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1948-03-20 第2回国会 衆議院 治安及び地方制度委員会 第15号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十三年三月二十日(土曜日) 午前十一時二十一分
開議
出席委員
委員長
坂東幸太郎
君
理事
門司
亮君
理事
中島 茂喜君
理事
川橋豊治郎
君
理事
松野 頼三君
理事
酒井 俊雄君 井上 知治君
大澤嘉平治
君 千賀 康治君 中垣 國男君 大村 清一君
小暮藤三郎
君 渡邊 良夫君 石田 一松君
外崎千代吉
君
加藤吉太夫君
委員外
の
出席者
総理廳技官
内藤
亮一
君
大藏事務官
長崎 正造君
專門調査員
有松 昇君
常任委員会調査
事務嘱託
吉田嘉市郎
君 ――
―――――――――――
三月十六日
料理飲食業者
の
営業再開許可
の請願(
佐々木盛
雄君紹介)(第八八号) の審査を本
委員会
に付託された。 三月十三日
中央出先官廳
の廃止に関する
陳情書
( 第三号)
地方競馬
に対する
地方税課税
に関する
陳情書
(第八号)
大衆酒場営業再開
に関する
陳情書
(第三七号)
観覧入場税
の委譲に関する
陳情書
(六四八号)
地方
自治体
の
基礎財源確立
に関する
陳情書
(第四九号)
衆参両院議員
の
選挙費
に関する
陳情書
(第六〇号)
委任事務費補助
に関する
陳情書
(第六一号)
越冬資金
の
全額國庫補助
に関する
陳情書
(第六二号)
競馬法
の
改正
に関する
陳情書
(第六五号)
建築行政事務経費
に関する
陳情書
(第六六号)
地方職員
の
待遇改善
に関する
陳情書
(第八五号) を本
委員会
に送付された。 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した事件
火災防止
のための
建築制限
に関する件 ――
―――――――――――
坂東幸太郎
1
○
坂東委員長
これより
治安
及び
地方制度常任委員会
を開会いたします。 本日の
日程
は、
火災防止
のために
建築制限
に関する件について
当局
より
説明
を聽取いたしますが、
日程
前に
報告事項
がございます。 第一の
報告事項
は、
地方自治法
の
改正
に関する件であります。 戰後
都市
の
復興
、
住宅
問題の
解決等
に対し
建築界
の負うべき使命の重大なるは、本会の常に痛感いたしておるところであ
つて
、かねてより
地方建築行政機構
の
整備
については多大の関心をも
つて
研究中であつたが、
全国主要都市都道
府縣においては
建築部
を設置して、
地方建築行政
の強力な
推進
をはかることの急務なることを痛感するに至
つたの
で、ここに会員の総意に基き、
地方自治法
の
改正
について左の通り建議する。 記
現行地方自治法
を速急に
改正
し、
主要都道
府懸に
建築局
または
建築部
を設置し得るごとく
措置
すること 理 由
政府
は
さき
に
國土復興再建事業
の強力な
推進
のため、
將來
の
建設省設置
の前提として
建設院
を設置したことは、まことに機宜の
措置
であると考えるが、單なる
中央機関
の
整備
のみでは、眞にこれが実効を期待することはできない。すなわち
建設行政地方機構
の
整備
はきわめて緊要であり、なかんずく戦後急激に
重大性
を加え、かつその
陣容
を拡大した
建築
及び
住宅行政
については速急にこれを
整備
し、その一元化した強力円滑 なる
運営
をはかる必要がある。しかるに
さき
に
改正
せられた
地方自治法
によれば、道府縣には
建築部
が設けられないことと
なつ
た。これは
改正
前の
地方自治法
に其いて
建築部
を設置した愛知懸の
措置
を逆行させるのみでなく、すでに同様の機運にあつた全
國主要都道
府懸内の
建築
及び
住宅関係機構整備
の当然の
要望
を阻止する結果と
なつ
た。これは
建築
及び
住宅行政
の
能率的遂行
のためきわめて遺憾である。すなわち
右改正法
の
規定
によれば、
住宅
及び
建築
に関する
事項
は
土木部
、
東京
都では
建設局
の所管と
なつ
ているが、一、
建築
は
土木
とは技術的に別個であること、二、
行政
としても
土木
がもつ
ぱら公共事業
であるに反し、
建築
は
民間事業
の
指導統制
の面を多分にもつこと、三、大
都市
を含む
主要都道
府懸においては、
住宅復興学校
その他の
公共営繕進駐軍関係工事
のため厖大な
機構人員
を擁する点より、
土木部
中におくことは
土木部
を
いたずら
に過大とし、非
能率
とすること、四これら
建築
及び
住宅関係事務
を一人の堪能なる
建築行政官
をして有機的に統轄せしめ、自由敏速な
裁量運営
をはかる必要があること等の諸点を考慮するとき、
地方廳
に
土木部
より独立した
建築部
を設け得る途を開き、かつ
地方
の実状に應じて、積極的にこれが
整備
もはからしめるよう
措置
することは、最善の
事方策
である。 これは去る三月十五日、
日本建築学会会長岸田日出刀
氏からの
陳情
であります。 なおもう
一つ
ありますが、この
陳情者
は全
國知事会議会長東京都知事安井誠一郎
君であります。
競犬法制定促進
に関する
陳情
本年二月十九日
治安
及び
地方制度委員会
において、
競犬法
に関する小
委員会設置
の件を議決せられ、二月二十四日第一回
小委員会開催
以来
愼重審議
を重ねられ、
法案
の
調査起草
に一段の進展を見ましたことは、全
國知事
のひとしく
感謝感激
にた身ないところであります。 近時
官公吏給與水準
の引上げ、あるいは相次ぐ
自治
諸
制度
の改革に伴い
自治体
の
財政需給
は著しき不均衡を生じ、
新規有力財源
の
確保
はまつたく焦眉の急務と相
なつ
ている次 第であります。 右のごとき逼迫せる
現下財政事情
を御高察くだされ、本法の
制定促進
に関し、さらに特段の御配慮賜わりたく懇願いたします。 右
陳情
いたします。以上御
報告
申し上げます。なお
吉田嘱託
から、過日來における埼玉懸の
調査視察事項
の御
報告
があります。
吉田嘉市郎
2
○
吉田説明員
本月十七日、新
警察制度
の
施行状況
と、新
地方自治法
による
市制施行
の
状況
につきまして、
埼玉縣
を観察いたしました。その
概要
を次に
報告
申し上げます。 第一に新
警察制度
であります。本懸内の新
警察制度
の
準備
は比較的順調に進みまして、
公安委員
の選定も円滑に決定を見て、
國家
、
自治体
両
警察とも
に二月中にその体制を整えまして活動にはい
つたの
であります。まず
自治体警察
について見ますると、本懸内には
五つ
の市、四十
二箇
町、計四十七
警察署
があります。
五つ
の市の
警察署
の
警官
の
定員
は六百三十七名でありまして、現在数は四百七名で、二百三十名の
欠員
と
なつ
ております。また市以外の四十
二箇
町所属の
警察
官の
定員
は六百八十九名でありまして、現在数は五百七十七名、すなわち百十二名の
