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1948-05-20 第2回国会 衆議院 治安及び地方制度委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年五月二十日(木曜日)     午後一時三十分開議  出席委員    委員長 坂東幸太郎君    理事 小暮藤三郎君 理事 千賀 康治君    理事 松野 頼三君 理事 門司  亮君    理事 坂口 主税君       大内 一郎君    大村 清一君       佐藤 通吉君    中島 守利君       笠原 貞造君    久保田鶴松君       矢後 嘉藏君    松澤 兼人君       高橋 長治君    川橋豊治郎君  出席政府委員         総理廳事務官  鈴木 俊一君  委員外出席者         專門調査員   有松  昇君     ――――――――――――― 五月十八日  地方財源確保に関する請願岩本信行君外一名  紹介)(第九九三号)  電氣瓦斯税設定反対請願前田榮之助君紹  介)(第一〇一三号) の審査を本委員会に付託された。 五月十九日  地方財政制度改革に関する陳情書  (第二九三  号)  主要都道府縣建築部設置陳情書  (第三〇〇号)  地方公共團体財政確立に関する陳情書  (第三一九号)  自治体警察設置基準改正陳情書  (第三三七号)  公安委員選任基準緩和に関する陳情書  (第三三八号)  新任警察官の配備に関する陳情書  (第三三九号)  地方自治法の一部改正に関する陳情書  (第三四四号)  電柱税鉱区税及び軌道税賦課率制限撤廃に  関する陳情書  (第三五一号)  國有林材地方課税に関する陳情書  (第三五二号)  中央出先機関の廃止に関する陳情書  (三五五号)  地方自治制確立に関する陳情書  (第三六〇号)  競犬の開催に関する陳情書  (第三六六号)  警察制度改正に伴う財源措置に関する陳情書  (第三七四  号)  地方税財政制度改革要綱案に関する陳情書  (第三八〇  号)  主要都道府縣建築部設置陳情書  (第三九四号)  地方自治法の一部改正に関する陳情書外一件  (第  四一一号)  自治体警察地方財源賦與に関する陳情書  (第四一八号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提  出)(第四一号)     ―――――――――――――
  2. 坂東幸太郎

    坂東委員長 これより治安及び地方制度委員会を開会いたします。  本日の日程は、地方自治法の一部を改正する法律案であります。なお戰時中合併した市町村復帰する場合の一般投票選挙の形式並びに罰則等に関しまして疑問がありますから政府説明をお願いいたします。
  3. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 戰時中の治安合併町村を戰前の状態に復帰するという場合の手続としては、お話のように投票を必要とするわけでありますが、その投票についての罰則は、地方自治法第二編第四章の規定をこの関係投票に準用するということになつております。從つてこの地方自治法の第四章の終りの方の條文に、衆議院議員選挙法罰則規定を準用するということになつておりまして、――七十三條の規定でありますが、その規定が準用せられます結果、この投票の場合にも一般選挙の場合と同様な罰則規定が働くということになるわけであります。
  4. 坂東幸太郎

    坂東委員長 なおそれに関係してでありますが、そのときに賛成派反対派いろいろありましようが、その場合の選挙費用制限はいかがですか。
  5. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この細部の手続は、一般選挙規定が適用されますが、なおやはり特殊な点は政令で特別の定めをすることになると存じますが、今お尋ねのような選挙運動と申しますか、投票運動費用は、特別に公定制限額を設けることにすることがうまくできるかどうか。各候補者選挙運動をいたします場合と少し違つておりますので、普通の解散請求がありました場合の解散投票とか、あるいは解職請求がありました場合の解職投票等と同じような扱いになるのではないかと思つております。結局最小限度のことは当該團体経費で、要するに原状復癖を可とする理由と、原状復帰を否とする理由というようなものを何らか投票所の入口その他の見やすい所へ掲示いたしまして、それが一般選挙人によく趣旨が徹底できるようにすることが必要だと思います。そういう最小限度公営的施設は、当該團体が負担すべきものと存じますが、その他のことは、やはりそれぞれの運動の実際に任せるということになるのではないかと考えております。
  6. 坂東幸太郎

    坂東委員長 なお一点お伺いしておきますが、昨年福島縣玉川村が他に合併されましたために、玉川分離運動があり、ある方面の人の指示によりまして、非公式に選挙行つたのであります。その時分には、復帰反対、すなわち合併した側が非常な運動をやつて相当金を投じたというような例があります。從つてそういう場合には、反対運動に対して金なりその他の運動制限を加えないと、非常におもしろくないことが起るのですが、それに対しては、どういうお考えですか。
  7. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 普通の選挙の場合と違いまして、たとえば議会解散請求選挙人から出ました場合に、これを可とするものと、これを否とするものと、両方の側からの運動があるわけでありますが、これについては現在の制度では費用制限は加えておらないと思います。これはやはり適切な限度を求めることが非常に困難であるというところから來ておると思うのでありまして、この場合もやはり同じような性質の投票であります。要するに可とするものと否とするものと、この二つだけがはつきりした運動になつてまいりますから、なかなか具体的に費用制限をきめるということは困難であります。腐敗的な経費支出が行われるということになれば、それは罰則が十分働いてまいりますが、そうでない合法的な経費でありますならば、これはやはりその村の存廃の問題でありまするから、費用が出てまいりましても、どうもやむを得ないのではないかというふうに考えております。
  8. 坂東幸太郎

    坂東委員長 もう一点、合併したといいましても村なり町なりの統合したものがある。それから他の一部を割いて編入したものがある。今度の政府案によると区域変更とありますから、それには統合も編入も両方はいつておるという意味と解しますならば、統合した場合に当然甲乙が合併して丙ができておりますならば、それが分離したいという場合、乙の元の村が分離請求する、それだけでもつて選挙を行つてきめるというふうになるのですか。
  9. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今の福島縣小名浜町の例で申しますと、玉川村が小名浜町に編入されたというふうに記憶しておりますが、この場合は旧玉川村の住民人たちが、その中の選挙人の三分の一以上の者が請求選挙管理委員会に持ち出しまして、そうして小名浜町の選挙管理委員会は旧玉川村の区域選挙人投票に付する、そうしてその投票において過半数があれは、玉川村が分離するということになるのでありまして、從つて小名浜町と旧玉川村とが正面から運動をし合うということにはならないので、旧玉川村の選挙人人たちが、自分の村が小名浜町につくのがいいか、離れたがいいかということを判断して投票する、こういうことになるのであります。
  10. 松澤兼人

    松澤(兼)委員 その問題に関連いたしまして運動費用の問題でありますが、なるほど選挙の腐敗的な行為があつた場合には取締規定があると思うのですが、たとえば町役場合併派である。そうして先ほどの場合において玉川村は分離派である。そういたしますと、どうかすると小名浜町の財産使つて合併を継続するという運動をやるというようなことが当然起つてくると思う。もちろんそれに対してはいろいろと取締りの規定もあると思いますし、ただいま上程になつております二百四十三條の二に、公共團体住民公共團体の長あるいはその他の吏員に不正の行為があつたと考えられる場合には、監査委員に対して監査請求することができるというような規定があるのおりまして、それはおのおのそれぞれの規定によつて監査請求をすることはできると思うのであります。しかしこれを巧妙にやつた場合には取締ることが困難であろうと思います。そこでやはり運動費制限を加えなければならないと考えるのでありますが、これは政令に讓るといたしまして、この点十分に明確に記入していただきたいと思うのであります。重ねてお尋ねいたします。  もう一つその費用の問題であります。今の場合と逆の場合でありますが、つまり玉川村が分離したいという場合に、分離期成会というようなものをつくりまして、團体として運動することになりますでしようが、それに対してその運動費用玉川村の住民に強制的に寄附をさせることになりますと、そこにまたいろいろな弊害が起つてくるのでありまして、自発的な寄附であれば問題でありませんが、随分長い間この運動が続けられたということになれば、それに対して多額の費用が必要になります。その点についても、十分に運動費制限の必要があると考えます。また最近國会選挙腐敗防止あるいは政党資金の問題が問題となつているのでありますが、そういう点に関係してこういつた分離運動というものの運動費腐敗防止なり政党資金と申しますか、そういうものとどういう関係にあるとお考えになりますか、この点ひとつ明確にしていただきたいと思います。
  11. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 最初お尋ねの、費用制限を設けた方がよくはないかという趣旨お尋ねの点でございます。もちろんお説のようなことは十分に考慮いたさなければならない点だと存じますが、政治資金規正法と申しますか、何か國会の方で御立案中の法律の中におきまして、相当廣い政治的團体投票に関して運動いたします場合の各種の届出規定いたしているように聽いておりますが、その点は現在の地方自治法におきましても費用届出の点は規定を設けているのでありまして、そういうことによつて間接的な費用に対する制限と申しますか、規制によりまして、結局においては費用制限の目的をある程度達し得るのではないかと考えております。なおこの点は政令立案の際に全國選挙管理委員会とも十分連絡いたしまして、御趣旨の点を特に研究をいたしてみたいと存ずる次第であります。  それから第二点の、合併期成会というような團体、これは政治的團体に入ると思いますが、そういう團体が強制的な寄附をする、自発的でない寄附を慫慂するというようなことは、おそらく適当な措置ではないと存じますが、結局におきまして今申しましたような費用に対する罰則による制限届出による制限等を活用することによりまして、また反面におきまして最小限度の分村の可否を明らかにするような公営的施設を行うことによりまして、この投票が公正に行われるようになることを期待し、またそうなるのではないかと考えている次第であります。
  12. 松澤兼人

