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1948-06-28 第2回国会 衆議院 治安及び地方制度委員会 第46号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月二十八日(月曜日)     午後一時四十七分開議  出席委員    委員長 坂東幸太郎君    理事 小暮藤三郎君 理事 千賀 康治君    理事 松野 頼三君 理事 門司  亮君    理事 矢尾喜三郎君 理事 坂口 主税君    理事 高岡 忠弘君 理事 酒井 俊雄君    理事 大石ヨシエ君       大内 一郎君    大村 清一君       坂田 道太君    佐藤 通吉君       中島 守利君    原田  憲君       松浦  榮君    菊池 重作君       松澤 兼人君    松谷天光光君       矢後 嘉藏君    高橋 長治君       高橋 禎一君    高橋清治郎君       加藤吉太夫君  出席國務大臣         大 藏 大 臣 北村徳太郎君  出席政府委員         檢 務 長 官 木内 曽益君         法務廳事務官  國宗  榮君         法務廳事務官  宮下 明義君         大蔵事務官   今井 一男君         文部事務官   剱木 亨弘君  委員外出席者         專門調査員   有松  昇君     ————————————— 本日の会議に付した事件  連合審査会開会に関する件  風俗営業取締法案内閣提出)(第六三号)  警察官等職務執行法案内閣提出)(第一二四  号)  市町村立学校職員給與負担法案内閣提出)(  第一三八号)  地方財政事法案内閣提出)(第一五八号)  地方配付税法案内閣提出)(第一六二号)  地方秘法を改正する法律案内閣提出)(第一  六三号)  賣春等処罰法案内閣提出)(第一七二号)     —————————————
  2. 坂東幸太郎

    坂東委員長 これより治安及び地方制度常任委員会開会いたします。  本日の日程風俗営業取締法案以下七件でありますが、まずもつて御相談したい事項がございます。それは興行場法案旅館業法案公衆浴場法案について、厚生委員会との連合審査会を開くの件であります。そこで向うの方へこちらの方からだれか代表を送つて、こちらの委員会意見を陳述する必要があります。その代表者の選定をいたしたいと思いますが(希望者松浦榮君から希望があつたのですが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 坂東幸太郎

    坂東委員長 それでは御異議ないものと認めます。  なお地方財政関係法案について、財政金融委員会との連合審議会の件であります。これは先方から申込みがあつたのですが、連合審査会を開きますか、いかがですか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 坂東幸太郎

    坂東委員長 御異議ないものと認めます。  なお当常任委員会開会の時間でありますが、今日の常任委員長会議できまりましたのは、明日から、当委員会の割当の速記の時間は午前九時から午前十時半までときまりました。毎日その時間にやりますから、さよう御承知を願います。  それでは日程に入ります。風俗営業取締法案につきまして審議を継続いたします。なお風俗営業取締法案につきましては、すでに質疑終了しておるはずでありますが、終了ということに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 坂東幸太郎

    坂東委員長 さきの委員会で御報告申し上げました通り、この委員会の進行中、修正の点がありましたので、その修正案の要点をその筋の方面打合わせに参りましたところ、〇・Kが参りましたから、その点をこれから御報告いたしますが、すでに質疑終了でありますからこれから討論に移ることにいたします。  それでは午前中の理事会申合せによりまして、私から今申しましたその筋の方面との打合わせの結果修正決定した点を動議として提出いたします。  風俗営業取締法案を次のように修正する。  第一條第一号中「婦女が」を削る。  第五條第二項中「当該営業者に通告し」の次に「聽聞の期日及び場所を公示し」を加える。  附則を次のように改める。  この法律は、昭和二十三年九月一日からこれを施行する。  昭和二十二年十二月三十一日以前において、風俗営業取締に関する廳府縣令規定により営業許可を受けた者が、この法律施行の日まで引続き風俗営業を営んでいる場合には、その者は第二條規定による許可を受けた者とみなす。  前項に規定する者は、都道府縣が條例で定めるところにより、公安委員会に、必要な届出をしなければならない。  第二項に規定する者が、第三條の規定に基く都道府縣の條例規定に適合しない場合心おいては、公安委員会は、その者に対し、営業所構造設備の変更その他の命令をすることができる。この場合において、営業者当該命令に從わないときは、公安委員会は、営業許可を取消し又は営業の停止を命げることができる。  この法律施行の際現に風俗営業を営む者で、第二項に規定する者以外の者は、この法律施行の日から三十日の間は第二條規定による許可を受けた者とみなす。  こういう修正動議を提出いたします。
  6. 坂口主税

    坂口委員 本案はすでに討議を盡しまして、修正については理事会に一任されたというような関係もありますので、われわれ一致の修正案でありますから、討論を省略しまして、このまま採決せられんことを望みます。
  7. 坂東幸太郎

    坂東委員長 坂口君の御意見修正議決でありますが、坂口君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 坂東幸太郎

    坂東委員長 満場御異議ないものと認めまして、修正議決に決しました。     —————————————
  9. 坂東幸太郎

    坂東委員長 次は市町村立学校職員給與負担法案につきまして審議を継続いたします。これにつきましても質疑終了と認めることに御異議ありせんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 坂東幸太郎

    坂東委員長 それでは異議ないものと認めます。続いて討論に移ります。門司亮君。
  11. 門司亮

    門司委員 本案に対しましては別段修正の箇所もないかと思いますが、ただこの際本案委員会決定いたしますときに一應申し上げておきたいと思いますことは、この法案によりますと、市町村立の各職員が、その給與都道府縣からなされるというような形になつておると思うのでありますが、一方教育委員会の設定が見られるというような状態に相なつておりますときに、その教育委員会内容は、公選された教育委員教員人事その他に関しましても権限をもつというような内容になつておると思いますが、そうなつてまいりますと、この教育委員会都道縣並びに市にこれが施行されますし、さらに、二箇年後におきましては町村にこれが行われるというようになつてまいりますと、人事に対する権限給與との関係が非常にますい形になるかと考えられるのであります。殊に現在におきましても、大都市におきましては、現在國が負担しております給與のほかに、一例をあげてみすならば、横浜市のごときにおきましても、二千数百名の教員を擁しておりますし、さらにそれらに対します給與関係から申しましても、経営予算において五百万円ないし六百万円の給與——形給與ではありませんが、いろいろの形において給與をしなければならない。さらにまた甲地あるいは乙地あるいは特地というような形を示しております所におきましては、それらに対する手当等がおのおの違いますし、それが住居と勤め先との関係で、どうしても特地給與をしなければならない人が、法規上甲地の支給しか受けられないという場合には、やほりその差額は市がそれを補つてやるというような形を現在なしつつあるのであります。從つて、でき得るならば、私はこの教育委員会権限が、いわゆる人事権給與との関係を一致させることのために、その給與を現在の市町村にこれを移譲するということが正しいと思います。それがすぐできなければ、ただちに教育委員会の設定されます地域だけでも、そういう形に置いていただくことが、教育行政面から見まして、運営の上にきわめてやりやすい形になるというように考えるのでございますが、現在の段階におきましては、まだそこまでいつていないかというような感じもいたしますので、私は、当局はごく近い將來にそういう人事権給與関係とを一致させて、そうして教育行政の全きを期することに努めていただきたいという希望を申し上げまして、本案に賛成するものであります。
  12. 坂東幸太郎

    坂東委員長 門司君の動議は今申されました希望をうけまして原案賛成であますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 坂東幸太郎

    坂東委員長 それでは異議ないものと認めます。さよう決定いたします。     —————————————
  14. 坂東幸太郎

    坂東委員長 太石ヨシエ君から緊急質疑がございます。大石ヨシエ君。
  15. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 今井給與局長に私は質問いたします。先月二十八日京都府の八木町から二人の者がやつてまいりました。そうして八木町は丙地であるから乙地にして、くれと言いましたので、大藏省政府委員室にあなたを訪問しました。そのときに局長は何とおつしやいましたか。代議士に頼まなくてもいいから、なぜお前たちは直接私の方に來なかつたか。そういうことをあなたはおつしやつた。そうして、こういう給與の問題を請願しては何にもならない、請願なんてしないで、直接おれの方へなぜ來ないかということをおつしやつた。こういうことはいかなる言であるか。請願というものは明らかに憲法において國民権利義務できめられておる。すなわち憲法第十六條に明らかに、國民は、請願権利がある、何人もこの請願のことに対して云云することができないということが明記してある。今井給與局長は何ゆえにそういうことをおつしやいましたか。私が婦人代議士なるがゆえに、あなたは私を侮辱しておるのである。それはいかなる意味ですか、私はここであなたの明解なる御答弁を望む次第であります。何がゆえ國民請願をしてはいかぬのですか、私はそれをはつきりここで聽きたいと思う。まず明快なる御答弁を要求する次第です。
  16. 今井一男

