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1948-02-17 第2回国会 衆議院 治安及び地方制度委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年二月十七日(火曜日)     午後二時五十九分開議  出席委員    委員長 坂東幸太郎君    理事 門司  亮君 理事 高岡 忠弘君    理事 中島 茂喜君 理事 川橋豊治郎君    理事 松野 頼三君       笠原 貞造君    久保田鶴松君       松澤 兼人君    松谷天光光君       大澤嘉平治君    佐藤 通吉君       千賀 康治君    大内 一郎君       小暮藤三郎君    松浦  榮君       渡邊 良夫君    外崎千代吉君  委員外出席者         厚 生 技 官 尾崎 嘉篤君         農林事務官   山根 東明君     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方財政委員会運営に関する件     —————————————
  2. 坂東幸太郎

    坂東委員長 これより治安及び地方制度委員会を開会いたします。  本日の日程地方財政事委員会運営に関する件 競犬法案(仮称)に関する打合の件。  なお日程にはいる前に報告事項がございます。それは東京各区選挙管理委員会連合会会長角田隆治郎君からであります。    選挙管理委員会に関する件  目下地方自治法改正方につき御審講中との由、ついては選挙管理事委員会に関する條項中に左記事項選挙執行上特に必要なるものと存ぜられますから、御考慮を加えられたく存じ上げます。      記   一、選挙管理委員会事業執行権はこれを有するも予算執行権を有せず、選挙執行上独立の機能を発揮するに妨げがありますから、予算執行の件を法文上に挿入方取計われたし。 これはまだ、地方自治法中には改正になつておりませんから、御参考に特に御報告を申し上げます。  なお日程に入る前に、川橋君から緊急質問がありますから、これを許すことに御異議ありませんか。——それでは川橋君から説明願います。
  3. 川橋豊治郎

    川橋委員 目下國民はいわゆる生活不安におののきつつある状態でありまして、なかんずく食生活におきましては、國民全般がいろいろ心配し、工面をしてその日を経過しているといつたような状態であります。しかるに最近東京都内におきまして、頻々としてパン中毒問題が起りつつありまして、本日の新聞紙所報によりますと、今日までの中毒者が百三十七名に達しておりまして、この中毒者は日々増大の傾向を示しつつあります。これはまことに由々しき問題でありまして、見方によりますと、帝銀毒殺事件は簡単に終りましたが、こういうような問題は全都民の食生活に大なる危惧を與えまして、しかもその被害者がだんだん拡大しつつある状態に鑑みまして、この際当局としては、これに対しまして断固たる取締りをしなければならぬと痛感するのであります。その原因につきましては、あるいは原料の悪いためであるか、あるいは加工方法がよくないためであるか、またさらに非常に悪く解釈しますと、故意に毒物を混入するようなことでないだろうか、こういつたことまで、心配されるのであります。この点につきまして、当局は今までどういうような調査をされしたか、また、これに対してどういう対策を講じつつあるか、こういうことにつきまして詳細なる説明を願いたいのであります。
  4. 坂東幸太郎

