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1948-05-06 第2回国会 衆議院 治安及び地方制度委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年五月六日(木曜日)     午前十一時三十三分開議  出席委員    委員長 坂東幸太郎君    理事 松野 頼三君 理事 門司  亮君    理事 高岡 忠弘君 理事 中島 茂喜君    理事 小暮藤三郎君       大内 一郎君    大澤嘉平治君       大村 清一君    坂田 道太君       千賀 康治君    中島 守利君       笠原 貞造君    菊池 重作君       久保田鶴松君    松谷天光光君       坂口 主税君    高橋 長治君       中垣 國男君    加藤吉太夫君  出席國務大臣         國 務 大 臣 船田 享二君  出席政府委員         総理廰事務官  鈴木 俊一君         運輸政務次官  木下  榮君         運輸事務官   大久保武雄君  委員外出席者         專門調査員   有松  昇君     ————————————— 五月五日  地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、  海上保安廳法第二條規定による海上保安廰  の事務所設置に関し承認を求めるの件(内閣  提出)(承認第三号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  濱松市の治安問題についての視察報告に関する  件  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提  出)(第四一号)  地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、  海上保安廰法第二條規定による海上保安廰  の事務所設置に関し承認を求めるの件(内閣  提出)(承認第三号)  地方出先官廰整理に関する件     —————————————
  2. 坂東幸太郎

    坂東委員長 これより治安及び地方制度委員会を開会いたします。  本日の日程地方自治法の一部を改正する法律案並びに地方出先官廰整理に関し当局より説明を聽取いたします。  なおちよつと申し上げますが、この間運営委員会決議によりまして、速記は同時三本ということに制限されております。今日は三本以上ありますけれども、特に出しておりますので、でき得る限り十二時をもつて休憩にしてもらいたいとの希望でありますから、さよう御了承を願いたいと思います。  それでは地方自治法の一部を改正する法律案につきまして質問をお願いします。一般でもあるいは部分でも結構でございます。
  3. 松野頼三

    松野委員 具体的な例を一つ申し上げて御質問いたしたいと思います。それは昭和十七年に鈴鹿といふ区域が二町十二箇村を合併して新らしい都市をつくり、いわゆる軍國都市としての設計を始めたのでありますが、現在の状態に至りますと、その二町十二箇村の地域の廣さから申しますと、大体旧東京二十三区に当るという厖大な地域の中に二町十二箇村が不自然なる合併をいたし、住民はほとんど現在の状態では分離及び復帰を望んでおる状態でありますが、この場合今度の改正によりいかなる方策により、またその住民投票はどういう形式の住民投票になるかということを御説明願いたいと思います。
  4. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいま御質問のありました点につきまして、正誤がございますので、まずそれを申し上げまして、その後にお答え申し上げたいと思います。  今お話のありました問題は、附則の第二條の点でありますが、附則二條の一番初めの行のところ、この法案の十三ページでありますが、「昭和十二年七月七日から同二十年九月二日に至るまでの間において、市町村境界変更」となつておりますが、その「境界」は「区域」の誤りであります。それから十四ページ初めから七行目のところに、「前項の場合において第一項の市町村境界変更に伴い」となつておりますがその「境界」というのがやはり「区域」であります。それからそのすぐ下の方に、「処分した財産があるときは、残存する」とありますのは「現に存する」の誤りであります。「現に存する市町村は、これが現に存する限度において、議会議決を経て境界変更」とありますのは、「その」の誤りでありまして、「その変更に係る区域が」云々ということになるわけであります。  今お尋ね鈴鹿市でありますが、これはあそこに大きな軍関係工場ができるということで、それを中心として一つ軍事都市をつくろうというのででき上つたように記憶しておりますがその合併の根本的な理由になりました点が、今日では失われておるように思われるのであります。具体的に鈴鹿市において昔の形態に復帰することを望んでおるかどうか、それは存じませんが、そのような場合におきましては、附則二條規定によりまして、前の二町十二箇村に復帰することができるわけであります。その手続といたしましては、今の場合でありますと、鈴鹿市の区域の中にあります住民がそれぞれ選挙権者として選挙人名簿に登載されております者の三分の一以上の連署をとり、選挙委員会にその書面を出し選挙委員会選挙人名簿にはたしてみな正当に登録されておるものかどうかを調べまして、現実に三分の一以上の署名を集めておるものならば、今度は全体の投票にかけまして、その投票過半数承認賛成投票がありましたならば、それを選挙委員会から知事の方に報告をいたします。知事臨時縣会議決を経て前通りの二町十二箇村を置くという処分をすることになるわけであります。そしてこれを内閣総理大臣報告いたしまして、内閣総理大臣が告示をいたすわけであります。大体そういうような手続で今のような場合におきましても分離が行われ得るように相なつております。但し、この法律通りましてから二年以内に限る、それを過ぎますと今のようなことはできないわけであります。
  5. 大澤嘉平治

    大澤委員 昭和十二年の七月七日から二十年の九月二日に至るまでの間における市町村境界変更に関する調べ、この調べによりますと、栃木縣佐野市ははいつていないのであります。それをお伺いしたいのは、栃木縣佐野市は昭和十八年に六箇町村合併しましてできたわけですが、それに對して現在合併町村のいろいろの意見がありまして、ときによれば分離云々というような意見もあるようでありますがその点はこの調べにないから、分離ができるかどうかということをお伺いしたいと思います。
  6. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 お手もとに差上げました資料は、いささか不十分でございまして、大体ここに掲げましたものは、市の中に隣接町村を編入した場合、たとえば沼津市に隣接の金岡村でしたかそういうものを編入したこいう場合のことを例記したのでありますなお、そのほかにただいま出ました鈴鹿市、あるいはお話佐野市のような数箇町村が対等の立場合併をして、新しい市をつくり上げたというものもこのほかにあるわけであります。それらはいずれも対等の立場合併したのでございますから、その後におきましても割合に問題が少い。もちろんお話のような二、三の所々はありますけれども、割合に少いのであります。一番問題が多いのは、やはり市に隣接町村合併して、しかも合併の目的でありました軍需工場がその区域にでき上るということがなくて済んでしまつたしあるいはできたけれども戰災でその軍需工場が燒けてしまい、終戰後は依然として純農村形態で進んでおる。しかしその團体の通常はやはり市を中心にして行われておるから、その純農村区域は一本立ちでわかれたいというところに問題が非常に多くありますので、そういうものをこの資料の中に掲げておるのであります。しかしこの規定が適応されますのは、そういう場合だけではなく、合併の場合でも、もちろん適用があるわけであります。そこで御参考までにどのくらい該当件数があるかと申し上げますと、戰時中に合併しましたもの、今の鈴鹿市とか佐野市のような例でありますが、合併して市になりましたものが二百八件あります。それから沼津市に隣接町村を加入したというような、吸收編入しました例が百八十八件あります。合わせて三百九十六件あるわけであります。なお関係市町村の総数は千二市町村あります。新しく市を設けた場合の関係町村は六百六十一、それから市に編入いたしましたものが三百四十一、合わせて千二市町村という状態であります。
  7. 大澤嘉平治

