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1948-02-02 第2回国会 衆議院 通信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年二月二日(月曜日)     午後二時十九分開議  出席委員    委員長 岡田 勢一君    理事 天野  久君 理事 白井 佐吉君       海野 三朗君    片島  港君       成田 知巳君    矢尾喜三郎君       小島 徹三君    千賀 康治君       田島 房邦君    長谷川政友君       多田  勇君    中野 寅吉君       林  讓治君    森  直次君       林  百郎君  出席國務大臣         逓 信 大 臣 三木 武夫君  出席政府委員         逓信事務官   大野 勝三君         逓信事務官   小笠原光壽君         逓信事務官   中山 次郎君         逓信事務官   村上  好君  委員外出席者         專門調査員   吉田 弘苗君     ————————————— 一月三十一日委員河口陽一君辞任につき、その補 欠として二月二日加藤吉太夫君議長の指名で委 員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  國政調査承認要求に関する件  証人出頭要求に関する件  郵便法の一部を改正する法律案内閣提出)(  第八号)     —————————————
  2. 白井佐吉

    白井委員長代理 それでは会議を開きます。  まず郵便法の一部を改正する法律案議題といたします。提案理由説明を求めます。小笠原政府委員
  3. 小笠原光壽

    小笠原政府委員 逓信大臣はただいま間もなくこちらへ参ることになつておるのでございますが、多少遅れる模樣でございますから、私が代りまして提案理由を御説明申し上げたいと存じます。  この法律案郵便法に規定せられておりますところのすべての郵便に関する料金を、おおむね二倍程度引上げまするとともに、併せて書留郵便物を亡失または毀損した場合の損害賠償金額をも二倍に引上げるように改正しようとするものであります。  これが改正理由は、現在通信事業特別会計人件費物件費等支出の著しい増加のため、收支均衡を失して赤字財政に苦しみ、業務運営にも困難を加えておりますにもかかわりませず、現行郵便料金人件費につきましては千二百円ベースを、また物件費につきましては、昭和二十一年十月における物價を基礎として算定せられましたる支出に見合うものでありまして、最近における人件費及び物件費の高騰と比べてみますると、はるかに均衡を失しておるように思われますので、この機会に若干の匡正をはかる必要が認められるからでございます。もとよりインフレ抑圧策の立場から申しますれば、通信料金のごとき一般的、基本的な料金値上げいたしますることは、できるだけ愼まなければならぬことでございますが、当面事業運営合理化等によつて得られまする財源等にいたしましても、さしたる金額を期待することは困難でございますし、赤字借入れを続けていきますことは、その面からしてかえつてインフレを著しく刺激いたしますので、諸般の事情を熟慮の上、今回の改正にはさしあたり現行料金の二倍程度をもつて適当と考えた次第でございます。もとよりこの程度値上げをもつてしましては、完全なる独立採算制の確立は困難でございますが、今日通信料金の値上が一般社会経済に及ぼす影響に鑑みまして、一應この程度に止めたのでございまして、この郵便料金改正によつて得られますところの増收額は、二月十五日から実施するものと仮定いたしまして、三月末日までに約一億六千三百万円が見込まれておるのでございます。  以上はなはだ簡單ではございますが、改正法律案の要旨を申し上げた次第でございます。何とぞよろしく御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。  なお郵便以外の電氣通信及び為替振替料金につきましても、先ほど郵便に関しまして御説明申し上げたと同樣の理由に基きまして、御手もとに差上げてございます料金表に示されておりますように、今回おおむね二倍程度値上げしたいと考えまして、目下準備を進めておるのでございます。この分の改正による増收額は同じく二月十五日から実施するものと予定いたしまして、三月末日までに電信料金で約一億五千五百万円、電話料金で約四千六百万円になるのでございまして、先ほどの郵便を合わせますると、約七億円の増收が見込まれるのでございます。なお電氣通信及び為替振替料金につきましては、現在のところ法律を必要としませんので、逓信省令改正によつて実行することになつておりますが、その及ぼす影響につきましては、あえて郵便に比べて劣るものではございませんので、郵便料金改正案審議機会に併せて御檢討していただき、十分なる御了解を得ておきたいと存じまして、改正料率案をお手もとにお示ししておいた次第でございます。
  4. 白井佐吉

    白井委員長代理 引続きまして質疑にはいります。
  5. 多田勇

    多田委員 ただいま政府委員から御説明のありました郵便料金値上げについては、いろいろお聽きしたいこともあるのでありますが、大臣が出席されてからこの問題について討議していただきたいと思います。それで一應この案件につきましては後廻しにいたしまして、他の議案について御審議くださいますようお願いいたします。
  6. 成田知巳

    成田委員 ただいま多田委員が御発言なさいました通り、この問題は予算委員会でも相当問題になつておる件でありますし、当然郵便法の一部を改正する法律案通つたといたしましても、予算関係とにらみ合わせて審議しなければ、結論を得ないのではないかと思うのであります。それで大臣がおいでになりましてから、愼重審議された方がいいのではないかと思います。参考までに意見を申し上げておきます。
  7. 白井佐吉

    白井委員長代理 ただいまの多田委員の発言に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 白井佐吉

    白井委員長代理 御異議がないようでありますから、大臣の出席するまで暫時休憩いたします。     午後二時二十七分休憩      ————◇—————     午後三時一分開議
  9. 岡田勢一

    岡田委員長 再開いたします。この際お諮りいたしますが、前の第一國会において本委員会に付託されました特定局制度に関する請願に関連して、全逓組合声明並び全逓新聞記事中、遺憾の点がありますので、事実を糾明するため、本問題に関して協議いたしたいと思います。すなわちまず本問題に関する國政調査の件につき、その目的方法期間、その他所要事項決定して、それが決定いたしましたならば、衆議院規則第九十四條により書面をもつて議長承認を求め、承認がありましたならば、衆議院規反第五十三條により、本件に伴う証人出頭要求の件につき議長承認を得るということになるのでありますが、時間の都合もありますので、本日証人出頭要求の件についても決定いたしまして、國政調査承認がありましたとき、ただちにそれに伴う証人出頭要求承認を求めることができまするように、ともに一括して議長に提出いたしたいと思います。これについて御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 岡田勢一

    岡田委員長 御異議なしと認めます。それではそのようにいたすことに決定いたします。  まず國政調査承認要求の件については、  第一、調査する事項昭和二十二年十二月十六日附全逓從業員組合声明書及び同年十二月二十九日附全逓新聞第七十九号記事に関する件。  第二、調査目的前項記事眞偽。  第三、調査方法関係者証人喚問。  第四、調査期間本会期中。   右によつて國政に関する調査をいたしたいから、衆議院規則第九十四條により承認を求める。    昭和二十三年二月一日       通信委員長 岡田 勢一  衆議院議長 松岡 駒吉殿  こういう國政調査承認要求書でありますが、これに対しまして御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 岡田勢一

    岡田委員長 御異議なしと認めます。ではこの件を決定いたします。     —————————————
  12. 岡田勢一

    岡田委員長 次に証人出頭要求の件につきましては    証人出頭要求書 一、証言を求める事件 昭和二十二年十二月十六日附全逓從業員組合声明書及び同年十二月十九日附全逓新聞第七十九号記事に関する件。 一、出頭を求める証人の氏名及び住所。   全逓信從業員組合中央執行委員長  土橋 一吉君    全逓信從業員組合中央執行委員  浜  武司君    全逓信從業員組合中央執行委員  宮原 新次君 一、出頭を求める理由、第一項及び第二項の理由により。 一、出頭を求める日時。これにつきまして御相談を申し上げたいのです。次の委員会定例日は二月六日金曜日になつておりますが、事務局等手続上この金曜日で間に合いますればその日、間に合わなければ二月九日、すなわち來週の月曜日、このいずれかにいたしたいと思いますが、これは事務局と打合せをいたしました上で、どちらかに決定をするということに委員長に御一任を願つたらどうかと思います。 一、出頭を求める場所、衆議院通信委員会。  以上でありますが、以上にいたしまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 岡田勢一

