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1948-07-02 第2回国会 衆議院 商業委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年七月二日(金曜日)     午後二時二十二分開議  出席委員    委員長 堀川 恭平君    理事 石神 啓吾君 理事 笹口  晃君    理事 細川八十八君 理事 中村元治郎君       鈴木 仙八君    關内 正一君       多田  勇君    冨永格五郎君       前田  郁君    松井 豊吉君       松崎 朝治君    山本 猛夫君       梶川 靜雄君    林  大作君       松原喜之次君    師岡 榮一君       山口 靜江君    岡野 繁藏君       櫻内 義雄君   唐木田藤五郎君       小枝 一雄君  出席政府委員         貿易廳長官   永井幸太郎君  委員外出席者         商工事務官   越智  實君    参考人                 青木 三良君                 石澤  豊君                 大柴亀太郎君                 小野 豊治君                 佐口 賢二君                 古澤 猛弥君                 前田 五三君                 前田 燕夫君                 間瀬喜久治君     ————————————— 本日の会議に付した事件  輸出品取締法案内閣提出)(第一九四号)     —————————————
  2. 堀川恭平

    堀川委員長 会議を開きます。  本日は輸出品取締法案を議題といたします。前回の委員会で御決定になりました輸出品取締法案につきまして、輸出業者のこれに関連する方々の御意見を聽きたいということでありましたので、本日その方々がお見えになつておりますので、順次この方々の御意見を伺うことにいたします。順序は私の方に任していただきまして、御出席なつた方のの御意見をお伺いいたしたいと思います。本日は十一、二人ありますから、時間の関係もありますので、十分内外で御意見を御発表願いたいと思います。  それでは株式会社野澤組大柴亀太郎君にお願いいたします。
  3. 大柴亀太郎

    大柴參考人 私ただいま御指名を受けました株式会社野澤組の大柴でございます。この法案に関して意見を申し述べるというお話でございますけれども、実は法案を一昨日拜見したような次第で、内容がはつきりわからない点がございまするので、私が申し上げることはあるいは間違つたことを申し上げるかもしれませんけれども、その点は一つ御了承をお願いいたします。  まず私ども立場としましては輸出商でございますから、商品に対して、本案に考えられているような取締法があるということは非常に好都合でありまして、こういう点からしましては、本案趣旨はたいへん結構なことと存じます。しかし國営でやることが必ずしもいいか惡いか、國営檢査も必ずしもいい結果を得てはおらないのでございまして、また民営でやつているものもありまして、民営であるからあるいは國営よりもいいか惡いか、善惡を申し上げるのではありませんけれども、われわれ輸出商立場としては、それが民営であろうが國営であろうが、この法案に考えられておりますような取締りがされれば、どちらでも差支えないのでございます。しかし本案事業者團体法と何か関係があるそうでございまして、この法案が通らなければブランク状態が生じてくるというようなお話は承つておりますから、ブランク状態がくるということは、輸出業務に多大の支障を來すことと存じますから、はたしてそういうことであるならば、本案を通していただく方が都合がいいのじやないかと考えております。しかし全体としてこういう法案の御趣旨は非常に結構なことと存じまして、その理由は今さら申し上げることもありませんし、またあとにたくさんの方がおいでなりまして、それぞれの立場から御説明のあることと存じますから、私は簡單にまず本案賛成であるという意見を申し述べてそれで終りたいと思います。
  4. 堀川恭平

  5. 前田五三

    前田參考人 高島屋飯田株式会社前田でございます。法案を読ましていただきましてもよくわかりませんが、私ども輸出業者立場から法案の御趣旨の点と現状がどんなことになつておるかを申し上げたいと思います。  戰後におきまして現在の輸出品生産者並び輸出業者というものは、戰爭中の打撃とブランク状態からまだ完全に復活をしておりません。從つてこの法案の御趣旨のような状態となるのをわれわれは望んでおりますと同時に、スキヤツプの方針も大体その方針のように見受けられますので、私どもとしましてはこういう法案に即應できるような力を一日も早くつけたいと思つております。從つて卒直に批判申しますると、この法案現状に即しまして相当行き過ぎておると思います。但しいずれはこの状態にならなければならないと思いますので、結局私どもがこの法案に即應するように一日も早く力をつけるのがよいじやないか、こう思うのであります。但し現状とこの法案趣旨と比較してみますると、相当行き過ぎの感がありますので、この矛盾を運用方法において相当考慮していただきたいと思うのであります。といいますのは、六條の第二項でありましたが、何とか檢査ができるということがあつたと思いますが、あの運用方面、実行の方面にもう少し強制力をもたせておいていただきたい。徐々に檢査をしていく物をはずしていく。初めのうちは特に商品ごとに必要な物はどんどんと嚴重檢査をしていく、必要のない物ははずしていく。だんだん力がつくに從いまして、この法の精神のようにしていただく。これ以外に方法はないと思うのであります。それから集中排除法もありますので、この間にブランク状態ができないように、ぜひひとつお願いいたしたいと思うのであります。
  6. 笹口晃

    笹口委員 ちよつとお伺いいたしますが、高島屋さんはずいぶんいろいろな品物をお扱いになつておると思いますが、ここに第四條等品目を掲げてあり、また第三條には商工大臣がこれら品目を指定するということになつておりますが、この掲げてあります品目等について何か御意見がございますか。
  7. 前田五三

    前田參考人 私ども主として纖維製品が多いものでありますから、第四條に掲げておりますものは光学品くらいのもので、あとはやつておりません。光学機相当今出ておりますが、特に私どもの重点を置いておりますのは第三條の方でありまして、おそらく纖維製品はそこにはいると思います。主としてその方に一番関心をもつております。從つてただいま申し上げましたのも、その方のことを申し上げたのであります。
  8. 堀川恭平

