運営者
Bitlet
姉妹サービス
kokalog - 国会
yonalog - 47都道府県議会
nisalog - 東京23区議会
serelog - 政令指定都市議会
hokkaidolog - 北海道内市区町村議会
aomorilog - 青森県内市区町村議会
iwatelog - 岩手県内市区町村議会
miyagilog - 宮城県内市区町村議会
akitalog - 秋田県内市区町村議会
yamagatalog - 山形県内市区町村議会
fukushimalog - 福島県内市区町村議会
ibarakilog - 茨城県内市区町村議会
tochigilog - 栃木県内市区町村議会
gunmalog - 群馬県内市区町村議会
saitamalog - 埼玉県内市区町村議会
chibalog - 千葉県内市区町村議会
tokyolog - 東京都内市区町村議会
kanagawalog - 神奈川県内市区町村議会
nigatalog - 新潟県内市区町村議会
toyamalog - 富山県内市区町村議会
ishikawalog - 石川県内市区町村議会
fukuilog - 福井県内市区町村議会
yamanashilog - 山梨県内市区町村議会
naganolog - 長野県内市区町村議会
gifulog - 岐阜県内市区町村議会
sizuokalog - 静岡県内市区町村議会
aichilog - 愛知県内市区町村議会
mielog - 三重県内市区町村議会
shigalog - 滋賀県内市区町村議会
kyotolog - 京都府内市区町村議会
osakalog - 大阪府内市区町村議会
hyogolog - 兵庫県内市区町村議会
naralog - 奈良県内市区町村議会
wakayamalog - 和歌山県内市区町村議会
tottorilog - 鳥取県内市区町村議会
shimanelog - 島根県内市区町村議会
okayamalog - 岡山県内市区町村議会
hiroshimalog - 広島県内市区町村議会
yamaguchilog - 山口県内市区町村議会
tokushimalog - 徳島県内市区町村議会
kagawalog - 香川県内市区町村議会
ehimelog - 愛媛県内市区町村議会
kochilog - 高知県内市区町村議会
fukuokalog - 福岡県内市区町村議会
sagalog - 佐賀県内市区町村議会
nagasakilog - 長崎県内市区町村議会
kumamotolog - 熊本県内市区町村議会
oitalog - 大分県内市区町村議会
miyazakilog - 宮崎県内市区町村議会
kagoshimalog - 鹿児島県内市区町村議会
okinawalog - 沖縄県内市区町村議会
使い方
FAQ
このサイトについて
|
login
×
kokalog - 国会議事録検索
1948-06-15 第2回国会 衆議院 治安及び地方制度委員会 第38号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十三年六月十五日(火曜日) 午後一時三十九分
開議
出席委員
委員長
坂東幸太郎
君
理事
小暮藤三郎
君
理事
千賀
康治君
理事
門司 亮君
理事
坂口 主税君
理事
高岡 忠弘君
大澤嘉平治
君 坂田
道太
君 中島 守利君 松浦 榮君 笠原 貞造君 菊池
重作
君 松澤 兼人君 矢後
嘉藏
君
高橋
禎一君
大石ヨシエ
君
川橋豊治郎
君
出席政府委員
國家地方警察本
部長官
斎藤
昇君
國家地方警察本
部部長
武藤 文雄君
文部政務次官
細野三千雄
君
委員外
の
出席者
國家地方警察本
部警視
間狩
信義君
專門調査員
有松
昇君 六月十四日
委員中垣國男
君辞任につき、その補欠 として
高橋清治郎
君が議長の指名で
委員
に選任さ れた。 ――
―――――――――――
六月十日
市町村立学校職員給與負担法案
(
内閣提出
)( 第一三八号) の審査を本
委員会
に付託された。 ――
―――――――――――
本日の会議に付した
事件
風俗営業取締法案
(
内閣提出
)(第六三号)
警察官等職務執行法案
(
内閣提出
)(第一二四 号)
市町村立学校職員給與負担法案
(
内閣提出
)( 第一三八号)
警察制度改革
に関する
中間報告
の件 ――
―――――――――――
千賀康治
1
○
千賀委員長代理
ただいまから開会いたします。 今日の
日程
は
風俗営業取締法案
、
警察官等職務執行法案
、
市町村立学校職員給與負担法案
の三件でありますが、その前に
日程
を追加いたしまして、
警察制度改革小委員長
の
小暮藤三郎
君から
中間報告
を聽取いたすことにいたします。
小暮
君。
小暮藤三郎
2
○
小暮委員
これより
警察制度改革小委員会
の今日までにおける
審議経過
の
中間報告
をいたします。 本
小委員会
は去る五月十八日
設置
せられまして、即日十四名の小
委員
が
委員長
より指名されまして、同時に不肖私が小
委員長
に指名せられたのであります。そこで五月二十四日第一回の打
合会
を開き、まず今後本
小委員会
をいかに運営していくかにつきまして協議いたしましたところ、今日までの
警察関係
におきましては、ただに
警察法
の
改正
の問題ばかりでなく、そのほか
警察制度
に関する問題の檢討、
警察官吏
の教養問題、
警察官吏
の待遇問題、殊にただいまいろいろ問題にな
つて
おります
通信施設
の一元化の問題、
勤務制度
の問題、整備の
問題等
、これから解決しなければならない問題が山積しているのであります。そこで本
小委員会
といたしましては、これらの諸
事項
を随時取上げ、善処していきたいと思いまして、それには
小委会
で
関係当局
を招致しまして
説明
を聽取するほか、必要の箇所に出張して視察を遂げ、その他
公安委員
や
警察官吏等
とも懇談し、新知識の吸收に努め、常時
研究改善
を加えていくということに決定いたしました。本
日本小委員会
の
名称
を
警察法改正
に関する
小委員会
とせす、特に
警察制度改革小委員会
といたしましたのも、かかる用意のためであると思うのであります。 そこで本
小委員会
は、以上述べました諸
事項
のうち、まず
警察法
の
改正
問題を取上げまして、これを檢討したのであります。本日はこの問題につきまして大体の結論を得ましたので、これからその
概要
を御
説明
申し上げたいと存じます。なお残余の問題に関しましては、その都度適当の時期をみまして随時御
報告
申し上げたいと存じます。 本
小委員会
におきまして
警察法改正
問題に関し、五月二十五日以後小
委員打合会
を開くこと五回、
有松專門調査員起草
の試案につきまして
愼重審議
を重ねました結果、遂に
一定
の成案を得たのであります。そこで、不省私は
委員長
としまして、
有松專門調査員
とともに、五月二十八日
連合軍
総
司令部公安局
に
プリアム大佐
を訪れ、大体につき打合わせを
行つた
後、さらに六月四日、私
ども
は再び
公安局
を訪問いたしまして
イートン・ハロルドF
、マルバー及び
エンゲル
の三氏に面会しまして、約三時間にわたりまして
改正案
の
内容
につき
詳細説明
をいたしましたところ、
公安局側
は終始熱心にこれを聽取しまして、逐一これを筆記し、しかる後これから述べますように答弁をされまして、最後に、このような会合はきわめて有
意義
であるから、今後しばしばこれを開いて、常時檢討することにいたしたいという双方の
意見
が完全に一致し、きわめて有
意義
なる協議を愉快にいたしまして、その
会見
を
終つたの
であります。しかして
右会見
の結果は、如実にこれを当
委員会
に御
報告
申し上げ、各位の御理解を深めておくことが、
警察法改正
に関し、必要のことと認めましたので、私はさらに
有松專門調査員
と一緒に昨十四日イートン氏を
公安局
に訪ねまして、懇談の後これより御
報告
申し上げることにつきまして完全なる了解を得たのであります。 これより去る四日の打
合会
の結果を御
報告
するに際しまして、順序としましてまずわれわれ
衆議院側
が主張いたしました
諸点
を逐一御
報告
申し上げ、それが済んでから、それに関する各項に関して
公安局側
が答弁された点を申し上げますが、きわめて満足にお話合いができたと思うのであります。何とぞ
暫時
御
清聽
を煩わしたいと存じます。 第一に、
衆議院側
の
説明
の
概要
を申し上げたいと思います。 一、
國家地方警察隊
現在の三万人を五万人に
増員
とたいという件でございますが、今回の
浜松事件
及び
神戸
、
大阪事件
を通じまして、現在の
國家地方警察隊
の陣容をも
つて
しましては、
自治体警察
から
援助
の
要求
があ
つた
場合、人数が少いために適切に
援助
ができないということが発見されたのであります。その
理由
は、現在の
國家地方警察官
は、
本部
にお
つて一定
の
地位
にある者を除いては、人口五千以下の村落の
駐在所
に勤務するものであ
つて
、これらは各所に散在しておりますので、非常の場合これを招集いたしまするのには、非常な時間を要し、また手数を要し、かつ
かく
してようやく集めた者は、平素の
團体訓練
が欠けておりますので、
部隊活動
をするのに能率があがらない点が見られるのであります。そこでこれに対処するために、各縣に約五百人ずつの
訓練部隊
を置きまして、常時はこれを教養して有時の際に備へ、非常時は
機動部隊
としましてこれを活動せしめる。そうして常時
訓練部隊設置
の必要ある場所を四十二府縣、及び北海道は
廣い
から四箇所とすれば、一箇所五百人ずつとしますと、合計が二万三千人となるのでありますが、これを少し縮めて約二万人の
増員
としたのであります。 二は
都道
府
縣非常事態
の
特別措置
、
非常事態
の
布告
を発する際にして、一々
内閣総理大臣
の手を煩わさなければならず、また
内閣総理大臣
は
國家公安委員会
の
勧告
に基かなければ動けない
從來
の
非常事態
の
制度
をも
つて
しましては、たびたび起
つて
はなりませんが、これからたびたび起りやすいこの
非常事態
に対処する場合、時機を失し、遺憾の点があるということを考えますれば、將來の
國家非常事態
に準ずるものとして、大体
國家非常事態
の
規定
になら
つて
、新たに
都道
府
縣非常事態
に関する必要な
規定
を設けようとするものであります。その方法は
都道
府
縣知事
が
都道
府
縣非常事態
の
布告
を発するには、
都道
府
縣公安委員会
の
勧告
に基くことを要し、
布告
を発した場合には
遅滞
なくこれを
内閣総理大臣
に
報告
するとともに、
