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1948-01-31 第2回国会 衆議院 水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年一月三十一日(土曜日)     午前十一時八分開議  出席委員    委員長 青木清左ヱ門君    理事 庄司 彦男君 理事 鈴木 善幸君    理事 馬越  晃君 理事 夏堀源三郎君    理事 西村 久之君       松本 眞一君    矢後 嘉藏君       宇都宮則綱君    石原 圓吉君       川村善八郎君    坂本  実君       關内 正一君    冨永格五郎君       多賀 安郎君    内藤 友明君       外崎千代吉君  出席政府委員         総理廳技官   坂田 英一君         農林事務官   藤田  巖君  委員外出席者         総理廳事務官  大谷一太郎君     ————————————— 本日の会議に付した事件  生鮮食料品配給確保に関する緊急具体措置に  関する説明聽取     —————————————
  2. 青木清左ヱ門

    ○青木委員長 これより会議を開きます。  生鮮食料品配給確保に関する緊急具体措置に関する質疑を継続いたしたいと存じます。本日は特に経済安定本部生活物資局長坂田英一君並びに商工省綿業課長酒井弘君の御出席がありまするから、御承知を願います。
  3. 西村久之

    西村(久)委員 私は漁業用資材確保に対して政府責任ある答弁を要求するために、前回からたびたび申し上げまする通り総理大臣の御出席を願つてあるのでありまするけれども、総理大臣並びに安本長官がお見えになりません。すこぶる委員長と同じく遺憾の意を表したいと思いまするが、私どもは遺憾の意を表するのでは、わが水産業の順調なる発達なり、漁獲の増進なりということは期し得られないのではないか、その結果は國民生活に重大なる影響を及ぼす、こういうことを考えまするがために、責任者責任ある答弁をお願いいたしたいつもりであつたのでありますけれども、本日もまたお見えになりませんのであります。しこうして政府委員方々がおいでになつているのであります。政府委員の方方はその部門々々において責任が違うのであります。水産局の御答弁がありましても、物資課でどうである、安本がどうである、大藏省がどうであると言うて、責任回避をなされて一向実現がされないのであります。この点まつたく遺憾に存じておるようなわけであります。しかしお見えにならないのでありますから、お見えになりました当局お尋ねを申し上げまするが、昨年の暮に実施になりました生鮮食料品配給確保緊急措置令によりまして、政府資材公約されておるのでありますが、この公約を果し得たのであるかどうか、この点をまず先にお尋ね申し上げます。
  4. 坂田英一

    坂田政府委員 昨年の統制審議会での統制強化に伴いまして、必要なる配給等につきましては、一部はリンク物資によりまして、たとえば燃油リンク物資の合理的な方法による供給、そのほか労務用物資としての食糧、その他組織等物資、これらはリンク制によりまして、大体供出リンクいたしまして出すことにいたしておるわけであります。なおこのリンクにあたりまして必要なるものといたしましては、網、あるいはマニラロープワイヤロープといつたような資材があるわけであります。その当初におきましても、御承知通りマニラロープは國内で生産されませんので、どうしてもこれを輸入に期待しなければなりません。当初におきましても、この資材不足なことは十分了承いたしておつたわけでありまして、でき得る限り、現在あるものを合理的に配給していくといつた方向に進んでおつたのであります。この点はその当時におきましても十分なお約束をできない状況にあつたのでありまして、現在あるものにつきまして、十分これを合理的に供給すると同時に、その輸入懇請を徹底的に行つてまいりたい、こういうふうに進んでまいりましたのであります。この後このマニラロープにつきましては、御存じのように年間四千万ポンド程度のものが必要なる実情にあるのにかかわりませず、大体第三・四半期までの水産用マニラロープは百十五万ポンドという程度供給にすぎないのでありまして、この点はまことに遺憾なのであります。しかしどうしてもこの統制を強化する必要もあり、また生産の根本でありまするので、これにつきましては、関係方面に向つて強く輸入懇請いたしておるので、関係方面でも非常に了解を得まして、近く相当量輸入実現がされるであろうというところまでまいつております。御了承を願いたいと思います。
  5. 西村久之

    西村(久)委員 継続いたしましてお尋ねを申し上げます。終了したら終了いたしたと申しますから、そのおつもりでお許しを願いたいと思います。  ただいまのお影えを伺いますと、すでにロープ類は間に合わない、配給量はすこぶる少いので間に合わないということは、承知いたしながらやつたのである、こういうふうなお言葉のように聞えるのであります。私はとんでもないお話ではないかと思うのであります。今後懇請されて、そうして関係方面の御快諾を得て、資材がはいりましてから、初めて手持品需要者の要求に應ずる割合等を勘案されまして、そうしてはつきり需要者と確約されなければならぬのであります。手持の品をなくして、一方業者生産品統制強化によつて押えてしまう。政府手持はからすのむら雲あてみたように、懇請してはいつできたものでこさえて配給する、これでは間に合わないのであります。懇請をされる品が漁業者需要應ずる程度に國内に満し得ました際に初めて私はこの処置令の効力というものは発生するのではなかろうかと、かように思うのであります。この点に対します御見解伺つてみたいと存じます。
  6. 坂田英一

    坂田政府委員 この資材の点につきましては、先ほど申しましたように、マニラロープは非常に窮迫しておるということは了承いたしております。しかし現在の手持によつて、できる限りの生産を続けるということはこれはやむを得ないわけでありまして、しかし速急にこれの輸入懇請を続けておりますので、その間において非常な不足状況にありまする点は了承いたしております。しかしながらそれによつて獲得され、生産されましたのについては、正常ルートによつて統制を強化してまいる、こういう建前であるわけでありまして、生産量も、若干の部分から起るところの減少はこれはやむを得ないことであろうと思うのであります。ただでき得る限りの努力をその点に注いでおるということを再び御答弁いたします。
  7. 西村久之

    西村(久)委員 ただいまのお話では、やるものはやり得ないが、そのとつたものは権力でとる、こういうふうに解せられるのでありますが、これではたして業者の営業が継続し得られるものであるかどうかを私は心配するのであります。当局手持資材によつてどの程度リンクしていき、そして業者需要量のどの程度のパーセンテージの補給ができるという程度のことは、おわかりのことだと思うのであります。その他の品物はいずれの業者やみ資材をもつて補うておるのであります。そのやみ資材相当高いのであります。取上げた品物だけを現在のマル公價格で押えてしまうということになりますと、業者は立行かない、立行かない結果は、そこで無理をして横流しをする、善良なる人は休業をする。こういう結果に相なるものではなかろうかと思うのであります。業者統制強化のために休業の域に到達いたしまして、漁獲物國内需要を充し得ない場合に立至つた際の責任は、政府で負い得る御見解であられるか、この点をお伺い申し上げます。
  8. 坂田英一

