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1948-05-20 第2回国会 衆議院 水産委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年五月二十日(木曜日)     午前十一時三十四分開議  出席委員    委員長 馬越晃君    理事 夏堀源三郎君 理事 西村 久之君    理事 庄司 彦男君 理事 三好 竹勇君    理事 鈴木 善幸君    川村善八郎君       坂本  實君    關内 正一君       冨永格五郎君    仲内 憲治君       加藤 靜雄君    藤原繁太郎君       矢後 嘉藏君    宇都宮則綱君       内藤 友明君    外崎千代吉君  出席政府委員         農林事務官   藤田  巖君  委員外出席者         專門調査員   小安 正三君     ――――――――――――― 五月十日  魚介類小賣利潤改訂に関する請願中原健次君  外一名紹介)(第五二九号)  内水面水産増殖に関する請願田中源三郎君紹  介)(第五四九号)  伊達町に漁港築設の請願(稻村順三君紹介)(  第五五八号)  柏漁港修築請願井谷正吉君外九名紹介)(  第六〇九号)  眞穴村穴井に漁港築設の請願井谷正吉君外九  名紹介)(第六一〇号) 同月十一日  標津村薫別に漁港築設の請願伊藤郷一君紹  介)(第六四四号)  羅臼村の各河川に鮭鱒孵化場設置請願伊藤  郷一紹介)(第六四七号)  上濱村小砂川に船溜築設の請願村上清治君紹  介)(第六五六号)  水産業対策に関する請願馬越晃君外十二名紹  介)(第六七九号)  羅臼船入澗拡張工事施行等請願伊藤郷一君  紹介)(第六八一号)  貝取澗村船入澗築設請願冨永格五郎君紹  介)(第七二四号) 同月十二日  久慈漁港修築請願山崎猛紹介)(第七四  二号)  稻取漁港助成請願小松勇次紹介)(第  七八二号)  羽幌漁港修築請願坂東幸太郎君外三名紹  介)(第八〇一号)  泊村に船入澗築設請願川村善八郎紹介)  (第八三七号)  尾札村木直船入澗築設請願川村善八郎紹  介)(第八四三号) 同月十四日  網走支廳管内オホーツク沿岸北海道水産試  驗場支場設置請願永井勝次紹介)(第九  〇五号)  沿岸漁業助成に関する請願馬越晃君外一名紹  介)(第九三三号)  船泊船入澗拡張工事施行請願和田敏明君紹  介)(第九五四号) の審査を本委員会に付託された。 五月十日  漁村対策に関する陳情書  (第二三九号) 同月十九日  水産物生産増強等に関する陳情書  (藏第三四  二号)  泊村に船入澗築設陳情書  (第三六一号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  國政調査承認要求に関する件  水産業手形及び水産廳に関する件     ―――――――――――――
  2. 馬越晃

    馬越委員長 ただいまから会議を開きます。庄司彦男君
  3. 庄司彦男

    庄司(彦)委員 私は本委員会使命水産業発展拡充食糧問題の解決にあり、あたかも職能代表ような観を呈しておるようにときどき見受けるのでありまするが、本委員会使命のもう一つ大きい使命として、一般消費國民がいかに廣價に、いかに豊富に蛋白質を攝取することができるかということについて、相当努力をしなければならないだろうと思います。実際寒い夜、また雪の荒海に命がけで行く漁民心意氣というものは、われわれ國民として、消費者として感謝すべきことであると、私は常に心に思つておるのでありまするが、この漁民精神配給機構にも体得してもらいたいということを常に念願しておるのであります。実際漁民がたくさんとつて、これをいかに安く、いかに豊富に消費者配給ができるかということを漁民が念願しておるということは、常に地方から陳情なんかに來ておる漁師が、自分らの命がけでとつた魚は安く供出させられ、東京なんかの店先に出ておるのは、実に思いも及ばない高價に賣られておる。あれでは生産意欲をきわめて低下するということを、われわれよく耳にするのでありまするが、これは荷受機関連中、いわゆる中間に立つ連中のきわめて不道徳的な行為である。その結果がそういう生産漁民に対して惡感情を與えておるだろうと私は信ずるものでありまするが、最近の新聞に、東京の大きな大部分荷受機関が、十億近い厖大なやみ行為をしておるということが出ておる。しかもそれに対しては司法権の発動が傳えられておるのでありますが、こうした中間機関行為というものが國民の栄養を奪い、また犠牲を拂つておる漁民犠牲をむだにしておるということを考えますとき、私は当局がこの許可それから監督に対して、どういう態度をもつて今日まできておるかということを、まず当局に伺いたい。それともう一点は、東京やみ行為はきわめて大仕掛なものであるということが傳えられておりますが、少くとも東京日本國人口の一割をもつておる厖大な消費都市でありますから、これらの大きいやみ行為に対しては、本委員会で少くとも調査委員会あるいは査問委員会というようなものをつくつて、徹底的に洗い上げて、そうしてこの結果を全國の配給機関、いわゆる荷熟機関に対して警告を與えるということが、私は必要ではないかと思う。当局の御意見と、本委員会に対して、私は東京の大きいやみ行為に対する調査または査問委員会の設立を要望する次第であります。
  4. 藤田巖

