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1948-06-04 第2回国会 衆議院 水産委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月四日(金曜日)     午前十時五十三分開議  出席委員    委員長 馬越  晃君    理事 夏堀源三郎君 理事 西村 久之君    理事 宇都宮則綱君 理事 三好 竹勇君    理事 鈴木 善幸君    川村善八郎君       森 幸太郎君    本間 俊一君       金野 定吉君    中原 健次君       矢後 嘉藏君    吉川 兼光君       小澤專七郎君    小松 勇次君       多賀 安郎君    外崎千代吉君       受田 新吉君  委員外出席者         農林事務官   永野 正二君         專門調査員   小安 正三君     ――――――――――――― 五月二十八日  遠別村に船入澗築設請願坂東幸太郎君紹  介)(第一〇六七号)  櫻井町に漁港築設の請願井谷正吉君外三名紹  介)(第一〇七五号)  吉里々々漁港修築請願鈴木善幸紹介)(  第一〇七六号)  尻屋崎附近避難港築設の請願山崎岩男君紹  介)(第一〇七七号)  雄武村に漁港築設の請願伊藤郷一君紹介)(  第一〇八八号) 六月二日  網走市に水産試驗所支所設置請願永井勝次  郎君紹介)(第一一六一号)  漁業協同組合法制定促進請願田中稔男君紹  介)(第一一七一号)  鮮魚介陸場地に対する地区別報奬物資差別撤廃  の請願田中稔男紹介)(第一一九〇号)  本城港を漁港として築設の請願川野芳滿君外  一名紹介)(第一二〇九号)  伊萬里湾漁業権開放に関する請願内海安吉君  紹介)(第一二一〇号) の審査を本委員会に付託された。 六月三日  能登安部屋避難築港工事施行陳情書  (第四  三二号)  魚類の統制價格撤廃に関する陳情書  (第四九二号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  水産金融に関する件   請 願  一 魚の公定價格改訂に関する請願中村俊夫    君紹介)(第四九号)  二 水産廳設置その他漁業に関する請願多賀    安郎君外八名紹介)(第一三七号)  三 男女群島開発請願藤原繁太郎紹介)    (第一九九号)  四 魚の公定價格改訂に関する請願馬越晃君    紹介)(第二二三号)  五 漁業者に対する復興金庫よりの融資に関す    る請願馬越晃紹介)(第二二四号)  六 同(馬越晃紹介)(第二三八号)  七 魚の公定價格改訂に関する請願馬越晃君    紹介)(第二四〇号)  八 同(松原一彦紹介)(第四二二号)  九 魚介類小賣利潤改訂に関する請願小澤專    七郎君紹介)(第四六五号) 一〇 魚介類小賣利潤改訂に関する請願中原健    次君外一名紹介)(第五二九号) 一一 内水面水産増殖に関する請願田中源三郎    君紹介)(第五四九号) 一二 羅臼村の各河川に鮭鱒孵化場設置請願(    伊藤郷一君紹介)(第六四七号) 一三 水産業対策に関する請願馬越晃君外十二    名紹介)(第六七九号) 一四 魚の公定價格改訂に関する請願中村俊夫    君紹介)(第七五号) 一五 網走支廳管内オホーツク沿岸北海道水    産試驗場支場設置請願永井勝治郎君紹    介)(第九三三号) 一六 沿岸漁業助成に関する請願馬越晃君外一    名紹介)(第九三三号)   陳情書  一 水産廳設置並びに水産業團体法改正等に関    する陳情書    (    第三五号)  二 漁村対策に関する陳情書    (第    二三九号)  三 水産物生産増強等に関する陳情書    (第三四二号)     ―――――――――――――
  2. 馬越晃

    馬越委員長 それではただいまから会議を開きます。  金野定吉君より金融に関する緊急質問並びに水産團体監督に関する緊急質問の申出がありましたのでこれを許します。金野定吉君。
  3. 金野定吉

    金野委員 私はただいま委員長が申されました二つの問題につきまして、主として漁政課長に対して御質問をしたいのでございますが、資料提出が非常に遅いので、資料を十分檢討する期間的な余裕がないのであります。質問は本日の委員会だけでは終了しないと私は考えております。簡單に提出なつ資料を見ますると、われわれから見るならば非常に杜撰なものが多いので、この資料では私は具体的な質問もできないし、具体的な調査も困難だというように考えておるのであります。あらためて詳細な調査資料要求するものであります。  第一に金融措置に関して、水産関係に対する金融は、漁政課金融係認定を與えるということを聞いておるのでありますが、われわれ日本漁民組合調査部調査によりますると、この金融決定を行うところの漁政課がきわめて杜撰なものだ、たとえて言うならば、漁民でないものが漁民だと言つて書類上の手続を整えて金を借りておる。眞劍漁業を営んでおる漁民自体資金の困難な点において、きわめて若しい事業を行つておるにもかかわらず、この窮屈な資金面において、一部の者は全然漁業を営んでおらない。そういう者に資金融資に対しまして認定を與えておるなんということは、はなはだもつて怠慢の極みであると、われわれはかように考えておる。それだけではなくして、さらに、この業者さえも、あるいはいんちき会社といいまするか、形だけあつて実際のことをやつておらない者に対しましても金融を與えておる、このかげには杜撰ということではなくして、非常に私どもいかがわしい点を承つておるのであります。大分縣の例を一つとつてみまするが、大分縣の北海部郡保戸島という所の漁民に対しまして金融承認を與えておるそうでありますが、この資料大分縣連合会の方からあらために届けるつもりでございますけれども、これまた業者じやないと言つております。この点に対しまして、大分縣水産課長三浦河がしという人でありますが、そういうことだけを專門にやつておる。しかもまじめな業者に対して縣の水産課長融資斡旋を行うということであるならば、これはうなずける点でありまするけれども、これらは全然業者じやないということであります。この点に対して強く勤労漁民から縣に要求し、さらに檢察廳に問題を移してやつておるのでございますけれども、一應問題として取上げておりながら、ボス的な勢力が強いためにこれを抑えておるという状態であります。さらに浦浜寒天会社とかいうものがあるそうでございますが、事実上会社の存在はないということでありますけれども、これらの何らかの方法で資金を獲得して、そうして現在あめをつくつておる、こういうことが、実際そこで働いておる土地漁民から、われわれに対しまして切実な訴えをされておるのでございます。