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1948-03-20 第2回国会 衆議院 治安及び地方制度委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年三月二十日(土曜日)     午前十一時二十一分開議  出席委員    委員長 坂東幸太郎君    理事 門司  亮君 理事 中島 茂喜君    理事 川橋豊治郎君 理事 松野 頼三君    理事 酒井 俊雄君       井上 知治君    大澤嘉平治君       千賀 康治君    中垣 國男君       大村 清一君    小暮藤三郎君       渡邊 良夫君    石田 一松君       外崎千代吉君    加藤吉太夫君  委員外出席者         総理廳技官   内藤 亮一君         大藏事務官   長崎 正造君         專門調査員   有松  昇君         常任委員会調査         事務嘱託    吉田嘉市郎君     ――――――――――――― 三月十六日  料理飲食業者営業再開許可の請願(佐々木盛  雄君紹介)(第八八号) の審査を本委員会に付託された。 三月十三日  中央出先官廳の廃止に関する陳情書  (  第三号)  地方競馬に対する地方税課税に関する陳情書  (第八号)  大衆酒場営業再開に関する陳情書  (第三七号)  観覧入場税の委譲に関する陳情書  (六四八号)  地方自治体基礎財源確立に関する陳情書  (第四九号)  衆参両院議員選挙費に関する陳情書  (第六〇号)  委任事務費補助に関する陳情書  (第六一号)  越冬資金全額國庫補助に関する陳情書  (第六二号)  競馬法改正に関する陳情書  (第六五号)  建築行政事務経費に関する陳情書  (第六六号)  地方職員待遇改善に関する陳情書  (第八五号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  火災防止のための建築制限に関する件     ―――――――――――――
  2. 坂東幸太郎

    坂東委員長 これより治安及び地方制度常任委員会を開会いたします。  本日の日程は、火災防止のために建築制限に関する件について当局より説明を聽取いたしますが、日程前に報告事項がございます。  第一の報告事項は、地方自治法改正に関する件であります。   戰後都市復興住宅問題の解決等に対し建築界の負うべき使命の重大なるは、本会の常に痛感いたしておるところであつて、かねてより地方建築行政機構整備については多大の関心をもつて研究中であつたが、全国主要都市都道府縣においては建築部を設置して、地方建築行政の強力な推進をはかることの急務なることを痛感するに至つたので、ここに会員の総意に基き、地方自治法改正について左の通り建議する。    記   現行地方自治法を速急に改正し、主要都道府懸に建築局または建築部を設置し得るごとく措置すること    理 由   政府さき國土復興再建事業の強力な推進のため、將來建設省設置の前提として建設院を設置したことは、まことに機宜の措置であると考えるが、單なる中央機関整備のみでは、眞にこれが実効を期待することはできない。すなわち建設行政地方機構整備はきわめて緊要であり、なかんずく戦後急激に重大性を加え、かつその陣容を拡大した建築及び住宅行政については速急にこれを整備し、その一元化した強力円滑 なる運営をはかる必要がある。しかるにさき改正せられた地方自治法によれば、道府縣には建築部が設けられないこととなつた。これは改正前の地方自治法に其いて建築部を設置した愛知懸の措置を逆行させるのみでなく、すでに同様の機運にあつた全國主要都道府懸内の建築及び住宅関係機構整備の当然の要望を阻止する結果となつた。これは建築及び住宅行政能率的遂行のためきわめて遺憾である。すなわち右改正法規定によれば、住宅及び建築に関する事項土木部東京都では建設局の所管となつているが、一、建築土木とは技術的に別個であること、二、行政としても土木がもつぱら公共事業であるに反し、建築民間事業指導統制の面を多分にもつこと、三、大都市を含む主要都道府懸においては、住宅復興学校その他の公共営繕進駐軍関係工事のため厖大な機構人員を擁する点より、土木部中におくことは土木部いたずらに過大とし、非能率とすること、四これら建築及び住宅関係事務を一人の堪能なる建築行政官をして有機的に統轄せしめ、自由敏速な裁量運営をはかる必要があること等の諸点を考慮するとき、地方廳土木部より独立した建築部を設け得る途を開き、かつ地方の実状に應じて、積極的にこれが整備もはからしめるよう措置することは、最善の事方策である。 これは去る三月十五日、日本建築学会会長岸田日出刀氏からの陳情であります。  なおもう一つありますが、この陳情者は全國知事会議会長東京都知事安井誠一郎君であります。    競犬法制定促進に関する陳情   本年二月十九日治安及び地方制度委員会において、競犬法に関する小委員会設置の件を議決せられ、二月二十四日第一回小委員会開催以来愼重審議を重ねられ、法案調査起草に一段の進展を見ましたことは、全國知事のひとしく感謝感激にた身ないところであります。  近時官公吏給與水準の引上げ、あるいは相次ぐ自治制度の改革に伴い自治体財政需給は著しき不均衡を生じ、新規有力財源確保はまつたく焦眉の急務と相なつている次 第であります。   右のごとき逼迫せる現下財政事情を御高察くだされ、本法の制定促進に関し、さらに特段の御配慮賜わりたく懇願いたします。   右陳情いたします。以上御報告申し上げます。なお吉田嘱託から、過日來における埼玉懸の調査視察事項の御報告があります。
  3. 吉田嘉市郎

