○大村
委員 私もただいま御質問になりました趣旨と同じようなことでありますから、この際関連連的にお尋ねしたいと思います。岸田
知事が
学校閉鎖命令を
撤回したということは、非常に重大なことだと思うのであります。このような
撤回をするにつきましては、
陳情者が極端なる暴行脅迫を用いたがために、遂に
撤回するのやむなきに
至つたのであるか、ないしはその程度のものではなく、
知事の誤認のもとに
簡單にこれを
撤回したのかというような点が、非常に重大な問題であると思うのであります。
次長の補足的な
あとの御
説明によりまして、おそらくこれは
撤回は暴行脅迫のもとにおいてやむを得ずや
つた。言葉をかえて申しますならば、形式上は
撤回したけれ
ども、そのときの
事情から申せば、当然この
撤回は無効である、効力がないのだという程度のものであ
つたといたしますと、よほどこれは問題が重大だと思うのであります。そのような違法な
状態を作出させて暴徒が退散したというならば、これを鎮圧すべき
状態がなく
なつたというように
公安委員会で認定されるのは、非常な錯誤があるのではないか。その点は私
どもも話を聽きましてどうも納得ができないのであります。もし今日の
非常事態の
宣言の法的條件が、そのようなことは考えていないということでありまするならば、さかのぼ
つてその点を深く考えなければ、今後の日本の
治安の維持という上に重大な欠陥が伏在しておると私は思うのであります。もしそのような極端なる暴行脅迫が行われたために、取消しのやむなきに至
つたということをそのまま放置しておきまするならば、
学校閉鎖命令は、單に
神戸におけるのみならず、各地においてや
つたのでありますから、それと同じ
状態を作出するために、各地において暴動が起るおそれが多分にあるのであります。さいわいにして
進駐軍の方から、別の見地から非常特別の措置がとられたということ、その一点が各地における暴動の鎮圧に
なつているのであります。私は單に外見上暴徒が退散したから、それで
非常事態を
宣言する必要なしというように
判断をされる点につきましては、これは現行の
法律においてはそれでいいのかも存じませんが、今後の問題といたしまして、新たに深く考えてみなければならぬ問題ではないかと思うのであります。これらの点につきまして、できますことならば、
現地の実情と照らし合わせまして、御
意見なり
判断を伺いたいと思うのであります。しかしこのように申し上げましても、私は別に今回の
事件におきまして、
進駐軍の非常特別の措置がとられる前に、日本側において方途を講ぜらるべきであ
つた、それがなか
つたのは遺憾であるというように申し上げるつもりはないのであります。だんだん伺いますると、何分
神戸とこちらとは非常に離れているし、そうしてそこには通信機関の不備、また
現地からの
報告が今日に至
つてもなお詳細のものが來ておらぬというような
状態におきまして、
非常事態を
宣言するの材料がなか
つたことは極めて明瞭でありまして、緊急
事態が発布せられなか
つたのは
当局の手落ちであ
つたというような氣持は毛頭ないのであります。ただ今後の日本の
治安を維持する上におきましては、私は單に暴徒が退散したというような現前の事実だけで
簡單にこれを解決することは、日本の將來における
治安の維持の上におきまして、非常な手ぬかりがあるのではないか、もし
法律的の不備がそこにあるならば、これらの点も將來のために整備していく、必要があるのではなかろうかという点に疑問をも
つております。その点につきましての御所見を伺
つておきたいと思うのであります。