    堀川委員長 次は第一物産株式会社青木三良君にお願いいたします。
  9. 青木三良

    青木參考人 第一物産で雜貨の輸出をやつております青木であります。結論から申しますと、この法案の成立を希望いたします。但し、戰前から輸出経驗のあるメーカーなりサプライヤーから見ましたならば、どうせ自分の責任でやつておるのであるし、海外からクレイムがあれば、自分の商社の信用に関するものでありますから、こういうような法案がなくても、自分の所で檢査もし、またりつぱなメーカーとタイアツプして輸出すればいいのでありますから、かかる法案がなくてもいいということを考えておる一流の貿易業者またはメーカーがあるということを御記憶願いたいと思います。ただ私が結論として賛成申し上げるのは、戰後貿易関係業者なりメーカーは、戰前経驗のない中小メーカーなり中小業者が多いということで、この経驗のない人たちに、全然檢査も施さず、何ら基準も與えずに、輸出品をつくらせたりないし輸出させるということがありましたならば、將來に非常な惡影響を與えるのじやないか。そういうような意味からこういう法案賛成するのであります。  それから、内容の点で二つほど希望を申し上げますれば、第三條にあります物資については、等級を設け、しかも檢査不合格品輸出させるというようなことになつておりますが、この檢査不合格品は絶対輸出させない、すなわち第四條と同じように直していただけたら、われわれとしては非常にやりいいというような感じを受けます。それから、檢査合格品についても、一等、二等、三等というふうにわけるのではなしに、ただ單に合格品だけで、あとは單に各メーカーのトレード・マークで賣らせればそれで十分でないかと信じております。第二番目は、第六條で、檢査規定で、どういう所がやるかということを書いてありませんが、御説明によると國営檢査でやりたいというようなお話でありますが、これは現在の檢査設備やら、費用やら、能率の点から考えまして、民営が最もいいのではないかと考えます。しかし事業團体法とかの関係で当分民営ができないから國営だという御説明も承りましたので、將來その事業團体法例外規定で、民営機関檢査ができるようになりましたならば、早速民営に移していただきたいというふうに希望しております。以上で終ります。
  10. 堀川恭平

    堀川委員長 今の御意見に対して何か御質問ありませんか。  次は東洋綿花株式会社松井さんの代理間瀬喜久治さん。
  11. 間瀬喜久治

    間瀬參考人 本案を拜読しまして感じた点を申し上げますと、大体賛成でありますが、具体的な細則、たとえば檢査規則とか、民営にするか國営にするかというようなことが書いてございませんので、運営いかんが一番大切なことだと思います。なお二、三感づいた点を具体的に申し上げますと、一番の法律の目的たる輸出品声價の向上及び品質の改善を図ることとありますが、本法案の字句の示すがごとく、取締法であり、事実は輸出品声價の維持及び品質低下防明をはかることといつたような消極的な域を脱しておらないように思われるのであります。ほんとう目的が第一條のようであれば、取締法のほかに、輸出品報奬法といつたようなものを出し、積極的に必罰に対しての必償制度考慮されるべきだと思うのであります。しかしこの方法も、世界的にダンピングされるようなことのないような方法を講ずる必要があるということは、いまさら申し上げるまでもありません。それから次に第六條になるのでありますが、第六條を読んでいきますと、標準に適合する等級を附するものは輸出品輸出しまたは輸出品として政府に讓り渡すものである、ということになるわけです。しかし生産者が直接これに当る場合のほかは輸出商となるわけでありますが、商品商習慣などによつて異なるのですが、大体生産者等級を附けるものが多くて、生産者からたとえば一級品として買い付けた輸出商一級品として大体輸出するのでありまして、これによつて十二條ないし十三條二項の罰則の適用を輸出商がただちに受けるというようなことは、これはちよつと御考慮を願いたいと思うのであります。  それから罰則についてもう一つ申し上げたいのですが、戰前外國貿易においては、不良品または格落品をごまかして賣り出したことなどによつて損失を受けるのは、直接は積出人であり、契約通りのものでない場合は、製造家がこれを負担したり、契約を取消して委託品として処分したりして、生産者輸出商とも專門家が專心これに当つてつたのであります。それで事実上は金銭的な損のみで、体刑というようなことはあまり考えられなかつたことと思うのであります。それから纖維関係檢査は、今までの檢査規定がありまして、そういう特別の民営檢査機関によつてつたものだからそういうことはないのでありますが、この法案によると、損のほかに体刑も食うということになるので、一方輸出産業各部門とも戰前のレベルまで上昇していないということを考えて、罰金刑はもつと重くしても、体刑はできるだけオミツトするようにお考え願いたいと思います。大体こういうようなことを感じておるわけであります。
  12. 堀川恭平

    堀川委員長 あなたの御意思としては、この法案に御賛成でありますか。
  13. 間瀬喜久治

    間瀬參考人 賛成であります。それからもう一つ申し上げますが、これは取締りという言葉よりも輸出品基準法とかいうようなぐあいにして、あまり取締でないということにしていただいた方が感じがいいのじやないかと思います。
  14. 堀川恭平

    堀川委員長 では次は小野商会小野豊治さん。
  15. 小野豊治

    小野參考人 大体私はこれに賛成でありますが、この罰則が少し重くないだろうか、こう考えますが、いかがですか。今考えておることは、大体そんなところであります。また檢査方法についてはまだあまり詳しく私も調査してないのでありまして、皆さんから意見がありましたら、その後また考えて意見を述べたいと思います。
  16. 堀川恭平

    堀川委員長 次に製造業者の方に御意見を承りたいと思います。宮田轉車製作所前田燕夫氏にお願いいたします。
  17. 前田五三

    前田參考人 私宮田轉車製作所前田であります。この法案そのものには賛成でありますが、國の機関がやります檢査のことについては、少し不安を感じております。最近非常に粗惡の材料製造いたしますので、檢査を行うことは確かに必要であります。今度國でやります自轉車檢査は、二十年來民営檢査機関でやつておりました。相当設備をもつ全國五箇所の檢査所で非常に熟練した技術者が約百人おつて檢査をしておつたのでありますが、國営でやります場合に、はたして熟練した技術者たちがそのまま國の機関に移り得るか。いろいろな問題でなかなか困難だろうと思うのであります。國の檢査になりまして、自轉車に詳しくない技術者が、檢査規則を楯にとつて、杓子定規に檢査するということは、私ども轉車メイカーでありますが、非常に困ることであります。その辺の運営をうまくやつていただきたいということを希望しておきます。
  18. 堀川恭平