    松澤(兼)委員 この改正にあります「第七條規定にかかわらず」ということは、もし地元の希望があり、そして投票の結果分離が必要であると決定した場合には、第七條規定による府縣会議決を必要としないという意味考えますが、この点一應確かめて見たいと存じます。  それから投票の場合でありますが、これはもちろん普通の選挙投票と同じように可否を記入するのであらうが、その場合はやはり無記名投票でやりますか。あるいは記名投票でありますか。または無記名あるいは記名投票のいずれの場合でも部落名その他のものを記入した場合は、他事記載として無効になるのでありますか、その点お聽かせ願いたいと思います。
  13. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 附則二條の「第七條規定にかかわらず、本條の定めるところにより――從前の市町村区域通り市町村境界変更をすることができる」という規定でありますが、第七條規定を「かかわらず」というて排除しておりますのは、七條一般的手続によらないという意味であります。普通の境界変更であるならば、必ず第七條規定によらなければならぬのでありますが、これだけは特例として、一般投票によつて決定をするということでありますから、七條規定を排除しておるわけであります。從つて手続といたしましては、選挙人から選挙管理委員会に対して申出をしまして、一般投票過半数同意がありましたならば、それを委員会から府縣知事に報告をいたしまして、府縣知事議会議決を経て該地区の境界変更定め総理大臣に届け出る、こういう手続になつておるのであります。  第二点の無記名記名かというお尋ねでごいざますが、これはやはり選挙に関する一般規定が準用になりますから、無記名ということになります。それから何々部落というような肩書を書きましたものは、もちろん他事記入というようなことに、該当することになると思います。
  14. 松澤兼人

    松澤(兼)委員 部落名を書くというようなことは、田舎の習慣として書きやすいことなんでありまして、これは選挙指導を適切にすれば、こういうことはなくなるかもわかりませんが、今までこういうことはなかつたことでありますから、今後そういう條例改正や、あるいはまた分離投票というようなものに初めて選挙権を行使することになるのでありますが、よほど適切にこれをやつていただかないと、ついそういうことを書いてしもうということになりますので、十分これは適切にやつていただきたいと存じます。  もう一つ先ほどの府縣会議決の問題でありますが、第七條では最初府縣令議決ということがあり、改正の第二條ではあとで府縣会議決が必要であるということになつておるのであります。もし府縣会がそれを議決しなかつた場合には、いつまでももとに還らないということになりますので、そういう場合のことも考えて、たとえば府縣会において非常に勢力のあるものが市町村長の依頼を受けてどこまでも反対であるということで、府縣会でそれぞれ運動したならば、地元の意向が通らないという結果になるのでありまして、それではこの附則の第一條、第二條趣旨が活きないことになるわけであります。この点、ほかに何らかの救済方法があれば結構でありますが、なければ、やはりそういう地方有力者運動によつてせつかく地元考えておりました場合でも、府縣議会同意を得られないで、この附則の第一條、第二條の精神が没却されるというようなことになりはしないかということを非常におそれるのであります。こういう場合に、何かはかに裁判所に出訴することができるということになつておりますが、もつと簡便にこれを救済する方法というものはないでありましようか、お伺いしたいと思います。
  15. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいまのお尋ねの第一点、部落名等を記入した投票が生ずることになつて、それが無効になるということは、地方実情に合わないようなおそれがあるから、十分投票実施については考慮せよという御趣旨は、まことにごもつともでありますが、今までの選挙大分性格の違う投票でありますから、その実施については十分違漏がないように、全國選挙管理委員会等とも趣結いたしまして指導をいたしたいと考えております。  それから第二点の、府縣会議決一般投票の後において必要とすることによつてせつかく分離を認めるという趣旨が壞されてしまいはせぬかというお尋ねでありますが、これはやはり隣接町村等を合併いたしました市町村に相なりますると、利害が白と黒と、分離する方と吸收する方とまつたく相反するものでありますから、非常に強烈なる意見の対立を來し、その間に円満なる折衝、交渉を加える余地がないというのが実情と思います。そこではたして現地住民がそれを希望するかどうかということを一般投票によつて明確にいたしまして、その一般投票の状況を基礎といたしまして、直接の当事者でない、いわば二階からこれを見ておる都道府縣会が、一段高い立場から、はたしてこの分離が適当であるかどうかということを議決いたしまして、この決定を行うということが適当ではないか。いやだからただ逃げていくということ、それが全体の立場から見ていいかどうかどいうことを高い所にあつて都道府縣議会がこれをきめるというのが、この制度であります。もしもその決定その他が違法であるというような場合におきましては、御心配になりましたような裁判所に出訴するという途が許されております。これ、は一般的に行政権訴訟特例法によりまして、これは國会において可決になりましたから近く公布になると思いますが、その法律並びに民事訴訟法の適用によりまして、府縣会議決その他知事の処分が違法でございましたならば、裁判所に出訴する途は、もちろん救済方法として開かれているわけであります。
  16. 坂東幸太郎

    坂東委員長 ちよつと私から御報告いたします。この間私並びに鈴木君が関係方面折衝したことがございます。その点を本日私から正式に報告いたしまして、それを委員会修正案にするかどうかということについてお諮りいたします。  それは大体は、政府案は印刷もできましたので、その筋の方面でも、これらの点は委員会修正を希望し、また先の委員会におきまして、委員から二、三の点の質問がありましたが、それらの点は重要でありますから、ともに各関係方面に参りまして、折衝をしたところ、その関係方面との折衝はできたということでありますから、その点を申し上げます。それは、  一、地方税分担金使用料及び手数料の賦課徴收並びに地方公共の秩序の維持、住民及び滞在者の安全、健康、及び福祉の保持に関する條例は、住民の制定又は改廃に関する直接請求対象外とすること。(第十二條第一項、第七十四條第一項)  二、都道縣公安委員市町村公安委員と同様に取り扱うものとすること。(第十三條第二項、第八十六條第一項、第八十八條第二項、第百二十一條、第百二十五條警察法第二十四條第二項)  三、地方公共團体議会議員地方公共團体の長その他の有給の職員との兼職を禁止すること。但し、現在の兼職者については例外を認めるものとすること。(第九十二條第二項、第百四十一條第二項、附則一條第二項)  四、常任委員の任期については、條例で特別の定めをすることができるものとすること。(第百九條第二項)  五、特別委員会についても、閉会中活動し得る途を拓くようにすること。(第百十條第三項)  六、普通地方公共團体は、全國的公益法人に委託することにより、他の普通地方公共團体と共同して、火災その他の災害に因る財産又は営造物の損害に対して相互救済事業を行うことができるものとすること。(第二百六十三條の二)これが今申しました通り関係方面折衝をしまして、話がきまつた点であります。そこでこれも併せて審議することにいたしたいと思いますが、別に御異議ありませんか。
  17. 高橋長治

    高橋(長)委員 ちよつとこの場合お聽きしたいのですが、「都道縣公安委員市町村公安委員と同様に取り扱うものとすること。」というところであります。私最近本委員会委員なつたので、過去のことをよく存じないのですが、五大都市公安委員から、公安委員の数について請願があつたと思うのでありますが、数の点はどうなるのですか。
  18. 坂東幸太郎

    坂東委員長 数の点は変更ししないのです。府縣公安委員につきましては解職規定がなく、市町村の方にありますのを、都道府縣公安委員もやはり解職ができるということに改めるというのであります。なお鈴木自治課長から御説明願います。
  19. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この「同様に取り扱う」という意味は、市町村公安委員は純然たる自治体機関でありますが、都道府縣公安委員の方は府縣國家地方警察の頭にかぶさる機関でありまして、從つてこれは國家機関であるという考え方警察法なり、地方自治法立案せられておると思います。そこで現在の地方自治法の立て方としましては、市町村公安委員の方は、選挙管理委員あるいは監査委員と同じように議会に出席して話もしますし、また市町村公安委員所属請願議会に提案されればそちらの方へまわる。また解職請求というようなものも当然選挙管理委員と同じようにある。こういうかつこうになつておるのでありますが、都道府縣公安委員の方は國家機関だという考え方に立つておりますので、議会にも出席しない、從つてまた請願等都道府縣公安委員の方にまわつてくるものはない、こういう立て方になつております。ただ例外的に、選任について知事議会同意を得て選ぶということになつておりまして、いわば國家機関の構成に自治体機関である知事議会が関與しておるかつこうになつておりますので、解職の方もやはり地方自治法選挙管理委員とか、監査委員解職規定を準用いたしまして、解職だけは選挙管理委員並になつておるのであります。ところが今回のこの同格に扱うという意味は、そこをもつと拡げて、議会出席とか請願関係等もまつたく市町村公安委員と同じにしようという趣旨お話考えられるのであります。
  20. 高橋長治