    坂東委員長 ちよつと川橋君に申し上げます。久山君がおられませんので、農林省食糧管理局総務部長山根東明君から答弁されます。
  5. 山根東明

    山根説明員 私からただいまの御質問にお答えいたします。すでに連日のように新聞発表になりますので、概貌について御存じかと思いますが、私の方で今日まで調べがついておりますことに基きまして、事件の全貌の御紹介をまずいたします。  本月の十日、十一日、十二日一ごろから最初に板橋区及び杉並区に、症状は吐氣、嘔吐と間歇的なる腹痛、それから下痢頭痛、こういう症状患者発生いたしたのでありまして、警視廳において調査中でありますが、これが配 給のパンによる中毒のように推定されておるわけであります。現在配給中の パンは、実はだいず粉が約一割混入いたしておるのでありまして、このことにつきましては皆さんも御承知のように、昨年もだいず粉が相当輸入されたのでありますが、各家庭でこれを調理等に、実は昨年非常に苦心したと申しますか、困つたわけでありますので、本年は私どもの方でもだいず粉の加工調理につきましては、あるいはラジオを通じ、あるいは新聞発表等によつて、また講習会なり展覧会を開くなり、特に注意を実は喚起してまいつたのでありますが、最近家庭におきまして燃料事情なり、パンにつくりますイースト膨剤等資材が、なかなか入手難であるというような関系で、実はこのたび初めてだいず粉をパン屋に、小麦粉と混入してパンを焼かしたのでありまして、それをこのたび初めて配給いたしまして、実は事件を起したというような形になつたのであります。今朝の新聞紙において現在まで百三十七名というお調べがありましたが、私どもの方で、十六日午後九時現在まで警視廳調べました累計は百四十七名となつております。大体パンを食べてそれで中毒いたしたと思われますものが、うち八十九名であります。それから実はパン配給できずに粉のままで配給いたしたのがあるのでありますが、その粉を家庭ですいとんに調理いたしましたものを食べて中毒いたしたと思われるものが五十八名、こういう内訳に実はなつておるのであります。  ただいま御指摘のごとく、非常に生活不安の現状において、こういう不祥事件を起しましたことは、責任当局として非常に申訳なく存じておるわけでありますが、早速これがどういう原因であつたかということにつきまして、引続いて関係方面総動員目下原因調査いたしておるのであります。きようも午前中関係方面全部集つて種々協議をいたしましたのでありますが、遺憾ながら今日まで確定的なこれの原因についての結論を見ていないのでありますが、一應考えられますことは、とにかくパンを食い、あるいはだいず粉でつくつたすいとんによつて、そういう中毒症状を起しておるわけでありまして、おそらく混入のだいず粉が原因であろうということの推定はいたされるのでありますが、このだいず粉が原因であるにしましても、これが調理方法、すなわちこれは御承知のように非常に火の通り、が悪いのでありますが、火の通りが不十分であつたために、調理方法が不十分であつたために、こういうことになつたのか。あるいはだいず粉自体変質して腐敗しておつたために中毒症状を起したのか。そのほかいろいろ原因として考えられますことは、パンをつくりました工場衛生設備がよかつたか悪かつたか、あるいは副資材イーストでありますとか、膨剤等の副資材関系において、品質の悪いものはなかつたかというようなことも考えられますし、さらに御指摘のように、毒物を混入したのではないかということも、特に今日の此時柄実は細心の注意をもつてその方面研究をいたしておるわけでありますが、とにかくこれは先ほど申しましたように、だいず粉は昨年も配給をいたしておるのでありまして、これによつて同じような中毒症状を起した事実は、あるいはあつたかも知れないのでありますが、少くとも表面に現われたこういう事実は、昨年はなかつたということからおしはかつてみますと、どうもだいず粉自体変質と申しますか、腐敗と申しますか、そういう原因があつたのではないかというように、大方の権威者が集まつて意見は、大体そういうことになつておるようでありますが、どういうふうにそれが変質し、從つてどういう作用によつてこういう結果を見たかという最後的な結論は、先ほどお断りいたしましたように、実はまだ出ていないのであります。そこで私どもの方で、とりあえずとつております処置といたしましては、ただいま申しましたような原因が考えられますので、早速中毒を起しましたパンをつくりました当該工場につきましては、製造の中止をさせておるのであります。それから同時に、このたび配りましたパンは、大きな山になつ食パン型のパンとして全部製造しておりますので、どうも火の通りが若干悪かつたのかもしれぬというような見地から、製パン工場に対しましては、食パン型によらず、コツペパンにして製造し、かつ少々焦げ目ができるように火通りをよくするように、実は指示をいたしておるのであります。と同時にパンをもらいました消費者家庭では、生で食べずに、できるだけ焼いて食つていただくようにということを、パン配給店の店頭に掲示する処置をとつたのであります。そのほか食糧営團パン組合都廳農林省等から係官を現地に派遣いたしまして、種々実情を調査し、また罹災者慰問等を行つておるのであります。患者の数は十六日夕方までに百四十七名でありますが、症状程度から申しますと、大体一日くらいで回復するというようなのが大部分でありまして、いわば重症患者は比較的少いようであります全体として申しますと、中毒症状としては、どちらかといえば軽いと申しますか、中等以下というような状況であるようであります。以上概略でありますが、問題になりましたパン中毒事件についての御説明を終えます
  6. 川橋豊治郎