    吉田説明員 本月十七日、新警察制度施行状況と、新地方自治法による市制施行状況につきまして、埼玉縣を観察いたしました。その概要を次に報告申し上げます。  第一に新警察制度であります。本懸内の新警察制度準備は比較的順調に進みまして、公安委員の選定も円滑に決定を見て、國家自治体警察ともに二月中にその体制を整えまして活動にはいつたのであります。まず自治体警察について見ますると、本懸内には五つの市、四十二箇町、計四十七警察署があります。五つの市の警察署警官定員は六百三十七名でありまして、現在数は四百七名で、二百三十名の欠員なつております。また市以外の四十二箇町所属の警察官の定員は六百八十九名でありまして、現在数は五百七十七名、すなわち百十二名の欠員なつておるのであります。これらの警察人口七百三名に対して警官一名という割合なつております。施設の方面から見ますと、大部分は旧警察署及び派出所等國家地方警察と共用もしくは専用いたしており、あるいは町役場の一部を使用しておるものもあります。  次に公安委員は四十七の自治体警察で百四十一名となります。その職業から見ますと、農業会社関係者が断然多く各三十五名、この両者が全体の約五割を占めておる状態です。次に醫師の二十九名、商業の二十二名、僧侶の七名、技術者の五名、無職六名、学校講師五名という割合なつております。國家地方警察について見ますと、懸内定員数警察長警視等を含めまして八百三十七名であります。本年三月七日現在数は七百八十名でありまして、なお五十七名の不足を生じておるのであります。警察所轄は十八の地区に分割されておりまして、各地域派出所を設置しております。國家警察所轄地域は非常に廣汎であります関係上、その地域内の住民数は百九万以上に上つておりまして、警備の手薄を痛感しておるような次第であります。人口千三百九名に対して、警官一名という割合なつております。なお警察本部は従來の警察部をそのまま使用して、各警察署の方は、大体自治体警察と同居の状態であります。それから通信施設でありますが、本部との直通通信も可能であります。下部機構であるところの駐在所の方も大部分完成しております。無線施設は川口、川越、熊谷、久喜等警察署に附設いたしまして、非常事態の発生に備えておる状態であります。國家地方警察の埼玉懸本部公安委員は、埼玉新聞専務理事板谷幸太郎氏、入間川ゴム株式会社社長清水逸平氏、埼玉銀行取締役長嶋恭助氏の五名であります。以上が新警察制度につきましての概要であります。  警察側さしあたり要望といたしまして、左の四点を要請しております。第一、財源確保、第二、装備資材至急充実、第三、警察学校在学中の者を定員外とすること、第四、分村の場合、分村地域國家警察地域となるが、これに充当する警官考應ありたきこと等であります。  それから第二に地方自治法による市制施行状況について申し上げます。地方自治法改正によりまして、普通地方公共團体廃置分合並びに昇格は、條例によつて都道府懸知事が裁決を與え得ることになりましたが、埼玉懸ではすでに適法條令も制定いたしまして、申請ある場合は速やかに決裁を與える態勢を整えておるのであります。本懸内で市制施行し得る各要件を具備しております町は三、四町あります。これらは戦時中、強制でないまでも、当時の要請に即應した地方行政指導方針によつて合併したものが多いのでありまして、現在としては不硬不利を感じておるような状態であります。殊に農業協同組合農地委員会等が旧町村單位に組織せられておりまして、農村勢力が増大した結果、分村傾向は激化しつつある状態であります。現に北足立郡志紀町は戦時中内間木、宗岡、水谷の三箇村を合併したのでありますが、これらは最近合併したる三村は、分離して旧態に復しておるような状態であります。所沢町は懸内最大の町でありまして、人口も四万一千を有しておりますが、この町も一町五箇村の合併で、もしこれらを分村する場合は、市としての資格を失う次第であります。飯能町は人口三万四千で、これも一町四箇村の合併でありますが、市街地は五割二分に過ぎないのでありまして、分村の場合は人口が激減するような状態であります。このほか蕨、秩父等は、さらに村の合併を必要とする次第であります。ただ一つ、忍町の事情は他の町と趣きを異にしておりまして、この町も一町三箇村の合併から成立するものであります。この合併戰前のことでもあり、かつ必然的要求から合併したのでありまして、分村運動のごときはもちろんなく、目下市制施行の申請を準備中であるというような有様であります。
  4. 松浦榮

    松浦(榮)委員 ただいまの現地の御報告について、さらに二、三お尋ねしたいことがあります。それは警察制度施行伴つて予算面における各自治体警察の不安あるいは希望がなかつたかということと、もう一つは、入場税地方税に委譲した場合に、入場税のみにて独立警察経費を賄い得る市あるいは町がはたしてあるかどうか、この二点と第三に視察された町村を念のために御報告願えればさいわいだと思います。
  5. 吉田嘉市郎

