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1948-06-18 第2回国会 衆議院 通信委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月十八日(金曜日)     午後二時三十分開議  出席委員    委員長 土井 直作君    理事 白井 佐吉君 理事 重井 鹿治君    理事 長谷川政友君    千賀 康治君       多田  勇君    森  直次君       海野 三朗君    片島  港君       村尾 薩男君    押川 定秋君       田島 房邦君    園田  直君       水野 實郎君    中野 寅吉君       林  百郎君  出席國務大臣         逓 信 大 臣 冨吉 榮二君  出席政府委員         逓信政務次官  五坪 茂雄君         逓信事務官   大野 勝三君         逓信事務官   小笠原光壽君         遞信事務官   村上  好君  委員外出席者         専門調査員   吉田 弘苗君     ――――――――――――― 六月十四日委員周東英雄君辞任につき、その補欠 として降旗徳弥君が議長の指名で委員に選任され た。     ――――――――――――― 六月十四日  郵便為替法案内閣提出参議院送附)(第一  四四号)  郵便振替貯金法案内閣提出参議院送付)(  第一四五号) 同月十二日  簡易生命保險法並びに郵便年金法に関する請願  (神山榮一紹介)(第一三〇六号)  同(井出一太郎紹介)(第一三〇七号)  同(森三樹二君紹介)(第一三〇八号)  簡易保險法並びに郵便年金法に関する請願外十  七件(椎熊三郎紹介)(第一三〇九号)  簡易生命保險法並びに郵便年金法に関する請願  (川村善八郎紹介)(第一三三四号)  同(河口陽一紹介)(第一三三五号)  同(岡田勢一君紹介)(第一三三七号)  同(井谷正吉君外三名紹介)(第一三三八号)  同(川越博君外六名紹介)(第一三三八号)  同(川村善八郎紹介)(第一三四〇号)  同(渡邊良夫紹介)(第一三四一号)  同(海野三朗紹介)(第一三四二号)  同(木村小左衞門紹介)(第一三四三号)  簡易生命保險法並びに郵便年金法に関する請願  外五件(椎熊三郎紹介)(第一三四六号)  電氣通信官署機構改革に伴い三丹地方管理機  関存置請願大石ヨシエ紹介)(第一三五  九号)  簡易生命保險法並びに郵便年金法に関する請願  (三好竹勇紹介)(第一三六八号)  同(小林運美紹介)(第一三六九号)  簡易生命保險法並びに郵便年金法に関する請願  外一件(亘四郎紹介)(第一三七〇号)  簡易生命保險並びに郵便年金法に関する請願(  上林榮吉紹介)(第一三七一号)  同(松木宏紹介)(第一三七二号)  上田市にラヂオ放送中継所又は放送支局設置の  請願小林運美紹介)(第一三七七号) 同月十七日  簡易生命保險法並び郵便年金法に関する請願(  成田知巳紹介)(第一四一九号)  南西郷郵便局集配事務開始請願坪川信三  君紹介)(第一四二〇号)  簡易生命保險法並びに郵便年金法に関する請願  (押川定秋紹介)(第一四二六号)  同(坂口主税君外一名紹介)(第一四二七号)  同(坂東幸太郎紹介)(第一四二八号)  同(塚田十一郎紹介)(第一四二九号)  同(上林榮吉紹介)(第一四三〇号)  同(小川原政信紹介)(第一四三一号)  同(松本淳造紹介)(第一四三二号)  簡易生命保險法並びに郵便年金法に關する請願  外三件(小坂善太郎紹介)(第一四三三号)  簡易生命保險法並びに郵便年金法に關する請願  (林百郎君紹介)(第一四六三号) の審査を本委員会に付託された。 三月十三日  簡易保險及び郵便年金積立金地方融通再開の  陳情書  (第六三号) 六月三日  簡易保險及び郵便年金積立金地方融通再開の  陳情書外七件  (第四五三号)  簡易保險及び郵便年金積立金地方融通再開の  陳情書外四件  (第四六三号)  簡易保險及び郵便年金積立金地方融通再開の  陳情書外一件(第  四九五号)  同外九件  (第四九七号)  簡易保險及び郵便年金積立金地方融通再開の  陳情書外二件  (第五一二号)  簡易保險及び郵便年金積立金地方融通再開の  陳情書(第五  三一号)  簡易保險及び郵便年金積立金地方融通再開の  陳情書(第五四一号) 同月十五日  簡易保險及び郵便年金積立金地方融通再開  の陳情書外九件(  第五七七号)  簡易保險及び郵便年金積立金地方融通再開の  陳情書(第六一二号)  簡易保險及び郵便年金積立金地方融通再開の  陳情書外一件  (第六二一号)  福岡逓信局設置に関する陳情書  (第六三五号)  簡易保險及び郵便年金積立金地方融通再開の  陳情書外一件(  第六四三号)  簡易保險及び郵便年金積立金地方融通再開の  陳情書外十件  (第六六〇号)  簡易保險積立金地方融通再開陳情書  (第六八一号)  簡易保險及び郵便年金積立金地方融通再開の  陳情書外十一件  (第六八七号)  簡易保險及び郵便年金積立金地方融通再開陳情書外十八件  (第七〇三号)  簡易保險及び郵便年金積立金地方融通再開の  陳情書外一件  (第七二九号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  委員派遣承認申請の件  電信電話料金法案内閣提出)(第八四号)  郵便法等の一部を改正する法律案内閣提出)  (第八五号)  郵便為替法案内閣提出参議院送付)(第一  四四号)  郵便振替貯金法案内閣提出参議院送付)(  第一四五号)     ―――――――――――――
  2. 土井直作

    土井委員長 これより会議を開く。  ただいまから、当委員会に付託された郵便為替法案及び郵便振替貯金法案審議に入る。前にも説明があつたが、もう一度、政府説明を求める。村上政府委員
  3. 村上好

    村上(好)政府委員 ただいま議題なつ郵便為替法案提案理由を御説明申し上げる。  現行郵便為替法案は。明治三十三年に制定されたのであるが、その後約五十年間において、大正五年郵便為替証書有効期間に関する第十條の規定改正を見たほかは、何らの改正もなく、今日に及んだのである。しかるに先般日本國憲法が公布施行されて、國民権利尊重及び官業の民主化が強く要請され、併せて法律用語平易化及び明確化が率先されたのに鑑みて、先般第一回國会を通過して、昨年十二月一日から施行を見た郵便貯金法と同じく、郵便為替法についても根本的な再檢討を加えた結果、新憲法精神に副つてこれを修正する必要が生じて参つたので、現行郵便為替法を廃止して、新たに郵便為替法制定しようとするのである。  今その内容について御説明申し上げるが、業務実体は、大体において現行制度におまり大きな改変を加えておらない。以下改正を加えた諸点を申し述べるに、まず第一に、本法は郵便貯金法姉妹法とも申しべきであり、郵便貯金法と同様、事業経営民主化をはかり、全條文を口語体をもつて平易かつ明確に表現するとともに、事業國営理由並びに事業運営指針を明らかにし、また事業管理者ため逓信大臣職責を明定した。また利用者との法律関係においても、事業公共性に基く保護規定として認められてまいつた一般私法に対する例外規定をでき得る限り除くこととした。すなわち現行規定においては、郵便為替利用に関して、無能力者行為能力者行為とみなし、從つてこれを取消し得ないものとして民法規定を排除しておるのであつて、これは事業の性質上取扱い簡易及び敏速を期するためにの業保護規定ではあつたのであるが、新憲法精神に副わないので、國民権利尊重立場から、無能力者保護一般私法規定によることとして、この特例的規定を削除することとした。また現行規定においては、郵便為替に関する取扱い遅延によつて利用者損害を受けた場合、國はすべてその賠償責任を免れることとして、民法償務履行遅滯の規定を排除しているのであつて、これもやはり大量の取扱いを処理する事業特質上、認められた保護規定ではあるが、このように無制限に免責を認めることは、新憲法下許されないものと考えるので、その免責範囲を不閣抗力その他事業の運行上、眞にやむを得ない遅延の場合に限つて、その他の場合における取扱い遅延については、一般私法規定從つて利用者損害賠償することといたしたのである。このほかなお郵便為替利用上の法金は、現在すべて命令規定されておるが、これを法定して、將來料金改正の必要を生じた場合においても、國会議決を得て料金額決定することとした。  次に事務内容利用者権利義務に関する規定等実体的規定を、廣く明確に法定した。すなわち郵便為替種類別内容利用者の各豊請求権等、従來はすべての命令規定されていたのであるが、事業実体に属する事項は、これを法律規定することとして、業務の実質、取扱い内容事業主体の恣意によつて決定、変更されるがごときことのないよう、保障することによつて事業の民主的な運営を期しておる。  この法律制定によつて郵便為替制度は、簡易確実な送金手段としてますますその機能を発揮して、国民生活に多大の便益を供與するものであることは確信しておるが、以上御説明申し上げた点を御了承の上、何とぞ十分御審議されて、速やかに御賛成あらんことを切望する次第である。  次に、ただいま議題なつ郵便振替貯金法案提案理由を御説明申し上げる。  振替貯金制度は、郵便貯金の一態様として、明治三十八年に制定された郵便貯金法中に規定されていたのであるが、その郵便貯金法は、先般の第一回國会で新郵便貯金法に改められ、郵便振替貯金に関する場分のみは、旧郵便貯金法規定によることとなつていたのであつて、その際近く郵便振替貯金法を提案いたしたい旨を申し上げておいたが、これがその法案である。  御承知のごとく、郵便振替貯金制度は、送金及び債権債務決済手段として提供され、かつ利用されているのであつて貯蓄手段としての郵便貯金とはまつたく本質を異にするものである。從つて明治三十八年法律第二十三号郵便貯金法には單に「振替計算のためにする預金については、貯金総額を制限しない」旨が規定されているのみで、振替貯金制度目的内容利用條件等すべて郵便貯金とは別個に命令規定されていたのである。しかるに先般日本國憲法が公布施行されたので、郵便振替貯金においても、新郵便貯金法と同様に、新憲法に即して利用者権利義務に重大な影州を及ぼす事項等については、すべてこれを法律規定することとし、ここに郵便振替貯金利用関係準拠法規を確立するため、本案を提案する次第である。  今法案内容について申し述べると、大体において業務内容利用條件利用者権利義務等については、從來制度を踏襲しているが、以下の諸点において若干の改正を加えたのである。まず事業の民主的な運営を期する立場から、法律目的國営理由並びに事業運営指針を明らかにするとともに、事業管理責任者としての逓信大臣職責を明定し、さらに從來事業公共性に基く特例として廣く認められてきた取扱い遅延による損害免責範囲を、事業特質から生ずる必要の最小限度に止め、不可抗力その他債にやむを得ない事由による場合を除いては、一般民法規定によつて損害賠償の責に任ずることとして、必要なる規定を設けた。また利用上の料金をすべて法定しているが、これは將來料金改定の必要を生じた場合においても、國会議決を得て料金額決定せんとするものである。次に小切手制度を倉設して必要な規定を設けた。すなわち從來局待拂制度は、振替貯金加入者が金銭の支拂いにかえて局待拂拂出書を交付し、その交付を受けた者が、これを郵便局に呈示して現金の拂渡しを受けるという制度であつて、その内容利用方法等ほとんど小切手制度と異なるところがないのであるが、小切手法の適用を受けない別異の制度としておつたために、決済手段として、小切手のごとく十分なる機能を発揮し得ない憾みがあるので、この際これを小切手制度に統合せしめて、経済取引の要請にこたえんとするものである。その他新法律制定機会になお細部の点に修正を加えたものがあるが、事業本質にはあまり影響がないものと認められる。  以上御説明申し上げたことく、この法律制定によつて郵便振替貯金制度は普遍的な、かつ確実な送金及び決済手段としてその機能を十分に発揮することができて、経済社会に多大の便益を供與するものであることを確信している。  以上御説明申し上げた点を御了承の上、何とぞ十分御審議されて速やかに御賛成くださるよう切望する次第である。     〔以下速記〕
  4. 土井直作