    堀川委員長 何かお聽きになることはありませんか。——なければ、次に檢査機関社團法人纖維檢査協会佐口賢二氏にお願いいたします。
  19. 佐口賢二

    佐口參考人 私纖維檢査協会佐口であります。この協会纖維製品檢査を過去ずつとやつてきたのでありまして、纖維製品のうちの絹、人絹、毛だけは國管でおやりになつておりますが、それを除きました綿、布帛、メリヤス、糸、雜品糸をすべて檢査をやつておるのであります。この法案を私ども檢査した面から見ますと、こういう法案が出なければならないということは非常に痛感されるのでありまして、むしろ現状からすれば、もつと強制力のある檢査法案があつてほしいという氣がするのであります。この法案を読んでみまして、確かにこの取締法案は、日本現状よりも大体進んだ法案ではないかという氣がいたします。現状としましてはもう少し強制力のある法案が、むしろ今しばらくの間はほしいのではないか。もちろん非常に自分商標を重んじ、良心的の製品をつくるりつぱな業者もあるのでありますが、これはその運営方法によりまして、大いに商標を重んじて扱つてあげる方法はいくらでもあるのでありますが、そのためにまだ自覚が足りないとか、いわゆる相当強制力をもつてある程度制限して行かなければ、輸出品の振興をはかるのに支障があるというような業者が多いことを、われわれ纖維の面では痛感するのであります。そういう面でもう少し法の強制力が強いようになつた方がよいと思うのであります。  もう一つこの法案によりますと、これは私ども関係する纖維製品からおもに申すのでありますが、不合格品輸出ができるようになつておりますが、これに対しては非常に問題があるのではないか。何とかこれを食い止めるべき方法を講じなければならないのではないかと思うのであります。國内を出ますときはもちろん不合格品として明らかにして輸出しましても、これは海外に出まして後は、どんなふうになるかわからないと思います。また特に貿易業者——國内ではなくて、外國貿易業者の手に渡つた場合に、優良の品の中に加えられたり、あるいはクレームの材料なつたり、いろいろの弊害が起りはしないかということを感ずるものでありまして、何か適当な措置を講じてほしいと思うのであります。  それからこの法案は、一應國家檢査機関檢査をされるという前提のもとにできた法案でありまして、私どもはどうしても民営檢査機関というものは、いわゆるアンチ・トラスト・ロー及び今度できます事業者團体法の制限によりまして、民営のこういう事業はできないという前提のもとに、これを承服しておるのでありますが、元來私どものやつてきた経驗から申しましたならば、そういう面で許されるならば、これは民間の経営にして、そうして國家がこれに管理、指導及び促進をされるべきであるというふうに感ずるのでありますが、直接たくさんの係りの方をつくつて、そうして直接の檢査面の一々が実行されるということについては、これはあまりにも煩雜である。いろいろな点で民間の適当な團体使つておやりになる方がよいのではないかという感じがいたします。  それからもう一言申し上げたいのは、今の私ども協会の大体の規模を申しますと、檢査所が全國に十九箇所、支所が三十五箇所、出張所が四十四箇所、九十八箇所の檢査所がありまして、それに要しております職員は現在千百五十八名と思うのでございますが、これを纖維品の檢査をやつていくためには、やはりよく慣れました檢査員を引継いでやらなければならぬのであります。去年の四月ごろからその引継ぎ問題が起つておるのであります。その当時はまだ民間官吏との給與が非常に接近しておりましたので、割合に引継ぎ條件がよかつたのでありますが、現在民間のいろいろな給與が、官廳給與に非常に先走りましたので、これらの完全に引継ぐという点において非常な不安をもつておるのであります。檢査員というものは非常に慣れたものでありまして、こういう人たちに利用しなければ、やはりこの輸出品檢査運営というものはうまくやつていくことができないだろうと思うのであります。これが待遇その他の点で官吏になりたがらない者が多いのではないかという点に非常に不安をもつております。何とかして完全にうまくこれらの引継ぎをしたいというように思つております。この点は官営でおやりになるときも、非常に考慮を拂つていただかなければ、とかく輸出品運営上に非常に支障ができはしないかということを恐れるものであります。私の申し上げたいことはこの程度でございます。
  20. 堀川恭平

