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1948-03-27 第2回国会 衆議院 図書館運営委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年三月二十七日(土曜日)     午後一時四十三分開議  出席委員    委員長 中村 嘉壽君    理事 石井 繁丸君       井上 知治君    松田 正一君       多田  勇君    圓谷 光衞君  出席政府委員         大藏事務官   河野 一之君  委員外出席者         國立國会図書館         長       金森徳次郎君         衆議院法制部長 三浦 義男君         参議院法制部長 川上 和吉君     ————————————— 本日の会議に付した事件  國立國会図書館法制部との機能調整に関する  件     —————————————
  2. 中村嘉壽

    中村委員長 これから会議を始めます。  本日は衆参両院の打合会を開くつもりでありましたが、参議院方々が御都合が悪いというので、委員会といたします。本日この会合を催しましたことは、大藏当局の方におきまして、この國会図書館のことについて、まだ御了解がいかないところがあるようでありますから、そのことを明瞭にしたいということが起りであります。と申しますことは、國会図書館法は過日通過いたしまして、すでに発足をしておるのでありまして、この法律に基いて予算が提出してあるのでありまするが、今大藏当局の方においての説明によりますと、別に法制局という厖大なものができるので、その方に人を要し予算を要するのであるから、國会図書館の方はこれを半額ぐらいにするというお考えであるようなことを聞いたのであります。それは私どもから考えますと、少し何かそこに誤解があるのではないか。いろいろ確かめてみますと、まだ法制局というものはここに法律もできていないのであります。のみならず、この問題につきましては、過般アメリカから使節團が來ました折に、いろいろ相談をいたしました結果、國会図書館においての眼目とするところはリフアレンス局にあるのだ、これを充実して法制局をつくることにしなければいかぬのである。これに対しましては法規委員長におきましてもいろいろ論議をされ、さらに去る正月三十日午後四時帝國ホテルにおいて図書館運営委員長が両方から出て、法規委員との合同打合会が開かれたのであります。法規委員長からは樋貝藤井両君が出られ、事務局から参議院川上法制部長衆議院三浦部長出席をしておられたのであります。國会図書館の方からは参議院委員長並びに私も出まして、事務局からも細野調査第一課長も出席したのであります。この機会におきまして図書館使節人々といろいろ懇談をしたのでありまするが、ここで大分論議が盡されました。どうしても法制局というものを充実しなければならぬという論議がありましたが、向う図書館使節人々は、法制局というのはアメリカにもないではない。ないではないけれども、きわめて小さなスタツフによつて行われておるし、約五人か十人の程度の者でできておる。これをリーガル・カウンシルといつておる、レジスラテイヴ・カウンシルというふうにいつて法制をつくる上においてフイニツシング・タツチをする任務をもつておる、こういうお話があつたのであります。そこでみんなが了解してくださつて、殊に樋貝君のごときは、それでは法制局というものはもう要らぬことになるのではないかというような言葉まで発せられたことを、私どもは記憶しております。ここにおいでの両法制部長はよく御承知のことと存じます。そこで納得をしていきましたけれども使節団はなお衆議院運営委員人々にもよくこの話をば聽いてもらいたいというので、二月二日に運営委員会が開かれまして、ここにおいてまた論議をされ、同じことが繰返されておるのであります。先ほど申し上げましたように、今法制部というものは存立をしておるが、しかしそれはアメリカでは五人か十人であると思う。そんな厖大なものは必要はないが、フイニシツング・タツチをするということでこのレジスラテイヴ局において法律のあらゆる資料を提供し研究し、骨組をつくるのだということをお話に相なりまして、これは運営委員会人々並びに出席をした人々は、むろん納得をされたと私は信じております。重ねてこの使節人々は、もし法律をつくる材料、すなわち法制部ほんとう仕事というものをここでするのでなければ——レジスラテイヴ・ライブラリーというものが必要でないならば、図書館というものはもう返上していいのであるということまで言つたのであります。そういう意味合ライブラリーはつくるのでありますから、このライブラリー重複をするようなものができたとするならば、大藏当局がお考えになるのはそれは私は当然だと思つております。あえて大藏当局にかれこれ言うのではありませんけれども、そういう情報があつて、この情報によつてほんとうにすでにできておる法律の運行について支障を來すようなことがあつては、もつてのほかのことだと思うのでありますから、大藏当局にもよくこのことを御了解していただいて、そうして屋上屋を重ねるようなものをつくることなく、國会図書館というものがその運営を全うするために全幅の御努力を願いたい、こういうことを私ども希望するような次第であります。  われわれがこの図書館を必要とするゆえんは今まで法制局というものがあつてきわめてビリトルテツクであり、しかして議員の職能がなく、機関がなく、機会が與えられないために、ほんとうに完全なことをなし得なかつたのが、こういう機関ができたならばその目的を達することができ、一面においては官僚跋巵の声が小さくなつていくのだ、かくて立法が満足にいくし、各國家機関の間が円満に行くということを試みてやつたのですから、それにもかかわらずこの國会図書館の本然の仕事と競爭するような仕事ができるということは非常に遺憾だと思う。殊に國費重複に使うということは好ましからざることだと存じております。この点についてよく御了解を得たいと思つておる次第であります。ここに川上部長三浦部長もおられます。この方々もその席におられたのでありますから、私の今申し上げておりましたことが事実であるかどうかということを確認していただきたい、これが私の希望であります。
  3. 三浦義男

