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1948-04-05 第2回国会 衆議院 治安及び地方制度委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年四月五日(月曜日)     午前十一時二十四分開議  出席委員    委員長 坂東幸太郎君    理事 門司  亮君 理事 矢尾喜三郎君    理事 高岡 忠弘君 理事 中島 茂喜君    理事 松野 頼三君 理事 酒井 俊雄君       大石ヨシエ君    笠原 貞造君       菊池 重作君    久保田鶴松君       松澤 兼人君    井上 知治君       坂口 主税君    小暮藤三郎君       加藤吉太夫君  出席國務大臣         運 輸 大 臣 岡田 勢一君  出席政府委員         運輸事務官   大久保武雄君         國家地方警察本         部長官     斎藤  昇君  委員外出席者         運輸事務官   森  嚴夫君         運輸事務官   和達 清夫君     ————————————— 四月五日  警察法の一部を改正する法律案内閣提出)(  第三六号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  海上保安廰法案内閣提出)(第二六号)  警察法の一部を改正する法律案内閣提出)(  第三六号)     —————————————
  2. 坂東幸太郎

    坂東委員長 これより治安及び地方制度常任委員会を開会いたします。  本日の日程は海上保安廳法案であります。昨日に引続き逐條審議を行います。森説明員に、第三十一條から順次朗読を願います。     〔朗読〕  第三十一條 二級の運輸事務官又は運輸技官を以て充てられた海上保安官は、海上における犯罪につき刑事訴訟法第二百四十八條規定する司法警察官職務を行い、三級の運輸事務官又は運輸技官を以て充てられた海上保安官は、海上犯罪につき同法第二百四十九條に規定する司法警察吏職務を行う。  第三十二條 巡視警戒任ずる船舶の乘組員は、労働組合法第四條第一項及び労働関係調整法第三十八條規定の適用については、これを警察官吏とみなす。  第三十三條 この法律に定めるものの外、海上保安廰職員の種類及び所掌事項海上保安委員会の組織、委員の資格及び任期その他海上保安廰職員及び海上保安委員会に関し必要な事項は、政令でこれを定める。  第三十四條 この法律施行期日は、政令でこれを定める。但し、その期日は、昭和二十三年五月一日以後であつてはならない。  第三十五條 海上保安廰は、当分の間旧海軍艦船保管に関する事務を掌る。    前項の事務は、海上保安廰保安局所掌とする。  第三十六條 海上保安廰職員に関する人事委員会規則が制定されるまでは、海上保安廰のすべての職員人事管理に関する事項については、第三條第一項の規定にかかわらず、なお政府職員に関する從前の例による。  第三十七條 この法律のいかなる規定も、予算がないのに、この法律規定する機能及び活動を行うために、その際の職員の定員を超えて職員を採用することを認めるものとこれを解釈してはならない。  第三十八條 燈台補給船第十八日正丸(二千五総トン)及び水路測量船宗谷(二千二百七総トン)は、第四條第二項の規定にかかわらず、その存する間に限り、その一隻当りトン数において千五百排水トンを超えることができる。、  第三十九條 この法律施行の際現に存する法令連合國最高司令官指示に從い制定された法令を除く。)の規定でこの法律規定に反するものは、その効力を失う。  第四十條 運輸省官制の一部を次のように改正する。    第一條中「運輸大臣ハ」の下に「海上保安廰所掌ニ属スル事項除クノ外」を加える。   第二條中「(海運総局主管ニ属スルモノヲ除ク)」を削る。   第五條第一号中「、水路航路標識」及び同條第四号を削り、同條第五号を第四号とする。  第四十一條 海運局官制の一部を次のように改正する。   第一條第一号中「、航路其ノ他ノ水運ニ関スル事項シ航路標識ニ関スル事項除ク」を「其ノ他ノ水運ニ関スル事項シ海上保安廰所掌ニ属スル事項除ク」に改め、同條第二号を削り、第三号を第二号とし、第四号を第三号とする。   第五條を削り、第六條を第五條とする。  第四十二條 海難審判法の一部を次のように改正する。   第十七條及び第十八條 削除    第二十八條中「地方海難審判所」の下に「の所在地管轄する海上保官廰法第二條規定する海上保安廳事務所(以下車に海上保安廳事務所という。)」を加える。    第二十九條中「高等海難審判所」を「海上保安廰保安局」に改める。    第三十條中「地方海難審判所」を「海上保安廰事務所」に改める。    第五十四條中「高等海難審判所理事官」を「海上保安廰保安局理事官」に改める。    第五十八條 高等海難審判所裁決は、海上保安廰保安局理事官が、地方海難審判所裁決は、当該地方海難審判所所在地管轄する海上保安廰事務所理事官が、これを執行する。  第四十三條 燈台局官制及び水路部官制は、これを廃止する。
  3. 坂東幸太郎

    坂東委員長 これで一應逐條審議質疑は大体終了したわけでありますが、なおこの逐條審議中におきまして、いろいろ問題になつた点は改めてまた質疑をお願いいたします。
  4. 酒井俊雄

    酒井委員 第七條と第三十一條との関係におきまして、第七條中特に十二でありますが、「海上における犯人搜査及び逮捕に関する事項」と示されております。三十一條の方では「二級の運輸事務官又は運輸技官を以て充てられた海上保安官は、海上における犯罪につき刑事訴訟法第二百四十八條規定する司法警察官職務を行い、三級の運輸事務官又は運輸技官を以て充てられた海上保安官は、海上犯罪につき同法第二百四十九條に規定する司法警察吏職務を行う。」とありますが、刑事訴訟法における警察官もしくは警察吏職務権限海上保安官は與えられるわけでありますが、私考えてみますと、どうも海上における犯人搜査というのとこの條文とが、ぴつたりしないような氣がするのであります。原則からみますと、海上における犯罪搜査ということが私はこの海上保安員搜査権原則だと思うのであります。陸上で行われた犯罪につきましては例外として、その犯人海上に逃れたときに搜査権を有する。海上において行われた犯罪犯人海上搜査逮捕するということが原則ではないかと私は思うのであります。そうしないと一般警察権原則例外競合がはつきりしないので、一般警察権領域までその権限を及ぼすことになるのじやないかと思います。そういう点において、できればこの七條の十二を、「海上における犯罪犯人搜査及びその犯人逮捕に関する事項」というふうに改めたらどうかという考えをもつています。なお三一條の方の文字も「海上における犯罪につき」となつております。この三十一條文字から申しますると、海上における犯罪というものを原則として搜査し、その犯人逮捕するということに対して、いわゆる警察権というものが與えられるわけだということが、三十一條で理解されるのであります。だからあくまで根本の基本海上犯罪というところにおいて、陸上犯罪に対しては、例外的に犯人海上に逃れた場合、その犯人逮捕あるいはその犯人について犯罪の有無を確かめ、犯罪搜査をするというような建前にすることが、一般警察との関係上必要だ、こういうふうに思います。この点についてさらに政府委員の御答弁を願いたいと思います。
  5. 大久保武雄

    大久保政府委員 お答えいたします。ただいまの御質問は至極ごもつともな御意見でございます。また法律條文に関する御意見につきましても、十分私どもの方も御趣旨に対しまして、ごもつともと存ずる次第であります。そこで第七條第十二号「海上におりる犯人」とあります点、並びに三十一條におきまして「海上における犯罪」というようにうたつてありますが、幾分対象について範囲が違いはせぬか。たとえば三十一條におきましては、陸上犯人に対する海上における取締行為が、あるいはとれないのじやないかというふうにも存ぜられます。そうしてまた御指摘の陸海の原則の点につきましても、幾分不明確な点がありはしないかということも、心配をいたしておるわけであります。そこでこの三十一條に「海上における犯罪」と実は私どもが書きましたのは、御承知通り刑事訴訟法第二百四十八條で、犯罪搜査すべしという字句になつておりますので、実は犯罪搜査するという意味をもちまして、そのあとの方を省略をいたしまして「犯罪につき」、かように変えてしまつたわけであります。そこで嚴密に申しますれば、海上における犯罪搜査につきと、「の搜査」という三字を入れますると、問題は非常に明確になつてまいりますことと存じております。すなわち海上における犯罪搜査でありますから、陸上犯人海上に逃げました場合におきましても、その犯人逮捕につきましては警察官と同じ職務もつ。かような仕組みにとれると思うのであります。なおまた海上関係保安官治安維持職権陸上と紛淆を來さない点につきましては、第一條その他各條章におきまして、海上治安維持領域というものは、おのずから海上原則とするということに、明確に規定されております。その点は各條章によりまして、御了承を願えることと存じます。三十一條の点は、若干私たちもこの点は文字の不足である、かように考えまして、犯罪搜査という三文字を入れることも、あるいは一案ではなかろうかと、かように考えております。
  6. 酒井俊雄

    酒井委員 あくまで原則から申しますれば、海上治安を組持するために、警察権海上保安員に與えられるものであります。陸上治安を乱して海上へ逃れた犯人——單海上犯人行つたということだけで、海上治安を乱すということには私はならぬと思う。だから犯人海上へ來たからといいましても、陸上治安を乱し、陸上刑事上の犯罪を犯し、そうして身体だけ海上に逃げる。海上では別に治安を乱す行為もしないし、行為をするおそれもないという場合が多々考えられる。ただ逃亡の目的のみで海上に逃れる。そういう場合には、たとえ犯人海上にありましても、これは陸の警察基本的な権限に基いて搜査され逮捕されるのが原則であります。海上保安官例外としてこれに協助するとか、手助けをするということの意味でなければならぬ。これと逆の場合で、海上治安を乱し、海上犯罪行為をしたというものは——海でこういう犯罪を犯すには、いろいろな手口というものがあるのは、皆さん御承知通りでございまして、箱師は汽準の中でやることに馴れて得意とする。おそらく海上犯罪を犯すやつは、海の上でやることを得意とする犯人が多いと思う。そうすると、そういう者が海上犯罪を犯して、陸上へ逃れたという場合にも、その犯人をつかまえないと海上治安は確保されない。だからそういう場合には、海上犯罪を犯して陸上へ逃れた場合は、原則として犯人陸上へ逃れたけれども海上保安員において原則としてそれを逮捕し、あるいは搜査するというその区別、これをはつきりしておきませんと、一般警察との警察権競合関係がうまくいかないと思いますし、そういう論理的な考え方にも矛盾を來すと思います。だからそういう点がよく盛りこまれるように、ひとつこの條文に現わしてもらいたいと思うのであります。その点についてさらに御説明を願いたいと思います。
  7. 大久保武雄