    高橋(長)委員 この場合もう一つ聽いておきたいのですが、ただいまの性格についての御説明はよくわかつたのでありますが、一例として、横浜市のごときはほとんど神奈川縣の半分でありまして、公安委員仕事の実態から考えますと、縣の公安委員横浜市の公安委員も、仕事の上においてはほとんど同様な立場に置かれておりますけれども、漏れ承るところによりますれば、自治体が二名になるということで、現在の四名が半分に減るということであります。これについては縣同様にということを、横浜市等五大都市のごときは歩調をそろえて請願しておるらしいのでありますが、当局の御意見はこの場合二名にする方針であられるかもしれませんけれども、実質的に特に五大都市は縣と同様に四名ということに取計らうべきが当然だと思いますが、この点いかがですか。
  21. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この公安委員の数の点は、警察法の方で規定をされておりまして、警察法自体の問題でございますので、地方自治法の方としては、警察法でそういう公安委員が置かれました場合に、それの扱いをどうするかという限度で取入れて規定をいたしておるのであります。從つてただいまの点は、私から申し上げますのはちよつと適当でないと存じますので、この程度にしていただきたいと思います。
  22. 坂東幸太郎

    坂東委員長 ちよつと私から申し上げますが、これらの点につきましては、この委員会では警察制度改革に関する小委員会をもちましてこれから檢討を加えますので、從つてその警察法改正の場合に、公安委員の数、あるいは仕事ということにつきまして檢討を加えられるものと存ずるわけであります。
  23. 門司亮

    門司委員 今の修正案は、大体において異議はないと思いますが、ただ問題はこの百十條の中の、「但し、議会議決により特に付議された事件については、閉会中も、なお、これを審査することを妨げない。」という事項であります。この條項の「議会議決により」という点が私は非常に重要な点だと思いますので、この点は特にひとつ当局では明確にしていただきたいと考えておるのであります。それは現在の自治法の建前をそのままに見ますと、閉会中の委員会に付託すると申しますか、往々にして各府縣市町村等ではそうことをやつておると思いますが、付託されましたものが、実際的には法的に解釈しますと、違法であるというような考え方が非常に強いのであります。しかし現在はそういうことを行わなければならない。それは自治法会期の問題で、年六回以上招集しなければならないというような字句にとらわれておりまして、その招集を受けた会期中に付託された案件でありますならば、むろん委員会に正式に付託されたものとして取扱い、さらにそれを会期中において議了しなければならないというような解釈に相なつておるのでございます。それがさいわいにこういうふうに修正いたします場合においては、その面をひとつ明確にしていただきたいと考えておるのであります。  さらにもう一つこの機会に、この修正とは別にお聽きしておきたいと思いますことは、例の百九十五條監査委員の問題であります。市町村監査委員は二名とする、都道府縣はこれを四名にするというようなことになつておるのであります。そうして現在行われております四名あるいは三名は任期中はそれをそのまま認めるというような経過規定に相なつておりますので、その経過規定の適用の期日が切れましたときには、おそらく市町村監査委員というものは二名になると考えられます。そうすると大都市の非常に大きな予算を扱い、非常に複雑な事務をやつております監査委員も、どんな小さな村の監査委員も同数であるというようなことは、事務の関係あるいは監督の立場から見まして、非常に矛盾を來すのではないか。こういうふうに考えられますので、これをたとえば百五十五條規定にありまするいわゆる特定の市、はつきり申しますならば五大都市に対しましては、この監査委員を四人にすることができるというような規定を設けられた方が、私は実際的にいいのではないかと考えておりますが、この点に対するお考えをお伺いしておきたいと思います。
  24. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 百十條の関係修正についてのお尋ねでございますが、百十條は、特別委員会が、現在閉会中は活動できない、会期中に限つて活動できるというようになつておりますのを、特に議会議決によつて付議された事件については、閉会中もこれを審査することを妨げない、こういうふうに改めようとするわけでありまして、現在議会閉会中におきまして、これは特別委員会というよりも、むしろ常任委員会がいろいろと各般の調査、事件の審査等をいたしておりますのが実情と存じますが、これらの調査とか審査ということはおそらく多くの府縣におきましては、その審査をすること、あるいは調査をいたしますことを、議会会期中に特に付託いたしておりまして從つて閉会中におきましても、そのような事項を常任委員会が審査することができる、あるいは調査することができるということに相なつておるのだろうと思うのであります。お尋ね特別委員会につきましても、今回このように、議会議決によつて付託された事件について、閉会中も審査することを妨げないということに相なりますならば、やはり同様に付託された事件に関する限度におきましては、閉会中いかなる事項も審査できる、たとえば上水道の設置でありますとか、あるいは下水道の布設というような事件特別委員会に付託せられたといたしますならば、その事件に関する限度におきましては、各般の調査をし、あるいは各般の審査をするということは、もちろん可能になつてくるわけであると存じます。  それから第二点の監査委員の数でありますが、地方自治法の建前におきましては、都道府縣という一つの種類の地方團体と、市町村という種類の地方團体と、二通り團体普通地方公共團体といたしておりまして、そのうちで、都道府縣の方は、市町村を包括して、いわばその上に立つような性格をもつておる團体であるということを規定いたとおりますが、團体自体としての地位というものは、大体府縣の場合も市町村の場合も同列に扱つておるのであります。いわんや市町村の中におきまして、特定の市と、しからざる市との間においては、法律の上においていろいろ扱いの区別を設けることはなるべく少くいたしまして――ほとんどないと言つてもいいと思うのでありますが、特別の組織等を考える必要があります点は自治的な條例に委ねて、條例をもつてそれぞれの團体に應ずるような各種の仕組ができますようにいたしておると存ずるのであります。今の監査委員の点でありますが、これは、府縣は四人、市町村は二人というふうになつておりますけれども、これはやはり府縣の方はその地域も非常に廣大でありますし、府縣の地域によつて相当の経済事情、社会事情等も違つております。また施設等も監査の対象になりますような施設、事業が各方面に散在いたしておるというような関係で、鳥取のような小さい所でも、やはり四人というような建前にいたしております。五大都市につきましては、やはり市町村市町村でありますが、性格それから実質的の内容というような点につきましては、お話のように他の町村と大分異なつた点がある、量の大きいことがひいて質にまで及んでおるようにも思われるのであります。そこで、お話のように、この監査委員の数を殖やすということも、地域的には府縣に比べますと狭いようでありますが、量的に申しまして、あるいは必要な点がありはしないかとも考えられます。これはひとり監査委員の問題だけではありません、選挙管理委員につきましても、あるいは先ほどお話しのありましたその他の委員、その他の機関等につきましても、考えるとすれば、やはり考えなければならない問題でありまして、やはり特別市というものが特に地方自治法の中に取入れられております点から申しますならば、特別市として問題を考えるか、あるいは市ではあるが市として特例扱いをするかという点について、やはり現下の情勢とも考え合わせまして、相当愼重に研究を要する問題ではないかというふうに考えられるのであります。
  25. 松野頼三

    ○松野委員 ただいまの質問に関連して、もう一つ監査委員の件についてお伺いしたいと思います。それは、修正案の二百四十三條の二として、相当大幅な監査委員の職務と権限が與えられると、なかなか事件も多くなりはせぬかということは当然うかがわれますし、この條文をもつて見ますと相当大幅なる請求が出るだろうということを予測しますと、ただいまの門司委員の御質問と同様に、私も、監査委員の数をあまりに少数に限定し過ぎるということは、將來監査委員というものが名目に堕して実質を行えないという欠陥を必ず暴露するということを一言憂えを申し上げます。  なお、今度の修正案にもあつたかと思いますが、議員兼職の問題とともに、監査委員兼職をどういうふうに今後において行われるかということは、早速考慮していただきたい。と申しますのは、今度議員が有給職員の兼務を禁止するという修正案が出ておりますとともに、監査委員というものが議員を兼務するということになると、はなはだおもしろからぬことが起きてきはせぬかという予測を一應申し上げます。  そのほかに、あるいは前に質問が出たかもしれませんが、第二條で、公共團体が國の事務に属しないことは、ほとんど何でもやつていいというようなことになつておる。殊に第三にあるように、上水道その他の給水事業、下水道事業、電気事業、ガス事業、電車事業、自動車事業、船舶その他の運輸事業その他企業を経営することができるとなりますと、ほとんどこれは現在の民間企業を大幅に圧迫してしまう。すべてのものが府縣営あるいは自治團体の企業でやつてしまうようになりますので、この点は何らかの制限を加えないといけないのではないか。特に公益福祉に限定をすべきではないかという考えがいたします。それと同様に、第十には、同じようなことでございますが、「森林、牧野、土地、市場、漁場、共同作業場の経営その他公共の福祉を精進するため」という一つの限定法がありながら、第三の場合にはほとんどすべての運輸事業ができるということになると、これは民間事業を大幅に圧迫するという憂いがある。同じ項ですが、第十一の「治山治水事業、農地開発事業、耕地整理事業、公有水面埋立事業、都市計画事業、不良地区改良事業その他の土地改良事業を施行する」というこの文句が、多少解釈によつて疑問を抱きます。「その他の土地改良事業」と申しますと、今まで申しましたそのほかのものはすべで土地改良だ、そのほかにまだ土地改良があるならやつてもよろしいというふうにしか、この法文通り解釈するとなりませんが、これは多少法文の作成上の説明不十分かと思います。さしあたりその三点を伺いたい。
  26. 坂東幸太郎

