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1948-02-05 第2回国会 衆議院 治安及び地方制度委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年二月五日(木曜日)     午前十一時二十五分開議  出席委員    委員長 坂東幸太郎君    理事 門司  亮君 理事 中島 茂喜君    理事 川橋豊治郎君 理事 松野 頼三君       大石ヨシエ君    久保田鶴松君       松澤 兼人君    松谷天光光君       大澤嘉平治君    坂口 主税君       千賀 康治君    中垣 國男君       小暮藤三郎君    中島 守利君       外崎千代吉君  委員外出席者         総理廳事務官  小林與三次君         專門調査員   有松  昇君     ————————————— 本日の会議に付した事件  市制施行促進に関する件  消防法案起草に関する件  新警察制度発足状況及び将来の運営に関する  実情調査の件     —————————————
  2. 坂東幸太郎

    坂東委員長 これより治安及び地方制度常任委員会を開会いたします。  本日の日程はきまつておりましたが、印刷の都合で公報に載つておりませんから、ここにあらためて申し上げます。すなわち第一は市制施行促進に関する件、第二は消防法案起草に関する件、第三は新警察制度発足状況及び將來運営に関する実情調査の件の三件であります。  まず市制施行促進に関する件について申し上げますが、御承知の通り地方自治法改正によりまして、市制施行地方都道府縣においてできますが、しかしながら政府としましてもこれを促進することにつきまして、何らか意見がありましようから、政府意見を拝聽したいと思います。
  3. 小林與三次

    小林説明員 市制施行の問題につきまして、政府はどういう考えをもつておるかというお尋ねでございます。ただいま委員長が仰せの通り市制施行從來内務大臣が処理いたしておつたのでありますが、過般の改正で、府縣知事府縣会議決を経て処理するということに相なつたのであります。それに伴いまして、市となるべき地方公共團体條件法律上明定いたしたわけであります。内務省といたしましては、市制施行はもつぱら法の建前上、当該地方公共團体意思並びに府縣知事及び府縣会意思によつて決せれるらべきものでありまして、今の内事局自体が、その報告を受取つてどうこうというべき筋合いではないだろう、こういうふうに一應は考えておるのであります。しかしながら法律上市となるべき條件が明らかになつた以上、一般地方公共團体にもよくその趣旨を徹底せしめまして、いやしくも法定の條件が備わつておれば市となり得るということを、はつきりさせることは、当然地方における責任の一端であろうと存ずるのであります。それでその趣旨は、従来内務省がまだありましたときに、前年の十二月の末に、各府縣総務部長会議を会同いたしました際にも、その点を明らかにいたし、なおその後も、地方自治法の第八條の中に「当該都道府縣條例で定める」という事項がありますので、それにつきましては、市の要件であまり全国ばらばらになつてはおもしろくないので、一應私たちの方で一つ條例案というものを考えまして、それは最近地方に示しておるのであります。地方ではおおむねこれに基きまして、それぞれ地方実情を加味した條例制定して、新自治法に基く市制施行令というものにつきまして、それぞれ善処することと考えておるのであります。大体市制施行に関する内務省としての考えはそういうことでありまして、できる趣旨のことは十分に徹底させ、いやしくも市となるべき要件のあるものは市になることは、もちろんこれを心から期待しておる次第であります。
  4. 坂東幸太郎

