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1948-06-01 第2回国会 衆議院 治安及び地方制度委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月一日(火曜日)     午前十一時二十分開議  出席委員    委員長 坂東幸太郎君    理事 小暮藤三郎君 理事 千賀 康治君    理事 門司  亮君 理事 矢尾喜三郎君    理事 坂口 主税君       大村 清一君    佐藤 通吉君       中島 守利君    菊池 重作君       久保田鶴松君    矢後 嘉藏君       松澤 兼人君    松谷天光光君       高橋 長治君    高橋 禎一君       川橋豊治郎君  出席國務大臣         國 務 大 臣 野溝  勝君  出席政府委員         総理廳事務官  鈴木 俊一君         総理廰事務官  荻田  保君  委員外出席者         議     員 塚田十一郎君         國家地方警察本         部警視     武藤 文雄君         專門調査員   有松  昇君 五月二十八日委員井上知治君辞任につき、その補 欠として原田憲君が議長の指名で委員に選任され た。     ————————————— 五月二十八日  警察制度改善に関する請願原健三郎紹介)  (第一〇九八号)  地方税賦課期日繰上請願石田博英君紹  介)(第二一七号) の審査を本委員会に付託された。 本日の会議に付した事件  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提  出)(第四一号)  風俗営業取締法案内閣提出)(第六三号)   請願  一 料理飲食業者営業再開許可請願(庄司    一郎紹介)(第二八号)  二 料理飲食業者営業再開許可請願(佐々    木盛雄紹介)(第八八号)  三 麺類の外食券食堂設置請願坂東幸太郎    君外六名紹介)(第三九九号)  四 警察法実施に伴う警察費全額國庫負担等に    関する請願松澤兼人君外四君紹介)(第    四四〇号)  五 地方自治法の一部を改正する請願坂東幸    太郎紹介)(第四八九号)  六 主要都道府縣に建築部設置請願坂東幸    太郎紹介)(第五三二号)  七 地方税財政制度改革に関する請願塚田十    一郎君外三名紹介)(第五四六号)  八 海上保安廰法案並びに開港々則法案に関す    る請願島上善五郎君外一名紹介)(第五    六五号)  九 警察法施行に伴う要望に関する請願坂東    幸太郎紹介)(第五六七号) 一〇 監査委員制度確立整備に関する請願(坂    東幸太郎紹介)(第七五四号) 一一 闇行為絶滅に関する請願坂東幸太郎君紹    介)(第七八七号) 一二 警察制度改革に伴う増加経費國庫負担の請    願(上林榮吉紹介)(第八六七号) 一三 消防團用資材優先配給請願上林榮吉    君紹介)(第八六九号) 一四 義務教育費及び警察費全額國庫補助請願    (上林榮吉紹介)(第八七六号) 一五 地方財源確保に関する請願岩本信行君外    一名紹介)(第九三号) 一六 電氣瓦斯税設定反対請願前田榮之助    君事紹介)(第一〇一三号) 一七 警察制度改善に関する請願原健三郎君紹    介)(第一〇九八号) 一八 地方税賦課期日繰上請願石田博英君    紹介)(第一一一七号)     —————————————
  2. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長代理 これから治安及び地方制度委員会を開会いたします。  本日の日程地方自治法の一部を改正する法律案風俗営業取締法案、そのほか請願であります。順序を変更しましてまず風俗営業取締法案議題に供します。前会に引続き質疑を続行いたすことといたします。質疑はございませんか。
  3. 佐藤通吉

    佐藤(通)委員 私は前のときにちよつとほかの委員会にはいつておりましたので、実はこの委員会に顔を出さなかつたのでありましたが、あるいは前に質疑が行われたことであるかもしれませんけれど、ちよつと私の二、三氣づいた点をここに伺つてみたいと思うのであります。  第二條でありますが、「前條の営業を営もうとする者は、当該都道府縣が條例で定めるところにより、」という規定があるようでありますが、そういたしますと、取締りの細則というか、具体的にどういうふうにして取締るかということは各都道府縣にめいめいそのときどきの実情に應じて條例をつくるということになるのでありますが、もしそうだとするなら、全國の各都道府縣もおのおの違つた見地から條例というものをつくることになるのではないかと思うのでありますが、この点がどうなるのか、またこの條例をつくるについて、基準になる準則というものがこの法律によつて何らかの指示を與えられるものであるかどうか、この二点であります。  それから第三條でありますが、ここに行政処分規定がありますが、これはちよつと見ますと、要領をつかみ得ない点もあるのではないかと思うので、あります。たとえば第三條の後段でありまするが、「善良風俗を害する行為を防止するために必要な制限を定めることができる。」と書いてあります。この制限の中に人的制限物的制限という点がありまするが、この二つともこれによつて定めるのであるか。そうすると條例で人的な制限をなすことができるかということを一應考えてみる必要があると思う。それから第六條の後段でありまするが、風俗営業の場合、営業所に立入ることができるとありますが、これは時間的な制限があるという問題です。夜夜中でもはいることができるということになると、営業者は非常に迷惑するのではないかと思いますが、以上の点について御答弁を願いたいと思います。
  4. 武藤文雄

    武藤説明員 第一点の條例で各都道府縣が定めるとばらばらになりはしなとかいう御質問でございますが、この案で都道府縣が條例で定めるようにいたしました点は、やはり各地方の民度、実情というものを相当考慮することが適当ではないか、大都会地方と、それから田舎の地方同一基準によつてこういつたものを取締るということは必ずしも適当でないと思います。そこで地方実情に即するように各都道府縣の條例讓つたのであります。もちろん御説のように、それによつて近接府縣間でも相当開きが起るとかいうような問題も懸念されるわけでございますが、これは各縣相互連絡協議等によつて、そう大きな開きにならないようになることを期待いたしております。第二の、第三條の制限でありますが、主として物的な制限が多いと存じますが、お手もとに資料で差上げました旧風俗営業関係地方廰令で、大体どういつたことを定めておつたかというようなことについての項目をあげたのでありますが、その中で從業婦について、たとえば接客婦は何歳以上でなければならないとか、あるいは傳染性疾患をもつている者の從業を禁止するとか、そういつた若干人的制限というものも考えられると思います。第三番目の立入りの制限でありますが、御説の通り眞夜中に立入りすることは、非常に営業者にとつて迷惑ではないかという点でございます。この点は法を執行いたす者としては十分に愼重でなければならない点でございますが、ただこの種の風俗営業の性質上、むしろ公開時間を過ぎてからあとにいろいろここで取締らなければならないような懸念の起る場合も考えられます。そういつた場合は公開時間以後において立入りをする必要が起り得るのではないか、そういう点を考慮しております。けれどもそれかといつて、こともないのにいたずらに立ち入るということは、絶対に避けなければならないと思います。
  5. 佐藤通吉