    大澤委員 そうしますとただいまお伺いしました栃木縣佐野市は採決によつて、この法案が成立した場合は、もとの六箇町村分離することを、政府として認められることになりますか。
  8. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この法案が成立いたしますれば、栃木縣佐野市ももちろんこの第三條の規定適用によりまして、前の形にもどることができるわけであります。もしも前の形でなく、前と異つた町村、たとえば六箇町村集まつておりましたのを、三箇町村にする。要するに新しい町村を三つつくるというような場合には、この第二條手続でなく、本來の地方自治法の第七條の手続によりまして、普通の合併手続でいかなければならぬわけでありますが、從來の形に復帰する場合には第二條規定適用するということになるわけで拠ります。
  9. 門司亮

    門司委員 新しく規定されておりますもののうち、地方公共團体は、條例で定める特に重要な財産または営造物についての処置に対する條文が含まれておるのでありますが、「特に重要な」というのはどの範囲を指しておりますか。なおそれに引継いて少しお伺いしたいと思いますが、まず最初にその点をお尋ねしたい。
  10. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 特に重要な財産営造物使用許可あるいは処分というもので、独占的な性質を有するものは、一般投票に付さなければならぬというのが、二百十三條の二の規定でございます、どういう種類のものがそういう最も丁意手続でやらなければならぬか應申しますと、これはそれぞれの團体の実情に應じて、條例て定められることになると思いますが、最も典型的な例を大都市について申しますれば、たとえば市が経営しておりまする市電を全部特定会社に賣り拂つてしまう。あるいは市有ではあるけれども十年以上にわたつて特定会社にその経営を委託するというような場合が今の使用許可に当るのではないかと思います。農村等になりますれば、たとえば村有林を全部賣り拂つてしまう、あるいはいろいろな村有市場等経営を十年以上にわたつて特定團体委託経営するという場合が該当するのではないかと思われるのであります。
  11. 門司亮

    門司委員 それは非常におかしいのでありまして、條例出席議員の三分の二以上の賛成がなければできないという規定は、一應もつともだと思いますが。今の答弁によると、非常に重要な問題だということになつておりますが、この條文の中には請負工事が含まれておる。これらの問題は非常に政治的ないろいろな動きをもつ可能性をもつておると思いますので、ただ條例でどの程度範囲まできめるか、予算面に対するどのくらいの範囲かということが大きな問題になると思います。往往にしてこういう面から問題を起す場合がある。こういう條例できめられた場合には一般投票に付さなければならぬということになると、地方自治体のあり方については非常に煩雜市町村ができるじやないか、反面また非常にルーズな市町村ができるじやないかというような関係地方自治の上に均衡のとれないものをこしらえるではないかと考えております。そういうわけで実は質問したのでありますが。事業関係の面はどの範囲までお考えなつておるか、伺いたい。
  12. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいまお話を申しました点は、二百十五條の解釈で「特に重要な財産又は営造物」というものがどういうものかということを御説明申し上げたのでありますが。今度の改正財産営造物処分等につきまして非常に手続が煩雑になつてきておりまするが。その概略をもう少し申し上げますと、九十六條の議会議決事項のところに「條例で定める財産取得又は処分及び営造物設置又は処分をすること」というのが一つはいつております。これはやはり、今まで財産取得処分営造物設置処分というようなことは、知事限りで、あるいは市町村長だけでやれるようになつておつたのでありますが、この九十六條の七号の規定を入れまして、それほど重要ではないけれども、さりとて知事市町村長だけで、執行機関の専断でやるのはどうも適当であるまいという程度財産営造物取得処分というようなものは、議会過半数議決でやつていく。それから、もう少し重要性をもつてきたものになりますと、やはりこれも條例範囲を定めまして、二百十三條の第二項のところでありますが、出席議員の三分の二以上の同意が必要になつてくる。それからもつと重要なものになつてまいりますと、その前段のところで、一般投票過半数賛成がなければいけない。こういうことになるのであります。從つて、同じ林産営造物処分でありますとか、使用許可等につきましても、程度の軽いものは執行機関限りにおいてやれる、その次に程度の重いものは議会議員過半数議決で、その次に重いものは三分の二以上の議決を要する。最も程度の重いものは、先ほど申しました市電の賣拂いとか委託経営というようなことは一般投票できめる、こういう段階になつておるわけであります。そこで、そういうきめ方がそれぞれの地方國体で区々になりはしないかという御心配はごもつともであると思います。私どもも、そういう点は非常に心配いたしておるのでございますが、これは、施行になります前に、できるだけ新しい法律周知徹底期間を與えていただくようにいたしまして、その期間にそれぞれ適正な標準のようなものを示しまして、誤りがないようにいたしたいと存じておる次第であります。
  13. 門司亮