布告
を発して後二十日以内に、
都道
府
縣議会
の
承認
を求めることとし、もしその
承認
を得られないか、あるいは議決に至らなか
つた
場合には、その
布告
は將來失効する。
布告
の効果として
都道
府
縣知事
が、一時的にその
都道
府
縣内
の
警察統制
を行うことを
規定
する。また
都道
府
縣非常事態
と
國家非常事態
との
関係
については、同一
事件
につき競合し得るものといたしまして、但しその場合
國家非常事態
の
布告
が発せられたときは、
都道
府
縣非常事態
の
布告
は將來失効するものとする。 三は
相互援助規定
の
完備
、
從來自治体警察
が
國家地方警察
に向
つて援助
を
要求
し得る
規定
はあ
つた
が、
國家地方警察
から
自治体警察
にまた
國家地方警察相互
間、もしくは
自治体警察相互
間に
援助
を
要求
し得る
規定
がない。
援助
に
行つた警察官吏
がその行く先で
職務
を行使し得る
規定
もないので、はなはだ不都合であ
つた
から、今回
規定
を
改正
して、この不都合を除去することとしたのであります。また
援助
を
要求
する場合、
從來
はこれを
自治体公安委員会
がみずからなさなければならなか
つたの
でありますから、火急の場合に間に合わぬことがあ
つたの
で、今回はかかる場合には
警察長
がこれをなし得ることとし、その不便を排除して、
警察長
はこの場合
遅滞
なくこれを
公安委員会
に
報告
すべきこととし、
公宏委員会存在
の
意義
を滅却することのないように期するものであります。また
警察官吏
が他管内へ
援助
に
行つた
場合、その
費用
に関しまして
明文
がなか
つた
ために、
從來
支障
が少くなか
つた
から、
費用
に関する
規定
を設け、疑問や
支障
を來さないようにいたしたいのでありますが、なお
國家地方警察
から
市町村警察
へ
援助
に
行つた
場合、その
費用
を國で
負担
することといたしたい。それはこうしておかないと、
費用
の節約のために、本來の大事な
援助要求
を怠り、
治安
の
維持
に遺憾が起りはしないかということをおそれたのであります。 以上の観点から
警察法
第五十
五條
を次のように改めたい。「
都道
府
縣公安委員会
または
市町村公安委員会
は必要があると認めたときは、他の
國家地方警察
または
市町村警察
に対して
援助
の
要求
をなすことができる。前項の場合において急を要するときは、
警察長
は前段の
援助
の
要求
をなすことができる。この場合においては
警察長
は
遅滞
なくこれを
公安委員会
に
報告
しなければならない。前三項の
規定
によ
つて援助
のために派遣せられた
警察官
または
警察吏員
は、
援助
の
要求
をなした
公安委員会
の
運営管理
のもとにその職権を行使することができる」というふうにしたいのであります。第一項及び第二項の
規定
による
援助
のために必要な
費用
は、
援助
を
要求
した
公安委員会
の属する國または
市町村
の
負担
とする。但し
國家地方警察
から
市町村警察
へ
援助
に
行つた
場合は、その
費用
は
國庫
の
負担
とする。 四に應援費の問題、
國家非常事態
の場合、
市町村警察長
が
國家地方警察本部長官
または
警察管区本部長
の命令により、その
市町村吏員
をその
市町村
の
区域外
に出動せしめたときは、それに要する
経費
につきましては
明文
がないため、たれが
負担
するか明瞭でなく、そのためもしこれをその
市町村
に
負担
させるようなことがあ
つて
は酷であるから、かかる疑問や不合理を避けるために、これに要する
経費
は
國庫
の
負担
とする旨の
明文
を掲げたいのであります。 五、
情報報告
の
義務
、
市町村警察長
は、
犯罪統計
や、
犯罪鑑識
に関する
事項
は、
一定
の
形式
により、
都道
府
縣警察長
を通じ、これを
國家地方警察本部長官
に
報告
する
義務
があるが、
情報
の
報告
に関しては、何らの
規定
もありません。
神戸事件
のごとき、すでに久しい前から
尼ヶ崎
市においてその徴候があ
つたの
であるから、もし
尼ヶ崎警察長
がこれに関する
情報
を
神戸
市
警警察長
に送
つて
いさえしたならば、あんな
事件
は重大事になることを未前に防止し得たのであろうと言われておる。なお
市町村警察長
に対して、新たに
治安維持
のため必要な
情報
の
報告義務
を課せんとするのであります。 六が教養の
施設関係
の
規定
の
完備
でありますが、
警察管区学校
、
警察
大
学校
に関する
事項
は
警察法
に別段
規定
がないから、これを
政令
で定めてもよいようなものでありますが、これらの
学校
は他の普通の
学校
とは違
つて
おりまして、直接人民の福祉に影響する点が多いので、特にこれを
法律
で定
むべきもの
といたしたい。また
都道
府
縣警察学校
をだれが
維持
し、運営するかに関して
明文
がない。
管区警察学校
及び
警察
大
学校
は、
國家地方警察
がこれを
維持
し、運営する旨の
規定
があるに比較し、疑問を生じやすいから、これを明瞭にし、かつ法文の体裁を整える上からも、
都道
府
縣警察学校
は、
都道
府
縣國家地方警察
が、
維持
し、運営する旨の
規定
を置くようにしたいのであります。 次に
市町村警察
の
下部機構
でありますが、
市町村警察署
の
下部機構
については、
二つ
のものを
規定
いたしたいのであります。その第一は、
都道
府
縣國家地方警察
には、
警察署
の
下部組織
としまして、
派出所
または
駐在所
を置くべきことが
警察法
の第二十八條第四項の
規定
によ
つて
明らかでありますが、
自治体警察
に対しては、これに該当する
規定
がないので、明瞭を欠く不便が多いから、
改正
の場合にこれを明らかにする
條文
を附加したい。但し
都道
府
縣警察
にありましては、置くことができるとしないで、單に置くと書いてあるから、仮出所か
駐在所
かのどちらかを置かなけねばならないが、
市町村警察
にあ
つて
は必ずこれを置かなければならないこととすると、 〔
千賀委員長代理退席委員長着席
〕
財政
などの問題から
支障
を來すこともあり得るので置くことができるとして、その
設置
に選択の余地を残したのであります。かつその
規定
の附加によりまして、
市町村警察
の
下部機構
は置いてはならぬという疑問が解消するわけであります。その第二点は
市町村警察署
に
下部機構
としまして、
派出所
または
駐在所
を置くことができるとする以上、その
下部機構
の位置、
名称
及び
管轄区域
は、
市町村警察長
がこれを独断專行しないために、
市町村公安委員会
の
意見
を徴して、
市町村條例
でこれを定めることとしたい。 八、
國家地方警察本部等
の
警察官
の
階級
、
都道
府
縣國家地方警察
に属する
警察官
の
階級
は、
警察法
第三十
五條
第二項に明記せられており、
市町村警察
に属する
警察吏員
の
階級
もまた第四十六條第二項の
規定
によ
つて
明らかである。しかるに
國家地方警察本部
にありましては、
本部長官
、次長及び
部長
は法に明記せられておりますが、
部長
より下の
課長
以下の
警察官
の
階級
に関しましては
明文
がないのであります。また
國家地方警察管区本部
にあ
つて
も
管区本部長
以外の
警察官
の
階級
に関しては
明文
がない。そこでこれらのものが轉任したりする場合は不便が少くないので、大体
都道
府
縣警察
及び
市町村警察
と同様に、警部、
警部補巡査部長
、及び
巡査
の
階級
を設けんとするものであります。但し
課長
の
地位
にある者の
階級
は、
都道
府
縣警察長
に相当するものであ
つて
、
警視
よりも一
階級
高めるのを適当と思いまして、新たに
警視
の上に
警視正
という
階級
を設けんとするものであります。 以上が私
ども
が
公安局側
に申し述べました
概要
でありまして、これにつきまして
公安局側
の
回答
の
概要
を申し上げたいと思います。 以上申し上げました話を聽きました後に、
公安局
といたしましては、
國会
が
かく
も熱心に
警察法
の問題に関心をも
つて
おることを知り、深く喜ぶとともに、また
かく
も精細に
意見
を立てられたことにつきましては、大いに敬意を表するものである。ただいま述べられた
諸点
はいずれも首肯し得るものであ
つて
、われわれもすでに考えていたものであり、これらはよく意に留めておいて、大いに参考といたしたい。ただいま述べられた
諸点
に関して、これから一々お答えいたしたいと思うが、その前にこのことを申し上げておかなければならない。それは、現在の
警察法
が
國会
を通過して
法律
になり得るまでには、過去二年という長い時間を必要とした、この
法律
がいよいよ制定せられるまでには
日本
の
警察
がいかに大きな努力を拂
つた
か、まずそれを念頭に置かれたい。また新
警察法
は昨年の十二月に公布せられ、それが実施せられたのは本年の三月七日であ
つた
、本日までにわずか三箇月しか
経過
していないのである。なるほど新しい
警察法
は順調に滑り出した。しかしこれについては約五千人の
公安委員
、約十万人の
警察吏員
及び相当成の
進駐軍職員
を再
教育
せざるを得ない。そこで今
新法
を
改正
せんとするときは、またまたこの再
教育
を新たにやり直さなければならない。そこで今日この
警察法
を
改正
したいと思
つて
おる
諸点
に関しては、
法律
を常識的に解釈し、運用し、この際どうにかして
新法
を生かす態度をと
つて
もらい、今後六箇月ないし八箇月間おもむろに推移を静観していきたい。そうすればあるいは今後
改正
しようと思うておる
諸点
もあるいは
改正
をしないでも済むかもしれない、とに
かく
そういう
経過
はあ
つて
も
改正
の意図を放棄しようというのではない。
暫時試驗的
に檢討期間を設け、その間に常時互いに
研究
を続けていきたいと思う。 それで一の
國家地方警察隊
三万人を五万人に
増員
する件、これについての
公安局側
の
意見
でございますが、一人の
訓練
を経た人は、数人の
訓練
を経ない人よりもましである。現在
國家地方警察
には三万人の隊員がおるが、これらの者の全部に対し、未だ新
警察法
の
訓練
が完了したとは言えない。今日の急務はまずこの三万人の
訓練
を全うすることである。この完了を見ないうちに、さらに二万人の
増員
をすることは、未
訓練者
を増加するものであるから困ることになる。またこの三万人の
警察隊