    佐藤(通)委員 第六條の営業の場所立ち入るというこの條文でありますが、今御答弁によりますると、営業時間外でもやはり立ち入るような場合があるかもしれないということを予想した意味において、この條文をおつくりになつたように私は想像するのでありますが、從來この警察官の営業場所に立ち入るということは、單に取締りということを目的にいたしまするのみならず、無意味に立ち入るような弊害が非常に多いのであります。そこでこういうような條文を置きますると、今おつしやつたように、営業時間外に必要の起つた場合にはいるというのでなく、無意味に何かありやしないかというような想像、臆測、そういう主観的な考えから臨檢その他の方法ではいるようなおそれがこの條文によつてあるのではないかと思う。從つて條文においてそういうことができないように改正する必要があるのではないかと私は思いますが、もう一遍この点について伺つておきたい。
  6. 武藤文雄

    武藤説明員 御心配の点でありますが、もちろん当該官吏及び吏員がこの職務を執行するにあたつては、あくまでも職務執行の必要上に止めることは原則だと思うのであります。いたずらにこの條文に名を借りて、臨檢制度を濫用するといつたことがあれば、これは職権の濫用、住居侵入といつた刑法の規定に問われる筋のものであります。それによつて当該官吏職権については十分制限を付するものと存じます。
  7. 佐藤通吉

    佐藤(通)委員 ただいまの御答弁によつてよくわかりますが、そういうようなことであるとするならば、はつきり條文の中に営業時間内というような言葉を入れたらどうかと思うのでありますが、この点についてはどうです。
  8. 武藤文雄

    武藤説明員 先ほど申し上げましたように、営業時間過ぎてからむしろこの法律で最も恐れる事態が起るということが考えられますので、そういつた事態考慮しておりますので、ここで営業時間中と制限してしまうことは、この法律所期目的を議する上において狹きに失するのではないかと考えます。
  9. 川橋豊治郎

    川橋委員 行政処分の点でありますが、第五條に「当該営業者又はその代理人の出頭を求めて、公開による聽聞を行わなければならない」という絶対的の規定になつておりますが、第四條の中で「善良風俗を害する虜があるときは」という規定があります。善良風俗を害するような点について公開聽聞を行う場合、そこにまた風俗紊乱が起る可能性があると思う。これは例外が設けてあればよろしいが、公開による聽聞を行わねばならないという絶対規定でありますから、この点について考慮の余地はないか、そうしなければ善良風俗を害するようなことが公開の場合に論議されることは、かえつて相当弊害を釀すゆえんになりはしないか、こういうことをおそれる、この点についてお考えを承りたい。
  10. 武藤文雄

    武藤説明員 御説の点も考慮されないではないので、裁判においてもそういつた場合において公開を一時とりやめるという制度があるわけであります。本條では特に営業許可の取消、停止といつた処分從來警察署長が專断的にやつてつたのを、公安委員会がその営業者意見を十分に開陳させて、それを参考にして、しかる後に公安委員会が決定をしようという愼重な民主的な制度を設けたわけであります。御説のような心配もあるいは起るかもしれませんが、そこは運営によつて何とかできるのではないかというふうに考えております。
  11. 川橋豊治郎

    川橋委員 この趣意は非常に結構でありますが、要するにこの五條規定は、公開による聽聞を行わなければならないという絶対規定になつておりますから、そこに運用の妙を得るということは結構な答弁ですが、何かそういうことを慮つて、適当な條項を入れる必要はないでしようか。
  12. 武藤文雄

    武藤説明員 公開による聽聞でございますので、営業者からいろいろ事情を聽くわけでございます。主として御懸念の点は営業者側においていろいろその事態を述べ、しかし営業者がまずまずそういつたいろいろデリケートな点を述べるということは、おそらくこの席では起り得ないだろうということを考えております。
  13. 松澤兼人

    松澤(兼)委員 附則の第二項ですが、三十日の間は許可を受けたものとみなす、しかし三十日を過ぎた場合には、それぞれ公安委員会許可を受けなければならないということになつておりますが、他の法令などを見ますと、現に法律施行のときに許可なり認可なりを得たものは、引続き新らしい法律による許認可を得たものとみなして、あらためて許認可の必要がないという規定になつている法律もあるように考えられるのでありますが、特にこの法律におきまして三十日後において再許可を申請しなければならないというふうにしてありますことは、何か特別の理由に基くものでありますか、どうですか、その点お尋ねしたいのであります。
  14. 武藤文雄

    武藤説明員 お説の点でございますが、これは御承知通り、八月一日から施行というふうに訂正になつておりますから、それから三十日間は許可を受ける、その間にあらためて許可を受けるという趣旨になつているわけでございますが、御承知通りに昨年の十二月末をもつてこの関係取締りが効力を失しており、そうして現在までのブランクの期間がございます。その間は自由にこの営業を営み得るというような法律上の形になつておりまして、その間にはいわば許可なしで自由に営業をしておつたものもございます。また從來から営業いたしておりましたが、この期間中に構造の変更等をいたしているというような場合も考えられます。これがこの法律に基きまして、都道府縣で條例を定めました場合に、あるいはそれに抵触するもの等もでてくることが考えられますので、そういつたものについて新らしい條例の角度から全部を一應見直すという意味において、あらためて許可を受けることとする方が適当ではないかと存するのであります。もちろん実際の運営においては、大部分の営業者從來から許可を受けてやつてつたものでありますし、しかもその許可條件とする條例の内容もそう大きな変革はないものと考えられますので、事実上從來から営業しておつたものは、再許可の場合においては大体許可を受けるものであるというふうに考えられますので、今申しましたように、一應あらためて許可を受けるということによつて、そう大きな支障も生じないだろう、と思います。一應あらためて許可を受けるといろふうにいたしたのであります。
  15. 松澤兼人