私はこれらの問題を全國的に本部に調査を命じておりますので、事実は事実として具体的に現われてくると思います。こういう点は、日本経済事情はきわめて苦しい時でありますからして、愼重に期してもらいたい。一体どういうところに対してどういうような金融を行うことが正しいものであるかということを、まずその監督の任に当るところの漁政課長からお答えを願いたい。われわれが見ておると、まつたくもつて金融係というものは、因縁情実によるところの融資を行つておる。課長がもし私の質問に対して具体的に言えと言うならば、私は具体的に率直に申し上げますが、事人の人格に関する問題でありますので、私は課長答弁いかんによつてさらに再質問するつもりでありますから申しませんけれども、私をして言わしむるならば、非常に因縁情実によるところの金融が多い。しかも金融の観点が誤つておる、かように考えておるのであります。たとえと言うならば、全國に植民地から帰つてまいりましたところの漁民なんかは非常に多いのでありますが、一体これらの漁民救済をどういうような具体的にせられるか、これらの漁民救済というものは、やはり農林省として復金から融資を行わせて、これらの漁民を更揚せしめる以外にないのではないかと考えておるが、これらの点に対しましては、何か引揚團体の機関がありまして、それを通ずるという話だそうでありますけれども、それらの引揚團体にあるところの金融面というものは、きわめて微細であります。從つてそれとは逆に、引揚げてまいりましたところの漁民というものは、非常に数が多いのでありまして、それだけではこの引揚漁民の更生というということは不可能だと私は考えておるのであります。かような状態引情漁民が悩んでいる際に、形も何もない、しかも業者でもない者に対して、平氣で金融を行つているということに対しましては、これは明らかに担当するところの漁政課長重大責任であると考えているわけでありまして、この点この資料では不十分でありましてわかりません。たとえば縣名を書いてある資料もあるし、書いてない資料もございますので、これは具体的に資料だと私は考えませんので、改めて具体的な資料要求すると同時に、これらの金融を行う際にあたつて愼重を期してもらいたい。特に金融の面は、ひとり農林省関係だけではなくして、いかがわしい問題がありまして、たとえば不当財産取引調査委員会なんかでも問題にならんとしておることでありまして、私はこれはゆゆしき問題であると考えておる次第でございます。大分県のこの二つの面の、本日の私の質問に対しまして漁政課長から明らかにしてもらいたいと思います。大分縣水産課長の問題につきましては、人事に関する問題でありますから、監督が違うと思いますので、この点は別の面で局長が參つたときに質問するつもりでありますが、以上金融の面に対しまして、承認を與えたところの漁政課長答弁を求める次第であります。  さらに引続きまして、水産團体監督に対してでありますが、水産団体法の何條かによりますると、漁民たる会員が、その團体に向つて帳簿閲覽をしたいという要求があつた場合には、当然その要求に應じなければならぬにもかかわらず、大分縣のごときは、いくら漁民がそういう要求をいたしましても、断じてこれを拒絶いたしまして、帳簿閲覽を行わせないということであります。資材の配給の問題でこれまた不正が行われているのでございまして、われわれはこの問題は、大分県の檢察廳ではなかなか取調べに困難だと考えますので、近い將來に東京檢察廳に移すつもりであります。そのために十分資料をとつておるのでございますが、大体それを拒む理由はどこにもないのであつて水産團体監督の任にあるところの漁政課が、これに対しましてどういう考え方をもつているか、こういうことはひとり大分縣だけではなく、幾多そういう例があるのであります。こういうことに対しまして、漁民がわざわざ遠くから本省に対して切実な陳情をしてまいつておるのであります。これに対しましても、上の方は非常に親切に、懇切丁寧に取扱いまして、わざわざ陳情に參りました人たちに対しまして、何とかその目的を達成せしめようとして、実に苦労しておるのでございますが、下の方の課に直接行つてみますると、まことに封建的な、官僚独善と言いますか、そういう取扱いをしている。私は感情的に申し上げるわけではないが、農林省に行つてみまして、農民から陳情を受け、漁民から陳情を受ける、私はその斡旋の任に当つている一人でありますが、親切があるべき農林省、一番農民漁民関係の深い農林省が一番不親切だということで、われわれはこれら地方民からおめだまをちようだいいたしておるのであります。その中でも漁政課は、官僚の典型的なものであると私は考えている。これはいろいろ評判も聞いているし、いろいろな人事に対しても調査を進めておるのでございますが、そういうことではまことに困るのであります。官僚が横暴をきわめるということは、ひとり官僚自身責任にあらずして、今日政党内閣が復活しておるのでございまして、それは政党の大きな責任問題にも、あるいは信用問題にもなるのでございまして、この点は十分反省を促したいと考えております。  さらに金融措置に対しましても、團体監督に対しましても非常にルーズな点がある。たとえば操業者本省漁政課因果関係によりまして行政を運営せられておるという面が、われわれには見受けられるのであります。こういう点を考えますと、私は率直に申し上げて漁政課長責任を追求したいと考えて、そういう質問をしておるのであります。この問題について團体がどういうことをしておるかと言いますと、資材課の方からも資料をちようだいいたしましたし、水産課の方からも資料をちようだいしておりますが、今日漁政課が出したような資料とは違いまして、まつたく具体的で一目瞭然とわかる資料でございまして、その点から見ましても、厖大な横流しをしておる。これも水産團体漁民要求に対して、漁民の民主主議的な考え方に対して、封建的、ボス的な考え方に立つて、これを横流ししておるのであります。これは明らかに團体責任であるというふうに考えております。たとえば綿糸の場合、あるいは網の場合でも、いろいろなものを横流しをしておりますし、加配米の問題なんか大きな横流しがある。これはあと数字を具体的に出して取上げる問題でありますけれども、これは水産團体に対する監督と言いますか、指揮と言いますかの欠如からくる不正事件でありまして、横流しする業者自身にも罪があるのでございましようけれども、これの監督しておる漁政課責任も重大であると考えておりますが、これらに対しましていかなる考え方をもつておるか、漁政課長答弁要求する次第であります。
  4. 永野正二

