川合彰武

    川合委員 われわれは特別会計企業独立制ということは一つの理想としてぜひとも実現したい、かように考えるのでありますが、問題はその企業独立制を実施する容観的情勢がそういうようなことを可能ならしむるかどうかということを深く考えねばならぬと思うのであります。現在の日本鉄道、あるいはまた通信というものが、特殊な関係、すなわち進駐軍関係によつてある程度いろいろなことがあるようにわれわれは想像するわけであります。ところで現在通信関係においては、一体その全体の取扱量のうちにおいて進駐軍関係取扱量は何割程度占めているかということをお伺いしたいと思います。
  10. 冨吉榮二

    冨吉國務大臣 数字的なことは事務当局政府委員から御答辯いたしますが、それらの費用はことごとく一般会計から、すなわち終戰処理費から支辯をいたしておりますので、この料金とは全然関係のないことになつているのでございます。
  11. 大野勝三

    大野勝三政府委員 ただいまちよつと手もと資料を持ち合わせませんので、あとで調べましてお答えをさせていただきます。
  12. 川合彰武

    川合委員 鉄道関係においては進駐軍関係実費主義をもつてつているようでありますが、これらの点は追つていろいろな資料をいただいた後において御質問申し上げたいと思いますが、ところでただいま逓信大臣のお話によりますならば、今回の値上げ伴つて取扱数量は約一割程度減るのではないかというような御答辯があつたわけでありまするが、その場合において経営の合理化というような見地から、たとえば人員配置轉換とか、そういうような一割取扱量減つた結果、そこに必ずやある程度の冗員が生ずることになるだろうと思うのでありますが、そういうようなことに関して逓信当局は何かお考えをもつておられるかどうか、この点をお伺いいたしておきます。
  13. 冨吉榮二

    冨吉國務大臣 大体御了承通り本年度予算政府全般といたしまして一割五分の予算の縮小をいたしておるのでございます。御案内のごとく過剩人員というものは整理をしなければならぬと思うのでありまするが、しかしながら現在の逓信省に関しまする限りにおいては、すでに昨年におきまして相当縮減をいたしましたし、予算人員も約五万人ほどを節約いたしておるのでございまして、これを今度一割五分縮小いたしますから、それ以上の縮減は不可能かと思うのでございます。それで今御指摘のいわゆる一割の利用減と申しますのは、必ずしも恒常的な問題でありませんので、つまり値上げに対しまして、私どもは大体一時的現象がその大部分であると考えているのでございます、つまり日本経済復興その他の諸條件が見合わされまして、漸次この通信機関利用というものは増大してまいることを期待いたしておりますので、本年度において大体料金改訂による一割の利用減を見たから、ただちに一割の人間を整理するというような考え方は、必ずしも妥当でないのではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  14. 川合彰武

    川合委員 次にお伺いしたい点は、電話料金あるいはまた郷使料金というようなものの値上げが、物價に及ぼす影響というようなものをどの程度にお考えなつているか、また手もとにいただいた資料を見ておりませんのでわかりませんが、そういうようなことをどの程度にお考えなつたか、これをお聽きしたいと思います。
  15. 冨吉榮二

    冨吉國務大臣 これは他の政府委員から申し上げることにいたしたいと思います。
  16. 大野勝三

    大野勝三政府委員 ただいまお尋ねの点は正確に実はお答えしにくい問題でございますが、一應私どもの方で労働省のお調べになつております都市の労働者家計費と実績の内訳の中で、通信費がどのくらいの割合を占めているかという表をお手もとに參考として差上げてございますが、それを見ますと、昭和二十三年五二月におきましては、これは通信費だけが抜いてないのがちよつと遺憾なのでございますが、交通通信運搬費という項目で、金額をいたしまして八十四円、パーセンテーヂにいたしまして全家計費の一・四%ということになつております。これはもちろんいわゆる家計内訳でございますから、お尋ねになりました物價に対する影響ということに、ただちにお答えすることにはならぬのでございますが、原則といたしまして運賃などと通信費とは若干その比重においては相違があるのではないか、そういうことを考えまして、今度の通信料金値上げが直接そう大きな影響物價に及ぼすことはあるまいというような予測をもつておる次第であります。
  17. 長谷川政友

    長谷川(政)委員 本案について二・三簡單に質問してみたいと思います。逓信事業は非常に公益性の強い官営事業であつて、これは國民全部がこれを利用しておるということは今さら申すまでもないのであります。 最近鉄道述賃値上げが非常に大きな問題になつておりますが、全國到るところの山問僻地なんかで一生暮す方々で、一生の間汽車、電車を利用しない方でも、同信、電話電報というものは利用するのであります。そういう面から考えると、この値上げ問題が全國民影響することは非常に私は大であると思う。そこで國民自体影響が大であるから非常に関心をもつておると考えるのでありますが、政府提案理由説明によると、明治十八年に逓信省が設立されて以來、大体昭和十九年までは採算がとれておつた。しかし昭和二十年度以降は各年ととも引続いて欠損を生じておる、こういう説明でありますが、昭和十九年の採算がとれておつた当時の総收入あるいは総支出、それから人員人員に対する人件費というものがおわかりになつたらお知らせ願いたい。
  18. 大野勝三

    大野勝三政府委員 ただいまお尋ねになりました昭和十九年度通信事業特別会計歳入歳出の額は、歳入におきまして総額十一億三千万円、歳出におきまして総額十億八千八百万円となつておるのでございまして、それを内訳で申し上げますと、歳入のうち大部分はいわゆる業務收入郵便電信電話等業務によりまして料金として收入いたしたものでありまして、これが十一億百万円となつておるのでございます。増出の一番大きなものはやはり事業運営のために直接必要となるいわゆる損益勘定支出とでも申しますか、そういうものでありまして、これが七各六千万円、その他は一般会計への繰入金とか、あるいは建設勘定分といつたようなものになりまして、総額は十億八千八百万円となつておるのでございます。そういうわけでございますから、十九年度におきましては結局歳入歳出との差額は約五千万円程度でございます。ところがそれは実はその年におきまして臨時軍事費特別会計へ二億一千二百万円繰入れておりますから、この分は実を申しますと、通信会計がその余裕金をもつて繰入れたという形になりますので、かなり財政的には堅実であつたと言えるわけではないかと考えるのでございます。その当時におきまする人件費物件費等割合でございますが、その当時すなわち十九年をとつてみますと、人件費金額にいたしまして五億五千四百二十四万七千円、物件費の方は二億五百七十一万七千円でありまして、人件費物件費との比率は、七三%及び二七%とそれぞれ相なつております。一人当りのその当時の給與水準がどの程度であつたかといつたようなことは、ただいま正確なものを持ち合わせませんが、大体十九年でございますと、百円を少し切る程度ではなかつたかと考えられます。それから人の数でございますが、これは郵便電信電話のみならず、為替貯金保險年金等すべてを入れまして、十九年におきましては三十五万二千五百二十一ということに相なつておるのでございます。
  19. 多田勇

    多田委員 議事進行について……。ただいま質疑が続けられておりますが、先べと逓信大臣からの提案理由説明によりますと、この法案は現在の歪められた姿を改める必要があるので、近く改訂せられる給與水準物價水準考慮して提案せられたというように言われておりますし、この法案の骨子をなすものは通信事業收支のバランスからきておるというように考えられますので、一應質疑を継続する前に、通信事業特別会計、この法案関係のある予算説明と、近く改訂せられると予想させる給與水準あるいは物價水準について御説明をいただきたいと思います。
  20. 大野勝三