    坂東委員長 ただいまの、松野君の御意見はごもつともで、この点につきますでは、さきに門司君その他から非公式に発言がありましたから、どうかはつきりと政府側の御意見をお述べ願います。
  27. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 最初監査委員の数の問題でございますが、二百四十三條の二の改正に関連をしての御意見でございます。これはお話のように、今までよりは監査委員仕事ははるかに忙しいものになつてくるだろうと存じます。現在監査委員の運営の状況は、まだ新設の機関でありますので、相当うまく動いておる所もあるようでありますが、実は名誉職といつたふうな感じになつておる所が相当あるように思われます。そこで今度の改正によりまして、初めてほんとうにこれが相当がんばつていかないと仕事がさばき切れないというようなことになると存ぜられますが、その実際の結果を見ましたところで、数の問題等につきましても、いま一度御檢討願いたいと考えるのであります。全体に地方自治法規定が相当新しいことを盛り込んでおりまするから、やはりここ一、二年というもの、二、三年というものは、動きのぐあいをよく見定めまして、その結果に基きまして、やはりまた当委員会の御檢討を願い、実情に即するように改むるべきものは改めなければならないというように考えられるのであります。  それから第二にお尋ね監査委員兼職の問題でありますが、これは監査委員の中には、議会の中から出ております委員と、それから專門職と申しますか、專門家の監査委員と二通りあるわけでありますが、それらがそれぞれ同数という建前になつておるわけであります。そこで議会議員とを兼ねております監査委員の方は、給與としては報酬をもらうことになつております。それから專門家の監査委員の方は俸給、給料をもらうということになつております。やはり專門家の監査委員の方が、実質的には相当事務的な面も担当して専務職的に働く、議会議員を兼ねておる方は、やはり議会にも出席しなければなりませんし、どうしても監査委員としての仕事はやや、片手間と申すと何でありますが、專務職よりは少くとも時間を割くことが少い地位にあるのであります。そういう現在議員を兼ねておる監査委員の方は、やはりそういう性格におきまして、議会議員であるという重みをもちまして、監査に当る。少くともそういう監査委員監査委員の中におるということによつて監査に権威をもたしめる必要があるので、このように議員監査委員にいたしたのでありまして、この兼職を取離ししてまいますと、監査委員に一向監査のにらみがきかなくなると思うのであります。現在の監査委員制度の目的の一半を失うことになると存じますので、この兼職はやはり認めておかなければならない。その代りやはりある程度手を抜いたようなかつこうになつてもやむを得ない。一方專門家の監査委員の方は、これはやはり有給職員でありまするから、從つてこれは兼職はしてはいけない。こういうことになるわけであります。  それから第二條規定の点でありまするが、この規定は御指摘のように、多少字句等も不十分な憾みがなきにしもあらずというふうに感ぜられますが、まずこの第三号の企業という言葉、ここにいろいろに書いてありまするが、これをこのまま読みますと、非常に廣くなり過ぎはしないかという御心配でありまして、これはごもつともなお尋ねであります。この第十号の方では、收益事業という言葉を使つており、三号では企業という言葉を使つております。この間隔といたしましては、企業というものは、公企業、古い言葉では営造物といつているものを大体予想いたしておりまして、その上の例示にもございますように、大体市民が一般的に使用するところの水道、下水道、電氣、ガス、電車、自動車、船舶というような、いわゆる、公共的な営造物的な性質をもつた企業という感じで言葉を絡めておるのであります。從つてここで申しておりまするものは、從來から公営事業として市町村が経営した方がよろしいじやないかということで、常識論として、世論として言われておるようなものを大体例示しておりまして、その他の企業と申しましても、やはりそういう種類の企業という意味で書いておるのであります。もちろん法令に特別の定めがありますならば、これらの事業でも市町村の経営を制限し、あるいは禁止せられることになるのでありますが、その点は但書のところに「法令に特別の定があるときは、この限りでない。」といつて限定いたしておるのであります。  それから十号の方は三号の企業に対しまして收益事業という言葉を用いております。この收益事業というのは相当廣く一般経済企業というのとあまり違わない言葉であると思います。從來市町村等が営利事業を営めるかどうかということは、一つの問題の点でありまして、古くは営利事業は一切営んではならぬというのが定説のようでありますが、最近だんだんと考え方が変つてまいりまして、今の電車の経営にいたしましてもある程度の收益性を加味するということはもとより差支えない。それから結局收益事業をやつてもそれによつて得たところの経費を公共の福祉のために使うならばいいではないかというような徹底的な議論すら出てきておる状況であります。たとえば今、富くじを地方團体がやつております。これは收益事業といえば最も典型的な收益事業と存じますが、それらも容認せられておる次第でありまして、十号に規定をいたしておりますのは、それらよりむしろ公共性が強いと考えられる森林、牧野、土地、市場、漁場共同作業場の経営といつたものを例示しておるのであります。しかしながら收益事業は何でもやれる。織物の名産地であるところの市が、一般の織物会社と肩を並べで織物製造業を始める。あるいは名産をもつております市が一般の商人と肩を並べて物産販賣を全國にわたつてやる、あるいは市が收益事業を税金で集めた資本でやる、こういうことになりましては、まさに行き過ぎである、そういうことは私経済を圧迫して適当ではないと存じますが、三号なり殊に十号に掲げましたものは、もつと公共性の強いものであり、さらに收益事業の頭には特に「公共の福祉を増進するために適当と認められる」、こういう制限を附してございまして、收益事業でも今申しましたような種顧の経済企業は、これは公共の福祉を増進するために適当と認められる收益事業の中にははいらない、やはりここに書いてありますような種類の事業を收益事業としてやれる、土地の賣買ということもそういう意味で行われるという考え方でおるのであります。私経済を圧迫しようというような考え方ではありませんで、やはり現在多くの市町村において、あるいは何らかの市町村において手をつけておりますような事業を例示的に規定をいたしたのであります。  それから十一の「その他の土地改良事業を施行すること」という点でありますが、十一号には大体土地改良に属しまする各種の事業を例示いたしておりますが、なおそのほかにこれは耕地整理事業にはいるかもしれませんが、たとえば用排水のいろいろ土管を敷設いたしましたり、あるいはそだ等による用排水の事業をやるというようなこと、その他その例はちよつと申し上げかねますが、そういう種類の土地改良事業というものは、やはり地方團体市町村が経営するのに最も適切なものではないだろうかというように考えられるので、このような言葉を使つたのであります。もつとも現在耕地整理組合でありますとか、その他農地開発の関係の組合等があると存じまするが、そういう法令に特別の定めがありますものは、その限度においてはこの中から除かれてくるということになるわけであります。
  28. 松野頼三

