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1948-06-07 第2回国会 衆議院 通信委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月七日(月曜日)     午前十一時三十四分開議  出席委員    委員長 土井 直作君    理事 白井 佐吉君 理事 重井 鹿治君    理事 長谷川政友君       多田  勇君    周東 英雄君       千賀 康治君    林  讓治君       宮幡  靖君    森  直次君       海野 三朗君    片島  港君       野上 健次君    荊木 一久君       田島 房邦君    長谷川俊一君       林  百郎君  出席國務大臣         逓 信 大 臣 冨吉 榮二君  出席政府委員         逓信政務次官  五坪 茂雄君         逓信事務官   大野 勝三君         逓信事務官   中山 次郎君         逓信事務官   村上  好君  委員外出席者         議     員 成田 知巳君         專門調査員   吉田 早苗君     ――――――――――――― 六月五日  電信電話料金法案内閣提出)(第八四号)  郵便法等の一部を改正する法律案内閣提出)  (第八五号) 同月二日  簡易生命保險法並びに郵便年金法に関する請願  (石田博英紹介)(第一一四二号)  同(亘四郎紹介)(第一一四三号)  同(明禮輝三郎君外一名紹介)(第一一四四  号)  同(松原一彦君外三名紹介)(第一一四五号)  同(井谷正吉君外三名紹介)(第一一四六号)  同(安東義良君外一名紹介)(第一一四七号)  高等遞信講習所存続の請願重井鹿治君外二名  紹介)(第一一六二号)  札幌普通遞信講習所存置請願片島港君紹  介)(第一一六三号)  十河村に特定郵便局設置請願成田知巳君紹  介)(第一一六四号)  詫間町松崎に特定郵便局設置請願成田知巳  君紹介)(第一一六五号)  簡易生命保險法並びに郵便年金法に関する請願  (米田吉盛紹介)(第一一九二号)  同(淺利三朗紹介)(第一一九三号)  同(大野伴睦君外一名紹介)(第一一九四号)  桐生郵便局電話交換方式改喜促進請願(椎  熊三郎君紹介)(第一二〇一号)  簡易生命保險法並びに郵便年金法に関する請願  (成重光眞紹介)(第一二二七号)  遞信職員訓練法案に関する請願赤松勇君外二  名紹介)(第一二三六号) 同月三日  簡易生命保險法並びに郵便年金法に関する請願  (河口陽一紹介)(第一二四一号)  簡易生命保險並びに郵便年金法に関する請願外  一件(神山榮一紹介)(第一二四二号)  簡易生命保險法並びに郵便年金法に関する請願  外二件(福田繁芳紹介)(第一二四三号)  簡易生命保險法並びに郵便年金法に関する請願  外一件(林百郎君紹介)(第一二四四号)  簡易生命保險法並びに郵便年金法に関する請願  (金光義邦君外二名紹介)(第一二四六号)  此花郵便局復興請願前田種男紹介)(第  一二六四号)  簡易生命保險法並びに郵便年金法に関する請願  (成瀬喜五郎紹介)(第一二六六号)  同(生越三郎紹介)(第一二六七号)  同(高岡忠弘紹介)(第一二六八号)  同(織田正信紹介)(第一二七六号)  同(林百郎君紹介)(第一二七七号)  同(坂東幸太郎紹介)(第一二七八号)  同(森三樹二君紹介)(第一二七九号)  同(永井勝次郎紹介)(第一二八〇号)  田部郵便局電話架設請願山本猛夫君紹  介)(第一二八三号) の審査を本委員会に付託された。 六月三日  南箕輪局伊那局間の市外電話回線増設陳情  書  (第五一一号)  輪島郵便局々舍新築並びに輪島金澤間電話回  線増設陳情書  (第五二二号)  福岡遞信局設置に関する陳情書  (第五七五号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  國政調査承認要求に関する件  委員派遣承認申請に関する件  公聽会開会に関する件  遞信職員訓練法案内閣提出)(第七〇号)  電信電話料金法案内閣提出)(第八四号)  郵便法等の一部を改正する法律案内閣提出)  (第八五号)     ―――――――――――――
  2. 土井直作

