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1948-04-30 第2回国会 衆議院 政党法及び選挙法に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年四月三十日(金曜日)     午前十一時二十分開議  出席委員    委員長 淺沼稻次郎君    理事 栗山長次郎君 理事 笹口  晃君   理事 中村 又一君 理事 長野重右ヱ門君       石田 博英君    小澤佐重喜君       角田 幸吉君    高橋 英吉君       花村 四郎君    稻村 順三君       大矢 省三君    笠原 貞造君       勝間田清一君    竹谷源太郎君       前田 種男君    森 三樹二君       大森 玉木君    志賀健次郎君       八並 達男君    黒岩 重治君       佐竹 晴記君    成重 光眞君       織田 正信君    北  二郎君       林  百郎君  出席政府委員         全國選挙管理委         員会事務局長  郡  祐一君  委員外出席者         法 制 部 長 三浦 義男君     ————————————— 本日の会議に付した事件  政党並びに選挙に関する腐敗防止法案政治資  金規正法案)起草に関する件     —————————————
  2. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 それではこれより会議を開きます。  過日佐竹君並びに林君から修正的な意見が述べられておつたのでありますが、その意見について関係筋折衝した結果、並びに字句整理をやりました結果を、部長から御報告願うことにいたします。
  3. 三浦義男

    三浦説明員 まず佐竹委員からいろいろ御意見の頭りました点に関しまして、ただいま委員長のお話のありました折衝の結果につきまして、概要を申し上げます。  まず第一に、第三條の規定でございます。これを「目的を有するもの」のほかに「これらの行為をなすもの」というように改めたらどうかという御意見でありましたが、これは六條の規定の問題とも関少いたすのでありまして、いろいろこの点に関しましては佐竹委員とも御相談いたしたのであります。向うの方では特にこういうものが必要であれば考えてもよろしいという意見でありましたが、六條の問題と関連いたしまして、規定を御趣旨のように改めることによりまして、三條は撤回してもよろしいというような佐竹委員の御意見もありましたので、さように一應この案では取扱うことにいたしたのであります。從いまして第三條には「行為をなすもの」ということを入れなかつたわけであります。  なお第五條の問題に関連いたしまして「收受の承諾又は約束」あるいはまた「供與又は交付の申込又は約束」というのを削るようにという御意見でありました。この点に関しましては相当強い意見がありまして、こういうものは認められないような意向でもありましたが、なおいろいろ話しました結果「申込」のみを削除するということにおちついたわけであります。從いまして五條の方の第二項、第三項の寄附支出の点に関しましては、「申込又は」という文句を削除いたしまして、申込みの場合には寄附支出という取扱いをしないということに改めることにいたしました。  それから第六條の問題に関連いたしまして、ポツ勅百一号との関係において六條を削除したらどうか、なお削除が不可能であればポツ勅との関連をもちながら、第六條の第一項第一号に規定してございます事項に関しまして、すべての團体共通に適用するようにしたらどうかという御意見でありましたが、この点は先ほども第三條の問題について申し上げましたようなことと関連いたしまして、六條の方に「目的を有する政党協会その他團体」というようなことに関連をもたせますことによりまして、三條との関係はつきりいたしますし、目的をもつて行動するということで統一することによりまして、その点は補い得るかと考えられるのであります。その点に関しましても、なお佐竹委員とも御懇談申し上げまして、さようなことにいたしたのであります。ただこの字句に関しましては、お手もとにあげてありますように、六條の一号、二号、三号に「第三條に規定する目的を有する政党協会その他の團体」というように各号ともいたしたわけであります。  それから次には、八條の問題に関連いたしまして「公職候補者推薦支持又は反対その他の運動のために」という字句を「政治上の主義若しくは施策支持し、若しくはこれに反対し、又は公職候補者推薦支持若しくは反対のために」というような字句を補つたらどいうことでございましたが、この点に関しましては「公職候補者推薦支持又は反対その他の政治活動のために」ということで、「その他の運動」ということを「その他の政治活動」とすることによつて、三條に規定しておりますところの事項も明瞭になるものと考えられるのでありまして、この点に関しましても、佐竹委員と御懇談の結果、一應かようにいたすことにしたわけであります。  