欠員
と
なつ
ておるのであります。これらの
警察
は
人口
七百三名に対して
警官
一名という
割合
に
なつ
ております。
施設
の方面から見ますと、大部分は旧
警察署
及び
派出所等
を
國家地方警察
と共用もしくは専用いたしており、あるいは
町役場
の一部を使用しておるものもあります。 次に
公安委員
は四十七の
自治体警察
で百四十一名となります。その職業から見ますと、
農業
と
会社関係者
が断然多く各三十五名、この両者が全体の約五割を占めておる
状態
です。次に醫師の二十九名、商業の二十二名、僧侶の七名、
技術者
の五名、無職六名、
学校講師
五名という
割合
に
なつ
ております。
國家地方警察
について見ますと、懸
内定員数
は
警察長
、
警視等
を含めまして八百三十七名であります。本年三月七日現在数は七百八十名でありまして、なお五十七名の
不足
を生じておるのであります。
警察所轄
は十八の
地区
に分割されておりまして、各
地域
に
派出所
を設置しております。
國家警察
の
所轄地域
は非常に
廣汎
であります
関係
上、その
地域
内の
住民数
は百九万以上に上
つて
おりまして、警備の手薄を痛感しておるような次第であります。
人口
千三百九名に対して、
警官
一名という
割合
に
なつ
ております。なお
警察本部
は従來の
警察部
をそのまま使用して、各
警察署
の方は、大体
自治体警察
と同居の
状態
であります。それから
通信施設
でありますが、
本部
との
直通通信
も可能であります。
下部機構
であるところの
駐在所
の方も大部分完成しております。
無線施設
は川口、川越、熊谷、
久喜等
の
警察署
に附設いたしまして、
非常事態
の発生に備えておる
状態
であります。
國家地方警察
の埼玉懸
本部
の
公安委員
は、
埼玉新聞専務理事
の
板谷幸太郎
氏、
入間川ゴム株式会社社長清水逸平
氏、
埼玉銀行取締役長嶋恭助
氏の五名であります。以上が新
警察制度
につきましての
概要
であります。
警察側
の
さしあたり
の
要望
といたしまして、左の四点を要請しております。第一、
財源
の
確保
、第二、
装備資材
の
至急充実
、第三、
警察学校在学
中の者を
定員外
とすること、第四、
分村
の場合、
分村地域
は
國家警察地域
となるが、これに充当する
警官
を
考應
ありたきこと等であります。 それから第二に
地方自治法
による
市制
の
施行状況
について申し上げます。
地方自治法
の
改正
によりまして、
普通地方公共團体
の
廃置分合
並びに昇格は、
條例
によ
つて都道
府懸
知事
が裁決を與え得ることになりましたが、埼玉懸ではすでに
適法條令
も制定いたしまして、申請ある場合は速やかに決裁を與える態勢を整えておるのであります。本懸内で
市制
を
施行
し得る各要件を具備しております町は三、四町あります。これらは
戦時
中、強制でないまでも、当時の要請に即應した
地方行政
の
指導方針
によ
つて
合併
したものが多いのでありまして、現在としては不硬不利を感じておるような
状態
であります。殊に
農業協同組合
、
農地委員会等
が旧
町村單位
に組織せられておりまして、
農村勢力
が増大した結果、
分村傾向
は激化しつつある
状態
であります。現に北足立郡志紀町は
戦時中内間木
、宗岡、水谷の
三箇
村を
合併
したのでありますが、これらは最近
合併
したる三村は、分離して旧態に復しておるような
状態
であります。所沢町は懸内
最大
の町でありまして、
人口
も四万一千を有しておりますが、この町も一町五箇村の
合併
で、もしこれらを
分村
する場合は、市としての
資格
を失う次第であります。飯能町は
人口
三万四千で、これも一町四箇村の
合併
でありますが、
市街地
は五割二分に過ぎないのでありまして、
分村
の場合は
人口
が激減するような
状態
であります。このほか蕨、
秩父等
は、さらに村の
合併
を必要とする次第であります。ただ
一つ
、忍町の
事情
は他の町と趣きを異にしておりまして、この町も一町
三箇
村の
合併
から成立するものであります。この
合併
は
戰前
のことでもあり、かつ
必然的要求
から
合併
したのでありまして、
分村運動
のごときはもちろんなく、
目下市制施行
の申請を
準備
中であるというような有様であります。
松浦榮
3
○
松浦
(榮)
委員
ただいまの現地の御
報告
について、さらに二、三お尋ねしたいことがあります。それは
警察制度
の
施行
に
伴つて
、
予算面
における各
自治体警察
の不安あるいは希望がなかつたかということと、もう
一つ
は、
入場税
を
地方税
に委譲した場合に、
入場税
のみにて
独立警察
の
経費
を賄い得る市あるいは町がはたしてあるかどうか、この二点と第三に視察された
町村
を念のために御
報告
願えればさいわいだと思います。
吉田嘉市郎
4
○
吉田説明員
第一点でありますが、
自治体警察
の
財源
についての不安は十分感じておるのでありまして、一日も早く
財源
の
確保
を願いたいというのであります。
松浦榮
5
○
松浦
(榮)
委員
それはどこですか。
吉田嘉市郎
6
○
吉田説明員
これは浦和市です。
松浦榮
7
○
松浦
(榮)
委員
その他はありませんね。
吉田嘉市郎
8
○
吉田説明員
自治体警察
の四十七
警察
の全部から
要望
のあつたところの
財源
の
確保
、つまり何を
財源
とするかという点についてはまだ決定していないのです。
松浦榮
9
○
松浦
(榮)
委員
第二点は、
入場税
で賄い得る
町村
が、埼玉懸に一箇所か
二箇
所でもあつたかどうかお
聽きし
たい。
吉田嘉市郎
10
○
吉田説明員
それは
各市とも
に、成算はないのです。
松浦榮
11
○
松浦
(榮)
委員
第三点は視察された
町村
をお
聽きし
たが
つたの
です。
吉田嘉市郎
12
○
吉田説明員
埼玉懸廳について視察したのであります。
坂東幸太郎
13
○
坂東委員長
それでは議題に移ります。
火災防止
のための
建築制限
に関し
当局
より
説明
を願います。
建設院建築局指導課長
、
内藤亮一
君。
内藤亮一
14
○
内藤説明員
全図的な
建築
の
統制
と申しますか、
防火
の問題でございますが、これは大正八年四月五日
法律
第三十九号によりまして
市街地建築法
が
施行
されて以来、その間関東大震災とか、いろいろな災害を経まして、戰前におきましては相当
整備
いたしました
防火
の
規定
が
市街地建築物法
の中に、あるいはその
附属命令
として
特殊建築耐火規則
、あるいは
特殊建築物規則
とか、いろいろ
規定
が設けられてお
つたの
でございますが、大
東亜戰争
にはいりますとともに、
資材
が
一般建築物
にまわりかねるようにな。まして、
セメント
とか鉄板とかそういうような
資材
は、もつ
ぱら戦争
の方へ重点を向けられるというような
状態
になりまして、
戰争中
から
市街地建築物法
の
防火
の
規定
は、
施行停止
ということに相
なつ
てお
つたの
でございます。一方