    坂東委員長 本件に関して御意見がありますれば御発言願います。
  5. 松澤兼人

    松澤(兼)委員 この條例の案の内容をお示し願うわけにいきませんか。
  6. 小林與三次

    小林説明員 それでは私の方で一應素案として考えました條例の案を読み上げたいと思います。    地方自治法八條第一項第四号    の規定による都市的施設その他    の都市としての要件に関する條    例(案)  市となるべき普通地方公共團体は  地方自治法八條第一項事第一号乃至  第三号に定めるものの外、左に掲げ  る要件を具えていなければならな  い。  一 地方事務所、税務署、公共職業   安定所等の官署又は都(道府縣)の   公署が五以上設けられているこ   と。  二 (学校教育法第四章に規定する   高等学校又は)同法第九十八條第   一項の規定による中等学校が三以   上設けられていること。  三 公私立の図書館、博物館、公会   堂又は公園等文化施設を二以上   有すること。  四 上水道、下水道、軌道又はバス   事業等事業当該普通地方公共   團体において一以上経営している   こと。  五 当該普通地方公共團体住民一   人当りの國税又は地方税納税額   が都(道府縣)の区域内における他   の市の住民一人当りの國税又は地   方税納税額同額又はそれ以上   であること。  六 当該普通地方公共團体の前年度   予算総額を全人口で除した額が都  (道府縣)の区域内における他の市   の前年度予算総額をその市の全人   口で除した額と同額又はそれ以上   であること。  七 銀行及び会社の数及びその規模   が他の市に比して概ね遜色がない   こと。  八 商工業その他の都市的業態又は   都市的業態に從事する者及びその   者と同一世帯に属する者の数が最   近五箇年間増加傾向にあるこ   と。  九 病院、診療所、劇場、映画館等   の施設相当数設けられているこ   と。     附 則   この條例は、公布の日からこれを  施行する。大体この案に盛りましたのは、従来内務省時代市制施行する場合に、一應その詮議の方針というようなもので扱つておりました実情を中心にし、それから、最近市になりました所の状況を全部見まして、おおむねそれらのものが網羅し得る状態を一應考えてみたのであります。もつともこれは、府縣によりましては多少事情を異にするものがあるだろうと思いますので、そこらは道府縣においてしかるべくあんばい調整をしてきめるものと考えております。
  7. 松澤兼人

    松澤(兼)委員 ただいまお伺いしたのですが、どうもはつきり数字はつかむことができませんでして、よくわからないのでありますが、もしそういう要件から考えてみますと、現在の市制施行しております市などにおきまして、こういう要件に合致しないものが出てくるように考えられるのであります。まず第一に人口の点に一おきまして、あるいは官公署その他学校の設備などにおきまして、要件に合致しないような所が出てくると思うのでありますが、それは、地方的な事情によつて、必ずしもその要件を全部具えないでも、その大部分を具えれば、それで市制を実施することが適当であるとお考えになつておるのでありますか。このを点をお伺いしてみたいと思います。
  8. 小林與三次

    小林説明員 この市となるべき要件につきましては、法律の第八條明僚に法定しているものが一項から三項まであります、つまり人口三万以上であること、あるいは市街地を形成している区域内における戸数が全戸数の六割以上であること。あるいは商工業その他の都市的業態に従事する者及びその者と同一世帯に属する者の数が全人口の六割以上であること、この三つの要件法律上の要件でありますから、これはどれ一つ欠けても市とすることはできないと存じます。ただこのほかに第四号として、「前各号に定めるものの外、当該都道府縣條例で定める都市的施設その他の都市としての要件を具えていること。」という一項がありまして、これが都道府縣條例に任されておる。この都道府縣條例に任されておるものにつきましてどういうものを考えたらいいだろうかということで、一應内事局の方で参考案考えてみたものが、ただいま読上げましたものでございます。それでありますから、ただいま読上げましたものにつきましては、これは都道府縣條例できまることでありますから、内事局でもちろんこれは統制すべきものでもない。ただ全体として市がアンバランスになつては困ると思いますので、一應の案をつくつたわけでございますから、これは地方公共團体の自主的な決定ということが、最後の問題を決することに相なるだろうと考えております。それで、私の方で一應つくりました案は、現在の市を全部調べたわけではありませんが、最近市になりました十数都市実情だけは一應調べまして、それらの市のものは全部要件が充足されておる。むしろその最低限でありまして、きわめて甘い條件のつもりでつくつたのであります。それでありますから、これを欠いておるものはおそらく現在の市のうちでは、ほとんどないのではないだろうかと思われます。もつとも人口三万以上ない市が、ただいまお配りした貸料の中にもあります通り、現在実は三つ四つございます。当時あつたのでありましようが、最近戦災その他の事情人口が減り、法律上の要件を実は欠いておる、こういうものが見受けられるのであります。ただこれは一体どうなるかということは、法律の解釈上も一應問題になり得ると思うのでありますが、私たちのただいまの考えでは、第八條は新たに市をつくるときの要件という意味でおきめになつたものではないだろうか。一度市になれば、多少その間にでこぼこが起つても、これをただちに町や村に下げる、こういうことに法律上当然なるということに解釈する必要はないのじやないだろうか、こういうふうに考えておる次第であります。
  9. 松澤兼人

