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1948-06-24 第2回国会 衆議院 商業委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月二十四日(木曜日)     午後二時十七分開議  出席委員    委員長 堀川 恭平君    理事 石神 啓吾君 理事 笹口  晃君    理事 細川八十八君       關内 正一君    多田  勇君       辻  寛一君    冨永格五郎君       前田  郁君    松井 豊吉君       金子益太郎君    林  大作君       松原喜之次君    師岡 榮一君       山口 靜江君    岡野 繁藏君       櫻内 義雄君   唐木田藤五郎君  出席政府委員         商工事務官   武内 征平君         貿易廳長官   永井幸太郎君  委員外出席者         商工事務官   佐々木 敏君     ――――――――――――― 六月十九日  中小企業廳運営に関する陳情書  (第七六三号)  名古屋商工局北張所富山商工局昇格陳情  書(第七九八号)  中小商工業再建施策に関する陳情書  (第八〇五号)  布帛製品配給改善に関する陳情書  (第八六〇号)  衣料登録制度改正に関する陳情書  (第八六  一号)  中小企業指導運営に関する陳情書  (第八七二号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  貿易資金特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出)(第七五号)  一 復元綿スフ織物轉廃業者復興資金補助の    請願早稻田柳右エ門紹介)(第九九    号)  二 町村吏員に対し執務及び通勤に必要なる物    資特配請願坂東幸太郎紹介)(第一    五三号)  三 看護衣及び看護予防衣適正配給請願(福    田昌子紹介)(第二一八号)  四 主食代替砂糖配給に関する請願佐々木    盛雄君紹介)(第三八九号)  五 度量衡法令中の甲種檢定地方廳移讓の    請願亘四郎君外一名紹介)(第五二〇    号)  六 外人観光客用自動車輸入に関する請願(    高橋長治紹介)(第五九二号)  七 主食代替砂糖配給に関する請願外一件(    外崎千代吉紹介)(第六四九号)  八 産兒用資材特配請願村上清治紹介)    (第六五四号)  九 中小商工業振興に関する請願小暮藤三郎    君紹介)(第七五九号) 一〇 輸出包装認識高揚並びに綜合的主務官廳    設定に関する請願川越博君外五名紹介)    (第八五六号) 一一 國立包装試驗所設置請願川越博君外八    名紹介)(第八六〇号) 一二 農民の自釈生産する纖維製品に対する統統    法規適然緩和に関する請願竹山祐太郎紹    介)(第一〇八二号) 一三 中小企業復興に関する請願田中稔男君紹    介)(第一一三三号) 一四 疊表原料藺草輸入請願川合彰紹介)    (第一二八九号) 一五 中小企業復興に関する請願福田繁芳君紹    介)(第一三八八号)   陳情書  一 中郡衣類公定價格撤廃促進陳情書    (第一号)  二 輸入砂糖配給方式に関する陳情書外二件    (第二一    号)  三 中小商工業善建施策に関する陳情書    (第二三号)  四 中古衣類公價撤廃に関する陳情書    (第七三号)  五 一般物資統制撤廃に関する陳情書    (第七七号)  六 中小商業対策に関する陳情書    (第一一七号)  七 豪雪地鉄道從業員ゴム靴等配給に関する    陳情書    (第一二二号)  八 木炭生産労務者に対し衣料特配に関する陳    情書    (第一四三号)  九 蚊帳幌蚊帳類統制撤廃に関する陳情書    (第一五二号) 一〇 名古屋商工局出張所富山商工局昇格の    陳情書(第二    四六号) 一一 自轉車競技法の制定に関する陳情書    (第三〇八号) 一二 中小企業保護助成に関する陳情書    (第三九三号) 一三 為替ルート設定並びに輸出入機構改革に関    する陳情書    (第七三〇号) 一四 木小企業廳運営に関する陳情書    (第七六三号) 一五 名古屋商工局出張所富山商工局昇格の    陳情書(第七九    八号) 一六 中小商工業再建施策に関する陳情書    (第八号) 一七 布帛製品配給改善に関する陳情書    (第八六    〇号) 一八 衣料登録制度改正に関する陳情書    (第    八六一号) 一九 中小企業指導運営に関する陳情書    (第八七二    号)     ―――――――――――――
  2. 堀川恭平