次に第三十五條の問題に関連いたしまして、第一項第二号のいわゆる請負の当事者である者、第三号の覚書該当者、これらの人たち選挙だけでなく、政党協会その他の團体運動に関しても寄附をしてはならないというようにしたらどうかという御意見もありました。この点は確かにごもつともな御意見かと思うのでありますが、請負の当業者の問題に関連いたしましては、國あるいは地方公共團体と特殊の関係をもつておるのでありまして、これが政党なりその他の協会團体というものは、それとは別個のものでありますので、そこまで禁止することもどうかというような考え方と、さらに覚書該当者に関しましては、現在覚書該当者に関して出ておりますところのポツ勅に、選挙運動その他の政治活動をしてはならないというような規定が十五條にございますので、その意味から申しますと、廣く寄附をしてはならないというような実質上の取扱いを受けることになるかと思うのでありますが、本法案におきましては、一應原案の通りに、「選挙に関し寄附をしてはならない」というようなことに、話合いの結果いたすことにしたわけでございます。大体佐竹委員から御提議のありました点に関しましては、一應さようなことになつたのであります。  次に共産党の意見として出ておりました事項が三つあつたのであります。それは第三條の「目的を有するもの」とありますのを「目的を有し且つこれらの行為をするもの」ということに改めることと、それから政党協会その他の團体の中から、労働組合農民組合等を除いたらどうかというような御意見であつたのでありますが、この点に関しましては賛成を得なかつたわけでございます。なおまた三十二條規定関連いたしまして、公職にある者の寄附の届出、それからさらに受けた側からの報告というようなことが規定してあるのでありますが、これを削除するようにという意見でありました。この点に関しましてもまた同樣の結果になりましたわけで、削除賛成を得なかつたわけでございます。次に第三十七條のいわゆる匿名寄附等に関しまして一定限度を設けて禁止するようにしたらどうかという御意見でありましたが、この点に関しましても、また同樣賛成を得なかつたわけであります。  大体佐竹委員林委員からお述べになりました事項概要は以上でございますが、なおお手もと赤書きで特に書いてございますように、第三條の規定政党に関しまするところの定義を置いたらどうかというような意見がございまして、一應そこに政党に関しまする定義を掲げることにいたしたわけであります。なおその点に関しましては、あとで御説明することにいたしまするが、それと関連いたしまして、十七條規定のところに「政党が解散したとき」の下に「又は協会その他の團体」とございまするが、これは「政党」ということをそこに入れることにいたしたわけでございます。  それから五十六條の規定も同樣の関連をもつておるわけでございまするが、この書き方を赤字で書いてありまするように「この法律施行の際現に存する政党及びその支部並びに協会その他の團体及びその支部で第三條の規定に該当するものは、」云々ということにいたしたわけでございます。  それから次には第三十九條の問題でございまするが、これは十号まであげてございまするところの罰則の中、特に罰金に関しましては「千円以上五万円以下の罰金に処する。」ということにしたのでございまするが、前に御審議の際にも申し上げたように、本質的な規定違反に関しましては、罰金を五千円以上、手続的な違反に関しては千円以上というような意見等もありまして、さようなことに一應改めることにいたしまして、三十九條の規定もさような趣旨から一應千円以上ということにいたしておつたのでありまするが、特に虚偽記入をした者とか、あるいは虚偽報告もしくは資料を提出した者等に関しましては、その事実が特に本質的なものと認むべき必要があるというようなことから、この点に関しましてのみ五千円以上、五万円以下の罰金にするということの意見が出てまいりましたので、さようなことを但書の上において特に規定いたしたわけであります。從いまして三年以下の禁錮はもちろん適用あることになりまするが、今申しました事項、第一号から三号に関しまする事項、それから第五号、第九号に関しまする事項、それから第十号に関しまする事項の、虚偽記入をした場合とか、あるいは虚偽報告もしくは資料を提出した場合を、ただいまのように五千円以上、五万円以下とすることにいたしたわけであります。  それから助々からこの委員会においてもいろいろ問題になつておりました時効の問題でございます。これは四十八條でございまするが、これは昨日淺沼委員長もいろいろお話合いの結果、委員会の要望を容れて特に「二年」に改めることになりました。