    土井委員長 引き続き質疑をいたします。
  5. 林百郎

    ○林(百)委員 二点ほど御説明願いたいと思います。これは先ほど村上政府委員の御説明もありました通り郵便為替法案郵便振替貯金法案現行通りでありますが、一部料金手数料値上げになつておる点があるのであります。郵便為替法案の方はほんのわずかで、五十銭のものが一円になつています。これは三十二條、三十三條でありまして、十五銭が一円になりましたが、これはどういう理由かということを御説明願いたいことが一つ。それから郵便振替貯金法案の方で、これは電信拂込とそれから電信現金拂、これが非常に上つておるのであります。たとえば拂込の方は八十銭が十円になつており、一円でできたのが二十円というようになつております。現金拂の一円十銭でできたのが十五円、一円七十銭でできたのが二十四円というように、これは非常に上つておるのでありますが、この二点はどういう理由でこういうようになつておるかということを、ひとつ御説明願いたいと思います。
  6. 村上好

    村上(好)政府委員 為替法の第三十二條でございますが、これは拂戻しの場合の料金であります。五十銭を現在徴收しておりますが、五十銭というのは安きに過ぎる。これをもう少し願上げして一向差支えなかろうということで一円にしたのでありますが、これは物價廳などの関係もあつて、これをきめますときに、あまり料金値上げ物價廳で歓迎いたしませんような関係がありましたので、こういう半端な数字を丸くした程度のことでございます。三十三條また同樣であります。  それから郵便振替貯金法案の第十五條、電信拂込の場合でございますが、これは電信拂込百円までが八十銭を十円にしたのが非常に高過ぎやしないかという御質問でございますが、一体電信拂込むためには電信為替の場合と手数料は大体において同じなのであります。電信為替の場合は百円まで二十五円現在とつておるのであります。振替はなるべく利用のの便益のために振替制度を発展さして、通貨の流通をなるべく抑え、決済信用制度によつてさせようというのが建前でありますので、なるべく振替制度利用させようとする建前から電信為替よりは安い料金設定いたしまして、電信為替の場合二十五円だけれども、電信拂込の場合はわずかに十円というところに止めて置こうということでこの数字が出ております。そから三百円以下の場合千円以下の場合も同じようにそういう基礎の上に立つて設定した料金であります。それから電信現金拂、これもただいまの拂込の場合と同樣な趣旨でこの料金を定めたのであります。
  7. 林百郎

    ○林(百)委員 この郵便振替貯金の方の電信拂を特に上げたのについては、もう少し何か違う理由があると思うのです。先ほど村上政府委員がちよつと觸れたのですが、從來電信拂いが停止されておつたのが新しく復活する、現行電信料金との比率でこう上げた。こういうようなことがあつたのでなが、その点もう少し詳しく説明していただきたい。
  8. 村上好

    村上(好)政府委員 これは先刻御説明いたしましたように現在停止中であります。これをこの法律施行と同時に復活させようとしておるのであります。この八十銭を十円にしたというのは、復活すればこういうふうにしなければならないというのは、去年の四月の一般為替料金設定したときの為替その他の料関設定と同時に設定した数字であるのでありまして、それをここに移して、よその為替料関設定の時期においてバランスをとらせておるのであります。
  9. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると他の為替料金と並行すれば、この改正料金になるということでいいかどうか、それが一つと、もう一つはこれが今度の通信料金の改訂で四倍になるというふうに解釈しておるが、その点の御回答を願いたい。
  10. 村上好

    村上(好)政府委員 必ずしも四倍に上りません。これは財政金融通信合同委員会のときに、料金値上げのところで御説明を申し上げましたが、電信為替の場合は、電信料金通常為替料金とをプラスしたものを、大体為替料金基礎にいたしております。倍率は電信現金拂の場合は、料金引上げ法律では料金引上率が百円以下の場合三十六割、三百円以下が十八割、五百円以下が十割、千円以下が十五割七分、ずつと飛ばしまして一万円以下の場合は十七割三分という引上率でありまして、四倍という一律な値上げの率ではございません。
  11. 土井直作

    土井委員長 他に御質疑がございませんければ、質疑を打ち切ることに対して御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 土井直作

    土井委員長 それでは質疑を打ち切ります。討論にはいります。賛否の討論をお願いいたします。
  13. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは私の方だけは、実はこの郵便為替法案のうちの料金値上げの点と、それから郵便為替貯金法案料金値上げの点、この点については私の方としては賛成しかねるのであります。その理由は簡單に申しますが、こうした公共の性格をもつた事業でありますから、そうした料金の点と他のものとのアンバランスがあるだろうけれども、そういうものは一般会計で補償して、あくまでも公共性というものを維持していくのが、本來の建前だと思うのであります。ですから今の通信事務が非常な安い料金で、非常なサービスをしておることは認めます。それは公共性をもつておるからだ。むしろそのために費用が要るならば、一般会計から十分これを補償しても、あくまで通信事業公共性というものを通していくべきものだとわれわれは解釈しております。そういう点でこの料金値上げの点については、私たちは反対します。從つてこの法案に反対するものであります。
  14. 土井直作

    土井委員長 討論を打ち切りまして、採決にはいることにいたして御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 土井直作

    土井委員長 討論は打ち切ります。採決にはいります。郵便為替法案郵便振替貯金法案を一括して採決いたします。本案に対して賛成の方は御起立を願います。     〔賛成者起立
  16. 土井直作

    土井委員長 起立多数。多数によりまして本案決定いたしました。     —————————————
  17. 土井直作

    土井委員長 この際お諮りいたします。昨日の理事会におきまして打合せをいたしました結果、金澤市におきまして來る二十二日、全逓の全國大会が開催されることに相なつております。從つてこれに対しまして委員派遣いたしまして、調査いたしたいと思うのでありますが、委員派遣につきまして御異議ありませんか。
  18. 林百郎

    ○林(百)委員 もちろん調査はいいですが、どういう点をどういうように調査するのか、理事でない委員はちよつとわからないですから、もう少し親切に説明していただきたい。
  19. 土井直作

    土井委員長 大会委員派遣いたしますことの理由は、大会状況を視察するということが趣旨であります。從つて二十二、二十三、二十四、二十五日と四日間大会がありますが御承知通り通信委員会全逓從業員組合の動向というものは、非常に重大な関係がありますので、從つてそこに派遣いたしまして情勢を調査するということは無意味でない。かような見地から委員派遣したい、こういう意味であります。
  20. 林百郎

    ○林(百)委員 私議会における通信委員会委員逓信從業員が親密になり、お互いに意思の疏通をはかるということはもちろん賛成ですが、從來いろいろの問題がありますので、そう早急にも行きかねると思うのですが、あらかじめこのことについては全逓側とも交渉し、了解を得ておられるかどうか、その点も聽かしていただきたい。摩擦のないように愼重になさつた方がいいと思いますので、お聽きするわけであります。
  21. 土井直作

    土井委員長 お答え申します。大体全逓側と打合せしまして、議員の方々が状況視察かたがたおいで願うことは非常に結構であるから、おいで願うことに対しては決して差支えございません。そういう意味において、委員派遣しようということになつたのであります。
  22. 林百郎

    ○林(百)委員 土井委員長の言われたように、全逓則十分了承なさつておることならば、私も反対の意思も何もありませんから、どうぞさようにお取運び願います。
  23. 多田勇

    多田委員 ただいまの件は、全逓大会に出席して、全逓側のいろいろな意向を聞くことは、非常にいいと思うのであります。その趣旨については賛成をいたしますけれども、現在國会状況が多数の議案審議を控えて、相当多忙になつておると思います。しかも重大なる時期に達しておると思われますので、この際委員会から委員派遣するということは、時期的に國会としてはおもしろくないではないかというように考えられますので、次の機会に讓つていただくようにお願いいたします。
  24. 林百郎

    ○林(百)委員 日はいつごろになりますか。もう一遍言つていただきたい。
  25. 土井直作

    土井委員長 二十二、二十三、二十四、二十五日です。
  26. 林百郎

    ○林(百)委員 そのころ國会における議案審議は、通信委員会としてはどんなような予定に大体なつておりますか。
  27. 土井直作

    土井委員長 通信委員会としましては、いろいろ法案は出ております。また出てくる法案もありますが、大体委員派遣をいたしましても三名程度になると思いますので、通信委員会としての審議の上においてはさして支障がなくして済むのではないかということを考えております。ただ、ただいま多田委員の申しましたように、國会予算案等を控えて繋忙の時期に達しておりますので。從つてそれとにらみ合せにおいて、はたして通信委員会決定いたしましても、議会運営委員会の方面からこれを許可するかどうかということに多少の疑問があるとは私も考えております。しかし委員会としては全逓通信委員会というものとの密接な関連をもつという上から言つて委員派遣することが適当ではないか。かように考えておる次第です。
  28. 片島港

    片島委員 今多田委員からもお話があつたのですが、四日間あるのを全部とすれば一週間になるわけですが、多数の人が一週間も席を空けることは議案審査の上においても相当支障がある。人員をなるたけ少くして、日にちも四日間そこに毎日いなくてもいいのですから一日か二日、大会で最も重要な議案などの審議をせられておるころを見計らつて滯在するというように、短期間の調査にお願いしたい。
  29. 土井直作

    土井委員長 他に御意見ありませんか。
  30. 林百郎

    ○林(百)委員 もう一つ、この通信委員会は今非常に重要な案が—予算と関連しておりますが、御承知通り料金値上げ法案があります。もし今採決とかいろいろな問題になりますと、相当微妙な問題が起きてくるのですから、この全逓大会委員派遣している間は採決ということがなくて済み得るかどうか、この点委員長法案審議の見透しの面について、どういうお考えをもつておるかどうか。この点を確めておきたいと思います。
  31. 土井直作

    土井委員長 通信料金値上げの問題につきましては、大会派遣前に問題の決定を見ていきたいという希望をもつております。理事会におきましても、その点を審議いたしまして、本委員会に付託されておりまする議案審議の上に大体支障のないような形をもつて臨もうということに相なつております。從つて二十二日、三、四、五とありますが、片島委員の言われておりますように、このうちでもきわめて重要な法案が提案されるときにだけ出かけていくというように取計らいをしたいと考えるわけであります。ですから二十二日に必ずしも行くという意味ではありません。四日間の間に適当な時期に行くということにしたい。かように考えております。
  32. 林百郎

    ○林(百)委員 料金の点はよくわかりました。それに訓練所法案とか、それから設置法案も出ておりますので、なるべく委員の出ておる間は採決はしないということで、委員が安心して大会に臨めるような処置を講じていただきたい。こう希望しておきます。
  33. 土井直作

    土井委員長 もちろんそう取計らいます。多田委員う意見等もありまするが、この際委員会といたしまして片島委員あるいは林委員等の希望的な御意見なども参酌いたしまして、委員派遣をいたしたいと考えておりまするが、これに対して御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 土井直作

    土井委員長 異議なしと認めます。  それでは委員派遣承認申請書につきましては、  一 派遣目的 郵便料金電信電話料金法案審査全逓國大会状況調査  一 派遣委員の氏名 片島港ほか二名  一 派遣の期日 昭和二十三年六月二十二日より四日間の二日間  一 派遣地名 金沢市 以上であります。これを衆議院規則第五十五條によりまして、書面をもつて議長の承認を得たいと思います。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 土井直作

