運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1948-06-26 第2回国会 衆議院 治安及び地方制度委員会 第45号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月二十六日(土曜日)     午後一時三十五分閣議  出席委員    委員長 坂東幸太郎君    理事 小暮藤三郎君 理事 千賀 康治君    理事 松野 頼三君 理事 門司  亮君    理事 坂口 主税君 理事 大石ヨシエ君       大内 一郎君    大澤嘉平治君       大村 清一君    坂田 道太君       佐藤 通吉君    中島 守利君       松浦  榮君    笠原 貞造君       菊池 重作君    松澤 兼人君       矢後 嘉藏君    高橋 禎一君       小枝 一雄君    川橋豊治郎君  出席國務大臣         内閣総理大臣  芦田  均君         國 務 大 臣 野溝  勝君  出席政府委員         総理廳事務官  荻田  保君         國家地方警察本         部長官     斎藤  昇君  委員外出席者         國家地方警察本         部警視     三輪 莨雄君         專門調査員   有松  昇君     ――――――――――――― 六月二十五日  地方税法制定に関する陳情書  (第九一号)  地方財政及び税制度の確立に関する陳情書  (第九二二号)  地方税の新設に関する陳情書  (第九二三号)  地方分與税の増額に関する陳情書  (第九二四号)  自治体消防地方財源付與に関する陳情書  (第九二九号)  自治体警察地方財源付與に関する陳情書  (第九三〇号)  警察機構の充実に関する陳情書  (第九三八号)  地方自治法の一部改正に関する陳情書  (第九四一号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  警察官等職務執行法案内閣提出)(第一二四  号)  地方財政法案内閣提出)(第一五八号)  地方配付税法案内閣提出)(第一六二号)  地方税法改正する法律案内閣提出)(第一  六三号)  警察官等職務執行法案について警察制度改革  に関する小委員長報告の件     ―――――――――――――
  2. 坂東幸太郎

    坂東委員長 これより治安及び地方制度常任委員会を開会いたします。  本日の日程は、風俗営業取締法案以下七件であります。
  3. 小暮藤三郎

    小暮委員 警察官等職務執行法案に関しまして、警察制度改革の小委員会における審議の経過及び結果に関する概要をこれより御報告いたしたいと思います。  本法案は去る六月十日、治安及び地方制度委員会に付託せられ、六月十五日、齋藤國家地方警察本部長官から提案理由説明を聽取した後、政府委員との間に質疑應答行つたのでありますが、本法案はきわめて重要な内容を有し、しかもその施行はすこぶる急を要しますので、昨六月二十五日、本法案を小委員会に併託せられ、急速にこれを審議することになりました。そこで本委員会といたしましては、きよう、すなわち六月二十六日早朝より、愼重かつ熱心に審議をいたしたのであります、まず順序といたしまして、本法案提案理由並びに内容につき、ごく簡單に、その概略を御説明申し上げます。  御承知通り警察法は主として警察の組織に関する事項規定いたしたものでありまして、警察官及び警察吏員職務執行上の権限責任に関する規定はまつたくこれを包含していないのであります。そもそも警察官職務執行の心得や、権限責任等は、從來行政執行法及び行政警察規則の中に規定せられておつたのでありますが、これらの規定は多少新憲法精神にふさわしくないものがあるとして、先般行政執行法廃止せられたのであります。このために、警察官等の行う保護や、犯罪防止のための立入りや、緊急の場合におけるやむを得ない措置に関しては、至急新たに法的根拠を設ける必要に直面したのであります。その他、警察官等による緊急避難処置や、犯罪予防、制止の権能や、武器使用権限等につきましても、從來必ずしも明確な規定がなかつたのでありまして、この際人権尊重する新しい見地から、必要な最小限度事項を具体的に規定した方が新憲法精神に副い、また民衆や警察にとりましても好ましいと考え、これらの事項を一括してこの法律案が起草せられたのであります。  この法律案は、本文八箇條及び附則から成つておりまして、第一條はこの法律目的を述べ、すなわち本法は、警察官等警察法等規定する國民生命身体及び財産保護犯罪予防公安維持並びに他の法令の執行等職権職務を忠実に遂行するために必要な手段を定めることをもつて目的とする旨を明らかにし、かつその職務遂行にあたつては、いやしくも職権の乱用にわたるようなことのないように戒めたのであります。第二條は、犯罪予防、または捜査上必要な質問をすることができることを定めたものであります。第三條は、應急の救護を必要とする者があつた場合、これに対して適当な保護を加えることを規定したものであります。第四條は、天災、事変、交通事故、火災、爆発、極端な雜沓等の際、著しく秩序が乱れて、人の生命身体財産危害の及ぶおそれのあるときは、警察官等の本務から考えこれらの場所に居合わせた者や、関係者に警告をしたり、必要なときは、これらの人々を避難させたり、または眞にやむを得ないときは、みずから必要な措置を講ずることができる旨を規定したものであります。  第五條は、人が無意識に、またはみずから意識して罪となるようなことをしようとしているとき、これに警告して、その行為を止めさせたり、それが著しく危險で急を要するときは、その行為を制止することができる旨を規定いたしたものであります。  第六條は、前の第四條、第五條のような場合に、その事の行われ、またはこれに関係のある土地、建物、船等に立入ることと、人の多数集まる公開せられた場所において犯罪が行われたり、生命財産危險が起ることを予防するために、それらの場所に立入ることができる旨を規定したものであります。  第七條は、武器使用規定でありまして、犯人の逮捕、逃走防止正当防衞緊急避難等の場合に限り、必要な限度武器を使用することができるが、其の場合でも、特に重大な犯罪を取扱う場合、あるいは他にまつた手段がない場合のほか、他人の身体危害を與えてはならないと定められております。以上が本法律案内容概略であります。  本法律案審議にあたつて、最も問題となりました点は、この法律案は、質問保護、立入、武器使用を初めとして、警察官等職務を執行するにあたつて、必要な具体的措置規定したものであるから、もしこの法律濫用するときは、せつかく憲法尊重している人権を蹂躪することになる。それでその運用には細心の注意を拂うようにいたさなければならないというのであります。まことにその通りでありまして、さればこそ殊に本法律案一條に、「この法律規定する手段は、前項の目的のため必要な最小限度において用いるべきものであつて、いやしくもその濫用にわたるようなことがあつてはならない」と、明文をもつて嚴にその濫用を戒めているのであります。  一方この点を政府委員に質しましたところ、政府委員としては、人権尊重を顧慮したればこそ、殊に本法の中に、警察官等職務を執行するにあたつて、必要な方法を具体的に掲げ、極力その濫用を防止するよう心がけるものである旨の答弁がありました。  また職権濫用した警察官等に対しては、何らか懲戒手続規定しておく方が、濫用を防ぐ上において、効果的であると思うがいかんとの質疑がありましたが、これに対し、政府委員答弁は、各都道府縣懲戒委員会を設け、これに対して関係者から申告するの途を開き、それによつて処断させるような手続に関して、目下準備中であるとの答弁でありました。  そこで本小委員会は、この法律案重要性及び緊急性に鑑み、右の事柄を強い希望條項として、本法律案を可決すべきものと議決した次第であります。  右をもつて、本法律案に関する警察制度改革小委員長報告といたします。
  4. 坂東幸太郎

    坂東委員長 ただいま小暮委員長から警察官等職務執行法案につきまして、小委員会はこれを可決すべきものであるとの報告がありましたが、小委員長に対しまして簡單質疑がありますならばこれを許します。
  5. 門司亮

    門司委員 本案はきわめて重要な法案でありまして、かつて行政執行法のやき直しと言つてもいい法案だと思いますが、あの法律廃止されました原因が、特に人権を蹂躙しておつた関係から、新しい憲法に基いて人権尊重のためにこれは廃止になつた考えておりますが、それがまた同じようなことで、ただ姿をかえただけのことで、その精神においてはほとんど変りはないということが言えるのであります。さらに問題になりますのは、警察官認定において尋問ができる。ここに質問と書いてありますが、これは文字だけでありまして、実際は尋問に間違いはないのでありまして、文字はいかようにあろうと実際は同じだと考えるのであります。もしその場合に文字にこう書いてあるから、尋問質問にどれだけ違うかという御解釈ができますならば一應承つておきたいと思います。  それからさらに警察官認定である。警察官のことごとくがこの法律を遵守するということの確信が当局におありかどうか。これは非常に重要な問題でありまして、かつて行政執行法におきましても、やはりこれとほとんど同様なことでありまして、あの法律が正しく法文通りに利用されますならば私は間違いはなかつたと思うが、往往にいたしまして間違つた認定のもとに行われておつたということが問題を起しておつたのであります。  さらに問題の対象となりますものは、いわゆる各種の大衆の上における行動が、私は往々にして行われると思う。そういう場合にどれからどれまでが正しい行動であるかというようなことについては、なかなか普通の人の認定では判断はつかないのであります。この條文の中に書いてあります人の生命であるとか、財産であるとかいうようなものに危害を加え、あるいは損害を與えるという意図というものは、なかなかむずかしいのでございまして、これをどこで見わけをするかということであります。そういうものについてどういうふうな当局の御意見であつたかということであります。この点をまず先にお伺いしておきたいと思うのであります。  それからさらに刑事訴訟法との関連をどういうふうにもつていくか、この点はきわめて重要でありますので、一應お伺いをしておきたいと思うのであります。  それから刑罰の点でありますが、各府縣あるいは自治体警察において、おのおの委員会をこしらえて、その委員会において処断されるからということでありますが、それはおのおのそういうことは私はでき得ると思うし、また人権蹂躙をしたものは、從來においても告発などの処分もできておつたのであります。これによつてあるいは警察署長であるとか、あるいは刑事とかが左遷をされ、あるいは罷免になつた事実はたくさんあるのであります。そこで必ずしも私はそういう規定があるからといつて、この法案をそのまま認めるわけにはまいらぬと思うのであります。これは事件が起つてその後にそういうものの処置が行われまして、事件被害を受けた者は依然として被害を受けただけでありまして、法律濫用ということは完全に行われる。またその受ける刑罰の程度はどのくらいのものであるかということも、一應お伺いしておきたい。  それからついでに申し上げておきますが、私はこの法案を通過いたさせまするには、先ほど申し上げましたように刑訴との関係が十分ございますので、從つて司法委員会の一應の協議をもちたいと考えているのであります。それから法の性質自体警察関係でありますので、治安委員会に実はかかることがある意味においては至当かとも思いますが、法律の全文はおそらく司法警察官としての活動でございますので、司法委員会とも一應相談して、そうして立法的に間違いがあるかないかというようなこともやはり相談をしなければ、單に治安関係のみにおいてこれを処断するというわけにはまいらぬかと思いますので、その辺をひとつ委員長に私はこの機会にお願いを申し上げておきたいと思います。
  6. 小暮藤三郎

    小暮委員 この問題につきましては、小委員会におきましてもいろいろ意見がありまして、結局ただいま御報告しました通りにまとまつたのでありますが、この場合当局からそれについての御説明を願いたいと思います。
  7. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 根本の趣旨につきまして私からお答えをいたしたいと思います。この法律濫用をされますと、一般國民に非常に迷惑をかけるという御趣旨つた考えるのでありますが、われわれこの法案立案いたしました趣旨は、むしろ一般大衆と申しますか、國民全体の基本の権利を擁護するという建前から、警察官がその趣旨に副つて職務遂行のできますように、その基準を與えたいというのが一つの大きな狙いであります。從いまして、われわれは、この法案を御通過くださいましたならば、極力その趣旨を徹底いたさせますとともに、さらに警察官の素質の向上、教養等につきましては全力を注ぎたいと思つておるのであります。今日の警察官現状において、はたしてこれが円滑に運営ができる自信があるかというお尋ねでありますが、今日の警察官の中にも、中にも感服しない警察官が往々出ますことは、非常に申訳のない次第でありますが、終戰後警察官はそういつたような御心配の点につきましては、非常に改まつてまいうたと考えておるのでありますが、なおこの上にも万全を期してまいりたいと思つております。さきにも申しますように、この法律警察官としての職務を果す上にどうしても必要な基準を與えるというのが本旨でございますので、從つてこの基準がありませんと、どこまで警察官がやり得るのかという限界もはなはだ漠としておるような現状でございます。法律の上では個人の生命身体財産保護し、公安維持をするという職責を持ちながら、さてその手段方法はどこまでやつたらよろしいかということを明確化させたいというのが念願なのでございます。從いまして、法律案自身につきましても、できるだけそれ以上の不必要な行為に及ばないように、われわれといたしましては臆病過ぎるくらいにこれを制限をいたしております。一番の御心配の点は、質問でありますとか、あるいは保護の点であろうと思いますが、これらも、條文に示しております通り、きわめて嚴重なる制限をいたしておるような次第であります。質問尋問とはどう違うかというお尋ねでございましたが、これは他の政府委員からもあるいは答弁をいたすかもしれませんが、尋問と申しますのは、これは普通刑事被疑者を取調べる際に用いるのが用例になつておるのであります。ただいまの規定は、必ずしも被疑者を相手にいたしておるのでございません。その質問という言葉に表わしておる氣持そのままで、いろいろなことを聽くというのが主眼なのであります。どこまでもこの法律の実施にあたりましては万全を期していきたいと考えております。
  8. 坂東幸太郎