    川橋委員 そのほかに本日の読賣新聞に、お通夜の酒で二名死亡という題のもとに、やはり酒の中毒で二人死んでいる記事がのつております。今のお説のように、原料変質であるとか、あるいは調理のやり方がよくないといつたようなことであれば、原因はつきりしている。ところが、最近こういつた食料品を扱う工場等において、不当の利益を得んがために不正な品物を出す傾向が盛んにある。それで今お話工場に対しては、ただちに作業中止を命じたというお話、よくわかりましたが、処罰点等については、さらに原因研究されまして、処罰に値いする場合においては、これはあなたの方の関係でありませんから、さらにその関係の人に質問するが、あなたの方の立場としては、こういうことがあつたら迅速に調査され、今言われたような措置をとつて、特に食生活に対する不安を除去することに極力御奔走願いたい。今ちようどども被害者の一人なんです子供が一昨日から非常に容態がよくない、だんだん研究しますと、やはりパン中毒らしい。それで本日緊急質問をしたわけでありますが、まだ届けない被害者が相当あるらしい。おそらく、新聞紙発表されましたのは百四十七名だろうと思いますけれども、実際検討すれば数千数万に上つているかもしれぬ状態である。どうかそういう点は十分研究されまして、適当の処置を講ぜられんことを希望いたします。なお取締り方面につきまして、あるいは不幸にして原因が、先ほど私の心配しましたように、毒物が混入したという形跡があれば、これはまた異なる問題として研究したいと考えております。私の希望しますのは、こういう問題が起りましたら、ただちにそれに対して適当の処置をとる。ちようど今のつております酒の問題なんかも、ただちに調査されて、適当の措置を講じてもらいたいということを希望しまして質問を打ち切ります。
  7. 坂東幸太郎

    坂東委員長 それでは緊急質問はこれをもつて終ります。
  8. 坂東幸太郎

    坂東委員長 次に日程に入ります
  9. 柴田護

    柴田説明員 競犬法案について現在までわかつておるところを御説明申し上げます。  競犬法案の問題は、うすうすの話は以前からあつたのでありますが、正式の法案としてもつてこられたのはたしか先週の中ごろだと思います。これは現在まだ懸案になつておるわけでありますが、地方財政窮乏を救うために、何か収益的事業地方團体に行わせてくれということは、今までそういう話もたびたび出ましたし、事業当局といたしましても、何らか公営事業でやるものはないかと、いろいろ研究しておつたのでありますが、一般公営事業といわれるものについては、とかく現在の状況においては収支がつぐなわない。収益を上げる目的でありながら、かえつて赤字になるおそれがあるので、いずれも採算の点から難色のあつたものが多い。この競犬法案については、そのこと自体賭博性を帯びておるという問題があるので、これを通貨の吸収、それから地方財政窮乏を救うという意味においては、われわれは賛成するものでありますが、ただこの点についての態度は、委員会としてまだはつきりきまつておりません。これ以上のことを申し上げてもよろしゆうございますが、私見になりますから、これ以上は差し控えたいと思います。
  10. 坂東幸太郎

    坂東委員長 パン中毒問題について、厚生省尾崎事務官が参りましたから、その説明を伺います。
  11. 尾崎嘉篤

    尾崎説明員 パン中毒問題に関しまして、これは保健局長が参りましてこちらで御答弁するはずだつたのでありますが、都合によりまして私代りまして申し上げます。このパン中毒事件は、昨年も小麦粉中毒件につきましていろいろおさわがせし、たくさん中毒患者を出して、まことに申訳ないと思つております。今年もまた粉食が始りましたので、こういうことが起つてはいかぬと思つて関係方面にも注意し、また監視員を動員して、配給等に対していろいろ指導しておつたのでありますが、たまたまこういうことが起りまして申訳ない次第だと思つております。  この件は、十日ごろから板橋方面とか杉並方面で始まつたのでありますが、われわれの方に連絡がありましたのは十三日の午後三時ごろで、杉並区の衛生課の方にその知らせがありまして、それで初めてわかつたような次第で、報告キヤツチと申しますか、これが多少遅れた点遺憾の点があるのであります。ただちに各方面に連絡すると同時に、新聞紙上を通じて、注意させるとか、またその措置とつたわけであますが、各地に今次々と出ておるのでありまして、まことに申訳ないと思つております。  まず発生状況について申しますと、板橋区に四十五名ばかわ、杉並区に約二十名出ております。この板橋のは日宝製パン会社東一製パン会社のつくつたものでありまして、杉並区阿佐ケ谷の二十名は丸十製パン会社のものであります。このほか北区、江東区、新宿区等にも発生している次第でありますが、このうち板橋杉並の分は監視員を出して調べた結果が判明しております。この状況は、食べてから六時間ないし十二時間くらい経ちまして下痢嘔吐頭痛腹痛等を起すのでありまして、発熱した者はほとんどありません。一般症状は良好でございまして、死亡している者は一人もございません。ただ二、三日寝込んだという者がそのうち数名わかつております   このパンは、調べましたところ、一箇所におきましてそのパンを焼くかまに不備を認めており、また使つております油に相当悪臭を放つて腐敗臭を放つているものも見たのでありますが、それは一箇所だけでありまして、他の箇所におきましては、そういうこともなく、初めはその方を疑つたのでありますが、全体を説明する資料としては不足である。だいず粉は御承知通り生焼けのものを食べますとよく下痢などを起しますために、その方を疑つたりもしたのでありますが、どうもそれだけではわれわれとしては不満足なので、傳染病研究所その他東京都の衛生試験所というような研究機関を動員して、原因の発見に努めたのであります。それから監視員を出して極力現場の事情を調査して、実は本日も東京都で対策委員会を開いているようなわけであります。怪しいと思う原因といたしましては、先ほど申しました通り、だいず粉の生焼けを食べたというようなことも一應は考えられますが、そのほかの葡萄状球菌傳染病研究所によつて見つかつているのでありますしかしこれが全部の原因だと申し上げるところまではまいつておりません。それから、かびが多少疑われたのでありまして、その点も現在究明を続けております。  現在までにわかりました調査状況はかようでありますが、対策といたしましては、こういう事件が起つているということを新聞にどんどん書きたてていただきまして、また宣傳をし、一般に周知してもらうとともに、配給者に対しても警告を発しまして、これらのものには火をよく通して焼くようにし、配給所では工場から、火の通りの悪いものは受取らないようにし、かつそれを冷却してから運般するように、またコツペパン火通りをよくするようにというような注意をいたしております。初めに疑わしかつたかまの傷んでおる工場に対しては、それを修理させて、それのできるまで営業を一時禁止しております。そういうふうにして、生焼けに対する一應の手配はとつておるのでありますが、あるいは粉全体のことも一應は疑つてみなければいかぬじやないかというので、今その原因を追究しているような次第であります、大体の状況はそういうことであります。
  12. 松野頼三