    ○松野委員 もう一つ先ほど言い忘れたことを附け加えておきます。今の第三号の上水道、ガス事業、電車事業、自動車事業の例を引いて申しますならば、私は小さな個人のタクシーとか、個人のトラツクとかは行うことが圧迫されるという意味を申し上げたので、ただいまの説明ですと非常に安心いたしますが、こうやつて法文の文句の書き方が惡いのか、説明の方が惡いのか、この通りやりますと、ほとんどのものが圧迫されてしまう。公益事業といつて下水、電車、電氣、こういうものなら認められますが、小さなタクシー業まで圧迫するなということを私は申し上げたので、ただいまの説明では不満足であります。できるならばこの字句を修正していただきたい。それから第十一号の今のお話は、治山、治水は土地改良ではないということを申し上げたので、これが土地改良であるということは今の常識ではおかしい。從つて土地改良とは認められない。この文句がおかしい。その意味で根本的にはあなたの御意見とは違つております。それからもう一つ修正案に基きます第十二條第一項に規定する地方税分担金使用料及び手数料のこの関係ですが、これは第十二條を読みましても、地方公共團体住民はその公共團体條例の制定、改廃を請求する権利を有するという、これを大幅に圧迫するものであつて、ほとんど住民が最も関心をもつ事項のみを取上げて請求権がないと言われるのは、その根本において、はなはだ大きな圧迫感を住民に與える危險を感ずるのであります。またこの條文がなくても、地方住民があくまで請求するので、決定議会であります。このことに関して住民請求によつて議会議決を経ずに行い得る條文はないのでありますから、これがなくても特に現在の法令上差支えない。またあつたからというて、特にこれによつて左右されるという心配ははなはだ少いように私は考えるのであります。ただいまの三つについてもう一度私の意見と大分違いますから御説明を願います。
  29. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 第三号の自動車事業という言葉でありますが、自動車事業というのは、要するに自動車運輸事業ということでありまして、これは地方公共團体が経営する事業ということになりますれば、おのずから、乘合自動車というようなことになるでありましよう。また現にそういうものが大部分であると存じます。と申しますのは、第二條第二項にこう二十一項目書きましたのは、ここに独立的な規定を設けたという意味ではございませんで、現在の第二條第二項の地方公共團体は、その公共事務、委任事務、行政事務を処理するという抽象的な言葉では、一体何を地方公共團体がやるのかわからないから、そこで地方公共團体は、大体こういう種類のものをやるのだということを例示いたしたわけでございまして、基本は、やはり第二條の第二項で縛られると思うのであります。從つて今の自動車事業というのは、第二條の種類の方から言つてどこに入るかと申し上げますれば、やはりその公共事務というところにはいつてくるのであります。從つてやはり地方公共團体の存立の目的といたしております地方公共の目的に副うような事務でなければ、地方公共團体というものは処理できないという根本の性格が大もとにあるわけであります。そこでかりにこういうふうに書いても自動車事業といえば、私経済と競争するようなことをねらいとするような事業は、やはりその公共事務の範囲にはいらない、地方住民一般になるべく廉價で益務を提供しようということにねらいがなければならぬと思うのであります。從つて多少自動車事業という言葉には御不満があろうかと思いますが、総体的に第二條規定を御覽いただきますれば、その趣旨が御了解願えるのではないかと思うのであります。  それから次の治山、治水事業の点でありますが、これはどうも日本の言葉のコンマの使い方の問題がむずかしくありまして、お話のように治山、治水事業というのは、下の「その他の土地改良事業」というのにかけて読むのは適当でないと思います。そこで一体、どこから「その他の土地改良事業」までかけるかということになると、やや明瞭ではございませんが、治山、治水事業というのは、やはり一つの独立事業、農地開発事業というのも、これはやはり土地改良事業に含まれるものもありましようし、それぞれ独立の事業、それらをそういうふうに読む、直接には不良地区改良事業というのが、土地改良事業の名詞であるというふうにも読めるのじやないかと思います。御指摘の治山、治水事業については、そういうようにお考えになられるのも無理ではないと思いますが、そういうような意味で、直接的には一番下の字にかけておるというふうに御了解願つたらどうかと思うのであります。  それから直接請求の問題でありますが、直接請求については、何も制限を設ける必要はないじやないか、議会できめるのだから心配はないじやないかというお話も一應ごもつともでございます。しかしながら署名捺印のために相当多くの経費を要する。しかも税の問題等におきましては、大体住民の発案するものというのは、多くはやはり軽減をねらいとするものが多いのじやいないかと思いますので、從いまして結局、相当多額の金を署名捺印をとるための運動に使う。これは結局においてだれでも一應賛成する場合が多いと思うのでありまして、調印としてはまとまるけれども、議会に行けばやはり議会の問題として、地方團体を維持するために必要な経費というものはどうしても賄わなければならぬのでございますから、そういうものについての請求を認めるということは、そのこと自身はさほど問題はないといたしましても、多額の経費を使うということは、やはり穏当ではないと思いますし、またそこにいろいろその他の関連の問題も考えられますので、やはりこういう制限を設けることが適当ではないかというふうに考えられるのであります。
  30. 門司亮

    門司委員 もう一應聽いておきたいと思います。それは例の九十六條でありますが、この中には九号に、「條例定める契約を結ぶこと。」というのがありますこれについての考え方でありますが、これはただ單にこれだけの條文でありますと、地方公共團体はその基準を定めるのに、かなり迷惑を來すと思いますが、これに対しては準則か何かでお示しになるお考えがあるかどうかということをお聽きしておきたいと思います。  それからもう一つ、例の分担金でありますが。二百十七條分担金の字句の解釈であります。從來市町村で多く分担金と申し上げますと、通例考えられておりますのは、受益者負担というようなものが考えられておりますが、この受益者負担というようなものをこの分担金というものの中に含んでいるかどうか。そういう点を明確にしていただきたいと思うのであります。  それからもう一つ聽きしておきたいと思いますのは、この前もお聽きしたと思いますが、重ねてお聽きしておきたいと思いますことは、二百十三條の規定に「條例定める特に重要な財産又は営造物については」というような字句が使つてありますが、これらについてもやはり何らかの基準をお示しを願いませんと、各地方公共團体においては相当議論も出てくると思いますので、この辺についてのお考えを伺いたいと思います。
  31. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいまお尋ねの第九号の契約について地方に何か基準を示すかというお尋ねでありますが、これは御心配になりますように、どういう種類の契約を議決事項にするかということは、相当重大な問題でありますので、最終決定は、むろんその團体でいたすわけでありますが、團体がそういう決定をいたします参考資料として、政府におきましても一應の基準のようなものを示しまして、その決定の資料に提供いたしたいと考えております。  最後にお尋ねの二百十三條の財産営造物の中で特に重要なものを一般投票にかけ、またそれよりもやや程度の軽い財産営造物は三分の二以上で使用その他をきめる、こういうことになつておりますが、この種類につきましても、今の契約の場合と同様に、地方團体決定するにあたつて参考となりますような基準を示したいと考えております。  それから分担金の問題でありますが、これはお尋ねがありました受益者負担金ははいるかという点であります。これは地方自治法では負担金という言葉を用いないで分担金という言葉にいたしておりますが、それは負担金ももちろん含む意味であります。ただ負担金につきましては、多く特別法が出ておりまして、特別法が規定しております限度で、たとえば道路法なり、都市計画法が規定いたしております限度では、地方自治法規定がそれとぶつかるようなところは適用になりませんけれども、それに抵触しない限りにおきましては、地方自治法分担金に関する規定はやはり適用になつていくというふうに考えていいと思います。
  32. 松澤兼人

    松澤(兼)委員 ただいま門司君が、質問いたしました二百十三條でありますが、この問題について最も重要なものはたとえば市町村が特定の会社に対して報償契約を結んでおるというような場合はこれに適合するのではないか、こう思うのであります。たとえば市がガス会社と報償契約を結んでおる。それは道路使用料を取らない代りに、報償金をガス会社から市に納付させているということなのでありますが、道路というのは財産あるいは営造物として考えられるものであるかどうか、この点お伺いしてみたいと思うのであります。
  33. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいま御例示になりました報償契約、ガス会社と市との間に道路の占用料に関する報償契約というのは、やはり道路という営造物についての独占的な使用の問題になるわけであります。從つてもしもその使用の期間が十年を越えるというようなものでありましたならば、やはりこれに当るのではないか。しかしこれはやはりそれを條例定めない限りは、そのようなことにはならぬと思うのであります。
  34. 松澤兼人

    松澤(兼)委員 その場合は、國道のようなものは市長が管理していることになつておりますが、これは市の営造物ではない。從つて市の道路に関する限り、契約によつて報償金がとられるということになるのでありますかどうか。
  35. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 道路には、國道、府縣道、市道それぞれあると存じますが、これを、國の営造物考えるか、あるいはその経費を負担をしております地方團体営造物考えるかということは、これは学説におきましても、判例におきましても、いろいろ問題のある点であると存じます。ただ、実質的にその経費を市道ならば市が負担をいたしておりますから、やはりこれを國の営造物と言いきつてしまうことはどうも奥歯に物のはさまるような感があるのでありまして、やはりこれは現実に経費を負担をしている團体営造物であると考えるのが適当ではないか。ただ、これを管理する機関は、今日では國家機関として市町村長なり府縣知事が当つているわけでありますが、その経費負担の関係においては、これはやはり地方團体でありますから、また地方團体としては、これが何人に課せられるか、その使用料がどのくらいであるかということは、最も重大な関心をもつわけでありますので、これをやはり二百十三條の財産営造物の中の一つ考えざるを得ないのではないか、こういうふうに考えるのであります。
  36. 松澤兼人

    松澤(兼)委員 もう一つ、たとえば道路損傷金を徴收する契約、あるいは一定のバス路線に対して道路の使用を許可するというような場合も、やはりこの條項にあてはまるものであるかどうかという点を伺いたいと思います。
  37. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これらは程度の問題でございまして、ごく小部分、あるいはそう大した大きな区域にわたらない程度の道路の損傷金の問題、あるいはバス路線としての道路の占用の問題ということでありますならば、「特に重要な」という範疇にははいらないのではないかと考えます。やはり金額の点においても、また予算全体に対する比重からいつて、その團体にとつては相当大きな経済上の問題であるというようなものをここでは予想をいたして、特に重要なことを申しておるのでありますから、やはりそれぞれの具体的な事例について申し上げませんと、抽象的には今御例示になりましたような問題がはいるか、はいらないかということは、ちよつと申し上げにくいと思います。
  38. 松野頼三

