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1948-03-26 第2回国会 衆議院 水産委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年三月二十六日(金曜日)     午前十一時三十三分開議  出席委員    委員長 青木清左ヱ門君    理事 庄司 彦男君 理事 馬越  晃君    理事 三好 竹勇君 理事 夏堀源三郎君    理事 西村 久之君       加藤 靜雄君    吉川 兼光君       宇都宮則綱君    小澤專七郎君       神山 榮一君    小松 勇次君       本間 俊一君    石原 圓吉君       關内 正一君    森 幸太郎君       内藤 友明君    河口 陽一君  出席政府委員         総理廳事務官  長谷川 清君  委員外出席者         議     員 田中源三郎君         総理廳技官   稻村 桂吾君         農林事務官   永野 正二君         專門調査員   小安 正三君     ————————————— 三月二十五日  男女群島程発の請願藤原繁太郎紹介)(第  一九九号)  尻岸内村大澗に漁港設並びに山脊泊船入澗拡  張の請願冨永格五郎紹介)(第二〇二号)  鹿部漁港修築請願冨永格五郎紹介)(第  二〇八号)  西田村常神に船溜築設の請願青木清左ヱ門君  紹介)(第二〇九号)  魚の公定價格改訂に関する請願馬越晃君紹  介)(第二二三号)  漁業者に対する復興金庫よりの融資に関する請  願(馬越晃紹介)(第二二四号)  漁業者に対する復興金庫よりの融資に関する請  願(馬越晃紹介)(第二三八号)  魚の公定價格改訂に関する請願馬越晃君紹  介)(第二四〇号)  宿田曽漁港修築請願松田正一紹介)(第  二六一号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  内水面水産増殖に関する説明聽取     —————————————
  2. 青木清左ヱ門

    青木委員長 これより会議を開きます。  委員外田中源三郎君より淡水魚の養殖に関する発言の請求があります。これを許可するに差支えありませんか。——御異議なければ許可いたします。田中源三郎君。
  3. 田中源三郎

