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1948-02-12 第2回国会 衆議院 治安及び地方制度委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年二月十二日(木曜日)     午前十一時二十六分開議  出席委員    委員長 坂東幸太郎君    理事 門司  亮君 理事 矢尾喜三郎君    理事 高岡 忠弘君 理事 中島 茂喜君    理事 川橋豊治郎君       大石ヨシエ君    笠原 貞造君       菊池 重作君    久保田鶴松君       松澤 兼人君    松谷天光光君       井上 知治君    佐藤 通吉君       坂口 主税君    千賀 康治君       中垣 國男君    大内 一郎君       小暮藤三郎君    外崎千代吉君  出席政府委員         総理廳事務官  久山 秀雄君  委員外出席者         地方事務官   藤田 次郎君         專門調査員   有松  昇君     ————————————— 本日の会議に付した事件  帝銀事件に関する説明聽取  舞鶴事件に関する説明聽取     —————————————
  2. 坂東幸太郎

    坂東委員長 これより治安及び地方制度常任委員会を開会いたします。  本日の日程は、帝銀事件に関し当局説明聽取の件、舞鶴事件に関し当局説明聽取の件、地方財政委員会の運営に関する件でありますが、開会前に御報告事項がございます。それは前の委員会におきまして、列車内の治安維持対策に関する小委員を設置することを決しましたが、その指名並びに発表委員長に一任されましたから、発表しますから御承認を願います。門司亮君、松谷天光光君、大内一郎君、松浦榮君、坂口主税君、高岡忠弘君、佐藤通吉君、この七人であります。  なお、いま一つ報告事項がございます。それは過日厚生委員会から私に相談がありました。それは厚生委員会の方に、地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き検疫所の増設に関し承認を求める件。この件はこの委員会にも協議がありましたので、去る二月七日委員長が出席いたしまして発言いたしました。その内容はこうであります。清水佐世保、三池、鹿兒島及び博多の五港に險疫施設を設ける必要を生じたので右五港に險疫所官制による險疫新の設置について、地方自治法第百五十六條第四項の規定による國会承認を求める。その理由といたしましては、検疫所官制による検疫所従來八箇所であつたが、今回通事合軍司令部の覚書により、新たに検疫施設を設置すべき港として、清水佐世保事及び三池の三港、並びに日本船舶のみの入國港としての鹿兒島及び博多事の両港が指定せられた。從つて検疫業務の万全を期するため、右五港に検疫所を設ける必要があるからである。こういうのであります。そこで私が参りまして、これに対する質疑を行い、なお賛意を表しまして、去る二月七日の厚生事委員会で満場一致をもつてこれを承諾いたしました。右御報告申し上げます。  それでは帝銀事件に関し当局説明聽取の件でありますが、警視廳刑事部長藤田次郎君からその説明を願います。
  3. 藤田次郎

    藤田説明員 去る一月二十六日に発生いたしました帝銀事件につきまして、その後の捜査状況概況を申し上げたいと思います。  捜査根本方針といたしましては、まず第一に、この捜査をして絶対に漏れのないように完璧の捜査をするという意味で、本事件に関連のあります基本的な調査に、刑事を約三十名増員いたしまして、当つておるのであります。  さらに現在この事件に関しまして、一般民衆及び警察官等から多数の密告投書報告等があるのであります。その実情を申し上げますると、事件発生の去る一月二十六日から二月十日現在までに、各種資料を提供せられたものが、約七百五十件以上に及んでおるのであります。それに基きまして捜査を進めておるのであります。現在まで、これによつて捜査をいたして解決いたしましたのが二百七十二件、現在なお捜査を継続しておりますものが四百七十件に及んでおるのであります。こういう方法一般協力によつて直接犯人にぶつかつていくという方法をとつておるのであります。  第三の捜査方法といたしましては、現場を中心にいたします地取り及び聽込み捜査であります。これが本来の捜査に属するのでありますが、これにつきましては、事件発生以來着捜査網を縮小いたしておるのでありまして、漸次有力な資料が得られております。たとえば、仙台に在住いたしております松井博士名刺関係等は、捜査の筋といたしましては、最も重要な筋でありまして、現在これが百枚の名刺の行く先につきましては、大体八十枚程度まではつきりいたしておりまして、その後の名刺についてさらに追究をいたしておるのでありますが、はつきりいたしました点につきましては、その名刺を受けた者について、さらに各府縣にわたつて捜査をいたしております。現在直接この捜査に当つておりますものとして、約百五十名の刑事を動員いたしておるのであります。  なお警視廳全管下にわたりまして、刑事の休暇の廃止、公休の取止めを行いまして、日夜努力を傾注いたしております。なほ一般外勤警察官につきましても、不審訊問を励行する、あるいは特別戸口査察を行う等の方法によりまして、有力な資料を漸次提供しつつあります。なお各府縣との連絡手配につきましては、内事局を通じまして、電報あるいは書面をもつて再三にわたつて手配をいたしておりまして、現在各府縣とも有力な資料を與えられておるのであります。  現在の捜査経過は以上のような状況でありますが、われわれといたしましては、でき得る限り早く検挙をいたしたいと懸命の努力を続けておる次第であります。以上概況を御報告申し上げます。
  4. 坂東幸太郎

    坂東委員長 ただいまの説明に対し事まして、質疑あるいは御意見がありますならば、ひとつお願いいたします。
  5. 外崎千代吉

    外崎委員 当局の御苦心は大いに認めるところであるけれども、今の御説明はわれわれは、まことにつや氣のない説明であると思う。新聞紙上ですでに報道されたことである。それだけの報告ならば、何もわざわざここに來てもらつて聽く必要はない。もう少しほり下げて具体的な説明をお願いしたい。
  6. 藤田次郎

    藤田説明員 新聞にいろいろ具体的な事件内容について報道いたしておりますが、私どもの方では、現在すでに報じておりますような容疑者関係する資料は百数十件あるのでありまして、日々それを一つ一つ当りまして、だんだん、廣くいたしておるのであります。その事件捜査に着手いたしております具体的内容を申し上げますと、非常に事例が多くて、きりがないと思います。大体捜査大筋は、今申し上げたようなところでありますから、御了承願いたいと思います。
  7. 外崎千代吉

    外崎委員 そうすると、大筋は今のようなことになつておるが、今伺つたところでは新聞発表になつた以外に出ていない。世間は非常に警視廳に期待し、また信頼しておつたが、もう最近では非難の声が出ておる。これもやむを得ないだろうと思う。一月二十六日に起つた事件が、二月になつても何らの手がかりがない。警視廳としては、いくらかめやすがついたのか、つかないのか。その点をもう少し詳しくお願いしたい。
  8. 藤田次郎

    藤田説明員 大体普通の殺人事件でありましても、捜査の端緒を得ますのには、少くも十日前後の日数を要するのであります。そういう意味で、この事件は非常な社会的なセンセーシヨンを起しまして、われわれとしては、一日も早く險挙いたしたとい思つて努力をしておるのでありますが、基礎調査か漸次固まつてまいつておる状況であります。手がかりと申しますと、各種手がかり資料としてうんと、むしろあり余るくらいある。それだけにこの事件捜査が困難であります。そのあり余る資料を、どうして切つていくかというところにわれわれの苦心があるのでありましで、その点御了承願いたいと思います。
  9. 外崎千代吉