    永野説明員 金野委員の御質問に対しましてお答え申し上げたいと思います。最初にお手もとに差出しました資料、これは一應御説明をいたしませんと非常にわかりにくい資料なつておりますので、その内容と申しますか、この資料の見方をちよつと御説明をいたしておきたいと思います。昨日のお話によりまして、急ぎ材料を取りそろえようといたしましたが、御要求内容は、二十二年度及び二十三年度における復興金融金庫融資内容、それのうちの水産業関係の内訳、これは一懸々々ごとに詳細な資料を差出すようにというお話でございました。そこでお配りいたしました第一の縦書き復興融資残高一覽表という表がございます。これが大体二十三年四月三十日までの復興金融金庫全体の融資の額のわかるような表でございます。これは昨日復興金融金庫の方へ私の方から參りました調べた結果を、取急いで表にいたしましたものでございます。その内容は、運轉資会設備資金区別が第一であります。第二の表は地方別設備資金運轉資金区別、第三の表が業種別の表、鉱業でありますとか、紡績とか、金属というような業種別の表でございます。この表をごらん願いますと、水産業関係は件数にいたしまして、総計七百四十八件、金額にいたしまして二十九億三千二百三十万九千円、こういう金額なつております。その次の表は金額別にいたしまして、五千万円以上、それから五千万円から千万円まで、千万円から百万円まで、それから百万円以下というような金額別の表になつております。それからその次の表は、貸出しと回收関係産業差にとりまとめました数字でございます。それから最後の表が復興金融金庫債務保証実行残高表であります。この関係資料は私どもの方の資料ではございませんので、復興金融金庫の方でまとめております資料を借りて写してまいつたのでございます。  それから次にごらく願いますのは、表題昭和二十二年四月から二十三年三月までの中央議案と書いてある印刷物でございますが、これは御承知のように、復興金融金庫融資につきましては、復興金融委員会及びその委員会の下の幹事会によつて審議されるのでございます。その議案中央会議で取上げます議案と、地方別懇談会にかかる議案二つあるわけであります。一枚目の表はそのうちの中央議案とつたものでございます。ただこれは時間の関係で二十二年の四月からの数字はちよつと間に合いませんでございましたので、とりあえず本年の一月からの分をピツク・アツプしたものが最初の一枚目の表でございます。その二枚目からあと地方議案、つまり地方懇談会にかかりまして、中央の方に承認を求めてまいりましたもの、これは水産関係資金につきましては、産業資金計画等関係もございまして、全部中央承認を與えるという制度にいたしております。從いまして、その関係で、地方できめまして、中央承認を求めてきた場合、その承認をした議案、これが二枚目からあとでございます。これも時間の関係昭和二十二年度からは表ができませんので、昭和二十三年度、つまり二十三年の四月からの分をピツク・アツプいたしまして表にいたしたのでございます。それからその次、一番部厚い表題のついておりませんのがあります。これは私ども、つまり農林省復興金融申請に対しまして、どういう取扱いをいたしておるかということを御参考のために差出したものでございます。御承知通り、この昭和二十二年、二十三年と申しますと、まだ資金調整法が存在しておつたわけであります。資金調整法に基く認可申請書類農林大臣あてにまいるわけであります。その認可申請書類をどう取扱うかということを御説明するためにこういう資料を差出したわけであります。その後資金調整法が廃止になりまして、特にこういう法律上の手続は要らないということになつたわけでありますが、復興金融金庫からの融資につきましては、從前と同様に相当詳細に政府としての意見をきめる必要がございますので、その後も復興金融金庫融資申込みにつきましては、大体以前の資金調整法のときのような書類をいただくことにしております。でありますから、審議の内容においては大差はないということになつております。  そこで最初に御質問にありました点の全般的な説明といたしまして、私どもがこの資金調整法関係なり、あるいは復興金融金庫融資申込みということに対して、どういう取扱いをいたしておるかということの手続的な御説明をまずいたしたいと思います。最後資料をごらんいただきたいのでありますが、ここにまず書類受付番号を書きまして、それから申込者の名前を書きまして、その次の欄が申込み内容になるわけであります。漁業の場合でありますと、たとえば磯部栄一というのが七行目にございますが、かつお、くぐら漁船建造費の値上りであとか、それからその船の内容は百三十五トン、三百馬力の船であるというように、大体内容を抜き書きいたしまして、もちろんこの裏には申請書に相当詳細ないろんな事情が示してあるわけであります。これをみんなが会議をいたします便宜上、こういうように要目だけをピツク・アツプいたしたわけでございます。その次に申込み内容、つまり資金という欄が二つございますが、自己資金がいくら、借入れがいくらという欄があるわけであります。その次に、その借入れはどこからか。復興と書いてありますのは復興金融金庫であります。中金と書いてありますのは農林中金であります。そういうふうに借入れの先を書くのであります。その借入れの先の数字一行目でありますと、十九万五千円と書いてありますのは、この申込者会社である場合の資本金を書いているのであります。それから備考欄に、その内容にさらに附け加えて説明すべき問題を書いたわけであります。こういう申請書内容をピツク・アツプしました材料をつくりまして、これで関係官全部が会議をいたすのであります。もちろんその前に各関係官ともにこの申請書自体審査いたします。これはいろんな方面関係してまいるのであります。たとえば、かつをまぐろ漁業の場合でありますと、遠洋課の、かつをまぐろ漁業の係り、また、かつをまぐろ漁船をつくるという立場から言いますと、漁船課造船の係り、それから沿岸漁業でありますと漁政課沿岸漁業の係り、それから、その漁船が動いて働くという上におきましては資材が必要であります。殊に新造船の場合、資材が必要でありますが、そういう関係資材の係り、それから資金関係は、農林省全体といたしましては総務局が担当いたしているわけであります。対外的には総務局が発言するという建前になつております。でありますから、その総務局農林金融課係官かつをまぐろに例をとりますと、そういうものでありますが、そのほかに、加工であればまたその関係、あるいう輸出水産物であればその関係というように、関係係官が全部書面を事前審査いたしまして、その上で一週間一回集まることにいたしているわけであります。そういたしまして、その席上で各関係官意見を総合いたしまして決定いたすわけであります。この間、もちろん審査に非常にひまのかかるものもあります。また非常に内容のはつきりいたしておるものもあります。千差万別でありまして、その間、決定になかなかひまどるような場合もあるのであります。ただわれわれといたしましては、こういう問題が、ただいま御指摘がありましたように、情実関係とか特別な関係、そういうことによりまして左右されることを避けなければならぬわけでございますので、こういうみんなの合義体ということで、問題をみんなの前で議論をしてきめるということにいたしておるのであります。