    吉田説明員 第一点でありますが、自治体警察財源についての不安は十分感じておるのでありまして、一日も早く財源確保を願いたいというのであります。
  6. 松浦榮

    松浦(榮)委員 それはどこですか。
  7. 吉田嘉市郎

    吉田説明員 これは浦和市です。
  8. 松浦榮

    松浦(榮)委員 その他はありませんね。
  9. 吉田嘉市郎

    吉田説明員 自治体警察の四十七警察の全部から要望のあつたところの財源確保、つまり何を財源とするかという点についてはまだ決定していないのです。
  10. 松浦榮

    松浦(榮)委員 第二点は、入場税で賄い得る町村が、埼玉懸に一箇所か二箇所でもあつたかどうかお聽きしたい。
  11. 吉田嘉市郎

    吉田説明員 それは各市ともに、成算はないのです。
  12. 松浦榮

    松浦(榮)委員 第三点は視察された町村をお聽きしたがつたのです。
  13. 吉田嘉市郎

    吉田説明員 埼玉懸廳について視察したのであります。
  14. 坂東幸太郎

    坂東委員長 それでは議題に移ります。火災防止のための建築制限に関し当局より説明を願います。建設院建築局指導課長内藤亮一君。
  15. 内藤亮一

    内藤説明員 全図的な建築統制と申しますか、防火の問題でございますが、これは大正八年四月五日法律第三十九号によりまして市街地建築法施行されて以来、その間関東大震災とか、いろいろな災害を経まして、戰前におきましては相当整備いたしました防火規定市街地建築物法の中に、あるいはその附属命令として特殊建築耐火規則、あるいは特殊建築物規則とか、いろいろ規定が設けられておつたのでございますが、大東亜戰争にはいりますとともに、資材一般建築物にまわりかねるようにな。まして、セメントとか鉄板とかそういうような資材は、もつぱら戦争の方へ重点を向けられるというような状態になりまして、戰争中から市街地建築物法防火規定は、施行停止ということに相なつておつたのでございます。一方建築行政は、もつぱら資材節約の面にまいりまして、木造建築物統制規則といつたような規則も職後施行せられまして、建築行政はもつぱら資材節約という方へ向けられておつたのであります。終戰とともに、早く防火規定を生かすべきではございましたが、当時混乱のままに一年有余を過ぎまして、その間かりのバラツクが戰災都市相当数建つたのでございます。もちろん防火の必要もございますが、何分にも戰災者が急速に建てるものでございますから十分な規定を設けることができなかつたのでございますが、たまたま無統制に建てられました建築物、あるいは在來からありますところの建築物火災が相当増大いたしまして、昨年の第一回國会に、市街地建築物法の今まで施行停止なつておりましたところの防火の條項を生かすための法律案政府は提出いたしまして、御協賛を経て防火規定は一應生きることに相なつたのでございます。しかしながらなお、現在の石炭不足のために鉄筋とかセメントの生産が十分上つておりませんので実際の各地方廳における施行の面としましてなお無理の点もございましたので、市街地建築物法施行規則の第五十一條第三項に、地方長官除外規定を適用することができる旨を加えまして、資材の需給とにらみ合せまして漸次都市防火をやつていくということに、現在は相なつでおるわけでございます。もちろんこれで十分とは思われませんので、今年一月一日建設院発足とともに、建築局内部に新しく指導課を設けまして、資材節約面からするところの、すなわち現在の臨時建築物等制限規則施行と切り離しまして、もつぱら建築物防火に重点をおくところの指導課という課を新しく設けまして、現在新しく方策を立案しておるわけでございます。一方資材不足の中ではございますが、建設院といたしましては、二十三年度には鉄筋コンクリート住宅三万坪、コンクリートブロツク住宅一万坪、合計四万坪の不燃住宅建築計画を現在立てておりまして、資材の方は大体現在のところ経済安定本部の承認を得ておるわけでございます。いずれ近く國会に、予算案の一部に、これらに要する経費が計上提案されることと思うわけでございます。これは資材の許し得る最大限度の計画でございます。なお一般の民間における建築物についても、現在の資材不足の中に、何とかできる限りの防火指導方針を定めるべく、現在建築物臨時防火措置要綱というものを、建築する前の案としてもつておるのであります。これを近く院議にかけまして、地方長官に通知いたしまして、訓令として市街地建築法施行に、暫定的ではございまするが、積極的に働きかけたいと、かように存じております。その要綱の大体の案を申し上げますと、まず市街地一級地区、二級地区一般地区と段階を置きまして地区を指定いたしまして、その一級地区というのは、現在甲種防火地区と指定されてありますところから選定いたしました。将来鉄筋コンクリートが必ず建ち得ると予想される場所、あるいは現在重要施設のある附近というような処を選び出しまして、そこには耐火構造、すなわち鉄筋コンクリート煉瓦造、石造といつたようなものの建築以外、すなわち木造の建築物を禁ずることという案でございます。二級地区と申しますのは、やはり現在の指定されておりますところの甲種あるいは乙種の防火地区より選定いたしまするが、これは相当廣範囲にいたしまして、この地区におきましては、現在市街地建築法に指定されておりますところの乙種防火規定建築物のみ認める、すなわちこれは不燃ではございましても、前部にセメントを塗るとか、その詳細なことは省きますが、そういう建築物のみ認める。但しそのセメントも決して十分でございません、割当のないものをやみで買つて防火をしろというわけにもまいりません。従つて例外的に準不燃というものがございますが、代用のセメントでもつてするとか、あるいは同じ二級地区内におきましても、相当空地がございます場合には、必ずしも他の建築物には延焼しない、すなわち、ただいま申し上げました二級地区というのは延焼防止を主とした地区でございまして、一つ建物から火災が起ることはやむを得ませんが、一つ建物から他の建物への延焼を防止するという精神でございますので、セメント不足の今日におきましてはやむを得ない場合には敷地の境界から建築物の場所、すなわち一定の距離を設けるように指導いたしまして、なお現在はほとんど板張りの家が多いわけでございますが、屋根の不燃材料、すなわち瓦とか鉄板で葺くのはもちろん、壁面もセメントがございませんので、昔のような土壁漆喰壁セメントのように十分でございませんので、敷地の境界から一定の距離をとらしめるというような指導でこの第二級地区建築を進めていくという案でございます。その他の地区一般地区でございまして、この地区におきましてはその建物の用途あるいは規模、その建物公共性のある多大数の民衆がはいるというような建物、あるいは百坪、二百坪、あるいは二百坪以上というような大きな建物におきましては、先ほど申し上げました二級地区と同じような構造を要求するというような案で、先ほど申し上げました建築物臨時防火措置要綱というものを現在もつております。至急これを決定いたしまして細目な訓令を地方長官に出したい、かように存じているわけであります。しかしながら根本的な問題といたしましては、どうしても石炭の増産に伴いましてセメントあるいは鉄筋、鉄材が十分生産されなければほんとう都市不燃化防火ということはなかなか達成せられないのでありまして、形式的に土壁塗つて係官が検査いたしまして、半年経つたら壁が落ちておつたというような現状では、なかなか眞の防火は達せられないのであります。現在地方廳における建築行政関係の職員は、主として資材節約の面の統制規則施行に從事いたしておりまして、戰前市街地建築法関係規定施行に当つておりましたところの職員は、戰争中以來終戰後の今日まであるいは映画館の工事、その他不要不急建物統制、小住宅すら許可が要る資材割当切符を発行するというような、専ら資材節約統制の仕事をやつておりました。新しくこの防火指導に専念いたしますには、戰前市街地建築法施行に從事しておりました定員くらいの陣容が要るわけでございますが、現在行政整理の方針が決定いたしまして、なかなか人員の増加ということ困難であります。また事実といたしましても、いたずら官公吏を殖やすということもいかがかと存ずるわけであります。根本といたしましては、民間にはあるいは土木建築請負業の中にその他建築代願人の中にも相当の技術者もいるわけでございます。いたずら官公吏技術者を採用いたしまして防火指導に当るということも、現在の行政整理の際にはいかがかと存ずるわけでございます。むしろ民間における有能な建築技術者を活用していく、彼らを信用していくといういき方に進まなければ、ほんとう都市防火は達せられないのじやないか、かように思いまして、今は資材の点その他國内各般の情勢がその時期ではないと思つておりますが、第二國会には無理かと思いますが、第三國会ぐらいには建築士法という法案を、これはすでに建設院では昨年あたり三應の案はできておるわけでありますが、民間における建築技術者をこの法律において規定いたしまして、いかなる建築物建築いたします場合でも、最初はやはり市街地に恨らなければ——農村の農家の建築までこの法律を適用するのは困難でありますが、少くとも市街地におきましては、いかなる建築物建築士設計監督にあらざれば建築することができないというような建前をもちまして、一方建築士には建物の規模、構造、用途によりまして、一級、二級、三級くらいにわけまして、國家試験もしくは一定資格によりまして、技術者承認制あるいは許可制をとりまして、一つの権利を與えるとともに、建物防火あるいは耐震、耐風、その他衞生上の問題、すなわち規則あるいは法規に規定されておるところの最小限度規定を、必す有効適切にその建築物の設計に、あるいは施行の際の監督に責任をもたすというような、これはすでに欧米の先進國では、相当前からやつておる制度でありまして、この制度をわが國にも及ぼさなければ、ほんとうの意味の防火建築はできないのではないか。すなわち東京におきましては、日々に何百何千という建築ができるわけでありますから、これらの建築は書類の上では一懸審査できますが、現場におきまして精密に検査するということは、なかなか困難であります。すなわち一つ一つ建築物官公吏が取組んでおつたのでは、いかに官公吏をふやしてもきりがないというわけでございまして、むしろ民間における建築技術者、これには大工の講習会を開いてでも、資格のあるのは三級建築士としてやつていかなければならぬ場合も起ると思いますが、いずれにいたしましても、民間における技術者あるいは技能者の技倆を活用いたしまして、そして日本の防火その他の建築文化水準を高めていくという案をもつておるのであります。現証の資材状況では、そういう制度を設けましても、なかなかこれはむずかしい問題とは思いますが、さいわいにして石炭の増産が目標を達せられまして、だんだんセメントあるいは鉄鋼の生産もあがつておるのでございますから、できるだけ近い將來にこの法律案政府案として國会に提案いたしまして、御審議をいたしていただく機会もくるのだろうと、それを楽しみにしておるのであります。  他に一つ申し上げますが、損害保險協会というものがありまして、火災保險その他の損害保險の團体でございますが、火災保險会社におきましても終戰後火災の頻発には相当まいつておる。それは外國火災保險会社と違いまして、わが國の火災保險の査定の現状は、非常に簡單でございまして、大体ある市街地地区をいろいろな階級にわけまして、この建物であれば保險金十万円についていくらであるというような、もちろん鉄筋コンクリート建物にでもなりますれば別でございますが、普通の木造の場合は、わりに簡單に保險料金をきめておるわけであります。一々現場に技術者行つて、精細にその建物はどの程度の防火性があるということを調べておりません。そこで最近の火災頻発によりまして、火災保險会社も相当の損害を受けまして、昨年あたりからこの協会に技術部を設けまして、今後火災保險を契約する場合には、十分その建物防火力というものを一定の基準によりまして査定いたしまして、防火的に弱いものは保險料金を割増する。防火的な考應が拂つてあるというものは保險料を安くする、割引するといつたような方向に進んでおる案をつくつておるようであります。これはまことに民間の案として結構な案と思いますので、建設院建築部におきましては、密接な連絡をとりまして、その達成に援助、與えておる次第でございます。以上をもちまして現在の建築関係の法規における防火現状、あるいは將來への対策を申し上げた次第でございます。
  16. 門司亮