    三浦法制部長 私、衆議院法制部長といたしまして、事務的にただいまのお話に関連いたしまして申し上げておきたいと思います。前々から法制部機能拡充の問題につきましては、議院運営委員会あるいは法規委員会等において御研究になつてつたのでありまするが、その間たまたま國立國会図書館拡充問題も起つてまいりまして、これらの間をどう調整するかというようなことになつて來たと考えられるのでありまするが、この法制部機能拡充の問題をどうするかということは、これは國会自身がおきめになることでありまして、私ども立場上、今ここで云々することは差控えたいと考えておるのであります。ただいまの委員長お話に関連しまして、私の知つておる範囲内において、簡單に御了解を得ておきたいと思つております。  まず先ほど申しましたように、法制部國会法の制定とともに、法律の上に、特に議員法制に関する立案に資するため、法制部を各議院に置くことになつたのであります。その後衆議院におきましては、法制部機能をどうやるか、いろいろ事務的に檢討されました結果、目下法制部のもとに、いわゆる勅任部長を下に置きまする二部を持つておりまして、その下に参事を置いておるのであります。参議院の方におきましては、法制部の下に各課——現在四課あると思つておりますが、そういうような構成になつておるのであります。ところが議員各位がいろいろ議員提出法案を立案されようとするにあたりまして、現在の法制部機能なり、あるいは機構では十分にその目的を達し得ないというような要望が方々にありまして、衆議院議院運営委員会におきましては、ある党から、各議院法制局を置くという案を提出せられたのであります。その後なお衆議院参議院議員でもつて構成されておりまするところの両院法規委員会におきまして、両院別々に置くよりも、國会をまとめて、一本とした國会法制局を置いたならばどうかという熱烈なる意見等が展開されました結果、國会法制局法案というものを両院法規委員会において取上げられまして、これを勧告の形において両院各議長に提出する運びとなつておつたのであります。そのときに先ほど委員長からもお話のありましたように、國立國会図書館の問題が起つてまいりましたので、その間の調整をどうするかというようなことで、向う國立國会図書館使節もお見えになつておりましたので、両院法規委員会委員長樋貝さんもその席に参られまして、先ほどお話のありました帝國ホテル懇談会が開かれたのであります。そのときには今、委員長からのお話では参議院法制部長も出られたというお話でありましたが、参議院法制部長はそのときには出なかつたのでありまして、樋貝委員参議院新谷委員とそれから私が参つたのであります。そのときにいろいろお話がありました結果、國立國会図書館法案において考えられております事柄は、いろいろの関係から——使節が帰國せられる関係等もありまして、非常に急いで國会を通過させなければならぬというような事情もありまして、さらにこの問題を議院運営委員会においても取上げまして、早急に法律として通過させようという運びになつたわけであります。  この問題を考えますに、私ども事務的な見地からだけ申し上げたいと思いますが、現在の法制部機構におきましては、十分に各議院の御要求に應じ得るようには、まだ程遠いように考えておるのでありますが、それにいたししまても、現在衆議院だけについて申し上げましても、いろいろ議員立法等につきまして私どもの方に御連絡がありまして、少い陣容をもちながら相当繁忙なこのむずかしい仕事を取扱つておるわけであります。現在の法制部機能といたしましては十分ではありませんけれどもちようど政府におきましては法制局があつて各省から一應法律案法制局に提出しまして、法制局がこれを法制的にまとめ上げて政府の案として國会に提出するのでありますが、ここの法制部におきましては、各省法制局に提出するようなそういう内容の事項をも法制部において研究調査し、要綱を立案しまして、さらにまた法制局が今までやつておりましたような法制的な見地から、他の憲法あるいは法規等の関連においてこれをどう取捨し整理するか、そしてりつぱな法案とするかというような問題をも取上げて研究いたしておるわけであります。今後の行き方といたしまして、國立國会図書館ができますれば、その法律に示されてありますように機能が充実いたしまして、ますます國会機能を増進されるような運びになりますことにつきまして、私ども一言の異議をさしはさむものでないのでありますが、ただ問題は、國立國会図書館においてお取上げになるといわゆる立法リフアレンス局におけるところの仕事と、それから法制部なりあるいは法制部拡充しましたところの法制局なりにおいて取扱う仕事限界がどこにあるかという問題に帰着すると思うのであります。現在におきましては、國会法制局法案は一應そのままになりまして、現在衆議院におきましては、議院運営委員会におきまして、國会法の他の改正とともに各議院にそれぞれ別々に法制局を置くという案が研究せられておるのでありまして、まだ法案として同委員会最終決定を得てはおりませんが、一應そういう形において行つたらどうかというようなことで、目下審議中であります。從いまして現在の法制部法制局になるかどうかということは、その審議の経過なり國会決定にまつより仕方がありませんが、事務的に申し上げますれば、私どもといたしましては、國立國会図書館でおやりになる機能を十分に充実していただくことはもちろんでありますが、さらにそれに足りない点をわれわれ法制部法制局機構拡充せられまして、なお補い得る余地もあるかと考えておるのでありまして、そうしてりつぱな法律がつくられるように國会機能を充実したい、こういうことが私どもの念願であるのであります。まだ法制局法案につきましては結論を得ておりません、審議の中途にありますので、今ここでどうだということを申し上げることは差控えたいと思いますが、大体さような状況になつておりますし、また事務的にも、一應法制局なりに拡充せられまして、國立國会図書館と並行して機能拡充して、國会ほんとう機能を発揮したい、かように考えております。
  4. 中村嘉壽