    今井政府委員 申し上げます。日時も私は確かに覚えておりませんが、大石代議士にお目にかかつた際に、請願につきまして、私の意見を申し上げたことははつきり記憶しております。御承知かもしれませんが、ただいま全官公地域給の問題が地方的に非常にやつかいな問題に相なりまして、ただいま私どものところへ出ております引上げの要望の市町村数が、約二千に近い数になつております。私どもこの問題をいろいろの資料から取上げまして、その公平な決定に日夜頭を悩ましておるわけでありますが、大体この問題は、全官公廳と私どもとの團体交渉におきまして、地域給決定政府に議つて一任する。こういつた約束によつて昨年春以來私どもは全官公の二百六十万の諸君に代り、予算の範囲内において、地域給を分配する立場仕事処理いたしておるものであります。請願につきましては、私が卒直左感じを申し上げましたゆえんのものは、昨年の当衆議院の労働委員会におきまして、この地域給請願に関する議論が出ました際に、全部が全部請願で出るならば別であるが、一、二のものだけが請願で取上げられるかつこうになりますと、適当でなかろうというような御意見が出て、その請願が否決されたような例もございます。また私どもいやしくも最高機関であるところの國会請願として採択されまして、私どもの方へお送りくださいます以上は、私どもとして請願のないものよりは少くとも特別な考慮を加えるようにしてこそ、初めて國会最高権威が保たれるゆえんだと考えるのであります。その意味におきまして、こういつた純粋な技術的な問題につきまして、私ども官公廳との約束立場から申しまして、請願があつたから、ないからということによりまして、取扱いが区々にできない、どういつた関係からいたしますと、請願をお受けすることがいかにも私どもとして心苦しい、結局國会から、こういうふうに回付されたものに対しまして、私どもとしては、何らほかのものとの特別な配慮ができないこいう実情に鑑みまして、私どもといたしましては國会権威のために、画会議員各位権威のために、むしろ個人的にはそういつたような御意見を申し上げた方が、かえつて國会権威を尊重するゆえんではなかろうか、かように常々考えでおります。のみならずこの問題につきましては別に全官公の各地の労組から全官公廳團体交渉の結果に基きまして、今申し上げた通り、二千近い要求書が私どもの方へまいつておるのであります。それにつきまして私どもの方は日夜交渉にあたり、考慮すべく心を碎いたのであります。その意味において私どもとして、かえつて國会権威のために御遠慮願つた方がいいのではないかと、日ごろ議員の方に申し上げておつたことを大石代議士に申し上げたのであります。結局請願権威を云々とか、あるいは代議士権威云そというつもりは毛頭ありません。御了承願いたいと思います。
  17. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 今井給與局長質問します。しからば何ゆえに、お前たちは、代議士をおいて、直接來たらいいと言つたか。そう言つたとき、私どもの方は芦田さんという大物が出ておるから、私どものような小物でないと國民声なき声を傳えることができないから、この二人の選挙民を連れてきたのです。そのときあなたは実に不遜な態度言つたではないか。請願などしたつて何にもならないから、給與問題は甲地にし上うと、乙地にしようと、丙地にしようと、みなおれの勝手になるのだと言うたではないか。何がゆえにそういうことを言うたか。ここで御返答を望む。
  18. 今井一男

    今井政府委員 私今おつしやいましたようなことは申し上げた記憶はありません。請願については私は意見を申し上げましたが、私だけで勝手にできるものではありません。政府部内の委員会もございます。ただ私の方へ直接來ることは遠慮しなくてもよろしいということは、どなたにも申し上げましたから、そのようなことは申し上げたかもしれません。代議士を連れてくることがいかぬとか、いいとか、そういうことを申し上げた記憶は全然ありません。これはお聽きとり違いではなかろうかと存じます。
  19. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 何ゆえそういううそをおつしやいますか、声なき声を專えるのが代議士義務である。それゆえに私のような小物代議士がこの二人を連れて來た。そうすると、君たちはおれのところに來たらよい、だから私の名刺を持たせてあなたのところ、に直接この選挙民の二人を紹介してやつた。そのときあなたはそれに会われず、議会に來て、そうしてなぜ君たち課長に会わなかつたか、そうおつしやつたではありませんか。そういううそ言つたらいけません。何を言つておるのですか、そういううそを言うなら、私は二人のこの選挙区の入を証人として連れて來ます。しかも選挙区の人が二人來ておるのです。あまり私は恥かしかつたので、顔も見られなかつた。これは請願してよろしいのですか、地域給のことはおれの自由になる。そういう意味のことをおつしやつた。どうです、この不遜な態度は……。われわれは官僚に対しては反感を持つておる。あなたのようた官僚があるから反感を持つ。何ですか、今日の態度と先だつて態度は、雲泥の差があるではありませんか、私をばかにしておる。私は舞鶴です。舞鶴は先だつて甲地区にしたけれども、あれはまた乙地区にしなければぴらぬ。私の選庭送ですから帰るときによろしく頼みますと言つたら、あなたの選挙区ですか、その選挙区ということだなつたら、またそれはできないであろう。選挙民が二人おるときになぜ私にそういうばかなことを言つて國愚弄しましたか、そのときのあなたの氣持を聽かしていただきたい。
  20. 坂東幸太郎

    坂東委員長 大藏大臣が見えましたから、その討議は後回しにして、たたち大藏大臣に対して時間もありませんから單刀直入に聴いてください。千賀委員
  21. 千賀康治

    千賀委員 私は第一に今の問題で大藏大臣にお伺いいたします。聽き捨てならぬことをあなたの部下は言つておりますが、國会議員権威を保つために、そのようなことを言い、そのようなことを指導したと言つておりますが、われわれは官僚にわれわれの権威を保つために指導されなければならないか、官僚にわれわれがしからば教育されなければならないのか、あなたはそんなふうに部下の監督をしておいでになるのが、実に心外なことを聽くものであります。われわれは民衆の代表といたしまして、われわれ良心の命ずみところに從つて、みずから権威を保ち、みずから國民に信頼を寄せられる、その最善の途をとつておるのであります。あえてあなた方の部下にさような点まで心配して教育をしてもらわなくても、われわれみずからわれわれの進む道を心得ておるはずであります。私はちようどさいわいにも大藏大臣がおられるところで、あなたの下僚はかくのごとき書辞を発表しておられるのであますが、大藏大臣の日ごろの御薫陶の方針、御誘導の信念を承りたいと思います。まずこれから先にお伺いをいたじたい。
  22. 北村徳太郎

    北村國務大臣 私飛び込んでまいりまして、ただいま大石さんのたいへん激しい御質問がありまして、十分様子をのみこむことができながつたのでありますが、申すまでもなく國会最高機関であり、最高権威である。礎つてこれを尊重する二とは申すまでもないのでありまして、その点は先ほど給與局長も申述べておりましたが、その通りであるということは、今さらかれこれ申すまでもないのであります。ただこういう問題は、そのときのいろいろな條件というものがあり、現われた思想全体の中で御批判を受けないと、中のある言葉とか、こう言つたではないかというようなことになりますと、非常にむずかしぐなりますが、日ごろの考え方としては、先ほど給與局長よりも申述べておりました通りでありますし、決して國会議員を軽く見るなどということは毛頭あるべきはずはないし、さようなことは断じてないと私は思つております。しかし御承知通りに、給與関係は現在における——言葉が少し悪いかもしれませんが、いわゆる労働攻勢の激しい中で、ぞの中で一番大事なことをやつておりまして、從つて賃金ベースの改訂ということになりますと、いく晩か徹夜でやつておるというようなこともあり、そういう関係の折衝をずつと続いてやつておりますので、ときによると人間でありますから、疲労困憊しておるところで、どうも言葉の上で親切を欠いたというようなことがあるいはあつたかもしれません。かようにも存ずるのでありますが、その点はやつておる仕事自体からくる——実は非常にこれは申すまでもないことですけれども、当然またやるくきことではありますが、仕事性質として煩瑣なことを夜十時、十一時、あるいは徹夜をするというようなことをやつておりました事実がございましたので、さようなことからきた点において、何か疲れはてておつて、御挨拶等に懇切でなかつたということがあつたかもしれぬ。かように私は思うのであけます。もしそういうことがあつたとすれば、これはよくないことでありますから、十分今後のことはま意をしなければならぬ。かように存じております。決して悪意に出たものでもありません。ただ寄り寄り私どもが話合つておりますことは、先ほど給與局長から申述べましたように、給與に関することで請願が出るとども扱い、上非常にやりにくい。いやしくも國会の議を経て出る請願は、成規法規に基いて出るのであるが、これがどうもなかなかその処理が困難になる。また予算を伴うて國会で御審議になることになると、給與体系國会請願との関係というようなことが、相当むずかしい問題が起る。できればこのことは個々にお話し合うようなときには、請願という方法よりも、まず懇談をしていただいた方がよいのではないか。また別に團体交渉方法もあり、その他各般のことがございますので、他の請願とは多少性質が違つたものであるので、請願方法によつてこれがどんどん出てくると、なかなか政府としてはやりにくくて困るというようなことは、時折話しておつたのであります。ただこれは内部のことでありましで、別に外部準向つてそういうことを表明する必要はないのでありますが、日ごろの考え方としては、請願の形式で給與関係が出ることは実際なかなかむずかしい問題であるし、困るということはよく話しておりました。さような意味のことを給與局長が時あつてたまたま申述べたのかもしれぬと思うのでありますが、私は質問のときにおりませんで、急にここに飛び込んできて、ただいま大石さんとの言葉のやりとりを聞いておりまして、たいへん大石さんにお腹立ちをさしたようでありますから、さようなことであれば、私よりまことに相済まぬことであると申し上げておく次第であります。
  23. 千賀康治

