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永野説明員 金野委員の御
質問に対しましてお答え申し上げたいと思います。
最初にお手もとに差出しました
資料、これは一
應御説明をいたしませんと非常にわかりにくい
資料に
なつておりますので、その
内容と申しますか、この
資料の見方をちよつと御
説明をいたしておきたいと思います。昨日の
お話によりまして、急ぎ
材料を取りそろえようといたしましたが、御
要求の
内容は、二十二年度及び二十三年度における
復興金融金庫の
融資内容、それのうちの
水産業関係の内訳、これは一懸々々ごとに詳細な
資料を差出すようにという
お話でございました。そこでお配りいたしました第一の
縦書きの
復興融資残高一覽表という表がございます。これが大体二十三年四月三十日までの
復興金融金庫全体の
融資の額のわかるような表でございます。これは昨日
復興金融金庫の方へ私の方から參りました調べた結果を、取急いで表にいたしましたものでございます。その
内容は、
運轉資会と
設備資金の
区別が第一であります。第二の表は
地方別の
設備資金と
運轉資金の
区別、第三の表が
業種別の表、鉱業でありますとか、紡績とか、金属というような
業種別の表でございます。この表をごらん願いますと、
水産業関係は件数にいたしまして、総計七百四十八件、
金額にいたしまして二十九億三千二百三十万九千円、こういう
金額に
なつております。その次の表は
金額別にいたしまして、五千万円以上、それから五千万円から千万円まで、千万円から百万円まで、それから百万円以下というような
金額別の表に
なつております。それからその次の表は、貸出しと
回收の
関係を
産業差にとりまとめました
数字でございます。それから
最後の表が
復興金融金庫の
債務保証実行残高表であります。この
関係の
資料は私
どもの方の
資料ではございませんので、
復興金融金庫の方でまとめております
資料を借りて写してまい
つたのでございます。
それから次にごらく願いますのは、
表題に
昭和二十二年四月から二十三年三月までの
中央議案と書いてある印刷物でございますが、これは御
承知のように、
復興金融金庫の
融資につきましては、
復興金融委員会及びその
委員会の下の
幹事会によ
つて審議されるのでございます。その
議案が
中央の
会議で取上げます
議案と、
地方別の
懇談会にかかる
議案と
二つあるわけであります。一枚目の表はそのうちの
中央議案を
とつたものでございます。ただこれは時間の
関係で二十二年の四月からの
数字はちよつと間に合いませんでございましたので、とりあえず本年の一月からの分をピツク・アツプしたものが
最初の一枚目の表でございます。その二枚目から
あとは
地方議案、つまり
地方の
懇談会にかかりまして、
中央の方に
承認を求めてまいりましたもの、これは
水産関係の
資金につきましては、
産業資金計画等の
関係もございまして、全部
中央で
承認を與えるという制度にいたしております。從いまして、その
関係で、
地方できめまして、
中央へ
承認を求めてきた場合、その
承認をした
議案、これが二枚目から
あとでございます。これも時間の
関係で
昭和二十二年度からは表ができませんので、
昭和二十三年度、つまり二十三年の四月からの分をピツク・アツプいたしまして表にいたしたのでございます。それからその次、一番部厚い
表題のついておりませんのがあります。これは私
ども、つまり
農林省が
復興金融の
申請に対しまして、どういう
取扱いをいたしておるかということを御参考のために差出したものでございます。御
承知の
通り、この
昭和二十二年、二十三年と申しますと、まだ
資金調整法が存在しておつたわけであります。
資金調整法に基く
認可の
申請書類が
農林大臣あてにまいるわけであります。その
認可申請の
書類をどう取扱うかということを御
説明するためにこういう
資料を差出したわけであります。その後
資金調整法が廃止になりまして、特にこういう法律上の
手続は要らないということに
なつたわけでありますが、
復興金融金庫からの
融資につきましては、從前と同様に相当詳細に政府としての
意見をきめる必要がございますので、その後も
復興金融金庫の
融資の