    土井委員長 異議なしと認めまして、さよう決定いたします。     —————————————
  36. 土井直作

    土井委員長 次に先ほど取消しました山形郵便局自動式電話機械設備促進に関する件についてはの緊急質問を許します。海野委員
  37. 海野三朗

    海野委員 山形のこの磁石式電話の交換台が非常に磨耗しまして、ほとんど聽取れないのが七割ないし八割に及んでおるのであります。これについて再三当局にお願いをいたしましたので、前々議会において政府委員の御答弁をいただきましたときには、來年度においてこれを完成すべく予算に計上してあるという御返事をいただいたのであります。その後山形におきましてはこの廳舎がすでに新築せられ、近く落成の運びになつておるのでありますが、二十三年度にはいりましてもまだこの交換台が改められないでおります。政府御当局におきましては以前にお約束くださつたことを実行しておられるのであるかどうか。その点につきまして地方民からの矢のような催促がありますので、ここに政府御当局の現にとりつつある態度につきまして、それをお伺いいたしたいと思いまして、ただいま緊急質問をいたしたわけでございます。政府御当局の現在の状況をお伺いいたしたいと思います。
  38. 冨吉榮二

    ○冨吉國務大臣 海野君お述べの通り緊急質問なので、その前々からの実情は私は存ぜないのでありますが、私の今報告を受けております限りにおきましては、本年度の予算に計上いたしておりまして、安本と相談の上、できるだけ本年中にこれを実施したいという方針をもつて進んでおるのであります。今お述べになりましたことく、わが國の通信機械は戰爭の期間中著しく虐待を受けまして、現在使用年度を越したものを二三%も使つておるというような惨状でございます。このことは戰爭中いかなることが行われたかということはよく御承知通りであります。しかもその間における保守建設をやらなかつたばからでなく、いわゆる終戰直前における大爆撃によりまして、ほとんど破壞せられておりまして、これが復旧に目下努力をいたして、すでにしばしば御説明申し上げましたごとく、五箇年計畫を立てまして、実はその復旧によつて、サービスの復旧に努力をしておるような次第でございますが、今のような御要求は実は全國ほとんど各地からの御要求であります。しかしながら資材の面からいたしましても、國の経済力に限度がございますので、電話復旧等に関しましては苦しいのでございますから、実はいろいろ智惠をしぼりまして、さきに御協賛を願いましてすでに公布いたしましたところのいわゆる電話公債法案のごときものも考えたような次第でございます。從いましてこの種の設備からこれにつきましては十分心得ておりますものの、今日まで皆さんの御満足を得なかつた点につきましては、当局として非常に遺憾でございますが、私の責任におきまして督励いたしまして、御要望に副いたい、このように考えております。
  39. 海野三朗

    海野委員 ただいま御誠意ある御答弁をいだきしましてまことに満足に存します。早速私は帰りまして地方民に、今まで政府当局が投げておつたのではないのだ、非常な努力を拂つておられたのだということを報告したいと思います。ありがとうございました。     —————————————
  40. 土井直作

    土井委員長 次に電信電話料金法案郵便法等の一部を改正する法律案を一括して議題に供し、質疑を続けます。
  41. 多田勇

    多田委員 ただいまの法案に関連いたしまして、予算の点について一、二お伺いいたしたいと思います。預金部及び保險繰入れによる経費でございますが、これは人件費あるいは物件費等も含まれておるかどうか、この点についてお伺いいたします。
  42. 大野勝三

    ○大野(勝)政府委員 抑せの通りであります。
  43. 多田勇

    多田委員 そういたしますと、貯金あるいは為替、年金保險等に從事している從事員の数と、逓信從業員全体の四十一万二千人の数とを考えてみますと、この特別会計から繰入れらる経費によつて負担するところの人員が三で、その他の人員が七という率になるのでございます。その率で計算いたしますと、この金額が八十四億五千六百万円になつておりますが、この金額を基本にして計算しますと、通信事業独自のものの予算のうち、人件費、物件費の二つの経費の合計が三百十七億余になつておりますが、先ほど申し上げました人員の率で計算しますと、百九十七億余になるのでありまして、逓信事業独自のものの予算の範囲内において賄う人件費及び物件費が、預金部及び保險会計から繰入れられるものによつて賄うところの人件費、物件費といたしますと、非常に厖大になつておるように思われるのであります。こういう点から考えまして、預金部あるいは保險会計から繰入れられる費用が実際所要の費用よりも非常に少いのではないかというようなことが考えられるのであります。預金部にしましても、あるいは保險会計にいたしましても、あるいはその特別会計は赤字であるかもわかりませんけれども、他の特別会計が赤字であるからと言つて通信特別会計がその赤字まで負担するという意味において犠牲を拂う必要は毛頭ないと思うのでありますけれども、この関係についてこの二つの事業通信特別会計の中において扱うことによつて通信特別会計が非常な負担を背負わされておるというような点があるように思いますが、これに対して当局のお考えをお伺いいたします。
  44. 大野勝三

    ○大野(勝)政府委員 御指摘のような事実は実はないのでございます。と申しますのは本日お配りいたしました貯金関係繰入金分担額の表を御覧願いましても一應御了解願えるのではないかと思いますけれども、まず大藏省預金部からもらいますものの分担額のやり方を申し上げられますれば、実際必要な現在為替貯金の仕事に從事しております人の経費、物の経費、これはその年度にまずその所要額を経費の方から計算いたしまして、その計算に從つて預金部からそれだけの総額を繰入れてもらうという行き方になつて、おりますので、まず繰入額を定めてその範囲内で経費を支弁するというのではありません。つまり経費の要り高がどれだけ要るか、それが計算の基礎になつていきまして、入用だけをもらう、こういうやり方にすべてなつておるのであります。預金部も相当の赤字であるという御指摘はまさにその通りでありますが、さりとて通信会計が預金部の赤字を背負う必要はありませんので、その点は計算上非常に明確にいたしております。
  45. 多田勇

    多田委員 そうしますと他の特別会計から繰入れられる予算の範囲内において行ういわゆる金融関係事業に從事しておる從事員が十一万七千六百八十人程度であるにもかかわらず、その他の人員に対する人件費、物件費が非常に厖大であるというようなこの事実について、ひとつ御説明願いたいと思います。
  46. 大野勝三

    ○大野(勝)政府委員 これもいつぞや御配付いたしました資料にあると存ずるのでありますが、通信事業自体のものといたしまして、人件費で本年度二百十六億六千五百万円余、物件費といたしまして百億余りでございまして、その他を合せまして、通信事業自体のものといたしましての経費が三百四十九億五千二百万円余と相なつておるのでございますが、これは通信事業自体のもの、つまり郵便、電信、電話等に直接從事いたします者の人件費及びその事業を維持運営いたしますために必要な物件費その他を計上したものでございまして、そのほかには御承知の監理要員と申しますか、そういうつまり本省あるいは逓信局等におきます監督要員の経費、それから共通的な経費、こういうものがございますが、それらはそれぞれの人の事業の割合によりまして、それぞれ分担をいたすという行き方をして計算をいたしておりますので、計算上におきましては御指摘のような点は実はないことになつておるのでございます。
  47. 多田勇

    多田委員 どうも從事員の数から申し上げますと、先ほど申したように通信事業独自のもの、あるいは共通なものを加えますと、二十九万四千三百余人になる、その経費が三百十七億であつて、遥かに少い十一万七千九百余人の経費が八十四億余であるということは、どうもこの特別会計の仕事をするために通信特別会計が非常な負担を背負わされておるというように考えられるのでありますが、これはあとで資料等でお伺いいたしたいと思いますので、その次の質問に移ります。  配付された資料によると、在庫品が三億余円になつておりますが、この在庫品は建設会計の在庫品があるか、あるいは損益勘定の在庫品であるか、損益勘定の在庫品であるとすれば、何年分くらいの在庫品をもたれておるか、この点をお伺いいたします。
  48. 大野勝三

    ○大野(勝)政府委員 ただいまお尋ねになりました三億何千万円と申しますものは、本日お配りしました資料の中にございますでしようか。——それは実は在庫品ではございません。そこに書きましたように、事業のために現用中の備品、消耗品、被服云々であるが、これはすべて物品会計勘定の手もとでそれぞれ云々と書いておりますように、現在使つております筆、紙、墨、図書とか、そういうものは一應資産計算からはずしてございますけれども、それぞれ損益勘定で消耗品として買いまして、現在郵便局その他におきましてこれを使つておりますものをずつと会計いたしまして推算したものでありますから、在庫品ではございません。その中ににただ工事材料品というのがありますが、この工事材料品というのは、一遍物品購入費でもつて買いまして、それを各工事現場に移しまして、それを工事に使つていろいろの設備その他になつてまいるわけでありますが、設備その他になれば、その設備の固定資産の中に計上されます。物品として買上げられて、工事現場に届けられて、工事の完成によつて資産勘定の中に移される。この過程にあるもの、そういう意味であります。
  49. 多田勇

    多田委員 ただいまの在庫品と申しますのは、建設勘定の分と損益勘定の分があると思いますが、鉄道については今後三箇年分くらいの在庫品を持つているというような話も聞いておりますので、通信事業においても相当程度の在庫品をお持ちだろうと思われますが、わかりましたらお知らせ願いたいと思います。
  50. 大野勝三

    ○大野(勝)政府委員 ただいま資料を持ち合わせませんので、あとでお答えいたすことにいたします。
  51. 多田勇

    多田委員 これは他の委員から質問されて答弁されたものとだぶるかもしれませんが、通信料金というものを普通の物價と見ているかどうか。この見方について逓信大臣のお考え方を伺います。
  52. 冨吉榮二

    ○冨吉國務大臣 いろいろ議論はあると思いますけれども、完全に物價というふうにばかり見られないのではないか、また郵税などと言いますから、税金ということも言えるだろうが、私はどうも今のところ別にそういう学問的な方面についてあまり考えておりません。
  53. 多田勇

    多田委員 通信料金を物價と見るか、あるいは税金と見るか、これによつては今度の値上の問題を審議する上に相当影響があると思います。提案理由説明にも、あるいは今日までの政府側のいろいろの御答弁によりまして、大体通信料金も物價というような考え方で見られているように思われるのであります、しかしわれわれといたしましては、少くとも通信料金というものは物價であるというような形で見るものであつてはならないと思いますし、最も低廃な料金で最も有効なサービスをするところの公企業であつて、これを物價が値上りになつたというような理由をもつて簡單に値上げをするというようなことは、相当問題の起る可能性があると思うのであります。そこで物價であるというような考え方で今度の案を立てられたのかどうか。あるいは物價とも、税金とも、あるいはその他のものとも、別段はつきりした区別をされずに、通信特別会計を維持させるために今度の値上げの率をきめられたのであるかどうか、この点御質問申し上げます。
  54. 冨吉榮二