    千賀委員 いかなる件でも請願はあつてしかるべきであつて、また請願がありましても、あえてあなた方はこれに逡巡をする必要がないと思います。たとえ給與のことであろうとも、いかなる点でありましても、一人の給料をあげてくれという請願のためにへ日本の全官吏の給料をあげなければならない場合ができましても結構であります。これがあなた方の信念に基くものでありますならば、さらに私ども請願をなし、またその請願を可として認めたものの立場からいいましても、決してわれわれは不満足には思わないのであります。かような廣い意味請願を受け、正しい心で請願を見るならば、どういう請願が出ようとも、あなた方の信念に曇りさえなくば、断じて請願のために迷惑することはないと思います。あなた方の政治の事務のとり方が短日々々いい加減であつてただ人に請託を受けたり、強制されたり、饗應をせられたり、これだけに何らか色をつけるべきであるという立場で、日ごろの事務をやつておいでになるならば、より以上の形でくる請願にあるいは圧迫を感じ、あるいは迷惑を感ぜられることがあるかもしれませんけれども、あなた方の事務処理の根本がほんとうに正義と勇気と信念に基いておるならば、決して請願に対しましてあなた方は何の迷惑もこだわりもないはずであります。むしろあなた方の事務処理の正しいこと、その請願をしに参りました事項が、やがて全日本の問題として実際の取扱いに表明された場合に、むしろあなた方の正義と潔白さを國民に表明するよい機会であると思うても差支えない。この点にあなた方は御都合主義で、その場逃れ仕事をせられるのではないかという疑いを持たざるを得ません。今私が申しますような信念でいかれるならば、何も請願がたくさん出たつて平氣だと思う。その点の御見解はいかがですか。
  24. 今井一男

    今井政府委員 ただいま請願につきまして、非常に筋の通つた意見を拝聽いたしましたが、私も非常に教えられるところが多かつたと汗顔をいたしております。ただいまの御意見のように処理してしかるべきだということになりますれば、私も前に大石代議士に申し上げるようなことはまつたくなかつたということになると存じます。ただ地域給というものが、今申し上げた通りに、二千いくつもある関係の中で、それを特に五十とか六十とかを請願を私どもがのむごとによつて区別をつけないということは、何だか國会権威等からみまして非常にまずいような氣持がいたしましたので、私どもとしてそうした考え方をとつてつた次第であります。誤りであるという御指摘を受ければ、私もその趣旨に從つて考え方を切替えることにやぶさかなものではありません。
  25. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 今井局長にお尋ねします。そのときなぜ、代議士を頼まなくても、直接お前たちは俺の所に來たらいい、俺がおらなかつたら、課長に言えばいいじやないか、そういう不遜な言葉を使うことは、大体私はなつておらぬと思う。それから私はあまりその晩くやしかつたから、宿舎に行つて他の人に話しました。そうしたらその人曰く、大石さん、そういうことをしてはなかなか地域給は上らないですよ。それはどういうわけですか。それはあなたが先にみやげ物を持つていかないから、それで地域給が上らないのだということを聞きました。あなたはそういうことをなさる人とは思いませんけれども、それはどういうわけなんでしよう。お聽かせ願いたいと思います。
  26. 今井一男

    今井政府委員 どうやら私も大分当時の模様が頭にはつきり浮んできたようでございます。私もこういう意味のことは確かに申し上げたことは記憶いたします。要するに、私の所へ來るのに、一々どなたの紹介がなければいけないというようなそんな御心配は必要ない、直接どなたの名刺も要らない、とにかく一人でやつていらつしやい、お目にかかるのは私の義務であります、そういつた意味のことはどなたにも申し上げていることであり、当日も申し上げたかと思います。その言葉をあるいは非常に変つた意味に御了解になつたのかも知れませんが、私の眞意はそういうところにあつたのではありません。これはぜひ御了解を願いたいと思います。当日も私省外に飛びまわつておりまして、お目にかかる機会はありませんでした。役所におりますときは二時間でも三時間でも全國の地域代表者にお目にかかるのがほとんど日課の大部分でありまして、一年に万をもつて数える方に直接お話を伺つております。何もそういつた意味合いからどなたに対しましても同じような言葉を申し上げる癖がつきましたので、大石代議士がそばにお出でであるということをいささか忘れまして、選挙民の方に私から私として直接來いという意味合いのことを申し上げたように記憶いたしております。万一それが言い過ぎたようなことにおとりになりましたならば、私の言つた意味は決してそういつた代議士に対する侮辱とか何とかの意味では毛頭ございませんので、ぜひ御了承を願いたいと思うのでございます。それからなおただいま確認をされませんでしたので、うわさとしてのことでありましようが、実は昨年の秋ごろそういつたような風聞が一つありましたために、私どもの方の係官の三級事務官が責を負つてやめたような例もございます。私どもが少くともこういつた問題に対しまして、どのくらい努力し、どのくらい全官公二百六十万に代つてこの仕事の配分をやつておるかということは、全官公の幹部の方方にお聽きくだされば一番実情はよくおわかりでなかろうかと思います。
  27. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 今井局長に申し上げますが、私があなたとわかれゑときに、どうぞ私の選挙区ですからよろしくお願いいたしますよ、と言つて、あまりあなたがおつしやるので、間が悪いので私が帰ろうとしたときに、あああなたの選挙区だつたらなお聽くことができるとおつしやつた。ああいう場合には、ああ承知したと形だけでも、私の顔を立ててやるのが人情ではありませんか。何ですか、今日の態度、先だつて態度とは雲泥の差があるではありませんか。私は帰つたときに大岡山の人が言いました。兵庫の加古川のあそこが乙地から甲地になつたのも、某氏に十万円からの金をつかませて、その上にみやげ物を持つてつた。それから大岡山の方でも、あなたとは言いませんけれどもあなたの方の役人に金銭をやつて、それで乙地甲地になつたということを聞いております。実際人をばかにしておるのもほどがあると思う。私はあまりはずかしいので、選挙区へ帰つて選挙民に対してどう言いますか、請願を出しても何もならぬ。これでは実際にだれも請願を出すものはなくなる。そんなばかなことを言う者がありますか。選挙区の者二人をおいて、それであなたは局長としての役が務まりますか。先だつての不遜な態度、女の代議士であると思つてあなたはばかにしておる。もしこれが男の代議士であるならばあなたはそんなにばかにしなかつただろうと思います。だからどういうような考えをしておるか聽きたいと思つてあなたをお呼びしたようなわけです。
  28. 松野頼三

    ○松野委員 私は何も大石氏がかよわい女性であるからといつて、弁護の意味に立つわけではないので、ありまして、たとえこれが力強い男であつても同じ言葉を申すであろうと思います。たまたま私は大藏省のことについてひいきにしております。ひいきと申しますと、はなはだおかしい話ですが、大藏省にはそういうことはないと私は信じておつた。殊に理財局長及び主税局長もよく存じておりますが、非常に民主的などちらかというとやさしい、本日のような事件が起るべきところではないということを私は信じておりまして、大石さんからそれを聞きましたときにも、そういうことは大藏省にはないと、私はどちらかというと反駁の思想をもつてつたのであります。本日のお互いの意見態度を見ますと、どうも大石氏の言葉を信じたくなる。はなはだ残念でありますが、大藏省に限つてそういうことはないと、うわさを私は打消しておりましたが、たまたまうわさの出所が出所であつただけに、非常に大藏省のために嘆かわしいと思う。私は地域給のことにつきまして、大藏省に参りまして第二課長にお目にかかりましたが、本日のような問題を起す人ではないということを、私自身いろいろ折衝してそういう観念を懐きまして、そのときにも局長にお会いしたがつたのでありますが、お留守でお会いできなかつたけれども、あるいはお会いしたならば、本日の大石氏のような憤慨を私もいたしたのではないかと思いますと、寒心にたえないものがあるのであります。大藏省官僚的で、どうも國民の声を聽かぬということは、はなはだ偶然ながらあなたの言語から生じたというならば、大藏省のために、あるいは各官廳のために私は残念に思うのであります。たまたまこういう事件は、忙しい事務に携つておる係長あるいは事務官には往たにしてあるのであります。それは仕事が非常に煩雑であり、また常識的にも訓練されておらないという点で了承する点がありますが、最高の官吏のあなたが、本日なくのごとき問題を起されたということは、非がいずれにありやを問題とするまでもなく、十分反省すべきことである。また大藏省としても大いに反省すべき点があるということを深く感ずるのであります。この点あなたの所信に鑑みてもう一度御弁明がありますならばお伺いして私の質問を終りたいと思います。
  29. 今井一男

    今井政府委員 松野委員の仰せのように、いかなる事情があつたとしましても、そういう問題を起したということは遺憾であると私もありがたく拜聽いたしました。た、だ私としましては、この問題につきましては、全國でお目にかかつた方が万を超えておると考えますし、もちろんこの問題に関連い製しまして、お目にかかつた國会議員の方々もおそらく何百を数えると思うのであります。もちろんその日その日によつて若干違いますが、とにかくほかの方たにお聞きになりましてもわかりますが、大石代議士というお名前は承知しておりましたが、そのときにお話を伺つてはじめて承知したような次第でありまして、私は日ごろ全官公代表の諸君にざつくばらんに物を言う、全官公に対するあらゆる場合においてそういう態度でありますから、その際の物の言い方が、あるいは私どもの後輩に私どもがざつくばらんに物を言う言い方を、大石先生がおられるのをある意味においてちよつと意識のそとに置いたような形で、物を言つたようなかつこうが、こういつた事態を惹起したことは私も遺憾に存じます。しかしあくまで私ども請願関係について國会権威を尊重しているということで、私に賛成する代議士の方も相当おられると思いますが、私ども考え方が正しいと考えておりましたのも、日ごろ思つておる通り歯に衣着せないで申し上げたという点に止まるのでありますから、他意のないことを御了承願いたいと思います。
  30. 松野頼三