    外崎委員 あり余るほどの資料があるということは、いくらか犯人の身辺L近づいておるのか。それとも、これならばというような者はまだつかまつていないのか。全國七千何百万の國民、か、これほど協力し鞭撻し應援しておる事件はない。しかるに資料が集まつたということは、これならばというだけの資料であるのか、ただ集まつてきた投書や聽込みだけの話であるのか。科学的という方法について、どういう方法警視廳はとつておるのか、あるいは捜査本部はとつておるのか。これかこのまま迷宮入りするようなことにばれば重大問題ですが、その意味であり余る資料というのは、こまかいことは言わないが、犯人が大体目星がついたという点があるのかないのか。その点を伺いたい。
  10. 藤田次郎

    藤田説明員 たくさんのあり余る資材と申しますのは、一般密告投書によるものはもちろんでありますが、そのほか犯人名刺とか、あるいは当時の言動ということによりまして、大体犯人が属しておりました環境等についての見透しがついておりますので、その環境に対する調査を漸次縮めていつているのでありますが、それに伴う資事料がただいま申し上げた資料であります。すなわちこの資料も、だんだんと犯人に近ずきつつある資料を得ておるということを申し上げたわけであります。
  11. 外崎千代吉

    外崎委員 それではお伺いしますが、この間新聞や各方面似顔を出しでいましたが、あれはやはり確信があつて出したのか。というのは、四人の難を免れて退院して来た人の話を聽けば、似ているような側ていないような話であるが、これならばというはつきりした、のがあつて捜査本部似顔を出したものかどうか。
  12. 藤田次郎

    藤田説明員 あの似顔につきましては、絵かきを派遣しまして、これは結局は犯人ではなかつたのでありますが、その写眞をもつていきますと、これに非常にそつくりだという写眞がありましたので、それと対照いたしまして、絵かきが四人の生き残つた者、及び前回未遂になりました二つの銀行の直接面会した者等につきまして、約二日がかりで十数枚の似顔を描きまして、これなら大体の感じが似ておるというものを採用したのであります。当局としまして現在推定されるところでは、最も犯人に近いものでないかと、こういうふうに感じております。
  13. 外崎千代吉

    外崎委員 そこなんです。もちろんそこまで研究事してやつたに違いないけれども、現在見て、一緒に十何人飲んで、そのうち生き残つた人の話を聽くと、どうもそうでないというような口吻が新聞紙上に見えているのが、そういう点はどういうものですか。
  14. 藤田次郎

    藤田説明員 絵ができましてから、これを写眞に写しますと、割合に若く見えたのであります。その点銀行員がこれを見まして、少し若すぎるというような話がありまして、当局としましては、新聞あるいは手配を通じで、いくぶんこれよりは年寄りぎみに見える、からという訂正をいたしておるのであります。なお目撃者記憶違いということもありますから、七分に検討してみたいと思つております。
  15. 外崎千代吉

    外崎委員 あなたの方として、まだ都内にいると見ているか、高飛びしたというふうに見ておられるか。
  16. 藤田次郎

    藤田説明員 本部として犯人都内にいるかいないか、これは、どちらとも断定をいたしておりません。ただわれわれの捜査方針といたしましては、都内におる犯人を直接逮捕できる場合もありまするが、根本方針としては、犯人は東京に土地かんがあるということは確実であります。從つて犯行当時、あるいはかつて都内に居住りた者であるということは確信いたしておりまするので、その点を突いて、その後犯人が、どう移つてつたかということは、それから辿つていきたいということで、現在都内におるかどうかという問題には、決定的な判断をくだすことを避けておる実情であります。
  17. 外崎千代吉

    外崎委員 今の捜査方針を変えて、何かほかの方針をもう一遍立ててやつていくというつもりはないのかどうか。今のような方針であるとほとんど漠たるもので、何らの見透しがない。これからは名刺なら事名刺ばかり追つて事歩かなくて、別の方法考えてあるのかどうか。
  18. 藤田次郎

    藤田説明員 捜査方針の大局につきましては、現在通り進んでまいりたいと思つております。ただ今回の捜査について特に申し上げたいことは、われわれの捜査方針は、ちようどガラス張りの中で捜査しておるような状況でありまして、手の内が全部一般に見られてしまう、從つて一般に見られるということは、犯人に直接捜査実情が直ちに寫つていくということであります。その点に非常な苦心当局としては拂つております。すなわち犯人捜査手の内を見せないで捜査をするということが、一番むづかしい方法であります。その点においてわれわれとしては、まだ一般に申し上げ兼ねる手をいろいろ考えて、また打ちちつつあるのでありまして、その点はただいまここで申し上げることは御遠慮申し上げたいと思います。
  19. 外崎千代吉

    外崎委員 そこまでやられればなるほどということもあるけれども、今までの捜査方針発表——発表かどうかは知らぬけれども、むしろ新聞記者の方が一歩も二歩も先に進んでおつて警視廳がそれに引づられて、新聞記者の指導を受けておるように見える。今のあなたのおつしやるところによると、もつと變つた方法犯人手の内を見られないような方法でやるということでありますが、さあ出ていけというような犯人に教えておるような傾向、ああいう新聞の書かせ方というものは、新聞記者独自の考えで書いておるものか、警視廳が一々知らしてやつておるものか、その点を一つ……。
  20. 藤田次郎

    藤田説明員 新聞の問題は御承知のように、われわれ新聞に対して何らの制限を加えでおりません。從つてわれわれの発表いたしますることは、新聞にもはつきり捜査本部表発という数行の発表以外にありません。
  21. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 私途中から参りまして失礼いたしましたが、実は先日われわれ治安委員会委員が、警視廳を観察いたしまして最も深く感じたことは、いかに日本警察というものが、非科学的であるかということを、私は痛切に感じたのでございます。來るべき新制度警察には、ぜひとももつと科学的の方面に力を注いでいただきたいということを、私は政府当局に痛切に要望する次第であります。  そこで今回の帝銀事件が今や迷宮に入らんとしておる。それはまさに日本警察力が、いかに貧弱であるかということを証拠立てておるのだと私は思つておるのでございます。そこで毒薬物警視廳内におきまして科学的な調査をするために、いろいろなことをやつていらつしやいましたが、それを見て実に私は幼稚なものであると思つた。ここでできないから、大学行つてこれを調べてもらうと言つて私に話しておられましたが、あの毒薬物について、私は藤田刑事部長に、その後大学方面でいかなる方法をとられ、いかなる眞実を発見したか、それをまず私は冒頭にお聽きしたいと思います。
  22. 藤田次郎