    中村委員長 ただいま三浦さんの説明によつて帝國ホテル会合運営委員会会合のことについては、ほぼおわかりにくだすつたことと思つております。なお帝國ホテル会合において川上部長も御出席相なつたと私は思つておりましたが、そうでなかつたということですから、これは私は撤回いたしますが、その会合の席上のことを私が確めたことは、三浦さんもお認めくだすつたことと存じております。  ただいまお伺いいたしますと、今の法制部において大分いろいろな調査があつて、人も足りないから人も必要だというふうにも聞いております。もちろん今國会図書館の方は発足をしておりませんから、何もしておりませんが、これが発足しましたならば、おのずから法制部が今やつておるようなことの大部分の仕事をやる任務をもつておるということは、先ほど私が申し上げた通りであります。また使節団説明してくれた通りアメリカ國会図書館のやつておる通りなのであります。そのあとにフイニツシング・タツチをするような一つ機関が必要だということは、これはわれわれもむろん認めるのでありますが、これが非常に厖大予算であるがために、それができるのだからといつて、まだそれができる以前において、その方面から大藏省の認めようとする予算に、もし制肘を加えるようなことがあつたとするならば、はなはだ遺憾だと私は思つているのであります。われわれが今日まで伺つておるところでは、事務当局方面からかような案が出ておるのだからというようなことで、大藏省当局は遠慮しておられるとか、控えておられるとかいうふうに伺つておりますから、後にどんなものができようと、それは別な問題でありますけれども、現実にできているところの國会図書館発足に対して障害になるようなことがあつてはならぬと思うのであります。全幅働きをするだけの人数を認め、予算を認めていただかないとその目的を達しないことになりますから、そのことをよく大藏省当局に御了解を願いたいと思うのであります。主計局次長が見えておるようでありますから、今三浦さんからお話をよくお聽きくだすつたと思いますが、これに対して大藏当局の御決心をお伺いしたいと思います。
  5. 河野一之