    坂田政府委員 この資材マニラロープ不足いたしております点は了承いたしておりますけれども、現在の資材においてでき得る限り合理的にそれを入れること、また使用するということによつて生産されたものは正常なルートにのせるということでありまして、この点は何遍申上げましても同樣なことになるわけであります。しかしこれで資材が十分であるかどうかという問題になりますれば、十分でないのであります。これはどうしても、國内にない以上は輸入をするよりほかないと極力懇請いたしておりますので、近くこれが実現をみる運びになろうと思う。これは非常に関係方面でも、統制をいたしましたことにつきまして、なおさらその必要性関係方面でも強く認識いたしておるようなわけでありまして、近くこれが実現運びになろうと思います。
  9. 西村久之

    西村(久)委員 私はどうもお答えの点がわからないのであります。なぜかと申しますと、資材配給マル公配給する能力がなくして、生産物だけをここでマル公で抑える場合には、業者は高い資材やみで購入いたしておりますから立ちゆがないようになる。從つて横流しをする向きが出たり、あるいは善良なる漁業家休業しなければならないようなはめに立ち至るものと想像しますので、その休業状態にはいるような場合には、政府責任があることに了承してよろしいかということをお尋ねしておるのであります。
  10. 藤田巖

    藤田政府委員 リンク物資の問題についてお尋ねがあるのでありますが、これは先ほど生活物資局長からお話のございましたように、一概にリンク物資と言われますものの中で、私は二色あろうと思つております。つまり、たとえば燃油でありますとか、マニラロープとか、ワイヤロープとか綿漁網とか、そういうような生産資材、それからもう一つは、たとえば木材、くぎ、あるいは酒、タバコ、米、作業衣ゴム製品、バケツ、こういうふうな物資と二色あるのであります。あの施策を進めます場合に、あとに申しましたところのものについては、一定の数量をもつてリンクをさせるということで、この案がスタートしておるわけです。それ以外のいわゆる生産資材については、物動のわくがあつてきまつておるわけでありまして、もちろんそれでは十分でございませんので、できるだけ隠匿物資であるとか、拂下げとかあるいは輸入懇請することによつて確保をして、そうしてやつていくというようなことを緊急対策の中に書いておるわけで頭ります。從つて、初めにお約束をいたしておりますものにつきましては、あるものについては漸次出ております。しかしながら、あるものについては生産が遅れております関係上、現物化が多少延び延びになつているわけでありますけれども、この資材については、これは生産官廳において十分生産についての自信をもつて、必ず渡すということで進んでおるわけであります。ところが、最近起つております問題は、たとえばマニラロープの問題、あるいはワイヤロープの問題が非常にやかましくなつている。この問題は、その当初から私申しておりますように油については大体いつている。それから綿漁網については、將來は相当よくなつていく見込がある。マニラロープについては、これはもともと輸入資材だからして、なかなかこれが十分に渡るわけにはいかないということは、よく説明をいたしたわけであります。しかしながら現在生産者が要求しておりますのは、そういうこまごましたものでなくして、やはり生産資材で、生産資材をくけなければだめだということになつているわけであります。從つてその問題については、いろいろ対策を構じましても、なかなかマニラロープとかワイヤロープについては必要量が渡りませんので、それらについてはもともと輸入が少いのでありますから、この輸入をして必要なものを確保したいということにいたして、この問題については現在やつているわけであります。そういう事情でありますので、当初から生産資材のあるものについては、必要なものを全部マル公で渡すというような、しつかりした建前で進めるわけにもいかなかつた事情は、これは御了承いただきたいと思うのであります、しかしながら現果非常に取締りが強化されました結果、その点生産者としてはお困りの点があるわけでありますが、われわれとしては、生産資材について必要な数量確保するように、さらに徹底した施策政府において講ずるように、現在考えているわけであります。それでは、これらの資材が十分に渡らぬ場合は休業のやむなきに至るかどうか、それで政府はよいかというお話でございますが、私の現在の氣持といたしましては、現在この資材確保について徹底的に交渉いたしまして、これも限りのあることであろうと考えるのでありますが、極力必要な生産資材確保することに努力いたしまして、さらにその見透しがつきました場合において、その前提においてこれをどうするかという問題については、そのときの事態によつてまた考えていくということにいたさなければならぬだろうと思つております。
  11. 西村久之

    西村(久)委員 政府お話になられる事柄は、現在の國内の情勢をお述べになつているのでありまして、私もそれはわかるのであります。ところが國内の情勢を知つている政府が、責任も果し得ないことを知りつつ漁業家公約をして、そうして漁業家をだますと申しますか、言葉が惡ければ訂正いたしますが、一方生産品だけを強力に配給ルートに乘せようというような施策をやつているのであります。これは私は政府としてはなすべき事柄でなかろうと思つているのであります。政府が力が足らなければ、その足らない実情をあからさまに業者に訴え、そうして業者の協力を願い、また業者の主張するところはある程度これを勘案されて、業者の立ちいくような途をとられなければならぬのじやないかと私は思うのであります。何も責任を果し得さる政府が、業者の一生懸命になつてつたものだけを、本人たちは、引合わないから何とか方法を考えてもらいたいと悲鳴をあげている際に、統制の強力のみを武器として取締りをやられるということは、私は一方的行為であつて憲法の精神にも反するのじやなかろうかと考えるのであります。それで私は、もし配給確保ができずして、やみが出る。これは当然出ます。生活権擁護のためには当然出ますが、やみが出た際に、これを経済違反取締る。この責任政府にあると私は思うのであります。また統制違反をやることをいやがりまして、純眞に就業したしましても、收支が保たないということになれば事業の整備をしなければならぬ関係上、これも事業性質上当然でありまして、休業者が続出するという結果になるのであります。休業者が続出し、あるいはやみが出ました際の責任は、政府物資裏づけ公約して、公約を果さない結果に基くものだと私は思いまして、政府の所信を質しておるのでございます。責任があるか、責任がないかを簡單にお答え願えれば結構であります。
  12. 藤田巖

    藤田政府委員 御指摘の通り、現在の魚の配給統制がうまくいくかいかないかということは、結局生産資材裏づけがでの程度までできるかということによつて決する問題であろうと思います。われわれとしては統制を続けていく限り、統制裏づけとしての資材必要数量確保したいということで、現在その問題についてやつているわけであります。しかしながら御承知のように、日本の現在の実情から申して資材には限りがあります。生産者全部が満足するような資材を、水産業部門だけが十分これを要求することができるかどうかということについては、私は日本の現在の産業経済事情からして、相当困難な問題であろうと思います。すべての産業がみんな不足しながら、いろいろの困難に耐え忍びながら、これをやつているのでありますから、水産業においてもやはりほかのものと同じように、資材不足に耐え忍びながらこれを続けていなかければならないと思うのであります。ただ問題は、その不足に耐え忍ぶ程度におのずから限度があつて、それについてはわれわれとしては極力何とかやれる程度にまで、まじめな生産者がまじめに生業を続ける上において、どうしてもこの程度はやらなければならぬと考えられる程度のものは、これを確保していかなければならぬと思つております。
  13. 西村久之