    坂東委員長 ただいま芦田総理大臣が参られましたので、本案審議は一應中止しまして、ただちに総理大臣に対する質問に移ります。門司亮君。
  9. 門司亮

    門司委員 私はこの機会にごく簡單に率直に総理大臣にお伺いをしておきたいと思いますのは、出先官憲廃止に関する問題でありますが、本問題はこの委員会ですでに第一國会から継続しておつたと思いますが、これの審議を進めてまいりまして、そうして小委員会をこしらえまして、さらに本年の三月五日に大体の成案を得まして、議長を通じて内閣意見を送付してあつたはずであります。從いまして総理大臣はおそらく私ども意見というものを十分ごらんになつたと思いますが、私どもの出した意見に対しましては、今日まで何らの御回答もなく、参議院において質問があつたからということで、御意思発表があり、さらに新聞紙に第一段階として御発表なさつたのでありますが、この間において、私ども委員会において上申をいたしました案に対する御答弁といいますか、あるいは御回答がなかつたことを私ども非常に遺憾に考えております。われわれは少くとも國会権威ある委員会においてこれが草案を得、さらに議長を通じて内閣に送付してあるはずでありますが、それに対して何らの御回答をなさらないうちに御発表になるということは、この委員会権威のために私ははなはだ遺憾に考えておりますが、この点に対して総理大臣はいかにお考えになつておるか。まず最初にそれをお聽きしておきたいと思います。
  10. 芦田均

    芦田國務大臣 ただいまの御質問は、実は私としてはかえつて意外に感ずるのでありまして、私ども十分國会権威意向尊重するのであります。從つてもし出先官憲の問題において、衆議院がこれだけのものは廃止すべきである、整理すべきであるということであれば、法律案として修正案なりあるいは特に改正案なりを御提議になつて、その意思を貫徹せられる途は十分に開かれておるのであります。むろんわれわれの方は、國会としては必要な場合にはかような法案が出ることはよく了解しておるのであります。從つて國会のそういう権限を心得ておるから、特に國会に向つてわれわれがかれこれと返事とか回答とかいうものは必要としない関係にある。御意思十分了として政府はその措置をいたしましたが、特に國会に対して政府國会意向尊重するということは、尊重いたしますが、これに対して政府からかれこれと意思を述べる立場でない。かように考えておつた次第でございます。
  11. 門司亮

    門司委員 それではさらにお伺いしたいと思いますが、ただいまの総理の御答弁によりますと、議会からそういうものに対する発案があるというようなことを期待されているようにも聞えるのでありますが、私どももとより廃止をいたしますことを申し上げましたからには、こういうものを廃止してもいいという考え方を十分にもつておりますので、あるいはいつ提案するかわかりませんが、先ほどの御答弁によりますと、法律案を出されるならばというお考えがありますならば、私どもが、これを一應成案を得まして、こういうものを廃止してもらいたいということを法律案として提出いたします場合におきましては、総理大臣といたしましては、その上で御返答をなさるというのか、あるいはそういうことについて、私どもは実は出先官憲廃止に対する法律案を出すことを考えておるのでありますけれども、一應内閣の行い得る範囲においてこれが廃止ができるものならば、それによつて國会との間にいろいろ論爭があつたというようなことでなく、廃していただきたいという氣持を十分にもつてつたのでありますが、もしただいまのようなお考えでありまするならば、私どもはそのお考えに基いて出先官廳廃止に対する法律案を出すことに決してやぶさかではございません。その場合にはひとつそれに應ずる十分の御用意があるかどうかということを、あるいは聽き過ぎるかもしれませんが、あらためてお聽きしておきたい。
  12. 芦田均

    芦田國務大臣 先ほども申し上げましたように、國会國家最高機関であります。從つて國会提案された法律政府が從わないということはあり得ないことであります。國会において通過いたしましたる法律案は必ず十分に尊重いたします。
  13. 松浦榮

    松浦(榮)委員 三つばかり総理大臣にお伺いしたいと思います。私は北海道の出身でありますから、最初北海道のことについてちよつとお願いいたしたいと思います。それは北海道に対していろいろな交付金補助金配付税等を御配付になります場合には、何とぞ府縣並とは違つて相当に高額を見積つて開拓のために御盡力、御高配をお願いしたいのであります。  御承知通り北海道開拓途上にありますので、北海道に対する國費予算拓殖費として一本になつてきたのであります。從つてその額も大きくて、地方に貢献したことも非常に多かつたのでありますが、昨年各省に予算が分立してしまいましたので、その交付金補助金配付税につきましても、府縣並と同じように扱われるおそれが非常に多いのであります。それでありますから、何とぞ今後こういつた問題が起きました場合には、総理大臣におかれましては、常に御留意を願いまして、何分の御高配をお願いしたいと思います。  第二は地方財政の問題でありますが、そのうちの一つお尋ねいたしたいと思います。それは昨日私は政府側自治体側との今回の地方税に対する折合いがついた予算をお考え願いたいと申し上げたのでありますが、これに対して何か具体的なお考えはありませんでしようか。それは地方財政委員の重要な構成部分が全部やめてしまつたのであります。すなわち自治体側を代表する人たちは全部やめてしまつたのであります。それをむりして政府案通りにやれということは、これは一つのフアッシヨであろうと思います。なるほど委員会というものは、立案企画機関であるかも知れませんが、また委員会の法規によりますと、その委員会立案に基くと書いてあります。法案國会に提出しなければならぬとあります。それでありますから基がなければならぬ。なるほど今度出された予算は基いているかも知れません。しかしその基くという意味は、ほとんど根本的な分を無視したものまでも基くと言うことができるかどうかということについては、相当考えなければならぬと思います。それでありますから、この財政委員がやめられたという点につきましては、できるならばこれを早く補充しまして、その補充された人たちの再編成された委員会によつて予算案をもう一度組み直して、政府案と折合わしていただくのが当然であろうと思いますけれども、その暇がなければ、何とか政府自治体側とが折合う方法を講じていただけませんでしようか。その点につきまして何らかの具体的な案をお考え願いたいと思います。  もう一つは、やはり地方財政に関する問題でありますが、今回の地方税に関しまして、政府側の案と委員会側の案とを比べてみますと、その自主性健全性におきまして政府側の方は非常に不安に感ぜられます。一々説明いたしません。おもなものだけを説明いたしましても、たとえば起債におきましても二百七十億という起債はとても消化することができないということは、今からはつきり言えるのであります。昨年でさへも百二十億の起債が三十億か四十億しか出ていないのに、今度の二百七十億に近い起債はとうてい不可能であるということは今から言えます。  それからまた住民税につきましても、八百円の原案を千円まで引上げてもらうということは、これは地方に徴税の額が賦與されたのでありますけれども、しかしながらこの千円という額はとてもこれは徴收不可能であるということを町村側言つております。それからまたその他の問題につきましても、たとえば分與税配付税、この問題につきましてもその自主性からいいまして、もう少しこれを彈力性あるものにするためには、政府はこれを減しまして、そうして地方側にもつと彈力性のある税をいただかなければならいというふうに言つておるのであります。そういう自主性健全性から申しまして、私は町村側自治体側意見は相当理窟があると思うのであります。そういう立場から、もつともつと研究しなければならぬと思いますが、それらについては大藏大臣お尋ねいたしますが、この際総理大臣一つ伺いいたしたいと思いますのは、地方委員会側から酒、タバコ消費税というものを提案しております。これを委員会原案では酒、タバコの購入に際して、道府縣及び市町村に約その二割の消費税を課することにした。これが委員会原案であります。しかしこれは大藏省としては全面的に削除しております。これに対して総理大臣はこの原案を復活させていただくことはできないか、すなわち酒、タバコ消費税町村自治体に賦課することを認めていただけないでしようか。もちろんこの委員会側から要求をいたす率通りでなくともよろしゆうございますが、少しでも頭を出すだけの、彈力性のある税を町村自治体側に與えていただけないでしようか、その点につきまして一点総理大臣のお考えを御披瀝願いたいと思います。
  14. 芦田均

    芦田國務大臣 開拓費の問題につきましては、御承知通り開拓の余地の残されておる最も大きな地方北海道及び東北であります。そのことは政府においてもよく承知をいたしておりますから、開拓費の配付等についてもほぼその基準從つて予算を計上いたしました。  第二の問題は、地方財政委員会と政府との間に意見の相違のあることは望ましくない、從つて意見が合致して後に案を出したらどうかというお話だつたと思います。むろん松浦君のお説のように、政府及び地方財政委員会が一致の見解に達した案を國会に提出して、その審議を求めろということがわれわれの最も念願とするところで、できるならばさようにいたしたいということは今も変りがないのであります。不幸にして今日地方財政委員会の案をそのまま政府において了承することが困難な事情で、やむを得すお手もとにあるごとき案になつたのであります。從つて國民の代表機関たる國会がこれを審議せられて、はたして政府のとつたことがいいか惡いかということを十分御檢討の上で最後の判断のお下しを願う、こういう意味において地方財政委員会は國会と同様の権限を持つておるわけでもなし、また特に政府と対立的な立場にあつて問題を議するというわけでもない。要するに地方の実情に通じておる專門の人々が、その独自の見解によつて意見を出すという機関にできておるのでありまして、現在のところでは政府がその意見を篤と研究した上で、政府独自の見解によつてある程度これに補正を加えていくという経過であります。從つて今日再びこの案を撤回して、地方財政委員会と再協議を開くということは、今日の場合非常に困難な事情にあるということを御了承願います。  酒、タバコの問題は昨日お答えした通りでありまして、昨日のこの委員会で一應の私の申し上げた回答以上に特に附け加えることはありません。
  15. 坂東幸太郎

    坂東委員長 坂口主税君。
  16. 坂口主税

    ○坂口委員 一言意見を申し上げます。新しい憲法になりまして、一番大きな改革の一つは、地方自治というものについてであります。地方分権ということが、從來の日本の國の建前からしまして、最も顯著なことであると考えるのであります。從いまして新しい日本の國民としては、この地方の自主化あるいは民主化ということにつきまして、非常なる期待をもつておるわけであります。しかるに今回地方制度の方は清々整備いたしましたが、その裏づけとなります地方財政という方面については非常に不充分である。これは昨日からお示しになりました通り——お示しがなくても日本の経済の現状からしましてある程度致し方ない。憲法と申しましても、一面からいえば、政治的にいえばこれは國民の生活の理想であります。必ずしもその通りにただちに現実の政治となり、政策になつて現われるということは困難であることは承知いたしております。しかしながら先般來この地方自治という方町のいろいろの問題につきまして、いかにも現政府に誠意が足りないというふうな印象を一般に與えておる。全國都道府縣知事、市長、町村長会等においては、それぞれ大会等を開き、政府にも陳情しておる。それにお答えがあつたにかかわらず、なお運動を続けておるという情勢であります。また先ほど問題に出ました地方財政委員会のごときも、この機構そのものにも檢討すべきものがあると思うのでありますが、特にそのため必要として入れた委員の大部分の人が、責任を持てないというようなことでやめてしまうというようなことになつております。いかにも地方全体から、また出先官廳廃止の問題につきましても非常な不満がある。もちろんお示しの通り、すべての方面に今ただちにきれいに解決して、ここにはつきりと新憲法によつて示されておる地方自治というものがその通りにいくことは、これは望むことがむずかしい。しかしながら少くとも漸を逐うていくにしましても、私は國民に対して、特に地方團体のものに対して希望をもたせるということが、最も必要であると思うのであります。私の最もおそれますことは、具体的の問題は他の方面で檢討いたしますが、総理大臣がこの地方自治に対して誠意をもつて、そうしてこの理想に向つて十分に努力しておられるということ、その氣持をもう少しはつきり御闡明が願えれば結構だと考えるのであります。なおこの地方財政委員会の機構は最近できたのでありますが、これに対し今回の実情に鑑みられまして、何らかこれに改正を加えるというような御意思があるかないか、併せてお伺いいたしたいと思います。
  17. 芦田均