    堀川委員長 ただいまより会議を開きます。  貿易資金差別会計法に一部を改正する法律案議題といたします。なお前会に引続き質疑を継続いたしたいと思います。多田委員
  3. 多田勇

    多田委員 二、三貿易廳長官にお伺いいたしたいと思います。最初に日本輸入懇請をしたものに対してどの程度援助が得られたか、あるいはそれが認められる見透しがあるかどうかという点についてお飼いしたいと思います。
  4. 永井幸太郎

    永井政府委員 日本政府において輸入懇請をいたしましたもので、金額に対する輸入を許されておるもの、どの程度になつておるかというお尋ねでありますが、大体輸入懇請はわが國の生産設備が何らの支障なくフルに動いたならば、これだけの諸原材料が要るという輸入懇請をいたしております。その中で実際生産能力がこれくらいあろうかというような見込みをもつけまして懇請をいたしておりますが、必ずしも全体それが許される場合ばかりではない。あるいはまた輸入懇請が全部百パーセント許される場合もあります。今回日本朝鮮に対する経済復興資金一億二千万ドルの中のいくらかを日本へ出すということ、及び下院に提出された回轉資金設定等によりまして、今日の生産状況に應じて大体不自由なき原材料がはいつてくることになります。それで輸入全体につきましては、今年は去年の四割増くらいの輸入増となる見込みをもつております。しかしそのうちで食糧品の占める分量は、去年ほどその割合では殖えませんので、工業原材料から申しますと、昨年の約倍くらいの輸入が期待できる、そういつたような状態であります。
  5. 多田勇

    多田委員 現在の生産能力に比例しまして、不自由のない程度援助を仰ぐことができるというお話でありましたが、輸入懇請お話のように生産計画に基いて行われておるだろうと思いますけれども、大体生産計画にマツチする程度のものが見込まれるかどうか。あるいは見込まれないとすれば、その生産計画はどのように変更されたかという点を、おわかりになりましたらお願いしたいと思います。
  6. 永井幸太郎

    永井政府委員 懇請の一体の目標は、生産設備が十分に動いたならばこれだけの原材料が消費できるということを目標としておりますが、電力関係石炭関係その他で、実際の工場を運轉していくにつきましては、よほどそれより内輪になるのであります。それを見込みましたならば、今年の輸入電力石炭その他の状況を見究めまして、こなし得る能力に大体十分の原材料ははいるものと考えます。
  7. 多田勇

    多田委員 そうしますと、経済安定本部の立てる生産計画は、輸入が見込まれてから立てられるというような形をとられるのであるか。あるいは生産計画に基いて輸入懇請されるのか。今のお話だと、國内における施設がフルに動いた場合には、この程度のものが必要だという考え方輸入懇請されておるというお話でございますが、一應國内における生産計画が別に立てられているはずであります。その生産計画と別箇に、貿易廳としては、國内の施設がフルに動いた場合という一つの前提のもとに、生産計画と別に考えてこれらの数字を考えられておるように受取れるのでございますが、その点はいま一應はつきりお伺いしたいと思います。
  8. 永井幸太郎

    永井政府委員 一会計年度輸入懇請目標と申しますか、輸入懇請は、大体一会計年度目標を出しまして、それから一四半期ごとに、いま少しく実情に適しました実行計画というようなものをもつてほんとう輸入懇請をいたしております。
  9. 多田勇

    多田委員 そうしますと、安本生産計画とはもちろん関連はあるでしようけれども、それを基本にして考えるというよりも、貿易廳独自考え方輸入懇請が行われているというふうに了承してよろしゆうございますか。
  10. 永井幸太郎

    永井政府委員 それではありません。貿易廳の出します資料によりまして、安本と協議をいたしまして、安本において審査した上出しておりますので、その点は一致した意思表示になつております。
  11. 多田勇

    多田委員 そうしますと、大体において生産計画にマツチしていくという考え方で、輸入懇請が行われているように了承しますが、わが國の生産能力を超えて輸入されているものがないかどうか。要するに生産能力はこれしかないのに、それ以上のものが輸入されているというような点がないかどうか。もしありましたら具体的にお話し願いたい。
  12. 永井幸太郎

