○千賀
委員 私も、ただいまの
川橋委員の発言と似たところもありますので、当局の答弁の前に、ここでさしはさましていただきます。
特別
市制が問題になりましたときに、われわれ特別
市制を断行すべしという
意見のものも、結局行き詰つたところは、縣をいかにすべきかということであ
つたのであります。たとえば愛知縣の例だけを引きましても、名古屋を特別
市制にすると、まん中に蛇の目のような穴が明いた尾張の國を愛知縣にどうや
つてくつつけるか。それもいけないから三重縣に一部分、あるいは岐阜縣に一部分というふうにくつつけなければならない。そう言うとやはり、傳統的な郷土愛というような氣持からか、そういつたような氣持から、とても徳川三百年の歴史をもつた尾張の民衆が、あるいは三重縣の隷下に、岐阜縣の隷下にくつつけられて満足するものではない。
そこで実際はこの面に大きな谷があるのだということは、われわれは
はつきりそこで認識ができたのでございまして、結局は大きな縣にしなければならない。またアメリカなどの州等にいたしましても、
日本の縣を大体アメリカの州に
考えておるようであります。州にするということになりますと、
日本の縣は非常に小さい。今まで
日本が作用しておつたような、國家の作用とひとしいようなものをこの州、つまり縣の政治に望んでおる
実情に顧みましては、どうしてもこれは縣の大なる分合廃置をしなければならない。ここに
考えはおちついていくのでありますが、この点につきましてどれくらいの用意をしておられるか、研究をしておられるか、これを伺いたいのであります。
これがもし解決いたしますれば、
警察法の中心が、東海
地方はあげて大阪の隷下にな
つたのでありますが、あらゆる面において不合理であることを、私どもは指摘いたしておりまするが、これなども自然に縣が大きな縣、つまりアメリカの州に
相当するような作用をする縣になれば、その問題も解消してくるのであります。これはやはり
川橋委員も片鱗を示しておられましたが、私どもこれが根本だと思います。いたずらに現在の
村落は小さい、
町村は小さい、これを大きく廃合することが
自治体の発達の始まりだというような当局の説明でありますけれども、この根本なくしては私は一概にそうは言えまいと思います。小さくわかれようとする
傾向が起
つておることは当然であります。愛知縣
方面におきましても、たとえば小さい村に大きな飛行機工場ができた、その職工が三万人も四万人もおる、だからその
人口を目あてにして
市制を布いたというのも中部
地方にはたくさんあるのでありますが、これが一切寂滅をして、もとのもくあみに還
つていくということになると、その市を維持すべき
人口もなければ、中心的産業もない。こんなことなら昔の
町村に還
つた方がいいのだという議の起
つてくるのは当然であります。これを大きな
町村で維持していこうということになると、やはり当然縣の分合廃置から行
つていかなければ、その作用は起きないと思います。その問題について研究、認識の
程度を伺いたいのが第一であります。
次は
一つの市がありますと、その周囲に
村落や
町村がある。その
町村の中に、その市に参加をしたいという部分もあれば、参加をしたくないという部分もある。ときに郡の
行政区域が別であ
つて、参加はしたいけれども、郡の
行政区域を乗り越えるのが非常に困難であるというわけで参加のできない場合もあるのであります。逆にあの村は参加したいと言うけれども、おれ
たちの郡としては郡の傳統的な固まりを解体するという
意味から、他の郡民は反対をしたいという場合もあるのであります。これは
促進あるいは抑制両方の
意味において、郡というものが
相当に
地方の思想の上から
言つて重きをなすのでありますが、この第七條におきましては、
都道府縣と
町村議会というものだけを目標にされておりますが、ただそういう場合に郡の境を乗り越えて分合廃置が行われるというような場合に、郡民の
意思をもつと明確にこの問題に発揮をする
方法がないのか。ただそこの郡から選出されておる
縣会議員が
縣会の中で、
縣会を通じて
意思を発表するよりほかに、もつと的確に縣の中における郡民の
意思をここに発露する
方法は残されておらぬのか、この点を伺いたいのであります。もちろんその郡から
縣会議員が出ておればいいはずでありますけれども、
縣会のどこでも定員が五十人とか、八十人とかある中で一人や二人その郡の
縣会議員がおりましても、ほとんどその
意見というものは取上げられない場合が多いのであります。われわれが過去において体験した特別
市制の問題においても、この
関係ある縣の代議士と
関係のない代議士との比率の矛盾さから
言つても、こういううらみが多いのでありまするが、この点に何か郡民の
意思を発揮できるのだという途があるかないか、これをお伺いします。