    松野委員 ただいまの御説明のうち、はなはだ不明確な点を二、三お聽きしたい。  それは結局、今度の事件原因監督官廳指導官廳おのおの責任であるのか、あるいは配給に從事する從業員、あるいはその組織の配給所の方に責任があるのか、その責任所在を考えられて將來対策を立てていられるだろうと私は考えておりますが、ただいまお話を伺いますと、まことに漠然たるもので、葡萄状球菌であるとか、コツペパンがどうとかいうことを拝聽いたしましたが、將來対策にわたること、は少しもございません。もう一つ、私たち國民として配給されるものには、少くても國家で管理して國家の手で配給されるもを私どもはいただくのでありますから、帝銀事件のように死亡者が出ないからいいというふうに言われることは遺憾であると思います。どうもその点において、あなた方の責任という点において監督官廳として、国民としては納得しかねる。これは私たちがこの委員会で申す前に、あなた方が國民説明されるのが順当であつて、私たちが叫ばなければその原因國民が納得できない、委員会を通さなければ説明を求められないところに、私は責任が疑われるのであります。あなた方は先にお氣付になつて國民の聲もよくお聽きになつていると思うが、いかんせんほおかぶり態度が多過ぎるのであります。今日以降特に注意をしていただきたい。責任所在をあなたはどこにお求めになるか、私ははなはだ納得できないし、対策においても漠然たることで一般注意書を出しまして、それでいいというふうに考えられていることは納得できない。今後國民が納得するような処置を私はとつていただきたい。本日の新聞でも拝見しますので、もう一度その点において、はたしてどちらかの責任であつたかということをお聽きしたい。特に帝銀事件のように死亡者がなかつたからいいというようなお言葉は愼んでいただきたいと思います。
  13. 尾崎嘉篤

    尾崎説明員 ただいまの御注意、まことにごもつともで、私の先ほど申し上げました申し上げ方に対して、不十分な点をここで訂正させていただきます。  われわれは、國民の生命に異状があつたからなかつたからということでなくて、この問題は配給の主食であり、これに事故の起つたことに対しては、われわれその責任を感じておるのでありまして、その点当局者に対しまして、土曜日でございましたが、この問題を厳重に調査をし、責任所在調べなければならぬということを、今仰せられたことと同じことを、注意を申しているようなわけでありまして、その点決して症状が軽いからというふうなことで、軽視しているということは毛頭ないのであります。その点は御了承を願いたいと思います。  それからこの事件に関して責任がどこにあるかという点でございますが、この点は食品衛生を掌つておりますところの厚生省側にもちろんあると思います。それと同時に、配給関係をやつていただいておもますところの農林省側とか、それから業者の側にもどの程度お考えを願わなければならぬか、この点はわれわれとしては何とも申し上げかねるのでありまして、この原因を今からはつきり突止めません以上は、いずれの側に責任があるということは申し上げかねると思います。少くとも食品衛生という意味において、こういうふうな事件発生を防止すべき立場にあります、われわれとしては、こんな事件発生しました点については、重々責任があると思つております。この点まことに申訳ないのでありまして、現在その原因の追究をしているということで、御了承を願いたいと思います     —————————————
  14. 坂東幸太郎