    永井政府委員 そういうものもやむを得ずなきにしもあらずであります。一例をとつてみますと、アンガウルから持つてきます燐鉱石のごときは、硫酸の不足運搬能力不足包裝材料不足等で、多少生産計画以上に積み上げておるようなものもあります。品物の非常に少いこの時節ですから、そういうものはまず少いのですが、燐鉱石のごときはその一例かと思います。
  13. 多田勇

    多田委員 生産能力を超過して輸入されておるということになりますと、貿易勘定の尻が惡くなると思いますけれども、こういつたものが全体の数量の何パーセントくらいあるか。お話しできましたらお願いいたします。
  14. 永井幸太郎

    永井政府委員 ちよつと、ただちに手もとでその数字を割り出すことはできませんが、燐鉱石以外はあまりない、こう考えております。
  15. 多田勇

    多田委員 現在の状況で、対外的な貿易廳が出るか出ないかわからないのでありますが、もし貿易尻はつきり計算ができるということでございましたら、その貿易尻をお知らせ願いたいと思います。
  16. 永井幸太郎

    永井政府委員 昨年末までの貿易尻は明らかにされておるのでありますが、三月末も円ではわかつておりますが、ドルの方のつき合せができておりませんので、ただいまちよつと申し上げかねます。
  17. 多田勇

    多田委員 その次にお伺いいたしたい点は、フランその他のブロツクとの間に通商協定ができ上つて、漸次日本政府管理権が移りつつあるというように聞いておりますが、貿易廳の中には、商品別にそれらを研究する機構はあるように聞いておりますけれども、國別商取引研究する機関がないのではないか。こういつた機関がないことによつて相手國との取引の上に非常な不便が生じはしないかということを恐れますが、この点についてはどうなつておりますか。
  18. 永井幸太郎

    永井政府委員 御説の通り貿易廳機構輸出局輸入局にわけまして、その局内においての各商品によつて課をわけておりますが、そのほかに貿易課——貿易に関する総務的、総括的なことを掌つております貿易課と、それから調査課におきまして、先般全ポンド地域における生産協定ができました場合のごときも、全ポンド地域日本との輸出入のあり方、また今度はフランス佛印等との貿易協定ができましたときにはどうというような、地域対象としまして研究はいたしておるのであります。別に商品別による課のごときは置いておりませんけれども、貿易課調査課において、これらの地域という角度から見ました総括的な研究はいたしておる次第であります。あるいは進んで、これをフランス係とか、ポンド地域係とかいうようなことも、漸次考えてもいいかと思つておりますが、今のところでは、調査課貿易課研究によつて大体いいと考えております。
  19. 多田勇

    多田委員 その次に金融の問題であります。貿易手形の取扱いについは、何か貿易廳発注証明と、日銀スタンプ、あるいは金融機関融について、別々な考え方のもとに取扱われておるというような氣がいたすのであります。たとえば日銀では、いろいろ傳えられておるところによると、貿易廳の発行した発注証明書に対しまして、貿易手形スタンプを押す場合に、金融業者の立場で、貿易業者個人信用対象にして、相当個人信用というものを考えた上でもつてスタンプを押しておる。從つて貿易廳がせつかく発注証明を出したにもかかわらず、日銀スタンプを押すことを承知しないというようなものもある。こういつた点で、生産業者が非常に金融的に困つておる。それともう一つは、一般金融業者日銀と同じような考え方のもとに、対業者信用銀行内部の金のやりとりの関係で、荷主について相当な制限を加えておるというようなことが、輸出産業を阻害しておるというふうに考えておりまするけれども、これに対して貿易廳としては、どういうような対策を今後とられるか。あるいは現在の考え方についてお伺いいたしたいと思います。
  20. 永井幸太郎

