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1948-05-25 第2回国会 衆議院 治安及び地方制度委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年五月二十五日(火曜日)     午後二時零分開議  出席委員    委員長 坂東幸太郎君    理事 小暮藤三郎君 理事 千賀 康治君    理事 松野 頼三君 理事 門司  亮君    理事 矢尾喜三郎君 理事 坂口 主税君       大内 一郎君    大澤嘉平治君       坂田 道太君    中島 守利君       松浦  榮君    笠原 貞造君       菊池 重作君    松澤 兼人君       松谷天光光君    小枝 一雄君       川橋豊治郎君  出席政府委員         総理廰事務官  鈴木 俊一君         國家地方警察本         部長官     斎藤  昇君  委員外出席者         議     員 齋藤  晃君         專門調査員   有松  昇君     ————————————— 五月二十二日  風俗営業取締法案内閣提出)(第六三号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提  出)(第四一号)  風俗営業取締法案内閣提出)(第六三号)     —————————————
  2. 坂東幸太郎

    坂東委員長 これより治安及び地方制度常任委員会を開会いたします。  本日の日程は、地方自治法の一部を改正する法律案並びに風俗営業取締法案であります。まず地方自治法の一部を改正する法律案を議題に供します。委員外齋藤晃君に発言を許します。
  3. 齋藤晃

    齋藤晃君 私は附則二條について質問いたしたいと思います。附則二條においては、戰時中における町村合併が、再びその境界変更ができる、こういうふうな問題と承知するのでありまするが、実はこうした問題は全國において非常に例が多いように資料で拜見いたしたのであります。この境界が再び変更されるという附則二條のつくられた根本の目的をお聽きしたいと考えます。そうして私どもは、この問題が全國において町村の運用というような非常に重大な問題として、今後その町村が存立し得るか否かというような問題にまで発展し、ただいたずらに紛争が起るのみという結果に終るのではないかと非常に憂うるのであります。
  4. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 附則二條立法趣旨いかんというお尋ねでございますが、これはただいま仰せになりましたように、一旦市町村合併なり、境界変更により、新しい一つ市町村なつた以上は、それを軽々に変更することは、ぜひとも避けなければならない問題だと思うのであります。今までの行政運営においても、一旦合併した市町村はよくよくのことでなければわかれることを認めないという方針参つたのでございますが、ただ戰時中における町村境界変更等においては、たとえば大都市の隣接の町村一つ軍需工場ができる。軍需工場がそこにできると、市と一体をなすような内容のものになつてしまう。そこでそういうような所は、やはり自治國体にして一体的に経営した方がいいというので、合併が行われたわけであります。ところがその後せつかく予定しておりました軍需工場が、戰災によつて焼けてしまつた、あるいは終戰によつてその工場まつたく機能を停止してしまつた、あるいはつくるべき予定の工場が遂に終戰その他のためにできなくなつてしまつた。依然としてそこは從來の純農村の形で残つているような場合においては、やはりそういう区域住民は純農村は純農村として経営をしていつた方がいい。どうも市の中にはいつていると、都市的な施策重点を置かれる結果、純農村地区の方はどうもうまくいかない、こういう不平不満相当にあるようであります。從來手続によると、市町村会において少くとも過半数議決がなければならぬのでございまするから、そこでそういう大きな市にはいつた小さな村などは、議員の数から申しまして、いつもいわゆる小数派であります。そこで市会の議決によつて前の形に戻すということは、とうていできないわけであります。しかしながらその編入されました区域住民の大多数のもの、半数以上のものがわかれることを希望しておる、こういうことでありますならば、それを強いてつけておくということは、これまた一方であまりにも一種のそういう権利を抑えることになりはしないだろうかという点を危惧いたしまして、要するに戰時中に行われました各種施策の切替というものが一般行政面で行われておるのと同じように、やはり一種の手直しというような意味でこれを考えなければいかぬのではないかというのが、この立法趣旨なのであります。ただ今御心配になりましたように、こういうようなことをやるために、いたずらに紛争を重ねるという結果になることは、これは極力避けなければなりません。事実こういう制度施行いたしますならば、多少の混乱動揺ということは避けがたいと思うのであります。そこでそういうことはできるだけ短い期間に限ろうということで、この法律施行の日から三年間に限る、こういうふうにいたしてあるのであります。大体そういうような理由で、この規定が設けられた次第であります。
  5. 齋藤晃

    齋藤晃君 実はこの問題については、私の居村であります福島縣搦村が実は七箇年にわたりまして紛争を続けておるのであります。私の村について考えますれば、この問題はもちろん合併当時においてはいろいろと理由もございましたけれども、その後合併されましてから、いわゆる村の施設あるいは経営というものが、そういう面において町の中において完全なる施設が行われていくという状態で、非常に事情が実は変つてきておるのであります。しかしながら一部町村分離したいという熱意がありますので、実は総選挙ごとにこれが政党の、あるいは政争の具に供されるというきらいがございまして、現在までまま選挙ごとにこれが再燃するという事実が非常にあつたのであります。かくのごとくに紛争を続けておりますので、私どもの村においては、住民はただただこの紛争のために奔命に疲れ切つて、何ら村自体発展ということを考慮しないという状態にまで現在至つておるのであります。しかし最近においては元の村民も非常に理解者も多く、ただ一部だけの紛争ということにもなつてきておりますが、このたびこのような法案によりまして、再び非常に問題となつて紛爭が村をあげて起るというようなきらいがあるのであります。私はこれを考えますのに、もちろん農村農村として独立しておるということも必要でありますが、しかしながらやはり町の利害というものとお互いに長短相容れていくところに、自治体というものは成り立つものである、こうも考えますのでもしかりにこの法案が通過いたしまして、また再びこの問題について村をあげて再燃するであらう、そうしたときにおいては、おそらくは農村経営も何も全部捨てて、そうしてこの紛争というものにもうしばらくの間は全力を注ぐというような、非常に当該農村自体発展から考えましても、ゆゆしき問題であると案は思うのであります。そこで私は町村の併合あるいは分離というような問題は、要するにその町村がはたして合理的に農民がそれによつて経営できるかどうか。そうして農民の幸福というものが完全になし得るかどうか、こういうところに重点があると思うのであります。しかしながら再びこの問題が起ることによりまして、現在の状態においては村自体が経済的には何らの資力がありませんので、とうてい村が成立いたさないのであります。おそらくは農民は疲れ切つており、村自体は何らそれに対して成立のできないような経済の事情にある、こういうふうな惨澹たる姿になるのでありまして、またこれが選挙投票によりますれば、以前において行われましたように、まま一部の政争の具になる。こういうことも非常に考慮される問題なのでございまして、私はこの附則二條決定せられるに至りましても、その後において町村というものが軍なる境界によつてのみ成立するのではない。いわゆる町村経営ということによつて、初めて町村分合趣旨が成り立つものである、こういうふうな原則から考えましても、この法案成立ということについては実は十分の考慮を願いたいと考えるのであります。なお私は専門委員からも先ほどお聽きしてみましたが、町村におけるこのような紛争が今後ともに絶えないであろう、こういうことを考えまして、あるいは自治的なこれに対する審議会というような形式によつてでも、こういうような細かい町村紛争というものが、町村自体にだけ任せられて、長年の間何ら解決を見ないということは、將來非常に自治体発展の上において、重大な問題ではないかと実は考えまして、これについて答弁を願いたいと思います。
  6. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 重ねてのお尋ねでございますが、御心配になりました点はまことにごもつともだと思うのであります。ただ今の福島縣小名浜町の例を考えてみますと、あそこでは結局玉川村の住民から——選挙人総数の三分の一以上の者から、選挙管理委員会に請願をしてまいりまして、はたして定数通り三分の一以上の選挙人の署名がありましたならば、それを選挙管理委員会が受理して、その旧玉川村の区域一般投票に付するわけであります。そうして旧玉川村の区域投票が、分離を可とするものが過半数あつたという場合には、そこで一應旧玉川村意思というものは分離賛成というふうに見られることになるわけであります。そこでそれだけで事がきまりますと、今御心配のような点がありますので、さらに福島縣会議決を経て、最終的に今の小名浜町の境界変更をする、旧玉川村をつくるという手続をとることになるわけであります。從いまして旧玉川村の区域だけの決定で事がきまるのではないのでありまして、もちろん玉川村民が一体どういうふうに考えておるかということが最大のこの行為決定の要素になるとは思うのでありますが、同時にそれをいま一段高い立場から、すなわち直接の利害当事者でない高い立場から、縣の最高機関である縣議会が、慎重に審議をしてその議決をもつてこれを可とするということになつて、初めて玉川村分村というものが成り立ち得るのであります。なお手続としては総理大臣の方にそういうものが必ず届けられ、それから施行ということになるのであります。そういうかつこうになつておるのでありまして、多少の混乱動揺はもちろん免れないと存じますが、事柄は客観的に、公正にきまり得るような手続に相なつておるのであります。
  7. 齋藤晃