ただわれわれといたしまして非常に遺憾に思いますのは、農林省といたしましては、各申込者事業をやつております場所に、出先機関なり、それの実態を調査するだけのスタツフと申しますか、それだけの事務的な配置が欠けているのでございます。從いまして審査の第一の内容は、やはり書面審査をするということに相なるのであります。もちろん書面のほかに申請者がお見えになつております場合には、できるだけ詳細に申請者の方の御事情を伺つてきめることにはいたしておりますが、申請者といたしましては、なるべく自分の方の話が通るようなお話をされるのが普通であるわけであります。そこでできるだけ、それ以外の各方面意見も総合してきめてまいりたいと思つておりますけれども、なかなかその点におきまして材料が欠けておる、材料が集まらない、そういう裏の方の情報がはいらないという場合もままあるのでございます。その点はまことに今御指摘になりました通り、非常に問題になつてまいるのでありまして、そういうことはできるだけないように、私どもといたしましては努力をいたすつもりでございますけれども、現在の農林省事務能力といたしましては、どうしてもそういうことになつてしまうのであります。そこで問題は、私どもといたしましては、そういう事情が、あるほかの方の調査によりましてわかつたときには、もちろんそれを取入れてその決定をいたしたい、こういうふうに考えておるのでございます。そこで一例としてお出しになりました保戸島かつおまぐろ漁船に対する融資、及び浦浜寒天に対する融資、これは問題が個別の問題になりますが、大分縣保戸島戰爭前からかつおつり及びまぐろ延繩漁船が約三十艘ほどあつた土地だと思います。終戰当時その中のほとんど大部分、九割というものが戰爭によつて破壞をされまして、これが復興をしなければならぬということに地元の意見が強かつたのであります。ただその当時、これは日本全体で非常に問題になつたことでありますが、逸早く復興した方面と非常に立ち遅れた方面とあつたのでございます。問題は、立ち遅れた方面について非常にやかましい問題になつたのでありますが、すでに逸早く復興しております分が、戰前実績をオーバーいたしておりましたところへ、資材関係及び操業区域事情からして、戰爭前よりもかつおまぐろの船を著しく殖やすことはいけない、こういう考えが出てきたのであります。片方逸早く復興したものは、戰前実績より余計つくつておる。しかも全体のわくはこれで切るという問題、この二つの問題が起りましたために、立ち遅れた地方は從前もつておりました数だけは復興できない。それだけを復興いたしますと全体のわくが突破する、こういう事態に相なつたのであります。これは私の方の遠洋課の方で漁業の許可をどうするかということを審査いたしました結果、保戸島の出漁團というものと保戸島の遠洋出漁組合というこの二つの主体に対して漁業の許可をする、こういうふうな決定を見たのであります。その決定に基きまして、私の方といたしましては、必要な資金復興金融金庫から融資をするという決定をいたしたわけであります。從いましてこの問題はまず漁業の許可の問題が先にきまつてまいつたわけであります。もちろん私どもといたしましては、資金をきめます際に、その漁業の許可の主体につきまして一應の檢討はいたしたのであります。しかしこれはかつおまぐろ漁業の許可の担当官から、いずれも戰前においてかつおまぐろ漁業の経驗者である、こういうような証言があつたのでございます。私どもといたしましては、その証言に基きましてこの件はきめたわけでございます。  それから浦浜寒天の方は、これは最近実は一應の内容をいたしたのであります。これはどういう考え方かと申しますと、大分縣には寒天の原草が相当たくさんある。しかしながら從來大分縣においてはそれを寒天に製造するまでの仕事はあまり行われておらなかつたのであります。ところがその浦浜寒天の仕事を実際にやるという人は、朝鮮において寒天を製造しておつた経驗者でありますが、その人が引揚げてまいりまして、大分の豊富にある原草を寒天につくることに成功した。これに対して縣も非常に應援をして、大分縣の資源を大分において有効に利用するという計画であるから、ぜひこれについては復興金融をつけてもらいたいという縣からの要望があつたのであります。私どもといたしましては、寒天につきましては特に試驗的な意味をもつているものについては融資をするという考え方でおります。そのほかに二、三件寒天関係が出ておりますが、これもそういう意味におきまして、特に從來の主産地でなかつた所で寒天ができるということになれば非常に意味があるというような係官の証言によりまして、これを一應決定いたしたのでございます。ところがその後いろいろ伺いますと、この企業はまだ全然現実化されておらない。おそらく幽霊会社ではないか。また金を借りてほかのものをつくつている。こういうような御指摘もございますので、これは私どもとしては決定を一應留保いたしたいと考えます。まだ私の方で復興金融金庫に対して、これを融資してよろしいという申送りをしておりませんので、これはその申送りを留保いたしまして再調査をいたしたい。こういうふうに考えます。私どもといたしましては、そういう融資が不当であるという事実がわかりましたならば、他のどの件につきましても同樣な措置をとりたい、こういうふうに考えるのでございます。もちろんこれが審議について私どもが怠慢をいたしたという責任がもしありますならば、これは私ども当該官吏といたしまして責任をとらざるを得ない、こういうふうに考えるのでございます。  次は引揚漁民に対する復興金融についてどういうふうに考えるかというお尋ねでございます。私どもといたしましては、現在水産業に対する復興金融金庫融資といたしまして、産業資金計画の中に織りこんでおられます中から、できるだけ終戰後の水産の重点的な再建復興をやつてまいりたい、こういう大きな方針で考えておるのであります。從いましてたとえば重要な漁船の建造とか、あるいは重要な場所における製氷冷凍設備の建設とか、そういうものについて最も多くこの水産の資金が利用せられておるのでございます。ただその場合に、すでに海外において漁業に從事しておられた、そして内地に引揚げてこれらて、どうしても漁業をもつて身を立てなければならないという方々に対しましては、特にある程度生産の復興という順位とにらみ合わせて、順位を上げても、引揚者の方々には融資をしなければならないと考えております。ただ引揚者に対する融資につきましては、御承知のように、そういう産業的な見方でなく、引揚者の更生を助けるという意味をもちまして、特に復興金融金庫の計画があるのでございます。これは水産関係とは無関係にそういう融資わくがあるのでございます。