○
野溝國務大臣 ただいま提案いたしました
地方税法を改正する
法律案及び
地方配付税法案について提案の理由及びその大要を御説明申し上げます。
新憲法は、
地方團体の
自治権を個人の基本権と同様に保障することを闡明し、これに基いて
地方自治法が制定実施されたのであります。しかしながら、
地方自治発達の裏づけとなるべき財政の面におきましては、その與えられた財源の量は、未だ微力であり、その與えられた財源を入手する方途には未だ十分には
自主性を確立しておりません。昨昭和二十二年度を顧みますとき、
地方財政を最も悩ました大きな問題は、第一には六・三制の新
教育制度の実施に要する経費と、瀕発した
災害復旧対策に要する経費とでありました。いずれも当初予想しなかつた多頭の経費を要するものでありました上に、
國庫財政の都合で、相当多額の負担が地方に轉嫁されましたので、
地方團体はその運営に非常な困難をなめたのであります。この問題は今後も
國地方を通ずる大きな財政問題として遺憾のないように措置されねばならないところであります。
第二は
インフレの進行に伴う
人件費、
物件費等の増加に対應する所要の財源を欠除した点でありました。これがため
地方團体は極度の財政難に陥り、そのなすべき事業もなし得ず、いたずらに萎縮して
しまつたのでありまして、敗戰による苦難の中から起ち
上つて、
平和日本の再建に努力すべき地方の創意も
自主性も、これを十分に期待ないしは発揮することができなか
つたのであります。しこうして
地方團体はこれらの問題のため百二十億円の公債を発行し、五十五億円の
政府貸付金を得て、ようやく年度を送るだけのことができたのでありますが、その実態はなお非常な金融難に苦しみつつも、多額の一時借入金を
背負つて、
まつたくの一時しのぎをやつているという状態であります。このような
地方財政現在の危局を打破するため、政府といたしましては、
地方財政委員会において、第一に、
地方自治権確立の方針に則り、
地方財政自主化の徹底をはかること、第二に、現在の
経済情勢に即應する
地方税財政制度を確立することの二つを目標といたしまして、
地方税財政制度全般にわたる
改革案を立案いたしたものであります。しかしながら
國庫財政との関係もありまして、今ただちに
地方税財政制度改革案を全面的に実施することはできませんので、一應さしあたりの
地方財政の窮乏に対処するものとして、
地方税法及び
地方分與税法を全文改正することにいたしました。これが本法案を提出することにいたした理由であります。
最初に
地方税法を改正する
法律案の大要を御説明申し上げます。
本
法案提出の理由が右に述べました点にありますので、從いまして本法案は、さしあたつての
地方財政に必要な財源が得られるようにするため・
地方税制の改正を主とし、なお
地方財政自主化を一歩進めるために、
監督廳の許可の全廃に関する事項及び徴収の確保を期するため、罰則等の強化に関する事項をその内容といたしております。所要の財源を得る途は三つあります。第一は新しい税目を創設することであり、第二は
現行税目に
賦課率の
引上げ等の変更を加えることであり・第三は國秘を地方に委讓することであります。
由來地方税はいわゆる直接
税主義をとつており、
從つてインフレの進行に伴つて増收し得る税種にきわめて乏しいのでありまして、この三つの場合を通じ、この欠陥を補正しようと努めたのであります。
第一の新税目として創設いたしましたのは、次に申し上げるようなものであります。
一、
事業税、
現行営業税は、
営利法人の営む営業及び個人の営む
物品販賣業以下二十数種の営業に対して課しておるのでありますが、この際農業、畜産業、
水産業等の
原始産業及び
農業組合の
特別法人に対しても、その所得を標準として課税しまして、
地方團体の財源の一といたしました。以上新たに
事業税を創設することにいたしたのであります。しこうして
営業税はこれを廃止して、
営業税の対象となる営業も
事業税の対象とした点が特徴であります。しかしながらその
賦課率は
営業税の対象であつた営業と、新たに
事業税によ
つて課税の対象となつたものとの差等をつけるのを相当と考えまして、前者は本
税附加税を合わせて百分の十五であるのに対し、後者は百分の十といたしたのであります。この
営業税の
範囲拡張による
増收額は、次に申し上げる主