    齋藤晃君 ただいまの御説明によりますれば、もし町村においてこの第二條の問題が起りました場合に、都道縣会がこれを議決をする。これによつて第三者として冷静にこれが施行されるのではないか、こういうふうなことの説明と承知するのでありますが、そういたしますと、都道縣会がこれに対して否決をしたという場合には、当然分合というものは決定されないということになると思うのでありますが、そうした場合に一般投票が最初において行われた場合におきましては、再びかくのごときことが行われると、もし町村が長くこの紛争を続けて、二箇年の間紛争を続けた場合に、さらにまたこうしたことを投票によつて決する、こういうことはないと考えまするが、これについてその後の紛争をいかにするかということをお聽きしたいと思うのであります。
  8. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今の例で申しますと、玉川村の旧村民投票において過半数を得た場合におきまして、福島縣議会否決をすることができるかどうかという点でありますが、これはもちろん福島縣会としては諸般事情を考慮して決定いたすべきことで、その議決はいかようになつても一向差支えないわけであります。しかし村民の大多数の者が分離を希望するということでありますならば、やはりその点が相当愼重に考えられることになるであろうと思うのであります。そうして福島縣会で可決なり否決なりいたしますならば、あとの手続総理大臣に届け出られてまいりまするが、これはまつたく形式的な手続だけでありまして、実質的な決定福島縣会決定ということで終了することになるのであります。
  9. 齋藤晃

    齋藤晃君 そういたしますと、都道縣会においては、総意であるというので、もし否決する場合には穏当でないというような結果になるでしようか。
  10. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これは抽象的に申し上げますと、やはり当該村民の希望を深く考えられるであろうと思うのでありますが、個々の具体的の例といたしましては、その村のいろいろな歴史、沿革あるいは村の規模その他の諸般事情をいろいろな方面から檢討して、縣会が自主的に決定をせらるべき問題でありまして、どうした方がいいというようなことは一概には申しかねると思うのであります。ただ一般論といたしまして、住民の八、九割の者が分離を希望するというような事案がもしありましたならば、その事実はやはり縣会では相当に重く見られるだろう、こういうことを申し上げた次第であります。
  11. 齋藤晃

    齋藤晃君 それではこの條文についてなおお尋ねいたしたいと考えますが、三分の一の連署によつて選挙管理委員会選挙を行うということになるのでありますが、この選挙人名簿によつて登録されておる者の三分一、これに記載されております三分の一の中において、もしも当然に権利をもつべき引揚者、あるいは復員者なり、こういうような者がまだ名簿には登録されていない。あるいはまたこの三分の一の中において、名簿に登録されていないというような者も中に包含されておるというふうな、非常に複雑な事情もあると思いますが、この場合においていかにするかということをお聽きしたいと思います。  それからなおこの選挙が起りますれば、選挙のいわゆる告示は何日前にいたしますか、選挙順序はいかなる順序にいたしますか。お聽きしたいと思います。  それから町村変更が行われました場合に、財産処分の件でありますが、財産処分の件につきまして、「現に存する市町村は、これが現に存する限度において、」と記載されておりますが、この現に存する限度ということは、いかなる限度を申しますか。たとえて申しますと、さきに合併せられましたために、その前の町村財産部落有処分せられたところがあり、あるいは個人有として処分せられたところもある。こういうような問題について簡單に御答弁願いたいと思います。
  12. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 名簿脱漏者、実質的な選挙権を持つておる者で、しかも名簿に載つておらない者がある場合に、そういう者はどういうふうになるかというお尋ねでありますが、そういうものは救いたいのではありますけれども、一應選挙人名簿に登録せられております者が、すべて各種資格條件決定いたします場合の基礎になつておりまして、從つてこの場合にその他のいろいろな直接選挙と同じように、選挙人名簿に登録されておる者をもつて基準といたしまして、その総数の三分の一というふうにいたしておるのであります。從つて選挙の場合におきましては、実質的には権利をもつておる者がございましても、もしその者が名簿に登録せられていないということでありますれば、それはこの投票には参加できないわけであります。但しそういうような選挙でありますとか、投票が行われます場合におきましては、これは選挙人名簿につきましては、脱漏者等がございますならば、これを補充的に登載する処置が現在できておりますから、その手続從つて登録をいたしまして、選挙人脱漏ができるだけないようにする扱いになつておるわけけであります。  それから財産処分の点でありますが、これは旧玉川村の例を申し上げますならば、玉川村の村有財産財産処分によつて個人有になつてしまつたようなものがありますならば、これは別問題でありますが、小名浜有財産、もしくは今お話になりましたような、玉川村が一つ財産区ということになつておりまして、部落有財産になつておりますれば、それらの財産がさしあたりここで問題になる財産だと思うのであります。部落有財産は当然玉川村のものに切替えられるのでございましようが、小名浜有財産で、現金その他のものは何とも区別のいたしようがないわけでありますが、有形的な財産営造物等でありまして、旧玉川村が持つておりましたようなものがありました場合には、それを從前属しておつた玉川村に返還するのがその方針であります。しかしながら法律はそういうふうに抽象的に規定いたしておるだけでありますから、小名浜町会において、これを具体的に現に存する限度が何であるかということを、自主的にきめられればいいことになるわけであります。
  13. 齋藤晃