でありますから、そのどちらのわくから復興金融金庫の金を出すかということは、そのときどきの問題になつてくる。そのどちらがより適当かという問題になつてまいるのであります。從いまして水産のわくから相当引揚者に対する融資も出ておりますが、引揚者に対する融資全部を水産のわくで出すということにも考えておらないのでございます。 以上私ども金融関係の仕事を担当しておる関係で、どういう事務的な内容で事柄を決定しておるかということを御説明申し上げたのでありますが、なおわれわれの力に足りないために、われわれが今までやりました分につきましていろいろな問題があるといたしましたならば、その点は十分御指摘いただきまして、もし訂正のできるものであれば、訂正してまいりたいというのが私の氣持でございます。  次の水産業團体監督に対する責任という問題でございます。私どもといたしましては、終戰後水産業團体漁業会、水産業会等に対しまして、いろいろな問題が起つておるということはもちろん承知いたしております。その全般の詳細な事実につきましては、必ずしも私どもが全部これをつかむというわけにまいりませんので、その事実について耳にはいりました分につきましては、そのときどきにその措置をいたしておるのであります。私どもといたしましては、決して水産業團体の不正を見逃すとか、これをうまく扱うとかいう考えは毛頭もつておりませんことをお聽取り願いたいと思いますが、御指摘になりました具体的な大分縣水の問題につきましては、帳簿閲覽をさせないということは非常に問題だと思います。これはおそらく漁民の側の公正なり資材の配給その他公正なる縣水の運用ということに対する声に対して、帳簿を見せないというような方法でこれをおおい隠すべき問題では絶対にないと思うのであります。この意味で私どもといたしては、大分縣水の問題はなお十分に資料を集めて、実情を調査いたしました上で、しかるべき措置をとりたいと思います。  以上をもつて一應の御説明といたします。
  5. 金野定吉

    金野委員 ただいま漁政課長からの答弁でありましたが、私ども質問するときには、具体的な資料をまとめて質問しておるわけでありまして、たとえば金融の面において行われた大分縣のことでありますが、確かにこの保戸島は戰災に遭つて、まじめな漁民は氣の毒な状態にあるかとをわれわれは知つております。しかもこの島に漁業者が約六百人ほどおりますので、これらの人々の全体の更正を眞劍に、漁民組合の立場においても考えていかなければならぬのでありますが、そういう更正という趣旨のもとに金融がとられておりながら、その金を利用しておるところの階級の中には、全然今まで漁業者ではなかつたという者が幅をきかしてやつておる。これは縣の係官から強い意見があつたということでございまするが、そこが問題なのであります。縣の係官意見というものは、一應役人であるから、役人は役人の意見を尊重しなければならぬでありましようけれども、そこに非常に不正が行われておりまして、戰災漁民復興をはかるという趣旨で融資をされながら、それを縣の係官と結託をして、漁民ではない者が惡用しておるということになりますれば、重大な問題であると思う。そういう具体的な事実があるのであります。名前もわかつており、それが金を使つて何をやつておるかということも私はここにもつておりまするが、ひとり大分縣の問題ではなくて、われわれの組合の調査部から全國的な具体的な資料をとるつもりでありますから、その資料がそろつた後に、漁政課から出された資料と対照いたして再質問したいと思いますが、われわれの調査によるとそういう状態であります。この責任を一体どうするかということでありますし、また会議の場合にはみなが議論して結論を得るというのでございますが、そういうあり方は一見民主主義的なあり方には相違ないのでありますけれども、その議論が議論になつておらない。融資を與えるために承認をするということも、話合いの方で会議を開いておるのでありまして、ほんとうの漁民意見はその委員会に反映しておらない。もつと具体的に言うならば、役人と業者とが個々のつながりをもつてつて、そのつながりをもつておる役人が委員会において発言するのでありますから、同僚の発言に対しては、この委員会はなるべくこれを通すという生ぬるいというか、きわめてでたらめな、形だけの会議の形態をもつておるところに、こういう欠陥が現われておると考えております。  もう一つの問題でありますが、浦浜寒天、これは加工水産課に行つてみても、会社の実体がない、何をやつておるかわからない。そういう状態におかれておりますので、これに対して金融承認を與えるということは、明らかに私が今申した通り、何らかの因縁によつてそういうことをやつておる。そういうことをやつておる大分縣水産課長自体の責任もあるであろうが、その承認を與えるところの漁政課責任は最も大きい、かように考えておるのでございまして、これらの問題は、ひとり大分縣の問題でなくして方々にかなりあるのであります。たとえば私山形でございますが、山形縣の場合でもそういうようなものがありまして、縣がそれを判定する場合には嚴重にやつておる。事実日にちはかかるのでございますが、係官を派遣したり、あるいは地方事務所の水産課を通じて調査させたりして、具体的にわれわれは取上げておるのでございますが、われわれがなぜそんな問題までタッチいたしまして具体的に取上げるかということは、既存の漁業者がきわめて困難な漁業を営んでおるのでございまして、まずもつて既存の漁業者の業を活溌にやらしむる方法を考えなければならぬ。それにはまじめな調査も必要であろうし、まじめな金融も必要であろうし、まじめな決定も必要であろうと考えて、われわれ自身もやつておるのでありますが、そのわれわれの調査、われわれの決定地方にまいりますとうやむやになりまして、決定決定にならない、調査調査にならないという面が非常に多いのでございまして、われわれはこれに対しては、はなはだ遺憾だというふうに考えておる次第であります。  それからもう一つございますが、引揚者の問題でもそうであります。確かにわくのあることはわれわれは知つておる。しかしそのわくだけでは引揚者自体はまつたく更正できない。全國の漁民の引揚者というものは完全に失業状態におかれておるのでございます。漁師の経驗のない者に融資をする金があるならば、このまじめなる、戰爭によつて大なる犠牲をこうむつた引揚漁民に対して、融資をすることは当然の措置である。わくがあるからそれでいいと思つても、そのわくだけでは全体の引揚漁民は更正できるとはわれわれ考えない。これは農林当局もさように考えてもらわなければなりませんし、こういう点に対してはむだな融資を行わないで、一人でも多く戰爭によつて犠牲になつ引揚漁民の再起を、官僚も政治家も一緒になりまして、取上げていかなければならぬ問題だというふうに考えておりますが、それを一片のデスク・プランによつて、そういうものがあるからいいのだという考え方は間違いだ、機械的な考え方であつて、一つの行政面に携つておる官吏の責任であると私は考えておるのでございまして、この点を愼重に取上げていただきたいと申し上げたのであります。  水産團体の問題でありますが、水産團体を私たち民主化するということで、議員もそうでありましようし、われわれも苦労しておるわけでありますが、この民主化に対しまして、逆に反動的な封建的な思想を與えておるような面が多いのであります。これはわれわれは政治的な面からやつていくし、また行政官は行政的な面から、水産團体の惡い点があるならば民主化を促進していくということにならなければならぬじやないか、かように考えておるのでございまして、この監督は嚴重にやつていただきたいと考えておる次第でございます。時間も経ちましたし、緊急質問として出しましたので、われわれの調査ができ次第さらに再質問することにいたしまして、本日はこれで終ります。