    ○松野委員 私ども請願とか、希望意見とかをお役所に申述べに行くときに、それが自分のことだからぜひやつてもらいたいという、そういうさもしい根性ではなしに私、どもいろいろな事件があつて役所へ行くのに、何をどの省の何課でやつておるか、なかなか知り盡せないので、そういう問題が國の方から起つて來ると、それをひつさげてお役所のいろいろな意見を聽き質すのに非常に参考になるのでありまして、あなた方としてみれば四百人の代議士が一々來られては困るとおつしやるかもしれぬけれども、そのことについてあなた方が親切丁寧に私たちに知らないことを教えていただけば、次の法案審議の場合には、あなた方が三日も四日もかかつて議会で説明せずとも、その衝に一度立会つたたちは了承できるのでありますから、その点においてお役所というものは法案審議以外には議会に関係がないということでなしに、常々私たちもそういうことを努力して、できるならば請願や陳情のときにも一緒に行つて、自分もともに学びたい、お役所の意向を聽きたいというのであつて、何もこれをぜひどうしてくれという強いさもしい根性で行くのではないのであるから、そのたびたびにあなた方に代議士意見の合わないところを質す、自分の苦しいところを訴えるといつたぐあいにすることが、議会と役所のいく途じやないかと思う。こういう点をこの際十分認識していただきたいということを申し上げて私は終ります。
  31. 松浦榮

    松浦(榮)委員 私も先日から大石代議士のいろいろ話されたことを聞いて非常に憤慨している一人であります。それは近ごろの官吏は一般的に公僕という時代になつたにもかかわらず、むしろそれと反対になわ張り根性が非常に発揮され、また不遜の態度に出るようなところがある。のみならず最近の官吏はい往年の清廉々直の態度と違つて、非常に腐敗堕落していることは、國民がひとしく感じ、しんしゆくしているところであります。もちろん今の給與局長のお話はその問題とは違いますけれども、御馳走政策か何かしなければ民間の声を聽こうともしみいということは、非常に世間のしんしゆくを買つております。たとえば、農林省の役人商工省の役人は何らか許可を得るについても、相当な御馳走政策をし、女まで接待させなければ言うことを聽いてくれぬとか、あるいは鉄道の役人はお金をもらわなければ貨車を動かしてくれぬとか、國民の道義の中心となるべき役人が、非常に腐敗堕落していることは、私のみの感じでなく、國民全般の感じだろうと思います。私は何とかして官紀の振粛という点に対して考えなければならないと思います。機会があつたら本会議においても私は一遍この点を突かなければならぬと考えておつた一人でありますが、たまたま大石代議士からそういうことを聞きましたので、非常に私は憤慨したのであります。本日双方の話を伺いまして、その当否という点について私まだ納得がいかない。双方の言い分に食違いがあるように考えます。給與局長からは大石さんだということを知らなかつたという工うなことも言われましたし、また大石さんに言わせると、代議士なんか來なくてもいいのだという言葉がはいつてつたと思う。それから当否の言葉について、大石さんは非常に憤慨し、給與局長はある程度陳謝しておられますが、本筋において自分のやつたことは正しい、何ら陳謝の必要はないという点がどうも態度に見えます。事実の問題については大石さんが正しければ、大石さんは陳情團をここへ連れてきて聽くことによつて判断はできると思います。また当否の問題については、もし大石さんの方が不当であれば給與局長を侮辱したものとして陳謝しなければならない。また給與局長が否であれば、ここで謝罪しなければならない。いずれにしろ私は双方からもう一度お伺いいたしたい。
  32. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 今井給與局長質問いたします。あなたはなぜあのときに代議士を連れて來なくてもよい、直接俺のところへ來たらよいとおつしやつた、そうすると私はまるで自分の選挙区からこういう無能な代議士を出したということで、帰つてから大石代議士給與局長にばかにされておつた、実に彼はばかな代議士である、そう思われるのはあたり前じやありませんか。そういう結論はあたり前です。そのことをなぜあなたはおつしやつだのです。今日の態度は非常にしおらしいけれども、大蔵省の政府委員室のあの態度はどうです。倣慢不遜な、われわれの感情はあのとき喧嘩しようと思つたが、喧嘩をしては、もし乙地甲地にならず、丙地乙地にならなかつたときに悪いからと思つて、私は喧嘩もせずにへいへいして帰つた。あんたはその無持がわからないのですか。今日の氣持が興奮したときの氣持と同じだつたら、私はあんなに恥をかかされなかつたのです。そうして私は声なき声で帰つたが、あなたは何とおつしやつた、直接來い、直接來いと言う。それで私は宿屋に帰つたとき聞いたら、そればだめなんだ、大石さん何十遍行つても、みやげを持たずに行つたらだめなんだと聞かされた、そういうことがあるのですか。それを聞きたい。いつでも証人は連れてくる。
  33. 今井一男

    今井政府委員 その点は先ほど申し上げた通りで、私はとにかく全官公廳の争議の関係で天下にかなり悪名をうたわれておりますので、田舎の組合幹部等においては、私のところに來るのが敷居が高いように見受けます。その意味から直接くるのにその点遠慮は要らぬのだ、この場合こういう方たにお目にがかるのが私の職務であるという意味合いから、大石先生にお願いしなくても、ほかのところにお忙しい代議士の方に御迷惑をかけなくてもという意味におきまして、私はそういうこどを、今大石代議士のおつしやつた口調では……。
  34. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 なぜそのとき言わなかつた
  35. 今井一男

    今井政府委員 そういう一々註釈をつけなかつたことは確かに手落ちとすれば手落ちでありますが、從來そういつた意味合いでどなたにもお話しでおりますので、そういつたことをそつくりそのままどなたにもすると同じような意味に申し上げたに止まるのです。実は大石代議士は間接には当選のとき以來存じておりましたけれども、あのとき、私が大石ですと言われたときに初めて存じ上げましたようなわけであります。全官公廳の諸君に対すると同じような意味におきまして、そういつた言葉を申した次第であります。その点は決してそれ以外の意味はございません。
  36. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 今井局長は陳謝しないのですか、どうなんですか、あなたが陳謝しなかつたらいつまででもやりますよ。あなたは悪いと思わないのですか、どうなんですか。
  37. 今井一男

    今井政府委員 私も言葉の足らなかつた点におきまして、いろいろ大石代議士に御迷惑をおかけしたならば、遺憾であるということは、先ほど申し上げた通りであります。
  38. 坂東幸太郎

    坂東委員長 この程度でいかがですか。ではこの程度にいたします。  賣春等処罰法案につきまして、法務廳機務長官木内曽益君からその説明を求めます。
  39. 木内曽益

    ○木内政府委員 ただいま上程されました賣春等処罰法案の提案理由を御説明申し上げます。  戦後における社会不安、道義の頽廃等の影響を受けまして、いわゆる賣春行為が著しく増加してまいつたことは、すでに御承知通りと存じます。この種行為は健全な性道徳を破壊し、善良な風俗を紊乱するばかりでなく、恐るべき性病を蔓延せしめるもととなるものでありますから、いわば反文明的行為として、その絶滅を期さなければならないと考えるものであります。のみならず、一九四六年一月二十一日附連合國最高司令官の「日本における公娼廃止に関する覚書」によりまして、表面上は一應、公娼その他契約に束縛されたる私娼の制度は廃止を見たのでありますが、事実においては依然形をかえて娼家及びこれに隷属する私娼と認められるものが、なお跡を絶つに至らない実情にあるのであります。かかる存在は、一面身体及び意思の自由を拘束されて、日夜醜業に從事することを余儀なくされる女性があり、他面かかる白色、奴隷ともいうべき女性に寄生して、その肉体的苦業によつて利をはかる業者があることを意味するものにほかならないのでありまして、これはただに右の覚書の趣旨に背反するばかりでなく、新憲法が基本的人権を確立し、個人の自由と尊厳とを宣言し、その奴隷的拘束を排除している趣旨にまつたく相反するものであります。わが國が、民主主義國家として鋭意その再建に努力を拙いつつありまするとき、他面において、未だかかる封建的な暗黒面の存在を許すことは、根本的に矛盾するばかりでなく、近く民主主義的先進國と肩を並べて、國際場裡に地位を復活しようとする矢先だおきまして、大いなる障害となるものと申さなければなりません。  しかしてその対策といたしましては、もとより國民一般の民主主義的自覚と道徳的及び衛生的観念の向上にまたなければならない点も多々あるのでありますが、同時に賣春行為及びこれを助長し、慫慂し、またこれに寄生する諸行為も処罰すべき法令を整備、強化することによつて、法的措置を確立する必要も痛感される次第であります。從來の立法措置といたしましては、警察犯処罰令、昭和二十二年勅令第九号婦女に賣淫をさせた者等の処罰だ関する勅令、花柳病予防法、同特例、刑法及び兒童福祉法等の諸法令があつたのでありますが、これらによつては、未だ十分な法的措置を講じ得たとは申しがたく、殊に賣春、その周旋及びその場所の提供等を処罰する警察犯処罰令は、本年五月二日廃止せられました。また花柳病予防法等も全面的に改正される運びとなつておりますので、この際新たな見地に立つて、警察犯処罰令の関係規定及び婦女に賣淫をさせた者等の処罰に関する勅令を統合かつ整備し、その罰則も他の関係法令と権衡を保ちつつ、必要に應じて強化することといたしまして、この法律の立案を行つた次第であります。  以下規定の要点について御説明いたしますと、第一に賣春及び賣春の場所の提供その他賣春の周旋をした者に対する刑の引上げであります。これらの者に対する從來の刑は、三十日未満の拘留に止まつたのでありますが、かかる軽微な刑をもつてしては、ほとんど取締りの実効をあげることが至難であつた実情に鑑みまして、その刑を六月以丁の懲役もしくは五千円以下の罰金または拘留もしくは科料といたし、かつその常習者に対しては、さらに加重いたしまして、二年以下の懲役または一万円以下の罰金をもつて臨むことといたしたのであります。  第二に、賣春の相手方となつた者も、賣春者と同様に処罰することといたしたのであります。從來のごとく、賣春者のみを罰し、その相手方を処罰しない建前は、公平の観念に反するばかりでなく、予防的効果も薄弱となりますので、特にかかる規定を設けることといたしたのであります。  第三に、人を欺き、または困惑させて賣春をさせた者及び親族、業務、雇傭その他の特殊関係を利用して賣春をさせた者について、それぞれ罰則を設け、前者は二年以下の懲役または一万円以下の罰金、後者は三年以下の懲役または二万円以下の罰金に処することといたしいかつ後者の関係を利用して賣春の報酬の全部または一部を收受したときは、さらに加重して五年以下の懲役または五万円以下の罰金に処することといたしたのであります。これはもし脅迫または暴行により賣春をさせた場合には、刑法の強要罪にあたるのでありますが、か弱き女性をしてかかる醜行に陥らしめないよう、これを保護するためには、それ以外の不法な手段を用いて賣春をさせた者に対しても処罰規定を設けることが必要と思われれますので、右のように予想される各種の不法手段の態様と、これに感じ適当の罰則を規定することといたし、なかんずく右の特殊関係を利用して賣春の報酬を收受する行為は、最も悪質と認めて、特に重刑をもつて臨むこととしたのであります。なお現存の婦女に賣淫をさせた者等の処罰に関する勅令におきましても、婦女を困惑させる行為に対し、罰則が設けられていることを申し添えておきます。  第四に、他人を娼婦とすることも直接または間接の内容とする契約の申込みまたは承諾をした考及び娼家を経営しもしくは管理した者について、それぞれ処罰規定を設け、前者は二年以下の懲役または二万円以下の罰金、後者は五年以下の懲役または五万円以下の罰金に処することとしたのであります。ここにいう娼婦及び娼家の定義につきましては、第一條に定められているところでありますが、かくのごとく他人を娼婦としようとする行為及び娼家を経営または管理する行為は、前述の通り憲法の精神及び右連合國最高司令官の覚書の趣旨に反するものであり、特に峻厳な態度をもつて臨む必要があると考えまして、かかる重刑を規定いたしたのであります。  なお以上の罰則には、原則として情状により懲役及び罰金を併科し得ることといたし、実情に即した科刑を行い得るよう措置いたしたのであります。  以上立法の趣旨及び規定の要点を御説明いたしたのでありますが、どうか愼重に御審議の上、速やかに可決せられんごとを希望いたす次第であります。
  40. 門司亮