    ○松野委員 どうもたびたび質問をし御答弁を得ておりますが、政府委員はもう少し率直に説明をしていただきたいと、まず要望する次第であります。と申しますのは、どうも一言一句たりとも無理な法案をむりにそう解釈して、私たちに押しつけがましく説明されるので、はなはだ私たちは理解に苦しむ点があるのであります。自分が提案者でありますから、むりにこじつけて答弁される点をまことに遺憾に存じます。その一例として、地方秘、分担金、直接請求の件でありますが、どうも費用がかかるからこういうことはいけないということをお話になりながら、先ほどの町村、都市の離合集散といいますか、あるいは編入、また元へもどすというときには、一般住民投票選挙規定は限定はしておらぬと言つておるにかかわらず、連署をとるときに今度は非常に費用がかかるからこういうことはやめてもらいたい。これだけの説明で私たちに納得してもらいたいというような、はなはだ無理なことが多い。先ほどの治山治水のように、どうもこの制限を読んでも、だれが解釈しても治山治水の中に入らないという文句を書いておきながら、あなた方の御説明の文句の治山治水と土地改良は違います。こういうところはコンマの打ちどころを直してお出しになるお考えはないのか。小さいところは多々あるのです。そういうふうなことをいいますと、あなたはむりにもこの法文を自分の解釈に押しつけて、そう書いてないのにそういうふうに解釈していくのでは、私は將來この法案を審議する上において、大きな禍根を残すと思いますから、惡いところは根本的に直していただきたい。コンマの打ちどころが惡かつたら直して出すくらいの誠意をもつてつてくださらなければ、いたずらに時間を空費するばかりです。一時から私たちここで二時間も審議しましたけれども、どうも私たちは根本的に割り切れない点がある。一言警告とともに、今後の審議上について、一應お考えを願いたいと思います。
  39. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 いろいろただいまの御忠告は拜承いたしましたが、この第一の地方税関係の直接請求対象外とするという問題でありますが、これは先ほどの説明で申し落した点がありましたので、御了解を願う意味で、そう大きな例外を設けたのではないということを申し上げたいと思うのであります。それはこの二條に二十一項目設けております。この仕事、これについて、すべてこの條例というものがあり得るのであります。この中で今ここで抜き出しておりますのは、初めの地方税分担金使用料及び手数料というのは二十一項目の中にははいつておりませんけれども、その次の「地方公共の秩序」云々というのは、この第二條の一番初めの第一号のことだけなのであります。「地方公共の秩序を維持し」という二号以下の問題に関する條例というものはすべてあり得るのであります。そうしてこの第一号の範囲が具体的にどういうようにおちつくかということは、個々の條例に対する裁判所の法令によつて、これらの抽象的な字句がどういうものを意味するかということが、だんだんときまつてくるのだろうと思いますが、いずれにいたしましても穴をあけたというのは、大体そういうような例示の事務から申しますと、その程度の穴なのであります。その点だけを今一度申し上げて御了解を願いたいと思います。
  40. 松野頼三

    ○松野委員 それからこまかいことがずつとありますが、一條々々読んでいつても、あなたの御説明通りにどうも私は解釈しにくいから、そういうふうな法文上のお互いに疑義を残す点は直して、日本語らしい日本語にしてお出しになるわけにはいかないでしようか。第十一号についてはコンマの打ちどころが違う。この通りではない、治山治水事業は同じ意味だというふうに理解できない。コンマの打ちどころが違うというなら、打ちどころを直していただき、日本語らしい日本語にしていただかないと、説明のときにはわかりますが、これは法文として、さて実行されるときになりますと、いろいろ疑義が出てくるだろうと思います。ひとつ解釈のしよいように、一般の國民がわかるような日本語を使つてコンマの打ちどころが違うなら打ちどころを直してもらう。また收益事業とか、公益事業とか、はなはだ説明が不十分な点があります、大体劈頭において公益團体だから公益を対象とするにきまつているというならば、第十号の「その他公共の福祉を漸進するために適当と認められる收益事業を行うこと。」という文句と、最初の御説明とは多少食い違いを感じられます。またこまかい字句においても、わかりにくい日本語があるのですから、ひとつお直しになつて、法文上はつきりさせて皆さんに疑義のないようにしていただきたい。
  41. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この字句の点等につきましては、先ほど來申し上げておりまするように、われわれとしてもいろいろな事情がございまして、必ずしも日本語として適当なものであるとは考えておりませんその点、この委員会の御審議におきまして、これはどうしてもこう直さなければならぬという点がございますならば、それはもちろん政府としては十分考えなければならぬと存じます。しかし原案を提出いたしました責任から申しまして、原案によつて何を意味しておるかということは、十分御了解いただけまするように、説明を申し上げ得るだけは説明を申し上げておる次第であります。  それからこの十号の「その他公共の福祉を増進するために適当と認められる收益事業」これは要らぬじやないかという仰せ、一應ごもつともでありますが、收益事業を地方團体がやれるということになりますと、先ほど申し上げましたような根本の制約はございますけれども、どうもそこに何か割りきれない誤解を生ずるおそれがありますので頭に特に收益事業というものについてはとこういうものをかぶせたのであります。
  42. 千賀康治

    ○千賀委員 この市町村のなし得る仕事條文の中に、たくさんあげてありますが、たとえば自動車であるとか、鉄道であるとか、電氣、水道、ガス、そういうもので現在市町村区域内において私設会社がこれを経営しておる。市町村会がこの條文の目的によつてこういうものをやろうという決議をするときには、その優先権といいますか、私設会社が先にやつておる優先権というものははつきり認められるか、またはここに指定されたものは、いつでも地方公共團体の後まわしになつていくのか、あるいはその点は政府が調整するか、政府でなければ上級地方官廰が調整するものか、そこらの根本はどういうつもりでありますか。伺いたいのであります。それからあとは次の質問で伺います。
  43. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この自動車運輸事業を地方團体が始めます場合に、ほかの現在経営しております自動車運輸事業等がありました場合に、それとの調整をどうするかという趣旨お尋ねと存じますが、これはやはりそれぞれの出先機関、自動車でありますれば、道路運送管理事務所でありますか、鉄事道局の系統のそういう機関がそれぞれ認可権、許可権をもつておりますので、地方團体といたしましても、そういう他の法令に許可認可を要するというような規定のあるものがありますならば、それに從つてやらなければ、ただ予算をとつて議会議決を経ただけではやれないと思うのであります。法令に特別の定めがあるときはこの限りでないというふうにうたつてありますのは、市町村もやはり公法人として、他の私人あるいは私法人と同じような立場に立つのでありますから、そういう私法人や私人がやります行為について法律上の制限がありますならば、それと同じような規準に立つて地方團体は自動車運輸事業にしても、その他の問題にいたしましても、やつていかなければならぬ、こういう意味であります。
  44. 千賀康治

    ○千賀委員 次にお伺いしますのは、市町村も公法人として事業を計画し得るということでございますが、この場合市町村は独占禁止法の適用を受ける公法人であるか、あるいは独占禁止法とは影響しないものであるか、それから市町村区域内において経営をしておる会社が、独占禁止法によつて市町村からその営業の一部分を要求せられた場合は、ほかの普通の民間会社と同じ立場で、その仕事の分割なり、讓渡なりを要求せられるのでありますか。市町村というものは特別の権能をもつてその独占禁止を要求し得る何か権力ですか、特典ですか、そういうものがあるかどうかこの二つを伺います。
  45. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 第一のお尋ねの、独占禁止法の適用を地方團体市町村が受けるかというお尋ねと思いますが、これは前のお尋ねにつきまして申し上げましたように、独占禁止法という法律一般の法人に対して制限事項を規定いたしておりまするならば、やはり市町村といえども、その制限從つていかなければならぬ。從つて独占禁止法に触れるような集中的な経済事業は、行えないということになると思うのであります。  それから今度は、逆に市町村が自分で独占禁止的な條令を設けて企業を縛ることができるか、こういう御趣旨お尋ねでありますか。
  46. 千賀康治

    ○千賀委員 いや、そうではない。他の市町村区域内において今日営業をしておる会社から、その仕事市町村がやろうという決議をして、やろうというときに、独占禁止法の適用をして、その事業の一部分を市町村が引継ぐ際に、何か市町村なるがゆえに強力なその法律の適用を要求する権能が残されるかどうかということです。結局市町村は一株式会社と同じ立場で他の独占会社の事業を食いこんで行くことができるだけであるのか、市町村なるがゆえにこの指定事業をもつと強力に食いこみ得るのか、その点です。
  47. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 市町村一般の企業会社から特定の企業の引継ぎを受けた場合において、特に市町村だからと申しまして、一般企業会社以上の強い力をもつて独占禁止法の適用を排除すると申しますか、そういうようなことはできないと思います。やはり從來の企業会社がもつておりましたと同様の法律上の地位をむちまして、その企業を引継いでいくということになるのではないかと思つております。
  48. 千賀康治