    藤田説明員 毒藥につきましては、警視廳鑑識課と、帝大及び慶應研究室研究願つてつたのであります。現在まではつきりいたしておりまするところは、この毒薬青酸化物である、從つていわゆるオキシシアン水銀ではないということ、それから青酸化物の中の青酸カリであるか、青酸ヨードであるかという点につきましては、現在のところ慶應帝大鑑識課、三者ともまだ結論が出ておりません。これにつきましては、なお詳事細な分析を必要とする現状であります。お答え申し上げます。
  23. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 藤田刑事部長にお尋ねしたいのは、この事件は全國的に手配をしていらつしやるものでしようか。それともただ都内警察のみが手配していらつしやるものでしようか。
  24. 藤田次郎

    藤田説明員 この事件につきましては、全図手配をいたしておりまして、全國からも、各府縣から容疑者その他についての通報が日日々参つておる状況であります。
  25. 中島茂喜

    中島(茂)委員 新憲法下におきまして、基本的人権尊重ということが非常に強く叫ばれておるのでありますが、そういう際におきましてのこうした事件捜査に非常な苦心があるということは、ただいまの御説明の中にも現われておつたのですが、將來治安が悪化しつつある今日におきまして、捜査の立場に立たれました場合、どうもこういう点は非常にやりにくいのだ、將來こういう点をもう少し改正したならば、こうした事件捜査に非常に都合のいいような点が多々あるのではないかと私ども考えるのであります。また巷間そういうこともよく耳にするのであります。捜査上非常に隘路と申しますか、障害になつておるような点がありましたならば、その点をお聽かせ願いたいと思います。
  26. 藤田次郎

    藤田説明員 ただいまお尋ねの点は、われわれ現在調査をいたしおる者といたしまして感じますることは、一面從來捜査にあたつて検束その他であまりに安易な方向についておりまし事たために、窮屈に感ずる点が非常に多いのではないかと思いまして、今度の捜査につきましては、そういう点を内省しつつあたつておるのであります。從つて從来ならば、おそらくこういう捜査にあたりましては、すでに十事数名の検束者を出しておつたと思うのでありますが、この捜査では現在までのところ一名の検挙をいたしただけであります。これは人権尊重という建前から、一人の容疑者を見つけまして、これを捜査いたしでいきます場合において、大体刑事を二名ないし五名專属にかけまして、二日ないし三日間身辺周囲を洗つておる状況であります。從つて検挙を非常に愼重にやつております。その結果、幾分從来捜査に比べまして日数がよけいかかるということ。從つて事件の解決に日にちを要するということがあると思うのであります。その点は新しい刑事手続尊重して行つておりまする捜査として、御了承をお願いいたしたいと思うのであります。あるいはわれわれの捜査の手のうちがすべて一般に見られてしまうという点も、われわれとしては非常に苦しい場合が多いのであります。そういうようなこと事を、現在捜査過程において、今後の捜査上の参考にいたしたいと、いろいろ研究わ続けておる最中でございます。
  27. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 私素人考えで勘でいくのですが、一体この事件に対しては、私は共犯者はないと思つております。そうして、そうした者には子供も細君もなしに、独り者のインテリ崩れがやつておるものと、私は独りで考えております。それで全國のアパート手配なさつたでしようか。これを部長にお聽きしたいと思います。
  28. 藤田次郎

    藤田説明員 ただいま大石委員のおつしやりましたような点も、われわれの捜査一つの眼目になつておりまして、アパート、旅館、下宿屋等につきましても手配をいたしております。
  29. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 しからば、刑事部長は今後いかなる方法でもつて、この帝銀事件の今や迷宮にも入らんとするものを解決してくださいますか、そのお氣持を聽きたいと思います。
  30. 藤田次郎

    藤田説明員 ただいま迷宮に入らんとするというお話でありますが、私の現在捜査をいたしておりまする感じといたしましては、捜査は着々進んでおるのでありまして、決して前途に悲観すべき條件はないと考えております。捜査の今後の方針は、ただいままでとつてまいりました捜査方針が、最初に申し上げましたように、少し遠まわりであるかもわかりせんが、絶対手落ちのない捜査ということを主眼にして事進んでおるのでありまして、この方針は從來の捜査方針を堅持してまいりたいと考えております。なお状況によりまして各種の手を打つて、必ず解決してまいりたいという覚悟で部下一同を督励してやつております。
  31. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 昨夜全農議員が某所で会合いたしました。そのときに、仙台全農佐藤慶次郎氏が容疑者で、そうして非常な嫌疑をかけられて迷惑を感じた。ああいうふうにはつきりとアリバイのわかつておる、しかも人格者である佐藤さんのごときに目をつけるということは、いかにも警察力が微々たるものであると言つて、われわれ笑つたような次第ですが、あの佐藤氏にもつてつたということは、どういうふうな理由つたでしよう。
  32. 藤田次郎

    藤田説明員 今回の捜査につきましては、全國の民衆からの非常な御支援、御協力があるのでありまして、民衆投書密告等によりまする事柄につきましては、漏らさず内定捜査をいたしていくというのが捜査方針であります。從つてわれわれは、犯人でないということがはつきりいたしまするまで、人権尊重いたしまするが、捜査は徹底的にやつてまいりたいと考えております。ただこの捜査過程におきまして、本人の名誉を傷つけるようなことのないように、十分注意いたしておるのでありますが、この個々容疑者の氏名、あるいは個々容疑者捜査につきましては、われわれとしては発表いたさないという方針で進んでおるのであります。これがいろいろな事情で漏れてまいりまして、御本人に迷惑をかけるということのないように、今後とも十分注意をいたしたいと存じます。
  33. 外崎千代吉

    外崎委員 いくらやつてもしようがないと思うが、そこでお聽きするが、新法律と旧法律関係上、今度新しくできた法律によつて捜査してみるのと、古い法律のときに捜査してみた場合と、今あなた方が直接使つてみて、これがはたしてよかつたという点と、これなら困るという点があつたら、参考に聽かせてもらいたいと思います。
  34. 藤田次郎

    藤田説明員 その点につきましては、先ほどちよつと申し上げました人権に関する問題で、一人の容疑者の白黒をつけるのに非常に手数がかかるということに、私ども苦心をいたしております。それから報道新聞関係では、一面新聞が非常に協力をしてくださいまして、当局の意図するところ、あるいは犯人の人相、手口、その他全國すみずみまでも徹底さしていただけるということが、われわれとして非常にありがたいことと思つております。なお捜査過程で十分検討する余裕がございませんので、この捜査終了後に十分研究をして、新手続下における長所短所等を險計いたしたいと考えております。
  35. 外崎千代吉

    外崎委員 終了後に險計するとなれば、今現在使つてみてぶつかつている問題であるが、ぶつかつてみて不自由がないという考えですか。このくちいならいい、または人権尊重するというだけが難関であつて、その他は何でもない、こういうふうな御意見ですか。
  36. 藤田次郎

    藤田説明員 現在のところ大体御意見のように考えております。
  37. 坂東幸太郎

    坂東委員長 他に質疑ありませんか。それでは委員会としましても、ぜひとも全智全能をしぼつて速やかに犯人逮捕せられんことを要望します。ではこの件はこれで終ります。     —————————————
  38. 坂東幸太郎