    大野勝三政府委員 それではただいまお配りいたしまして導地事業特別会計收支状況につきまして、ただいま御質問のありました点に触れ、お答え申し上げたいと存じます。  これは通信事業特別会計の二十三年度の本予算損益勘定について表をつくりましたものでございまして、損益勘定と申しますのは、つまり料金の直接関係をもつ收支勘定部分という意味でございますので、これについて御説明を申し上げますと、まず左の方が收入の欄になりまして、右が支出の欄となつておりまして、そこに本予算概計額、それから決定額というふうに二欄それぞれ設けてございます。その本予算概計額の方は、收入の部で申しますならば、料金は現在の料金という意味でございます。それから決定額の欄は、その料金を今回御提案をいたして、ただいま御審議をいただいております案のごとくに改訂をいたしました際の、收入額を見積つたのでございます。同様にいたしまして支出の方でも本予算概計額の欄に掲げました数字は、二千九百二十円ベース給與、それから物價は現在の物價運賃現行料金という基礎で算出をいたしました支出の額でございまして、その右の決定額の欄が給與水準を六月一日より三千七百円に引上げ、また物價マル公七割引上げ運賃は旅客、貸物とも大体三倍半に引上げられた場合における費額計算いたして載せたものでございます。そういたしまして総額の計のところをごらん願いますと、收入は本予算概計額におきましては、計で百七十八億五千三百六十万一千円に対しまして、支出の本予算概計額の計は、三百三十億七百四万二千円となつておるのでありまして、その際の收支差額が結局不足といたしまして收入の一番下の欄に出ております、百五十一億五千三百四十四万何がしというのでございます。ところがその次には支出の方をごらん願いますと、支出の方の決定額できわだつて出ておりますものが、たとえば通信事業独自のものという欄の内訳のA、人件費と出ておりますが、その人件費の百五十二億一千九百万円余が二百十六億六千五百六十九万六千円というように上つております。これをこういうふうに改めましたのは、ただいま申しましたように本予算概計額の際におきましては、二千九百二十円ベースで組んでおつた数字でありますが、六月一日から三千七百円に上るとして、つまり計算の式から申しますと、二千八百五十分の三千七百に、十箇月分——六月一日から実施といたしまして、十箇月分でありますから十二分の十をかけて、それに四、五の二箇月は二千九百二十円のすえおきというので、十二分二を足した倍率、答えは一・二五という倍率をかけて出した数字であります。以下そういうようにいたしまして順次概計額数字を改めたのであります。おもなるものについてその支出の方で申し上げますと、賃金旅費いずれもそういう計算——計算と申しますのは賃金水準とは違います、つまり賃金というのは人夫賃でありますが、賃金におきましては一般物價の値上り、これは大体六割見当——実際マル公七割というのでありますが、六割見当値上りするものと見ております。あるいは旅費におきましても、汽車賃が三倍半になる、そうすると旅費内訳は、六割ぐらい汽車賃であるけれども、四割ぐらいはその他の費額であつて、これは汽車賃程度には上らない、六割かそこらの程度上るだろうというような計算をいたしまして、それぞれこういうように訂正をして決定額として出しておるわけであります。物件費の方におきまして、集配逓送費としてありますのは、郵便物を主として汽車便其の他でもつて各市の間を輸送する費用でありますので、これは直接汽車賃殊に貨物運賃の値上りの影響を受ける費目でございますので、この上り方も相当大きくなつておりますが、大体六月の十五日から汽車賃が三倍半になるという計算で出したものであります。特別廳費と申しますのは、いろいろ日常事業を営みます上に必要な器具類を調達したりする費用でございます。これは大体マル公が七割値上げ、しかも七月一日から七割上るという計算で出したものであります。その他の欄にまいりますと、補充費、利子、公債発行較差、予備費とありますが、補充費と申しますのは、事業を運営いたします上に必要な、いろいろ電信電話等設備や、機械等の修理、あるいは取換えをいたします経費を損益勘定でもつのでございます。その費用でございまして、これは一部人件費がございますが、大部分物件費ということになりますので、それぞれ人件費は二千九百二十円から三千七百円、また物件費は大体七割見当上るという計算でこれを出したものであります。利子は別に申し上げることはありません。これは実際支出しなければならない費額を出してこういう計算なつております。公債発行較差、これは実際額面と発行價格との差額を損に計上しなければなりませんので、その差額を損に計上するといういき方でございます。予備費はやはり物價の七割見当上りますのに対應いたしまして、三億を五億と引上げたわけであります。その次に女子及び年少者就業禁止所要経費とございますが、これは労働基準法の施行に伴いまして、女子及び年少者の深夜間勤務ができなくなるので、そのための人を特別に増さなければなりません。その費用でございます。それからEの減價償却費、これは三億二千百万円余でございますが、現在の設備の帳簿價格を土台といたしまして、それぞれ合理的な耐用命数、残骸價格を計算いたしましてはじき出したものでありまして、これは正確に申し上げますれば、帳簿價格によつて今日非常に貨幣價値の変つている際に、この程度の償却をすることをもつてはたして足れりとするかどうかという点につきましては、非常に問題のあるところと考えますけれども、一應最も少い額によつてこれだけの償却費を計上いたしたわけであります。  以上が通信事業独自のものといたしまして、言いかえますれば、結局通信業務料金によつてカバーされなければならない費目に相当するものでございますが、(2)以下の預金部及び保險会計繰入れによるもの、そうした会計負担額によるもの等はいずれも直接料金負担とは関係のない項目でありまして、預金部及び保險会計繰入れによりますものは、当初概計額七十億といたしてあるものを、八十四億余りとかえましたのは、結局これは内容的に申し上げますれば、郵便貯金及び保險年金等の仕事を通信会計の人と物の負担におきまして、現在郵便局その他で扱つております。その経費は、当然預金部の特別会計及び保險年金特別会計から、ちようど経筒の要るだけのものを負担してもらうという建前なつておりますので、そういう内容人件費なり物の経費なりが上るのに相應して、結局收入との見合勘定のようにしてここに掲げられたものでございます。それから(3)の総係費分担額によるもの、これも直接料金関係のないものといたしまして、建設勘定、電信電話等の工事をいたしますその工事のための人件費、これを建設勘定で支出いたしまして、それを損益勘定で受入れて、つまり建設勘定の負担損益勘定で実際の支拂いをしていく、実際の経費の支出をしていくという意味合のものでございます。それから警察無線取扱、警察無線の施設拡充につきまして、今度逓信省で内事局方面の依頼を受けて調査をいたします。これは新しい仕事でございますが、その経費を新規に計上したものであります。それから増接続電話施設と申しますのは、御承知のホテルとかビルディングで私設交換台によりまして電話に枝を出さしてございます。ああいう電話取扱いのために必要な経費でありまして、從前は実は電話設備会社というものがありまして、これがやつてつたのでございますが、今度その会社を接收いたしますので、逓信省においてこの仕事を扱い、そのための経費を必要とするに至つたのでございます。それから取引高税收入印紙取扱——今度新しく、これもただいま國会で御審議中だと思いますが、取引高税が課せられることになりまして、その税を納めるにつきまして收入印紙をもつて税を納める、その收入印紙の賣捌とかあるいは消印とかいつたような取扱郵便局において引受けますので、その取扱に必要な人並びに物の経費七億七千七百万円ということになつております。総額が四百四十九億六千七百万円余ということに支出がなるのでございます。それだけの仕事をカバーいたします收入の額では、先ほど申しましたように、本予算概計額料金收入をおよそ四倍程度引上げるというただいま御審議中の案のごとくにいたしました際の收入を見積つてみますと、それは事業收入百三億九千三百万円というものが二百九十四億八千円万余と相なる次第でございます。それから(2)以下は大体支出の方との——つまり実費を他会計から受入れるという勘定のものですから、それぞれ見合つて数字なつておるのでございまして、直接これは料金には関係のないもの、先ほど申しましたのに該当するわけであります。そういたしますと、その総計額三百九十九億六千七百九十九万八千円と相なりますので、差引收入支出に比較して五十億だけ少い、このままいけばそれだけが赤字になるわけでございます。この部分一般会計から補填をしていただくことによつて、二十三年度はようやくにして收支バランスがとれる、こういう形になつておるのでございます。なおここに現われておりませんが、通信会計といたしましては、すでに二十年度以來借入金を相当に抱えておりますし、公債も年々発行するだけで、償還をいたしておりません。借入金はこの際当然償還ということを考えるべきでありますが、非常に苦しい年でありますので、この年は全然償還はしない、この会計としては償還をしないということにして、利子だけを損益勘定に立てておるという計算なつておるのでございます。
  21. 林百郎

    ○林(百)委員 私の質問はあらためていたしますが、今の説明だけについて……。鉄道運賃が大体三・五倍になつておりますが、それが國会においてその通りにいかない場合には、この予算がまた組替えられるのかどうかという点が一つ。  もう一つは、減價償却ですが、これは新しく通信料金を上げれば拂うし、上げない場合には拂わなくていいということになつておるようですが、減價償却は必ずしも拂う必要がないもので、ただ余裕があれば拂えぱいいという性質のものかどうか。この二点をとりあえずお聽きいたします。
  22. 大野勝三

    大野勝三政府委員 第一の点でございますが、非常に純理的に申しますと、そういう考え方も確かに成り立つと思うのでございます。予算を今ここで、これは別途に御審議をいただいておるのでございますが、しかしそのあとで追加予算その他でかえるという方法はないわけではございませんけれども、もしこれだけの費額まで要りませんければ、一まずそれだけを不用額として立てるいき方もあるわけでございます。もしもこの会計が全然赤字のない場合でございますと、不用額は結局それだけ余分な收入として過剩金になりますけれども、今御指摘になりました運賃関係だけでございますと、旅費及び集配逓送費の関係で、これはとても——全部現行のまますえおかれたといたしましても、五十億の赤字は若干は減るかもしれませんけれども相当赤字は残るということになりますので、方法といたしましては不用額に立てるといういき方をしても、別に通信料金自体の計算からいけば、あまり影響をもたないことになるのではないかと考えます。  第二の減價償却の点でございますが、御説の通り考え方もむろん成り立つと思うのでございます。けれどもこれは本來企業的に運営するという建前特別会計とされておる通信事業におきまして、また特に昭和二十二年の四月から新しく企業的運営というものを一層強化する趣旨で、会計法の改正が行われ、その会計法におきましては、ぜひ経費の面に減價償却を立てるというようないき方をとつております。從つてつたくこれはほんとうの健全財政という意味合から申しました償却額としては、先ほども申しましたように十分とは申されない額でございますけれども、とにもかくにも帳簿價格に対する最小限度の費額として三億二千万円を計上した次第でございます。
  23. 多田勇