    坂東委員長 次は柴田事務官から説明を承りたいことがたくさんありますが、その中で入場税の問題、これを地方自治体の財源にしたいという陳情がありますが、これについては財政委員会研究しておりますので、まずこの入場税について、柴田君から説明を伺うことにいたします
  15. 柴田護

    柴田説明員 入場税地方税委譲問題は昨年からあつたのでありますが、昨年度は遊興税だけを地方税に移して、入場税はそのまま置いておくということで、國家財政を計画したのであります。しかしながら現在の地方財政窮乏を救いまして、根本的に地方財政を再建するためには、どうしてもその厖大なる財政需要を賄うために税源を獲得しなければならぬ。そのために入場税地方委譲という問題はすでに論ぜられておりますし、またわれわれも事務当局といたしまして、これを取上げて研究した結果、当然これは委譲すべきものと認めまして、目下大藏省と交渉中であります。大藏省意見入場税委譲ということに対しては一應反対の形をとつております。その理由とするところは、入場税委譲するということは、実際問題として入場税収入額が減もだろう、地方徴税力現状をもつてしては、國家がとつてつただけの税収入はあげ得られないだろうというのが、これに反対する論拠であります。大藏省の見解はむしろ入場税はやはり國がとつて地方でほその入場税附加税とつたらどうかというのが、大藏省事務当局意見であります。入場税はそもそもの初めが、地方税昭和十年の改正までは地方税の中の雑種税として、ごく低い課率で課けられておつたのでありますが、それが戦時中に國税として創設されまして、その後國が増徴につぐに増徴をもつてしまして、現在は入場料の百分の百五十という高率をとつているのであります。その性質からいいまして、入場税地方税であるということと、もう一つ自治体警察というものが、大体人口五千入以上の市並びに町村に置かれることになりまして、この入場税というものの税源の分布が、大体自治体警察状況にマツチしてきておるという観点から、一應入場税をそれににらみ合わせるという点を考えまして、入場税地方税委譲するという方針でもつて現在進んでおります。問題の地方税にいたしますれば、税収入が減るであろうという問題は、なるほど一部におきましては、そういう懸念があるかもしれませんが、入場料はつきりとつかまえてそれに課税するのでありますし、それから徴税者というものは、入場料を収納するところの事業経営者であるということから、税の帰属はたとえば遊興飲食税というごときものと異つて、より的確であると思うのであります。従いましてわれわれといたしましては、大藏省の懸念するような、そう大きな減収というものはないのではないか、このように考えております
  16. 松野頼三

    松野委員 私は実は、この地方税に関してお尋ねしたかつたのは、先ほどお話の中にありましたように、自治警察における財源を、どう扱うかということを、本日はお尋ねしたかつたのであります。さつき政府委員出席を求めたのは、その意味説明をお聽きしたかつたのであります。と申しますのは、御承知のように自治警察が発足いたしましたが、財源が非常に暗澹たるもので希望を失つた状況である。このためせつかく発足すべき時期において、地元の者が財政のめに將來の見透しが薄らいでおる、その点が困る。早く自治警察とともに財源を與え、どういう方針をとるかということを発表されないと、ぽつぽつ発足しておる自治警察がいつまで続くか、國の補助がいつまであるか、なくなつたらどうするかという点において、進歩発展が阻害されております。ただいまのお話入場税もその一部であろうが、將來どういうものが財源として與えられるか、また入場税で間に合う都市もあるし、また小さな五千ぐらいの都市には劇場が一つか二つ、週に一回ぐらいしか開かれない。あるいはそういう入場料があがらないところも、五千ぐらいのところではあるのであります。そういう場合にどういうものを與えるか。または分與税というものを活用するか、そういうことを聽きたかつたのであります。ただいまのお話も結構でありますが、そのほかに將來、どういうものを與えるか。それを見透しとしてお話していただきたい
  17. 柴田護