申込みにつきましては、大体以前の
資金調整法のときのような
書類をいただくことにしております。でありますから、審議の
内容においては大差はないということに
なつております。
そこで
最初に御
質問にありました点の全般的な
説明といたしまして、私
どもがこの
資金調整法関係なり、あるいは
復興金融金庫の
融資の
申込みということに対して、どういう
取扱いをいたしておるかということの
手続的な御
説明をまずいたしたいと思います。
最後の
資料をごらんいただきたいのでありますが、ここにまず
書類の
受付番号を書きまして、それから
申込者の名前を書きまして、その次の欄が
申込みの
内容になるわけであります。
漁業の場合でありますと、たとえば
磯部栄一というのが七行目にございますが、
かつお、くぐら
漁船の
建造費の値上りで
あとか、それからその船の
内容は百三十五トン、三百馬力の船であるというように、大体
内容を抜き書きいたしまして、もちろんこの裏には
申請書に相当詳細ないろんな
事情が示してあるわけであります。これをみんなが
会議をいたします便宜上、こういうように要目だけをピツク・アツプいたしたわけでございます。その次に
申込みの
内容、つまり
資金という欄が
二つございますが、
自己資金がいくら、
借入れがいくらという欄があるわけであります。その次に、その
借入れはどこからか。
復興と書いてありますのは
復興金融金庫であります。中金と書いてありますのは農林中金であります。そういうふうに
借入れの先を書くのであります。その
借入れの先の
数字、
一行目でありますと、十九万五千円と書いてありますのは、この
申込者が
会社である場合の
資本金を書いているのであります。それから
備考欄に、その
内容にさらに附け加えて
説明すべき問題を書いたわけであります。こういう
申請書の
内容をピツク・アツプしました
材料をつくりまして、これで
関係官全部が
会議をいたすのであります。もちろんその前に各
関係官ともにこの
申請書自体を
審査いたします。これはいろんな
方面が
関係してまいるのであります。たとえば、
かつを、
まぐろ漁業の場合でありますと、
遠洋課の、
かつを、
まぐろの
漁業の係り、また、
かつを、
まぐろ漁船をつくるという立場から言いますと、
漁船課の
造船の係り、それから
沿岸漁業でありますと
漁政課の
沿岸漁業の係り、それから、その
漁船が動いて働くという上におきましては
資材が必要であります。殊に新
造船の場合、
資材が必要でありますが、そういう
関係で
資材の係り、それから
資金の
関係は、
農林省全体といたしましては
総務局が担当いたしているわけであります。対外的には
総務局が発言するという建前に
なつております。でありますから、その
総務局の
農林金融課の
係官、
かつを、
まぐろに例をとりますと、そういうものでありますが、そのほかに、加工であればまたその
関係、あるいう
輸出水産物であればその
関係というように、
関係の
係官が全部
書面を事前
審査いたしまして、その上で一週間一回集まることにいたしているわけであります。そういたしまして、その席上で各
関係官の
意見を総合いたしまして
決定いたすわけであります。この間、もちろん
審査に非常にひまのかかるものもあります。また非常に
内容のはつきりいたしておるものもあります。千差万別でありまして、その間、
決定になかなかひまどるような場合もあるのであります。ただわれわれといたしましては、こういう問題が、ただいま御
指摘がありましたように、
情実関係とか特別な
関係、そういうことによりまして左右されることを避けなければならぬわけでございますので、こういうみんなの
合義体ということで、問題をみんなの前で議論をしてきめるということにいたしておるのであります。ただわれわれといたしまして非常に遺憾に思いますのは、
農林省といたしましては、各
申込者の
事業をや
つております場所に、出先機関なり、それの実態を
調査するだけのスタツフと申しますか、それだけの事務的な配置が欠けているのでございます。從いまして
審査の第一の
内容は、やはり
書面で
審査をするということに相なるのであります。もちろん
書面のほかに
申請者がお見えに
なつております場合には、できるだけ詳細に
申請者の方の御
事情を伺
