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1948-03-29 第2回国会 衆議院 商業委員会鉱工業委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年三月二十九日(月曜日)     午後二時一分開議  出席委員  商業委員    委員長 喜多楢治郎君    理事 石神 啓吾君 理事 笹口  晃君    理事 細川八十八君 理事 福永 一臣君       佐竹 新市君    林  大作君       松原喜之次君    山口 靜江君       岡野 繁藏君    櫻内 義雄君       松井 豊吉君    山本 猛夫君       鈴木 仙八君    關内 正一君       辻  寛一君    多田  勇君  鉱工業委員    委員長 伊藤卯四郎君    理事 大矢 省三君 理事 松本 七郎君   理事 生悦住貞太郎君 理事 澁谷雄太郎君       衞藤  速君    萬田 五郎君       村尾 薩男君    生越 三郎君       岡部 得三君    庄  忠人君       西田 隆男君    三好 竹勇君       平島 良一君    谷口 武雄君       高倉 定助君  出席國務大臣         商 工 大 臣 水谷長三郎君  出席政府委員         商工事務官   細井富太郎君  委員外出席者         專門調査員   谷崎  明君         專門調査員   保科 治朗君     ————————————— 本日の会議に付した事件  中小企業廳設置法案内閣提出)(第一四号)
  2. 喜多楢治郎

    喜多委員長 これよの商業委員会鉱工業委員会連合審査会を開きます。連合審査会委員長の職務は、協議の結果、商業委員会委員長が当ることに相なりましたので、不肖私が務めさせていただくことにいたします。  それでは中小企業廳設置法案を議題といたしまして、連合審査にはいります。まず本案について政府説明を求めます。     —————————————
  3. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 長らくお待たせいたしまして、まことに恐縮でございます。これから中小企業廳設置法案提案理由説明させていただきます。  中小企業問題は、現下の最も深刻かつ重大な問題の一つでありまして、この中小企業の健全な育成をはかりますことは、焦眉の急を要すると信ずるものであります。今のこれを次の三つの角度から考えてみたいと思います。  第一に、小中企業問題は、單なる経済問題に止まらず、実は深刻なる社会問題であります。元來百人未滿の工場が数において全体の九九%、労務者の数におきまして五四%を占めているのが、わが國の工事の察態であります。この事実は、わが國の産業構成上、中小企業存立いかんがいかに重大なる意味をもつかということを明らかに示しているのであります。その中小企業が現在大多数非常に苦しい状態に追こまれておることは、單に経済政策の上からだけでなく、社会の治安にもかかわるゆゆしい問題であると考えるのであります。  第二に、今後わが國の経済のあるべき姿を考えますならば、これが自由公正な競爭原則とするものでなければなりませんことは、経済民主化の上から必然の結論であると思います。これは独占禁止法が明確に示しているところでありますが、國際的に考えましても、將來自由公正な國際交流経済をもつて、その理想的原則といたすであろうということは、國際貿易憲章考え方などから推して考えましても、おおむね予測し得るところでございます。從いまして、このような公正自由な競爭という立場に立つてみます場合に、社会的競爭單位にも達し得ない中小企業を育成して、独立して公正競爭場裏に立ち得るだけの実力をもたせることが、絶対的に必要なことでございます。  第三は、將來のわが國経済の構造を考慮いたします場合、さらに問題は重大となつてまいるのでございます。御承知の通り、わが國は戰爭によりまして、多くの生産設備や資産を失つたのでありますが、このことは、今後におきまして、中小企業問題の性格をさらに一層深刻なものといたすであろうと思われるのでございます。すなわち、あわ國はもともと資源に乏しい國情をありますため、原料を國外に仰いで、これに加工して輸出を行い、これをもつて國民生存経済的基礎とせざるを得ないのでありますが、ただいま申し上げましたわが國の國際的地位及び経済條件根本的変化に伴いまして、この加工貿易のきわめて大きな部分は、中小企業の手によつて担つていかざるを得ないであろうということは明らかでございます。しかるに現在の中小企業が、はたして國際的水準に達しているかどうか、すこぶる寒心に堪えないのでございまして、この点に鑑みますと、中小企業水準向上は、わが國経済存立上、緊急不可欠の問題でございます。  以上申し述べましたように、國内における社会情勢から見ましても、自由公正競爭の確保による経済民主化観点から申しましても、はたまたわが國の置かれるべき國際経済上の自立ということから考えましても、中小企業の健全なる発達をはかることは、この際何としても行わねばならぬことであると思うのであります。中小企業は現在非常に苦しい立場にあります。しかして今中小企業の苦境は、一体何に起因しているかと考えますれば、大体三つの大きな原因があると思われるのでございます。すなわち第一には、何ということなく一般的に潜在している大企業偏重傾向であります。優秀な中小企業でも、單に規模が小さいために無視されるような傾きははたしてないか。われわれはこのような傾向はまことに好ましくないものといたしまして、その是正をはからねばならぬと考えている次第でございます。第二には、中小企業が数多く規模小さいため、発言中心をもたないことであります。このことが中小企業を常に不利な立場に追こむ一つ原因をなしているのではないかと考えております。第三には、また、中小企業の中には、事実弱体かつ低水準のものもあるということであります。中小企業資材難資金難経営難も、いずれもせんじ結めればこの三つに基因しているのでございまして、この三点を打開いたしますことは、中小企業の健全なる発達を期する上に、最も重要なことであると信ずる次第でございます。しかし、これだけのことを確実に行いますためには、具体的にこれらの諸問題の解決に当るべき專任機関を必要といたすのであります。すなわち、廣汎中小企業問題を打開いたしますためには、大企業中小企業同時に取扱う機関のみではどうしても不十分でございまして、中小企業の公正なる利益代表者といたしまして、中小企業を護り、かつ一面においては中小企業自体体質向上について、專心その指導に当る機関が必要と相なるのでございます。これがすなわち今回この中小企業廳設置法案國会提出いたしまして、中小企業專門機関として、新たに中小企業廳をつくろうとするゆえんであります。  本法案の詳細につきましては、いずれ御審議に際しまして、個々具体的に申し述べたいと考える次第でございますが、以上申し述べましたような理由から、中小企業廳は二つの重要な機能中心といたしているのであります。すなわち、中小企業者全体の公正な利益代弁者として、政府内外に対してその擁護に当る機能がその第一であります。次は、具谷的に中小企業技術経営その他の指導を行い、相談相手となりまして、中小企業水準を向上させる機能、これがその第二であります。このような機能を有しますために、一面中小企業の大部分を構成する商工業の実体と密接なる関連を保ちつつ、他面においては独立地位を必要といたす次第でございまして、これが中小企業廳商工省の外局といたす理由でございます。またこの権限といたしましては、これらの目的を達成するに必要な事項を渇げておるのでございまして、中小企業廳長官には、特に強い独立的地位を與えておるのでございます。また中小企業振興の上に特に重要な点は、施策具体的運営いかんにあるのでございますが、この点に関しましては特に中小企業特殊性に鑑み、各地方公共團体、その他地方商工局等廣範囲機関機能を十分活用いたしますとともに、中小企業連絡調整委員会活用により、各政府機関全体の総合的連繋をもはかることによりまして、強力かつ着実なる施策を推進いたすつもりでございます。同時に右のような特殊の任務に鑑みまして、その実質的効果をあげるために、画一的形式主義の排除に努力をいたしますとともに、特に各方面の專門家を多数包容し、運営の完全を期する所存でございます。中小企業問題はわが國の当面する重要問題の一つであります。しかして中小企業廳の設置こそは本問題解決のための施設の第一歩をなすものでございまして、この重大性に鑑み、何とぞ本法案に対しましては愼重御審議の上、なるべく速く御賛同あるんことを切に希望いたす次第でございます。
  4. 喜多楢治郎