    柴田説明員 お話のように自治警察に要する経費と申しますのは、経営費で百二十二億という莫大な数字に上ります。そのほかに調弁的ないろいろなもの、並びに廳舎維持に要する財源というものをみますれば、約二百億見当の財源が來年度において要るのであります。これをどうするかという問題でありますが、自治警察という建前からみまして、やはりその費用は大体自治体がもつべきものである。従つて問題はその財源をどうするかということでありますが、お話のように入場税だけでそれが賄える都市というものはありません。それは私どももよく承知しております。われわれが考えておりますのは、入場税と、それから事業税の委譲事業税の拡張と申しますか、営業税を拡張して事業税を設ける。現在は事業税の内容といたしまして農業、鉱業、水産業、林業というようなものに対しましては、現在法定額で税をとつておりますが、これを事業税の中に含めてかける。そうすると純農村的なところも、また町場も、それから林業地といいますか、林山地、山村、山岳地帯の町村、こういうものに対しましても、一應営業税というものが徹底していく。それに入場税が加わつて大体やつていけるのじやないか。まだそれにいたしましても、でこぼこというものは起つてくる。ある町においては、それだけの財源で十分賄えない。ある町においては、それで余るところが出てくる。それはやはり現在の税源の分布の不均衡という点から見まして、どうしても分與税というものによつて賄う必要がある。分與税の配分基準の中に、どうしても警察というものを考える必要がある。分與税の財源を補うための費用の共準として、警察吏員の数というものを取上げまして、その間のでこぼこを調整していくという方向でやつております。現在分與税の調査をしておつて、それによりましてどういう結果になるか、数字を見なければわかりませんが、分與税の配分の基準の中に、警察吏員というものを取入れましたならば、ある程度期待しておるような結果が出るのじやないかと思つております。なお一應調弁的な廳舎建設費、特に通信施設の建設費はなかなか大きな問題であるが、これは一應現在の状況として、一般財源として與えるように計算をしておるが、町村としては、それでは賄いきれないという場合が予想されます。こういうものに対しては、臨時的に明年度においては地方債か何かで賄いをつけるようにしてやつていきたいと思います。
  18. 松野頼三

    松野委員 ただいまの御説明を拝聽しましたが、せつかくのお話ですが、やはり地方財源が非常に枯渇しておるときに、とるべきものをまだとらずにおるところがある。遊興飲食税の話も出ましたが、これも地方財源として大きな力があるのじやないか。これもせつかくとり得る組織になつておるものを、とりやすいものをとらずにおくということは、はなはだ惜しいことではないか地方財政委員会として、遊興飲食税をおとりになるようにひとつ御努力なさることをお願いいたします。
  19. 柴田護

    柴田説明員 遊興飲食税は、昨年度地方自治法改正に伴いまして、地方財政に関して自治権の確立という観点から、これを地方税委譲したのでありますが、その後御承知のごとく料飲業停止問題というのが起りまして、その影響によりまして思うようにとれないこれは各自治團体は力を盡してとるように努力しておるが、実際上とれない。ところによつてはこれが営業税まで響いて、特に料飲業関係の者が、営業税の不納同盟的なものを起しかけておるようなところもあつたような次第であります。現在は一應この問題は表面化しておりませんが、遊興飲食税問題は——地方財源としては、せつかく與えた遊興飲食税も、そう大した財源でないということになつております。現在これをとつておるのは旅館とホテルだけであるが、これは収入としては大したものではありません。やはり遊興飲食税の内容としては、料理飲食業からとるのが一番多い。大体われわれは、遊興税の総額の三分の二はだめだというように考えております。一應このマイナスの補填は、昨年未配付しました分與税で、昭和二十二年度の遊與飲食税の減収は補填するというような処置をとつております。それは実情においては、各府懸において予想以上にたくさん遊興飲食税を見込んだ所とか、自然増収までも見込んで計上した所もありますが、こういうところはその経理に困つておるところがあります。
  20. 松野頼三

    松野委員 最後に二言申し上げます。料飲店の開店問題は、あなた方の所管でないかもしれないが、地方財政委員会として、その財源を確保する意味において、將來どうか努力されんことを私は切に希望しておきます。
  21. 柴田護

    柴田説明員 お話の料飲業というものは、実際は裏口営業をやつてつて、われわれの目から見れば、料飲業停止ということは、單に遊興飲食税の減収を來した以外の何ものでもないと思うので、お話の点はわれわれとしても十分に努力したいと思います。
  22. 松澤兼人