    芦田國務大臣 坂口君の御意見は十分根拠のあるお考えであると思います。申すまでもなく明治以來自治制度の発達は、中央政府がまずできて、しかる後に明治二十年代に至り全國に初めて地方自治制度というものが布かれ、しかもいくばくもなく軍閥、フアッシヨ政治の影響を受けて、日華事変以後はほとんど名実ともに地方自治の運用は認められない。ただ形のみになつて終戰時に至つたというのが過去の歴史であります。從つて民主主義政治の運用とは言いながら、イギリス、アメリれのごとく健全なる地方自治の上に積み重ねられた民主主義政治の運用ではなかつた。今回の憲法改正によつて、初めてやや諸外國に比肩すべき地方自治制度がわが國に布かれることになつた。時あたかも敗戰のあとを受けて、中央、地方の財政が非常な混乱の状態に陷つて、今日はその過渡期に臨んでおる。從つて経済生活の上から見ても、財政の見地から見ても、英米のごとく健全なる地方財政、それを基礎としたる中央財政ができ上つておる國とは全然趣きを異にする。このことは坂口君もすでに御承知のことでありますが、そういう立場から見て、わが國においてはこの際一層強く國民全般にわたつて、自治制度運用の根本精神をよく理解せしむる必要があり、またその理解の上に立つて、初めて自治制度は円満に、かつ効果的に運用せられるものとわれわれも感じておるのであります。そういう点においては、今後官民をおげて努力すべき余地は非常に多い。私自身多少諾外國の自治制度の運用についても、目近く見てまいつた一人であります。さような自分の体驗から見ても、今日までのわが國の自治制度が、いかにも形ばかりに流れて、実質を伴わない自治制度であつたかということを痛感しておるのでありまして、その円満なる自治の発達を希望する念において、決して人後に落ちないということは、深くみずから信じておるところであります。地方財政委員会の機構及び権限については創立後日なお浅き事情はあるにいたしましても、今後さらにこの問題を再檢討して必要な改革を行うべき事情があるかに考えております。まだ今日までのところ具体的の案は十分に立つておりませんが、今日地方財政委員会の有力なる委員が辞表を申し出た等の事情を考えてみて、そこに何らかの新しき問題が提起されたかに感じられるのでありますから、十分研究をいたしまして、速急に何らかの具体的提案をいたしたいと考えております。
  18. 松野頼三

    ○松野委員 昨日一つ、二つ御答弁が漏れておりましたので補足してお願いしたいと思います。第一点が地方財政委員会をただいまどう改革されるかということをまずお聽きしたい。何らかの疑問が將來の課題として残されておるというお言葉でありますが、地方財政委員会を強くされるのか、あるいはかくのごとく三人もやめてしまうような不都合があるから、今度もつと政府の方を強くするのか、あなたはどちらになされるかという点をまず一点お伺いしたい。
  19. 芦田均

    芦田國務大臣 第一の点につきましては、先ほどお答えした通りであります。
  20. 松野頼三

    ○松野委員 それでは第一点はどちらに改革されるかという点をひとつ…。
  21. 芦田均

    芦田國務大臣 ただいま研究中でありますから、確定次第お答えいたします。
  22. 松野頼三

    ○松野委員 なお地方財政委員会の制度の運用においてとやかく御質問申すまでもありませんが、少くとも地方財政委員会は要らないものじやないかと私は今度の法案を見ると感ずるのであります。殊に地方財政委員会は機能を停止しておきながら、なおかつ平然としてこの財政法案及び地方税法案をお出しになるのでありますから、要らないように感じられるのであります。
  23. 芦田均

    芦田國務大臣 地方財政委員会はぜひ存続せしめる必要があると思います。機能を停止しておるというのも、これは見解の相違でありまして、現に三人の委員が辞表を出しておりましたが、そのうちの二人は辞表を撤回しております。一人はあるいは至急に後任をきめなければならぬと思いますが、しかしどのみち財政委員会は引続きその機能を発揮することに各委員とも深く決意をいたしておる次第であります。
  24. 松野頼三

    ○松野委員 なるほどそれでは二人だけの飾りものの財政委員をおつくりになつたようでありますが、それならば財政委員会においてこの立案をなぜされないのか、せつかくできたものを使いもしない下二人を補充したというならば、いわゆる飾りものでありましようし、この運用の面においてなぜお使いにならないのか。
  25. 芦田均

    芦田國務大臣 ちよつと質問の御趣意がわかりませんからもう一度おつしやつていただきたい。
  26. 松野頼三

    ○松野委員 それでは地方財政委員会ができたならば、地方財政委員会を十分活用されて、地方税法及び地方財政法をお出しなさいということであります。
  27. 芦田均

    芦田國務大臣 今日まで十分活用してまいりました。
  28. 松野頼三

    ○松野委員 活用はされたかもしれないが、意見を聽かない、お前はそこにおつて言うだけ言え、おれは聽かないというような方法ではなしに、実際においてその立案及び総理を補佐してという言葉がありますように、総理を補佐する補佐の役目をいたさなければ、いわゆる飾りものでなかろうか。これは見解の相違でありまして、この芦田内閣のときはあれでいいのだ、十分活用しているとおつしやればそれまででありますが、まあ世間体にはあまり活用しているとはどうしてもとれない。これはあるいは御答弁がもうこれ以上ないと思いますから第二点に移りましよう。  第二点は地方自治体の確立に力を盡されるならば、殊に税制、財政法においてそのお力をお注ぎにならないのか、これは考えておりながら、大事なときにそれとまるで反対のものをお出しになる御趣旨はどこにありましようか。
  29. 芦田均

    芦田國務大臣 地方財政委員会の意見を十分聽き、かつこれを研究した結果、なお必要な修正を加えたのでありまして、決して地方財政委員会を軽視したとは考えておりません。十分その効果は発揮したと思います。
  30. 松野頼三

    ○松野委員 第二点の地方自治体を実際に確立されるならば、今度の大事な税制、財政法でこそ、地方自治体の多年の縣案の解決ができるのではないかと思いますが、なぜかくのごとき圧迫をなさるか、地方自治体の存立も危ぶまれる予算及び財政法をなぜお組みになつたか。
  31. 芦田均

    芦田國務大臣 地方自治團体を圧迫した予算を組んだとは考えておりません。
  32. 松野頼三

    ○松野委員 ちようど話が第三点に移りますが、昨日は酒、タバコ大衆課税だから不適当だというお言葉を拜聽したのでありますが、なるほど酒、タバコ大衆課税であります。しかし國家財政においては、これを認めておきながら、地方自治体の財政においてはこれを禁止するという点はいかなる理由がありましようか。
  33. 芦田均

    芦田國務大臣 大体酒、タバコに対する税は、これで飽和点に達している。從つて今後経済状態の変更等に伴つて、給與水準がさらに上り、その他の物價等の変動によつて國民所得に今日以上の増額が認められるという場合ならば、これはまた別でありますが、今日ただいまの経済状態から言えば、これ以上酒、タバコを値上げすることは不適当だ。こういう意味であります。
  34. 松野頼三

    ○松野委員 農業事業税というものがこのたび設定されまして——小さいことを総理大臣に申し上げましても、総理大臣予算のことはあまりお詳しくないそうでありますから、小さいことは申しません。それで事業税というものが、農業、水産業及び自由業を対象として設置されましたが、これがいかに農業者を圧迫し、水産業者及び自由業者を圧迫するかという点を考えますと、私たちはタバコ、酒以上に困窮なる階級をつくる、殊に農業者、水産業者を入れますれば、おそらく全國民の六割に達するでありましよう。酒、タバコをのむ者は女子を減らしますれば半分はおりますまい。そうすれば私は大衆課税の眞意からしますれば、農業事業税の方が大衆を圧迫する税である直接税的なものであるから、私はかくのごときものを設置されて、半面において今のようなお言葉ははなはだ不可解に思いますが、この趣旨において農業事業税及び水産業を入れた事業税はよろしいという御見解はどの点で御判断になりましたでしようか。
  35. 芦田均

    芦田國務大臣 ただいま質問者のお話の通り、私は財政経済のことは案外わかりませんから、よく知つている事務当局がら御返事をいたします。
  36. 松野頼三

    ○松野委員 私は何もあなたにわからないことを特に御答弁つているのではないのであります。なぜかと申しますれば、私が事務当局あるいは野溝所管大臣とお話をするときには、私の意見の方が強く支持されている点が多々ありながら、最後において総理大臣の力において、あるいは総理大臣の命令において、あるいは総理大臣の束縛において、野溝大臣は御答弁ができない点があつた。だから私は大きな相違点を申し上げておるのであつて、数字的な小さい点ではありません。あなたは酒、タバコ大衆課税だから反対したと言われた。ちようどその反対が農業事業税の創設ということでありますから、こちらがやめたらこちらがいいという点が当然あるべきだ。殊に御提案者である総理大臣の御意見伺いたい。
  37. 芦田均

    芦田國務大臣 この問題は閣議でいろいろ論議をしたのでありまして、私としてはこの問題に関する所管大臣の意見を適当と認めてこの案にまとめたのであります。
  38. 松野頼三

    ○松野委員 もう一点でございますが、地方財政委員会はこれは地方町村長あるいは市長及び府縣知事代表で構成しております。この三人の者がどうしても承服しかねる、これはすなわち全國町村長会、市長会及び府縣知事会で承認した十分な議論のあることをあなたが容れないためにやられたのでありますから、少くともこの案を強行される以上、全國の町村長、市長、府縣知事の反対を押し切られ、片方においてこの法案に関しては明らかにあなたに対して不信の念を懷いております。こういう案をなぜお聽き入れにならずに、一國務大臣の言葉をお聽き入れになつたか、はなはだ民主主義と相反しております。なるほど芦田内閣創立以來、あるいは前副総理としてもあなたは強い政治力をもつておりますが、現在は國民に負担のかかるべき問題は、國民の声を聽くのが民主主義の新しい内閣だと存ずるのであります。声も聽かずに強行される眞意はどこにあるか、どうしても市町村長、府縣知事の声を聽かないという強い信念はどこにあるかということを私は了解しきれないのであります。
  39. 芦田均

    芦田國務大臣 私は風民を代表するのは國会以外にはないと考えております。地方財政委員会が國民を代表しておるとば考えていないのであります。この点は見解の相違であります。
  40. 松野頼三

    ○松野委員 なるほどなかなか御りつぱなことであります。私もそう承知しますが、少くとも地方財政というものを担当するには、代議士以上にもつと必要なる人間があればこそ、地方財政法をおつくりになつたのでありましよう。それでなければ地方財政委員会は最初から必要ございせん。代議士でもつて地方財政委員会をおつくりになつた方が、あなたの御答弁に合うように存じます。そうすると地方財政委員会を改組する場合には、國民の代表である議員をもつて地方財政委員会をおつくりになる、こういうふうに感じられますが、それで承知してよろしゆうございますか。
  41. 芦田均

    芦田國務大臣 國民を代表して地方財政を檢討するものは國会であります。地方財政委員会は地方財政に関する学識経験ある人を集めてつくられております。それは國民代表という意味と、また学識経験ある者の專門家的な素質をおもにした会議というものとの違う点下あります。これはよく御承知通りであります。
  42. 松野頼三