    岡田委員長 それでは御異議ないものと認めましてこれを決定いたします。
  14. 海野三朗

    海野委員 どうかなるべく早くお願いいたします。
  15. 岡田勢一

    岡田委員長 承知いたしました。手続をしてなるべく金曜日にいたすことにいたします。
  16. 海野三朗

    海野委員 もう一つ簡單ですが、浜氏は新聞責任者ですね。土橋君と宮原君は。
  17. 岡田勢一

    岡田委員長 宮原君はその後の情報によりまして、全逓中央執行委員会におきまして、例の今の水橋参議院議員がそういう話をしておつたということを言明された人だでありまして、それがもとに全逓新聞記事なつたということでありますので、この人を喚ばないと、編集責任者浜武司君が全部説明ができないだろうと思つてのことであります。土橋君は十二月十六日の全逓組合声明書眞偽を確かめようというのであります。ほかに御質疑はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 岡田勢一

    岡田委員長 それではそのように決定をいたします。     —————————————
  19. 岡田勢一

    岡田委員長 これより休憩前に引続き郵便法の一部を改正する法律案議題といたします。質疑はこれを許します。成田知巳君。
  20. 成田知巳

    成田委員 郵便法の一部改正は、郵便料金値上げにほとんど関連しているのでありますが、この問題については予算委員会でも相当問題になつておるのであります。予算委員会の方と本委員会との関連でございますが、具体的に申しますと、予算委員会で否決になつた場合に通信委員会で可決になつた、またその逆の場合があり得るわけでありますが、その間における調整をどういうふうにお考えなつておりますか。
  21. 三木武夫

    三木國務大臣 私もよくそういう実際の手続は存じませんが、結局予算委員会通信委員会会議委員会を一遍お開き願わなければならぬような形になるのではないかと思うのです。その決定には、こちらは法律案なつているし、向うは予算案両方関連がありますから、そういう形をとつていただくようなことになるのではないかと、こう私は解釈している。
  22. 成田知巳

    成田委員 それから予算委員会の方ではもう御承知のように相当これに対して反対意見が強い。世論も相当通信料金値上げによるところの補給金支給ということについては反対意見があるわけです。予算委員会の方で修正意見を出そうというような意向もあるように聞いておるのでありますが、そういたしますと、今の法律案審議関連しておる問題でありますが、三木逓信大臣も閣員の一人といたされまして、政府の方はこの修正應ずる意思があるかどうかということを、もしおわかりだつたら伺いたいと思います。
  23. 三木武夫

    三木國務大臣 もし委員各位並びに國民各位に、通信料金値上げしなければならない事態なつておるということを納得していただけないとするならば、私の説明努力の足りないところだと思うのです。通信料金は御承知のようにもうすでに昨年度に上げなければならない事態なつておつたのを、今日までこちらから申せば押えて來たのです。それがもう押えきれないのでありまして、〇・八というようなことのいかんにかかわらず、通信特別会計独立採算制という見地から、どうしても値上げをせねばならない事態なつておつた。もちろんこういう値上げによる國民経済への影響考えなければならない。しかし赤字が出れば結局國民一般負担を願うか、一般会計から援助していただくよりほかにはないのでありますが、こういう賃金ベースも全然変つてきたし、物價水準も変つてきた場合には、ある程度利用者負担を願わなければならない。それをいつも一般会計から補つていくということは好ましくないのではないかというので、通信料金各位の御納得のいくように、また國民に対しても納得のいくように努力せなければならぬ。また納得していただけるものだ、こう考えておるのでありまして、成田委員はどういう修正案が出るような情勢を入手されておるか私よく知りませんが、この修正案通信料金値上げを否認するような形になつてまいりますと、通信特別会計はやつていけないという事態になる。そういうことになりますれば、政府としても重大な責任を感じなければならない。こういう事態になると考えております。
  24. 成田知巳

    成田委員 ただいまの御説明によりますと、通信料金そのものが非常に他の物價に比較して低廉だ。この前の委員会の御説明でも人件費については千二百円ベース物件費については一昨年九月を基準にしたので、通信料金が非常に低廉なんだというような御説明があつたと思うのでありますが、そのとき大臣は、それと同時に〇・八箇月の補給金早期支給したい。そういう氣持でこれを出すのだ。通信料金値上げをやるのだというように言はれておるのでありますが、根本的に通信独立採算制を堅持するという建前になりますと、問題は別なのであります。〇・八箇月の早期支給というものに主眼が置かれるとすれば、この問題は別に財源を求めて解決すべきじやないか。そう考えるのでありますが、問題の重点をどちらに置かれるか。
  25. 三木武夫

    三木國務大臣 通信料金値上げが、政府の原案によれば〇・八に——金額ではありませんけれども、七億のうちで四億が〇・八に行つて三億が一般会計に行くわけなのです。ところがそれならば、それを今度はほかの財源に求めて——今ならば通信料金のうちのある部分が〇・八に行つて、右から左に料金値上げと〇・八とが納びつけられておるけれども、それをもう少しぼかしたらどうか。追加予算が百億余りになるのですが、その中にぼかして通信料金値上げがどこへ行つたかわらかぬ。あるいは六・三制に行つたのか、災害土木費行つたのか、〇・八に行つたのかわからぬような形にするという技術的の方法もあろうと思うのです。ところがこの財源なつておる貿易資金会計などで、技術的にそうすることが間に合わなかつたわけです。それで今言つた〇・八というものをできるだけ早く出して、これは生活資金の一部にしたいという考え方から、どうせあとおつつけすぐ出なければならぬのだから、考えて見れば〇・八と直接に関係が結びついておるけれども、どうせ追加予算というものは一体のものとして考えなければならぬので、技術的にそういう形をとつたのだけれども、しかし形から見れば、やがてはまた次の補正予算が出てきて、大きな全体の追加予算財源になる。今議会へ提出する一つの技術的、便宜的の点から、ほかの財源も見つからぬ、きまらぬものだから、こういう形で出したのですが、それはもう少し大局的な見地方ら御判断を願つて——値を上げないのならばいいのですが、どうせ値を上げなければならぬ。すぐにおつつけて追加予算を組まなければならぬ。それが六箇月なり六箇月持てるというのではなく、数日を出でずして出さなければならぬのですから、少し大きな見地から予算技術上そういうことにしたのです。精神は全体の追加予算として考えるのだが、早く出したいという意図から技術的にそうしたので、それを必ずしも〇・八に結びつけてそういうふうにしたとお考えにならないで、全体の予算財源としてそれを考えていく。ただしかし早く出したいという技術的な必要から、そういう組み方をしたのだ、こう大局的に御判断願いたいと思います。
  26. 成田知巳

    成田委員 大臣の御説明はよくわかるのでありますけれども、この前の二箇月分の支給がありましたとき、タバコの配給量を減らして値上げをしたというので、官公労働者は非常な不満をもつておる。これは政府國民大衆官公労働者を離間さすものだと極論する人さえあるわけであります。そういう点は神経質に考えなければ何でもないのですが、技術的の面において相当考えなければならぬものがあるのではないかと思います。それから單に〇・八箇月の早期支給ではない、通信特別会計の現在のふところぐあいからいつて、当然郵便料金値上げをやらなければならぬ。二倍だけではまだ少いので、この前の委員会説明では三倍ということをお考えなつておるような話がありましたが、これについて、官公労働者賃金引上げをやるから物價が高くなるのだということで、國民大衆から非常に反対がある。一部國民の中には行政整理に断行しなければいかぬということを盛んに主張しておるのであります。この行政整理の問題について一昨日の予算委員会北村運輸大臣が御説明になりまして、現在の運輸省としては戰前の二十万が六十万に増加しておるけれども、資材の不足とか、設備不足を人力で補つておるのだ。もし労働基準法を全面的に適用するとすれば、まだ三万ぐらい足りないということを鉄道当局として御説明があつたのでありますが、逓信省関係の実情はどうなつておるか。行政整理の問題について具体的な御説明が伺えたらお聽きしたい。
  27. 三木武夫