要事食糧の分を除いて約三十九億八千万円であります。なお農業に対する
事業税については、当分の間その事業から生ずる所得のうち、
主要食糧に関する部分は、これをその
課税標準に算入しないことにしました。
主要食糧の増産は、現下の
インフレを克服し、経済を再建する基盤をなすものでありまして、この際その
増産意欲を阻害するような措置はこれを避くべきであること、また現在
自作農創設特別措置法による
農地改革が今なお
進行途上にありますので、この際これの成功に障害となるような措置はとるべきでないこと等の事情を考慮した結果であります。
二、
特別業務税、農業初め
原始産業に課税することにしますと、それとの均衡上医師、
弁護士等のいわゆる自由業に対しても、その所得に対して新たに課税することが適当であると考えまして、これらのものに対する
特別業務税を新設したのであります。
賦課率は弁護士、公証人、
司法書士等に対するものは、
原始産業に対する
事業税と同樣、本
税附加税を合わして百分の十としましたが、医師、
歯科医師、
助産婦等に対するものについては、これらの業務について法律上
應招義務が規定されている等の業務の特殊性に鑑み、百分の八といたしました。この
特別義務税の新設による收入は、約九億と見られております。
三、
鉱産税、
鉱産税は昭和十四年当時まで國税として存したのでありますが、
鉱産地帶の
財政状況等にも鑑み、この際
地方税として復活することにいたしました。鉱物の掘採または砂鉱の採取の事業に対し、鉱物または砂鉱の價格を標準として課するものとし、
賦課率は本
税附加税を合わせて、價格の百分の一といたしました。しこうして鉱物の掘採または砂鉱の採取の事業に対しては、
事業税は課せられないことにしたのであります。この点が特徴であります。
鉱産税の新設による増收は八億九千万円であります。
四、
電氣ガス税、
電氣ガス税は戰時中から昭和二十一年まで國税として存してお
つたのでありまして、その廃止後は多くの府縣において
法定外独立税として徴収してまいつたものであります。この税を法定いたしまして、廣く
一般消費者に課することとすることは相当無理な
大衆課税であるとの論もあるようでありますが、
地方財政の
窮乏打開の一策としてやむを得ないものと考えております。
賦課率は本
税附加税を合わして百分の十といたしておりますが、要
保護者等に対しまして、
地方團体において適宜減免の措置をとることは望ましいことと考えております。なお
重要産業が直接生産のため使用する電氣に対しては、その製品の
價格構成中に五%以上の
電氣料金を
占むるものにつきましては非課税とするように措置いたしますから、その生産を阻害することはないと考えております。
電氣ガス税新設による收入は約二十六億円に達する
見込みであります。
五、
木材引取税、
使用人税、
余裕住宅税、以上申し上げましたほか、素材の引取者に課する
木材引取税、
家事使用人を使用する者に課する
使用人視を新設し、なお当分の間、
余裕住宅の
使用者または空住宅の
所有者に
余裕住宅税を課し得ることにいたし、あらゆる方面において財源を求めるとともに、
住宅難緩和の一助ともすることといたしたのであります。
次に財源を得る第二の方法として、
現行税目について次のようにその
賦課率を引き上げる等、所要の変更を加えたのであります。地租の
標準賦課率は、現在宅地については本
税附加税を合わせて百分の二十四、宅地以外の土地については百分の七十二でありますのを、一樣に百分の二百、
家屋税の
標準賦課率は、現行百分の四十二でありますのを、百分の二百五十に引き上げて、相当の増收をはかることにしたのであります。地代及び家賃が現在他物價に比し、者しく低位にすえおかれておりますので、これを改定するとともに、この程度の増税を行うことは、またやむを得ないと考えたのであります。因みに、地租、
家屋税の課率の引上げによる増收は約五十億になる
見込みでおります。
住民税は、
現行地方税中におきまして唯一の人税でありまして、その本來の特色は、これによ
つて多額の収入を得ようとするのではなく、廣く住民が負担を分担し、これを通じて
地方自治に対する住民の関心を深くし、積極的に
地方自治に参與しようとする氣風を釀成していこうとする点にあるのでありますが、一面ある程度の彈力性をもち得る性質を具備しておりますので、昨年來しばしばその
平均賦課額の