    大久保政府委員 ただいまの御指摘の点も、至極ごもつともと存ずる次第であります。けれども承知のように、陸上関係犯人海上に逃げた場合に、どこまで逃亡するかという問題であります。おのずから船の性能その他の制約がございまして、陸上においてこれを追躡する場合においても一定限界がある。そこで海上におきましては、この全体の建前といたしまして、海上保安原則として海上保安廰において取締まるということに相なつておりますので、やはり原則的には海上保安廳犯人搜査をする。しかし陸上犯人海上に逃げました場合に、直接必要なる限度において海上保安廰においてやる。かような協力関係に相なつております。なおまた第三章に共助に関する規定がありますが、やはり御承知のように犯罪境界の接線におきましては、つとめてこの警察関係機関が緊密なる提携をいたしませんと完全なる治安維持は困難であります。本法を実施いたします際におきまして、陸上警察関係とは中央地方を通じまして、非常に緊密なる連繋をとり、万全の方策を講じまして、それらの境界点における搜査その他の治安について、御説の趣旨を体しまして遺憾なきを期したい、かように存じております。
  8. 酒井俊雄

    酒井委員 もうこれでやめますが、今の列車乘務員列車内におきましてやはり警察権を與えられておる。しかしその警察権を與えられた趣旨はあくまで列車治安秩序維持するというところに目的があるのであります。何でもかんでも、どこで犯罪を犯しても犯人列車乘つていたらこれをつかまえてやろうということで、列車乘務員がそれに專心になるようなことでは、とうていこれは乘務員としての職務の執行というものはおぼつかない。列車乘務員警察権はありますけれども、本來の警察官ではないのであります。あくまで列車内の治安秩序維持ということを目的とするわけです。すりでもはいつて來ないか、どろぼうでも來ないかということで、本來の警察官のような氣持でうの目たかの目で犯人搜査に一生懸命になるようでは列車乘務員は勤まらぬ。そういう意味におきまして、この海上における治安にもおのずから一般警察違つた海上秩序維持治安維持という独特な目的があると思います。どこで犯罪を犯したやつでも來たら許さぬぞという心構えよりも、むしろ海上における犯罪については、これは徹底的に職務を完遂するということであつて、陸の犯罪に対しては、あくまで私は例外的な取扱いをしなければいかぬと思います。よく管轄争いというか、実際こういう方面職務をやつておられる状態を見ますと、同じ警察の間でありながら縣の境だとか、管轄の境などでは事実上なかなか深刻な権限爭いが行われます。まして一般警察海上保安の任に当るその範囲警察権を與えられるものとの限界というものは、これは他人同士というようなことになりますので、どうかその限界のけじめをしつかり條文に現わしておきたいと考えるのであります。別に御答弁は要りません。
  9. 高岡忠弘

    高岡委員 私は酒井委員と逆のことを考えてみたいと思います。第二十條の関係でありますが、海上保安官武器使用する場合には、自己または他人の生命または身体の保護のためにやむことを得ない必要がある場合。この規定がこのまま運用されるならば差支えないのでありますが、この限界はきわめてデリケートであります。その運用を誤り、あるいはその度を過した場合には、陸上職権濫用よりより以上に、これは深刻なる問題であろうと私は考えるのであります。  余事にわたりますけれども、最近陸上制服警官が、民衆の所持しておりました金を、射殺をして一万円強奪したというような事件もございまするし、かりにそれがにせ警官であつたといたしましても、最近制服警察官吏職権を濫用して、官紀を紊乱しております事例はたくさんあるのでありまして、この海上における海上保安官が、その職権を濫用して海賊的行為をするに至りましては、最も私は恐るべきものであると考えるのでありまして、この海上保安官の任免は、たくさんの職員の中から運輸大臣が任命されるような規定なつておりますので、相当優秀なる素質を備えておる職員であろうとは想像いたしますけれども、これらの教養訓練制度について、別に規定もございませんし、どういうことをお考えなつておるのでありますか、一應この機会に御発表願いたいと思います。  それから第十六條と二十七條との関連と申しますか、対比でありますが、二十七條には第二項におきまして、協力を求められた場合においては、これこれの官職はその求めに應じなければならない。第十六條の方において、附近の人に対して協力を求めることができるとして、別にその協力に應じなければならないということが書いてないのであります。私ども素人からいたしますと、むしろ逆に十六條の方においてこそ協力に應じなければならないと義務づけた方がよいのではないかと考えられます。けれども二十七條に掲げてありますこれらの官職は、当然の職務として協力を求められた場合には應じなければならないので、特にその規定は必要はないのではないか。十六條の場合において、附近におります人に協力を求めた場合に、この規定から申しますと断ることができると解釈して差支えないと考えますが、これは新憲法下における基本的人権の尊重という意味で、たとえ協力を求めてもその人は應じなくてもよいとその自由を認めたのかもしれませんが、しかしまた難を見ては義に赴くという日本的の性格から見ましても、この規定で差支えないように思いますけれども、この規定を正直に解釈してみますと、第十六條の場合には、協力を求めてもそれを断つて協力しないこともできるというように解釈できるのでありますが、さような意味でございましようか。私ども考えますと、こ十七條のこれらの官廰は当然の職責でありますとともに、この附近にある人に協力を求められた場合に、これこそ私はその協力に應じてやるということを、これに義務づけた方がいいのじやないかとも考えるのでありますが、この点併せてお尋ねいたします。
  10. 大久保武雄

    大久保政府委員 ただいまお尋ねの第一点、第二十條に関連しまして、武器使用については、御説のように、武装を惡用いたしますと、これはまことにゆゆしき事態になります。何と申しましても、海上保安廰創設にあたりましては、これに從事する職員、特に保安官養成訓練というものは、最も大事中の大事であると考えるのであります。新しい役所の創設にあたりまして、將來永くよき傳統をつくりますためには、どうしてもりつばな人をこれに充てなければならないということを考えまして、私ども海上保安廰保安官養成訓練につきましては、最重点をおきたいと考えておる次第であります。かような意味合いからいたしまして、一つ養成訓練機関をつくりまして、警察大学にも相当いたします海上保安官の学校をつくりまして、ここにおきまして海上における治安維持に必要なる一切の教育をしていく、こういうことを考えております。この点については私ども最も力点をおきまして、新しい制度精神に即應した人材の教養に專心いたしたい、かように考えておる次第であります。ただいま御質問趣旨は十分にこれを体しまして、りつぱな保安官養成に今後努力いたしたい所存であります。  第二の御質問の点の、第十六條と第二十七條との関係でございますが、御説の通り、やはりこの第十六條の協力関係は、新憲法精神に照らしまして、これを強制することは適当であるまい、やはりこれは、日本人自体が國の治安維持しますために、一つの公共のために協力するという精神に訴えまして、これは断ることもあり得る、しかしおそらく附近の人はそれに協力するだろうということを期待いたしておりまして、それぞれ協力をした向きに対しましては、相当謝礼を行うということも考えておるような次第であります。なおまた、官職関係職務上お説のように当然のことでありますけれども、これは、今後海上及び陸上治安維持の上におきましては、全警察機関の完全なる協力体制というものが非常に重大になつてまいります。また関係警察以外の諸機関との連繋も、本法を実施します上におきましては絶対に必要でございますから、この点はつきり規定いたしましたような次第であります。
  11. 高岡忠弘

    高岡委員 十六條の点についてはよくわかりました。大体協力を求められた場合には協力をしてやるというのが、日本人性格建前だと思うのでありまして、これで結構でありますが、さような場合にただいま謝礼をもらうというお話があつたようでありますが、私考えますのに、これに協力した場合には、その程度によりまして、一定の段階その他の方法によつて謝礼を出されると思いますが、これが予算に計上されてありますかどうか。謝礼という、金一封という、ただ氣持だけの問題でありますか。予算との関係をお伺いいたしたいと思います。
  12. 大久保武雄

    大久保政府委員 御質問通り予算に計上いたしまして、相当謝礼をいたしたいと思います。
  13. 小暮藤三郎

    小暮委員 本法案を通じてわれわれが一番懸念しておりますのは、五月一日以後であつてはならない、本法案は五月一日以前に両院を通過して法案を完成しなければならぬ。從つて五月一日以後に本法案はただちに実施されていくことと信じてよろしいかどうか、その点を一つ伺いまして、次に、本法案が五月一日からただちに実施されるということになれば、その用意はできているかどうか。ただいま教養の問題についてお話がありましたが、その教養についての方針は示されておりますけれども、五月一日からかような教養を受けている者が出揃うかどうか、その点をよくお示しを願いたいと思います。それから、五月一日から施行されるということになりまして、本法案に記載しておりますところの船舶用意はできているかどうか。これは、船舶用意ができていなければおそらくこの法案の活用はできないものと思いますが、それらについて具体的によく承りたい。さらに当分の間旧海軍艦船保管に関する事務を掌るということが附則の第三十五條に書いてありますが、この海軍艦船は現在何艇くらいあるか、総トン数がどのくらいあるか、それを活用していく途はないか、そういう点につきまして当局はいかにお考えなつているか、それをまず承りたい。その御答弁によりましてさらに進んで御質問を申し上げます。
  14. 大久保武雄

    大久保政府委員 第一のこの法案の実施の時期でありますが、附則にもありますように、五月一日にこれを実施いたしたい予定であります。それから、これに対する準備でございますが、何しろ新い、しかも日本で初めての官廳創設いたします関係上、非常に私たちもこの準備については愼重なる配意をいたしているわけであります。そこで第一の人的な方面でございますが、御承知のように、その筋からの指示によりまして、すでに不法國船監視本部という機関を設置いたしまして、すでに日本の沿岸に関する諸般の不法國船取締を現在いたしております。この方面に從事しております職員は、現在におきましてもそれぞれ訓練をいたしつつその職務に携つております。この職員が引続きまして今回新たに海上保安廰職員として海上治安維持に当り、なおまたそのほかに、どういたしましても新しい官廰創設でありますから、從來水上警察職員であられました警官方々等も、私どもは喜んでこれを新しい官廰に迎え入れまして、そういう方々経驗を活かして、新しい海上保安の任に万全を期したい、かように考えております。なおまた新しい訓練計画につきましても、開設前からすでにこの訓練計画準備いたし、また保安官の身分、新しい服務精神につきましても、一定目標指導綱領を策定いたしまして、保安官職務に遺憾なきを期したいと存じておる次第であります。物的方面船舶準備につきましても、御承知通り、これは船に乘つて初めて保安を全うし得る次第でありまして、私どももこれは非常に重大に考えております。從來この方面使用船舶につきまして、その筋から三十八ぱいの使用許可を得ております。うち二十八ぱいは現在使用中であります。もちろんこれらの船はかなり年数が経つたものでありますので、船の整備等につきまして、從來若干遺憾な点もあつたのでありますが、これらの点につきましては、目下鋭意修繕その他の措置を講じまして、五月一日から全幅的に船の活動ができますように手配をいたしておる次第であります。以上申し上げましたように、全力をあげて準備をいたしておりますけれども、スタートにおきましては陸上警察その他各省協力がなければ万全を期することはとうていおぼつかないので、各省とも十分御相談をいたしまして、各省から協力をしていただく準備態勢も着々整備いたしておるような次第であります。  以上保安廰開設事務につきまして御回答を申し上げましたが、次の海軍艦船の艦船事務を引継ぎます点につきまして、海軍艦船トン数が逐次変つてまいつておりますことは御承知通りであります。昨年末におきまして約二百隻の艦艇を管理いたしておりました次第であります。ちよつとトン数を今つまびらかに申し上げられませんが、その後若干減少しておる、かように御了解を願いたいと思います。
  15. 小暮藤三郎