    坂東委員長 次は舞鶴事件に関し当局説明を聽取いたします。これは前議会で大石さんから御提議がありましたが、大石さんから大要をお述べ願います。
  39. 大石ヨシエ

    大石委員 久山警保局長に質問したいのでございますが、私は舞鶴の地元から出ております代議士なるがゆえに、隠退臓物資が四大軍港のうち、この舞鶴に莫大なるものがあつた事ことは、私は実際に目に見て知つているのです。一昨年終戰後から私は代議士になる輿警察当局にたびたび、この隠退事藏物資というものは国民の血と涙の結晶であるから、ぜひともこの隠退臓物資を何とかして早く明るみに出すことを、西舞鶴及び東舞鶴警察及び京都府の警察部に、私は再三再四注意事いたしました。それから代議士になりまして後も、私は京都府の警察部長その他警察当局に、再三再四これを要求いたしましたが、あなたはそういうことをおつしやるけれども、実際の問題にあたれば、こうしたものはなかなか探すことができないと言つて、私の言うことをどうしても聽かなかつたようなわけでございます。そこで私は昨年隠退藏物資加藤委員長に依願して、もし京都府の警察部がこれを取上げないときには、われわれ国会議員が直接警察当局と手を結んで、舞鶴隠退藏物資を私は何とかして明るみに出したいと言つて、そして京都府の警察部に言いましたら、まあ仕方なしにしぶしぶやつたような状態でありました。  そこで私が最もよく知つております、いつぞやこの席上で発表いたしました備後丸事件について、私はここで発表して、それから京都警察部帰つて、ぜひこの備後丸事件は莫大なる事件であるから、捜査をしていただくようにということを再三再四頼みまして、辛うじて舞鶴事件を成立させ、そして隠退藏物資につき、京都府の警察部が打つて一丸となつて舞鶴事件は終末を告げたということを言つておりますが、まだまだ舞鶴隠退藏物資があるということを、実際私は目に見てよく知つているのです。ほかの三軍港は皆戦災のために消滅いたしましたが、ただ一つ戦災に遭わなかつたのはわが舞鶴軍港なのです。それで京都府の警察部は、もうこれで舞鶴事件は終つた言つておりますけれども、まだ調べたならば何億あるかわからぬような状態でございます。それでいつでも私はその資料を提供いたしますから、警保局はわれわれと協力してくださいますか否や、それを私はお聽きしたいと思います。
  40. 久山秀雄

