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1948-03-20 第2回国会 衆議院 図書館運営委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年三月二十日(土曜日)     午前十一時五十九分開議  出席委員    委員長 中村 嘉壽君    理事 石井 繁丸君       山口 靜江君    井上 知治君       松田 正一君    多田  勇君  出席政府委員         大藏事務官   河野 一之君  委員外出席者         國立國会図書館         長       金森徳次郎君     ————————————— 本日の会議に付した事件  國立國会図書館予算に関する件     —————————————
  2. 中村嘉壽

    中村委員長 これから会議を開きます。  本日は國立國会図書館予算について御相談願いたいのでありまするが、まず金森國会図書館長から予算並びに所要人員についての御説明を願います。時間が押し迫つておりまするし、河野主計局次長が非常に急いでいらつしやいますから、きわめて簡明にお願いいたします。
  3. 金森徳次郎

    金森國會図書館長 図書館長の任命を受けましてから、中の機構を具体的に重ねて言う必要があることはもとよりですが、ただいまのところ、場所も旧赤坂離宮の跡を、およそ建割りにして、半分くらいを使用することをお許しを願うように、あちらこちらにお願いしておりまして、國会の両院の運営委員会等におきましても、懇談的ではございましたが、そういうような方法でお話が進んでおりまするので、私どももその線に沿つて内容を具体化していきたいと思つておりますが、もとよりこの部分は確定はいたしておりませんし、そこに多少の理想をおいて考えておるわけであります。そうしてまた人をとりまする関係、規模を固めまする関係におきましても、ただいまのところは、もとより十分な人を一遍にそろえるということもできませんが、まずこの第一年の年頭におきまして、そうして法律の予想しておりまするところに從つて図書館としてどうしてもやらなければならない最小限度事務だけを正確に遂行したいと思います。一度任務を命ぜられました上は、法律のなかみを一つでも犯すようなことがあつては相ならぬと考えております。その前提から考えていきますと、どうしても法律が予想している部分の局もつくらなければなりませんし、言葉は使つておらぬにしても、從來からの審議の経過に顧みまして、どうしてもつくらなければならぬ局もございまするので、その点を考えまして、大体局といたしましては管理事務局、いわば総合の官房に近い局でありますが、それを置きまして、その中に庶務部人事部経理部という三つの部門を設けたいと考えております。図書館事務人事ということに中心を置いておる以上、そうしなければ新らしい図書館は滑らかには運営できませんし、かつまた他よりの特別なる影響なくしては動き得ないというところで、人事部をはつきり固めるという予想をしております。経理部庶務部はもとより当然必要なことと考えます。  次に図書館事務といたしましては、書物を受け入れて、速やかに、また確実に予定の計画を実行いたしまするためには、まず受入局をぜひともつくらなければならぬので、かような局を設計しております。  次に受入れました書物整理して実用に適するようにいたしまするために、どうしても整理局を設けなければならぬのでこれを考えております。  次にさようにして図書館実質が満たされますると、これを一般目的に合わせて書物を読んでいただいたり、貸出しをしたい、あるいはまた法律その他の資料を並べて利用に供するということを考えまするためには、一般レフアレンス局というものをつくらなければならぬ、これも当初の審議の道順の中に考えられておるものであります。  次に立法レフアレンス局という、これは正確な名前ではございませんが、今まで言つております。その立法レフアレンス局というものは法律の中にはつきり予想せられておりまして、その中の働く人も限定されております。これは法律上是が非でもつくらなければならぬものであり、また人員組立等もこの局に重点を置いておりまして、法律趣旨に比較的早く副うようにいたしたいと考えております。  次に支部図書館局というものを一つ予想しなければなりません。これはやはり法律の中にありまするように、最高裁判所及び各省図書館を統括的な意味において國会図書館でもたなければならぬ。そこで支部図書館局というものは法律上どうしても必要になつてくると考えております。さらにまた國会の分館ということも一應考えておりますが、これは別に局長とかいう問題には関係はありませんけれども、現在國会の中にありまする図書部をそのまま別の所に移しますることは結局議員の方々が書物をお使いになるのに不便であり、また調査の点につきましても、やはりここにしつかりした窓口を経由して、いろいろの御便利を私の方としては計らいたいし、またいろいろな御要求を受付けたい、こう考えておりまして、これは比較的軽微なものではございますが、それを設けるつもりでございます。  次に支部図書館といたしまして、日本で有数な書物の集りでありますところの東洋文庫、靜嘉堂文庫を統括いたしまして、これらの中に含まれておりまする貴重な文献が散逸しないようにという考えをもつておりまして、これも從來からのいろいろな御計画の流れに從つて考えておるわけでございますが、そういうふうなものを整備したいと思つております。  大体全部総計いたしますると、相当人員になるのでありますけれども、要するにこれはこの第一年度に必要な、いわば事務的図書館の組織というところで案を立てておりますので、しかるべくお許しを願いたいと考えております。
  4. 中村嘉壽