建築行政
は、もつ
ぱら資材節約
の面にまいりまして、
木造建築物統制規則
といつたような
規則
も職後
施行
せられまして、
建築行政
はもつ
ぱら資材
の
節約
という方へ向けられてお
つたの
であります。終戰とともに、早く
防火
の
規定
を生かすべきではございましたが、当時混乱のままに一年有余を過ぎまして、その間かりのバラツクが
戰災都市
に
相当数建つたの
でございます。もちろん
防火
の必要もございますが、何分にも戰災者が急速に建てるものでございますから十分な
規定
を設けることができなか
つたの
でございますが、たまたま無
統制
に建てられました
建築物
、あるいは在來からありますところの
建築物
の
火災
が相当増大いたしまして、昨年の第一回
國会
に、
市街地建築物法
の今まで
施行停止
に
なつ
ておりましたところの
防火
の條項を生かすための
法律案
を
政府
は提出いたしまして、御協賛を経て
防火
の
規定
は一應生きることに相な
つたの
でございます。しかしながらなお、現在の
石炭不足
のために鉄筋とか
セメント
の生産が十分上
つて
おりませんので実際の各
地方廳
における
施行
の面としましてなお無理の点もございましたので、
市街地建築物法施行規則
の第五十一條第三項に、
地方長官
は
除外規定
を適用することができる旨を加えまして、
資材
の需給とにらみ合せまして漸次
都市
の
防火
をや
つて
いくということに、現在は相
なつ
でおるわけでございます。もちろんこれで十分とは思われませんので、今年一月一日
建設院発足
とともに、
建築局内部
に新しく
指導課
を設けまして、
資材節約面
からするところの、すなわち現在の
臨時建築物等制限規則
の
施行
と切り離しまして、もつ
ぱら建築物
の
防火
に重点をおくところの
指導課
という課を新しく設けまして、現在新しく方策を立案しておるわけでございます。一方
資材
の
不足
の中ではございますが、
建設院
といたしましては、二十三年度には
鉄筋コンクリート住宅
三万坪、
コンクリートブロツク住宅
一万坪、合計四万坪の
不燃住宅
の
建築計画
を現在立てておりまして、
資材
の方は大体現在のところ
経済安定本部
の承認を得ておるわけでございます。いずれ近く
國会
に、
予算案
の一部に、これらに要する
経費
が計上提案されることと思うわけでございます。これは
資材
の許し得る
最大限度
の計画でございます。なお一般の
民間
における
建築物
についても、現在の
資材
の
不足
の中に、何とかできる限りの
防火
の
指導方針
を定めるべく、現在
建築物臨時防火措置要綱
というものを、
建築
する前の案としても
つて
おるのであります。これを近く院議にかけまして、
地方長官
に通知いたしまして、訓令として
市街地建築法
の
施行
に、暫定的ではございまするが、積極的に働きかけたいと、かように存じております。その要綱の大体の案を申し上げますと、まず
市街地
を
一級地区
、二級
地区
、
一般地区
と段階を置きまして
地区
を指定いたしまして、その
一級地区
というのは、現在
甲種防火地区
と指定されてありますところから選定いたしました。将来
鉄筋コンクリート
が必ず建ち得ると予想される場所、あるいは現在
重要施設
のある附近というような処を選び出しまして、そこには
耐火構造
、すなわち
鉄筋コンクリート
、
煉瓦造
、石造といつたようなものの
建築
以外、すなわち木造の
建築物
を禁ずることという案でございます。二級
地区
と申しますのは、やはり現在の指定されておりますところの甲種あるいは乙種の
防火地区
より選定いたしまするが、これは相当
廣範囲
にいたしまして、この
地区
におきましては、現在
市街地建築法
に指定されておりますところの
乙種防火規定
の
建築物
のみ認める、すなわちこれは
不燃
ではございましても、前部に
セメント
を塗るとか、その詳細なことは省きますが、そういう
建築物
のみ認める。但しその
セメント
も決して十分でございません、割当のないものをやみで
買つて防火
をしろというわけにもまいりません。従
つて
例外的に準
不燃
というものがございますが、代用の
セメント
でも
つて
するとか、あるいは同じ二級
地区
内におきましても、相当空地がございます場合には、必ずしも他の
建築物
には延焼しない、すなわち、ただいま申し上げました二級
地区
というのは
延焼防止
を主とした
地区
でございまして、
一つ
の
建物
から
火災
が起ることはやむを得ませんが、
一つ
の
建物
から他の
建物
への延焼を防止するという精神でございますので、
セメント
が
不足
の今日におきましてはやむを得ない場合には敷地の境界から
建築物
の場所、すなわち
一定
の距離を設けるように
指導
いたしまして、なお現在はほとんど板張りの家が多いわけでございますが、屋根の
不燃材料
、すなわち瓦とか鉄板で葺くのはもちろん、壁面も
セメント
がございませんので、昔のような
土壁
、
漆喰壁
で
セメント
のように十分でございませんので、敷地の境界から
一定
の距離をとらしめるというような
指導
でこの第二級
地区
の
建築
を進めていくという案でございます。その他の
地区
が
一般地区
でございまして、この
地区
におきましてはその
建物
の用途あるいは規模、その
建物
が
公共性
のある
多大数
の民衆がはいるというような
建物
、あるいは百坪、二百坪、あるいは二百坪以上というような大きな
建物
におきましては、先ほど申し上げました二級
地区
と同じような構造を要求するというような案で、先ほど申し上げました
建築物臨時防火措置要綱
というものを現在も
つて
おります。至急これを決定いたしまして細目な訓令を
地方長官
に出したい、かように存じているわけであります。しかしながら根本的な問題といたしましては、どうしても石炭の増産に伴いまして
セメント
あるいは鉄筋、鉄材が十分生産されなければ
ほんとう
の
都市
の
不燃化
、
防火
ということはなかなか達成せられないのでありまして、形式的に
土壁
を
塗つて係官
が検査いたしまして、半年経つたら壁が落ちておつたというような
現状
では、なかなか眞の
防火
は達せられないのであります。現在
地方廳
における
建築行政関係
の職員は、主として
資材
の
節約
の面の
統制規則
の
施行
に從事いたしておりまして、
戰前市街地建築法関係
の
規定
の
施行
に当
つて
おりましたところの職員は、
戰争中以來終戰後
の今日まであるいは
映画館
の工事、その他
不要不急
の
建物
の
統制
、小
住宅
すら許可が要る
資材
の
割当切符
を発行するというような、専ら
資材節約
の
統制
の仕事をや
つて
おりました。新しくこの
防火
の
指導
に専念いたしますには、
戰前市街地建築法
の
施行
に從事しておりました
定員
くらいの陣容が要るわけでございますが、現在
行政整理
の方針が決定いたしまして、なかなか人員の増加ということ困難であります。また事実といたしましても、
いたずら
に
官公吏