    ○松野委員 これは私が聽き違いがあるかもしれないのでお尋ねしますが、地方財政委員会はどういうメンバーをもつて構成されておりますか。
  43. 芦田均

    芦田國務大臣 それは官制をごらんになればすくわかることでありまして、総理大臣が一々官制を読み上げる必要はないと思うのであります。
  44. 松野頼三

    ○松野委員 それで大分わかりました。そうすると学識経験者という考えが私と少し違う。町村長代表一名、あるいは市長代表一名、または府縣知事代表一名、こういう者のほかに國務大臣及び國会議員をもつて構成されておると私は記憶するのであります。学識経験者とおつしやるが学識経験者がはいつておるように感じられませんが、首相の言われる学識経験者とは、どのような者をお指しになりますか。
  45. 芦田均

    芦田國務大臣 衆議院議員一名、参議院議員一名はいつておるというのは、衆議院の代表、参議院の代表という意味ではありません。衆議院議員の中から学識経験ある人を選んだのであります。知事を選んだということは都道府縣知事の法律上に基く代表権をもつて出ておるものではない。その他皆そうであります。あなたのおつしやる意味が私はちよつとわかりかねます。
  46. 松野頼三

    ○松野委員 その意味の学識経験者と私は大いに違つておりました。なるほど学識経験ある市長、学識経験ある知事、学識経験ある町村長というと非常に狭義な意味に解するのでありますが、私はそうではない。地方財政委員会というものは直接地方財政を担当する知事の中から一名、市長の中から一名、町村長の中から一名、こういうふうに廣義に、いわゆる市長の代表、町村長の代表、知事の代表、そういう意味だと私は解するのでありまして、特に知事の者が学識抜群の者でなければならないということは、法規においては読めないのであります。その意味において、私は少くとも地方財政を掌る者の各層の代表者という意味で申したのでありまして、その点においては見解の相違であります。また法文を読みましても学識経験ある市町村長から一名ということは読みとれなかつたのであります。総理大臣は学識経験者でなければ地方財政の中にはいれないという御見解であります。その点において大きく議論が違いますからあらためてまた申し上げます。私は首相の言われる市長及び町村長、知事等がかくのごとき大きな意見を持ち、自分の生命をかけ、自分の職務をかけても、どうしても地方財政を確立しなければいけないという固い決心において全部辞任したということは、國民の代表者として民主政治の國会においてこれを重要視しなければならないと存じます。学識経験ある代議士、國務大臣をお選びかもしれませんが、やはり民衆の声を聽かなければいけないという点において、どうしても私は地方財政委員会の機能までも停止して、かくのごとく地方財政を困窮に陷れたというほんとうの腹が未だにつかみがねますが、私にわかるような御回答が願えますればもう一度お伺いしたい。
  47. 芦田均

    芦田國務大臣 今までお答え申し上げた以外に何も附け加えて申すことはありません。
  48. 笠原貞造

    ○笠原委員 私も総理大臣質問したいと思いましたが、帰られましたので、野溝國務大臣に一点だけお伺いしたいと思います。それは地方配付税の問題でございますが、地方配付税配付金は第一種から第五種まであるようでございます。このうち第三種、第四種は地方の都道府縣の財政の需要を標準といたしまして配付するところの配付税でございます。御承知通り野溝國務相は長野縣でございまして、私ども同様北陸に位しておるわけで、よく事情はわかつておるのでありますが、御承知通り北陸、東北、北海道というのは非常に雪害、冷害というようなものが多くありまして、地方財政のいろいろな支出の面におきましても、雪害手当とかいうようなものが出たり、また土木事業にいたしましても橋梁や道路の破壞というものは非常に激しいのであります。それでこれに対しまして財政需要の面から温かい地方とはよほど趣きが違うと思うのでありまして、政府においても一部やはりその事情を認めまして、ここに三項わけて多少加減しておりますが、私はこの程度ではまつたくすずめの涙で、役に立たないと考えるのでありますが、この点に対しまして國務大臣はどういうふうにお考えでありますか、御答弁願いたいと思うのであります。
  49. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 ただいま笠原委員より御質問のありました配付税に関する内容の問題でございますが、御指摘になりました通り、東北、北海道につきましては生活上あるいは生産土諸種の点から勘案いたしまして、今回の配付税の率の点を考えた次第でございます。北海道においては大体一、三、東北、北陸につきましては一、二という点を考えてきめたのでございますが、どうもこれだけでは均衡がとれないじやないかという御意見でございますが、しかしこの率をはじき出すにも、たとえば入場税を今度は地方に委讓することになりましたが、その際縣と町村との関係、並びにその町村におきましても劇場あるいはその他の施設のある場所と、ない場所とがあるということについての不公平の問題、その他学校、六三制の学級数の問題等、あるいはその人口等いろいろの関係を総合的に檢討いたしまして、この程度ならば不公平はあるまいという数字が一應出ましたので、以上のようにきめた次第でございます。御指摘にありましたように、東北並びに北海道の特殊性の点につきましては十分了承しておりますので、さらに誤りのないように再檢討をしてみたいと思つております。
  50. 笠原貞造