    永井政府委員 貿易手形の取扱い方について、民間銀行におきましても、業者信用考慮のうちに入れるという傾きがあることを承知いたしておりますので、輸出貿易進展のために困るので、貿易スタンプ手形十分優遇をしてもらいたいということは、絶えず折衝しておるのでありまするが、貿易手形政府が支拂を保証しておる手形でありませんので、やはりこの根本の信用ということを考慮の外におくということは、民間銀行として困難かと思うのであります。これはつまり、少数の無責任なる業者のために、多くの人が迷惑をこうむつておる次第でありますが、貿易資金の割引きました手形手取金を、他にしばらく流用しておく。そうして貿易手形の落ちるのが遅くなつたというようなこともままありますので、自然業者信用ということが、民間銀行手形を割引きする場合に考慮のうちに加えられるということになつておるのがはなはだ残念であります。できるだけ責任ある、正しい輸出業者に対しては、そういう迷惑のかからぬように、非常に懇談はいたしておるのでありますが、そういう点も多少あります。
  21. 多田勇

    多田委員 業者がまま金融されたものを正当に使わない、他に流用しておるようなことがあるために、金融業者からの融資が対業者信用を非常に考えてされておるというような説明でございましたが、業者貿易手形によつて受けた金融に対して、他に流用するというような不正の行為のないような処置。それといま一つは現在の金融業者一つの限られたわくの中で金のやりくりをしておる関係上、どうしても貿手に対して優先的な割引ができないというような点もあろうと思いますが、それを金融わくの外におくようにしていただくか、あるいはもしそれができないとするならば、貿易関係の特別な金融機関をつくることが必要だろうというように考えておりますが、これに対して、貿易廳として今日まで特別な金融機関をつくるということを考えられたことがあるか。あるいはそれについて具体的な折衝をされたことがあるか。この点をお伺いいたしたいと思います。
  22. 永井幸太郎

    永井政府委員 貿易金融に対する特別な金融機関をこしらえるということの必要性は、だんだんわれわれも内外の関係方面へ力説はいたしておるのでありますが、未だその運びに至つておりません。要するに戰前正金銀行輸出前貸しを盛んにやつたというような機関も今ない。それから戰前には輸出商相当の資力をもつておりましたので、それが問屋的の機能を発揮しまして、製造の前貸しをやつた。そういうことが今日ではできませんので、何らか輸出金融專門金融機関をこしらえるということが、すこぶる必要なことと考えておりまして、大藏省の一部でもそういうことを話しかけております。G・H・Qのフアイナンスの方へも話しておるのですが、特殊の銀行をこれ以上殖やすということに対していろんな議論があります。特殊の銀行をこしらえるということは、預金を殖やすということよりも、紙幣をよけい出すということへ拍車をかけるということになるので、その点も多少の難点になつておりますが、私はそういう機関の必要なことは考えておりまして、関係方面とも寄り寄り話はいたしておるのであります。なお諸般の事情と並び考えまして促進いたしたいと考えております。
  23. 多田勇

    多田委員 いま一つお伺いいたしたい点は、貿易特別会計内部において價格調整が行われておるのではないか。と申しますのは、貿易特別会計範囲内で行うべきところの價格調整範囲を、あるいは逸脱しておるのではないかというような話があるのでありますが、具体的に申し上げますと、たとえば主食輸入した場合に、その主食を放出する場合に、生産者價格で販賣した場合と、消費者價格で出した場合との間には、相当の差があるはずであります。ところが現在では消費價格貿易特別会計は出しておるというようなことで、実質的にはその負担を特別会計で賄つておるというようなことを聞いておりますが、これに対してどうなつておるか。あるいはこの差額は当然各調整公團で負担すべきだろうと思うのでありますけれども、それに対する見解を伺いたいと思います。
  24. 永井幸太郎

    永井政府委員 輸入品のうち主食等は、昨年度までは消費者價格で賣り渡しておりましたが、この四月以來食糧管理公團並びにそういつた方面で、生産者價格で賣り渡しております。それから生産者價格で賣り渡しておりますけれども、それのドル対円の比例は非常に安くなつております。だからこれをもう少し合理的な換算率にいたしまして、貿易資金で黒字が出るようにするのがほんとうではないかという議論十分理由があり。そうしてその差額はほかの價格調整金で出した方がよいという議論理由が十分あると思います。しかし主食は御存じの通りアメリカ陸軍予算救済費で出ておりますので、救済費で賄うてもつてきた主食を高い値で賣り渡すということは、これは司令部の方でも反対いたしておりますので、高い値で出すようになれば、やはり價格調整金を出さなければならぬことになるだろうと思いますので、貿易資金で賄うか、食糧管理局の方の價格調整金で賄うか、どちらが正当であるかという問題になるのですが、價格調整の方でやつた方が整理上よいように考えられますけれども、今のところそれを実行することにはなつておりません。
  25. 多田勇