を殖やすということもいかがかと存ずるわけであります。根本といたしましては、
民間
にはあるいは
土木建築請負業
の中にその他
建築代願人
の中にも相当の
技術者
もいるわけでございます。
いたずら
に
官公吏
に
技術者
を採用いたしまして
防火
の
指導
に当るということも、現在の
行政整理
の際にはいかがかと存ずるわけでございます。むしろ
民間
における有能な
建築技術者
を活用していく、彼らを信用していくといういき方に進まなければ、
ほんとう
の
都市
の
防火
は達せられないのじやないか、かように思いまして、今は
資材
の点その他
國内各般
の情勢がその時期ではないと思
つて
おりますが、第二
國会
には無理かと思いますが、第三
國会
ぐらいには
建築士法
という法案を、これはすでに
建設院
では昨年
あたり
三應の案はできておるわけでありますが、
民間
における
建築技術者
をこの
法律
において
規定
いたしまして、いかなる
建築物
を
建築
いたします場合でも、最初はやはり
市街地
に恨らなければ
——農村
の農家の
建築
までこの
法律
を適用するのは困難でありますが、少くとも
市街地
におきましては、いかなる
建築物
も
建築士
の
設計監督
にあらざれば
建築
することができないというような建前をもちまして、一方
建築士
には
建物
の規模、構造、用途によりまして、一級、二級、三級くらいにわけまして、
國家試験
もしくは
一定
の
資格
によりまして、
技術者
に
承認制
あるいは
許可制
をとりまして、
一つ
の権利を與えるとともに、
建物
の
防火
あるいは耐震、耐風、その他衞生上の問題、すなわち
規則
あるいは法規に
規定
されておるところの
最小限度
の
規定
を、必す有効適切にその
建築物
の設計に、あるいは
施行
の際の監督に責任をもたすというような、これはすでに欧米の
先進國
では、相当前からや
つて
おる
制度
でありまして、この
制度
をわが國にも及ぼさなければ、
ほんとう
の意味の
防火建築
はできないのではないか。すなわち
東京
におきましては、日々に何百何千という
建築
ができるわけでありますから、これらの
建築
は書類の上では一懸審査できますが、現場におきまして精密に検査するということは、なかなか困難であります。すなわち
一つ一つ
の
建築物
に
官公吏
が取組んでお
つたの
では、いかに
官公吏
をふやしてもきりがないというわけでございまして、むしろ
民間
における
建築技術者
、これには大工の
講習会
を開いてでも、
資格
のあるのは三級
建築士
としてや
つて
いかなければならぬ場合も起ると思いますが、いずれにいたしましても、
民間
における
技術者
あるいは
技能者
の技倆を活用いたしまして、そして日本の
防火
その他の
建築
の
文化水準
を高めていくという案をも
つて
おるのであります。現証の
資材
の
状況
では、そういう
制度
を設けましても、なかなかこれはむずかしい問題とは思いますが、さいわいにして石炭の増産が目標を達せられまして、だんだん
セメント
あるいは鉄鋼の生産もあが
つて
おるのでございますから、できるだけ近い
將來
にこの
法律案
を
政府案
として
國会
に提案いたしまして、御審議をいたしていただく機会もくるのだろうと、それを楽しみにしておるのであります。 他に
一つ
申し上げますが、
損害保險協会
というものがありまして、
火災保險
その他の
損害保險
の團体でございますが、
火災保險会社
におきましても
終戰後
の
火災
の頻発には相当まい
つて
おる。それは
外國
の
火災保險会社
と違いまして、わが國の
火災保險
の査定の
現状
は、非常に簡單でございまして、大体ある
市街地
の
地区
をいろいろな階級にわけまして、この
建物
であれば
保險金十
万円についていくらであるというような、もちろん
鉄筋コンクリート
の
建物
にでもなりますれば別でございますが、普通の木造の場合は、わりに簡單に
保險料金
をきめておるわけであります。一々現場に
技術者
が
行つて
、精細にその
建物
はどの程度の
防火性
があるということを調べておりません。そこで最近の
火災頻発
によりまして、
火災保險会社
も相当の損害を受けまして、昨年
あたり
からこの協会に
技術部
を設けまして、今後
火災保險
を契約する場合には、十分その
建物
の
防火力
というものを
一定
の基準によりまして査定いたしまして、
防火
的に弱いものは
保險料金
を割増する。
防火
的な考應が拂
つて
あるというものは
保險料
を安くする、割引するといつたような方向に進んでおる案をつく
つて
おるようであります。これはまことに
民間
の案として結構な案と思いますので、
建設院建築部
におきましては、密接な連絡をとりまして、その達成に援助、與えておる次第でございます。以上をもちまして現在の
建築関係
の法規における
防火
の
現状
、あるいは
將來
への対策を申し上げた次第でございます。
門司亮
15
○
門司委員
ちよつと一、二点お
聽きし
たいと思います。ただいまの御
説明
で大体
当局
の意向はわかりましたが、具体的の問題といたしまして、現在のごとき
日本
の
情勢
から申し上げますと、御説のように
資材
の
節約
か最もなされなければならないときに、比較的その
資材
が
節約
されていないというようなことは、非常にわかりいい言葉でありますが、実際は非常に
火災
が多いことのために、
資材
が無駄に
なつ
ていることが多いわけでありまして、そのことのためにどういう処置がとられているかというと、先ほど御
説明
の中にありましたように、
延焼防止
に
相当
力を入れるというお話でありますが、現在
市街地
に建
つて
おります簡易な
建築物
は、ほとんど
延焼防止
の
施設
はなされておらないと言
つて
も差支えないと私は思います。たとえば家と家との
距離
は、
法規
にはどういうふうに定められてあるかわかりませんが、間が三尺あいているところはいいところであ
つて
、狭いところは二尺ぐらいである。しかもそれは土でおおわないで板割にしてある。これはほとんど一軒の家のような
状態
に
なつ
ておりまして、一箇所から
火災
が発生すれば、その
地域
が全部焼けるというのがおそらく
現状
だろうと思います。これに対して
指導
をしておるというお話でありますが、どういう
指導
をなされておるか。われわれは現地を毎日見ますときに、この点を非常に不安に感じているのであります。
資材節約
を最も重要視しなければならないときに、結果といたしましては、
資材
の
節約
をしないような
状態
に立
つて
いるということについての
当局
側の意見、さらにまた
現場
においてどういう
指導
をなされておるか、具体的の事実をお示し願いたいと思います。 その次には、製油会社その他の
火災
のおそれの非常に多い危險物を取扱う会社の
建築
等に対して、どういう処置がなされておるかということであります。これは最近の実例でありまするが、
一つ
の製油会社ができることのために、その附近の者が非常に不安にかられて、その会社の
建築
その他については
相当
強硬な反対の意見をもち