    中村委員長 これにつきまして、大藏当局の御所見を、この際お伺いいたしたいと思います。
  5. 河野一之

    河野政府委員 國立國会図書館法というものができまして、図書館を拡充するというお話につきましては、前々から伺つておる次第であります。目下昭和二十三年度の予算編成にあたつておるようなわけでありますが、御希望の向きに從いまして、できるだけの努力はしたいと考えております。実は一般政府職員を増加いたしますことにつきましては、御承知のような行政整理関係もございますし、今回編成いたしております予算につきましても、その編成につきましては、ほとんど人員の増加をしない方針をもつております。ほとんど人員を増加しない。昨年の十月に閣議決定がございまして、新規採用はストツプしておりますが、その方針をずつと今日まで続けてまいつております。從つて今後もこれを殖やさぬ方針で、むしろ減らしこそすれ、殖やさぬ方針でまいつてきております。その方針國会図書館でどういうふうに適用になるかという問題がございますが、こういう仕事の性質でありますので、例外としてある程度考えなければいかないのではないかという考え方をもつております。
  6. 中村嘉壽

    中村委員長 ただいま河野主計局次長からお話がありました趣旨は、よくわれわれ委員会においても考えておる次第でありますが、この際委員長といたしまして、大藏当局に特にお話申し上げたいと思いますことは、今お話の通りに、人員整理をするということは、刻下一番の急務であると存じております。その人員整理をしなければならぬ場合において、かような新しいものができるのでありますから一面矛盾のように見えるかもしれませんが、この図書館は全然新しいものでありまして、むしろこれをつくることによつて、全日本のいろいろな機関の人員も淘汰する基礎原則をつくりたいというような氣持であるのであります。ゆえに必要な人員を、なるべく最小限度人員をもつて最大のエフイシエンシーをあげようというつもりでありますから、その点はよく御了承おきくださつて、われわれが範を垂れるようなつもりでおるということを、ひとつ御了承願います。ここの館にはいる人々は、ただ姥捨山みたような、古い淘汰された官吏を入れるものであるという考えは全然われわれとしてはもつておりません。新しい有能の士だけを集めて、今の成績をあげるということを考えておりますから、その点よく御了承をくださつて、われわれ足らぬところがあれば、それは十分に大藏当局からの御注意も受けますが、われわれはその精神でやるということを御了承願つて、われわれの要求する予算については、しかるべく御考慮を願いたいと思います。  御質問がなければ、河野さんはほかの方においでになるということでありますから——ないようでありますからどうぞ……。  金森館長から、何か委員諸君に御説明なさることがありましたら、この際どうぞ……。
  7. 金森徳次郎