これに対しまして條件を附したらどうかという意見もいろいろありましたが、それらの條分なしに一應二年ということになりましたわけであります。なお、この問題と関連いたしまして、別個に公職候補者、あるいは公職にある者等が、その後においていろいろ資金規正法等違反した事実が起つてまいりました場合等に関しましては、必要に應じて別途に國家公務員法等改正等の処置によつて、それらの問題を考えることにいたしました。この資金規正法では一應條件なしに二年ということになつたわけであります。  三條の政党定義に関しまして、特に申し上げたいと思うのでありまするが、この政治資金規正法におきましては、協会その他の團体定義を掲げて政党定義を特に掲げなかつた理由は、前にも委員会において申し上げた通り、以前政党法立案に関しまする委員会におきまして、いろいろ政党定義の問題に関して意見がございまして、あるいは投票数の何分の一以上のものを得たものとか、あるいは一定数以上の連署を得たものとか、その他いろいろの條件的な事項があつたのでありますが、これらの問題をこの資金規正法において取扱いますると、いろいろの問題を釀すおそれもありますので、社会通念によりまして政党というものの取扱いをしていくということにいたしまして、協会その他の團体だけの定義を掲げたのでありまするが、なお参議院におきまして、非公式にこの資金規正法委員会においていろいろの御意見もありまして、政党定義を掲げたならばよくないかというような意見もありましたので、関係方面と昨日この資金規正法最後いろいろ訂正の問題に関しまして話し合いました際に、政党定義を入れることになつたわけであります。政党定義を入れますにあたりまして、先ほど申しましたようないろいろな條件の問題に関しましては、これは別途の問題として、この際は一應実質上の規定をするということにいたしたわけであります。政党定義を一應読み上げてみますと、「この法律において政党とは、政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、若しくはこれに反対し、又は公職候補者推薦し、支持し、若しくはこれに反対することを本來の目的とする團体をいう。」かようなことにいたしましたわけでございます。  協会その他の團体定義は從來通りでありまするが、ここでさらに申し上げたいと思いますることは、政党政治上の主義もしくは施策を初めから主張し、あるいは反対していく團体でありまして、その点は協会その他の團体と異なるゆえんであります。從いまして特にその積極性をもつた意味を掲げることが必要であろうかと考えまして、さようなことにいたしましたわけであります。なおまた政治上の主義もしくは施策あるいは公職候補者推薦支持等に関して、これらの事項を本來の目的とする團体政党である。協会その他の團体はそれを本來の目的としなくとも、ある特定の場合、特定の時期において三條の新しい二項におきまして掲げておるような目的を有するに至りました場合におきましては、資金規正法において協会その他の團体として取扱うことにいたすのでありまするが、政党自体はそれらの事項を本來の目的とするものである、そこに特色があると考えられるのであります。從いまして、さような意味のことを表わすことにいたしましたのであります。なおまたこの点に関しましては「政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、若しくはこれに反対し、又は」とございまするが、これをあるいは「並びに」とか「及び」とかいうようにいたしまして「公職候補者推薦し、支持し、若しくはこれに反対することを本來の目的とする團体」というように、政治上の主義とそれから公職候補者推薦したりすることを同時に行うものが政党であるというような考え方も一應はあり得るかと思うのでありまするが、しかしながら、かような政党定義を実質的にいたしました場合におきましては、両方の行為を同時に行いませんでも、協会その他の團体等に類するものが、本來の目的としていなくとも、その爾後のいろいろな経過によりまして、それを本來の目的として、しかも公職候補者だけを推薦し、支持するというような場合もあり得ると考えますので、そこで「又は」にいたしまして、両者共通の場合もあり得るし、または個々別々の場合もあり得るということにする方が適当であろうというような考えから、かようなことにいたしましたわけでございます。  以上大体の概要を申し上げましたが、なお赤でいろいろ訂正してございまする分は、このプリントを前におあげいたします場合に校正等もいたしてありませんので、この機会に最後のこの案を刷ります場合に訂正を必要とする箇所を訂正しておく方が適当であろうと考えまして、赤で入れましたのでありまして、字句上の他はもつぱら整理でございます。
  4. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 ただいまの御意見には私も賛成いたします。
  5. 林百郎