    門司委員 ちよつと一、二点お聽きしたいと思います。ただいまの御説明で大体当局の意向はわかりましたが、具体的の問題といたしまして、現在のごとき日本情勢から申し上げますと、御説のように資材節約か最もなされなければならないときに、比較的その資材節約されていないというようなことは、非常にわかりいい言葉でありますが、実際は非常に火災が多いことのために、資材が無駄になつていることが多いわけでありまして、そのことのためにどういう処置がとられているかというと、先ほど御説明の中にありましたように、延焼防止相当力を入れるというお話でありますが、現在市街地に建つております簡易な建築物は、ほとんど延焼防止施設はなされておらないと言つても差支えないと私は思います。たとえば家と家との距離は、法規にはどういうふうに定められてあるかわかりませんが、間が三尺あいているところはいいところであつて、狭いところは二尺ぐらいである。しかもそれは土でおおわないで板割にしてある。これはほとんど一軒の家のような状態なつておりまして、一箇所から火災が発生すれば、その地域が全部焼けるというのがおそらく現状だろうと思います。これに対して指導をしておるというお話でありますが、どういう指導をなされておるか。われわれは現地を毎日見ますときに、この点を非常に不安に感じているのであります。資材節約を最も重要視しなければならないときに、結果といたしましては、資材節約をしないような状態に立つているということについての当局側の意見、さらにまた現場においてどういう指導をなされておるか、具体的の事実をお示し願いたいと思います。  その次には、製油会社その他の火災のおそれの非常に多い危險物を取扱う会社の建築等に対して、どういう処置がなされておるかということであります。これは最近の実例でありまするが、一つの製油会社ができることのために、その附近の者が非常に不安にかられて、その会社の建築その他については相当強硬な反対の意見をもち当局陳情するにもかかわらず、その会社の建築は一應許可された。そうして事業の開始にあたつては、地元の反対が非常に強いので事業の許可はまだしておらない。しかし先ほどお話のような條項だと私は思いますが、昨年の暮までは一應法律上近隣の賛成がなければ許可はできなかつたか、最近そういう法律がなくなつているので、許可をしてもいいのだというような意向を漏されておる。そこで製油会社等の附近にあります者は、かなり大きな不安にかられていると思うが、もし法的にそういう不備な点がありますれば、当局はぜひ速やかにこれを足正してもらわぬと、地域的な條件さえ備われば、人家のどんなに密接したところでも勝手に会社を建てていいということになりますと、私は非常に危險が増大すると思いますので、この間の事情をお聽きしておきたいと思うのであります。  その次にお聽きしておきたいと思いますことは、建築と事業との関係であります。そういう危險物を取扱う者の建築の願の出たときに、事業の内面が建築物法の中には相当詳細に書かれていて、そうして建築許可されるのだと考えておりますので、建築許可したが、事業の内容は、そういう地元の反対があるにかかわらず許可するという事例に陥ることはないと思いますが、その間にどいう法的の欠陥があるのか、もしこれを取締る方法があれば、その方法を教えてもらいたい。この三つの点をお伺いいたします。
  17. 内藤亮一