    小暮委員 ただいまの御答弁を聽いておりますと、まことにごもつともに聽きとれますけれども、至難なる海上保安をいたします上において、御答弁のように悠長には実施できないのではないか、そういうことを憂えておる一人であります。殊に現在監視船の形で行われております人の採用はどういう方法でおやりになつておるか、現在はおそらく武器をもつていないようであります。現在まで武器をもたないでやつておりましたものに武器をもたして、はたして訓練を経ないのが武器をいかように使用するか、あるいは惡用しはしないか、そういう点が從來の海員の性格から見まして大いに憂慮せられるところであると私ども考えております。ただいまのお話によりますと、教養において警察大学に似たものを立つて教養したい、これは至極結構なことだと思いますけれども陸上関係教養いたしますることは、從來の点等もありまして、これは非常に至難でありまするけれども目的を達成することは、時日とうまざる訓練によつてこの目的が比較的安易に達せられるのではないか。ところがこの海上保安につきましては、そういう点につきまして非常に大なる支障がある。第一は教養する教官がどういう人であるか、ただいまのお話によりますると、水上警察に勤務しておつた者を轉用するというようなお話でございますが、これはおそらく水上関察というものは下級者であつて、上級者はない。海上保安目的を速成するような立派な人格を具え、そうして教養の実質を具備しておる者はおそらく得がたいのではないか。言うは易くして行うはきわめて難い。しかも海上において監視の目がきわめて少いときに教養の足りない者が働くというようなことは、從來の海員の性格から休みまして、非常に私は憂慮に堪えない。その辺について当局はいかなる考慮をされておるか。悠長なる答弁では私は満足できない。実際にその点について、もつと深く掘り下げたお話を承りたい。本法案ができ上りましても、活用する人が具備されなければかえつて惡結果を招き、せつかくある方面の指導によりましてでき上りましても、この目的ははたして速成できるかどうか、はなはだ憂慮に堪えないのであります。この教養については一段と御工夫をなさいまして、そうして次の機会に御説明を願いたいと考えるのであります。  それから船の問題でありますが、現在船を働からしておるが、この船をどういうふうに働かしておるか、ただいま海軍の関係の艦船が二百艘内外ある。お話によれば、二百艘未満という御説明ですけれども、これらの船を改装して使用されておるかどうか、そういう点についてもひとつお答えを願いたい。  それからさらに法案の第一條に「河川の口にある港と河川との境界は別の法律でこれを定める、」と明記してありますが、五月一日から実施しなければならないそのときに際会して、この法律はいつわれわれに提示されるか。おそらく五月一日以前に提示される用意はあるであらうと思います。これができなければ、おそらくこの海上保安はスタートにおいて全きを得ないのではないかということを憂慮するものであります。先ほど陸上犯罪人が海上に逃避した、また海上犯罪人が陸上に逃避した、そういう場合について憂慮されての御質問がありましたけれども、この第一條の第二項にありますところの河川の口にある港と河川との境界は、これが別に法律で定められていなければ活用ができない、弊害がかえつて生ずる。その点を非常に憂慮するものですが、それらについての御腹案を承りたい。
  16. 大久保武雄

    大久保政府委員 ただいま御指摘の第一点の船員の教養についてであります。現在不法國船の監視にあたつております船員は、採用いたしました際に、それぞれ嚴重なる面接並びに從來の警備に関する試験をいたしまして、多数の志難者のうちから選考して採用いたしました船員であります。大体学歴は、高級船員は高等商船学校を卒業いたしております高等商船学校は、御承知通り日本の海員の幹部を養成する機関でありまして、從來幾分不十分の点はありましても、わが國の商船教育といたしましては、極力これに精微を集めて教育をした船員であります。しかし私は今後における新しい任務は、決して從來の高等教育卒業をもつて足れりと考えるわけではございません。ただいま御指摘通り、新しい職務は実に重かつ大であると私は存じまするたゆえに、新しく創設されまする海上保安官の教育機関には、人格並びに教養、あるいは操船、その他の技術的方面におきましても、最も信頼するに足る人材をここに配置いたしまして、また從來治安関係の担当各省からも教育に御協力をいただきまして、一日も速やかに理想とする型の海上保安廰職員の養成をいたしまして、りつぱな傳統を將來の日本に残したい、かように存じておる次第であります。  第二点の、旧海軍関係の船を改装したらどうか、あるいは現在改装しておるかという御質問でありますが、現在不法入國監視にあたつております二十八隻は旧海軍の駆船艇であります。なおこの日本の八千海里にわたる沿岸の警備という点から考えますと、將來におきましては、どういたしましても新しく警備船を増加する必要があると考えております。そういう際におきましては、その筋ともいろいろ打合せをいたしました結果、從來の艦艇の中からこれを改装いたしまして警備の任務につけるという場合もあろうかと考える次第であります。  それから第一條の河川の口にある港と河川との境界であります。これは御指摘のように実にむずかしい問題であります。そこでこの面につきましては、目下私どもの方で港域法という法律を作案いたしております。五月一日までに本國会に提案をいたしまして、この保安廰のスタートまでには港域法を間に合わせたい、こう考えておりますから、よろしくお願いいたします。
  17. 小暮藤三郎

    小暮委員 だんだん時間も経過いたしておりますし、速記の方も非常に御迷惑ではないかと思いますので、いま一項だけ質問いたしておきたいと思うのであります。  それは、わが國には海軍なき後に海上の遭難救助にあたつておりますところの水難救済会がございます。これは全國の各要所にそれぞれ施設をいたしまして、相当船舶をもつて活動しておるのであります。これらについての連絡は將來いかになされるか、また現在そういう海上保安の任務にはむろん遭難を救助するということがあるのでありまして、それらについてはいかなる方針をもつておられるか、また現在いかになさる思召をもつておられますか、それらの点について承つておきたいと思います。  それでこの法案は非常にお急ぎになるようでありますけれども、これにつきましては、いくつか御質問申し上げたい点があるのでありますけれども、まず今日はその点に止めておきますが、特にこれは最も重大な関係があると思いますから、その連絡その他につきまして、また將來そういう水難救済の機関をいかに助成なさる御腹案をもつておられるか。海軍なき後の海上における保安廰は唯一の官廰でありますことは、今さら申し上げるまでもなく、またこれを五月一日までに実施しなければならぬということは、その緊急性が大いに含まれておることは今さら申すまでもないのであります。そのときに際しまして、日本の全國にわたつておりますところの水難救済会をいかに指導して、この保安廰職務目的を達成する思召であるか、これを承りたい。
  18. 大久保武雄

    大久保政府委員 ただいま御質問の水難救済事業は海上保安廰職務に重大なる一つの項目でございまして、從來水難救済会が長年にわたりまして、この方面に非常な活躍をいたしてまいつた次第であります。もちろん保安廳も、海難の救済につきましては全幅をあげて今後努力をいたすつもりでありますけれども、水難救済会が多年の経験及び施設を利用いたしまして、この仕事に協力してもらいますことは、非常に望ましいことであります。そこで、保安廳は水難救済会の事業を監督いたしますが、依然として水難救済会の協力を得まして水難救済に完璧を期したい、かように存じておる次第であります。
  19. 小暮藤三郎

    小暮委員 水難救済会を大いに活用させて、保安廰目的を達成させる一部に寄與する観点を、私は非常に多とするものであります。ところが從來水難救済会に対しましては、國家が一文の補助も與えていない、それで人命救助の重大なる任協を負わす、そういう点については、海上保安廰ができました後におきまして、いかにお扱いになるつもりであるか、その点をここで十分に責任のある御答弁を願つておきたい。
  20. 大久保武雄

    大久保政府委員 ただいまお尋ねの水難救済会に対する補助予算の点であります。お説のように、最近民間団体に対する補助ということが非常に困難になつておりますことは御案内の通りであります。そこで、水難救済会が今後どうしてその事業を全幅的に御発展願うかということにつきましては、私どもも今後とくと檢討いたしまして、この大事な仕事が十分に活動できますような措置を講じたい、かように存じておる次第であります。
  21. 小暮藤三郎

    小暮委員 きわめて簡單に申し上げますが、民間の、附近の人民に助成を得て目的を達するということが、先刻の御答弁の中にございました、またこの法案の中にもございまするが、今補助金の問題がきわめて大藏省からやかましい拘束を受けて補助ができない、それでは大事な事業はできない、殊に数十年にわたる歴史をもち、しかも日本の全海域にわたつて活躍しておるところの水難救済会に対して、その発展を助成できないような官廰では、海上保安廰ができても、その方面において私どもは、はなはだその至らないのを慨歎するものであります。先ほども同僚からお話がございましたように、日本國民の國民性は義につくこと実に流るるごとく、しかも数十年の間、ほとんど國家の補助なしで民間で発達してきたこの事業に対しまして、私はこの海上保安廰予算をまだ見ておりませんからよくわかりませんけれども、少くともこれについては從來の官僚的の考え方を捨てまして、ほんとうの民主政治の本領を発揮するように大いに留意されて、將來を御期待いたしまして私の質問は終ります。
  22. 岡田勢一

    ○岡田國務大臣 小暮君の今の御意見の、水難救済会が今日まで数十年の歴史と、りつぱな業績を続けて來まして、海難救助に奔走してくださつておりますことは、おつしやる通りでありまして、同感であります。海難救助とか、あるいは水難救済の仕事も、海上保安廰の仕事の一部として含めまして、今後この事業をやつていくわけでありまして、海上保安廰の責任におきまして海難救助の仕事をやつてまいりますが、保安廰ができましても、この民間団体であります水難救済会の方には、保安廰の責任をもつてやる行政施行とは別に、私たちは重大視いたしまして、水難救助会が從來通り、一層この救済事業に御活躍願うことに重点を置き、許される限り水難救済会を助長発展せしむるという考え方でまいりたいと思つております。
  23. 大石ヨシエ

    ○大石委員 政府委員に私はお尋ねいたしたいと思います。この重要なる海上保安廰法案を、一昨土曜日にどうしてもこれを上げなくてはならないと言われましたが、今日に延びたのはどういうわけですか。私たち國民の代表としてここに代議士になつた者を、あなた方はあまりにばかにしていらつしやる。愼重審議せよということがこれに書いてございますが、たつた一日でどうして愼重審議ができますか。あなた方はこうしたことを專門になさつておられるでしようが——。その理由を私ははつきりお聽きしたいと思います。
  24. 岡田勢一