  6. 川村善八郎

    ○川村委員 ただいま復金金融のことで緊急質問がありましたから、関連して一言質問したいと思います。復金の性格については私もよく承知しておるのであります。本日もらつてこの表を見ますときに、復金金融はもう少し公平にしなければならない、かように感じておるのでありますけれども、ただいまの御説明によりますと、必ずしも惡意でなかつたということも承知しております。ただここに表を見てわれわれの一番感ずるのは、どうも復金金融は特権階級の、資本家にのみ流れておるというような感じがするのであります。將來沿岸漁業に対する復金金融をいかにすべきかということをわれわれが考慮しなければならない。從つて今後の沿岸漁業に対する金融をどう考えておるか承りたい。  第二点は、先ほども戰災漁民の問題でいろいろお話がありましたが、御承知通り今戰災漁民がずいぶん失業しております。特に北海道方面では、樺太から引揚げ漁民が多いのでありまして、これらの漁民の失業も相当あるのであります。これは何とか救済してやらなければならぬ。かように考えております。なおまた御承知通り、北海道は日本の水産の宝庫であるだけに、北海道の魚田の開発も相当顧慮しなければならぬ、かように考えております。なおこれと並行いたしまして、富山縣、福井縣、新潟縣からの失業漁民を、北海道で受入れることはできぬかというような申込みもあるのであります。これらと併せて考えましたときに、北海道の新魚田の開発に大きな力を入れなければならぬじやないかと思います。しかしこれらの新魚田における漁業を、どういう方法でやつていつたらいいかということも、まだはつきりしておりませんし、さらにこの戰災漁民というものを、その漁業と結びつけて、どうしていつたらいいかというような案も立たないのであります。これは案が立たないことはないのでありますが、要するに案を立てましても、資金の問題が一番重点となるのであります。でありますから、魚田開発に要する資金、あるいは戰災漁民の受入れに対する今後の資金をどうお考えになつておるか。この二点をお伺いしたいと思います。
  7. 永野正二

    永野説明員 沿岸漁業に対する復興金融金庫融資が、遠洋漁業のそれに比べて非常に少い、手が遅れておるという御指摘は、実は私どももまつたく同感なのであります。それは復興金融金庫から水産関係資金で出ることになりました発端から御説明しないとわからないのでありますが、実はこの発端は軍需補償の打切りて関係があるのであります。戰爭中漁業者は自分の持つておる船を徴用せられました。それも安い徴用料で、船が沈沒した場合には軍需補償がもらえるということで、がまんにがまんを重ねておりましたが、その後終戰になりました結果、この軍需補償さえも打切りになる、こういうまことにお氣の毒な状態になりましたために、これをきつかけといたしまして、私どもといたしましては、その軍需補償の見返りという意味で、漁船の建造に対する復興金融をしなければならぬということが、この水産開係へ復金の金で出始めた発端なのであります。その後水産業が戰後どういう地位を占めているか、その重大性からいたしまして、だんだんこの発端の趣旨から拡がつてはきておりますけれども復興金融金庫の金が水産全体について、どの業種に対しても、どういう種類についても融資されるという態勢までは、未だ行つておらないのであります。水産局のわれわれとして、これはまことに残念なことでありますけれども、第一に日本全國の沿岸漁業のやつておる形が、復興金融金庫から融資をするに非常に適当でない、事務的に非常にむずかしい点があるのであります。御承知のように、大きな漁業会社に対しましては、從來興業銀行、勸業銀行等も相当融資をいたして経驗をもつているのでございます。從つて復興金融金庫融資をするという場合にも、ある程度今までにありました経驗その他を利用して、審査する力があるわけであります。ところが全國の三百万漁民のやつております漁業なるものは、非常に形がまちまちで、大部分の場合零細な形態であります。そういう零細な形態に対して、現在のような復興金融金庫の事務的組織、また復興金融金庫考え方融資ができるまでには、これは非常な隔りがあるのであります。私どもといたしましては、沿岸漁業全般の振興をはかるための資金については、ぜひとも零細な沿岸漁業者の特別な立場も十分に考慮に入れた組織の金融機関が必要ではないか、こう考えております。その点で私どもとしては、農林漁業の特別な國家資金金融機関として、最近問題になつております農林復興金融金庫というものを考えているのであります。もちろんこれが政府全体の正式な案になるまでには、まだいろいろな経驗があると思いますが、私どもとしては、この沿岸漁業全般に対する融資を円滑にするためには、この案をぜひとも実現させなければならないと考えているのであります。この点については、國会の方におきましても十分な御推進をお願いしなければならないであろう、こう考えております。  次に引揚漁業者あるいは北海道の新魚田へ入植する人々への資金の問題であります。これも今の沿岸漁業に対する融資と同じような点で、現在の復興金融金庫を利用するということについては、非常にむずかしい点があるのでございます。大体新しい魚田にほかの土地からはいりこんで仕事をするという場合には、経営が安定するまでに若干の時間をかさなければならないのでありまして、ほかのかつおまぐろ漁業でありますとか、底引の漁業でありますとかいうふうに、船さえあればすぐ收益があがるという場合と非常に事情が違うのであります。從つて現在の復興金融金庫水産関係金融のような短期の金融では、これは償還がむずかしいということになるのであります。そこでわれわれといたしましては、これは補助金で賄うべき面が相当あるということで、補助金の要求をいたして相当がんばりましたけれども、われわれが予期したほどの補助金はとれなかつたのであります。そこで残りの部分は、どうしても融資によつてその資金を賄わなければならないということになつているわけでありまして、この点については、最近非常に苦慮いたしておるのでございます。特に水産業の復興に直接関係のあるような漁船の建造でありますとか、その他の生産設備をつくる金融につきましては、ほかの水産業関係と同樣な意味で、復興金融金庫の水産資金というものを利用してまいりたい、こう思つております。ただ全面的に引揚者なり新魚田に入植する人々の経営を安定させる資金を、現在の復興金融金庫に期待することは、非常に無理だと思うのであります。この点についてはほかの方法があるかどうかを、ただいま研究いたしておりますけれども、こういう方法がよろしいという結果はまだ生れておらないのでございます。さよう御了承願います。