    久山政府委員 舞鶴のいわゆる軍需物資の不当処理に関しましては、昨年の議会で大石さんからお話があり、私も直接そのお話を伺いまして、早速京部府の方には連絡をいたしておいたのであります。京部府の方におきましても、その以前から、いろいろそういつたような問題につきましても調査をしておつたのでありまして、私が大石さんからお話しくださいましたことを連絡いたしました際にも、その間の事情は京都府におきましても、すでに承知をいたしておりまして、目下捜査をいたしておるといふうな話であつたのでありまして、現在私どもの手もとまでまいつておりまする舞鶴関係事件の概要を簡単に申し上げて、御報告にかえたいと思うのであります。  お話のありました備後丸事件は、終戦の直前に上海から、元海軍輸送部の指揮によりまして舞鶴にはいつてまいつたのでありまして、その積んでおりました荷物の内容等も、詳細に書類がありまして判明をいたしておるのでありますが、大部分が軍物資でありまして、兵器、非鉄、金属、地金、ガソリン、小麦、飼料などがあつたのであります。八月の十四日に舞鶴についたのでありまして、翌十五日に終戦になりましたために、その後数日の問荷物をあげることに関しまして、いろいろ混乱があつたのでありますが、しかしその荷物を陸揚げいたしますることは、その当時の責任者でありまする揚塔司令部と申しますか、陸揚げをやる軍の司令部の指揮によつて実施されたのであります。そしてその揚塔司令部におりまする兵員が約四百名、それから舞鶴にありまする飯野産業という会社の労務者が八百名、そのほかに一般の市民の勤労報國隊、そういう組織で陸揚げがなされたのでありますが、終戦のどさくさで舞鶴の草頭には非常に船が殺到しておりました関係上、荷揚作業がなかなか急速にいかなかつたのでありまして、そのために揚塔司令部で地方民を臨時に多数募集をいたしまして荷揚げを強行した。しかもその荷物の引取先なども軍の解体とともに混乱いたしまして一時は非常な混乱があつたと想像されるのであります。その間に一般軍物資の緊急放出なども行われましたし、また荷役をやりました労務者に対する賃金の代りに、その現物を支給したというふうなこともあつたのでありまして、偏後丸が積んでまいりました荷物の中にあつた乾パンとか、食塩とか、硫安といつたようなものが、相当多数賃金の代りに充当された形跡があるのであります。しかし数日を経過いたしましてやや人心も落ちつきましたし、また荷物の発送などにつきましても、順次舞鶴にある日本通運の手を通しまして、それぞれ正当なる荷受機関の受取人の方に発送をいたしておるのでありまして、それらの方も現在証拠書類によつて判明をいたしておりまして、乾パン、小麦、石油などは当時の軍需部へ、飼料は日本飼料会社、硫安は日本肥料会社、その他の雜品は交易営團及び京都府というふうなところに引取つておるのであります。さらに中國の銅貨などを相当持つて帰つてつたようでありますが、その一部は海中に投棄せられたものもあるようでありますが、一部は現在飯野産業の車輌工場に保管中のものもある、こういう状況になつておるのであります。  そういう一時の混乱に乗じまして、現地の荷役の関係者の中に掠奪行為といつたようなものもあつたのでありまして、その後京都府の警察で調べて判明いたしましたもののうちで、備後丸の積荷の中で不法領得せられたものは石油類が三十九カン、これは当時の備後丸の船長であつた人の手もとにあつたのであります。それから、飯野産業の舞鶴支店長のところにありましたのが硫安十七俵、日本通運の舞鶴支店員の松本何がしのところにありましたものが硫安七俵、こういうふうなものが現物としてそのまま残つてつたのでありまして、備後丸の積荷につきましては詳細なる明細表がありますので、それによつて物資の荷受先なり、その動いた状況を詳細に調べたのでありまして、ただいま申し上げましたようなことが備後丸関係では不法に処理せられておつた。それ以外は大体書類に從つてそれぞれの荷受先に正当に発送し、授受されておることがわかつたというふうな状況になつておるのであります。  この備後丸事件は、舞鶴鎮守府全般に通ずる、軍需物資の不法処置の一つとして出てまいつたものであり、それ以外に舞鶴関係において、相当多数の不法なる事件があつたのでありまして、その大要を申し上げますと、飯野産業舞鶴造船所に、非鉄金属類が約二百七十トンが隠匿されており、鉄鋼及びその製品、そういつたものが約百三十一万円相当のものが横流しされておつたのであります。それから拂下リストのほかに、鉄及び非鉄事金属製品が約千五十二トン、水銀約ニトン、重油が相当大きなタンクにはいつたものが不法に処理されており、さらに飯野産業の舞鶴の車輌工場で、鋼索約百九十二トン横流しされたものがあるのであります。それから福岡合名会社に、海軍病院からの保管を委托された薬品が約五十一万円相当のものが隠匿されまた舞鶴繊維製品の商業組合で、海仁会及び漁軍工廠の共済組合から、拂下げを受けた布帛製品か約一万四千点の隠匿事件、浅野物産の舞鶴出張所で、やはり海軍の共済組合からの関係物資を、援護物資という名のもとに横流しをした事件がございます。それから郡是製糸の舞鶴支店、これがやはり戦時中、海軍の指定の裁縫をやる工場をやつておるのでありますが、その原料である原反を八千五百点ほど隠匿をし、さらに四百万円相当の布を横流しした事件があり、さらに飯野産業の舞鶴、支店で、軍から放出せられました石炭二百五十七トン、揮発油一万一千六百リツター、それから機械油二万五千リッターの隠匿が摘発されておるのであります。それから日本製鉄株式会社の舞鶴出張所に、廃兵器でない軍需物資の不法処分といたしまして、廃兵器処理という形で、そうでないものをやつたという嫌疑で調査をいたしておるような状況でありまして、大体二月の初旬までに三十一名の人と法人につきまして檢事局の方に事件を送りました。  一應今までの結果によりますと、そういうことになつておるのでありますが、ただいまお話がありましたように、調査のできなかつた件、捜査不十分でなお他に不当に処置されたものが相当あるというお話でありますが、そういうことにつきまして資料がございましたならば、できるだけその資料に基きまして、捜査を徹底させるように処置をとりたいと思います。
  41. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 ただいま久山警保局長が、備後丸は八月十五日舞鶴に入港したとおつしやいましたが、それは誤りで、舞鶴に入港いたしましたのは八月二十三日のちようど正午であります。そして全部荷揚を終了したのは九月の二十五日、西舞鶴の港湾で荷揚を終了し、船のトン数は五千トンでありまして、船主は日本郵船会社の船であります。積荷は約五千トンであります。それから私が最も奇々怪々に思いますのは、これを治安委員会発表する前に、富國生命の楼上に飯野産業の本社がありますので、そこに私は社長に面会にいきました。そうしたら飯野剛三という社長は、私に何と言いましたか。私は同じ舞鶴でありますけれども、この備後丸は非常に莫大な積荷をしておつたから、私は議会でこれを問題にしたいと言いました。ところが飯野剛三氏が、それはぜひとも議会で問題にしないようにしていただきたい、もし議会で問題になつたならば、とても日本の大きなものが上つてくるから、それでぜひともこれを問題にしないでおいてくれ。そして私に帰るときに、あなたは、どこへ帰るかと言う。私は議長官舎に帰る。しからばあなたをお送りしましようと私を送つてくれました。そして別れるときに私に何と言つたか。御要求があれば何でもいたしますから、どうぞお役に立てば僕に何でも言つてくれ、但しこの備後丸事件を公にしてもらつたら困る、これは日本の大物が上つてしまう、こう言いました。たいていそれはどういうものであるかということは、よくわかるだろうと思います。それでその当時人夫を雇つて、そのお金の代りに品物をやつたということは、それは体のよい逃げ口上だろうと思います。その点、飯野産業を徹底的に私は調べていただきたいと思います。  それからもう一つ、その、当時海軍から千鶴丸という船と、ほかに四隻、あのごたごたに紛れて飯野産業についておる事実を私は知つております。それも改めて調べていただきたい。  それからもう一つ、これは備後丸と別な問題でございますけれども、舞事鶴市字堀の櫻井という家に私は見にいきました。ちようどこの半分の部屋に、あらゆる資材が山積みに積んでありました。たとえて言うと、どういうふうなものが積んであつたか。自轉車のタイヤ。それから工具は莫大なものでした。それから水道のゴム管、網、自動車のタイヤそれから旋盤が約六十か七十あるのを私は見ました。そうしてその附近の池内村の農家には、罐詰を全部預かつておりました。それから池内村の眞倉という小学校には、毛布を何万枚かわかりませんが、預かつておりました。それから虞倉という所のもう一つ先の所に集会場があるのです。その集会場には、目下問題になつている青酸カリ、その他寫偵の材料になるものが莫大にありました。それも一体だれがどうしたか調べていただきたい。それからまた役場の裏の方にワイヤ、ロープが今なおたくさんあります。それは一体どこからこのワイヤーロープを受取つて、そうして今なお何がゆえにそこにあるか、これも私は調べていただきたいと思います。  こういうことを言いましたら、舞鶴に際限もなくまだあるような状態で、実際私はよく知つているのです。それから舞鶴市の軍港からずつと延びた所を、その当時二階を見ますと、どの家もこの家もその二階には、軍需物資をみなとつてきて、たいへんなものです。そういう小さいことはどうでもよろしいが、とにかく飯野産業の社長に出会つたときに、これを議会で発表してもらつては、日本の大物が引つばられるから困る。それを私はひとつ吟味していたたきたたいと思います。
  42. 坂東幸太郎

    坂東委員長 ただいま大石君の御発言は重大問題であります。政府はこれに対して手をつけておられますか、いかがですか。
  43. 久山秀雄

    久山政府委員 ただいま申し上げましたように、なおそれ以外に、いろいろ不都合と思われる事実なり資料なりがございますれば、それに基きまして徹底的に捜査をいたしたいと思います。今お話のように、相当多量の軍の物資が保存されておつたことは十分想像されるのでありまして、これは正当に軍のものとして、軍が引続き保存しておつたものもあろうと思うのでありまして、現在そういつたものは第二復員局から、正式の特殊物件として政府の方にまた返還になりつつあるものも相当にあるよう事に聞いておるのであります。ただいま大石さんのお話になりました点につきましては、私でき得る限り資料をいただきまして、適当に処理いたしたいと思います。
  44. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 それからもう一つ忘れておりましたが、終戦後長い間舞鶴の沖にオランダの船がはいつておりました。それは豪華船でした。そこにピアノが二台ありましたが、あのピアノは一体だれがもつてつたか、それも私調べていただきたいと思います。
  45. 坂東幸太郎

    坂東委員長 どうか政府は、ただいま大石君の述べられましたことを十分参考にして、徹底的に調査され、そうしてその途々によつて糾弾もしくは処分されんことを希望いたします。
  46. 外崎千代吉

    外崎委員 さつきからお話を聽いておりますと、また以前からこういう問題があつて警察にいかに民衆が訴えても、警察がかまわない。むしろへたに話をすると、その物資が一夜のうちにどこかへ運ばれてしまう。こういうことがある。それは警察官を疑うとか疑わないというよりも、なにか警察官が捜査するのに、法的に欠陥があつてできないものか。またあなたの方から命令がいつても、完全にこれが実施されていないということが、たびたび見受けられ、またあなたはここで、調査を大いにやりますとおつしやるけれども調査しようとしたところが、欠陥があれば警察権が行使できないのではないか。それからあなたの方の上司の命令が行われていない傾向があるが、その点についてお答え願いだい。
  47. 久山秀雄