    門司委員 もう一つお伺いしておきたいと思いますことは、この中にありまする二條の第十の問題でありますが「森林牧野土地市場」というような字句がずつと並べてあります。この、「土地」の解釈でありますが、これについては、適当と認められる收益事業を行うことができるというようになつておりますが、この土地はどういう土地を指しておりますのか、一應御説明を願つておきたいと思うのであります。ただ「土地」と書いてありまして森林牧野とわけてありますが、農地であるか、市街地であるかというようなことは、ここではわけていないのであります。從つてこの「土地」の解釈を御説明事願いたいと思うのであります。  さらにその項の十九のところに「当該普通地方公共團体区域内の公共的團体等活動」と書いてありますが、この「公共的團体」ということの解釈をなお御説明願つておけば結構だと思います。  それからもう一つは、七に「風俗のじゆん化に関する事項を処理すること」と書いてありますが、この「風俗のじゆん化」というのは、いずれのものを指しておりますか、御説明を願いたいと思います。
  14. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 最初お尋ねの十号の「土地」でありますが、この土地と申しますのは別に限定をいたしておりませんで、森林とか牧野とかに該当しないその他の土地というのが形式的な意味でございます。しかし多くは市街地等における土地の所有を中心として行う收益事業ということになるのであります。たとえば、神戸市等におきまして市有土地をもつてつて、それを一般に貸與するというような一つ收益事業があるように聞いておりますが、そういうふうなものがここに入ると思うのであります。ただ、收益事業を何でもやれるということになりますと、やはり地方公共團体という一般性格から申しまして、いささか疑問がありますので、「公共の福祉を増進するために適当と認められる收益事業」という一つ條件を附しておるわけであります。  それから、十九の「公共的團体」の意味いかんというお話であります。これは公共的活動をするところの團体、こういう意味でありまして、單に公法人のみには限定せられないのであります。私経済上の活動をする國体でありましても、その活動の影響が公共の利益に関係ある場合には、その活動について相互衝突矛盾のあります場合にこれを調整する、こういう意味であります。但し、公共的團体の中には、地方公共團体のごとく、法律によつて一定活動の基礎を與えられておるものが、それに從つて活動するという場合は、これは入らぬわけでありまして、要するに、そういう法律による特別規定がない場合におきまして、任意当該地方團体公共的團体活動を調整する、こういう意味であります。  それから七号の「風俗のじゆん化に関する事項」でありますが、これは保健衞生あるいは文化というような見地から、地方團体におきまして、ある行為の制限をする條例をつくりまして、その條例施行するというのがこれに該当することになると思います。その前の方にいろいろ例示がございますが、それ以外の風俗醇化に関する事項ということでありまして、これは、今日では考えられませんが、戰爭中に、たとえば、もんぺをはくというようなことを市町村條例によつて一つの制服みたようなものにきめたといたしますならば、それを施行することがこの「風俗醇化に関する事項」に当るというふうに考えられるのであります。いかなる事項を具体的に取上げるかは、当該團体の自由に考えることになると思います。
  15. 門司亮

    門司委員 なおこの項て聽いておきたいと思いますことは、今の説明で大体わかりましたが、風俗のじゆん化に、関する事項というようなものは、非常にこれもめんどうな問題を起しやすい問題だと思います。おそらく自治体風俗のじゆん化に関する事項がありましても、こういう風俗をしろとかああいう風俗にせいとかいうようなことは実際問題としては非常に困難だと思います。またその面から考えまして、あるい活動的であるというような言葉を使われましても、それが必ずしも民主的でない、強制的なようなものになりやすいことができはしないか。殊に前に列記してありますような公衆衞生であるとかいうような問題は、これは一般的な問題でありますから大して文句はないと思いますが、この点についての取扱い等につきましても、非常にむずかしい問題を起しやすい関係をもち得る字句だと思います。この字句について、ただいまの説明のほかに、何かもう少し突つこんだ意見、あるいはお考えがあつたかどうかということを、くどいようですが、さらにもう一應お聽きしておきたいと思います。
  16. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この「風俗のじゆん化に関する事項」というのは、いささか言葉が抽象的でありまして、その眞実の内容を捕捉するのに非常に困難と考えられます。われわれもいろいろ言葉考えたのでありますが、遺憾ながら適切な言葉が発見できませんで、このような言葉使用いたしたのでありますが、今設例として申し上げましたことは、いささか適切な設例ではなかつたと存じます。そういうある服装その他について一定の型をきあるというような意味統制をすることは、これはやはり憲法のいろいろな規定の本旨から申しまして、相当無理があるでございましようが、自治体性格からいつて許され得る限度において、またいろいろな法令規定に違反しない限度においてこれらの問題を取上げて処理することができるという意味でございまして、今あげましたような例が法令に違反をしているのであるということになりますと、この五ページに、地方公共團体は、法令に違反してその事務を処理してはならない。その法令に違反して行つた地方公共團体行為は無効であるということで、やはりこれは裁判問題になり、その條例が無効であるということになるわけでありまして、そういうようなことによつて行過ぎの條例等の是正の方途は別に請じてあるわけであります。必要がなければ強いてこういう風俗のじゆん化に関する事項を処理しなければならぬということはないのでありまして、そういう現実の必要が起つたときに、そういうこともやればやることができるという意味で、五ページにあげただけの意味であります。
  17. 門司亮

    門司委員 これは直接この條文関係のないことでありますが、当局においては、たとえば市町村相互扶助関係についての何かお考えがあるかどうかということであります。私が申し上げたいと思いますことは、たとへば、町村が今財政的に非常に困つております際に、市町村の金庫を設けるというようなことが、地方財政委員会の方の意見として大藏省に出されておるというようなことも聞き及んでおりますがそれとは別に、地方自治体相互関係扶助をなし得る規定を設けられる御意思があるかどうかということであります。それは具体的に申し上げますと、たとえば火災状況等考えてみますときに、今の火災保險は非常に高い料金でありますのと、同時に、一旦火災がありました場合には、非常に大きな負担町村にかかつてまいりますので町村といたしましては火災保險料金が高いと考えておりましても、やはり保險をつけないわけにいかない。同時に保險料が非常に高いことが原因して、往々にして保險が十分につけられないような町村建物がありはしないかと考えられる。そうして一たび火災なつた場合に、その市町村負担はことさらに大きなものを背負わなければならぬということが、現実の問題として今の日本の、殊に貧弱な町村の中には多いと思う。それらを相互的に救済する意味でそういうものが市町村共同の組合の形においてできるというようなことができれば幸いだと思います。これについて私ははつきりまとまつた意見をもち合わせておりませんので、非常に抽象的てはありますが、端的に申しますと、そういうことが自治法の中に織り込まれるということがいいか惡いかということであります。その辺の御見解を承りたい。
  18. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方團体、殊に財政力の貧弱な町村等におきまして相互救済のいろいろな施設を共同でもつことは、趣旨としては非常に結構なことだと思うのであります。地方國体の今後の問題といたしましても、地方團体が所有いたしておりますいろいろな建物火災等がありました場合の相互救済仕事等共同でいたしますということは、最も適当な仕事一つではないかと思います。
  19. 笠原貞造

    笠原委員 二條の三項の新しく追加された中に「規制すること」とあるが、「規制」というのは、條例を設けて何か制限できるといふ趣旨でしようか。
  20. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これはお話のように條例等によりまして、たとえば道路使用する場合に道路を損壊するような用い方をしてもらつては困るから、道路使用はこの程度でなければならぬ、道路を損壊するような使用の方法はいかぬというようなことを、使用に関する條例の中で設けるというのがこれに該当します。
  21. 坂東幸太郎