    ○冨吉國務大臣 御承知通り特別会計になりましてから年々黒字を出しておつたのでありますが、最近非常に赤字になりまして、一般会計からの補填を受けているということは御承知通りであります。これは必ずしもいわゆる独立採算制というものに凝り固まつてものを考えるわけではないのでありまして、日本の現在の経済状態において、國家財政の見地からインフレを抑制するために、日本の経済発展の基礎をつくるために、健全財政主義をとりますことは、現内閣の方針であり、また至上命令であると私どもは考えておるのであります。この見地に立ちまして、実は現在の通信料金をもつてしては現実の面において赤字が出てまいる。たびたび申し上げますように、二千九百二十円の賃金ベースで、現在の物價にいたしましても、百五十一億の赤字、昭和二十三年度においてはさらに賃金が三千七百円ベースとなり、また運賃、物價の改訂が行われるということになりますと、実に二百四十五億というような厖大な赤字を出す。そこで物價と考えるか、あるいは税金と考えるか、あるいはまた手数料と考えるかということを超越して、実は通信料金をある程度値上げせなければ、どうしても日本経済の建前からやつていけないというので発足いたしたのでございまして、私別にそういうむつかしいことを考えてやつたのではありません。そうしてこの四倍ということにいたしましたのも、現在の赤字をどうしてある程度埋めるかということを計算いたしますと、どうしても四倍から五倍という数字が出てくる。のみならず、御案内のごとく現行料金は、千二百円ベースと一昨年の十月の物價を基準としてきめてあるが、一般の賃金ベースにおいては御承知通り三倍の値上げ、諸物價においては約四倍の値上りになつております。御案内のごとく通信会計においては、鉄道と違いまして事業費が三三%、人件費が六七%という率を占めておりますので、それを勘案いたしますと、実に四・二五倍というような数字が出てまいるのございまして、その面からいたしましてもどうしても四倍の値上げにしなければならぬというような筋合になつたようなわけでありますから、その間の事情は、学者的見地で私は考えたのではありませんので、そういうふうに御了承願います。
  55. 多田勇

    多田委員 逓信大臣から非常に詳細にわたつて説明をいただいておりますが、大体において通信特別会計の独立採算制を保つという建前で、今度の通信料金をきめられた。通信料金を四倍にきめたそのいろいろな理由としては、あるいは千八百円ベースであるとか、あるいは物件費が二十一年度のものであるというような点をあげられて、それと現在の物價の状況を勘案されていろいろな率は出ておると思いますけれども、その根本をなすものは通信特別会計の独立採算制を保つていこうという考え方で進まれたものと了承いたします。その次に通信特別会計の独立採算制を保つのだという建前からいたしますれば、支出の面において相当程度檢討すべきものがあるのではないかという点も考えられるとともに、歳入の面についても相当檢討すべきものがあるのではないかと考えられます。これは單に損益勘定でなしに、建設勘定をも含めまして、相当程度通信事業全体の根本的な建直しをしなければならないのではないか、このような状態でまいりますと、さらに物價が上昇しますれば、さらに料金値上げしなければならぬような事態が起つてまいると思いますが、少くとも通信事業はそのときの物價に左右されることなしに、一般会計の繰入れを相当見込んでもつと妥当な料金をきめるべきでありまするけれども、その一つの財源として先般成立いたしました電話公債の法案との関係もにらみ合わせまして、電話の利用者の屋内施設を一般民間利用者に拂下げをして、そして電話の復旧をはかる資金をつくり、あるいは不足する経費を賄うお考えがないかどうか。またそういうことを考えられたことがないかどうか。もう一つはそういうことが実際問題として、われわれの考えではできると思うのでありますけれども、電話の屋内施設の拂下げをやり得るかどうかという点について伺いたいと思います。
  56. 冨吉榮二

    ○冨吉國務大臣 それはいろいろな考え方もございまするし、事務当局の間でも相当研究もいたしておるのでありまするが、実ははなはだお氣の毒ですけれども、逆な方向に進んでおりまして、民間のものを政府で買上げる。これから増設いたしますものも全部國の手でやる。逓信省の一手でやるという方向に行つておる。これは関係方面の強い要求でございましてその点御了承願います。
  57. 多田勇

    多田委員 ただいまの問題は電話事業を現在の公営から民営に切り替える一つのポイントを與えるという意味においていろいろ問題になるとは思いますけれども現在の通信事業から考えて、この点もさらにそうすることがいいという結論になりましたならば、その筋にいろいろ御交渉いただきたいと考えております。  なお法案内容につきまして一つお伺いいたしておきますが、郵便法の第六十八條の中に「書留とした郵便物の全部若しくは一部を亡失し、又はき損したとき。」は最高金額をきめて、その範囲内において実損額を負担するということになつておりまするけれども、書留として発送した郵便物の損害の実損額をどういう方法によつて決定するか。実際問題とすると、書留郵便物を亡失した場合の実際の損失額はおそらく算定はできないと思いますので、こういつた点は実際不可能なのであるとすれば、削除するのが適当ではないかというように考えますが、この点についてお伺いいたします。
  58. 冨吉榮二

    ○冨吉國務大臣 今のお尋ねに対しましては政府委員からお答えいたしますが、実は先ほどお話の前半についての御答弁を拔かしたと思いますから、補足いたします。いわゆる歳出面の節約の問題でございますが、昨年度すでに二十二年におきまして成立予算の中からみずから五万数千人を落しまして節約をいたしております。この点におきまして手前みそのようではございまするけれども、逓信省は大藏省あたりにおきましても相当の信用を得ていると理解いたしておりまするが、しかしそれをもつてなお十分とは考えておりません。労働強化をいたしません限りにおきまして能率を上昇せしめ、機械の整備等によりまして、できるだけ人件費の節約を旨としております。さらに物件費の面におきましても極力節約を旨とすべきことを言明いたしておりまするが、私は必ず近き機会におきまして、民間の学識経驗ある方々の眞に通信事業に御認識をもたれる方々を煩わしまして、役人を交えないで、私どもがはいらないで、眞に國民的規模において、現在の通信事業というものを合理化するにはどうしたらいいか、という具体的結論をお出しを願う意味審議会をもちたい。とかく今までの審議会は、口幅つたいことを申すようでありますけれども、その間に隠れて官僚が数字的マジックなどを弄して十分に成果をあげ得なかつたというような憾みがあることを私自身痛感いたしますので、今度は逓信省関係者は一切御面倒を見ず、御用命を承つて幹事役を勤めるだけで、あとはその委員の方々によつてひとつ嚴重に査察をしていただいて、縱から見ても横から見ても不当な仕事をやつていない、あるいはこうやればもつと進むというふうに結論を出していただくようにしたい、このように私は考えておりまするので、そういう前提のもとに立ちまして私は官僚の独善的な放慢なやり方をかばうことなく、これらに関しましては嚴正な立場から臨みたい、このように考えておりますから、さよう御御了承願います。
  59. 小笠原光壽

    ○小笠原政府委員 ただいまの多田委員の御質問につきましてお答えを申し上げます。書留郵便物の亡失の場合におきまして、全部もしくは一部を亡失し、または毀損した場合に、これはもちろん損害賠償の請求をされます方からその内容、数量、價格、どういうような損害があつた、從つてどれだけ賠償してもらいたいというようなことをお申出を願うことになつておりまして、なくなりました場合はそれだけでございますが、全部なくなつたのではなくして、一部がなくなつたような場合には、その郵便物をお受取うになります場合に異議を申立になりますので、その際はその利害関係の受取人の立会を求めまして、関係郵便局長が損害程度を檢査することになつております。それで大体ただいま申し上げました差出人もしくは差出人の同意を得た受取人の損害賠償請求書と、亡失の場合には郵便局側と立合のもとに認定いたしました損害檢査調書、この両方を資料にいたしまして損害金額を認定することにいたしております。
  60. 森直次

    ○森(直)委員 二、三お尋ねいたしたいと思います。先ほど大臣からいろいろ逓信事業に関する御抱負を拜聽いたしましたが、独立採算制を御実行なさるという点から申しますと、人事問題に移りますが、私たちは、いわゆる官僚人事、腰掛人事というような今までありふれた人事政策ではどうしても不可能だと思う。ただちよつとそこに腰掛けるだけでほかのところに移されるというような——もちろんこの傾向は非常に直りましたけれども、今までのような腰掛人事では不可能で、終生そこに捧げるという熱情をもつ人でないと、こういう逓信事業のごときその目的を完遂することはできないと思います。從つてそういう点から、今後の独立探算制を決定される意味ならば、政治、経済万般に通じた有能なる人をこの際逓信省は拔擢なさつて、逓信事業運営を期せられるようにお願いしたいのですが、この点に関してはどうお考えになつておりますか。
  61. 冨吉榮二

    ○冨吉國務大臣 人事の問題は事業遂行の上にとつてきわめて重要な問題でございまして、御指摘の点まことに同感であります。私は多年官吏制度改革に関心をもちまして、議員といたしましても、毎議会それらの問題を取上げて主張してまいつたのであります。いわゆる勅任、奏任、判任といつたような封建的身分制度が撤廃されて、一級、二級、三級といつたような制度に改められましたこともまずもつて一歩前進であると思うのであります。その他給與の面におきましても、あるいは旅費その他の規定におきましても、必ずしも上に厚く下に軽いものではなくして、むしろ比重の関係で上の方が軽いと、いつたような状態まで今日は來ているかと思うのでございます。しかしながら官僚意識というものは一朝一夕には直らないのでございます。これは長い間日本が、明治憲法のいわゆる官吏は天皇の官吏であり、人民より一歩違つたものであるという観念の上に立つて要請されていたのであります。それだけまたいわゆる人材その他学識経驗においても相当の者を選んでおつたのであります。そうした支配的、命令的、彈圧的立場におかれておつたのであります。敗戰の結果いわゆる民主憲法のもとにおきまして、官吏は國民の公僕とも相なりましたために、最近よほど頭の切替が行われつつあることはまことに御同慶にたえません。しかも逓信省のごときいわゆる事業官廳におきましては、他の行政監督官廳と違いまして、その点においては初めから著しく物の考え方が違つておるように見受けられるのであります。私も商工省等で多少飯を食つた関係がございまするので、役人の氣風というものについてしさいに檢討をいたしてみまするとよほどその点違つておるように見えるのでございまして、日本の官吏というもののみならず、全般の國民の思想の一環としての官吏制度というものをわれわれは対象として考えてこなくちやならぬ。從來わが國の明治維新以來のいわゆる指導原理というものは出世主義の教育であり、出世主義の制度であつたのであります。今日は御指摘の通りの、ほんとにそこに坐つて國民の公僕となり、サービスをするんだという氣持がひとり官吏のみならず、すべての國民を通じてなされなければならぬ問題であろうかと思うのであります。わけて國家の公務員として、國民の努力によつて拂われた税金をもつて支拂われるところの官吏においては、その点十分戒心しなければならぬ点であることはただいま御指摘の通りであると思います。從いましてこの官吏の心得につきましては、私ども重々心得ておりまして、及ばずながら、微力ながらその指導をいたしておる次第でございます。今お尋ねのいわゆる民間の学識経驗者を起用して、相当の地位につけたらどうかというような御意見に対しましては、私は賛成でございます。しかしながら、実を申しますと、今の役人の給料ではこれは一級官の諸君などでございましても、民間から学識経驗者をとつてくるということは事実問題として困難だというふうに考えております。俸給もいわゆる職階の制度に多少改められましたけれども、これは民間の会社の重役あるいはその他の方面と比べますと、現在の官吏は、これは私率直に申し上げまして、私が商工省におりました時分でも、いろいろ官僚攻撃をその民間の会社の人たちから聞くから、そのアイデアにおいては賛成だ、そこでどうです、ひとつ商工省が今度局長をあなたに引受けてもらいたいが、來てくれないかと冗談のようなほんとうのことを言つてやると、だれだつて今の給料——今の役人にはなり手がない。煎り豆を噛つて人の惡口を言うのは結構ですが、実際その立場にあつて、自分がやるという者は必ずしもおらないというような関係でありまして、なかなかそういう点が困難であるかと思います。しかしながら、これは御案内と思いますが、私のところのいわゆる電氣通信官という電氣通信の方の最高指導者である人は、民間会社の社長さんを聘してきて電氣通信官をやつていただいておりますし、また他の省にもそういう例が多少あると思いまして、民間から有力者を拔擢いたしますという方向は私まつたく賛成でございますが、ただそうした現実の問題と、帶に短したすきに長しというような関係がございますので、全体としてそれをただちに取かえるとかいう点はよほど困難かと考えております。
  62. 森直次