    堀川委員長 佐口君に何かお聽きすることはありませんか。——なければ、次は日本ゴム工業協同組合連合会石澤豊氏にお願いいたします。
  21. 石澤豊

    石澤參考人 日本ゴム産業関係者立場から、今度の法案につきまして申し上げたいと思います。一言に申しますと、ゴム産業業者側の一致せる見解は、ゴム製品につきましては、その輸出製品たると國内消費製品たるとを問わず、強制的な檢査というものをどうしても必要とする次第であります。しかしながら結論から申し上げますと、その檢査國営として國家官吏が直接に檢査をされるという方法に対しましては、反対であるのであります。そういう見地からとにかく輸出品取締りを強化されるという趣旨に立脚してできました今回の法案は、まことに結構だと思うのでありまするが、その法案内容をよく檢討してみますると、いろいろの欠点があるのであります。その理由を要点だけを申し上げまして、御参考に供したいと思いますと同時に、ゴム業界希望に対しまして、十分御考慮を煩わしたいと思うのであります。  第一に、ゴム産業終戰後新しい工場がたくさんできたのでありまして、過去何十年の歴史をもち、十分なる設備と、すぐれたる技術家をもつておりまする地盤のしつかりした工場以外に、終戰後時流に乘りまして、たくさんの新規工場ができたのでありますが、終戰後におきましてすでに二百五十できたのであります。現在におきましては、新規工場の数だけで七百に及んでいる。こういう実情でございます。これらの新規工場は、何分時流に乘りましてあわててつくつたものでありますから、卒直に申し上げまして、その工場設備は不完全であります。それから製造技術もきわめて低いのであります。しかしながらこれが多数できまして、粗惡な製品がどんどんつくられて、それが市場に氾濫してくるという状況で、粗惡品優良品との区別がつきがたいという状態が、非常に顯著になつてまいつたのであります。ゴム製品は一度これができ上りますと、優良品と不良品とを並べてこれを見比べてみましても、相当專門家でもその優劣を正確に判断することは困難なものでありまして、実際それを使つてみなければ、ほんとう優良なものと、不良なものとの区別がつかないような状態であるのであります。これはゴム製品性格上そういう特徴をもつているのであります。従つてゴム産業界では、業者が自発的に檢査設備をつくりまして、多数の技術官を養成いたしまして、そうしてゴム整品檢査するのでありますが、それのゴム製品の一部分を切取つて、これを機械にかけてひつぱつて、そうしてその切れるときの力を機械的に計算してその優劣を判断するとか、あるいは化学的な処理によつてその質の優劣を判断するとか、きわめて緻密な科学的な檢査を、でき上つた製品について行いまするとともに、工場の方へ技師を派遣しまして、その工場において、ゴム製品製造しているその製造の過程を調べまして、まず原料をねり合わせているところでは、どういう原料にどういう材料を加えて原料としてつくつておるかというようなところから、それが製品になるまでの製造工程檢査する。こういう檢査方法を行うことによつて、初めて商品優劣を判断することができる。こういう性格商品でありますので、苦心いたしまして、そういうような檢査工場の依頼に基きましてやつてまいつて、ようやく商品優劣を明らかにして、そうして合格品には合格のしるしをはりつけるというふうな方法をとることにいたしてまいつているのであります。こういうような現状でありまするから、どうしてもある程度強制的性格をもつた檢査ということを絶対必要といたすわけであります。ところがその檢査嚴重意味での國営ということになると仮定いたしますと、なかなか急に檢査設備を整備しようとしてもできないのであります。これには多数の経驗のある檢査官というものを必要といたしますし、その檢査官が一々工場へ出かけて製造工程檢査するというようなことは、國家官吏の仕事といたしましては、出張の関係、人員の関係、これに要する経費の関係設備関係という点から見まして、なかなかむづかしいのであります。そこでわれわれといたしましては、強制的檢査を必要とするということと、これが檢査方法については純國営というのでなく、すでにできておりますところの相当設備をもつて、すでに民間で持つておりますところの経驗ある技術者をして檢査せしむるという方法にしていただき、そうして國家はこれに対して檢査方法を指導監督するというような形にしていただきたいというのが、希望であるのであります。  さらに本法案にはいりまして申し上げてみますと、この法案では、ゴム製品というものが第三條に定めらるべき商品の中にはいつているのでありますが、われわれといたしましては、第四條に定めらるべき商品の中に入れていただいて、そうしてゴム製品標準最低基準というものをきめて、その最低基準にも及ばざる程度製品は、これは輸出を許さぬということにしていただきたいのであります。そうでありませんと、ゴム製品海外における信用というものが、非常に落ちるわけでありまして、今後ゴム製品海外輸出ということに非常に努力しようと思つておりまする矢先、これが非常な障害になるわけであります。殊に現在ゴム製品原料でありまするところの生ゴムは、外國からこれを輸入しておるような次第でありまして、この輸入につきましては、日本政府及び連合國側の多大の厚意によつて、これの支拂い方法ども相当の部分は救済資金をもつて支拂われるというような状態において、これを輸入しておるのでありますから、かくして輸入した貴重な生ゴムが粗惡品に形をかえまして、そうして海外輸出してもいたずらに今後のゴム製品輸出信用を落すというようなことになつては、まことに相済まないわけでありますし、また日本の他の産業に対しまして、ゴム製品というものは非常に重要な関係をもつておるのでありますから、優秀なるゴム製品を他の産業に供給することによつて他の産業を利する。かくすることによつて生産を増強するというこの面から見ましても、優良品、不良品区別が不明であるために、不良品が市場に氾濫しまして、それが國内産業の方にも供給されるということになつては、國内産業それ自身の向上にも非常に惡い影響を及ぼす次第でありますので、私どもといたしましては、先ほど申しましたように、ゴム製品に対する檢査は強制的な性質をもつものとして、ぜひ必要とするということと、ゴム製品は本法令の第四條によつて定めらるべき品質の中に入れていただきたいということを、ゴム製品に対する檢査方法は、輸出品であると國内品であるとにかかわらず、國営ということでなく、有効な檢査方法考慮していただきたい。國家の指導監督のもとにということにつきましては異議はないのでありまするが、檢査それ自体を行うべき檢査方法及び檢査手段ということにつきましては、ただ單に製造業者の自由の檢査ということに任すというのでなくして、個々に業者の自発的方法による一つ機関ができると仮定しまする場合に、その機関に十分の設備と十分の知識経驗のある技師を備えて、有効な檢査をさせ得るように仕向けるという意味において、これを民間の手で檢査を行わしめる。そうしてこれを國家が監督されるというような形にしていただきたいというのが希望であるのでございます。簡單でございまするけれども、一應の見解をここに述べさせていただいた次第であります。
  22. 堀川恭平

    堀川委員長 そうすると石澤さんは、この輸出品取締法案に対しては檢査の手段だけの問題で、この法案に対しては御賛成なんですか。
  23. 石澤豊

    石澤參考人 そういうことであります。ゴム産業会の方の意見は、本法案そのものに対しては取締りを強化するという御趣旨には賛成なんですが、その内容につきましては、ただいまのような種々の問題がありますので、それを十分御檢討願いたい。そうして業界の希望に副うような方法に御考慮を願いたい。こういう趣旨であります。
  24. 林大作

    ○林(大)委員 今の願いたいというところを條文からいつたら、どこをどうしたらよいということですか。
  25. 石澤豊

    石澤參考人 それはまだ私どもの方としては、條文の内容にまで立ち至つてここに申し上げるということよりも、むしろそれの研究は委員会にお任せしたい。
  26. 林大作