    多田委員 ただいまの予算に関連しまして、二、三お伺いしたいのですが、この予算は十五日から値上げが実施されるという前提のもとにできたものかどうか、この期日について先ほど御説明がなかつたのですが……。第二は、先ほど逓信大臣から、人員については一割五分圧縮して編成したという御説明がありましたが、これは逓信大臣の言われた通り、一割五分人員を圧縮して編成されておるかどうかという点と、いま一つは、ただいま提案なつておりますが、逓信省設置法案、この逓信省の機構の改革を前提に考えられてこの予算ができているかどうか。もし機構の改革が前提に考えられていないとすれば、機構の改革後における予算の編成をどういうようにするか。この三点についてお伺いいたします。
  24. 大野勝三

    大野勝三政府委員 先ほどの説明でもちよつと申し上げましたように、運賃の点につきましては、六月十五日から値上げが実施されるという前提でこれを計算いたしております。次に人員の点でございますが、二十二年度におきまして、これまた先ほど大臣からも御説明のありましたように、予算面で成立をいたしておりました四十七万近くの人間を、四十一万五千まで落しまして、その落して数は、六万弱でございますので、大ざつぱに申しまして一割五分近くになるわけでございます。これは二十三年度におきましては四十一万二千まで実際仕事に必要な人間をさらに落しまして、その上にただいまちよつと説明を申し上げました、たとえば労働基準法の関係に必要な人間などをさらに加えた数字で、差引きこれが四十二万余りの——結果においては加重になつておりますが、そういう人間を出しました根拠はと申しますれば、昭和九年から十一年当時の個人の能率を土台にいたしまして、二十三年度の事務扱量とのにらみ合わせの上にこの人間をはじき出すといういき方をとつたのでございますから、その意味におきましては合理的な算定ができておるのではないかと考えておるのでございます。  それから逓信省の機構の問題でございますが、これは機構が変ることによつて予算的には影響を受けないという考え方をいたしております。と申しますのは、機構が変ることによつて、経費も人も増さないという考え方に立つておるわけでございます。
  25. 林百郎

    ○林(百)委員 今の点に関連しておりますが、この通信事業の現状といういわゆる通信白書によりますと、一人当りの仕事の量と人員とは、昭和二十二年度にはパーパーになつておるので、もうこれで人員の整理はできないのだということがあるのですが、今言つたように一割五分削減したということになりますと、それは一体予算面の人員を減らしたということになるのかどうかということが一つ。もしあなたの言われるように予算面の人員を減らしたということになると、通信白書の從業員というものは何の從業員を指したのかという問題が一つ。もう一つは、この予算は三千七百円ベーすで組み立てられておると言うが、われわれの観測によると、三千七百円ベースは維持できないと思う。もし三千七百円ベースが維持できなくて、將來從業員の人件費が——これは通信事業費として、人件費が一番厖大にパーセントを占めております。これがまた暴騰するような場合には、郵便法金を上げるかどうか。郵便料金が四倍、鉄道運賃が三・五倍ですべての物價が一・七倍しか上らないのは、三千七百円ベースだからで、これが実行されれば生活費の方へまたはね返りが影響してくる。生活費が上れば人件費が上る。人件費が上ればまた郵便料が上る。いたちごちこになると思うのだが、一体その辺は逓信省としてはどういう考えをもつておるかということが一つ。この二つをお聽きしたいと思います。
  26. 大野勝三

    大野勝三政府委員 最初お尋ねになりました人の問題でありますが、通信白書に掲げましたこの事業別、たとえば電信とか電話とか郵便とか、そういう事業別の業務量と人の比率を出しました際には、それぞれの業務に配置されておる定員をとつたわけであります。われわれとして二十二年におきましては、実は予算業務勘定、損益勘定におきまして、約四十七万弱の人間が成立したのでありますけれども、当時すでに二十年度から赤字にはいり、二十一年度相当赤字を重ねてきておりました関係上、この予算では成立したけれども、何とか現在配置してある定員の中で仕事のやりくりができないだろうかと考えまして、事実上その年の夏ごろまでずつと定員を殖やすという措置をとらなかつたのであります。つまり予算面では成立したが、それをわざわざ自分で使わないできたという形になります。それが第三次の追加予算であるのであります。あのときに結局それでやれるという見透しをつけて、思し切つて金額にしまして千八百円ベースのときの計算で十億あまりの金額を落した。人間にしまして約六万人弱を落した。そういう関係であります。  それから第一のお尋ねの点でございますが、それはひとり人件費ばかりではございませんで、その他の物件費にいたしましても、考えれば今日の場合におきまして、やはり非常にいろいろの場合が考えられるのでございますけれども、とにもかくにも、これはいろいろな施策が行われることと相まつて、先ほど大臣からお話がございましたように、大体この給與水準を維持できるという前提のもとにこれを組み立てておりますので、大きな狂えばそれはそのときでまた別に考えなければならぬ問題でありますが、その際にはたして料金によるか、その他の方法によるか、おちろんただいまここで何とも申し上げかねる問題だと思いますので、さよう御了承を願いたいと思います。
  27. 森直次

    ○森(直)委員 先ほど機構が変つても別にこの予算には変化ないということを申されましたが、もう少し詳しくお答え願いたい。
  28. 大野勝三

    大野勝三政府委員 実はこの問題につきましては、まだ私自身お答えするのは適当ではないと思うのでありますけれども、現在考えられております機構の改革は、組織をいろいろに統合したりなんかはいたしますけれども、そのために特別に人を増するとか、あるいはそのために特別に経費を必要とするといつたような内容を含んでおらないものでございますから、從つて予算的には別に影響を受けない。言いかえると、今の予算のわくの中での整理統合といつたようなことが行われる。かように考えておるのでございます。
  29. 森直次

    ○森(直)委員 ちよつと一例をあげて申しますと、やがて訓練法が提案されると思います。訓練法の内容を読んでみますと、訓練の期間だとか、あるいは講習所の数だとか、いろいろそういう点がはいつておるのであります。從つてども相当この予算面に伸縮があると思いますが、そういう点はございませんか。
  30. 大野勝三

    大野勝三政府委員 その点はまさにお説の通りでございますが、それは現在すでに引続いてやつております逓信講習所の運営の経費といたしまして、およそ二十三年度においてはこの程度かかるであろうという経費が予算の中に見込まれておりますので、その経費を使いまして、そのわく内で新訓練法による訓練を実施していくということになりますので、予算関係がないことはございませんが、新訓練法の実施によつてそれがまた非常に変動を來すということもない、かように考えておるのであります。
  31. 林百郎

    ○林(百)委員 さつきの私の質問の結論がはつきり出ておらないのですが、そうすると先ほど申しました人員一割五分削減の予算であるということは、すでに昨年度、二十二年度から実質的には人員を補充すべきものを補充していないから、人員は一割五分減になつておる。現に仕事に從つておるものに対しては、別にこれ以上人員を減らさないという結論にお聽きしたが、その点はどうか。もう一つ郵便料金が四倍に上ればとにかく本会計年度だけは郵便料金を再び上げることは、現在としては考えておらないというふうに解釈してよいかどうか。
  32. 大野勝三

    大野勝三政府委員 第一に人の点につきましては、事業全体を総合いたしました場合には、まさにその通りでございます。詳しく申しますと、事業別にいたしますと、若干各事業によつて人の出入りがありますけれども、結局漸進的に行われる配置轉換によつて、これが是正されるということになろうと思います。しかし総体のわくとしては、現在の人をこれ以上縮減する余地は事務的に考えればない、かように考えておるのであります。
  33. 冨吉榮二

    冨吉國務大臣 第一の点も大野君からお答え申しましたが、決して人を切らない、生血を出さないと考えておりますから、どうか御安心を願いたいと思います。むしろ私は現在の事務量に必要な人員である。欠くべからざる人員であると考えますが、さらに能率の向上、機械化により手の省ける点は、これを通信事業の各種の面に大いに利用してまいりたい。殊に人を首切るというようなことは私は避けたい。こういうふうに考えております。一般考えられる行政整理というものは、いわゆる監督行政の方面が考えられておるのであつて、その点事業官廳と世間一般の常識は混同しておるような傾向がございますので、特にその点については私ども事業官廳として、サーヴィス官廳として今後できるだけ能率をあげてまいりたい。こういうふうにまず第一に考えております。  第二の点でございますが、林君の御理解の通りで結構だと思います。つまり多少の変動も、物價改訂により、あるいは私ども見込み違いによりあるかと思いますが、それかといつて通信料をのべつ暮なしに引上げて、それをもつてカバーするという考えは現在のところもつておりません。そういうことは私どもの存在します限りはやらないという意向をもつております。
  34. 林百郎