    ○森(直)委員 大臣にもう一言お尋ねします。非常に御懇切なる御説明をいただきまして、まことに感謝にたえませんが、今回の四倍の値上げというものは、國民所得あるいは家計その他物價の点から勘案いたしまして、必ずしもこれは高率の値上げではないと言いますが、しかしながら國民一般の心理的影響というものは相当大きいものと考えます。そこで郵便はこれは行政的な性格をもつておりますので、四倍の値上げというようなことでなくして、國民の影響をお考えくださつて、もう少し低率の値上げにしていただいて、そしてこれは行政的な性質をもつておりますがゆえに、一般会計から繰入れてもらうような方法はないものか。それから電信、電話のごときは企業的性格をもつておりますし、また御説明によりますと、四倍値上げしても四十二億の黒字が出るというお話でありますので、もちろん逓信大臣の管轄下に置かれて差支えないのでありますが、逓信機構内部においてむしろ会計を独立さして、そして思う存分の企業性を発揮させるようにしていただきますと、電信、電話の値上率は四倍でなく、もう少し安く済むのじやないかと思いますが、この二点についてお尋ねいたします。
  63. 冨吉榮二

    ○冨吉國務大臣 四倍の値上げが高率である、心理的に與える影響が惡いじやないかという御議論は、私もその通りに考えておりまして、非常に心苦しくは思つておる次第でございますが、先ほど私が申し上げましたように、今日のインフレーションの高進を止めて、健全財政を堅持するという國家財政の建前といたしますと、つまり國民の手にあるものをこれによつて吸收する。一般会計の負担と申しましても、結局増税によりますか、借入れによりますか、赤字公債によりますか、いずれにいたしましても日銀券の発行を激増してただちにインフレーシヨンに響く問題でありますので、できる限りその面を縮少することが、財政を確立する基本的な問題でございまして、必ずしも四倍率で安いから、國民は当然これでがまんすべきであるというような、大上段の考え方をもつておるのではございませんけれども、この程度のがまんは願わなければ、日本再建の一助としての通信事業の促進はできないのであるということを十分認識していただきますならば、この程度の問題はがまんを願えるのじやなかろうか、こういうふうに考えておる次第であります。電信企業のごときは確かに御指摘の通り相当黒字になるわけでありまして、これは御案内のごとく、アメリカにおいては完全に独立して、民間経営をやつておるのでございまして、逓信省内においても独立会計にしたら、つまり外局にしてやつたらどうかという御説ですが、実は多少そういう議論が内部にもないではございません。しかし私はこれは非常に大きな問題であると考えるのであります。いろいろ世間にも議論はありまして……。
  64. 土井直作

    土井委員長 速記を中止してください。     〔速記中止〕
  65. 土井直作

    土井委員長 速記を始めて……。
  66. 冨吉榮二

    ○冨吉國務大臣 そこで問題は、この企業を企業別に整備いたしまして、今まで逓信省が他の行政官廳と同じような組織でやつておりましたものを整備する。御案内のごとく貯金の方で五百億の預金額をもつております。日本で一番大きい銀行は安田銀行だと考えますが、ここで二百七十億預金をもつております。逓信省の貯金局は実に五百億の貯金をもつておりまして、まさしく日本一の大銀行を逓信省がやつているわけであります。また保險におきましては、なるほど一つ一つの金額は少いのでございますが、日本生命が一番大きいようでございますけれども、契約件数が四十四万あるようでございます。それに比べて逓信省の保險局でやつておりますものは、実に九千七百幾万というもので、九千万台は確かにあるのですが、あとの数字は必ずしも的確ではないけれども、約一億に近い件数を契約いたしておるのでございます。それに電信、電話、郵便というような、いわゆる國家の重大産業を取扱つている役所でございますので、その企業別の整備をいたすというのが、今度の逓信省の設置法案なのでございまして、そのねらいは強く関係方面からの慫慂もあり、私どももそれについて、日本が名譽ある独立國としての文化事業をいかに行い、逓信省が從來監査官廳であるような企業官廳であるような、状態のシステムを擁して完全に企業官廳としての能率を発揮して、眞のサービスがてきるかという理想のもとに、実は逓信省の設置法案を考えた次第でございますが、今お述べの、もうかる方の企業を思う存分やらせるというような方法につきましては、これは非常にデリケートな関係もございますので、まだ十分考えなければならぬ問題ではなかろうか、このように考えている次第でございます。
  67. 海野三朗

    海野委員 この料金値上げでありますが、第一種、第二種、第三種、第四種、第五種とおあげになつたのは、どういうアイデアのもとにおあげになつたのであるか、それをお伺いしたいと思います。
  68. 小笠原光壽

    ○小笠原政府委員 郵便物の料金を第一種、第二種、第三種、第四種、第五種とあげました考え方は、第一種は御承知のように害状のようなものを主として対象として考えたのでございます。第二種は郵便はがきを対象として考えました。第三種は、第三種郵便物として、郵便法第十八條に規定されております條件に適合して、從つて逓信大臣の認可を得た定期刊行物について、特に第三種という低廉の郵便料金のものを認めたのでございます。第四種は印刷物を主にいたしまして、それから業務用の書類、そういつたものを第四種といたしました。第五種は主として農産振興の趣旨におきまして郵便法の第二十七條に書いてありますように、いろいろの植物類の種でありますとか、苗であるとか、あるいは食用になります卵だとか、あるいは蚕の種とかいつたようなものら第四種郵便物として指定されている次第でございます。
  69. 海野三朗

    海野委員 そういたしますと、学術の研究報告雜誌は第何種に入れていただくことになるのでありましようか。学会の報告は御承知のように営利を目的としてやつておるものではございません。各学会は日本に二百いくらございますが、法文理工農医、それが各分科にわかれまして、それぞれの分野において研究をしたことを発表しつつあるのが、この学術研究報告であります。これが月に一回ないし二回の報告を発行しておるのでありますが、これがこの料金値上げによりますと、とても現在の状態では日本の学会はやつていけないのであります。すでに御承知のように、前議会におきましても学会が印刷費に困つておりますために、文部省のなけなしの金をわずかばかり、ほんの蚊の涙ほどもらつてはおるのでありますが、ここに料金値上げをされますと、この学会が立ち行かないのでありますが、この学会が立ち上がり、学術報告が発行できる、できないということは、文化日本の建設の礎であると私は考えるのであります。第五種郵便物におきまして農産物の種を送るという意味からして、この第五種にお入れになつておるのでありますが、ここにその種以上に、將來非常に日本が発展をする種を含んでおるこの学術報告雜誌につきましては、いかように御当局は御取扱いになるお考えでありましようか。それもお伺いいたしたいと思います。
  70. 小笠原光壽

    ○小笠原政府委員 ただいま御質問の学会等が刊行しております出版物は、郵便法上何種の郵便物になるかという御質問でありましたが、もしそれが郵防法二十三條に書いてありますように、毎月一回以上号を追つて定期に発行するものであり、その掲載事項の性質上発行の周期を予定し得ないものであるとか、政治、経済、文化、その他公共的な事項を報道しまたは論議することを目的としましてあまねく発賣されるものでありますならば、この種の定期刊行物は第三種郵便物として取扱うことができますので、從つて第三種郵便物の特に安い料金でお取扱いすることができることになる次第であります。またそういうような條件を具備しない場合におきましては、いわゆる第四種郵便物として取扱われることとなりますので、印刷物といたしましてお取扱いするわけでございます。今回の料金値上げに際しましては、御承知のように第四種の料金につきましても倍率を四倍にいたしませんで、現在百グラムについて一円二十銭になつております。四倍にしますと四円八十銭になりますのを、ただいまのお話のような問題もその一つ理由といたしまして——他にも理由があるのでございますが、一つ理由といたしまして、四円八十鉄を五円にいたしませんで、四円ということにいたした次第でございます。なおそれが大量に出されます場合にはもちろん小包郵便物として取扱われることになる次第でございます。
  71. 海野三朗

    海野委員 わが日本の現状を見ますと、日本がほんとうに立ち上るためには科学を勃興せしめなければいけない。各方面におきまして、逓信のことといわず、農事試驗場のことといわず、あるいは商工省といわず、あらゆる方面をながめますと、科学の振興、学問の振興ということに全力を注がなければならないと私は考えるのであります。いくら帳尻を合わせてやつていきましても、未來性がない。つまり科学の世界を沒却したのでは、日本が立ち上がれないと私は思うのであります。学会の報告というようなものは、営利事業でやつているのではなくて、むしろ政府がこれを援助してやらなけれなばならないと私は考えます。それであるのに今学会を見ますと、まことになさけない状態でありまして、農学部の方の報告などは、紙がないために報告ができないでおる学会がたくさんございます。  ところがすでに御承知のようにブーゲンビルに上陸したところの兵隊たちが、わけのわからない発熱をもつて倒れた。これは何であるかと申しますと、いわゆるつつが虫のためであります。これを日本の調査團と、アメリカの調査團と一緒になつて調べました結果、日本ではすでにつつが虫の研究がほとんど完成に近いまでにこぎつけられている。この事実も進駐軍が日本にまいりまして、山形縣及び新潟縣がこのつつが虫の産地であるというので、ここを実際調査いたしました。そうして日本でそれだけの研究があるのに何ゆえに発表しないかと言つて、非常に不思議がつていたのであります。これは傳染病研究所長の報告であります。  またマラリヤの蚊にいたしましては、アメリカの調査團と、日本の調査團とがともに調査した結果を持ち寄つてみましたところが、マラリヤを媒介する蚊がアメリカの調査團の発見したところのものは六種類でありまして、日本の調査團が発見したところのものが実に九種類あつて、三種類も多いのであります。かくのごとく日本人の頭脳というものは、科学的には決して欧米人に負ける頭ではないのである。しかるに今日日本のこの悲しむべき状態は何であるかと申しますと、すでに御承知通り軍閥がはびこつたり、官僚がはびこつたりして科学者を踏みにじつてつたのである。私はこの意味におきまして、この科学的頭悩を働かしていかなければ、ほんとうに文化日本が立ち上がることはできないと考えるのであります。  ついては学会の報告などにおきましても、逓信省政府御当局におきましては、特に何とかこれを援助していこうというお考えをもつて、やつていかれるのが当然ではないか、こういうように私は思いますので、これが初めにこれを第一種から第五種までおわけになつたそのアイディアをお伺いしました第一の理由でございます。  どうしても日本は科学的に立ち上がらなければいけないのであります。しかもこの学術の報告というものは、営利事業にやつているのではありません。今まさに日本には二百有余の学会がございます。これらが今死に瀕しているのである。会費を上げるというと、その学会の報告を読んでいる人たちは、多くサラリーマンでありますので、その会費が高いために脱落していく人たちも多々あるのでございます。こういうときにおきまして、この値上げは独立採算の上から申しまして、まことに当然なことではありまするが、今学会の報告雜誌は、実に寥々たるものでありまして、よしんばこれを値上げしたところで月に一回でありますから、ほんとうに九牛の一毛にも満たないと私は思います。この点につきまして政府当局はもつともつと眞劍にお考えを願いたいと思いますが、御当局におきましての御所見を承りたいと思います。
  72. 冨吉榮二