    喜多委員長 ただいま本案について水谷商工大臣より詳細に説明がございました。すぐさま質疑に入ります。委員発言を許します。笹口君。
  5. 笹口晃

    笹口委員 中小企業廳設置法案提出せられ、ただいま商工大臣からその提案趣旨の御説明がございましたが、その趣旨につきましては、私どもも大体において満足の意を表したいのであります。ただ細目にわたりますると、ただいまの御説明だけでは不十分な点が多分にございますので、以下相当多数の項目にわたつて質問を申し上げたいと存じますが、あらかじめ一問一答の形式をお許し願いたいと思います。  まず中小企業という言葉が使われておりまするが、この言葉は非常に漠たる定義をもつておるようであります。政府中小企業廳というものを設立される。その対象とされる中小企業者とはいかなるものを指すのであるか。まずそれからお伺いしてまいりたいと思います。
  6. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 これはまことにごもつともなる御質問であるとともに、まことにむずかしい御質問であろうと存ずるのでございます。中小企業定義は、正確に定めることは非常にむずかしいのでありますが、根本的観念といたしましては、企業者がみずから所有し、かつ少数從業員をもつてみずからその経営に当る独立企業でございまして、当該業種といたしましては、投資高生産高、販賣高、取扱量等が比較的少く、その活動が少数事業分野に止まりまして、他の企業との間に相互投資関係のないもの、その他これに準ずるものというぐあいに、われわれは根本観念として考えておる次第でございます。要は自由競爭場裡において、公正な競爭ができるようにするために、政府において特別の指導援助を必要とするものが中小企業行政対象となるものでありまして、必ずしも資本金額從業員の数、生産額等によつて機械的、形式的に限界を設ける考えはございません。むしろ常識的に中小企業と言われるものにきまして、政府としての援助指導の必要という実質的な観点から、彈力性ある運用考えていきたい、このように考えておる次第でございます。
  7. 笹口晃

    笹口委員 次に、先ほど商工大臣がその提案趣旨でお述べになりましたように、中小企業の現在もつておりまする役割及び將來に対する比重、これは決定的に大きなものであります。しかも現状を考えてみますと、大企業の解体あるいは轉落というようなことによりまして、中小企業に頼らざるを得ない人口というものが、日に日に増加をしてまいろうとしておりますが、この事実に対しまして商工省といたしましては、ただ單にさような人口増加のものもことごとく救いあげていくというようなお考えでおやりになるのかどうか。またはたして日本全体の立地條件なり、あるいはその他の條件を合わせまして、將來において商業はどの程度人口が適正なものであるか、あるいは工業に從事するもの、殊に中小工業に從事するものはどの程度のものが適正であるかというような点について、お考えあるいは御研究がございましたら承りたいのであります。
  8. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 ただいまの笹口委員の御質問でございますが、將來工業にどのくらいの小口を吸收するか、さらにまた商業にどのくらい吸收するか、さらにまた工業の中においても、中小企業にどのくらいの人口を吸收するかということは、これはなかなかむずかしい問題でございまして、これまで過去の統計としてはいろいろ出ておりましたが、しかしそのときは俗にいう財閥企業、大企業というものがございまして、戰後における日本企業形態とは根本的に違つた場合の統計でございますので、それらを参考にするわけにはまいらぬと思うのであります。從つてそういう点に関しましては、今後日本が五箇年なら五箇年のうちに人口がどのくらいになつていくか、さらにその間における日本経済の復興というものはどういう速度でくるか、そういうようなことを國際的、國内的に併せ考えまして、それらの問題を解決しなければならぬのではないかと思います。目下経済安定本部中心といたしまして五箇年計画を策定しておりますが、そういう場合においても、そういう問題を取り上げて考えなければならぬのでありますが、要は中小企業において吸收さるべきところのそういうような比重というものは、太平洋戰爭前における中小企業比重よりも相当重くなるというぐあいに一つ考えを願いたい。このように考えております。
  9. 笹口晃