    松澤(兼)委員 もう一つお尋ねしてみたいと思うのでありますが、それは、町村が幾つか合併して市になるという場合に、いろいろとこれまでもあつたことでありますが、住民意思が十分に反映しないで、市町村議会意思によつて決定される、実際上考えてみると、そういう市町村議会で市に合併すること、及び町村議会で市になることを決議することなどが、非常こ何か、その古町村の長の手柄というか、あるいは名誉心というか、仕事の上から言つてそういうことが一方的にきめられて、実際町村住民が、必ずしもそれに対して賛成していないにもかかわらず、議決機関によつてそれが決定してしまつたために、あとで非常に文句が起きてくる。あるいはその市町村議決機関決定したことを押し通すために、金品をばらまくとかいうようなことも行われているように聞いているのであります。こういうことでありましては、眞にその市町村行政というものが、市町村民意思によつて決定せられないという憾みもあるのでありまして、この際そういう市になること、もしくは町村が市に合併等の場合におきましては、市町村住民一般的な意思によつてこれを決定するという方法考えられていないか、あるいは考える必要はないだろうかという点、お尋ねしてみたいと考えるのであります。
  10. 小林與三次

    小林説明員 ただいまのお尋ねは、市町村配置分合、ないし境界變更住民総意とか、住民議決というか投票と申しますか、そういうものによつた方が適当じやないだろうかという御趣旨のように聽いたのでございます。これはきわめてごもつともな御意見でありまして、おそらくは地方自治法制定の際にも、あるいはこの前改正の際にも、そういうことも一應議論にあがつておることだろうと考えるのであります。特に從來市町村合併等につきましては、多少一部の間に反対があるのを強行されてなされたものも、なきにしもあらずであります。そういうふうな点から考えて、住民総意というものを端的に表明さした結果、これをすべきじやないかということは、きわめて筋のある一つの御議論だろうと考えるのでございます。しかしながら、ただいま当局の考えておるところでは、やはり市町村民総意というものは、市町村会によつて余すところなく一應は表明されておる、特に市町村会活動に対しましては、市町村住民は新たに解職の請求権なり、あるいは解散の請求権という、住民の直接コントロールをするところの権能も、十分に與えられておるのでありまして、市町村会というものは、やはり市町村民の一種の代表機関というふうに考えて、物事を運んだ方が適当ではないだろうか。さしあたりのところは、町村会意思が十分にまとまり、しかもその町村会意思の上に、都道府縣会意思というものが完全に一致しますならば、特に知事も市町村長も公選されて住民の輿望を全部担つておるのでありますから、同じく公選された議会と、ちようどその両者の意思が完全に一致し、しかも市町村自身とその上の府縣意思が完全に一致するものならば、それでまず必要にして十分な手続ではないだろうかと、ただいまのところ、そういうふうに考えておるのでございます。
  11. 坂口主税

    坂口委員 近ごろ役所の名前が變つたのでよくわかりませんが、この間地方自治委員会の話がありました時にお聽きする機会がありませんでしたが、今市制施行について、都道府縣條例の何か準則みたいなものを言われたように思うのです。そういうものをお出しになることは、全國的に市の條件についてアンバランスができないようにという、昔ながらの内務省の御心配からのように思うのです。ここにある八條の三項などは、その地方に任してよいじやないか。しかし参考にお出しになることは適当と思います。そういうものの中に、ちよつと聽きとれなかつたが、あるいは中等学校が三校以上なくてはならぬとか、そういうようなことは、私どもはどうもわからない。どういう学校か知りませんけれども、そういうところまでお考えになることはどうかと考えます。すでに地方に任された以上は、こういも些末なところは地方に任していく。参考程度に示すならばよいと思う。  もう一つは、内事局というものはどういうものになるかわかりませんが、結局これができるならば、廣く都道府縣の廃合、区域變更、殊に市町村自主化というもののためには、どうしても財政的に強くならなければならぬ。それには、所によつて違いますけれども、現在の町村区域人口というものは、どうも狭過ぎるというところに困難がある。今回改正になりますと、町村住民自由意思によつてきまるということになりますから、あるいは沿岸、歴史上の感情等でなかなか困難になると思う。たとえば、新しい教育制度のために各町村では非常に困つておる。これはもちろん国家として国税と地方税、中央と地方財政上の調整をとつて、そうして地方の諸團体強化自主化ということを考えてやる措置をとらなくてはならぬのですが、しかしこういういい機会に、もう少し大きい立場から町村が併合して一つ地方團体経済團体として立つていけるように体制をつくる。いかに自由意思自治の世の中でありましても、今こういう準則などをお示しになつて指導になるよりも、こういう大きなところから輿論をつくつて、現実に今困つておるこういう機会をつかまえて、また新しく自治体というものは、今後いろいろなことをやらなければならぬ、こういう大事な時機にそういう氣運をつくる。そういう大きな方面から御研究になつておるかどうか。またそういうことの必要についてどういうふうにお考えか。地方財政委員会あたりで、いろいろお考えになると思いますけれども、國の財政の現状から、結局大したことはできぬと思う。そうすれば、やはり地方の、殊に町村合併によるところの地方自治体の単位というものを大きくしていく、そして強化をはかるということ以外に方法はない、こういうふうに思います。あるいはあなたの方の仕事関係かどうか知りませんけれども、そういう点について御意見を承つておきたいと思います。
  12. 小林與三次