    ○林(大)委員 そうお任せ願わぬで、至急おとりまとめの上文書でいただきたい。
  27. 石澤豊

    石澤參考人 もしそういうことでございますれば、ひとつそういうふうにいたします。
  28. 松井豊吉

    松井委員 ちよつとお伺いいたしますが、檢査方法について國の手ですることについて反対のようでありますが、もう少し反対の理由をお述べ願いたいと思います。
  29. 石澤豊

    石澤參考人 純國営ということに対して反対ということの、その理由をもう少し詳しく説明せよと、こういうことですか。
  30. 松井豊吉

    松井委員 檢査に対する反対の理由
  31. 石澤豊

    石澤參考人 ゴム製品檢査國営ということになりまして、官吏檢査が行われるということになりますると、現在檢査に実際経驗と知識とをもつている檢査員というものは、ゴム業界において今日まで檢査事務に当つておりまする專門家をもつてこれに充てたい。実際檢査をやるほど人がないのであります。急ごしらえの人ではなかなかできないのであります。そこで結局業界において、檢査員として今日までの経驗を積んできておりますその檢査員を、國家官吏に任命してそれにやらすということのほかないと思うのであります。そうなりますると、樂屋話を申し上げますると、これに対する給與の問題ということがまず起るのでありまして、今日までの彼らに対する給與標準から見ますると、一たびこれが官吏に任命されますると、今日彼らの経歴で、任命されるべき官吏に対するその標準給與ということで、非常に給與が下つてしまう。そこでこれらの檢査員官吏として採用されることを希望しない。また官吏として採用されましても本來官吏として身を立てた人間でありません。いつまで身分を保障してもらえるかというようなことに対しましても、非常に不安をもつているのであります。むしろそういう状態に追いこまれるよりは、彼らはそういうことになることは希望しない。こういう見解をすでに表示してきている者もあるようなわけであります。  それから先ほどもちよつと申し上げましたように、ゴム製品檢査は、ただでき上つた製品ちよと拔取りまして、そうして簡單な檢査をしただけでは品質がよくわからないのであります。拔取り檢査をすることにしましても、相当の物理的、化学的の方法でこれを檢査するということと、工事へ檢査員を派遣しまして、一々その製品製造工程を見て檢査をして、そうしてその工場製品というものに格付けをするということにしないとわからないのであります。ところがそういうことになりますと、ゴムの工場は現在総計千三百くらいに殖えておりまして、北海、九州、関東地方、信州、大阪、神戸、岡山、名古屋というふうに日本全國に散在しているのでございまして、これに檢査員を派遣するという場合にも、現在の政府の予算に基く旅費規定などでは、とうてい出張を相当程度行わせるということができないわけであります。そこで結局十分なる効力のある檢査ができないということになつて弊害を生ずるということが非常に多いわけであります。それが國営でなく、業界において、組織して今日までやつて來ている檢査機関に新しい角度から政良を加えまして、これの檢査に対する指導監督というような方法を講じて、そうして実質的な檢査をやらす方が有効である。こういう考え方にあるのであります。
  32. 細川八十八

    ○細川(八)委員 私がちよつとお尋ねしようと思うことは、今松井君から尋ねられましたので、大体私もわかつたのでありますが、國家檢査になる場合に、やはり檢査せられる檢査員でありますけれども、これが一番むずかしい。これは今あなたの言われたことでよくわかりましたが、実際問題として國家がこれを檢査するということになれば、わかる人が得られないとするならば、どういう機関をもつてこの檢査に当らしむべきか一番いいかということについて、何かお考えがあれば伺いたい。
  33. 石澤豊

    石澤參考人 その点はゴム産業界の方では、すでに今日までにゴム製造業者が組合員となりまして、そうしてここに組織しておりましたゴム協同組合連合会というものがございまして、そのゴム協同組合連合会がその附属機関としまして、ゴム製品に対する檢査機関をこしらえまして、向島に相当大きな設備をもちました檢査所があるのです。そこにはゴムの彈力を檢査する機械、それからゴムの質を化学的に試驗する機械、たとえば自轉車のタイヤのごときも、でき上つたものを熱処理をする大きな設備の中に入れまして、それを回轉せしめまして、そうして三年間それを使用したのと同じだけのそれに対する氣候的の変化と、それから物理的な変化を與える他動的な力を加えまして、九時間これを実驗することによつて、三年間このタイヤを使つた場合にどういう破損状態になるだろうかという結果がわかるような機械設備がつくつてございまして、それによりまして試驗をしておる。御覧くださればわかりますが、相当金をかけまして設備をした檢査所があるのです。それから各地方にもその檢査所の出張所がありまして、そこに一定の設備をもつておりまして檢査ができるようになつております。それから帝大の機械科を出た人、あるいは化学科、物理科を出た人、そういう人に十数年前から特にゴムの研究をさせまして、ゴムの檢査を十分正確になし得る人間を養成いたしまして、純技術家としましても十数名すでにおります。それから純技術家出身ではありませんけれども、その技術家の指導を得て、十分ゴムの檢査に役立つだけの知識経驗を得た人間をつくりまして、現在百六、七十名すでにできております。それが各地方の檢査所におりまして、そうして工場の方で製品ができた、檢査してくれという要求がありますと、すぐそれに檢査員が出張いたしまして檢査をする。殊にその製品が二万、三万というふうに多数ある場合には、一週間先にそれを出荷しなければならぬというような場合には、ぐずぐずしておりますと出荷に間に合いませんから、そういうときには中央から檢査員を應援に出しまして、みんなで徹夜をして檢査をするというふうに檢査をさせる機関がすでにできておるのであります。そのゴム協同組合連合会が今度閉鎖機関になりましたので、今後の処理をどうするかということはまだ未定でありますが、政府及びG・H・Qの特別の計らいによりまして、檢査設備等は当分の間これを利用して檢査をやらせておる、こういう現状であります。そこでわれわれとしましては、現在ありますその檢査所を利用して、それに適当な改良と改善と、また國家が指導方法というものを立案すれば、そのまま檢査ができる。こういうようなことになつておるのであります。しかしその機関それ自身は政府自体の機関ではないのでありまして、業者の組合がつくり上げた機関であります。製造業者とは別の立場製品檢査する、こういうような実情であります。方法としてはそういうようなことでまいるのがいいのではないかと私ども考えております。
  34. 細川八十八