    齋藤晃君 なお最後に選挙順序はいかなる順序によるのでございましようか。選挙告示あるいは期日というようなことにつきまして、この投票の行われます選挙期日はどういうことになりますか、伺いたいと思います。
  14. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この選挙は今申しましたように、三分の一以上の選挙人から選挙管理委員会請求をいたしてまいりますと、その請求を受理した日から三十日以内に投票をやる、こういうことになるのであります。そして投票告示一般規定に從いまして、大体二十日前に告示をするということになるわけであります。告示せられましてから二十日くらいで大体投票が行われるということになるわけであります。
  15. 齋藤晃

    齋藤晃君 わかりました。
  16. 坂東幸太郎

    坂東委員長 他に御質疑がございませんか、——坂田君。
  17. 坂田道太

    坂田委員 第百七十六條のいわゆる普通公共團体のものに拒否権を與えるという点についてお伺いをいたします。議会の横暴に対しまして、執行機関が反省の機会を與えるという意味におきましても、またアメリカ等立法例におきましても、十分な理論的な根拠を私了承するものでありますが、現在の日本の状態におきまして、まだ議会の力が十分伸張しない段階におきまして、執行機関にかようなる権限を與えるという積極的な必要性がどこにあるかということが第一点であります。またそれにつきまして拒否権を與えなければならない、また拒否権を必要とする実例がどこかにあるか。その点をお伺いしておきたいのであります。
  18. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 議会の現在の情勢において長に拒否権を與えることは長偏重の結果になりわしないかというような点をおそれての御質問と存じますが、從來地方議会執行機関との構成と異つてまいりまして、新しい地方自治法における執行機関の長も住民の直接選挙にする、議会議員も直接選挙にする、こういう両方それぞれ直接に人民に連つているという形におきまして、やはりその両者の地位というものは、それぞれの範囲権限というものの中におきましては、やはり最終的な権威をもつものであろうと思うのであります。そこでこういうアメリカ式一般議会執行機関との構成をとつております制度の下におきましては、大体こういうような拒否権が行われておるのが一般の例のようでございますが、地方自治法におきましても、違法でありますとか、あるいは予算收支について執行できないといつたような場合、あるいは権限を越えて議決をしたというような場合におきましては、現在すでに一種拒否権制度が行われているわけであります。そのいき方と同じでありまして、ただ一般化いたしたというのが今度の制度であります。從來制度はそのまま特別のいき方として残しておきまして、そういう一般的な特別の拒否権制度が適用にならないものにつきましてのみ、今回の一般的拒否権制が適用されることになるのであります。やはり執行機関というものの立場から申しますと、具体的の例があるかどうかというお尋ねでありますが、適切にこういう例があるということを今ここで申し上げる用意をいたしておりませんが、やはり執行機関といたしましては、議会が正当の権限により議決せられたものではあるけれども、しかしいま一度この問題は議会として反省願いたいという意味において拒否するのであります。またそういたしませんと、議会がすべて決定をして來ました場合に、それを執行機関は常に受入れるのが当然ではありまするけれども執行機関としての意思も、やはり一面これを議会側に反映する、意見書提出とか、あるいは議会出席をして説明をするというようなこともございまするが、どうしてもこの執行機関としては、いま一度愼重に再檢討願いたいというようなものがありまする場合には、そういう権限を與えてもいいのではないかというふうに考えるのであります。一面議会に対しましては、今回は議決事項範囲等の拡張をいたしましたし、そういうような議会権限拡充ということと相対應いたしまして、こういうような制度を考えた次第であります。
  19. 坂田道太

    坂田委員 地方制度というものは、やはり地方の現実の実態に相應じてやらなければならないと思うのであります。この拒否権を與えるという実際の必要がないにもかかわらず、なおかつ改正をせんとする根拠がどうも納得いかないのであります。こういうような拒否権をしばしば乱用することによりまして、せつかく議会というものが伸張しかけたのに、この議会を無視する事態が起りはしないか、あるいはまたこういう議会の伸長を萎縮さしてしまいはせぬかということをおそれるものであります。また普通團体の長に反対する議員が三分の二を超ゆるという事態は、実はまれであると考えるのでありまして、超えない場合におきましては、この拒否権というものは非常に力が強いものになる、絶対的なものになるというふうに考えざるを得ないのでありますが、この点につきまして、自治課長の御意見を承りたいと思います。
  20. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 現在の地方知事縣議会との関係が、実際どつちが力が強い状態になつているかということは、これはそれぞれ見方によりまして違うと思うのであります。しかしながら議会といたしましては、一切の條例をつくり得る建前になつておりまして、議会が提案をいたし、議決いたしました條例に対しては、知事として有効な、これを阻止する何らの手段がないということになりますと、やはりこれは執行機関立場からいたしますと、非常に困るのではないか。そこでやはり万能の立法権がありまするならば、これに対應いたして執行機関の側には、それを一應阻止する程度の権限は與えてもいいのではないか。しかしやはり議会が最終的な決定権をもつて、さらに三分の二でこれを乘り越していくならば可決できる、こういう制度は決してこの議会地位を萎縮させたり、あるいはその機能を必要以上に抑えるという結果にはならないのではないかというふうに考えておる次第であります。
  21. 坂田道太

    坂田委員 それからほかの問題でありますが、この拒否権というものは、私よくわかりませんのですが、予算なら予算案全部について行われるものでありますか、それともその一部分について行われるものでありますか。
  22. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これはやはり予算全部に対して行われることになつております。
  23. 千賀康治

    千賀委員 この前にも質問をいたしたのでありますが、市町村がこの法案では法人だということをはつきり明示をいたしております。もしも法人だということになると、株式会社その他と対等の位置になるはずでありますが、現在株式会社市町村区域にいろいろ既得権的営業をもつておりましても、市町村がこれを集中排除法によりまして、おれの方でその部分だけは経営をするのだ、お前の方はガスなり電氣なりを卸賣をすればいいのだから、小賣はおれの方でやるんだということになると、容易にその区域市町村に巻上げられるのでございますが、逆に今度は市町村相当な計画と投資をいたしまして、水道、電氣その他ここにいろいろな事業をやつてもいいということになつておりますが、事業をやりまして、この事業の中で営業的効果のあるようなものを狙つて市町村の中の組であるとか、字、総代管区、そういうようなものであるとか、また市町村の中の法人であるとかいうものが、それだけはおれの方が経営をするのだというようなことを言い出して、集中排除法によつて権利を主張して來たときに、市町村ははたしてこれに抵抗し得るかどうか、抵抗し得ないとすると、大体一つの有機体として、いろいろ他の公益事業が計画されましても、非常に後は運営の上に混乱を起すことになる。同時にこれに投資をしているものは市町村民であります。それらの幸福にも経済上の関係にも相当深刻な被害を與えることになるかもしれないのであります。そういう場合に、法文の上ではつきりとこれに明快な解釈を與える方法があるかどうかということを聽きました場合、この前はお答えができなかつたのであります。また改めてこの点について、いずれ御研究になつたと思いますから、あなた方の解釈を承りたいのであります。
  24. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 独占禁止法と市町村の活動との関係でありまするが、独占禁止法は第二十一條に「この法律規定は、鉄道事業電氣事業、瓦斯事業その他その性質上当然に独占となる事業を営む者の行う生産、販賣又は供給に関する行為であつてその事業に固有のものについては、これを適用しない。」こういうように規定が設けられておりまして、從つていわゆる公営事業と申しますか、現在都市が経営をいたしておりますようなガスとか水道といつたような式の独占的な傾向をもつているものについては独占禁止法が適用にならない。その範囲ではない、こういうようにうたつておるのであります。從つて地方公共團体が改正地方自治法修正案の第二條の第三号の、上水道その他の給水事業、下水道、電氣事業、こういうものを経営いたします場合には、今の独占禁止法の適用は受けないということになると思うのであります。結局市町村が独占禁止法の適用を受けますような、いわゆる不正手段による競爭をやります場合には、これは働いてまいりますけれども、單に乘合自動車の事業経営するというだけでは、独占禁止法は適用されない。ただ、その際にいわゆる不正競爭と目されるような行為を市町村が行う場合に、初めて独禁法の適用を見るという関係になると思うのであります。
  25. 千賀康治