    ○笠原委員 ただいまの答弁で大分わかつてまいりましたが、私は実際この財政の特殊事情を賄うには足らないと考えるのでありますが、その点につきまして、もちろんこれは財政は今窮迫しておりますから、今年ただちにというわけにはいきませんが、やはりこの点をもつと増額していかなければならないのじやないかと考えますが、その点につきまして國務大臣の御意見をひとつ伺いたいと思います。
  51. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 笠原委員の御指摘まことにごもつともだと思います。なおさらに一應予算が完全に決定になつた上で、種々勘案してみたいと思つております。
  52. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 大藏大臣伺いたいと思つてつたのですが、おいでになりませんから、野溝國務大臣にお伺いいたします。  わが國の租税に対する基本方針について所見を伺いたいのでありますが、私は租税の基本観念は、直接税中心主義でいくことが最も妥当であり、かつ適切であると考えるのであります。それは國民の租税力に應じて負担の公平を期し、併せて物の生産意欲を阻害することのないようにできるからであります。元來租税は所得税一本にしてもあえて誤りでないとさえ考えておるのであります。一昨日の委員会におきまして酒、タバコ税の地方委讓の強い要望があつたのでありますが、地方財政の窮乏せる現状から考えまして、最も当然のことであると考えるのでありますが、そのとき松野委員質問に対しまして大藏政務次官は、國家財政の窮乏せる折柄、酒、タバコ税の地方委讓はでき得ない。かように答弁があつたのであります。そこで地方財政確立のために酒、タバコ税が委讓できないということになるならば、その代り財源として所得税の附加税を創設して地方に與えることが地方自治、地方財源の確立をはかる意味になりますし、これによりますれば結局税率のいかんによりまして、地方財政の確立は期し得られるものと考えるのでありますが、なお國務大臣のお考え伺いたい。
  53. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 大澤委員にお答えいたします。  租税の基本的な考えはどうか。なお地方財政の裏づけとして、酒、タバコ税の委讓が妥当だと思うのにかかわらず、大藏当局は見解を異にしているが、この点に対する考え方はどうかという御意見だと思います。ただいま大澤委員の御指摘になりました通り、租税に対する基本観念につきましては、私一個としても意見を持つておるのでございます。從來の税の体系論というものに対しては、私は相当考えなければならぬ点がありはしないかと思います。それはどういう点で考えなければならぬかというと、今日までの税制体系というものは、大体新憲法下の制度のもとにおける感覚をはずしておると思います。たとえば予算編成にあたりましても、新憲法前におきましては、各省の予算の査定をいたしまして、その上に政府予算が編成されたのでありますが、この点は先般來各委員においても相当論議されておるのでございますが、窮極するところ、私はただいま大澤委員の御指摘になりまたところまで、問題が発展をしなければ、政府間における論議の結論が得られぬのではないかとさえ感じております。なぜかならば、今申したような次第でございまして、特に新憲法のもとにおきまして新たなる自治法が生れ、形の上で自治体ができたのでありますが、この形の自治体を完成せしめるには、やはり財政の裏づけがなければできないのであります。しかるに現段階における財政、税制の制度は、依然として中央集権的な経済方針であることについては、私は間違いないと思つております。かような点につきましては非常に私どもも遺憾とするのでございまして、この点は後日の問題として相当檢討をし、結論を得なければならぬと思つておるのでありますが、現に直面して大きな問題として悩んでおるのは、地方の自治体がただいま申したように、一應法的な確立をしたにかかわらず、一つも財政上の保障、自主制が確保されておらないのであります。これは全部確保されておらぬといろわけではありませんが、まだ全部の確保ができておらぬのであります。かような点に非常に遺憾の点があるのでございまして、私は税が直接税を本位にするという意見については同感でございます。單に私は直接税を本位にするということだけでなくて、現在のような日本の経済的な危機相をもつておる時代におきましては、さらに社会政策的な見地をも、その税の中に織り込んだ基本的な税制体系を立てなければならぬという感覚を持つておるものでございます。なおそれは私一個の私案でございますし、構想でございますが、当面の問題といたしましては、所得税一本であるとか、あるいは直接税を集約し、整理して一つにしろという御意見については賛成でございますが、現在の状態のもとにおいては、所得税につきましては飽和点に達しておるやに見受けられますので、この点は相当困難があるのではないかと思います。もつと基本的に一應檢討してみなければならぬ、かように考えております。  それから酒、タバコ税を、地方に委讓することは、大藏当局國家財政の見地から不可能だ、こう言われますが、大藏当局がどういうことを申したか、私そのときは聽いておらなんだのでございますが、とにかく國家財政の窮迫、これは事実でございます。しかし國家財政が窮迫であるから、地方財政はどうあつてもいいというがごときは一方的であり、大藏当局のだれがそう申されたか知りませんが、これははなはだ私は一知半解の説である、かように思つております。特に新憲法下における時代感覚のない御意見だと思つております。私ども國家の財政、地方の財政ともに調整をとりまして、そうして納得した財政、税制計画を立てなければならぬ、かように思つておるのであります。酒、タバコのごときも國家財政の見地からも主張ができましようし、地方財政の見地からも主張できるものでございまして、かような点から見るならば、あえて酒、タバコ國家の財政でなくてはならぬという決定的な論拠はありません。ただ專賣品であるからというような意味において主張されるのみでありまして、これは必ずしも國家でとらなければならぬという税法ではないのでありますから、調整ができるならば、私どもといたしましては、かようなものは地方に委讓してもらいたいという意見をもつて主張してまいつたのでございますが、遺憾ながらかような主張が通ることができませんでしたので、私は一應現在の経済情勢のもとにおきましては、今回のお手もとにあげました税法によつて、一應の危機を切抜けるという当面措置法案として、これを提出した次第でございます。
  54. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 野溝國務大臣の御答弁によりますれば、結局所得税法一本、いわゆる直接税中心でいくことが最も望ましいことである。しかし所得税も現在飽和点に達しておるがために、所得税に対する地方税の附加税を創立することはできないという御答弁を承つたのでありますが、私は他のいわゆるこのたび提案されましたところの地方税法案の事業税、あるいは特別業務税あるいは木材取引税あるいは鉱産税、その他の地方税に対して、野溝國務大臣の御意見をお伺いしたのでございますが、特に特別業務税は最も惡税と言うべきであると思うのであります。なぜならば医師、産婆に課税していくことになりますれば、結局不遇なるいわゆる老若者か、あるいは妊産婦に課税をする結果になるのでありまして、むしろこれは國家が厚生施策を施してこれが社会的救済をなすべきものである。かように考えられますので、これらの者に対して、税の轉嫁をもつて報いるということをもつていたすならば、まことにゆゆしき社会問題である。かように考えられるのであります。これもいわゆる担税力のある納税義務者に負担をせしめる、これに対する所得税の附加税を創設することは、社会政策的の見地から見ましても、あるいは國政を運用する面から見ましても、望ましいことであると考えられるのであります。  なお事業税のごときも農産物の増産の叫ばれておる現在におきまして、農産物生産を阻害する惡税と考えられるものであります。なお鉱産税のごときも、わが國においては地下資源の欠乏しておる折柄、地下資源の生産を阻害するがごとき惡税の存することは、わが國経済再建の癌となると言わねばならぬと考えられますので、これに対して何とか直接税によります所得税の附加税をもつて地方財政の確立をはかる、かように野溝國務大臣は考え直していただくように、この際強くお伺いすると同時に、要望するものであります。
  55. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 大澤委員の御指摘になりました通り、私は理論といたしましては先ほど大澤委員の申されましたように、直接税でやつていきたいと思つておりますし、なお税種なども簡易化して、整理しているのが妥当と考えております。しかし現在の状態のもとにおきましては、ないしは現在の制度のもとにおきましては、それができない事情にありますので、やむを得ずこの途をとつたというように御了承おきを願いたいと思います。  なおただいま地方財政中特別業務税に対しての御意見がありましたが、國といたしましても際限があり、かつまた地方自治体の自主性が確保されるような状態にあるならば、何も好んで諸種の税金をとろうという考えはないのでございます。しかしいかんせん、中央から委讓するものは入場税だけでございまして、その他のものにつきましては分與という制度のもとに出されておるという次第でございますので、実際においては地方に彈力がないのでいたし方なく、まず地方において独立の税を設ける、あるいは税率を改廃するとか、あるいは率を引上げるとかいうことで、一應そこを間に合わせていくということよりしかたがないので、かような税をかけることにしたのでございます。  そこで特にこの業務税でございますが、業務税につきましては医者の方には特別應召義務と言いましようか、そういうのが法律で今度制定されまして、たとえば患家の要求に対して拒絶することができないことになりまして、相当掣肘を加えられることになつたのであるから、これに対しては特殊扱いをしろという御意見も相当あつたのでございまして、特に一應初期におきましては、事業税という中に、原始産業並びに自由業としてこれを入れたのでございますが、以上のような御趣旨もありましたので、特別業務税として、税率の点なども百分の十を初期においては構想いたしたのでありますが、これを百分の七としてその点は処置をとつた次第でございます。なお鉱産税についていろいろと御意見が述べられましたけれども、鉱産税についても、これは府縣においては新たに今度は独立税として設けることになつたのですが、これも鉱物の採掘であるとか、あるいは採取をするという、その物に対する價格に対して、これをかけるのでございますから、もしその鉱物なりの採取がない場合は、これをかけるわけにはいかぬのでございます。かような点について幾分の税は、これを了承してもらわなければならぬというわけで、課税をすることになつたのでございます。
  56. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 ただいま野溝國務大臣の御答弁によりますれば、まだ農業事業税の御答弁はないのでありますが、いずれにいたしましても、直接税中心主義がよいということは繰返して申されておりますが、所得税に対して附加税をかけるという地方税制度がよいというようなことも申されております。とにかくそれがいろいろな事情でできないというようなお話でありますが、要するにいかなる角度から考えましても、所得税ならば、ある者から税を徴收するということになるのでありまして、ない者に課税するのは所得税とは申さないのでありまして、所得のある者からその負担をさせるというような、税といたすならば最も理想的な税であると考えられますので、これに対して地方税の附加税を創設して、他のいわゆるまぎらわしい農業事業税あるいは鉱産税、あるいは先ほど申し上げました病弱者その他まつたくの病人等に課税をして、困る者を苦しめるような租税制度は改善することが一般社会の常識から考えてみても当然であるということは御答弁通りでありまして、そういう面からいたしますれば、この際総理大臣もおいでになりますから、この点を何とか地方税制の改正においては、所得税附加税を創設するという点に改める御意思が、野溝國務大臣にあるようにも見受けられますので、総理大臣がこれに対してもし御意見をお述べいただければ、野溝國務大臣の御意見と併せて伺いたいのであります。
  57. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 農業方面の事業税の話がなかつたと申されますが、これは各委員会においても申述べ、かつまた予算委員会においても詳細に申述べたのでありますが、せつかくの大澤委員からのお話でございますので、この際簡單にお答えすることにいたしたいと思います。農業方面につきましては、事業税をとることは惡税である。こういうお説でございますが、あらゆる各方面から関係の税をとることに対しましては、賛成という人は一人もありません。遺憾ながら全部が反対でございます。そこで反対のものをなぜ出すかという問題になるのでございますが、それではどんないい税があるかということになりますと、今の制度のもとにおきましては、なかなかその財源を得るのに容易でないのであります。そこで政府としては一日も早く税制、財政の根本的改革をやるために、税制、財政の審議会というものを設けているのでありますが、これが一日も早く審議檢討の結果、結論を得て、この複雜なる時代に処する財政、税制の根本的の方針を確立しなければならぬと思つているのであります。しかし現在の制度並びに事情から申しますと、御指摘になりましたようなことを言われましても、どれもこれもが反対なので、これは日本の置かれておる現実の姿というものが、これをどうすることもできないというふうに御了解願いたいと思います。しかしそうは申しましても、最も妥当性のあるものと、最も妥当性のないものとの、その範囲内において、善処をすることは政府としては当然のことであります。よつてこのような意味において、私が先ほど申し上げました通り、この課税する対象の中に社会政策的な構想を織込んでいけば、現段階における課税の問題に対しても、一應御理解ができるのではないか、かように考えまして、御指摘になりました農業事業税につきましても、特に彈力のあるところの、あるいは商業性の農業生産をやつておるような、たとえばわさびをやつておるとかいうような、比較的商業的経済性をもつたものに対しましては、一應これは課税をするということにいたしまして、主食、特に日本の再建復興の基礎となるべき食糧問題、この食糧の解決こそ絶対の至上課題と考えまして、主食を扱つている者に対してのみ特にこの課税を省くということにしたのでございまして、こういうような点は外資導入の関係もすでに御了承の通りでございまして、何といいましても食糧が外資導入のおもな面になつているという点も御了承願いたいと思います。
  58. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 総理大臣はまだおいでになつたばかりで、先ほどの私の質問を聽いておられなかつたようでありますが、ただいま野溝國務大臣の答弁によりまして、総理大臣も同じ御意見であると了承いたしたいと思います。  次に、これは総理大臣にお伺いいたしたいのでありますが、燈台の不法射撃並びに領域確保に関する問題であります。北海道根室附近に発生しました事件でありますが、根室沖の燈台が所属不明の相手方より数回にわたり不法射撃を受けまして、燈台を守ることが困難になりまして、遂に燈台の燈火を消したという事実があるのであります。燈台の燈火を消したときには、それが境としてわが國の領土ではなくなるのだというようなことを海上保安廳の長官から伺つたのでありますが、領域の確保の上から、あるいは治安の上から、あるいは燈台の護持という面からいたしまして、きわめて重火な問題であると考えますので、お伺いしたいと思うのであります。すなわち北海道根室半島のノーシヤップ岬と水晶島の中間に貝殻島という燈台がありまして、水晶島はすでにお話によりますれば、ソヴィエト軍が駐屯しておるという話を承わつたのであります。貝殻島燈台は、わが國におきまして、燈台の台長初め四人の官吏がここに渡つておるそうでありますが、三月以來所属不明の相手方よりこの燈台に向つて数回にわたつて不法射撃を加えられた。それがために任務が続行できなくなつたという報告をこの燈台長が申してまいつたのであります。しかもこの附近は非常にわかめの産地でありまして、根室半島から土地の住民が出漁いたしまして、わかめの採收をいたしまして、生業を営んでおります。この土地の住民はそのためにただちに生活不安を受けまして、その点まことに重大問題化しつつある現状であります。これは單なる狙撃事件治安問題というものに限られるものでなくて、一國の存立にも重大なる影響を及ぼすものであると考えますので、お伺いいたした次第であります。その点について外務大臣である総理大臣の御意見伺います。
  59. 坂東幸太郎

    坂東委員長 ちよつとお諮りいたします。ただいま大澤君の御質問中のある部分で、あるいは速記を抹消する部分があるかもしれませんが、その点委員長にお任せ願えますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 坂東幸太郎

    坂東委員長 ではさようにいたします。芦田外務大臣。
  61. 芦田均

    芦田國務大臣 大澤君のただいま御質問になりました燈台の事件は目下詳細の事実を取調べております。それぞれ関係方面とも連絡をとつておりますが、まだ詳細にこれらの事実を報告するに至つておりません。事実が明白になり次第速やかに御報告いたしたいと思います。
  62. 菊池重作

    ○菊池(重)委員 総理大臣にお伺いしたいのですが、最近私どもの机の上に毎日のように全國の各町村長からはがきが届いております。その書面によりますと六・三制による出費を全額國庫負担として、即時断行してもらいたい。こういう意見であります。私どもも代議士として國民の選挙によりまして出て來ておる関係上、この点をぜひ聽いておかなければならないと考えますので、質問するわけであります。  現在の地方自治体の出費というものは非常に嵩んでおりまして、六・三制は申すに及ばず、地方警察あるいは水害予防、災害復旧というようは点で非常に出費が殖えておるのでありまして、このままいけば、町村の財政は破滅に陷るよりほかないのであります。こういう立場から、町村長の声として六・三制による出費を全部國庫負担にしてもらいたいという意見であると考えられるのであります。現在政府の補給金においては、今年の六・三制の遂行はとうてい完全にでき得ないと思うのでありますが、この点につきまして総理大臣はいかにお考えであるか、その点ちよつとお伺いしたいと思います。
  63. 芦田均

    芦田國務大臣 六・三制の完全な実施によつてこうむるべき地方財政の負担が非常に重いということは、ただいま御指摘の通りであります。政府においてもその事情はよく了解しておるのであります。六・三制の中で、殊に学校建築の補助費の金額が本年度の予算の程度にしか計上できなかつたということには二つの理由がある。一つは建築に必要とする資材の制限であります。安定本部において調査したる國内保有の資材は、本年度の公共事業費に計上したる予算の総額をもつて大体頂点に達した。これ以上金を出しても資材がないということが一つの点であります。もう一つ國家財政の現状でありまして、地方財政の援助のためにこれ以上多額の予算を計上することは、すでに担税能力の限界に達しておる今日の経済事情において、はたしてこれ以上に租税の負担ができるか、担税能力を超えたる租税の賦課は、必然的に急速にインフレーションをひき起すという見地から、現在の予算に計上したる六・三制の費用を國会に提出したわけであります。地方の財政の窮乏しておることはよくわかりますけれども國家の財政もまたこれに劣らず窮迫しておる現状において、まずこの程度の学校建築を行つて教室の足りない部分は一時二部教授を行う。大体地方から要求しております教室の数の七割から八割程度はこの経費をもつて補助ができるのであります。あとの足りないところは二部教授その他の方法によつてしばらく苦しいところを忍んでいくよりほかに途があるまい。かような考えで六・三制の予算を編成したわけであります。
  64. 菊池重作

    ○菊池(重)委員 委員長……。
  65. 坂東幸太郎

    坂東委員長 本会議で総理大臣の出席を待つておりますから、簡潔にお願いいたします。
  66. 菊池重作

    ○菊池(重)委員 そうしますと現在の状態では、先ほどもほかの同僚からも質問がありました通り、公債を募集することもなかなか困難である。なおその上に物價がますます騰貴いたしますと、現在の予算ではとうてい予定通りの工事を進行させることはできないと考えられるのであります。そうすると総理大臣考えといたしましては、それはやむを得ない、從つて現在の六・三制はまずできるだけやればよろしい。こういう御意見であるかどうか、その点お尋ねいたします。
  67. 芦田均

    芦田國務大臣 大体できる見込であります。地方から要求しております増築教室の八割近くがこの補助費に該当するから、足りない教室は一時二部教授で賄つていくという考え方であります。
  68. 菊池重作

    ○菊池(重)委員 次に野溝國務大臣に質問いたします。先日野溝國務大臣に御質問申し上げた点は、入場税等が地方へ委讓されても、そういう施設のないところは恩典に浴することができない。これに対してどういう方法を講ずるかと質問いたしたのでありますが、その折地方配付税によつて調節をするというようなことを言われだのであります。この地方配付税法を見ますと、第三條に百分の百十を超過した分は、これは配付額から減額する。また百分の九十に満たないものは、その不足額を増額するというように書いてあるのでありまして、これによりて見ますと、前年度に比べての比率でありまして、從つて以前から收入のない町村においては、やはりいつまで経つてもその百分の百十、百分の九十の間の差だけの援助しか得られないのでありまして、從つてこれだけの操作では弱小自治体は完全なる税收入を得ることはできないと思いますが、このほかにもつと適切な方法があるかどうか、その点をお聽きしたいと思います。
  69. 荻田保