が、いかなる仕事をなすかは今日未知数であるから、この三万人という比率を変更する非難に対する
回答
は困難である。 二に、
都道
府
縣非常事態
の
特別措置
でありますが、
都道
府
縣非常事態
に際し、
特別措置
を講じなければならぬという
意義
は十分に認めるところである。ただ
日本
には
地方自治
の育成ということが必要である。しかるに
非常事態
が
布告
せられると、
自治体警察
は
國家警察
の
統制下
に服さねばならぬことになる。これは短期間といえ
ども
自治体警察
の機能が停止することになるので、惡い習慣をつけ、
地方自治
の発達を阻害することとなる。われわれもこれより調査檢討してみたい。それには少し期間をおいてもらいたい。またこの問題は
都道
府
縣内
の問題であるから、
法律
を
改正
しなくても、
都道
府
縣議会
の問題として
條例
で同じ
目的
を達するようにはできないのであるか、互いに
研究
してみたい。 次に
相互援助規定
の
完備
、これについての
意見
でございますが、われわれも
相互援助
の
規定
を
改正
する氣持はあるが、
改正
しないで同じ
目的
を達するような工夫はできないのであろうか。たとえば
國家地方警察
から
自治体警察
に
援助
を求めた場合、
自治体警察吏員
は一
市民
として
援助
に行くものであ
つて
、
非常事態
のごときは
現行犯
として律せられるものが多いから、
市民
が
現行犯人
を逮捕するというふうにや
つて
はどうか。また
警察長
が
公安委員会
の指令を待たないで、直接
援助
の
要求
をなし得るよう
改正
したいという問題については、
法律
を
改正
しなくとも、あらかじめかかる
権限
を
公安委員会
から
警察長
に移讓するように、
都道
府縣
條例
を定めるという
措置
をと
つて
はどうか。 次は
情報報告
の
義務
であります。この
情報
というものはややもすれば私生活に干渉する傾向のあるものである。非民主的なものであるがゆえに
情報
を
報告
することを
義務
的にするのは危險である。どうしても必要な場合は
治安
を
維持
するに必要な程度に限るべきものである。これが
公安局側
の
意見
の
概要
であります。 以上私の小
委員長
としての
報告
を終ります。
坂東幸太郎
3
○
坂東委員長
警察制度改革
に関する
小委員会
が、その筋との打合せの結果はただいま小
委員長
小
幕藤三郎
君の詳細な
報告
の
通り
でありますが、本日は
中間報告
を聽取することだけにいたします。 ――
―――――――――――
坂東幸太郎
4
○
坂東委員長
なお本日の
日程
は
風俗営業取締法案
、
警察官等職務執行法案
、並びに
市町村立学校職員給與負担法案
でありますが、便宜上
市町村立学校職員給與負担法案
を
議題
といたします。
政府委員細野三千雄
君からその
説明
を求めます。
細野三千雄
5
○
細野政府委員
ただいま
議題
になりました
市町村立学校職員給與負担法
について、まず大要を御
説明
申し上げます。 第
一條
は、
市町村立
の小
学校
、
中学校盲学校
及び
聾学校
の
職員
の
俸給
その他の
給與
を
都道
府縣
負担
とする
規定
であります。この
規定
は
從來政令
で
規定
されておりましたが
地方自治法
の解釈、今回制定を予想されます
地方財政法等
によりまして、これを
法律
に改めることが適当であると考えたからであります。
内容
につきましては、
從來
の
政令
とほば同様でありますが、新たに
義務制
となりました
盲学校
及び
聾学校
を加えたこと、
從來
主として
市町村負担
でありました
退官退職手当
、
日直手当
、
宿直手当
を今回
都道
府縣の
負担
としたこと等がおもなる
内容
であります。 第
二條
は
市町村立高等学校
の
定時制
の
課程
の
職員
の
俸給
その他の
給與
を
都道
府縣の
負担
とする
規定
であります。
從來勤労青年
の
教育
は主として
青年学校
において行われておりまして、その
職員
の
俸給等
は
都道
府縣の
負担
とされておりました。しかるに、この四月一日より
青年学校
が廃止されることになりましたので、
勤労青年
の
教育
は、主として
新制高等学校
の
定時制
の
課程
において行われることとなりました。從いまして
勤労青年
の
教育
を振興するという趣旨から、
市町村立高等学校
の
定時制
の
課程
の
職員
の
俸給等
を、
青年学校
と同様、
都道
府縣の
負担
とした次第であります。
附則
におきましては、この
法律
が四月一日にさかのぼ
つて
適用されることを明らかにいたしますとともに、先にも申し上げました
理由
によりまして、
從來
の
政令
を廃止いたすこととしました。しかしながら
市町村立
の
旧制中等学校
に併置された
新制中学校
につきましては、主として
義務教育
に属しない
学年
、すなわち本年度におきましては第三
学年
の授業を担任いたしております教員の
俸給等
は、從前
通り
市町村
の
負担
といたしております。何卒
愼重御審議
の上、速やかに議決されるようお願いいたします。 なお本法に関連いたしまして、
学校教育法
及び
義務教育費國庫負担法
の一部を
改正
する
法律
、
公立高等学校定時制課程職員費國庫補助法
、この
二つ
の
法律
が
財政
及び
金融委員会
に付託にな
つて
おるのでありますが、今
議題
となりました
法案
の第
一條
の
都道
府縣の
負担
となりまするもののうちの半額は、この
義務教育費國庫負担法
の一部を
改正
する
法律
によりまして國が補助するのであります。 第
二條
の
定時制高等学校
の
職員
の
都道
府縣の
負担
になりますもののうち、十分の四は
國庫
が補助することにこの
二つ
の
法律
で
規定
せられておるのであります。 以上
説明
を終ります。
坂東幸太郎
6
○
坂東委員長
議事進行
の都合上、本
法案
に関する質疑は
次会
以後にまわしまして、次に
警察官等職務執行法案
を
議題
に供します。
政府委員國家地方警察本部長官斎藤昇
君から
提案理由
の御
説明
を願います。
斎藤昇
7
○
斎藤政府委員
今回
政府
より提出いたしました
警察官等職務執行法案
の
提案理由
について御
説明
申し上げます。 御承知の
通り
新
警察法
には、
警察官
及び
警察吏員
の
職務執行
上の
権限
や
責任
に関する具体的な
規定
はま
つた
くこれを包含していないのであります。
從來
は
行政執行法
及び
行政警察規則
において、
警察官
の
職務執行
の心得や、
権限
、
責任等
を
規定
いたしてお
つたの
でありますが、その
形式
も
内容
もいささか新
憲法
の
精神
にふさわしくないものがありますので、先般御
審議
の結果
行政執行法
は廃止せられたわけでありまして、このために
警察官等
の行う
保護
や
犯罪防止
のための立ち入りや、緊急の場合におけるやむを得ざる
措置
について、新たに法的の根拠を設ける必要が生ずるに
至つたの
であります。その他
警察官
による
緊急避難
の処置や、
犯罪
の
予防
、制止の権能や、
武器使用
の
権限
などにつきましても、
從來明確
な
規定
がなか
つたの
でありますが、この際人権を尊重するま
つた
く新しい見地から、必要な最小限の
事項
を具体的に
規定
した方が新
憲法
の
精神
に副い、また民衆や
警察
にと
つて
も好ましいと考えましたので、これらの
事項
を一括してこの
法律
を立案したわけであります。 次にこの
法案
の
内容
について御
説明
申上げます。この
法案
は本則八箇條、及び
附則
からな
つて
おりまして、第
一條
はこの
法律
の
目的
を述べ、
警察官等
が
警察法
に
規定
されました
職務権限
を忠実に遂行する手段は右の
目的
のためにのみ用いられることを
規定
いたし、いやしくも濫用するようなことのないように戒めております。 次に第
二條
は
犯罪
の
予防
または搜査上必要な質問をすることができることを定めたものであります。 第三條は、應急の救護を必要とする者があ
つた
場合、これに対しまして適当な
保護
を加えることを
規定
したものであります。 第四條は、天災、事変、
交通事故
、火災、爆発、極端な
雑沓等
の際、著しく秩序が乱れて、人の生命、身体、財産に危害の及ぶおそれのあるときは、
警察官等
の本務から考えまして、これらの場所に居合わせた者や、
関係
者に警告したり、必要なときはこれらの人々を避難させたり、または眞にやむを得ないときは、おのずから必要な
措置
をすることができる旨を
規定
したのであります。 第
五條
は人が無意識にまたはみずから意識して罪となるような事をしようとしているとき、これに警告してその行為をやめさせたり、それが著しく危險で急を要しまするときは、その行為を制止することができる旨を定めております。 第六條は、前の第四條、第
五條
のような場合に、その事の行われまたはこれに
関係
のある土地、建物、船等に立ち入ることと、人の多数集まる公開された場所において
犯罪
が行われたり、生命、財産に危險が起ることを
予防
するために、それらの場所に立ち入ることを
規定
しておるのであります。 第七條は、
武器使用
の
規定
でありまして、犯人の逮捕、逃走防止、正当防衞、
緊急避難
等の場合に限りまして、必要な限度で武器を使用することができるのでありますが、その場合におきましても、特に重大な
犯罪
を取扱う場合あるいは他にま
つた
く手段がない場合のほか、他人の身体に危害を與えてはならないと定められております。 以上がこの
法律
案の
概要
であります。何とぞ御
審議
のほどをお願いいたします。
坂東幸太郎
8
○
坂東委員長
本
法律
案は
議事進行
の都合上、質問は
次会
以降に讓ります。 次は
風俗営業取締法案
につきまして前会に引続いて質疑を続行いたします。
間狩信義
9
○
間狩
説明
員 先日の
委員会
で第八條の
関係
につきまして御質問がございましたが、そのお答えを留保いたしましたのでこの際お答えいたします。 行政犯について両罰の
規定
を設けておりまするのは、他の
法律
におきましても一般に例のあることでありますが、この場合に法人または人に対し同條の罰金刑を課する、この人が刑事無能力者であるような場合には罰金を課することができるかどうかという御質問だ
つたの
であります。この点につきましては学説は両方にわかれておるようでありまして、罰金を課することができるという説と、できぬという見解と相対立しておるのでありますが、別にこの点に関する判例は現在ございません。ところが以前の司法省の刑事局といたしましては、この点に関する見解を昭和十三年ごろに輸出入品等臨時