    西村(久)委員 何回お尋ねしても同じようなお答えのように拜承するのでございます。私のお尋ね申し上げておるのは、政府生産資材確保をする能力がないにかかわらず、漁業者生産品のみを抑えることの結果、事業が立行かないようになつた場合には、休業者が続出し、その結果は消費者に少からぬ関係を及ぼしてまいります。その際の責任政府にあると思うがいかんということと、やみ物資を購入して就業しておる関係上、事業性質上、收支バランスのもてる程度には生産品を処理いたさなければ立行かないのでありまするから、そこへやみ横流しというものができてまいります。このやみ横流しのできる責任政府にあると信ずるがいかんとお尋ねしておるのであります。
  14. 藤田巖

    藤田政府委員 これは何度申しても同じような答弁を繰返す以外に方法がないのであります。殊に生産者でもいろいろあつて、非常に技術が劣り経営能力が劣つている者もあるので、すべての生産者を満足させるような生産資材を、現在の状況において確約することは、私は困難であろうと思つております。しかしながらまじめな生産者で、通常考えられる経営をやる場合に必要な資材については、十分に考えていかなければならぬ。そうして資材についてそれが考えられない場合には、他の方法によつてこれを考えていかなければならぬ。それによつて正当に生業をする者が成り立つていくように、方策を講じていかなければならぬというふうに思うのであります。しかしながらある生産者については、当然やり得るにもええわらず、やはりやみ流しということは起るわけであります。そういうやみ流しについては、これを放任することは許されないのでありますからして、これはやはり統制を強化するかたわら、そういう惡質やみ流しについては、これを取締つていくという方針をとるころも当然であろうかと思つております。
  15. 西村久之

    西村(久)委員 私は惡質前提として申し上げているのではないのであります。善良なる漁業家前提としてお尋ねを申し上げているのであります。善良なる漁業家でも、收支バランスが立行かなくなりますれば、購入物資やみ物資である以上、ある程度横流し、あるいはルートはずれの賣り方をせぬとも限らぬ。もしそういうことをなすことがならない、あるいはなしてはいけないという自覚のある漁業家がありました際には、收支がもたないから休業をする。休業をするような場合に立至つた責任、並びに收支バランスがもたないかとやむを得ず收支バランスのできる程度横流し漁業者にあつた場合、それは配給物資公約が果し得ないのであるから、責任政府にあると思うがいかんと問うているのでありますが、政府にあるともないともはつきりお答えがないのであります。この点を私は確めたいのであります。それで方向を変えてお尋ねいたしますが、今の御答弁によると、資材配給所要量確保政府で今日のところおぼつかない。こういう結論になるように思います。しからば昨年暮の措置令を撤廃する御意思があるかどうかをお尋ね申し上げます。
  16. 坂田英一

    坂田政府委員 この統制の問題につきましては、撤廃する意思はないのでありまして、やはり全國的にこの統制を強力に続けていくという実情にあります。ただいまいろいろお話のあつたものについては、現在の統制が突如としてできたわけではありません。御了承通り、この統制規則等についても、昨年の夏以來改正を加えてやつておるのでありまして、何も取締りその他について新しいことが行われているのではないのであります。ただその点について補充いたしますと、從來規則を正確に運用することが一つ、それからまた、その運用の際には局部的な運用ではいけないのであります。たとえば東京とか、あるいは大都市だけを取締るといつたようなことでは、取締つたところには物がはいらないでよそに流れていくという関係がありますので、全國的に歩調をそろえてその取締りをやつてまいるという点等が異ると思います。なおさらに輸送関係、その他の方面についてもこれを進めてまいりますので、この輸送関係その他についての問題、荷受け、小賣全体にわたつて、局部的でなしに、縦にも横にも、地域的にも、全体的に統制を進める。こういうことでありまして、統制規則そのもの從來通りで、それに加うるに、今申したようないき方を実行の上に現わしていきたい。なおそういたしますと、輸送面その他においても、相当の高い輸賃を拂うということが起ろうではないか、当初決定されたる價格のもとにおいては、貨車で送るものが、本当の部分あると見こまれたのでありますが、こういう時節にはやはり船で、しかも運賃が船の場合には高いというような関係が起ろうと思いますが、それらについては全額國庫補助の制度を加えたい、そういう方向に進んだという違いであります。さような関係からいたしまして、從來統制をやつておりましたのにもかかわらず、そこにいろいろと生産者荷受、小賣の間において、この点が実際困るといつた部面が現われなかつたわけであります。と申しますのは、規則はやつておりましたけれども、その統制の運行の上においてかなりルーズであつたというようなことであります。しかし嚴格にこれをやりますると、ほんとうにどこに穴があるかといつたような実情が、やはりお互いにわかつてまいるわけでありまして、こういう点につきましては、実情に即應するように改善を加えていくことは当然だと思います。さような意味合からいたしまして、いろいろと事実上の問題として、生産者方々、それから荷受方々あるいは小賣の方々と懇談を続けながら、正確に実行いたしまする場合の障害となるべき事項の改善に、一歩々々現在進みつつあるわけであります。さように御了承願います。
  17. 西村久之