    ○林(百)委員 この際資料が欲しいのですが、できるだけのものを提供していただきたいと思います。第一に進駐軍関係資料ですが、一体今占領軍関係の仕事に從事しておる人は何人であるか。これに対する支拂いはどうなつておるかということ。それから一般の逓信從業員であつて、しかも進駐軍関係の仕事がある場合にはそれを手傳う、いわゆる專属の人でない、そういう者もあるかどうか。もしできるなら逓信省本來の仕事と進駐軍関係の仕事でどういうパーセントになつておるかということと、それから終戰費から進駐軍関係は一切來ると言つておるのであるが、それは料金をとつておるのか、あるいは人件費までそれで補つておるのかという点を一点、それともう一つ進駐軍用のケーブルだとかあるいはその他の施設、これは特に進駐軍用のものとして設置しておるかどうか、設置しておるとすれば、それに対する費用をいくら要しているかということをはつきりさせたいと思うのです。それからもう一つは特定局に対する賣上げ高の歩合ですが、もし郵便料金を四倍に上げた場合に、特定局に対する歩合はどうなるかということ、それから今まで特定局に対して拂つてつた歩合金がわかりましたらひとつ知らしてもらいたいと思います。それから実は私の方で國鉄の調査をしてみましたら、工事の下請けで、下請け業者に対する請負金を十分に行政監査してみますと、大分げたをはいておつたり、粛正しなければならぬ部分がある。少くとも二〇%ぐらいはここから出てくるのだという調査がわれわれの方で出ておるのですが、逓信省関係事業を下請けさせておる会社だとか、いろいろのそれに対する請負金額、これに対して逓信省としては將來縮減の余地があるのかどうかという点の参考の費料が欲しいと思います。それからこれは減價償却のときに出ましたが、帳簿上の財産と帳簿外の財産というものはどうなつておるかという点ですが、この点ももしわかりましたら調査して出してもらいたいと思います。大分いろいろありましたが、できるだけ早く、できるだけのものを出してもらいたいと思います。
  35. 多田勇

    多田委員 予算について二、三お伺いしたいのですが、先ほど人員を四十一万二千人としたというお話でございましたが、この四十一万二千人の中には、取引高税の取扱いによつて相当人員が増加するということも見込まれておるのであろうと思いますが、この人員も含まれているかどうか、この点お伺いいたします。
  36. 大野勝三

    大野勝三政府委員 ただいまお尋ね人員は含まれておりません。それはあとから起りました問題なので、別途にその必要人員だけを追加してございます。
  37. 多田勇

    多田委員 そういたしますと、四十一万二千人の人員というものは、通信事業独自のものの人件費であつて、それ以外の人員はさらにあるということになると思うのですが、その人員はどの程度に見込まれておるか。
  38. 大野勝三

    大野勝三政府委員 先ほど申しました労働基準法の関係で、女子、年少者の深夜間勤務ができなくなりましたので、その代替者として許可をしました者だけで五千人ございます。それから今御指摘になりました取引高税の取扱いのために必要な人間が、ちよつと今確かな資料を持ちませんけれども、大体三千五、六百ではなかつたかと思います。間違つておりましたらまた訂正をいたします。
  39. 多田勇

    多田委員 終戰当時の人員と現在の人員の率、もちろん終戰当時におきましては、戰爭遂行のための特別な要員があつたと思いますが、その要員を差引いた人員と、現在の人員との比較をお教え願いたい。
  40. 大野勝三

    大野勝三政府委員 特に戰爭のために必要だつた人と言い得るといたしますれば、海外に出ました野戰郵便の要員、從軍者などが考えられると思いますけれども、これは鉄道の場合などと比較しましてそう多くございませんで、これを含めておりますけれども、終戰当時の総人員は三十七万でございましたのに対して、現在はただいま申しましたあの数字なつておるので、その間に約実際としまして四万あまり殖えておる勘定になります。
  41. 多田勇

    多田委員 終戰時から比較しまして現在四万程度増員されておるというお話でございますが、実際第一線の現業の面ではほとんど終戰当時より増員されていない。むしろ終戰当時におきましては、女子の勤労に対して〇・八に見ております関係上、終戰当時の方が人員が非常に多かつたというような聞いておりますが、実際増員されたこれらの人たちがどの部面に増員されたか、その内容についてお伺いいたしたいと思います。
  42. 大野勝三

    大野勝三政府委員 終戰当時におきましては、御承知のように非常に人の移動がはげしゆうございまして、現場々々について見ますれば、実在員はあるところでは非常に十分に維持されておる反面に、ある部面、殊にこれは大都市でございますが、究襲を非常に頻繁に受けた大都市等においては実在員は非常に少く、四割以上も欠員があるというような非常にアンバランスになつておりました。そういう関係は終戰後ぼつぼつではありますが、漸次正常の状態に引きもどすようにいたしておるのでございますが、事業が月々とにかく復興をいたしまして、電話にいたしましても電信にいたしましても、業務量の増加に対應して、それぞれ必要な人はそのときどき、それぞれの業務面に増配置になつておるわけでございますので、ただいま何年にどの部面にどれだけ増員になつておるという資料を持つておりませんが、大体筋道はそういうことになつておる次第でございます。
  43. 多田勇

    多田委員 どうも人員の配置の状況から考えてみますと、実際に増員されたその人たちが、通信事業独自の実際の業務に携わる、いわゆる現業に携わるというよりは、事務的な増員が相当行われたのではないかというふうな感じがいたすのであります。実際問題といたしますと、終戰時におきましては本省においても六局であつたものが、終戰後においては営繕部を入れて十の局ができておる。その局が殖えるたびに、人員相当程度増加されてきておるような点を考えてみますと、機構をいじるたびに人員が増加されるのではないかというようなことが、非常に憂慮されておるのであります。あるいはまた地方の逓信局にいたしましても、戰時中において二局が殖えるし、さらに終戰後において金沢の地方逓信局が殖えておるような点を考えると、今度逓信省設置法案によりまして、逓信省の機構が根本的に変り、その結果さらに複雜な地方の機関ができると思いますが、これらの機関ができました曉においては、当初においてはおそらく現在の人員の範囲内において配置轉換をするという建前が進まれるであろうと思いますけれども、これが実現された後においては、おそらく人員の増加が予想されるのではないかと思われます。これらの機構をさらに関素化して、なるべく人員を少くして通信事業独立採算制を堅持するというようないき方をとるべきであろうと考えておりますが、この機構の問題について現在提案されておるような考え方でなしに、もつと簡素化されていかなければならないと思います。こういつた考え方のもとに予算を再檢討する必要があると思いますが、これに対して大臣の御所見を伺いたい。
  44. 冨吉榮二

    冨吉國務大臣 お述べになりましたことは、一應ごもつともな御意見だと思うのであります。從來機構をいじりましたたびに、いろいろ人数が殖えてまいつておることは御指摘の通りであります。これは私ども大いに痛感いたしておる一人でありまして、まつたく感を同じゆうするのでありますが、しかしながら大体御案内のごとく、政府の官業は拡大いたすことによつて、やはり相当数が殖えてまいつたということをまたその反面考えなくてはならぬのではなかろうか、御指摘の今回の逓信省の機構改革の問題でありまするが、これは先ほど総務局長も申し上げました通り、決して機構の拡大強化ではないのであります。御案内のごとく、逓信省というところは、郵便電信電話貯金保險という五つの異なつ事業を営んでおる官廳でございます。ところが今までの組織はどうかと言いますと、この組織がいささかごちやごちやになつておりまして、郵政も電政も一しよくたになつていたという感じがあるのであります。これを関係方面の熱烈なる示唆もありましたので、いろいろ檢討いたしまして、郵政と電氣、通信行政とを別々な組織にして、それを大臣、総務長官によつて統御していくという形をとつたのでございまして、総合官廳的な、いわゆる從來の監督行政において見られるような考え方でなしに、事業別に整理をいたす、こういう建前で、しかもそれは先ほど総務局長も申し上げました通り、人数を殖やさない、予算を殖やさないという建前をとつてまいつておるのでございます。もちろんこうしたことによつて、將來人数を殖えていくかどうかということは、國権の最高機関たる國会等において嚴重監督をしてまいるのでございまするから、官僚の繩張り根性、独善主義的イデオロギーの上に立つて、もしそれ当初の目的と背反するごときことありとすれば、断固國会はこれに掣肘を加えることがなし得るのでございまして、あえてその点深く御心配をいただかなくてもよろしいのではなかろうか、このように考えております。
  45. 多田勇