    笹口委員 ただいまの問題は、一應商工大臣の答弁で了といたしておきますが、当局にお願いいたしておきますことは、資料といたしまして從來有職人口のうち特に商業人口工業人口実数異動状況を明確にしたもの、及び資本金別企業を調べてあるものがございましたならば、なるべく速やかに御提出をお願いいたします。特に昨年十月一日の國勢調査当時の状況がわかれば結構であります。  その次にお伺いいたしたいことは、先ほど商工大臣は大企業遍重の傾向を是正するとかように言われたのでありますが、この点はきわめて賛意を表したいのであります。現在の生産資材配分は、工場單位配分でありまして、しかもそれは從來の著名な、また資本設備等の非常に良好な工場、いわゆる大企業的な工場のみに配分されておつた憾みがあります。中小工場がこの配分を受けようということになりますならば、事実問題としていろいろな制約がございまして、実質的に資材配分を受けられぬという業態が数多くあるのであります。先ほどの商工大臣の御言明は、はなはだ結構でありますが、具体的に大企業遍重の傾向を是正いたしますため、特に資材配分の上で是正いたしまするために、何らか対策をおもちになつておられるかどうか、この点を伺いたいのであります。
  10. 細井富太郎

    細井政府委員 ただいまの御質問は、少し事務的な問題でございますので、私からお答え申し上げたいと思います。大企業遍重を是正する具体的な方策といたしましては、大きな問題といたしまして、大企業中小企業との生産分野の画定というような問題がございます。それはまた從來からもよく言われておるところでございますが、この大企業中小企業生産分野を制度の上で画定するということはなかなか困難でございまして、企業の性質によりましては、比較的中小形態経営した方がよろしいものもございますし、また大企業組織で、大量生産的に、機械的にたくさんつくる方がいいものもございまして、その点は業種によつておのずから違うわけでございます。しかし中小企業に適するものを強いて大企業組織でやつていくというようなことは、自然発生的にはあるわけでございまして、こういうような問題につきましては、なるべく行政指導の面で、中小企業に向くものは大企業としてはあまり食いこまぬようにするというようなことが望ましいのでございます。そういうようなことで指導していきたいと思つておりますが、これを法制的に、画一的に、強制的にきめるということはむしろ弊害があつてよくないのじやないか、同時にはなはだ困難な作業であるというふうに考えております。  それから中小企業に対する資材割当の面につきましては、今日まで多少の誤解がございますが、何と申しまして永年の慣習で生産能率をあげるという点から見ましても、從來から相当大企業遍重の弊害があつたのでございますが、中小企業の面に対しましても、技術の優秀なもの、設備の優秀なもの、製品の品質のいいものに対しましては、大企業とか中小企業とかいうような観点からでなくて、いいものをつくれるところには、たとえ中小企業形態でやつているものに対しても、必要な資材をつけていくということが必要なのでございまして、この点は特に今日以後の資材割当につきましては、考慮しなければならない点かと思つております。ただ残念ながら今日まで、中小企業業態実態を十分把握することにつきましては、なかなか手が伸びなかつたような憾みがございますので、中小企業廳のできました後におきましては、中央地方を通じて、中小企業実態をよく檢討して、適当な資材をつけていく、こういうふうにもつていく必要があろうかと考えております。
  11. 笹口晃

    笹口委員 ただいまのお話では、多少まだ腑に落ちないところがございます。なるほどおつしやる通りのやり方をおやりになるでございましようが、実態問題としては、やはり資材不足の折でありますので、政府としましても各種の生産資材配分いたしますときに、その設備等一定制限を加え、あるいは一定基準を定めて、これだけの設備以上のものに対しては配分するけれども、それ以下のものはだめだ、いけなければ企業統合せよというような状況が、幾多の業態において見受けられるのであります。それがために、中小工場は今日の時代に逆行するようないわゆる企業合同行つて資材配分の資格をとるというような無理なことをやつておる事実無理なことをやつておる事実が多々あるのでありますが、それは現在の工場單位配分という原則から、さような無理な方式が出てくるのではないかと思う。お話のように、優良な技術機能をもつておる中小工場等が、なんらか数軒主主的な組織をいたしました場合に、かようなものに対しても配分する、言いかえれば完全統合というような形式でなく、不完全な統合体でも、これに対して資材の配合をつけるというようなことについての御配慮があられるかどうか、この点をお伺いしたいのであります。
  12. 細井富太郎

    細井政府委員 さきほどちよつと申し上げ方が足りませんでしたので、誤解があられると困ると存じますが、資材供給力が非常に不足な場合に、それを特に有効に利用するという面かち、一定割当に対して制限を設けるということは、資材有効利用の面から、また優良な製品を確保する面から、やむを得ない場合がございます。その場合には、この程度能力基準がどうしてもこの製品をつくるには必要だと思われるものに対しては、ある程度基準を設けて、その基準に達しないものは手が及ばないというような場合がございます。またあまり技術的に優秀度を問題にされないような製品につきましても、供給力が非常に不足な場合には、共食いになるおそれがございますので、こういうような場合におきましても、ある程度統制下におきまして、自由競爭と申しますか、公正なる競爭を行わせまして、要するに自分のところの製品があまりよくないから費文がたくさんとれないというような場合においては、次期の割当において、それを調整して考慮していくというようなことで、統制のもとにおきましても、技術競爭、公正な自由競爭のもとにやつていきたい、こういうふうに考えております。從いまして場合によりましては、設備基準その他におきましても、若干の制限を設けることは、現在の資材状況におきましてはやむを得ないと考えておる次第であります。なお適当な基準に達するために、完全な統合でなくても、何らかの形で一緒にやる方式ができればいいじやないかという点はごもつともでございまして、私どももできれば——たとえば現在は協同組合に対する共同割当ということはデきないような建前なつておりますけれども協同組合共同事業中心として共存するような建前なつておりまするから、できればそういうような形のものに対しては、一括して資材をつけまして、そういう共同作業場あるいは共同施設中心としていいものをつくつていただく、というようなことができればいいと考えておりますが、この点につきましては関係方面との了解も必要でございますので、ただいま準備中でございます。
  13. 笹口晃

    笹口委員 ただいま私が申し上げましたような趣旨で、ここに一つ考えられまする組織は、生産合作社であります。この生産合作社につきましては、すでに商工省でも十分御研究なつておると思いますが、小規模工業者と優良な技術者、これの連鎖によりまして、新経営方式として適当なものではないかと考えますが、政府では生産合作社法等を御制定なさる用意があるかどうか。この点も伺つておきます。
  14. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 ただいまの御質問の点は、ただいまの段階におきましては、やるとかやらぬとかいうところまでいつておりませんので、目下安本を中心にして研究をしておることは事実でございます。
  15. 笹口晃