措置
法という
法律
において一應決定をいたしまして、指示されておるのであります。それによりますとかような場合に営業者が刑事未成年者なる場合といえ
ども
、その從業者の違反行為について
責任
を負うべきものとすという通牒が発せられておるのであります。從
つて
かような例がございますので、本法の第八條の
関係
につきましても
政府
としては同様の見解でおるわけであります。
高橋禎一
10
○
高橋
(禎)
委員
そうしますと、いま一度確かめておきますが、第八條の場合、人が刑事未成年者その他刑事無能力者である場合には、從業者の違反行為について刑事
責任
がある、こういう御
意見
なんでございますか。
間狩信義
11
○
間狩
説明
員 さようでございます。
高橋禎一
12
○
高橋
(禎)
委員
むしろそういう御
意見
であるとすると、そのような営業者の法定代理人に刑事
責任
を負わせるということの方が取締りの
目的
を達するに適当であると思われるのですが、その点はいかがでしようか。
間狩信義
13
○
間狩
説明
員 ただいまの御
意見
ごもつともだと思います。一般の場合に行政犯の両罰
規定
はかような
形式
、方法でも
つて
規定
いたしておりますし、この場合特に一般の場合と異な
つて
、今お話のような
規定
を設ける必要もないかと思いまして、かような
規定
にしておるわけであります。
高橋禎一
14
○
高橋
(禎)
委員
私の見解では
從來
の立法例というものにこの際大いに反省を加えなければならないものがあると考えておるのでありまして、ほとんど新立法が同じ文句を踏襲して、いかにも惰性的に
規定
されておるのではないかという疑いをも
つて
おるのでありますが、風俗営業のごときは、刑事未成年者が営業者にな
つて
おるような場合、実質上は法定代理人がその営業の実権を握
つて
いて、その法定代理人の意思によ
つて
営業をいたしておると見るべきものが大部分だということになるのでありますから、その実質的に営業をいたしておるものを取締らないで、單に刑事未成年その他
犯罪
無能力者を処罰したのでは、とうてい取締りの
目的
を難し得ないのではないかと思うのでありますが、その点について御再考を願いたいと思うのであります。
間狩信義
15
○
間狩
説明
員 お話のように非常な年少の者が営業者にな
つて
おる場合には、法定代理人がその営業に関する連帶
責任
を負うということに事実問題としてなると思うのであります。さような場合に本人を処罰しないで法定代理人を処罰した万がより効果的であるという点もごもつともな御
意見
だと思うのであります。しかしこの場合はむろん体刑はないのでありまして、單なる罰金刑でございますので、法廷代理人が十分なる
責任
をもち、良心的にや
つて
いくならば、その営業者本人に罰金を科せられるようなことがありますれば、ただちにこれは法廷代理人の
責任
だというふうに通常考えるものだと思うのであります。從いまして本人に罰金がかかるということでありますならば、十分に
目的
を達成することができると思います。
高橋禎一
16
○
高橋
(禎)
委員
私が前回に質問いたしました点について、
政府
側より御答弁のありましたところにまだ納得しがたき点がございますので、いま一應念を押しておきたいと思うのであります。それは第
一條
の第一号にありまする婦女という言葉を削
つて
、男子女子が客の接待をする場合全部を含むというふうに
規定
することによ
つて
、本法の
目的
を達するに
支障
があるかないか。むしろ私のただいま申し上げた婦女を削
つた
方が、本法の
目的
を達するのによりいいものであると思えるのでありますが、その点についていま一度御答弁が願いたいと思います。
間狩信義
17
○
間狩
説明
員 婦女を削除いたしまして、男子でも女子でも客の接待をいたしまして客に遊興または飲食をさせる営業ということにな
つた
場合に、取締上不都合な点があるかないかというと、不都合な点はないと思います。差支えないのでありますが、私
ども
が
風俗営業取締法案
を立案いたします当初の考え方が、必要最小限度の取締りに止めていきたい、どうしても放任することができないものだけを取締りの対象にしていこう、さような考え方でございますので、婦女が接待をいたしますものが風俗
犯罪
の
予防
の見地から特に重要なのでありまして、男子が接待をするという場合には、それほど重要性がないと思うのであります。さような観点からいたしまして、むしろ範囲を拡張しないで、この程度の範囲の方が適当ではないかと考えるのであります。
高橋禎一
18
○
高橋
(禎)
委員
次に第
二條
の許可機関を
公安委員会
でなく、
警察署
長にするということによ
つて
、何か弊害でもあり得るでありましようか、その点いかがでありましようか。
武藤文雄
19
○武藤
政府
委員
新しい
警察法
の建前から申しまして、
警察
の運営の
責任
者は
都道
府縣の
公安委員会
あるいは
市町村
の
自治体警察
の
公安委員会
であります。從
つて
重要な
事項
については
公安委員会
の
権限
に所属せしめる方が適当ではないか、すでに道路交通取締法等におきましても、重要な
事項
は
公安委員会
の許可というふうにいたしておりますし、また古物商取締法、こうい
つた
ものはすべて
公安委員会
において許可をするということにな
つて
おります。新しい
警察
の運営の点からいきまして、
公安委員会
制度
によ
つて
いくことが適当であると考えます。
高橋禎一
20
○
高橋
(禎)
委員
実際問題としまして風俗営業というものは各地方に非常に数が多いと思うのでありますが、
公安委員会
においてこれを正確に調査して許可を與えるというような仕事が今の段階において完全になし得るというようにお考えにな
つて
おられるのでありましようかいかがでしようか。
武藤文雄
21
○武藤
政府
委員
もちろん
公安委員会
が許可をいたすにつきましても、その事務局といたしましての
警察
がその調査等にあたるわけでありまして、十分に
警察
において調査をして、
責任
者として
公安委員会
がこれに許可をするとい
つた
方向にな
つて
おります。
高橋禎一
22
○
高橋
(禎)
委員
その場合今お話のように、
警察
が調査蒐集した資料に基いて
公安委員会
が決定をするというやり方は、
警察
が調査して
公安委員会
が
責任
をもつということになるのでありますが、
警察
が資料を蒐集し、それに基いて
警察
が
責任
をも
つて
事を決するということにいたした方が、むしろ公正妥当な結果が得られるではないかと思えるのですが、その点いかがでありますか。
武藤文雄
23
○武藤
政府
委員
御
意見
でございますが、新
警察法
におきまして運営の
責任
者はあくまでも
公安委員会
でございます。從
つて
その事務局たる
警察
が十分に調査する、その調査したものをさらに
公安委員
が愼重にこれを檢討して、しかる上において許可あるいは許可しないという決定をするのが十分愼重を期するゆえんであり、事務局の單なる
意見
によ
つて
すぐ決定しない、さらにそれを
公安委員会
において檢討するという点で十分に愼重を期する、同時にまた
公安委員会
がその
警察
の運営の
責任
者としての立場においてこれを決定をするというのが妥当ではないかと思います。
高橋禎一
24
○
高橋
(禎)
委員
現在の
警察制度
の点から考えまして、ただいまお答えのような趣旨のものであることは私も同感なのであります。ただ私の憂えますことは、本法がいわゆる異議の申立という方法を認めておりませんので、その異議申立の
制度
を認めたいのでありますが、その方法として許可権を
警察署
長に與えて、そうしてもしその処置が不正であり不当であるという場合に、業者から
公安委員会
に対して異議の申立をなすというような
制度
も考えられると思うのでありますが、これについての御
意見
はいかがでありますか。
武藤文雄
25
○武藤
政府
委員
ごもつともな御
意見
とも考えるのでありますが、訴願法一般の問題として別個に
研究
すべき点もございましようが、もちろん違法の処分というような場合については、訴訟の途が開かれております。訴訟によ
つて
この方法を救済するということも考えられるわけであります。ただもちろん訴訟という煩雜な手続によらないで、もつと簡便な方法がないかという点が御
意見
の趣旨だと思いますが、これについては訴願法というものを檢討する必要があるということは私も考えております。現在におきましては、違法な処分については、訴訟という遂によ
つて
やるというのがよろしいのではないかと思います。
高橋禎一
26
○
高橋
(禎)
委員
第
二條
の許可を與うるや否やという問題と、第四條の営業の許可を取消し、または営業の停止を命じ、その他必要なる処分を命ずるということですが、それらの処分が不正であり、不当であるときの救済ということは、風俗営業の場合においては、きわめて業者としましては緊急を要する問題であるのであります。これについて異議申立の方法がなく、急速にこれを是正するの途が開かれていないということになりますと、ただいま考えられますことは、訴訟の方法一つでありますが、ただ救済手段があると言
つて
満足するのは、これは
法律
ということのみを考える、――社会の実際生活を考えないで、
法律
の
條文
だけを考えるということになればそうかもしれませんけれ
ども
、実際生活という点と総合して考えますと、どうも、訴訟の方法によ
つて
実質的に救済ができるようなものではないのであります。これは前回もお尋ねいたしたのでありますが、現在の訴訟の状況をみますと、非常に訴訟が遅延しまして、長いものになりますと、数年間を要するというようなことにな
つて
いるのであります。たとえば第四條の場合の例をとりましても、これまで営業していた者が営業の許可を取消されて、しかもそれが不正であ
つた
というような場合に、訴訟の方法によ
つて
おりますと、かりに判決によ
つて
この処分が過
つて
いたというので取消されたような場合でも、実際上はもうすでに業者は設備をそのままにもちこたえているという場合は少かろうと思えるのでありまして、とうてい訴訟によ
つて
実質的には救済し得ないと思うのであります。ですからほかの
法律
において、異議申立、訴願等の救済方法が講じられておらないといたしましても、風俗営業のようなものは、その営業の態様等からみましても、ぜひ不正不当の処分を急速に救済し、是正する途を講じておかなければならない。それが立法者の
責任