つてきめることにはいたしておりますが、
申請者といたしましては、なるべく自分の方の話が通るような
お話をされるのが普通であるわけであります。そこでできるだけ、それ以外の各
方面の
意見も総合してきめてまいりたいと思
つておりますけれ
ども、なかなかその点におきまして
材料が欠けておる、
材料が集まらない、そういう裏の方の情報がはいらないという場合もままあるのでございます。その点はまことに今御
指摘になりました
通り、非常に問題に
なつてまいるのでありまして、そういうことはできるだけないように、私
どもといたしましては努力をいたすつもりでございますけれ
ども、現在の
農林省の
事務能力といたしましては、どうしてもそういうことに
なつてしまうのであります。そこで問題は、私
どもといたしましては、そういう
事情が、あるほかの方の
調査によりましてわかつたときには、もちろんそれを取入れてその
決定をいたしたい、こういうふうに考えておるのでございます。そこで一例としてお出しになりました
保戸島の
かつお、
まぐろ漁船に対する
融資、及び
浦浜寒天に対する
融資、これは問題が個別の問題になりますが、
大分縣の
保戸島は
戰爭前から
かつおつり及び
まぐろ延繩の
漁船が約三十艘ほどあつた
土地だと思います。
終戰当時その中のほとんど大部分、九割というものが戰爭によ
つて破壞をされまして、これが
復興をしなければならぬということに地元の
意見が強か
つたのであります。ただその当時、これは
日本全体で非常に問題に
なつたことでありますが、逸早く
復興した
方面と非常に立ち遅れた
方面とあ
つたのでございます。問題は、立ち遅れた
方面について非常にやかましい問題にな
つたのでありますが、すでに逸早く
復興しております分が、
戰前の
実績をオーバーいたしておりましたところへ、
資材の
関係及び
操業区域の
事情からして、
戰爭前よりも
かつお、
まぐろの船を著しく殖やすことはいけない、こういう考えが出てきたのであります。片方逸早く
復興したものは、
戰前の
実績より余計つく
つておる。しかも全体の
わくはこれで切るという問題、この
二つの問題が起りましたために、立ち遅れた
地方は從前も
つておりました数だけは
復興できない。それだけを
復興いたしますと全体の
わくが突破する、こういう事態に相な
つたのであります。これは私の方の
遠洋課の方で
漁業の許可をどうするかということを
審査いたしました結果、
保戸島の出漁團というものと
保戸島の遠洋出漁組合というこの
二つの主体に対して
漁業の許可をする、こういうふうな
決定を見たのであります。その
決定に基きまして、私の方といたしましては、必要な
資金を
復興金融金庫から
融資をするという
決定をいたしたわけであります。從いましてこの問題はまず
漁業の許可の問題が先にきま
つてまいつたわけであります。もちろん私
どもといたしましては、
資金をきめます際に、その
漁業の許可の主体につきまして一應の檢討はいたしたのであります。しかしこれは
かつお、
まぐろ漁業の許可の担当官から、いずれも
戰前において
かつお、
まぐろ漁業の経驗者である、こういうような証言があ
つたのでございます。私
どもといたしましては、その証言に基きましてこの件はきめたわけでございます。
それから
浦浜寒天の方は、これは最近実は一應の
内容をいたしたのであります。これはどういう
考え方かと申しますと、
大分縣には寒天の原草が相当たくさんある。しかしながら從來
大分縣においてはそれを寒天に製造するまでの仕事はあまり行われておらなか
つたのであります。ところがその
浦浜寒天の仕事を実際にやるという人は、朝鮮において寒天を製造しておつた経驗者でありますが、その人が
引揚げてまいりまして、
大分の豊富にある原草を寒天につくることに成功した。これに対して縣も非常に應援をして、
大分縣の資源を
大分において有効に利用するという計画であるから、ぜひこれについては
復興金融をつけてもらいたいという縣からの要望があ
つたのであります。私
どもといたしましては、寒天につきましては特に試驗的な意味をも
つているものについては
融資をするという
考え方でおります。そのほかに二、三件寒天
関係が出ておりますが、これもそういう意味におきまして、特に從來の主産地でなかつた所で寒天ができるということになれば非常に意味があるというような