  8. 川村善八郎

    ○川村委員 ただいまの御答弁によつて大体了承したのでありますけれども、私も復興金融金庫金融については、性格が違うだけに相当めんどうであることはよく承知しております。ただ私は今後、先ほど申し上げました戰災漁民の多数を救つていくことと、沿岸漁業に対する資金も充実していかなければ、ひとり戰災漁民引揚漁民のみの問題ばかりでなく、日本漁業にとつて大きな支障があるのではなかろうかを考えますので、私の私案を申し上げてみます。もちろん引揚漁業については、將來どうなるかというような不安定もありますので、これは資金の面についても、計画の面についても愼重に考えなければならぬのでありますけれども、船さえ建造すれば、ただちにできるという漁業は、必ずしもかつをまぐろのみでありません。北海道のいかつり漁業のごときは、船さえあればつり針一本でできる。これまつたく資本の最も要らない漁業であります。しかしてこれら乘組員というものは、一艘の船に多ければ四十人くらい乘ることができる。結局十艘あれば四百人、百艘あれば四千人というような漁民を收容することができるのであります。しかも大型でなくても、小型でも十分できる可能性があるので、金融さえあれば有効適切に漁業を経営することができるのであります。しかも新潟、福井あるいは富山の漁業者は、かつては北海道の函館を中心としたあのいか地帶において漁業を経営しておつた。ただ遺憾ながら現在は船がなければできないというなさけなさになつているのであります。でありますから、先般福井縣出身の代議士並びに富山縣出身の代議士ともいろいろ話し合つたのでありますが、いかんせん、資金の問題が解決つかないので、仕事ができないという事情にありますので、これらもよく調査し、さらにあなた方の指示を與えて、両々相まつてこの資金計画、事業計画を立てて、戰災漁民並びに引揚漁民を收容するならば、相当効果があがるという確信をもつておりますので、これらもどうか併せて御調査願いたいと思います。  次にただいまの金融問題とは別個に、最も漁村に重大な問題として考えなければならないことは、終戰後各産業におかれましては、民主的にしかも合理的に経営いたしまして増産をはかると同時に、利益の均霑をはからなければならぬということで、もうすでに実行に移されつつあるのであります。ひとり漁村の問題に限つては、先ほど申しました漁村の民主化とか、あるいは合理的漁業の経営によつて増産をして、福利の増進と漁民の利益の均霑をはかるということが叫ばれておりまして、第一回の國会においても、この問題を取り上げて漁業法改正と、さらに團体法の改正がいろいろもち上つたのであります。しかしながらすでに一年有余の今日に至りましても、漁業法の改正法案もできませんし、なお水産團体法の改正も関の見るところがないというようなことは、まことにわれわれにとつて遺憾千万だと思うのであります。漁村の今日を見ますときに、この両法が出るということは、第一回の國会当初からの問題でありますので、相当に関心をもつておりますと、さらにこの漁業経営の面につきましても、漁業権の將來ということについて非常に関心をもつている。一例を申し上げるならば、今まで賃貸をしておつたものが、今度はただ名目だけは共同経営にして、その利益のみ蚕蝕するというようなことで、今まで賃借をしておつた経営者に食い込んでおるというようなことや、あるいは多額の金で賣りつけておるとか、あるいは今までの單なる経営者が、それがために漁業権を失つて苦んでおるとか、そうした部面がたくさん現われてまいつて、いわゆる漁業権に絡んで、漁業の不安状態がますますつのつておるという状態であります。さらに團体料に絡んでは、今までは漁業会が法律によつて保護されて今日まで経営してまいつたのでありまするけれども、一体いつ協同組合法案が出て、いつわれわれに解散が命ぜられるのであるか、あるいは協同組合法案が出ますると、このままの姿ではいけないのだから、どうすればよあのかということで、非常に迷つてつて漁業会の経営すらめんどうになつたというようなことに陷つておりまして、いずれもこの両法案の提出が遅いだけに、漁村の不案がますます深刻になり、かつこれによつて増産を阻んでおる点が相当に対いのであります。われわれは第二回の國会において、必ず提案できるものなりと信じておつたのでありますけれども、まさに第二回の國会も会期延長して二十日になつておりますが、これらもめんどうだということを聽きますときに、われわれが漁村に帰つて、どうして漁民をなだめたらよいか、あるいは増産に挺身せよと言つたらよいか迷つておるようなわけでありますので、一体いつごろどういう形で出せるかという、その目案をここにわれわれに説明を願いたいのであります。もちろんそういう内容のことは、ある方面の了解も得なければならぬので、相当めんどうな問題だと思いますけれども委員会の公開の席上でできないとすれば、協議会でもあるいは懇談会でもよろしいのでありまするから、今申し上げましたようななり行きと、それから將來について、内容等もよく御説明願えれば、安心して漁民も納得がいくようにできると思いますので、その点についてお伺いいたしたいと思います。
  9. 馬越晃

    馬越委員長 ただいまの御質問に対しましては、あらためて藤田政府委員からこの問題に対する経過その他につきまして御質問に答える機会をつくりたいと思います。さよう御承知願います。  目下本委員会に付託されました法案もありませんので、あらかじめ公報によつて御通知申し上げておりましたように、本日より請願及び陳情書を付議いたすことにいたします。漁港船だまり等に関する請願は後日一括して付議いたすことにいたしまして、その他のものを付議いたしたいと存じます。都合によりまして請願より先に付議いたします。紹介議員の御出席のないものは後回しといたします。  まず日程第二、水産廳設置その他漁業に関する請願多賀安郎君外八名紹介、文書表第一三七号、日程第八、漁の公定價格改訂に関する請願松原一彦紹介、文書表第四二二号、日程第一〇、魚介類小賣利潤改訂に関する請願中原健次君外一名紹介、文書表第五二九号、日程第一三、水産業対策に関する穂願、馬越晃外一二名紹介、文書表第六七九号、右四件を一括議題とし紹介議員の御説明を願います。