    門司委員 本法の逐條審議をいたしまする前に、一應当局にお伺いしておきたいと思いますのは、本案の上程されました趣旨等につきましては、一應了承することができたのでありますが、問題はこの法案は單なる法案として出せばそれで済む問題ではありませんので、実質がこれにいかに伴うかということがきわめて重要な問題となつてくるのでおります。それからその実質と申しましても、現在こういう行為が非常に多く行われておることは御存じの通ひでありますので、これらの処置をいかにするかということが、まず先に考えられなければならないのであります。この点についての御説明はちつともなかつたのでありますが、おそらくこういう法案をお出しになるからには、少くとも日本の津々浦々といつていいくらいに蔓延いたしておりまするこれらの業者と申しまするか、就業しておる者の処置を先にお考えになつて、そうしてその後にこういう法案の説明がされ、さらに提出されることが私はいいと思いますが、先ほどの説明の中には、そういう最も重要な点が説明されていないのであります。從いましてその点をさらにひとつお聽かせを願いたいと思います。     〔委員長退席、坂口委員長代理着席〕
  41. 宮下明義

    ○宮下説明員 ただいま御質問の点は、はなはだ重要な問題を含むわけでございます。この法案は八月一日から実施する予定になつておるわけでございまするが、それまでにあるいはその法律施行直後、現在存在いたしておりまする公娼に類似する業者あるいは私娼というような業者をいかに整理し、これをいかように導いていくか、その具体策を政府としてはいかように研究しておるか、またその具体策がどのように立つておるのかという御質問でございまするが、この点につきましては性病の予防行政を直接に担当いたしておりまするところの厚生省及び直接この種賣春行為の取締りをいたしておりまする國家警察本部と法務廳とがいろいろと協議をいたしまして、この対策について方針を研究立案いたしておるわけでございまするが、未だこの席でただちに御披露いたす程度まで具体的な案ができておりませんので、この法案を御審議つております期間中に、早急にその具体案をつくり上、げまして、お答え申し上げたいと考える次第であります。
  42. 門司亮

    門司委員 ただいまの答弁、非常に遺憾に考えるのであります。私どもはかくのごとき法案が出るにあたつて、これの対象となつてくる人たちの生活を考えないわけにはまいけません。この法案が八月二日から実施されます場合に、そのよつて來る影響というものは、きわめて大きいのであります。從つて当局はただ法案だけ出して、その法案が通過すればそれでいいというふうにお考えになつて法案をお出しになるとするならば、それはまつたく空文にひとしいのであります。先ほどから申されておりますように、從來いろいろこれに対する取締りの法律はあつたのでありますが、それらはことごとく空文に終つておるというのは、そういう処置が完全でなかつたということの裏書をするものであると思います。これも同じようにどんなに嚴重に処罰し、どんなに厳重に取締るということを法律できめても、なかなか人間の本能はそういうふうにはまいかませんので、それらに対する処置を十分に先に講じて、しかる後に法の効力が十分発生する手段をとることが、最も正しい行き方であると考えるのであります。礎つて先ほどの御答弁には非常に不満ではありますが、なお進んでさらに法務廳であるとか、あるいは國家警察の本部であるとか、あるいは厚生省でそういうことを話合つておるということでは、法案を提出なさいましたあなた方の責任は一体どこにあるか。自分たちはただ取締ればいい、法案を出しさへすればそれで事足りるのである、あとはそれらの各省関係がこれを始末してくれるというようなあいまいなことでこういう法案を出されますと、國民は非常に迷惑するのであります。この点はなお私はあなた方の縣想をお伺いしたい。厚生省であるとか、あるいは國家警察の本部、あるいは法務廳の構想は別として、法案を提出なさいましたあなた方の構想を卒直にひとつお話を願いたい。なおこれは参考に聽くのでありますが、現在わが國でこれらの業を営むものはどのくらいの数に上つておるかということ、さらにそれの対象となつておる婦女子の数は大体どのくらいあるかということ、これらがわかりますならば、ひとつ公娼、私娼の差別なく、卒直にお知らせを願いたいと思います。
  43. 坂口主税

    坂口委員長代理 ちよつと申し上げておきますが、地方財政の関係政府委員が來ますまで本法案について質疑をやりますから、もし地方財政の関係政府委員が來ましたならば、それで打切ることに御承知を願いたいと思います。
  44. 宮下明義

    ○宮下説明員 まことにごもつともな御意見でございまして、私どもといたしましても、ただこの法案を提出いたしまして、國会の御審議を受け、それが成立すればあとはどうでもいいというようなことを毛頭考えておらないのでありまして、この法案を提出いたしますからには、從來のこの種賣淫行為の取締法案というものが、実際においてはなかなか十分に行われがたかつたという実情も十分考慮いたしまして、このような法案を出すことによつてかえつて法律そのものが行われない、法律を世の中に一つ殖やすという意味合におきまして、國民全体の遵法観念というものが薄らぐのではないかというような点も十分配慮いたしまして、この法案國会において成立いたし、公布されるならば、取締りの機関といたしましては、十分にこの法案を実際に適用いたしてまいりたいという覚悟をもつておるわけでございます。しかして現在本來ならば最高司令官の指令によりまして、存在を許されておりませんところの公娼に類似する業者というものが、依然存在いたしておりますし、また公娼と申すことができないにいたしましても、街娼と申しますか、個々の賣淫行為というものが存在いたしておるのでありまして、これらの人間をどのように導くか、これを十分に考えないでこの法案を出すということは、少し無暴ではないかというような御意見でございますが、このような行政的措置につきましては、八月一日までに早急に方針を講じまして、万遺憾のないように措置を講じていきたいと考えておる次第であります。さきに料飲禁止をいたします際におきましても、これらの業者をどのように措置するかということが重大な問題であつたわけでありますが、その困難にも打克ちまして、現在これを実施いたしておるのでありまして、この賣春行為というものが現在日本に存在することは、いかにも残念である、いかにも不名誉なことである、それを理想に向つてなくすという事柄には、いろいろな困難な事情はありましようけれども、とにかくこの理想の方向に向つて進まなければならないと考えておるのであります。しかしてこれにつきましては、單に取締機関の努力のみによつて、それが実現されるわけではございませんので、十分に國民全体の自覚とこの法律の実施についての協力がなければなし得ないということをしみじみ考えておる次第でございます。しかして現在この種業者の数がどのくらいあるかという詳細につきましては、お手許に賣春等処罰法案参考資料、法務廳檢務局作製の資料が差上げであるのであけますが、この終りから三枚目の表が藝妓、酌婦、女給、仲居、女中、接待婦、ダンサー等賣春行為に陥りやすい種類の業態の者の数を掲げてございます。それから一番最後に、いわゆる街娼——やみの女の推定数についての表を掲げてございます。これによつて承知おき願いたいと考える次第でございます。
  45. 門司亮