    久山政府委員 一般の民間の人がお考えになるようには簡単に——ここにこういうものがあるからと言つて、すぐそれを調べる、調べるといつても、人の家の中へむやみにはいつていくことはできないのでありまして、相当そこに犯罪の嫌疑があり、あるいは不正事実があることが確認され、正式の逮捕状なり拘引状なくしては、そうやたらに人の家の中へはいつていくことができないのでありますから、ただここに物があるという程度のことだけで直ちに検査して、すぐそれにはいつてつて調べることができない場合が多かろうと思うのであります。先ほど刑事部長も話しておりましたように、いろいろ相当な確証をもたないと、正式には権限の行使ができないようになつておりますので、そういうような点につきましては、ただ漠然とお考えになるように簡単にはいかない点がいろいろあると思うのであります。それから、上の方からこれこれの事件を調べるということで相当な材料を渡しても、それがそう的確にいかない。あるいは調べた結果それぞれの所属がわかりまして、不正でなかつた場合もありましようが、あるいは中にはお話のように、なんらかの事情で積極的に捜査することを澁るような警察官が絶対ないとは言えぬのであります。全体として申しますれば、やはり相当まじめにそういう問題につきましては、特に念を入れて捜査をしているということは言えると思うのであります。またこちらも、そういう点につきましては、直接現地に出向くなり、あるいは現地の人を呼ぶなりいたしまして、詳細に事情を聽き質すのでありますから、そう簡単に適当に現地でごまかしてしまうということはないと考えているのであります。
  48. 外崎千代吉

    外崎委員 ただいま刑事部長からもお聽きしましたが、何か今度の新法律によつて捜査がしにくくなつたような感が與えられる。人権々々と言うけれども、そうすると今までは人権を無視して捜査したように聞え、今度は人権尊重するから捜査できないように聞える。  それからもう一つは、警察官が何か嫌疑がなければ直ぐ人の家へはいつていかれない。けれどもそこの家にある荷物は一つや二つなら別だが、たくさんのものがある。それはどこから來たか径路を調べることができるが、それに手をつけてないといえば、何か手をつけられない理由があるのではないか、こうも考えます。  それからもう一つは、それに関連した問題でないけれども、東北本線の集團強盗の問題であります。少くとも百五十人くらいの集團であつて、その後杳として話が消えてしまつたが、あれは多少の手がかりがあつたのか、ないのか。その後調査しているのか、いないのか。一回も二回もそういう集團強盗があつたのだから、これに対する見透し、あるいはやつた捜査方針を伺いたい。
  49. 久山秀雄

    久山政府委員 新聞に傳えられた東北本線の集團強盗というのは、どうも新聞で書き立てるような事実はなかつたのではないか。と申しますのは、現実に警察の方に届出のあつたものが非常に少いことと、あの事件がありまして以後、関係府縣がそれぞれの所要の駅に相当数の警察官を出しまして、鉄道省の関係官と連絡をとり、十分調査なり將來への犯罪に具えて準備をいたしておつたのでありますが、何しろ列車の中で荷物をもつてつたというだけの届出でありまして、同じ人がそこへ再び現われるかどうか。とられたのはとられたのでありましようけれども、多数のものが集團的に強盗をやつたというように、はつきりしたことでもないと思います。その後警察としては、できる限りの人員を割きまして、鉄道輸送の関係者と連絡をして調査をしておるのでありますが、今日まで関係警察部からの報告によりますと、どうも新聞に傳えられたような意味の集團強盗としての事件はなかつたように聞くのであります。
  50. 外崎千代吉

    外崎委員 そうすると、各新聞が集團強盗と発表して、警察官が捜査して、被害を受けたものが警察署までいかなくても、各駅とか、各駅の前の交番所に、届け出たということがはつきりあるのだが、それが集團強盗でないという意味に聽いていいのですか。
  51. 久山秀雄

    久山政府委員 新聞に出ましたような、非常に大掛りな集團強盗ということはなかつたと思います。それは何か相当数の者が強盗という目的ではいつたのかどうか。車内の網棚を整理するということで荷物を移動して、その荷物の上に自分が乗るというふうなことは、よくやることでありますが、そういうものが下りぎわに、その荷物を段々整理して、うしろの方にもつてつておるうちに、そのうちのいくつかをもつて下りたということでありまして、非常に大袈裟な計画的な集團強盗ということではないと見ておるのであります。
  52. 外崎千代吉

    外崎委員 荷物を寄せたなら荷物がわからなくなるということであるが、現在何万円も何千円も取られた者が、その縣げんに帰つてから報告して、その縣で問題になつたことが、地方の新聞に見えておるのだが、そうすると警察の方では、五十人や百人は集団と見ないという見解であるのか、その点がはつきりしなければ責任がどこに事あるのかわからないのであります。
  53. 久山秀雄

    久山政府委員 それは集團は集團でありますが、新聞に書いてあつたような、非常に大袈裟な集團強盗ではないと、こう申したのでありまして、数名集まつてそういう行為をやれば集團と申していいのでありますが、警察へ届け出ましたものの数なり、その事情から見ますと、新聞で書いたほど大きな集團強盗ではない。それは集團でやつたことには違いありません。
  54. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 久山警保局長にお尋ねしたいと思いますが、その後名古屋の山岸という船長を呼んでお尋ねくださいましたでしようか。
  55. 久山秀雄

    久山政府委員 京都の方でよく調査したと思います。私直接はやりません。
  56. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 それから海軍着の上衣が何万着もありましたが、それは一体どこへいつたのですか。くつが何万足もありましたが、くつの行方ははつきりしましたでしようか。
  57. 久山秀雄

    久山政府委員 海軍服の方は、どうも船にあります積荷の明細表には載つておちぬようでありますが、くつは運輸省の海運総局へ二十こうり、一万三千六百立方メートル。それからゴムぐつが十二こうり、五千六百七十立方メートル、これが日本港湾会社でございますか、日本港湾というところへ行つておるようでございます。くつはそれだけのようでございます。
  58. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 この海軍服というのは、約三万着くらいあつたのは事実ですが、それを一つお調べ願いたいと思います。  それからホワイト・メタルはどうなつておりましよう。銅貨、ロープ、ワイヤなども多数ありましたが、一体行方はどうでございましようか。
  59. 久山秀雄

    久山政府委員 ワイヤーロープは百六十こうり、一万七千立方メートル。それからマニラ・ロープは二百五十こうり、四万五千三百十立方メートル。これは東京都交易営團機械部というところへ行つておるようです。  それからもう一つおつしやいましたのは銅貨、銅塊、真鍮塊、そういうようなものが、すいぶんありますが、これは明細表をあとでごらんいただきますと、一應船に積んでありました明細表と、それをどこへ届けたかという詳細なリストが載つておりますが、今の銅塊とか真鍮塊とかは、海軍の航空本部名古屋倉庫へ行つておるようであります。
  60. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 それから復員局が先日解体になりまして、そのあとに莫大な品物が舞鶴にございますが、その後それはいかがになつておりますでしよう、御承知でざいますでしようか。
  61. 久山秀雄