    内藤説明員 門司さんの御質問にお答えいたします。現在町に見られる建築物は、はなはだしく密接いたしており、二間、三間の間の距離のあいている建物はあまり見られない。しかも密接しておる建物が板をもつて壁ができ、非常に延焼の危險があるにもかかわらず、それに対して現場においていかなる指導をしておるかという第一のお尋ねでございますが、市街地建築物法には現在防火規定といたしましては規模の大きな建物は別といたしまして、普通のこのころ許可される十二坪、十五坪の建物には実は空地の制限しかないのであります。それが甲種防火地区とか、乙種防火地区になりますと、これは防火規定が働いてまいりますが、現在では空地が住居地域におきましては四割、その他の地域においては三割といつたような空地の制限しかないわけであります。もつとも戰争中は、防空建築規則というものが臨時に出まして、隣地との境界の狭いところには必ず土壁もしくはセメント壁でやるというような規定でございましたが、それが廃止されまして、現在では空地の制限しかないといつたような状態なつでおるわけであります。そこで先ほど申し上げましたように、現在では十分でないということをわれわれもよく考えまして、先ほど申し上げました建築物の臨時防火措置要項を定めまして、市街地を一級、二級、三級地に分けまして、家屋連担するようなところは、特に密集するような場所は、現在資材のないときでございますから、空地の指導防火的に有効にして敷地境界から建物を離す、その限度はその距離によりまして非常に密接する場合にはセメント壁を要求し、一定最小限度距離があります場合は土壁を用い、相当距離があれば——相当距離と申しますと、これは過去の実験によりまして大体普通の場合、烈風とか台風の場合は別でありますが、普通の風の場合には、小規模火災の場合にはどの程度離れておればまず安全という火災実験が出ておりますので、それによりまして最小限度距離をあければ板壁でもいいというようなふうに措置要項によりまして、これを市街地建築物法防火措置地方長官施行基準にいたしたいと、かように思つておるわけであります。現在防火規定建築物法によりますれば、施行規則によりまして、地方長官資材状況により適用しがたいと認めるものについては、保安上もしくは衞生上支障のない場合に限り、これを適用しないことができるというような除外規定、現在の資材需給状況から、やむを得ずついておるのでありまして、どうしてもこういう除外規定をおきますと、ついよくないことでございますが、除外してしまう。これではいけないということで、除外するにしても訓令を出しまして、やたらに除外してやすきにつくというようなことのないようにいたしたい。現状においては門司さんからお話がありましたように、まことに遺憾ながら現地指導が十分でないのを、まことに申しわけないと思つております。  それから第二の御質問の、石油会社のような非常に火災の起きやすい、また火災が起きた場合には大火になりやすい危險建築物防火についての御質問でございます。これは市街地建築物法の適用区域内におきまして、全部ではございませんが、用途地域というものが指定されておりまして、ある場所は住居地域、ある場合は商業地域、ある場所は工業地域として指定されておりますが、その工業地域の場合には、そういう危險な建築物許可することかできないのであります。もしそれが住居地域に指定されておりました場合には、地方長官が保安上支障なし、もしくは公益上やむを得ずと認める以外はそういう危險な建築物建築できないことになつております。その場所が住居地域でございましたか、あるいは工業地域でございましたか、内容はよくわかりませんが、そういう規定がまずございます。次に市街建築物法の中に旅館、下宿屋、工場その他危険物処理場等につきまして、従来から地方廳警察命令としての規則が出ております。もつとも從來からの警察命令は大体廃止になつたのでありますが、特に建築関係のある警察命令でありまして、市街地建築物法の各條項により地方長官が定め得るような内容の構造規定は、一應そのまま市街地建築物法の各地方施行細則として残し得るような規定を、本年一月一日附をもつて、総理廳令第二号として公布になつております。その石油工場が建築されるところの地方に、警察命令として危險物貯藏庫もしくは危險物処理場についての警察命令がありました場合には、それらの構造規定は適用されるのであります。しかしながら、これも資材状況により適用しがたいものと認めることがありまして、保安上もしくは衞生上支障のない場合に限り、これを適用しないことができるという除外規定がやはり附いているのであります。これは規則を生かしながら除外規定で打消すという姑息なやり方で、まことに申訳ないと思つておりますが、実情はそうなつております。  第三に、建築許可された場合に事業を開始するについては、いかなる火災防止事項を要求し得るかという御質問でございますが、これにつきましては、まず第一は、地方の労働基準局におきまして、内に働いているところの労務者の生命身体を護るために、最小限度防火措置指導あるいは要求することになつております。たとえば現場に油があるような場合には、水でなくて砂で消さなければなりませんから、あるいは砂その他の物が必要です。これは自分の方の所管ではございませんで、あとの事業につきましての措置は労働基準局で指導あるいは要求しているはずでございます。一方これは進駐軍当局の指示によりまして、現在國家消防機関ができ、火災が起つてからの消防活動のみならず、そういう危險な建築物には設備として、あるいは消火器を備えるとか、いろいろなことを指導し、あるいはその立法をいたしまして、建築物ができてしまつてからの設備——建築する場合のことは建設院の所管でございますが、できましてからの消火栓とか、あるいは貯水槽とか、簡單な消火器の設置の指導、あるいは要求は國家消防機関で立案いたしまして、各自治体あるいは地方消防当局指導さすというふうになつているように聞いております。以上不十分でございますが、お答えいたします。
  18. 川橋豊治郎