    ○千賀委員 ただいまの御答弁を通じましてこういうことをわれわれは知るのであります。市町村が、たとえばここで水道なり電気なりを経営いたしておりますと、この損益に対しましては市町村民全体が負担をしておる仕事になります。しかしながら独占禁止法の適用を避けることができないということになると、ここに私設会社が興りまして、市町村が、その投下資金は何々で、当然その事業は独占禁止法によつて開放しなければならないという主張をせられて、その一部分を私設会社に開放するということになりますと、市町村民がその損益の負担をいたしておつた重大な利害というものは、ここであえなく崩壊することになるのでありますが、これは水道とか電気に限りません電車もバスも、それぞれの事業をやつておるものも、たいへんこれは不確実な事業であつて、今まで市民の名でやつておつたものが、独占禁止法で容易にその根底が破壊されていくということになるように思いますが、そう解釈して差支えないかどうか。、
  49. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ちよつと御質問の趣旨をはき違えておるか存じませんが、市町村が今までに経営いたしておりました事業に対して、独占禁止法が適用になることになる結果、市町村の利益と申しますか、いろいろな経済状態を崩壞せしめる心配はないかというお尋ねでございますか。
  50. 千賀康治

    ○千賀委員 そうでございます。
  51. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これはやはり独占禁止法という法律自体の問題と存じますが、われわれといたしましては、やはり独占禁止法の適用について、要するに根本の法律規定について、できるだけそのような、一面において地方團体が特権を享受して、その地位を濫用するということは防がなければならぬと思いますが、反面公共性をもつ水道でありますとか、ガスでありますとか、そういうような、いわゆる地方團体としてやるにふさわしい公企業の経営は、やはりできるだけそういうようなものの制限を受けないで、從來通りつていけるようにすることが望ましいと思うのであります。しかしこの独占禁止法に直接触れるような事業を市町村がいたしておりますかどうか、今資料の持合せがないのであります。
  52. 千賀康治

    ○千賀委員 実例といたしまして、地方におきましては大きな電氣会社が経営をいたしておる、その中には数十箇町村あるいは数百箇町村の地方團体を包含しておりますが、その一つ自治体を中心にいたしまして、独占禁止法の発動によりまして、おれの村はおれの村だけで電氣を経営するのだ、電気会社はここに建設したものをみな賣つてくれろ、記帳價格で賣つてくれろ、電氣はお前の会社が起したものを卸しでおれの村に賣つてくれろ、こういうことで電氣をつけるだけは、もう村の経営で始めたという所が相当にたくさんあることを私は知つております。これを逆に、たとえば東京の都電のごときも、これは一つの経営でやつておりますが、会社がいろいろ起りまして、この区域はおれがやつた方がいいのだ、独占禁止法によつて当然都電はこの区域を私設会社に開放すべきだという意見をもち上げてきたときに、これに対抗する方法があるかないか、いかがですか。
  53. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これはちよつと、独占禁止法の規定を私よく存じませんので、その関係で、はたしてどうなりまするか、ここで明確に申し上げる自信がないのでありますが、電氣会社の問題もどういうふうに切替になりまするか、いろいろ研究中のように承つております。この点は別の方面から御聽取願いたいと思います。
  54. 千賀康治

    ○千賀委員 ただいまの問題に関しては、政府委員は御用意がないようでありまするが、しかしこの第二條の冒頭において、「地方公共團体は、法人とする。」ということは、やはり株式会社などと同じことなのでしよう。組合とか、いろいろそういう法人團体はありますが、そういう人格になると、今私が指摘したようなことは十分御答弁を得なければ、市町村地方團体の経営の基礎というものは、非常に不確実になると思います。私はこの点、初めから疑いをもつておるのでありますけれども、そのままこれを通すならば、答弁によつてあらゆる場合を想像して解決がつくように、自信をもつてこの法案の審議をいたしたいと思つておつたのでありまするが、現在の当局の状態では私の考えを満たしていただくことができません。しかしこれは等閑に付すこともできない問題であると思います。徹底的にこれは究めなければならぬ問題であると思います。もしも今御出席の当局では、所管が違つてつてこの点に言及ができないというならば、委員長において適当な所管の常任委員会と連合審査をさせていただくか、または適当な政府委員をここに招致をしてもらつて、その点の答弁を求めていただくか、いずれかにいたしましても、適当な方法をとつていただきたいと思います。
  55. 松澤兼人

    松澤(兼)委員 さつき松野君の質問に対しまして、鈴木自治課長お話があつたのでありますが、それはこの謄写版の方の地方税分担金使用料、手数料、云々の地方公共の秩序を維持し、住民及び滞在者の安全、健康及び福祉を保持する條例は、この地方自治法改正の第一項目だけにあてはまるのであつて、他の方には関係がないというお話があつたのでありますが、もう一度これを確かめて見たいと思います。と申しますのは、たとえばこの中で第六の病院、隔離病舎、療養所、消毒所、産院その他は、これは住民及び滞在者の安全、健康及び福祉の保持に関係のある実際上の施設だと思うのであります。それから具体的な問題といたしまして、秩序の維持という点から言えば、警察署あるいは警察制度の問題は、この例示の中にはなかつたと思うのでありますが、警察が実際に移管されておるということも事実であります。そういたしますと謄写版刷りの住民及び滞在者云々とありますのが、第一項だけに限られておるという御説明でありますと、たとえばある市町村のある場所に隔離病舎を建築する、それに対して財政上の見地から、もしくは隔離病舎が衞生上困るというような点から反対いたして、その條令改正請求をしようとする場合に、それができるのかできないのかという問題と、それから最近小さな町あるいは比較的大きな村などで、一應は自治体警察をやつてみたのですが、非常に負担がかかる割合に能率が上らないから、これをやめて國家地方警察にやつてもらいたいという意向で、住民の中で自治体警察をやめて國家地方警察にしてもらいたいという意向が相当濃厚であります。そういう警察署、警察制度を自治警察から國家地方警察へ移すという運動はできるのかどうかという問題であります。先ほどの鈴木さんのお話によりますと、この謄写版刷りの住民及び滞在者の云々ということが第一項だけに関係のあることであるとすれば、隔離病舎の反対ができることになりますが、内容の解釈からいえば、そういうことはできないということになりますし、警察制度の問題も、地方公共の秩序の維持という点からいえば、できないことになるようにも考えられるのでありますが、この点明確に御答弁を伺いたいのであります。
  56. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 最初お尋ねの、隔離病舎その他の建築というようなものが第一号の「安全、健康及び福祉」ということに含まれていはしないか。從つて七十四條の地方税その他の中の「滞在者の、安全、健康及び福祉の保持」という問題を解釈する場合には、第一号だけでなく、第六号に揚げました隔離病舎なども含めて解釈すべきであるか、あるいは第一号は第一号だけで解釈すべきかこういうお尋ねでありますが、先ほど申し上げましたのは、法律の字句として申し上げたのでありまして、隔離病舎の設置、管理、維持に関する問題は第六号の問題としてなし得るのではないか。また次にお尋ねのありました警察の問題につきましては、これはほかには警察という点はございませんので、自治体警察にするか、あるいは國家警察にするかということは、これは條例ではきめてない。やはり政令をもつて、たしか指定をしておると思います。從つて法令に特別の定めある問題ということになりまして一應は一号の中にはいります。從つて直接請求はできないということになると思うのであります。
  57. 松澤兼人

    松澤(兼)委員 ちよつと初めのところがわからなかつたのですが、隔離病舎をつくるという條例の廃止要求ができるというわけですか。
  58. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 その通りでございます。
  59. 笠原貞造

    ○笠原委員 時間がありませんから、簡單にお聽きいたします。第二條の中に大分地方普通公共團体仕事が例示的になつておりますが、これを見ますと、「概ね次の通りである。」となつておりますが、これに限定したことになるのか、あるいは「概ね」ということによりまして類推して、これに似通つたことはやはり地方公共團体でできるというように解釈するのか、その点を確かめたいと思います。  それからなお、それに関連いたしまして、一体こういうふうに例示的な規定を設けなければならなかつたところの根拠、それともう一つ第四項に行きまして「司法に関する事務」とか、当然國の事務になつているような事項をできないというふうに規定しておるのでありますが、こういうことがどうして必要なのか、その点も併せて御説明願いたいと思います。
  60. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この第二條の各項目を列挙いたしておりますのは、「前項の事務を例示すると、概ね次の通りである。」というふうに書いてございまして、限定的意味ではないのであります。これは教科書と申しますか、そういう意味をもつて地方團体はこういう仕事をやれるのだ。いろいろ法律制限禁止の規定はあるけれども、そういうことを一應除いて、やれる範囲の仕事を書いてみると「概ね次の通りである。」という意味で、これによつて何ら新たなる増減はないと思うのであります。先ほど申し上げました通り、基本は第二條の第二項で、法律的にびしつときまつておるのでありまして、ここではただその内容を一應わかりよく例示をするとこういうようなものである、こういうわけであります。但し例示をしたからこれをみんなやれるかと思うと、そうではなくて、やはり法令に特別の定めがあればそれはやれない、こういうふうに書いてあるのでありまして、非常に軽い意味、むしろ教科書的意味規定せられたものであるというふうに考えておるのであります。ちよつと速記を止めてください。
  61. 坂東幸太郎