    三木國務大臣 前回の委員会でありましたか、林委員から行政整理のことについて簡單な御質疑があつたときに申し上げたのでありますが、現業官廳と普通の行政官廳との行政整理については、やり方をかえなければならないという前提の上に立つておる。と申しますのは、現業廳一つの大きな——逓信省で言えば通信機関をもつて動かしておるのでありますから、頭から何割天引というようなことにはできない動いておる仕事をもつておるわけであります。そこで現在、むろんこういう時期でありますから、最少人間能率を上げていくことが國民に対しての業務であろうと私も考えております。だから過剰の人員をもつておるような面があれば、これは徹底的に整理すべきであると思います。しかしその整理基準が、現在の通信機関を維持していくために、その仕事の量、能率あるいは現在のいろいろな諸設備——今北運運大臣お話がありましたが、逓信省でもそういう関係がありまして、たとえば自轉車のごときも、戰爭前に比べたら半分ぐらいになつて、八万台ぐらいあつたのが、四万台、少し殖えましたが、そういうふうになつて非常に人間の力に頼る面が多いのです。そういう現在の諸設備を勘案して現業廳にふさわしい適正な人員を算出して、それで余剰があれば整理をしたい。今その仕事量等もにらみ合わせて適正人員を算出している。だから初めから何割するのだという、首を切る前提のもとに行政整理をやるという形をとらないで、仕事の量から算出した適正人員を出して、余つた者があれば整理をしていくという方法をとつておるのであります。ところが今申したように、労働基準法というものが完全に施行になりましたら、今のままでも逓通省でも三万程度の人を新しく採用しなければならぬというような形になつておりますので、こういう点ともにらみ合わせて考えていかなければならぬ。單純に何割天引というわけにいかない複雜性現業官廳はもつております。しかしできるだけ最少人間能率を上げていく、こういう線については適正な人員を算定するように努力はいたすつもりであります。
  28. 岡田勢一

  29. 海野三朗

    海野委員 郵便料金でありますが、アメリカ郵便料金、それからイギリス郵便料金ポンド及びドルから換算いたしましたのと、日本の円とポンドドルとの関係から換算いたしましたのでは、どの辺に該当しておりましようか。高い方になつておりましようか、低い方になつておるのでありましようか。改めんとするこの料金程度をお伺いしたいと思います。
  30. 三木武夫

    三木國務大臣 お答えいたします。御承知のように今為替レートというものがきまつておりませんから、イギリウあるいはアメリカ郵便料金を換算するその換算率というものが非常にやつかいだと思うのであります。正確なことは私よく存じておりませんが、今アメリカは三セントでないかと思うのであります。もし三セントだとして、為替が百五十倍くらいのものであるならば四円五十銭、三百倍ならば六円、こういうことになると思うのでありますが、きめられた為替レートというものがないものですから、ただちにアメリカイギリス郵便料金日本に換算するということは困難だと思います。
  31. 海野三朗

    海野委員 為替レート國際間の関係でいろいろになると思うのでありますが、ここにやみの一ドルが今日本の三百円に当る。そういうことから御計算なさつて、この料金が高くないのだということをお調べになる必要があるのではないかと私思います。今國際間の関係でいろいろレートをかえておりますけれども、それではなしに、ほんとうのやみの一ドルが、聞くところによると三百円に該当するということであります。そういうところからこの料金を換算してみまして、それで高いか高くないか、その辺をよくお調べになる必要があるのではないかというふうに私思います。ただこの料金が高くなつた、十倍になつたといつて、べらぼうに高いようでありますが、外國の状況と比較なさる必要があるのではなかろうかと考えるのであります。それでこのことにつきまして一應お調べを願いたいと思います。
  32. 三木武夫

    三木國務大臣 次の委員会にその資料を提出いたします。
  33. 海野三朗

    海野委員 お願いいたします。
  34. 岡田勢一

  35. 多田勇

    多田委員 値上げの問題について二、三お伺いいたしたいと思います。ただいま成田さんからいろいろ御質問がありましたし、大臣からも御答弁がありましたが、一番問題になる点は、〇・八箇月分の手当を出すために、その財源をして通信料金値上げをするという考え方が、一般國民に相当徹底しておりますので、こういう考え方によつて大衆負担を加重させるということは、非常に大きな問題になると思いますし、今逓信大臣の御説明では、通信特別会計の総体的なにらみ合せから値上げをすることがやむを得ざる事情なつたという御説明でございましたが、通信料金値上げにつきましては、この前の國会におきまして、大臣お話では二月から値上げをするという考えはもつていないというような言明をなさつておるのであります。この言明は、予算委員会におきまして和田安本長官から、二月から通信料金値上げをする予定であるというお話がありましたに対しまして。通信大臣は、二月から通信料金値上げをするという考え方はもつていないというようなことを言われたのであります。ところが現実には二月から値上げをするということになつたのであります。そこで私どもとしましては、通信料金値上げという問題は、通信特別会計独立採算制建前から考えて、やむを得ないというような考え方から出発したのであろうと了承いたします。しかしながら通信料金値上げをしなければならないということは、金般的物價体系あるいは通信料金料金体系とにらみ合せして根本的に考えていかなければならない問題であろうと思うのでありますが、それに〇・八箇月分の手当を給與するためにという理由が非常に大きく加味されまして、ここに取上げられたという点については、何か通信料金が一昨年の七月に三倍に値上げになり、さらに昨年の四月に四倍程度値上げになり、さらに今年の二月——今月になりまして通信料金値上げする。さらに二十三年度においても通信料金値上げをしなければならないというようなことになりますと、通信料金そのものについて非常にその場あたりの値上げをする。財源がないから最も簡單財源をとるべき手段として、通信料金が犧牲に供されるというような傾きがあるように感ずるのであります。少くとも非常に大きな影響をもつところの通信料金値上げが、このように一つの確固たるところの計画性をもたずして、そのときそのときにおいて値上げをされるというような考え方は、非常に危險性があると思われますが、この点につきまして、逓信省として今後通信料金に対してどの程度の計画的な考え方をもつているか、あるいは通信料金料金体制についてどの程度考え方をもつておられるか、この点についてお話願いたいと思います。
  36. 三木武夫

    三木國務大臣 多田委員のお言葉のうち、この点を國民にもみなはつきり知つていただきたいと思うのですが、この点に私は誤解があると思うのです。多田委員は七月に郵便料金を三倍に上げたと言われるが、七月には郵便料金だけを上げなかつた。新物價体系のときに値段を上げなかつたものはひとり郵便料金あるだけであります。これは普通から言えば、諸物價がいろいろ賃金ベースも変つてまいりますし、物價も新物價体系によつてつてまいりますから、実際言えば、当然に七月に上げるべきものであつたのでありましよう。それを通信事業の公益性という見地から考えて、新價格体系の場合に通信料金だけを上げなかつたのでありまして、あなたのおつしやられた七月三倍という事実はないので、これは新物價体系後初めて行われた通信料金値上げであります。從つて今後どういうふうにこれを処理していくかという点でありますが、どうしてもある程度通信機関を利用される方に負担していつていただかないと、赤字が出ればそれを一般会計から補つていくというような形では、独立採算制という原則にも反しますので、まず第一番には通信特別会計に対して増收の策を考えていく。これについてはいろいろ説明を申し上げました通り、電信とか電話、郵便等の利用率を高めて、たとえば今年度の予算の中にも電話、電話の補修、回線の利用などによつて、六億円余りの増收予算の中に見込んでおります。こういうふうな積極的な増收策を推進していくとともに、一方においてはやはり節約の面に対しても、経営の合理化と申しますか、経費の節約をしていく。そのために、おそらく各省の中で、逓信省ほどこれだけ思い切つた一つの案を採用した省はないと思います。それは四十七万四千人の本予算の定員を四十一万五千という、約六万の予算定員の人員整理をやつております。六万もこれだけ切つた省は、各省の中で私はないと思います。このために約十一億の節約もしておつて、いわゆる増收、あるいは支出の節約については、相当思い切つたことを逓信省はいたしておると考えております。こういうふうにしてもどうしてもつじつまの合わない点は、ある程度料金値上げにもつていかざるを得ない。初めからイージー・ゴーイングの料金値上げではなくして、これだけの内部において工面をして、どうしても赤字が出るというところの最後の手段として、料金値上げにもつていく。そのために七月に上げるべき通信料金も抑えて、なるべく内輪で経費の増收策を講じて、最後に料金値上げにもつていきたいとして、今日まで抑えてまいつた。ところが御承知のように今年度は一般会計から二十五億の繰入れを受け、その上に十八億の赤字が出、また先般出しました二箇月分の十億、こういうのを加えると五十三億の赤字なつてくる。だから、どうしてもこの際普通からいえば三倍程度料金値上げをしていただきたいと考えたのでありますが、三倍ということになつてきますと、國民経済に與えます心理的な影響、そういうことも考えて、二倍程度にこの際は止めまして、さらにその後の問題は今いつた増收、節約等も一層徹底いたしますとともに、新しく新物價の体系が改訂されるような場合に、一般の物價賃金等の水準とにらみ合わせて次の料金というものを考えたい。こういう点でこの機会には二倍程度に止めた次第であります。こういうふうに苦心をいたしておる点も委員各位が御了承願いたいと思います。
  37. 多田勇

