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佐藤(達)
政府委員 ただいま
お尋ねの点は、まことにごもつともなことであると傾聽した次第でありますが、これに対して私
ども立法技術屋としての所見を申し述べて御
説明いたしたいと思います。ただいま二点におわかちになりましたけれ
ども、
便宜上
お尋ねの点を
三つの点にわけてお答えした方がよかろうと存じます。
第一点は、
國会においてまだ
審議中の
法案に対する
改正法案というようなものが
考えられるかどうかということが第一点と拜承いたしました。これは
國会で御
審議を願
つておるものの案につきまして、
將來時日の経過によ
つて何らかの訂正を施したいという場合の
方法としてはいろいろな
方法がございます。法的に可能な
方法としては、ただいま御
指摘になりましたように、一應撤回して、書き直してお出しする、あるいはまた
國会法によれば、
修正のお願いをこちらに申し入れて
政府の
修正を加える、これから第三の
方法として、ただいまこの案のたど
つておりますように御
審議中のものも
成立を
前提として、これの一部
改正案も
両方一緒に御
審議願う、これはときの
便宜と申しますか、
國会のお
考えにもよることではございますけれ
ども、
法律的にはこの
三つの
方法いずれをと
つても差支えないものと
考えております。ただいまの
お話で、
國会の
審議権の
無視にならないかという御懸念がございましたけれ
ども、
政府としては一應御提案申し上げておる以上は、極力力を
盡くしてその
成立に
努力するという見透しの
もとにや
つておるわけでございますから、こういうやり方になりますことも御了承願えると思います。またこれが決して
國会の御
審議の権能を
無視しておることでないことは、
國会にこれがかかりました以上は、
万事國会のお
取扱いにお任せしておるわけであります。ただ
政府としてはその
成立のためにあらゆる
努力をして
説明申し上げるということでありまして、
審議権の
無視というようなことには絶対にならないものと
考えておる次第でございます。
その次の問題が実はなかなかむずかしい
お尋ねでありまして、少し
言葉を多く費しませんと御
了解願えないかと思うのでありますが、要するに、この
法律第何号というブランクの書き方をして
法案を出しておるのはどういうわけかという点であります。実は
法律の
番号というものは、御
承知の
通りに
官報に
政府において制定いたしました
法律を
公布するわけであります。その
公布のときに順番を打
つていくわけであります。すなわち
昭和二十三年度において
最初に
成立したものが
公布される場合に、それが
昭和二十三年
法律第一号、その次に
公布されますものが第二号、要するに
公布の際の
官報に載りました順位によりましての
番号でございます。ここは昔から今日に至るまで
政府においてその
番号をつけさせていただく、かつまた將來その
番号つきの
法律を
改正したりする場合においては、その
番号を引用して
國会においてもお取上げいただいておるわけであります。そういう性格のものでございます。そこで今度の具体的な問題でありますが、今までのわれわれの
取扱いとしては、実はこの
郵便為替法、あるいは
郵便貯金法というようなはつきりした正式の題名のついておりますものは、別に
括弧をして、
昭和何年
法律第何号と言う必要はないので、そういう
意味で
括弧書きは昔はつけておりませんでした。ところが最近いろいろな
関係方面との
折衝等におきまして、先方の
係官等の意思もあ
つて、これでは不完全だ、
法律の
名前があ
つても、その
名前を書いてさらにその下に
法律番号もはつきり書くべきだという
一つの要請がある。これも
考えてみれば
法律番号、あるいは何年の
法律番号がわかるという点においては親切な
方法でありますから、
政府としてもこれは一向差支えないことで、かえ
つてよろしいかも知れないというわけで、これはごく新しいことでそういうことを始めまして、
法律の
名前の下に
番号を一々書く、ところがそういうことをや
つておりますと、
ちようど御
指摘の今日のような場合に
至つてはたと当惑する事態が起るわけであります。そこで
括弧書きでまだ
成立しておりません、すなわち
公布にな
つておりませんから、
番号はないという形のものが御
審議の客体にならざるを得ないことに立ち至つたわけであります。しかしこういうふうに
番号をブランクにいたしまして御
審議を願いました例は、実は
もとの旧
憲法時代にはそういう先例がございました。その
関係においてはわれわれ別に不思議はないと思うのでありますが、但し新しい
憲法に
なつた後においても、こういうことは一体どうであろうかという点に実は非常に疑念をもちまして、こちらの
國会の
事務当局の方方とも念のためにお打合せをしたようなこともございます。これは
先ほどから申しますように、
便宜政府でお任せ願つたことにして、多年つけておることでもあり、新
憲法下においてもこの
番号は
政府でつけさせていただいておるから差支えないのではないかという
結論から、このプランクの
番号を御
審議願つて、
あとで
郵便為替法の
公布の際に附け加えました
番号をこれに書き加えまして
公布させていただく。何らこれは実体に触れてのことではございませんから、形式の問題としてそういうことはお許し願えるものという
前提に立
つておるわけであります。そこで
郵便為替法はもちろんこれが
成立しておりませんことには、今度御提案申し上げました一部
改正の
法律というものは
意味をなしません。
郵便為替法の方は先に
公布されることは明瞭でございますから、ただいま御
審議の
郵便法の一部
改正の
法律案が
公布されま4ときには、すでにこの
郵便為替法の
法律番号はきま
つておるわけでありますから、そのときにこれを形式的に書き入れて
公布するという段どりに
考えておる次第であります。
それから第三点は、これも非常に深い
意味の
お尋ねでありますが、この
もとの
郵便為替法案は
公布の日から二十日ということにな
つております。ところがそれを
改正する
法律案は六月十五日
施行と相な
つておるが、その
関係はどうな
つておるかという
お尋ねであります。これは第三條についてかりに
郵便為替法の例で申し上げますと、この
法律は六月十五日から
施行することになりますから、第三條の
規定は六月十五日から
施行される、それはすなわち
郵便為替法の一部をこういうふうに書き改めることが六月一日から
施行されるわけであります。そうしますと
郵便為替法そのものは
実施の
期日はさらに
あとになるかも知れませんけれ
ども、とにかく
郵便為替法は
成立いたしまして、そうして
官報にも出るわけであります。その
法律の文章の五千円以下とあるのが一万円以下と直る、それは六月十五日から直る、但しその
実施の
効果が発生し、一般にその
規定が適用されるのは、
台本の方であるところの
郵便為替法そのものの
施行期日がこなければ
施行実施されないという段どりでありまして、一應筋道はついておるものと
確信しておる次第であります。不十分かも知れませんが、一應駈答え申し上げます。