    ○林(百)委員 私の方の党の申入れが容れられなかつたということの理由を一應お聽きしたいと思いますが、大体私の方から申し上げたことは、経済的な要求を掲げておるのが本來の姿である労働組合農民組合が、たまたま政策を支持反対したというので、すぐ政党と同じにみなされるということについては賛成できかねる。だから、労働組合農民組合を除けということ、あと約三條ほどの点があつたのでありますが、これはどういう理由で容れられなかつたかということを、ちよつと説明していただきたいと思います。
  6. 三浦義男

    三浦法制部長 ただいまの政党協会その他の團体から労働組合農民組合等を除くことは、第三條のこの案の規定におきましても、直接労働組合農民組合等が適用があるのではなくて、それらは経済團体として一應存立の理由をもつておるわけでありまするが、特に第三條に規定してありまするような事項目的とする場合にはこの取扱いをするということなのでありまして、そういう第三條の目的をもつに至つた場合においても、なお労働組合農民組合資金規正の面において除くということにすれば、ほとんどほかの協会その他の團体等においても、すべてやはり同樣に除かなければならないことになるし、この資金規正法目的としておる事項に副わないというようなことが、その理由であろうと考えるのであります。なおまた第三條の問題におきまして、目的を有し、かつ、これらの行為をするものという「かつ」で結びますと、目的行為というものが同時に伴う場合だけになりまして、非常に狹く解される結果になるというのがその理由でございます。  第三十二條につきましては、公職にある者の寄附に関しまして双方の側において届け出るという事項は、公職にある者の寄附禁止ということの條項が、前に置いてあつたのでありますが、それを取り除きまして、一切自由に公職にある者も寄附ができるということになつたのでありまして、寄附した以上はその事項を明らかに届け出るということにすべきであるというのであります。三十二條を除きまして、それらの届け出が出ないことになりますと、特に公職にある者を寄附禁止制限から除外しました意味を達成しないというような意向だろうと思うのであります。  なおまた三十七條匿名寄附の問題に関連いたしまして、この限度をどこにおくかということにつきましては、いろいろ議論もあるかと思いまするが、これはすべての場合において匿名寄附は一切いけないが、寄附禁止するわけではないから、必要があれば寄附した氏名を堂々と明らかにして寄附をしたらいいではないかというような意向のように考えられるのであります。  大体以上がその理由概要でございます。
  7. 林百郎

    ○林(百)委員 三十二條についてでありますが、公職にある者の寄附だけを、なぜ、かように嚴格に統制するかということが一つ。それから三十七條を私の方の党で主張するのは、匿名で出したというのではなくて、街頭募集とか街頭募金とかいうようなことをする場合に、事実上一円、二円を出してくれる人の住所氏名を聽くわけにいかない。少くとも一定限度、百円なら百円以上ということの制限をすれば別として、一円、二円の街頭基金まで一々住所氏名を聽いて届け出るということは不可能だから、一定制限をしたらどうかということなのです。質問の要点は、三十二條公職にある者の寄附を、特になぜ嚴格に統制するかという点が一つ、それから街頭募金を事実上不可能にするような三十七條條項をなぜ設けるか、一定制限をなぜ設けないか、この点をもう一度説明してもらいたいと思います。
  8. 三浦義男