    坂東委員長 これで休憩しまして、午後一時から開会いたします。     午後零時五分休憩      ————◇—————     午後二時五分開議
  22. 坂東幸太郎

    坂東委員長 休憩前に引続いて会議を開きます。  日程に入るに先だちまして報告事項があります。それは浜松騒擾事件につきまして、過日委員派遣を請求いたしましたところ、当時は都合により留保となつておりましたけれども、わが委員会はこれを十分知る必要がありますので、坂東委員長門司理事千賀委員の三人が出張して調べました。その調査に崎川書記が一緒に参つておりましたから、崎川書記より代つて報告朗読をいたさせます。     〔書記朗読〕  浜松事件調査報告をいたします。  終戰後の顯著な動向として敗戰の結果、いわば國家全体が一つのわくの中に置かれ、さらに民主化の進行とともに國家統制力が弱まり、かくて國家による法的統制の裏側を一行く諸集團すなはちテキヤ博徒團体不良青少年團等々の横行跋扈を見るに至つたことは周知通りであります。しかしてその集約的事例が先般浜松に発生せる日鮮人間の騒擾事件でありまして、浜松事件は、一部日本人対一部朝鮮人の單純なる私闘にあらずして、日本社会秩序を正しく健全に組み立て直す上において、その根本にかかわる重大問題であります。さらに、本騒擾事件警察法施行後における大規模な集団闘争事犯として國家自治警察間の連絡共助その他両警察の運用上幾多の課題と貴重な示唆を與えられるところ多かりしものであります。  ここに、本委員会は、事の重大性に基き、調査團派遣決議をなしたのであります、坂東委員長門司理事千賀委員は崎川書記を帶同し二十日現地に到着、翌二十一日午前、午後にわたり、新警察法の運営状況を中心として詳細なる調査を試みました。二十日は簡單なる予備的懇談に終り、二十一日は午前から午後二時にかけて坂田濱松市長、市公安委員長廣田氏ほか公安委員、齋藤浜松警察署長ほか関係各位十五名と隔意なき懇談を遂げ、同二時半、要請により調査團は在日朝鮮人連盟静岡縣本部委員長李季白氏ほか二名と会見し続いて元小野組々長縣議小野近義氏ほか一名と会見し事情を聽取しました。さらに在浜松新聞記者團の要望に基き、縣加藤警察長をまじえ、本事件に対する記者各團位の忌憚なき所見を聽取しました。  さて以上の調査を通じて得られた事件の外貌並びに警察措置は次のごとくであります。  事件発生の原因でありますが、まず遠因について述べますと、かねてより浜松市内においては、いわゆる暴力團と目さるる元小野組に対し一部朝鮮人の勢力、急激に増加し、相対立していた模様で、その間にあつて元小野組親分小野近義氏は、数回にわたり朝鮮人日本人のけんかの仲裁をなしたが、これが結果はいずれも朝鮮人側の不満を買つておりました。また一般市民においては、終戰後とみに激増せる一部朝鮮人の横暴に対しては、恐怖の念を抱く者、あるいは復讐の念を企つる者があり、結局両者の勢力争いに基因して本事件は惹起したものと認められます。  近因といたしましては、四月四日朝鮮人主催により開催したダンス・パテイに、元小野組子分たりし楽土が欠勤し、ためにパーテイは流会のやむなきに至つたのでありますが、朝鮮人側はこれを小野組親分小野近義氏の妨害によるものと誤解し、激興の結果、同日午後五時ごろ市内鍛冶町百四十一番地小野興業社社長縣議小野近義氏方に朝鮮人新村隆夫外数名が乱入し、同店舗ウインド・ガラスその他家屋内器物を損壊するの暴挙により本事件が発生したもであります。  事件の概要は、第一回、当日四月四日、前記小野方を引き揚げた朝鮮人側は、浜松市旭町國際マーケツト(責任者 呉判述)附近に集結し、午後十時ごろ同市大工町元小野組輩下香具師本宮末吉方へ朝鮮人金彰石ほか六名が拳銃を擬して、乱入、同家及びその器物を破壊するに至り、小野組子分も猟銃をもつてこれに対抗し、双方次第に人員を増進し、遂におのおの約五十名くらいが市内田町、鍛冶町、傳馬町の各中心街において相互に発砲乱闘するに至つたものであります。この事件において、朝鮮人側は一名の被害者を出しております。  第二回目は、第一回乱闘事件警察官の出動により四月四日午後十時四十五分ごろ一應鎮静に帰したのでありますが、翌五日午後五時ごろ、双方とも各地より應援者來浜し、再び不穏の状態に立ち至り、午後七時二十分ごろ、朝鮮人側数名が小野近義氏方に至り拳銃を発射したため、これを契機に双方おのおの約二百名くらいが同市内千歳町、旭町、鍛冶町、田町その他市内中心街各所において発砲撃ち合いをなすとともに、建造物、器物等を破壊するに至つたのであります。  これに対する警察措置について申し上げますと、第一回、所轄濱松市警察署においては第一回四月四日夜の事件発生と同時に甲号非常召集を発令し、全署員を召集し、浜名地区警察署に應援を要請し、武装警察官五十名を乱闘現場に急派して拳銃の威嚇発射により事件の鎮圧につとめたのであります。午後十時四十分ごろ一應鎮静せしめることを得たのでありますが、同夜は暗夜のため被疑者はいずれも逃走し一名も逮補するに至りませんでした。該事件の銀座及び搜査に出動した警察官は、浜松警察署員百六十名、浜名地区警察署長三十五名であります。  浜松警察署においては、状況なお險惡化を慮り、朝鮮人連盟浜松支部委員長李季白及び元小野組責任者に対し警告を発し、かつ嚴重警戒に努めました。  第二回。翌五日午後五時ごろに至り沼津、熱海、名古屋、豊橋その他各地より双方來援者の集結されつつあるとの情報を得て、再び險惡化したため、濱松市警察署においては全署員を召集し、各要所に急派して拳銃その他戎凶器の檢問を開始するとともに、警戒員及び情報收集係を各所に派遣中、再び発砲による乱闘が開始されるに至つたであります。浜松警察署においてはさらに浜名地区警察署に対し、應援方を要請し、これが鎮圧と檢挙に努めた結果、午後十一時三十分ごろに至りようやく鎮静したが、同日より翌六日早朝までの間に六名の容疑表を檢挙いたしました。  該事件の鎮圧及び搜査に出動した警察官は、濱松市警察署百六十名、浜名地区警察署三十五名、縣加藤警察長及び縣本部人事装備、搜査、警備各課は、事件重大性に鑑み、六日午前二時ごろ濱松市警察署に至り、浜松市公安委員会及び濱松市警察署長、浜名地区警察署長等とともにこれが対策を緊急協議の結果、警備警察官應援派遣計画を樹立するとともに、警備取締本部を設置し、國家地方警察静岡縣各課を初め、各署より同日午後一時ごろ百十名の警察官の派遣をなし、合計約三百名の警察官をもつて嚴重なる警戒取締りと家宅搜査実施の結果、漸次平静に復帰するに至つたものであります。  この事件に対し連合軍部隊が出動しております、六日午後九時二十分には岐阜二十四連隊カーナー少佐以下百七十二名が來浜、警戒に当りましてたが、事態平穏となつたので、一部三十五名を残して帰隊いたしました。さて本事件の発端より終末に至るまでの過程を観察して見まするに、左記の諸点に対する反省と考慮が必要と考えられるのであります。  その第一といたしまし、新警察制度の実施に伴い通報連絡並びに應援要求において自治体相互間に援助要求をなし得る法的の根拠なきため、幾多の困難が発生したこと。  第二に、警察がこの種暴力團、不良徒輩の取締りに対し、十分なる執行力をもち得なかつたこと。そのよつて來るゆえんとしては、警察力が貧困であり、武装化せる暴徒の集團を鎮圧するに足る人と武器その他機動力を有しなかつたこと。  なお参考までに申し上げますと、静岡縣におきましては國家警察十四、自治体警察六十一、計七十五の小警察署にわかれておりまして、一署平均警察官は三十数人であります。國家地方警察は、総員七百四十四名で、縣下十四の警察及び本部に分散しておりまして警察力の急速なる統合が非常に困難な状態におかれております。なお武器について申し上げますと、拳銃は四百十二挺でありまして、大体六人に対し一挺の割合でありますけれども、これはただいま申し上げました七十五の警察署に分散しております。從つて、この事件に対し必要なる武器を僅少なる時間に整備いたしますことは非常に困難な状態にあります。次に静岡縣における拂下げジープはどうかと言へば十台でありまして、浜松市には國家地方警察浜名地区に一台あるだけであります。  第三に、警察官の新警察法に対する理解の不足に基く取締りに対する消極性。第四に、國民の新警察法に対する認識の不足による警察への非協力、第五に、朝鮮人の取締りに際しては、日本の裁判権行使がなし得るにもかかわらず、いわゆる第三國人視してその執行に適切を欠いたこと。第六に、警察官の執行力の弱体化については待遇その他の問題がありますが、地方財政法の施行が遅れているため、すべてのことが臨時的措置たらざるを得ないこと第七に、樺山警備部長の言に反し公安委員会は五日午前九時開会していること。第八に、都道府縣としての非常事態宣言の規定を要望する陳情があつたこと。以上の諸点であります。  報告を終ります。     —————————————
  23. 坂東幸太郎