    小林説明員 ただいまお尋ねになりましたことにつきまして、今の御質問の中にもありました通り、内事局権限というものはきわめて限られておりまして、しかも三月いつぱいで終る暫定的な機構になつております。しかし一應都道府縣市町村行政の問題につきましては、内事局の官制の上にも、特定の総理大臣権限を補佐する役目を仰せつけられておるのでありまして、今お尋ねになりましたような廣汎権限はあるかないか、相当疑問でございますが、一應私考えを述べさせていただきたいと思います。  実は條例の問題につきましては、これはまことに小さな問題でありますが、私の方でもこれを府縣に任した以上は、とやかくこれを押しつけようという氣持は毛頭ございません。それから都道府縣でもいろいろ何か参考案がないだろうかというふうな意見もありましたので、一應それじや参考につくつてみよう、こういつた程度でございます。それでありますから、決定はもちろん都道府縣責任をもつて條例をきめる、こういうことに相なるだろうと思います。それで、ここにあげましたいろいろな問題も、それはおそらく御意見相当おありだろうと考えております。ただ次丁の八條の四号で條例譲つたのは、條例で定める都市的施設、その他の都市としての要件ということを申しておりまして、都市的施設というものを一應押えておる。都市的施設となれば、やはりいろいろな教育施設官公署等施設、あるいは経済施設その他公営業というようなものを考えられるのでじやないだろうかというところで、一應拾つたのでありまして、実は私たちのところでも相当苦しんだかつこうであります。これらの具体的な問題は、それぞれ各縣が考え、これは一應の型を考えてみたいという程度の問題でございます。  それから、むしろこの機会に、自治体ほんとう自治体としての機能を発揮し、自治権能を十分に満たしていきますためには、府縣なり市町村なりの区域というものを根本的に考えたらどうだろうか、こういう御意見に対しましては、私たちといたしましては至極同感に感じておるのでございます。特に今お話通り財政委員会の方で自主財政立法というものを考えておるのでございますが、これはもともと府縣市町村という自治体基礎自体が固くならない以上は、とうてい自主財政立法なぞ考え及びもしない。考えつて十分なものはできるはずはないと考えるのであります。どれだけ税源を與え、財源を付與するとしても、自治体基礎が強固で、自治体自体経済力が十分でなければ、これは問題にならないということだろうと思うのであります。それでありますから、この新憲法並びに新憲法に基く地方自治法によつてほんとう自治体が自主的な、しかもなかみのある充実した、ほんとう住民の利用、厚生に役立つところの施設を経営し、事業を営んで、行政権能を果していく、そういう自治体になるがためには、おそらく相当規模と、人口と、経済力とを有しなければ、ほんとうに一本立ちになる活動が、やはり困難じやないだろうかと考えておるのでございます。それでありますから市町村区域、おそらく府縣も同様な府縣区域を、愼重に—それよりもむしろ、急速にという言葉があではまるかもしれませんが、考えなくちやならない重大問題だろうと考えておるのであります。  私たちといたしましても、内事局がどうなるかしれませんけれども、そういう何らかの機能が残り、何らかの仕事が認められる以上は、むしろ今後における問題は、そういう自治團体自体の実質的な機能へ実質的なかみをいかにして充実させるかということが、今後に残された問題であると思うのであります。その一つは、その区域をいかにするか、それからその区域の上にいかなる実質上の行政機能を完全に與えるか、それからさらに、その行政機能を遂行するために、いかなる財政上の実力を付與するか、こういうなかみの問題をほんとう考えなければ、地方自治法というものはまつたく観念的な存在に止まつて、その意味が果されない、こういうふろに考えておるのであります。  それで実はわれわれ自身といたしましても、その問題につきまして、それはどれたけ壽命があるかしれませんけれども、壽命がないというよりも、そういう方向に問題を取上げ、そういう方向に問題の解決のために話したい。これは私たちの、—実は私たち言つても、私個人になるかもしれませんが、念願でありまして、この問題につきましては役所だけの問題ではない、むしろ議会方々、あるいは一般の民間の有識の方々等の大きな御意見と大きな気分によつて、このことをきめるより仕方がないと存じているのであります。  この問題につきまして、実は常に突き当る問題があります。それは率直に申しますと、つまりこの終戦後特に、市町村合併の問題よりも、分離の問題というものが全國的に現われてきておるのであります。つまり戦争中その合併が少し無理があつたということで分離、分裂しようという傾向がきわめて多いのであります。それで、これはまあ地方分権というか、自由主義というか、個人主義というか、そういう一般風潮とも相伴つておることであろうと思いますが、なるべく小さくというか、小さく自分たちでやろうというような、自由主義的な風潮が、単なる分化、分裂的な風潮に輪をかける、こういう傾向も見えまして、これはわれわれといたしましては非常に遺憾に考えておるのであります。今までのような税制で、たとえば貧乏なものにもたくさん分與税がいつて補いがつけられるというふうなかつこうなら、いかに小さな町村でもある程度つていけるような措置が講ぜられておつたのでありますが、ほんとう自治体が自主的な力と自主的な活動でやろうという場合におきましては、とうていそういう小さな経済力財政力では動がつくはずがないと思うのであります。それでありますから、全体としては、もう少し大きなものに向つていく、これはもう社会経済の発表、あるいは行政の発展の必然的な経路でなくてはならないと思うのでございます。しかしどちらかと言いますと、住民総意というものにつきますというと、常に分れよう、むしろ合併についてはいろいろな意見がある、こういう空氣相当にあるのでありまして、これは何といたしましても、一般輿論と申しますか、皆様方の御指導によつて、そういう風潮を全般的に形づくつていかなければ、非常に困難な問題だろうと思つておるのであります。われわれ関係いたしておる者といたしましては、もちろん深刻に、真剣に考えておりまするとともに、これは格別御協力、御支援をお願いいたさなければならない事柄だと存じておるのであります。
  13. 川橋豊治郎