    坂東委員長 速記中止。     〔速記中止〕
  62. 坂東幸太郎

    坂東委員長 速記開始。
  63. 千賀康治

    ○千賀委員 松野さんからも出ておつたのでありますが、この文章なり用語なりが日本語でないので、非常に不愉快です。たとえば「じんかい」というのがかなで書いてある。「じんかい」というのはどういう字をあてはめるかしりませんけれども、おそらくこれはダストということだろう。ダストを「じんかい」としたつて、「かい」の字でもずいぶんたくさんある。これはいろいろ同じような意味を表わす字があると思います。これが漢字制限によつて入れてならないからこうなつたのか。一体なぜこんなことをするのか。また、どこかに「じゆん化」するなどという字があるのですが、これも、川扁に頁を書いたのも「じゆん」だろうし、さんずいを書いたのも「じゆん」でしようし、糸扁を書いた「じゆん」もあるだろうと思います。実際同じような意味の字が非常にあるのですが、こんなかなを書かれて、わかつたようなわからぬような、妙ちくりんな、暗やみで顔を逆に撫でられたような気持で文章を読むのですが、必要であるならば、なぜ一体ほんとうの字をここに入れないのか。また漢字制限でどうしてもそれほど必要な字の表現さえもここにやることができないならば、許された字を使つてこの意味を表わす字をなぜ使わないのか。日本語とはいいながら、数千年來の漢字で形のできた日本字で、「じんかい」とかなで書いてくれたつて、これでははつきりとちりあくただということも考えられないし、殊に「じゆん化」などということは非常にむずかしい。これは漢字から來ておるのであります。かなばかりでいけば、やまと言葉を使えばいい。それは坂東先生のお得意の歌の文句でもみな入れてしまえばかなばかりで済むかもしれませんが、漢字の言葉をかなで表わそうなどということは、およそこんなことは不可能な努力であります。こんなふうなことをやつてもらいたくないのであります。これはどうしてもいけないのか、この点を伺います。
  64. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 「じんかい処理場」という言葉「じゆん化」という言葉、なぜかなを使つたかというお尋ねでございますが、これは、お話のように、漢字制限にひつかかりまして、これは法制局の審査の機会において、そのあとにも「めいてい者」というのもございますが、これはいずれもそういうことからそういうふうなかなを使つたのでございます。それから、今、さらに突つこんで、もつと日本語としてほかの言葉を考えれば考えられはしないかというお尋ね、われわれ不敏にして他の言葉を考えつかないのでありますが、「じんかい処理場」の方は、普通一つの固有名詞的に、じんかい処理場というような言葉を使つておる場合が多いのではないかと思いますので、こういう言葉を使つたのであります。「風俗のじゆん化」というような言葉、これは、もしいいお知恵がありましたならば拜聽いたしたいと思うのでありますが、どうも不敏にして制限にひつかからない適当な字句というものが見つからないものでありますから、こういうふうな規定をいたした次第であります。
  65. 笠原貞造

    ○笠原委員 ちよつと伺います。法令に違反してその事務を処理できない、これは当然なことですが、この自治法もやはり法律ですが、解釈の面におきましては、自治法はいつでも他の法令には讓らねばならぬということになるわけでしようか。たとえば、既存の法令に対しましては、もちろんこれは抵触できないことはわかるが、今後におきまして政令をもちましてどんどんこの内容をかえていくような政令が出せるわけですが、そうした場合において、自治法せつかく法律できまつてつても、なお解釈上他の法令に讓らねばならぬという結果になるものか。その点お尋ねいたします。
  66. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいまのお尋ねはごもつともなことと存じますが、法令に特別の定めがあるときはこの限りでないとか、地方公共團体は法令に違反してその事務を処理してはならないという意味の法令というのは、廣く一般の法令を申しておりまして、特に地方團体をめざして規定したのではなく、一般的に、人が、あるいは私法人が行動いたします場合に、ある制限を設けておるというような規定がありましたならば、地方團体が行動いたしますときにも、それに違反してはならないという意味でございます。これに反して、地方團体の事務自体を、地方團体の組織なり財政なり、あるいは地方團体が処理すべき事務自体について規定いたします場合には、法律もしくはこれに基く政令でなければならないということになるわけであります。そういう考え方規定をいたしてある次第でございます。
  67. 笠原貞造

    ○笠原委員 ちよつとわかりにくかつたのですが、私が質問申し上げましたのは、今公共團体が、電氣事業とか、ガス事業とか、電車とかいうようなものは、他の法令に基かなければできない、制限受けるということは当然のことですが、そうしたものを今後何か政令をもちましてやつたような場合にどうなるか。たとえば自動車の事業をやつておつたのに対しまして、せつかくこの自治法に上りまして自動車事業ができる、しかも今の自動車業法の法令に從つてつておつた。それに対しまして、政令をもつてそれに対して制限を加えることができるかどうかという点をお伺いしたわけであります。
  68. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方團体の処理しております事務を取上げること、あるいは新たに地方團体に対して事務を委任すること、これはすべて法律もしくは法律に基くところの政令でなければならぬと思うのです。今のお話しの点、自動車海送事業法等においてそういう事項が命令なりあるいは政令に委任せられておりましたならば、それはすることができるのでありますが、もしそういう規定法律にないのならば、独立の政令をもつてはこれをやることはむろんできないと思うのであります。また命令でも同様であります。ただ地方自治法としては、法律に基く政令でなく各省大臣の命令によつて、事務の委任をしたり、その委任を取止めたりすることはこれはやはり望ましくない、やはり法律政令に止めておきたいというのが精神でありまして、むろん特別の法律で大臣の命令で地方團体にある事務を委任する、あるいはその事務を取上げるということが法律の根拠がある以上は、地方自治法と同等でありますから、できないことはないのでありますが、地方自治法としては、將來地方國体に事務を委任したり取上げたりすることは、法律または法律に基く政令というふうに限定をしたいというのが地方自治法のねらいの考え方でございます。
  69. 笠原貞造

    ○笠原委員 大体それはわかりましたが、今の「めいてい者」という問題ですが、これは今まで警察あたりが行政執行法あたりでやつておつたのですが、そういうふうな酩酊者を警察なら警察に止めておくことができるというようなことまで條例できめられるかどうか。その点ひとつお伺いいたします。
  70. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいまお尋ねのございました点は、酩酊者を救助しもしくは保護するということが、第九号の事務の内容として規定してあるわけでありますが、これはやはり法律におきまして特別にそういうことを地方團体がしてはいけないというようなことが規定してない限りにおきましては、地方團体條例をもつてそういう酩酊者を救助保護するための條例を設ける、それにまた何らか制限を設けて、違反者に対しては法律定め限度の刑罰を規定するということは可能であると存じます。
  71. 門司亮

    門司委員 二百四十三條の二に「普通地方公共團体住民は、」と書いてありますが、住民の定義について、一應伺いたいと思います。これは何も定義がなくてただ住民ということでありますので、一切の住民を含むかどうかということを伺います。
  72. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 二百四十三條の二は、御指摘のように、ただ裸で住民ということになつておりますので、日本國民であると否と、また老若男女を問わず、また選挙権の有無を問わず、およそ住民であるものはみな入るという立て方でございます。十條に住民は二の法律定めるところにより、その負担を分任する義務を負うとございまして、負担はやはり外國人たると否とを問わず、また老若男女を問わず、住民である者はこれを分任する義務があるのに、対應いたしまして、自分たちが地方團体を維持するために出した税金、その他の醵出によつてできた公金が違法不当に費消せられるということについて、非常に大きな関心をもつのは当然である。納税者としては、そういうことを考えるのが当然であるというところから、納税者の権利としてこういうようなことを規定いたした次第でございます。
  73. 門司亮

    門司委員 さらにもう一つ聽きしたいのは、そうなつてまいりますと一般住民規定と、同時にたとえば他の公安委員の彈劾であるとか、公務員に対する彈劾であるとかいうようなものについては、選挙人の何分の一というような規定が設けてあるのでございますが、この規定によりますと、だれでもできることになつておりまして、非常に惡意に解釈いたしますと、事務の煩雜を來すおそれがないとも限らないのでありますが、この辺についての御解釈をお答え願いたいと思います。
  74. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 いろいろ解職請求でありますとか、解散請求でありますとか、あるいは選挙というような自治行政にさらに突つこんで参與をする権利、いわば参政権というものは選挙人に與える。しかし租税負担者として、自分の出した金の使い方について異存があります場合、直接的な何らかの発言をする方法をもつということは、むしろこれは当然の欲求ではないだろうかというところから、こういうような規定を設けた次第でございます。選挙権とか解職解散請求権というように、團体自身の機関構成に対して発言権をもつというのではなくて、直接に自分たちが出したその金の行方について監査請求をするということでありまして、やはり納税者としては、この程度の権利をもつことは、やむを得ないと申しますか、認めることがむしろ適当なことではないかと考えた次第であります。
  75. 坂東幸太郎

    坂東委員長 本日はこれをもつて散会しまして、來る二十五日に開会することにいたします。     午後三時五十一分散会