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中村委員長 これから
会議を開きます。
本日御相談申し上げたいと思いますことは、副
館長の問題についてであります。ここの
館長が
政治活動を禁止されておることは、法律第四條第二項に明瞭にな
つております。それから第九條におきましては、副
館長が
館長を代行する規定があるのでありますが、これは
館長と同じ
資格及び要素をもたなくちやならぬと
思つております。その上ながら、ここに書いておるように、
館員はすべて
政治活動を許さないということにな
つております。よ
つてわれわれは副
館長の
選任については、最も
注意を拂わなければならぬと
思つてお
つたような次第であります。しかるに
さきに副
館長が
推薦されておるということを
承知しておるのでありますが、この副
館長を
推薦された経路につきましては、いろいろ聞くところがありますけれ
ども、ここに発表することは差控えます。そのためにわれわれは副
館長の人となりについて、いろいろな手を経て
研究調査いたしたのであります。その
調査の
資料につきましては、
皆さん方のお
手もとに差上げてありますから、ここに私が繰返す必要はないと存じますが、單にこういう
理由のみならず、
図書館長が
專門家でないために、特に副
館長は図書に関する永す
閲歴と
体驗をも
つた人でなければならぬと
考えております。今
推薦されておる副
館長候補者は
中井正一という方であります。
中井正一氏の
閲歴につきましては、お
手もとに差上げてある材料によ
つて御
承知の
通りであります。そのうちに尾道に
図書館長を一年半ばかりや
つておられるようでありますが、もし
図書館人として人選をするならば、この人よりもはるかにわが
日本國内において知られ、
経驗をも
つた人がたくさんあるのでありますから、この人を十分な
経驗家、
專門家として迎えるには、あまりにその
閲歴は貧弱なものであると私は
考えております。のみならず諸種の点から見まして、私
どもはこの人を適任だと
思つておりません。これを
推薦した
方面に対しましては、なるべくみずからこの提議を控えてもらいたいということを
考えたのであります。巷間この
中井君をば
條件附で
推薦したのかというようなことが傳えられておりましたので、二月二十四日の本
会議において、
圓谷光衞君から
議長に対して質問なさ
つたのであります。副
館長に特定の人を
推薦することを
條件としたかということを質問されましたところが、さようなことはないということを明瞭に答えておられます。けれ
ども、裏面においては何かそういうふうなことがあるというので、
推薦者に対してしばしば御
注意も申し上げてあるのであります。そのために、なるべくそういう論議をせないようにというので、今日まで待
つてお
つたのでありますが、万やむを得なければ、
両院の
議長御
出席の上、
両院の
合同委員会においてこの問題を論議しようということに、二月二十七日の
委員会において
決議しておるのでありまするが、不幸にして
松平参議院議長が今御
病氣中でありまして、まだ登院なされない実情にあります。しかしながら
図書館はすでに発足しておりますし、この上ながら副
館長の
任命を遅らせることは好ましからざることと
考えておりますので、なるべくこの問題を迅速に解決しなければならぬはめに相な
つているところから、本日はわが
衆議院の
委員会だけにおいてこれに対する
意思を発表し、そして
皆さん方の御
同意を得て、
中井氏はお氣の毒ながら、
りつぱな人でありましようが、この
図書館の副
館長としては不適当であるということをわれわれは
決議したいと、こう
考えているような次第であります。どうかこれに御
賛成を願いたいと思います。かねてから
お話合いの上御
同意くださ
つたと
思つておりますが、さらにここで
決議をしておきたいと思います。ただし副
館長は至急に
任命しなければなりませんが、その
候補者をわれわれが今も
つているわけではありません。いろいろ
個々には
考えておりますが、まだ決定していないのであります。
中井君は
参議院の方から
推薦されたのでありますが、われわれは決して
参議院が
推薦しようが、どこが
推薦しようが、
適任者であるならば、その人を受け入れることにやぶさかなるものではありません。ほかに適当な人を
参議院の方から御
推薦に相なるならば、その人が適任であれば、もちろんわれわれは苦情を言うべき
理由はないのであります。この
國会図書館は、
さきにもしばしば申し上げました
通りに、
日本の
文化國家建設について、あるいは
日本のあらゆる
方面の革新をはかるについて、きわめて有効なる働きをしなければならぬというところから、人事において特に
注意を拂
つている次第であります。
皆さん方ま人につきましてお
考えづきのある人がありましたならば、御
推薦を願いたいのであります。特に
参議院の方にはこの
事情をよく明らかにして、
参議院の方から御
推薦してくださる人が適任であれば、まことに仕合せだと
思つております。副
館長の
任命は、もとより
館長に一任されているわけですから、われわれがこれにかれこれ言う筋合のものではありませんが、不適任である人は、何人が
推薦いたしましても、わが議会はこれに不
同意を唱えることは当然のことだと私
どもは信ずるのであります。