    田中源三郎君 当委員会におきまして、特に委員長のお許しを得まして水産増殖に関する意見を具陳いたしまして、当委員会において私の以下申し上げます問題につきまして、國家のために特に御考慮をお願いいたし、その実施されんことを望むのでございます。  私の申し上げる問題は、内水面増産に関する問題でございまして、わが國の内水面各位了承通りに、非常にこれが進展をみたのでございますが、戰時中より漸次すべての資材生産設備等不足からいたしまして、現今まことに憂慮すべき事態に到達いたしておるのであります。申すまでもなく、わが國の食糧問題は、少くとも今後の一九五三年度の一口増殖考慮いたしまする場合においては、少くともその人口の二千数百万人に対しては、外國より輸入をいたしまするところの食糧によつて、これらの國民が養われていくというような実態にあるのであります。現在におきましても、少くとも千二百万トン近いものがわが日本の國に輸入されなければ、現行食糧配給基準を維持することが困難なる実態にあるのでございます。過般の本会議におきまして、民主自由党の山崎君は、國民食糧問題は総合的なる自給度の拡張をはからなければならぬということを申されたのであります。これらの問題は、もうすでにわが國における食糧問題の解決策としてしばしば唱えられておりますが、申すまでもなく澱粉質以外において、國民が少くとも七十パーセントに近い蛋白給源をとらなければならぬということはいまさら申し上げるまでもないのであります。二千二百四十カロリーに対しましては、今申しましたように七十パーセント近いところのこの蛋白給源國民に補給して、総合的なる國民栄養を補給いたしていかなければならぬと思うのであります。現行のわが國の水産増殖状況を考えてみまする場合におきまして、千九百三十年及び三十四年度からの水準を見ました場合におきまして、いわゆる水産の大体において総量は四百六十万トン程度の量を生産しております。なおわれわれが少くとも今後の與えられたる生活水準の上において、今日現在の海域において私どもは考えてみましても、四百七十万乃至四百八十万トンの水産漁獲高を見る程度であろうかと思うのであります。今後におきまして、わが日本操業海敢が廣まりまするならば、あるいはこの点に対して期待できる漁獲高が得られると思いますけれども、ただしま申した通りに二千数百万の人口は、申すまでもなく外國の澱粉給源によつてこれが養われている。操業海域はわとんど狭められて、講和会議後の日本操業海域が拡張せられないと仮定いたしましたならば——かりにせられたと返定いたしましても、五百万トンくらい程度しか漁獲高が得られないのではないかと私は思う。この際にあたつて國内的にこの蛋白給源を増加いたすということにつきましては、内水面を拡張し、これによつてこの蛋白給源を補足するよりほかに途はないと思います。かつて内水面におけるわが國の生産高は一億二千万貫程度生産高はあつたのであります。そのうちに、完全に養魚業者の手によつて生産されておつたものが、約九千万貫近い数字を見ておるのであります。しかしながら先ほど申しましたように、これらのものが、資材あるいは設備その他の自然的なる圧迫等によりまして、一時内水面において二億万貫近くまで到達しておつたところのものが、今日においては総額において、おそらく六、七千万貫程度に下つてきておるだろうと思うのであります。のみならず最近におきまして、餌料及び資材不足から、これらの水準が漸次低下しつつある現状であるのであります。ここにおいてわが日本の國が、海洋漁獲高増強する一つ施策を積極的にとると同時に、対内的においては河川潮沼、稻田等を利用いたさなければなりません。これは非常に廣大なる地域が現存いたしておるのであります。これに向つて政府は十分に施策を構じてまいりまするならば、その氣温及び水質等に應じ、適所、適期に放流いたしまする場合におきましては、わが国におきまするところの内水面水産高は、五箇年間において七億五千万貫に到達するということは可能であります。かつて私は五箇年、七億五千万貫の計画を立てまして、政府に進言いたしたのであります。そのことはおそらく水産当局においては、御了承にことと思うのであります。現行におきましては、政府においては稚魚育成をいたしまして、これによつて河川放流等をいたしております。現在の河川放流における生産の九〇%は、專業者の手によつてつくられておると申してもよいのであります。しかるに今日においては、國家としては、一部試驗場等においてやつておりまするが、私ははなはだその成績のあがらざることを、遺憾といたしておるのであります。過去においては内水面増強政策を立てで、歴代内閣相当に金額をこれに対して支出いたしております。しかるに今日におきましては、まつたく一部の水産試驗場等においては、各府縣の一部がわずかの國庫助成によつて新魚を保持し、同時にわずかの河川放流をいたしておるというような現状であります。このような現状を考えてみまするときに、日本内水面状況は、一部においては漁業権圧迫を受けまして、漸次その内水面養殖区域を減退しつつある状況があります。餌料におきましても、全部これは飼料として、家畜飼料の方に吸收されまして、過去においては水産餌料として、内水面及び沿岸等餌料は、水産局内において、おのおの各課が協議の結果割当をしたものが、今日においては、一トンの餌料もさようなわけにいかない。そうして全部餌料公団によつて、これが吸收されてしまうというような状態になつてきておるのであります。また資材の面から申しましても、ゴム靴及び網その他のものが、御承知通り非常に窮迫をいたしておるような実情であります。わが國がこのまま推移していきまするならば、自然地方にありまするところの新魚も減んでまいります。わが日本の國におきましては、寒冷地においてはますを養魚し、あるいは適地においてはわかさぎを養魚する。霞ケ浦といわず、琵琶湖といわず、多くの河川、湖沼を利用し、稻田において稚魚を放ち、稻田養魚をいたしまするならば、米の收量が反当一俵は殖えるということも、過去の体驗において明らかであります。しかるに今日の稻田養魚に必要な稚魚は、一体どうしてつくられておるか。辛うじて、專業者の手によつて、維持せられておると申してもよいのであります。農村における蛋白給源の欠乏は、申すまでもなく國民体力を低下しておることは事実であります。しかも今日のわが國の現状で、一年間の大体の漁獲高から考察いたしてみまする場合に、おそらく九億万貫はとれておりますまい。これがはたしてどのように農村配給されておるでありましようか。農村における魚の配給実情は、私が申すまでもなく、專門家各位が御了承のことと思うのであります。捕鯨の面から申しましても、わずかその鯨のとれたところの南極方面にいたしましても、近海捕鯨にいたしましても、適正に配給されておるものは、鯨肉及び一部のリンクされたる鮮魚以外にはないと申して、私は過言でないと思うのであります。実際において農村蛋白給源は、どこから補填されておるでありましようか。最近の魚價は、なるほど生産者の面から見ますと安いかもしれませんが、四割以上の魚價の値上りにおいて、はたして農村が今日、ある適度の蛋白給源、魚の配給を受けているか受けていないかということは、われわれが申すまでもなく、專門家であられるところの水産委員各位は、御了承のことと存ずるのであります。  しからば今日のこの蛋白給源の窮迫しておりますものを打開しますためには、何をおいてもまず内水面増強以外には手はないのであります。内部においては内水面増強をし、外においては漁業区域拡め、十分に資材配給行つてこそ、初めて國民に対する蛋白給源配給されるのであります。私は海洋魚獲の増強に関しては、全面的に各位が御研究になつており、あるいは今日までとられている施策に対して賛成をいたしております。と同時にこの内水面が今日閉却されておる。当國会においても内水面が取上げられていないということは、私は残されたる水産開拓地域を放置されておるかと考えるのであります。かような面から考えてみまして、今日水産試驗場等のやつておりますことは、私は決して成功しておるものとは言えないと思うのであります。辛うじて今日の内水面現状を保持しておるものは、一にかかつて專業者養魚業者が、保持しておると申してもよいのであります。漁業権の問題においては、定置漁業権あるいは河川漁業権等、いろいろ内水面におきます漁業権がございます。この問題等につきましても、愼重にこれを擁護する対策を講ぜられますとともに、必要なる資材及びこれに必要なるところの餌料一定確保をお願いいたします。それとともにこの廣大なる残されたる内水面地域利用して、これによつて五箇年計画を立て、五億ないし十億の内水面増産ができるようにいたしますならば、今日の農村は非常に安いところの蛋白給源を、多量にとり得るのであります。アメリカにおいてもこれをやつております。メキシコにおきましてもすでに非常にやつております。南洋諸島においても、ジヤワにおいても、フイリピンにおきましても、あるいはその他の諸島、ボルネオに行きましてもこれはやつております。こういうふうに私どもが外地を一々見て参りましても、相当にやつております。佛領インド・チヤイナーにおけるトレンサー・レイク、あすこの原始的な養魚場におきましても、すでに佛領インド支那政府におきましては、古い統計でありますが、私が参りました十年ほど前の統計でも、約六千万ピタスターの收穫をあげるようにいたしております。佛印政府におきましても、とにかく養魚においては、私どもが当初十数年前に第一回に参りましたときにおきましても、約千二百万円以上も向うの金であげておる。こういうふうに考えてまいりましたときに、今日のこの日本養魚というものを國会が取上げて、これを大々的にやりまするならば、こいのヴイタミン、このいわゆる滋養價値は、かつおが魚の中で一番ヴイタミンが多いのですが、その次はこいであります。このこいとか、ふなとかいうものをどんどん放殖いたしてまいりましたならば、非常に農村國民体力増強いたしますばかりじやなく、農村の今日、私は経済上におきましても、大きなる影響を與えていくものと思う。たとえばここに專門的な例をとりまするが、わが國において、静岡縣におきまして養鰻だけでも約六百町歩つた。今これが米作に轉換いたしまして、おそらく二百町歩ぐらい残つておるかと思います。しかしどうしても米作轉換のできないところのものに対しては、特殊の存在として、養鰻のごときは輸出もいたします。河川においてもろこ、あるいははや、長野縣ではおいかわと申しておりますが、これらの繁殖力の強いものを、適材適所にどんどん出してまいりますならば、非常に私はこれが増強ができると思うのであります。私は今日この放置された、しかも圧迫を受けておるわが國において、唯一の蛋白給源として残されたこの内水面漁業に対して、ここに当國会において積極的なるひとこ御考慮を賜わりまして、これの救済を願いますることは、わが日本國家食糧難打開の上の私は大きなる一つ施策であり、これを実施することによつて國家國民は偉大なる幸福を享受するものと私は考えるのであります。今特別に委員長の許可を得まして、まことに徹底いたしません言葉をもちまして概要申し上げた次第であります。うしろに全國の漁業組合代表者がまいつておりますが、わが國にも山梨といい、長野といい、埼玉といい、あるいは福島といい、奈良といい、海のない市、海のない縣も多数ございます。これらの人が古い統計ではありまするけれども群馬縣では昭和十一、十二年ごろ縣民一人あたり約十数円の魚を買つておる。群馬縣では養魚を盛んにいたしまして、内水面を拡充いたしますならば、冬期漁撈の少いときにおきましても國民は救われるのでございまして、私がまことに徹底せざる言葉をもつて概要を申し上げたことによつて、おわかりにくいと思いまするが、かくのごとくかろうじてその一部を專業者によつて維持されておる現状を御了察賜わりまするとともに、この大きなる國策がこの國会におきまして取上げられていないということは、われわれの最も遺憾といたす次第であります。賢明なる当委員会の諸氏、何とぞ特に私の申し上げましたる点について御考慮を願いまして、今後のわが國の水産行政の上に画期的施策を施行されんことを、私はここにお願いを申し上げまして、私の内水面増強に関しまするところの意見を終りたいと思うのであります。  最後に委員長の特別に許可されましたる御配意に対しまして厚くお礼を申し上げます。
  4. 石原圓吉