    三浦法制部長 公職にある者の寄附に関しましては、前の小委員会におきまして、御承知の通り第三十五條のところに規定があつたのであります。公職に在る者は選挙に関し一切寄附をしてはならない、かよなことになつておつたわけであります。ところが委員会においてもいろいろ意見がありまして、一切禁止することもどうかというので、百円未満の場合においてはこの例外を認めようというような意向がありまして、さようなことでいろいろ打合せをいたしておつたのでありまするが、その百円未満ということで区切ることもどうか、一切禁止するか、それとも禁止を解いて自由に放任するかの二つのうち一つを選ずが適当ではなかろうか。そしてもし一切禁止をしないで、自由に公職にある者の寄附を認めるといたしました場合におきましては、少くともそれの寄附をした者、寄附を受けた側からこれを届け出ることが適当ではないか、かようなことになつたわけであります。從いまして三十二條にそういう規定を置くことにいたしたのであります。  それから三十七條の一項の匿名寄附の問題に関しましては、先ほど申し上げました通りでございまするが、額が小さい場合におきまして、一々氏名住所等を明らかにすることも実際上煩瑣でどうかという御意見でございます。その点に関しましては、原則的に匿名寄附は適当でない、寄附をする以上は、その金額のいかんを問わず堂々と明らかにして寄附をしたらばいいじやないかというような意見なのであります。從いましてその線に沿いますると、そこに額の制限を設けることはどうかという問題になつてくるわけでございます。
  9. 林百郎

    ○林(百)委員 速記ちよつと止めていただきたいと思います。
  10. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 速記を止めてください。     〔速記中止
  11. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 速記を始めて……。
  12. 郡祐一

    郡政府委員 匿名寄附禁止いたします際に、本法の三十七條に表わしておりますように、「匿名寄附をしてはならない。」と端的に規定いたします方法と、あるいは匿名寄附につきまして相当詳細な取締り條項を置きますこと、殊に街頭募金等におきまして、こまかく街頭募金取締法のごときものをこしらえることが、街頭募金取締りをいたす場合に必要になつてくるのではないだろうか。これはあるいはこの政治資金規正法に盛りますのは、少し法律目的を逸脱しておるのではないだろうかというような考え方が、これらの問題を研究いたします途中に起つてまいりました。しかしながら匿名寄附禁止いたし、また街頭募金匿名方法によります街頭募金はこれを禁止いたす方が好ましいという考え方は、関係方面との折衝にも絶えずうかがわれておつたところであります。從いまして街頭募金等につきまして詳細な取締的は規定は設けずに匿名寄附の面からこれを一切禁止いたしますことを、三十七條のような書き方にいたしますことは、これをもつてさように煩瑣な取締規定は置きませんでも、十分に目的を達すると思いますので、かように相なることが結構だと思つております。從いまして從來の折衝経過におきましては、根本は一貫しておりまして、ただこれらの禁止の場合に、こまかい取締り規定を置くべきであろうが、さようにいたせばいたずらに煩瑣になりはしないだろうかというような点で、選挙管理委員会といたしましては態度が決定いたさずに経過しておつた状況でございます。
  13. 林百郎