    河野(一)政府委員 御意見よく拜聽いたしました。
  6. 多田勇

    多田委員 今、三浦さんのお話の中に、法制局法案をつくるべく進行中であるというようなお話がございましたが、現在法制局法案をつくるべく進行中であるかどうか、もう一度お伺いしたいと思います。
  7. 三浦義男

    三浦法制部長 御承知通り現在國会法改正に関しまして、先方からのいろいろな意見の提示もありまして、多くの法規改正をいたさなければならない点もございますので、これに関連いたしまして、前から問題になつております法制部法制局にするという案も取上げられまして、すでにその案は議院運営委員会に提出されまして、議院運営委員会の案といたしまして目下審議中でございます。今日もそれが開かれることになつてつたのでありますが、午前中いろいろな関係でできなくて、各派交渉会が済んだあと、さらにまた開くというようなお話に聞いております。さような進行状態であります。
  8. 多田勇

    多田委員 國立國会図書館法をつくる際に、この図書館議員立法のために資するあらゆる調査資料を集め、そして議員立法事務的処理までするという建前のもとに、國立國会図書館法が新しくできたものとわれわれは了承しておるのであります。しかもアメリカ使節團の話としまして、アメリカにおいては法制部はあるけれども日本においては國立國会図書館がすべての議員立法についての補助をするという建前のもとに、図書館をつくり上げたいという希望がありましたことを聞いておりますので、もしかりに法制局法案について運営委員会で取上げられておるといたしますれば、これは國立営会図書館を創立する、拡充するという趣旨に反するだろうとわれわれは考えるのであります。少くとも同じような性質のものが國会の内部に二つできるということは、いろいろな面で支障が生ずるし、しかも現在のような非常に逼迫した経済事情下において、経費の点でも相当大きな問題として考えなければならないと思いますので、この点は委員会意向として、委員長から議院運営委員会に対して、國立國会図書館性格及びその具体的な内容について、はつきりした申入れをしていただいて、そしてこのような二重の施設をするような点を、至急に除去していただくようにお願いしたいと思います。
  9. 中村嘉壽

    中村委員長 ただいまの多田君の御意見は、まつたくその通りだと考えております。われわれがこの図書館に力を入れたいと思いますことは、すなわちそこにあります。今までの弊害と認められておつた官僚主義というものをなくして、そして國務が円満に進行していくということの目的のために、こういうような國会図書館をつくろうということであるのであります。それと重複するようなことがあつたり、競爭するようなことがあつたりすれば、まつたくこの目的に反することでありますから、ただいま多田君の御意見委員すべての意見といたしまして、私の方から運営委員会の方にも取次ぐことにいたします。さよう御了承願います。
  10. 三浦義男

    三浦法制部長 ただいま國立國会図書館目下審議中の法制局とが重複しないかというお話がありましたが、これは十分それぞれの委員各位において審議せられることであろうと考えておるのであります。ただ御参考までに申し上げておきたいと考えておりますのは、現在審議中の法制部拡充の問題は、國立國会図書館重複して、特にそれと対抗するようなものをつくろうというようなことは、全然含まれておりませんし、また國立会図書館でおやりになる仕事をじやましようというようなこともないのでありまして、まつた國会機能増進のために、それぞれある限界をもちながら、そして互いにその機能を発揮し合つて、結局は國会自体の権威を機能の完全なる発揮にあるという点だけを、私どもは外から見ておりまして感じておりますので、御参考までにちよつと申し上げておきたいと思います。
  11. 多田勇

    多田委員 ただいま三浦さんからの御意見もございました。國会図書館法制部重複するような点がないし、かつ法制部拡充が必要であるというような御意見でございましたけれども國会図書館議員立法について資料を提供し、あるいはその法文化について事務的な処理をするというところまで行うという建前のもとにできていると考えるのであります。この点について、國会図書館だけで法制部がなければ議員立法支障を生ずるというような点があるかどうかはつきりしておりませんから、委員長からお答え願いたいと思います。
  12. 中村嘉壽