    石原(圓)委員 田中君より内水面の問題でるるお述べになりましたことは、至極ごもつともでありまして、われわれこの関係者委員内水面水面を閑却しておるかのようなお言葉もあつたのでありますけれども、絶対にさような考えはもつておらないのであります。およそ内水面水産業なるものは、まつた特異性をもつておるものである。天然養殖によるか、餌料を與える養殖によるか、この二通りが大いに現在むつかしい問題になつております。天然餌料にまつところの養魚養殖ならば、これは別段に大した力を國が入れなくてもよい。そういう見当があるのでありますけれども、これに対しては、たとえばあゆの稚魚を輸送するというか、こいの人工孵化をやるというが、そういう面に向つて稚魚、稚貝というもののいわゆる種をつくるという方面、それを輸送するという方面に対する、國において一定の施設並びに考慮を要すると思うのであります。しかるに現在全國の水産試驗場は、戰爭中より空襲その他ではなはだみじめな状態のままで、復活しないものがほとんど全部であるといつてよいと思う。これを國が速やかに復活をして、いずれの試驗場も充実をして、そうして稚魚、稚貝の孵化繁殖をやる。これを適当なる河川その他へ輸送すること、これまた國の力によつて便宜を與える。こういうことをやらなければならぬのが、閑却されておるのであります。これはわれわれは適当な機会に、いつもこの委員会を通じ、委員会でなくとも要求をしておるのであります。それからもう一つ餌料を要するところの養殖であります。内水面養殖は御承知のように、たとえば養鰻のごときは、いわし一貫目食わさなければ百目のうなぎができない。これは大体経驗のある人はわかつておると思うのであります。この食糧飢饉のときに、一貫目いわしうなぎに食わして育てるのがよいか、そのいわしを直接人間食つた方がいいかという問題が、今日まで非常に重大な問題であつて、結局人間が食わなきやならぬというので、養鰻は壊滅同樣になつたというような事実があるのでありまして、その他の養魚餌料を要する養魚というものは、餌料そのものをいかにするかという、この根本問題の解決がつかないのであります。從來人間食糧となるべき餌料及び肥料となるべき餌料養魚にまわすということが、米麦の減産を見、また直接人間食糧不足を告げるのであるから、これに代るところの新しい科学的な方面にも考慮を加え、そして新しい新発見の餌料というものに対する國の研究調査また当業者に対する便益を與えるということが急速に実行できねばならぬと思うのであります。以上私の申し上げる諸点が解決しない限りには、三合配給ができて國民食生活が普通になるまでは、餌料を要するところの養魚は絶対になり立たないと私は考えるのであります。このことは水産当局が重大なる関心をもつて解決の途をつけなければならぬと思うのであります。私の内水面に関するところの所見の一端を述べて御參考に供します。
  5. 青木清左ヱ門