    坂東委員長 それでは日程に入りまして、地方出先官廳整理に関し当局より説明聽收の件、船出國務大臣からお願いいたします、
  24. 船田享二

    ○船田國務大臣 地方出先機関の整理の進行状態につきまして御説明申し上げます。  三月五日に本委員会でおつくりになりました地方出先行政官廳廃止案につきましては、行政調査部といたしましても、密接な御連絡をとつてまいつたことでもありますので、できるだけこの案の実現を早めたいと考えまして、各方面と折衝いたし、あらゆる努力をいたしてまいつておる次第でありますが、おつくりになりました案の中で、調整事務を取扱うための出先官廰に関しましては、それを急に廃止することは、統制行政が行われている限り、非常に困難な——困難と申しますよりも不可能な状態にあります。從つてこれを廃止するためには、むしろ根本的に統制をするかどうか、あるいはまた統制範囲をどうするかというような問題に関する檢討をいたさなければなりませんので、その方面の檢討を促達することに努力をいたしております。從つて経済安定本部関係、また物價廰関係及び商工、農林関係の出先機関につきましては、すぐ廃止するというような決定は、しばらく見合わせた方がいいのではないかという意味で、留保いたしました、殊に農林省関係の木炭事務所につきましては、今申し上げたような理由以外に、農林省におきましてこの機関の機構及び運用に関して再檢討を加えつつある最中でありまして、きわめて近い機会に経済安定本部とも連絡をとつてその成案ができるはずになつておりますので、その成案につきまして、行政調査部の方からも意見提出いたしたいというやうな意味からその廃止を決定することについては、しばらく見合わせた次第であります。これに対しまして運輸省関係道路運送管理事務所については、目下運輸省において監督と現業との分離、予算的にもまた機構の上からも、これを分離するという案が檢討され、進められつつありますので、問題の道路運送管理事務所につきましては、地方鉄道局との関係において、その監督と現業との分離の問題解決のために整理する必要があり、これに関して再檢討を加えつつあるような状態でありまして、その案の作成中に急に廃止するというようなことも、不穏当と考えられますのでこれまた今申し上げた木炭事務所と同じような意味におきまして、運輸省に対しては、できるだけその案の作成を急ぐように督促いたしまして、しばらく留保いたしておるような次第であります。  こんなふうにいたしまして、過日残りましたいろいろな地方出先機関につきまして、できるだけ早く閣議の決定も得て方針を定めたいと思いまして、それに努力しつつある次第でありますが、そういうような次第でありますので、今のところ行政調査部の方からつくりました案としては、総理廰部内の建設院建築出張所、それから建設院地方駐在所を廃止して、建設院建築出張所の事務の中で建築物等の許可に関する事務は都道府縣に委讓してはどうかそれから文部省関係といたしましては教育施設都道府縣出張所、これは四十六箇所ありますがこれも廃止すべきではないか。それからちよつと申し落しましたが、文部省の大阪出張所というのが本委員会の案の中にも廃止すべきものとしてあげられておりますが、これはむしろ大阪その他の地方の便宜のために、地方の要望に從つてつくられたものであります。他の出先機関に関するものとは違いまして、逆に大阪その他の府縣から設置を要望してまいつておるような次第でありまして、また文部省としてこれを存置しても、また廃止しても、予算的に何らの関係もないという次第でありますので、これはむしろ存置すべきものではないかというふうに考えております。從つて文部省関係といたしましては、今申し上げました教育施設局都道府縣出張所だけについて廃止を考えたいと思つておる次第であります。これに対しまして労働省関係の各出先機関に対しては、目下労働基準法の完全な実施を必要とする建前から、また失業問題、失業救済の対策というようなことが、全國的に、統一的に行われなければならないというような建前から、労働省の関係からしばらくそういう廃止とか何とかいう論議を見合わせてもらいたいという非常に強い要望がありまして、行政調査部とも交渉中でありますので、おそらくこれは急に廃止することは不可能なのではないかという情勢にあるのであります。いずれにしても行政調査部といたしましては、この委員会でつくられました案の中で、そういうような特殊なやむを得ない事情がありますものは上ばらく除きましても、また必ずしも何も地方行政機構の廃止を全面的に、一時的に行うという必要もなくできるものから次々に行つてつてもいいというふうに考えまして、いわば第一次的な案といたしまして、今申し上げましたようなものの廃止に努めるつもりで努力を続けておる次第であります。  また本委員会の案に載つていないものについて問題となりますのは、厚生省関係の都道府縣防疫駐在官、それから防疫関係の地方駐在官、それから國立公園管理所というようなものが問題になるのであります。最後の國立公園管理所は、まだ設置されておりませんが、こういうようなものが問題になりますので、目下これにつきましては厚生省関係とも打合わせておりまして、なるべくこれを廃止するようにいたしたいというふうに考えておりますし、また管理所につきましては、その設置を見合わせるようにしたらどうかというような案を立てております。  この地方出先機関の整理に関しましては、いろいろと各方面との関係がありまして、非常に困難な問題でありまするが、行政調査部といたしましては第一に、少くとも今申し上げたような範囲においての整理案をできるだけ早く実現するようにいたしたいと思いまして、目下努力いたしている次第でありますが、近いうちにこれは——実は何度も閣議にもかけたのでありますがいろいろな差支えからはつきりした決論にはまだ到達いたしておりませんができるだけ早い機会に決論に到達するようにもつていきたいと考えている次第でありまして御了承おきを願いたいと思います。
  25. 松野頼三