    藤田政府委員 御承知通り從來大消費都井荷受機関は單一でございましたのが、いわゆる複数制を採用いたしまして、最低責任数量の入荷を確保し得るようなものについては、これを荷受機関として相当数認めていく、こういうふうなやる方でまいつておるのであります。実際問題といたしまして、ちようどその制度の過渡期でございますので、荷受機関の中にはあるいはいろいろのものがあることは事実であろうと思うのであります。ただ最近起りました東京荷受機関やみの問題につきましても、現在檢察当局によつていろいろ取調べが進められておるわけであります。まだ私どももその眞相を聽いておりません。その眞相が明らかになる件いまして、よく檢察当局とお打合せをいたしまして、それぞれ善処したいと考えております。ただやみがどうして起るか、その根本の問題については、いろいろ研究しなければならぬのであります。生産者といわず、荷受機関といわず、あるいは出荷機関といわず、あるいは小賣機関といわず、すべてのものが非常に苦しい立場になつていることは御承知通りであります。從つてやみがいかにして起るか、その眞相をよく探究して、やみ根源が起らないように、いろいろの点において是正するというふうなことも一方考え、なお惡質のものについては、これを断固として取締つていくというふうに、両々相まつていたさなければ相ならぬのではないか、と考えておるのであります。なおこの問題については、先ほど申しましたように、取調べの結果は私ども聽いておりませんので判然しませんが、それが明らかになりました折には、愼重に考究いたしまして善処したいと考えております。
  5. 馬越晃

    馬越委員長 お諮りいたします。庄司君の今の御発議でありますが、本委員会でこの問題に関して、査問委員会ようなものをつくつて、これを査問するというような御意見が出たのでありますが、どうでございましよう水産委員会として、この案件について査問委員会を設けて、査問することができるかどうかという問題も、大いに研究余地があると思います。ただ調査をするということなればできると思うのですが、査問委員会設置につきましてはどうでございましようか。
  6. 夏堀源三郎

    夏堀委員 庄司君のただいまの提案査問委員会のことは、当委員会においてこれを取扱うことは困難なことであろうと思います。また不当財産取引委員会においてさえも困難じやないか。委員会には委員会としてのおのずから使命があるのであります。特にやみ問題については、これは水産ばかりじやない、ほとんどもう全体にわたつておるのであります。このやみ問題を各委員会で取扱わなければならぬということになれば、非常に煩わしい問題である。それで当委員会の権限の問題ということに関しては、非常に困難な問題でありますから、私は賛成いたしかねます。
  7. 庄司彦男

    庄司(彦)委員 これは煩瑣だとか、めんどくさいということはありますが、ただいま局長が言われたように、やみ根源を突くためには、これを徹底的に調査して、こういう事実があるからやみが起るのだ、だからこういう事実はこういうぐあいに改訂しなければならないのだという基礎材料をつくる意味においても、この水産委員会使命じやないか。やみが起ることをあたかもあたりまえのように今考えるということは、占領治下におけるわれわれとしては断じて承服できないことである。現在の法律がある限りは、たといそれが苛酷なものであろうとも励行する。そこに情状酌量することがあつたならば、われわれは多少そこを緩和しなければならぬ。また苛酷であつたならば、これを改訂することがわれわれの使命だ。だからこの問題は徹底的に糺明して、いいところはいい、惡いところは惡い、なぜ惡いか、なぜやみが起るか、それならば委員会としては魚價にしても、あるいは資材方面についても、こういうぐあいにしなければならないということが言えるだろうと思う。ただ罪を犯した者を糺明するという意味でなく、委員会使命を達成する意味において、この査問委員会がだめであつたならば、調査委員会というものをつくつて、徹底的に材料を集める必要があると私は思います。
  8. 宇都宮則綱