    ○冨吉國務大臣 海野君より科学振興問題に関する御議論を拜聽いたしましたが、科学振興に関する議論は私もいささかもつている一人でありまして、まつたく御趣旨に同感でありますが、これはまた他の機会においてゆつくり承り、また私の所論を御批判を願いたいと思うのであります。  郵便政策と科学政策との問題でございますが、実は各官廳の中におきましても、逓信省の仕事は、実に科学的な方面に関係の深いことは海野君御承知通りでありまして、科学等について一種特別の関心をもつております。ただいま御指摘の学界の雜誌、刊行物の送付等に関する御意見は一應ごもとつともでございます。しかしながらわが國における現在の状況は、生産の復興ということも大事であります。また六・三制による教育制度の復興も大事だ。同時に公共事業もこれまた大事だ。あらゆる角度から見て大事でないものはないのだと思う。いずれを重しとし、いずれを軽しとするかという論におきましては、いろいろな議論があるのでございます。しかしながらわが國が從來いわゆる模倣科学であり、日本資本主義の発展過程が著しく根本的に科学推進に適應しなかつたという御議論に対しては私ども傾聽いたしますが、現段階における料金政策において、これは学界の出版物であるというその一事だけをもつて料金を全然無料にするか、あるいは著しく割安にすることは、現業官廳たる逓信省の行き過ぎた行き方であると私は考えます。例を申し上げますと、選挙を無料郵便にすべしということは、選挙に対する國家の二つの方針でありますので、この無料郵便のごときは——なるほどわれわれも無料で出すときには逓信省のサービスだと考えておつたのでございますが、実は逓信省はそれだけの費用を大藏省の一般会計の方から受入れをいたしているのであります。シベリヤから引揚げた人々が敦賀に着き、あるいは函館に着きまして、郷里への至急報を取扱つておりますが、これとても逓信省が無料でやつているのでありますけれども、実は逓信省の会計といたしましては、ちやんと厚生省の方に組まれた引揚援護費の中から繰入れを願つておるという建前になつております。從いましていわゆる科学振興のためのこの出版物の郵送を低廉にやらなければなるぬという國の方針がきまりますれば、これは特に指定された学界の雜誌等はただでやることも結構です。その代り出しただけの料金は大藏省の一般会計の方から私の方の会計に繰入れてもらいますから、これ自体には決して私は反対ではありませんが、実はそれを逓信省が料金政策としてこれを特別に無料、もしくは極度に低廉にするということは少しく逓信省としては行き過ぎである、このように御了解願いたいと思います。
  73. 海野三朗

    海野委員 今の大臣の御答弁はごもつともであると思います。そういたしますと学界の報告印刷物でありますが、第四種にはいりますか、第五種にはいりましようか、約何倍の値段になりましようか。それをお伺いいたします。
  74. 小笠原光壽

    ○小笠原政府委員 第四種郵便物を現行百グラムまたはその端数ごとに一円二十銭でございますのを四円にいたしますので、料金の引上げ率は二二・三割になるわけでございます。
  75. 片島港

    片島委員 簡單に御質問申し上げますが、今度の郵便料金値上げによつて五十六億の赤字が出るということになつておりますが、これは國会に提出されておる逓信省設置法案とかあるいは逓信省職員訓練法案というものが成立するという仮定のもとに予算を組んで、しかも五十六億の赤字が出ておるのでありますか。
  76. 冨吉榮二

    ○冨吉國務大臣 仰せの通りであります。
  77. 片島港

    片島委員 逓信省設置法案及び逓信省職員訓練法案の実施による予算自体というものは大体どのくらいになつておりますか。
  78. 冨吉榮二

    ○冨吉國務大臣 それは特別にこの予算に逓信省の設置法案が組み替えられましても予算には影響ないことになつております。なお訓練法のことは大野政府委員から……。
  79. 大野勝三

    ○大野(勝)政府委員 二十三年度予算の逓信講習所維持に関する損益勘定には一億三千六百九十一万九千円余を見込んでおりますが、これは新訓練法実施の場合を予想しております経費であります。
  80. 片島港

    片島委員 今度の新規予算において新規施設特に事業の採算の合わない特定郵便局の設置等、いろいろな新規施設が計上せられておると思うのでありますが、復旧関係を除いたもので、新規施設として計上せられたものは大体どのくらいになつております。
  81. 大野勝三

    ○大野(勝)政府委員 片島委員承知通り、ただいまでは既定経費、新規施設といつたような区分をいたしておりません。全部一括して事業別に、あるいは事項別にそれぞれ経費を出しておりますので、ただいまどれだけのものが新規施設の経費だとお答えいたしかねるのでございますが、御指摘になりました特定局の新設、その他郵便局の維持、運営に要する経費等が含まれておるわけであります。
  82. 片島港

    片島委員 その経費というのはちつつと調べてみてわかりませんか。
  83. 大野勝三

    ○大野(勝)政府委員 少し時間を借していただきますれば何とかいたしますが、急には出てまいりません。
  84. 片島港

    片島委員 今度の料金改訂は大体において電信、電違、郵便貯金、保險等、一率に四倍げることになつておるのでありますが、この間から各事業別の経理状況を聽いてみますと、郵便料金が五十億近い四十何億の赤字になる、電話事業はその反対になる、これは事業別に見た場合には、もちろん不健全財政のものもあるし、健全財政以上のものもあるということになる。これは逓信当局としてはどの事業でもうかつても、とにかくこういうような倍率によつて將來もやつていく。郵便事業の赤字は電話事業がカバーしていく、あるいは電信事業が赤字であれば、貯金なり保險でカバーするといつたような形でいかれる考えであるか。本年度の予算は大体においてこれは過渡的なもので、こういう予算の体系はない。將來はこれを事業別に是正するといか何とかお考えになつておられるか。その点を一つ……。
  85. 冨吉榮二

    ○冨吉國務大臣 これはいろいろな考え方があると思うのであります。私は事業別の経費を独立させるという考え方は、実際問題として適当しないのではなかろうかと思います。それは電話のごときものは相当負担力のある人々がありますし、また相当事業收益等にも影響のある方面で使いますが、普通郵便のごときは御案内のごとく國家事業でございますために、山間僻地、酒屋に三里、とうふ屋に二里というような田舎にも特定局を置きまして、あまねく野中の一軒屋でも訪ねて手紙を届けるというようなことがありますので、おそらく郵便を一々切り離した場合に、独立採算でもうかるというようなことは考えない方がよいし、考えることは不可能である。こういうふうに考えておりまして、逓信省の五つの事業をプールいたしまして、やはり事業運営をやつた方が分理的だ、こういうふうに実は考えておる次第であります。
  86. 片島港

    片島委員 そういたしますと、郵便事業のごときは常に將來も赤字が出ていくのではないかと思うのでありますが、たまたま電信も電話も保險も貯金も逓信省でやつておるから、同じ会計の中で経理をしておるわけであります。しかしこれは必ずしも逓信省で一切やらなければならぬという本質的なものではないわけであります。郵便が赤字を出しておるが電話の方はもうかる。だからこれでカバーする。私はむしろ郵便事業というものが赤字を出すことになれば、何もたまたまやつておるその電話の中からこれをカバーするというのではなくして、その事業本質から見て当然公共性が最も強くて、これを高額にすると非常に大衆の負担が重くなるといつたようなものは、はつきりと経理を明らかにして、むしろそういう料金値上げによつてカバーすることができないというような性質のものについては、これを一般会計から補給をしていく。事業の内部においてこういうふうに赤字のものもあれば黒字のものもあつて、逓信関係の各事業の中でお互いにカバーするというならば、その中で特に赤字の出ていくような事業は、何も逓信事業だけでカバーしなくても、結局これは國家全体の財政として考えなければならぬ。事業が独立採算制を保つていかなければならぬということを一つの原則としている以上は、やはり事業自体も独立採算制をやつていくべき性質のものでなければそういうことが言えないわけであります。独立採算制が実行できないような事業は、当然國家の一般財政からこれを調節すべきものであると考えるのでありますが、その点について伺います。
  87. 冨吉榮二

    ○冨吉國務大臣 そのお考え方には決して反対ではございません。しかし問題は現実の問題としてにわかにそうやるというよけにもまいりませんが。今國会に提出御審議を願つております逓信省設置法案のケースにおきまして、つまり郵政なら郵政として、その事業ごとに業績を見ていこうというやり方で、それはおのずから明らかになると思ひます。お説のごとく、電信電話、あるいは郵便、あるいは為替貯金、これは別々に事業自体としてはそういうふうになつておるし、またそれも全然できないことはない。別にほかの省でやるということに國策できますれば、それはできるわけで、決してできない筋合ではない。しかし片島君も御承知通り、田舎の方に参りますと、郵便局電信も電話も何もやつておるという一つの便宜がございまするし、從來関係等もございまするので、なかなかそう筋を引いたようにきちんとわかりにくい点もあるような関係で、少くとも同一のものではないけれども、全然他人ではないといつたような関係で、逓信省に現在あるのでありまして、今にわかにこれをお説の通りのことには実行が困難かと思うのであります。そういう面はやはり事を將來に対めていくべき問題かと思いますが、現実の課題といたしましては、やはり通信会計におきまして、たとえば郵便の方がもうからずに赤字を出すから、それは一般会計から負担しろ、その代りに電信電話はもうかるから、もうたけだけはそれでおれの方の事業をじやんじやん拡張してやつていく、こういうことになり得るような日本の財政状態に一日も早くなることを希望いたしておることは、片島君と全然同一意見でございます。
  88. 片島港

    片島委員 料金の値上率は、逓信省ではいろいろな仕事をたくさんやつておるわけでございますが、その事業公共性から見て決定すべきものであると思います。電話は比較的裕福な連中が使つておるし、また郵便はどんな貧乏人でもこれを使用する。從つて電話が赤字が出ぬようになるのは、金持が使つておるのだから当然であります。郵便が赤字が出るのは貧乏人が使つておるから、これまた当然である。ただこれを一律に上げていくことについては異論があるのであります。特に第二種あるいは先ほど海野委員を話されました第四種のごとき、第二種は郵便はがきで最も大衆的な性質をもつたものであり、第四種は、学術的云々というお話が先ほどありましたけれども、文化國家としての出発途上にある日本としては、この第四種郵便物の利用をよほど有利にしていかなければやつていけない。前にはずつと第四種は料率が非常に安かつたのでありますが、いつの間にか目方だけを少し有利に見て、料金は第一種とまつたく同じようになつておる。從つて五ページか六ページの小さい印刷物を送る場合は、封緘をして出しても、開封で出しても何ら変りはない。ほかのたとえば第一種とかその他の郵便物、小包あるいは電信電話というようなものについては、私はもちろん四信には賛成できないのでありますが、いくらか高くてもよろしいというように考えておる。第二種、第四種といつたような最も大衆的なもの、あるいは文化國家としての出発途上にあるわが國として、最も負担を緩和してやらなければならぬものについて一律の倍率をもつていかれることについては私疑問があるのであります。この点について政府の御答弁をお願いいたします。
  89. 小笠原光壽

    ○小笠原政府委員 ただいまお話のありました点はごもつともに存ずるのでございまするが、それで私、逓信省としまして立案しました改正料金におきましても、ちようどただいま御指摘のような趣旨を考慮に入れまして実は提案いたした次第であります。ただその程度におきまして、あるいは片島委員のお考えになりますのと政府において考えておりますのと、必ずしもちようど一致しておるというわけにはまいつておらないのかも存じませんが、ただいま御指摘のような考え方ももちろん私どもの案におきましても考慮に入れて改正案を立案した次第でございます。
  90. 片島港

    片島委員 先日の委員会でお願いしようと思つておりましたが、つい私の知つた事務官が参つておりまして頼んであきましたけれども実はまだ手もとに資料が整わないのであります。郵便物について一種、二種、三種、四種、五種、それかに小包、この表にあります別にまた郵便だけでなく、電信についても電話についてももしこの各別に数量なり、利用数なりあるいは総額と言いますか、予算額がわかりますならば、その資料を一つお願いいたしたいと存ずるのであります。本日はその資料がありませんので、なお進んで質問ができませんので、私の質問はこれで終ります。
  91. 林百郎