    松野委員長 本件につきましては、この委員会はすでに議決を行つて、これを議長並びに総理大臣に提出し、また関係方面にも提出してあるような次第であります。ただいま船山國務大臣からの報告でありまするけれども、しかしながらわが委員会としての方針もありますから、これに関して当時の出先官廳整理に関する小委員会の小委員長中島茂喜君から発言があります。
  26. 中島茂喜

    中島(茂)委員 ただいま船田國務大臣から出先官職の廃止につきましての行政調査部としての経過を御説明いただいたのでありますが、御説明の中にありましたように、この廃止は各主管省から申しますれば、全面的に各省とも反対の意思を表明されるものと私どもは予想しているのであります。しかしながら、そうした反対がありましても、地方自治体立場から考えます場合に、これを廃止しなければ眞の自治体は確立できない。こうした要望が非常に強いのでありまして、私どもの小委員会としましても、その点をいろいろ檢討いたしました結果、こうした廃止案を一應決定いたしたのであります從つてただいま御説明にありました建設院関係、文部省関係、それから厚生省関係の出先官廰に対しましては、行政調査部としましても一應廃止する方向に進んでいただいているようであります。もちろん統制を國是としてとつております以上は、統制事務関係の出先官廰は廃止できない、こういう御主張があるようでありますが、それは一應ごもつともだと思うのであります。しかしながら、それは必ずしも出先官廰をもたなくても、地方自治体を通じまして中央において相当統一がとれる統制がとれる、こういう考え方もあるのでありまして、必ずしも統制経済を実施しているわが國といたしまして、これだけの出先官廰が必要だという理由にはならないと私ども考えるのであります。要は非常に困難な問題だとは思うのでありますが、行政調査部としましては、各省と十分御連絡を願いまして強力に出先行政官廰の整理に進んでいただきたいと要望いたす次第であります。  なほこの整理の経過につきしまして、でき得るだけ本委員会にその状況を御説明願いますれば、非常に仕合せだと思うのであります。
  27. 船田享二

    ○船田國務大臣 ただいまの中島委員のお言葉、一々ごもつともでありまして、これからもできるだけ、せつかくつくられました案の実現に向つて行政調査部といたしましても努力を続けてまいるつもりでありまして、先ほど申しましたように何回かにわけて整理するということも考えられまするので、現在の努力を続けていきたい。殊に統制関係の機関につきましては、先ほども申し上げましたように、根本問題の檢討につきましても、関係方面とその促進について努力を続けていきたいと考えておる次第でありまして、経過等につきましては、お言葉までもなく密接に皆様方と御連絡をとり、また御協力を得たいと考えている次第でございます。
  28. 坂東幸太郎

    坂東委員長 ほかに御発言ありませんか。それでは発言もないようですから私からも注文しておきますが、この委員会は実は昨年來この問題について研究してまいりまして、そのたびごとに関係各省から政府委員を招致して意見を聽いたのでありますが、どれもこれも自分の省本位のセクシヨナリズムで、これを廃止することはできないと言いました。しかしわが委員会は十分にその意見を徴しまして、最も公平であるという点から判断しまして、先ほどの決議をしたのでありますから、どうか船出國務大臣はわが委員会決議を特に尊重されんことを希望いたします。
  29. 坂東幸太郎

    坂東委員長 続いて地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、海上保安廰法第二條規定による海上保安廰事務所設置に関し承認を求めるの件を緊急上程することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 坂東幸太郎

    坂東委員長 それでは緊急上程いたします。  この政府案について運輸省政務次官木下榮君から説明があります。
  31. 木下榮

    ○木下政府委員 ただいま議題になりました國会の承認を求める件につきまして簡單に御説明申し上げます。  先般御審議を経て可決されました海上保安廰法の第十二條規定に基きまして、海上保安廰の地方機関は運輸大臣がこれを定めることになつているのでありますが、その地方出先機関としまして、横浜市外市に海上保安本部を置き、函館市外十四箇所に海上保安部を置きたいと考えております。  これらの事務所は統轄的、行政的機能をある程度もつものでありまして、從つて地方自治関係するところも少くないと考えられますので、制定の形決は運輸省告示てありますが、地方自治法第百五十六條第四項の規定によりまして、特に國会の承認を求めるものであります。  海上保安本部及び海上保安部の設置場所につきましては海上保安確保のため愼重に考慮して選定した次第であります。何とぞ十分御審議くださいまして御承認あらんことをお願いする次第であります。
  32. 坂東幸太郎