    ○林(百)委員 今の選挙管理委員会の方にもう一度お尋ねしたいのでありますが、この政治資金規正法というのは、國会のわれわれ委員が関知している限りにおいては、政党腐敗資金の面から是正していこうということが本來の目的であつたと思うのであります。今までは政治腐敗防止とか、あるいは選挙腐敗防止とかいう名前で扱われてきたのであります。この名前から言つても明らかなことく、政党並びに選挙腐敗資金の面から正していこうということが本來の目的であつたと思います。そうすると政党並びに選挙腐敗を防止するということは、陰で行われる政治利権、いろいろな利権に結びつく巨額の金の裏面取引を表に出すということだと思います。そうすると街頭募金というようなことは最も公明正大で、腐敗を防止する面から言つたら、むしろ奬励こそされ、何ら禁止される必要は毛頭ない、最も公明正大な資金募集方法であると思われます。何がゆえに、この街頭募金禁止しなければならないというような意向関係筋でもつておられるとあなた方は観測されるか、その辺の消息を説明していただきたいと思うのであります。
  14. 郡祐一

    郡政府委員 先方意向を、表に現われておりますことよりも、さらに掘り下げて、それの動機とか経過といういうなものを、はつきりとこれと臆測いたす材料はもつておりません。またさような点には触れておりません。ただ街頭募金というものが政治資金獲得方法として、今材委員のおつしやいますように、きわめて適切なものであるというぐあいには必ずしも考えておらないのではないだろうかというような感じはもちました。しかしその街頭募金匿名方法により部分は好ましくないという結論も出てきます。先方の経緯につきましては私どもこれを詳らかにしておらないのでありますが、そこは十分申し上げる程度に至つておりません。
  15. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると三十七條目的は、街頭募金禁止するのではなくして、匿名によつて行われる脱法的な行為取締るという意味なのか、関係筋街頭募金はおもしろくないからということで、この街頭募金を表から禁止されて、こういう方法によつて一應統制しようとするのであるか、いわゆる街頭募金を統制するのが主たる目的なのか、あるいは止名名義による脱法的な金銭の授受を統制するのが主たる目的なのか、どう思つておられますか。
  16. 三浦義男

    三浦法制部長 この案の審議経過におきまして、匿名寄附をしてはならないということにして、特に街頭募金をしてはいかぬということにはいたさなかつたのであります。從つて法律的に申し上げますれば、三十七條第一項の規定から、直接に街頭募金禁止するというようなことが結論的に出てくるわけではないと考えるのであります。しかしながら匿名寄附ということと街頭募金というものは、多分に密接なつながりをもつことでありますので、從來のような意味における街頭募金であれば、匿名寄附としてこの第三十七條第一項の適用を受けることになるということであろうと考えるのであります。
  17. 林百郎

    ○林(百)委員 もう一点、三條に関連してですが、三條には政党以外の團体または協会で、労働組合農民組合等も、こうした一定條件を備える場合には、政党と同一に扱われるというのでありますが、これは営利を目的とする会社等が、ある政策を支用して金を出すというような場合には、金を受けた方の政党はそれを明らかにしていく必要があるのであるが、金を出した方の会社、そういうある一定の政策を支持し、反対する会社の側は、これを政党と同一に取扱われないで、いわゆるこの三條でいう團体協会と同一に取扱われるのかどうか、その点を御説明願いたい。
  18. 三浦義男

    三浦法制部長 会社の問題に関しましては、たびたび小委員会等においてもいろいろ御意見も出たのでありますが、要するに会社が、第三條の新しい第二項でございますが、そういうようなことを目的とするということがあり得るといたしますれば、会社もこの三條の適用を受けるということになるのであります。殊に営利会社等におきまして、そういう会社自体としてかような目的をもち得るかどうかというようなことは、商法の問題とも関連いたす問題でありまして、さようなことができないといたしますれば、直接には会社はこの中にはいつてこないという結果になるのであります。しかしこの場合におきましても、たとえば第九條に規定しておりますように、ほかから政党その他の協会團体等寄附いたしました場合におきましては、一切その寄附を明らかにして、その額が一定の額以上になります場合におきましては、十二條等にも規定してございまする通り氏名住所を明らかにするということになりわけでありますし、なおまた第九條、第十二條等の問題は、別に全然それらの團体と意思を通じないで会社等が支出するということがあり得るといたしますれば、今の三十一條の問題になりまして、その支出をした側が届け出る、かような結果になるわけであります。
  19. 林百郎