当局
に
陳情
するにもかかわらず、その会社の
建築
は一應
許可
された。そうして事業の開始にあた
つて
は、地元の反対が非常に強いので事業の
許可
はまだしておらない。しかし先ほどお話のような
條項
だと私は思いますが、昨年の暮までは一應
法律
上近隣の賛成がなければ
許可
はできなかつたか、最近そういう
法律
がなく
なつ
ているので、
許可
をしてもいいのだというような意向を漏されておる。そこで製油会社等の附近にあります者は、かなり大きな不安にかられていると思うが、もし法的にそういう不備な点がありますれば、
当局
はぜひ速やかにこれを足正してもらわぬと、
地域
的な條件さえ備われば、人家のどんなに密接したところでも勝手に会社を建てていいということになりますと、私は非常に危險が増大すると思いますので、この間の
事情
をお
聽きし
ておきたいと思うのであります。 その次にお
聽きし
ておきたいと思いますことは、
建築
と事業との
関係
であります。そういう危險物を取扱う者の
建築
の願の出たときに、事業の内面が
建築物
法の中には
相当
詳細に書かれていて、そうして
建築
が
許可
されるのだと考えておりますので、
建築
は
許可
したが、事業の内容は、そういう地元の反対があるにかかわらず
許可
するという事例に陥ることはないと思いますが、その間にどいう法的の欠陥があるのか、もしこれを取締る方法があれば、その方法を教えてもらいたい。この三つの点をお伺いいたします。
内藤亮一
16
○
内藤説明員
門司
さんの御質問にお答えいたします。現在町に見られる
建築物
は、はなはだしく密接いたしており、二間、三間の間の
距離
のあいている
建物
はあまり見られない。しかも密接しておる
建物
が板をも
つて
壁ができ、非常に
延焼
の危險があるにもかかわらず、それに対して
現場
においていかなる
指導
をしておるかという第一のお尋ねでございますが、
市街地建築物法
には現在
防火
の
規定
といたしましては
規模
の大きな
建物
は別といたしまして、普通のこのころ
許可
される十二坪、十五坪の
建物
には実は空地の制限しかないのであります。それが
甲種防火地区
とか、
乙種
防火地区
になりますと、これは
防火
の
規定
が働いてまいりますが、現在では空地が住居
地域
におきましては四割、その他の
地域
においては三割といつたような空地の制限しかないわけであります。もつとも
戰争中
は、防空
建築
規則
というものが臨時に出まして、隣地との
境界
の狭いところには必ず
土壁
もしくは
セメント
壁でやるというような
規定
でございましたが、それが廃止されまして、現在では空地の制限しかないといつたような
状態
に
なつ
でおるわけであります。そこで先ほど申し上げましたように、現在では十分でないということをわれわれもよく考えまして、先ほど申し上げました
建築物
の臨時
防火
措置
要項を定めまして、
市街地
を一級、二級、三級地に分けまして、家屋連担するようなところは、特に密集するような
場所
は、現在
資材
のないときでございますから、空地の
指導
を
防火
的に有効にして
敷地
の
境界
から
建物
を離す、その限度はその
距離
によりまして非常に密接する場合には
セメント
壁を要求し、
一定
の
最小限度
の
距離
があります場合は
土壁
を用い、
相当
距離
があれば——
相当
距離
と申しますと、これは過去の実験によりまして大体普通の場合、烈風とか台風の場合は別でありますが、普通の風の場合には、小
規模
の
火災
の場合にはどの程度離れておればまず安全という
火災
実験が出ておりますので、それによりまして
最小限度
の
距離
をあければ板壁でもいいというようなふうに
措置
要項によりまして、これを
市街地建築物法
の
防火
の
措置
の
地方長官
の
施行
基準にいたしたいと、かように思
つて
おるわけであります。現在
防火
の
規定
は
建築物
法によりますれば、
施行
規則
によりまして、
地方長官
は
資材
の
状況
により適用しがたいと認めるものについては、保安上もしくは
衞生
上支障のない場合に限り、これを適用しないことができるというような
除外規定
、現在の
資材
の
需給
状況
から、やむを得ずついておるのでありまして、どうしてもこういう
除外規定
をおきますと、ついよくないことでございますが、除外してしまう。これではいけないということで、除外するにしても
訓令
を出しまして、やたらに除外してやすきにつくというようなことのないようにいたしたい。
現状
においては
門司
さんからお話がありましたように、まことに遺憾ながら現地
指導
が十分でないのを、まことに申しわけないと思
つて
おります。 それから第二の御質問の、石油会社のような非常に
火災
の起きやすい、また
火災
が起きた場合には大火になりやすい危險
建築物
の
防火
についての御質問でございます。これは
市街地建築物法
の適用区域内におきまして、全部ではございませんが、
用途
地域
というものが指定されておりまして、ある
場所
は住居
地域
、ある場合は商業
地域
、ある
場所
は工業
地域
として指定されておりますが、その工業
地域
の場合には、そういう危險な
建築物
は
許可
することかできないのであります。もしそれが住居
地域
に指定されておりました場合には、
地方長官
が保安上支障なし、もしくは公益上やむを得ずと認める以外はそういう危險な
建築物
は
建築
できないことに
なつ
ております。その
場所
が住居
地域
でございましたか、あるいは工業
地域
でございましたか、内容はよくわかりませんが、そういう
規定
がまずございます。次に市街
建築物
法の中に旅館、下宿屋、工場その他危険物処理場等につきまして、従来から
地方廳
の
警察
命令としての
規則
が出ております。もつとも從來からの
警察
命令は大体廃止にな
つたの
でありますが、特に
建築
に
関係
のある
警察
命令でありまして、
市街地建築物法
の各
條項
により
地方長官
が定め得るような内容の
構造
の
規定
は、一應そのまま
市街地建築物法
の各
地方
の
施行
細則として残し得るような
規定
を、本年一月一日附をも
つて
、総理廳令第二号として公布に
なつ
ております。その石油工場が
建築
されるところの
地方
に、
警察
命令として危險物貯藏庫もしくは危險物処理場についての
警察
命令がありました場合には、それらの
構造
規定
は適用されるのであります。しかしながら、これも
資材
の
状況
により適用しがたいものと認めることがありまして、保安上もしくは
衞生
上支障のない場合に限り、これを適用しないことができるという
除外規定
がやはり附いているのであります。これは
規則
を生かしながら
除外規定
で打消すという姑息なやり方で、まことに申訳ないと思
つて
おりますが、実情はそう
なつ
ております。 第三に、
建築
が
許可
された場合に事業を開始するについては、いかなる
火災防止
の
事項
を要求し得るかという御質問でございますが、これにつきましては、まず第一は、