    松澤(兼)委員 大体今まで許可を受けたものは再許可を受けることができるという御方針ならば、これは別であります。しかしながらそれはいわば法律施行の場合における心構えと申しますか、態度というものでありまして、刑事部長がそういうふうにお考えになりましても、地方におきましては必ずしもそうでないということがあり得るのではないかということを考えるのであります。大体におきまして、いわば裏口営業とか、あるいはやみの料飲店とかいうようなものの取締りでさえも、地方的に非常に差異がありまして、ある地方においては非常にゆるやかで、ある地方では非常に嚴重であるというところがあるわけであります。それはすでに御承知通りと思うのでありますが、そういつたことで、大体刑事部長さんのお考えで、これまで許可を得ていたものは、今後も引続き許可を受けることができるであろうという御言明がありましても、実際末端において、この法律施行される場合におきましては、非常に嚴重なところと、非常にまた寛大なところができてくるのであります。そこで問題は、非常に嚴重なところがあるといたしまして、そういうところで再許可を受けるという場合に、この種の営業にはえしてつきものであります運動とか、買收とか、あるいは贈賄とかいつたようなことが非常に多く行われはしないかということをおそれるものであります。そこで私の意見といたしましては、すでに許可を得ておるものは届出程度のもので、あらためて許可を受ける必要がないというくらいにする方が、今申しましたような、いわば官紀の紊乱と申しますか、あるいは不正が行われることを少しでも避け得られるのではないかというように考えるのであります。おそらくこの八月一日から実施されまして、九月切替えのときには、地方においては相当黄白がばらまかれたり、運動が激烈に行われたりするような事態が発生するのではないかということを心配いたすのでありますが、そういう点につきましてははたして嚴正に行われるかどうかということについてお考えを伺いたいのと、先ほどもお話のあかましたように、地方々々によつて寛嚴があるということについて、これを是正するような御方針ができているのかどうかという二点について伺いたいのであります。
  16. 武藤文雄

    武藤説明員 地方によつて非常に寛嚴があるということが心配されるのではないかというお説でありますが、これは新警察法下におきましても、各警察相互に緊密な連絡をとるということになつております。お互い十分連繋をとつて、そうして歩調を合わせて方針を立てていくことと私は期待いたしておるのであります。もちろんその土地の特殊事情によつて、ある地域は比較的寛大にこういうものを認める、ある地域においてはこれを嚴重にしなければならないということも、地方実情によつては起り得ると思います。しかし根本の方針としては、お互い通絡調整によつて所期目的を達し得るのではないかと存じます。なおこれを再許可するということに伴つて、いろいろ贈賄とか、運動とか、何とか行われるのではないかという御心配、これは別個見地から嚴正にこれについては取締りをしていく方途もあるわけでございまして、そちらの方によつて十分こういつた贈賄買收等については取締りをしていきたいと考えております。
  17. 松澤兼人

    松澤(兼)委員 もう一つお伺いしておきたいことは、ただいま刑事部長さんのお話まこと同感でありまして、地方によつて特殊の事情は別として、一律に法律が実施さられることを希望する点においては、私もそう考えるのであります。しかしこの法律が一律に実施されるという場合におきまして、それを期待する一つ指導すと申しますか、あるいは命令というものを、あなたのお考えのように、上から下へ流していくことができるかどうか。それは單に上で考えておることが現実に下にうまく滲透しないとい部こともありますし、また法律施行の場合における命令監督というようなことはできないと思うのでありますが、これに対してどういうような形の指導を與えられるか、またその指導を與えられる法律的な根拠はどこにあるかという点につきまして、御説明を願いたいと思います。
  18. 武藤文雄

    武藤説明員 この法案が成立いたした瞬におきましては、十分全國のこういつた関係部局との研究会開き、そういつた席上でこの法案の解説をし、併せて國会でこういつた意見があつたという点を十分に傳えます。それによつてお互い法令趣旨を十分に理解し、そうして相互連絡を保つて、仕事を進めていくという方途によつて所期目的を達し得るものと存じます。新警察法におきましては、命令等が、こういつた運営会についてわれわれからできないことは、御承知通りでありますが、こういつた法令研究を通じて、お互いに相談し合つて相互に連繋し緊密な連絡をとるといつた方途によつて、十分に目的をあげるように努力いたしたいと存じます。
  19. 松澤兼人

    松澤(兼)委員 研究会ということでありますれば、それは差支えないことかと存ずるのでありますが、私先日も最初に質問いたしましたが、総理大臣國家公安委員國家地方警察本部自治体警察、これらの関係法律の面におきましてどうもはつきりしないところがあるように思うのであります。これは決してただいま出席されております方々に対して御非難を申し上げるという考えはないのでありますが、一應お尋ねして今後の参考にしたいと思うことがあるのであります。それは國家公安委員会総理大臣のもとにありまして、その分担する事務というものがはつきり掲げてあります。これは七項あるわけでありますが、この七項に対しまして、新しい法案立案企画ということが載つていないのであります。たとえばこれに類する法案といたしまして、地方財政委員会法というのがありますが、この中におきましては、地方財政委員会において、地方財政のことを立案企画して、これを一定の期日までに國会に提出しなければならないということが、はつきり規定されておるのであります。そういう実情が一方にありますが、國家地方警察及び自治体警察を縛る——たとえば現在出ております風俗取締法というものを企画立案するその官職というものが、どこにあるのか。もちろんそれは内閣総理大臣がやるといえばそれまででありますが、國家公安委員会権限として、警察に関する新しい措置の企画立案という一項があれば、これはもちろんはつきりわかりますし、國家地方警察本部というものは、公安委員会事務局になつているわけですから、刑事部長さんが來て説明されるということも、よくわかるわけであります。全國が國家地方警察だけでありますれば、そこから法案を下へ流していくということも妥当であると考えられますが、自治体警察國家地方警察とは全然別個のものであつて、そこには指揮命令はもちろんのこと、監督するとか、あるいはまた調整するとかという権限がないように考えられますので、この点國家地方警察本部公安の全責任を負つて立案し、立案されたものに対して解釈を下すという、その法律的な根拠が私にわからないのであります。そこでもし今後もそういうことがたびたび起るといたしますと國家公安委員会権限の中にそういつたことを明記する必要があるのではないかということを考えるのですが、この点ひとつ法律的な御見解を伺いたいと思います。
  20. 武藤文雄