    ○岡田國務大臣 大石さんにお答えいたします。たいへんお叱りをいただいて恐縮いたします。土曜日ぎりで上げていただきたいということは、実は公式にお願いしたわけではありません。また、そういうことを最高責任をおもちになつていられる議員の方にお願いすることは間違つておりまして、大石さんが言われた通りであります。ただ実施期日がさし迫つておることを御説明申し上げまして、なるべく速かに御審議をお願いしたいという意向を申し上げたわけであります。その間大石さんが言われたように、議員の方々を無視したとか、軽視したとかいうことは毛頭ございません。どうかその点を御了承願いたいと思います。
  25. 大石ヨシエ

    ○大石委員 何事も官僚の人は関係関係筋とおつしやいますが、関係筋が土曜日にと言つた、それが今日に延びても関係筋は何とも言わない。こういうことは今後無いようにしていただきたいと思います。  もう一つ政府委員にお尋ねしたいのは、この第八條水路部と燈台局がありますが、こういう仕事は目下中央氣象台及び海洋氣象台においてしている仕事である。こういう仕事を同じ運輸省の管轄において行うことは領分爭いになる。これを一元化しなければならぬ。中央氣象台と、海上保安廳ととういうように違うか。私はその点をお尋ねするわけでございます。
  26. 和達清夫

    和達説明員 ただいまの御質問にお答えいたします。言うまでもなく、水路局は元の水路部でございますが、ここでは海図の作成のために必要な海洋観測を行つています。すなわち潮流を初め、水温、塩分など海の非常に深いところまで行つております。要するに水路郡は、自分の仕事をするのにぜひ必要な海洋観測を行つておるのであります。一方中央氣象台は、海洋の気象との関係を主にして、海洋観測を行つておるのであります。また中央氣象台は、自然現象を絶えず観測して、この資料が必要な方面に提供されるという建前から行つておるのであります。もちろん今日海洋観測をしておるところは、他にも水産試驗場もございます。水産試験場も、自分の仕事に必要な海洋観測をいたしております。これらは連絡を非常に密にしまして、資料を交換し、海洋観測を十分に行われるようにいたしておるのであります。申すまでもなく、海洋は非常に廣いのでありまして、なかなか必要方面がすぐこの資料を得られないために、ぜひ必要なことは自分で行つておるというために、御質問のようなことが生じたのだろうと思うのであります。
  27. 岡田勢一

    ○岡田國務大臣 先ほどの大石さんのお話の中の、土曜日中に上げてもらいたいという話を、関係筋を口実に使つて言うたのではないかという御意見でございますが、それは少し食い違いがあるように思いますので、補足して釈明をいたしたいと思います。衆議院の方で二日から休会にはいられるような感じがございましたので、休会になるまでに、この法の御審議を相なるべく結了していただきたいという考え方でございました。ところが現実は、ただいま御審議をいただいているように、二日より休会にはいることは延びました。もとより休会にはいる、はいらぬという問題は、衆議院の方におかれまして決定される問題でありますが、私らは休会にはいる以前に相なるべく御審議を終つていただきたいという希望をもつているのでございます。
  28. 大石ヨシエ

    ○大石委員 ただいま運輸大臣から懇切な御説明をいただきましたが、何事も官僚の人々は関係筋々々々と言いますが、そういうことは非常に惡いことであります。どうぞ今後そういう言葉を使わないでいた、だきたい。  それから私のもつとも心配するのは、たとえて言うと、治安委員会で先日ちよつと皆さんが相談しておつたのですが、運輸省において汽車の方も保安部ができておる、今回またこの運輸省管轄のもとに、こうして海洋氣象台と同じような仕事をするものができた、その区別は私は素人ですからはつきりわかりませんが、そういうような似たものがあつちにでき、こつちにできる。そういうものを一元化したらどうですか、それを私はお尋ねしたいのです。
  29. 岡田勢一

    ○岡田國務大臣 お答えいたします。一元的にやつて、行政が二元的にならないようにしなければならぬという御意見、私どもまつたく同感であります。今御指摘になりました海洋氣象台と競合するのではないかというお話は、今後氣象台長から御答弁申し上げましたように、これは水路局の仕事を保安廰に組合いたしましてやることから起つたお話かと思いますが、水路局の仕事と氣象台の仕事とは本質的に違うのでありまして、保安廰海上の安全と治安維持、それをやるのに、水路局がやつております仕事と燈台局がやつております仕事を組合いたしまして、そうして海上保安廰として、それらの仕事を一元的にやるのでありまして別に氣象台の方は仕事の本質が違いますので、そういうことが二元的にやることには相なりませんので、御了承をお願いしたいと思います。
  30. 和達清夫

    和達説明員 もう一つ燈台局との関係を申し上げたいと思います。燈台局において氣象観測をいたしましたのは、正式には昭和十三年からであります。これはわが國の氣象観測綱の不足を補うために、元來が僻陬の地に多くある燈台の施設が利用されて、今日まで氣象観測綱の一つの環として業務を分担してまいつたのであります。これはあくまでもその施設を利用して同じ仕事を分担してきたのでありまして、その観測結果は有効に使われてまいつたと思うのであります。
  31. 松澤兼人

    ○松澤(兼)委員 私はこの際岡田運輸大臣が見えておりますので、お願いかたがたちよつと御質問申し上げたいと思います。それは海上保安廰と直接の関連がないのでありますが、今度神戸市に海上保安近畿本部というものができますことになりましたことは、たいへん私どもといたしまして、適切な御計画であるということを感謝しておるのであります。それに関連いたしまして考えられますことは、從來神戸市は近畿における、あるいは西日本における重要な貿易港でもあり、その繁栄は東の横浜と相競つていた関係があつたのであります。戰事中あるいは戰後、いろいろ貿易関係がむずかしくなりまして、今日は戰前の状態から見ますと、まつたく見る影もないような状態になつておるのであります。しかしその港湾は自然かつ人工も加えまして、わが國における最も優秀な港湾であるということは、運輸大臣のよくお認めのことと考えるのでありますが、たとえば全日本海員組合が神戸市に本部を置いたり、あるいは海員の職業紹介事業が神戸市において総括的に行われているというようなことから考えまして、將來神戸港が戰前と同じように、あるいはそれ以上に発達するであろうということは十分期待がてきるわけであります。ただ戰爭中の機構といたしまして、いわゆるブロック制が採用されました関係上、戰爭中近畿行政ブロックというようなことから、各種の中央官廳の出先横桁が大阪に集中されまして、海運行政においてもまた同様の結果となり、また神戸市は海運管理部というものをもちまして、いわば近畿海運局の下部に位するという結果になつたのであります。ごういつた戰時中の行政機構というものが徐々に解体せられ、かつまた中央出先官廰の整理ということが國会においても問題となり、われわれといたしまして、この点非常に熱心に檢討して、すでに成案も出たわけであります。これらの点を考えてみますと、將來のわが國の貿易が産業の復興のために、またわが國発展のためにぜひとも必要である。それには自然的に、また人工的に、わが國における最も優秀な港湾である神戸港に海運局を設置する。具体的に言えば、神戸海運管理部を海運局に昇格することが、当然考えられるのではないかと存じているのであります。この点岡田運輸大臣は地方の実情もよく御存じであると考えますので近畿海上保安本部が神戸に設置せられましたその関係から申しまして、神戸にあります海運管理部を海運局に昇格し、將來の自由港としての神戸港の発展を一日も早くできるように、行政機構の改革をしていただきたい。これについて運輸大臣はどのように考えておられますか。御意見を伺えたらさいわいだと思うのであります。
  32. 岡田勢一

    ○岡田國務大臣 松沢さんの今の御意見でありますが、神戸港の発展ということにつきましては、私も常にそれを速かに進めたいと考えております。おつしやるように、近畿における海運行政が、大阪と神戸とが從來長い間にわたりまして競合して参つております実情は、よく知つております。そこで海上保安廰近畿本部を設置するにつきまして、神戸に置かれるという案がつくられておるということで、大阪の方から相当に熱心に反対陳情をしてきておるのでありますが、この保安本部の設置と、それから海運行政とはここで私は切離して考えまして、そうして、まずそうした行政区画と申しましようか、大阪と神戸との競合ということを、この際双方が得心せられるような方向に円満に解決しでいくということを、この際を機会としてやりたいと考えまして、今愼重に考慮中でございます。そこで神戸海運管理部を海運局に昇格するという御希望は、確かに承つておきますが、その点に近畿海上保安本部を神戸におくということになります場合は、あるいはこれは從前から長く競合してまいりました海運局問題ともにらみ合わせまして、考慮せねばならぬ点もあると存じますので、愼重に考慮をいたしまして、なるべく松沢さんの御意思に副うよう、そうして神戸が將來最大の外國貿易港として盛大に発展してまいりますような方向に向けて努力いたしたい、このことだけ申し上げておきたいと存じます。
  33. 小暮藤三郎

    小暮委員 私は質問を打切りたいと思つて一旦打切つたのでありますが、大臣がせつかく御出席になりましたから、これは特に大臣に承つておきたい。  海上保安の機構について、どなたからも質問がありませんが、この機構を見ますると、幹部に非常に多く人を要する。これは第一線に働く人でない人がおよそ何人くらいか、これをまず承りたい。次に第三條に、職員の数は一万人を超えることはできないとあるが、この本部の機構を差引いた第一線に活動しておりますところの総数は、およそ何人になるか。これはすでに御成案がなければならない、必ず御成案があると私は信じている。これを承りたい。それから先ほど教養につきまして、高等商船学校の卒業生をあてる。高等商船学校は御承知通り、卒業生を出す数はきわめて少い。その卒業生をもつては、はたして理想的な教養ができるかどうか。先ほど実は御答弁がありまして、その点について質問したいと思つたのでありますけれども、時間もだんだんたつておりますのでひかえておりましたが、その教養について大臣はいかに考えておるか。五月一日施行に際しての所要人員の予定は何人か。この完璧を期した後の人員の総数は幾人か。本部の総数と第一線の数とをあげて、この機構についての私の意見を申し上げてみたいと思います。
  34. 岡田勢一