    多田委員 逓信省が非常に御苦心されておる点については敬意を表します。昨年の七月に三倍に値上げなつたと申しましたのは、一昨年の七月のことを指しておるのでございます。昨年の七月に新物價体系によつて当然通信料金値上げをしなければならなくなつたのを、値上げをしなかつたのだ、それであるから今度の値上げはやむを得ないのだというようなお話のようでありますが、昨年の六月、いわゆる千八百円ベースの基礎になつたものは、その当時の價格を基礎にしてこの賃金というものが生れてきたのだろうと思うのであります。從つてその後におきまして價格が上る、あるいは通信料金が生活に占めるところのパーセンテージは低いかもしれないのでありますが、しかしながらその後において通信料金を上げるということは、賃金の体制あるいは物價体制全般の面にも非常な影響があるものでありまして、当然料金を上げるとすれば、その際にその物價体系ににわみ合せた引上げ方をすべきだろうと考えるのであります。從つて今度五十三億余の赤字が生ずる、その赤字の一部を補填する意味においても、七億程度増收をはかるために、料金引上げをしなければならないというそのお話はわかるのでありますが、しかしながら五十三億の赤字が出る、〇・八箇月の手当を出すために、財源を見つけなければならないというそれだけの理由によつて料金引上げるということは、あまりにも非計画的ではないかと思うのであります。かりに新しい物價体系がここに編み出されるとしますけば、その新しい物價体系に準じて通信料金というものを十二分に檢討していくということが必要であつて、それらに何ら関言なしに、單に赤字を補填する意味、あるいは〇・八箇月分の手当支出する財源として、通信料金値上げをするというような考え方については、私どもまだ納得がいかないのであります。  それと、いま一つ独立採算制の問題でありますが、独立採算制建前上、料金についても、完全にバランスをとるために、我立採算制を考えなければならないという点はわかるのでありますが、現在のような通信事業の状況、それから通信事業の占めるところの文化的な役割、そういつた通信事業の使命から考えまして、通信事業そのものについての独立採算制を、現在の状況においてあくまで堅持するというような考え方、ここにも無理があるのではないかと考えるのであります。独立採算制の点につきましても、この前のときにおいても椎態政府委員から、独立採算制は現在の状況においては非常に困難であるというような御説明があつたのであります。独立採算制を堅持するという建行からすれば、料金制度にしましても、あるいはただいま大臣が非常に御苦心された約六万程度人員整理等にしましても、いま少し経営の合理化をはかつて通信料金引上げをなるべく低い限度に止めるというような点で、総合的な通信事業の計画に基いた料金の是正をすべきであろうと考えるのでありますが、今の御説明をお聽きしますと、單に当面の財源として郵便料金値上げをするというふうにしかとれないのであります。この点についてもつと独立採算制の建徳から、通信事業総体の運営建前から、どうしても通信料金値上げをしなければならないのであるという、納得のいく御説明をお聽かせ願いたいのであります。
  38. 三木武夫

    三木國務大臣 中労委の裁定は二・八箇当でありますが、通信料金値上げと、この残りの〇・信箇月というものが直接に結びつけられていたがために、あたかも〇・八のために上げるような印象をおもちになつておる方々もあろうと思いますが、これは〇・八を今年度において拂うというその問題のいかんにかかわらず、この國会には通信料金値上げを御審議願いたいという、ちやんとした計画で進んでおつたのであります。と申しますのほ、たびたび申しますように、賃金の水準も千二百円というように低いところで組んであり、物價も一昨年の九月というような新物價体系の前の、非常に古い時代の物價水準によつて、今日の通信料金ができておるのでありますから、はなはだしく今日の賃金ベース物價事情等にマツチをしていないのでありますので、どうしてもこの際通信料金値上げを、〇・八のいかんにかかわらず、この國会には出して御審議を願いたいという予定でおつたわけであります。しかし独立採算制という見地から言えば、もう少し大幅な値上げを必要とするのでありましようが、独立参算制というのも、一年きりですぐに独立採算制をせよということは、非常にこれはむりな話であります。やはり独立採算制という線に沿うて考えていくというので、すぐに今年だけでつじつまが合うようなことをすれバ、料金の非常に大幅な値上げをしなければならぬが、そういう形でいくべきではないのでありまして、これは五年なり六年なりの一つの計画を立てて、そしてその期間の間に通信会計というものが、健全なものになつていくという相当長期の考え方をせないと、今年だけで合せそうというような独立採算制考えてはおらないのであります。しかし独立採算制の線に沿うて考えていきたい。そうするためには、あまりにも現在の通信料金というものが現状とかけ離れ過ぎておるので、この機会に二倍程度値上げを御承認を願つて独立採算制の線に沿うた特別会計の改善をしていきたい。しかしあまり大幅に上げますと、御指摘になりましたように、いわゆる國民経済に非常な影響を與えますのデ、その点も考慮いたしまして、次に郵便料金考えるときには一般の物價体系等もにらみ合わせてきめていく。二倍程度値上げならば、これは物價体系に影響をもたない。こういう考え方から、この際は二倍程度郵便料金値上げをここに提案をいたして御審議を願つておる次第であります。
  39. 多田勇

    多田委員 値上げをしなければならないという御説明は、御説明としてわかるのでありますが、なぜ二倍に値上げしなければならないかという、はつきりした理由と、二月に値上げをしなければならないというその時期の問題、それらの点に関連して、どうしても納得のいかない点があるのであります。なぜこういうことをしつこく申し上げるかというと、料金値上げにしましても、あるいは税金の引上げにしましても、非常に一般に及ぼす影響が大きいのでありまして、これはもちろん審議をした國会責任でありますが、たとえば税金の場合にしましても、税金が非常な値上げになり、相当の重税を課せられておるのでありますが、これに対して、税務当局の指示に基くかどうかわからないのでありますけれども、出先の税務署では、これはあなた方の選挙した國会議員がきめたことであつて、そのきめたことをわれわれは執行するのであるから、税金が非常に過重になつたといつても、それの責任國会にあるのだというようなことを言つて、非常に自己の責任國会に轉嫁しておるというような傾向が多いのであります。それで通信料金をこの際二倍程度値上げをしなければいけないという、もつと納得のいくようなお話を願いたいと思つております。
  40. 三木武夫

    三木國務大臣 通信特別会計自体のバランスという点から考えましたならば、三倍に値上げをしたいところであるのであります。そうすれば、大体今後通信特別会計が独立してやつていけるような形になつていくわけであります。ところがそういうバランスを合すという点からいけば、三倍程度値上げをすれば合うのでありますが、しかしここに通信料金が三倍になつたということが國民経済に與えまする影響ということを考えてきたときに、これは三倍という聲で、非常な心理的な影響を與えてくる。そこで國民経済全般への影響を考慮し、あるいは新物價体系へのその影響というものを最小限度に食い止めたいという政治的考慮がこれを二倍程度に止めた。そういう独立採算制見地と大きな國民経済的な見地、これの妥協した線が二倍というところに落ちついてものである、こういうふうに御了承を願います。
  41. 多田勇

    多田委員 通信料金を三倍に値上げをした場合に、國民に及ぼす心理的な影響が非常に大きいという点でありますが、これは二倍にしましても、その及ぼす影響は三倍に値上げをした場合と大した差はないのではないかというように考えられるのであります。國の代表的な官業が値上げをするということが、経済界へ及ぼす影響は非常に強いものでありまして、この点についてなぜ二倍程度値上げをしなければならないか。たとえば昨年四月に値上げをした当時の日銀券の発行高は一千二百億程度であつたが、現在は二千二百億になつたので、その比率からいつても二倍に値上げをするのが当然であるというような、何か納得のがきるような、二倍に値上げをしたという基礎的な考え方、あるいは資料がありましたら、その資料を基いてお話を願いたいと思います。
  42. 三木武夫