    ○林(百)委員 会社の政治的な場合からそういう解釈を受けるとすれば、本來そうした政治的な行動を目的としておらない労働組合農民組合も、今いつた諸條文によつて規制を受けるのであるから、会社と同一の取扱いを受けたらいいと思うのであるが、会社だけが政党と同一に正面から取扱われる可能性はないということでありながら、労働組合農民組合というようなものだけが、政党と同一に取扱われるという点はわれわれ了解に苦しむ点であります。たとえば石炭管理法案の問題なども國管反対というような問題——もちろん期成同盟というような形で各会社が連合してやると同時に、会社自身も相当大きな政治的な動きをしておるのであります。そういう場合に会社の動きは問題でなくして、労働組合農民組合がある政党支持し、ある政党反対し、ある政策に反対した場合は、嚴重な政治資金規相法の適用を受けるということは、非常にこの法案自体が不公正ではないかと思われるのでありますが、そこの事情をお聽きしたいと思います。
  20. 三浦義男

    三浦法制部長 特に会社自体を第三條から除外をいたしまして、労働組合その他の農民組合等をこの中に取入れるというようなことは立案の経過におきましてはなかつたのであります。問題は要するに、会社が三條に規定してございまするような行為をする、目的を有するというような場合でありますれば、もちろん三條の規定の適用を受けることは当然であろうと思うのであります。ただ労働組合等におきましては、多少会社等と違いまして、経済團体であるが、同時に他の面においていわゆる政治團体的な行動もするという場合が多分にありますので、その場合は当然はいつてくるのでありますが、会社等におきましても、今申しましたような意味におきまして、政治活動をする目的を有する場合におきましては、もちろん三條の規定から除外する必要はないと考えております。
  21. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 ほかに御意見はございませんか——なければ案の取扱い方ですが、昨日の委員会におきましては、佐竹君並びに林君から修正的意見が述べられまして、その修正的意見によりまして関係方面折衝をいたしました結果、ただいま法制部長から御報告を申し上げたわけであります。それに基きまして佐竹委員は大体了承されたやに伺いましたが、林委員は今の質問で大体明確になつたと思うのでありますが、あとはこの質疑を打切つて討論を——実際は案を仕上げるのですから、案を仕上げていくのに討論という形式は、実はおかしいと思うのですが、それにしても小委員会の案は案として出ておるわけでありますから、これを議題として、それに対する質疑はこれで打切つてもよろしうございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 さよう決定いたします。  そういたしますれば、小委員会の案にただいま法制部長字句の修正その他を加えた修正事項を述べた、それを原案として討論することに、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 それではさよう決定いたします。  それでは討論を通告される方は各党でやつていただいた方がいいと思うのですが、簡單に賛成反対の意思表示の結論だけで結構です、民主自由党の方からお願いいたします。
  24. 栗山長次郎

    ○栗山委員 賛成であります。
  25. 森三樹二

    ○森(三)委員 私は本法案賛成するものでありますが、本法案政治の公明を期する上におきまして非常に廣汎な範囲にわたつて政治資金を明確にすることになつておるのであります。この法の適用にあたりましては、実際問題といたしまして、いろいろの問題が起るだろうと思うのであります。從いまして本法の趣旨を廣く徹底周知せしめて万遺憾なきを期したいと考えますので、そういう私の希望を附しまして、本法案賛成するものであります。
  26. 長野重右ヱ門

    ○長野(重)委員 私は民主党を代表いたしまして、ただいま審議中の政治資金規正法案に賛意を表するものであります。
  27. 黒岩重治

    ○黒岩委員 國民協同党は本案に賛成であります。
  28. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 ただいま三浦法制部長の修正意見を加えました案の通り賛成であります。
  29. 織田正信