    土井委員長 会議を開きます。  この際お諮りいたしますが、前回の委員会におきまして、長谷川委員より福井郵便局火災状況調査委員派遣されたいとの申出があり、その問題に関し協議いたしておりましたが、本事件に関する國政調査につき、その目的方法期間、その他所要事項を決定いたしましたち、衆議院規則第九十四條により書面をもつて議長承認を求め、承認がありましたならば、衆議院規則第十五條により、本件に伴う委員派遣の件につき議長承認を得るということになるのでありますが、時間の都合もありますので、本日委員派遣の件についても決定いたしまして、國政調査承認がありましたとき、ただちにそれに伴う委員派遣承認を求めることができますよう、ともに一括して議長に提出いたしたいと思います御異議がありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 土井直作

    土井委員長 御異議なしと認めます。それではそのようにいたすことにいたします。  まず國政調査承認要求の件については    國政調査承認要求書  一、調査する事項 福井郵便局火災に関する件  二、調査目的 被害状況調査  三、調査方法 現地実地調査  四、調査期間 本会期中   右により國政に関する調査をしたいから衆議院規則第九十四條により承認を求める。   昭和二十三年六月七日      通信委員長 土井 直作    衆議院議長松岡駒吉殿  こういう國政調査承認要求書でありますが、それに対しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 土井直作

    土井委員長 御異議なしと認めます。ではこの件を池定いたします。  次に委員派遣承認の件につきましては、    委員派遣承認申請書  一、派遣目的 福井郵便局火災被害実地調査  一、派遣委員の氏名 長谷川政友外二名  一、派遣地名 福井縣福井市   右により委員派遣したいから衆議院規則第五十五條により承認を求める。   昭和二十三年六月七日      通信委員長 土井 直作    衆議院議長松岡駒吉殿  以上でありますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 土井直作

    土井委員長 それでは御異議ないものと認めまして、これを決定いたします。     —————————————
  6. 土井直作

    土井委員長 次に御報告申し上げたいことがあります。逓信職員訓練法反対並びに講習所存置運動署名趣意書案委員長手もとまで來ております。持参者東京普通逓信講習所逓信教官の遠藤三吾君、全逓從業員組合教育協議会執行委員崎岡吉敏秀、以上の二名の人によりまして、書類が参つております。この段御報告申し上げておきます。  なおこれと関連いたしまして、私の手もと並びに委員手もと等に、総計いたしまして約八百通ばかりの陳情のはがきが参つております。あるいは電報等が参つておりますることも、この際併せて御報告申し上げておきます。
  7. 土井直作

    土井委員長 次に当局に対して緊急質疑をいたしたいのでありますが、それは西荻窪電話局協力会結成式に関する事項であります。これはこの協力会結成にありまして、協力会会費、あるいはその祝賀会に関する会費、こういうようなものの通知がありまするが、これと関連いたしまして、これに逓信省の物品を使用されておるように見えるのであります。なおこの問題につきましては成田君が十分知つておりますので、この際私の質問に敷衍いたしまして、委員外質問といたしまして、成田君に質問を許すことにいたします。
  8. 成田知巳

    成田知巳君 ただいま委員長からお話がありましたように、ごく簡單に御質問いたしたいと思います。西荻窪が今度御承知のように、東京中央郵便局編入なつたために、住民が非常に便宜を受けておるわけでありますが、それに関連いたしまして、突然荻窪電話協力会東京編入祝賀会準備委員長という名前で、内田秀五郎という人が代表者になりまして、この電話事業協力するから、協力会を結成したい、その祝賀会費として四百円、それから年々協力会に、一口百円として、一口以上の寄附をやつてもらいたい、そういう通知が、電話をもつている加入者にありました。その内容を見ますと、これは私的なものらしいのでございますが、加入者の受けた印象は、御承知のように東京牛込電話局という名前で、通信事務として、親展として参つておりますから、受けた方は全部これは牛込電話局の公的な意見だというように解釈しておる。そしてこれを受けまして、これはぜひとも加入しなければいかぬものであろうかどうかというような相談を私ども受けたのでありますが、これは少し筋が違うのではないか、当局に御説明を求めたいというので、吉田専門調査員を通しまして調査願つたのであります。この経過並びにこれに対する当局の御意見を承りたいと考えます。
  9. 冨吉榮二