    三木國務大臣 その資料と申しますか、それはたびたび申し上げますように、通信機関慎維持していくためにどれだけの経費が要るかというその支出の面が、料金算定の大きな基礎になるわけでありますが、四月にきめた料金は、その基礎になつておる一つ支出の面における人件注は、千二百円というベースの上できめられ、物件費は一昨年九月の物價によつてきめられておる。こういす千二百円ベース、一昨年九月の物價を物さしとして昨年四月の料金というものがきめられておるわけでありますが、その後御承知のように賃金水準も千八百円からやがては三千何百円になろうという時代になつた。また昨年の二物價会系は三倍半でありますか、その程度値上げはしているので、通信料金に関しては、現在の料金の基礎になつておる人件費物件費の算定の基礎がもう倍近く違つておるのでありまして、この点は私も國民納得をしていただけるのではないか。少しぐらいの違いならいいのでありますが、もう倍に上つておる。千二百円が二千何百円になり、物輸費もそのように算定の基準を違つてきておるというので、これは私たちもできるだけ國民各位納得をしていただくような方法國会を通じてとりたいと思いますが、算定の大きな基礎になつているこの点をよくのみこんでいただきますならば、この際通信料金値上げはどうしてもしなければならぬものであつた、よく今日まで抑えてきた、こういうふうに御了解が願えるのではないかと考えるのであります。
  43. 多田勇

    多田委員 どうもこれ以上追究するのも何ですが、昨年の四月に郵便料金を改訂した際の基礎が、人件費において千二百円ベー穂物件費昭和二十一年十月の物價を基礎にして組立てられたというお話でありますが、昨年の四月に郵便料金がきめられた際に、どういう理由で、非常に経済状態の違う、しかも物件費をつきましては、その前年の十月の物件費を基礎のしてきめられたかという点と、今度の二倍の値上げにつきまして、昨年の四月にきめられた價格の基礎になるべき経済状態から見て、二倍程度値上げを示しておるというような、漠然とした考え方でなしに、先ほど申し上げましたように、昨年の四月には、日銀の通貨の発行高が一千二百二十何億であつた。現在は二千二百億である。大体一・八倍程度になるから、二倍程度引上げるのだというようなゐもつとはつきりした計画がなかつたかどうか。單に三倍にすれば、独立採算制のつじつまが合うのだけれども、政治的な考慮から二倍にしたのだというような程度では、どうも納得がいかぬのですが……。
  44. 三木武夫

    三木國務大臣 その第一点の、なぜ四月の料金改訂の際に、十月の物價基準にしたかというと、御承知のように、予算を組む場合には、すぐそのときの物價というわけにはいかない。十二月末までに予算を組まなければならぬ。だからどうしてもそのときの物價というよりは、予算編成期の物價基準になるわけであります。自然予算編成の仕方から、そういうふうに遅れてくることはやむを得ない。この点は、なぜ二倍にするかという基準を示せというのでありますが、繰返して申し上げるよりほかにないのでありまして、ぎりぎり一ぱいまで郵便料金通信料金値上げしていくということならば、これはいろいろ問題もあろうと思うのであります。とにかくいろいろな國民経済に與える影響等も考えて、非常に内輪目な二倍程度に止めたのであります。それは御承知のように、いろいろ今日の郵便料金通信料金の算定基準が、大幅に狂つてきた。だから非改に内輪目な値上げである二倍程度のことは、これはこの際御承認を願わなければならない、公益事業だからといつて、この赤字一般会計から負担して、國民の税收入から負担していくというような方法は、あまりにもこの算定の基準が違つておるのだから、利用者に対しても、この際ある程度負担を願わなければならぬということで、非常に内輪目な二倍程度値上げをいたした。この点はひとつ御了承願いたいと思います。
  45. 多田勇

    多田委員 もう一言だけお願いしまして、あと次の委員会にしたいと思います。先ほど逓信大臣から、今度の値上げは、ずつと前から計画しておつたのであつて、その計画に基いて値上げをしたいのだというようなお話があつたのでありますが、逓信事業総体の計画と言いますか、この前の國会にも一應の数字は示されたのであります。しかしその後において、当然物價が変りましたし、経済状況も変つておりますから、逓信事業の具体的な年次計画、將來に対する計画はおもちであろうと思われますので、次の委員会までに、その具体的な資料をお示しを願いたいと思います。その上で質疑を継続いたしたいと思います。
  46. 岡田勢一

    岡田委員長 梶川君。
  47. 梶川靜雄

    ○梶川委員 今までいろいろ論議されたようでありますが、腑に落ちない点が少しありますので、この点についてお伺いいたしたいと思います。  まず第一番に、この料金改正の問題は、中労委の裁定に基く二・八の残額支給である。〇・八の支給には関係ないと仰せられますけれども、実質的には値上げ後の料金の中から、これの支拂分として差向けられるということも明瞭であります。從いまして、私ここで申し上げたいことは、〇・八とは関係ないと言われますけれども、実質的な関係があるといたしますれば、この問題は非常に重大なる問題だと思うのであります。もちろん逓信当局が中労委の裁定を快くのまれ、またこれに対してこのような料金値上げまでやつて積極的に活動しようというその御努力に対しては満腔の敬意を拂うものでありますが、特定局制度の場合において、あのように非常に臆病になつておられた逓信大臣が、今度の場合になぜこのように果敢な態度を示されるかということが、まず第一番に腑に落ちない。  その次には、先ほども逓信大臣から御説明があつたように、現在の物價体系とあまりにも郵便料金がかけ離れていると言われますが、これは一体何を根拠にしてそういうことを言われるのか。あるいは鉄道の料金等と比較してみましても、決して現在の通信料金はかけ離れて安いものでない。否むしろ官業のやつている仕事にいたしましては、大藏省のタバコ專賣とか、その他のやみ價格はさておきまして、その以外の正常なる官業といたしましては高い方でありまして、決してかけ離れて安いとは言えないのであります。何がゆえに現物價体系とにらみ合わせて、このように非常に安過ぎるから、このバランスをとるために上げると言われるのか。その根拠を承りたい。  第三番目には、千二百円ベースから千八百円ベースに上つてきている。さらにまた二千数百円に上る可能性があると言われますが、今度の料金改正は、賃金体系をさらに改訂する含みのもとになされたものであるかどうか。その賃金値上げの基礎として考えておられるのかどうか。その点についてまずお伺いいたしたいと思います。
  48. 三木武夫

    三木國務大臣 第一問の、特定局制度の撤廃については非常に臆病であつたが、今度はなぜ勇敢にやるのかという御質問であります。どうもその眞意がよくつかめないのであります。特定局制度についても決して臆病でも何でもない。そうすることが特定局制度のあり方として正しいという見解でありまして、ことさらに勇敢にするわけでもない。ことさらに臆病にするわけでもない。     〔委員長退席、天野委員長代理着席〕  今度の問題もそういうふうに考えて、特定局制度と同じく、こうすることが妥当だという見解のもとにやつているので、特に臆病だとか、勇敢だとかいうことではないのであります。  第二点の安い高いという問題でありますが、これはどうしても通信事業のごときものは、一面において、これを維持していくためにどれだけの経費がかかつていくか、通信料金支出の面ともにらみ合わせて考えていかなければならぬと思います。もちろんその前提には、増收策とか、あるいはまた経営の合理会等、いろいろただちに通信料金にもつていかないで、やらなければならぬことが前提としてあることは当然でありますが、しかしやはり一面において、どれだけの経費がかかつていくかということも、これは料金の算定には大きな基準になるのであります。それがなぜバランスが合わないかと申しますと、それは最初たびたび申し上げましたごとく、通信特別会計では人件費の割合が非常に多い部分を占めておるわけであります。その多い部分を占めておる人件費が、今は千二百円のベースから二千数百円べースになろうとしておるのであるから、その料金の算定の基準というものが、実に今の賃金の傾向から言えば、半分ぐらいの賃金の振合いになつておる。また物件費も以前から申し上げるように、非常に安い物價によつてきめられておる。こういうことでありますから、これをこのまま押し通せということになつてくると、この事業を維持するために、國家が一般会計から補つていくよりほかない。だからある程度、この事業を維持するために要る経費等ともにらみ合わして、料金が高いか、安いかということも考えていかなければならない。そうなつてくると、今の料金というものは、賃金においても、物價においても、こういう水準において國家がサービスしておるのだ。この收入もこれを上げないでサービスしておるのだということを考えたときに、一應今日の通信料金賃金物價の状態に比べて非常に安い状態にある。こう言わざるを得ないと思います。  第三点の今度の値上げは、改訂あるべき新給與をも含んで考えておるかという点でありますが、もちろんその中の含みとして、新給與も含んで料金の改訂を考えておることは事実であります。
  49. 梶川靜雄