であると私は思えるのであります。それゆえにここに救済の途を考えたい、異議申立の方法を考えたいと存じまして、先ほどお尋ねいたしましたように、その途が開かれておらない以上は、署長に許可権も與え、そうして
公安委員会
に異議申立等をなし得る途を開くことが賢明ではないかと思うのであります。何とぞ御答弁をお願いいたします。
斎藤昇
27
○
斎藤
(昇)
政府
委員
ただいまの御
意見
はまことにごもつともでありまして、一つのりつぱな御見識だと私は存じます。ただ先ほどから刑事
部長
がお答えいたしておりますように、こうい
つた
種類の許可は、
警察署
長でなくて
公安委員会
に許可させるという立法の前例にな
つて
おりまする
関係
から、原案がさようにつくられておるのであります。前
國会
に提案をいたしました古物取締法におきましては、
警察署
長に許可させるということにな
つて
おりましたのを、第一回の
國会
で
公安委員会
に許可をさせる方がよろしいという趣旨で、
改正案
を
政府
から提案いたしたのであります。さような意味で、
公安委員会
の
権限
を尊重するという意味で提案をいたした次第でございますが、私の方は強いてこの
意見
を固執するのではございません。他の法令にもすでに
公安委員会
の
権限
に属しておるものがございますので、これについての行政救済の遂につきましては、なお別途訴願の方法等によ
つて
解決をはか
つて
いただかなければならぬ問題だろうと思います。率直な
意見
としましては、私は強いて反対いたしません。
高橋禎一
28
○
高橋
(禎)
委員
ただいまお話のありました
警察署
長よりは
公安委員会
を尊重するという御態度は、結局國民をいかにして
保護
するか、いかにして國民に満足のいくような立法をするかというところから出発されたものであると思うのであります。しかしただ
形式
だけが署長から
公安委員会
ということになりましても、さて公平に考えて、実質上國民が非常な不安をもつというようなものであ
つて
はならないと考えますので、私は先ほどのようなお尋ねをいたしたのであります。 さらにお伺いいたしたいのは、この場合、許可権を
公安委員会
に與えると仮定しまして、異議申立その他救済方法を地方議会をして当らしむるような
制度
を設けるということについては、いかがでありましようか。
武藤文雄
29
○武藤
政府
委員
一つの御
意見
として、十分に
研究
に値すると存じます。ただ御承知の
通り
に、
警察法
におきましては、
公安委員
の任免について知事が
都道
府縣会の
承認
を得るということにな
つて
おります。それ以外の
運営管理
については、
都道
府
縣知事
ないしは
都道
府
縣議会
というものは、これに関與しない建前にな
つて
おります。そうい
つた
点とにらみ合わせて、相当
研究
しなければならない問題がたくさんあるのではないかと存じます。
高橋禎一
30
○
高橋
(禎)
委員
法律
をも
つて
新しく地方議会に、先ほど申し上げましたような
権限
を與えるということにすれば、決して不可能でなく、不相当のものでないと思えるのでありますが、ただいままで御
研究
にな
つた
ところで、そのようなことはできないというような根拠を同かおもちでしようか。
武藤文雄
31
○武藤
政府
委員
私が申し上げました趣旨は、
法律
の
形式
の問題ではなくて、新
警察法
の
精神
の実体という点から考えて、都通府
縣議会
が
公安委員会
の職について関與するとい
つた
ことが、はたして新
警察法
の性格からい
つて
適当であるかどうかという点で、大いに
研究
しなければならないということを申したのであります。
高橋禎一
32
○
高橋
(禎)
委員
第六條のいわゆる風俗営業の営業所に立ち入るということは、この前の御
説明
で、
從來
の臨檢ということと同趣旨のように承
つたの
でありますが、私はこの
規定
はやはり
憲法
の
精神
に反するものと思えるのであります。
政府
の御答弁のごとくにいたしましても、私はそこに非常に疑問があると思いまするから、この立ち入りをなし得る鳩合、やはり他にこれまでいろいろの立法例がございますが、裁判官の許可状を得るということにする方が適当ではないかと思えるのですが、この点についてはいかがですか。
武藤文雄
33
○武藤
政府
委員
この一点につきまして、
憲法
第三十
五條
との
関係
については、先般の
委員会
において法制長官から御答弁申し上げた
通り
、三十
五條
の
規定
とは
関係
なきもの、別個のものであるという解訳を堅持しております。食品衞生法その他前会に例を引いて申し上げました
通り
、さような
法案
に出ておりまするような立法例もたくさん出ております。それに從
つて
本案もつくられたものであります。
高橋禎一
34
○
高橋
(禎)
委員
裁判官の許可状を得て立ち入るということにすることについて、何か取締上
支障
が起り得るでありましようか。
間狩信義
35
○
間狩
説明
員 第六條の立ち入りは、
公安委員会
が取締りに関する行政上の
権限
をむろんも
つて
おるわけでありまして、その行政上の
権限
を良心的に、また適正に行使するために、営業所の状態を檢査、あるいは視察することが必要だ、それを認めたという趣旨なのでございまして、さような行政上のためにする立ち入りの場合に、一々裁判官の許可状がなければできないということになりましては、とうてい風俗取締りの
目的
を達成することができないだろうと思います。
高橋禎一
36
○
高橋
(禎)
委員
第六條の場合には、私
ども
の考えでは
警察官
が活動される場合が非常に多いと思うのであります。現在の
警察官
の程度をも
つて
しては、第六條の
規定
を濫用するようなことが起るように考えられてならないのでありまして、そこに裁判官の許可状を得て、公正に立ち入るということの方が、これは業者のためのみならず、現在の程度の
警察官
をも
つて
しては、
警察官
のためにもなるというふうにさえ考えられるのでありますが、いかがでございましよう。
間狩信義
37
○
間狩
説明
員 立ち入りをいたしまして檢査等をする必要は、
法律
や
條例
にきめられた違反の、大体に現行の場合が非常に多いと思うのでありまして、あらかじめ
一定
の不都合なと申しますか、好ましくないことがあるので、それを調べるというような場合よりは、むしろこの業態の通常の形といたしまして、現場にはい
つて
見たときに、その從業員なりあるいはお客の間で、好ましくない行為が行われておるというようなことが多いと思うのであります。さような場合にこれに対する適当な行政上の制裁を加えなければならぬというようなこともありますので、一々裁判官の令状がなければはい
つて
行けないということになりますと、十分に
目的
を達成しがたい。同時に
警察官
自身のこれに対する濫用はまた別の問題といたしまして、この
法律
が施行されますれば、一層嚴重に教養をいたし、また監督も嚴にしていかなければならぬと思うのであります。同時に立ち入りが、むろん正当な
理由
なくして不法の立ち入りというようなことになりますれば、これは当然にこの第六條に認められた現場を視察するものとしても、不法なる侵入になりますので、当該営業者としてもこれに対する対抗の手段が
法律
上認められるわけでありますので、まず
目的
を達成いたしますためには、この程度の
規定
にいたしまして、運用の上におきまして十分に注意をするということにいたしたいと思うのであります。
門司亮
38
○門司
委員
ちよつと一言だけ聽いておきたいと思います。第
五條
に「公開による聽聞」と書いてありますが、この聽聞の範囲を一應お聽かせ願いたいと思います。
間狩信義
39
○
間狩
説明
員 第四條による営業の許可の取消しまたは停止を命ずる場合――前提條件といたしまして、当該営業に関して法令または前條の
規定
に基く
都道
府縣
條例
の違反行為がなければならないということにな
つて
おるのでありまして、その違反行為があ
つた
かなか
つた
かという点につきまして、公正なる判定をするというために、この聽問を行うわけであります。從
つて
公安委員会
が聽聞を主宰いたしまして、当該営業者の出頭を求めて、営業者側の言い分を十分に聽く。この場合に当該営業者が弁護人を代理に立てたり、あるいは証人を利用するということは、もちろん自由にできるのであります。
門司亮
40
○門司
委員
これは公開とな
つて
おりますが、さらに第二項で、この「聽聞の期日及び場所を、期日の一週間前までに、当該営業者に通告しなければならない」と書いてありますが、これはただ当該営業者だけでありますか、それとも公開という問題は、一般の聽衆を入れてもいいという意味でありますか、どつちでありますか。
武藤文雄
41
○武藤
政府
委員
字句としてあるいは正確を欠いておるかもしれませんが、公開によるという趣旨で、当然一般に示す、從
つて
裁判所等でやられておるように、
警察署
前に公告をするとい
つた
方法によりまして、一般に公開するということであります。
高橋禎一
42
○
高橋
(禎)
委員
ただいま門司
委員
の質問にお答えになりましたこの第
五條
関係
でいわゆる公開なさるのでしたら、当該営業者に通告するだけでなく、一般に公示するというような
制度
を置いた方が徹底すると思うのですが、それはいかがでありますか。
武藤文雄
43
○武藤
政府
委員
正確に申しますれば、そうい
つた
ことも必要と存じますが、この公開によるという字句によ
つて
、おのずから公開という趣旨を示しておるつもりでございます。
高橋禎一
44
○
高橋
(禎)
委員
第六條の点でありますが、先ほどの御答弁ですと、いかにも
現行犯
を発見するために必要があるから立ち入るとい
つた
感じをもたせられるのでありますが、それであれば、なおさら非常な危險が感ぜられるのであります。それは不法に立ち入
つた
ならば、そこに立ち入
つた
者の権利の濫用として、いろいろ
犯罪
その他の問題が起りますから、その方で救済できるというような御
意見
と思うのでありますけれ
ども
、しかし業者はある意味においては
警察
に対しては非常に弱い立場にあると思うのでありまして、とても一つ一つの不穏当なる立ち入りに対して、それを正式に公の機関に訴えて救済を受けるというようなことは、そうだれにでもできることではないと私は思うのであります。むしろ多くの人は泣き寝入りをするというようなことになりがちだと考えるのでありまして、先ほどの答弁を伺いましても、私の考えておりますように、非常に業者に不安をもたせる、そうしてまた一般の正しい客に対しても不愉快な思いをさせるようなことが多くて、この風俗営業といえ