    青木委員長 田中石原御両君の御意見に対し、政府の見解を求めます。説明員水産局漁政課長永野正二君。
  6. 永野正二

    永野説明員 ただいま田中さんと石原さんから、内水面水産養殖につきましての、まことに肯繁にあたつた意見を拜聽いたしたのであります。私ども田中さんと同じように、この内水面養殖が、現在の日本食糧事情から言いまして非常に重大な意義をもつておるということを痛感いたしておるのであります。御承知通り、戰爭の間は遠洋漁業が、全面的な逼塞と申しますか、外に出られなかつた時代があつたのであります。その時代に非常に内水面養殖ということは國民の重要な関心をひいて、いろいろな政策がとられておつたのであります。終戰後次第に漁区が拡張され、遠洋漁船が次第に回復を見まして、ややこの方面に対する國民全般関心が薄れてまいつたような感じがいたすのでありますけれども内水面水産資源というものは、國民全般から見ましても、殊に農山村の蛋白給源といたしまして、非常に重要な意義をもつております。このことは御指摘の通りでございます。これは大都会の配給のルートにのりませんために、それほど一般國民が注意をしておらない事実でありますけれども、この内水面によつて得られました水産蛋白というものが、農山村の食生活を改善してまいりますならば、これはただに蛋白食糧の問題だけでなく、たとえば米の供出——從來多くの農山村において米の蛋白蛋白として利用しておるような事実があるのであります。それを水産蛋白に置きかえることによりまして、主要食糧の面においても、またプラスの面が出てまいります。こういう点もあるのでございます。こういう重大な意義を現在といえどもつておると私は考えるのであります。ただ、今石原さんからもお述べになりましたように、この内水面におります資源均分配給計画的な配給ということが適しないということ。それから餌というものが要る。こういう二つの大きな隘路があるのでございます。そこでわれわれといたしましては、餌の点につきましては、他の重要な用途の物となるべく競合しないような餌料を極力探してまいらなければならないということも考えております。  それから養殖のための種苗をぜひとも確保する。少くともこの種苗を確保するための餌というものは、多少食糧に競合し、あるいは肥料と競合しても、親を確保するために、從つて種苗を確保するための餌料だけは、優先的に確保しなければならない。こういうふうに考えておるのでございます。なおこの内水面養殖につきましては、從來試驗研究方面におきましても、いろいろ力の足りない点があつたのでございます。この点は私どもは今度の水産増産計画の一環といたしまして、ぜひこの内水面資源を、いかに利用したらば最も増産ができるかということを、基礎的に科学的な研究をやつてまいりたい。この問題はいろいろな水域におきまして、水の豊度と申しますか、栄養價値がいろいろ違つているのでございます。それに対して、いかなる養殖をしたならば最も効果的な養殖ができるかという基礎的な研究も、ぜひ完成してまいりたいと思つておるのでございます。そのためには相当新しい予算も考えてまいりたいと思つております。その他先ほどちよつとお触れになりましたが、現在の漁業権制度、これによつて若干内水面増産に対する、むしろ一種のわくをはめたような事実が方々にあるのでございます。この点も漁業権制度の全般的な改革に伴いまして、増産という見地から若干の改正を加えなければならないかと思つておるのであります。その他私どもとしては、今後もこの内水面増殖については、海洋漁業と並んでその重要性を一般に認識させ、またこれをほんとうに利用してまいりまして、先ほど申しましたような、國民全体の食糧問題の改善の方向へもつていきたいと考えておるのでございます。たいへん簡單でございますが、一應お答えいたします。
  7. 田中源三郎