    ○川橋委員 ただいまの御説明によりますと、今度予算で要求される住宅は、その重点防火火災延焼を防ぐことに重点をおいておるように伺いました。ところが現在は資材が非常に不足しているときでありますから、やむを得ないことと思いますが、今日われわれの考えでいることは、むしろ住宅緩和の観点から、今後の建築の構想を練らなければならないと考えております。われわれが日常体験する交通状態、たとえば先ほど私が地下鉄に乗りますと、乗客の中で、こんなにたくさん人が東つて非常に疲労を感ずる結果、二千四百カロリーは住復に消耗される、これでは仕事などはできないのだといつたよう悲鳴をちよいちよい聞く。これはあなた方も体験なさつたことと思いますが、そういう点から考えますと、どうしても都心部に相当なアパートとか、いろいろなものを建築して、通勤者の住宅を緩和するということにお考えを願いたいのであります。ただ今日の資材不足の点、また火災による建造物の消耗の点から考えてやむを得ないと考えますが、今後はそういう住宅緩和の観点からさらに構想を練られまして、できれは何とかして都心部に通勤者のアパートとか、いろいろな方法によつて住宅建築していただきたいということを希累するのであります。これについて今後の構想についてのお考えをこの際伺つておきたい。
  19. 内藤亮一

    内藤説明員 ただいまの御希望につきまして当局はどう考えておるかというようなお話でございますが、まことにごもつともでございまして、現在非常に住宅難である、住宅はなるべくたくさんつくらなければならない。資材の窮屈な中でも、また資金面で國の財政も困難の中でございますが、できるだけつくらなければならないということはもちろんでございまして、建設院におきましても、できるだけの努力をいたしておるわけでございますが、残念ながら大半は木造でございます。先ほど二十三年度は約四万坪の不燃建築計画いたしておるように申し上げましたが、二十二年度は都内の高輪に鉄筋コンクリート四階建のアパートを一つ建てまして、その他の都市にもコンクリートブロツクの、あるいは組立コンクリートの住宅をごく見本的に建てる、あとは全部木造建物であるというような実情でございますが、その木造建物もなかなか敷地が得られない関係上、まとまつた敷地が與えられた予算の範囲でなかなか得にくい実情にありますので、いきおい郊外地にこれを建設しなければならないといつたような実情でございまして、ただいまお話がございましたように、都心部へ通勤するには惨憺たる光景を呈しておるわけであります。そこで私どもも、交通難緩和のためにも、できるだけ都心部に近いところを考えるのでありますが、都心部は御承知のように土地も高い、高度に利用するために、どうしても高層建築にしなければならない、これは当然でございます。少くとも三階、できれば四階、五階の鉄筋コンクリートの高層建築にしなければならない。そこで先ほど申し上げましたが、まことにまだわずかでございますが、約四万坪、これによりまして一戸十三坪余といたしますと、約三千戸でございますが、その建築物は今東京都を主として、あとは大阪、その他でございますが、その建築物もできるだけ都心部につくりたい。一つのいき方といたしましては、かりに銀座あたりでも一階を商店といたしまして、二階、三階、四階を住宅とするといつたようなことをやりたいと思つておるわけであります。しかしながらわずか三千戸でございますので、ほんのまだ見本とか研究時代でございます。どうしてもセメント鉄筋増産があがりまして、一般建築部門にこれらがまわつてまいりませんうちは、現在炭鉱たとか、あるいは電力方面、あるいは工場でいえば、肥料だとか鉄鋼とかの重点をおいておる工場建築方面にまわさなければならぬというようなことで、なかなか一般建築部門にまいりませんが、できるだけわれわれも努力いたしまして、また國会におかれましてもお力添えをいただきまして、できるだけ増産せられたセメントなり鉄を、都心部の建築に向けていきたいという希望、あるいは熱意をもつてつておるわけであります。
  20. 川橋豊治郎