    西村(久)委員 私の質問に対するお答えは的を離れておるのであります。私は政府公約されたる責任を果し得る能力のない今日においては、当然昨年暮れの十二月の公約に基きまする処置令を撤廃して、もとへもどすべきだと信じまして、もどす意思があるかどうかということをお尋ねしておるのであります。ただ今の答弁では、もどす意思はない、責任は果し得ないが配給取締りだけは強化する、こういう結論になつて業者政府が殺してしまうということに聽きとれるのであります。はたしてそうだといたしますれば、先ほど私が申しました失業者が続出して、生産量が減退する責任政府にあるということに了承されるようにもなるのであります。しかしこの点を明確にお答えがないのをはなはだ遺憾に思います。政府としては、今日の國内の情勢を知りつつおやりになつておるのでございましようか、手もとにないのならば、こういうふうな公約はなされぬのがいいと私は思うのであります。総理大臣自体が、供出生産者責任である、生産資材配給政府責任である、両方の責任を果し合うていくのであるということを、ついこの間の施政方針演説の際にもお述べになつておるのであります。ところがこれの根拠がないことになるのであります。國民裏づけのない空手形を発行して、そうして國民だけをいじめる、こういう政策の行き方になるのであります。從いまして私は確約される資材確保ができまするまでは、何らかの方法をとりまして、このような業者の立ち行くように、しかして生産が減退しないような方法をとつて政府は進まなければならぬじやないか、その一方法としては、漁價の早急なる改訂の必要がありましよう。そうして收支バランスをもち得るようにして就業をしてもらつて生産の増強に漁業家努力をお願いするという方法もありましよう。一方資材をあらゆる方法でもつて殖していくという方法もありましようが、その裏づけをせぬで、そうして取締りだけを強化いたしまする結果は、先ほど申しまする通り休業者続出し、あるいはやみ屋が出てまいりまして、けが人をこしらえる結果になることを心配いたしまして、その責任所在を実はお尋ねしておるのでありまするけれども、はつきりお答えがないのであります。從いまして、これ以上政府委員に対して追究してお尋ねしようとは思いません。適当な時機に安本長官総理大臣かにお尋ね申し上げて、責任所在を明らかにいたしたいと存じますが、政府委員におかれましても、その意を安本長官あるいは総理大臣所管大臣にお傳えおきを願いまして、そうして業者の立ち行くような途を、適当に善処せられたいと私は希望いたします。  この機会に、これに関連する問題でありますから、政府の所信を一点お尋ね申し上げておきたいと思います。過ぐる一月十三日の暴風雨の際に九州西南沿岸の揚繰網業者はほとんど船をこわし、生命を失い鹿兒島縣下のごときは数百名の人を殺しておるのでございます。申すまでもなく漁船、漁具の破壊、あるいは流失等を招いております。今月二十四日の暴風雨では長崎縣下一円の定置漁業網は暴風雨のために流失いたしておるのでございます。これに対する政府の救助策として、何か方法をお考えになつておられるかどうか、今日関係縣から何らの通知も本省の方にないものかどうか、あつておるとすればそれに対する処置をお考えになつておるのかどうか、この点を実はお伺いしてみたいと思うのであります。御承知通り関東の水害と、海上の集團漁業家の暴風雨に遭遇しての遭難事故は同じであります。この見地から昨年議会で通りました災害救助法に、水難救護法の根本的改正のあるまでは、災害救助法で救助の途を開くという法律も実はできておるようなわけでございますが、こういうような関係につきまして、当局においては当該方面の被難者に対して、逓滯なく適当なる処置を講ぜられつつあるかどうかをお尋ね申し上げます。もしないとすれば、今後それに対して努力が願われるかどうか、この点をお尋ね申し上げたいと存じます。なほマニラロープワイヤロープ不足しておることは、私も承知いたします。ところがさいわいと申しまするか、復員局の配給部が今度廃止になるのでありまして、復員局にもつておりますマニラロープとかワイヤロープとかの品物は、これはつとめて漁業用資材に、今日たださえ少い資材でありますから、有効に使わしていただくように、御処置が願えるかどうか、この点をひとつお尋ね申し上げまして、私の質問は終りたいと存じます。
  18. 青木清左ヱ門

    ○青木委員長 さきに西村君より農林大臣の出席を求められ、これを委員長より通告しておきましたところ、閣議終了後ただちに本委員会に出席するとの回答がございました。ただいまの御質疑につきましては、ただいま出席しておられる政府委員より御答弁を願います。
  19. 藤田巖

    藤田政府委員 鹿兒島の突風災害につきましては、私どもといたしましてその事歳を聞いております。長崎の問題についてはまだ承知いたしておりません。鹿兒島の問題につきましては、これは近く縣当局から上京をし、資料を提出して、その災害の状況説明するということになつておりますので、それを実は待つておるわけであります。長崎縣の問題は、一つもまだわからないわけでありますが、これにつきましても、おそらく早急に資料の提出が縣の方からあるであろうと考えております。私どもといたしましては、それらの資料の提出がありました場合は、できるだけの御援助をいたしたい。さように考えておる次第であります。  それからもう一つ復員局の持つております資材中、水産に使用可能の物につきましては、極力水産用にこれを優先的に配給をするように、從來も交渉しておるわけでありまして、この点は安定本部におかれましても、十分御了承をしていただいておることであります。現に復員局に持つております資材のうち、三百トンばかりは、すでに水産用として割当をいたしております。これは今度の緊急措置を進めていきます上に、どうしても必要な底引網とか、定置漁業でありますとか、そういう方に割当て、配給をいたしたいと考えております。なお今後ともこういう種類の物資がございます場合に、私どもといたしましては、極力水産用にこれを割当てていただくように交渉を進めていきたい。かように存じております。
  20. 石原圓吉

    ○石原(圓)委員 先刻來西村君から、るる質問をしましたが、その政府答弁は、はなはだ要領を得ないのであります。また前日來、総理大臣安本の長官等の出席を求めて、委員長は固く約束をせられたようでありまするけれども、その実現がないのであります。これを一面から考えると、われわれ水産常任委員会全体を、政府が他の委員会に比較して軽く扱つておるのでないかという感じもするのであります。ただいままで論議された資材の問題並びに魚價の問題につきましては、もうこの上、現状のままでは許されないと私は信ずるのであります。この席でいかに論じましても、とうてい要領を得ないように信じまするので、委員長は速やかに常任委員全員の出席することのお取計らいをせられ、われわれ常任委員会は愼重審議して態度を決することにいたしたいという希望をもちまして、各出席の諸君にこれをお諮りの上、適当なる処置をとられんことを希望いたします。
  21. 青木清左ヱ門

    ○青木委員長 ただいま石原委員より、生鮮食料品配給確保に関する緊急具体処置に関し、委員会としてこれが善後処置についての態度を決することのために、緊急全委員の集合を求めたいという御意見の開陳がありましたが、委員長といたしましては、皆さんにお諮りするまでもなく、緊急石原君の御意見の通りの処置をいたしまして、その席上において、あらためて本問題に対する委員会の態度を決するよういたしたいと思います。
  22. 馬越晃

    ○馬越委員 私は安本政府委員にお伺いいたします。現在行われております魚價の決定は、すべての生産物資その他を、マル公を基準として決定しておるものと考えておりますが、御見解はいかがでありますか。まずこれからお伺いします。
  23. 坂田英一

    坂田政府委員 現在の公定價格につきましては、物價廳において、水産局とその実情を考慮されまして、パリテイ計算に準じて決定いたしております。
  24. 馬越晃

    ○馬越委員 しからば現在の漁業の操業の実態におきまして、その生産物資は十分間に合つておるかどうかということについては、どんなにお考えになつておられますか。私は皆安本お尋ねいたします。
  25. 坂田英一

    坂田政府委員 物價の問題につきましては物價廳で実はやつております。なおその決定にあたりましては、水産局と十分打合せの上で決定されておりますので、水産局長の方からお答えを……。
  26. 馬越晃

    ○馬越委員 お尋ねいたしますが、経済安定本部は物價の安定につきましては、全然協議に與かつていられないのでありますか。
  27. 坂田英一

    坂田政府委員 物價の決定につきましては、経済安定本部ももちろん関係はいたしますけれども、物價廳においてこれを決定するのであります。漁業につきましては水産局と、その実情に即應して決定されるのでありまして、私よりも水産局長の方が詳しいのでありますから、水産局長からお答えをした方がよいと思います。
  28. 馬越晃

    ○馬越委員 私は水産局長に非常にお苦しい状態にあることを十分お察しいたしておるのであります。そして水産局長の御答弁は、聽かなくても大体よくわかつておるのであります。経済安定本部は、今日のわが國の経済安定につきましては、ほとんど全権を握つておると私は考えておるのでありまして、今日の経済安定本部の発言権というものは非常に大きい。それで経済安定本部の御見解を承つておくことが、一番いいことだという考えのもとに質問をいたしておるのであります。しばらくの間は水産局長の御答弁は必要ありませんから、経済安定本部の政府委員から御返答を承りたい。もし返答ができないならば、できないと言つてもらえば十分なのです。それで、ただいま質問いたしましたところの、現在生産物資がどの程度まで裹づけせられておるかということについては、どういうふうにお考えになつておられますか。
  29. 坂田英一