    冨吉國務大臣 まず中山電務局長から、その経過についての御報告を申し上げます。
  10. 中山次郎

    中山(次)政府委員 ただいま御質問ございました荻窪電話局東京合併に伴いまして、その地元電話協力会協動に関しまして、逓信省、またその電話局が、関與しておるかどうかという点を中心にいたしまして、現在までの経過を一應御説明いたさせていただきたいと存じます。  ただいま申し上げました荻窪電話協力会と申しますのは、目下その結成準備中のようでございまして、來る十九日にその発会式を行う予定のようでございます。それと同時に、何かこの合併祝賀会を催されたいというようなことのことでございます、今日までの経過を一應私の方で調べたところによりますと、もとから荻窪電話局の管内におきましては、地元有力者の方がお集りになられまして、逓信委員というようなものを組織しておられるようでございます。この委員会と申しますか、これは大体電話に関するいろいろな局への注文とか、希望、それから電話局の今後の拡張の方針とかいうようなものにつきまして、加入者をある程度代表せられまして、官側にいろいろなことを交渉しておられたようでございます。今回合併に伴いまして、この委員会を強力に拡大される意味で、電話協力会というものを組織されたのであります。その目的は、伺うところによりますと、荻窪電話事業の円滑な運営を期するために、主として荻窪電話局関係する電話事業の発達に協力されるということが目的でありまして、それの実行の方法として予定せられておりますのは、電話局とか、工事局に対しまして、加入者との中間に立つて、いろいろおせわをなまることがおもな内容でございまして、これを具体的に申しますと、電話事業周知宣傳を授けてくださる、それからまた加入者方々に対しまして、電話を利用されるについてのいろいろな知識なり、その他啓蒙的のことをなされるというのでございまして、それにまた附け加えまして、電話局員の非常に優良な人たちを表彰されたいというようなことも考えておられるようでござまいす。  会員の構成でございますが、これは大体希望者をもつて組織されるようでありますが、一應全加入者に対しましてこういうことを御相談になられるために通知を出されたようでございます。從いまして電話局長なり、電話当局の者は、これには直接は参加しておらない実情でございます。  それから、これは電話局との関係でございますが、今申し上げましたように、そういう民間の地方の有志方々集りでありまして、電話局としては直接関係はいたしておりませんが、ただ自分たち仕事を円満に遂行するために御助力いただきまする関係上、いろいろな御相談をお受しているようであります。今回の準備打合会などにつきましても、電話局の方でもいろいろ御相談乘つてつたようであります。從いまして、ただいま問題になりました勧誘状の発送などにつきましても、協力会方々といろいろお打合せを受けておつたようであります。その結果電話局封筒を使われたそれを無料郵便で発送されたという事実はございます。それからいろいろな会合につきまして、電話局内の部屋と申しますか、場所を使つていただいた機会もあるようであります。またその通知書の返事に対しますあて名も、電話局内協力会というようなことにしておるようでございます。從いまして電話局としては、直接この協力会には関係はいたしておりませんものの、そういうような御相談なり、いろいろなお打合せをしております結果、そういうような、私どもといたしましては行き過ぎた、ある程度また違法のようなことにまで至つておりますことは、申訳ないと思うのでありますが、そういうような実情でございます。それで電話局の方といたしましても、地元有志の方の御好意をむげにお断りなり、また拒否する態度にも出ておりませんし、またこれを積極的に助長し、またお願いしておるというような事実もございませんようであります。ただ受身の立場で御好意にあずかつておるというような実情であることが、今調べましたところは、わかりました次第であります。  今後のこれに対しまする行き過ぎた点の是正その他につきましては、十分事務的にこれを取計らいたいというふうに考えております。大臣からもまた御答弁いただくと思います。
  11. 成田知巳

    成田知巳君 十日余り経つておりますので、電話局から正式にこういう要求があつたというような氣持を受けておる人も相当あると思いますが、寄附金は実際相当集まつておりましようか。その点お調べがありましたらひとつ……。
  12. 中山次郎