地方
の労働基準局におきまして、内に働いているところの労務者の生命身体を護るために、
最小限度
の
防火
措置
を
指導
あるいは要求することに
なつ
ております。たとえば
現場
に油があるような場合には、水でなくて砂で消さなければなりませんから、あるいは砂その他の物が必要です。これは自分の方の所管ではございませんで、あとの事業につきましての
措置
は労働基準局で
指導
あるいは要求しているはずでございます。一方これは進駐軍
当局
の指示によりまして、現在
國家
消防機関ができ、
火災
が起
つて
からの消防活動のみならず、そういう危險な
建築物
には設備として、あるいは消火器を備えるとか、いろいろなことを
指導
し、あるいはその立法をいたしまして、
建築物
ができてしま
つて
からの設備——
建築
する場合のことは
建設院
の所管でございますが、できましてからの消火栓とか、あるいは貯水槽とか、
簡單
な消火器の設置の
指導
、あるいは要求は
國家
消防機関で立案いたしまして、各
自治体
あるいは
地方
消防
当局
に
指導
さすというふうに
なつ
ているように聞いております。以上不十分でございますが、お答えいたします。
川橋豊治郎
17
○川橋
委員
ただいまの御
説明
によりますと、今度予算で要求される
住宅
は、その
重点
を
防火
と
火災
の
延焼
を防ぐことに
重点
をおいておるように伺いました。ところが現在は
資材
が非常に
不足
しているときでありますから、やむを得ないことと思いますが、今日われわれの考えでいることは、むしろ
住宅
緩和の観点から、今後の
建築
の構想を練らなければならないと考えております。われわれが日常体験する交通
状態
、たとえば先ほど私が地下鉄に乗りますと、乗客の中で、こんなにたくさん人が東
つて
非常に疲労を感ずる結果、二千四百カロリーは住復に消耗される、これでは仕事などはできないのだといつたよう悲鳴をちよいちよい聞く。これはあなた方も体験なさつたことと思いますが、そういう点から考えますと、どうしても都心部に
相当
なアパートとか、いろいろなものを
建築
して、通勤者の
住宅
を緩和するということにお考えを願いたいのであります。ただ今日の
資材
の
不足
の点、また
火災
による建造物の消耗の点から考えてやむを得ないと考えますが、今後はそういう
住宅
緩和の観点からさらに構想を練られまして、できれは何とかして都心部に通勤者のアパートとか、いろいろな方法によ
つて
住宅
を
建築
していただきたいということを希累するのであります。これについて今後の構想についてのお考えをこの際伺
つて
おきたい。
内藤亮一
18
○
内藤説明員
ただいまの御希望につきまして
当局
はどう考えておるかというようなお話でございますが、まことにごもつともでございまして、現在非常に
住宅
難である、
住宅
はなるべくたくさんつくらなければならない。
資材
の窮屈な中でも、また資金面で國の財政も困難の中でございますが、できるだけつくらなければならないということはもちろんでございまして、
建設院
におきましても、できるだけの努力をいたしておるわけでございますが、残念ながら大半は
木造
でございます。先ほど二十三年度は約四万坪の
不燃
建築
を
計画
いたしておるように申し上げましたが、二十二年度は都内の高輪に
鉄筋コンクリート
四階建のアパートを
一つ
建てまして、その他の
都市
にもコンクリートブロツクの、あるいは組立コンクリートの
住宅
をごく見本的に建てる、あとは全部
木造
の
建物
であるというような実情でございますが、その
木造
の
建物
もなかなか
敷地
が得られない
関係
上、まとまつた
敷地
が與えられた予算の範囲でなかなか得にくい実情にありますので、いきおい郊外地にこれを建設しなければならないといつたような実情でございまして、ただいまお話がございましたように、都心部へ通勤するには惨憺たる光景を呈しておるわけであります。そこで私どもも、交通難緩和のためにも、できるだけ都心部に近いところを考えるのでありますが、都心部は御承知のように土地も高い、高度に利用するために、どうしても高層
建築
にしなければならない、これは当然でございます。少くとも三階、できれば四階、五階の
鉄筋コンクリート
の高層
建築
にしなければならない。そこで先ほど申し上げましたが、まことにまだわずかでございますが、約四万坪、これによりまして一戸十三坪余といたしますと、約三千戸でございますが、その
建築物
は今
東京
都を主として、あとは大阪、その他でございますが、その
建築物
もできるだけ都心部につくりたい。
一つ
のいき方といたしましては、かりに銀座
あたり
でも一階を商店といたしまして、二階、三階、四階を
住宅
とするといつたようなことをやりたいと思
つて
おるわけであります。しかしながらわずか三千戸でございますので、ほんのまだ見本とか研究時代でございます。どうしても
セメント
、
鉄筋
の
増産
があがりまして、
一般
建築部
門にこれらがまわ
つて
まいりませんうちは、現在炭鉱たとか、あるいは電力方面、あるいは工場でいえば、肥料だとか鉄鋼とかの
重点
をおいておる工場
建築
方面にまわさなければならぬというようなことで、なかなか
一般
建築部
門にまいりませんが、できるだけわれわれも努力いたしまして、また
國会
におかれましてもお力添えをいただきまして、できるだけ
増産
せられた
セメント
なり鉄を、都心部の
建築
に向けていきたいという希望、あるいは熱意をも
つて
い
つて
おるわけであります。
川橋豊治郎
19
○川橋
委員
それで大体わかりましたが、今われわれがさかんに研究し、かつ叫んでおります
行政整理
の問題、その
行政整理
の結果はやはり
能率
増進ということが必要でありますから、その見地から考えましてもそのことが必要と考えております。大体あなたの御意見はそれでわかりましたから、今後そういうことが実現するように努力願いたい、こういうことを希望いたしておきます。 次に今構想されております
火災防止
あるいは
延焼防止
といつた、いろいろ
火災
に
重点
を置いてのお話でありますが、私はこの際今後の災害についていろいろ心配いたしますが、その中で最近に非常にやかましくなりてまいりましたのが地震の問題であります。ちようど昨年京大の佐々博士ですが、関西の淀川地震帯の活動は百年が周期である、今やその周期に近づきつつある、また最近の地殻の変動等から考えて、淀川地震帯の活動によ
つて
京阪神が
相当
なる被害をこうむるだろうといつたようなことを発表しましてから、まつたく今京阪神方面では、近き
將來
に地震があるのだろうという非常な脅威に遭遇しておるわけです。ちようど私はこの十一日から十四日まで京都に帰
つて
おりますと、その間に四回の地震があつた、そのたびに市民は非常に心配するといつた
状態
でした。およそ天災は、もとより予想であ
つて
、それに対する予防もなかなかむずかしい問題であるが、しかし昨年の関東の大水害に鑑みましても、戰時中山林が濫伐された結果で、こういつたことは平素に多少の
考應
