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1948-02-16 第2回国会 衆議院 図書館運営委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年二月十六日(月曜日)     午前十一時四十分開議  出席委員    委員長 中村 嘉壽君       山口 靜江君    井上 知治君       松田 正一君    圓谷 光衞君       豊津 豊雄君  委員外出席者         衆議院参事   細野 孝一君     ————————————— 本日の会議に付した事件  國立國会図書館運営に関する件     —————————————
  2. 中村嘉壽

    中村委員長 それでは会議を始め言す。  第一に、皆さん方に御報告申し上げたいと思いますことは、御承知通り、長い間御心配くだされ論議してくださいました國会図書館法案は、首尾よく去る四日に通過いたしました。まつたく奇蹟的に通つたとでも申すべきでありましよう。政局は非常に混乱を極めまして、四日の日が最後機会であつた。もしあの機会を逸したならば、遂に日の目を見ないかもしれなかつたということを考えますと、われわれは皆さん方の御努力に対しまして非常に感謝いたす次第でございます。さて図書館法はようやくでき上りましだが、佛つくつて魂を入れなくてはいかぬというので、ここにりつぱな館長をお迎えしたいというのが、みんなの念願であつたのであります。これについてはわれわれの方では、皆さんの御同意を得まして、金森徳次郎さんを推薦しておつたのであります。また参議院の方では、私どもは知りませんでしたけれども中井正一君という人を推しておつたそうであります。ところが、さいわいに館長といたしましては金森徳次郎さんを、両院議長が一致して推してくださることに相なつたのであります。同時に副館長にこの中井氏を充てるということに、話合いができたそうであります。議会が本会議を開く機会がないので、館長承認はまだできておひませんから、就任香れたわけではありませんが、ここに少しばかり話の食い違いがあるのであります。すなわち館長議会承認を得て、両委員会と協議の上、両議長がおきめになることに相なつておるのであります。副館長館長の推薦によつて、両議長が相談にあずかることに相なつておるのであります。ゆえにまず館長をきめて、その後に副館長をきめるべきであるのでありますが、少し急いだ結果か、條件的に少し食い違いがありまして、まだ確定をしない事実があるのであります。このことにつきましての詳細は、委員各位にこの後懇談会において御報告申し上げ、御了解を得たいと思つております。これだけの成行きを御報告いたします。どうかほかの機関でない、わが國会図書館だけは、りつぱな魂を入れたいということを念願し、かつこれを実行に移したいという希望を、もつておる次第であります。     —————————————
  3. 中村嘉壽

    中村委員長 その次に議題にいたしますことは、ただちに使わなくてはならぬ図書館場所のことであります。それが今問題になつておりますのは赤坂離宮の件であります。これはわれわれの方からもブラウン氏、クルップ氏にこういつことはどうだろうと話したことがありますが、ウィリアム氏の方から事務総長の方に、あすこを議会で使つたらどうかというようなお話があつたのであります。ちようどその問題が二、三日あとの運営委員会でも話が出たということでありますが、昨日のジヤパンタイムスにも、赤坂離宮國会図書館に使用されそうだということが見えております。これは私どもあまり知らないことでありましたが、もしわれわれがこれを希望し、うまく利用ができるとしますれば、新しく建築をする以前の場所としましては、あるいは適当であるかど思うのであります。最初からわれわれは特許局をとねらうておつたのでありますが、この話がうまくいかないでおるのであります。もし赤坂離宮が使えるとすれば、自動車で十分か十五分おきに通わせておいて、これを利用するという道を講じておけば、できないことはないと思います。だだ赤坂離宮はまだ私ども見ていませんけれども外観は非常にりつぱなものでありますがう中に爆氣がたまつておるとか、あるいは何か通風が悪いとかいうような批評を、今までわれわれは聞いておつたのであります。しかしこれも相当の経費をかければ、何とか始末がつくのではないかという話であります。きよう、あすに何か青写眞を取寄せて研究し、後に建築専門家が点檢するということになつております。都合によりましては、われわれ委員も、一應これを見ることが適当ではないかと思つております。さよう御了承を願つておきます。  この場所議員宿舎に使いたいとか、あるいはまた法務廳が利用したいどいうような話もあつたようでありますが、図書館に使えれば、外観からいいましても、いろいろな意味からいいましても、一番適当じやないかど思われておるようであります。     —————————————
  4. 中村嘉壽

    中村委員長 それからもう一つ御報告申し上げたいと思いますことは、納本させることについて、今通知を発送しようとしております。ということは、すなわち新しい法律ができましたために、出版者はことごとく本図書館納本することに相なつておりますから、これはさしあたり早速取上げなくてはならぬ問題でありますので、さよう御了承願いたいと思います。その納本通知はこういうふうのものであります。    一般出版物納本に関する件   拝啓時下益々御隆昌の段誠に大慶に存じます。御承知通り、かねて文化國家建設の目的を以つて立案中であつた國立國会図書館法は、二月四日両院を通過、同九日には公布実施運びとなりましたが、同法第廿五條別記参照)により、國立國立図書館は、出版物一切について納本制度を採用致しました。申す迄もなく図書雑誌新聞等出版物網羅的蒐集は、図書館の機能を高度に発揮致す上に最も重要な前提となるものでありますので、出版事業関係者各位におかれても、右規定の趣旨を御諒察の上、今後御発刊にかかはる出版物は、細大となくその都度必ず一部宛、当國立國会図書館に御納本下さるよう御願する次第であります。    記  一、國立國会図書館法第四廿條及び第廿五條    第廿四條、國の諸機関により、又國の諸機関のため、図書、小冊子、定期刊行物、地図、映画その他のものを、印刷又は複写により五百部以上を発行する場合には(機密扱のもの及び書式用紙を除く)、公用のため、並びに外國政府出版物との國際的交換の用又はその他の國際的交換の用に供するために、直ちに國立國会図書館に五十部を納入させるものとする。五百部未満のものを発行する場合には、館長の定める規程によつて五十部未満の部数を國立國会図書館に納入させるものとする。    第廿五條、前條の規定による以外の出版物については、その発行者から一部を國立國会図書館納本させて、その代償として定期に作成する全日本出版物目録で、当該出版物を登載した分を館長は遅滞なく納本者に送付するものとする。  二、納本送付先   東京都千代田区永田町ニノ一四國会議事堂内國立國会図書館 こういうような手紙を出そうと思いますが、いかがでございましようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 中村嘉壽