  33. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 ちよつと皆様に申し上げます。私五月一日附をもつて海上保安廰長官を拜命いたしました。どうぞ今後ともよろしくお願いたします。  ただいま政務次官から御説明申し上げましたように、海上保安廰は、中央に海上保安廰を置きまして、地方組織は地方の重要なる港九箇所に海上保安本部を置き、これに次ぐ港湾に海上保安部を置き、さらにその他の港湾基地に海上保安署を置いておるわけであります。そこで本日御提案をいたしております告示案にもございますように、海上保安本部を置きます所は、横浜、名古屋、神戸、廣島、門司、舞鶴、新潟、塩釜、及び小樽ということに相なつております。海上保安部を置きますのは、清水、大阪、高知、高松、鳥取縣の境、島根縣の浜田、福岡、佐世保、長崎、長崎縣の嚴原——これは對馬であります。鹿児島、大分、八戸、船川、函館こういう所に海上保安部を置きたいと存じております。  これをもつて大体お分りのように現在海上保安の巡視艇は二十九隻をもつて海上保安の任に当るわけであります。その中の大部分の勢力を九州地方に配備いたしまして、九州を中心とした密貿易、密入國に備える態勢を整えておる次第であります。  この海上保安廰の機構は先ほど政務次官からも御説明がありましたようにいろいろ今後地方的にもおせわになり、まする問題がかなり多いわけであります。國会の御承認を得まして一日も早くこの配置をいたしたいと存じておる次第でありまして、ここに皆様の事審議を煩わす次第であります。
  34. 松野頼三

    松野委員 ただいまの海上保安廰設置について、多少意見をもつておりますが、先ほども地方出先機関の問題がありましたように、またまたここに大きな地方出先機関ができますことは、はなはだ地方自治体としては好ましからぬ傾向を來すように存ずるのでありまして、ただいま海上保安廰長官の御説明によると、二十九隻の巡視艇の大部分を九州に置くということであります。この地図を見ますと、全國十六、七箇所に地方出先機関を置くことになつております。しかし二十九隻の巡視船の大部分は九州に配置するとすれば、他の地方の出先機関に配置する巡視船はほとんどないことになり、これでは経費の点からしても、能率の点からしても、はなはだ計画としてはりつぱでありますが、内容の充実する前に、ただちにこれだけの大きな機構を設置するのは、なお時期が早くはないかと思うのであります。殊に問題が起りますのは大体九州地区とか北海道の北方の稚内とかいう辺陬な地区であつて、さしあたつてはそういう所に重点的に設置をするというように限定をしてはどうか。あまり船のない所に海上保安隊のおるということは、陸上勤務の警察及び地方出先機関との摩擦も必ずしも円滑にいかない、経費の点においても、人員整備の点においても、現在の政府の御方針としても、あまり芳しからざる方向に進むように考えますので、もう一度檢討していただいて、船の必要なところに波上保安部を設置する、船のいない保安部の設置は、あまり地方としてもいい結果を及ぼさないように存じます。地域的に見ましても、引揚港である仙崎には、何らこの地図にはマークがございません。また門司よりも福岡の方が引揚港として大きな役割をする。重点的にもう一度御考慮願うような余地があるように、私の意見としては存じます。
  35. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 ただいま松野委員の御説、私趣旨といたしましては、当然その精神で進まなくてはならぬと存じます。私先ほどの説明が不十分でありましておわび申し上げますが、海上保安廰仕事は、單なる海上警察だけではないのでありまして、航海の安全ということを非常に重要な使命といたしておるのであります。内容から申しますれば、船長の資格に関する試験もやる、それから船舶の安全に関する檢査もやる。また海難船舶の人命の救助、機雷を掃海するという仕事が入る。それからさらに各地方の燈台、それも最近の燈台の重要性に鑑みまして、それぞれの保安本部に配属をいたしまして直接現場における指示に当らせる。かようにいたしたような次第でありますこれらの仕事は職務の筋から申しましても、また現在における仕事の領分からいたしましても、また先ほど申し上げました二十九隻以外の小型舟艇の量からいたしましても、相当の分野を占めております。この程度の保安本部及び保安部をもつて出発いたしますことは、さしむき必要ではなかろうか、かように存ずるのであります。
  36. 松谷天光光

    ○松谷委員 参考までにお伺いしたいのですが、ただいま長官の御説明によりますところの計画を実施するといたしました場合に、予算はどの程度の計上を御計画でございますか。またそれに必要なる人員の大体の概算でも、計画がございましたらお伺いしたいと思います。
  37. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 海上保安廰の実施に要します予算は、概数で申しまして九億円であります。その職員は約八千人をもつて出発いたすことになつております。
  38. 坂口主税

    ○坂口委員 海上保安廰もいよいよ御開廰になつたようでありまして、御同慶にたえない。私はこの前に、あるいは御説明を聽き落したかもしれぬと思いますけれども、いよいよ開廰になりまして、こういうふうに全國の海岸に非常にたくさんの役所ができ、また相当の人員、また厖大なる費用によつて、できるだけの海上保安を期せられるということになつておるのでございますが、大体仕事の内容、あるいはまたその開始の方からいたしまして、どのくらいの期間で、どの地方にいつごろまでに全幅的な活動、運営ができるようになるか、この点の見透しをお聽きしたいと思います。もちろん以前から準備いたしておられるものもあるし、從來やつておられるところもあるのでありますから、大した期間は要らないと思いますが、参考のためにどのくらいの期間でこれだけの予期される活動ができるかということについて、ひとつお聽きしたいと思います。
  39. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 海上保安廰は五月一日から発足をいたしましたけれどもその前身といたしましては、不法入國、船舶監視本部が設置せられておりましたし、また救難や掃海や燈台、水路、それぞれ、從來その機関がありましたわけであります。これらの機関を統合いたしまして、今回海上保安廰が成立を見た次第であります。そこで概数で申しまして不法入國、船舶監視本部創設以來、海上保安廰が出発いたしますまでに、海上治安に関連いたしましてあげました件数は、約三百件の問題を処理いたしております。保安廰が出発いたしましてからも、日本は非常に海難の多い國でありまして、本日朝、私がこちらに参りますまで、もうすでに日本の沿岸で数隻の漂流船があるということを聽きました。かようなわけであります。そこで日本の近海におきましてはもう毎日々々幾多の人命がほとんど助けを求めて海上を漂流しておる、かような実情でございまして、私どもの仕事は一日も放置しがたい状況にございます。さいわい今回第二復員局のもつておりました無線船及び逓信省がもつておりますところの海岸無線施設を私どもの仕事の方に使いますことになりました。さらにまた必要なる設備もいたしまして、從來も一日も重要なる仕事が停滞なからしめることを期しておりましたけれども、ただいまの御励勵の趣旨に副いまして、今後一日も早く海上保安廰の全幅的活動ができますように部下を督励いたしまして、この上とも努力いたしたいと思います。
  40. 松野頼三