    ○林(百)委員 第一点は今日配付になつた資料でありますが、通信料金値上概況、鉄道旅客運賃値上概況、これを比較してみますと、昭和十一年度を基準にしますと、鉄道運賃の方は百五十キロ以下は八十倍百五十キロ以上は旅客運賃百三倍、貨物百二十倍というように見られます。これは謄写が非常にはつきりしません。ところが郵便の方ははがきが百三十三倍、書状が百六十六倍、電話の基本料が百七十八倍、電信が百倍というようになつておりますが、このたびの通信料金値上げは鉄道運賃の値上げよりも昭和十一年度を基準にする倍率が高いて解釈されますが、その点についての回答が一つ。  それから冨吉逓信大臣にひとつお聽きしたいことは、本日実は國家行政組織法が決算委員会を通過したのであります。この國家行政組織法によりますと、各省設置の法案はこれを全部法律によつて國家行政組織法の命じておるところの法輝の事項を全部改めて定めまして、それから出すということになつたものですから、各省とも一應法案を撤回しまして、また出し直すということに決定し、それは今國会では間に合いませんから、次の國会に提出するということになつた。ところが閣議で逓信省の設置法案だけは今國会を通過させるということに決定したというようなことを仄聞しておるのですが、その点についての事実を御回答を願いたい。この二点だけお聽きしたいと思います。
  92. 冨吉榮二

    ○冨吉國務大臣 逓信省だけの省の設置法案というのは、從來勅令でやつていたものを立法化、法文化したのでございますが、逓信省は特別な、さつき申しましたような考え方で事業別に組織を整備いたしたのでございまして、その内容が著しく從來と面目を異にいたしております。しかもその書き方が大体参議院あるいは衆議院でお考えの内部の局を書けという御修正の趣旨を大体において守つて出したのであります。これはちよつと逓信省だけが特殊の関係で実は事業官廳だから、特にこの点を明記せよというC・C・Sの強い要求があり、ガヴァーメント・セクションの方の特別なる了解のもとに書いたのであります。しかし多少御修正の点と相違するような点もございますので、これは修正をいたしまするという形式をとりまして、撤回せずに御審議を願うことがよかろうというので、ほかの省が延びたから全部一律に延ばさなければならぬという筋合もございませんので、設置法は一つ審議を願うことにしようというように閣議で決定いたした次第であります。
  93. 大野勝三

    ○大野(勝)政府委員 初めにお尋ねになりました鉄道運賃の値上げ通信料金値上げの率についてでございますが、この表は通信委員会の方でおつくりをいただきましたもので、当然われわれがおつくりしてお見せすべきであつたのでありまして、実は恐縮しておるのでありますが、率の比較の点についても基準年度を十一年にとればまさにお説の通りであります。同時に終戰の二十年をとつて比較してみますと、かりに逓信省の通信料金と鉄道の方の百五十キロ以下の三等の旅客運賃をとつて比較してみますと、逓信省の方の料金四十倍に対して鉄道の方は六十二倍ということになつております。このことをなぜ申し上げるかというと、御承知のように昭和十一年ははがきは一銭五厘、手紙は三銭という当時でありまして、なるほどその時期におきましても一般会計へ相当の繰入をしたような通信会計の内容ではございましたが、その実は非常に從業員の待遇の低い、また局舍施設等につきましても、設備が非常に劣悪で、たとえば施設の面におきましても、人の面におきましても痩せ馬にむちうつというよう相当激しい形容をしておつて、初めてできた黒字であつたわけでありますから、それを逆に申し上げますれば、決して正当な黒字ではなかつてと言い得るでありましよう、たまたま二十年の終戰の年以來非常に官業の労働組合の運動の活溌化ということとも相関連いたしまして、逓信省從業員の非常な待遇の悪さというものが問題になり、漸次これが改善されまして、たまたま鉄道旅客運賃が出ましたから、比較でございますが、どうやらほかの水準に追いつきかかつた年が二十年の実績と見てもよいじやないかと思います。そのときのはがきは五銭、手紙は十銭で、その当時やつて運営の面におきましても、運営の面は赤字になりましたが、待遇の面におきましてはほかの水準に追いつきかかつたのであります。そういう時代を一應のペースとして考えてみますれば、今回の値上げによりましても、なおかつ通信料金の四十倍に対して鉄道運賃の六十二倍というようにこちらの方が低いのでございます。それだけ申し上げます。
  94. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると通信料金の方は昭和十一年度基準ですと、とにかく倍率は鉄道運賃の方が高いとお感じになるということでよいと思う。  それから冨吉逓信大臣に対しては、そうすると逓信省設置法案は國家行政組織法で修正になつた点をくんで速やかに修正なさるという意見のように解釈します。  それから資料の問題で、百七十一号の実施ですが、これですと雜費の点についての内訳が少しわかりませんので、嚴重注意して間違わないようにしておりますということだけですから、内容をできる限り速やかに提示してもらいたいということが一つ。  それから帳薄外の財産についてもほとんどないということだけで、一体あるのかないのかということもわかりません。これではほとんど私どもの方の資料として使えませんので、なるべく速やかにこういう点についての具体的な内容も提出していただきたいと思います。
  95. 大野勝三

    ○大野(勝)政府委員 百七十一号の方は実は非常にこまかいものでありまして、とても全部ということはなかなかむつかしいので、あるいはお許しを願えますれば、一、二の例につきましてでも資料をつくりたいと存じます。  それから張帳外の財産はほとんどないと申しましたのは、実はあるものはくず紙とか何とかそういつたような程度のものでありました、実際にありませんから、さように御承知願います。     —————————————
  96. 土井直作

    土井委員長 この際ちよつとお諮りいたします、先ほど郵便為替法案郵便振替貯金法案を一括して議題に供し御賛成を得ておりましたが、これに対してお諮りいたしますのは、衆議院規則第八十六條によりまして、両法案に対する報告書の作成でありますが、これを委員長に一任していただきたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 土井直作

    土井委員長 御異議なければさよう決定いたします。
  98. 林百郎

    ○林(百)委員 私の方の意見は委員長報告の中に入れておいてください。
  99. 土井直作

    土井委員長 承知しました。     —————————————
  100. 千賀康治

    ○千賀委員 緊急質問があります。逓信大臣全逓從業員の指導原理についてどういう御信念があるのか、若干疑わしい点があるので、私はここに御質問をいたします。これは昨年の十二月二十九日、ほとんど月も押し迫りまして最後のことでございますが、全逓新聞が衆議院議員、殊に逓信委員のうち、特定局國有問題に対して現在の制度を維持しようという意見をもつた者に対して、相当のひどい侮辱を記事の上で與えておるのでございます。当時この問題をひつさげて立ちましたのが大石議員であつたと思いますが、これに同調いたした者は同じ傾向をもつた議員の全部であつたのであります。これは政府当局を通じまして、この新聞をつくりました責任者に対しまして、積極的に責任の所在が明らかになるまで追究してもらうということで、ひとまず推移をながめておつたのでございますが。時あたかも片山内閣の崩壞、次に來るものは政治の空白時代が相当に続き、また芦田内閣ができる前後におきましては、芦田か吉田かという爭いのために相当に政治往來が激しかつた。また芦田内閣ができまして以來も、いわゆる三月内閣などと称しまして、與野党の攻防戰は物凄く続いておつて、今日まで來た現状であります。さようなわけでこの問題が自然と閑却されがちであつたことは事実でございまして、特に逓信のごときは現大臣が就任せられまするまではすこぶる低調であつたのでございます。そのためにこの問題の責任を追究するわれわれ議員の方の手も自然に薄らぎつつあつたと思うのでありますが、今年の二月九日の同じく全逓新聞に、きわめて小さいところに、ただ訂正という欄でこの問題は間違いであつたということが出ておるのでございます。この程度のことで一体全逓の幹部諸君は、國会議員にかくも深刻な侮辱を與えておきながら、これで済んだと考えておるのであろうか。國政調査に関する報告書というものが昭和二十三年二月二日にその人らの手でつずられておるようでございますが、この書面の内容によりますと、完全にミステークであることを認めております。國会議員にまつたくさような買收を受けた事実がなかつたことを認め、かつ議員に陳謝の意をこの決議では表しておるのでございますが、われわれの名譽毀損をせられた事実は、この新聞の上において名譽を毀損せられ、波及するところは実に深刻であります。例をあげてみれば、G・H・Qの方におきましても、日本の國会議員がかようなひどいことを束にして書かれて、これでも何ともしないということは、これは事実があるからである。この点に何とも手をよう染めないところが、いわゆる日本國会議員の暗やみの道であろうというような軽侮まで受けておることを私は聞くのでございます。かほどまでこの新聞記事が深刻な影響を起しております建前上から見れば、ただこの新聞になされました取消しの程度では断じてわれわれは承服することができません。おそらくG・H・Qにおきましてもこの取消しでは見落しておるだろうと思います。このときには「特連、議員を買收」というような見出しが載つておるのに、この取消しの方におきましては見出しも何もついておらない。またその記事の量にしましても半分以下の量であります。かような点で全逓の諸君がこれでいいと思つておる点につきましては、あなた方は一体どういう指導をしておられるかという点に疑いをもつのであります。世は民主時代であると言あ。なるほど民主時代で、G・H・Qに参りますといわゆるピープル・マスタト・プリンシプルとありますけれども、大勢の人がこれでいいと思えばこれでいいとするというのが民主主義であれば、この民主主義というものは実に睨うべきものであります。私はもつと若き人には若い人の特徴を現わすいわゆるスポーツマン・シップがあつていい。勝つたら勝つた、負けたら負けたで、あつさり行こうじやないかという氣持で、これはおれたちが間違いであつた。どうしても調べてみたら事実がない。われわれの手では事実をつかむよりない。これはどうしても間違いだつたということがわかるならば、あつさりわれわれの間違いであつたということを議員に陳謝し、また多数者にこれをほんとうだと信ぜしめたような記事はこれをまつたく改訂する。取消すという明朗な記事をここに取扱つてはどうだろう。そういう氣持にもつていくように全逓の諸君をあなた方は指導できないのだろうか。負け惜しみというものは日本にありがちのことであります。負け惜しみがあるがゆえに、日本の戰爭がかくまでひどい被害を受けながら、負けるとわかつておりながら、いつまでも戰爭がやめられなかつた。これも一つ國民性でありましようけれども、こうした國民性はまつたく無用な國民性でありまして、これがスポーツマン・シップであつさり負けたなら負けたと言つて笑う氣になれないか。そういうふうに指導できないか。こうした明朗な從業員がやる事業であつてこそ、初めてわれわれも信頼し得ると思うのであります。われわれ逓信関係審議してすでに一年以來、これからもまだいつまで逓信関係でごやつかいになることか、決して從業員たちをひとごとと思つておりません。日本の各階層の労働者の中で一番親しみをもつ労働者であります。憎むがゆえに言うのでは決してありません。この人らにあつさりとスポーツマン・シップに生きさせようがために、私はこういうことは明朗に取消しをし、陳謝をするという指導をされてはいかがであろうか、こういうことを私は大臣に伺いたいのであります。もしも大臣がわれわれの意思に同調せられるならば、われわれのがく新聞に掲載してはどうだという案はここに持つておりますから、お手もとに差上げます。大臣の信念を伺いたいと思います。
  101. 冨吉榮二

