○
大野(
勝三)
政府委員 それではただいまお配りいたしまして
導地事業特別会計收支状況につきまして、ただいま御質問のありました点に触れ、お答え申し上げたいと存じます。
これは
通信事業特別会計の二十三
年度の本
予算損益勘定について表をつくりましたものでございまして、
損益勘定と申しますのは、つまり
料金の直接
関係をもつ
收支の
勘定部分という
意味でございますので、これについて御
説明を申し上げますと、まず左の方が
收入の欄になりまして、右が
支出の欄と
なつておりまして、そこに本
予算概計額、それから
決定額というふうに二欄それぞれ設けてございます。その本
予算概計額の方は、
收入の部で申しますならば、
料金は現在の
料金という
意味でございます。それから
決定額の欄は、その
料金を今回御
提案をいたして、ただいま御
審議をいただいております案のごとくに
改訂をいたしました際の、
收入額を
見積つたのでございます。同様にいたしまして
支出の方でも本
予算概計額の欄に掲げました
数字は、二千九百二十円
ベースの
給與、それから
物價は現在の
物價、
運賃の
現行料金という
基礎で算出をいたしました
支出の額でございまして、その右の
決定額の欄が
給與水準を六月一日より三千七百円に
引上げ、また
物價は
マル公七割
引上げ、
運賃は旅客、貸物とも大体三倍半に
引上げられた場合における
費額を
計算いたして載せたものでございます。そういたしまして
総額の計のところをごらん願いますと、
收入は本
予算概計額におきましては、計で百七十八億五千三百六十万一千円に対しまして、
支出の本
予算概計額の計は、三百三十億七百四万二千円と
なつておるのでありまして、その際の
收支差額が結局
不足といたしまして
收入の一番下の欄に出ております、百五十一億五千三百四十四万何がしというのでございます。ところがその次には
支出の方をごらん願いますと、
支出の方の
決定額できわだ
つて出ておりますものが、たとえば
通信事業独自のものという欄の
内訳のA、
人件費と出ておりますが、その
人件費の百五十二億一千九百万円余が二百十六億六千五百六十九万六千円というように上
つております。これをこういうふうに改めましたのは、ただいま申しましたように本
予算概計額の際におきましては、二千九百二十円
ベースで組んでお
つた数字でありますが、六月一日から三千七百円に上るとして、つまり
計算の式から申しますと、二千八百五十分の三千七百に、十箇月
分——六月一日から実施といたしまして、十箇月分でありますから十二分の十をかけて、それに四、五の二箇月は二千九百二十円のすえおきというので、十二分二を足した
倍率、答えは一・二五という
倍率をかけて出した
数字であります。以下そういうようにいたしまして順次
概計額の
数字を改めたのであります。おもなるものについてその
支出の方で申し上げますと、
賃金、
旅費いずれもそういう
計算——計算と申しますのは
賃金水準とは違います、つまり
賃金というのは
人夫賃でありますが、
賃金におきましては
一般の
物價の値上り、これは大体六割
見当——実際
マル公七割というのでありますが、六割見当値上りするものと見ております。あるいは
旅費におきましても、
汽車賃が三倍半になる、そうすると
旅費の
内訳は、六割ぐらい
汽車賃であるけれ
ども、四割ぐらいはその他の
費額であ
つて、これは
汽車賃の
程度には上らない、六割かそこらの
程度上るだろうというような
計算をいたしまして、それぞれこういうように訂正をして
決定額として出しておるわけであります。
物件費の方におきまして、集配逓送費としてありますのは、
郵便物を主として汽車便其の他でも
つて各市の間を輸送する費用でありますので、これは直接
汽車賃殊に貨物
運賃の値上りの
影響を受ける費目でございますので、この上り方も
相当大きく
なつておりますが、大体六月の十五日から
汽車賃が三倍半になるという
計算で出したものであります。特別廳費と申しますのは、いろいろ日常
事業を営みます上に必要な器具類を調達したりする費用でございます。これは大体
マル公が七割
値上げ、しかも七月一日から七割上るという
計算で出したものであります。その他の欄にまいりますと、補充費、利子、公債発行較差、予備費とありますが、補充費と申しますのは、
事業を運営いたします上に必要な、いろいろ
電信、
電話等の
設備や、機械等の修理、あるいは取換えをいたします経費を
損益勘定でもつのでございます。その費用でございまして、これは一部
人件費がございますが、大
部分は
物件費ということになりますので、それぞれ
人件費は二千九百二十円から三千七百円、また
物件費は大体七割見当上るという
計算でこれを出したものであります。利子は別に申し上げることはありません。これは実際
支出しなければならない
費額を出してこういう
計算に
なつております。公債発行較差、これは実際額面と発行價格との差額を損に計上しなければなりませんので、その差額を損に計上するといういき方でございます。予備費はやはり