    松野委員 これはこの法案成立のときにも各委員から御意見が出ましたが、元來運輸省内にこれを置くということが大きな問題で、議題の中心だと私は考えております。元來サービス省として國民に努むべき運輸省に、警察取締権を與えることに大きな批判の目が向けられたと存じます。たまたま人員も水上警察員を吸收し、大いに経験ある者を使うということになりましたし、私どもも訓練の点において、またこの新しい仕事に対して少からざる不安をもちながらもその成功を祈つておつたのでありますが、このたび、はたしてその衝に当られる特殊の警察官の採用、あるいは水上警察の経験ある人員をどのくらい採用し、また訓練はどの程度にされるかという点に、この運営の成否がかかつているんじやないかという大きな懸念をもつものであります。このたび海上保安廰の機構が発表されましたと同時に、部長あるいは次長にはどういう人物を、どういう経験のある人を御採用になつたか、はなはだ突込んだ話でありますが、一應参考までに拜聽して私の安心を得たいと思います。
  41. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 松野委員にお答えいたします。海上保安廰は運輸省に設置いたされておりますけれども、法律にもございますように法務総裁ほか大藏大臣、農林大臣、厚生大臣等、関係大臣の指揮を受けることに相なつております。私ども海上保安廳職員といたしましては、航海の安全に奉仕すると同時に、これらの各大臣の指揮を受けまして、司法警察、経済警察、あるいは交通警察、あるいは衞生警察、そういう各面の仕事に從事するわけであります。そこで御説のように私はまつたく機構は人であり、人の養成訓練には最大の重点をおかなければならないと思う。そこで現在訓練の諸機関が、從來もたとえば燈台、水路部等における訓練施設は、必ずしも十分ではなかつたと思いますが、今後は議会における皆さんの御意向を十分取入れまして、部下を督励いたしまして、海上における訓練施設に十分力を入れてこれを拡充いたし、現在從事いたしております職員も、ただちに訓練に移し得るよう、実行計画を立てておる次第であります。  なおまた、私どもの仕事は非常に廣汎でありまして、陸上の警察以上に複雑であります。そこでやはり私どもが仕事をいたします上につきましては、あるいは水上警察あるいは漁業の監視、あるいは税関の檢査、あるいは檢疫といつた方面におきまして、それぞれのエキスパートを受け入れるということにつきましては、進んで各省にこれをお願いするということにいたしたいと存じております。現在幹部級はそれぞれその仕事のエキスパートであり、私どもの本部を構成しております保安局長は、從來不法入國、船舶監視本部の副部長、燈台局長は從來の燈台局長であり、水路局長は從來の水路部長がこれに当つております。なお地方の保安本部長並びに保安本部次長は、地方の海務局に從來海務部長というのがございましたがこれを充てております。これは從來航海の安全に関する諸業務をやつておりまして、実際自分も航海をした経験のあるエキスパートであります。そこでこれらの職員に対しましては、それぞれ各般の警察権を執行するエキスパートを今後取入れまして、一も早く皆さんの御期待に副うような活動をいたしたい、かように存じておりま。
  42. 松野頼三

    松野委員 ただいま大体の御意見を拜聽いたしましたが、私の聞いたのと少し食い違う点は、今までの人事は私も承知しておりますが、ほとんど運輸省内にあつた人間の配置轉換、看板の塗替である。その意味ではなく、警察権として新しい任務をもたれる上に、そういう経驗者をいかように御採用になるか、また御配置になつたかという、警察権を主体として実はお伺いしたわけです。
  43. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 私の説明が少し不十分で申し駅ありませんが、船舶監視本部の仕事をやつておつたときから、監視船には水上警察あるいは税関の方にお願いをして、一心同体となつて業務の執行をやつておつたような次第であります。そこで今後においてもそれらの方々を。要すれば海上保安官に任用いたしまして今後の業務に遺憾なきを期していきたいと思つておりますしかし業務の発展につれて、さらにそれでは足りない事態が起るような場合においては、それぞれの官廰に御協力をお願いし、人員の派出を願うということにいたしたいと考えております。
  44. 松野頼三

    松野委員 先ほどの御説明に漏れておりましたが、仙崎とか、稚内とかいう危險関係をもつような港については、どう考えておりますか。
  45. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 仙崎、稚内にどういう設備を置くかというお尋ねでございましたが、稚内には保安署を置き、ここには小型船一隻を配置する予定になつております。それから仙崎にも保安署を置き、この附近には門司あるいは濱田を中心として相当多数の船を配船しております。仙崎もこの附近における重要な基地の一つになるわけであります。
  46. 松野頼三

    松野委員 もう一点、松谷さんからも御質問がありましたが、現在吸收合併の人員以外にどれだけの人員を新しくこの機構によつて採用しあるいは吸拾するかという点、それから予算が、現在の予算を新しく増加するかという点を御明確に御答弁願います。
  47. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 それでは予算と人員の点をもう少上詳しく申し上げます。予算は先ほど松谷委員にお答えいたしました内訳を申しますると、新しく殖えます予算が約三億円であります。そのほか六億円が從來掃海、燈台、水路等には使われておりました予算であります。そわから八千人のうち概数を申しますと、約二千人が海上治安の業務に從事する人であります。そのほか六千人のうち三千人が掃海、残りの三千人が燈台並びに水路関係に從事しておる職員であります。
  48. 松谷天光光

    ○松谷委員 その八千人のうち新規採用はどのくらいに見ておいでになりますか。
  49. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 新規採用が、約二千人の治安の維持に從事する職員のうちの大体千五百人であります。
  50. 坂東幸太郎

    坂東委員長 他に質疑ありませんか。  質疑終了と認むるに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 坂東幸太郎

    坂東委員長 質疑終了と認めます。
  52. 松野頼三

    松野委員 質疑も終了いたしましたから、討論を省略し、ただちに採決に入られんことを希望いたします。
  53. 坂東幸太郎

    坂東委員長 ただいまの松野君からの動議のごとく、討論を省略して、原案通り決定することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 坂東幸太郎

    坂東委員長 それでは政府の原案通り可決せられました。  次回の日程は公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後三時十分散会