    川橋委員 いろいろ御意見を承りましたが、大体新憲法並びに地方自治法制定以来、いわゆる地方自治民主化、これが非常に各方面で叫ばれておりまして、本日市制促進に対する問題が議題になりましたのも、そういうような情勢からこういうことが議題なつたわけであります。そこで今いろいろお話がありまするが、とにかく日本で今やかましく叫ばれております行政整理、あるいは企業面における企業整備、この点から見ましても、行政整理を徹底的にやる場合には、結局府縣廃置分合ということにいかなければ、ほんとう日本行政整理行政改革はできないと考えております。これは多年の問題でありますが、いろいろな理由で今日まで実現しませんが、將來どうしてもそこへいかなければ、日本行政は根本的に改革できないといつたような考えをもつておるのであります。最近に小さい問題で見ますと、たとえば新警察法施行される、ところが財源関係でできないから、いわゆる自治法組合法によつて組合をつくつていくというような傾向がある。こういうことが、すでに市制促進一つの前提と考え得られるのであります。  要するに、今申しました大きな方面から見まする行政整理の問題であるとか、あるいはまた今澎湃として起つておるいわゆる地方自治民主化、これから出発して、あるいは新警察法の問題に沿うて組合組織問題等から考えましても、どうしても将来各方面で、各府縣下において数町もしくは数村落集つて—村落はちよつと語弊がありますが、要するに数町が集つて一つ市制を形成するというような空氣が、相当濃厚になつておるのであります。財政の面からいきますと、目下地方財政調整委員会が設置されまして、この一年間に地方税制整理について相当の成績をあげんとしておる。こういう点から考えましでもやはり市制促進という問題に相当関連があると考えております。そこで私は希望いたしまするが、きわめて速やかな期間において、今示されましたような條例を具体化されまして、そうしてこういつた問題を具体的に審議する機会を與えられんことを希望いたしておきます。
  14. 千賀康治