    多田委員 大臣から非常に懇切な御教示をいただきましたが、この機構の問題についてはあらためて御質問申し上げたいと思います。ただ現在の定員を殖やさずに、あの機構によつて事業が運営できる、要するに特別な事情のない限り運営ができるという自信があるかどうか、具体的に一つの例を申し上げますと、第一線の電話局におきましては、女子從業員が非常に不足しているというのが、いずれの局においても現状だろうと思うのであります。それは労働基準法のよる週休制、あるいは生理休暇等のいろいろな條件があつて、從來の定員をもつてしては女子從業員のみではとうてい電話交換の運営が困難で、ほとんど労働基準法を無視されておるというような現状を考えてみまするときに、おそらく当初は現在の人員の範囲内において業務の執行ができる、そうしなければならないというような考え方で進まれておると思いますけれども、將來において相当増員をしなければならないという危險が予想されるだろうと思うのであります。ただいま大臣、あるいは大野さんから御説明がありましたように、將來特別な事情が起らない限り、現在の定員をもつてして機構改革後における業務の運営ができるかどうか、行政当局にその自信があるかどうかという点について一應お伺いいたいします。
  46. 冨吉榮二

    冨吉國務大臣 御案内のごとく、通信事業はその國の文化のバロメーターでございますが、お配りいたしました資料によりましてもおわかりになります通り、世界においてわが國のこの電話の数量のごときは、まことになさけない状態にあり、世界中において大体その架設量が二十一番目になつておるような状況でございまして、この点大いに私ども慚愧にたえないのであります。戰災による被害の電話を復旧いたしますと同時に、五箇年計画に基きまして私どもの理想を達成してまいりますならバ、そうしてまた利用度数が殖えますならば、從つて交換手やその他の要員の人数が現在では不足するということ、これはやむを得ないことかと思うのであります。しかしながらそれにいたしましても、年々予算において皆樣の御協賛を願い、同時にまたその俸給の額においても、過去の旧憲法時代と違つて、新しい憲法のもとにおいては、すべて官吏の俸給は法律をもつて制定いたすということになつておりますので、その点の懸念は必ずしもなしとはしないけれども、その点については十分皆樣方が國会において予算削減もしくはこれに対する掣肘を加える議決、あるいは法律案の否決、修正等の有力なる権利をもつておられますので、決して御心配はないことだと思います。ただいま御指摘の電話交換手が非常に不足しておるというお話でありますが、これは非常にでこぼこがあり、交通事情、あるいは食糧事情というような点、あるいは從來の戰災、かれこれの面からいたしまして、でこぼこがございますが、これを調整いたすことによりまして、大体電話通信に当分差支えない人員が、確保されておるのでございますが、さらにその他の業務と郵政、電務との間におきまする、いろいろの調整は、同じ役所の中で同じ大臣の統制のもとにやつておるのでありますから、嚴重これは配置轉換を行いたいというように考えておる次第であります。從つてまず機構の面から、ただちにこの事業量が増さないのに、いわゆる官僚の——從來われわれが考え、われわれが攻撃してきたところの繩張り根性、独善主義によるところの人員増加というものは、さほど懸念するには及ばないというふうに考え、また私の在任中においては絶対にかくのごときことをいたさせないように嚴重に監視いたしてまいりたいと考えております。
  47. 多田勇

    多田委員 遞信大臣の非常に力強いお考えを伺いまして安心いたしました。ただ今電話交換手の問題が出ましたが、私の申し上げたのは実在人員を指して申し上げたのではないので、私は一つ相当大きな電話局の定員を指して申し上げて、その定員ではとうていやりきれない実情にあるという点で、実在人員が、あるいはでこぼこがあるかもしれませんが、この点は定員を指して申し上げたのであります。  次にお伺いいたしたいことは、私は現在労働協約によりまして、労働組合の、いわゆる金遞の專從職員となつておるものが、相当あると思いますが、この人員とそれ人件費、この額がおわかりでしたらお話願いたい。
  48. 冨吉榮二

    冨吉國務大臣 その数字につきましては労務関係の者がおりませんので、はなはだ恐縮でありますが、あとで申し上げたいと思いますが、相当数のいわゆる專從者がおるようであります。これもいろいろはつきりした統計の数字を私今持つておりませんけれども、私は大体專從者というふうな、官廳が俸給を拂つて労働組合運動をするということは、理論的に絶対に間違いであるという強い意見をもつておる一人でございます。この点につきましては、過日閣議におきましてもそれを原則としては誌めない、但しものの改革というものは一挙にやりますることはかえつて弊害もございまするので、当分の間七百名に一人の專從者を認めるという方針が決定いたされたのでありまして、私は原則としては認めない。現在全遞に対する労働協約の改訂提案をいたしておるのでありまするが、その提案の中にも、專從者はこれを認めないという方針で、進んでおるのでございます。しかしお話のごとく、相当人員がその專從者となつておるということは否めない事実でございまして、このことが漸次改正されてまいりまするならば、相当優秀な人々が專從者となつておりまするので、通信事業のために裨益するところ大きなものあることを思つております。
  49. 林百郎

    ○林(百)委員 これは一体この料金四倍でいくらの増收をはかるつもりか、私ども計算で四倍平均としますと、百九十八億くらいになるのです。これはならしてやつているのですが……。これを見ますと実際は四倍平均になつておらないようだけれども、この数字がいくらかということをまずお聽きしたいと思います。
  50. 大野勝三

    大野勝三政府委員 これは六月の十五日から施行するものとしましての計算でございますが、つまり九箇月半の増收を見まして百八十九億三千六百万円余り見込んでございます。
  51. 林百郎

    ○林(百)委員 そうするとこれは六月十五日から施行の予定なのですね。
  52. 大野勝三

    大野勝三政府委員 そうです。
  53. 林百郎

    ○林(百)委員 それからもう一つ聽きしたいことは、資材の面の鋼材、鋼、鉛、紙等がおそらく遞信事業の資材としては最も基礎的なものだと思いますが、これを一谷いくらの倍率計算して、この物件費を出したおるかということをお聽きしたいと思います。
  54. 大野勝三

    大野勝三政府委員 これはしさいに各所要資材別にそういう計算をいたしますことが実際問題としてなかなか煩雜で、すぐ容易に出て來ませんので、大体どのくらいが基礎資材、どのくらいがその他のものというふうに大まかにわけまして、それぞれの所要物件費を現在の物價でまず出し、それを大体時價にして五割五分から六割見当上げるという計算にして、たしか出したのでございます。
  55. 林百郎

    ○林(百)委員 いくらですか。
  56. 大野勝三

    大野勝三政府委員 特別廳費の内容をなしているものにつきましては、七月一日から七割上るという勘定にいたしておりますし、それから普通廳費に属するものにつきましては、八月一日から大体五割見当上るというふうに勘定をいたしておるのでございます。これらは少し大ざつぱな倍率のかけ方でございますから、実際に普通廳注に属します筆、紙、墨の類でも、大体八月から五割見当の値上りで済むかどうかということにつきましては、若干縣念されるのでありますけれども、それらはそのわくの中で、物品の節約というような方面でとにかく間に合わせようというような、いわば背水の陣のような考え方で、そういう計算をいたしておるのでございます。
  57. 林百郎

    ○林(百)委員 たとえば國鉄のごときは、石炭を大体二・七倍の倍率で、三千七百円で計算しているのですが、遞信部門だけ基礎資材を七割見当、しかも一般のものは、政府でさえ一般物價を七割平均値上げするという声明をしておるにもかかわらず、五割見当で計算して、それで今年の逓信事業が遂行できるかどうか、おそらく私はほんとうのところは七割ではなくて、やはり國鉄のように基礎資材は七割以上の計算をしているものも相当あると思うのだが、その点もしできたら資料を出してもらいたい。
  58. 大野勝三

    大野勝三政府委員 ただいま林委員からお話になりました國鉄の石炭の場合は、これはおそらく國鉄の物件費のうちの一番大きなもので、これあるがために全体の損益勘定の経費のうちでも人件費物件費の比率で、物件費相当大きな率を占める有力なるフアクターをもつものだと考えます。そうしてその石炭の價格は、明瞭にこれだけのものが今度の物價改訂でこれこれになるということがはつきり出るものでございますから、おそらく実際の値上りの割合をとつたものだと考えますが、私どもの方ではあれほどまとまつたものがありませんので、いろいろ雜多なものを実際について物件費計算をしたものでありますので、それらを総合して大体おもなるものは七割見当、その他は五割というものもあるといつたような計算のし方をとつたものでございまして、実はこれを計算いたします際に、財政当局ともいろいろ打合わせをいたしまして、その方の意見なども取入れてそういう率をとつたのでございまして、詳細にその各資材別に個々の倍率を定めた計算のし方をいたしておらないのでございます。
  59. 林百郎