    ○梶川委員 これは何逓聽いても同じですが、私の聽いておるのは、そういう抽象論に基くところの総体的な関係ではなくて、科学的な、われわれが納得できるところの数字を示してもらいたいというのであります。從つて賃金関係からいけば、現在の郵便料金というものはやや半額分ぐらいであると言われるけれども、何を根拠にしてそれを言われるのか。御承知のごとく現在の千八百円ベースというものは、大体において三十倍程度賃金であるということは明瞭であります。さらにまた現在の郵便料金というものは、官製はがき一枚を例にとつてみましても、あるいは封書の郵便料金を例にとつてみましても、約四十倍になつておるということもまた明瞭である。それならば、何を根拠にして賃金に対して料金が半額であるというふうなことを言われるのであるか。その点を私は納得しかねるのであります。  それから次に現在の経費と支出関係等から見て、値上げをしなければいけないと言われるけれども、それは要するに、大福帳のしりだけ合わせればそれでつじつまが合つているように思われる錯覚であろうと思います。その間において、なぜ大福帳のしりがそういうぐあいに合わないかということを、もつと分析して考える必要があると思うのであります。さらにまた一般物價水準との関連においてみましても、鉄道の料金を見られれば明瞭であろうと思うのであります。鉄道の料金はわずかに現在では二十七倍弱である。それが郵便料金は、先ほども一、二の最も代表的な例をとつてみましても四十倍の水準を示しておる。これは決して一般物價体系に比べて安いとは言えない。一般物價体系の六十五倍というベースを見ても、これはいろいろ種々雜多なものを合わせて平均の倍率である。從つて百倍のものもあれば、また二十倍、三十倍のものもあるのであります。決して郵便料金だけが安いという断定にはならない。われわれが求めておるのはそういう抽象論的なものではなく、科学的な根拠を示してもらいたいというのであります。
  50. 三木武夫

    三木國務大臣 結局その料金の算定の基準になるのは、やはり経費で、経費の中の大きな部面は人件費物件費であります。普通の企業で言えば、原價計算的な事業運営に対するコストが出てくるわけであります。しかしその基準になるのはやはり物件費人件費であります。その算定の基準がこういうように違つてくると、通信事業を維持していく上の、いわゆる原價計算的なものも違つてくる。こういうので、そういう数字については、この委員会に提出をいたしても結構であります。
  51. 梶川靜雄

    ○梶川委員 あまりよくおわかりにならぬようですから、これ以上追究してもしかたがないと思いますが、もう一つ、これは確かに逓信大臣の失言か錯覚じやないかと思いますが、先ほども多田さんから指摘されましたように、三倍になると物價体系を崩す、あるいは心理的な影響が大きいが、二倍なら大体にらみ合わていいいだろうというようなお答えでありましたけれども、心理的な影響の面からいえば、二倍も三倍も五十歩百歩であります。さらに三倍になれば物價影響を及ぼすということは、どうしてもわれわれには納得ができないのであります。二倍では物價影響を及ぼさないが、三倍では物價影響を及ぼすという、これも科学的な根拠を示してもらいたいと思います。
  52. 三木武夫

    三木國務大臣 心理的な影響は、上げたら影響はあると思いますが、しかしそれにはおのずから上げていく率によつて心理的影響の度合の違うことは事実であります。できるだけ心理的影響も少くしたいという点から、料金値上げの率の幅を狭くしていきたいという政府の苦慮の存したところであります。新物價体系に対して郵便料金の二倍程度値上げにつきましては、御承知のようにその程度の彈力性は今日の物價体系をもつておる。こういう見解に基いて、ただちに新物價体系の改訂にもつていかないで、この程度の彈力性は現在の新物價体系の中にあるという見解のもとに、料金値上げをいたすわけであります。
  53. 梶川靜雄

    ○梶川委員 次にこれは話が少し横道にそれるかも知れませんが、何と申しましても、郵便料金値上げということはこれは大衆課税であります。從つて郵便料金値上げということによつて、官業労働者に対する反感が非常に強くなつてくるということは明瞭である。当局がいかに言辞を弄されましても、結果においては恨まれる者は逓信大臣ではない、怨まれる者は通信從業員である。從つてこれらに対して通信從業員が一般國民からいかに反感を買うが、大衆課税を受けたということによつて、いわゆる一般大衆と逓信当局並びに從業員との間の隔り、溝をいかに深くしていくかということについて、一体お考えなつておるのかないのか、この点をお伺いしたいと思います。
  54. 三木武夫

    三木國務大臣 この料金値上げが、國民と官業労働者との間に溝をつくるというようなことはないと私は考えておるのであります。そういう傾向があるとするならば、私たちの責任において國民納得をしていただいて、こういう料金値上げ國民と官業労働者の間を遊離していくような事態にならないように、國民を十分納得せしめる努力をする責任を私はもつておると考えます。
  55. 梶川靜雄

    ○梶川委員 責任をもつておられるということはよくわかるのですが、從來いかに責任をもつ、責任をもつと言われても、結果がそうでなければしかたがないと思うのです。そこで責任をもつておると言われる大臣は、一体具体的にどういう措置を講じられるつもりであるか。これについて證いたい。
  56. 三木武夫

    三木國務大臣 この料金値上げというものが、通信特別会計の健全化のために必要な理由を、あまねく國民納得せしめるようにしてもらえるように、頭るいは國会において申し上げる、こういうのもその一つでありますが、その他いろいろな方法を講じて、通信特別会計の内容を國民に理解をもつてもらえるような処置を講じていきたい、こういうことであります。
  57. 梶川靜雄

    ○梶川委員 白書を出すのがいいかどうかということもいろいろ問題がありましようが、昨年の一般経済白書に続きまして、國鉄においても國鉄白書を出しておられる。にもかかわらず、去年から料金値上げその他をめぐつてわれわれが口をすつぱくして反対をし、しかも非常に苦しい苦しいと言つておられながら、未だに逓信白書なるものを見たことがない。私は別に形式的に白書というようなものを出してもらいたいとは思いません。思いませんが、それだけの一体誠意があるのか、ないのかということを、白書一つ出したことがない当局の態度、並びに突如としてこういうような値上げをやられるということに対して、その誠意を疑わざるを得ないのです。だから一体ほかの閣僚に圧迫されてやられたものか、どうかわかりませんが——まあ大臣のことだからそういうこともないと思いますが、はたしてそういうような誠意があるならば、総務局長あたりも優秀な方が控えておられるのですから、もつと國民納得のいくような逓信白書と申しますか、逓信白書と申しますか、そういうものもすでに過去において出てしかるべきだつたと思うのですが、これに対して考えられたことがなかつたのか、どうか。この点と、また將來出される意思があるのか、これを伺いたいと思います。
  58. 三木武夫

    三木國務大臣 すでに用意をいたしておりますので、近く通信白書と申しますか、私は白書という言葉は必ずしも好んでおりませんが、通信事業の内容を國民に周知させるような手段、その説明書を國会に提出いたします。
  59. 梶川靜雄