    ○千賀委員 私も、ただいまの川橋委員の発言と似たところもありますので、当局の答弁の前に、ここでさしはさましていただきます。  特別市制が問題になりましたときに、われわれ特別市制を断行すべしという意見のものも、結局行き詰つたところは、縣をいかにすべきかということであつたのであります。たとえば愛知縣の例だけを引きましても、名古屋を特別市制にすると、まん中に蛇の目のような穴が明いた尾張の國を愛知縣にどうやつてくつつけるか。それもいけないから三重縣に一部分、あるいは岐阜縣に一部分というふうにくつつけなければならない。そう言うとやはり、傳統的な郷土愛というような氣持からか、そういつたような氣持から、とても徳川三百年の歴史をもつた尾張の民衆が、あるいは三重縣の隷下に、岐阜縣の隷下にくつつけられて満足するものではない。  そこで実際はこの面に大きな谷があるのだということは、われわれははつきりそこで認識ができたのでございまして、結局は大きな縣にしなければならない。またアメリカなどの州等にいたしましても、日本の縣を大体アメリカの州に考えておるようであります。州にするということになりますと、日本の縣は非常に小さい。今まで日本が作用しておつたような、國家の作用とひとしいようなものをこの州、つまり縣の政治に望んでおる実情に顧みましては、どうしてもこれは縣の大なる分合廃置をしなければならない。ここに考えはおちついていくのでありますが、この点につきましてどれくらいの用意をしておられるか、研究をしておられるか、これを伺いたいのであります。  これがもし解決いたしますれば、警察法の中心が、東海地方はあげて大阪の隷下になつたのでありますが、あらゆる面において不合理であることを、私どもは指摘いたしておりまするが、これなども自然に縣が大きな縣、つまりアメリカの州に相当するような作用をする縣になれば、その問題も解消してくるのであります。これはやはり川橋委員も片鱗を示しておられましたが、私どもこれが根本だと思います。いたずらに現在の村落は小さい、町村は小さい、これを大きく廃合することが自治体の発達の始まりだというような当局の説明でありますけれども、この根本なくしては私は一概にそうは言えまいと思います。小さくわかれようとする傾向が起つておることは当然であります。愛知縣方面におきましても、たとえば小さい村に大きな飛行機工場ができた、その職工が三万人も四万人もおる、だからその人口を目あてにして市制を布いたというのも中部地方にはたくさんあるのでありますが、これが一切寂滅をして、もとのもくあみに還つていくということになると、その市を維持すべき人口もなければ、中心的産業もない。こんなことなら昔の町村に還つた方がいいのだという議の起つてくるのは当然であります。これを大きな町村で維持していこうということになると、やはり当然縣の分合廃置から行つていかなければ、その作用は起きないと思います。その問題について研究、認識の程度を伺いたいのが第一であります。  次は一つの市がありますと、その周囲に村落町村がある。その町村の中に、その市に参加をしたいという部分もあれば、参加をしたくないという部分もある。ときに郡の行政区域が別であつて、参加はしたいけれども、郡の行政区域を乗り越えるのが非常に困難であるというわけで参加のできない場合もあるのであります。逆にあの村は参加したいと言うけれども、おれたちの郡としては郡の傳統的な固まりを解体するという意味から、他の郡民は反対をしたいという場合もあるのであります。これは促進あるいは抑制両方の意味において、郡というものが相当地方の思想の上から言つて重きをなすのでありますが、この第七條におきましては、都道府縣町村議会というものだけを目標にされておりますが、ただそういう場合に郡の境を乗り越えて分合廃置が行われるというような場合に、郡民の意思をもつと明確にこの問題に発揮をする方法がないのか。ただそこの郡から選出されておる縣会議員が縣会の中で、縣会を通じて意思を発表するよりほかに、もつと的確に縣の中における郡民の意思をここに発露する方法は残されておらぬのか、この点を伺いたいのであります。もちろんその郡から縣会議員が出ておればいいはずでありますけれども、縣会のどこでも定員が五十人とか、八十人とかある中で一人や二人その郡の縣会議員がおりましても、ほとんどその意見というものは取上げられない場合が多いのであります。われわれが過去において体験した特別市制の問題においても、この関係ある縣の代議士と関係のない代議士との比率の矛盾さから言つても、こういううらみが多いのでありまするが、この点に何か郡民の意思を発揮できるのだという途があるかないか、これをお伺いします。
  15. 小林與三次