    ○林(百)委員 最後に大臣にお聽きしたいのですが、政府の方は大体公定物價一・七倍値上げ、それからやみ値三・六%値上げ物價を一應押え、賃金は三千七百円ベースで押えて、そこで一應中間安定の第一期の基礎條件をつくりたい、それ以後は一切物價マル公もやみも高進しないのだという構想のもとに本年度予算がつくられておるのでありますが、ここで郵便料金四倍、鉄道運賃三・五倍、これが結局マル公あるいはやみの價格へはね返りまして、この政府の言うような物價高騰、インフレーシヨンの高進を抑えるということは事実上不可能になると思うのです。そうするとまた物價が上る。物價が上れば先ほど言いました通りまた郵便料金鉄道運賃を上げるか、何かを上げなければいけないというように、常に物價賃金あるいは通信料金鉄道運賃というものはいたちごつこで限りがないと思うが、そういう意味でこの郵便料金四倍値上げというものが、日本の國の経済のインフレを高進する大きな刺戟になると思う。わずか百五十億程度のものでありますが、この公共的な事業のために、一般の経済生活に及ぼす影響は非常に大きく、これがために芦田内閣の経済政策の基本方針もゆるぐというようにわれわれは思うのでありますが、その点についての冨吉國務大臣の見解を伺いたいと思います。
  60. 冨吉榮二

    冨吉國務大臣 大体この物價値上げ等をきめます基準は、御承知通り安定本部におきまして、わが國における不完全とはいえども最も権威あるというデーターに基いて、運賃通信料金物價の中に占める率はいくらであるか、從つてその値上げによつてはね返りがいくら物價に及んでくるかというようなことを算定いたしまして、そのはね返りをうけるものについての値上りだけを今回はやつていきますので、すべて公定價格を大幅に引上げるということには、今度の処置はならないと私どもは了解いたしておるのであります。殊に先ほどもどなたかのお尋ねに総務局長が答えましたように、通信料金物價の中に占める率というものは、ごく一部のものを除きましては、大体においてきわめて低いパーセンテージであると私ども考えます。ただ相当の心理的な影響がありますことは、私どもも十分これを考えておるのであります。しかし今林委員はわずか百五十億ばかりと仰せられましたけれども、百五十億というものを一般会計にこれを補填せしめるということは、現在のわが國の状況のもとにおいては、非常に困難であるように私ども考えられるのであります。從いましてやむなくこうした今回の処置に出たのでありますが、先ほどの説明の際に申し上げましたごとく、千二百円ベースと一昨年の十月の物價基準に基きまして算定した現行料金をそのまま止めておきますことは、價格構成の面から言つても決して妥当でないことは、何人も御了承が願えるだろうと思う。いわんや日本昭和九年から十一年度の基準年度に対しまするこの價格の値上りにいたしましても、他のものに比して著しく高い料金にはなつておらないと私ども考えておるのであります、さればと言つて、決して上げることがあたりまえだから上げたというのではございませんので、通信会計建前がかくのごとき悲惨な状況でありまして、いわゆる文化國家の中心であります通信の確保ということがもはや望み薄の状態になつた今日、私どもはどうしてもこうした受益者の負担にある程度お願いをするほかに途がないのでございまして、いろいろな面におきましては、私自身も國民の勤労大衆が負担することを勘案いたしまして、いかにしてこの通信料金値上げを最小限度に食い止めるかということに非常な苦心を拂つて研究いたしてみましたけれども、遺憾ながら私どもの智憲をもつてしては、今日のわが國経済の再建途上において、この程度の御負担はやむを得ないという結論に到達せざるを得なかつたのであります。今後の日本の経済が根本的にこの基礎が壞れて、芦田内閣の政策が全面的に破綻するのではないかという御意見に対しましては、謹んで拜聽いたしておきますが、もしそれかくのごときことが出てまいりますといたしますならば、ひとり芦田内閣のみならんや、日本経済のためにまことに由々しき問題であるがゆえに、まず私どもは歯を食いしばつてかかる困難に耐えていきたいという考え方をもつておるのであります。先ほども申し上げました通り、三千七百円ベース賃金が、決して私は労働者にとつて満足すべきものでないことも十分心得ている一人でございますが、これをしもがまんしてもらわなければならないということは、戰爭によつてほとんど経済力を破壞されておりますなさけない経済状態は、すでに私が申し上げるまでもなく、御存じの通りの國情のもとにおいて、少くとも五箇年間に通信事業昭和九年ないし十二年のころの程度に挽回して、大いに文化國家としての面目を躍如たらしめたいという念願に燃えております私どもといたしましては、この程度の御負担はお願いしなければならぬことであるし、またそのことによつて林君御心配のごとき物價に著しき影響を來して、通信料金の面からインフレーションが起つてくるというような議論は、学者の方からも今後拜聽する心配はないものと考えている次第であります。
  61. 林百郎

    ○林(百)委員 富吉逓信大臣は、通信料金四倍値上げが決してインフレのファクターにならないという強い信念をおもちのようです。数的な根拠は安本にちやんと準備してあるという確固たる確情のもとに立つておられるようですから、通料料金がわれわれの生活の要素に及ぼす影響を示す数字を次に資料として見せていただきたい。これをお願いしておきます。  それからもう二つほど、先ほどの大臣の話の点についてあるのですが、昭和十二年度昭和二十二年度と比べて、生計費も高騰しておるのだから、通信料金も上げるのが当然ではないかという理論であります。これは遺憾ながら通信事業の現状、いわゆる通信白書を見てもわかりますように、ただいまの通信事業郵便事業のサービスが昭和二十年度と同じでないということ、これは電話の面においても、故障の回数、取消の回数、それから待つ時間、これはほとんど話にならない、実に惨澹たるものでと思う。こういうサービスの質的な低下は、半分から電話の待ち時間などを入れますと五分の一、八分の一のサービスしかできないものに対して、生計費が戰前の何倍だから、郵便料金電信電話もそれでよいのだという理論は成立たないと思う。この点を一つ考えていただきたいということと、それから通信白書に出ております生計費の高騰率と郵便料金の値上率、これをかりに冨吉逓信大臣の言われるような計算からいたしましても、四倍では少しげたをはかれております。たとえば生計費が昭和十二年から二十二年の間に大体七十倍になつております。ところが通信料金は二十三倍になつておる。これを四倍しますと、大体九十倍ぐらいになるわけです。生計費の方が七十二倍になりますのに、通信料金は四倍しますと九十何倍になるので、少しげたをはき過ぎると思うが、この点冨吉逓信大臣の論拠が不正確だと思う。私の質問は今日はこの程度において止めますが、この点について冨吉逓信大臣の御返事をいただきたい。
  62. 冨吉榮二

    冨吉國務大臣 林君の、サービスが低下していて、待ち時間その他どうも不満足な状態のもとにおいて料金を上げるのはけしからぬじやないかという仰せでございますが、なるほどそういう議論は成立つと思う。しかしこれは戰爭によつて破壞された不可抗客によつて日本通信のサービスが落ちたので、決して林君が最も愛せられるところの全逓從業員組合のいわゆるサポタージュ等によつてなされたものではないと私は考える。不可抗力、つまり人間の能率の低下質の低下というものと、機械の破損及び虐使によるところの能率低下というようなものから、私はサービスが落ちてきていることは間違いないと思つておるのでございまして、そういう中に、通信料金引上げますることは、生計費がこうなつているからこれだけの値上げはいいんじやないか、そういうふうにお受取りを願うと、若干迷惑をいたすのでございまして、こういうふうな状態であるから値上げをするというのではありませんで、これは財政上の見地からと、現在の通信復旧の状況から私は申し上げて、この程度値上げをやむを得ずお願いしなければならない、これを逆に他の物價との関係を申し上げますると、さまで高くならないのじやなかろうかと、こういうふうに申し上げておるのでありまするし、さらにまた通信料金値上げするからインフレーションが起るのではなしに、インフレーションが起つているから実は通信料金値上げしなければならないのだ。この苦しい事情、この惡循環的矛盾の中にあえいでいる通信会計の実情を率直に私は申し上げておる次第でございまして、何が何でも引上げて、そして生計費と同じだからというような考えで見ているのでは決してないことをひとつ御了承願いたいと思います。
  63. 林百郎

    ○林(百)委員 私の考えも実は冨吉大臣の言われるように、このたびの通信事業赤字の大きな原因は、やはり戰爭だと思うのです。現に昭和十三年から昭和十九年までは、毎年通信事業特別会計から一般会計へ寄附金を出してサービスしていたわけなのである。ところが遺憾ながらなぜ今通信事業赤字なつたかと言えば、戰爭によつて実に惨澹たる惨状を呈しているからだと思う。そうなればこの際相見互いであるから、通信事業赤字なつた際には、今度は一般会計から特別会計を見てやることはと当然だと思います。それを通信事業赤字だから、お前の方の赤字はお前の方でしりを拭けということは私は納得できませんので、何も一般会計から補助を仰ぐから、急いで郵便料金を四倍に上げて、大藏省の言う通りにしなければならないのだという、その逓信省考え方が、しりの穴が小さい考え方で、そんなことは恐るることはないから、公共性をあくまで確保して、われわれの方がサービスしたから、今度は君の方で戰爭のあと拭いは國家全体がやらなければならない。だから一般会計から見るのは当然なことではないかということで、現行料金でがんばつたら、逓吉逓信大臣の名声は噴々たるものになると思うが、この点についての考えを聽きたい。
  64. 冨吉榮二