    ○梶川委員 これで打切ります。
  60. 林百郎

    ○林(百)委員 大体前の質問は全部省略しますが、根本的な問題は、今度の通信料金値上げが、結局二・八の生活補給金というよりは、むしろ逓信事業の独立採算制の建てから、どうしても上げなければならないということを逓信大臣は弁明されておると思うのであります。ところがこの独立採算制ということが、すでにこれは至上命令として大臣説明から言うと聽かれるのですが、一体官僚の独立採算制ということは、片山内閣としては至上命令となつておるのかどうかということを実はお聽きしたいのです。実は逓信事業はたしか戰爭前あたりまでは、毎月一般会計に七億から八億くらいの金を織込んでいたと思うのです。逓信事業から利得のある場合にはどんどん一般会計に織込ましている、今逓信大臣が言われたどうしてこんなに赤字で苦しむかという一つの原因は、戰爭によつていろいろな設備が全部破壞されておるということである。逓信從業員がみんな怠けておるのではない。余剰今失が多過ぎるというのでもない。問題は戰爭によつて設備が全部破壞された。これは日本國民全体が責任を負わなければならぬ。利益が上つたときだけとつておいて、戰爭によつて國民全体が責任を負わなければならぬような場合に、逓信事業を通じて赤字が出てくる場合に、なぜ独立採算制だからお前の方でしりをふけと言われるか、私は逓信大臣を激励する意味で言うのですが、一体今までに貸した金、一般会計に繰込んだ金もこの際返してくれ、一切の会計逓信省でやるから、一般会計とは絶縁してくれということをにおわせることによつて、必ずしも独立採算制だから値上げしなければならないという——この独立採算制は至上命令になり得ないと思うのですが、その点の閣内の模樣というか、大臣のお考えを伺いたいと思うのであります。
  61. 三木武夫

    三木國務大臣 独立採算制は、これは片山内閣の政策の一つであります。だからこの線に沿うて特別会計考えていくということが政府の方針であります。しかしながら独立採算制と言うても、今林君の御指摘になりましたように、戰爭によつてこの甚大な被害を通信機関が受けているのを、今すぐにその通信会計のバランスを合わせていけといつても、そうはできないわけでありますから、一應の長期計画のもとに、できるだけ通信特別会計で賄つていけるような、いわゆる独立採算制の線に沿うて通信特別会計を健全化していく。こういう方針が政府の方針であるし、また私も独立採算制をさようにとつて、この線に沿うて通信特別会計を改善していきたいと考えているのであります。
  62. 林百郎

    ○林(百)委員 それから、先ほどから問題になりました、なぜこの際二倍だけ値上げしたかという問題の一つに、やはり賃金物價基準が変つている。この改正前には賃金が千二百円ベースつたが、現在はすでに賃金というものが変つているというが、片山内閣は、私たちはまだ千八百円ベースを維持していて、これを改訂したということは聞いていない。千二百円ベースから千八百円ベース賃金の体系は、五割上つているだけだと思う。そうすると、賃金基準にして今度の通信料金値上げということを考えるならば、五割程度値上げしか、さつき大臣言つた根拠からは出てこない。おそらく他の要素から何か考えておられるのじやないかと思う。賃金ベースだけで言うならば、もしこれで倍に上げたということになれば、これは賃金ベースを必ず即時に変えなければならないということになると思います。その点についてのお考えを伺いたいと思います。
  63. 三木武夫

    三木國務大臣 林委員もよく御承知のように、千八百円ベースは一月から改訂をする方針であります。だから賃金水準をプラス・アルフアとして考えなければならないような状態になる。從つて千二百円と千八百円の差の五割程度でいいじやないかというこ徳は、成り立たないのであります。またそのベースでなしに、物價のごときも、御承知のように今の通信料金の算定の基準なつている物件費などは三倍程度つております。旅費など、これは相当な支出でありますが、この旅費などの規定も、今日では非常に改訂されて、多額の支出を要するという状態になつているのでありますから、千二百円と千八百円と比較して、五割程度でいいじやないかという算定の基準は、実情にあてはならない基準であります。
  64. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、こういうことが言えると思います。他の物價も上つているから、賃金だけが基準でないということを言われていると思いますが、そのことが一つ、それが確かかどうかということと、もしこの郵便料金値上げした基準賃金を上げるということになると、賃金はどうしても二千四百円ベースまでいかなければならないが、二千四百円ベースに速急のうちに改訂される見込みがあるかどうかという点をお聽きしたい。
  65. 三木武夫

    三木國務大臣 中労委の調停案をのんで、政府は一月から新給與の水準によるということを約束してあるのであります。御承知のように委員会の構成等について、労働組合との間にいろいろ話があつたというような関係があつて遅れておりますが、できるだけ急速にこの問題を片づけたい。はたして二千四百円になるかどうかということは、新給與の委員会決定をいたしますので、ここに予測をすることはできませんが、大体そういうところを基準にして新給與委員会でこれが論議されるものと、こう考えております。
  66. 林百郎

    ○林(百)委員 それからもう一つ伺いたいのですが、このたびの郵便料金電氣通信、その他振替貯金、為替等の値上げによつて、実は七億円の財源を捻出するということを先ほど政府委員からお聽きしたと思うのですが、しかし先ほど大臣の話によると、通信事業からの赤字は全部で五十億近くになつておりますので、結局通信料金値上げということだけでは、通信事業から出てくる赤字の補填は解決できない問題だと思う。これはどうしても他の財源を眞劍にこの際考えていかなければならない。そこで他の財源ということになると、結局通信事業自体からは他の財源として上つてくるものは見あたらないと思います。考えようによつては、物件費——たとえば事業関係からいろいろな資材や石炭を買います。これを適当に値上げでもすれば出てくると思います。それ以外ではやはり一般の政府全体の租税の中から財源を見つけてこなければならない。いくら通信料金を上げても通信事業の赤字の補填は困難と思いますが、そこで問題はまあ三木逓信大臣を激励することになるが、どうしても財源を眞劍に考えていただき、結局こうした大衆課税になるようなものでなくして、たとえば貿易廳が輸出の不適格品として保管中の物資を拂い下げる、これは私の方の調査したもので三十七億五千万円くらいになつております。そのほか満州事変から太平洋戰爭に至る間の戰時公債ですが、この利拂を一年停止するということで三十六億円の金が出るということになつておるのであります。結局あらゆる面で戰爭の打撃を受け、犠牲を受けておるのだから、たとえば戰爭中の赤字公債の利拂も一箇年停止しただけで三十六億円出てくるというような問題になる。こういう財源を眞劍に考えなかつたならば、官廳事業の独立採算制ということは行われないじやないかと思う。そこでその官廳の所管大臣、國鉄の運輸大臣逓信大臣のような人が、もう少し強腰になつて、郵便料金とか、鉄道運賃というものを上げることが、一番安直で所管大臣としては一番簡單な逃げ途ではないかと思うが、もう少し積極的に大衆に負担をかけないような財源を、眞劍に考えられることが必要と思いますが、大体逓信大臣としては他の財源考えられておるかどうか。また考えたことがあるか、それが結局不可能でここへ來たのかどうかということをお聽きしたい。
  67. 三木武夫

    三木國務大臣 いろいろ財源について御意見を承つたのでありますが、政府とすれば、あらゆる財源を探索し盡した結果。——今お示しになりましたような貿易不適格品のごときも、次の追加予算には大きな財源一つなつております。むろん戰時公債の点については、政府は利拂を停止しないという立場に立つておりますから、これは見解の相違でありますが、しかし貿易不適格品のごときは、次の追加予算財源なつておる。そういう点であらゆる財源をあさり盡して、そしてこれで行くよりほかないという形になつたことと、もう一つ通信特別会計は七月の物價改訂の場合にも上げないで今日まで來たわけであります。だから財源をあさり盡して、そうしてその財源によつて一般会計から常に特別会計へ繰入れて補助していくというような形ではなくして、やはり特別会計の方においても、ある程度利用者負担によつて増收をはかつていく、料金値上げをやり、また一方において一般会計の面においても、できるだけ財源をあさり盡していく。御承知のように財政的支出の要求というものは相当厖大なものがあるのであります。だから、財源についてもあさり盡し、また一方において特別会計の面においても、そういう財政的な援助をしていく。特別会計は何もしないで、一般会計からしりをぬぐつてくれというわけにはいかない。特別会計努力し、一般会計の面でも努力していく。両方がよつてつて追加予算財源なつていく、こういう形をとらざるを得ないのであります。
  68. 林百郎