    坂田政府委員 現在の情勢からいたしまして、燃油、網、その他の資材につきましては、それは十分とは言い得ませんけれども、とにかく需給計画に基きまして、消費地帶に出荷できる、それをいたし得ることを基礎にいたしておるわけであります。ただここに、それらの問題と関連はいたしますけれども、一番欠乏いたしておりますのは、これは御存知の通りマニラロープであります。これは生鮮魚界の授制をいたしまする初手においても、マニラロープは十分ではないということをはつきり申し上げまして、そしてその他の資材、あるいはリンク物資については、この施策に即應して実行に移していくのであるが、マニラ麻については、現在の情勢から言うと十分の供給は困難であるということは、当初からはつきりいたしておるわけであります。しかしながらこれははつきりしたからといつて、何も生産の増費にもちろんならぬのでありまして、それだけをはつきりさせておるというだけではなくして、極力これの輸入を懇情するということに進んでまいつたわけであります。一面において統制を強化していくという、この根本のいろいろの問題については、すでに御了承のことであると思いますから、何も申さなかつたわけでありますけれども、全体として米、野菜、お魚といつたようなものにつきましては、非常に大きな生計費の部分を占めておるというような関係があり、また一面食糧の輸入という問題に関連いたしまして、どうしてもこれを正常のルートに乘せて配給いたさない場合においては、食糧の輸入が杜絶するというところまで來ておるわけであります。半面かようにいたしまして食糧の充足をはかり、そして米、発菜、魚、必要物資については、徹底的にこれを正常のルートに乘せまして、非常なる偏在を防いでいくという、この國内的に、また國際的に必要なことを斷行せざるを得ないという情勢にあるわけであります。このことがある意味においては、生産の増強に非常に幸をもたらしたという一面もあつたのでありまして、たとえて申しますと、先ほど申しましたように、マニラ麻の輸入につきましても、相当の分量が輸入されるというところに近づきつつある。今日ここで十分その点を申し上げる所期に達しておりませんけれども、近く実現し得る運びに相なつておりまする点を、特に申し上げておきたいと思います。
  30. 馬越晃

    ○馬越委員 ただいまの政府委員の含みのあるお言葉を聽き、先般農林大臣の同じような御言明がありまして、近いうちに何らかのマニラロープなり、ワイヤロープに対しまする輸入の朗報があるのであろうということは、私どもも非常にこのうれしい情報が速やえに発表され得ることを期待いたしておるのであります。しかしそれはそれといたしまして、とにかく安本としましても、この生産資材の十分な裹づけがない、殊にマニラロープのごときに至つては、わずから全般の数パーセントにしかすぎないということは、十分御了解になつておられることと思います。單にマニラロープばかりではありません。ワイヤロープにいたしましても、漁網にいたしましても、不十分であるということは十分御認織になつておられることと思うのであります。そこで今の物資の裹づけが不十分であるとしたならば、実際そうあるのでありますか、そうお考えになりましたも、今日の魚價というものは妥当なものであるとお考えになつておられるかどうか。
  31. 坂田英一

    坂田政府委員 物價の問題につきましてはこれはお魚といつたようなものばかりの問題ではありませんで、全体の問題であろうと思うのでありますが、これらにつきましては物價廳において檢討いたしておりまするので、私からはその点はお答えすることはできません。
  32. 馬越晃

    ○馬越委員 物價廳が御決定になるものではありましようが、これに御協議にあずかれる安本としましては、これらの生産資材が十分に裹づけができないということは、いきおいその幾分かというものは、やみ價格でもつて買わなければならぬということがはつきりいたしておるのであります。それにもかかわらず、現在御決定になつておる魚價というものがはたして妥当なものであり、正当なものであるかどうかということの御見解が御発表になれないはずはないと思うのでありますが、やはりそれについては御意見はないものと考えてよろしうございますか。
  33. 坂田英一

    坂田政府委員 先ほど申しましたように、價格はいろいろの物資と関連いたしておりますので、パリフイ計算によつてつておるわけであります。生産資材が十分であるという部面はいずれの面を見ましてもないわけであります。しかし極力それを満たしていく國情にあります以上はやむを得ないのでありまして、生産資材の充足には各方面に向つて全力を注がなければならぬことは申し上げるまでもない。全面的に各方面とも非常に資材は窮屈な情勢にあることは御了承通りであります。價格についてもさような関係から全物資を通じてのパリテイ計算でいつておるわけであります。その点御承了願います。
  34. 馬越晃

    ○馬越委員 不十分といいましても程度があります。その他のものにおきましては、水産物の價格のごとき無理なものはないのでありまして、たとえて申しますれば、ただいま政府委員が御承認になりました通りマニラロープのごときは、その需要量の何パーセンとにすぎない。先般伊勢底曳組合から提出した資料によりますと、マニラロープはその所要量の一パーセントにしか過ぎない。たつた一パセントでもつて補うておるという実情でありまして、他のいかなる生産においても、私はこういう実情はないと思います。この問題は、もうそれ以上安本としてお答えになれないのは無理ないと思う。無理を強いておるわけですから、これ以上言つたつてだめだと思いますが、先ほどの政府委員の御答弁中、運賃は全額國庫負担でやつておると言つておられましたが、その通りになつておるとお考えになられますか、ちよつと飼いたい。
  35. 坂田英一

    坂田政府委員 先ほど申し上げたことが、若干簡略に申し上げたので誤解があろうと思いますが、そうではないのでありまして、船運賃にならなければならない部面があるであろう。船運賃は從來貨車よりもずつと高いことになりますから、そこで船運賃に移らなければならないということから起る負担というものは、その部分を國が全部補給していくという建前をとつたのであります。全部の輸送費を國がもつておるというのではないのであつて、貨車で組ることにして計算されておるものに対しまして、相当それが船を輸送されることがあろう。また船以外の特別の輸送もあろう。そういう場合において輸送費の負担の増加が起る。その部分についての補給を國がすることにいたしておるわけであります。御了承願います。
  36. 馬越晃

    ○馬越委員 さように考えるのでありますが、その差額を現在全額國庫で負担せられておるとお考えになつておるかどうかをお聽きするのであります。
  37. 坂田英一

    坂田政府委員 その点は実行の面につきましては、水産部長からお聽取りを願います。
  38. 馬越晃

    ○馬越委員 水産局長の答弁は私は知つておるのであります。それはなぜかといえば、先日の委員会におきまして、井上政務次官がここにおいでになりましての御答弁によつてはつきりしております。経済安定本部におかれては、机上の計画としてはその運賃の差額は國庫負担でやるということは決定になつておる。ところが事実はどうかと言うと、先般井上政務次官の言明によつて明らかなことく、初めは政府はやるつもりでおつた。計画はその通りしようと思つていたが、予算が伴わなくて遂にそれを実行に移すことができなかつた、かように言つておられるのでありますが、この点について水産局長の御見解を承りたいと思います。
  39. 藤田巖