    武藤説明員 お説の点、われわれも十分考えさせられる問題でございます。われわれとしてもそういつた点について非常に悩みをもつているわけであります。前回御答弁申し上げましたように、本案については政府提案としてわれわれが説明に当つているということまででございまして、それ以上、ただいまの御言及ついて、われわれももう少し研究を進めてみたいと思います。
  21. 松澤兼人

    松澤(兼)委員 武藤さんの御意見はどういうところにありますか。その法律的な関係が今のようなままでいいのかどうか、その点について御意見を聽かれたら結構だと思います。
  22. 武藤文雄

    武藤説明員 ちよつと速記を止めていただきたいと思います。     〔速記中止
  23. 松澤兼人

    松澤(兼)委員 警察制度改革に関する小委員会もできておりますし、内閣でも警察制度の改正につきまして論議されておるのであります。國会でも政府でもそうなんですから、実際に御意見のあるところに率直に伺つた方が、今後の審議に非常に参考になると思います。その点私心配し、かつこれを改正するならばどういう方向にもつてつたらいいかということを考えてみるわけでありますが、この席上でお話願うことが不適当であれば、また別の機会にお考えを承りまして参考にしたいと思います。
  24. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長代理 ちよつとお諮りいたしますが、午前中はこれにて休憩しまして、さらに地方自治法の一部を改正する法律案請願等のほかの日程審査関係もありますので、午後一時から再開することにいたしたいと思いますがいかがでしようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長代理 それではさよういたしまして、午後一時より再開いたします。     午前十一時五十五分休憩      ————◇—————     午後二時二分開議
  26. 坂東幸太郎

    坂東委員長 休憩前に引続いて会議開きます。  これより請願審査をいたしたいと思いますが、日程順序を変更しまして、日程第七、地方税財政制度改革に関する請願議題に供します。紹介議員塚田十一郎君から説明を求めます。
  27. 塚田十一郎

    塚田十一郎君 ただいま上程になりました請願趣旨につきまして、簡單に御説明を申し上げたいと存じます。  本請願地方税財政制度を御改革になるにあたりまして、雪國單作地帶、福井、石川、富山、新潟、秋田、山形、これらの地帶がもつております特殊事情を十分御考慮になつていただきたいという意味請願なのでありまして、新潟縣ほか各縣の知事、縣会議長町村會長というような者の連名によつて請願であります。  請願理由簡單に申し上げますと、ただいま申し上げましたような裏日本の各縣は、農耕單作にあえぎつつも、新生日本主食増産確保に非常な努力を拂つてきておるのでありますが、最近の経済情勢はこれから單作縣民の所得をいよいよ非常に少い状態に追いこんで、地方自主のための税源確保に非常に困難を來たしておるのであります。そこでこの間も発表になつております地方財政委員会の、今度の分與秘の分與される原案を拜児いたしましても、どうもまだ雪害地に対して何ら特別の考慮が拂われていないのではないかというような懸念を非常にもつているわけであります。それはどういう点かと申し上げますと、いわゆる基準数字に逆比例して分與額をお定め願うところの、その基準になつておりますものにも、地域差、天惠差の乏しい賃貸價格または法定営業純益というものだけがその基準に取上げられておりまして、縣民の総合所得について何ら加味していただいておりませんために、特に今日のような経済情勢のもとにおきましては、國民所得の地域的な差異を調整し得なくなつておるというように断ぜざるを得ないのであります。  次に財政需要標準によつておわけになりまする分につきましても、経常的な雪害というものに伴つて、これらの地帶地方施設が、表日本と裏日本における効用率に、非常な懸隔があるということをどうしても御考慮願わないと、負担の均整をはかるというわけにいかないと私どもは考えておるのであります。その他いろいろな点を考慮いたしまして、私どもといたしましては、どうしてもこの際ただいまこの委員会のおもちになつておる改正案に対して、少くともこれらの点について特殊の御考慮をお願いいたしたい。すなわち課税力に逆比例して分與になりますところの分與額の基準に、政府案におきましては二つの基準がおかれておるのでありますが、そのほかにいま一つ國税所得税を当該團体の割増人口で除した額というのをお加え願えないかということ。それから財政需要に正比例して分與になる分與額を御算定になります場合の割増人口、政府案によりますと八十万となつておるようでありますが、これを裏日本單作縣に限つては、特に実人口に九十六万を加えたものというように御変更願えないかどうかということ。それからさらに命令に定める各種の標準によるという、その命令に定める各種の標準の中に、経営的雪害が著しく大きい場合にも考慮するという一項をお加え願いたいと考えるのであります。そこで國税所得税を当該國体の割増人口で除した額によつて、これを基準としてわけます部分につきまして、特に分與額の総額の百分の十五というものをその標準によつておわけ願いたい。從つてそれに百分の十五とりますことによつて、他の標準によつてわけますものに、それぞれ多少なり変化を起してくるわけでありますが、それらの詳細につきましては、請願の内容について愼重御吟味を願つた上で、ぜひ御採択をお願いしたいと考えておる次第であります。次上簡單趣旨の弁明をさせていただきました次第であります。
  28. 荻田保