    笹口委員 次に中小工業者のただいま非常な困難な事情といたしまして、労働條件基準法等に適合せしめるということが、非常な困難の問題となつております。大資本、大企業家は、基準法に合致した設備等をいたすことができ得るのでありますが、中小企業者は、個々にさような設備をすることがなかなかできにくい。從つて労働基準法等に合致した労働條件を願慮することができないということが、非常な悩みとなつて起つておりまするが、こういう中小企業廳等がさような方面にまでお仕事をお伸ばしになるお考えがあるかどうか。言いかえますならば、労働條件に合致せしめるような共同施設というようなものを研究し、あるいは助成の方向に向つていくというようなお考えがあるかどうか、この点も伺いたい。
  16. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 この中小企業労働基準法との関係でございますが、これは各地でいろいろ深刻なる問題となつておることは御案内の通りであります。この問題は中小企業におきましては、從來から労働條件が概して惡かつたことから考えまして、この運用には十分注意をせねばならぬと思うのであります。しかしながら中小企業といえども、一般的な労働水準を保つことは必要でございまして、逐次このような線にまで高めていく必要があると私は思つております。ただ過渡的には、実際上困難な問題も多いのでございまして、その運用につきましては、中小企業廳十分実情を考慮におきまして、急激かつ無理な変化のため、結局経済が全体として惡い結果にならないように、十分労働省なんかと連繋して対処していきたいと考えております。
  17. 笹口晃

    笹口委員 さらにこの中小企業廳のおやりになりまするお仕事一つとしまして、優良な技術あるいは機能を一層活用いたすというようなことがございまするが、各地試驗研究機械、こういう技術を拡充いたしまして、積極的に技術指導開発に努める。特に私どもが要望する点は規格統一、あるいは機器の交換性、これを十分注意いたすことであります。日本は非常に規格統一の点におきましては不備でありまして、同じ一つのボールド、ナツトでも、機械が違いますならば、むろんこれは使いものにならぬというような例は、枚挙にいとまがないのでありまして、日本のごとく資材不足の國が、かような乱脈な規格をもつて仕事に当つておりますることは、はなはだ遺憾だと考えまするが、この点についての具体的な御方針等がありましたならば、お示しを願いたいのであります。
  18. 細井富太郎

    細井政府委員 ただいまの御質問は、まことにごもつともなことでございまして、試驗研釈機関活用につきましては、お手もとにございます中小企業対策要綱の中にも含めてございますが、試驗研究機械企業及び機能を一層活用することに努あると同時に、中小企業者による試驗研究機械利用を積極化するということがうたつてございます。これに具体的な方策といたしましては、先般も大阪で各試驗研究機械代表者の会合がございまして、中小企業面にこれを單なる学究的な研究に止まらないで、中小企業者企業と直結いたしまして、一層指導的の役割と果していただくと同時に、相互に有機的に連繋いたしまして、むだのないようにやつていただくような打合せもいたした次第でございます。從來試驗研究機関は、ともすれば断片的には指導いたしてくれますが、その相談に來た者が、あるいはみずから積極的に御指導願つた者が、さらにどういうふうに継続的に発展したかということに対する継続的な目のつけ方が足りませんでした憾みがありましたので、この点につきましては、十分一つ氣をつけてやつていただくようにしたいと思つております。なお整品の規格統一、機器の交換性等につきましては、まつたく同感でございまして、商工省におきましては、全般的に現在標準部におきましてこの仕事を扱つておりまして、特に最近問題になつておりまする輸出品の規確につきましては、特別に緊急の必要に迫られておりまするので、その方の対しましては全力を注いで着手していただいているような状況でございます。なお規確の統一につきましては、完成品としての問題もございますが、粗惡な完成品でない部品の生産の方向に導くようにもつていきたいと考えております。
  19. 笹口晃

    笹口委員 次に商業部門のことにつきまして二、三お伺いいたしたいのでありますが、ます現在の商業者殊に少資本により商業者の、最も多くの悩みというものは仕入れであります。かりに統制品にいたしまして、そのチケツト等を入手いたしましても、これを仕入れする場合に非常な困難が伴う。といつて從來の協利組合を利用いたしまして、この協同組合による協同仕入れというようなことをいたしますると、これがともいたしますると、司令部の覚書にひつかかる、こういう悩みがあるのであります。こういうことを打開いたしまするために、政府は何か有効な対策をお考えなつておらぬかどうか。私どもはやはり小資本により商業者が仕入れをいたしまするのには、どうしても協同仕入れ以外に途はないと考えるのでありますが、この協同仕入れをいたしまする場合に、いわゆる一手買取、一手販賣の場合に覚書に該当しないような組織というもの、あるいは仕組というものができないものかどうか。かりに一つの思いつきでありまするが、商人並びに小賣商人が、数十軒一つなつて一軒の協同問屋というようなものを経営する。しかしこの協同問屋というものは、これは問屋の登録を受けておらなければいけないのでありまするが、これなども政府の措置によつては、さような方法を実施できるのではないかと考えますが、この点についての政府の御所見をお伺いいたしたいと思います。
  20. 細井富太郎

    細井政府委員 商業部面の対策につきましては、商業部門の特殊性から見まして、いろいろ考慮しなければならない点がございますので、具体案につきましてはさらに考究中でございますが、ただいま御質問の協同仕入れの問題につきましては、特に覚書にひつかかることはございません。協同組合活用による協同仕入れ等は、特に組合の協同事業としての最も有効な仕事一つじやないかと考えておりますが、さらに別な形態といたしましては、ただいま盛んに論議されておりまするボランタリー・チエーン・ストア等の経営によりましても、有効な効果をあげることができるのではないかというようにも考えております。なお特に公團等の方式で、一手買取り販賣をやるということは、特別な必要のある最小限度に止めなければならぬことはもちろんでございまして、全般といたしましては、商業者の自由公正な活動をしていただき、そうしてサービスの改善をしてもらい、これに基く力の弱い点だけを極力力を合わせるような方策が必要じやないかというふうに考えておる次第でございます。
  21. 笹口晃