    藤田政府委員 ただいまの船運賃の海上へ運送いたしました場合の特別経費を負担する問題はこれは大体あれを北海道から東京へもつて來る場合を例にすると、たしか貫当り十八円見当で計算されているわけであります。ところが業者の方のお話では、とうていそのくらいのものではカバーされない。もつとたくさん要る。そういうふうな問題であると私は考えている。從つて現在は從來約束をしているところの金は、これは物價廳から東京都を通じてすでに出ているわけであります。その部分だけは出ている。  もう一つの問題は、総額がたしか八千何百万円でありますが、それが山ねこ爭議その他によつて海上輸送に轉移したものが非常に多い結果、予定をいたしているところの金が足りなくなつた。つまり從來通りの八千何百万円では賄えなくなつてきた。從つてその足らぬ部分をどうするか、これをきめてもらいたいという問題ですが、この問題については、私どもは正当にそれが要るものであれば、これは補償すべきだろうと思います。しかしながら業者の中には、これまた船を選択する模樣によつて、普通かかる以上に金がかかつたというところもあり、またその交渉がうまくいきませんために、普通このくらいの程度でいけるものが、非常にたくさんかかつているようなところもあろうと思います。從つてこの点は現在物價廳で研究をいたしております。つまり從來の國庫の補助金では足りないとすれば、現実問題としてどのくらい足りないかということについて詳細の資料を出してもらい、その詳細な資料によつて研究した結果、ほんとうに足りないのであれば物價廳で考えようということになつているわけであります。  それからあとの総額が足りなくなる問題については、一つは國がさらに補助金制度を続けていくか、もう一つの問題は、消費者負担として價格に織りこんで、そして一定のプール資金をつくつて、そのプール資金からこれを出すという方法と二色ある。われわれとしては、いずれの方法をとるにせよ、ともかく船で輸送した場合に当然高くなる部分は、將來といえども何らかそこは見てやるという方針で今進んでいるわけであります。
  40. 馬越晃

    ○馬越委員 先般の非常措置がとられて以來、今日までの正規の配給ルートに乘せられた魚は、関西方面で申しますと、どうしても伊勢底引網業者の業績を私どもは高く買わなければならぬと思います。で、この伊勢底引網業者が今日までおのおのの犠牲におきまして、政府施策に協力をしておる、しかしそれに対しては十分に資材裏づけが行われるものと確信をいたして、政府施策に協力してきて、今日の業績をあげたものと私どは考えておるのである。ところが今日までにおきまして、その裏づけは先般この水産委員会に参考資料として組合から御提示になられましたものを見ましても、いずれを見ましても十分なるものは一つもございません。ただ燃料におきまして約半数以上のものがはいつておる、その他の物はまことに微々たるものであるが、それまで操業し得ましたことは、今日までおのおの手持資材をもつてつた。そのためにそれが利用せられて、曲りなりにも操業が続けられておつたものと思うのであります。ところがその手持資材もほとんど使つてしまつて、これは政府裏づけがなかつたために、しかたなく手持もなくなつてしまう。そうして取締りは嚴重になつたものでありますから、收支バランスがとれなくなつてしまつて業者は赤字に非常に苦んだ。今後はやみ價格てもつて物資を購入する能力もなくなつてしまつて、ストツクもなくなつたということになると、伊勢底引網業者の今後の操業というものは不可能になつてくる、不可能になつてくるということは、いきおい配給ルートに乘るべき魚がなくなるということだと私は思うのであります。この結果というものは非常に大きな結果になつてきて、せつかくの政府のあの非常措置というものは、根本から私は失敗に終るのでないか、かように考えておるのでありますが、こういう点につきまする水産局長のお見透しとして、どうお考えになつておるか。
  41. 藤田巖

    藤田政府委員 伊勢底引網の人たちの要求は資材が中心になつておるわけでありますが、資材の中で油につきましては御要求通り、リシク率を改善することに決定をいたしたわけであります。從來は大体八百貫一キロの油のリンク率でありましたのを、今度は六百貫に一キロ出すということで、リンク率を改善いたしました。この問題は業者の言われる通りの決定をいたしておる。それからそのほか綿糸とかこまごまいたした物につきましては、できるだけ出すことにいたしまして、その方も大体御了承をいただいておるものと私ども考えておる。ただ問題はマニラロープ、トアイリング、これにつきましては先ほどお話のございましたように、輸入に仰ぐ以外に方法がないわけであります。それに先ほどの数字でも、お話にございましたように、数パーセントしかいつておりません。從つてその多量なる物はもちろん内地にもないわけでありますから、輸入に仰がなければならぬということで、これは緊急に輸入懇請をいたしております。先ほどのお話のように、相当有望の状態になつておるのであります。これが確保されますれば、これは伊勢の人たちにも、相当数量配給できるというように思つております。それからさしあたりのまた問題として、輸出向きに生産をされますマニラロープの中で、できますればさしあたつて漁業用に振替使用のぎてるようなものについて、連合軍にお話をしたい、こういうふうに思つておるわけであります。それからワイヤロープについては、從來隠匿物資関係から三百トンばかりのワイヤロープ水産用にもらつたのでありますが、これでは足りないのでありまして、さしあたつて水産用として、大体一千トンばかりもらいたいと私どもは考えておるのであります。そうしてこれにつきましては、大体生活物資局の方ともいろいろお話をいたしまして、一千トンは無理であろうと私ども思つておりますが、生産増強その他の施策を講ずることによりまして、できるだけこれに近い数量のものを確保し得るようにお話をしております。何とか見込みがつくものと私どもは考えております。從つてそれが確保されることになりますれば、これは底引だけというわけにもまいりませんが、以西の底引、それから以東の底引、それから定置漁業、こういうふうなものにも配給相当にできようかと思つておるわけであります。  それで、当業者の方たちは、大体資材その他の現状からいたしまして、これが精一ぱいのところであろうということは了承をしていただいておるのでありまして、しかしながら現在では資材が來る時期というのは相当先になる、そうするとそれまでの間のつなぎをどうするということで、その間のつなぎとして、ひとつ暫定的に漁價の問題について考えてもらいたい、將來そういうふうに資材が來るならば、これは十分やつてゆける、しかしそれまではだめなのだから、つなぎとして漁價を暫定的に引上げてもらいたい。こういう問題があるわけであります。これも御事情はごもつともだと思つておりますが、しかしながらこの漁價の問題については、これは單に底引のみならず、一般の沿岸漁業その他でも大きな問題であります。われわれとしては、これを全体に考えなければならぬと思いますし、またこれはひとり漁價だけではなくて、一般の物價ともにらみ合わして考えなければならぬと思うのであります。従つてそういうふうな点について、私どもとしては現在十分研究いたしておるわけであります。私の氣持としては、現在とり得るいろいろの措置を講ずることによりまして、できるだけ生産が減退しないように、何とかやつていけるようなことにいたしたいと考えております。
  42. 馬越晃