    ○荻田政府委員 ただいま御紹介のありました請願の件に対しまして、私どもの考えておるところを申し上げたいと思います。仰せになりましたように、ごく北の地帶と申しますか、米作單作地帶は、あらゆる面においてそうでありますが、地方財政の面においては相当つておることは確かな事実だと思います。これを分與税法によつて救済するという問題でありますが、案の中にあります点いずれも一應の理由がある点であると考えるのでありますが、ますその課税力に所得税を入れる問題でありまするが、これは一應所得税附加税が現在の地方税の中にない以上は、地方團体の課税できない税をもつてきて課税力の計算に入れることは、ちつとぐあいが惡いんじやないかと思います。殊に所得税を入れた場合、はたして結果がどうなるかということを考えてみましても、最近のように相当國税の方の所得税の査定が農家にも重い場合には、はたしてそれで課税力が低くなるかどうかということは、非事常に疑問があると思います。それで今度新しく入れまする事業税が、むしろ米麦等につきましては誤称外になつております関係上、事業税を課税力の算定の基礎の中に中に入れますれば、そういう米の單作地帶におきましては、課税力がうんと低くなりますかう、その点によつて救済されると思います。  第二に人口割増について、寒冷地についてある程度の割増をする。つまり寒冷地であつて、特別の経費が要るからという点、これは確かに一つ考えでありまして、あるいは北海道のごとき強く要望しておるのであります。しかしこういうものを入れますると、寒冷地帶においては、寒冷なるがゆえに経費が多いということも言われますが、そのほか各地にいていろいろ特殊な事由が出てくるのじやないかと思いまして、そう考えますと、よほど研究した上でやりませんと、どこで食いとめるかということがむずかしくなりますので、さしあたりは考えないつもりであります。ただ從前のように、大都市の人口は三倍し、都市の人口は二倍し、町村方面はそのままになつておるという不合理な点は、今度は改正して、同じく人口そのものをとりますから、都市対農村の問題においては、相当農村方面が改善されるのではないかと思います。  第三の特別分與税の中に寒冷地というのを一つ理由に入れること、これは確かに考えられる点でありますので、これは政令と申しますか、命令の問題になりますが、その際に考えたいと思つております。
  29. 塚田十一郎

    塚田十一郎君 御答弁をいただきまして、まことにありがとう存じました。特に私が本請願に関連して非常に心配しておりますのは、今度どうやら入場税が地方に全面的に委讓になるときまつたように聞いておるのであります。そういうことになりますと、入場税というものを、やはり総体の額をいただく分は非常にありがたいのでありますが、入場税收入というものが、今申し上げましたような縣で收入も非常に少いということになりますと、それを全面的にもらうにはもらつたが、これには中央の費用を地方にもつてきた事情があるのでありまして、それを全面的にもらつたことによつて、今までの分與税の財源になつてつたものが減ることになると均衡をして、いただく総体の財源が非常に少くなつたという点において、さらに一層裏日本地帶が不利を受けるのではないかということを考えておるのです、そういう意味も併せ加味いたしまして、今度の分與秘、入場税が地方に來るか、來ないかということは、今までは、きまつておりませんでしたが、そういうふうな問題もぜひ御考慮をお願いしたい、こう考えております。趣旨の弁明の補足といたしまして、なおそのようにお願いしたいと存じます。
  30. 坂東幸太郎

    坂東委員長 ただいまの請願趣旨弁明並びに政府側の御答弁はお聽きの通りでありますが、この案の取扱いについてお諮りいたします。——それではただいまの請願につきましては保留いたしまして、あとから決定をいたしたいと思います。それに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 坂東幸太郎

    坂東委員長 それでは御異議ありませんから、さようにいたすことにします。     —————————————
  32. 坂東幸太郎

    坂東委員長 次に日程第一五、地方財源確保に関する請願、文書表第九九三号、紹介議員岩本信行君でありますが、代つて塚田君にお願いいたします。
  33. 塚田十一郎

    塚田十一郎君 本請願地方財源を確保いたしたいとお願いしておる次第であります。請願趣旨は、憲法の制定に伴いまして、地方自治法施行を見るに及び、中央集権的制度が打破せられ、逐次地方分権的に改められつつあるは、民主主義國家建設の途上にある日本のため慶賀にたえない次第であります。そこでそれに伴いまして警察権の地方委讓、六・三制学制の実施、消防事業の自主確立等、重大事業が続々地方公共團体に任せられておる現状でありますが、一方これに必要な財源が少しも伴つてまいりませんために、地方財政は最近非常な危胎に陥つておるという状態でございます。そこでそれらの新たなる地方におきましての事業の非常な増加に伴いまして、それに必要な財源も合せてこの際地方にお讓り願いたい、こういうのが本請願趣旨であります。なをそれに関連いたしまして、地方の起債のわくの拡大をお願いいたしたい。また融資の面におきましては、簡易保險、郵便年金の積立金の貸出し等も地方にお讓り願いたい。こういうようにお願いいたす次第であります。
  34. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 御趣旨の点はごもつともでございます。特に地方財政はまつたく行き詰まつておるのでございまして、前年度の予算の約倍であります、千九百九十五億という國の予算の半分だけを必要としておるのでございます。その予算のうち新経営費といたしまして、約五百億近くを要するのでございまして、これらの費用につきましては、中央におきましてはとうていそれを補起するだけの力もありませんので、中央から財源の委讓ないしは分與ということに対しまして、政府におきましても最善の努力を拂つておるのでございます。御趣旨につきましては最善の努力を拂うつもりでございます。
  35. 坂東幸太郎