を拂えば、いくらか予知できる問題であります。そうしてそのためには道路の補強であるとか、あるいは橋梁の補強であるとか、あるいは
一般
國民に対してそういうことを予告して、
相当
の心構えができると考える。関西に地震の説が出ましてから、各
都市
ではこれに対する災害予防に今
相当
の研究をし、またそれに奔走いたしておる、こういう
状態
であります。そこで私は地震の災害の防止として、先ほど
委員長
から申されました
日本
建築
協会の
要望
にあるごとく、
建築
方面から家屋の補強工作ということについて、そういつた方面に
相当
注意を拂
つて
おくことも必要と考えております。こういう点につきましては、やはり今日から
建設院
では
相当
の用意を願いたい。これによ
つて
相当
災害は予防し得ると考えております。最近京阪神では、家屋の補強工作によ
つて
相当
倒壊することを予防できると発表いたしております。こういう点について
相当
の御考慮を願いたい。 これは予防でありますが、もしそういつたような地震が実際にあつた場合には、どういう結果になるか。関東の大震
火災
、並びに昨年起りました南海の地震から見ましても、
相当
甚大なる
損害
をこうむ
つて
おる。今日わが
日本
の國民は、戰敗後生活のふ安定を得ないので非常に困
つて
おる。また物資が非常に足りないので、これまた非常に困
つて
おる。今後不幸にしてそういつたことが実現した場合におきましては、災害地の国民は非常に困ると考える。これを救済する方法として、地震保險の
制度
を復活したらどうか、こういうことを考えております。そこで私は、そういう方面に向いましてもいろいろ相談してみましたが、地震の災害は非常に大きい、從
つて
そういうことに対する保險というものは、非常に高率の
保險料
をもらわなければ、会社が非常な
損害
をこうむるといつたようなことを言
つて
おる。しかし戰時中に地震保險なるものがありまして、そうしてこれは
國家
の経営であつたように考えておりますが、今後そういつた災害を予見いたしまして、地震保險
制度
を布く場合に、そういつたような料金の問題、あるいはそれに対して
國家
的立場から、どうした方法でそれに臨むかということについて、今日から十分の検討を加えられまして、できれは早急にそういつた
制度
を設けてもらいたい。現に京阪神では各
火災保險会社
に対して、地震保險なるものはどうな
つたの
か、あれはただちに加入したいといつたような申出がたくさんあるように聞いております。こういつたような
現状
をよく見られまして、地震保險についての構想を急にこの際お考え願いたいということを、私の希望としてお願いいたしまして、これについての御感想を伺いたい。
内藤亮一
20
○
内藤説明員
関西方面が
相当
地震の不安に駆られておるように私も存じております。
建設院
の大阪出張所長、あるいは京都出張所長からの話では、全部の
建物
に補強するだけの
資材
は賄い切れませんので、学校とか
映画館
、その他公共
建物
、もしくは多人数の人が出入する
建築物
につきましては、とりあえず一番
簡單
な補強は、つつかい柱をすることが一番手取早い、
最小限度
の
資材
で最も効果のあがるやり方でございますので、そういう
最小限度
の
資材
の特配をいたしております。それ以上いろいろやらなければならないこともございますが、もし不幸にして災害の起つた場合の、あとの應急
住宅
施設
の
資材
は、
関係
各省と連絡をとりまして、全國に分散いたしまして、
一般
物動の中から特別に
確保
しております。 なお地震保險のことでございますが、これは主管省は大藏省か商工省と思いますが、よく主管の官廳と連絡をとりまして、われわれの方からもそういうことを
要望
いたしたいと思
つて
おります。
長崎正造
21
○長崎
説明
員 ただいま地震保險に関しまして御意見がございまして、まことにごもつともな御意見だと思うわけでありますが、その地震保險につきまして、結論としては、今急にそういうものをつくる用意がない、目下のところは考えておらないというのが実情でありますが、なお地震保險のことにつきまして、若干御
説明
いたしまして、御参考にいたしたいと思います。 地震保險というのは、御承知のように、昭和十八年に戰時特殊
損害保險
法というのができまして、戰争保險と一緒に、戰争の際における地震とかその他による
損害
を担保するという保險
制度
ができたのであります。その
保險料
は大体千円について五十銭でありまして、國が
火災保險会社
と契約を締結しまして、内地にあるものにつきましては、
火災保險会社
と契約をいたしますと、自動的に地震保險かつくというような
制度
でございまして、それがどういうふうに
なつ
たかと申しますと、損益金は全部
國家
が負担する。利益があれば國庫に納付し、
損害
があれば國庫が負担するという
制度
であ
つたの
であります。その後
損害保險
中央会というのができまして、それを通じて
國家
が補償するということに
なつ
てお
つたの
であります。結局昭和十八年から始まりまして、戰争が終
つて
戰争保險が廃止されると同時に地震保險も廃止せられました。その間の大体の成績はどうだつたかと申しますと、収入
保險料
が約一億円、支拂保險金が二億四千四百万円、結局約一億四千百万円というものが補償と
なつ
て支出されたわけであります。これはいわゆる戰争保險の二百何億という補償金の中に含まれておるわけであります。この大部分は、昭和十九年の十一月に起りました東海
地方
の大地震によ
つて
支拂われた
損害
で、二億四千四百九十万円、約二億四千五百万円、そのほとんど全部であると申してよろしいわけであります。 なぜこのような保險が始められたかと申しますと、戰争の際における国民生活の安定、経済秩序の維持というような点から、そういう戰争の際の地震ということで始められたものでありますから、その当時やめるときに、これだけ残したらいいぢやないかというようなことで問題に
なつ
たわけであります。現在も結局同じことでありまして、財政の見地から支出になるようなこと、あるいは
國家
が仕事をするようなことは、なるべく控えるというようなこともあつたかと思うのでありますがそれで廃止されまして、そのままに
なつ
ておるようなわけであります。現在やはり同様な
事情
かと思うのでありますが、特に考えておらないということであります。しかしこれは結局國営保險というものが成り立つといたしますならば
國家
補償が非常につかなければならない
制度
でありまして、十分研究いたしますが、ただ私どもとしては、そういう時期が必ずくるものと思いまして、時期を見ておるようなわけであります。
國会
方面にもさような御意見がありますならば、十分その方面につきまして研究を進めてまいりたいと思う次第でございます。なお技術的にはいろいろなことがございます。今の
國家
財政の見地というようなこともありますし、地震がはつきり起るということがわかれば、これは保險にならぬのじやないかというような説もありますし、また地震の起る
場所
は大体きま
つて