    田中源三郎君 特に発言をお願いいたしたいと思います。私はこの際一言私の私見を補足して、各位の御参考に供したいと思います。先ほど石原君のお述べになつた点まことにごもつともであります。天然増殖人工増殖との増殖方法も二つあります。殊に沿岸に近いところは、餌はそうくれなくても——全部が人工増殖によらなくても、一部的な人工増殖によつていな、ぽら等養殖をし、あるいは浅海利用方面につきましても、政府は過去において一部やつた経驗もあるのであります。これらの未開発の分は多数残されております。それから自然増殖にいたしましても、粗笨的な養魚方法をここに講ずるといたしましても、この面においては最も繁殖力の多い魚族を選択いたしまして、適地適殖を行うという面については、非常にたくさん残つております。殊に餌料の問題につきまして、養鰻に対するいわしはごもつともでしようが、これは必ずしもいわしをやつて養鰻をしなければならぬと限定はしておりません。殊にインシレージをつくり、あるいは桑の葉の落葉までもこれを利用して、できうるだけの各方面利用をいたしまして、餌料のくふうな相当今日までやつてきている。しかし親魚種苗育成をやつていくということについて、現在の政府のやつておられる戰災復興しない水産試驗場の、今日政府もつ機能と民間のもつ機能との対比と同時に、官僚がやつて今まで成功したことはないということだけは、私ははつきり申します。そうして試驗場は收入予算を組んでいる。府縣の財政が困難であるから收入予算を組んでおる。そんな状態でこれが満足にいけるはずはない。私が言つた通り、今日まできている。現在日本種苗及び親魚の確保生産されている九〇%は、事業者によつて今日やられておる。政府試驗場事業補助金をやる。そうしてその事業の結果、試驗場報告を、私はここであまりに申し上げることは氣の毒ですから、ある程度差控えますけれども、試みに私が今日ここで申したならば、これは試驗場の実績をあげるために、ある事業者から生産魚を買つてきて、その報告を作成提出しているというにすぎないことは、今日たくさんの証拠を私は握つている。よつて私はここに民間人を育成していく、眞に民間人の技能をここに生かしていくということを考えていただきたい。適当なるところの餌料は、海のいさだにいたしましても、鰒虫にいたしましても、養鰻にしても、そういうようなもので餌料は増すことはできる。決して人間食糧不足しているときに、私はことさらこれをとつてやれとは申しません。やれる方法が残されているのにかかわらず、政府当局において、一顧だにこれに対して今日業者に努力を拂つてつていただいておるとは申しがたいと思う。かような状態で、私はもう内水面増強をはかることはでき得ないと思う。某地方の試驗場のごときは、親魚も食つてしまつておる。こういう点をよく考えていただきたい。まだ創意とくふうとによつて、私は石原君の今指摘された点を補強して、十分に内水面増強することができると思う。かつて私は徳久君に申し上げたことがあるのですが、河川放流等においても、ほんとうに民間業者がこれを看視し、協力してやるならばそれはよろしいが、政府のやつたしりから農民が行つてその種魚をとつてつてしまつておるということも、幾多の事例が残されておる。私はもう科学の研究などする必要はないと思う。それはそれで続けなければならぬでしようけれども、手取り早く増産のくふうを今この際にやつてみまして、そうしてその弊だけをためていくということの方が必要ですし、拙速主義とでもこれを申しますかしりませんけれども、御研究相当今日まで盡されてきておるのですが、ひとつ政府当局には考えを新たにされまして、何とかこの点についてお願いをいたしたいと思います。これは漁業権の問題とも関連いたします。漁業権の問題につきましても、当委員会においていろいろ御審議のあることと思いますが、私は今日まだまだ十分に餌料をくふうし、一部の酸料をこれに與え、そうして増強し得るところの余地が残されておると考えておりまするので、私見を申し上げて御参考に供する次第であります。何とぞ特に内水面増強のためには、当委員会政府におかれても御配慮あらんことをお願いいたしまして、私の意見を申し上げることを終りたいと思います。
  8. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 ただいま田中君並びに石原君の御質問、またそれに対する政府説明員の御答弁を承りました。内水面の活用ということ、これに対する生産増強が非常に重大な問題であることは申し上げるまでもありません。たださほど重大なる問題をなぜ等閑に付せられておつたか、これは結局これまでの私の見たところでは、大体一般の配給の対象となつておらぬじやないか。だからまあ先に海洋の方へというような方向をとつておられたのじやないか、こう考えております。しかし重要なことは重要である。それは認めます。もしそれが今おつしやつたような重要性をもつておるものであれば、水産局はこれに対して、生産に対する計画性をもつて、十分にいわゆる試驗場の強化、あるいはその他の研究に関する問題、そうしていかにすればこれを拡大することができるかというような計画案を、この水産委員会に示して、十分にこれを審議して、私どもこの内水面に対する重大な問題の解決点を見出したいと考えております。ただいまの御説明では、まことに抽象的でぴつたりきておりませんので、この機会に政府の方でこれに対する計画を、私の方にお示しくださらんことを希望するものであります。
  9. 永野正二

    永野説明員 ただいまの夏堀さんのお話でございますが、この内水面全体についての具体的な現実の増産計画というものは、これは現状ではなかなかできないのでございます。大体安定本部の方でいろいろ計画しておられます水産計画まの中に、内水面から幾らかのものをとらなければならぬかという計画はもちろん立てております。しかしながらいかにして具体的にそれだけのものがとれるかという、具体的な計画ということになりますと、これはまだいろいろな條件が非常にむずかしいのであります。われわれとしても、実はその計画通りの魚が実際されるかどうかという点になりますと、皆さんに責任をもつてお答えするだけの実は自信がないのであります。これについては漁業権の問題で、まだ大きな制度上の問題がございます。そこでこの漁業権を現在のままにしておくか、あるいはこれをもう少し河川資源から得ました利益でもつてさらに増殖をやつていく。かように利益がだんだん循環していくというような何らかの制度、そういう制度を考えたならば、もう少し増産の余地があるように私どもは考えておるのであります。そういう制度をはつきり定めました上で、具体的な内水面増産計画なるものを考えていきたいと思います。
  10. 青木清左ヱ門

    青木委員長 淡水魚の養殖に関する事項は、次の適当なる機会において、あらためて取上げることにいたしたいと思います。なお餌料に関しては畜産局の関係でありますので、委員会にその関係官の出席を求めて、これが答弁を求めたいと思います。なお予算的措置に関しましては、本委員会に設けられております水産事業計画に伴う予算的措置に関する小委員会を取上げて、これを研究審議いたしたいと思います。  次に石原圓吉君より魚價資材との関係について発言を要求されております。これを許します。石原圓吉君。
  11. 石原圓吉