    坂東委員長 本請願につきまして委員諸君の……。
  36. 松澤兼人

    松澤(兼)委員 ちよつと関連して——ただいまの地方財源を附與するということは、まことに御同感であります。つきましてはいろいろ地方財政委員会において御苦心の結果、相当財源ができたわけであります。しかしまだ予算の大綱の中に示されておる税種税額が異動するかもしれないというような危險な状態にありますので、地方財政委員会の方々に、もう一押しがんばつていただきたいと考えるのであります。それは入場税は一應地方委讓ということになりましたが、最近大藏当局などから聞くところによりますと、これを中央で徴收するか、地方で徴收するかという問題が、必ずしも明確にきまつていないようなことを承つているのであります。大藏当局といたしましては、結局入場税は中央でとつても、全部地方にそのまま還元するのだから、それでもいいじやないか、実質的に地方の財源になるのだから、それでもいいじやないかという意見をもつておられるようであります。しかしそういうことになりますと、必ずしも政府の徴税に対して地方は疑惑をもつというわけではありませんけれども、やはり地方財政が中央に依存しているという傾向を拂拭することができないというふうに考えますので、この点御説明願うとともに、今後の御努力をお願いしたいと考えるのであります。
  37. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 松沢委員の御意見ごもつともでございまして、特に地方自治法が生れまして、その自治精神の完璧を期するには、何と言いましても経済的裏づけがなくてはならないのであります。その経済的裏づけが未だ確立しておりませんので、その確立を期するために近い機会に成案を得まして、財政法の法案を今議会に提案する準備になつております。なお一言申し附け加えておきますが、ややもすると從來の封建的な、中央集権的な経済思想が残つておりまして、容易にこの思想が抜け切らぬところに、地方自治との間に摩擦を起しておる点があるのでございます。かような点は一刻も早く解消したいと思いまして、最善の努力を拂うつもりでございます。なお先ほど御注意ありましたが、今回中央から地方に委讓される税目といたしましては、入場税でありますが、この入場税につきましては、先般閣議において決定をいたしたのでございます。しかしその筋との了解を得る関係で遅れておりますが、今明日中にはその結論を得るわけになつておりますので、さよう御了承願いたいと思います。
  38. 坂東幸太郎

    坂東委員長 本請願は採択の上内閣に送付するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 坂東幸太郎

    坂東委員長 それでは採択の上内閣に送付することに決定いたします。     —————————————
  40. 坂東幸太郎

    坂東委員長 次は日程順序を変更いたしまして、日程第一八、地事税の賦課期日繰上請願紹介議員石田博英君でありますが、代つて塚田君にお願いします。
  41. 塚田十一郎

    塚田十一郎君 本請願地方税の賦課期日を繰上げていただかれぬかという趣旨のようにうかがえるのであります。市町村の運営は市町村財政の健全化にあることは論をまたないところであります。しかしてその健全化は租税の賦課徴收であることは申すまでもないのであります。しかるに市町村の租税収入の約二割以上を占める住民税の賦課期日は、十月一日現在と、地方税法第四十五條第二項に規定せられておりますため、これが賦課徴收準備のため、実際に賦課するのは十二月あるいは翌年の一月となつておるというのが現状でありまする從つてこの納税成績を見るに、年末年始に思わぬ出費を重ね、担税力を失い、短年納期徴收税成績は総額の五割以内という寒心にたえない結果になつておるのであります。他面督促整理期間が短く、ただちに年度末となるので、経理上多大の欠陥を招集し、それがため市町村では金融機関より一時借入れをしてその急場を凌ぐということになり、その利子たるやこれまた莫大な金額であります。よつてこの窮状打開の一つ方途といたしまして、住民税の賦課期日を五月一日に繰上げするよう地方税法第四十五條第二項の改正方をお願いしたい、そういう請願であります。
  42. 荻田保

    ○荻田政府委員 ただいまお述べになりましたような御意見、われわれはもつともと思いまして、この次の改正におきましては大体八月一日に繰上げたいと思つております。実はわれわれといたしましては四月一日くらいまで繰上げてもよろしいのでありますが、これは逆に市町村の側から、年度初めでは前年度の滞納の整理に事務が輻輳しておつて、当初において住民税の賦課額を決定することは非常にむずかしいというので、むしろ地方側の意見によりまして、大体繰上げ得る限りにおいて早い機会という意味で、八月一日というくらいにいたしたいと思つております。
  43. 坂東幸太郎

    坂東委員長 本請願に対し、委員諸君の御発言を求めます。——それでは本請願は採択の上、内閣に送付するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 坂東幸太郎

    坂東委員長 それでは採択の上、内閣に送付するに決します。     —————————————
  45. 坂東幸太郎

    坂東委員長 次は日程第四、警察法実施に伴う警察費全額國庫負担等に関する請願、松沢兼人君四名紹介日程第三、警察制度改革に伴う増加経費國庫負担請願上林榮吉紹介日程第一四、義務教育費及び警察費全額國庫補助請願上林榮吉紹介、以上一括議題に供しまして、松沢君に紹介を願います。
  46. 松澤兼人

    松澤(兼)委員 日程第十四の請願は、昭和二十二年十二月二十六日近畿二府六縣警察委員長会議において決定いたしました次の事項を請願してまいつたものであります。他の二案件も同様の内容をもつものでありますから、一應一括して御説明申し上げます。  新しい警察法の実施に伴いまして、その新設に要する諸設備費並びに警察官増員による人件費など、本年度における警察費はまことに莫大に上りまして、地方財政逼迫の折柄財源皆無の状態でありますので、とうてい支弁することができないのであります。これらに要する諸経費は、全額國庫において補助せられるように要望いたします。なお地方自治体警察費支弁の財源交付について、昭和二十三年度よりの自治体警察に関する運営諸般の経費は、その自治体において支弁すべきよう内示があつたのでありますが、現状のごとき地方自治体財政状態にては、とうていその能力はありませんので、その財源として國税の一部委讓を受けまして、あるいは地方分與秘の増額をお願いいたしまして、これらの経費を賄いたいというのが請願趣旨であります。何とぞ御採択くださいますようにお願いいたします。
  47. 荻田保

    ○荻田政府委員 自治体警察の経費につきましては、お話にありましたように経営費につきましてはこの七月より市町村に移管することといたしまして、それに必要な財源を今度の地方税制改正におきまして考えたいと思つております。その形の一つといたしまして、入場税の國税委讓、あるいは分與税の増額という問題も織り込まれておるわけであります。それから諸度調弁費、つまり新しい自治体警察を引受けたことによりまして要しまする廰舎の建築とか、あるいは備品の購入とか、あるいは警察電話の架設というようなものにつきましては、一應全額國でもつという建前にいたしまして、大体十八億程度を計上しております。そのやり方といたしましては、半額は國庫補助金により、半額は地方の起債により消化することといたしまして、その起債の償還財源を今度與えます地方の一般財源によつて賄い得るというようなかつこうにしております。
  48. 坂東幸太郎