制限額を引き上げて、相次ぐ
人件費物件費の高騰に対應する財源の一部に充ててまい
つたのでありますが、今回さらに一歩を進めて
納税義務者一人
当り平均賦課額制限の制度を廃止して、新たに
標準賦課額の制度を設けることとし、
標準賦課額を道府縣民税と
市町村税とを合わせて千円とすることにいたしました。
現行制限額四百円に対して二倍半の増税でありまして、これによる増收は約九十四億と見込まれるのでありますが、すでに本税としては徴収し得る限度ではないかと考えております。しかして
納税者の便宜を考慮して適宜納期を二期をわけることといたしたのであります。
鉱区税の
賦課率は、他の税に比し低位にありますので、五倍に引き上げることにいたし、また
不動産流通の担税力に着目し、
かたがたインフレの抑制をはかるため、
不動産取得税の
制限賦課率を、本
税附加税を合わせて價格の百分の二十に引き上げて法定することにいたしました。
自轉車、荷車及び金庫の取得に対しましても、自轉車税、
荷車税及び
金庫税を課し得るごととし、また
遊興税を
遊興飲食税に改め、喫茶店における飲食、
仕出屋等から供給を受ける飲食に対しても課し得ることにしました。なお、府縣税の藝妓税を廃止し、藝者、
ダンサー等に
市町村税として
接客人税を課することにいたしました。
以上申し上げましたように、今回の改正においては、
地方財政として残されている税源について多数の新しい税目を起し、また、
現行税目に変更を加えてこれを捕捉することにしたのでありますが、これらの措置のみをもつては、急増した
地方團体の
財政需要を充足いたしますには、なお多額の欠除を生ずるのでありましてここに第三の方法といたしまして、國税の
地方委讓が考えられるのであります。現下の
経済事情におきましては、
國庫財政もまた相当窮屈な状態にあるのでありますが、警察、消防、
教育等各方面におきまして相当大幅な事務が國から地方に委譲になりました現状におきましては・税源もまたこれに対腐して地方に委讓することが適当の措置であると考えるのであります。かくて今回の改正におきまして、
國税入場税と
狩猟免許税の
地方委讓を受けることにいたしました。
入場税は、元
來地方税として発達したものでありますが、昭和十五年
以來國税として徴收し、その一部を
配付税として
地方團体に交付する形式をとつて現在に及んでいるのでありまして、このような沿革からいたしましても、また
地方團体の施設との関連から見ましても、殊に今般設置せられました
自治体警察に要する経費に見合う財源としては適当な税と考えられますので、これを道府縣税とし、
市町村においてその
附加税を課するごとといたしたのであります。
賦課率は、國税当時と同じく、料金の百分の百五十とし、この税の性質からしまして全國一律といたすように規定いたしました。なお道府縣分と
市町村分との割合は、この税の委讓の趣旨の一つが
自治体警察の財源に充てるという点にあるのに鑑みまして、道府縣分一、
市町村分二の割合といたしたのであります。因みに
入場税の委讓による
地方税の増收は、約百九億となる
見込みであります。
狩猟免許税は、
狩猟法に基いて國税として徴收いたしておるのであります。また
地方團体におきましては、現在この
狩猟免許税の半額以内の
狩猟者税を賦課いたしておるのでありますが、いわばこれは
附加税と同樣のものなのであります。一方
狩猟免許に関する事務は、現在都道府縣において実施しているのでありまして、この際
地方財源充足の一つの措置といたしまして、これを道府縣に讓り受けて
狩猟者税と併合し、
市町村において
附加税を課することといたしたのであります。
次に
監督廳の許可の権限の全廃について申し上げます。
現行法におきましては、
標準率超過課税、
法定外独立税の新設、変更、あるいは
営業税における
外形標準の採用等の場合におきましては、
内閣総理大臣及び
大藏大臣または都道府縣知事の許可を要することとなつておりますが、
地方團体における
財政自主権を確立する方向から見ましてうこの際
許可制度を全廃することを適当と考えたのであります。その結果、たとえば
住民税、地租、
家屋税及び
事業税については、單に
標準賦課総額または
標準賦課率を法定するに止め、また
法定外独立税は
地方團体において、自由に課し得ることとしたのであります。しかしながら、一面
地方團体が