    石原(圓)委員 魚價の改訂がしばしば行われたのでありまして、その間には一時的の値上りであつて、じきにそれが一般的に取上げられるようになるような状況で値上げしたこともありますし、また地区的に、六大都市と他との差別をつけたような値段のきめ方がある。それがどうなるかわかならいような関係で、そのままのところへさらにまたある部分なものが値上げをし、要望されるものが値上げをされないというような、漁村には不平も起つたのでありまして、そういうものが大体是正されつづあるとは思うのでありますけれども、この問題には漁民は非常に刺戟を受けておるのであります。現在におきましては相当値上げはあつたけれども、依然として漁村は赤字に苦しんでおる。生活の脅威を脱しにくい情勢にある。これは一つは價格の高い安いよりは、資材が高いやみでなければ手に入らないという点があつて、魚の値段が上れば資材のやみ取引の値段も上る。魚價資材の價格はかけつこをしておるような状態で、ちようど現在の賃金と物價とが競爭しておるような情勢にあるのでありまして、不安が脱けないのみならず、今後の計画に至大なる影響をもつのであります。殊に一部の漁業のごときは、しけのために船が傷むとか、あるいは漁場が荒れるとかいうことで、次の計画を立てる勇氣がないというような傾向がだんだんと起つてきたのでありまして、これは一般水産増産のために、非常に重大なことに直面したと思うのであります。從つてこの際物價の今後の取扱い方並びに資材生産配給状況資材の價格の問題等について、併せてこの席において率直なる御説明をいただきたいと思うのであります。殊に綿糸、綿製品の問題でありますが、また近く値上げをするというようなうわさがあるのでありまして、このうわさをさきに立てるということは、いたずらに糸や網をつくる業者に利益を與えることになつて、値が上るまで倉庫へ入れて隠しておいて、さうして値が上つてから漁業者に渡す。その間漁業者資材がなくて漁業ができない。こういう状態がこれまでもあつたのでありますが、ただ網や糸をつくる業者の利益のために生産を阻害するということは、國家政策上はなはだよくないことで、それらの点をどういうぐあいにやつていくのか。この資材の面につきましては、資材生産工場及び所在地から、消費をする漁村に移るまでの間に何割かに減つてしまつて、どこで減つていくかわからない。どういう理由で十のものが二つか三つになるのか。そういうことがあるために一層漁業計画が立たないということも事実でありまして、これは資材生産配給に対する別個の独立した監査というか、監督というか、そういう制度を置いたらどうか。そうして工場も倉庫運送業者も中間業者も、いずれものどこかに不正隘路があれば、事前にそれを調べて、適正敏速な配給ができるようにしたらどうかと考えるのでありますが、要するに魚價資材の問題に対する現実のお考え、今後の御方針等について、大体の御説明をお願いしたいのであります。
  12. 青木清左ヱ門

    青木委員長 政府委員、物價廳第二部長長谷川清君。
  13. 長谷川清

    ○長谷川政府委員 お答えいたします。魚價の最近におけるたびたびの改訂は、ただいまもお話のありましたように、漁業用の資材が必ずしも十分には配給されておらないというような点も、一面考慮いたされます反面、御承知のように昨年の末以來鮮魚類の配給を一層嚴重に統制をするという面も考えられまして、いろいろな状況を勘案いたしまして、從來の價格では生産意欲の減退するおそれがあるというふうに考えたものでありますから、一般の物價の改訂をいたさずに、とりあえず魚價だけ先行的に價格の値上げをやつたような次第であります。資材の面につきましては、私の方の所管でないのでありますが、大体綿糸等につきましては、最近なるべく早い機会に、漸次好轉する方向に向つているようにわれわれは承知しておるのであります。もちろん物價だけでものが解決しないのでありまして、われわれも及ばずながら、さらに資材が潤沢に配給せられますように考えてみたいというふうに考えておるのであります。  なお綿糸あるいは漁網が最近値上りするというようなうわさを聞くというお話でありますが、これも私の直接扱つている資材ではありませんので、的確なことは申し上げかねますけれども、今綿糸だけを特に上げるということが考えられているというだけでなしに、御承知のように、最近近い機会において一般の物價改訂が行われるのではないかということが、いろいろの方面で言われております一環といたしまして、綿糸もまたその際には相当値上りするのではないかというふうに世間では言われておるのではないか、こういうふうに考えておるのであります。魚價の改訂は三月にやつたのでありまするが、將來また一般物價改訂があるようなことがありますれば、そのときの物價改訂の基準とにらみ合わせまして、魚價も改めて檢討しなければならないと考えておるのであります。以上お答えいたします。
  14. 石原圓吉

    石原(圓)委員 私は魚價と漁業用の資材とは不可分に考えて、魚價も改訂をする、資材配給部面も調節するという必要があると思うのでありまして、單に魚價だけ上げても資材そのものがつり合わなければ、とうてい計画的な漁業はできない、殊に今日までの資材は、漁業者がやみで買うから、どこからか出てくるもののほうが多いのである現実に生産する資材は、とても現在の漁業用として賄う何分の一もできない、そう私は見ておるのであります。從つて漁業用資材生産を急速に増強することが根本の問題でありまして、それさへすればやみで買わないでいいから、魚も高く賣らなくてもよろしい、こういう結論になると思うのであります。それが数字の上からどれだけの漁業用の資材が要る、それでどれだけ生産する、不足のものがどれだけで、それがやみで出てくるというような数字的の調査も、安本の担当の方でお調べになつておるものであるか。その基本的な調査がなければ、いつまで経つてもこの問題は解決せぬのではなかろうかと思うのであります。よつて漁業用資材生産は月々どれだけある、輸入はどれだけある、そこで月々の所要量はどれだけである。そうしてその不足はどうなる、この問題を私は至急御調査を願いたいと思うのであります。そうしてこの調査したものを、この委員会へ御提出を願いたいと思うのであります。それでなければ議論に根拠がなくて、いつまで経つて資材の係の方も、價格の係の方もまた漁業者も、皆向うの帰着点はわからずにやつておると言わなければならぬと私は思うのであります。この点を特にこの席より要望する次第であります。  なお魚價の問題でありまするが、價格を定める点につきまして、ある部分は國会にかけるというようなものも相当殖えてきたかのように考えられるのでありまするが、魚價等は全然そういうことにはならないものであるかどうか、その点も伺つておきたいと思うのであります。なお資材の方が今御出席でないそうでありますが、私は資材の現実の情勢、今後の動向……。
  15. 青木清左ヱ門