    ○松澤(兼)委員 入場税地方委譲は、まことに結構であるが、実際はどういうことになるのでありましようか、府懸が徴収いたしまして、市町村にこれをまた配付するということになりますか、あるいはまた市町村が直接これをとつて自治体警察等の費用に使われるということになりますか、その点についてお伺いします。  それからもう一つの問題は、事業者の税の中に農業事業税というものがあるようでありますが、これはどういう基準によつておとりになりますか。各府懸とも最近においては耕作段税、耕地税といつたような形で歳入に充てたいということで、新規に税を起すということになつておるようでありますが、農村方面から非常な反対がありまして本年度は見合わせる、当分これを見合わせて、地方財政委員会において農業事業税といつたようなものをとる場合にとるということにして、予算編成上歳入に見込むことをやめておるようでありますが、基準のとり方によつて、私はこれは非常に問題になると思うのでありまして、單に耕地面積等によつて課税するというようなことは面白くないのであります。御承知のように、土地は生産手段でありまして、この点單に耕地が廣いからといつて農業事業税をとられるということになりますと、せつかく食糧増産のために農地の開墾をやつたりすることが意味をなさなくなつて、生産意欲を非常に減退さす結果を來さないとも限らないのであります。ずいぶん都会周辺の農村におきましては、農作物のやみ賣りなどをやつて大きな収益をあげている者もあるのでありまして、正直な農業者はそれほどでもない。單に耕地面積が廣いというだけで、農業事業税をたくさんとられるというような、不公平がないとも限らないのであります。この都会周辺の悪質な農業者に対しては、徹底的に農業事業税というものをとることができれば、私はまことに結構だと思うのでありますが、はたしてそういうふうに的確に農業所得というものを計算し得るかどうかということは、今申しましたように、やみ賣りをやつているような場合においては、これを捕捉することは非常に困難であります。どういう基準によつて農業事業税というものをおとりになりますか。以上二点につきまして御答弁を願います
  23. 柴田護

    柴田説明員 入場税のとり方をどうするかという問題でありますが、方法といたしましては、全額市町村負担の税金とする場合と、府懸におきまして本税を課して、市町村が附加税を課するという場合があるわけであります。現在の方法といたしましては、市町村になるべく多くの財源を與えるという方向で進んでおりますので、あるいは前者の方になるのではないかと思つておりますが、この点はまだ論議中でありまして、はつきりきまつておりません。  それから第二点は農業事業に関する課税でありますが、お話のように、農業というものは食糧生産の中心であつて、いわば國民活動の原動力ともいうべきものであります。それに対して課税するということは、あるいは食糧供出問題に重大なる影響を及ぼす恐れがあるということ、そういう説が出るということは一應うなずけるのであります。ただ農業に対して課税をするということは、農業をいじめるということではないのでありまして、税負担の均衡をはかるという意味であります。現在の勤労所得者に対して課せられておりますところの所得税というものと、その他の一般のものに対する所得税というものの均衡からいいましても、また農業者の家計状況から見ましても、農業に全然担税力がないということは言えないのであります。農業はなるほど原始産業であつて、あるいは山林業も原始産業であつて、水産業もみな原始産業であるというその点から、今までは税の対象になつておらなかつたのでありますが、むしろ実際は純粋の企業であるかどうかという問題ではなくして、一つ事業形態に対しましては、やはり担税能力を認めていくのが、当然じやないか。ただそれに対する課税の仕方というものは、たしかにむずかしいのであります。実際問題といたしまして、何も商業帳簿もなく、かつ日給簿等もないという素朴な経営形態をやつておる農業に対しまして、どういうように担税力を捕促するかという問題でありますが、こういうものにはどうしても純益主義を貫くということは、かえつて徴税費用をかさみ、眞の担税力を得るゆえんでない。從つて外形標準を使つて、これに課税していきたいと思うのであります。ただ外形標準の立て方をどうするかということでありますが、單なる耕作反別だけをつかまえましては、あるいは不均衡が起ると存じます。従いまして耕作反別にしましても、畑地と山田、あるいはその他の水田というようなものにつきましては、それぞれ区別しなければならぬものがあるのであります。同じ田でもその場所によつて区別が必要であるし、また耕作の対象となつておるものは、蔬菜を中心にしておるか、あるいは水田であるか、あるいはその他の畑のようなものであるかということによつて、やはり区別をしなければならぬと思うのであります。この点につきまして、どういう課税標準をとるように法文化するか、その問題については目下検討中でありまして、まだ正式にきまつたものはございませんが、やはりある程度の合理性をもつた、ある程度の細分された基準というものをつかまえて課税していきたいというように考えております。現在の見込みでは、大体一戸当り四百円程度としましたならば、そう重い税金でない、このように考えております。
  24. 松澤兼人