    中村委員長 多田君の御質問にお答えいたしますが、われわれはそういうことが支障のないようなレフエレンス局をつくろうというのが目的であります。だから今法制局をつくろうということは、アメリカにあるような五人か十人の程度フイニツシング・タツチをするようなものに止めたい。しかるに私ども聞くところによると、一方においては競走的でないという今の三浦君のお話でありますが、競走的なことはお考えにならぬかもしれぬが、おのずから人材を集めるにいたしましても、法制局の方がそういうふうに出てくるとすると、そつちの方にずつといいものを引きつけようという傾向になるし、あるいは図書館の方にこれを競走してとろうという傾向が出てきて、二重のことが行われるようなことになるのであります。われわれが法制部の必要であるという点は、そういうような厖大なものをつくるということを予想していないのであります。國会図書館がその大きな任務を遂行する、こういうつもりでおるのでありまして、國会図書館でやることが不足であるということは少しも考えられることではなし、これを十分に充実しなければならぬ。今法制局が意図しておるようなことを充実させようというのがリイフアレンス・ライブリーの目的であると私は信じております。
  13. 多田勇

    多田委員 よくわかりましたが、これにつきまして、法制部の併置の問題、さらに実際の図書館運営問題について、法制関係をどういうように考えになつておられるか、館長の御意見をお聽かせ願いたいと思います。
  14. 金森徳次郎

    金森國立國会図書館長 私自身立場としては、この國会図書館法に基きましての働きを完全にしたいというわけでございますから、從來よりもう少し高い面に立つて國会内に法制局ができることがいいか惡いかということまでは、実は言葉を用いたくないと存じております。ただ國会図書館法自身の中の規定におきまして、図書館は両議院に対しまして、立法準備をいたしましたり、また御要求に應じましては議案を起算するという義務があるわけでございますから、どうしても法律を確実に施行いたしますためには、図書館立法調査と、立法議案準備する意味におきましての職員は、ぜひともなければならない。これは少しでも不十分でありますればそれだけ図書館機能か妨げられる、こう存じております。そういうふうになりますると、國会側におきまして法制局をおつくりになることに理由があるかどうかという問題にいきおい触れていくわけでございますけれども、これは非常にデリケートな微妙な問題でありまして、國会図書館の方でいい法律案を出しますれば、國会の方で特別に多くの法律的な働き準備的に法制局でなさらなくてもいい場合が多かろうと存じております。從つて國会の方でみずからの法制局をおもちになりまする機箱は、前にも委員長からお話がありましたように、図書館の方で十分注意の行き届きそうもないような点——そういうことがあるかどうかは別問題として、仮想的に申しますれば、そういう面についていろいろ各法律法律との間の調整問題の考え方、あるいはまた憲法との関係におきましても、若干の論議も扱われるという、ごく限られた範囲に限定せられるのが正当なように存じております。根本にこれをまず建て直しまして、どういうふうに権限を分配するかということになりますれば、これは一つの問題になろうかと思います。この國会図書館法があります限りは、主たる責任國会図書館において立法準備責任をとるべきだというふうに考えます。
  15. 多田勇

    多田委員 館長の御意見同感でございます。私どもは、現在の日本行政機構が非常に複雜であり、このことがあらゆる面に支障が生ずるという意味において、行政機構改革を行わなければならないという考え方をもつております。そういつた考え方のもとに、おそらく國会自体として行政機構改革考えられておるだろうと思いますが、そういつた考え方のもとに立ち、國会自体がただいま館長からお話がありましたように、図書館機能議院要求に應じて立法についての準備をし、あるいはその草案をつくるという一つ仕事を與えられておるにもかかわらず、それと同じような形の仕事法制局において行われなければならないというようなことは、非常に矛盾しているだろうと考えておるのであります。少くとも國会図書館がはつきりした性格をもつておりますし、最も機構を簡素化することが必要と思われますから、当運営委員会意向としてそれぞれの方面に、はつきり國会図書館性格國会図書館任務を確立されまして、こういつた二重の機構複雜機構をつくらないようにしていただくように御努力願いたいと思います。
  16. 圓谷光衞

    圓谷委員 委員長ちよつとお尋ねします。法制局任務でございますが、法制局任務國会図書館において全部できるということでありますか、そこのところを伺いたい。
  17. 中村嘉壽