    宇都宮委員 庄司君の提案は至極もつともな提案であると思うのでありますが、われわれは漁業会荷受機開さえ中間搾取であると思つておるのに、その荷受機関が大やみをするに至つては、これは言語道断のことであると思う。しかしながら査問機関を設けてこれを取調べるとか、あるいは追及するということは、はなはだ困難なようにも考えられるので、私はこういうものを取調べるには、不当財産取引調査委員会があるのでありますから、水産委員会ではこれを決議して、不当財産の方にまわして調査をさせるようにした方が便利でないかと思うのでありますが、いかがでしようか。
  9. 夏堀源三郎

    夏堀委員 査問委員会ということでは、ただいま申し上げたように、おそらく実行不可能と思います。その人々を査問するということは絶対できないということであります。ただやみ行為を根絶するために、いかなる方法をとるかについて調査研究することは必要であると思います。これに関連しまして、ちようど局長がお見えになつておりますので、御記憶にあるだろうと思いますが、私東京荷受機関に対しては、東京委員会に出ていろいろ意見を申し述べたことがあります。現在複数によつて二十数箇所の荷受機関が設けられておる。なるほど複数であるけれども、はたして二十数箇所の荷受機関を設ける必要が当時あつたかどうか、これは経済行為を営む團体として採算がとれぬ問題であれば、根本から解決策が講ぜられなければなりません。その当時私は、一荷受機関で一箇月に一千トンの取扱ができないものであれば、それは何かによつてその数量をカバーしなければならないということで、無理か生じやしないか、いわゆるやみ行為がそこに発生するのではないか、それをおそれるものでありますから、私は月一千トン以上の集荷の能力あるものに限定してもらいたいということを申し出たことがあります。それが現実の問題としてここに現われてまいつたのじやないか、そうして荷受機関の六大都市手数料も五分に引上げられたことも聽いております。五分に引上げなければならぬ理由はどこにあるか。しかもこれは生産者の全部の負担になるのであります。一千トン程度の集荷であれば、現在の三分でもなお余裕があるので、それを二十数箇所も許可して手数料も上げなければならぬ、やみもやらなければならぬということになつたならば、いわゆるその方法よろしきを得なかつたじやないか、そこに言及せざるを得ないだろうと思います。私は六大都市荷受機関に対して、一應その後の経過に顧みてこれは整理すべき段階に達しておるじやないか、手数料を値上げする。そうしてそれによつてなおやみが根絶するかと言えば、そうでもないと存じます。内容的にはもうちよつと檢討すべき余地があるだろうと存じます。そういう意味から、当委員会においてもこの問題を取り上げて、特に東京荷受機関に対する再檢討をする必要があるだろうと存じます。この点に対して当局の御所見を承りたいと存じます。
  10. 藤田巖

