○千賀
委員 私はまず第一に
総理大臣にお尋ねいたします。内閣もわが憲法の
規定するところに從
つてつくられ、すべての
法律もこれをもととしてできておるということをわれわれは知るのであります。およそ
総理大臣もこの点には否定をせられる箇所はないと思います。ところで
地方制度に最も
関係の多い六・三制の
財政経理
関係でございますが、六・三制を
地方が引受けさせられまして、運営をいたしていきますると、どうしても
経費が足りないのであります。そこで
地方政廳では、いたし方がないから、民衆から寄附をもらいまして、これは強要の形になるか、どういう形になるかしりませんが、おそらく寄附をする人は、だれも喜んでは寄附しないでありましようけれども、子供を学校に預けたり、あるいはその土地の有力者である人々が、どうしてもいけないんだからというわけで、寄附を勧奬せられれば、いたし方なく寄附をいたして、そこでその寄附が積り積
つて数百億になりまして、これが補填を寄附において充足されたような形で來たのでございます。しかしながら
政府もその不合理を察知せられましたか、六・三制について寄附を強要勧奬しては相ならぬという政令が出ましたので、
地方ではそれでは困るから全部六・三制の
経費は
國庫支弁にしてもらいたいという要求をしておるのでありまするが、
政府の方では一時
起債を認めようということで、今日あなた方の方では解決がついたかのごとく感じておられるのかもしれませんが、その起伏は世上傳うるところによりましても、あるいは教育
関係の專門家たちが計算するところによりましても、
政府が許されようとする
起債額の半額にも達しない、百億を出ることがあまり多くないくらいしか、おそらく
消化ができまいだろうという観測をいたしておるのであります。
起債を相ならぬというわけではありませんが、これを
起債でやれという指示を與えるのは、あなたの
機関の一部分である
大藏省であり、また六・三制を所定のごとくにや
つていかなければならないとい
つて、
地方に指示をいたしますのも、またあなたの
機関である文部省であります。またあなた自身は憲法に從
つていかなければならない。憲法に從えば、普通教育を授けるために
國民は一切
負担をしないのだという原則がきめられてありまするのに、現在の立場で
負担をしないならば、今申しましたように進んでいかない。そこでいろんな形に
なつて、学校から子供を出しておる家庭は、
相当に
負担しきれないような額が、あれこれと
負担に
なつてくるのでございます。これはいずれあなた方もその点は子供さんがおありになるだろうから、よくおわかりに
なつておるだろうと思います。どちらをとりましても、これは不合理なところが現在のままでいけばあることを否定しがたいのでございます。
総理大臣は國家の最高の調節
機関、ハイエスト・ガバーナーという立場におかれまして、
國民に憲法の明示する権利を保有せしめるか、また
地方財政の
運用を健全ならしめるか。教育の実際的立場から六・三制を完全に運行せしめるか、どれかこれか完全にいかない現状にあるのでございます。いたし方がないと言えばそれまででありましようが、その難事を切り抜けて、これを解決するのがハイエスト・ガバーナーたるの務めだと思うのでありますが、この点に関しまして、私は何らかのくふうが足りないのではないか、信念が足りないのではないか。私はこの点をさらに掘下げまして、
総理大臣はどちらを重くこれからや
つておいでになるのか、はつきり伺
つておきたいのであります。われわれが控室にまいりましても、宿舎に帰りましても、山なす
陳情書が各
地方から出てきております。これは同じくあなた方の手もとにもい
つておると思いますけれども、この私が指摘しまする三点が、うまくいかないというところから、これが
地方の
市町村長の不平となり、
陳情となり、政治運動と
なつてわれわれに表現されておると思います。この点についての御答弁を願いたいと思います。
それからこれは
大藏大臣に対する質問でありますが、
地方財政にはなはだ同情と理解が薄いという点で、これは私の議席の隣りにおります
小暮藤三郎君が事実
休職しておることであるから、ぜひとも
大藏大臣に質問をしておいてくれということで、今日はやむを得ない用事で早退きをせられたのでありますが、小暮君は自分の子供が生れたときに、ある一定の面積と一定の家屋敷の財産をわけて、まつたくそこからあがります利益の全部を特別に金庫を設けて、そこで貯蓄をしておるそうでございます。しかしながら今年のこの
法案に現われた比率をかけてみますと、家賃は二倍半にするということを言うし、地代はそのまますえおく。一方
課税の方は
家屋税の百分の四十二に対して百分の二百を認める。
地租は百分の四十二を、やはり百分の二百四十を認めるというようなことに
なつてきたので、これを計算してまいりますと、まつたく今までの蓄積がゼロになるどころではない、足らないという事実があるのであります。この
一つの例は、おそらくこれは都市における家作持ち、地主の全部の会計であると思いますが、かくのごとき深刻なる影響を
地方に與えまして、これで健全
財政ということが言えるであろうか。この点に関しまして
大藏大臣はどうお考えに
なつているか。まずこの二点をお伺いいたします。