    多田委員 最後にこれはお答えできましたらお願いしたいと思つておりますが、最近フイリツピン、あるいは香港、マレー等で、日貨排斥が起りつつあるというような情報を聞いておりますが、この日貨排斥が、戰前日貨排斥と同じような形で発展する可能性があるかどうか、これに対して政府考え方を伺いたい。
  26. 永井幸太郎

    永井政府委員 先般シンガポールでもそういう声がありましが、フイリツピンでもその声があつたのですが、これは純経済的の理由で、多少荷物がたまると日貨排斥というような声を高くして、その間にたまつておる品物を高く賣りつけるというような、純経済的な理由のように考えております。今のところそれ以上の政治的な意味はないように思います。これはたびたび繰返すことかと思うのでありますが、あまりこれを取上げる必要はない、默殺すればいいのじやないかと思います。ちよつと言い出しては、自分の手持ちを賣つてしまえばもう終熄するくらいな性質のものと、ただいまのところは考えております。
  27. 笹口晃

    笹口委員 最近外電の傳えるところは——これは間違いないだろうと思いますが、日本救済費日本復興費両方を合わせて、約六億ドルに近いものがアメリカ國会を通過したというような報道があります。こういうことになりますればいきおい輸入の面、またそれに対象する輸出の面というものが、相当活発にならなければならぬと思いまするが、これを受入れるに対して貿易廳としてどういうような御準備をされておるか。またできることならばそういうような救済費復興費内容等、大体おわかりであろうと思うのでありますが、それを御説明願つて日本産業に及ぼす影響というようなものを簡單にお話し願いたいと思います。
  28. 永井幸太郎

    永井政府委員 まだあの救済資金経済復興資金及び回轉基金の三つの資金のうちで、何々を持つてくてやろうというほどの明示がありませんのでわかりかねますが、大体を申し上げますと、われわれが輸入懇請をしておりますものを持つてきてもらえるものと考えております。そのうちの救済費の四億二千四百万ドルは、去年まではおもに食糧、肥料、医藥等であつたのであります。今年四億二千四百万ドルに殖えましたのは、食糧が三億から四億に殖えるというようなことはありませんので、その他の救済物資が大分含まれております。たとえば從來漁網にします綿糸だとか、そういつたものの原料代をこの救済費拂つてやろう、それからこのごろ極端に不足しております麻袋の代金をこの救済費拂つてやろうというように、救済費で持つてきてくれる品物の種類が非常に殖えましたので、そういうことでこの四億二千四百万ドルの殖えましたことの説明がつくと思います。あと朝鮮日本に対する経済復興資金の一億二千万ドルに対する日本のわけ前がなんぼありまするか。まあ九千万ドルあるとしますれば、それは原料機械の修繕、機械の修復に要する材料、そういつたものの内容がおもになるかと思つております。  それから次に議会で協賛しておりまするイーストランド法案の一億五千万ドル中の日本への割当が一億万ドルあるとしますれば、これはやはり綿花、羊毛、そういつたものの輸入に充てられるものでありまして、これらの物が全部参りましても、われわれの輸入申請をかなえるために、これだけの資金をこしらえてくれましたので、これだけの物がはいりまして、十分受入れて、これをこなすだけの準備はできておる次第でございます。そうして受入れましたものの殖えることによつて輸出が殖えるということに対しては、先般も御説明申し上げましたように、ポンド地域に対する輸出のしやすいようにいろいろの工作をめぐらしておるのであります。そういうことであります。
  29. 林大作

    ○林(大)委員 今のお話で大体イーストランド法案のものまで入れますと、七億ドル以上のクレジツトがはいつてくることになると思いますが、貿易長官のお見透しでは、これだけのものが向う一年にはいるとしますれば、日本経済に與える影響と申しますか、特に日本インフレーシヨンに対してどのくらいの力をもち得るかというようなお見透しを伺いたいのであります。
  30. 永井幸太郎

