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蘆野政府委員 先ほどから本
法案のきめました
事業者團体の
許容活動が非常に狹くて、いかにも窮屈で、これでは
事業者團体は何も
活動ができなくな
つてしまうということと、それから四條の
許容活動を列挙しておきまして、しかもそれ以外は一切できないということを断
つておいて、さらにまたあら
ためてこれ以外はできないといつた上に、なおこれこれのこともできないという
規定のしかたは、いかにもおかしいではないかという
質問の要旨は、そういう点に帰着するのではないかと思います。四條の
許容活動の
規定の仕方がいかにも
区切つて、具体的にな
つておるものですから、
ごらんになりますと、いかにも狹いようにお感じになるのは一應ごも
つてもでありますが、しかしこれは
さつき委員長の
提案理由の
説明の際にもございました
通り、四條は
許容行為でなくして、
活動の
範囲を示したものでありまして、そんなに狹く解ずべきものではないと思うのであります。ここで何々はしてもいいと書いてあることは、それに当然附随すべき
行為、それをする
ためには当然準備としてしなければならない当然予想されているような
行為、こういうものがすつかり含んでいるのでありまして、それもいかぬというのではありません。それで
事業者團体というものは、
統制行為や
カルテル的の
行為、——これは別でございますけれでも、それ以外の普通のいわゆる
同業組合あるいは
商工会議所のような
地域團体にありましても、
日本でもアメリカでも普通や
つている
仕事は、実はこれで大抵できるようにな
つているはずであります。それで
さつきから申し上げておりまする
通りに、これは
事業者團体の
活動の
範囲を示して、そのよりどころを與える趣意でございますから、四條において
事業者團体はこういうことはしてもいい、こういうことは大いにしてくださいということを
はつきり宣言する必要があるので、それで四條の
規定に
許容活動ということをあげたわけでございます。一々の
意味については、あるいは後に逐條的に御
審議になる機会でもあれば、あら
ためて詳しく申し上げたいと思いますが、四條の
許容活動の
規定の
性質はそういうものでありまして、決して
狹いものではないのであります。それで四條で、そういうしていいことをあげて、それ以外はしてならぬということにすれば、さらに
五條の
規定をあげる必要がないではないかということがもう
一つの点と承つたのであります。
五條の
規定と四條との
関係について申し上げますと、あることは四條で一應許してはいるけれども、しかしながらそれを制限するという
関係にな
つているところもあります。たとえば四條の第五号で、この
事業者團体は啓発、
宣傳の
仕事はしていい。これなどはずいぶん
許容活動の
範囲を廣くした
條項でありまして、大抵のことはこの
規定でできないことはないと思う、実は少し廣すぎはしないかと思うくらいの
規定であります。これに対しまして、
五條で不当に
政府または一方に影響を与えてはいかぬというように
規定しておりますが、こういうふうに、四條において一應許したものを制限した
規定であります。しかしながら四條では概括的にこれ以外のことをしてはいかぬというような、理屈の上では明らかでありますけれども、実際これまでの
経驗上、どういう
事業者團体がこういうことをする、そしてそれが弊害があるといつたようなことを具体的に
はつきりわかるように、
五條でずつと一々あげたのでありまして、これは決して理論的、観念的なものでございません、いずれも
日本の
実情なり、あるいは米國等の先例に徴しまして、
事業者團体があるいは
統制の
目的から、あるいは
カルテルというような
目的を達する
ために普通にとられるところの
仕事、普通にやられるところの
仕事の種類のやもなものをずつとあげて具体的に示した、こういう
関係にな
つておるのでございまして、あるいは純理論的に、あるいは観念的にこれをお考えになりますと不備であるとかいうお感じもあるかもしれませんけれども、実際上から申しますと、きわめて必要なわけなのでございます。
それから先ほど一番初めの御
質問に、
独占禁止法との
関係について
お話がございまして、何か
独占禁止法では不備なので、こういう
法律をまた追加する必要ができたのであるかという御
質問であつたと思うのであります。
独占禁止法は一般的の
規定でありまして、全体の
独占禁止法で
規定すべきところのわくとしては、一應完備したものでございまして、別に不備な点を発見したというわけではありませんが、
事業者、殊に
同業組合というようないわゆる
事業者團体が
独占禁止法のもとでは具体的にどういうことをや
つているか、どういうふうな
活動をすればいいかということの應用を示したことが
一つの
目的でございます。それともう
一つは多少技術的にな
つておるのでございますけれども、
独占禁止法の方は、御
承知の
通り、
事業者は独占をしてはならぬ、あるいは不当なる取引制限をしてはならぬというふうに、一々
事業者ということにな
つておるのでございます。ところが
事業者團体というものは、これは
事業者がつく
つておるものでありますが、
團体そのものは
事業者でありません。それで
独占禁止法でたとえば
事業者が共同して対價の引上げをや
つてはいかぬ。対價の協定をや
つてはいかぬということでありまして、これを
事業者團体がやつたといたしますと、実際の場合には多くは
事業者團体の
行為は、すなわち
事業者の
行為であるということで、これは禁ぜられますが、しかしながら一應
事業者團体というものは、
事業者とは別個の
存在でございまして、この
事業者團体が
團体としてたとえば対價の決定をやつたというときに、
独占禁止法で押えることは、ちよつとむずかしい場合がちよいちよいあるのでございます。たとえば
事業者團体の
理事者が同時に
事業者であれば問題ありませんが、実際の場合において
同業組合の書記長というような人は、自分は
事業者じやない。しかしこれが実際を牛耳
つてお
つて、これが指導者とな
つて、対價の決定をやる、生産販賣の制限をやる。これを
事業者に押しつける。こういうことをした場合に、肝腎のその指導者である
事業者團体の
理事者を取締ることは、ちよつと
独占禁止法ではできないということでございまして、禁止法の中で
ごらんになります
通りに、
独占禁止法の第四條で禁じたことはや
つてはいかぬということでございます。いかにも重複のようでございますが、実はそういう点もあるのでございます。