    ○岡田國務大臣 小暮さんの御質問になられました保安廰の機構及び幹部並びに第一線の從事員の人員数でございますが、数字は成案をつくつておりますので、あとから大久保政府委員から説明をいたさせます。  それから五月一日から実施するのに対しまして、この職員の中に高等商船学校の卒業生を入れていくことについて、まだ未熟練者である卒業生がすぐに役に立たないという御意見は、私もごもつともだと存じております。ところで終戰後に日本船舶が激減いたしました実情から、高等商船学校を卒業いたしまして出征をしておつたとか、海軍に召集をされておつたというふうな人たちがたくさん復員しておりまして、ただいまのところ相当数の高等商船学校の若い卒業生がおります。また海上実務にも相当訓練が進んでおります者も相当にいることを運輸省でも確めておりますので、すぐに今年度あるいは昨年度の高等商船の卒業生を、未熟練のままで重要な所に使うということはせずともいける予測でおります。卒業生は実務に精通いたしますまでの間、あるいはむかしのアプレンチチスと申しましようか、駐留生といたしまして、徐々にそれを養成していく、そういう方針をとつておるのであります。なお今の数字は大久保政府委員から御説明をいたさせます。
  35. 大久保武雄

    大久保政府委員 ただいまの商船学校卒業生の点につきましてお答えいたします。現在の第一線にあたります職員の幹部級は、高等商船学校を卒業したすぐのものでは、これは未熟練でありますので、從來の高級船員で多年海上で経験をしておりますものの中、優秀な人材を試驗によつて採用いたしまして、さらにそれを十分な訓練をいたしたい、かように考えております。  なお職員の数でありますが、私ども現在大藏省と折衝いたしております現計画は、陸上海上合わせまして約五千人であります。この中、陸上職員が三千二百名余、海上職員が千八百名余、陸上職員の中で中央に配置されますものは三百七十名、地方に配置されますものが約二千八百名ほどあるわけです。
  36. 小暮藤三郎

    小暮委員 きわめて簡單に質疑の要点だけを申し上げますが、教養についてはいかにお考えになりますか、教養機関は、先ほど警察の大学校に準ずべきものを養成機関として設けたいというお話がありましたが、具体的の腹案があるのですか。それをちよつと承つておきたい。
  37. 大久保武雄

    大久保政府委員 具体的には、何と申しましても教育をいたしますには、施設及び教官を必要といたします。そこで施設といたしましては、御承知從來高等商船学校がございました越中島に、むかしの高等商船学校の宿舎が四棟ございます。この中二棟を改装いたしまして、直ちにこれを教育機関にあてたい、かように存じておる次第であります。なおまた教育に関する学科内容並びに教官の配置につきましては、目下着々準備をいたしておりますような次第で、この訓練問題は偏も重視いたしまして、一日も早く着手いたしたいと考えておします。なお先ほど申しました人員の五千名と申しますのは、海上保安関係に当る職員でありますので、從來海軍の行つておりました掃海艦船関係職員が約三千、燈台水路関係職員三千、六千人がこのほか現在はいつております。総数一万一千程度に考えておりますけれども、一千人の超過は、そのうち三千人が掃艦船の臨時職員でありますから、一應その筋の力にも御了承を得ておるような次第でありまする
  38. 坂東幸太郎

    坂東委員長 それでは休憩いたしまして、午後一時半から再開いたします。     午後零時五十八分休憩      ————◇—————     午後二時二十五分開議
  39. 坂東幸太郎

    坂東委員長 休憩前に引続いて会議を開きます。
  40. 笠原貞造

    ○笠原委員 私は前回の会議に出ておりませんので、あるいは私の質問が重複するかもしれないと思いますが、一、二点政府当局にお尋ねいたしたいと思います。  先刻來各委員からいろいろ質問がありまして、それにも関連する問題でございますが、この法律の提案の理由はここに書いてある通りでありますし、また第一條のこの法律目的とも称すべきものも、この中にうたつてある通りでありまして、私もこの法律の制定が必要なことについては十分認めるのであります。大体第一條におけるところのこの法律目的とも称すべきものは、やはり海上の安全確保のための法律違反を予防し、それから違反に対するところの搜査並びに鎮圧の手段をとるということであります。この目的を大体吟味してみますと、海上におけるところの警察の行政に盡きておるようであります。なお海上保安本部の各種の局のわけ方を見ますと、中には水路局、燈台局というのも附いておつて、各それらの事務を処理されるようになつておりますが、これらも治安の確保の目的の外には出ない、内にあることのように考えられます。こう考えると、この法律の狙いは、海上警察行政の法律であるというようにも言い得ると思います。この法律の第二條を見ますと、海上保安廰運輸大臣の管理する外局となつております。申し上げるまでもなく、新しい警察法ができまして、國家公安委員という制度もできております。また國家警察の本部もできております。この法律を施行して海上保安の確保のためには船舶が必要だ、あるいはまた技術的に海上治安の仕事をやる上においては、やはり海に対する相当の知識経験をもつた人が必要じやないか、こういう便宜的な、また技術的な面から、これを運輸大臣の所管に移させるという考え方でやつたのじやないかと思いますが、警察機構本來の考え方からすれば、これを國家公安委員会に所属せしめて、陸上も、海上も一本にやることがむしろ正しいのじやないかと考えますが、この法律を提案された政府におかれまして、運輸大臣の所管にするというのは、一体どういう考え方からきておるかという点をお伺いいたします。  次にこの法律を施行する上において、海上保安委員会ができておることは第二十六條に明記された通りであります。この委員会はせつかくつくりましたが、國家公安委員会と違つて、ただ海上保安長官の諮問機関というようになつておるようでございます。この第二十六條を見ますと、制度の運用及び改善に関して建議できるとなつておりますが、この運営の決議はできないようになつております。むしろ私は、民主的な運営の制度としますならば、國家公安委員会のような委員会が決定権をもつところの制度にしなければならないと思いますが、この委員会をどうしてただの諮問機関程度のものにしたかということについてお伺いしたいと思います。國家警察を一本に統一することになりますれば、この中に共助の規定というのがありますが、先ほど酒井委員もこの点について陸上犯罪海上犯罪搜査職務管轄の食い違いを質問しておりましたが、私はもしこれを國家警察一本に統一することになれば、この共助の規定も要りません上、また職務管轄の食い違いというような問題も起きてこないのじやないかと考えます。この点をお伺いします。  次に海上保安廰の設置と海運局の問題でございますが、もちろん海運局と海上保安廰は別個の機構になることは明らかでありますが、ただその職務権限を見ますと、かなり連絡があるようでございます。私はこの海運局と今設置されんとしておる海上保安廳はできれば同一箇所につくることが理想ではないかと考えます。またそれが事務能率の上に非常に便宜ではないかと考えます。政府当局におかれては、これを同一地域に置くというお考えはないか、この点併せてお尋ねしたい。
  41. 大久保武雄

    大久保政府委員 お答えいたします。第一の海上保安廰運輸大臣の管理下においた点でありますが、御承知のように、海上保安廰警察機関であると同時に、海事行政を推進する機関でございます。御案内の通り水路、燈台、その他航海の安全に関する諸般の業務を行うのであります。これは海運行政と密接不可分の関係もございます。そういう面において、どうしても運輸省と切り離し難い問題が他面に存しておるのであります。またアメリカにおいても、先般資料を差上げたように、沿岸警備のコースト・ガードの仕事は、独立の機関として存在しております。中央地方を通じて一つの指令のもと一体的に運行するような制度に相なつておるのであります。また海上は御承知のように、地方自治体と直接地域的な関係がない面もございまして、運輸省の外局として、海事行政の繋りを密接にいたしますとともに、外局制度のいい点を活用して法務廳総裁、大藏大臣、厚生大臣、農林大臣等の各関係大臣の監督をも併せ受ける形にして、調和をとつておる次第でございます。もちろん警察機構と十分な連絡をとるように相なつております。  次に第二点の公安委員会は、御案内の通り諮問機関で、決議機関ではございません。そこでこの点に関しては前段申し上げたように、海上における機動的活動の必要性等から、指令組織をきわめて單純敏活にいたしたいという趣旨から、アメリカにおいてもやはり一つ海上保安の司令官のもとに統一的組織を置いておるわけであります。かような意味合いから保安委員会は諮問機関なつておりますけれども、実際の運用においては十分保安委員会意見も尊重して、海上保安に関する行政の運営に民主的な遺憾なき方法をとりたいと存ずる次第であります。  次に共助に関する点も、今申し上げましたような点からいたしまして、やはり陸上警察海上保安というものが別箇の機関でスタートいたします関係上、共助の連絡は絶対必要な次第であります。今後におきましては常設的に、陸上警察官と緊密に一体で協力する機構組織を考案いたし、常時緊密な連繋のもとに全体として一体的活動ができまして、國家の治安に遺憾なきを期するようにいたさなければならない、この点御趣旨に副つてつていきたいと思います。  最後の海運局と保安本部との設置場所でありますが、最初申し上げましたように、海上保安本部は全國の重要港湾基地にこれを設置いたしますが、できるだけ海運局の所在地に置く建前であります。ただ御承知のように、海上保安局は一つ警察行政でもあり、また基地の船艇の行動というものを完全に掌握し、これを敏活に動かし得る施設をもつておるという関係で、若干海運局の管理区域と異る区域を選定しておりますけれども、これはおのずから海運行政と海上保安行政との違つた面から來るやむを得ざる措置であります。原則的には御説の通り精神で担任区域の選定をいたしております。
  42. 坂東幸太郎

    坂東委員長 ちよつとお諮りいたしますが、本会議の方で定足数に達しないから、休憩して來てくれないかということでありますから、休憩いたします。     午後二時四十一分休憩      ————◇—————     午後四時二分開議
  43. 坂東幸太郎

    坂東委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
  44. 笠原貞造

    ○笠原委員 ちよつとさつきの質問に続いて簡單でありますが、いま一点お尋ねしておきたいと思います。質問というよりも希望でございますが、先ほど私の質問に対しまして、海上保安廳運輸大臣の所管としたのは、この海上保安廰職務の中には、單に海上治安の問題ばかりでなしに、その他海上行政の問題も含んでおるために運輸大臣の所管にしたというような答弁があつたのでありますが、この法律の立て方から見まするならば、治安維持に主眼点があることは申すまでもないと思うのでありますか、制度を立てる上におきましては、最も重要なその海上治安維持の見地から立つてまいるということになりますれば、私はむしろ國家公安委員会の所属にする方がよいのじやないかと思いますが、私もまだ未熟な研究でございますから、これは他日の改正のときまでに研究しておくということにいたしまして、その点に対しましては私の意見を申し上げないことにいたします。ただ最後に、海運局と海上保安廰所在地というものが、行政施行上において一つ場所にあつた方がよいということを私は希望いたしまして、政府委員の方からもそれに対しまするところの同感の趣旨の御答弁をいただきまして、たいへん私ども喜んでおる次第であります。御承知通り新潟は、この案によりますと、日本海に面しましては、舞鶴以北においては青森までの間で一箇所の海上保安本部になるような状況であります。現在新潟の海運行政を見ますと、新潟は御承知通り東京と申しましようか、関東と申しましようか、あそこの海運局の一支部になつておるような状態でありまして、これでは海運行政が、東京から日本海を監督させるということでは、うまくいかないと思うのでありまして、ぜひとも一日も早く新潟の支部を海運局に昇格くださるように、運輸省におかれまして、そういうふうな御配慮を願いたいということを、強く私はお願いいたしまして、私の質問はこれをもつて終る次第でございます。
  45. 大石ヨシエ