    千賀委員 そういう今の御解釈でありますと、現在電氣のごときは市町村の方にその区域だけの営業権を召し上げられておる例はたくさんあるんですが、そうなるとこの解釈がつかないようになるんです。これは独占禁止法の発動によつてつておるのではなくして、話合いによつてつておるのだということになればそうでもないんですが、私は今までは独占禁止法によつてこれは抵抗ができないから、そういう問題が起つたら市町村はいつでも電気会社から営業権を取上げられるんだということを考えておりましたが、この点の御見解はいかがですか。これは例はずいぶんだくさん全國にあります。  それから市町村が非常に財源に困りまして、將來われわれがここで想像できないようなものまで、租税に代る利益を目標としていろいろなものを経営するだろうと思います。実際の例を申しましても、戰災都市が競馬をやりたがつたり、犬の競争をやりたがつたりするというような現在であります。財政困難はあえて戰災都市ばかりではなく、おしなべて皆財政困難になつておりますから、將來はそういう市町村が奇想天外に出ずるような計画をしてくることが輻輳するだろうと予想されます。ただいまは特に明示して、水道、ガスのごときは安全だということを言われますけれども、その條項に該当しない事業が起つてくると思います。塵芥処理のごときもここにあるんですが、これも都市、東京のごときでは、塵芥のごときは確かに廃物であり、またやつかいものであるに違いないんですが、僻遠の市町村に行きますと、これが重要な堆積肥料の給源であつたり、またその中にはいつております棒は、これを回收して繊維資源に再製するというような仕事もありまして、やつかいものを金をかけて処理をするんだという思想から離れて、相当にこれは利益のために行われていいんだというようなことがもくろまれ、事実またそういうこともやられつつあります。殊にわれわれ都会の人が想像のできないような不潔な、不浄なものにしているえなのごとき、産褥のよごれ物のごときも、やはり田舎にいけば相当にこれを活用しつつあるのでございます。さようなわけで、將來日本人の生活が窮乏すればするほど、いろいろのものが利用更生をはかられて、價値ができてくるということになると、市町村の計画します事業もまた予想の上を越してくる。さようになつてきますとやはり独占禁止法がいつも適用されない、大丈夫だということは言えない状態が、法と照り合わして必ずあるのだと考えておりますが、そういうときでも市町村の仕事は保護を受けるか。ただ、今予想されるものはその條項に該当しないから大丈夫だというだけか。その点はいかがでしようか。
  26. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 市町村電氣事業等を経営いたします場合に、その市町村区域内のその他の会社がやつておりますようなものを、取上げることができるかできないかというような意味を含めての最初の御質問に承りましたが、これはやはり現在は地方團体といえどもそういうことはやることはできない。法律によつて一定の会社が独占的に経営をいたしておるわけでありまして、そういう事態に対しては、独占禁止法は法律による特例でございますから、もちろん適用にならぬと思うのであります。將來そういう法律によりまする電氣事業の独占という形体が解放されますならば、市町村もむろん経営し得るようになるのじやないか。これについては府縣営とか特別の公共会社とか、いろいろあるようでございますが、とにかく今の公的独占形体の解放をなし得るならば、市町村もこういうものができますように、少くとも市町村がこういうことをやることを禁止しないように、立法措置を請じていただくことが、地方自治の上から一番望ましいことだと思います。かりにそういうような、市町村電氣事業経営するのを禁止しない、放任するという法律ができましても、そのときにもしも他の会社等で電氣事業経営いたしておりますれば、市町村経営権をとるためには、やはりそこに正当な買收行為と申しますか、そういう私法上の経済手段を用いなければ、これを強制的に取上げるということはできないと思うのであります。これは法律根拠なくしてはそういうことは不可能だと思うのであります。從つてやはりこれは私経済上の正当な手続によつて、これを買收するという方法を用いるより仕方がないと考えられるのであります。  それから競馬あるいは競犬事業あるいは塵芥処理の事業、あるいは屎尿処理の事業というようなことを市町村経営するについて、独占禁止法との関係はどうかというような趣旨お尋ねでございますが、これらもそれぞれ競馬法等特別の法律がありまして規定がございますから、その規定にはやはり從わなければならないと思うのでありますが、市町村にそういう競馬事業を行うことを現在は許しておらないように記憶いたしております。これを許すように法律の改正をいたしますならば、市町村としてはもちろんこの競馬事業をやれる。公正なる一定の法律の許す方法でありますならば、何らこれは問題ございませんし、独占禁止法もその限度においては当然に適用がないと思うのであります。屎尿処理のごとき問題は、大体大都市ではみずから施設を設けて処理をいたしておると思います。これは何ら法律上の制限が現在ないと思いますので、市が一定の会社とか業者と契約して、屎尿処理事業を行わしめておるというのが実状と思いますが、そういう限度において、すなわち公正なる私経済上の取引手段によつて市町村が活動いたしておる限りは、何ら独禁法の適用はないと存ずるのであります。
  27. 千賀康治