    ○川橋委員 それで大体わかりましたが、今われわれがさかんに研究し、かつ叫んでおります行政整理の問題、その行政整理の結果はやはり能率増進ということが必要でありますから、その見地から考えましてもそのことが必要と考えております。大体あなたの御意見はそれでわかりましたから、今後そういうことが実現するように努力願いたい、こういうことを希望いたしておきます。  次に今構想されております火災防止あるいは延焼防止といつた、いろいろ火災重点を置いてのお話でありますが、私はこの際今後の災害についていろいろ心配いたしますが、その中で最近に非常にやかましくなりてまいりましたのが地震の問題であります。ちようど昨年京大の佐々博士ですが、関西の淀川地震帯の活動は百年が周期である、今やその周期に近づきつつある、また最近の地殻の変動等から考えて、淀川地震帯の活動によつて京阪神が相当なる被害をこうむるだろうといつたようなことを発表しましてから、まつたく今京阪神方面では、近き將來に地震があるのだろうという非常な脅威に遭遇しておるわけです。ちようど私はこの十一日から十四日まで京都に帰つておりますと、その間に四回の地震があつた、そのたびに市民は非常に心配するといつた状態でした。およそ天災は、もとより予想であつて、それに対する予防もなかなかむずかしい問題であるが、しかし昨年の関東の大水害に鑑みましても、戰時中山林が濫伐された結果で、こういつたことは平素に多少の考應を拂えば、いくらか予知できる問題であります。そうしてそのためには道路の補強であるとか、あるいは橋梁の補強であるとか、あるいは一般國民に対してそういうことを予告して、相当の心構えができると考える。関西に地震の説が出ましてから、各都市ではこれに対する災害予防に今相当の研究をし、またそれに奔走いたしておる、こういう状態であります。そこで私は地震の災害の防止として、先ほど委員長から申されました日本建築協会の要望にあるごとく、建築方面から家屋の補強工作ということについて、そういつた方面に相当注意を拂つておくことも必要と考えております。こういう点につきましては、やはり今日から建設院では相当の用意を願いたい。これによつて相当災害は予防し得ると考えております。最近京阪神では、家屋の補強工作によつて相当倒壊することを予防できると発表いたしております。こういう点について相当の御考慮を願いたい。  これは予防でありますが、もしそういつたような地震が実際にあつた場合には、どういう結果になるか。関東の大震火災、並びに昨年起りました南海の地震から見ましても、相当甚大なる損害をこうむつておる。今日わが日本の國民は、戰敗後生活のふ安定を得ないので非常に困つておる。また物資が非常に足りないので、これまた非常に困つておる。今後不幸にしてそういつたことが実現した場合におきましては、災害地の国民は非常に困ると考える。これを救済する方法として、地震保險の制度を復活したらどうか、こういうことを考えております。そこで私は、そういう方面に向いましてもいろいろ相談してみましたが、地震の災害は非常に大きい、從つてそういうことに対する保險というものは、非常に高率の保險料をもらわなければ、会社が非常な損害をこうむるといつたようなことを言つておる。しかし戰時中に地震保險なるものがありまして、そうしてこれは國家の経営であつたように考えておりますが、今後そういつた災害を予見いたしまして、地震保險制度を布く場合に、そういつたような料金の問題、あるいはそれに対して國家的立場から、どうした方法でそれに臨むかということについて、今日から十分の検討を加えられまして、できれは早急にそういつた制度を設けてもらいたい。現に京阪神では各火災保險会社に対して、地震保險なるものはどうなつたのか、あれはただちに加入したいといつたような申出がたくさんあるように聞いております。こういつたような現状をよく見られまして、地震保險についての構想を急にこの際お考え願いたいということを、私の希望としてお願いいたしまして、これについての御感想を伺いたい。
  21. 内藤亮一

    内藤説明員 関西方面が相当地震の不安に駆られておるように私も存じております。建設院の大阪出張所長、あるいは京都出張所長からの話では、全部の建物に補強するだけの資材は賄い切れませんので、学校とか映画館、その他公共建物、もしくは多人数の人が出入する建築物につきましては、とりあえず一番簡單な補強は、つつかい柱をすることが一番手取早い、最小限度資材で最も効果のあがるやり方でございますので、そういう最小限度資材の特配をいたしております。それ以上いろいろやらなければならないこともございますが、もし不幸にして災害の起つた場合の、あとの應急住宅施設資材は、関係各省と連絡をとりまして、全國に分散いたしまして、一般物動の中から特別に確保しております。  なお地震保險のことでございますが、これは主管省は大藏省か商工省と思いますが、よく主管の官廳と連絡をとりまして、われわれの方からもそういうことを要望いたしたいと思つております。
  22. 長崎正造

    ○長崎説明員 ただいま地震保險に関しまして御意見がございまして、まことにごもつともな御意見だと思うわけでありますが、その地震保險につきまして、結論としては、今急にそういうものをつくる用意がない、目下のところは考えておらないというのが実情でありますが、なお地震保險のことにつきまして、若干御説明いたしまして、御参考にいたしたいと思います。  地震保險というのは、御承知のように、昭和十八年に戰時特殊損害保險法というのができまして、戰争保險と一緒に、戰争の際における地震とかその他による損害を担保するという保險制度ができたのであります。その保險料は大体千円について五十銭でありまして、國が火災保險会社と契約を締結しまして、内地にあるものにつきましては、火災保險会社と契約をいたしますと、自動的に地震保險かつくというような制度でございまして、それがどういうふうになつたかと申しますと、損益金は全部國家が負担する。利益があれば國庫に納付し、損害があれば國庫が負担するという制度であつたのであります。その後損害保險中央会というのができまして、それを通じて國家が補償するということになつておつたのであります。結局昭和十八年から始まりまして、戰争が終つて戰争保險が廃止されると同時に地震保險も廃止せられました。その間の大体の成績はどうだつたかと申しますと、収入保險料が約一億円、支拂保險金が二億四千四百万円、結局約一億四千百万円というものが補償となつて支出されたわけであります。これはいわゆる戰争保險の二百何億という補償金の中に含まれておるわけであります。この大部分は、昭和十九年の十一月に起りました東海地方の大地震によつて支拂われた損害で、二億四千四百九十万円、約二億四千五百万円、そのほとんど全部であると申してよろしいわけであります。  なぜこのような保險が始められたかと申しますと、戰争の際における国民生活の安定、経済秩序の維持というような点から、そういう戰争の際の地震ということで始められたものでありますから、その当時やめるときに、これだけ残したらいいぢやないかというようなことで問題になつたわけであります。現在も結局同じことでありまして、財政の見地から支出になるようなこと、あるいは國家が仕事をするようなことは、なるべく控えるというようなこともあつたかと思うのでありますがそれで廃止されまして、そのままになつておるようなわけであります。現在やはり同様な事情かと思うのでありますが、特に考えておらないということであります。しかしこれは結局國営保險というものが成り立つといたしますならば國家補償が非常につかなければならない制度でありまして、十分研究いたしますが、ただ私どもとしては、そういう時期が必ずくるものと思いまして、時期を見ておるようなわけであります。國会方面にもさような御意見がありますならば、十分その方面につきまして研究を進めてまいりたいと思う次第でございます。なお技術的にはいろいろなことがございます。今の國家財政の見地というようなこともありますし、地震がはつきり起るということがわかれば、これは保險にならぬのじやないかというような説もありますし、また地震の起る場所は大体きまつていて、たとえば北海道にはめつたに起らないとかいうようなことがありまして、それを全國にある程度強制してかけるということは、少くとも保險である以上おかしいじやないか、そういうようなことがあるなら、これは税金という面にいくべきではないかというような議論もあるわけでございます。しかし現在保險のない現状におきましては、何か國家の災害扶助とか、あるいは事後の予算的措置というような方法によるのでありましようが、結局保險がかけられれば割合に円滑に、十分に保護されるという美点がございますので、なを十分に御意見も承つて、検討を進めたいと存じておる次第であります。
  23. 川橋豊治郎