    ○大石委員 私は今日、朝たいへん遅くなりましたので、質問が重複するかもしれませんが、海上保安廳予算は一体何ほどであるかそれから、この一万人をいかに配置するか、それを私はお聽きしたいと思います。それから地方機関のいわゆる保安本部、たとえて言いますと、私の郷里の舞鶴、その他新潟、東海、そういうようなところへは、一体予算はいかほど割当てられるか、そうして、こうした舞鶴の海上保安本部などは一体何人の今を使うか、これについて私は詳細なる説明をお聽きしたいと思います。
  46. 大久保武雄

    大久保政府委員 海上保安廳に要しまする予算は、前に概数をお答え申し上げておきましたが、総額十二億円と予定いたしております。うち四億円が海上治安維持に要する経費であります。他の四億円は掃海に要する経費であります。他の四億円は水路及び燈台に要する経費であります。これは大藏省に対する要求額であります。以上のうち八億円、すなわち掃海及び水路、燈台に要する経費は、大体すでに從來ありまする経費を継続するわけであります。新しく増加いたしますものは保安に要する四億円であります。  次にどのくらいの人的構成をもつてまいるかと申しますと、陸上要員が三千二百五十五名でございます。うち中央におきまして保安廰を構成します者が三百七十一人、それから、午前中にもいろいろ御質問がありました海上保安官吏の教育に携わります職員が二百九名であります。それから保安廳の地方機関すなわち地方の保安本部、保安部及び支所において勤務いたしまする者が二千六百七十五名であります以上合計いたしまして三千二百五十五名に相なります。  次に船艇職員は総計千八百二十九名であります。うち巡視艇の船員が千百六十一名、港務用雜艇の船員が六百六十八名であります。以上海陸の総職員を合計いたしまして、海上保安廰のうち保安関係に從事いたしまする職員は、総計いたしまして五千八十四名に相なります。このほかに概数で申しまして、從來海軍艦艇関係の掃海業務に從事しております職員が三千名、燈台及び水路に從事しております職員が三千名、合計六千名はこのほかに存在するのであります。合計いたしますと一万一千人になりまして、一千人超過いたしますけれども掃海艦船関係職員は臨時職員であります。掃海が済むまでという一つの限定的な問題でありますから一万一千名という計画でその筋の了解を得ておる次第であります。  次にどのくらいの職員が地方本部に配置せられるかという点につきましては、目下種々檢討いたしておりまして、まだ具体的にきまつておりませんが、大体百名ないし百五十名程度は一つの基地に配置せられるのじやなかろうか。もちろん地方の非常な小さな港にはいつてくる船艇の補給その他の小さな基地もありますので、非常に小さなものもございまして、全体としてどこになんぼという点が、まだ最終決定までまいつておりませんから、その点は御了承事願いたいと思います。
  47. 坂東幸太郎

    坂東委員長 他に御質疑はございませんか。
  48. 松野頼三

    ○松野委員 小さい点でありますが、五、六点御質問申し上げたいと思いますから、簡單に、一番的確にお答え願います。  第一は、たびたび質疑はありましたけれども、結局運輸大臣にこれを所属せしめるという理由が、先ほど説明もありまして、大体了承しましたけれども、どうしても現在の大きな海上問題の大部分を占めるものが、現在はあるいは農林省で扱つております漁業権の問題、あるいは漁区の問題が現在の日本においては、海上相当大きな問題を占めるのではないかと思いますが、その点に関して本法案にも、説明にも、一言も触れておらないが、その点を一箇所。もう一つは、日本の大きな海岸線を護ります重大なことでありますから、將來におきましてはこれは保安廰じやなしに、あるいは國務大臣が当然保安廰長官にあたるべき構想がありや否や、第一点はその二つであります。  第二は、第一條規定されております河川の口にある港と河川との境界線ということは、ひつきようするところは、陸上警察海上保安廰職務限界を定めるためであろうと私は思いますが、この点において連絡をどうするか、海上保安廰は責任をもつて陸上警察以上の大きな責任を分担し得るや否や、その責任をお尋ねしたい。これが第二点。  第三点は、第四條に書いてあります規定でありますが、この規定はいかなる標準をもつて、いわゆる隻数において百二十五隻を超えてはならないという制限とか、あるいは千五百排水トンを超えてはならないという制限とか、あるいは全トン数五万総トンを超えてはならないというその制限の標準は、どういうところにとられたか、はたしてこれで満足であるか。あるいはこれ以内で満足ができるならば、百二十五という制限の数字の標準を一應御説明願いたい。  それから第七條の中に及びまするが、ここにいわゆる鎮圧とか逮捕とかいうことがありますが、第七條において一應装備のことは書いてありますが、装備の点について現在いかなる御構想をもたれておるか。  第四点は、第十四條の海上保安廰職員運輸大臣がこれを任命するという点において、海上保安廰長官は何ら人事権をもたないのか。  次に第五点といたしまして、先ほどもお話が出ましたが、海上保安委員会の運営に関しましては、なるべく民主的に行うということでありますが、それならばもう一歩進んで、いわゆる國家警察の運営に見られるごとき運営方法をもつと大幅になぜ規定しないか、そういう構想がおありならば、なぜそれを規定されないかという点であります。  その次には、第二十七條に「関係職員の派遣その他必要な協力を求めることができる」とありますが、これは当然常に相当協力が必要であるから、常時に派遣される意味であるか、あるいは臨時突発的な事故のある場合の意味であるか、以上大体六点をお尋ねいたしたいと思います。質問が非常に小さい箇所がございますので、要点だけで結構であります。
  49. 大久保武雄

    大久保政府委員 ただいま松野委員からのお尋ねのいずれの点も、至極ごもつともな御意見と思いますが、第一点の漁業に関する海上保安廰の職種に関しましては、この法律に直接出ておりませんけれども、漁業法その他に基きまして警察官の行うべき職務は当然海上保安官が行うわけであります。漁業の保護並びに取締りにつきましては、これは非常に重大なる任務の一つでありまして、最近におきましても日本の漁船の出漁に対しまして、C・P船がこれを保護し取締るためにすでに出動いたしておるような次第であります。  次に海上保安廰長官は將來國務大臣をもつて充てるべき重要性がありはしないか、かようなお尋ねでありますが、私も海上保安廰の任務の重大性から申しまして、將來はあるいは國務大臣をもつてこれに充てるという時期が來るかもしれないと思うのでありますが、ただ現在におきましては、運輸大臣の所管しております海上行政の一環を海上保安廰が行う次第でありまして、その面からいたしまして、運輸大臣の行う海事行政の全体的の統一ということも満足せしめると同時に、法務職総裁、農林大臣、厚生大臣、大藏大臣の行うそれぞれの所管行政につきましても関連をもつておりますから、これらの諸行政の統一を保持しますために、保安廰長官を外局長官といたしまして、官制上それぞれの所管大臣に対して責任をとり得る、しかしその海上保安廰職権範囲は一体として運営し得る組織体をつくる、かような構想に相なつておる次第であります。  次にお尋ねの河口法において責任の分界を明確にし得るや否やという点でありますが、河口法につきます陸上警察法海上保安廰の権界の分界につきましては、これは港湾における分界と同じように、それにも増しましてなかなか問題となります。この点は速やかに港域法を作案いたしまして、本國会に至急提案いたしまして、五月一日の本保安廰法律案実施までにはぜひ御審議を経たい、かように存じておる次第であります  次にお尋ねの船舶トン数並びに速力について、はたしてこれをもつて満足なりや否やというお尋ねでありますが、現在の日本の國際情勢のもとにおきましては、この速力制限等は、よほど從來船舶に対する関係方面の速力制限を緩和せられ、相当拡張せられておるわけであります。私も、將來海上保安のような重要任務に向つて行動する船艇が、十五ノツトをもつて適当なりや否やということにつきましては、若干の疑問がないでもありませんが、まず許されたる範囲でスタートいたしまして、全力をあげて海上保安に任じまして、そうして將來どうしてもこれをもつて任務遂行はできないという場合におきましては、また関係筋にこの緩和をお願いするという機会もあろうかと存じますが、現在におきましては許されたる範囲内におきまして全力をあげて海上保安の任務に邁進いたしたい、かように存ずる次第であります。  次にお尋ねの労働爭議行為海上保安廰関係するかどうかという点でありますが、労働爭議はこれは法律上許されたる範囲内におきましては適法なる行為でありますから、これについて干渉いたしませんことは陸上警察が干渉しないことと何ら変りはないのであります。ただ法律の違反につきましては、本法に從いまして法律の命ずる措置を講ずることにつきましては、海上保安官は遺憾なきを期したいと存ずる次第であります。  次に人事に関しては運輸大臣がすべて任命をするが、これは長官がやるべきではないかというお尋ねでありますが、この点は運輸大臣の管理のもとに外局長官が存する次第でありますか、ら、運輸大臣の命を受けまして極力海上保安廰が一体となつ活動するように、機構人事等について整備をいたしたいと存ずる次第であります。  次に海上保安委員会が諮問委員会で、はなはだ微力であるというお尋ねでありますが、海上保安に関しまして公安委員会のようなものができませんでした一つの問題は、やはり海上保安の仕事の一つの重要なる要素といたしまして、海事行政の一環である航海の安全という仕事があります。この点はその筋の方におきましても、非常に重視いたしておられる関係もございまして、これらの点も慮りまして、公安委員にあらざる長官制度に相なつたような次第であります。委員会につきましては、もちろん長官制のもとに進みましても、関係廰との連絡及び各方面の声を聽くという意味におきまして十分活用いたして、かりに諮問機関でありましても、その声は漏らさず施設経営の上に表現していきたいと、かように存じておる次第であります。  次に陸海の警察官その他関係行政官の協力は常時的なりやという御質問でありますが、もちろん警備態勢というものは、その間に断続があつてはいけないのでありまして、常に相互緊密なる連繋をはかるような措置を講じておきたいと存じまするが、しからば職員を常時派遣しておくか否かということにつきましては、目下のところ必ずしも直ちにそのような必要はあるまい、しかし何らか常時連絡をとり得る機構というものは、これを考案をいたしまして、陸上警察海上警察とが何どきでも有事即應の態勢がとれるような措置を十分講じておくつもりであります。御質問趣旨從つて今後も行動いたしたいと考えておる次第であります。以上簡單ながらお答え申し上げます。
  50. 松野頼三