    青木委員長 石原君、資材については、経済安定本部より水産課長が見えております。
  16. 石原圓吉

    石原(圓)委員 それならばどうか水産課長さんから御説明を願いたいと思うのであります。要するに資材の月々の生産高と消費高との比例がどうなつておるか、今後どうなるかという点について承りたいのであります。
  17. 稻村桂吾

    ○稻村説明員 私、経済安定本部の生産局の稻村であります。ただいま石原さんからまことにごもつともな御要望、御意見を承りまして、一切私どもまことに御同感と存ずるわけであります。この魚價資材との関係はまさに不可分の関係にありまして、資材がはつきりいたしませんければ魚價がきまらぬということは、まさにお説の通りであると思うのであります。それで安本といたしましては、まだ内部の計画ではありまするが、これから累年どういうようなぐあいに漁獲が上るについては、どれだけの主要資材が必要であるかというような計算を一應いたしております。しかしまだこれは外部には出ておらないと思いますが、大体計算いたしております。しかし何分にも漁業用資材の主要資材は、油といい、綿糸といい、あるいはマニラといい、すべて輸入物資でありますために、將來の見透しというものがはつきりいたさない点が多いのでありまして、その点皆さんの御期待に副うような成果を今まであげておりませんことにつきましては、私ども遺憾と思う次第であります。たとえば、油の点で申し上げますと、輸入に要請いたしますについても、水産局の方からお出しいただきます数量は、相当大きいものを出していただいておりますが、実際にこれが入つておるものは、たとえば今年のこの三月の量をかりに申し上げますと、全体で第一回に割当を受けましたものは二万九千五百キロリツターというような数字をいただいております。從つてこれでは非常に足らぬというようなことで、これに対しましてどうしてこれだけは必要だという数量を、さらに六千七百七十五キロリツター、どうしても日本の漁業にはこれだけなければ困るからということを、私どもの方の前の長官から司令部の方にお願いしまして、これだけは先月は一應割当をいただきましたが、これでも実際問題としては全体で三万六千二百三十五キロリツターになりますけれども、こういつた数字ではまだ日本の漁業としては、おそらく満足するという状況では絶対になかろうと存じておる次第であります。一方、そのほかの資材につきまして大体のことを申し上げますと、綿糸につきましては、これは綿花の量に直しまして、大体水産局の方からの御要望といたしましては、年間八万梱程度のものを御要求になつておるように私どもはおぼえておりますが、それに対して二十二年度は、おそらく半分に達するか達しないかという程度の割当しかしていないと思うのであります。二十三年度分としては、ただいま安本といたしまして大体予定しておりますのは、約六万梱くらいのものを予定しているわけであります。しかし、八万梱そのものの御要求が、必ずしも日本の漁業全体を完全に賄う数量であるかといいますと、むしろ多少控え目の数字であるというふうにわれわれも思いますので、実際問題としては、全体の漁業者の要求からみますと、おそらく六万梱ではまだ相当不足するというのが事実であろうと思います。それからそのほかといたしましてはマニラでございますが、現在の漁業用主要資材としては、マニラが今まで最も割当の少なかつたものであつて、これはおそらく経済安定本部の割当は、全体の三%か五%というような程度の需要量に対する割合しか出ておらぬと思うのでありまして、この点につきましてはG・H・Qの方で非常に御心配いただきまして、特別のクレジツトの支出によりまして、約千五百万ポンドぐらいのものが最近はいるというふうにわれわれは伺つておりまするが、しかしかりにこれがはいりましても、全体の量が約七千万ポンドのものが欲しい。少くともG・H・Qの御意向としても、五千万ポンドぐらいは日本の漁業に年間必要であろうということを申しておるらしいのでありまして、千五百万ポンドかりに早急にはいりましても、全面的に十分であるというわけにはいかないと思うのであります。もちろんそのあとのことにつきましても、水産局の資材課その他からあちらにお願いしておりますけれども、現在のところはつきりと数字を申し上げる段階には達しておらぬようであります。そのほかワイヤロープというようなものが非常に問題になりますが、これも二十三度の予定通りにいきまして、日本全体の生産が三万キロトンと私はたしか記憶いたしておりまするが、その中で水産用として現在予定いたしておりまするものが、三千三百トンぐらいのものを受け得るのではないかと考えております。しかしこの三千三百トンも、特にその割当に際しまして増産して、そのために相当強行をしていただくということを條件として三千三百トンになつたのでありまして、これが達成は相当その他の條件で抑制される傾向があるのじやないかというふうに、私どもは非常に心配しておるわけであります。三千三百トンが全体の日本の漁業の所要量に対して、どのくらいの割合をなすかということになりますと、これはおそらくは六割かそこらのものになるのじやないかというふうに私どもは考えておるのでありまして、これらについては先般商工関係の方ともお打合せ願いまして、できれば炭鉱用の古ワイヤ・ロープを、使えるものがございましたら、水産用にまわしていただきたいというようなことをお願いしておるというような事情であります。  以上はなはだ簡單でありまするが、大体おもな槻用資材としてはそういうような見透しをもつております。それでさつき石原さんのお話にありましたことく、所要資材とそれからそれの割当に対する数字というようなものにつきましては、大体私どもの方の内部の案としてございます長期計画の中に、そういつた所要量というようなものが出ておりますから、それを後ほどこちらの方にお目にかけても差支えないというふうに考えております。はなはだ簡單でありますが、以上をもつて御説明といたします。
  18. 石原圓吉