    笹口委員 次に、この商人の取扱います商品でありますが、これがいろいろ統制のわくにはめられておる。重要な生活必需物資はもちろん問題はないのでありまするが、今日の事態におきまして、それほど重要性のないような品物が、依然としてまだ統制のわくにはめこまれているというようなものが多々あるのであります。こういうものに対しまして、速やかにこのわくをはずしまして、公正自由な融通部面の対象とさせるというようなことを御考慮になつているかどうか、またなつているといたしまするならば、その具体的な対策等をお答え願いたいのであります。
  22. 細井富太郎

    細井政府委員 お説の通り重要度の少いものにつきましては、生産資材におきましても、あるいは配給物資におきましても、極力統制をはずしていくようにもつていく必要があると存ずる次第であります。ただいまのところ、指定生産資材につきましては、割当制を布きまして、割当統制をいたしておりますが、その配給面における統制は全然いたしておりません。その指定生産資材のごときものは、各需要者において、必要な配給業者との間に專門的な関係をもつており、知識ももつているというようなことから、配給機関の自由公正な競爭にまつという趣旨統制をいたしておらないのであります。但し特別に必要な指定配給物資につきましては、先般衣料品について一部実行されましたが、その他のものにつきましても、たとえば石けんとか、あるいはマツチ、その他ゴム製品等で、特別の必要のあるものにつきましては、指定配給制度の途を講じまして、ある程度配給の統制をする。從つて取扱店につきましては、登録制その他の方法を必要とするということになるのでございますが、それらの面につきましては、無用の統制を極力避けまして、できるだけ重要度の高いものに限定いたしたいという趣旨でもつて、安本及び関係筋と打合わせをいたしておる次第でございます。
  23. 笹口晃

    笹口委員 前國会におきまして、百貨店法が廃止されたのでありますが、この百貨店が大資本をもつており、いわゆる大企業形態によつて中小小賣商人を圧迫するというような事例は多々あるのであります。これに対しまして新百貨店法と申しますか、あるいは小賣業がその資本形態その他によりまして、不公正な競爭が行われないような、新らしい法律をおつくりになる用意があるかどうか。この前商業委員会といたしましては、かかる新法律を期待いたしまして、やむを得ず百貨店法の廃止を承認いたしたようなわけでありまするが、その後の政府の御対策等がございましたならばお示しを願いたいのであります。
  24. 細井富太郎

    細井政府委員 先般の國会におきまして、百貨店法廃止の審議をされましたときに條件がつきまして、取締りに関する適当な対策を必要とするというようなことがございましたが、これにつきましては百貨店法廃止に伴つて、新事態に即應するようにどういう内容のものを法制化したらいいかということでございますが、これにつきましてはこの法案政府提案とするか、あるいは國会の方が御提案される形にすればいいかという点もございますし、関係筋との打合わせもございますので、早急にお打合わせを進めたいと思つております。ただいまのところ、具体案につきまして私どもといたしましては、多少研究いたしました資料もございますが、その法希化する方式内容等につきまして、どうしたらいいかということのお打合わせを進めたいと思つております。
  25. 笹口晃

    笹口委員 次に、中小企業者に非常な影響のあります商工協同組合法でありますが、この商工協同組合法の改組が、やはり前國会以來問題となつておりますが、未だにその結論が出ておらないのであります。これがために非常に動搖いたしておりまして、商工協同組合運営というものも、思うような成果があがらぬ憾みがあるのでございますが、商工協同組合法を改正されるその後の政府考え方をお示し願うと同時に、最近電聞紙等に盛んに事業者團体法というような法律の内容が出ておるのでありまするが、かような法案をお考えなつておるといたしましたならば、その大体の趣旨お話し願いたいと思うのであります。
  26. 細井富太郎

    細井政府委員 お答えいたします。商工協同組合法の改正問題につきましては、終戰後昨年の二月に新しい思想のもとに、本來の協同組合の姿に還るべく協同組合法が審議され、ただいまできておるわけでございますが、その後企業独占禁止法との関係におきまして、協同組合がいやしくも企業独占禁止法の精神に反するような形になつてはいかぬという意見が出まして、その場合に特に問題になつた点は三点ございます。一つは組合員の加入資格の問題でございます。もう一つは組合の地区の問題でございます。第三には組合の事業の問題でございます。この第一の資格の問題につきましては、法人加入はいかぬのではないかということが言われ出したのであります。ところがわが國の法人、殊に協同組合に加入いたしておりますような法人は、御承知の通り個人企業とはほとんど変りないような形態のものが多いのでございまして、これを加入資格がないということにいたしますると、組合による中小企業の合理的な健全な発達を非常に阻害する点がありますので、ある程度の法人を加入せしめることが、どうしても必要であるというふうに考えまして、ただいま檢討を進めておる次第でございます。ちよつと速記を止めてください。
  27. 喜多楢治郎

    喜多委員長 速記を止めて……。     〔速記中止〕
  28. 喜多楢治郎

    喜多委員長 速記を始めて……。
  29. 笹口晃

    笹口委員 ただいま商工協同組合法の改正のその後の経過の御説明がありまして、だいたい私ども考えております方向に進みつつあることを非常に喜んでおる次第であります。  なお先ほどお話になりました三点の問題以外に、現在の商工協同組合法が、その後できました農業協同組合法、あるいは新しくできようといたしまする生活協同組合法、また漁業協同組合法と比較いたしまして、非常に法制的に不平等な取扱いを受けておる点が多々あるのであります。たとえば組合企業の免税の点、その他いろいろございまするが、でき得ることならば、せつかく法を改正されるのでありまするから、その後にできました進歩した考え方によつてつくられております他の協同組合法と、均衡のとれるよう御改正なさる御準備を進められておるかどうか。その点を伺つておきます。
  30. 細井富太郎