    ○冨吉國務大臣 通信事業に対して非常な御援助を願い、また御指導を願つております通信委員会委員各位に対しまして侮辱を加えましたことに対しましては、私自身その後に就任いたしましたけれども、義憤を感じ、しかもかくのごときことをあえてした諸君に対しましては、実に申訳ないという感じを深くいたしておるのであります。御案内のごとく、全逓從業員組合は、わが國におきましても最もラジカルな組合と言われて、世間で評判されておる組合でございます。任務を受けましてこの逓信省に参りました当日から、ストライキ鬪爭に巻き込まれたことは御承知通りであります。過去三箇月間、この全逓從業員組合の大衆に対しましては、非常に頭を悩しておることは御想像以上でございます。何を申しましても通信事業はすでに予算の中に明らかになつております通り、六七%が人件費であり、三三%が物件費である。從いまして通信事業の復興促進をはかりますためには、どうしても四十万が一致協力いたしまして、通信事業を守り抜く。そうして文化國家の基礎的な重大な役割を果すのだという意識に燃えてやつてもらわない限り、大臣、次官、局長が逆立ちをいたしましても、決してその理想が実現するものでない。從いまして、この全逓從業員組合の指導精神というものにつきましては、これは非常に重大なる関心を拂わざるを得ないのであります。しかしながらすでに千賀さんも御承知通り逓信從業員は、從業員としては私どもの職階制のもとで部下になつておりますけれども、組合は独自の人格をもちまして、大臣と対等の地位によつてすべての論議をいたしておるような状態であります。從いまして過去における時代と違いまして、一片の訓示やあるいは訓令をもつていかんともすることができませんが、またかくすべきでないと私は思つております。常にお示しになつたような方針で私は考えております。つまり民主主議とは人格の練成であり、私の理解するところによれば、叡智と良識の上に立つところの納得と了解の結合であるというのが私の持論でございます。こうした建前から話合いを続けていこうというのが、私どもの考え方でございますが、遺憾ながら現在の全逓の指導精神なるものは、私どもの考えております線と少しく離れておることは、率直に認めざるを得ないのであります。かく言う私も、いくたびか全逓新聞その他において、まつたく人格を冒涜せられ、あるいは決議文をもつてこられて、ほとんど侮辱を受けて今日までまいつておるのでありますが、私はその都度嚴重にこれを抗議して、彼らの反省を求めている次第でございます。この新聞記事等において他人の名誉を毀損するがごどき記事を書きました場合は、これを法律の上によつて処罰規定を設けるがごときことは、私はあまり好みません。ただ当然の義務といたしまして、誤りであつたならば、その載せたときの活字よりさらに大きな活字をもつて、あるいは二段抜きであつた場合は四段抜きにする。三段抜きであつた場合には六段抜きで取消をやらせるということを、もし國会等でこれを決定するならば、あまり誤りを載せないようなふうになるのではなかろうか。これは思いつきで私案でございますが、御参考に申し上げます。こういうふうに文化的な方向によるところの、当然社会の批判によつて是正していくような方針を、進めていくべきではなかろうかと考えております。賢明なる各位におかれましては、委員会がかくのごとき侮辱を受けられたといたしますならば、しかもそれは大多数を指されたのだろうと思いますが、國会議員各位のお力によりまして、通信委員各位のお力によりまして、全逓從業員組合あるいはその新聞に謝罪せしめるなり、何なりの方法をとつていただいて差支えないものであると、私は思うのであります。それは私が直接にこの問題を取上げて、かくすべきである、かくしなければならないということを申しますことは、この際においてどうであろうか。私も多少の疑念と研究を要する問題であると思います。要は私はまつたく千賀さんとその点においては志を同じういたします。どうも私は先ほどもちよつと申しましたけれども、荻生徂徠の言葉に、煎り豆を噛つて人の惡口を言うほど樂しみはないというのがありますが、この言論、出版の自由が與えられたのを奇貨といたしまして、あることないこと人の惡口を書き散らし、言い散らしする傾向が相当世間に流行いたしておりまして、この点はまことに日本民族の將來にとつて嘆かわしいことであると私は考えております。從いまして、私はその精神をもつて全逓の從業員に対しては臨んでいるわけでございますが、不徳、微力のいたすところ、まだその成果の見るべきものがないことは、まことに申し訳なく、汗顔の至りでございます。しかしながらこの無力不徳なる私の意見に多少なり共鳴してくれる者もぼつぼつ出てまいりまして、それ相当の実績を、萠芽を見つつございます。しかしながら私は昔の官廳でやつたような彈圧、あるいはよく姑息な手をまわして、民主化同盟の連中を買收するとか、あるいは酒を飲ませるとか、そういつたことで組合の健全化をはかるというようなことは、毛頭考えておりません。私は大上段に労働組合のあり方、無産階級解放運動のあり方はかくのごときものでなければならぬという立場をとり、日本の現在の國家財政の都合、かれこれを勘案いたしまして、給與その他について、できる限りの努力はいたしますけれども、不可能なる要求に対しては断固私は闘つていることは御承知通りでごございまして、私はその点につきましては決して從業員を敵とせず、從業員と全逓とは必ずしも同一に考えておらないのでございます。しからば君の組合運動の指導精神の理論的な方向いかんということになりますと、非常に時間も要しますので、私の氣持だけを申し上げてお答えといたしたいと思います。
  102. 千賀康治

    ○千賀委員 この問題の取扱いでございますが、結果におきましてはもちろん義憤を感ずるということになるかもしれませんが、最初の入口におきましては、あるいはたれかが若い人らの若氣の至りと、常識のなきままに、放縱なことをやつたというくらいで、私は初めの起りにつきましてはさほど深刻な刺戟は受けておらないのでございますが、今日以後この問題に対しまして逓信從業員がどう考えるか、この点につきましてはあるいは義憤を感じ、あるいはそれ以上の感じをもち、それ以上の法律行為をやらなければならないことになるかもしれません。要は私の愛する逓信從業員たちが、こういう場合に処して、間違つた記事を書き、しかもそれがアメリカの問題にまで飛火をしたというような問題に対して、どう陳謝と慚愧の表情をするか、それが問題であります。しかしながら全逓組合は逓信大臣とは対立のものだとは言いながら、やはりどこかに指導の部面は残されていると思います。あなたの氣持、あなたの態度はこの問題にも相当に指導性をもち、影響ももつておることと考えますから、ここで質問をしたのでございます。今日はこれで質問は打切りますが、まだこの問題の推移に関しましては相当に注意深くながめようと思いつております。
  103. 土井直作

    土井委員長 ただいまお話になりました問題につきましては、委員会におきましてどういうふうに処置するかということについて、目下考慮中でありますので、この点につきましては通信委員会独自の立場において、一應処置並びにその他のことは研究していきたいと考えておりますからあらかじめ御了承思いたいと思います。
  104. 林百郎

    ○林(百)委員 これは土井委員長委員長になられる前、現岡田鉄道大臣が委員長のころ起きた問題でして、特定局の採決の際に私と千賀さんとが非常に尖鋭化して議論を闘わして緊迫した委員会の当時で、逓信從業員の方も非常に精経質になつておつたころだつた。これは新聞紙の記事を見ますと、そういうことを風聞で聞いたということにたしかなつているはずであります。風聞で聞いたということでも、これを新聞紙に出すということは、國会議員に対する侮辱になるというので、記事を書いた者と、土橋全逓委員長と、副委員長の三人をここへ証人に呼びまして、岡田勢委員長から十分の尋問がありまして、中には社会党の梶川君のごときは、裁判所における判事が被告を尋問するような態度だと言われ、聽き方まで実は問題になつたのでありますが、その後になつてこの前の通信委員会でこの問題は一應これで了解を逐げようということにきめたはずです。新聞紙にも今千賀さんが小さい取消しだと言われましたが、一應取消した。それから岡田委員長の尋問のしかたなども問題になりましたが、やはりこのこともお互いに水に流そうということで一應前の委員会では貨づいたはずです。それをまたこの委員会で取上げることになれば、問題は別です。そうなるならば一應全逓側の人も呼んで御意見も聽く必要があると思いますから、愼重に取扱う必要がある。一應前の委員会では片がついたということを申しておきます。  それから冨吉逓信大臣のお話ですが、冨吉さんもおそらくこの問題はあまり御存じないし、また証人を呼んだときの空氣や、その当時の委員会の空氣も御存じないし、また証人を呼んだときの空氣も御存じないと思います。私も今大臣の言葉を聽いていると、勤労大衆の味方であり、勤労大衆の輿望を負つた社会党の逓信大臣としては、言葉が鋭ど過ぎはしなかつたかという感じもありますが、これは信念の違いだからしかたがありませんが、この問題について発言をなさるならば、眞相を確かめて、当時の空氣も十分知つて取上げていただきたい。もちろん私は千賀さんのお氣持もよくわかりますが、先ほど申しましたように、逓信從業員が逓信事業に占める地位は非常に大きいと思います。なるべくならば國会全逓というものを刺戟するとか、國会が口火をつけるということにならないように、われわれはいつも念願しておるのでありますから、その点は愼重に取扱つていただきたいと思います。
  105. 冨吉榮二

    ○冨吉國務大臣 言葉の強さは性格の強さかも知れませんけれども、私は勤労大衆の味方である云々というような林君の御意見は当らないと思う。私は勤労大衆を愛する点においてはあえて人後に落ちません。その点においては多年の経驗においても大胆にここに放言し得る。この組合のあり方というものに対する私の考え方というものは林君とは全然違つております。政治目標が違つておるのであります。その点は所属党が違い、その奉ずる主義が違うから違つておりますので、自分だけが勤労者の味方、大衆の味方であつて、君は勤労者の味方でないというドグマに立つた意見は私自身にとつてはなはだ迷惑であることを申し上げます。
  106. 林百郎

    ○林委員 私はあなたが勤労者の味方でないということは言いはしない。あなたは常に勤労者の味方であるということを言つておられる。その逓信大臣がしばしば全逓の諸君から侮辱を受けておる。この点については断乎闘うということを言われた。眞に勤励大衆の味方であり、全逓從業員を場するものが、全逓從業員からしばしば侮辱を受けるということは実は了解ができなかつた。しかもこの問題に対する逓信大臣の答弁のしかたが、常日ごろ私が考えていた冨吉逓信大臣の言葉としては強く感じたということを私どもは思うのであります。あなたはあなたで全逓の從業員の味方であると考えておるが、その点は私否定しておりません。あなたも味方であり、私も味方である。どちらでも結構ですけれども、ただ全逓從業員勤労者大衆の味方であるというあなたがしばしば從業員から侮辱を受けた。この点については断固鬪うということを言つたら、その点はどうかということを申し上げたわけです。
  107. 冨吉榮二

    ○冨吉國務大臣 いささか林君のお聽き違いである。しばしば侮辱を受けたからこれと鬪うということは決して言つておりません。おそらく正しくお聽きになつた方は——それはあとで間違つた主張に対しては断固として鬪うということは言いましたけれども、私は個人的な鬪いということは絶対に言つておりません。そういうようにお聽き願いたい。
  108. 重井鹿治

    ○重井委員 この問題はいろいろ論議されましたが、大体片がついておるのでありまして、また蒸し返すということにならないように努力したいと思います。もしまだ問題がありましたらまたの機会にお願いいたしまして、きようはこの程度で散会されんことを希望します。
  109. 土井直作

    土井委員長 ちよつと速記を止めてください。     〔速記中止〕
  110. 土井直作

    土井委員長 速記を始めてください。ただいま重井君からこの程度で散会したいという動議がありましたので、本日の質疑はこの程度で打切りまして、散会したいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 土井直作

    土井委員長 異議なければさよう決定いたします。なお明十九日午後一時から引続きまして郵便法等の一部を改正する法律案並びに郵便法の一部を改正する法律案に対する質疑を続行することにいたします。  本日はこれをも誠徳散会いたします。     午後五時二十五分散会