  10. 多賀安郎

    多賀委員 私は岡山縣下五千の漁民代表が本年一月二十七日、岡山市に参集して挙行いたした岡山縣漁民大体の決議に基く、岡山縣三万漁民眞劍なる請願について御説明いたします。さらに穂願第四二二号、同第五二九号、同第六七九号はいずれも私照会の請願内容に関言をもちまするので、併せて御説明申し上げます。何とぞ委員各位の然烈なる御支援のもとに、本請願を御採択願いますよう強く希望いたす次第であります。  まず第一に、速やかに水産廳を設置していただきたいのであります。すなわち現下の食糧危機突破のためには、勤労漁民の一層の奮起を要することは論をまちませんが、水産業が強度に統制され、その権限が政府に集中されている今日におきましては、一面これと車の両輪をなすべき水務行政の強力なる一元的整備拡充が不可欠の要素であります。  第二は漁業協同組合法案を速やかに國会を提出して、これが成立を期したいのであります。漁業会解散後における漁民団体の法制化については、漁民として非常なる関心を寄せております。よりどころのない不案な生活状態に放置されたままでは、勤労漁民の生産意欲に大いなる惡影響を與えている現状であります。解放を予想される漁業権の帰属問題とも関連して、本法案の速やかなる上程成立を熱望しておる次第であります。  第三は漁業法の改正を速やかに断行していただきたいのであります。漁業権は本來眞に働く漁民のものであるべきであつて、これが改正に際しましては、生産漁民の自主的團体たる漁業協同組合に付與すべきは当然であります。従いまして、一部に傳えられるがごとく、漁業協同組合と漁業権を分離するかごときことの断じてないように、強く要望いたす次第であります。  第四の鮮魚介の公定價格は十種類以内の大衆魚にのみ限定し、他の自由價格にしていただきたいのであります。國民大衆の栄洋を確保するため、鮮魚介の普遍的配給をするのが統制の限目でありますから、大衆魚を嚴重なる統制のもとに計画配給をなし、その他の高價魚は、先般統制圏外に解放された範囲をさらに拡大して、勤労漁民の生産意欲を増進し、併せて困窮の極にある沿岸漁民の生活に活況を開くことは、きわめて喫緊事であると思うのであります。  第五は漁業資材配給方法の改正を要望すたすのであります。現下の漁業資材の政府割当方法は、経驗と確信乏しき官僚の独断割当でありまして、漁業者の眞の実態を把握し、その上に立脚した配給方法でなければ、資材の眞價を発揮することはとうてい困難である。また民主的ならざるために、はなはだ不明朗なるそしりら免れぬ次第であります。ここにおいてわれわれの考えられることは、中央割当委員会のようなものを速やかに確立し、これに民間よりいろいろの代表者を参画せしめて、割当の適正を期すべきであつて、特に資本漁業に対する比率、また各都道府縣に対する衆当等を協議し、直接生産者代表をこれが割当に参加、協議せしめることによつて資材割当に対する不案を除去するようにいたすことが最も適当であると考えるのであります。  第六は漁業用燃油取扱方改正に関する件であります。漁業資材のうち最も重要な燃油は、現在のごとき取扱方針によつて続行されている限り、決して生産の増強は考えられないのであります。すなわち過ぐる無から、生産者は血みどろの鬪いによつて、財閥の手から獲得した燃油取扱の権定を、何ら理由なく、再び彼らの流れをくむ石油取扱業者によつてこれを扱わしめることは、生産者をいたずらに彼らの搾取下におかしめる結果になつて、断じてこのようなことは許されないと考えるのであります。この取扱は、生産者の團体として將來誕生すべき運命にある漁業協同組合並びに同連合会に付與するのが最も妥当であると考えるものであります。  第七は漁業用マニラ・ロープ、原麻等の輸入増加方懇請の件であります。漁業資材はいずれも乏しく、もつとも連合軍総司令部の絶大なる援助によつて漁業用燃油については相当量の入手を見ておることは、われわれの衷心から感謝にたえないところでありますが、現在マニラ・ロープ、原麻のごときは全然入手の方法なく、漁業生産者はこれが入手を渇望しておるような次第であります。この点は特に連合軍司令部の御理解と御援助によつて、これが窮状打開のため、今後輸入増加の許可方を特に考慮していただきたい。  第八は加配米増加方要望の件であります。現下の食糧事情の緊迫に鑑みまして、水産廳の役割は大きなものがあります。しかしながら漁民稼働の源泉であるところの食糧の不足は、ただちに生産に大きな影響を及ぼすことになるのでありますが、稼働日数による加配米制度を廣く沿岸漁業者にも採用されたい。沿岸漁業だけに加配米がない。供出量百貫に対し二升五合の供出報奬制度が採択されたばかりで、現在の制度は沿岸漁業者の生産に対し、精神的にもかつ肉体的にも、重大なる生産阻害の一大原因を與えておるのであります。  次に戰爭による海底沈沒障害物除去についてお願いしたいのであります。戰爭の残骸たる船舶、機雷等海底沈沒障害物のために、溝業海面が一層狹くなつたのみならず、この障害物によりまして貴重なる漁業資材を失うことはなはだしく、生産に重大なる支障を來しつつある実状であります。しかしながらこれの除去の作業はきわめて困難でありまして、かつ莫大なる経費を必要とするのであります。政府はこの実態を速やかに調査するとともに、國庫補助を支出するか、または政府の責任において速やかにこれら障害物を完全に除去し、もつて生産を増強せしめるような施策を講ぜられんことを希望いたすのであります。  最後に瀬戸内海漁業振興策の樹立についてお願いを申し上げます。瀬戸内海における漁業の特殊性を議認せられて、ただちに、たとえば瀬戸内海漁業振興会のごときものを設置され、これに内海漁業者代表を参画せしめ、速やかに瀬戸内海漁業の総合的振興対策を樹立し、即時これを施行せられんことを強く希望いたす次第であります。何とぞ委員各位におかれましては、このような沿岸漁民の窮状を御了承くださいまして、本請願を御採択くださいますよう強くお願いを申し上げる次第であります。
  11. 馬越晃

    馬越委員長 ただいまの請願中には、水産廳設置の問題等、閣議の承認を得てただちに法案として國会に提出を見んといたしておるもの等、すでに具体化しておるものもございますし、一部政府の説明を求めるべき点もあるのでありますが、本日は水産局長よんどころない用件のために出席できませんので、これが説明は後日に譲ることにいたして、本日はこの程度で留保いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 馬越晃

    馬越委員長 御異議なければさように決定いたします。次会は公報をもつて御通知いたします。本日はこれをもつて散会いたします。     午後零時十七分散会