    石原(圓)委員 ただいま数字的な詳しい御説明をいただきまして、まことにわれわれにとつては大きな参考となるのでありまして、すでに御説明のように油の輸入量も、綿糸、綿花の割当量も、マニラ、ワイヤ等、それぞれあるいは年間の所要量の一割に達するか達しないようなものがありますし、油、綿花がいくら殖えたようでありまするけれども、これも去年より今年の割当量が少い。そこで御承知のように、漁船及び漁場の計画数、國が漁業権を許した数から申しますと、去年より今年は三割ないし五割も殖えておる。こういう状態であります。殊にマニラのごとき、ワイヤーのごとき、最近神奈川縣等で大きな網の破損をみたのでありますが、この定置漁業の破損の根本原因はまつたくワイヤにあるのでありまして、はたして稻村課長の申されたように、鉱山用のワイヤーをもつてきても、これはもう鉱山で数年を経てさびておるのでありまして、これを使うことにおいて一層危險を感ずるのであります。私もそれには経驗があるのでありますが、鉱山に使つてつて年数ないし十年経つたワイヤーをもつてきても、それは労して効なく、かえつて漁業を一層危險にするものであります。この定置漁業はマニラ及びワイヤーの不足によつて、殊に今年のごときは漁場が脅威を受ける関係で、今年の冬は計画をしない、やめるという者が相当あるのであります。このための減産は、私は全國の定置漁業というものが日本水産の重要な地位を占めておる関係上、重大なる問題であると考えております。それから油と綿花でありますが、私は漁業用の綿花は、漁業者の手にすぐ渡して漁業者があるいは糸をつくり、あるいは網をつくるという機構に改めてもらいたい。これは根本の問題であります。また漁業用の燃油も漁業者に渡して、漁業者が適当に配給するというふうに、根本より改めてもらいたいという希望をもつておるものであります。これは容易ならぬことでありまして、いわゆる強力なる政治のもとに行わなければならぬ問題であると思います。原則において当局においても、また事務的にも安本の方針のもとにその点を堅持してもらいたい。要するに産業用の資材はその産業部面へ渡せ。渡せというのは利潤を渡せというのではないのでありまして、適切なる生産、適切なる配給のでき得るような途を與えよ。こういう意向をもつておるものであります。  もう一つついでに申し上げておきますが、價格と資材とが釣合わないために、漁業生産者がそろばんが合わない、その関係が魚の集出荷機関、配給機関等へも影響しまして、どの部面も非常に経費が高くなつて、多くの経費を要して赤字を出しておる。その赤字を出しておる。その赤字で関係で正しい取引、経営ができない。結局生産の部面も集出荷も配給も消費部面も、みな混乱を兆しておということを物價廳の方では御認識になつておるでしようか。この問題はこのままにしておけば、生鮮食料品の統制部門は一大混乱に來すと、固く私どもとして信じておるのでありまするが、これに対する長谷川さんの御所見をこの際承つておきたいと思うのであります。
  19. 長谷川清

    ○長谷川(清)政府委員 魚の値段をきめますに際しまして、その魚をとるいろいろの生産資材が十分でない点を考えなければ、その出てきた價格が生産者にも、配給機関にも、あるいは消費者にも、非常なる不釣合なものとなつて、結局において配給統制の円滑を期せられないという御意見はごもつともであると考えるのであります。ただしかしながら、先ほど石原さんのお話の中にもありましたように、物の生産をあげるにつきましては、ひとり價格だけつり上げましても、これは結局においてまたその資材のやみ價格をつくり上げるというような問題とも関連してまいります。價格だけで生産増強せしめるということは、むしろインフレを促進する方に役立つことが多いのでありまして、生産増強せしめる方面に役立つことは、時間的にもほんのわずかの期間ではないかと考えるのであります。われわれ物價廳といたしましては、むしろ價格は最後の手段である、生産増強配給の確保をはかりますためには、どうしてもその裏づけになる資材をまず確保することを前提に考えるといういき方でいきたい。しかしながら実際問題といたしまして、物の生産に必要なる資材が非常に十分でないという面につきましては、われわれ價格をつくります際におきましても、その事情を織りこんでこれを解決していく、こういうことでやつていくのが、現在のわが國の状況においては最も妥当な方法ではないかというようなことで、價格をつくつているような次第であります。
  20. 石原圓吉

    石原(圓)委員 私は魚介類の價格を上げよという主張ではないのであります。なるべくなら、上げずに、漁師も飯が食つていける、その他の部門もそれぞれ生活がしていけることを希望するのでありまして、これ以上魚の値が上るということは、ちようど山のてつぺんへ船を乘り上げるのと同じでありまして、その反動の時代を恐れるのであります。今價格が高いから生活費も高い、生活費が高いから漁師も生活上非常な金がかかる。それが反動がきた時分には、一遍にみなが困るということが想像ができるのでありまして、價格を上げなくてもやつていけるようにするということが大事なことであろうと思うのであります。それには、資材を潤沢にする、公定價格で渡すということになれば、それでいいわけであります。その公定價格で渡すべき資材生産が停頓状態にあるからすべてのものが混乱する、こういうことであろうかと思うのでありまして、この点をうまくやつてもらうことが安本の役目でもあり、また政府の仕事であろう、まあそういう意味に考えているのでありますが、單に魚の値上げをせいせいというのみにわれわれが叫んでいるようにおとりにならぬように希望する次第であります。
  21. 青木清左ヱ門

    青木委員長 本日はこれをもつて散会いたします。次会は公報をもつて通知いたします。     午後零時五十四分散会