    細井政府委員 お答えいたします。御指摘の点につきましては、私どもの方でも非常に氣になりまして、農業関係の組合法の内容も調べまして、特に商工関係の組合と不均衡な点、特に税の点などについては、均衡を保つようにただいま折衝をいたしております。
  31. 笹口晃

    笹口委員 最後に大臣にお伺いいたしたいのでありますが、中小企業廳組織の点に言及されまして、この中小企業廳中小企業代弁者であり、しかもその長官は非常に独立的な地位を保たなければならない、かような御説明でありました。しからば具体的に中小企業廳、こういう新しいお役所ができまして、特に商工大臣中小企業代弁者であるというくらいにお考えなつておるのでありまするから、定めしその構成等におきましても、中小企業利益を代表するような人をお入れになるお考えであろうと存じます。特にその長官等は、單に從來の官吏の方がここへ配置替えになつたというのでは、せつかく先ほどお話のような御趣旨でできた役所の仕事が、はたしてうまくいくかどうかということについて、多大の疑問をもつておるのであります。よく業者の意向を尊重すると言いますが、新しい機関ができましたときに、いわゆる機関対象となりまする業者の意向を反映する機会が非常に今までは少かつたのでありますが、こういうなものを反映させまする意味におきまして、殊に首脳部の人事の点等におきまして、商工大臣はいかがな対策をおもちになつておりまするか、この点をお伺いしておきたいのであります。
  32. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 中小企業廳の構成に対しましては、さきの議会に通りました石炭局のように、過半数を民間人からとれということは、法律の規定にはなつておりませんけれども、しかしながら私の考は先日本会議で申しましたように、できるだけ中小企業に造詣の深い、また中小業者から親しまれるところの民間人を、できるだけ吸收せねばならぬというぐあいに考えております。目下中小企業関係のある代表的な各團体に対しまして、長官にはどういう人がよいかということを書面でも聽くようにしておりまして、そういう点に関しましては、狹い立場に立たず、廣い立場に立ちまして、日本中小企業者全般から、この人ならばもつともだというような人を長官にもつてきたいと思つて、いろいろその手順を進めておるような次第であります。あるいは場合によりましては、二局長のうち一人くらいは、適当な候補者があればやはり民間人をもつてきたい。さらに課長その他職員に関しましても、できるだけ民間人を多く採用したいと思つておりまして、この点は石炭局のように、法律ではそういういうぐあいにはつきりうたわれておりませんが、そういう点についてできるだけ幅を廣くしていきたいと思つております。ただ、民間人の採用のときに、これは石炭局の場合においても非常に苦慮したのですが、給料が非常に違うのです。民間人の方が官吏になられて、給料がガタ落ちになる、こういう点からなかなかこちらが希望するような民間人を吸收するということはむずかしいことではございますが、しかしせつかくこういうふうな中小企業廳という役所をつくるのでございますがゆえに、できるだけこういう設立の趣旨に副うように、人的方面において格段の努力をしたいと思いますので、何分にもそういう点に関して御援助を願いたいと思つておる次第です。
  33. 喜多楢治郎

    喜多委員長 ほかに御質問の方はございませんか。
  34. 林大作

    ○林(大)委員 中小企業廳ができまして、重要な仕事をなさるのでありますが、第一その裏づけとして、どうしても金融が伴うべきであると思うのであります。その金融機関はいかような方法で、どんな範囲でこれを裏づけされるつもりであるか、大体のアウトラインを承りたいのであります。それから、もう一つ重要なことは、金融と同時に、この法律の第三條の第一項にあるところのいろいろな実際的な仕事のうちで、資材の面がかなり重要になつてくると思います。この資材の面は、現に商工省の中で、ほかの資材の局と別にこれを扱われるつもりであると思いますが、別に扱うとしたらどういう扱い方になるのか、どういう範囲、どのくらいに大きさの資材をこれに充てる予定をしておられるか、すなわち金融と資材の面についての大体のお見透しをまずお伺いしたいのであります。
  35. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 中小企業の金融対策の面は、私から便宜上お答えいたしまして、資材の面は局長からお答えいたします。この中小企業というものが、資金難資材難從つて経営難に陥つておるということががんになりまして、この中小企業の金融対策というものは、この前非常に論議されたのであります。それでは中小企業の金融難がどういう点にあるかというと、大体次の諸点にその原因があると思つているのであります。第一には、経理内容その他が不明確で安全性を欠いておるということ、第二には担保力がないということ、第三には企業実態が外部から認識されにくいということ、第四には企業体としての実力がないということ、第五には調査費が相当かかる割合に貸出し金額が少くて、金融としては採算上不利であるというような点があろうと思います。この第一及び第三の点は、経営上の指導及び審査制度の活用によつて解決できるところの問題でございますが、第四の問題は、結局企業の実質的向上をはかるほかに方法がないのでございまして、中小企業廳今後の業務に属しておることと思います。さらに第二の点につきましては、信用保証制度の活用、及び組合による金融等によつて解決したいと考えておりまするが、右によつて解決しないきわめて重要なものにつきましては、復興金融金庫の中小企業部の活用をはかつていきたいと考えております。しかしながら中小企業の実情といたしまして、以上のみではまだ十分でございません。そもそも中小企業金融と大企業金融とは、單に金額の大小だけの問題でなしに、この両者の間にはむしろ質的相違がございまして、金融機関においても取捨判断の基準を異にするのでございます。このゆえに中小企業金融に対しまして、企業の内部事情に精通し、調査費等をあまり使わないで貸出しを行うためには、どうしても中小企業專門の金融機関が絶対に必要である、このように私は考えております。これは私も商工大臣にならない前から繰り返し、またなつから後も言つておつたような次第でございます。ただその中小企業專門の金融機関というものを、どうしてつくるかという問題に関しましては、いろいろ議論があろうと思います。あるいは商工中金の拡充でいくか、あるいは全然新規の金融機関を設けてやつていくかという点に関しましては、まだ発表の域には達しておりませんが、今いろいろの方面とも密接なる連絡をとりまして、せつかく中小企業廳がでゆました僅におきましては、多年中小企業者全般の要望であるところの中小企業專門の金融機金を、何とか解決したい、このように考えている次第であります。
  36. 細井富太郎