ども
正しい営業として認め、そしてこれを正しく発展さしていこうという考え方からしますると、どうしても先ほどお尋ねしましたような裁判官の許可状をも
つて
、公正妥当にその
職務
を遂行していくということの方が、非常に進歩した文化的なやり方だ、民主的なやり方だと思えるのでありますが、いかがでありますか。
武藤文雄
45
○武藤
政府
委員
この立ち入りにつきましては、本法並びに
條例
が励行されておるかということを見て歩くわけであります。たとえば家の構造、あるいは電氣などの照明というものが、
條例
を守
つて
おるかどうかということを見て歩くとい
つた
趣旨のものであります。かようなものについて、一々裁判官の令状を請求してやるということは、あまりにも手数を要するというようなことも考えられますし、また
警察官
について非常に御信頼なさらないお言葉もございましたが、この点は
公安委員会
において十分に
警察官
の紀律というものは保持されると思います。また
警察官
の懲戒というものも非常に嚴格に行
つて
おりますので、それによ
つて
趣旨を達成することができると思います。
高橋禎一
46
○
高橋
(禎)
委員
最後の
附則
のところに、昭和二十二年十二月三十一日までに営業の許可を受けて、この
法律
施行の期日に至るまで引続いて風俗営業を営んでおる者は、
都道
府縣が
條例
で定めるところにより必要な届出をしたときは第
二條
第一項の
規定
により許可を受けたものとみなすとい
つた
ように
規定
しておくことが、諸般の実情に即するように考えられますがその点いかがでございましようか。
武藤文雄
47
○武藤
政府
委員
お説の点でございますが、これについては先般來御
説明
申し上げまして、特別に新たに附加するものもないのでありますが、御承知の
通り
本年の一月から空白の期間がありまして、その期間に事実上営業を始めておる者があるということも考えます。かような者と、それから
從來
からかりに許可を受けてや
つて
おりましても、本年の一月以降において構造の変更をしておるというようなことも考えられます。あるいはその営業
内容
に若干の変更を來しておるという場合も考えられます。從
つて
さようなものについても一應新しい
條例
の見地から、
内容
をあたらなければならないということになりますと、事実上結局全部についてあた
つて
みなければならないという結果になります。もちろん府縣でつくる
條例
というものも、
從來
のものと非常に大きな変り方があるということも考えられませんので、大体において
從來
許可を受けてお
つた
者は、今度のものにおいても許可を受けられるということになるだろうと思います。実際問題としてはさきほど不都合も起らないのではないかということを考えております。
高橋禎一
48
○
高橋
(禎)
委員
ただいまのお話の、本年一月以後許可を受けないで営業をや
つて
おるという者に対しては、これはまあ、また別に考えてみる必要があるかもしれませんが、昨年十二月三十一日までは正式に許可を受けて、そしてこの取締り
関係
の法規を遵守してまい
つて
、そしてこの
法律
が制定されても、ただいまお話のように、まあ大部分は許可を受けられるだろうというような見透しであれば、なおさら、煩瑣な手続を必要とせず、しかもまた業者におきましても、氣分的には新しく許可を受けるということと、單に届出だけで営業がなし得るということとは、非常に差異があると思えるのであります。やはり親心を示してやることの方が賢明のごとくに考えられるのでありますが、その点についていま一度お答えを願いたいと思うのであります。
武藤文雄
49
○武藤
政府
委員
從來
の府縣
條例
によ
つて
許可を受けてお
つた
というものについては、そのまま届出てよいのではないかという点でありますが、これはわれわれも
法律
上の観点から、内部で相当
関係
方面とも
研究
した問題でありまして、本年の一月からの空白時代、つまり自由営業時代に営業を始めたものと、それから
從來
の府縣
條例
に基いて許可を受けて営業をや
つて
おるものとこれは共に既得権者という立場においては同じ立場に立つものである。それを片方のものだけは届出でよろしい、片方は新たに許可を受けなければならぬということは、
法律
上、非常に疑義が起るという
意見
も相当有力にありましたし、かような見地から、やはり一應全部を許可するということが、かえ
つて
公平の途ではないかということを考えた次第であります。業者に対する親心というお話がありましたが、これは十分この法の運営において現われてくる点でありまして、この法令でも十分にその趣旨が達成できると思います。
笠原貞造
50
○笠原
委員
ちよつとその点について一点お尋ねしたいのですが、大体この
法律
の
目的
は、カフエーとか、ダンスホールとか、喫茶店というようなところにおきまする賣淫、賭博というものを取締るのが
目的
だということを、
政府
委員
の方で
説明
されたのでありますが、そうしますと、現在の一般の状態を見ておりますと、もと貸座敷というようなものが営業しておりまして、これはほとんど今の営業の
目的
は、むしろ料理店とか、喫茶店とか、そういう営業以上に、主要の
目的
は賣淫にあるというようなことがあるのであります。それからもちろん最近始めた営業の中にも、われわれが社会的に見まして、これはもう賣淫が主要
目的
であるというような営業があるのでありますが、そういうような営業は当然許可しないという方針ですか。あるいはまた
内容
が変
つて
きたならば許可するという方針ですか。たとえばもと遊廓の跡にできておる、ま
つた
く現在におきましては、主要
目的
は賣淫であると思われるものがあるのでありますが、この点をひとつ伺いたい。
間狩信義
51
○
間狩
説明
員 もとの貸座敷営業が、現在は変
つた
姿にな
つて
経営しておるのですが、そういうものに対する御質問だと思います。これは
從來
の貸座敷営業は許可を受けて賣淫行為をすることを認められてお
つたの
でありますが、それが
連合軍
の指令によりまして、一切のそれに関する
法律
規則が撤廃されたので、從
つて
法律
的に申しますと、現在はもう許可を受けてや
つて
おるのではなくて、いわゆる密賣淫ということに
形式
的にはなるわけでありますが、しかしこの問題は沿革の非常に古い問題でもあり、また將來いかにするかということも実に重大な問題でありますので、現在までのところ暗默にそれを認めている。かような状態できているわけであります。その賣淫の問題につきましては、結局
從來
の考え方は、この地球上からそういうものを根絶するというわけにはどうしてもまいりませんので、ある
一定
の地域にそれを限定いたしまして、そこだけに許して、他の全國一般の地域にさような風俗的に好ましくない事柄がどこでも行われるというようなことを絶対になくしていこうということが、
從來
の風俗取締りの根本的な方針としてきてお
つたの
であります。しかしそういう
関係
からいたしまして、
法律
規則等が廃止にな
つて
まいりましたので、これを今後いかにするかという問題が重大なわけでありますが、また一面賣淫処罰に関する
法律
案というようなものが、現在法務廰で立案せられておりまして、それがやがて
國会
に提出されるというようなことになるのではないか、それの関連におきましても、大きな問題を生ずるわけでありますが、現在私
ども
の考えといたしましては、
從來
のわが國の方針をそのまま將來に向
つて
堅持するというわけには、新しい時代の流れからしてできないかと思いますが、しかしまた一挙にしてああいう地帶を壊滅さしてしまうということも、これまた行過ぎでないか。結局一つの新しい方向の理想を目指して、漸進的にこれを改善をはか
つて
いくというような方向に今進んでいくよりほかないのではないかというふうに、現在のところ私
ども
としては考えております。
笠原貞造
52
○笠原
委員
そうしますと、大体営業の許可並びに営業の取消の基準というものは、どういうところにおくことになるのか。賣淫をや
つた
者はもう営業の取消す。あるいは賣淫の疑いの濃厚な者については営業を許さないというようなことが、大体
條例
あたりできま
つて
くるのじやないかと思いますが、現在の時代におきましては、そういうようなきめ方はできないという見透しなんでございますか。賣淫の事実があれば営業を取消すとか、あるいは賣淫を
目的
とするらしいものについては営業を許さないというような
明文
を、
條例
の中におくことは現在ではできないというお見透しであるかどうか、その点お伺いしたいと思います。
間狩信義
53
○
間狩
説明
員 さきに申し上げました
從來
の貸座敷営業の場所におきまして、賣淫が行われるということは別問題といたしまして、その他の場所におきましてみだりにさようなことが行われるということは、風俗上最も好ましくないことであることは言うまでもありません。この風俗営業取締法の主眼も、さような事柄を粛正すると申しますか、ないようにしようというところに、
目的
があるわけであります。從
つて
お話のように、賣淫を現に行い、あるいは行うおそれが多分にあるというものに対しまして、営業の許可を與えなか
つた
り、あるいは與えた許可を取消すということも、当然できることだと思います。
笠原貞造
54
○笠原
委員
そうしますと、その許可とかあるいは取消の基準というものは、抽象的にそういう
條例
の中に盛ることはできないので、やはり古い歴史的な
関係
や何かを調べまして、その地域とかなんとかいうものを参酌いたしまして、許可するということになるのでしようか。先ほどから繰返して申しますように、賣淫を業とする者は許可しないというようなことは、
條例
の中に
規定
することができない。ただ
公安委員会
において、たとえばもとの貸座敷地域で賣淫をやるという場合に、料理屋の営業として許可してやろうというようにやるのですか。
條例
の中では
規定
できないという考え方でありますか。
間狩信義
55
○
間狩
説明
員
從來
の貸座営業に対しまして、賣淫をかりにしてお
つて
も、営業の許可をするということは、いわゆる賣淫の默認になりますので、そういうことをやむを得ず默認するわけでありますが、これを
條例
に
規定
することはもちろんできないと思います。
大澤嘉平治
56
○大澤
委員
大体今の
政府
委員
の方や、各
委員
の方々の質問や答弁によりまして、この
風俗営業取締法案
に対してのお話はわか
つた
ような氣がするわけでありますが、大体八月一日からこの
法律
を施行するということにな
つて
いるようですが、一月から八月までの空白、現在すでにその空白の時期にな
つて