    千賀委員 そうではないのです。屎尿処理とか、その他汚物処理は、東京の者などが考えると、ただこれは純粋な公益事業であつて相当な費用をこれに投じても、多数の方が生活がきれいになつて、幸福を得られるというだけのものですが、田舎に行きますと、なかなかこれはそうではないのです。むしろこれは営利事業として成立ち得るのです。そこで独占禁止法などでこういうものは指定しているものではないのですが、たとえば一つ市町村がそれじや屎尿とりは全部市町村でやろうじやないか、そこで汲取りに要する費用とか、あるいはその屎尿をどこかに溜める大きな屎尿溜とか、さまざまなものを相当の犠牲を拂つてつくつたといたしましても、おれの方の一つの字や部落でこれを経営した方が利益だというようなことをまた考える團体があつた場合、独占禁止法によつてこれは市町村ががんばるわけにいかぬ、おれの方がやるのだというようなことになりますると、市町村がそこで投じた費用のごときは、うまく買つてくれればいいのですが、買つてくれずに、おれの方はおれの方で別の考えで、別の思想によつてこれの有用な活用をやるのだということになると、今までの施設はただ形式的なものになつて、再びこれを復活することができない。そういうことを考えたら、市当局並びに市町村会議員のやりましたことは、ただ市民のために一つの負担をかけたというだけの結果になつて、一向幸福にならなかつたというようなことができ得ないとも限らないのであります。事実私どもの方は愛知縣の市でありますが、そこでもなかなか汚物塵芥などがただじやまもの扱いにはされないのです。周辺の農村から有用な肥料の給源として、それを権利として獲得することが競争されるような実情でありますから、私の言いましたようなことは、全國の僻遠の都市及びその周辺の土地に行くと到るところに起るだろうと思います。こういうようなときに、市町村はそうした企てを当局並びに決議機関等が考えた通りに、これを断固としていつまでもその方針通りに守り得られるか、または最高裁判所などに民事訴訟を提起せられて、そういうような考えは打破られてしまうのか、その点の見透しとか解釈とかいうものを、はつきりこの法律をきめる前にわれわれは究めておきたいと思うのであります。
  28. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 塵芥処理、屎尿処理、その他いわゆる汚物処理につきましては、たしか汚物掃除法という法律がございまして、市は汚物掃除の義務を負うことになつております。人によつていろいろ見解は違いましようけれども、汚物掃除は地方團体市町村のいわゆる固有事務であるというふうに私たちは認めておる。そうして市町村としては、汚物処理を法律によつて強制せられている事務であるというふうに解釈いたしておるのでございます。從いまして市といたしましては、汚物掃除はどうしてもいたさなければならないのであります。ただその仕方をどうするかということは條例等によりまして、市なり、市議会がこれをきめてやつていくということになるわけであります。從つてこれは汚物掃除に関する限度におきましては、市はやはり一種の特別な地位法律によつて與えられておりまするから、從つて一般のいわゆる請負で汚物の掃除をいたしております者も、やはり市と契約をいたして、市との請負契約によつて汚物掃除をしておるというのが実情でありまするし、それがまた法律上正当な方法だろうと思うのであります。市が何ら手を加えずして、任意に特定の農家、あるいは特定の個人との契約によつて、汚物掃除と言いますか、自分の家の屎尿を汲んでもらうということは事実行われておると思いますが、それは要するに市の手の届かないところにおいて、そういうものが例外的に行われておるということであると思うのであります。
  29. 千賀康治

    千賀委員 田舎の事情があまりよくおわかりにならぬから、どうも大都市の東京のようなところの結果だけを頭の中に入れて御説明になるので、私どもにははつきりしません。しかし大体汚物掃除は義務だということは私もわかるのです。しかしだれも汚物なんかを希望しない間は、義務だからこれを掃除するのに金をかけてやるが、現在の田舎では、むしろこれを掃除さしてもらう人が権利と心得てどんどんとりに行つてくれる。私の郷里の岡崎市のごときは、市がいろいろ施設をしたものは皆開店休業のまま眠つてつて、ほんとうの汚物掃除ができ、あるいは屎尿の処理が行われていく現況は、周辺の農村民がどんどんとりに來てくれて、これで済んでおる景況であります。そればかりではない、その取りに來る人たちが、おれの区域だというわけで、けんかができたり、相当な集團的な闘爭になつたりするくらいな賣れつ子に今はなつておるのでありますが、これもときによつて、そうした人たちの來ないときもあるのだろうと思います。そういうときに一ぺんにまた顧み手がないというような場合には、非常に市も迷惑する、民衆も迷惑するということでございますけれども、今のような景況で進むと、むしろ市が何を考えても、考え通りに行かずに、とりに來る人たちの方がその権力をもつて——権力と申しますか、市の方に対しては独占禁止法の言いがかりをして、おれたちがどんどんやるんだということになつてつて、系統も何もむちやくちやになつてしまう。永久にそれならばいいが、結局はそのために非常に市民が深刻な損害を受けるときがあるのじやないかと思うのであります。しかしこれは答弁を要しません。  それからこの前も申しましたが用語であります。強いてむづかしい字をかなで書くということをしなくても、わかりやすい字があるんじやないかと思うのです。たとえばドツクという字が使つてあります。これは日本語は船渠という字で今まで表現されておると思うのですが、これはなぜドツクと言うのですか。これは造船所に類したものの施設のことだろうと思うのですが、ドツクとなぜ言わなければならないか、船渠と言つたら表現ができないか、それから「じんかい」なども、日本語で言えば、ちりとあくたということになるだろうと思う。どうせ不満足であるならば、ちりとあくたとかえたら一体どうでしよう。そうしたらだれも指をさすことのできない日本語が並んでおるので、かなで書いてもこれならばわからないと言う人もないのですが、「じんかい」とかなで書いたならば、どんなようにでもこれは解釈ができます。処理場があるから「じんかい」と言つても今はわかるかもしれませんが、「じんかい」とかなで書いた字を学校の入学試験にでも出したら、どんな解釈をつけるかわからないくらい日本語の種類は多いだろうと思う。これはどうもむしろとらないと思います。それからどこかに「じゆん化」ということがあつたのですが、これなども強いてここでつけなくても、多少は意味は違つても美化とかいうことを言つてもわかるのですが、二千何百字の制限された漢字の中でも、探せば美化よりももう少し近い字があるかも知れませんが、漢字で書きたければ、そういうふうにしてもよいのじやないか。近ごろはまた何々の香りとか、うるおいとかいう字がよくはやるのですが、そんな字ならば、かな字を入れておいても、うるおいを増すとかうるおいをつけるというような字でいつても、もう少し明瞭にわかると思うのです。法律と言えばこれは時代の教範、昔の兵隊で言つたら典範令でしようが、そういうような、時代のすべて民衆の頼るべきものを規制するこの書類に、こういうあいまいなことをなぜ書かなければならないか、私の言うようにしたのではどういう不便があるか、これの御見解を伺います。
  30. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 第二條の用語につきまして御見解を拜聽いたしたのでありますが、最初に御指摘になりましたドックという言葉でありますが、これはお話のように船渠という言葉も日本語として言い換えればむろんむずかしく言い換え得るわけでありますが、今日の状態では、殊に港の関係等のものはドックの方がむしろあたりまえの言葉で、それに習熟しているのではないだろうか。ちようどマッチというのと同じような意味で、ドックというのは同じような一つの新しい日本語として一般化しておる、こういうふうに考えられましたので、かえつてそういう言葉を使つた方がよかろう、殊に船渠の渠の字は、たしか政府がきめました當用漢字の中にはいつておらないように記憶いたしておるのであります。そういうこともありまして、ドックという字を用いたのであります。かたかなで書きましたのは、外來語はかたかなで書くというやはりこれも新しい決定に基きまして規定をいたしておる次第であります。  それから「じんかい」という言葉でありますが、これは先ほどもちよつと申し上げましたように、汚物掃除法という法律におきまして、塵芥処理場というのは一つ法律語として規定をいたしておりまするし、また塵芥処理場というのは一般市民としては、あれが塵芥処理場の煙突だということで、これもまた一般、用語になつておると思うのであります。かえつて別な新しい言葉を用いますよりも、そういう習慣による、かつまた法律が容認をいたしております言葉を使つた方がよいと考えまして、いかにも半分漢字で半分ひらかなでおかしい感じでありますが、これも新しい用字例に從いまして、「じんかい処理、」こういたした次第であります。それから「じゆん化」という言葉でありますが、これも申し上げましたように、この醇という字がやはり常用漢字の中にはいつておりませんので、「じゆん化」といたしたのでありますが、醇風美俗と申しますか、これは風俗について美化というだけでは、今ちよつとお話にも出ましたうるおいが出ませんので、やはり「じゆん化」という言葉の方がそこに風俗について適切なる内容を現わす、こう考えましたので、あえて「じゆん化」という言葉を用いた次第であります。
  31. 千賀康治