    藤田政府委員 荷受機関相当乱立をしており、その結果としていろいろ苦しいために、赤字補填のためのやみ行為が起るというふうな懸念については、相当どもも考えております。決して現在のようなやり方で、これで完全であるとも私どもは考えておらぬのであります。荷受機関複数制をとるにいたしましても、それをどういうふうな資格要件によつてこれを認めていくかということについては、私どもも現在いろいろ研究をいたしているところであります。御趣旨の点については私どもも十分感じております。ただ具体的に、しからばいかなる條件にかなつたものを認めていくか、その数をしからば具体的にいくつにきめていくか、そういうことになりますと、相当むずかしい問題が現実にはあるわけであります。こういう点についても私ども研究をやつているわけでありまして、なおそういうふうな点につきましての委員会の方の御研究の結果、一つの御意見が伺えれば、私どもといたしましても非常に参考になると思います。
  11. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 庄司委員の御提案につきまして、私の所見を申し述べたいと思うのであります。今回の東京都の荷受機関に起りました不祥事件につきまして、各方面から非常な関心を拂われているのでありますが、これは生産配給消費の全面にわたつて掘り下げた檢討をしなければ、その的確な対策も、今後の指導方針も確立することができないのではないか、こう考えるのであります。査問委員会というようなものよりは、第一國会で本委員会が設けましたところの、魚價並びに配給に関する小委員会というような小委員会を設置いたしまして、生産配給消費の全部分にわたりまして、生産増強配給適正円滑化をはかる意味から、そこに適切な対策を求るべきではないか。特にドレーパー氏も言われましたように、今度相当日本経済を復興させてまいりますためには、今までの統制方式につきまして思い切つた檢討を加える必要がある。特に水産物ような技術的にも非常に困難なものにつきましては、現在の配給統制につきまして、根本的な改革を要するのではないか、こう思うのであります。最近各方面で取り上げております問題といたしまして、鮮魚につきましても、第一國会で本委員会決議いたしました趣旨に基きまして、家庭配給の対象になるべき多獲魚族、大衆魚に対する統制と、その他の高級魚等に対する配給方法とは、はつきりと線を引いて、適切な計画をもつて進むべきだと思うのでありまして、來る六月の物價改訂におきまして、價格の問題はもちろんのこと、この配給の問題につきましても、十分生産消費をにらみ合わせて、再檢討する必要があると存ずるのであります。こういう見地からいたしまして、庄司氏の御提案——水産物配給機構を整備いたしますための小委員会を設置されまして、そうして十分にやみ根源を衝き、明るい、しかも生産者に眞に奮い立たしむるような、また消費者をして安心せしむるような、合理的な配給機構を整備いたしますように、本委員会として対処すべきものではないか、こういうぐあいに考える次第であります。
  12. 馬越晃

    馬越委員長 ほかに御意見ありませんか——それではお諮りいたします。庄司君の御発議になりまする東京都における魚類やみ行為根源を衝くために、調査をしたらよかろうという御意思であつたのでありますが、ただいま鈴木君の御発言通り、これにはそれぞれ大きな根源があることと思いますし、なお配給機構とも非常な関連をもちますので、第一國会の当時設置いたしましたように、魚類價格及びその配給機構に関する小委員会を正規に設置したらどうかという御意見なのでありますが、そういう小委員会を設置することに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 馬越晃

    馬越委員長 それでは小委員会を設置することにいたします。なおこの小委員会を設置いたしますにつきましての、議長に対する事務的の手続、その他小委員指名等委員長にお任せ願つてよろしゆうございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 馬越晃

    馬越委員長 それではさように決定いたします。
  15. 藤原繁太郎

    藤原委員 私はただいま問題になつておりまする漁業事務税に対し反対の意を表明いたしまして、速やかに本委員会において、何らかの方法においてその阻止に当られんことを希望するものであります。すなわち政府におきましては、第二國会提出の新しき財源といたしまして、農業所得税漁業事業税創設を考えられておることは、皆さん方の御承知通りであります。しかして農業所得税におきましては、農林委員会その他の反対に遭いまして、これを中止するやに聞いておるのであります。ところが漁業事務税の問題につきましては、本委員会反対空氣並びに水産事務当局事務的反対立場、あるいはまた全漁民代表よりするところの反対にもかかわりませず、地方財政委員長野溝國務大臣は、漁は主食ではない、米麦のごとき主食に対して税をとるということは、今日の状態におきましては非常に不当である、だからこれは撤回するが、魚は副食であつて主食ではない、從つて日本食糧問題全般に対する影響ということは、大した考慮は拂われないという理由において、この漁業事務税撤回ということに不賛成である、こういうぐあいに私どもは聞いておるのであります。しかしながら今日の日本食糧状態におきまして、米麦と魚ということは、これは一貫した食糧でありまして、決して米麦と魚と切り離して考えらるべきものでないとわれわれは考えるのであります。從つてその見地に立ちまして、われわれは日本食糧というものを考えていくときに、ただいま申しましたところの野溝國務大臣の考うるがごとき、米麦主食であり、魚は副食である。何もそれほど氣にすることはないといつたよう從属的考え方は、そもそも食糧に対する考え方に大きな間違いがあると断ずるのであります。從つてかくのごとき観点に立ちまして魚を考え、漁業事務税を課しようとする考え方は、すでにそこに立税根本において大いなる誤りがあると存ずる次第であります。同時に今日の日本漁民というものは、御承知のごとくきわめて少い資材において、ほとんど全部がやみの物を買いまして、しかも供出しておる。こういう状態というものは、敗戰後日本食糧に、魚は重大なる役目をもつておるという崇高なる精神的考え方、それから外貨獲得への大きな國家的使命を果すという重大な精神上の作用によりまして、増産意欲というものはそそられておるのでありまして、從つて今日漁業事業税をかけ、しかもその立案根源において、魚は從属的な問題であるといつたよう考え方から漁民を見られる場合に、その結果はどうなるか。私は日本水産業というものは萎微衰頻し、もちろんわれわれの食糧の充足どころではない。かつまた、日本水産をもつて將來の立國の第一産業としようとする、現在における日本産業復興状態に大きな支障が起ると存ずるのであります。從いまして、それは單に漁民に対する課税云々とか、漁民負担が減るとか、増すとかいう端的なる問題ではなく、日本の再興に大きな支障がある。こういうような大所高所からの重大なる観点に立ちまして、この漁業事業税というものには絶対に反対の意を表するものであります。同時に本委員会におきましては、ただちにここに反対決議をいたされまして、それぞれの方法におきまして、この最も忌むべき漁業事務税撤回に、最善の努力をせられんことを私は今日強調いたしたいと存ずるのであります。
  16. 西村久之