いて、たとえば北海道にはめつたに起らないとかいうようなことがありまして、それを全國にある程度強制してかけるということは、少くとも保險である以上おかしいじやないか、そういうようなことがあるなら、これは税金という面にいくべきではないかというような議論もあるわけでございます。しかし現在保險のない
現状
におきましては、何か
國家
の災害扶助とか、あるいは事後の予算的
措置
というような方法によるのでありましようが、結局保險がかけられれば
割合
に円滑に、十分に保護されるという美点がございますので、なを十分に御意見も承
つて
、検討を進めたいと存じておる次第であります。
川橋豊治郎
22
○川橋
委員
戰時中國民生活の安定のためというようなお話でありましたが、われわれの考えでは、今の
日本
の再建はやはり経済再建、現在の問題としては、国民生活の安定は基礎をおかなければならぬと考えております。京阪神のごときは
日本
の産業の中心地でありまして、もし地震等の災害によ
つて
阪神方面の産業設備が非常な
損害
をこうむつた場合には、今申しましたような
日本
の経済の再建に、非常な大影響を與えると考えております。また一面地震のような天災、こういうものに対して國民の犠牲、負担の点から考えまして、地震のない北海道のごときというようなお話がありまして、これはごもつともなお話でありますが、大体最近の関西のそういつた地震に対する脅威は、京大の学者連中が地殻の変動とか、あるいは地震の周期の方面とかいろいろな方面から帰納して、近く地震があるということを断定的に証明したわけなのであります。こういう点につきましては、やはりよくお考えに
なつ
て、そうして今申しましたような経済の再建とか、あるいは國民生活の安定とかいつたような点から考えて、不幸にしてそういう災害のあつた後に、それに対して應急の処置を講ずるといつたようなことは、
國家
として十分考えなければならぬ問題と考えております。それでいろいろな方面から理論は立つでしようけれども、現にそういつたようなことに
なつ
ておりますから、この際はやはり早急に研究していただきまして、能う限り早くこういつた
制度
を布かれるように、私は衷心から希望いたします。これは先ほど申しましたように、最近各
火災保險会社
に頻々その申込みがありまして、
火災保險会社
も実は應接に困
つて
おるような
現状
であります。どうかひとつ早急に御研究願いまして、またあなた方のお立場いかんによ
つて
、われわれ
國会
においても、これについては
相当
の考えをも
つて
おりますから、ともどもに研究していただきまして、その実現の速やかならんことを希望いたします。
長崎正造
23
○長崎
説明
員 なお速やかに研究いたしたいと思います。
門司亮
24
○
門司委員
最後にちよつとお
聽きし
ておきたいのですが、現在建
つて
おります板べいその他でや
つて
お
つて
、しかも非常に接近し合
つて
おる
建物
に対してはただ
建築制限
だけで、他に取締る方法がないというお託であつたようでありますが、なるほど
建築制限
は、私は
防火
の
関係
から言うと單に
建築制限
ではない、そういう面を
將來
十分
指導
してもらいたいということと、さらに現在建
つて
おるものに対して、どういうふうな処置をおとりになる考えであるか。 次にお伺いしておきたいと思いますことは、最近無
許可
の
建築物
が往々にして建てられつつある
現状
であります。これらの無
許可
の
建築物
に対しては、これを制限することについて、
建築
の方から言えば、勝手に建ててしまいますので困難でございますが、これの使用について最も必要なる水道とか電氣であるとかいうようなものは、
建築
許可
証のないものは、これを
施設
してはならないというような取締りの制限ができれば、ある程度無
許可
の
建物
がなくなると思いますが、この点に対して
当局
に、はつきりしたお考えがございますならばお伺いしたいと思います。
内藤亮一
25
○
内藤説明員
ただいまの御質問にお答えいたしますが、まず
規則
だけではなかなかむずかしいとも私ども考えまして、現在
住宅
とか商店を建てるにあた
つて
、各
建設院
の出張所において
許可
をいたします場合に、それに必要な
資材
の
割当
証明書、すなわち
資材
の切符を発行しておるのであります。しかしこれは申込みが非常に多いために、抽籤に
なつ
ておるのであります。むろん
都市
によ
つて
違いますが、現存は單に公平を期するという意味で、
建築
の書式が整いましたならば、大体二割、三割、四割という抽籤率でや
つて
おるのであります。先ほど
門司委員
から御意見もございましたように、この際非常にない
資材
を、
火災
の危險にさらされる
建築
に用いられることは、
國家
的に非常に不経済である、私どもも、まことに同感でございます。從
つて
今案をつく
つて
、これも至急に各出張所に通達いたしたいと存じますが、
資材
割当
の際に
火災
予防あるいは
延焼防止
の
工事
の施されておる
建築物
に優先的に
資材
を
割当
てる。密接した
建物
については
資材
を全然
割当
てないというわけにもいきませんから、抽籤率を低くするとか、そういうような手も打
つて
まいりたいと思
つて
おります。また既存の危險のあるものについて、どういう手を打つつもりであるかというようなお話がございましたが、先ほど申しました
建築物臨時防火措置要綱
の中には、
規模
の
相当
大きな
建物
、あるいは
用途
によ
つて
公共性
、あるいは多人数の者がはいるような
建物
、あるいはマーケツト、共同
住宅
、
映画館
のような危險な
建物
については、
地方長官
から
最小限度
の
防火
上の
措置
を命令し得るような
措置
を講じたいと思
つて
おりますが、これも再々申し上げましたように、
資材
の許す範囲内においてや
つて
まいりたいと思
つて
おります。実情をはつきり申し上げましたなれば、
資材
の範囲内において
建物
を
重点
を選びましてやります都合上、
一般
の
建築物
にはなかなか
資材
がまわらないのであります。かように思
つて
おるのであります。 そこで
門司委員
の御意見の無
許可
の
建築物
というものが
相当
ある、えてして、これらは非常に
火災
的に危險な
建築
をしておる、それらには水道、ガス、雷氣を引かないように
措置
したらよいと思うかどうかというようなお話でありましたが、現在電気につきましては
許可
しない、従いまして関東配電なり、各配電会社に商工省からも通牒が
行つて
おりまして、
許可
のない
建物
には電氣を引かないことに
なつ
ております。しかし実際にはそういうものにも引いているのもあると思います。これはなお十分趣旨が徹底いたしますように、各配電会社へ連絡をとりたいと思
つて
おります。水道の方は今のところまだ連絡がついておりませんから、これも違反防止の点から申しましても結構な御意見と思いますので、至急そういうような
措置
をとりたいと思います。
坂東幸太郎
26
○
坂東委員長
それでは次会の
日程
は公報をも
つて
通知いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時五十一分散会