    ○松野委員 大体了承いたしましたが、第一点の私の聽きましたことは、せつかく海上のことは一元的に海上保安廰所掌されるという御趣旨ならば、漁業権、あるいは漁区のごときも所掌される意思がないかという意味質問でありましたので、この点御返答願いたい。  もう一つは、第十九條の「武器を携帶することができる」という、この武器はいかなるものを武器とされるか。それからただいまの常設の意味であります。常に連絡を密にされることは、はなはだ結構でありますがい私はしばらくの間は、やはり警察官の常設をされて、少くとも訓練が現在のところは未知数でありますので、相当の期間までは常設的な連絡員として、現在の警察官を派遣されることが、訓練とともに今日の場合必要じやないかという意味を申し上げたのであります。さしあたり発足にあたつて、しばらくの間常設する必要があるんじやないかという御心配のもとに申し上げたのであります。ただいまの武器と、常設の問題と、將來せつかくこうやつて燈台、関税、あるいは檢疫、海上保安を一括的にされるならば、ただいまの日本の問題として大きな漁業の問題があるから、これも一括される御意思があるかという点、この三点をもう一度お答え願いたい。
  51. 大久保武雄

    大久保政府委員 漁業監視につきましても、やはり海上保安廰が実施することになつております。その範囲におきまして漁業法に規定されているところの漁業監視に必要なる職権海上保安官がこれを行使するということになります。  それから武器に関しましては、これはちよつと速記を止めていただきたい。
  52. 坂東幸太郎

    坂東委員長 速記を止めて……。     〔速記中止〕
  53. 坂東幸太郎

    坂東委員長 速記を始めて……。
  54. 大久保武雄

    大久保政府委員 それから第三点の常時協力関係でありますが、ただいま御指摘のように、やはり何と申しましても、職員はまだ十分警察官としては訓練されておるとは申せません。やはり陸上関係から相当職員の應援あるいは保安廳への轉出をお願いしまして、特に水上関係等におきましては喜んで迎え入れたい、かように存じておる次第であります。そういう面におきまして、職員訓練、その他充実につきましては、陸上警察方面から十分な御援助をいただくように、目下話合いを進めでおる次第であります。     〔坂東委員長退席、中島委員長代理着席〕
  55. 松澤兼人

    ○松澤委員 いろいろ御質問もあつたのでありますが、二十一條の港長の任務について、さらに詳細に御説明を願いたいと思うのであります。この点につきましては、二日にも千賀委員から、保安廰職員を港長に任命するのは面白くないという意見がありました。この点私どももやはり同様に考えておるのであります。それと同時に、きわめて陸地に近接いたしております水面などは、おそらく水上警察においても犯罪搜査等をいたすという関係にも相なると思うのであります。港長の職務権限というものを明確にお示し願いたいと思います。
  56. 大久保武雄

    大久保政府委員 港長は港内の交通警察職務を行うわけであります。その目的のために船舶の出入、碇泊に関し保安上必要な定を設けましたり、あるいは港内交通安全のための船舶の遵守すべき航法を規定し、あるいは港内の危險物の取締りに関し必要なる規定を設けたり、漂流物、沈没物の除去その他水路保安に関する規定を設け、あるいは航燈及び信号に必要なる規則を設け、その他特に港内において起るような事項につき、交通安全上必要なる制限を設けることになつておるのであります。かような仕事をする港長を保安廰職員をもつて充てるという点に関しましては、前にも自治体の港湾監視に関する面と一体的になつた方が便宜ではないかという御質問が出まして、ただいまもその御指摘がございましたが、私もごもつともな御意見と実は考えるのでございますけれども、一面から考えて見ますと、港に関する交通安全の仕事と申しますのは、單に地方的な問題とばかりは申されない筋もございますが、廣く船舶の出入港は國際的な問題もございまするし、また日本内部におきましても、全國統一を要するという措置を講ずる必要なる面も航海安全のためには多々あるわけでありましで、こういう点から申しますと、どうしても統一性を保持してやつた方がいいということに相なつてくるわけであります。また行政の実体から申しましても、港湾施設を経営するという港湾管理の面と、その施設された港湾の施設を利用するその利用者に対する交通警察の仕事をやるという面とは分離した方がよろしい、施設を持つておるものと、その警察とは分離した方が公平を期し得るという点から考えますと、やはり警察の面は分離していくということに相なるわけでありまして、この点に関しましては関係方面においても、強くその必要を支持しておるわけであります。また米國その他の各國におきましても、さような方式で港湾の警察が運営されておるような筋合なのでありまして、港長には海上関係保安、安全関係行政を一元的に処理しております海上保安廰職員をもつて当てた方が便宜でもありまするし、また港湾管理と警察権を分離する精神にも即するわけでありますから、かようにいたしておる次第であります。
  57. 松澤兼人

    ○松澤(兼)委員 私はもし理想的にこの点を考えますならば、やはり港の運営管理、それから海上保安の確保というような点は、一つの別個の公法人たる役所を設けて、その役所において、たとえば港廳と申しますか、港湾の役所でありますが、港廳を設けて、これが官にもあらず、民にもあらずという一つの独特の性格を持つた役所があつて、その役所がその港内における安全確保、その他海上保安廳考えておりますような仕事や、あるいはまた港湾の維持補修管理というようなこと、その他の点をやることが適当であると考えておるのでありますが、しかしそこに到達するまでにはまだ日が必要かと存じておるのでありまして、先ほどお話のありました港長の職務権限のうちで、少くとも私は錨地の指定であるとか、あるいは轉錨とか、あるいは船舶の出入等の許可といつたような、ある意味においては純粋経済的な行為、港湾の運営に関係ある行為などは、この港長の権限から削除してしもう方が適当ではないかという考えをもつておるのでありますが、こういう点を港長の権限から取り除いてしまつたならば、港長は事務を遂行する上において非常に困るというような事実が発生いたしますかどうですか、この点についてお伺いしたいのであります。
  58. 大久保武雄

    大久保政府委員 ただいま御質問の錨地の指定、出入船舶に関する許可等の問題を削除したらという御意見でございましたが、やはり錨地の指定と申しますと、港湾の施設と非常に関係の深いものがございまして、やはりこれは施設をもつていない純粋なる交通警察建前からやつた方が、一番公平を期し得るということに相なるものと存じまして、やはり港長をおく以上、この点が港長の職務内容ではなかろうかと存する次第であります。また船舶の出入、停泊に関しましては、これは港内の交通警察といたします以上、この点を表示いたしませんことには一切の措置が実施困難でありますから、この点につきましてはやはり港長の職務内容にした方が適当ではなかろうか、かように存ずるのであります。
  59. 松澤兼人

    ○松澤(兼)委員 神戸とか横浜とかいつたような、こういう國の港は別と思うのでありますが、一般の地方港湾などにおきましては、申すまでもなく、その港湾の施設管理というものは大体地方公共団体でやつておるのであります。そして、その運営を民主的自主的にやつてきたのであります。港湾にはいろいろ地方的な利害関係もありますし、十分に港湾を運営するという点から考えてみますと、経済的な意味の非常に強い面、先ほど申しましたような錨地の指定であるとか、あるいは船舶の出入等の許可は、やはりその事情のよくわかつた地方公共団体に任せておいた方が適当であるというふうに考えるのでありまして、実際の施設について地方公共団体がその経費を負担し、運営につきましても少からざる経費を拂つておるのでありますが、先ほどお話の全國統一にするということも必要でありましようが、しかし多くこういつた小さな地方港などにおきましては、外國の船も入つて來るということは、まず一年に一回か二回あるかないかくらいでありまして、大体においてはやはり内地船が発着するという程度でありますから、一定取締の基準というようなものをお與えになつておけば、あとは民主的に地方の公共団体がこれを管理していくということで少しも差支えないことだと思いますし、また大いに船に入港してもらい、どんどん品物をもつてつてもらうというような、地方的な経済的利害関係の伴う船舶の入出港などにつきまして、あまり偏つた錨地の指定であるとか、あるいは許可等にあまり官僚独善と申しますか、非常に強い一つの許可権なりあるいは権力などを揮われると、いきおいそういう港に入つて來ないで、ほかの港湾に入つて行くというようなことがあるかもわからないのでありまして、実際の運用上から考えまして、やはり今申しましたように、純粋な取締の面は港長の権限として適当であるかもわかりませんが、そうでない経済的な面は、これをやはり地方公共団体に任せておいた方が適当ではないかと考えるのでありますが、重ねてその点御答弁を願います。
  60. 大久保武雄

    大久保政府委員 松沢さんの御意見非常にごもつともと存じますが、やはり港湾を施設しました場合に、その使用料をとつたりしますが、そういう面はもちろんそれは施設者がやるべき筋合であります。ただ、やはり施設したものと警察がやる交通の面というものとは、これは分離することが、最近の警察精神原則という点からは強い意向もある次第でありまして、ただ私どもも実際上これを動かすにあたりまして取締一本に偏しまして、地方港湾の発展を顧みないというような取締をいたしてはいけないと思つて、極力港湾にはいります船舶その他その利用を通じて、公共に奉仕してこそ交通警察のほんとうの精神が生きるわけでありますから、ただいま松沢さんの御注意の点は十分体しまして、將來の交通の行政運営の指針といたしますとともに、港長の職務としてやります仕事についても、地方の比較的閑散な港湾におきましては、あらゆる取締をいたしませんでも、そのうち若干の部分をやればいいというふうに、港湾の繁閑に應じましておのずから港長の行う職務の内容を変更いたしまして、それぞれ実情に即する行政運営をいたさせたい、かように存ずる次第であります。
  61. 松澤兼人

    ○松澤(兼)委員 それではこれ以上はもはや意見の相違になりますから申し上げませんが、ただいま運営上の点につきましてたいへん御好意ある御答弁をいただきまして愉快に思つております。もう一つ三十五條の「海上保安廰は、当分の間旧海軍艦船保管に関する事務を掌る。」という條文でありますが、これはすでに帳面に載つておりまして、実際どこにどういうものがあるということのわかつているものの保管に関する事務というふうに解釈されるのでありますが、地方的に考えてみますと、なお船籍が不明であるということは妙なことでありますが、一方で申しますならば、終戰当時のどさくさのときに、軍需物資が民間に流れ出て、いわゆる不当財産取引といつたようなことが問題になつているのであります。船舶の点につきましても、やはりこれと同様のことがありまして、現在ではれつきとした会社に所有されており、またその会社によつて運営されている艦船がありますが、しかしその取得のいきさつを聽いてみますと、結局不当財産の取引という方面から、取締りを受けるかもしれないような財産の移轉ということが行われて、現在の所有者に帰属しておるという問題があるものがあるのであります。私どもは、この際もし海上保安廰が旧海軍艦船保管に関する事務を行うということでありますならば、一層徹底的に終戰のどさくさに乘じて不当に船舶を所得したというようなものに対する追及をも、この際関係方面と折衝の上に十分明らかにされまして、そして必要があるならば、こういつた不当財産の取引の結果、現在の所有主に附属しておりますそういう艦船をも徹底的にこれを追及して、しかるべく公正な使用目的に乘せるということが必要であると考えるのでありますが、この保管に関する事務というものは、その終戰当時にまで遡及して、いろいろの問題を取扱うことができるのかどうか、及びそういつた疑問のある艦船が地方にあつた場合において、海上保安廰としてはどういうふうにやつていかれるお考えでありますか、お伺いいたしたいのであります。
  62. 大久保武雄