    ○松澤(兼)委員 一番最初の御答弁でありますが、できるだけ市町村の財源を、確保する意味において、前者が徴税するというようにおつしやつたのでありますが、この点市町村が徴税するという意味に解釈してよろしいのでありますか。重ねてひとつお聽かせ願いたいのであります。  それからもう一つは、住民税の関係でありますが、住民税は最近一年くらいに急に増額されて、地方税の枯渇を防ぐ有力な財源となつておるのであります。しかしこれ以上はもはや増徴の見込みがない、あるいは見込みがないというより、これ以上になれば多少悪税になるのでないかといつたようなことを懸念される。地方においては、住民税増額の反対をやつておるように聞いておるのであります。この点につきまして、もうこの辺が限度であるとお考えであるか、さらに増徴してもよろしいとお考えになりますか、この点をひとつ聽きしたいのであります。大体住民税は、御承知のように戰時中できました負担分任と申しまするか、そういう精神で多少でも出してくれといつたような、こういう立場の税金であつたと思うのでありますが、最近においてはこれが地方の有力な財源になりまして、地方税がしばしば改正になりまして、今日では相当大きな税額になつておるようであります。もはやこの辺で大体住民税の限度がきたというように私は解釈しておるのでありますが、地方財政委員会としてさらに増額される意思があるか、あるいはこの程度で、もはや増徴はやめておくべきであるという御意見であますか、お伺いしたいのであります。
  25. 柴田護

    柴田説明員 入場税の問題でありますが、入場税は、私が申し上げましたのは、市町村に多くの税金を與えるという意味から、市町村が全額とつてこれを市町村税とするのが適当である。また現在財政委員会においてはいかにするかという問題は、伺つておりません。それから住民税の問題でありますが、住民税はなるほど仰せのように、昭和十五年度の改正以來、負担分担の精神を税制の上に立てるという方針を貫いて来たのでありますが、地方税体系の中の税目を検討いたしますと、地方税の中で彈力性をもつておる税種といいますのは、営業税と住民税以外にないのであります。現在の本年度予算で申しますならば、二百四十億円の税收入の中で、常業税が八十億円、住民税が約六十億円でございます。このような大きな比重をもつております住民税と営業税は、やはりこうしたインフレの時代においては、どうしてもインフレによる経費の増嵩にマツチし得るような税種として、確保していかなければならないと思うのでありまして、この際住民税の今までもつておりました性格というのは、もう一擲してしまう。住民税をむしろ、内容的にいいまして軽度の所得税的なものにして、かつその徴税方法は合理化していく、戸数割の弊に陥らないように、戸数割のもつておりました欠点を矯正しつつ所得税的なものにしていきたい、かように考えております。住民税の問題につきましていろいろ問題がありましたのは、特に東京都でありますが、東京都は住民税の賦課方法が適当を欠いておりますために、ああいつた問題が起つたのでありまして、その他の都市においては、住民税の問題は世間でいわれておるほどに大きな問題を捲き起しておりません。
  26. 松澤兼人

    ○松澤(兼)委員 東京都のことは存じませんけれども、私住んでおります兵庫懸などにおいては、この問題は相当大きな問題でありまして、追加予算が出ましたとき十二時までかかつてやりまして、増徴の條例は、市が出しました條例を修正する。しかし実際の予算の徴収は、市が出した基準に従つてとるということで妥協したといつたようなことで、非常にこの問題はもめたのであります。これは單に私どものところばかりではなかつたと思うのであります。その精神が、負担分任の精神から所得税の精神にあつてくれば別でありますけれども、同じ地方税として、営業税の方はインフレの方針に伴つて、これは増徴される見込があると存ずるのであります。しかし住民税の方は、やはり依然として住民の負担分任の精神を、どこまでも守つていくべきでありまして、一應私なら私個人として、あるいは勤労所得税とか、あるいは営業税とか、その他の税金を納めており、その上にそこに居住しているというだけで住民税を出す。この住民税を所得税というふうに性格を変えてやることは、どう考えてみましても二重の負担になるのでありまして、やはりこれはこの程度で限定して、もしインフレの準行に伴つて地方歳入の増徴ができるものを考えるとすれば、先ほどお話のありました遊興税であるとか、あるいは営業税であるとかいつたようなものに、その財源を求むべきであつて、住民税はこの程度で打切らなければならないと考えているのでありまして、これを所得税的な性格を帯びさせることは、いろいろ地方において問題を起す原因になると考えますので、これは意見になりますけれども、そういうことをなるべくお取止め願いたいと考えるのであります。
  27. 坂東幸太郎

    坂東委員長 お諮りいたします。地方自治法改正によつて地方分権が実現しましたが、その代り地方財源が非常にたくさんいる。地方財源確保については、さらりに検討を加えますが、本日はこの程度で散会したらいかがでしよう。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 坂東幸太郎

    坂東委員長 本日はこの程度をもつて散会いたします。次会の日程は公報をもつてお知らせいたします。     午後四時三分散会