    ○細川(八)委員 もう一点お尋ねしたい。この法案には等級別に檢査をするということがあるが、ところがメーカーは一等品、二等品、三等品として出すとしましても、これを消費する人は、値が安いからといつて二流品とは思わない。惡い物がやはり物の價値を失うことになる。そこで等級別に出すがよいか、合格品のみを出すがよいか、どちらがよいか、簡單に一口だけでお答えを願いたい。
  35. 石澤豊

    石澤參考人 その点はゴム業界の方といたしましては、等級別にするということにつきましては、大きな反対はございません。
  36. 多田勇

    ○多田委員 私ほかの參考人の方にお伺いしたいのですが、先ほど大体皆さんの御意見は、この法案には強いて反対ではないという御意見でありましたが、それは事業者團体法が制定されまして、民間におけるこのような仕事ができないという前提のもとに考えておられるようでありますが、この事業者團体法ができた曉において、民間における檢査ができないというような前提がどこから生れてきたか。あるいは政府の方からそういう前提のもとにお話があつたかどうか。これを大柴さんにお伺いいたします。
  37. 大柴亀太郎

    大柴參考人 ただいまの御質問は、事業者團体法によつて檢査ができないから、これに賛成であるかないのかという御質問でありますが、その通りでございます。民営檢査とか今やつております檢査でいけば、どちらでも差支えないのでありまして、私どもは別に法律的にどういうことも考えませんで、ただ輸出品には檢査がなくては困るということだけを考えておるのであります。なるべくなら、官営よりも民営の方が実際に即しておるかに、それを希望するのですが、ただブランク状態があるからそれを恐れますので、やむを得ず官営でもないよりはいいという考えであります。
  38. 多田勇

    ○多田委員 それは民間でできないという前提をもたれて考えられていることは、非常に行過ぎな考え方ではないかというように考えられるのです。事業者團体法として提案されて、目下審議中の法案の中にも、現在ありますところの重要輸出品取締法、あるいは輸出水産物取締法等で、法令の定に基く命令によつて行う正当な行為は、事業者團体法ではやはり除外になつておるのであります。從つて團体法ができた曉において、民間檢査ができないというような前提のもとに、この法案を考えられるということは行過ぎだろうと思いますが、これは意見として申し上げておきます。  その次に檢査方法でありますが、最後の方の御意見のように、生産工程における檢査をやらなければ、現在の生産設備あるいは技術の面からいたしますれば、相当不安があるだろうと思いますので、單に政府に賣り渡す際に檢査をするという程度では、非常に危險があるのではないかというように考えられておりますが、これは前田さんあたりの製造業者としての製品についての檢査ではなしに、生産過程などのある程度檢査を行うことが必要かどうかという点と、いま一つ輸出業者の方に、この檢査製造檢査にすることはいいと思うのでありますけれども、この法案は先ほどもお話がございましたけれども製造業者檢査に対する責任をもたせずに、政府に賣り渡す際における檢査が主眼におかれておるようでありますが、これは製造する場合の檢査の方がよろしいか、あるいは賣り渡す場合に檢査をされる方がよろしいか、これを輸出業者の方に御意見を簡單で結構ですからお伺いいたします。
  39. 前田燕夫

    前田(燕)參考人 どつちがいいかということならば、現在もやつておりますが、できたものを檢査していただいた方がめんどうでないと思います。
  40. 堀川恭平

    堀川委員長 それではただいま大船光学の古澤猛弥君が見えましたから、光学の点について御意見をお伺いいたします。
  41. 古澤猛弥

    ○古澤參考人 実は光学関係輸出につきましては、光学製機工業会というのがありまして、この第四條の問題とか、あるいは檢査の問題については、そちらの方ですつかり意見がまとまつており、私としてはその工業会を代表して参つておるのではありませんので、正式な意見ちよつと申しかねるのですが、工業会の方としましては、この案につきまして大体下打合せができておりますので、別に言うことはありません。ただこの檢査を官営にした場合に、現在まだ官側におきまして人員が十分いないという問題がありますので、具体的な檢査の実施方法につきましては、まだこれから相当研究を要するのではないかと思つております。非常に廣い範囲で、しかもいろいろなたくさんの品物を一つ一つ檢査せねばならぬようになつておりますが、人員が足りないのが一番大きな問題でありまして、以前から人員の問題についていろいろ研究はいたしましたが、官側において急に人を殖やすこともできないのでありますから、実施の方法につきましては、今の光学製機工業会と十分連絡をとつて実施するようにすれば差支えないのではないかと思います。
  42. 堀川恭平

    堀川委員長 それでは実施方法についての意見だけで、この法案には賛成なのですか。
  43. 古澤猛弥

    ○古澤參考人 さようであります。
  44. 堀川恭平

    堀川委員長 ただいま参考人方々が、この問題につきましてそれぞれ意見をお述べになつたのであります。そこでこの参考人方々もこの法案に対して、多少誤認された点があるかもしれないと思いますので、提出者の方で参考人が御意見をはかれたことに対して、親切に御説明願いたいと思います。貿易廳の方で御意見がありましたらお述べになつていただきたいと思います。
  45. 永井幸太郎