物價の七割見当上りますのに対應いたしまして、三億を五億と
引上げたわけであります。その次に女子及び年少者就業禁止所要経費とございますが、これは労働基準法の施行に伴いまして、女子及び年少者の深夜間勤務ができなくなるので、そのための人を特別に増さなければなりません。その費用でございます。それからEの減價償却費、これは三億二千百万円余でございますが、現在の
設備の帳簿價格を土台といたしまして、それぞれ合理的な耐用命数、残骸價格を
計算いたしましてはじき出したものでありまして、これは正確に申し上げますれば、帳簿價格によ
つて今日非常に貨幣價値の変
つている際に、この
程度の償却をすることをも
つてはたして足れりとするかどうかという点につきましては、非常に問題のあるところと
考えますけれ
ども、一應最も少い額によ
つてこれだけの償却費を計上いたしたわけであります。
以上が
通信事業独自のものといたしまして、言いかえますれば、結局
通信業務の
料金によ
つてカバーされなければならない費目に
相当するものでございますが、(2)以下の預金部及び
保險会計繰入れによるもの、そうした会計
負担額によるもの等はいずれも直接
料金の
負担とは
関係のない項目でありまして、預金部及び
保險会計繰入れによりますものは、当初
概計額七十億といたしてあるものを、八十四億余りとかえましたのは、結局これは
内容的に申し上げますれば、
郵便貯金及び
保險年金等の仕事を
通信会計の人と物の
負担におきまして、現在
郵便局その他で扱
つております。その経費は、当然預金部の
特別会計及び
保險年金
特別会計から、
ちようど経筒の要るだけのものを
負担してもらうという
建前に
なつておりますので、そういう
内容の
人件費なり物の経費なりが上るのに相應して、結局
收入との見合勘定のようにしてここに掲げられたものでございます。それから(3)の総係費分担額によるもの、これも直接
料金に
関係のないものといたしまして、建設勘定、
電信、
電話等の工事をいたしますその工事のための
人件費、これを建設勘定で
支出いたしまして、それを
損益勘定で受入れて、つまり建設勘定の
負担で
損益勘定で実際の支拂いをしていく、実際の経費の
支出をしていくという
意味合のものでございます。それから警察無線
取扱、警察無線の施設拡充につきまして、今度
逓信省で内事局方面の依頼を受けて調査をいたします。これは新しい仕事でございますが、その経費を新規に計上したものであります。それから増接続
電話施設と申しますのは、御
承知のホテルとかビルディングで私設交換台によりまして
電話に枝を出さしてございます。ああいう
電話の
取扱いのために必要な経費でありまして、從前は実は
電話設備会社というものがありまして、これがや
つてお
つたのでございますが、今度その会社を接收いたしますので、
逓信省においてこの仕事を扱い、そのための経費を必要とするに至
つたのでございます。それから取引高税
收入印紙
取扱——今度新しく、これもただいま國会で御
審議中だと思いますが、取引高税が課せられることになりまして、その税を納めるにつきまして
收入印紙をも
つて税を納める、その
收入印紙の賣捌とかあるいは消印とかい
つたような
取扱を
郵便局において引受けますので、その
取扱に必要な人並びに物の経費七億七千七百万円ということに
なつております。
総額が四百四十九億六千七百万円余ということに
支出がなるのでございます。それだけの仕事をカバーいたします
收入の額では、先ほど申しましたように、本
予算概計額は
料金收入をおよそ四倍
程度に
引上げるというただいま御
審議中の案のごとくにいたしました際の
收入を見積
つてみますと、それは
事業收入百三億九千三百万円というものが二百九十四億八千円万余と相なる次第でございます。それから(2)以下は大体
支出の方との——つまり実費を他会計から受入れるという勘定のものですから、それぞれ見合
つて数字に
なつておるのでございまして、直接これは
料金には
関係のないもの、先ほど申しましたのに該当するわけであります。そういたしますと、その総計額三百九十九億六千七百九十九万八千円と相なりますので、
差引收入が
支出に比較して五十億だけ少い、このままいけばそれだけが
赤字になるわけでございます。この
部分を
一般会計から補填をしていただくことによ
つて、二十三
年度はようやくにして
收支バランスがとれる、こういう形に
なつておるのでございます。なおここに現われておりませんが、
通信会計といたしましては、すでに二十
年度以來借入金を
相当に抱えておりますし、公債も年々発行するだけで、償還をいたしておりません。借入金はこの際当然償還ということを
考えるべきでありますが、非常に苦しい年でありますので、この年は全然償還はしない、この会計としては償還をしないということにして、利子だけを
損益勘定に立てておるという
計算に
なつておるのでございます。