いるわけですが、その間あすからでもその空白の時期は今の風俗営業を始めても差支えないことにな
つて
いるのですか、その点をちよつとお伺いいたします。
間狩信義
57
○
間狩
説明
員 八月一日がくるまでは自由でありますので、営業することはできます。但し結局第二項の三十日間の猶予期間がありますので、八月三十日まではできるのでありまして、三十一日以後は新たに許可を受けなければ営業を継続することができないということになるわけであります。
千賀康治
58
○
千賀
委員
私は
高橋
委員
のも
つて
おられる思想並びに見解と大体一致をいたしておりますのみならず、この場内の空氣も大多数はこれに一致だろうと思いますが、なおこの際はつきり伺
つて
おきたいのは、第六條の臨檢にかかわることでありますが、今までの應答を聽いておりますと、やはり淫賣の
現行犯
をあげるために臨檢をするのだ。その臨檢は火急を要するからなかなか裁判所の許可を得て行くことができないということのようでございますが、風俗営業といえ
ども
、必ずしも淫賣婦を家で養い、あるいはよそから連れてきて、これに営業させるというばかりでなく、風俗営業はいたしましても、ここで正しい人生生活が行われていく例もたくさんあるでしようが、これがことごとくこうした臨檢の対象の中にはいるということになりますと、そこのあらゆる生活というものは人権が保たれないことになります。たとえばここでは届出た営業所の臨檢をするのだということのようでございまするけれ
ども
、さてそれでは営業所として届出ていない、家人の生活の区域も、ここで風俗営業にかかわる反則なり
犯罪
なりを犯しておる場合は、ここから向うは届出ていないから、この部屋は臨檢はせずに帰るということはおそらくあるまいと思います。行
つて
みたが、覗いたところにお客が寝ていないから、ここから向うは家族の居間にあた
つて
おるけれ
ども
、これもひとつついでに臨檢をしてやろうということになりまするとま
つた
くここに風俗営業に携わ
つて
おるがゆえに、人生の秘密も、人間としてのほんとうの、何と言いましようか、男女生活の、夫婦としての家人の樂園も結局あつさりと踏みにじられることになるのでございますが、かような点につきまして、この第六條があまりにも軽く取扱われておることは不満でございます。それならば、そういうことがいやならば、こんな風俗営業をしなければよいじやないかということであるならば、風俗営業というものは人権を主張し得ない、いわゆる昔の言葉で言えば、賤業者の認識をも
つて
やる者だけが、風俗営業者として立つのだということになりまして、全風俗営業者というものは、やはり官吏のどんな蹂躙にも耐えていく、しがない稼業の人だけということになる。淫賣は賤業である、何と圧迫を受けても、踏みにじられても、ただ頭を下げて淫賣で飯を食
つて
いくのだということになると思う。この点がすこぶる曖昧であり、また人権を過度に蹂躙し、人間としてのヒユーマニズムというものを
法律
の力で破壊していくのだ、かように思います。その点からいいましても、やはり第六條は裁判所の許可を得て臨檢にはいるのが当然である。せめて裁判所でなくても、
警察署
長なり
公安委員会
の許可なり認定なりを得ていくということにな
つて
も、まだ
警察官
個人が勝手に表を歩きながら、ひとつ嵐を吹かそうかというので、飛込むよりもよいかと思うのでありますが、この点はどうお考えになりますか、ここにおきましてこの臨檢という
制度
があ
つた
ために、どれくらい一部の國民が泣かされたか。また不良な
警察官
はこれに便乘して、そういう家にとぐろをまき、やみ酒に酔いしれで、おれの顔を立てなければ臨檢をやるばかりだというような場合がいくらもあ
つた
。私
ども
が過去において地方議会の議員としております間、そういうような惡政に泣いた人たちがどれくらいわれわれの門をたたいて苦痛を訴えているかしれません。依然としてこの
法律
を
改正
されましてもそういう欠点が除かれないということになりますると、私たちは眞劍に考えなければなりません。
政府
当局ははたして第六條というものは、ここに從前の形をそのまま踏襲して差支えないか、何らかの形によ
つて
これは
改正
する方が当然であると、いまだにお感じにならないか、この心境を伺います。またわれわれがこの点に修正をいたしましたならば、あなた方にはその修正に服從をせられる氣持の上、見解の上の余裕がおありかないか、われわれが修正をいたしましても、あくまでこの原案を可なりとして、これを金城鉄壁なりとして、これによられる意思であるかどうか、その御決心も伺いたいのであります。
斎藤昇
59
○
斎藤
(昇)
政府
委員
もちろん御修正になれば、われわれはその
法律
をその
通り
実行するのが至当でありますから、これにつきまして修正された後にとや
かく
申すことは一切ございません。ただ先ほどからいろいろお話の点は、
警察官吏
の常軌を逸脱した行為、あるいは一部にときどき遺憾な例を見ますような、よくない
警察官
が現われることがあるという点についての心配が一番多いと思うのでありますが、これらは新しい
警察制度
の運営におきまして、府縣及び
市町村
公安委員
の方々が
責任
をも
つて
指導し、また監督をしておられるわけでありまするから、身近かにそうい
つた
民主的な
公安委員
の方の御指導御監督のもとに、
警察官
がそのような
権限
を執行いたします場合には、從前よりそれらの点につきましてはよほど改善せられる点が見られるだろうと私は考えておるのであります。署長なりあるいは
公安委員会
の
承認
を得てという点でもあればというお話でございますが、これらは
警察署
長なりあるいは
公安委員
の方が運営について
責任
をも
つて
おられまする以上は、必要とあればそうい
つた
ことを自発的にやられることと私は考えるのであります。かような半ば行政官的な
職務
を行いまする
警察官
が臨檢をいたします際に、普通裁判官の令状は、
犯罪
があるという相当の証拠を裁判官のところに提出をいたしまして令状をもらうのが常例だと思うのでありますが、この行政規則が守られておるかどうかについて臨檢にまいります際に、裁判官の令状を一々もらいますことは、前例にないということは
理由
にはなりませんが、おそらく裁判官がどういう事由で令状を與えられるか、これについても非常に困難な点があるかと考えるのであります。今日の実情から、善良なる
警察官
がこの
法律
及びこれに基いて出されまする
條例
が、議会なりあるいは縣会、
市町村
会のきめられた
通り
に運営されておるかどうかということを見てまわるというとこの必要は、やはりあるのではないかと考えます。その点は十分御了察いただきたいと思うのであります。
千賀康治
60
○
千賀
委員
裁判官が臨檢の許可証を出すのには証拠をも
つて
いかなければ出すことができない。これは一般の
犯罪
がそうな
つて
おるからさようにおつしやると思いまするが、私
ども
の殊に心配いたしますのは、その点ではなくて、もちろん風俗営業をしてお
つて
、一應どうもあの家は淫賣が盛んに行われておるようだから臨檢してみたいということだけで、もちろん裁判官は出して結構であります。われわれはその点についてちつとも不服を言うものではありませんが、さて一回や二回の臨檢に許可証を裁判官から発行してもら
つて
行くということならば常識的でありまするが、その後何回重な
つて
も、今日も
行つた
、明日も
行つた
、次も
行つた
、一月のうちに二十日も臨檢をしたというようなことをやりまして、作意的にその家を潰してしまおうというような企てが行われましても、たれもこれに不服を言うこともなければ、どうする手段もないということが、このままではあり得るだろうということを想像して、それをおそれるのであります。裁判官なりあるいは
公安委員
なりがさような
要求
をもしも
警察官
から受けたときには、およそ淫賣の疑いがありましても、一晩か二晩行
つて
みて、それで事実がつかめなければ、また時を経てやるのが当然であるとか、あるいはその
警察官
が拙劣であるとかいうことを考えるはずでありまするが、続いて矢継早に同じような臨檢をやるということになりますると、そういう
要求
が出てくれば逆に、これは
警察官
に何の
目的
があるか、この風俗營業を取締るということのほかに、何らか不正な
目的
が藏せられておるということをただちに感づいて、
警察官
の方の取締りに逆に注意を喚起する端緒になりますから、それで私
ども
はくどくもさようなことを言うのであります。これを
警察官
のなすままにいたしておりますれば、明治、大正、昭和と長い間この弱き営業者が取締官憲に苦しめられてきた不合理な、長いものには巻かれろというような、屈從的な、收隷的な、実際唾棄すべき
関係
から結局脱却することができない。そこで私
ども
はそれを憂えて言うのであります。あなた方が第一回の臨檢、あるいはほんとうに常識的な、回数の少い臨檢についてさえ、証拠を持
つて
いかなければ裁判官の許可がとれないということで、われわれの言うことに抵抗しておるならば、大きな間違いであります。われわれはその次の場面を心配をしてこのことを大声叱呼しておるのであります。いかがでしようか。
斎藤昇
61
○
斎藤
(昇)
政府
委員
ただいま例にあげられましたような
警察官
のむしろ乱暴と申しまするか、かような行為の抑えといたしましては、どうしても
公安委員会
の指揮監督というところに期待をし、またこれに望みをかけなければならぬ。この
公安委員会
に信頼ができないということでありますると、
警察官
からいかに
権限
をとりましても、やはり惡いことをしようという
警察官
は除かれないと思うのであります。
公安委員会
及びその命を受けてや
つて
おります署長が、今日の時代をよく考えられて、そうして民主的な
警察
の運営をするという
精神
に徹せられることが一番肝要なことでありまするし、またそれをも
つて
足りるのではないだろうか。今日の
制度
のもとにおける
公安委員会
に対しては、それらの信頼が十分おいていただけるものと思いますし、またこれに信頼がおけるように、輿論なりあるいは
國会
なりそれらの方からの御監視あるいは御指導がなければ、
警察署
の運営はいつまで経
つて
もよくならない、かように考えております。もちろん一番の重点はこの点に最大の期待をかけ、またこれを信頼いたしていきたい、かように考えております。
千賀康治
62
○
千賀
委員
私の言うように、もしも裁判官の許可にあらずして、
公安委員会
か
警察署
長でもいいのです。そういう方の認定書なり許可証なりを持
つて
行くということになれば、なおさら
公安委員会
が
警察官