    永井政府委員 お答えいたします。この中で的確にインフレーシヨン防止に役立つであろうと思うのは、私は救済費の三億ドルが四億二千四百万ドルに殖えておりますのが、これは的確にインフレーシヨン防止に役立つであろうと思います。それからエロアという日日、朝鮮等に対する経済復興資金の一億二千万ドルのうちの一億ドルがかりに日本に割当てられるとすれば、これも大体わが國のインフレーシヨン防止に大いに役に立つものであると考えます。イーストランド・ビルの通ました回轉基金によるものは、これは大体原料でありまして、これは回轉基金でありますから、やはり向うに返さなければならぬのであります。これは加工生産原料が一億ドルクレジツトがよけい與えられたということでありますので、これは原料を入れまして、その生産物外國輸出して日本に残い得るものがありますれば、それだけがわが國のインフレーシヨン防止與つて力があると、かように考えます。それで林委員がこちらにおいでになるまでだつたと思いますが、大体において、工業原料は去年の二倍ぐらいはいるという見透しをもつております。
  31. 堀川恭平

    堀川委員長 ではこの法案に対しての質疑は大体盡されたのではないかと存じますので、この程度で本法律案に対する質疑を打切りたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶものあり〕
  32. 堀川恭平

    堀川委員長 それではさよう決定いたします。     —————————————     〔以下筆記〕
  33. 堀川恭平

    堀川委員長 請願の審査に入る。  日程第一、復元綿スフ織物轉廃業者復興資金補助請願議題とする。紹介議員欠席のため石神理事請願要旨説明を求める。
  34. 石神啓吾

    石神委員 本請意の要旨は、再生日本建設経済國策の重要なる一として繊維工業復興緊要性については論をまたない。しかるに綿スフ織物轉廃業者復元許可をされた者は織機の高騰、財産税の納付、戰時補填の打切り等、きわめて、惠まれない立場にあり、残存業者と対比するときあまりにもその差がはなはだしい。ついては復興設備資金の五割を國庫補助金として即時交付し、その復元資金の半額を復興金融金庫より融資するよう特別措置を講ぜられたい。
  35. 佐々木敏

    佐々木説明員 完全轉廃業者の復元資金の國庫補助は、諸般の情勢より見て至難と思料せられる。復金融資の件については、八億五千五百万円の範囲内で一台平均八万五千円の割で融資方了解済みであり、第一期分としてさしあたり三億を融資することに決定している。
  36. 堀川恭平

    堀川委員長 次に、日程第五、度量衡法令中の甲種檢定地方廳移讓請願議題とする。紹介議員欠席のため石神理事請願要旨説明を求める。
  37. 石神啓吾

    石神委員 本請願要旨は、新潟縣は甲種檢定に属する金属度器の生産地であるが、現行の度量衡法令では甲種檢定は商工省に輸送して受驗しなければならないので不利不便の点が少くない。ついては同法令中の甲種檢定の権限を地方廳移讓されたい。
  38. 武内征平

    ○武内政府委員 現行度量衡法による度量衡器の檢定は精密なる度量衡器を甲種檢定とし、しからざるものを乙種檢定とし、甲種檢定は商工大臣が、乙種檢定は地方長官がこれを行うことに規定せられておる。甲種に属する度量衡器のうちでも比較的精密度の低いものについてはこれが檢定用原器を地方廳に交付して権限を委讓している。從來、権限を委讓した度量衡器の品種は相当の数であつて、最近では本年四月一日に、ヤードポンド系の度器の一部を委讓しておる。甲種檢定に属する金属度器については、比較的精密度が高く、またこれが檢定用原器はきわめて少くないので、商工省から地方廳の交付することができぬから、さしあたり委讓は困難である。しかしながら現行度量衡法は幾多の欠陷を藏しており、運用上においても種々の不都合を伴つてきているので、最近の実情に適合しだ度量衡制度を確立するため、昨年九月商工省機械局内に関係方面よりなる度量衡法改正調査委員会を設置し、委員会の意見を徴して、檢定制度、その他の事項についても改正を予想せられているから、請願の趣旨もその際併せて考慮することといたしたい。
  39. 堀川恭平

    堀川委員長 本件に関する決定は、追つて、協議の上決することとし、他の日程はこれを延期し散会する。     午後三時十分散会