    門司委員 この問題でございますが、この中には私が先ほどお尋ねいたしましたこれを業といたします者の数字が出ていないのであります。私がお聽きいたしておりますのは、これに書いてあります三万いくらの街娼と、さらに十五万五千人のそれに類するような行為をなすと目される女の数だけではありませんので、これだけを簡單に考えますならば、わずかに二十万足らずの人間でありますが、これを業として営んでおります者の家族の数を考えますと、一應相当数の人たちの職業を停止するということに相なるのでございます。本法案自体は非常に結構な案だと思いますが、法案が結構であればであるほど、その効果というものが大でなければならぬのでありまして、先ほどお話のように、たとえば料飲店禁止ということは、非常に問題があつたが、しかし勇敢に行つておるというお話であります。なるほど料飲店等に対しては、勇敢に行つてはおりましようが、実態はなかなかそうはまいらないのでありまして、あなたの方で法律だけは施行されたかもしれませんが、実態はなかなか勇敢にお取締りになつておるとは考えられませんし、またそういう業者が終熄したとも考えていないのであります。そういう結果に相なると思いますので、法案が非常に私ども日本の國民にとつて、いい法案であればあるほど、法案の効果というものがやはりなければなりませんので、從つて私は御質問を申し上げるのであります。このいい法案の効果を百%に発揮させますためには、どうしてもそういうことを事前にひとつつておいてもらいたいのであります。そこで繰返して申し上げますが、あなた方の構想の一端だけでもこの際ひとつお聽かせ願いたい。あなた方もこの法案をおつくりになるにあたりまして、何も御構想なくして三つの関係各省にこれを委ねて、そうして自分の方は法律だけを書けばいいのだというお考えでなされたものではないと思いますので、その点をお聽かせ願えれば非常に結構だと思います。私は、この法案に反対の箇所はほとんどないのであります。ただ刑罰が重いか軽いかという部分的の箇所はありますが、法案自体に反対すべき筋合の点は毛頭ないのでありますから、その点をひとつ躊躇されることなくお聽かせ願いたいと思います。
  46. 宮下明義

    ○宮下政府委員 ただいま御質問のございました公娼と申しますか、賣春業者の数の統計でございますが、ごく最近の國家地方警察本部の統計によりますと、業者の総数が一万九百五十三人、この業者に附属いたしておりまする娼婦と認められる女の数が三万七千六百八十一人あるのでございます。しかしてこの法案は、この業者のみを必ずしも対象とはいたしてありませんので、それ以外の一般の賣春行為を対象として規定ができておるわけでございますが、特にこの業者の將來と申しますか、業者をどのように措置していくかということが、大きな問題となるのであります。最前も申し上げましたように、この業者及びそれに附属いたしております娼婦の措置というものについては、鋭意政府部内の関係機関において研究をいたしておるのでありまして、具体的な方策につきましては、いましばらく猶予をいただきたいと考えます。もし私の個人的な意見を強いて述べよと申されるならば、いずれにいだしましても、この法案を成立させまして公布、施行いたします。以上、これらの業者の存在というものは許されないわけでありまして、早晩何らかの方向に轉業してもらう以外に方法はないと考えておる次第でございます。
  47. 門司亮

    門司委員 私には一向わからないのでありますが、私はそういうことをお聽きしておるわけではないのであります。実はあなたの方の数字から見ますと、ごくわずかな数字のようでありますが、これだけの数字ではない、もつとほかにあると思います。そこでそれらの人たちをどういうふうに処分するかという具体的な案がなければ、せつかくこの法律をお出しになつても、人間というものは一度商賣を始めますと、それに執着をもち、他に轉業することが非常に困難でありますので、この法律でこ、れだけの人はやめさせるが、その代りにこうするということがうなずけますならば——これは実際の上における取扱いが困難だという理屈はうなずけますが、この法律だけを出していこうとするのでは、どんなにいい法律であつても実行できないのであります。余談でありますが、料飲店の禁止等にしても、やはりそれらの処置が完全に講ぜられていない。ただ自発的に軸業すればいいというようなことだけしか考えられておりませんので、やはりそれに附属するいろいろな犯罪が起つてくるというようなことになりますので、もう少し具体的にお話願えませんか。八月一日といえばもう一箇月しかありませんし、その間におそらく私どもは聽く機会はないと思いますが、もし法律だけが出まして、今いただいております從來の賣淫等に関する処罰の参考書にも、たくさん書いてありますけれども、こういうふうに法律がたくさんあつて、しかも覚書によつて厳重に取締らなければならないという段階に立ち至つてつても、なおかつこういう法律を出さなければ、これの取締りもできなければどうにもしようがないというような事実を私どもが見ますとき、いま少し詳しいお話を願わないと、私どももこれを審議するのにこのままでは賛成だと言いがたいのであります。その点をもう少し明らかにしておきませんとわれわれほかから質問を受けまして、いやあれは法律だけをきめたのだから、あれでやるだろうというような、無責任なことは言えないと思いますから、その点を考慮していた、だいてお話願いたいと思います。
  48. 宮下明義

    ○宮下政府委員 再三の御質問を受けまして、はなはだ恐縮に存じておるわけでありますが、た、だいまの業者及びそれに附属しております女の今後の処置は、現在政府部内の関係各省において鋭意研究をしておるのでありまして、その具体策の御説明につきましては、いましばらく御猶予を願いたいと考えております。
  49. 坂口主税