    冨吉國務大臣 まことに林君の御同情ある通信会計に対する御支援ありがとうございます。実はその議論は一應成り立つと思うのであります。しかし國務大臣というものは、何も逓信省のことばかりを考えていてよろしいというわけにはまいりませんので、國家財政全般の面からいたしまして、この程度値上げはやむを得ないのだろう。つまり逓信大臣が大藏大臣に屈服したのでなしに、私は同等の建前においてこれを考えていて、むしろ私どもの方からこの案を持出したのでございまして、その点誤解のないようにお願いいたします。御議論としてはまことに傾聽すべきもので、独立採算制というがごときことを戰爭の直後において、しかもインフレの状態において言うのはいかぬではないかということは、確かに一つの御見解で、傾聽いたします。しかしながらその議論を際限なく進めてまいりますと、戰爭によつて國民も非常な迷惑をいたしておるので、その戰爭の迷惑をみな國家の負担にせよ、一般会計負担にせよ、こう言つてまいりまするならば、おそらく國家財政は破綻すると私どもは実は考えておるので、殊にいわゆる旧憲法のもとにおける天皇國家、官僚國家の時代と違つて、民主國家、八千万が主権者となつた今日においては、どうしても國家財政を建直すということをもつてどもの根本の考え方といたしまして、その考えから進んでこの日本のインフレ下における料金政策なり物價政策なりというものを考えてまいるべきであろうかと考えるのでございます。そこでこの通信料金が御案内のごとく四倍ということは、実は四という字は私も心理的な影響があるかと心配いたして、できることならば三・何とかというふうにもそろばんをはじいてみたのでありますけれども、どうしても追付かないのでございまして、この程度にいたしたのでございまするが、その中に先ほども説明申し上げました通り、たとえば大衆向きのもので、公衆電話のごときは、從來三倍とつておりましたものを二倍にするとか、あるいはその他の料金を問題におきましても、いろいろその点を実は勘案いたしたような苦心だけはひとつ御了承願いたいと思うのであります。
  65. 大野勝三

    大野勝三政府委員 先ほど林委員の生計費と通信料金の問題につきまして何かお尋ねがあつたようでございまして、すでに大臣が御答弁になつたのでございますが、補足してちよつと一言加えたいと思います。お手もとにお配りしてございます通信料金関係参考資料の六ページから七ページ、八ページというところでございます。そこをごらん願います。六ページのところは、第六表、國民所得中において通信料金の占める割合の表でございまして、これがただちに生計費と通信料金負担関係を正確に物語るかどうかについては議論がございましようが、一つの見方といたしまして、昭和九年から二十三年までの國民所得と、その中から支拂われるであろう通信料金收入とを対比して、そのパーセンテージを出したものでございますが、昭和九年におきましてはそのパーセンテージは二・五%でございましたが、それがずつと連年下つてまいりました。ということは、國民所得の増加割合よりも通信料金負担はそれほどに目立つていないということを物語つておりますが、それが昭和二十二年に至りまして、國民所得と通信料金收入との比率は前者に対する後者の割合が〇・八四%まで下つてきておりますが、これを今回四倍に値上げいたしますことによつて、二十三年度はこれが一・五六%になつて、大体昭和十四年程度よりもちよつと低いところ、昭和九年に比べまするとはるかに低いということになつておるのでございます。それから七ページ、八ページは都市の、主として通信力の比較的旺盛であろうという地域でございますが、そういうところの勤労者の家計の実際を労働者でお調べになつたのでありますが、その中で交通、通信、運搬費がどのくらいの額に上るか、またパーセンテージに上るかということを、第七表及び第八表で示しておるわけでございますので、御参考までに申し上げておきます。
  66. 海野三朗

    ○海野委員 この前の國会におきまして電話のサービスの惡いこともさんざん述べたのでございますが、その後いくらかよくなつてきたようにも考えるのでありますけれども、地方と都会とは交換手の質において違つておる。またサボつておるのではないかというふうに考えられる節が多々あるのであります。過日私は仙台の電話局へ行つて親しく視察をしたのでありますが、あの仙台局に行つて見ましたところが、実に人が足りない。その中に交換手はほんとうに苦鬪を続けておつたのであります。しかるに地方にまいりますと、市以下のところ、町の交換局、そこに至りますと、夜電話をかけますとほとんど出てこない、大部分がまず通じないという現状でありますが、そういうふうないわゆる從業員がサボつておるのか、質が低下しておるのか。中心におられます大臣、あるいは局長の人たちは、その不便は感じられないでありましようが、田舍の方と連繋をもつわれわれ代議士は、非常にこの不便に悩まされておるのでありますが、その点については政府当局は、この値上げ関係してどういうふうにお考えなつておるのでありましようか。その御所見を承りたいと思います。
  67. 冨吉榮二

    冨吉國務大臣 海野君の御指摘まことに申訳ないと思います。そうしたことで多くの加入者もしくは一般公衆に御不便をおかけしていることも決してないとは申しません。しかしながらこれはすでに海野君御存じのごとく、昭和七、八年以來、殊に昭和十二年日華事変以來、わが國の軍國主義、帝國主義的持導精神のもとで育てられたところの人々の中には、往々にしていわゆるヒユーラー・システムと言いますか、命令があり、監督があればよくやるけれども、それがないときにはやらないといつたような面も多分にあることはと思うのであります。学校教育も非常に杜撰になりましたが、社会一般の風潮というものは戰爭という罪惡によりまして、ほとんど道徳思想も破壊されておるのでございます。都会において多少立直つたというお賞めのお言葉はまことにありがとうございますが、都会から次第に民主主義が地方に流れていく。これはひとり民主主義ばかりではございません。いずれの事柄も都会から次第に地方に流れてまいりますので、今その過程にあるのであると私ども考えている。一方私ども逓信省のいわゆる政府、官側と申しております方面におきましても、私は大胆直率に申し上げますが、終戰後労働組合ができて、世間で、殊に全逓という組合が非常に勇敢な戰鬪的な團体でありまして、大体少しく経営者側と言いますか、官側と言いますか、これが萎縮しておつたような感じを私は直率に認めます。私は労働運動の健全なる発達に対しましては多大の関心をもつておるのでありますが、それはあくまでもその事業を愛するという精神でなければならないので、これに処するところの労働組合も管理者側も、おのおのその職分を十分に守るというのが正しいいき方であると確信をいたしておるのであります。しかるに一方このヒュラー・システムによつて育てられたところの一般の人々に、軍閥、財閥が崩壊いたしまして、官僚もまた民主憲法のもと國民の公僕となりまして、從來の面影がなくなりました。同時に労働者側は労働組合法その他のものによつて非常なる福止が與えられたということにおいて、多少のいき過ぎがあつた。そうしてまた一方管理者の側におきましても、いわゆる虚脱状態によつてさわらぬ神に崇りなしといつた式のものが、必ずしもないわけではなかつたと私は考えております。このようないわゆる虚脱状態から立直りが遅い方面は遅い方面ほど、今海野君御指摘の通りの実情はちよちよい見聞いたすところでございまして、この点に対しましては私は就任以來十分に部下を戒飭いたしまして、そうしておのずから組合の職分と経営者側の態度について嚴然たる建前を持すべく、労働組合にもこれを要求してまいつておりますが、また管理者側にもこのことを私は主張してまいつてつたのであります。以上のような事柄が敗戰後の虚脱混乱の状態の中において、幾多通信機関におきましても、一般皆樣方の御迷惑になつている点も多かつたことと思いますが、漸次それは立直つていくべきものであり、またいきつつあると私は考えておる次第でございます。私どもも眞実そういうことに対して、誠心誠意をもつて直してまいりますから、皆樣方も十分なる御協力をくださいますようお願い申し上げます。
  68. 海野三朗

    ○海野委員 ただいま逓信大臣からのまことに誠意ある御答弁感謝いたします。しかしながら、それにつきましていかなる具体的方策をもつて進みつつ頭るのかということを私お伺いしたいと思います。放つておけば自然に直つていくのでありましようが、今日この通信事業はわれわれの耳であり、ほんとうにこれが、遅れたために、大事な機会をはずしたり、大事な会議をはずして、そういうふうに役に立たない場合が多々あるのであります。この通信事業はほんとうに大切な事業でありますがゆえに、これに対しての具体的方策、今後地方々々の目ざめないそういう方面の從業員を覚醒するためには、いかなる具体的方策をもつてお進みになられんとするのでありますか、それをお飼いしたい。
  69. 中山次郎