    ○林(百)委員 最後に一つ、私たちがなぜ通信料金値上げ反対するかといえば、これは額からいえばわずか七億円ばかりのものでありますが、先ほど大臣も心配し、各委員も心配しているように、これは國民の一般生活に及ぼす影響が非常に大きいと思う。結局通信料金や鉄道運賃が二倍、三倍に上ることになれば、必ず物價を騰貴させることになると思う。そういう意味で、ただいま申します通り、他に財源がなくて、逓信部門から上つてくる赤字が昨年の予算だけで五十億円といえば、これは近い將來必ずまた通信料金値上げということは必至だと思う。その点について大臣はどう考えられているかということを一つ聽きしたい。  それからもう一つ、これは次の委員会まででいいですが、通信部門の会計のうち、人件費とそれから他の物件費——私どもは國対だけを調べてみたのですが、國鉄ではやはりよく調べてみますと、人件費よりは、むしろ石炭の買入れに要する費用が非常に大きいので、石炭の價格がどう決定されたかということによつて、國鉄の独立採算制に大きく影響してきているのではないかと思うのです。これはおそらく通信部門でも同じで、人件費よりはむしろ通信部門のいろいろな資材、物件の購入費が非常に大きなパーセンテージを占めていると思う。そうすると、この面で一應通信事業の会計の、將來への改善の途が見出されるのじやないかと思うので、結局通信部門における費用のうち、物件費人件費がどういう比率になつているかを次の委員会まででいいですが、示していただきたい。  それからもう一つは、通信部門でやつている事業で、この前村上貯金局長からいろいろ聽いたのですが、他の会計仕事を代つてつているのがあると思う。郵便年金だとか、保險だとかいうものに対して、逓信省の方で賃金料というか、保証料というようなものは一体どういう計算になつているか。これも次の委員会までに示していただきたい。この面にも一つの改善の曙光があるじやないかと思われます。
  69. 三木武夫

    三木國務大臣 御要求の資料は次の委員会までに提出いたします。  前段の御質問の、五十三億の赤字に対して、次の料金改訂をどうするか。次に料金改訂は新物價体系の改訂ともにらみ合わせて考慮すべきものでありまして、今は新物價体系と義り離してどうこうしようという考え方はもつておりません。全体の物價賃金の水準等もそれを改訂いたします機会に、一環の問題として考えていきたい。だから、今これをどうこうしようということを予測して、ここに申し上げる材料をもつておりません。
  70. 岡田勢一

    岡田委員長 お諮りいたします。御質疑中でありますが、本件はきわめて重要な緊急要件でありまして、明日も本委員会を開催する予定でありますから、本日は一般質問はこの程度に止めて、なお政府委員より一應本案の内容について説明を聽取いたしたいと思いますが、いかがでしようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 岡田勢一

    岡田委員長 では大野政府委員
  72. 大野勝三

    ○大野(勝)政府委員 それでは私から郵便料金、電氣通信料金為替関係料金を一括しまして内容を御説明申し上げます。お手もとにお配りしてあります表にこまかく載つておりますが、一番上の欄の種別という所で、それぞれの料金の種別をそこに書きまして、その下に現行料金、その下の欄に改正料金、そうして現行料金改正料金との差が値上額としてその第三欄に出ております。それから一番下がこの値上げの割合、こうなつております。全体を通じましては最初に提案理由のところで説明申し上げましたように、二倍、つまり十割値上げというのが原則でございますが、一部端数の整理、あるいは利用関係の特殊性等を考慮いたしまして、若干加減しておるものがございます。  それを便宜郵便から申し上げますと、郵便では第一の通常郵便料、その第一種、つまり手紙でございます。これが現在二〇グラムまで一円二十銭を二円五十銭に改正しようとするのでありまして、値上額は一円三十銭、割合は十割をちよつと出まして、十割八分三厘となつております。第二種のはがき、第三種の発行人差出の日刊新聞、その他の新聞雜誌、こういつたものは、いずれも十割値上げでございます。ただ第四種の書籍、印刷物、商品見本等、これが一〇〇グラムまで現在は一円二十銭でございますが、二円にいたしておりますので、値上げは差引八十銭、値上げの割合が六割六分七厘となつておりまして、これは十割以下でございますけれども、この他の特に公益性の強い点及び端数の整理といつたような両方の観点から、こういう値上額にいたしているわけでございます。  それから小包郵便の方でございますが、これは普通小包、書留小包を通じまして基本のところはいずれも十割の値上げ、つまり普通でございますと、二キログラムまで五円のものを十円と十割の値上げ、書留、現在十円のものを二十円、これまた十割の値上げでございますが、量目が増した場合の一段上の料率のところだけを、若干端数整理関係で十割以下に止めてあるわけでございます。すなわち普通小包では二キロを超過して四キロまでのものでありまして、現行八円が十割ならば十六円というところでございますが、十五円となつておるのであります。書留におきましては、同じく二キロを超過四キロまでが現行十三円でございますから、倍ですと二十六円ですが、ちようどいい数字の二十五円にいたしております。  特殊取扱料金におきまして、書留料、速達料、保險取扱料、引受時刻証明、配達証明、内容証明、特別送達の場合、いずれもこれは十割値上げの案になつておるわけでございます。そういたしまして全体の値上げによりまして年度内に増收を予定いたしておりますのが、これまた先ほど説明を申し上げましたように、億六千三百万円ということになつているわけでございます。  それから次は電氣通信の方でございますが、電氣通信はまず電報の方では内國電報、現在基本六円のものが十二円、いわゆる一つ回線を專用している場合、その專用料は距離によつて定められるものでありますが、一キロ四百五十六円が九百十二円というように、これはいずれも二倍、十割の値上げでございまして原則通りでございます。  そのほか次の電話の收入にまいりましても、ずつと通話料あるいは度数料、附加使用料、臨時電話料、市外電話料等も、すべて十割値上げなつているのでございますが、その終りの方に裝置料八百円、加入料現在百五十円というのがございますが、これは現在通りすえおきということになつているのでございます。この点が十割値上げの原則とちよつと違つている点でございます。そういうところで電話の関係と、電信の関係とを合わせまして、今度の料金改訂ができますれば、これは二月十五日から実施ということで一應算定いたしました收入額が、四億九千万円ということでございます。  最後に郵便為替料金でございますが、郵便為替の通常為替におきましては、千円、三千円、五千円という刻みのところで、それぞれ料金は十五円、二十円、三十五円となつておりますのを、十割値上げの三十円、四十円、五十円といたしたいと考えているのでございます。  それから小為替のところも、ずつと現行料金の十割増しという一律のやり方になつております。ただ三番目の電信為替にまいりますと、これは現在でもいろいろ手数の関係、その他でかなり高い料金なつているものでございますが、この百円、三百円、五百円という三段刻みになつておりますのを、改正では五百円までという一本の刻みにしまして、五百円まで八十円、こういうことにいたしたいというのでございます。これは十割増しというふうにきちんとなつておりません。下の百円までという刻み、百円まで電信為替で送金するという場合には、十割以上でございますが、五百円までの送金というところにいきますれば、これは十割よりはるかに下になる。こういうわけでございます。それから次の千円まで三千円まで、五千円までという段階のところでは、それぞれ現在の料金より二十円ずつ増していくという案でございます。これはもともと非常に手数のかかる関係もありますし、私用價値の点もありますが、本來現行料金も相当高いものでございますので、実際の送金額と利用のための料金との関係を常識的に考えまして十割というような一律の値上げでなしに、二十円程度値上げということにいたしたのでございます。  二番目の郵便振替貯金の料金でございますが、これは通常拂込、あるいは通常振替の場合、いずれも十割増しの料率でございます。その次の通常拂出、小切手拂及び交換拂、いずれも十割増しでございますが、電信拂込の場合だけ、さきの電信為替の場合と大体歩調を合わせまして、百円、三百円、千円ととんでおりましたものを、五百円まで五十円というふうにいたしまして、これは十性値上げの例外になつております。その次の段階の千円まで、三千円まで、五千円まで、一万円までというその刻みの料金も、それぞれ十割ちようどにいきませんで、十割をちよつと出たもの、あるいは十割以下というふうにいたしたわけでございます。あとの電信振替、電信現金拂等は十割ちよつと、電信現金拂のところに十割を超すのがございますが、一体十割、一部は十割以下、こういうふうになつておりますが、総体を通じまして、利用の料金はすべて大体十割増しということにいたします。あとは先ほど申しましたように、端数の整理とか、あるいは利用関係考え合わせまして、適当にその比率を加減いたしているというような案になつているわけでございます。
  73. 天野久

    ○天野委員長代理 本日はこの程度に止めまして、明日午後一時より第四委員室で開会いたしたいと存じます。  本日はこれで散会いたします。     午後四時三十九分散会