    ○馬越委員 大体滿足できるような御答弁をいただいておるので、喜んでおるのでありますが、先ほど西村君と水産局長との間にのれんに腕押しのような問答が繰返されたのでありますが、そのときに局長が一口、もしできない場合には何らかの処置をとりたいと思う——何らの処置をとるというお言葉があつたのでありますが、あの何らかの処置というのは、具体的にはどういうふうな考えをもつておられるのでありますか。
  43. 藤田巖

    藤田政府委員 これはいろいろのやり方があるであろうと思います。率直に申しますれば、魚の値段の問題もあることでありましようし、あるいはまた現在の統制方式を改善していく、合理化していくという問題もあるでありましようし、いろいろな方式はあることであろうと思います。しかしながら現在の状態として、やはり許される限度があると思います。いろいろの方法を考えまして、許される点について私どもはそれを実施していきたい、こういうふうに思つております。
  44. 馬越晃

    ○馬越委員 ただいまを局長がいろいろ御意見をお話しになりました点は、主として大規模の漁業において可能な御意見であろうと考えるのであります。ところが瀬戸内海におきまする漁業の状態というのは、底引網とか、あるいはまぐろ、かつお漁業とかいうものとは、また全然趣を異にいたしておるのであります。御承知のように、一ぱいの漁舟が出かけてまいりましても、せいぜいとつて帰りますものは二貫目か三貫目くらいの魚しか持つて帰れない。これでもつて油のリンクをもらいましたところで、これは問題にはならぬ。ことに瀬戸内海におきましては食糧の裏づけというものがない。実際においてはなんぼ魚をとればなんぼの米の増配をしようという規定にはなつておるのでありますけれども、私の方の縣の愛媛縣におきましては、全然特配が行われておりません。これは縣廳のやり方が惡いのかどうかしりませんが、全然行われておらぬ。かりに物資が全部マル公ではいるものと仮定いたしましても——こういうことは全然ありませんが、かりに生産物資が全部マル公ではいるものといたしましても、漁業者は二合五勺の配給ではやつていけぬのであります。われわれはちよつと日曜日に海に出ましても、ずいぶん腹の減るものなのであります。そうしますと、漁師があるいは五合なり六合なりの飯を食わなければ操業ができないのであります。そうするというと二合五勺と、五合あるいは六合との米の差額の食糧というものは、やみで買わなければしようがない。すべての物資マル公ではいるものとしても、魚もマル公で賣る以上はこの食糧のやみ價格の差というものだけは、どうしてもむりが当るわけであります。そいつは魚價を織りこまなければ、その日その日の操業ができないという状態にもあるわけなのであります。その点をひとつよくおくみとりを願つておいて、そうしてなお、先ほど申しましたように、出てまいりましても、わずかに二貫目か三貫目の魚しか一日にようとつてこぬのでありますから、そうしてこれらの業者リンク物資をもらいたいということは、これはもう不可能なのであります。どういたしましても瀬戸内海の漁業の実態から申しまして、現在水産局がお考えになつておるような、大企業の漁業者と同一な考えのもとにやつていかれるということは、これはとうてい不可能な問題なのです。これに対しまして私ども意見はもつておるのでありますが、この点につきまして、局長として何かお考えはもつておいでにならぬかどうか、それをお伺いいたしたい。
  45. 青木清左ヱ門

    ○青木委員長 ただいま物價廳第二部生鮮食品課長三谷一太郎君が御出席になりました。
  46. 藤田巖

    藤田政府委員 瀬戸内海の漁業の特殊性は、私どもこれを認めております。しかしながら現在の統制の方式の場合において、瀬戸内海だけ特別に扱うということが非常に困難なのであります。そのために從來ともなかなか解決しなかつた問題であるわけであります。私は率直に申しますと、日に二貫目ぐらいの魚をつつて、それだ現在の物價高の中で暮していくという、そういうやり方がはたしてどういうものであろうかということは考えるのでありますけれども、これはしかしながら一方それらの人の生業の問題にも関係することで、これを急に非常に能率のよい漁法にかえるということもできない、きわめてむずかしい問題であろうということも十分承知しております。將來いろいろ統制方法を考えまする場合に、いろいろの特殊な措置が講ぜられます場合には、できるだけ考えていきたいと思つております。しかしながら、これはやはり全体の統制の方式を非常にそのために乱すようなことになると、これもなかなかできない。そこにむずかしい点があるわけであります。私ども十分研究をしておるということで御了承いただきたいと思います。
  47. 馬越晃

    ○馬越委員 瀬戸内海の漁業は二貫目か三貫目しかとれないのだから、これを大企業に轉換さすといつたところで、それはやりたいのですけれども瀬戸内海で機船底引網を許すわけではない。またこれを許したらたいへんな問題が起きるのだが、そうでなくても、現在のように多量の失業者がある。殊に近々行われるであろう行政整理に伴つて、これまたおびただしい失業者を生むという状態になつておる。國家はこれに対して失業手当なども出さなければならぬような状態の場合に、さらに失業者を出すような考え方をもたれるのはたいへんな間違いで、たとえ瀬戸内海の漁獲高は小なりといえども、人数においてはおびただしい数である。これらの人をその生業につかしておるということだけでも、國家的に見れば大きな効果があるわけであります。それらの人が実際安んじてその仕事についていかれるということについては、農林当局としては格段の御配慮をいただかなければならぬと思うのであります。先般物價をきめる時分に、鈴木君から特に附帶條件を出し、私からもこれに賛成の意見を述べたのでありますが、現在の魚價は大衆魚、いわゆる配給の対象になるいわし、あじ、かつお、まぐろのような、大量生産の魚を主体にしてきめられておる。現在いわしの値上りと、あるいは瀬戸海内特有のたい、さわらのようなものの値上りの割合には空泥の差がある。たいは今日百円見当であります。今日の物價はすべて六十五倍ということになつておりますが、たいは前々からいつても三円なり四円、冬は十円近くなつてつた。そうすると今日の百円という價格は二十倍か三十倍くらいにしかなつておらないのであります。大体魚價を決定せられる場合において、瀬戸内海にとれるような魚が犠牲になつて、今度は大衆魚の方の利益になるような價格の決定をしておられるが、これは私ははなはだけしからぬことと思う。すべてがずつと六十五倍になつておるならわれわれも一應納得するけれども、瀬戸内海の一番不利な條件にあるその漁獲物が、最も犠牲を拂つておるというような魚價の決定をせられておるのでありますから、これを何とか是正しなければならぬというので、先般の魚價決定の際においては、配給の対象にならない特殊の魚については價格統制をはずしてもらいたいということを強力に主張いたした。その場合において前の平野農林大臣は、その意見はしごくごもつともである、その御意見に副うように十分考慮しようという言明をここでせられたのであります。続きまして現在行われておる魚價が発表になりますときに物價廳から部長がお出でになり、参衆両院の委員を御招集になられて、祕密会で事前に魚價を御発表になつて、われわれの了解を求められた際において、配給の対象にならないところの特殊の魚類についての公定價格の撤廃については、いろいろ考えてみたが、なほ研究の余地がある。今回はこの問題は切り離して発表する。いずれ後日何とか善処したいと思う。こういうような前置きのもとに、あの公定價格を御発表になつたのであります。爾來物價廳におきましては、この問題について何か御研究になつておられることと思うのでありますが、これについて何か考えておられるところを、この際御発表になつていただきたいと思います。
  48. 大谷一太郎