    大久保政府委員 ただいまお尋ねの旧海軍艦船保管に関する事務と申しますのは、これはこのことだけでは、現在明らかになつているところの海軍艦船を善良なる保管艦船とみるのでありますが、ただ從來不当に処分されたる海軍艦船をいかにするかという点に関しましては、これはそれぞれその関係機関もございますし、それらの機関と十分連絡をいたしまして、海上保安廰保安官は法規の違反の点につきましては、この法律の命ずるところによりまして警察官の仕事を行うということは、あくまでいたすことに相成つておるのであります。     〔中島委員長代理退席、坂東委員長着席〕
  63. 坂東幸太郎

    坂東委員長 別に質疑はありませんか。
  64. 門司亮

    ○門司委員 今の港長の問題でございますが、これは港内交通その他の取締に当るというお話でありますが、その中にありましたいわゆる流木であるとか、港内を浮游しておりますものの処置でありますが、それについては從來市町村長が大体拾得物の届出を受け、それを公示して処分しておつたと思いますが、そういう処置は今後は市町村長に任せないで、この港長の名において行われるかどうか。それからもう一つは、これは一昨日でしたか、私聽いたのでありますが、港長の問題は先ほど松沢さんのお話のように、施設をもちまする港の監督と申しますか、これは地方自治体で行つておりますにかかわらず、港長だけが官選の者がなりまして、そうして港の事情、土地の風習にまつたく暗い人が当てられる。要するに官治行政のもとにおいて港湾行政が行われるということになつてまいりますと、地方自治の発展上非常に障害をきたすおそれがあると考えますので、この点もう少し提案された方におきまして、港長の権限と申しますか、それを融和する方法というか、できればこれを民選にしていきたいというふうに考えるのでありますが、その点を重ねてお答えを願いたいと思います。
  65. 大久保武雄

    大久保政府委員 第一点の流木等はあとで説明員から申し上げます。第二点の港長の職務の運営の仕方について申し上げますが、門司さんの御意見も至極ごもつともでありまして、やはり港湾というものは地方都市と一身同体のものでございまして、これだけが勝手な方向を勝手に歩いているということではいけないと思うのであります。それでもちろん保安廰職員が当つておりまして、官吏が当るわけでありますけれども、これは決して別個の立場でやるものでなく、やはり地方公共のために奉仕するという観念でなければならぬと存ずる次第であります。職員の仕事の運営その他につきましては、私ども十分地方の御意見等も参酌をいたしまして、將來港長の職務運営が、十分地方と協調を保ちつつ、その目的を達成し得ますように運営いたしたいと思います。
  66. 酒井俊雄

    酒井委員 議事進行について……。各員よりきわめて重要な質問が出たのでありまするが、本会議もやがて開かれると思いますので、この程度で結論におはいりになるようにお進めを願いたいと思います。
  67. 坂東幸太郎

    坂東委員長 質疑終了と認めることに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 坂東幸太郎

    坂東委員長 御異議なしと認めます。  それではこれより討論に移ります。
  69. 酒井俊雄

    酒井委員 そこで私二つの希望事項を附して原案に賛成するものでありますが、その希望事項は、できますならば皆様全部の御賛成のもとに附したいと思います。    希望事項  一、第三十一條の「海上における犯罪につき」及び「海上犯罪につき」とあるは、「海上における犯罪の搜索については」の意味と了解すること。  二、海陸の境界における治安維持は、海陸の警察機関が常時緊密な連繋を保ち、遺憾なきを期すること。  これは刑事訴訟法との関係上、海上における犯罪について警察権が與えられるのでありますが、海上における犯罪のあらゆる事項について警察権が與えられるのでなく、犯罪の搜索について警察権が附與されるわけでありますから、そういう点に誤解はないはずでありますが、刑事訴訟法條文と索連をもたせまして、「海上における犯罪の搜索については」という意味をここではつきりしておきたいと思います。  希望事項の第二は、これは門司委員からも申されましたが、從來官職が異りますと、そこに権限のいろいろな錯綜したものが生じまして、なお権限争いというようなことも往々行われたわけであります。そこでそういう権限が積極的に爭われてもいけないし、消極的にこの機能が放棄されるようなことがあつてもいけないと思いまするので、陸海の警察機関が常に密接な連繋を保つて、遺憾なくその機能を発揮する意味で、この一項を希望事項として加えたいと思います。
  70. 坂東幸太郎

    坂東委員長 ただいまお聽きの通り酒井委員の希望事項は、委員会全部の希望事項にしたいというのですが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 坂東幸太郎

    坂東委員長 では御異議ないものと認めます。  なお念のために伺いますが、政府はこれに対してどういう考えをもつておりますか。
  72. 大久保武雄

    大久保政府委員 政府といたしましても、もちろん異存はございません。ただいまの御希望、決議の趣旨に從いまして、今後法案実施について、十分責任をもつて万全を期したいと思います。
  73. 松野頼三

    ○松野委員 ただいまの希望事項の中の「緊密なる連繋」とともに、先ほどの私の質問の中にあるように、暫時の間は派遣員を常設されることに私は解釈しております。
  74. 坂東幸太郎

    坂東委員長 政府にお伺いいたしますが、今の松野委員の発言に対してはいかがですか。
  75. 大久保武雄

    大久保政府委員 常時派遣し得るかどうかということにつきましては、これはまだ警察関係とも打合わしておりませんか、この新しい海上保安職員をい水上関係から受入れることにつきましては、十分陸上警察にお願いいたしまして、さように取計らいたいと思つておりますが、相互に派遣し合うという点は、職員の現在の配備能力その他からいたしまして、ただちに実施できますかどうか、常時的には多少疑問でありますが、努めて御趣旨に副うようにはいたします。
  76. 松澤兼人

    ○松澤(兼)委員 二十一條の港長の問題でありますが、これは別に私自身案をもつているわけではないのでありまして、必ずしも希望條件とか、あるいは附帶決議とかいう形でなくともよろしいのでありまして、先ほど大久保政府委員からお話がありまして、十分にわれわれは了解できるのであります。ただ委員長の報告の中で、どういう形弁でもよろしゆうございますが、取上げていただきたいことは、港長が將來港則法に規定する事務を行うという点につきまして、実際この港湾の維持運営をやつております。地方公共団体の地方的な利害関係等を、十分に考慮せられまして実際上の仕事をやつてつていただきたい。と申しますことは、港湾が地方公共団体の長によつて維持管理せられている以上、その実際上の港湾の運営についても強い発言権をもつことが必要であり、必ずしも全國一律にこれを行つていく必要はないのでありまして、地方的な港湾に対しては、それにふさわし取締あるいは港長の仕事というものが自然に生れてくるはずでありますから、十分地方の意見を参酌いたしました事務の執行をやつてつていただきたいということをここに希望を申し上げたいのであります。その形式なりあるいは字句なりは委員長に御一任申し上げまして、適当な形式において委員長報告の中に適当に表現していただければ結構であります。
  77. 坂東幸太郎

    坂東委員長 それでは、これを原案通り可決することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 坂東幸太郎

    坂東委員長 それでは御異議ないものと認めまして、原案通り決定いたします。  ちよつと休憩いたします。     午後五時休憩      ————◇—————     午後五時十五分開議
  79. 坂東幸太郎

    坂東委員長 休憩前に引続いて会議を開きます。  政府の方から警察法の改正法律案の審議を要望されております。警察法の一部を改正する法律案、これを緊急上程するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 坂東幸太郎

    坂東委員長 それでは御異議ないものと認めまして、ただちに政府委員説明を求めます。
  81. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 ただいま緊急に御上程に相なりました警察法の一部改正の法律案を、便宜私から御説明を申し事上げたいと思います。  先般警察法を新しく御制定を願つた次第でありまするが、その後の情勢に鑑みまして、國家公安委員会の職責のきわめて重要であるのに鑑みまして、その地位を高める必要がありまするので、自治体警察の公安委員会職務範囲を明確にいたしまして、また自治体警察の公安委員会権限の確保をいたしたいというのが主眼であります。すなわち警察法第九條には國家公安委員は檢事総長の俸給に準ずる報酬を受けるということに相なつておるのであります。これが先般法務総裁が設置せられましたにつきまして、法務総裁の俸給に準ずる報酬というように改めたいと考えるのであります。  いま一点は、第四十八條におきましては、現在市町村警察長は市町村の公安委員会の定める規準によりまして、市町村の警察職員を任免いたすことになつておるのでありますが、これは市町村警察長にその職員の任免権をほとんど一任しておるような形でありますので、このたびは市町村公安委員会の承認を経て任免するというように改正をいたしたいと思う次第でございます。どうぞ愼重御審議いただきまして、適当な御決議をいただきたいと思う次第であります。
  82. 坂東幸太郎

    坂東委員長 速記をやめてください。     〔速記中止〕
  83. 坂東幸太郎

    坂東委員長 速記開始。御質問はございませんか。
  84. 大石ヨシエ

    ○大石委員 ちよつと質問いたします。警視廰と書いてありますのはどういう理由なのでございましようか。それからもう一点お伺いいたします。われわれ治安委員会においてこの警察法というものを審議したのです。その審議したものに対して、政府は何ら相談せずして公安委員をおきめになりました。だから私たちは默つておりましたけれども、その推薦された公安委員の方が、せめて私たち審議した治安委員会のところへ挨拶に來られるのが礼儀である。どうぞお帰りになつたら五人の公安委員の方に、ここに一度御挨拶に來るようにおつしやつていただきたいと思います。
  85. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 東京の特別区の警察本部に警視廰の看板をかけておるのはどういうわけかということでございますが、各自治体の警察の名称は都及び市町村の條例できめることになつておりますので、東京都におきましては都議会において、警視廰という名称をつけるという條例を制定せられたのであります。それによつて警視廰という名前を使つているのであります。  それから國家公安委員が本席に参りまして御挨拶を申し上ぐべきであるという御意見は、ごもつともでございます。実は先般公安委員長の辻氏が公安委員を代表いたしまして、当委員会に御挨拶申し上げた次第でございますが、なお本委員会とも今後一層特別な通絡をはかつてまいりますように私から傳えたいと思います。
  86. 坂東幸太郎

    坂東委員長 ほかに別に御質問もないようですから、討論を省略して原案通り可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 坂東幸太郎

    坂東委員長 それでは原案通り可決いたします。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後五時二十四分散会