    中山(次)政府委員 ただいま電話局の方ではそれはわかつておりませんようで、むしろこれは電話局というよりは協力会の方でやつておりますので、電話局の方としてはそういう集まりました金額その他については関知しておらない樣子でございます。こちらで直接関係しておりません仕事のためにそこまでつつこんで調査を命じておりません。
  13. 成田知巳

    成田知巳君 先ほど申しましたように通信事務ということで來たのでございますから、加入者はどうしても出さなければいかぬじやないかというような相談を私はたくさん受けました。一應政府方針も聽いてみるということで参つたのであります。現在のところでもその点の調べがないとすれば、相当集まつているのではないかという氣がするのでありますが、もし集まつているとすれば、どういう御処置をなさつているか、私が相談を受けました者の二、三は、協力会というものの存在を今まで知らなかつたのであります。こういう通知が來たから出さなければならないだろう、將來のことも考えなければならないというわけでございます。もしそういう誤解相当寄附金が集まつているとすれば、これらに対してどういう御処置になりますか。
  14. 中山次郎

    中山(次)政府委員 ただいまお話もございましたように、電話局名前を印刷しておりまする封筒を使いまして、通信事務で、加入者の方に御通知が行きましたために、いかにも電話局がこれを主宰しているような誤解を受けましたことは、まことに恐縮にたえないのであります。その点につきましては、私どもとしまして今後はつまり電話局協力会とは別な組織であるという点を、公表いたしたいと思つております。それからまたそれらの集りました金額につきましては、やはりそういうような誤解があつて集まつ金額もありますし、また申込みもあると思います。これについては申込まれた加入者にもよく納得していただくようにこちらからも申入れいたしたいと思つております。また一部には、こういうような電話協力会にはいらないために、今後の電話のサービスなり、その他について不公平がなるというような御心配も、当然起つてくるのではないかと思います。その点につきましても、当局といたしましてそういう面とは全然別なものだということ、そういうような、えこひいきがあり得ないというようなことも、はつきり加入者方々にもお知らせいたしたいと考えている次第であります。
  15. 冨吉榮二

    冨吉國務大臣 きわめて大事なことでございますので、一應私から見解を申し上げまして、今後の方針を御了承願いたいのであります。從來ややともいたしますと、こうした役所中心なつて、民間のある一部の者と結託して、協力会とか何とかいうものをでつち上げてやるといつたようなこと、あるいはまた民間ボス的存在の人々が、みずからの名利のためにこうした組織をつくり上げるといつたような弊害は、私どもの見聞するところでございまして、まことに遺憾なことであると思うのであります。從いまして私どもは、かくのごとき方向にもつていかれるような協力会のごときは、はなはだ迷惑をいたすのでございます。しかしながら、御案内のごとく通信事業はじみな仕事でございますので、一般周知宣傳という問題についても、役所といたして十分努力する面もございますが、同時に現在御利用願つております加入者方々からするそういう方面の御協力が、民主的に下から盛り上る力で組織としてできてくることは、私ども別に慫慂したりいたしませんけれども、好ましいことであると考えておるのであります。一例を申し上げるならば、信州における岡谷電話会というようなもの——確かな年度は覚えておりませんけれども大正年間から大分久しきにわたつて、実に献身的な御協力を願つておりますので、先日私は逓信記念日感謝状をも差し上げて、その御労苦にお礼を申し上げたような次第でありまして、この種の事柄は私ども大いに敬意を表するのでございます。ただこの問題が、そういう御協力の体制をおつくりになるのかどうか私は存じませんが、そういうためにお申出になつたことによつて荻窪の局がこういうことをいたした。いかしながらその精神においては別に責むべきではないけれども、その行き過ぎの行動、役所のものを使つた、あるいはこれを無料でやるというごときは、はなはだもつてけしからん、こうしたけじめは今後つけてまいらなければならぬと私は思うのでありまして、全國各地にわたる各組織に対しまして、今後嚴重にこの点は戒告して、あくまでわれわれは監督官廳ではない、現業官廳として國民にサービスし、通信という重大なる文化的な機関のいやが上にも向上するように努力する。こういう方針を私自身とつておりますので、この点を十分に注意をして御期待に副いたいと考えております。
  16. 土井直作