    西村(久)委員 私は藤原委員提議に関しまする漁業事務税反対意見賛意を表するものであります。ややともすると、過去におきまして水産に対するところの認識を欠くきらいがあつたのでありまするが、今日それが漸く目覚めんとする際に、また水産に対する認識を欠くような、非常識極まる課税をするような傾向を認めまするこの漁業事務税に対しましては、全面的に私は反対意見を表明します。御承知通り漁業特定行為でありまして、行為税たる漁業税は納めておるのであります。しかして取得に関しまする所得税も納めております。しかるに別箇に漁業に対して特別の意味をもつた事業行為に対する税を納めなければならないという理由は、私は根拠がないのではないかと考えるのであります。特に皆さんの御承知通り漁業は荒天を衝く危險性を帶びた仕事でありまして、仕事をする際に事業税をかけられるということになれば、その上にまた税金の加重に追われるという苦しい場面に立ち行かなければならない結果を招來するのであります。地方財政委員会並びに政府当局は、農業事業税漁業事業税立案万に対して今研究中であられるようでありますが、これが法文化されまして地方税制改正案としてでも出ます際に、漁業に対してのみ偏つたところの課税をするよう案件があります場合には、私ども國家水産振興のために、全面的に反対をせざるを得ないよう立場に立つと思うのであります。さいわいにまだ確定もしていないようでありますから、水産委員会決議を経まして、そうして地方財政委員会なり、あるいは大藏当局なりに、水産の何物であるかを認識せしめられまして、この税の創設を見合わせていただくように、委員長においてお運びいただくことを附言いたしまして、藤原君の動議賛意を表します。
  17. 宇都宮則綱

    宇都宮委員 藤原君の漁業事業税に対しての御意見通り、われわれは絶対反対するものであります。のみならず今日大臣がかくのごとき認識を欠いたことを公言するというに至つては、これは言語道断だと思うのでありまして、まず大臣に一度この水産委員会出席を求めて、大臣の蒙を開かなければならないじやないかと思います。そういうよう大臣のあることはもつてのほかだとわれわれは考えるのであります。藤原君の提議に対しては絶対の賛意を表するものであります。
  18. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 社会革新党といたしましては、ただいま藤原委員より御提案漁業事業税反対の御提議に、全面的に賛意を表するものであります。と同時に宇都宮委員が附言されましたように、野溝國務大臣及び農林大臣につきまして、この農業事業税反対理由と、その必要性を十分認識させる必要があると考えますので、宇都宮委員の御発言通り委員長におかれましては、適当なる機会に両大臣の御出席を求めて、本問題を十分審議されんことを要望いたします。
  19. 西村久之

    西村(久)委員 各員の御意見はごもつともでありますが、本件はもうすでに間近にこれを決定する域に到達せんとしておる急を要する問題でありますから、とりあえず当委員会漁業事業税に対する反対意見を表明いたしまして、そうして委員長から地方財政委員会大藏当局に、その意を先に傳える必要を痛感いたします。よつて先決として、そういうお取計いに御賛成を願いたいと思います。
  20. 馬越晃