    久山政府委員 私直接は聽いておらぬのでありますが、調査局の方の関係におきまして、一月一日から建設院の方に事務が移つたのでありますが、相当数量のものを復員局から引継いで、一般の方に流すべく処置しておるということは聞いております。相当の数量のものが、第二復員局から建設院の方に、リストとして提出されておるということは聞いております。
  62. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 市中でごまをたくさんやみ屋が賣つておりまして、私氣づきましたから警察に言いましたら、この、ごまは公定債務の中にはいつておらぬから、いくら値段をくつつけて費つても、自由だということを警察が言うておりました。それは、どこから出ておるかということを調べましたら、何万石のごまは、復員局の職員が舞鶴市中へやみ屋と提携して横流ししておる。それからもう一つ、その当時軍の人の食糧として、みそと魚をねつたものがたくさんたるにありましたが、それも復員局の者が舞鶴市のやみ屋と提携して横に流しておるという事実を私は知つております。いつでも人の名前を言います。それを私はしよつちゆう京都府の警察部に行づて、やかましく言うのですけれども、それを徹底的にやらない。やらないのは、警察とそうしたやみ屋とある提携をして、何かそこに臭いものがあるのではなかろうかということを私は思うのです。大体この舞鶴事件をあげるということそれ自体が、なかなかあげてくれないのです。それで西村調査局長からもいろいろ私が支配してもらつて、それをしたのが一昨年でした。それでもなかなか京都府の警察の方は手をつけない。そういうことは何か警察とこうしたやみ屋と、ある程度暗黙のうちに提携しておるものと私は思います。その点もひとつお調べ願いたい一と思います。
  63. 坂東幸太郎

    坂東委員長 お諮りいたしますが、この事件はなお次の機会の件といたしまして、これで止めて次に移りたいと思いますが、御異議ありませんか。
  64. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 ちよつと委員長、今われわれ治安委員会の者は相談したのですが、こうしたたくさんの物がまだある。その事実を私は知つておるのです。だからぜひともこの治安委員会から、ひとつ舞鶴行つて徹底的に調べて、そうして、そうしたやみ屋に横流しすることのないように、私たちはしたいと思います。委員長はいかなるお考えでありますか。
  65. 坂東幸太郎

    坂東委員長 その点はあとからよく理事と相談しまして、できるならばそうしたいと思います。
  66. 高岡忠弘

    高岡委員 この舞鶴事件備後丸事件と申しますか、この事件を発議いたしました地元選出の大石代議士より、ただいまお聽きの通り重大な御発議があつたのでありますが、地元選出の代議士として、詳細なる証拠の資料については、絶対間違いなかろうと私ども考えられるのでありますが、大石代議士がしばしばお話の通り、京都警察部に進言をし、警告を発せられても、なおかつ熱意を示さない。しかもただいま久山局長のお話に、部下の中にも必ずしも信じられない者はある場合もあるというお話があつたのでございますが、ただいま大石代議士の御発議によつて、私ども治安委員調査に行つたらという御動議もありまするけれども、一体私ども治安委員に與えられております権限というものは、捜査に対しては一向権威のないものではないかと思つておるのでありますが、さればといつて当局にのみ信頼し、これを任しておくということは、かかる重大なる事件を摘発いたしまして粛正するためには、まことに頼りないところがあるのでありまして、さいわい、わが國会においては隠退藏物資調査の特別委員会が御承知の通り、不当財産取引調査特別委員会に變つたのでありまして、この委員会にこの事案を移しまして、ここに國会の権威をもつて捜査当局の御協力のもとに敏徹底的に爬羅剔抉じ、その粛正を期していただきたい。敗戦後における社会悪を根本的に芟除するという意味合いからいたしましても、ぜひこの問題は、國会の力によつて徹底的に解決されんことを、委員長に要望いたす次第であります。
  67. 坂東幸太郎

    坂東委員長 今高岡さんの発言がありましたが、その方法等はあとで理事会でよく御相談いたしますが、いかがでありますか。
  68. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 それから、これはほかの問題でありますが、私これは、はなはだここで申し上げにくい問題なのでございますけれども、先だつて消防協会の招待によりまして、私たち消防小委員委員長とともに参りました。そのときに、ここにお見えになつておる小暮さんが、四十度からの熱をお出しになつていらつしやいましたので、私は非常に氣の毒に思いまして、ほかの代議士さんの車を借りて協会へ行きました。その途中で治安委員会の車を見つけました。その車には四十前後の女性と男の人が乘つていらつしやいました。そこで私は委員長にお尋ねしたい。一体あなたの車であるか、この委員会の単であるか。それをまずお尋ねしたいと思います。
  69. 坂東幸太郎

    坂東委員長 お答えいたしますが、車はすべて常任委員長の専用ということになつております。それからあの時分のことはちよつとわかりませんけれども、こうなんです。ちようど十一時の招待であつた、ところが十一時半になりましても人が見えなかつた。小暮さんは見えておつた。私は先に報告しました例の厚生委員会行つておりまして、それから帰つたのが十一時四十分で、もう小暮さんたちはいなかつた。ところが有松專門調査員に聽きますと、向うから車が迎えに來るからそれに乗りますというわけで、向うが待つておりますから私は先に行きました。あとの人は迎えの車で行つた。こういうことであります。
  70. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 私はそのときに御病人である小暮代議士を非常に氣の毒に思つて、ほかの人にお願いして車を借りました。そうしたところが向うから治安及び地方制度委員会の車が來まして、ちやんとそこに婦人と男の人が乗つておりました。それは何処にとまつたか。それは呉服橋の三和銀行の前にとまりました。聽きますと、そのときの車はエンコしておつて動くことができない。そのエンコしておつた車が動いておつたということは、どうしたことなんですか。
  71. 坂東幸太郎