    坂口委員長代理 ちよつと今の質疑を打切りまして、大藏大臣が参りましたから、地方財政の問題について質疑を続行いたします。門司亮君。
  50. 門司亮

    門司委員 せつかく大藏大臣のお出ましをしばしば、願つたのでありますが、私質問の機会を失いましたので、この際大藏大臣にお伺いしておきたいと思いますが、すでに他の同僚から申し上げてありますので、重複する点はなるべく避けたいと思いますし、先だつて次官がお出でになりましたときに、次官にも大体のことは申し上げておきましたので、その点もなるたけ避けたいと思いますから、大臣にはごく卒直に御意見だけを承つておきたいと思うのであります。  地方財政の窮迫しておる事情は、大臣もこの委員会にお出でになりましたときにしばしばお述べになりました通りで、よく御承知だと思いますが、私どむが非常に遺憾に考えております点は、地方財政委員会案に対する大藏当局の予算編成に対する見解です、それについて一應お聽かせ願いたいと思いますが、大臣もお忙しいでしようから、一間一答は避けたいと思いますので、総括的に申し上げます。私がこういう質問を申し上げますのは、画家財政は、大臣の御説明の通り健全財政のような形になつておりますが、地方財政は二百七十億の赤字を出しておる。この赤字のうちで三十億は施設あるいは諸掛の節約によつて補える、あとの二百四十億は起債によつて補おうというようなことが書かれておるのでありますが、地方分権が行われ、中央の出先官職が処理されてまいりますならば、地方の費用は決して少くはならぬのでありまして、地方自治体が健全になつて、自主的に完全に発達いたしますならば、今日の状態においては、礎來の官治行政の当時のような節約をすることはできませんので、民治行政になればなるほど地方財政は大きくならなければならない。そういう場合に、それを節約しろと申しましても、なかなか節約は困難であります。たとえば警察が移譲になるならば、警察費だけではなく、公安委員の費用もただちにそれに件つて要ります。さらに教育委員会制度ができるならば、やはりその費用も要るようになつてくるのであります。こういうように地方分権化されればされるほど、民治行政が強化されればされるほど、今日の日本の地方行政、というものは官治行政の手から離れて費用が要る、それを節約せよと申しましても、なかなか節約ができないのであります。さらに二百四十億の起債の問題でありますが、軍に起債と申しましても、これは非常に無理がありまして、昨年の百十億の起債ですら、まだ八十億しか消化できない状態であることは御存じの通りであります。しかもその中で、二十億の政府預金部の金を振り当てられておりますものすらまだ完全に行われていない、こういう状態で、本年度において二百四十億の起債を認可するから、それを地方債でやれと言いましても、なかなか困難であります。さらに当局のしばしばの説明によりますと、これについては地方の銀行その他と十分打合わせをして、地方財政に対して起債の認可をした場合にはなるたけこれを融資するようにというなことを申し上げてあるという御答弁をいただいておるのでありますが、実際はそれとは非常に反しております。御承知通りすでに府縣においては起債に対する調整委員会があるはずであります。そしてこの委員会が当然そういうものを処理すべき立場に立つていると思つておりますが、そういう制度が設けられてすら、今日どうにもなつていない。そこで私どもが考えますことは、その起債を認可しただけがほんとうに消化されるかどうかという見透しは、私どもにはつかぬのであります。昨年の百十億の起債ですら、そういうように残つておるのでありますが、さらに地方の状態をよく大臣にお考え願つておきたいと思いますことは、この起債はどういう形になつておるかと申し上げますと、大体起債全額の半分ないし六割ぐらいは地方債にまたなければならぬと思います。預金部の金はそうたくさんあるとは思われません。預金部の金を借りると七分の利息になつておりますが、地方銀行から借りてまいると、大体利息は、私どもの調査した範囲内におきましては、九分八厘五毛ぐらいについている、約一割についている、しかも地方銀行は間が短かくて利益の高い産業資金に期は貸し出しますが、利息が安くて期間の長い地方公共團体の起債には、なかなか應じがたいのであります。こういうことであつてはこの二百四十億を起債で賄えと言つても、なかなか賄い切れないのであります。さらに先ほど申し上げましたように、利息の開きが大体三分ぐらいありますから、これからくる損害が大体三億ないし五億近い赤字が、さらに地方財政の中には加わつてくるということを一應考えなければならない。そこで、あなた方の方のお考えでは二百七十億の赤字で済むかもしれませんが、実際は二百七十億に、さらに三億ないし五億の赤字を出すというのが実情だと思いますが、こういう点が十分考慮されているかどうかということであります。もう一つ私が卒直に聽きたいのは、いわゆる國の健全財政と反して、地方財政がこういう大きな赤字財政でありますならば、國の財政もまた赤字財政と言わなければなりませんが、この赤字を補填することのために、政府においては特別のお考えが現在おありになるかどうかということであります。その点を一應お伺いしておきまして、さらに了解ができませんでしたら質問いたしたいと思います。
  51. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ごもつともな御質問であると思います。同様の趣旨のことについてこの委員会で申し述べたことがあるかとも思うのでありますが、仰せの通りに國の健全財政というものが地方で崩れては何もならないので、健全財政主義は中央、地方一貫しなければならないということは、これは申すまでもないのでありまして、その点はお説の通りであります。ただ御承知通り、現にこの地方財政が非常にお困りになつておるという事実は、現実に私どもひしひしとわかるのでありまして、十分にその点を了解しておるのでありますが、また中央の財政は非常に窮乏しておりまして、非常な反対があるにもかかわらず、鉄道運賃を上げ、通信料金を上げ、それでもなお大きな赤字をもつておるというような現状でございます。今このときが日本の財政の最も弱味といいますか、非常に弱体性と矛盾とを集積的に地方財政並びに中央財政に現わしておる。こういう過渡期において一体どうするかという問題になりますと、これは実は非常にむずかしい問題である。從つて中央と言わず地方と言わず、腹を割つて一層御檢討を願わなければならぬと思うのでありますが、同時に地方にありましては、お言葉の、中にもありましたように、公安委員制度、新しい警察制度、新しい教育制度、消防の新しい組織等が一度にこの財政窮乏の過渡期において整備されなければならぬという上に、昨年から今年にかけて、全体的ではございませんけれども、非常に天災的な被害を受けられたところもあり、これをどうするかという問題を、一挙にして赤字なし、借金なしで全部片づげる、あるいは中央の方の財政力をもつて地方の方が非常にお困りになつておるところを補うことができるかというと、中央地方を通じて、この財政窮乏ということは、非常に大きな矛盾としてどうにもならないというのが現状でございます。これは一面やむを得ざるものはやはりこの金融に一つて財政の弱味を補強していくというよりしようがないのでありますが、これについても預金部の金は今日まで大体地方に還元しておりまするも上の方針とは違いまして、預金部の金はもともと各地方から吸收したものであるから、地方に還元するという方針をとつておりますが、最近は預金部がどうも赤字で、一般会計から補いを出すというような現状になつておりまして、これは今度やりつつあります救國貯蓄等を通じて、漸次この勢いを盛り返して、地方財政にも寄與できるようにいたしたいと念願しておるのであります。そういう方向に向つてはおりますけれども、現状ではどうも苦しい状態になつておる。それで問題は地方、中央の財政的な調節をどの程度にやるかということなんですが、これはまたむずかしい問題でありまして、中央において絶対に起債は許されない。絶対に均衡予算でなければならぬ。この限度において將來もちろん行政を整理し、行政整理に基いて行政経費を圧縮して新しい歳入を見つけるというようなことにおいて、國民負担を増すよりは歳出の面においてこれを圧縮するということはやつていかなければならぬ。これは中央も地方も歩調を合わせてやつていくよりしかたがない。そういうような基本的な方針を立てながら、一方では地方における六・三制をどうするか、あるいは警察制度をどうするのだ。やむを得ない支出というものはどうしても膨脹する。現在の財政の事情はこの板挾みの中にあると思うのであります。これに対して私どもは中央だけが健全財政であればよいという考えでなく、実際中央地方の調節をはかりながら、具体的にこの面を解決していきたい、かように考えておるのであります。それから二百四十億あるいは二百七十億とかいう起債が可能であるかどうかという御質問でございましたが、これも実は三千億救國貯蓄の五おは優先的に地方財政のためにもらうというようなことを、金融機関の了解を得つつあるのでありまして、この時間等のずれがあると思いますけれども、これについては私は昨年の成績から考えて、昨年は目標を三百億ぐらい突破いたしましたが、今年はまあ目標にいくであろう。いくならばその点は百五十億優先的に一應地方財政にやらなければならぬ。こういうように考えておるのであります。なおいろいろ具体的な問題につきましては、それぞれについて善処していきたいと思いますが、基本的な考えといたしましては、実は困つておる。中央も非常に困つております心ほんとうに地方も困つておる。そこでない袖は振れないというようなことが一面に言えるのではないか。しかしそういうような冷淡な考えではございませんで、できるだけのことはいたしたいとはむろん存じております。大藏省が地方の財政に対して無関心であるとか、冷淡であるということは決してございません。この点は具体的な問題について今後努力もいたしますが、できるだけ相談もいたしたい。かように考えておる次第であります。、
  52. 門司亮

    門司委員 大体予算編成に対する見解に対しましては了承するのでありますが、さらにそういう建前でありますならばお聽きしておきたいと思いますことは、地方財政委員会から答申いたしました案の中にはいろいろのものが書いてあるのであります。ところがその中で私どもは非常に残念に心得ておりますのは、酒、タバコの消費税の問題であります。これは総理の話によりますと、專賣品であり、國家がこれを経営しておるのであるから、これに祝金をかけるということはどうかと考えるというようなお話があつたのでありますが、法理的に解釈いたしますと、そういう理屈も一應つくかもしれませんが、しかし専賣品であるからこれに地方税を絶対にかけてはいけないというような理論は成り立たないものと考えるのであります。從つてこういう普遍的な税金と申しますか、これは中央あるいは都市、農村といわず、普遍的に消費するものでありますし、殊にある意味における嗜好品とも言えるのでありまして、現在必ずしも私は全部が嗜好品であるとは申しません。人聞の生活の要素の中にすでに取入れられて、そうしてなければならないような形を示しておりますので、必ずしも全面的にこれは嗜好品として片づけることはできないと思いますが、少くともそういうことが一應言えると思う。それらに対しましては私どもは、どうして税金がかけられないというのか、当局の御見解を実は質したいのであります。もしこういう面において多少でもゆとりができてくるということになりますれば、当局がお考えになつておりますような各種の税金の値上げに対しましては、非常に無理がありますので、それらを一つ圧縮して、一例を申しますならば、地租あるいは家屋秘の税率が非常に高くなつておりますが、これらのものは收益税でありまして、地租あるいは家屋税が高くなりますれば、借地人、借家人に轉稼されるこ、は当然でありまして、形の上においては家を所有し、土地を所有しておる者が秘を納めるのでありますが、收益税でありますから、これが消費者にかかつてくるということははつきりして、おる。從つて地租あるいは家屋税の増額は、明らかに大衆税として轉稼されることになりますので、それらのものを圧縮するためにも、やはりこういう税制を設けていただきたい。さらにもう一つの問題は住民税の関係でありますが、住民税が昨年最初いわゆる住民税として創設されましたときは、大体一戸あたり四円でありましたが、それが急速度に膨脹してまいりまして、二百円になりさらに四百円になり、今度はこれを千円にしようということに相なつておると思いますが、現在の國民所得の関係から申しますと、この住民税を千円にまで引上げなければどうしても地方財政がやつていけぬというほど住民に迷惑をかけますならば、先ほどの話に戻りますが、当然酒、タバコの消費税ということが考えられます。この点は総理大臣に幾多の同僚から質問がありましたので重複するようでありますが、大藏大臣としてこれをお取上げにならなかつた理由をもう一應お聽かせ願いたいと思うのであります。
  53. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ごもつともな御質問でございまして、地方財政が困つておるなら酒、タバコの消費税を認めればよいじやないか。これは一應そうなるのでありますが、また住民税のお話がただいま出ましたのですが、これは私ども全体といたしまして、國民所得に対し昨年度は大体財政的の吸收が一八%であつた。今年は二二%くらいになつておる。もちろんこういうパーセンテージははつきりいたしませんが、單に大まかにそういう点を見ましても、今年はかなり負担がさらに重くなつておるという場合でございますので、今後私ども政府としての施策は、現在家計の中で七五%が非配給物資である。自由物資というと言葉がよいのですが、これはやみを含んで、家計費の金額の中におつて七五兆がいわゆる自由物資で、配給物資は二五%である。この割合が変つていくということが漸次行われなければ、國民所得に対する割合から何パーセントだからまだ軽かろうというような判断をしてはならぬ。それはむしろ國民所得中の内容と家計費の支出の現状という実際をつかんでいかなければならぬ。かような考え方からいたしまして、今後われわれの努力すべき点は、非配給物資がなるべく減つて配給物資が殖える、すなわち正常ルートによる生活費というものが割合を多く占めるというような状況にもつていかなければならぬ、かようなこととにらみ合わせて、一方において國民の負担というものを考えなければならぬと考えますので、今回のいろいろな税制の改革等たから考えまして、地方財政の窮乏はさることながら、この際さらに酒、タバコの消費税を加えるということは、全体の負担として考慮しなければなちぬと、うようなことに一つの点があつたと思うのであります。  いま一つの点は、これは先ほども話が出ておりましたが、多少理屈になると思いますけれども、今日の財政、專賣は一つの税金である。これは一つの大きな間接税である。殊にこれは高額な視である。これだけ高額な間接税的なものをかけた財政、專賣の対象になつているものに、地方は地方でもう一度税金をかけるということになると、現の根本的な考え方、並びに視の体系において少し反省して考え直す必要がある。かような点に多少ひつかかつておるのでございますが、しかし地方財政の窮乏ということとにらみ合わせまして、また國民所得だけでなく、國民所得の実効的な價値、実際に効果をあげ、價値が殖えていくような方向にもつていかなければなりませんから、そのことにおいてだんだん成功してくればかけてもいいというような考えをもつておりますけれども、本年度においては昨年の一八%が、たしか記憶では二二%になつている。これくらい負担をかけているときに、また嗜好品でむあるし、ある方々にとつては生活の必需品のごとくにもなつているようなものへ、かなりの税を地方でいただくということは、本年はこれを実行するのに少し無理ではないかというなよう考えから、今年はこれを取上げられなかつた、かような二点に帰すると思うのであります。
  54. 千賀康治