    ○荻田政府委員 ただいま御指摘になりました條文は、これは地方配付税の総額を計算する場合の規定でございまして、別に個々の團体にわけますときの基準でなく、警察費の財源を分與税でみるという趣旨ではございません。それについては、たとえば二十三條をごらん願いますと、それの二項に標準單位税額を計算する場合に、当該市町村の人口と、そのほかにここに三百という市町村の警察吏員を乘じた額でございまして、警察吏員の数、つまり警察費というものを分與税基準にここでみておるわけであります。なおまた次の第二十四條においても同様でございますし、さらに二十五條においてもやはり警察吏員の数というものを分與の華準に入れておりますから、これによつて警察費の多寡が配付税に影響してくることになるわけであります。
  70. 菊池重作

    ○菊池(重)委員 次にお伺いしたいのは、第十八條以降に、三百という数字が各箇條に出てきておるのですが、この三百という数字の基礎は何から出したのでありますか。
  71. 荻田保

    ○荻田政府委員 大体これは全部計算してみまして、そのとき分與に使います指数を一應算出いたしまして、それによつて見当をつけたのでありまして、ここでは大体警察官一人が人口三百人あたりとみますと、警察費の半額程度がこれで賄えるという計算になつております。
  72. 松浦榮

    松浦(榮)委員 野溝國務相にお尋ねいたします。一つは、警察官に貯金を奬励するようなことを指示されているように聞えるのですが、もしそういうことがありますれば、それはやめていただきたいと思います。それは昨日六大都市の警察長の会合がありまして、その節耳にしたのですが、自治体警察費を起債で賄うことにつきまして、その起債はこの間大藏省当局がお話になつたように、郵便貯金を交換に許すというようなことがあるので、やはり警察費が起債で賄われることになりまして、警察官にも貯金を奬励するようにやつてまいりたいというようなことがあるそうでありますが、これは警察官職務執行の上に非常に影響が大きいことでありまして、こんなごとをやつていては、警察職務は完全に執行できない。警察自体の寄附や、そういつたことにつきましても、非常に問題があるのでありますが、貯金の奬励などを警察官にやるというようなことになりますと、職務の上からも、また情実ができるという上からも、そこに非常に問題が起きると思いますから、それはやつていただかないようにしていただきたいと思います。  それからもう一つは、先ほど総理大臣から、地方財政委員会の委員の方で、三人のうち二人までは辞表を撤回されたというお話がありましたが、どなたとどなたですか。
  73. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 松浦さんにお答えいたします。起債に関して警察官を使うということを聞いているが、はなはだおもしろくないと思うがどうかという御質問のように思います。実は起債の問題につきましては、先般の委員会においても申し上げました通り、これは政府責任をもつて斡旋をすることになつておるのでございまして、その他貯金の奬励はどうするとか、あるいはどういうような方法をもつてやるというようなことについては、未だ相談をしておりません。私といたしましては、閣議におきまして、政府責任をもつて出す、斡旋をするということだけを決定したのでございまして、特にその責任をもつて斡旋をする内容については、これから具体的に相談があると思います。しかし預金をすれば、どうであるとも、こうすればどうであるとかいうようなことに対しましては、それは別個の問題でございまして、起債とは別個に考え、協力できるような点がありましたならば、協力していきたい、私としてはかように思つておりまして、條件ではないことを御了解願いたいと思います。なおただいま警察官が貯金運動に参加するというお話でございますが、それも未だ聞いておりません。特に御指摘になりました通り警察官治安維持並びに積極行政をしていかなければならぬときにあたりまして、さようなことをやるということについては、おもしろくないと思いますので、もし具体的に話のあつた場合は、御期待に副うように努力したいと思います。  なお地方財政委員の中で三人やめた。先ほど総理が二人は留任したと言われたが、たれとたれかという御質疑のように思います。市長の神戸君の後任としては岐阜の東市長が後任となることになります。これはきよう発令したいと思います。それから本日町村長会長の生田和平君が留任をすることに申し出てきました。
  74. 松野頼三

    ○松野委員 この地方財政は、近々傳えられます物價改訂を見越して編成されたものでありましようか。
  75. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 さようであります。
  76. 松野頼三

    ○松野委員 その物價改訂の標準について、人件費の標準はいくらを標準とされましたか、またただいま予算審議されております通信、交通費の値上の予定は、どの程度の見込みの上に編成されたものでありますか。
  77. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 これは御承知のごとく、大体は中央の賃金ベースともにらみ合わせていたしますけれども、自治体といつても生活力が中央と同じような場所もありましようし、あるいは非常に生活環境が容易であるという場所もありますので、全部を科学的に立ててやるということはできません。大体中央の賃金ベースなら賃金ベースの線に沿つて、彈力ある立て方をやつておるのでございます。もちろん通信とか何とかは、こまかく科学的にしなければならぬのでございますが、そういう程度で調整ができると、かように思つております。
  78. 松野頼三

    ○松野委員 それから府縣の職員及び警察費の計上がしてあります。これは最も大きな部分だと存じますが、これをどの程度のレベルにされましたか。また交通費は、どういう程度の値上りを見越しての歳出予算でありますか、その点お伺いいたします。
  79. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 こまかいことは事務当局よりお答えいたさせます。
  80. 荻田保

    ○荻田政府委員 人件費につきましては、昨年末の定員を押えて、それの三千七百円ベースにおける所要経費ということであります。それから物件費につきましては、從來の物價指数による額に対しまして、今回大体物價廳の方で考えております物價水準の切替後の値上り額を、それぞれ倍数によつて見こんで計算してあります。それから歳入の方におきましても、やはり課率の上りましたものは新しい課率で計算し、その基礎になりますいわゆる課税標準につきましては同様の指数をもつて、たとえば電氣料金なら電氣料金が今度上ります三倍という額をかけて、それによつて出したのであります。
  81. 松野頼三

    ○松野委員 物價改訂もまだ決定されたとは聞き及んでおりませんし、將來においてもたびたび変更されるであろうと思いますが、そのことも予測されたものか、あるいはまたこれを一年間全然すえおきの予算として立てられたのでありますか。
  82. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 大体予算を立てるときには案でありますから、一應目途は立てておかなければならぬのでさよういたしました。
  83. 松野頼三

    ○松野委員 現在のところはまずこの目途でお立てになりましたのは順当だろうと思いますが、しかし現在の情勢ではいかなる國民もほとんど物價の高騰ということを予測しておるのでありますが、この地方財政法を通してみましても、今後における物價の値上りに充当すべき財源が、ほとんど見あたらないという点がはなはだ私たちは心配し、危惧をいたすところでありますが、どうしてもこの点におきましては、もう少し彈力のある財源を組まなければ、地方財政というものは必ず窒息することは目に見えておる。物價の高騰ということが予測されるとともに、地方財源の逼迫ということが目に見えておるのでありますが、この点國務大臣はどういうふうなお考えでございましよう。
  84. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 松野委員の御指摘になりました通りであります。地方はまつた予算定員でぎりぎりいつぱいに詰めてやつておる次第でございます。なお御指摘にありました通り、財源においてもほとんど彈力がないのでございます。特に直接人民との関係にあるだけに、非常な困難にあるということは御指摘になりました通りであります。
  85. 松野頼三

    ○松野委員 結局この案でまいりますと、物價の値上りするたびに府縣民税の引上げ、または事業税率の引上げ、あるいは附加税の引上げ以外には考えられない予算案でありまして、どうしても國務大臣の御意向と、私も相一致するところがあるのであります。また御答弁の中にも、非常にその点心から野溝國務大臣は心配されておるのでありますが、御答弁の裏表を考えてみますと、野溝大臣ももう少し彈力のあるものが欲しいと言われるときに、まず考えられますのが酒、タバコ消費税だと思いますが、野溝國務大臣も酒、タバコ消費税には御賛成でありますか。
  86. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 酒、タバコ消費税地方へ委讓することについては、もちろんわれわれも賛成をしておるわけでございますが、現在の財政の收支上並びに制度の上から見て、一應この程度でやむを得ないだろうということになつたのであります。
  87. 笠原貞造

    ○笠原委員 ちよつと野溝國務大臣に一点お伺いしたいのでありますが、地方財政委員会の案を尊重しないで大分叱られておるようでありますが、私は地方財政委員会の案をそのまま全部いいというようには考えないのであります。特に私は事業税等の点につきましては、地方財政委員会が事業税を設けでおるのでありますが、これは地方財政委員会におきまして設けた点はわかるのであります。非常に財源というものがないのでありますから、やむを得ないと思いますが、これにつきましては私ども反対意見なのでございます。特に特別業務税というものが出てまいりました。政府はだんだんかえてこういうことになつたのでありますが、これにつきましても私は全面的に反対意見を持つておるわけでございます。特に七十一條の二項によりますと、第一種業務というのがありまして、その中には医業、歯科医業、助産婦業、その他これらに数する業務となつております。第三項にまいりますと、弁護士を筆頭として、司法書士、公証人となつております。これらの特別業務と称するものは、いくらか他の事業とは違いまして、公的な性格を持つておるようであります。医師にいたしましても、應召の義務がありますし、また弁護士にいたしましても官選弁護の制度がありますから、その意味から特別業務税というものを設けられたのだろうと推察するのでありますが、弁護士に対する——弁護士に対するというよりも、第一種と第二種業務に対する税率が変つておりますが、この税率をかえました根拠はどこにあるか、その点をひとつ伺いたい。第一種の方が百分の四、第二種の方は百分の五になつておりますから、その点をひとつ……。
  88. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 笠原委員にお答えいたします。笠原委員の御指摘になりました通りでありまして、特別事務税にするまでには確かに幾段階も経てまいりました。初期におきましては事業税の中に入れたのでありますが、また意見がありまして、特別所得税ということにしようと思いましたが、これにもまた意見がありまして、所得税附加税にしろ、これにもまた意見がありまして、最後に落ちついたのが特別業務税であります。そこで医師、歯科医師、助産婦等よりもいろいろ意見がありましたし、なお御指摘になりましたように、弁護士、計理士の自由業の方々にもいろいろ意見があつたのであります。この自由業の中にもいろいろ御意見がありましたので、結局これは特別の業務ということにして、税名を整備することにしようということになつたのでございます。そこで第一種として医師、歯科医師、助産婦を規定したのでございますが、第二種として弁護士、計理士を規定したのであります。どうしてこれを区別したかということにつきましては、先ほどもちよつとその片鱗をお答えしておいたのでありますが、医師、助産婦、歯科医師の方におきましては、今回法的に應召義務を課せられることになりましたので、そこにある意味において個人活動に國家の統制力をもたれるようなことになつておるということで、特に特殊性を持つという点から、弁護士、計理士と同じ特別業務の中においても、さような違いがあるという点で、第一種、第二種という区別をしたわけでございます。
  89. 笠原貞造

    ○笠原委員 ただいま御答弁いただきましたが、まだよくわからないのですが、弁護士や司法書士その他の方も、これは営利的な性質のものじやなしに、報酬規則がきまつておりまして、報酬主義になつております。特に弁護士におきましては、官選弁護制度というものがありまして、裁判所から官選弁護士を命ぜられますと、それは辞退できたくて受けております。その点におきましては、私は医師と同様だと思うのであります。なお第一種の部面を見ましても、歯科医業がありまするが、もちろん歯科の中に治療もありまするが、中にはやはり金環を入れるとかというふうな、どちらかと申しますならば、單なる治療でなしに、もつと贅沢だと思われるようなものもあるのであります。でありますから私はこれを全部撤廃してもらいたいという意見を持つておるのでありますが、もし課税するといたしましても、これを違わせるということは、今大臣が仰せになりましたような趣旨からだといたしますると、納得がいかないのではないかと思いますので、もう一回御意見を承りたいと思います。
  90. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 医者と弁護士と同案に扱うのが正しいのではないかという結論的な御意見のように思います。大体弁護士の方は確かに官選弁護人というようなこともありまして、今日の報酬なども公定性を持つておるので、余裕がないというような陳情も受けておるのでございますが、大体こういう点で また少しは違つておりはせぬかということも考えたのでございます。それは物件的設備が比較的弁護士の方方には軽いと申しましようか、樂だという点、それから官選弁護ということがありますが、比較的自由性があるという点、また彈力の点もあるのではないかというような点を勘案して、少しの差等を設けたのでございます。しかしただいま笠原委員の御指摘になります通り、弁護士諸君も生活程度が必ずしも樂であるというふうに見て区別をつけたわけではないのでございます。いろいろな事情も勘案し、かつ檢討した結果、かように差等を幾分設けた次第でございます。もし應召義務というようなものがなかつたならば、かようなことはいたしたくない、かように思つたのでありますが、さような点で御了承を願いたいと思います。
  91. 坂東幸太郎