    金森國會図書館長 それでは大藏当局がお急ぎであるということを考えまして、実は大づかみに申し上げたわけでございますが、國立國会図書館法律でおきめになりました趣旨從つてこれから建設していくということは、実は相当困難なことでございます。と申しますのは、何しろ新しいことであつて見当をつけますのに、相当の苦心をしなければなりません。何しろほんとう場所がございませんで、これをやるといたしましても、應急の措置よりほかにしようがないというふうに考えております。ところが、さいわいにして旧赤坂離宮がある程度使用を許されそうな樣子になつております。それを考えまして、今もつぱら考えをいたしておりまするが、その着想自分の勝手ばかりで結論はできませんけれども、赤坂離宮を入りまして、その入つた左側半分というところに重点を置きまして、そしてその一階のところはこの図書館関係いたしまする調査あるいは事務等使います。いわば事務室のように使いたい、かように考えております。それはあのような貴重な、りつぱな建物事務室などに使いますことは、先を考えますると、よほどよく注意をしなければなりませんので、絶対にあの建物には傷つけないで、これをよごさないということを考えまして、いくつかの施設をいたしまして、館の職員でもみだりにタバコを吸つてはならぬというような制限も加えまして、大切にこれを使いたい、こういうふうに考えるのであります。それからその二階の、つまり左側半分の二階の方は、これを事務室には使いません。大体の着想といたしましては、この図書館目的といいますか、図書館の外に対する目的使いたい、こういうふうに考えております。これは今事務室にしてはならないという方針で、いかように使うかということは今後の問題でありまするけれども、なるべくこの図書館精神に從いまして、國会議員の方がよくこれを利用していただけるようにくふうをいたしまして、かつまた國会議員の方がかなり自由な氣持で物事を御研究になつて、場合によりましては、多少の相談事などにもお使いになり得るようなくふうをしたり、まわりには書物がある、書物以外の参考のいろんな書類もある。同時にあすこで窮屈な意味ではなくて明るい光のもとに伸やかに御研究を願いたい、こういうふうな氣持であります。と申しまするのは、國会図書館を設けましても、十分利用をしていただかなければ、意味をなしません。その点をひとつ大きな眼目として運営する氣持をもつております。  それからまた館の職員及び部局設け方につきましては、先ほど大体御説明を申し上げましたけれども、今のところ何分にも書物はそんなにたくさんございません。見当のついております書物は、総計で二十万册以後であろうと思つております。そこでそれだけではほんとう図書館という働きはできませんが、しかしそれらの書物はどつちからといえば、日本で得られ得る日本及び外國書物の一粒選りの書物でございますので、数は少くても各方面からの利用を仰ぎ得るのではないかと考えております。  それから一方レフアレンス局は、今申しましたように、普通の図書館に似たような形で廣く利用していただく。國会の方、各省の方及び一般の人に利用していただく、こういうふうな考えでございますけれども、この中に、普通の図書館と違いまして、特別な部屋をつくりまして、その中の一番めぼしいものは法律資料室というものがございますが、今まで日本の人が法律を調べるというときに、なかなかうまい設備がございません。と申しますのは、法律は日々に変つていきますから、すぐにその場で一番新しいところまで正確につかめる、こういうものでなければならないのであります。日本にはそういう設備はないと考えております。局部的な自分で使う本だけをそろえておくことはございましようけれども、日本法律全般というものについて、昨日まであるいは今朝までの法律がちやんと整備して、ここで調べれば間違いのないものがつかめるというようなものは、多分ないだろうと思つております。そういうものを完備いたして、皆樣方の御利用を願いたいと考えております。もし事情が許しますれば、その法律資料室はひとり日本法律ばかりではなく、日本國全般の各府縣のいろいろな規則も集めなければなりませんし、また外國法律に関する文献を集めたい。場所と人と材料、いろいろに関係はありますけれども、ねらいどころは何といつても今までないような便利なものをつくりあげたい、こういうような私は考えをもつております。そのほか調査部局の方、これは今のところ、他の部局に比べまして最もたくさんの人を用いるつもりであります。と申しますのは、國会の方でお使いになる材料として、いろいろ考えられるものがございますので、それをいち早く整理するというためには、どうも事柄の性質間口をたくさんこしらえまして今、國会委員会がたくさんありますが、ちようどそれと実質において相應ずるような設備をつくらなければなりません。間口ができまして、その一つ一つ間口に対しまして、すぐに役に立つような調査職員をはめこんでいくということになりますと、どうしても人数が殖える。いかに倹約いたしましてもしかたがない、こういうことになります。そこでこれは相当たくさんの人を充実したいというふうに考えております。その代り調査等は迅速に、かつ的確にでき得るのではなかろうかと、まあかような考えをもつております。なおそのほかにいろいろ欲を出せばはてしもございませんけれども、そんなにたくさんのことを今あの狭い所でやるということは、かなりむづかしいとは存じておりますけれども、できるだけそれに努力をいたします。  いま一つ変つたといいますが、変つた計画といたしましては、地図とか写眞とか版画とかいうようなもの、さらに準備計画といたしましては、貴重な原稿であるとか、音樂のレコードであるとか、こういうようなものの整備をいたしまして、図書館というものが、ただ書物ばかりの所である、こういうふうな考えと違いまして、もつと進んだ形の図書館形態を完備するというような計画もいたしております。何しろこれからの陣容を形づくつていくのでありますから、あまり抱負を申し過ぎますと、かえつてあとで赤い顏をしなければならぬと存じますので、大体のところを申し上げておくわけであります。
  8. 中村嘉壽

    中村委員長 御質問ありませんか。  他に御質問がないとすれば、本日はこれで散会いたすことにいたします。     午後零時二十分散会