財政運営の方針を誤り、その財政の
健全性を失い、國または住民に迷惑をかけるようになりますと、かえつて自治の基盤を破壊することになりますので、
財政自主権を尊重しつつ、しかもかかる弊害に陥らぬようにいたしますため、
地方税審議会による審査の制度を設けたのであります。
すなわち
地方團体が
標準率超過課税、
法定外独立税の新設、変更、
外形標準による
事業税の
賦課等をしようとするときは、これに関する條例の議決後、ただちに
内閣総理大臣に報告せしめることとし、
内閣総理大臣は國民の
租税負担、國の
経済施策等に照らし適当でないものがあると認めるときは、
地方税審議会の審査を請求し得ることとし、
地方税審議会の審査の結果当該條例の取消しまたは変更を可とすると決定したときは、
内閣総理大臣は、これに基いて取消しまたは変更の処分をしなければならないこととしたのであります。しかして、この制度は從來の中央集権的な許可の制度とはその精神を異にするものでありまして第一に審査に付せられる事項はできるだけ少くするようにして、
地方團体の自主的な活躍を萎縮せしめないようにし、第二に、
審議会の委員は、
財政主管官廳及び自治團体の
関係者でない
学識経驗者のうちからこれを選任することとして、その審査の公正を保持し、第三に、
審議会は
内閣総理大臣の所轄には属するのでありますが、
内閣総理大臣は
審議会の審査に拘束せられることとしまして、官権の專断を廃して、民主的な運営を所期することといたしたのであります。
最後に罰則等の強化について申し上げます。
地方税の賦課徴收に関しては、從來過料を課し得るのみであつて、刑罰による制裁はなか
つたのでありますが、昨年及び今回の改正によりまして、新税の創設、國税の委讓によりまして、その税種におきましてもうその税額からいたしましても、
地方税の内容な國税に匹敵するものとな
つたのでありまして、これが徴收を確保するため、國と同樣の体刑または罰金を課し得ることといたしたのであります。なお徴税確保の見地から、延滯金の限度も税金額百円につき一円二十銭に引き上げることに改正いたしましたことを付け加えておきます。以上が
地方税法案の大要の説明であります。
次に
地方配付税法案の大要を御説明申し上げます。
現行
地方分與税法を廃止して、新たに地方
配付税法を制定する手続をと
つたのでありますが、
地方財政自主化の見地から考えて、分與という言葉は適当でありませんので、これに代えて配付という言葉を用いることとしたほか、
現行法の内容に若干の改正を加えただけで、その根本精神には別段の変更を加えたわけではありません。
改正の要点を御説明申し上げますと、第一は
配付税制全体に関連する問題でありますが、その一は
入場税を地方独立税とし、地方
配付税の財源から除外したことであります。その二は
配付税の繰入割合を増率したことであります。
地方税所要額は年間一千百七十二億円でありますが、國税の委讓を受けたり地方独立税を創設したり、
現行地方税の増税を行つたりいたしましても、なお四百十五億円の不足を生じますので、これを所得税及び法人税から地方
配付税配付金特別会計の方へ繰入れる割合の増率に求めることといたしました。昭和二十三年度におきましては、八月から
入場税の委讓を受けます等の関係で、若干計数に異動がありますので、経過的規定を設けております。その三は、
配付税の道府縣分と
市町村分との割合を変更し、
市町村分を増率したことであります。
地方税所要額中独立税または
附加税の收入を充ててなお不足する額は、
配付税をもつて充てることといたしますと、その
配付税の所要額は道府縣分二百九億円、
市町村分二百六億円となりますので、その
配付税の道府縣分と
市町村分との割合は、それぞれ百分の五十ずつとなります。現行は道府縣百分の六十七、
市町村分百分の三十三でありますので、
市町村分は相当今回増率したこととなります。もつとも本年度は年度中途から制度の改正が行われますので、若干計数に変化がありまして、この割合は道府縣分百分の五十三、
市町村分百分の四十七となつております。その四は、戰災による税の減收額を標準とする戰災地
地方團体に対する分與税の特別分與の制度を廃止したことであります。戰災後の
地方團体についていつまでも一律に戰災前の状況を基礎として、その税の減收額を補填していくという考え方は穏当でありませんので、この制度を廃止したわけであります。しかし別に戰災地