    中村委員長 圓谷君にお答えいたします。任務を果し得ると信じております。ただこれにいくらかのフイニツシング・タツチをする程度のものが必要だということを思つているのであります。アメリカ國会図書館では年に四、五万の法律をつくるといつておりますが、それはずつと國会図書館の方が材料を提供しているのです。材料を提供するということは、フアクター、データーを提供する。事実決してそこにいる專門委員たちが自分の意見を加えるということではなしに、材料を提供して法文をつくらせて、今館長も言われましたように、いろいろな摩擦を解くとか疑義を解くというために法制部というものが設けられている。その人間は五名か十名の程度だということで、それは両院に置いておる。セネトにもあれば下院にもある。そういう程度法制部日本両院においてもあることの必要は認めますが、残余の立法をするということは、大方國会図書館立法リフアレンスによつてやられると思つております。
  18. 圓谷光衞

    圓谷委員 三浦部長にお尋ねいたします。現在法制局考えられている大きな構想のものが、もし國会図書館の中にその機能がそつくり入れられるという場合においては、現在立案されておる法制局の問題は、図書館の方に移しても差支えないというようなお考えでありますか。
  19. 三浦義男

    三浦法制部長 その点に関しましては、先ほど申し上げましたように、國会法改正自体は議院運営委員会委員各位がお取上げになつておるのでありまして、その御要求に應じて國会法改正の案を特に事務総長のところにおいてとりまとめて、ただ便宜上提出しておるようなわけであります。問題は議院運営委員会自体がその問題を研究しておられるのであつて、それにこういう資料を出せということが提示されているような立場でございます。將來の問題といたしまして、法制部法制局になりましても、先ほど來申しましたように、特に厖大なものをつくつて國会図書館重複したような行き方を考えておるわけではないのでありまして、私自身の個人的見解といたしましては、國立國会図書館機能を発揮しながら、なお法制局としてもその機能を発揮し得る余地はあり得ると考えております。
  20. 圓谷光衞

    圓谷委員 議院運営委員会において提出しろということで出したのでありますか、また法制局を残さなければならぬというようなことを今までの法制局におられた方々が立案をされて議院運営委員会審議してくれということで出したのでありますか、そこのところをはつきりしていただきたいのであります。議院運営委員会の方から要求があつて出したのであるか……。
  21. 三浦義男

    三浦法制部長 その点は最初に議院運営委員会において昨年第一國会において取上げられました場合においては、社会党の提案として法制局案が出されたのであります。それから先ほど來申し上げましたような経過によつて現在に至つたわけでありますが、國会法改正の問題に関しまして、関係方面からある指示が参つているのでありまして、その中に法制部の問題も一應取上げられてあつたのであります。その後私直接この問題は当事者でもありますので、私から積極的に進んでやりますことはどうかと考えまして、特に事務総長の手もとにおきまして、事務総長みずからそれぞれの関係の方にも連絡し、議院運営委員会等とも連絡をされまして、やつておられるようなわけであります。その間の事情を私は十分に承知いたしておりませんが、とにかく現在運営委員会においては、國会法改正の中に法制局を置くという案が取上げられているような次第であります。
  22. 多田勇

    多田委員 先ほど申し忘れましたが、法制部がその立案されたものについて憲法との関係、あるいはその他について疑義があつた場合に、法制部としてそれを取上げるために必要であるという委員長の御意見でございましたが、これらの問題は、法制部をつくらなくとも両院法規委員会事務局を置いて、そこにおいてそれらの問題を取扱うことが至当であろうと思いますが、いずれにしましても議院運営委員会においてこの問題が取上げられているという現在の段階におきましては、この問題を処理するために議院運営委員会との連合審査会を開いて、この問題を討議していくようにお取計らい願つた方がいいのじやないかと思います。
  23. 中村嘉壽

