○五坪
政府委員 ただいま
議題となりました逓信職員訓練法案の
提案理由を御
説明申し上げます。
從來
逓信省におきましては、その業務の特殊性に基き、從業員に專門的技能を與えることの欠くべからざる重要性に鑑みまして、從業員に対し所要の訓練を施してまい
つたのであります。すなわち古くから当省固有の養成機関を設け、
事業各般にわたり各種の
程度の訓練を行うのほか、必要に應じては現場において特殊の專門的技能を修得せしめ、
事業の運営にただちに活動し得る從業員を養成してきたのであります。
なおこれら養成機関におきましては、逓信
事業の文化的意義を從業員の学歴等を勘案し、單に技能的訓練に止まらず、
一般普通教養学科についても、ある
程度教授することの必要を認め、これをも併せ施し、も
つて從業員の素質、品位の向上に努めてきた次第であります。申すまでもなく逓信
事業の運営が円滑に遂行されるか否かは、
事業の性質上、政治経済その他に影響するところ多大であり、これを眞に能率的に、合理的にサービス本位に運営していきますためには、今後といえ
どもますます從業員の素質に技能との優秀を確保していかねばなりませぬ。
しかるに先般日本國憲法が公布施行せられ、各般の法制的改革の必要が生じてまい
つたのでありますが、これら從業員に対して行う訓練につきましても、その
目的、範囲、その他訓練実施に関する逓信
大臣の職責、権限等に関し、明確にこれを決定するを至当と認められるに至りましたので、ここに本案を提案する次第であります。
今法案の
内容について申し上げますと、第一の要目は、訓練の対象を逓信職員に限定いたしたことであります。すなわち從來自己の從業員のみらず、無線電信技術者の養成という部外者に対する訓練をも行
つてきたのでありますが、教育基本法の精神からして、かかる
一般教育本系に
編入するを適当と認むるものについては、
逓信省の所掌よりこれを文部省の所掌に移すのを適当と認め、
逓信省の訓練に関する所掌は
事業に從事するものにのみ限定さるべきものと思料したのであります。
第二に訓練の
内容についても、いわゆる六・三制の義務教育の実施に伴いまして、從來
逓信省の訓練機関において施してまいりました普通教養学科に関しては、これを
一般教育本系に委ねるを至当と考え、特に
事業遂行に直接必要なる專門的なものに限ることといたしました。またその訓練についても、でき得る限り教室における坐学を少くし、現場における実地訓練を主とすることにいたして、訓練の能率化をはか
つたのであります。
第三に從業員の訓練につき、
一般の学校その他教育研究機関等に從業員を
派遣し、專門の
事項を研修させ得ることといたしました。すなわち
事業に関する知識及び技能は必ずしも部内においてすべてをおおい畫し得るものではないのでありまして、また專門的な知識は日に進み月に進んでいるのでありまして、部外にすぐれたる教育その他の研究施設があります場合には、その知識もしくは技能の吸收のため、從業員を部外のそれら施設に委託して研修させることにしたのであります。
なお訓練の実施に哉しては、毎年訓練人員、訓練課程、訓練
期間等に関し実行計画を立て、も
つて年ごとに進展していきまする逓信
事業の
内容の変化に伴う要員の需給に機動的に対処することとし、
事業運営に遺憾なきを期しておる次第であります。
以上簡單でありますが、法案について御
説明いたしました。何とぞ十分御審議の上速やかに御賛成くださらんことを切望する次第であります。