    ○永井政府委員 ただいま御意見を拜聽いたしましたことについて、貿易廳といたしまして御説明したい点を二、三申し上げたいと思います。第一民間機関檢査した方がいいという御意見でありますけれども、私もできればその方が至当だと考えておりますが、今のところ独占禁止法によつて民間でこういう檢査をするのはいけないことになつておるのであります。事業者團体法案が通りまして、その團体檢査ができることが明確にきまりました場合には、民間團体檢査をお願いするように改正することにはやぶさかではないと考えております。あるいはまたこの法律を改正せずに、國家檢査をするという権能を、その民間團体へ委嘱するというような形式をとることも、適当であろうかと思います。必ずしも國家檢査をしなければならぬということを固執するわけではありませんけれども、かりに事業者團体法檢査ができるということが明確にきまりましても、この事業者團体法が通過して事業團体ができて、その定款をこしらえましても、アンチ・トラストの方面からも、その定款が通過するまでには、相当ひまが要ると思います。檢査をするということは焦眉の急でありまして、その空白がどうしても起ると思いますので、一應この法案は通過させて、すぐに國家檢査ができるようにしていただきたい。そうでないとその間が非常に空白が起るということを心配いたしております。それでこれはぜひ通していただかぬと、檢査ができないということになりますので、そのことを御了承願います。  それから、政府機関では給與も十分ではないからというようなお話でありますが、この点は、技術官でありますから、俸給のことについても多少の余裕がとり得るかと考えます。  その次は、全部の商品に対してすべて檢査するということでないのでありまして、この法案趣旨は、業者の自粛にまつて政府としてはときどき警察的な意味で拔打ちの檢査をするというような建前になつておりますので、多少運用の点において違うかと思いますから、それらの点は御心配のないようにするつもりであります。  それから、從來民間檢査いたしております設備等は、政府で許可していただくことに話合いをつけたいと考えております。  それからゴム製品についてお話になりましたが、ゴム製品のごときは第三條であるけれども、第四條にした方が適当であるというお話でありますが、これはできるだけ多くを第四條にすればいいということでありますけれども、第四條の精神は、少しの瑕疵があつても、そのものの全体の價値がゼロになるというような、たとえば顯微鏡であるとか、試薬であるとか、あるいは食糧品であるとか、少しの瑕疵があつても輸入局で輸入を拒絶せられるおそれのあるもののみを第四條に集めましたので、ゴム製品のごときはやはり第三條に残して、業者一般の自粛にまつということにいたしたいと思います。  大体この法案の根本の精神は、非常に民主的になつておりまして、業者製造家の自粛にまつて國家は警察的に檢査をする。それで不正なることがあれば、その代り制裁を重くするというような建前になつております。國家がすべての輸出品をしらみつぶしに檢査しなければならぬということはなかなかむずかしいし、またそうした場合に、政府が全部強制檢査をしておつても、こういうものが出ているということになると、非常に日本信用にも影響を及ぼすということも、司令部の方で親切に注意があつたりして、こういうふうなことになつておりますが、ただいま出ました御意見について、私どもの考えるところを申し上げておきます。
  46. 笹口晃

    笹口委員 先ほど参考人から御意見が出たことでありますが、第三條該当の品目について不合格品輸出させない方がいいだろうという御意見が二、三の方から出たようでありますが、その点についての長官の御意見を伺いたいと思います。
  47. 永井幸太郎

    ○永井政府委員 その点、われわれも今の御意見のような意見でもあつたのでありますけれども、萬國貿易憲章の精神に從いますと、惡くても——かりに一、二、三とある等級に漏れて、三等以下になつたものでも、買手が満足して、欲しいというものならば賣るということにするのが、万國貿易憲章の精神であつて、万國貿易憲章の精神はできるだけ多くの物資が各國の間に交流するということで、これを阻止することはできぬという精神、これを尊重してもらいたいというので、私はこれに対しては非常に弊害がある。かりに格外品で日本人が賣つてつても、先方の買手が不正直な人であつたならば、これは三等品だと言つて賣られた場合に、それだけ日本商品信用を害するから、そういうものは輸出させぬようにしたいと申したのでありますが、これらの点、万國貿易憲章の中に日本は加盟いたしておらないけれども、加盟したと同じ精神でやろうということを、日本政府として承諾いたしておりますので、さような関係輸出させぬということができないことになつております。あまり自由を圧迫してはならぬというような精神になつておりますので、私どももだいぶ爭つたのでありますけれども、万國貿易憲章をたてにとつて、あまり抑えつけるなという精神であります。
  48. 多田勇

    ○多田委員 ただいま長官の御意見で、民間團体檢査ということに対して御賛成のような御意見でございましたが、しかしながら独占禁止法に抵触するというような御意見でございましたが、特別な法律によつて、こういう檢査機関として民間團体を指定した場合には、私的独占禁止法には抵触しないというふうに考えるのであります。それからもう一つは現在國会に提出されております事事者團体法案には、重要輸出品取締法輸出水産物取締法のような現行の法律の規定に基いて政府が発する命令によつて行う正当な行為には、事業者團玉法は適用しないということになつておりますが、ただいま長官の御意見では、独禁法に反するから民間檢査はできないのだという御意見と、この事業者團体法案にある、二つの法律に基く正当な行為を除外してほしいというような——これはおそらく貿易廳から立案者である公正取引委員会に申し入れて除外規定を設けてもらつたと思いますけれども、これはいささか長官の御意見と矛盾があるように思いますが、これについてこの間のいきさつをお話し願いたいと思います。
  49. 永井幸太郎

    ○永井政府委員 その点は明確に事業者團体法案の中で、事業者團体檢査をするということをはつきり言うておりませんのみならず、この法案について一應申さなければならぬことになりますけれども、司令部の貿易課の方、それからアンチ・トラストの方、それからいろいろ寄りまして相談してくれました場合に、事業者團体檢査を許すということをはつきり認めておりませんので、それがはつきりしていないのです。その法律が通つてはつきりしましたら考え得るものと思います。
  50. 多田勇