    中村委員長 承知いたしました。そういうことはまことに結構だと思いますから、一遍連合委員会を開くことにいたしましよう。
  24. 圓谷光衞

    圓谷委員 法制局の方の大体の人員並びに予算というのがおわかりになつているなら、大藏当局の方でもおいでになつておるならば承りたいと思います。
  25. 中村嘉壽

    中村委員長 圓谷君の今お話なつた材料は、法制部の方にありませんか。
  26. 三浦義男

    三浦法制部長 予算請求しましたものはございますが、事務局でまとめましたものを私はここにもつてまいりませんでした。
  27. 中村嘉壽

    中村委員長 またの機会で結構ですから御提出を願いたいと思います。
  28. 石井繁丸

    ○石井委員 ただいま連合審査会を開いてこの問題を討議しろという案が出たのは、まことに結構な御意見であります。ただいま法制部長の話で、法制局案は社会党から提案されて、それを法制部の方でいろいろと議院運営委員会に諮つて問題を進めておる、また審議を願つている、こういう話でありますが、実際にこれは社会党のわれわれの同志の方から発案せられた問題なのであります。ただその当時発案された根本的な動機というものは、議会というものが議員立法しなければならないというのに、議院においては立法機関をもつておらないので常に政府案の提出を待つて審議する、こういうふうなことになる。どうしてもわれわれ自体の立法機関をもたなければいかぬ、その資料を集める所をもたなければいかぬ、こういうことからしまして、ひとつ法制局というような問題をとらえて力を充実したい、こういうわけで問題が始まつたわけであります。その後図書館の方も急速に進展いたしまして、立法リフアレンスができるというようなことになりますと、その場面においても、また國会議員要求しているところの立法ということについて、大いなる力が得られることになつたわけであります。さような関係でありまするから、これは図書館でどうしてもしなければならぬのだ、あるいは法制部法制局にしなければならないのだ、こういうふうな問題に初めから限定されたのでなく、本來の動機が、われわれ國会においてひとつ立法的なる機関をもちたいという点から出たことでありまするから、國会図書館法ができまして、それらの点について各方面了解を得ておつた以上は、また議院運営委員会にその問題をよく討議してもらいますれば、十分なる了解点が出ようと思うのでありまして、この点われわれ法制局をいろいろと発案しました一員としまして経過を申し上げておく次第であります。
  29. 中村嘉壽

    中村委員長 ただいま石井君の御説明によりまして、よくわかつたような氣がいたします。私はおそらく議院運営委員が動機であつたならば、議院運営委員の諸君がこの國会図書館の趣旨を十分に御了承なかつたことに起因すると思つております。あるいはわれわれがよく議院運営委員の方にお知らせすることにならなかつた、こういうことにも考えられるのでありますが、この機能を十分に御了解くださつたならば、必ず今石井君の言われたように、國会図書館立法リフアレンスの方でこれがやれるとなれば、何も別に強いてやらなくちやならぬという必要もなさそうこ見えるのであります。これは今度の連合審査会においていろいろ論議したいと思つております。  ただ私たちが希望いたしますことは、先ほども申し上げましたように、大藏省がすでにできた法の運用に関して相当な予算を認めてくれなければ、この運用が無効になるものに対しましても、なお一種の制圧を加えるがごときことがあつて、こんなものが將來にできるのであるから、その方の予算はあまり認めないというふうな動機を生むことがあつたとすれば、これははなはだ遺憾なことでありますから、この点は十分に御了解つておきたいと思います。
  30. 圓谷光衞

    圓谷委員 議院運営委員会に対してこの精神をよくのみこませるために、参議院衆議院の方で何か決議というようなことでもいたしまして、委員長がよく御説明するという方法がありましたら……。
  31. 中村嘉壽

    中村委員長 圓谷君の御提議ごもつともだと思つております、実は今日打合会を開きたいと思つておりましたのは、参議院の方とも打合わせ、協力いたしまして、もつと効果あらしむべく努めたのでありますが、参議院の方ではほかにも御都合がありましで、今日集まることができませんでした。ちよつと片言隻語でありますけれども参議院の方はほかにも方法を考えるということを言つております。やはり連合会の方でも相談して、さらに運営委員会とも相談することが必要だろうと思いますが、適宜適当な時期におきまして——ただわれわれの予算はすぐ発足をせなくちやならぬのですから、それに支障のあることが非常に困るので、今日大藏当局に來てもらつて、そうしてこの間われわれがしばしば話をしたことをひとつ主務当局にも確認してもらおうというのが目的であつて、大体その目的は達せられたと思います。何かあなた方の方で要求がありますか。  なおこの際お諮り申し上げたいことがありますが、今圓谷君の御提議によりまして、参議院とも合同委員会を開くこと、それから多田君の御提議によつて議院運営委員会との連合会を開くことをここできめておくことがよいと思いますが、お差支えありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 中村嘉壽

    中村委員長 それではさよう決定いたします。  ほかに御質問がなければ、本日はこの程度で散会いたします。     午後二時三十分散会