    坂東委員長 以上三件に対しまして、委員諸君の御発言がございましたらお述べ願います。——ただいまの日程第四、第十二、第十四、これは採択の上、内閣に送付するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 坂東幸太郎

    坂東委員長 それでは採択の上内閣に送付するに決定いたします。     —————————————
  50. 坂東幸太郎

    坂東委員長 次は日程第五、第六、第一〇を一括して議題に供します。紹介議員の説明を求めます。紹介議員は坂東幸太郎ですから、簡單に御説明申し上げます。  日程第五、本請願の要旨は地方自治法の一部を次のように改正されたいというのであります。  一、第百九十九條第一項を次のように改める。    監査委員に、普通地方公共團体の経営に係る事業の管理、普通地方公共團体の出納その他の当該普運地方公共團体の事務及び当該普通地方公共團体の長の権限に属する事務の執行を監査する。  二、第百九十九條第五項を第六項とし、第四項の次に左の二項を加える。    監査委員は、必要があると認めるときは、普通地方公共團体が補助する團体の経営に係る事業の管理及び出納その他の事務の執行を監査することができる。  次は日程第六、本請願の要旨は、政府地方自治法を改正し、府縣における部制を限定して近く実施しようとしているが、これによると府縣には建築部が設けられないこととなるが、少くとも全國主要都道府縣には建築部を設置されたいというのである。  次は日程第一〇、本請願の要旨は、監査委員権限及び機構などに関する法規は、未だ明確に且つ充分実情に適合するように整備されていない、ついては監査機能を十全に発揮することができるように左記の通り速かに措置されたいというのである。(一)地方自治法第百九十五條第三項の改正、市町村は條例で監査委員を置くことができる、但し第百五十五條第二項の市はこれを置かなければならない。(二)同法第百九十五條第三項の改正、監査委員の定数は、都道府縣にあつては四人、市町村にあつては二人とする。但し、前項但書の市にあつては四人とする。(三)同法第百九十九條第一項の改正、監査委員は普通地方公共團体の経営に係る事業の管理、出納その他の普通地方公共團体の事務及び普通地方公共團体の長その他の職員の権限に属する事務の執行を監査する。(四)同法第二百條に次の一項を加える。書記は監査委員がこれを任免する。  これに対して政府側の御意見を求めます。
  51. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 最初お読上げになりました請願趣旨は、監査委員に対して、知事、市町村長等機関委任の仕事の監査をすることを認めよという趣旨請願と思いますが、これは現在監査委員につきましては、自治團体の事務に対する監査のみを原則として認めているのであります。國家機関として知事なり市町村長が処理いたしますところの仕事は、それぞれ各主務大臣がこれを指揮監督し、また会計事務その他についても國の監督の途が残されておりますし、また議会といたしましては機関委任の事務につきましては、これについていろいろ意見は述べることができますが、その機関委任の事務をどうこうするということは議会といえども権限をもつていないことでありますから、そこで監査委員につきましても、原則として機関委任事務については監査することは適当でないというところから現行制度は機関委任事務には監査委員の監査権は及ばないということになつておるわけであります。ただ機関委任事務につきましても、これを執行するために要する経費は、当該地方團体の負担になつておりますから、そういう負担という面から機関委任の事務につきましても監査委員にはある程度の権限を附與するわけであります。從いまして今ただちにこのように拡張することがはたして適当であるかどうか、なお研究を要するものではないかと思つておるのであります。  それから第一〇の請願の点は、私どもの方の所管に関係のない部分もあるように思いますが、地方團体が補助いたしましたその團体の事務をも監査委員が監査することが法律上当然にできるように制度を改めたらどうかという請願と承りますが、監査委員は当該地方團体の事務を監査するために設けたのでありまして、他の補助という関係がありましても、他の團体の事務まで監査するという建前のものではないのでありますし、またそのようにいたしますことは、あまりにもいき過ぎではないかと思うのであります。ただ補助をいたしますときの條件として、監査委員の監査をすることあるべしという條件をつけておいて、それを被補助團体が承認するという関係でありますならば、そういうことによつて監査委員は当該團体の事務についても、その補助の限度において監査することができるわけでありまして、そういうことは差支えないと思いますが、制度上当然の一切の被補助團体の事務を監査できるということにいたしますことは、いささか監査委員権限を強化し過ぎるのではないか、あまりにも他の團体に対する監督権と申しますか、被行政権というようなものを強くもち過ぎる結果、一面にこれに伴う弊害も出てくるのではないかというふうに考えますので、そこまでいくことはいささかいき過ぎではないかというふうに考えます。
  52. 坂東幸太郎

    坂東委員長 この三件の扱い方につきましてお諮りいたします。
  53. 千賀康治

    ○千賀委員 ただいまの三件の請願中、第五、地方自治法の一部を改正する請願並びに第一〇、監査委員制度確立整備に関する請願、この両件は関係するところも非常に廣範でありまするし、未だ見透しのはつきりつきかねる点もあり、また当局の答弁におきましても自信のうかがわれざる点もございまするので、これは当分保留にいたしまして、他日さらに研究をする方がよいと思います。  また第六の、主要都道府縣に建築部設置請願でありまするが、主要都道府縣には土木部はすでにできております。しかしながら建築部をさらに設置するという問題でありまするけれども、出先官憲の整理に関しましては当委員会におきまして過去すでに長い歴史をもつて研究をされておりまするから、この問題と相当にらみ合わして詮議をする関係もありまするから、地方出先官憲の整理という問題が目鼻がついて、その方にはつきりした進路が定まつたときに、この問題を取上げるのが適当でありまするから、特にこの問題につきましては、地方出先官憲の改廃がはつきりしたときにこれを取上げるという條件附で採択をせられることがよろしい、かような意見をもつておりまするから、以上動議として申し上げます。
  54. 坂東幸太郎