    細井政府委員 ただいまの御質問の中で、資材の取扱いに関する面のお答えを申し上げたいと思います。中小企業廳がせつかくできたのであるから、中小企業分として、各業種を通じてわくを設けて、横断的にこの中小企業分を確保したらどうかというような御意見でもございます。しかしこういう扱い方は、現在の計画の立て方から申しますると、全体の生産計画というようなものは業種別に立てねばならぬ関係上、その業種別の総合性ないしは一貫性を破るおそれがございますので、非常に困難な問題でございます。たとえば農機具なら農機具というような業種について申しますと、農機具のメーカーには、大メーカーもあれば小メーカーもございますが、そのうちに中小企業の分はこれだけだというふうにわけることは、先ほどお話がありました通り中小企業の限界も必ずしも明確でないというような関係もございますので、むしろ一括して農機具としてはいくらだということをとりまして、その中で比較的中小のメーカーに対しても、優秀なものにはなるべくやらせる、その能力に應じて取扱つていくということが必要であろうかと考えます。ただ今申しましたように、一つ業種につきまして計画のわくがきめられました場合に、そのうち中小企業の分としてはどれくらいを充当したらいいかというような策定をすることは、比較的必要であろうかと思います。しかしその定められたわくの具体的な配分を、中小企業廳で必ずしも取扱わなくてもいいじやないかというように考えておる次第でございます。大体におきまして資材割当仕事は各現局で所管していただきまして、中小企業廳といたしましては、中小企業の分をできるだけ確保していただくように発言していくと同時に、割当をもらう資格を得られるように、極力その技術なり経営指導をいたしまして、格上げをしていく、力をつけていくということに努力したい。こういうふうに考えておる次第でございます。
  37. 林大作

    ○林(大)委員 今の資金と資材に関する御両所からのお話を総合いたしますると、せつかく中小企業廳をつくりましても、中小企業者の範囲がどのくらいであるかということもはつきりいたさぬ。それから資金の方もわくがはつきりしない。資材も、一應は言うてみるが、どこまでがどうであるかということがはつきりしない。こういう程度中小企業廳であるならば、これはつくつてみましても、いわゆる中小企業者を代弁して、一應緩和的な、緩衝地帶をつくる以上のものにはなり得ないのじやないかということを、私は心配するのであります。從つてせつかくこれをおつくりになる以上は、もう少しつつこんだ大体中小企業に何十億くらいは使うつもりである、資材でも、綿花にしたらこのくらい、鉄にしたらこのくらいは中小企業に使うつもりてあるというように——わざわざ中小企業廳にその割当をもたさなくてもよろしゆうございます、資材局に対する要求権なり指示権でよろしゆうございますが、その点をはつきりせずして、今のようなお話中小企業廳であるならば、言うてみる程度中小企業廳にしかならぬ。それから中小企業者にしてみますれば、言うていつたが、まあ親切にはやつてくれたが、結局だめだつたということに相なるのではないかと思うのであります。從つてそういう意味から私がこれを解釈いたしますと、政府におかれましてはもう少し具体的なものを計画しておられるのだろうと思うのであります。もし計画しておられないとすれば、それははなはだ力のない杜撰なことであると、こう言わざるを得ないのであります。ですからもう少しつつこんだところをお話願いたいのであります。
  38. 細井富太郎

    細井政府委員 先ほど申し上げましたことは、取扱いの方式について申し上げたのでありまして、中小企業廳ができる理由は、むしろ今林委員から御意見のあつたことが主なる眼目でありまして、今まではどこが中小企業代弁者やら、どこがめんどうをみているやらはつきりしないというところに、大きな弱点があつたのでございます。從つて中小企業廳を設けまして、これらの中小企業実態を十分把握いたしまして、その代弁を勤めると同時に、その代弁したことを実行させる、各行政官廳に協力させる大きな力をもつということが問題であります。從いまして資金、資材の面につきましても、ある程度、どのくらいは中小企業部門に流さなければならぬかという策定なり、意見の開疎もできるわけでございます。私先ほど申し上げましたのは、具体的な取扱いといては一貫性を欠くから、一本でやらなければ困るだろうというふうに考えておる次第でございます。なおそれ以外に中小企業廳といたしましては、資材はもたないけれども、各業種別に、特に中小企業の多い産業部面におきましては、具体的なる経営指導なり、技術指導という実務を担当するわけでございまして、この点に実は大きな役割を與えられておるというような体制でございまして、それに関連いたしまして資材、資金、動力等につきましては、大きな発言権をもつて、むしろ現局をひつぱつていくようにもつていきたいと考えておる次第でございます。
  39. 林大作

    ○林(大)委員 その問題は追究いたしますと、きりがありませんから、その程度にしておきますが、中小企業と申しましても、工業生産と、商業部門とは、非常に違つた部類であると思います。日本経済構造の全体から申しましても、計画経済統制経済を強行していかなければならない日本といたしましては、特に配給の面にタツチいたします商業部門というものは、むしろ今の濫立状態よりも、どつちかと言えば整理さるべき部門でありまして、生産工業の方は輸出産業と結んで考えますと、これは無限に伸びる可能性があると思うのであります。この二つのまるつきり違つた部面の行政に関して、どういう心持でいかれるのであるか。またそうした違つた二つの面を、この中小企業廳の法律の中でどのようにわけてお扱いになるつもりであるか、承りたいのであります。
  40. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 大体中小企業廳法案は——中小企業対策中小工業対策であつて商業対策は含まれておらないというようなことをよく言われるのでありますが、実は私の方といたしましては、そういう御批評はきわめて迷惑でございまして、今後政府の発表いたしました中小企業対策は、中小商工業全般に関する対策でございまして、必ずしも工業のみを対象としたものでなくて、商業をも含めた対策でございます。たとえば技術の向上の問題も、経営の能率化の問題も、いずれも工業商業共通の問題であろうと思つておるのであります。ただ商業につきましては、この対策に含まれていない特有の問題があることは、これは仰せの通りでございまして、それについてはさらに別にその対策考える必要があろうと思つております。それで今回は中小企業廳の中におきまして、特に商業を專門に担当する有力なる課を設けまして、総合的な商業対策を立てて、それを実施していきたいという考えをもつております。たとえば指定配給物資の配給機構の問題であるとか、あるいは問屋制の問題であるとか、あるいはやみ市場の問題をどういうぐあいに解決するか。こういう各種の困難な問題が多い状態でございまして、これにつきましては、あくまで配給機能の百パーセント発揮健全なる配給機構の確立、ひいては生産能率の向上等、國民生活の確保に主眼とおきまして、十分仰せのような対策をば立てていきたい、このように考えておる次第であります。
  41. 林大作