    坂東委員長 千賀君より議事進行について発言があります。これを許します。千賀君。
  92. 千賀康治

    ○千賀委員 地方財政法並びに地方税法案等につきましては、一般質問は次会に讓りまして、今回は〇・Kのきている議案もありますので、この方の進行について特に促進をされたいとの動議を提出します。
  93. 坂東幸太郎

    坂東委員長 ただいまの千賀君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 坂東幸太郎

    坂東委員長 さよう決定いたしまして、先ほど総理大臣が來ました時分に警察官等職務執行法案審議中でありましたが、これを中止して総理大臣との質疑應答をしたのでありますが、もとへ戻りまして、警察官等職務執行法につきまして審議を続行いたします。なお小暮委員長から本案について政府原案可決の報告がありましたが、しかしながら委員会としてはそれに頓着なく議事を進行いたします。なお警察関係法案に対する質疑はありませんが——それでは質疑なきものと認めて御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 坂東幸太郎

    坂東委員長 それでは異議ないものと認めます。しからこれから討論に移ります。
  96. 門司亮

    門司委員 私は先ほど申し上げましたように、本案を決定するには一應司法委員会との合同の調査委員会を開いていただきたいと思います。それは先ほども申し上げますようにこの法案自体が行政警察の面からさらに司法警察の面へ相当はいつておると思います。その点はどうしてもそういう形をとつてもらいたい。それからもう一つは、この法案をお出しになつておりますが、この法案は、私の見違いがわかりませんが、謄写版で刷られまして、ただ委員会のみが承知しているのでありまして、一般議員には配付してないのであります。もしそうなら、政党の態度をきめるのが困難だと思いますので、一應これを合同審査委員会にかけていただけば結構だと思います。
  97. 三輪莨雄

    ○三輪説明員 ただいまの後の方の技術的な問題にお答えしたいと思います。印刷局が取りこんでおりますために、印刷を急いでもらつておりますけれども、本日か明日ということでございます。しかしながらきわめてきたない印刷物で御審議願うことは恐縮でございますけれども、部数は所定の二百部を委員部の方に差上げまして、関係方面にお分けして、ごらん願つている次第でございます。
  98. 門司亮

    門司委員 非常に不可解に感ずるのでありますが、もし印刷が間に合わぬとして、二百部刷つて審議を進めるようにという御盡力を願いますならば、この上議員の数といいましても、二百五、六十部もあれば間に合うことと思います。全議員におまわしになるといたしましても、大した部数ではないと思う。これは法案自体から見ますれば、條文も少いし簡單でございますが、法の運用の上においてはきわめて人権を蹂躙するおそれのある部分が多分に含んでおり、危險性をもつておる。こういう法案に対しましては、おのおの愼重審議すべきが私どもの任務だと思います。そういう手続といいますか、処置がとられない事前にそういうことを審議することは、非常に迷惑だと私は考えております。この点はひとつ委員長から十分お話を願いまして、そうしてやはり各政党の政務調査会なり、あるいは代議士会なりその他の議を経る必要が十分あると思います。これはきわめて世間に及ぼす影響が大きいのでありますから、重ねて申し上げますが、どうかこの委員会にあります小委員会と、さらに司法委員会との間に合同協議をぜひ行つていただいて、そうして完璧を期したいと考えておりますから、その点をお諮りを願いたいと思います。
  99. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 ただいまの警察官等職務執行法案は、小委員会において十分檢討して、委員長からの報告も受けておりますので、一應これで本委員会は採決なり何よりの方法で決議したらいいと思います。
  100. 坂東幸太郎

    坂東委員長 ちよつと休憩いたします。     午後三時五十二分休憩      ————◇—————     午後三時五十五分開議
  101. 坂東幸太郎

    坂東委員長 休憩前に引続いて会議を開います。
  102. 佐藤通吉

    ○佐藤(通)委員 警察官等職務執行法案に対しまして、本委員会が最終的に意思を決定する段階に到達いたしましたことは、私が今ここに申し上げなても委員各位の十分御承知のはずであります。私は結論的に申し上げますならば、大澤君の意見に賛成をいたします。しかしながら本法案は一部委員間にも反対がありまするように、この執行にあたりましては非常に國民の権利義務に重大な支障を及ぼすようなことがないとも保障はできないのであります。從いましてこれは希望といたしまして速記に留めておきたいと思うのでありますが、もしこの法律の執行にあたつて無益な犠牲を民衆に負わしめた場合には、その執行官に対しましては、嚴重な官吏法上の責任をとらしむるということ、それを指揮した上司も同一にこれを論ずべき筋合いのものであることを、私はここに附け加えて大澤君の意見に賛成をいたします。
  103. 坂東幸太郎

    坂東委員長 なお大澤君のさきの御意見は、小委員長報告原案賛成というのですね。
  104. 門司亮

    門司委員 私は先ほどからたびたび要求しておりますように、この本案を採決する以前に、両委員会というか、司法委員会との合同の審査委員会を開かれんことをあくまでも要求いたします。この点を一應先ほどから申し上げておりますように、委員長からお諮りを願いたいと考えておるのであります。この法案は、先ほどからの御意見にもありましたように、きわめて人権に及ぼす影響が甚大であると考えられまするので、法の万全を期するということと、さらに法案内容に対しましては、私はもしこのままの姿で通すということになりますならば、非常に危險性をもつておりますので、ただ單なる速記に留めるというようなことでなくして、これには相当な修正を加えなければならない部分があると考えておるのであります。なるほど法を草案し、さらにそれを決定いたしますときに、それが速記録に留めてあるということは、どうも私ども議会人といたしましていろいろな観点から十分そういうことが考えられるのでありますが、末端の警察官等職務を執行いたします場合に、衆議院における委員会の速記録がどうであつたか、こうであつたかというようなことが、おそらくはつきり認識されるものでないとわれわれは考えざるを得ないのであります。殊にこの法案の中にあります武器の使用の点等のごときにおきましては、相当考慮を要するのであります。こういうことがなくてさえ、すでに大阪の事件のごとく、警察官の不法と思われるような発砲事件が往々にしてあるのであります。なおかつこれが一警察官認定によつて発砲することができるというような場合におきましては、きわめて大きな危險性をもつておる。それからもう一つはこの法案がなければただちに警察官職務の執行ができないかというと、そうではありませんので、さいわいにいたしまして「軽犯罪法が一應成立いたしておりまして、この法案の中に載つております問題の中で、かなり軽犯罪法によつて行われる権限がたくさんあるのであります。從つてこの法案が今緊急を要すると申されますが、そう一日、二日のうちにこれを通さなければならないほどの私は緊急性をもつていないと思うのであります。一切をここで否決するという意見を申し上げておるわけではありません。私はこれの愼重を期することのために、合同の委員会を開いてもらいたいというのみでありまして、何もこれを今否決する意見をここで申し上げておるのではありません。おそらく私はこの警察官等職務執行に関する法律案と軽犯罪法との関係でありますが、軽犯罪法の中にも「正当な理由がなくて刄物、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帶していた者」そういうような者は当然取調べることができる。さらに留置することができる。あるいは科料に処することができるという法令があるということ、さらに「正当な理由がなくて合かぎ、のみ、ガラス切りその他他人の邸宅又は建物に侵入するのに、使用されるような器具を隠して携帶していた」ような者も、これができるということ、しかもこの場合において警察官職務執行は当然それらに対しましては尋問をする必要がある。さらにこれに停止を命じて取調べることができるとある。隠してあるものを調べるということは、おそらくその人に停止を命じなければ調べることができないと思う。こういうことを考えてみますると、何もこの法案が今なければ日本の治安に非常に大きな支障を來すとは私は考えられない。さらにその次には、「生計の途がないのに、働く能力がありながら職業に就く意思を有せず、且つ、一定の住居を持たない者で諸方をうろついた者」、これらに対しましては当然警察官は軽犯罪法によつて処罰することのでき分規定が設けられておるのであります。そのほか「入ることを禁じた場所又は他人の田畑に正当な理由がなくて入つた者」、あるいは「みだりに他人の家屋その他の工作物にはり札をし、若しくは他人の看板、禁札その他の標示物を取り除き、又はこれらの工作物若しくは標示物を汚した者」というような條文に対しましては、これを取締ることができる。しかも檢束し、さらに科料に処するということが軽犯罪法にはつきり書いてあるのであります。從つてこの法案が今なければ、警察官職務が執行できないというほどのことは私は考えない。ただこれはそれ以外のいろいろな事情に対しまして、こういう法案があつた方が警察官職務の執行の上に便利であるというようなことが考えられるならば別でありますが、この法案はおそらく私は行政執行法廃止されまして、さらにその次にこの法案と似たようなものが出てくるということが、第一國会、さらにその前の九十三議会でありましたかにも、おそらくこういう兆しがあつたのでございまするが、出てこなかつた。それが今回しかも会期の末に突如して現われまして、そして当然審議権をもつている議員全員に——委員会のみが審議権を持つているのではありません。議員全体が審議権をもつている。その議員全体に議案が配付されていないというような手続の不十分なものに対しまして、われわれはただちにこれに賛成するわけにはまいりません。この点は委員長といたしましてどういうふうにお考えになるか。さらに当局はこれに対してどういうふうに責任を感じておるが、私はもしこの法案が議員全体に配付されていないということになつてまいりましたならば、議員の審議権を無視したものであると考える。議員の審議権を無視してまでわれわれはこれを可決しなければならないということである。われわれはこの点に対して非常に遺憾に考えております。これはこの法案だけではありません。將來の議員の審議権は一体どうなるか。私はこの法案を見て知つておりますから審議いたしておりまするが、議員の大部分はこれを知らない。議員の知らない間に法案を通過さしてよいか惡いかということである。私はそういう意味から申し上げましても、当然これは司法委員会との合同審査会を開き、さらに当局におきましてはそういう万全の処置を講じてもらつて、その上でこれを処理すべきものである。委員会をもし通過いたしまして、本会議にこれがかけられるということになつてまいります前に、全議員の諸君がこれを見ていなかつたというような不見識なことで、かくのごとき人権に非常に重大な影響を及ぼすような法案を通過させるということになりますならば、議員全体が責任を負わなければならぬと私は思う。この國会責任は一体だれが背負うか。私どもは少くともそういう案に対しまして責任を負うわけにはまいらぬのであります。私はこういう意味から申し上げましても、本案をただちにここで採決して、委員会がこれを可決したというようなことになつてまいりましたならば、そのそしりだけでも受けなければならないし、また委員がその責任を負わなければならぬと思うのであります。私は議員の職責の上から、責任の上から考えまして、この案をただちに即決されけことは反対をいたしたいと思います。
  105. 坂東幸太郎