    坂東委員長 私はそれは知りません。協会に行つただけですから。あなたは何か誤解があるのではないでしようか。小暮さんも行つておられましたから、わかつておりましよう。あとで向うから車が來るということでありましたから、私は先に行つた
  72. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 私は、委員長の車というものは、この治安委員会の者がお互いに使つてもよいと思う。それはどこもそうです。しかしここのみは委員長が私有物視しておる。殊に小幕代議士が四十度からの熱があつて、しかも今にも倒れそうになつておるので、われわれは心配しておつた。ところがその車に女子と男が乘つてつた。この事実を見た。これは一体どうしたことですか。昨年の暮に、あなたの常用していらつしやる運轉手が私に投書をしてきた。坂東委員長は非常にわれわれ運轉手を酷使する。たとえて言うと、新橋から辻堂の家まで帰つてくれたらよい、それにもかかわらず、われわれを酷使して議会から辻堂の家までわれわれを使つてそうして私たちの帰るときは夜おそくなる。こういうことをたびたびする。そうして坂東委員長が使うならよいけれども自分の弟とか秘書にこの車を使わす。私はここにその投書をもつておる。私は人の投書をほんとうにしない。けれども、そういうふうにして私は呉服橋の三和銀行の前で、治安及び地方制度委員会の車に女と男が乘つておるのを現に見た。病人の小暮代議士がほんとうに氣の毒であるにもかかわらず、その人々に車を貸さずして、ほかの人に車を貸しておる。私はこの投書を信じなかつたけれども、これを見てあなたの人格を非事常に疑います。運轉手などはかわいがつてやらねばならぬ。ここに投書がありますが、これを読み上げるとあなたに氣の毒ですから、私は読まない。あなたは弟さんをいつも乗せて、その車を私有物事視しておる。あまりにもあなたは、委員長として專横すぎておる点がたくさんあります。今あなたに迷惑をかけるから私はここに読み上げませんが、運轉手が非常に憤慨しておる。運轉手というようなものはかわいがつてやらねばならぬ。それにあなたは、あらゆる方面に車を使つて私有物視しておる。そうであつてはならない。私はあなたに真心から御忠告を申し上げます。  それからもう一点、先日私は京都府知事に会つたが、知事が憤慨しておつた。それはなぜであるか。あなたの秘書の梅原さんが、あなたが北海道に帰つておられるときに、あなたの命令によつて京都方面を視察に來ておる。それはいかなることですか。一月七日にあなたの公文書でもつて自分の秘書である梅原と、もう一人誰だか忘れましたが、その二人のものが御地方に行くからよろしく頼む。一体この委員会で許可を得てあなたはなさいましたかどうですか。それを私は聽きます。
  73. 坂東幸太郎

    坂東委員長 最後の場合は、根原書記が視察に行くことは事務的なことであつて何にもそれ以外にありません。  なお小暮さんのことは非常に誤解されるから重ねて申し上げますが、その日に小暮さんに、一緒に行きましようと言つたのです。ところが有松君曰く、今車が迎えにくるからあなたは先に行つてくれ。それで私は行つたのです。小暮さん、いかがですか、私は現に言つたじやないですか。
  74. 小暮藤三郎

    ○小暮委員 たまたま私が健康を害しておりましたために、大石代議士に特に御心配をかけたことを非常に感謝しおるのでありますが、たまたまそのために自動車の問題が起つたことにつきましては、私自身としてたいへん恐縮いたしておりますので、大石代議士にお願いいたしますが、私の病氣のためにたまたまそういうことが目についたということになつたのでありますから、これも私が病氣であり、一面私の不徳のいたすところであるとも申したいとこらでありますから、ひとつこの自動車の問題はこれで打切りを願うようにお願いいたします。特に御了承を願います。
  75. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 あなたは男と女と乘つているところをごらんになつたでしよう。
  76. 小暮藤三郎

    ○小暮委員 それは見ました。
  77. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 こちら事で聽くと、自動車がエンコしておる。そんなばかなことがありますか。運轉手が私に投書しておる。あなたは正しいことを常におつしやる人ですが、実際運轉手はかわいそうです。もつとかわいがつてつてください。
  78. 坂東幸太郎

    坂東委員長 私の方ではガソリン事が余つておりますよ。そのくらいガソリンを注意しております。それから辻堂へ行くことは、遅くなつた時分とか、一週間に一遍か、二週間に二遍しか行事つておりません。弟は私の嘱託です。それで時間がよい時分には四谷まで送つてくれた事ことがあります。そのほか、有松君でも書記でも時間があれば乘つてもらう、こうなつております。その事実は違います。事実だけ弁明しておきます。  それから投書云々ですが、それは前の運轉手が非常に一遠いのです。千葉縣から來て事おるものですから、二時間半かかる。そこで氣の毒ですからその人はかわりまして、今近い所の人が運轉しております。往き來に五時間かかるので氣の毒ですから、かえました。投書のことは私は知りません。私は人を損うような人格の者ではありません。よく北海道で聽いてください。あなたは誤解をしている。
  79. 外崎千代吉

    外崎委員 私らのところにも再三投書が來ておる。委員長自身は何事も知らないだろう。また委員長はまつたくの人格者でありましようけれども、祕書である梅原君と何者かとの間に確執があるのではないか。そのためにさまざまな流言蜚語が飛んでいる。私は大分前から聞いておる。そんなことは委員会の問題でなく、個人的な問題だから出さないけれども、何か不明朗な点があるに違いない。それが非常にあなたに迷惑をかけておる。車がエンコしていると断られて、なければやむを得ないといつて委員を乘せて大石さんが病院へ行つたどきにその車が走つてつたということが一つの原因であつた。そういうことが実際あつたのである。このこと自体においては何もないが、何か不明朗なものがあつて、あるいは梅原君を、あるいは何者かを陥れようとするさまざまな流言蜚語が起つているから、あなたも梅原君もよく注意してもらいたい。というのは、委員長の秘書というものは委員長自身の秘書であつて委員会には深い関係はない。それが委員長の看板によつて車を自由自在にする。そうしてあるいは自分の用のために、委員長のいないときに家族を乘せて墓参りに行くとか用足しに歩くとか、委員長同様の方法をとつていると聞く。そういうことはあなたの場合においては差支えない。問題にならないと思うけれども、何かそこにわだかまりがあつて、実際あなた自身の問題で、この中でおもしろくないこともあるらしいから、よく御調査の上で双方に誤解のないような方法をとつてもらいたい。大石さんはこの通りの人だから、そのまま言いますけれども、これはそのまま聽かずに、裏も表もよく見てやつていただきたい。これは各方面にある。私どもも何回も聞いておりますし、各委員にもそういう投書がきておる。しかしこれは委員長を陥れんとするか、あるいは梅原氏に問題があるのか知りませんが、この点は委員会の問題でもありませんし、皆さんも御迷惑でしようから、この問題はこれで打切事つて、次の問題に移つていただきたいと思います。
  80. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 私は生一本の女性でありますけれども、苦労をして大きくなつておりますから、この投書を見たからといつて、あながち全部が偵実と、思わないけれども、現に女と男で治安及び地方制度の車に乗つておるのを見たのです。その場所は呉服橋の三和銀行の前です。そうすると、あながちうそでないということを肯定せざるを得ない。実際この委員会の内部には明朗でないものがある。それは何であるか。坂東委員長があまりに私有物視しておる、これで私は盡きると思う。エンコしておるという車に女と男が乘つてつた。あの女と男は一体だれであるか、それを私は聽きたい。
  81. 坂東幸太郎

    坂東委員長 それは知りませんから、あとで調べます。
  82. 中島茂喜

    中島(茂)委員 本日は時間もありませんので、残余の日程は次会に延期上、これにて散会せられんことを望みます。
  83. 坂東幸太郎

    坂東委員長 ただいまの動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 坂東幸太郎

    坂東委員長 それではこれで散会いたします。     午後一時五分散会