    坂東委員長 ただいま千賀委員の御意見は、日程第五、地方自治法の一部を改正する請願、並びに日程一〇監査委員制度確立整備に関する請願、この二件は結局保留ということで、日程第六の主要都道府縣に建築部設置請願は、本委員会ですでに地方出先官憲の整理がはつきり進路が定まつたときに、建築部を置く方がよろしいという條件附で採択をして、これを内閣に送付すべしという御意見でありますが、千賀君の御意見に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 坂東幸太郎

    坂東委員長 それではさよう決定いたします。     —————————————
  56. 坂東幸太郎

    坂東委員長 次に日程を元に戻して、地方自治法の一部を改正する法律案につきまして、まずもつて門司君の発言を求めます。
  57. 門司亮

    ○門司委員 地方自治法の一部を改正する法律案につきまして、この前の委員会で私当局に質問いたしておきました。第百九十五條の監査委員の問題でありますが、これを法文によりますと、都道府縣が四人、市町村にあつては二人とするということになつておりまするが、市町村の中で、殊に大きな都市においては非常に事務が煩雜しておりますのと、予算その他が非常に大きいということ、さらに位民により監査の請求権が認められるようになつてまいりますると、この事務はことさらに煩雜すると考えなければなりませんので、この三項を都道府縣にあつては四人、さらに市にも四人くらいいいのではないかと考えまするので、大体都道府縣及び市にあつては四人、町村にあつては二人とするというように修正したいと考えておるのであります。  さらに自治法の二百四十七條でありますが、この條項理事者と申しまするか、市町村長あるいはそれの代理を行う者がまつたくなくなつた場合に、その市町村長の職務を行う者の順位が定めてあるのでございまするが、これは單に順位を定めておいて、その順位の中から規定でこれを定めるというようになつておりまするが、予想されるものは、將來市長あるいは町村長以下総辞職をしないとも限らない。そういう場合に次の町村長を選挙する。それまでの間に事務に非常に大きな蹉跌を來すおそれがありまするので、これにさらにそういう場合に限つて地方行政職においてこれを臨時に行い得るような制度を設けたいと考えておるのであります。たとえば市町村長にあつては、知事がその地域の選挙権を有する者の中から、一時その市町村長の代理を行う者を任命して、そうしてあらためて選挙で市町村長が出てまいりまするならば、それまでの間の事務をそれによつて行わしめる。從つて新しい村長ができますると、当然その人は職を失う、府縣にありましては内閣総理大臣がその人をかりに定めまして、そうして当該事務の執行に当らせるというふうにしておくことがよくはないかと考えますので、こういうふうに修正をいたしたいと考えておるのであります。そういうことについての当局の御意見をお聽きしたいと思います。
  58. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 ただいま門司委員のおあげになりました修正の御意見二つございましたが、第一点の住民の監査請求権の制度が新しく設けられることに伴いまして、監査委員の仕事が非常に煩雜になるから、監査委員の数を二人しか置かない市町村につきましては、少し殖やすことにしたらどうかという御意見でありますが、これは十分政府としてもその御意見を尊重すべきものと考えております。府縣が現在四人でありますから、まあ仕事の簡單な町村は現状の通り二人でいいと思いますが、市は四人置こうと思えば四人置ける、四人なり二人なりどちらでも選択できるという形にするのは、実情に即したものではないかと思います。  第二の御修正の御意見でありますが、これも現在約二件ばかり例を聽いておりますが、町村で町村長以下全部総辞職してしまつて、町村役場の事務を見るものが一人もいなくなつてしまうようなことも、一、二ございまするが、やはりそれに備えまして何らかの手を打つということは必要ではないかと思うのであります。
  59. 門司亮

    ○門司委員 ただいまの問題でありますが、お諮り願いたいのでございます。当局もこれに対しては御異議がないようでございますので、修正をいたしたいと思うのであります。この案文はさらに関係方面との了解の関係もありますので、一應当局の方で案文を作成していただきまして、さらに当局の方の意向を伺つて、次の委員会にこれを可決していただくという取計らいをしていただきたいのでありますが、委員長としてお諮り願いたいと思います。
  60. 坂東幸太郎

    坂東委員長 ただいまの門司君の御意見に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 坂東幸太郎

    坂東委員長 さよう決定いたします。
  62. 千賀康治

    ○千賀委員 ちよつとこの問題について質問させてください。町村長以下総辞職をしたような場合、今までは事務管掌が上級官廰からいくということで大体済んでおつたのですが、今度あなた方の考えられておる地方制度の改正は、これと全然構想は違いますか、私全然同じと思つておりますが、その点違いますか。
  63. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 職務管掌制度從來ございましたのでありますが、地方自治法を制定いたしますときに、監督権は極力これを制限圧縮しなければいけないという大方針に從いまして、今の職務管掌制度、臨時代理者を選任する制度、これらの制度はすべて廃止されたのであります。從いまして今申し述べましたような場合におきましては、監督官廰が何らかの穴埋をするような権限は全然ございません。自治体においてももちろんそういう権限がないのであります。今は法律の穴と申しますか、市町村長以下が総員辞職した場合におきましては、その村では次の市町村長が出てまいりますまで、何人も市町村長の事務を行う者がいない、こういう状態になつているのであります。それをやはり何らか打開する方法として今門司委員の仰せになりましたような方法を考える必要があるのではないかと思うのであります。
  64. 千賀康治

    ○千賀委員 いま一つ伺つておきます。そうするとそれはまつたく空白のままであつたのですか、辞職しました市町村長が、次の市町村長のできるまで事務を担当していくというようなことでも考えておられたのか。その点は全然考えておられなかつたのか。そこはいかがですか。
  65. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 これは全然そういうようなことはいたしませんで、要するに法律の穴であつたのであります。
  66. 千賀康治

    ○千賀委員 わかりました。
  67. 坂東幸太郎

    坂東委員長 中島茂喜君の補欠として高橋禎一君が補欠されました。  それでは速記関係がありますので、今日はこの程度にて散会いたしまして、残余の日程は全部延期いたします。次は定例日、三日の午前十時半から開会いたします。  これをもつて散会いたします。     午後二時五十三分散会