    千賀委員 ドックの方は、こういうときで、われわれ英語民族に征服されておりますから、そういう字を多く使うということなら、それもいいかも知れませんが、片一方の漢字をかなにかえたことは、そういう説明だといくらでもかなで書かなければならない。どうしても昔の漢字によらなければならないことになると、その漢字は使えないことになれば、今はあなた方の氣持ではそれでわかるだろうと思いますが、後人にはわからない。これは混乱を起してしまう。「じんかい」とは一体何かというので、辞典を引いたら初めてこれになる、こういう國民に煩雜なことを與えていく罪を、われわれがここでつくることはよくないと思います。何としてもこれは與えられた漢字だけで表現をするか、またどうしたつて表現をする義務があるのでしよう、でなければはつきりとこれだけの漢字では必要な表現ができないのだから、これこれの字を殖やさなければならないということを議会に要求するか、どちらかしなければ、私はこんなことばかり重なつていつたならは漢字が二千いくらになつた國民の幸福よりも、難解なかなばかり並べられてそのために神経を使う不幸の方が、はるかに分量が多くなつて、われわれの手で國民を言葉の混乱に追い込み、言葉の不幸を招來させることになると思います。わずかな数であつても、それぞれ当面した人は考えていかなければならぬ。私はこれは非常に重大なことだと考えております。今当局の考えと私の考えと違うことはやむを得ません。私は以上の意思表示をいたしておきます。
  32. 松澤兼人

    ○松澤(兼)委員 ちよつと簡單に二、三点伺いたいと思います。先日も松野君から質問がありまして、大体御了解を得たのでありますが、この第二條第二項の次に、地方公共團体の事務の例示をつけるわけでありますが、これはあくまでも例示であつて市町村が当然なさなければならない事務がこのほかにあれば、いくらでもこれに附け加えていつて差支えはない。但し禁止せられているものは別でありますが、そうでないものはいくら附け加えても構わないというふうに了解しておるのでありますが、これはその通りでよろしゆうございますか、一應お聽きしたいのであります。たとえば私ちよつと考えましたところでも、四のドック、防波堤というようなことは、当然市町村の事務として現在やつておりますし、はいらなければならない仕事であると思います。六に病院、隔離病舎、療養所とありますが、あるいは保健所、診療所というようなものがこの中にある。あるいは市町村が葬祭を公営する、つまり葬式を市町村がやるようなことも、市町村の事務として適切である、こういうふうに考えますし、また七に騒音防止ということがありますが、あるいは煤煙防止というようなことが当然考えられると思いますし、また食糧の問題などにおいても、一應國家が管理しておるわけでありますが、市町村が配給の計画を立てたり、あるいはそれを規正したりするというような事務も、当然考えられるというようなことを拾い上げてみますと、さらに十六項に家畜等の檢査ということがありますが、あるいはこれに家畜の疾病を防止する防疫というようなことも必要であるというふうに考えるのであります。この点をもう一度明確にしていただきたいことと、それから第三号の「企業の経営」ということと、第十号の「收益事業」ということとは特にその間に——たとえば第三号は收益を伴わない企業というようなことを意味しているのか、あるいは收益はあげても構わない、結局收益事業であつても構わない。わざわざ別に区別する必要はなく、片方はいわばこれまで普通考えておりました公企業というようなものであつて第十号の方はそれよりもさらに積極的な、経済的な内容を意味するものであるというふうに言葉の意味を区別してここで規定してあるのか、先ほど申しましたように、大体同じようなことであるというふうにお考えになつているのかということ、それが第二点であります。  第三点は第十一号に「公有水面埋立事業」ということがあります。これは市町村施行することになつておりますが、たとえば私人の埋立を許可するとかいうようなことは、第十一号に該当するのであるか、市が直接やる以外には、私人の埋立を許可するとか、あるいはその権利の調整というようなことは行えないものであるかということであります。  それからもう一点はこの中で法律あるいは政令などによつて市町村に委任せられている事務は、市町村條例をつくつたり、その事務を行ういわば法律上の権限というものがあるわけであります。たとえば第七号の美化とか騒音防止とか、あるいは先ほど申しました、私はそこに入れる必要があると考えております煤煙防止とかいうようなことには、私今までのところいわゆる法律上の権限というものがどうもないのではないかというふうに考えられるのであります。そこで美化という問題を取上げてみまして、美化ということを市町村條例できめたならば、その市町村條例に反しました、たとえば公共建物に廣告ビラをはるというようなことを市町村條例で取締り、いわばそれに対して罰金なり、あるいはまたは科料なりをとる場合、はたして法律根拠のある取締りと、法律根拠のない條例だけの場合と、その結果において同一の結果が得られるかどうかということを、多少疑問に思うのであります。清掃であるとか消毒であるとかいうようなことは、それぞれやはり、法律があり、それに基いて條例をつくり、その條例に違反した場合には、あるいは警察力等を動員してもこれを市町村の事務としてやることができる。そうでなく美化とか騒音防止とかいつたようなことは、法律上の権限がなく、ただ條例だけということになると、取締りが非常に滑らかにいかないのではないか。いつも私どもは数寄屋橋を通りますときに、あの橋にでかでかとポスターがはられて、ときによると銀座寄りの橋詰から、こちらでは日比谷寄りの橋まで、欄干一ぱいにポスターやビラなどをはられておることがあるのであります。都市の美化というようなことは、こういう点を中心にして考えていかなければならないと思うのでありますが、あるいは軽犯罪法とか何とかというようなことで取締られるかもしれませんが、ここに少くとも都市の美化ということをうたつてある以上は、都民の生活または市民の生活というものを美しくしていく大きな力というものを求めたい。こう考えるのでありますが、この点につきまして御見解はどうでありましようか。
  33. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 第二條の新しく加えました項の二十一項目にわたります各種事業等の性格と申しますか、規定の性質は何であるかというお尋ねでありますが、これはその書き出しにございますように、あくまでも例示でありまして、おおむね次の通りであるというふうに断わつてありまする通りその主要なるものと認められますものを一應提示したにすぎないのでございまして、その他いわゆる公共事務あるいはいわゆる行政事務ということを前回の國会で御改正になりましたが、その公共事務、行政事務に属するもの、それからいわゆる委任事務に属するもの、この三種類の地方團体が行います事務は、一切都道府縣市町村がやれるというわけでありまして、その公共事務行政事務、委任事務のそれぞれについての一應の例示をここに示したにすぎないのであります。從つてその区域内の地方公共に関する事務、あるいはその他のいわゆる行政に属する事務でありますならば、これは一切やれる。こういうことが現在の建前でございまして、その建前を何ら変更するものではないのであります。なおこの場合御指摘になりました保健所というようなものも書いてない、診療所も書いてないという話でございますが、それらはやはり六号の中には直接書いてはございませんけれども、もちろんやり得ることは当然であります。それから葬祭でありますとか、煤煙防止というようなこと——葬祭などということは、やはり第七号の「風俗のじゆん化」に関する事項として、市町村が何らかやるということは、一應そこにはいると思いますが、かりにその中にはいりませんでも、もちろん地方公共の問題として取上げることができると思うのであります。  それから十六号に関連いたしまして、防疫の問題を御提示になりましたが、これらももちろんやれる問題であろうと考えるのであります。なおこの第三号の「企業を経営する」という言葉と、第十号の「適当と認められる收益事業を行う」ということ、この二つの事務は同じことを意味しているのか、それともその間に区別があるのか、殊に十号の方は積極的な経済的内容をもつたものというつもりで書いているかという趣旨お尋ねでございますが、これは後者の御見解に與するのでございまして、第三号の方は企業として大体独占的性質をもつております。從來公益業と普通言つておりますものをここに掲示いたしたおるのでありまして、電氣事業にしても、水道事業にしても、その事業の特別会計を維持するのみならず、それからある程度の收益をあげることを狙いとして使用料等の基礎を定めており、すなわち收益主義を加味しておりますけれども、性質上一種の自然的独占と申しますか、そういう性格をもつた事業でありまして、純粋の経済企業、経済事業、收益事業というものとは異つた意味の企業をここに並べておるつもりであります。それから十号の方は、眞に財産として、あるいは收益事業として純粋の意味でこういうものを経営する、すなわち收益をあげることを直接的な狙いにしておるというわけであります。ここには收益事業とは申しましても、比較的公共性をもつた市場とか、漁場ということを例示しておりますが、このほかに公共の福祉を増進するために適当と認められる收益事業でありますならば、たとえば現に富くじの発行をいたしておりますが、ああいうようなこともここに含めて言い得るのではないかというふうに考えられるのであります。しからば公共の福祉を増進するために、これが適当と認められるかということは、そのときどきの見解、社会的な通念に從うべきであると思いますが、市なり市の議会なりが見るところに從つて事業経営するとか、経営せられないとかが、その市としては終局的に決定せられることになると思います。しかし何でも收益事業をやれるという氣持ではないのでありまして、一定の制約、すなわち公共の目的のために存する事業、公共團体として適当と認められる事業、こういう制約を設けておるのであります。それから十一号の公有水面埋立事業は、市町村事業施行の主体となるだけであつて、こういうような企業についての調整的な権限は有しないのかというような趣旨お尋ねのようでありますが、これは手もとに資料がありませんので、正確に申し上げられませんが、地方團体が主体となるように記憶をいたしております。從つて公有水面については事業施行者としての地方團体の問題として書いておるわけでございますが、耕地整理事業のごときは耕地整理組合等が数箇ありますならば、それらの事業施行の調整ということもただいまお話のようにあり得るわけでありまして、そういう権能を規定しておる意味ではもちろんないのであります。それから第七号の煤煙防止について御見解をお示しになりましたが、私もまつたく御同感でございます。それから市内の美化上非常に遺憾に考えられる各種の廣告ビラの整理の問題、清潔化の問題もまつたく同感でございます。しこうしてそういう見地から、地方團体が一定の基準を條例によつて設けまして、その基準に從つて清掃を励行する。しかもその励行にあたつて自治体警察がこれに関與をもつてくるということはあり得るわけでありましてそういうことはもちろん地方團体としては行政事務の一種として條例によつてこれを取上げる、罰則をもつてこれを励行し、その執行は自治体警察がこれにあたるということはもちろん考えられると思います。
  34. 千賀康治