    千賀委員 議事進行について……。きようはせつかく大藏大臣が御出席でありますけれども、地方財政に対する質問はこの程度に打切られまして、明日以後再開することにして、本委員会から厚生委員会に合同審議を申し出た法案が三つあつたわけでございまするが、その点に関しまして、向うからの回答があつたのでございます。これに対しまして、われわれ理事会では松浦君を代表といたしまして、総合した決議案というほどでもありませんが、大体一致した修正案をこちらに移牒することにきめておるのでございまするが、委員長から委員会にお諮りをいただままして、当委員会の意思であることになればなおさら強力でございまするから、その理事会の意思をさらに委員会の意思といたして、松浦君をして修正意見厚生委員会に申し入れることのお取計らいをされたいと思います。次にまだ動議をもつておりまするが、まずこの動議を提出いたします。
  55. 門司亮

    門司委員 簡單にお聽きいたします。分與税が非常にたくさんのように考えられておりますが、この分與税は必ずしもよいやり方ではあ力ませんので、この分與税がありますると、これは先ほど申し上げた起債と同じでありますが、往々にして地方の自治権をかなり多く阻害するのであります。分與税制度によつて地方自治権が侵害されることは今までしばしばありました。  さらに起債の認可あいるは融資等によつて非常に地方の自治権が侵されるのであります。たとえば先ほど申し上げておりまするように、金融の面が非常に窮屈になり、預金部の金が窮屈であるということになつてきますと、起債の申請があつて認可になつでも、その起債を現金化するために預金部にまわると、その事業がいいとか悪いとかということが判断されて、せつかくの地方の自治権が金融の面から阻害されるおそれが多分にあるのであります。これは分與税と同様な問題でありまするので、この点に対して大藏大臣はそういうことは絶対にさせないという御言明がここでできるかどうか、それを承つておけば、やや安心ができますから、その点ひとつお聽きしたいと思います。
  56. 北村徳太郎

    北村國務大臣 絶対にさせないと言明するかどうかというお尋ねでありますが、どうも絶対というほどの言葉は使いにくいと思うのでありますけれども、しかし地方財政が非常にお困りになつておる点を金融の面で補うことは当然である。それを地方の自治の本質から申しますと、これはやはり独立した財源を持ち、独立した税を持つて地方でおやりになるように漸次やつていくべき筋合いのものだと考えるのであります。ところが今回の入場税等についても、これは非常に遅れて、あとから補正の方法によつて地方に全部委譲する手続をとりますけれども、なぜ遅れたかという理由を卒直に申しますと、これは関係方面で、中央には税機構は非常に完備しておる、全國にわたつて徴税網はきわめてこまかく張られて完備しておる。しかるに地方にはそれがない。それからもう一つは、これが地方に渡ると中立的な立場が失われる危險がある、これは向うの見方ですが、そういう小さな地方々々のブロツクにはそれぞれ古いいろいろな人がおつて、おれのやつはいいだろうというようなことで、つい徴税がルーズになるんじやないかというような考え方等がございまして、それがために納得がなかなかいきませんで、非常に長くなつておるのでありますが、そういうことはないということを野溝君と私と一緒に参りまして、くれぐれも説明して最後に了解を得たというようなことで、関係方面の計算では三割五分減收する——これはどういう基礎からかしりませんが、そういう話がございまして、さようなことから遅れておつたという点が一つあるのであります。しかしこれは分與税などと言わずに独立の税源を持ち、独立の財政を立てて、地方自治の本質的の基礎が培われていくということは当然のことであります。方針としてはそうあるべきであることははつきり申し上げることができる。具体的な金融の問題になりますとへ第一に資金力の問題にもなります。先ほど申し上げましたように、今唱えております救國貯蓄の三千億が達成すれば、優先的に百五十億が地方にまわるので、他方財政もよほど樂になると思うのでありますけれども、これはやはり現下の事情では、國家財政の問題と、産業資金の問題と、地方財政の問題と合わせて三五えのものをそれに振り向けるというようなことに大体相なつておりますので、その他は金融機関が独自の判断をして、また資金融通準則のあるものは準則に從つてこれを配分する。資金の全体の配分となると、地方中央を通じて何かの機関で配分しなければならぬ。地方だけで勝手氣ままにやるということになると、全体の資金の配分が非常に壊れてくる。その点に問題があるのでありまして、これが地方の自治権を侵害するというようなことでなしに、何か地方中央の全体の資金配分を相談するような機関をつくるべきじやないか、そういう地方自治権を侵すとか侵さぬとかいうことでなしに、これをよく御相談して、地方の分野においてはこれだけ使う、中央においてはこれだけ使うというようなことにならなければいけないと私は考えておりますので、これは今どこということは申し上げかねますけれども、資金の面をめぐつて、中央が地方に対してどうものさばるというようなことはないつもりでありますし、そういうような態度があつては間違いでありますから、そういうことをなからしめるようにしなければならぬ。できれば地方中央一緒に御懇談申し上げて、全体の資金配分計画は非常に重大な問題ですから、さようなものは地方にも偏らず、中央にも偏らず御相談できるようにすべきだというふうに考えております。
  57. 坂口主税

    坂口委員長代理 それでは地方財政に関する質疑は本日はこの程度にして次会にまわしておきます。ただいま千賀康治君より動議の提出がございました。お聽きの通りでありますが、いかがでありますか。——先ほど委員長から御了解を得ていなかつたのでありますが、今朝の理事会厚生委員会に対する合同審議ということにつきまして、両方とも審議を急いでおります、こちらもなかなかひまがありませんので、委員松浦榮君を本委員会から厚生委員会との合同審議という形にして行つてもらいたいということに理事会では決定いたしました。お差支えありませんか。
  58. 千賀康治

    千賀委員 内容をここでひとつ御披露願います。
  59. 坂口主税

    坂口委員長代理 それでは松浦君から御披露願います。
  60. 松浦榮

    松浦(榮)委員 私はこういう意見をもつておるのであります。今回公衆浴場法案旅館業法案興行場法案等が厚生省所管といたしまして、上程されております。その法案内容を見ますと、いろいろこまかい点についても意見がありますけれども、一つの大きな問題について私が意見を持つております点は、すべてこれは知事の許可になつております。すなわちこれらの業は全部知事の許可を得て始めるということになつでおります。ところが從來これらの業者の許可権を持つておる者は警察署長であつたものが多いのであります。しかるにこの委員会審議しましたところの風俗営業取締法の内容につきましては、風俗営業を業とする者は公安委員会許可を得るということになつております。從來は風俗営業も警察署長の許可を受けることになつてつたのでありますが、今度は二つにわかれるということになつた。これに対して私はこういう根本的な意見を持つております。それは知事に許可権を與えますと、知事は昔と違つて今日は公選知事であります。だから政党に支配されることが非常に多い。從つてこれらの業を許可するにあたつては、非常に政党的な処置をとることがないとも限らない。むしろそれが大きくなると思うのであります。從來公選知事でなく、任命の知事時代においては、知事というものは大体自分の郷里に帰れないのが原則だつた。というのは、自分の郷里に帰すと、情実が起りますから、なるべく郷里に関係のない所の知事にしておつた。それほど公平にしておつたのでありますが、今度は公選知事でありますから非常に情実が起るわけでありまして、警察署長に任せると、今日の民主國家としていささか趣旨に反するものがある。すなあち法律をつくるのは警察側であり、許可を與えるのは警察官であり、これを執行するのは警察官であるというような態勢をとることは、これは民主的にいつても、またその実情から見ましても、從來の警察國家と言われた日本の状態からいつても、これは考うべきことではないか、こう思うのであります。さればといつて風俗営業のように公安委員会許可権を與えますと、公安委員は三人であり、しかも警察には素人であります。今日は非常に正しい人がなつておりますが、将來はどうもボス的になる可能性が多い。從つて私は根本意見として、從來警察署長が許可しておつたような公衆浴場、旅館業、興行場というようなもの及び今度の風俗営業というようなものは、これは一つの委員会を組織して、その委員会許可権限を與えたらどうかというように考えでおります。その委員会には公安委員はもちろんはいりますが、そのほかに衛生上の権威者、風俗上の権威者、建築上の権威者というような者を数名入れて委員会をつくつて、その委員会許可するか、あるいはその委員会の答申に感じて知事が許可した方がいいという意見であります。そういう強い意見でありますから、どうしても厚生委員会に出てこれを述べたいという考えであります。
  61. 坂口主税

    坂口委員長代理 これについて何か御意見がありますか。それでは速記をやめて、ちよつと懇談したいと思います。     〔速記中止〕
  62. 坂口主税

    坂口委員長代理 それでは速記を始めて。
  63. 松谷天光光

    ○松谷委員 先ほどの御提案もありましたし、陳情等もございますのでできれば本日はこの程度で散会し、次会に延期していただきたいと思います。
  64. 坂口主税

    坂口委員長代理 御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 坂口主税

    坂口委員長代理 それでは本日はこれにて散会いたします。     午後三時五十九分散会