    土井委員長 午前の会議はこの程度にして、午後一時より再開することにいたします。     午前十一時五十七分休憩     —————————————     午後二時二十五分開議
  17. 土井直作

    土井委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  まず電信電話料金法案及び郵便法等の一部を改正する法律案を一括して議題に供します。政府提案理由説明を求めます。五坪政務次官。     —————————————
  18. 五坪茂雄

    ○五坪政府委員 ただいま議題となりました牧便法等の一部を改正する法律案並びに電信電話料金法案につき一括して提案理由の御説明を申し上げます。  通信事業は、明治十八年逓信省創立以來、多少の消長はありますが、一貫して黒字を出してきたのでありまして、公益性要求を満たしつつ、企業的にも採算がとれていたのであります。しかるに昭和二十年度以降は各年度とも引続き欠損を生じまして、昭和二十二年度におきましては、六十六億九千五百六十三万三千円という巨額の赤字を出したのであります。このように終戰後連年赤字を出している原因は、戰爭による被害、戰時中の設備酷使等によりまして收入が減少してまいつております反面、インフレの高進により人件費及び物件費が急激に上昇したことによるのであります。終戰以來逓信省設備の復旧とサービスの改善に努めておりますが、通信事業取扱物数について見ましても、電報が良好な復興を示しているのみでありまして、郵便及び電話は、戰前の水準に到達するには今後相当の努力と年月とを要するのであります。ところで收入のもとをなしておる各種通信料金について申し上げますと、現行料金昭和二十二年度初めにおきまして、千二百円の給與水準と、昭和二十一年十月の物價水準に対應して、從前の約三倍に改訂されたものでありまして、このときの基礎となつた給與水準物價水準とに変化のない限り、收支はほぼ相償う見込みでありました。ところが給與水準年度当初において早くも千六百円に引上げられ、さらに七月以降において千八百円水準に改めるとともに、物價水準もいわゆる新物價水準の設定に伴いまして大幅に引上げられたのであります。その後生活補給金二、八月分を支給したほか、本年一月にさかのぼつて二千九百二十円給與水準を採用することになつたのでありますが、通信料金はその間ずつとすえおきになつていたので、收入不足を補填する財源は、もつぱら一般会計よりの繰入金及び借入金によつて賄わざるをえなかつたのでありまして、結局昭和二十二年度通信事業特別会計損益勘定(特第一〇号補正予算)の收支は、收入において、百三十七億二千四百七十一万二千円であり、支出において二百四億二千三十四万五千円でありまして、差引不足額六十六億九千五百六十三万三千円となつたのであります。しからば昭和二十三年度收支見込みはどうかと申しますと、現行料金をすえおくとしますれば、二千九百二十円の給與水準と現在の物價水準によりましても、收入の百七十八億五千三百六十万一千円に対しまして支出が三百三十億七百四万二千円となり、差引百五十一億五千三百四十四万一千円の不足を生ずることになるのであります。  このような状況では、特別会計建前である独立採算制は無意味となり、いたずらに一般会計の負担を大きくする結果になりますので、速やかにできるだけ事業收支の均衡をはかり、現在のゆがめられた姿を改める必要があります。そこで近く改訂せられる給與水準をも考慮して、通信料金のおおむね四倍の値上げを計画した次第であります。通信事業收支は、今回の値上げを実施しましても、なお五十億円の赤字を生ずるのでありますが、これは一般会計からの繰入金によつて補填いたしたいと存ずるのであります。  