    ○林(大)委員 次に問題を轉換いたしまして、局のわけ方でございまするが、一体この中小企業として日本で非常に將來必要なもの、特に輸出と関連してどうしても日本発達させなければならないものは、美術工藝品であると私は思います。どうしても日本の緻密な労働力を高價なものにして、外國に輸出して、これで食糧その他の資材を買わなければならないのでありまするから、美術工藝品だけは特別に保護して、かなりよい指導と振興方法をとらなければならない、こういう信念をもつておりまするが、こうした美術工藝局というようなものをおつくりになるお考えはないものかどうか、お伺いいたしたいのであります。
  42. 細井富太郎

    細井政府委員 中小企業廳の機構の問題につきまして、御参考に概略を申し上げたいと思います。これは大体の腹案でございますので、多少変るかもしれませんが申し上げますと、法律には振局局と指導局と二局をおくような建前なつております。その下部機構といたしましては、振興局に振興課、調査課、調整課というような三つの課をおきまして、ここで大体今大臣からお話ございました商業一般の対策を立てる、あるいは中小企業全般の調査事務をやる、その他協同組合の問題、金融機関の問題、百貨店関係の問題、その他一般的な仕事をやる建前にいたして考えております。次に指導局といたしましては、指導局のほかに三課をおきまして、この指導局におきましては大体業種別にわけて担当いたしまして、先ほども申しました技術の向上なり、経営の改善に関する一般的な指導行つていく。これに関連した具体的な仕事は全部指導局と地方の商工局、各府縣廳を動員いたしまして、全体として一体になつてやつていけるような組織考えております。  なお今御意見のございました美術工藝品の関係につきましては、將來必要があれば、そういうようなものを相当する局をおくというようなことも考えられるわけでございますが、当面の考え方といたしましては、指導局の中に特に工藝室というものをおきまして、商工省の直轄いたしておりまする工藝指導機関はもちろんのこと、各般の工藝指導に関する仕事をここで一括してやつていただきたいというふうに考えております。將來必要に應じて、さらに発展的に機構を拡充していくということも考えられるかと思いますが、ただいまのところ、そういうふうな構想でおります。
  43. 林大作

    ○林(大)委員 次に各都市との関係でありますが、今のお話から承りましても、中小企業廳はおもに大都市、都会に関係が多くなつておりまするが、この都市について特別な機関を設置するような御意向がございますか。それとも地方商工局の中に、中小企業に関する部門を扱わせるというようなことにして、都市との連絡を密にされるつもりであるか、その渡の機構をお伺いしたいのであります。
  44. 細井富太郎

    細井政府委員 大都市と指導機関との関係でございますが、ただいま私の方で考えておりますのは、地方機関といたしましては、地方の商工局で局下の各府縣の連絡調整推進の仕事を担当していただきまして、実際の具体的な第一線の仕事は、すべて府縣廳を中心運用していきたいというふうに考えております。実際におきまして、府縣廳では指導力につきまして多少不備な点もございますので、その点は商工局が斡旋いたしまして、中央なりあるいは他の府縣から、その指導機関なり研究機関の應援を頼むというようなこともやつていたいただきたいと考えております。なお経費といたしましては、大体商工省で経費をもちまして、地方廳の機能活用いたしますための諸般の経費を負担していきたいということに考えております。大都市につきましては、府縣とわけて特別に扱うかどうかということは、相当これは問題がある点じやないかと考えております。しかし特別に扱わないといたしましても、大都市には中小企業者が集中いたしておりまする関係もありますし、また大都市の行政機構の中には、相当の指導力も、指導の陣容も整つておるというような点もございますので、府縣廳で一元的にやつていただく場合におきましても、大都市におきましては、特に大都市の諸般の行政機構を十分活用していただく、その活用する場合に、ある程度仕事を分担してやつていただくという形でいくか、あるいは一体となつてやつていただくかは別としまして、特に大都市の機構は十分に活用する必要があるのではないかというように考えております。大体におきまして、大都市ごとに中小企業に対する相談所のようなものをやつていただく、あるいは大都市にあります商工会議所の機能等も、これに併せて活用していくというような途が必要ではないかと考えている次第でございます。
  45. 林大作

    ○林(大)委員 最後に全体といたしまして、この法案の力というものが、非常に消極的な感じに受取られてならないのであります。その点、私の中小企業廳に対する念願といたしましては、中小企業廳はすべからく日本中小企業を現代化する、そうして中小企業の戰終の締め直しをするというところがはつきり現われていくことが、絶対に必要であると私は思うのであります。ややもすれば、これがどうも小中企業の小言、請願、陳情の受け所になりそうな傾きが十分この法文にも現われております。それから失業救済のような面に見られるところもございますので、いたずらに時代の波に逆らつたものを補助してこれを促護していくというような消極的な面は、思い切つて清算をすべきであつて、すべからく中小企業を現代化するという意味で、はつきりした信念をもつていかなければ、今私が指摘いたしますような、きわめて消極的なつまらないものになり終ると思うのであります。その意味におきましては、繰返して申し上げますが、金融と資材と、労力とを相当計画的にしつかり握つて、そうして、全体何が中小企業であるかというような観念ももつとはつきりして、そうして堂々とひとつ中小企業の現代化のために進まれんことを希望して私の質問を終ります。
  46. 喜多楢治郎

    喜多委員長 本日の質疑はこの程度で打切りまして、次会は明日午後一時より継続をいたしたいと存じます。  これをもつて散会いたします。     午後三時二十二分散会