    馬越委員長 ただいま藤原繁太郎君より、漁業事業税創設反対の御動議が提出せられまして、これに対しましては、西村久之君、宇都宮則綱君、鈴木善幸君の御賛意があつたのでありますが、本委員会といたしましては、この動議に対しまして採決をいたしたいと思うのであります。賛成のお方は御起立を願います。     〔賛成者起立
  21. 馬越晃

    馬越委員長 全員賛成。それでは藤原君の動議は、本委員会において採択することに決定いたしました。  この決議委員長におきまして、それぞれ関係当局に対しまして、本委員会決議趣旨を十分徹底いたさせまして、これが実現をはかるべく努力いたしたいと存じます。  なお宇都宮則綱君並びに鈴木善幸君より、近く開かるべき委員会関係大臣を招致いたしまして、水産重要性を十分に認識してもろうべき機会を速やかにつくるようにという御希望でございましたが、これは委員長におきまして適当に取計うことにいたします。  次は本日の議題にいたしておりまする漁業手形制度についてでございます。今日水産業が最も困難を來しております原因はたくさんございますけれども、なかんづく金融の不円滑に起因いたしまする点が非常に大きいのであります。さきに農業方面におきましては、農業手形制度を設置いたしまして、農業の金融に寄與するところ非常に大でありますが、水産業に対しましても、これと同じよう漁業手形制度を設置いたしまして、水産金融の円滑化をはかりたいと考えておるのであります。本委員会といたしましては、この問題を当面の大きな問題として取上げて、十分研究いたしまして、この制度の速やかに実現せらるるよう努力いたしたいと存じまして、この問題を本日の議題にいたしたような次第であります。つきましては、本問題につきまして委員各位の御意見を承りたいと思うのであります。     〔「意見なし、絶対賛成」と呼ぶ者あり〕
  22. 馬越晃

    馬越委員長 それではこの問題につきまして、政府当局の現在まで調査研究せられました実情を、御報告願いたいと思うのであります。
  23. 藤田巖

    藤田政府委員 ただいま 越委員長からお話のございましたように、水産業において現在まできわめて重要な問題は、金融問題であります。從來は資材が大きな問題であつたのでありますが、資材の問題はだんだんと好轉をいたしてまいつております。綿糸にいたしましても、あるいは燃油にいたしましても、あるいはまたマニラ麻の問題にしても、將來は相当殖えてくるような見透しがついております。物よりも金の問題が一番大きな隘路になつております。私どもが心配いたしますのは、正規に資材の割当をいたしました場合に、金の関係で資材を手に入れることができない。從つてせつかく割当てられた資材が、漁業者の手から離れて、またやみの原因になつていくというようなことを極力避けなければならぬというふうに思つております。從つて資材の割当が順調になりますと同時に、それに対する金融の問題を、併せて解決しなければならぬということを痛感いたしております。ただいまお話の出ておりますいわゆる漁業手形制度につきましても、私どもその必要を感じておりまして、いろいろ関係方面と現在相談をいたしておるのであります。  大体私どもの内部で研究をいたしております案については、お手もとに差上げてありますよう考え方でありますが、これはただ水産局の内部でまだ研究をしている程度であります。外部的にはまだこれによつて正式な交渉はいたしておりません。またこの考え方に対しても、農業方面と違つて方法論として非常にむずかしい点があるのであります。私どもも今その点をどうすればいいか、ちよつと困つている点があるのであります。そういうふうな意味合で、この制度につきまして、私どもの考えている点を御説明いたしたいと思いますが、これはまだ全然私どもの内部だけで、ひそかに研究をしている程度であるということを、よく御了承いただきまして御審議をいただきたい。そして何か御意見がございましたならば、十分に伺わさしていただきたいと思つております。
  24. 馬越晃