以上のごとく通信料金の改訂は、各種料金ともおおむね四倍引上げを原則として策定いたしたのでありますが、料金政策上、あるいは徴收技術等の点を考慮に入れまして、個々の料金値上率の間には若干の開きを見ることとなりました、今そのおもなるもののうち、まず郵便に関する料金について拾つてみますると、第一種郵便物すなわれ封書は、料金徴收上の便宜から、現行一円二十銭のものを五円に引上げることといたしましたが、速達、配達証明内容証明等のごとき一部特殊取扱料金につきましては、その取扱いに要する手数その他利用價値などの点を勘案して、これらの料金は三倍ないし三、七五倍程度に止めることといたしました。なお料金引上げに関連いたしまして、書留、郵便物を亡失または毀損いたしました場合における損害賠償額は、現行百円となつておりますのを四百円に改めたのであります。  次に郵便為替及び郵便振替貯金関係改正料金でありますが、他の通信料金と異なり、もともと送金制度であります関係上、直接金銭につながつておりますので、極端な引上げは許されない事情にあり、殊に郵便官署を利用する小口送金でありますだけに、國民大衆の利益を格別に擁護する必要があると考えました結果、郵便為替については平均引上倍率を一・八三倍、郵便振替貯金については同じく三・八四倍といたしたのであります。  次に電信関係改定料金でありますが、これまた現行料金の四倍という建前によりましたことは、郵便料金の場合と同様でありますが、この際料金制度並びに利用制度合理化をはかるため、至急電報料は現在普通電報料の三倍となつていましたものを、今回はこれを二販とすることとし、また新たに市内電報及び翌日配達電報制を創設いたしまして、その料金はそれぞれ、般電報の約三分の二程度に止めることといたしましたほか、時間外の制度を廃止いたしまして、夜間におきましても特別な附加料を課することなく電報を受付けることといたしたのであります。以上のごとき低額電報制度の創設等による電信收入の減少を補い、全体として四倍引上げ收入を確保いたしますために、普通電報料現行料金の五倍に引上げることといたしたのであります。  次に電話料金でありますが、電話使用料並びに附加使用料とも、加入関係料金につきましては、おおむね四倍の値上げをいたすこととしましたが、公衆電話その他郵便官署取扱いにかかる市内通話料は、主として加入電話をもたぬ一般公衆の利用せられるものであり、その大衆負担をいささかでも軽減いたしまするために、現行五十銭を一円に引上ぐるに止めました。また市外通話料につきましては、キロ当り單金の平準化をはかりますために、十二キロまでの区間については現行の三倍、八十キロまでの区間は現行の五倍に、八十キロ以上は現行の四倍に引上げたのであります。また予約新聞通話料は一般と著しく不均衡な低率料額となつておりましたので、若干これを是正する意味で一般の六分の一程度まで引上げることとしたのであります。  以上料金改訂に関するおもなる点を申し上げましたが、電信電話料金法案は、從來命令をもつて規定せられておりました電氣通信に関する料金を、財政法第三條の規定が施行せられましたに伴い、法律をもつて定むるの必要を生じましたので、今回の料金改訂を機会に新たに法律を制定せんとするものであります。  また郵便法等の一部を改正する法律案は、すでに郵便法並びに郵便貯金法に規定せられておりますところの料金等の改正を行わんとするのほか、目下御審議を煩わしております郵便振替貯金法案並びに郵便為替法案が制定せられるものとして、同法案に規定せられておりまする料金につき、所要の改正をなさんとするものであります。  以上両法案提案の目的内容につき御説明いたしましたが、何とぞ十分御審議の上速やかに御賛成くださるようお願いする次第であります。     —————————————
  19. 土井直作