    坂東委員長 ちよつとお答えいたしますが、この議案は、六月十日に各党事務室に所要部数は全部配付してあるそうであります。松澤君。
  106. 松澤兼人

    ○松澤(兼)委員 この問題に対しましては、これまで委員会におきましては正式に決定したわけではないのでありますが、刑事訴訟法との連関があるから、この問題については合同委員会を設置したらいいだろうという意見があつたということは確かであります。それを昨日小委員に付託されて、本日上げてしまうということは、私は今までのそういう意向もあつたことでありますし、これはもう少し愼重に考えていただきたいと思うのであります。元來、この警察官等職務執行法というものは、おそらくほんとうの法律的な考え方から言えば、この委員会にかかるべきものでないのではないかということを多少疑念を持つているのであります。すでにこのことは指摘されておると思うのでありますが、軽犯罪法にいたしましても、あるいはこの警察官等職務執行法にいたしましても、刑事訴訟法の下の段階に位する法律でありまして、いわば檢察当局の活動その他の範囲に属する法律であると考えるのであります。警察組織やあるいは警察制度の問題ならば、この委員会にかかることは適当であるのでありますが、今申しましたように、刑事訴訟法との関係、あるいはその他刑法との関係、あるいは檢察廳との関係から考えてみましたならば、名前は警察官という字が使つてあるのでありますが、この場合におきましては單なる行政警察の問題ではなく、純粋に刑法なりあるいは刑事訴訟法関係から、司法委員会にかかるべきが当然だと考えるのであります。すでにそういう間違いは本日の本会議にかかつております港則法は当然この委員会にかからなければならないのである。それは御承知のように海上保安廳の関係から、港則法はこの委員会にかからなければならない。しかるにこれは港の法則であるということで、運輸交通委員会にかかつておるのであります。この港則法というものは御承知のように港内における交通整理の法規であり、いわば警察法規である。これが運輸交通委員会にかかつておるということは、われわれが海上保安廳法を審議した関係からいつて、少しおかしいのであります。この港則法をどこの委員会にまわすかということを考えた場合に、先ほどのように運輸交通委員会にまわすべきだという意見と、これは港のことであるから國土計画の委員会にまわすべきである。あるいは海上保安廳の関係から治安及び地方制度の委員会にかけなくてはならないというような、いろいろの議論があつたということを聞いておりますが、海上保安廳を審議したわれわれには一言半句の挨拶も相談もなく、港則法は今日の本会議にかかる。こういうようなことがままあるのでありまして、議案審査について適当でないと考えられるような処理が往々にしてなされておる点であります。私どもは現在われわれのところにかかつております警察官等職務執行法が、名前は警察という字が使つてあるからここで審議するのは当然かと考えられるのでありますが、各党ともこの案は司法委員会にかかるべきものであるという非常に強い意見があることは、おそらく各委員とも御承知のことだと思います。そこでこの問題について私どもはどうしても刑事訴訟法との関係、あるいは軽犯罪法との関係を考慮しなくては、警察官等職務執行法というものを考えることはできないのであります。この点について、大体の意向がここで即決すべきであるという御意見があるようでありますが、まげてこの点だけは司法委員会と合同委員会を開いていただきたいという希望を申し上げたいのであります。この点について先ほど小委員会できまつたことであるから、本委員会はその通りにすべきであるという議論がありました。なるほどわれわれは一應本委員会から小委員会に付託したのでありますから、小委員会の決定が本委員会に承認せられるということは当然のことと考えられます。しかし私どもは必ずしも小委員会にわれわれの審議権の全部を御一任申し上げたわけではなく、一應の案をつくつて出してもらう。それに対してわれわれが可否の態度を決定するということが当然であります。でありますから今日小委員会できまつたものに対して、本委員会で反対するのはけしからぬという議論はまつたく成り立たないのであります。從つてどもはこの小委員会報告に対しましては、自由の立場から審議しなければならないと考えます。その点は先ほどそういう御意見があつたから私は申し上げるだけでありまして、本筋から申しますならばやはりこれは別にきよう決定しなければならないというほど早急に解決を要する重要な問題でもなく、かつ人権と関連いたしまして、これは重大な問題でありますので、何とかして連合審査令を開いていただきたいということをお願いしたいのであります。委員長におきまして適当のお取扱いを願いたいと存じます。
  107. 坂東幸太郎

    坂東委員長 十分討論を盡されんことを希望いたします。
  108. 笠原貞造

    ○笠原委員 今討論と言われましたが、私は門司君並びに松澤さんから今司法委員会との合同審査会を開けという要求がありましたので、私もこの点については賛成であります。それで詳しいことは先の二人が申されましたから申し上げませんが、この法律は何でもない法律なのであります。私ども見まして別にここが無理だというものは一つもない。それでさきに私どもは軽犯罪法を通しておるのでありますが、軽犯罪法もこれは法務廳総裁の言われますように、道徳法だというくらいで、ほとんどわれわれが守らなければならないところの道徳基準を定めた法律なのであります。ところが一應案を通してみますと、すでに私どもの知つておる範囲においてもひつかかつておるのであります。もちろん道端で大小便をすることは惡いことでありますけれども、さて法律としてつくつてみますと、ひつかからなくてもいい人がひつかかつておるというのが実情であります。この法律を見ましても、今現にこの法案がなければ警察官職務を執行できないかといえば、決してそうじやない。私はここに書いてあるようなことは、われわれの常識といたしましてまつたく差支えないことじやないかというふうに思うのであります。そういう点から考えてみましても、これをつくらなくても弊害はないが、さてつくつてみますと、これがかなりものを言うのであります。そして先ほど、だれかもしもこれに違反するようなことがありましたならば、それに対して嚴重な制裁を加えろと申しますが、なかなか制裁は加えられないのであります。法律の根拠がありますからそれに基きまして相当な釈明をいたします。しかも取締りの地位にある人でありますから、さような釈明をいたしまして、それに対して制裁を加えるというようなことはなかなか容易でないのであります。私はこの法案を見ました際におきましても、もしもそういう場合におきまして何か制裁規矩を設けてはどうかという意見を出したのでありますが、それは刑法その他の各法律に照しまして処断するというだけあつたのでありまして、これに対しては何もないし、また事実上設けましても、これに対して違反だといつて認定することはかなり困難だ。それは一般の民衆でありますれば違反すればすぐわかりますが、取締官憲の犯すことだけに、容易にわからないのであります。でありますからこの法律はそういう建前から申しまして、通過させますと、人権に対しまして非常に大きな影響があると思うのであります。それだけに私どもはかりに通すといたしましても、愼重に通しまして、そうして私の考えといたしますならば、この條文もややこしくなりますが、道徳的な文句を書き込んでやらなければならぬと思うのであります。先ほど速記録に残すというお話がありましたが、それも結構でありますが、速記録どころではないのであります。法律というものは議会におきましても附帶決議をつけておりますが、その附帶決議も守られてないのが実情でありますから、私ども人権関係あるだけに愼重な態度と手続をとつて、そうしてこれを通過させたい。しかるに議員各位におきましては、まだ見たこともないという人があるのでありますから、それらの方々の意見も十分聽きまして、そうしてこの委員会がこれを通過させていくということにならなければ私はうそではないかと思うのであります。私は小委員会に付託されたことを知らなかつたのであります。今聽きますと小委員会に付託されたということでありますが、小委員の各位に対しましてははなはだ申訳ない話でありますけれども人権に非常に関係のある法律であるだけに反対するのであります。本來ならば與党でありますがゆえに、まつ先に通してやるのがあたりまえでありますが、今申しますように人権に非常に関係がある見地から、私どもは愼重論をとるのでありますから、何とぞ各位もその点をひとつ御了解願いたいと思います。
  109. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 警察官職務執行法は鈴木法務総裁には一應話は通じてありますかどうか、警察部長官にお伺いいたします。
  110. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 本法案はもちろん法務総裁のもとに十分審議されたものであります。それでありますので、十分檢討されております。
  111. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 ただいまの本部長官答弁によりますれば、鈴木法務総裁ももちろん十分審議された。なお各党からの出身閣僚も出て提案したという、まことに念の入つた経過を経ているようであります。われわれ今申したように、当委員会においても、小委員会を通過して今日小委員長報告もあつたというのでありますから、これに対して委員長の採決を願いたいと思います。
  112. 門司亮

    門司委員 私はその前にこういうことを聞いたのでありますが、この点をひとつ委員長から確かめでもらいたい。この法案審議に当つて司法委員会から当委員会に向つて正式に合同審査の要求があつたよるに聞いておりますが、それの眞偽はどうであるか、委員長からお確かめを願いたい。
  113. 坂東幸太郎

    坂東委員長 それは私聞いておりませんが……。
  114. 門司亮

    門司委員 だからお確かめを願いたい、時間の関係がありますから……。
  115. 矢後嘉藏

    ○矢後委員 実は今、私党の代議士会に行きましたところが、代議士会で問題になつておりまして、司法委員会からきよう正式に合同審査の手続をとつたというぐあいに、司法委員の方は言われるのですが、私も先ほど小委員会におきまして、司法委員会との合同審査の提議をしておつたのですが、やはりいろいろの関係から申しまして、一應こうした法案は、先ほど門司委員から言われましたように、司法委員会との合同審議をされた方がいいと思います。
  116. 坂東幸太郎

    坂東委員長 お答えしますが、私聞いておりません。事務の方も全然聞いておらぬそうです。
  117. 松澤兼人

    ○松澤(兼)委員 門司君からそういう議案の取扱方なり、あるいはその手続について重大な発言があつたのでありますから、暫時休憩していただいて、その点お確かめ願いたい。
  118. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 二、三の委員の御意見をお伺いしたのでありますが、まことにごもつともの御意見でありますが、御承知通りに議会政治は多数決による政治になつております。議会政治の本質を生かしていくということを言いたいのであります。
  119. 門司亮

    門司委員 ただいま議会政治の運用の話がありましたが、議会政治でありまする以上は、全議員が一應全議案を承知いたしまして、そういう手続がとつてあり、その後における多数決こそ初めて議会政治である。ほかの人の知らない間に、單に委員会に上程されて、もし本会議で問題になつてまいるような場合には、委員会としてはたはだ不体裁なものになつてくる。さらに問題は本質上の問題でありまして、たとえ多数決でありましても、しかも委員が知らないうちに、書記局にはいくらお届けになつたかしれませんが、おそらく議案の配付というのは配付係からなされていなければならないと私は考える。さらにまたそういうことは公報にはつきり明示されていなければならないと思う。そういう手続の不十分なものを、ただちにここで可決するということは、將來に非常な惡例を遺すので、私はそういう点は議会政治運営の上から嚴に戒めてもらいたい。この委員会がもしそういう惡例を遺すというようなことになつてまいりますならば、非常に大きなこの委員会に対する侮辱と申しますか、そしりを免れないことは私ども責任である。私はこの点きわめて遺憾に考えております。だから委員長はもしこれを採決されるとするならば、十分その点をお考え願いたい。議会政治はもちろん多数決であるかもしれませんけれども、あるいはそうでございましよう。しかし議会政治というものはやはり議員全体が納得し得る手続がとられて、その上で私はきめなければならないと思う。われわれは代議士会に報告をいたす場合におきましても、代議士諸君には実際上の問題として全部にいきわたつておりません。(「いきわたつているよ」)いるというなら頭数四百何名……(「ちやんと公報に出ている」)いつの公報に出ておるのですか。議会政治はそういう不見識なものであつてはならない。この点は十分委員長で御考慮を願いたいと思います。
  120. 松澤兼人

    ○松澤(兼)委員 そういうふうに手続におきましていろいろと疑義がある。ですからむりにこれを押し通すということはどうかと思う。多数決だから、手続がとられた上で少数で否決になつたらそれはやむを得ません。私ども別にどうこう言うわけではない。せつかくこの委員会には、坂東委員長初め御承知のようにこれまでこういつたむずかしい問題はなかつた。たまたま本日われわれの出席が非常に少いということで、無理押しをされるような傾向にあるように見受けてれるのであります。これはこの委員会の今後の運営について考えていただかなければならない。これまで坂東委員長のもとにおいて、一致協力してやつてきたのですから、別にここで本日これをきめなければならないということもなし、委員長の裁断において適当の処置を講じていただきたいと考えるのであります。
  121. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 何とかこの機会委員長のはつきりした氣持を伺つておきたい。私が提案したようにぜひともこの機会委員長ははつきりとした方針をもつて採決願います。
  122. 千賀康治

    ○千賀委員 この問題は大澤君から提出された動議がすでに成立をいたしておりますから、順調にいけば採決が残されるばかりでありますけれども、ただいま門司君以下数名の方から申されるところにも傾聽すべきことがあると思う。そこでわれわれは必ずしもここで紛糾混乱を希望するものではありません。きようはこの程度で散会をされまして、次回にこの問題の採決を行われんことの動議を提出いたします。(拍手)
  123. 坂東幸太郎

    坂東委員長 千賀君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 坂東幸太郎

    坂東委員長 それでは本日はこの法案はこの程度にいたします。本日はこれをもつて散会いたします。  次会の日程は公報をもつてお知らせいたします。     午後四時二十九分散会