    千賀委員 先の話を繰返すようで惡いのでありますが、いま一回当局の見解を聽いておきます。それはドックということですが、これは言葉の上じやありませんけれども、私は海にも相当親しみをもつて、船に長く乘つておつたこともあるのですが、ドックというものは、あなたは大体どういうものだと思つておられるかを承りたい。私はこういう字を使うのは違つているじやないかと思うのですが、あなたの見解を聽いてから私の意見を申し上げます。
  35. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ちよつと今の御質問にお答えいたします前に、先ほど松沢委員に申し上げました点で足りない点がございましたので、補足しておきます。廣告ビラの取締の條例をつくりました場合に、自治体警察が取締ると申しましたが、これは要するに、自治体警察の置かれている市町村のことで、國家地方警察その他においては、もちろんその取締にあたるというわけであります。  それから、今千賀委員お尋ねと申すよりも、どう考えるかというお話でありますが、要するにここでは海上輸送、陸上輸送に必要な営造物ということで最後の締括りがありますので、港湾の施設として、あるいは船に関連した、要するに港に関連をもつた施設として、世上多く問題になる最も重要なものから例示的に一、二拾つただけでありまして、今ドックとは、何ぞやというお尋ねでございましたが、船に多年乘つておられた専門家に対して御説明する知識は全然ございませんので、ただ一般の船舶、港湾に関係した用語という意味で使用しただけであります。
  36. 千賀康治

    千賀委員 おそらくあなた方がこの項で言わんとするところは、ドックではないと思うのです。もちろん横浜とか、横須賀、名古屋、大阪、神戸、いずれにしても、日本の都市で海港に関係のないところはないのですが、こういうところは以前から港湾の修築をみずからやつたり、府縣と共同してやつたり、國と共同してやつたりして、こういう仕事をしております。その港湾の中にはもちろんドックも含まれている場合も多いのでありますが、そうした言い方をすれば、あえてここでドックと指さなくても、これは港湾一般とか、港湾修築とかいうものがここにあがつてもいいはずであります。これは有力大都市のみならず、日本の市町村全体にまで滲透させる法案でありますから、おそらくさようなものは指しておるまいと思います。その次にくる字が波止場であつたり、防波堤であつたり、その次が倉庫であつたり、上屋であつたり、その他海上または陸上などといつて、港湾に対する用語はここで大体終つているところをみると、都市から市町村まで共通の港湾施設で、これだけこまかくあがつてつて、まだ足らないものは船だまりであります。おそらくこれは船だまりをここに入れるべきものを、かえつてハイカラに英語を使つて、しくじつているのではないかと思う。ドックというのは海の人たち、あるいは海港の人たちの社会通念をもつていたしましても、船の底ないしは、船体を修繕するときに、船を引入れておいて、その浮かしている水をポンプで抜取つて、船の底までからにして、そして目的の作業をする、その特定の施設のことをドックと言います。それならば、日本の海員並びに港湾関係の人たちが明治以來の常識によつてドックというものは首肯し、得るのでありますが、船だまりを指してドックというならば、これは全然あてはずれの字であります。もし海港をもつた有力都市が、そうした船を修繕する特定な施設であるドックをもち得るということであるならば、ここに船だまりがどこかに表現をされておらなければならない。防波堤や波止場がある以上は、どうしたつて船だまりが要るのでありますが、私は船だまりを表現するために、ドックという文字を間違えて使つてしまつておるのだろうと思います。そうであるならばこれはたいへんなことであります。重ねて申しますが、ドックということは、海港関係、船員関係の者の常識によりましては、今申しました特定な施設に限られておつて、他をドックとは決して言つておりません。それならばドックということを言わなくても、海港施設、港湾施設ということで表現された方が適当であります。小さい村や僻村に至るまで、共通の施設としてもつておるものと言えば、船だまりでありますから、これはむしろ船だまりとかえる方が私は適当だと思いますが、いかがでしようか。
  37. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 このドックという言葉は、やはり文字通りドックでありまして、船だまりを意味しておるのではございません。船舶の修繕施設という廣い意味でドックという言葉を使つておるのでありまして、船だまりという意味ではもちろんないのであります。御指摘のように船だまりというものは一つの海上輸送に関連をいたしたものと思いますが、ここには海上輸送に必要な営造物として特殊な施設をあげておるのでありまして、防波堤とか波止場とか、それぞれの類別の中に、港のいろいろな施設をあげておるのであります。また「その他の」となつておりますので、前にも申しましたように、これは例示であつて、もちろんお話のような船だまり施設というものも海上輸送に必要な営造物ということになるわけであります。
  38. 千賀康治