    ○大谷説明員 第二部長という御指名でありましたが、本日たまたま病氣のために欠席しておりますので、私が代りまして御答弁申し上げます。今お話の点については、先ほど農林省の藤田水産局長から御答弁がありましたように、そのことについては物價廳としても研究を続けておりまして、否定的な方向で問題を抛棄したわけでは決してありません。ただいろいろの客観的情勢であるとか、あるいは時期の点を見て研究しておるというのが現状で、今お話のような点は、決して否定的に抛棄してはおらないということだけ申し上げられると思います。
  49. 馬越晃

    ○馬越委員 最後によくお願いをしておきたいことは、繰返して申し上げますが、魚價を決定いたします場合において、全体が六十五倍になるようにもつていくためには、配給の対象として多量に生産をされるいわしとか、あじ、さば等の大衆魚の價格を、より一層つり上げる政策をおとりになることも、十分納得がいくし、賢明な策であることも十分私どもはわかるのであります。そのためにこれらの品物は六十五倍があるいは八十倍、八十五倍にもなつておるでありましよう。しかしながらたいであるとか、さわらであるとか、その他の高級魚というものは実に大きな犧牲が拂わされている。先ほど申しましたように、たいの價格が一年を通じて安いときは三円五十銭、高いときは十円ぐらいしておつた。平均五円としても、百円なら二十倍にしかなつておらぬ。六十五倍が基準であるのに二十倍にしかなつておらぬ。ところが瀬戸内海においては、それ以外のいわしとか、あじ、さばなどはとれといつてもとれない。そういう魚はおらぬ。とるとすれば高級な魚しかとれない。それは常に犧牲になつているものである。これらに対しましては、特殊な扱いをしなければならないことはもう理の当然なのであります。私はこれに対しては、いま少しく農林当局におかれても、物價廳におかれても、瀬戸内海の漁業の実態を十分に認識していただいて、こうした欠陷に対する打開について、いま一段の御努力を願いたい。以上申しまして質問を終ります。
  50. 多賀安郎

    ○多賀委員 水産局長にお尋ねいたしたいのであります。先ほどリンク制のことにちよつとれ触れられたようであります。たとえば八百貫のリンク率を六百貫に下げるというようなことは、すべて現在の漁業資材の傾斜方式にいたしましても、大規模漁業を基準とした資本漁業の方に重点を置かれまして、先ほど馬延委員からもお話がありましたように、きんちやく網とか、つぼ網とか、一本づりとかいうような、きわめて小規模における、高級魚を対象とした瀬戸内の漁業をいかにも継子扱いにしているようなわけであります。たとえば油などにつきましても、三十貫で一本やる。その油が三十貫で一本の割合で、たとえば岡山縣なら岡山縣、四國なら四國にきている場合、これを五十貫とつた場合は、リンク率を引上げて五十貫で一本というふうに、現物をそのままに据置いて、生産の率を引上げるというようなことは、いたずらに漁民に対して政府の水産行政そのものに対する信頼性を失わせてしまうというような結果を招くと思うのであります。こういう点につきまして、政府としては、主として瀬戸内漁業などに対してどういうお考えでおられるか、お尋ねいたしたいのであります。
  51. 藤田巖

    藤田政府委員 私の氣持を率直に申しますと、瀬戸内漁業を救うということを考える唯一の手は、正直に申しますとはずす以外にないと思います。しかしながらただ問題はそういうようなものをはずすということがほかに影響し、また一般のものに関連をしている。そこが非常にむつかしいのであります。私はまだいの價格をいかに公定價格できめてみましても、そのまだいの値で確実にはいつてくるとは考えられない。またそんなにはいつてくるような値段の公定價格がつけられるとも思わない。しかしながらいろいろの魚種について、これはどう、これはどうということになりますと、問題がたくさん出てくる。そこに非常にむつかしい問題があるわけです。從つてその問題が簡單ではございませんために、お話のように、從來とも價格をきめます場合に、なかなか特殊な扱いもせられない結果、いわば犧牲的な價格がきめられている、こういう現状であろうと思います。この問題については、事情は私ども十分わかつております。ただこういう特殊性のありますものを、いかに全体と調和をさせて考えるか、その方法について非常にむつかしい問題がありますので、決定ができないわけであります。それについてもわれわれは十分研究はいたしているということを御了承願いたいと思います。
  52. 多賀安郎

    ○多賀委員 漁業資材の傾斜方式について、これを是正されるお氣持はあるかどうか、お尋ねいたします。
  53. 藤田巖

    藤田政府委員 資材が非常に潤沢になつてまいりますれば、私どもは現在非常に不足方面へも流し得ると考えております。しかしながら資材が非常に窮屈な場合は、できるだけその資材を有効に使うということを考えざるを得ないのであります。從つてその資材を出すことによつて、確実に正規のルートを乘るもの、また同じ資材を使うにいたしましても、効果的に生産高を上げるように使えるもの、こういうものに重点が置かれてくる、これは仕方がないことであります。しかしながらわれわれといたしましては、そういうふうな結果、沿岸漁業がやはり非常に不利な立場になることを承知しております。從つてわれわれとしては、できるだけ全体に必要な資材があたるように、資材の絶対量を保持するように努力をしていかなければならぬと思つております。
  54. 多賀安郎

    ○多賀委員 ただいま水産局長の御答弁は、一貫いたしまして非常に不満足でありますが、時間の関係もありますので、これで質問を打切りたいと思います。ただ最後にお願いを申し上げたいのは、ただいまの御答弁にありますように、とかく沿岸漁業が下積みになつている点を機会あるごとに御是正願つて、十分に沿岸漁業の漁民の立場を御尊重願うことを希望いたします。これをもつて私の質問を打切ります。
  55. 馬越晃

    ○馬越委員 念のために水産局長に伺つておきたいのですが、局長は瀬戸内海の魚は統制の対象に考えておられるのでありますか、その点をひとつお伺いしたいと思います。
  56. 藤田巖

    藤田政府委員 瀬戸内でとれますものもいろいろありますが、いわしなんかは統制の対象にすべきものと考えております。ただ、まだいとか、さわらにつきましては、これは数量もきわめて限定され、價格その他の関係から、家庭配給にするというようなことも、これはなかなかできない問題であるというふうに考えております。
  57. 青木清左ヱ門

    ○青木委員長 次会は二月三日午前十時三十分より開きます。本日はこれをもつて散会いたします。     午後零時四十五分散会