地方團体に対する財政援助の方法として、戰災復興費負債額に一定率を乗じた額を、当該團体の課税力の算定にあたつて用いる税額から控除することといたしました。
改正の第二は、道府縣
配付税に関する問題であります。
財政需要に正比例して配付する配付額の算定方法につきまして、その一は、人口に設けるウエイトに改正を加えたことであります。すなわち從來大都市部の人口については、人口の三倍、都市部の人口については実人口の二倍、町村部の人口については実人口を一倍したものを基数に用いて、按分していたのでありますが、
入場税の委讓等によりまして、都市方面の財源は相当増加してまいりましたので、大都市部の人口については実人口の二倍、都市部の人口については実人口の一倍半にしたものによることといたしました。またその際北海道の人口については三割増、東北地方及び北陸地方の分については二割増したものについて、それぞれ割増人口を計算することといたしました。これは寒冷地帶の
財政需要は、薪炭費等がかさみますのと、
事業税についても
主要食糧に関する部分を除外した関係で、單作地帶においては、
事業税の創設により増收を期待することができないという事情を考慮したのであります。
その二は新たに義務教育にかかる学級数を標準とずる配付額の制度を設けたことであります。
教育制度の改革に伴い、義務教育職員費が著しく増加することになりますので、その
財政需要を配付基準にとり入れることといたしたのであります。
改正の第三は、
市町村配付税に関する問題であります。その一は、町村
配付税を、
自治体警察を設置する町村に対する甲町村
配付税と、
自治体警察を設置しない町村に対する乙町村
配付税とにわけたことであります。
警察制度の改正により、
市町村に
自治体警察を設置せられることとなりましたのに伴い、町村のうちこれを設置するものと設置しないものとの間に著しい
財政需要の相違を生ずることとなりましたので、これに即應した
配付税の配付をするためにそれぞれの
配付税を設けろことといたしたのであります。その二は課税力に逆比例して配付する配付額の算定方法につき、改正を加えることであります。すなわち、從來團体間の課税力を測定するものとして、実人口一人当りの税額を用いて比較していたのでありますが、
市町村に
自治体警察が設置せられたことにより・実人口によることが不適当となりましたので、実人口に、三百に警察吏員の数を乗じた額を割増ししたものの一人当りの税額により比較することにいたしました。その三は、
財政需要に比例して配付する配付額の算定方法に改正を加えたことであります。すなわわち大都市、都市、甲町村及び乙町村の各ブロック間の人口比例による分割にあたりまして、道府縣の
配付税におけると同樣の趣旨をもちまして、從來大都市、都市及び町村につきそれぞれ実人口の三倍、二倍、一倍したものを按分の基数に用いておりましたのを、それぞれ実人口を二倍、一・五倍、一倍したものと、三百に警察吏員の数を乗じた額を合算したものを用いることにし、なおその際、北海道の人口については三割増、東北及び北陸地方の人口については二割増したものに基いて割増人口を計算するごとに改めたのであります。次に各ブロック内團体間の人口比例による配付額の算定にあたつて、その按分の基準に用います割増人口は、從來は実人口に一定数を加算したものによ
つたのでありますが、これを改正して、実人口に一定数を加えたものに、さらに三百に警察吏員の数を乗じた額を加算したものによることとするとともに、寒冷地帶の人口につきましては、單なる実人口を用いないで、北海道について三割、東北及び北陸地方については二割をそれぞれ割増ししたものを用いるごとといたしました。なお道府縣
配付税の場合と同樣の趣旨によりまして、新たに義務教育にかかる生徒児童数と、義務教育にかかる学級数とを標準とする配付額を設けることといたしたのであります。
以上をもちまして、
地方税法を改正する
法律案及び
地方配付税法案の提案の理由並びにその内容の大要を御説明申し上げた事次第であります。
なお一言申し上げておきますが、本法案は特に重要法案であるとともに、自治体の裏づけとなるべき骨格法でございますので、この際委員諸君の檢討を得るためにも詳細に説明した方がよいだろうという意味からくどいようでありまするが、詳細に説明申し上げた次第であります。