    ○中山(次)政府委員 私から具体的の対策につきましてお答え申し上げます。ただいまお話しのように、都会地よりも現在農村漁村の地方におきまして、未だに交換サービスが非常に惡いという点につきましては、まことに恐縮にたえないのであります。ただいま逓信大臣から御答弁のありましたように、終戰後混乱しました精神的の虚脱状態は漸次改善されまして、田舎の方面も改善の緒についていくと思うのであります。それに任せませず、私ども管理者側といたしましても、これが一日も早く改善促進されるように努力いたしておるのであります。それの一つの方法といたしまして、昨年度におきましてもすでに交換手のこれらの能率なり勤労意欲なりにつきまして、監督また指導するという方面につきまして、養成の講習会を開き、各局の幹部の者をそれぞれ逓信局が部署をわかちまして集めまして、これらについての指導を行つたのであります。また本省からもその講習会には係員を派出させまして、指導について十二分に説明いたした次第であります。また一昨日、昨日の両日にわたり、全國の逓信局なり、また主要の電話局の養成係員を東京に集めまして、これも指導その他今後の改善の対策について協議を行いました。その方針に指示いたしました線に沿うて、各逓信局は今年度も引続きまして、この交換要員の能率増進また勤労意欲の確保ということに努力いたしたいと思うのであります。一方こういうように、人的要素につきましてその心構えなり、能率を増進いたしまして、サービスの改善をはかるとともに、これらの方々がほんとうに全能力を発揮し、また勤労意欲に燃えて仕事をしていただくためには、何と言いましても設備がやはり完備しておりませんことには、せつかく從事員の人に努力していただいても、それがむだ骨になり、またせつかく努力していただきましても、それが故障のために遂に勤労意欲を低減させ、加入者の方々との間に感情的のいき違いを生じさせることになり、從事員そのものにも氣の毒でありますし、ま平加入者の方々に対しても結局において非常な迷惑をかけるのであります。從つてそういう施設の補修、修理、また完全なる施設をいたすという点について、工員側と協力いたしまして努力いたしたいと考えておる次第であります。
  70. 海野三朗

    ○海野委員 ただいまのお話につきまして、地方の局でありますが、夜分の電報配達という方面に從事しておる人につきましての加配米はいかようになつておるのでございましようか。これをちよつとお伺いいたしたいと思います。
  71. 中山次郎

    ○中山(次)政府委員 夜分につきましては、殊に深夜業にわたる者につきましては、それぞれ加給米なり、深夜の食料について特別の手当をいたしております。殊にまた逓信從業員のそういう夜間の勤務の者につきましては、加配米と申しますか、それぞれの夜食についてなり、また特別の給與について手配をいたしおる次第であります。
  72. 海野三朗

    ○海野委員 地方の配達人、それから都会の居残る人たちについて親しく話し合つてみたのでありますが、加配米は非常に少いというところの声を私は頻々として聞いておるのでありますが、それには段階があつて、上中下と三段階になつておるようでありまして、居残り、撤夜に対しましてはあまりいい方ではないという話を私は聞いておるのでありますが、その辺はどうでございましよう。どれくらいの割合で加配をしておるのでありましようか。
  73. 中山次郎

    ○中山(次)政府委員 その点については、ただいまここに具体的な資料を持つておりませんので、早速調べまして御報告申し上げたいと存じます。
  74. 海野三朗

    ○海野委員 それから地方には逓信局がありまして、本省の方では、その地方の局の報告によつて動いておられるようでありますが、実際非常にかけ離れたるところの地方における実情は、逓信当局が親しくこれを視察をしてみようというお考えではなく、ただ地方の逓信局の報ずるままに捨てておかれるように感ずるのでありますが、その点につきまして、本省はどういうようにお考えなつておりますか。地方を絶対に信用していらつしやつて、地方の人民がいかに言うてもそれは取上げない、地方の局が報告してくる通りに信じておるのだというお考えでありましようか。同じ請願書にしても、昭和十八年あたりから再々出しておるけれども、それが地方の局長までは届いていない。課長にすらも行つていない。係長で握りつぶしておるという事実があるが、それらに対しては逓信当局はいかようにお考えなつておるのでありましようか。その点をお伺いしたいと思います。
  75. 冨吉榮二

    冨吉國務大臣 本省から地方に出張してあまねく地方の実情を査察して、そうして仕事をやつてまいるということは、まことに理想的でございまして、決してそういうことに異存はないのでございます。しかしながら、御承知のごとく旅費等の面が相当議会等で制約を受けておりますので、なかなか思うようにまいつておらぬかと思うのであります。その一々については私も局長があるいは何課長がどこに出張したかせぬかということは調べておりませんけれども、大体役人は出張を好むものである、私はこう考えておるのでありまするが、遺憾ながら出張旅費を十分國民から頂戴ができていないので、その制約された範囲内の出張であります。しかしながら、御要求は万遍なく各地方からございまするので、限りなき要求に対して限りある力をもつていたしておる。そこに十分御満足を得ていない点もあることを私は考えております。しかし許されたる範囲におきましてこれを効率的に使用いたしまして、できるだけ御希望に副うということは、國民の公僕たる役人がいたさなければならぬ義務であると考えるのであります。
  76. 海野三朗

    ○海野委員 地方に行きますと、やはり封建的な氣分が濃厚でありまして、地方の逓信局あたりに行きますと、人民の方とは格段の差があるように感じられておるのであります。地方の逓信局にいくら陳情書を出しても、それは地方の局長には届いていないので、実際は知らないということを私は聞いたのであります。前に何度も出しておりながら、それは一向地方の局長まで届かないという事実があるのでありますが、今大臣の言われますように、それは地方に万遍なく行くことはできないでありましよう。しかしながら、地方にばかり任せないで、ときどき地方を査察してもらつて、実際の農村の通信事業の状況を見ていただかなければならないと私は考えているのでありますが、その点について今大臣からお伺いしたい、こう考えたのであります。旅費の点をおつしやるのはごもつともである。しかしながら、默つておりますと、いつまでも本省としてはこらえて、他人の痛いのは三年もこらえるというのが現状であると私は思うのでございます。殊に東北地方から昭和十八年以來請願が再三出ているのに、未だかつてこれが届いていないことが今度初めてわかつてきたという事実があるのであります。これをよく調べてみましたところが、地方の局から出張していく人たちが地方で買收されて、酒でも飲まされてころころにして帰されている事実があるのでありまして、どうもそういうことを見ると、私はほんとうに民主化されていないということを考えるのであります。この点に対して逓信当局はどういうふうにお考えなつているのでありましようか、それを私はお伺いしたいと思うのであります。
  77. 冨吉榮二

    冨吉國務大臣 そのようなことは間々あるかと思いますが、私も就任以來三箇月近くになりまするので、地方に出張したいと思いまするけれども、御案内のごとくこういうような情勢に立到つておりまするので、ほとんど自分の郷里にも一遍も帰れないような状態で、出張したいと思いながら今日までそれも不可能でありまするが、おそらく事情の許す限り出張をいたしておるものと私は考えております。前に申します通り、役人は非常に出張を好む習慣がありまして、むしろ出張しない方の弊害よりも、出張した方の弊害が世間に多く喧傳されておるようなことさえ私は聞いておりまするので、あまり出張してきてうるさいという議論が多いところに、海野さんから逓信省の役人は大いに出張せよという御激励を賜わりまして、私はその点まことに感謝いたす一人であります。  民主化の点でございまするが、これは何も私が役人の立場に立つて申訳をいたすのではございませんけれども、たとえば明治憲法創設以來官僚國家として、天皇國家として、支配國家であり命令國家であつたことは、海野君よく御存じの通りと思う。そういう習性のもとに育てられた官僚が、民主主義の憲法ができたからといつて、ただちに木に竹を接いだように民主化する、そうして制度まで一切がきのうとは全然面目を異にするようなぐあいには、なかなかいきかねると実は考えておる一人であります。といつて民主化は一日遅れればそれだけ國民にとつての不幸でありまするから、特に私はその点につきましては留意いたしておるのでございまして、すでに自分が地方に出張できないから、逓信局長を二回も招集いたしまして、それらの具体的な処理の態度、行動につきましても、実は訓辞を與えて協議をいたしておるような次第でございまして、御指摘の通りのいろいろな不便をかけている点は、私はないとは申し上げません。いろいろと起ります不祥事等もそれらに胚胎する面もありまするので、その点からも非常に監察を嚴にいたして、その方面の拡充強化をやつておりまするし、さらにまた前内閣のときにつくられました行政監察委員制度なるものもございまして、私も商工省の委員長といたしまして、その方面で種々民間各位の御意見を徴して、その立場から官吏の指導に当つたのでございます。とにかくいろいろ御不満なところもあると思いますが、お叱りなり御指導を十分願うように私からも特にお願いを申し上げておく次第であります。
  78. 白井佐吉

    ○白井委員 たいへん重要な議案の審議にはいつておるのでありますが、本日はこの辺でひとまず終りたいと思いますから、お諮り願います。
  79. 土井直作

    土井委員長 散会の動議がありますが、散会することに対して御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 土井直作

    土井委員長 それでは本日はこの程度にいたしまして、明後十一日午前十時から開会いたしまして、質疑を続行することにいたします。  それでは本日はこの程度で散会いたします。     午後四時十二分散会