の行動を監督するということに最も便利な途であり、これは一石二鳥になると思うのであります。ただ総体的に
公安委員会
は
警察官
を監督しておるから、
公安委員会
と
警察官
が対立しておる限りは――対立でないかもしれませんが、これがある限りは、絶対
警察官
に監督上の便宜を與える必要もなければ、また監督に適当な形をつく
つて
やる必要もないという議論ならば何をか言わんやでありますけれ
ども
、ただ概念的に、監督をしておるからいいじやないかというのでなしに、
公安委員会
の認定書を持
つて
臨檢に行くということであるならば、非常にこれは監督の実際から、適切なる監督がその條項を通じてできると思うのであります。これから先は議論になると思いますから、この点は答弁を求めません。 最後に
附則
のところでございますが、私はこの点はやはり大勢の中には、三十日の間に届出でよということでございますけれ
ども
、これはなかなか三十日の間に官報を見て届出るとか、あるいは新聞を見て届出るとか、民衆の方がしてくれれば結構でありまするが、なかなかこの法が施行せられたことを知らない業者も多いのだろうと思います。それでこれが三十日の間に届出でなければ権利を失うというようなことになりましては、やはりこれは非常に不便であると思います。私の理想といたしましては、許可を受けるための届出、私はそれよりも三十日の間にただ届出をすればいいのだということであれば、権利を失うことがないので、たとえば科料に処するとかいうようなことがあ
つて
も、人生の根本的な権利に
関係
しないから、やはりこれは許可よりも届出の力がいいのだと思います。それから
法律
空白の時代、この六箇月の間に新しいものができたという点につきましては、もちろんこれは
法律
しの許可を受けてつく
つた
と同じ権利でございましよう。だからこの間に好ましからざる所にもしこうした営業者ができたといたしましても、これは当然國家及び
市町村
等、たとえばそういうものをつくられては困ると思う側の方の
責任
でありまして、法によ
つて
、これを再許可を申し出て來たときに、かわいそうに蹴散らかすということよりも、むしろそういうのがあ
つて
、よそに移轉させなければ町村全体、縣全体の体裁の上にもよろしくないというような問題がもしかあ
つた
としますならば、これはそうした方面まで、適当な補償費を與えて、その営業を買取
つて
やる、補償費を與えて取り潰して、その人らを別な職業につくように補導してやる、そこまでの
責任
を持たなければ、いかに空白時代といえ
ども
、一旦われわれ同胞が自分の職場と定めた所で基礎的な営業を営んでおるのに、一片の
法律
の取扱いによ
つて
その存在を否定し、その人間としての根本的生存の権利を奪
つて
しまおうというようなことは、実にこれは大それた計画であります。かような点において、私
ども
は断じてこれは賛成をすることはできません。むろん町としてこういう所に風俗営業があ
つて
は困ると思う所に、新しくできる例はあろうと思います。これはおのずから私がただいま申したところの取扱いによ
つて
、その人らの轉業なりあるいは更生なりを考えなければならぬのであります。空白時代につく
つた
者の権利につきましては、空白ならざる前に官廰の許可を得てつく
つた
者と断じてこれは同じでございます。この点に何らの開きはないと考えているのであります。してみると、そういうものがあるために、全部をここで許可を願い出させるということは、根本的に考えが間違
つて
おります。そういうものはあ
つて
もよいから、これは全部届出制でやらして、もしも行政官廰がそういうものの存在に困るという区域があ
つた
場合には、この人らの処理なり轉業なり、あるいは更生指導なりは別の方法で、民主的にほんとうに人権を尊重する同胞愛の上に立
つて
、おのずから他の方法でやる途があるのであります。この点につきまして、御見解はいかがですか。
間狩信義
63
○
間狩
説明
員 まことにごもつともな御説でございますが、この取締りの実際の処理の面から申しますときに、やはりこの
法律
によりまして新しい取締りをや
つて
いくというためには、この営業者の場所でありますとか、設備、構造あるいは営業者本人、それらが風俗取締りの上
支障
のないものでなければならぬということは言うまでもないのであります。現にや
つて
いる人を全部許可をしたものとみなしまして、届出るだけで足りるということにかりにいたしましても、しかし風俗取締り上、
法律
の
精神
から見て
支障
のあるものはやはり許可を拒否するという
措置
をとり、またそれに必要な
規定
を設けなければならぬと思うのであります。そういたしますと、結局この
法律
の施行の上から見て、
支障
があるかないかということを確かめまして、
支障
のないものは届出で足りる、そうでないものはやはり一應全部許可の申請をさせるということにな
つて
まいりますので、結局全部について一應審査をしなければ、この
法律
をせつ
かく
つくります
目的
を達成しがたいというような
関係
になるわけでございます。一應
法律
といたしましては、新しい
法律
がここにできることでありますので、現に既得権者として営業している者も、それによる制限を受ける受けるということは、一應やむを得ないことであります。運用の上におきまして、その権利を十分に尊重していく、風俗取締り上
支障
のあるものは別といたしまして、そうでない場合は、十分にこれを尊重するということによりまして、業者の立場と、またこの取締りの
目的
といたします公共の立場の適当なる調整をはかりたい、かような考えであります。
松浦榮
64
○松浦(榮)
委員
この前私大体質問しておいたのですが、第三條の
規定
は、私の質問したことは、いろいろ縣によ
つて
まちまちになるおそれがある。それを抑えなければ、そこに非常に取締り上不便が生ずるという立場から、この前質問をしたのでありますけれ
ども
、もう一歩つつこんで、この第三條の
内容
について、大体の標準をきめてもらわなければならないということを提唱したいのであります。一体風俗というものは何であるか、その風俗については何もうた
つて
いないのでありますが、こういうことが風俗であ
つて
、こういうことについて風俗を害するということは、これでは何もわからないのであります。大体
都道
府縣に任されておりますが、それでは府縣でまちまちであり、
法律
そのものが何を目標にしておるかわからないということになりますので、大体においてどういう点を風俗上取締るのかという基準をこの第三條に掲げる必要があると思うのであります。 それからこの前も話しましたが、從前は料理屋、飲食店その他の取締規則に違反した者は勾留科料程度であ
つたの
でありますが、この
法案
によりますと、相当重い刑を科せられまして、懲役罰金という刑で非常に重いように見えるのでありますが、この点は考慮を要すると思います。 それから前に戻りますが、第
一條
の待合、料理店、カフエーその他客席で婦女が客の接待をして、客に遊興飲食をさせるところという点でありますが、婦女が客の接待をしない場所とい
つた
料理店もあるのでありますが、そういうものに対しても取締力を加える必要があるのではないか、こういうものも一様に取締りをしなければ、脱法行為が行われるおそれがあります。 それから先ほどから何人も申しておられるように、許可の
権限
というものは
公安委員会
に與えてはならぬという
意見
でありますが、私もそれについては同
意見
でありまして、
公安委員会
は執行機関ではないのでありまして、執行機関はどこまでも
警察署
長ということにしなければ、今後のいろいろな
警察
の仕事の立場上非常にむずかしい問題がたくさん出てくると思います。どこまでも執行機関は
警察署
長にあるという建前で、
警察
行政というものを進めていかなければならぬ、こういうふうに思
つて
おります、この点について御質問いたします。
間狩信義
65
○
間狩
説明
員 第三條の制限を、
條例
によらないで結局
法律
で
規定
するか、あるいは
法律
に大綱を
規定
しろという御
意見
でございますが、前回も申しましたように、第三條の制限はここにございますように、営業の場所あるいは営業時間、あるいは営業所の構造設備、その他営業主または從業員がその営業に関連いたしまして、いろいろな守らなければならぬ事柄があるわけでありますが、そういう
事項
につきまして善良の風俗を害する行為を防止するために制限を設けるわけでありまして、この
内容
にわたりますと、かなり詳細な、しかも廣汎な
内容
にな
つて
まいるのであります。それを結局
法律
で全部を
規定
いたしますと、かえ
つて
地方の実情に合わないというような結果になるわけでありますが、たとえて申しますと、
從來
東京においては旅館と料理屋と兼業することを認めていないのでありますが、東京都でかりにさような制限をおくことが適当であるといたしましても、地方においてはさような制限を設けることが実情に副わないということもむろんあるのでありまして、むしろこれはやはり実情に應じた制限を設けることの方が適当だと思います。大綱だけをここに掲げるといたしますと、結局この第三條の案のごとき漠とした
規定
を設けるよりほかないということになるのであります。善良の風俗を害するというのは、これはさらに具体的な
内容
がないので非常に困るということでございますが、これは結局社会的な通念によ
つて
善良な風俗の
内容
が定まると思います。また具体的には
條例
でございますので、各
都道
府縣の議会によ
つて
設定されることでありますので、不都合なこともないだろうと思います。それから罰則の
関係
でございますが、
從來
の廰府縣令の罰則に比較いたしまして、本法による罰則が非常に重くな
つて
おるということほ事実でございますが、この罰則の
関係
については、法務廰において大体あらゆる
法律
との均衡を考えて決定をしてもら
つた
わけでありまして、現に食品衞生法等においては、むしろ本
法案
よりはさらに重いような状況にな
つて
おりますので、他の
法律
との
関係
において、本法の罰則は決して重いものではないと思います。それから第
一條
第一号で、結局婦女の接待しないものも、やはり風俗上取締る必要があるという御
意見
でございますが、さきにも申し上げましたように、婦女が接待するときに非常に風俗上の問題が起るのでありまして、婦女が接待をしないということでありますれば、大して風俗取締りの上からそれほど重大な関心をもたなくてもよろしいと考えておるのであります。
坂東幸太郎
66
○
坂東委員長
それでは本日はこれにて散会いたします。 明日は午後一時から開会いたします。 午後四時八分散会