    土井委員長 本法案は財政及び金融委員会の所管事項にも関連いたしておりますので、衆議院規則第六十條によりまして、連合審査会を開くことにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 土井直作

    土井委員長 御異議なしと認めさよう決します。     —————————————
  21. 土井直作

    土井委員長 次に両法案の質疑にはいるのでありますが、質疑は次会に譲ることといたしまして、逓信職員訓練法を議題といたします。政府提案理由説明を求めます。     —————————————
  22. 五坪茂雄

    ○五坪政府委員 ただいま議題となりました逓信職員訓練法案の提案理由を御説明申し上げます。  從來逓信省におきましては、その業務の特殊性に基き、從業員に專門的技能を與えることの欠くべからざる重要性に鑑みまして、從業員に対し所要の訓練を施してまいつたのであります。すなわち古くから当省固有の養成機関を設け、事業各般にわたり各種の程度の訓練を行うのほか、必要に應じては現場において特殊の專門的技能を修得せしめ、事業の運営にただちに活動し得る從業員を養成してきたのであります。  なおこれら養成機関におきましては、逓信事業の文化的意義を從業員の学歴等を勘案し、單に技能的訓練に止まらず、一般普通教養学科についても、ある程度教授することの必要を認め、これをも併せ施し、もつて從業員の素質、品位の向上に努めてきた次第であります。申すまでもなく逓信事業の運営が円滑に遂行されるか否かは、事業の性質上、政治経済その他に影響するところ多大であり、これを眞に能率的に、合理的にサービス本位に運営していきますためには、今後といえどもますます從業員の素質に技能との優秀を確保していかねばなりませぬ。  しかるに先般日本國憲法が公布施行せられ、各般の法制的改革の必要が生じてまいつたのでありますが、これら從業員に対して行う訓練につきましても、その目的、範囲、その他訓練実施に関する逓信大臣の職責、権限等に関し、明確にこれを決定するを至当と認められるに至りましたので、ここに本案を提案する次第であります。  今法案の内容について申し上げますと、第一の要目は、訓練の対象を逓信職員に限定いたしたことであります。すなわち從來自己の從業員のみらず、無線電信技術者の養成という部外者に対する訓練をも行つてきたのでありますが、教育基本法の精神からして、かかる一般教育本系に編入するを適当と認むるものについては、逓信省の所掌よりこれを文部省の所掌に移すのを適当と認め、逓信省の訓練に関する所掌は事業に從事するものにのみ限定さるべきものと思料したのであります。  第二に訓練の内容についても、いわゆる六・三制の義務教育の実施に伴いまして、從來逓信省の訓練機関において施してまいりました普通教養学科に関しては、これを一般教育本系に委ねるを至当と考え、特に事業遂行に直接必要なる專門的なものに限ることといたしました。またその訓練についても、でき得る限り教室における坐学を少くし、現場における実地訓練を主とすることにいたして、訓練の能率化をはかつたのであります。  第三に從業員の訓練につき、一般の学校その他教育研究機関等に從業員を派遣し、專門の事項を研修させ得ることといたしました。すなわち事業に関する知識及び技能は必ずしも部内においてすべてをおおい畫し得るものではないのでありまして、また專門的な知識は日に進み月に進んでいるのでありまして、部外にすぐれたる教育その他の研究施設があります場合には、その知識もしくは技能の吸收のため、從業員を部外のそれら施設に委託して研修させることにしたのであります。  なお訓練の実施に哉しては、毎年訓練人員、訓練課程、訓練期間等に関し実行計画を立て、もつて年ごとに進展していきまする逓信事業内容の変化に伴う要員の需給に機動的に対処することとし、事業運営に遺憾なきを期しておる次第であります。  以上簡單でありますが、法案について御説明いたしました。何とぞ十分御審議の上速やかに御賛成くださらんことを切望する次第であります。
  23. 土井直作

    土井委員長 それでは暫時休憩いたします。     午後三時休憩      ————◇—————     午後三時二十九分開議
  24. 土井直作

    土井委員長 休憩前に引続いて会議を開きます。お諮りいたします。ただいま政府当局から御説明がありました電信電話料金法案並びに通信料金値上げに対します法案は、一般的な関心及び目的を有する重要な法案であると思われますので、各派委員諸君におかれましても、本案の審査のために公聽会を開くことを希望されておるのであります。しかして衆議院規則第七十七條によりまして、公聽会を開こうとするときは、あらかじめ議長承認を経なければならないことになつておりますので、議長公聽会開会承認要求書を提出したいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 土井直作

    土井委員長 御異議がなければさよう決します。なお公聽会で意見を聽こうとする問題は、郵便料金、電信電話料金等の値上げの可否、もし可とする場合はその値上げ率について、としたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 土井直作

    土井委員長 御異議がなければさよう決します。では所要の手続は委員長よりすることといたしまして、議長承認あり次第、日時その他について決定したいと思います。  議長承認のありますまで、暫時休憩いたします。     午後三時三十二分休憩      ————◇—————     午後四時開議
  27. 土井直作

    土井委員長 再開いたします。  議長より公聽会開会承認がありましたので、來る十四日の午前十時より公聽会を開くことにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 土井直作

    土井委員長 異議がなければ、さよう決します。  それでは諸般の手続は委員長より取計らうことにいたします。本日はこの程度に止めまして、次会は九日の午後一時より財政及び金融委員会と連合審査会を開くことにいたします。  本日はこれにて散会します。     午後四時一分散会