係官の証言によりまして、これを一應
決定いたしたのでございます。ところがその後いろいろ伺いますと、この企業はまだ全然現実化されておらない。おそらく幽霊
会社ではないか。また金を借りてほかのものをつく
つている。こういうような御
指摘もございますので、これは私
どもとしては
決定を一應留保いたしたいと考えます。まだ私の方で
復興金融金庫に対して、これを
融資してよろしいという申送りをしておりませんので、これはその申送りを留保いたしまして再
調査をいたしたい。こういうふうに考えます。私
どもといたしましては、そういう
融資が不当であるという事実がわかりましたならば、他のどの件につきましても同樣な措置をとりたい、こういうふうに考えるのでございます。もちろんこれが審議について私
どもが怠慢をいたしたという
責任がもしありますならば、これは私
ども当該官吏といたしまして
責任をとらざるを得ない、こういうふうに考えるのでございます。
次は
引揚漁民に対する
復興金融についてどういうふうに考えるかというお尋ねでございます。私
どもといたしましては、現在水産業に対する
復興金融金庫の
融資といたしまして、産業
資金計画の中に織りこんでおられます中から、できるだけ終戰後の水産の重点的な再建
復興をや
つてまいりたい、こういう大きな方針で考えておるのであります。從いましてたとえば重要な
漁船の建造とか、あるいは重要な場所における製氷冷凍設備の建設とか、そういうものについて最も多くこの水産の
資金が利用せられておるのでございます。ただその場合に、すでに海外において
漁業に從事しておられた、そして内地に
引揚げてこれらて、どうしても
漁業をも
つて身を立てなければならないという方々に対しましては、特にある程度生産の
復興という順位とにらみ合わせて、順位を上げても、引揚者の方々には
融資をしなければならないと考えております。ただ引揚者に対する
融資につきましては、御
承知のように、そういう産業的な見方でなく、引揚者の更生を助けるという意味をもちまして、特に
復興金融金庫の計画があるのでございます。これは
水産関係とは無
関係にそういう
融資の
わくがあるのでございます。でありますから、そのどちらの
わくから
復興金融金庫の金を出すかということは、そのときどきの問題に
なつてくる。そのどちらがより適当かという問題に
なつてまいるのであります。從いまして水産の
わくから相当引揚者に対する
融資も出ておりますが、引揚者に対する
融資全部を水産の
わくで出すということにも考えておらないのでございます。
以上私
どもが
金融関係の仕事を担当しておる
関係で、どういう事務的な
内容で事柄を
決定しておるかということを御
説明申し上げたのでありますが、なおわれわれの力に足りないために、われわれが今までやりました分につきましていろいろな問題があるといたしましたならば、その点は十分御
指摘いただきまして、もし訂正のできるものであれば、訂正してまいりたいというのが私の氣持でございます。
次の水産業
團体の
監督に対する
責任という問題でございます。私
どもといたしましては、終戰後水産業
團体、
漁業会、水産業会等に対しまして、いろいろな問題が起
つておるということはもちろん
承知いたしております。その全般の詳細な事実につきましては、必ずしも私
どもが全部これをつかむというわけにまいりませんので、その事実について耳にはいりました分につきましては、そのときどきにその措置をいたしておるのであります。私
どもといたしましては、決して水産業
團体の不正を見逃すとか、これをうまく扱うとかいう考えは毛頭も
つておりませんことをお聽取り願いたいと思いますが、御
指摘になりました具体的な
大分縣水の問題につきましては、
帳簿の
閲覽をさせないということは非常に問題だと思います。これはおそらく
漁民の側の公正なり
資材の配給その他公正なる縣水の運用ということに対する声に対して、
帳簿を見せないというような方法でこれをおおい隠すべき問題では絶対にないと思うのであります。この意味で私
どもといたしては、
大分縣水の問題はなお十分に
資料を集めて、実情を
調査いたしました上で、しかるべき措置をとりたいと思います。
以上をも
つて一應の御
説明といたします。