    ○川橋委員 戰時中國民生活の安定のためというようなお話でありましたが、われわれの考えでは、今の日本の再建はやはり経済再建、現在の問題としては、国民生活の安定は基礎をおかなければならぬと考えております。京阪神のごときは日本の産業の中心地でありまして、もし地震等の災害によつて阪神方面の産業設備が非常な損害をこうむつた場合には、今申しましたような日本の経済の再建に、非常な大影響を與えると考えております。また一面地震のような天災、こういうものに対して國民の犠牲、負担の点から考えまして、地震のない北海道のごときというようなお話がありまして、これはごもつともなお話でありますが、大体最近の関西のそういつた地震に対する脅威は、京大の学者連中が地殻の変動とか、あるいは地震の周期の方面とかいろいろな方面から帰納して、近く地震があるということを断定的に証明したわけなのであります。こういう点につきましては、やはりよくお考えになつて、そうして今申しましたような経済の再建とか、あるいは國民生活の安定とかいつたような点から考えて、不幸にしてそういう災害のあつた後に、それに対して應急の処置を講ずるといつたようなことは、國家として十分考えなければならぬ問題と考えております。それでいろいろな方面から理論は立つでしようけれども、現にそういつたようなことになつておりますから、この際はやはり早急に研究していただきまして、能う限り早くこういつた制度を布かれるように、私は衷心から希望いたします。これは先ほど申しましたように、最近各火災保險会社に頻々その申込みがありまして、火災保險会社も実は應接に困つておるような現状であります。どうかひとつ早急に御研究願いまして、またあなた方のお立場いかんによつて、われわれ國会においても、これについては相当の考えをもつておりますから、ともどもに研究していただきまして、その実現の速やかならんことを希望いたします。
  24. 長崎正造

    ○長崎説明員 なお速やかに研究いたしたいと思います。
  25. 門司亮

    門司委員 最後にちよつとお聽きしておきたいのですが、現在建つております板べいその他でやつてつて、しかも非常に接近し合つておる建物に対してはただ建築制限だけで、他に取締る方法がないというお託であつたようでありますが、なるほど建築制限は、私は防火関係から言うと單に建築制限ではない、そういう面を將來十分指導してもらいたいということと、さらに現在建つておるものに対して、どういうふうな処置をおとりになる考えであるか。  次にお伺いしておきたいと思いますことは、最近無許可建築物が往々にして建てられつつある現状であります。これらの無許可建築物に対しては、これを制限することについて、建築の方から言えば、勝手に建ててしまいますので困難でございますが、これの使用について最も必要なる水道とか電氣であるとかいうようなものは、建築許可証のないものは、これを施設してはならないというような取締りの制限ができれば、ある程度無許可建物がなくなると思いますが、この点に対して当局に、はつきりしたお考えがございますならばお伺いしたいと思います。
  26. 内藤亮一

    内藤説明員 ただいまの御質問にお答えいたしますが、まず規則だけではなかなかむずかしいとも私ども考えまして、現在住宅とか商店を建てるにあたつて、各建設院の出張所において許可をいたします場合に、それに必要な資材割当証明書、すなわち資材の切符を発行しておるのであります。しかしこれは申込みが非常に多いために、抽籤になつておるのであります。むろん都市によつて違いますが、現存は單に公平を期するという意味で、建築の書式が整いましたならば、大体二割、三割、四割という抽籤率でやつておるのであります。先ほど門司委員から御意見もございましたように、この際非常にない資材を、火災の危險にさらされる建築に用いられることは、國家的に非常に不経済である、私どもも、まことに同感でございます。從つて今案をつくつて、これも至急に各出張所に通達いたしたいと存じますが、資材割当の際に火災予防あるいは延焼防止工事の施されておる建築物に優先的に資材割当てる。密接した建物については資材を全然割当てないというわけにもいきませんから、抽籤率を低くするとか、そういうような手も打つてまいりたいと思つております。また既存の危險のあるものについて、どういう手を打つつもりであるかというようなお話がございましたが、先ほど申しました建築物臨時防火措置要綱の中には、規模相当大きな建物、あるいは用途によつて公共性、あるいは多人数の者がはいるような建物、あるいはマーケツト、共同住宅映画館のような危險な建物については、地方長官から最小限度防火上の措置を命令し得るような措置を講じたいと思つておりますが、これも再々申し上げましたように、資材の許す範囲内においてやつてまいりたいと思つております。実情をはつきり申し上げましたなれば、資材の範囲内において建物重点を選びましてやります都合上、一般建築物にはなかなか資材がまわらないのであります。かように思つておるのであります。  そこで門司委員の御意見の無許可建築物というものが相当ある、えてして、これらは非常に火災的に危險な建築をしておる、それらには水道、ガス、雷氣を引かないように措置したらよいと思うかどうかというようなお話でありましたが、現在電気につきましては許可しない、従いまして関東配電なり、各配電会社に商工省からも通牒が行つておりまして、許可のない建物には電氣を引かないことになつております。しかし実際にはそういうものにも引いているのもあると思います。これはなお十分趣旨が徹底いたしますように、各配電会社へ連絡をとりたいと思つております。水道の方は今のところまだ連絡がついておりませんから、これも違反防止の点から申しましても結構な御意見と思いますので、至急そういうような措置をとりたいと思います。
  27. 坂東幸太郎

    坂東委員長 それでは次会の日程は公報をもつて通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十一分散会