    千賀委員 これはまつたく暴論です。そんなことを言うならば、ドックのほかに近代港湾の施設はまだいくらでもある。ドック一字をもつて近代港湾の施設を表現しておると思うならば、これは大きな思い違いでありましよう。そういう意味ならば、一般港湾施設とやれば文句ないのであります。ドックもはいつておるし、造船所もはいつておるし、あらゆるものがはいつておる。これは実際ドック一つを言つたということになると、非常に妙ちくりんなことになる。あらゆる他の港湾施設というものはここにあげられておらぬということになる。岸壁もありますし、いろいろなものがある。それらはなぜ表現しないか。港湾施設とやつた方が確かではないですか。
  39. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今暴論と仰せになりましたが、これは私の申し上げましたことを誤解しておられるのじやないかと思います。決してドックが一切の港湾施設意味する意味で用いたということを私は申し上げたのではないのでありまして、ドックその他数項の例示をいたしまして、字句をごらんいただきますと、「その他の海上又は陸上輸送に必要な営造物、」こう申しておるのであります。この営造物というのは、今お話が出ましたような岸壁にいたしましても何にいたしましても、要するに一切の海上輸送に必要なものは皆含めておるのでありまして、もともと立案者もここに一つ一つ事柄を拾い上げて書き並べるという趣旨ではないのでございます。あくまでも主要な事項を数箇例示いたしまして、その他はこういう締括りをもつで結ぶという用法を、二十一項目すべてについて大体とつておるのであります。
  40. 千賀康治

    千賀委員 このドックというものが港湾施設の中に入れられる都市が一体日本にいくつぐらいあると思われるか。これはそんなにたくさんないのです。大体この作用は小さい町村ではみんな船だまりで行つているのですが、日本全体に布く法律の中で、特定な都市でなければもち得ないような施設一つここにあげて、あとの都市に全部必要であるべき船だまりを「その他」の中に入れておるのだということになると、これは非常にうかつなことではないでしようか。それならばドックは「その他」の中にはいつた方が確かなのです。船だまりであるならば、全國あらゆる海港をもつている町村に通じ、適切な海港に対する一つ施設であるということはうなずき得るのですが、ドックと言つたのでは、これはおれのところのことではないのだという感じをすぐもたれる。ここらの表現技術ですが、あなたはこれで差支えないと思われますか。
  41. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今ドックは大都市しかないという仰せでございますが、これは船舶修繕施設、つまり先ほども申されましたように、船渠という意味でございますから、從つて小さな港をもつておるところでもやはり船だまり式の小さな船渠施設をもつているものがあろうと思うのであります。ひとり大都市だけの問題ではありませんで、そういう小さな海港をもつた全國の市町村に関係をもつ問題としてここに例示をいたした次第であります。
  42. 千賀康治

    千賀委員 私はやはり不満足ですが。まあいいです。
  43. 坂東幸太郎

    坂東委員長 他に御質疑はありませんか。
  44. 松澤兼人

    ○松澤(兼)委員 まだ質疑したい点はあるのですが、小委員会もありますから、これで大体終つたことにして、この次に補足的なものでもあつたらそれをやつていただいたらどうですか。
  45. 坂東幸太郎

    坂東委員長 松澤君の御意見は質疑は大体このくらいにして、次の機会に補足的なものを質疑しようというのですが、いかがですか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 坂東幸太郎

    坂東委員長 ではその点は御異議ないと認めますので、さようにいたしまして、次会からの適当の時期に考慮することにいたします。     —————————————
  47. 坂東幸太郎

    坂東委員長 次に風俗営業取締法案を議題に供して政府の説明を求めます。
  48. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 官房長官が所用ができましたので、便宜私が代りまして提案の理由を御説明申し上げたいと思います。  風俗営業取締法案は、いわゆる風俗営業、すなわち第一條に例示されております料理店、カフエー、キヤバレー、まあじやん屋等の風俗上取締を要する営業につきまして、風俗犯罪の発生を防止することを主たる目的といたしたのであります。このような営業につきましては、從來は各廰府縣令によりまして警察取締法規を設けておつたのでありまするが、昭和二十二年の法律第七十二号「日本國憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律」の規定によりまして、昨年十二月末限り失効をいたしたのであります。從いまして、現在はこれらの営業に関する一般的な取締法規は存在していないのであります。しかしながらこのまま放置いたしますることは、風俗取締上支障がありまするので、これらの営業の取締法規といたしまして、この法律案の提案をいたした次第であります。  法案のおもなる点を申し上げますると、第一に、かかる営業は從來のように警察の取締りを受けまして、その営業の許可は、都道府縣公安委員会、または市町村公安委員会が行うという建前をとつたのであります。從つて営業者または從業員が違反行為を行いまして、善良の風俗を害するおそれがあるような場合には、各公安委員会はこれらの営業を禁止あるいは停止処分に付し得ることになつておるのであります。  第二には、從來の各廰府縣令の実質的内容をなしておりました営業の場所、営業時間、営業所の構造、設備等に対しまする各種の制限は、各地方の実情に應じました内容といたしまするために、都道府縣の條例をもちまして規定することといたしたのであります。  第三に、この種の営業取締法規といたしましては初めての試みでありまするが、從前のように行政官廰の一方的な裁量によりまして、営業の禁止、あるいは停止処分が行われますことは、ややともすると営業権を脅かすような結果に相なりまするので、これを避けまするために、かような場合には必ず公開の聽聞を行いまして、営業者の言い分を十分聽いた上で、公正なる行政処分が行われるような方法をとつたのであります。この法律は営業者に大きな関係を有しまするとともに、社会一般の風俗にも直接影響する問題でありまするので、その運用には十分注意が拂われなければならぬと存ずるのであります。  以上この法律案提出の理由を簡單に申し述べた次第でございまするが、何とぞよろしく御審議をお願いいたしたいと存じます。
  49. 坂東幸太郎

    坂東委員長 それでは本日は説明聽取だけに止めまして質疑は次会に讓ります。   本日はこれをもつて散会いたします。     午後三時四十三分散会