    馬越委員長 それではこの問題はあとまわしといたしまして、委員長より御報告申し上げたいことがあります。  先般十日に緊急委員会を開催いたしまして、水産廳設置の問題につきまして御協議を申し上げたのでありますが、当日行政調査部の船田総裁並びに前田総務部長を本委員会に招致いたしまして、行政調査部の意向を聽取いたしますと同時に、委員各位から活発な御意見の開陳があつたのであります。さようにいたしまして本委員会といたしましては、翌十一日に開かれるであろう閣議に対しまして、水産廳設置の猛運動を展開することに決定いたしたのであります。その申合せに從いまして、各党におきましてはその党出身の閣僚に対しまして、それぞれ党出身の水産委員が戸別的に諒解を求めるべく努力をしていただいたのであります。翌十一日に水産廳設置に関しまする閣議が開かれました。その閣議におきましては、私ども承知いたしておりますところによりますと、この問題は各閣僚とも大した反対意見はなかつたのでありますけれども、行政機構の簡素化とにらみ合わせまして、特に六名からなる小委員会を設けて、その小委員会において研究を続けることに閣議において決定をいたしたのであります。続きまして同日の午後六時から小委員会が開かれた、そこで私ども委員の有志は、当日関係閣僚に戸別的に折衝をいたしまして、そうしてこの小委員会をぜひとも通過さすように最大の努力をいたしたのでありました。越えて、十一日にこの小委員会の結果を探索いたしますとともに、十四日に開かれる閣議におきましてこの小委員会の結果の報告を聽き、正式に閣議において決定するということでありましたので、翌十二日にも再び総理官邸におきまして、参議院の木下水産常任委員長も交え、なお有志委員も加わりまして、それぞれ閣僚を戸別的に訪問いたしまして、この水産廳設置の問題が十四日の閣議に上程せられた場合に、各閣僚はこそつてこれに賛成をしていただくように御瞬力を請う旨の懇請をいたしたのであります。各閣僚におきましても、水産廳設置は多年國会において論議せられ、採択せられておつた問題でありましたので、各閣僚ともこれが設置につきましては異論もなく、十四日の閣議におきましては満場一致水産廳設置のことに決定をいたしました。われわれ水産委員会が設置せられまして以來、長い間各委員が熱心にこの問題につきまして御努力をしていただきましたかいがありまして、遂に今回水産廳の設置をみることになりましたことは、まことに御同慶の至りにたえないのであります。なお新設せらるべき水産廳は、いささか私どもの期待にはもの足らない点があるのでありまして、本委員会並びに政府当局と、いろいろ今日まで檢討いたしまして、——どもの考えておりましたことは水産廳を四局制度のものとしたいという考えをもつてつたのでありましたが、閣議で決定せられましたものは三部制の農林省外局としての水産廳を認められることになつたのであります。これが内容につきまして、後ほど懇談会を開きまして水産局長から説明を聽取することにいたしたいと思うのであります。なおこの水産廳の將來の拡充につきましては、今後とも皆樣方々御協力を得まして、所期の目的を達成いたしたいと考えるのであります。以上水産廳設置に関しまするその後の経過を御報告いたしたいと思うのであります。  なお先ほど議題にいたしました漁業手形制度につきましては、ただいまお手もとに政府当局の試案といいますか、まだ十分研究をとげられていない未完成の案が配られたのでありますが、これをよく皆さんで御調査願つておきまして、次回の委員会におきまして、この問題につきまして十分研究をいたしたいと思うのであります。
  25. 西村久之

    西村(久)委員 この機会に私は希望を申し上げておきたいと存ずるのであります。先ほど水産廳設置に対しまする今日までの成行きは、るる委員長から御説明を願いました。不満足ではありまするが、水産廳の設置のできることは、本委員会の多年の叫びでありますので、賛意を表するのであります。水産廳ができますれば、さだめしここに水産廳長官ができると思うのであります。機構そのものができましても、これの運営の衝にあたる人は、自他ともに許す人でなければ、私は名前だけで廳自体の機能を発揮し得ないうらみを生ずるのではないかと痛感いたします。人事行政をここでとやかく申し上げることはいかがかと存じまするけれども委員長において——はじめての水産廳長官ができますので、水産廳に対する認識をもたれ、しかも水産廳の体面を今後保つていかれるように、内閣の方で御努力を願うように、特に御配意を願えれば私の希望は達成し得られると存ずるのであります。一言この機会を利用いたしまして、私の意見を申し上げておきたいと思います。
  26. 馬越晃

    馬越委員長 ただいまの西村君の御発言に対しましては、委員長におきましても、事の重要性を十分認識いたしまして、本委員会を閉じた後に特に懇談会を開きまして、この問題について十分なる意見の交換をいたしたいと考えます。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後零時二十八分散会