    中村委員長 それではさように取計らうことにいたします。     —————————————
  6. 中村嘉壽

    中村委員長 それから最後に御相談申し上げたいことは、図書を購入する件についてであります。これにつきましては、さきにいろいろな場合に御承認を得て、すでに買い取つたものがありますが、今ここに参議院から出てきているものがあります。その一番おもなものは、アメリカのニユーヨーク・タイムスとか、あるいはイギリスのデーリー・ヘラルド・ロンドン・タイムス、マンチエスター・ガーデアン、それから、これは私名前は読めませんが、ドイツの新聞、それからフランスの新聞、支那の新聞ジャパン・アドバー・タイザーとか、ジャパン・クロニクルとかいうようなもので、千五百頁くらいに相当するものがあるのであります。これは市政調査会にあるでの、これを買つたらという話があるのであります。これは國会図書館から見れば、あればいいものでありますけれども、今これをどこに入れるかということも一つの問題になつております。向うからの言い値は、紙くずにいたしまして、今一貫答二十円の二割掛けくらいの値打で買つてくれたらどうかというのであります。ただこれはくず紙としますれば、りんごを包んだりするのに使うのだろうし、外囲新聞でありますから、厚いので、枚数はそうよけいはとれないのでありますが、くず紙としては、日本の紙より悪いくらいのものであります。しかしせつかくあるものをただのくず紙にさせるのも氣の毒だと思いますし、何か一年に一遍ぐらいは使うこともあるかもしれないから、もし買つてくださるならば、くずの値段で、一貫答二十円ぐらいで買うこともいいじやないかというような氣もいたしますが、どんなものでしようか。  それからもう一つ、去年メーソンというあの研究の本が大分集まつております。この本も買つてくれないかということを参議院から申し出ているのです。これもやはり同様なことでありますが、これは今の新聞雑誌とは違いまして、まだいくらか値打があるかと思います。この値打については、ここに評價標準ができておりますから、その標準によつて、いろいろきめて、もし買うとするならば、行きたいと思うのであります。  それからもう一つ、これも参議院からまわつてきたのでありますが、三土忠造さんの蔵書目録で。和書が四百八十三冊、洋書が二百七十四冊、参議院からまわつてきたのであります。但しこれについては、洋書を二百円、和書を百五十円に書いてくれという向うからの注文が来ているのであります。これはわれわれの標準價格からすると、少し値が高いのであります。それでこの問題については、われわれの評價でいくならば、いいと思いますが、市中に大分批評する人があるらしいのです。ということは、そういうこともあるだとうと思つて、厳重に私ども評價委員によつてきめでやつているのですけれども、人によつて何か高いものを買うとかいう批評をするものがある。昨日は細野課長のところに、ある方面からそういう方面のことで三時間ばかり聽き質しに來て、えらい乱暴な買い方をするという批評があつたので、細野課長から十分に説明し、納得したそうでありますが、得てそういうことがありがちだと思いますから、われわれの知つている人であるとか、あるいは自分の利害を考えるような人とかいうことで、われわれがこれを買取ることは、なすべきことでもなければ、また今までもその点は非常に注意しておりますが、そういうような非難の起りやすいものであかますから、なるべくこの標準價格によつて買つていきたいと思つております。参議院からまわつてきようと、われわれの方から出そうと、それは区別なしにやつでまいりたいと思いますから、さよう御了承願いたいと思います。  大体御報告申し上げたいことはこれだけですが、何か皆さん方から御質問がありましたらお答えいたします。
  7. 松田正一

    松田委員 東宮御所を図書館の方に譲り受けるということは、どういう手続になるのですか。
  8. 中村嘉壽

    中村委員長 この際手続はどんなことになりますか。
  9. 細野孝一

    細野参事 私、総長から聽いた話でありますが、G・Sのウイリアムス氏の方から話がありまして、赤坂離宮を今のままであけて放つておくのはよろしくない。殊にこのような家の拂底しているときはそうだ、赤坂離宮を何か國会において利用したらいいだろうという注意があつたのだそうです。それで運営委員会の方で協議した結果、あるいは議員宿舎がいいか、あるいは図書館の方がいいじやないかというような議論が出たのだそうでございます。これはまだ決定の運びに至りませんが、今日の午後くらいに、やつと青写眞が来るのだそうです。それによりまして一應検討し、そして追つて向うの視察ということになるそうでございます。そうした事実國会に移管してもらう場合においては、宮内省の方に申しまして、大蔵省の所管に移していただいて、それからこちらが借りる、こういう経過になるのだそうでございます。
  10. 松田正一

    松田委員 そういうような処置がまだできておらぬように聞いております。やはり手続大藏省に入れなければいかぬのですね。
  11. 細野孝一

    細野参事 そうだと思います。
  12. 中村嘉壽

    中村委員長 それでは会議はこれで散会いたします。     午後零時三分散会。