    ○織田委員 この法案趣旨には賛成をするものでありまするが、これを実際に実施する上において、どれだけ嚴格に、そうして公正に表われるかどうかという点に多大に疑問をもつておるものであります。いわゆる法律の濫発によつて、むしろ権力をもたざる者、弱き立場にある者が、法規あるがゆえに苦しめられておるというのが、今日の偽らざる実情であります。この点特に留意されて、公元に、そうして嚴格にこの問題を実行するよう要望いたしたいと思います。
  30. 林百郎

    ○林(百)委員 私は共産党を代表しまして、本法案反対の意思を表するものであります。  理由は、第一に、本法案労働組合農民組合その他民主的な團体の活動を政治活動という名目で彈圧することになると思うのであります。第二としては、大衆的な資金の募集活動を禁止することになります。第三としては、公務員の寄附行為を事実上まつた禁止することになつておる。この三項目であります。  そこでわが党としましては、次のごとき修正意見を申し上げたのであります。第一としては、第三條の、「協会その他の團体とは、」云々「目的を有するものをいう。」というところを、「目的を有しかつ行為をするもの」というようにすること。二としては、本法は少くとも労働組合及び農業組合には適用しないということ。三としては、第三十二條公職にあるものの寄附についての特別な規定は、これを削除するということ。四としては、第三十七條街頭募金その他の大衆的な寄附行為については、特に一定限度を設けて、それ以上のものについては本法を適用するが、それ以下のものについては適用しないようにという修正意見を申し上げたのであります。しかるに遺憾ながら、この修正意見が全部拒否されたのでありまして、わが党としてはこの法案賛成することができないのであります。そういう意味反対の意思を表示するものであります。
  31. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 本案を一括して議題に供し、先ほど法制部長が修正意見を述べられたものを原案として採決することに異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 それでは原案に賛成の方は御起立願います。     〔賛成者起立〕
  33. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 起立多数、原案通り可決になりました。  次に本案の取扱い方をどうしたらいいか、これをお諮りしたいと思うのであります。今までの扱い方を申し上げますと、常任委員会の方の扱い方としては、できた案を委員長提案の形においてされておるわけでありまするが、しかしこれも常任委員会ではございませんし、特別委員会ですから、案の重要性等に鑑みまして、林君は反対されておるのでありまするから、林君は別といたしましても、他の委員全体の共同提案という形にいたしますか、それとも委員長が代表して提案するという形にいたしましようか。
  34. 栗山長次郎

    ○栗山委員 今までの慣例は……。
  35. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 慣例は特別委員会ですから必ずしもはつきりしておりません。この前の全國選挙管理委員会法案は特別委員長委員長提出をしたそうですが、しかし案自体はそれぞれの党派にとつて非常に重要な問題ですから……。     〔「共同提案」と呼ぶ者あり〕
  36. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 それでは林君を除く以外の委員全員の共同提案ということで異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 さよう決定いたします。  それから本会議に対する報告はどういたしましようか。     〔「委員長にお願いしたい」と呼ぶ者あり〕
  38. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 それでは足らざる者ですけれどもさよう取計らいます。  これで本案に対する議事は終了したわけでありますが、小委員の方々には永らくにわたりまして研究を遂げられ、その成案を報告されまして、それが土台となりまして各位の御協力によりまして案ができ上つたことは欣快にたえません。委員長として厚く御礼を申し上げる次第であります。  これで本委員会でやつておりました政治資金規正に関する法案は終了するわけでありますが、選挙法に関する審議を進めることになつておるのでありまして、選挙法の小委員もあがつておるわけでありますが、皆さんの御都合を伺いまして小委員にお集まりを願いまして、小委員長の互選等をしていただいて審議を進めていただきたいと思うのですが——ちよつと速記を止めて……。     〔速記中止
  39. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 それでは六日ということでどうでしようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 ではさよう決定いたします。  本日はこれで散会いたします。     午後零時十六分散会