    ○多田委員 どうも責任が他の方向に轉嫁されているような御答弁で、非常にわれわれも納得しかねるのですが、少くとも民間團体において檢査をすることが、日本の貿易産業を向上させるために最もいい方法であるという長官の御意見だとすれば、その御意見に基いて法案がつくらるべきだろうと私どもは考えておるのであります。この事業者團体法がまだ成立しないからということでございまするけれども、これは成立するしないは別にしましても、この法案が立案される過程において、貿易廳からおそらく公正取引委員会に、この二つの法律に基いて行われるところの公正な行為は、この法律から除外してほしいという申出をしたために、除外規定が設けられただろうと思うのでありますが、長官の御意見は、民間團体檢査をすることが至当である、しかしながらどうしてもできない事情があるという御意見でありますけれども、ここをはつきり他の法律で、民間檢査が除外規定になつておるとすれば、新しい法律をつくる場合にも、当然民間團体において檢査を行うような除外規定が承認されるだろうというような思うのであります。これは貿易廳が檢査の仕事まで全部やりたい、要するに仕事の範囲を拡大したいという一つの考え方のものに、かような法律をつくられたのではないかというような懸念も生じますので、ただいま長官の御意見のようでございましたならば、民間團体を指定して、その民間團体によつて檢査を行うように、現在出ておりまする法案運用ができるかどうか、その点についてお伺いいたします。
  51. 永井幸太郎

    ○永井政府委員 法律上のことは私あまり詳しくないので、後ほど係りに説明させます。大体の問題としましては、事業者團体法ができまして、その事業者團体の定款もでき、檢査を委嘱することができるとか、あるいは檢査の主体になることができるということがきまりますまでには、相当の日がかかると思います。かりに事業者團体法でそういう檢査ができることになりますれば、その方にやつてもらうということは、むしろ望むところである。ただ今も申します通り、その間の空白が非常に困りますので、一應この法律で國家檢査ができるようにしていただきたい。それから貿易廳としましては仕事をよけいしたいから、檢査をするということは毛頭考えておりません。仕事がたまつてつておるので、できるだけ簡素にいたしたいつもりでおります。それは來ていただいたらわかりますが、みな忙しくて困つておる。そんなことはやりたくないのであります。
  52. 越智實

    ○越智説明員 この法律施行によります除外例の問題は、檢査そのものはそれを強権的にもちますので、その強権をとろうとすることは新しい制度では許されない。そういう独占は解釈として、精神として許されない、こういうふうな見解でできておるのだと思います。これは法律の施行が伴つた場合における一つの経過規定だというふうに了解しております。
  53. 多田勇

    ○多田委員 どうも最近政府のとられている方針が、たとえば今問題になりましたように、民間檢査機関を閉鎖機関に指定して、そうして次の檢査機関國営でやらなければブランクができるというどたん場になつて國営でやるための法案を出してくる。これはこの法案だけでなしに、たとえば競馬法にしても同じでございますが、そういつた傾向は多分にあるようであります。実際の政府の考え方として、長官は民間檢査をするのは至当であるというような考え方でございますけれども、正直なところは、やはり國営にすることが至当であつて國営にもつていくために、一應民間檢査機関を閉鎖機関に指定して、そしてどうしてもこの法案を通さなければ檢査の面にブランクが生ずるというどたん場まで追い込んで、どうしてもこの法案を通さなければならぬというようにとられるのでございますが、その点についてもう一應、將來この輸出品取締法が施行されたあとにおいて、國家檢査でなしに、この法案に基いて民間團体取締機関に指定する御意思はないかどうか。その点をお伺いします。
  54. 永井幸太郎

    ○永井政府委員 閉鎖機関にしておいて、どたん場になつて空白ができるから國家檢査でなければならぬというように追いこんだとおつしやいますが、そういうことは毛頭ありません。この法案ができ上るのが非常に遲くなりましたのは、今業界の御意見がございましたように、全部國家檢査するという建前でわれわれ法案をこしらえたのでありますが、もつと民主的にならなければならぬというので、関係方面といろいろ押し合いをいたしておりまして、ようやく最近に至つて意見が一致したというようなことで、非常に法案の提出が遲れました。そういうどたん場まで放つておいて、空白になるからすぐ國家機関にしようという考えは毛頭ありません。それから先ほど申し上げました通り、事業者團体法事業團体檢査ができるようになりますれば、それでやつていただくということは、貿易廳の方針として考えておるところであります。
  55. 松井豊吉

    松井(豊)委員 ただいま多田委員から具体的御質問がありまして、私がお伺いしようとする点も御説明がございましたが、本案は重大問題でありまして、單に輸出業者あるいは整造業者のみでなく、全國民に対する重大な意味をもつております。ただいままで内容を靜かにわれわれ拜聽いたしておりますと、代表者の御意見は、独占禁止法による、また事業者團体法案によるとどうしても民間檢査ができないということを前提に頭に置かれておる。おそらく代表の方々も、全業者の御意見を承つてきたかどうか知りませんが、なかなか重大であるから、そういう関係から特に私はお伺いしたいのでありますが、長官の第一回の御答弁と、二回、三回にわたつて相当つてきております。若干私たちはそこに疑義がある。まだ相当愼重に調査、研究する必要があると考えます。そこで今事業者團体法案が通過するまで——この事業者團体法案もまだ通るか通らないかわからない。私たちも相当大幅修正を提言いたしておる次第でありまして、おそらくまだ確定しておりません。そこにおいて、この空白なときに國家檢査するという。それは機構を制定するということも必要でしようが、この間何か民間側が檢査している。それを継続して指導する。そうしていわゆる事業関係支障のないように指導するのが、民主化したる今の実情だと私は信じます。この空白な時期、この間を國の檢査とか國営にするとかいうことは、今の実情から見てこれは妥当でないと思う。この点についてはもう一段の御研究を願いたい。そうして業者の代表、また政府側、われわれともに納得のいくような調査、研究が一段と必要であるとわれわれは考えるのであります。
  56. 永井幸太郎

    ○永井政府委員 今民間檢査機関を当分使つていくということでありますが、それはこの法律はすべて政府檢査しなければならぬという強制檢査ではないのであります。今申し上げます通り、業者の自粛にまつて、そうして政府がやると言うのでありまして、やはり民間で納得のいくように檢査していただくということは、自発的に檢査をおやりになるということは差支えないのであります。その点はうまくいくと考えております。
  57. 堀川恭平

    堀川委員長 質疑は明日に継続いたしまして、本日はこの程度で散会いたしたいと思います。     午後三時四十五分散会