    小林説明員 ただいまのお尋ねのうちの第一点、府縣廃置分合の問題でございます。これは先ほども多少申し上げたのでありますが、まことに重大な問題であります。重大であるだけでなしに、きわめて愼重に、急速にその実現の可否と方法と具体策を、私は考えられてしかるべき問題じやないかと思つております。今まで府縣の廃合の問題、道州制の問題とともに、ずいぶん人の口の端に上り、一應議論もされておつたようでありますが、率直に申しまして、具体的な研究というものは一つもされておらないのであります。單に抽象的に道州制をつくつたらどうかとか、府縣は狭すぎるから廃合したらどうかとか、こういうふうな一般論に止まつてつたのであります。しかしながらこの問題はきわめて重大であつて、影響するところきわめて深刻なるものがありますので、そういう一般論、抽象論で片がつく問題ではなしに、ほんとうに具体的に現実に歴史も調べ、沿革も調べ、経済状態も調べ、あるいは産業、交通その他の事情からそうしたものを一つひとつ取上げて、厳密に検討しながら研究を進めていくべき問題だろうと思うのであります。おそらく、この大問題は内じ局の手の及ぶところではなしに、官民が総がかりで研究しなくてはならない。しかも研究するに値する、またそれだけの大きな影響のある問題だろうと思うのであります。前の廃藩置縣に匹敵する大問題でありますから、簡單にはいかないと同様に、なおざりにしておいてはいけない問題だろうと思います。  私個人といたしましては、先ほども申した通り、新憲法によつて自治法典というものがきわめて整備された形で整うたのでありまするが、その中身をいかにしていくか、この中身を充実させて初めて措置法の意味がある、その中身の問題は、おそらくただいま御指摘のように、その地域の問題が一つの大きな眼目になつてくるだろうと思います。それでこの問題を私は今後取上げて、ほんとうに愼重に考えなくてはならないと思つておるのであります。單に府縣の廃合と申しましても、小さい貧乏な縣をただ隣り合しておるからくつつけたらいい、こういうわけのものでももちろんなし、その間の通信の状態から、沿革の状態から、利害の共通性の状態から、それ以上に協同の意思の状態から、そういうものを愼重に考えなくてはならない段階に立至つておると思うのであります。先ほど申します通り、この問題は政府においても愼重に考えるとともに、その地方の地元においてあるいは國家的見地からも、あらゆる知慧をしぼり考えなくてはならない問題だろうと考えます。内事局がいかなる形で考究されるか知りませんが、もし何らかの機関が残るとすれば、そこでまつ先に取上げていくべき問題と考えております。正直なところ、具体的な研究というものはない、こう言つてよいのではないかと考えております。  それからなお市町村の廃合の問題につきまして、郡の境界にわたつているときに、いろいろ困難性を含んでいる場合があることは、私も多少聞いております。郡の問題は今まで単なる地理的区画名称であつて法律上の措置が全然講ぜられておらなかつたのでありますが、地方自治法制定によつて、郡の区域變更あるいは名称の變更という措置も、立法的に講ぜられることに相なつたのであります。ただこの一部に属する一町村が、ほかの市町村合併するという場合に、郡民の意思というものを何とかいたす途がないかということでございますが、現行法の上におきましては、実はは郡民全体としての意思を聽く組織、方法は講ぜられておりません。それはおそらく郡というものは單なる地理的な名称であつて、それぞれ沿革もあり歴史もある。単なる地理的名称とは言いながら、その郡の区域基礎にしていろいろな経済活動、社会活動が行われていることは事実だと思うのでありますが、地方自治法の上におきましては、一應郡というものは地理的名称と考える。そうして郡の壁界変更等も、現行法によると知事が府縣会意思をもつて決する、そういう建前になつております。それで今の市町村の廃合の場合においては、個々の市町村がもちろん参加いたしますので問題はないと思います。だから郡内に属する他の市町村意思というものは、今のところは講ぜられておりません。それはただいま申しました通り、郡というものは全体としてまとまつた一つ自治体なり、一つ團体というふうには考えておらないことに基礎をおくものでありまして、それぞれ郡の廃合の全体的な考慮というものは個々の市町村意思と、おのおのの府縣会意思によつて公正に判断されるというふうに法律上は考えていると存ぜられるのでございます。
  16. 松澤兼人

    松澤(兼)委員 ただいま町制促進という意見がだんだんと出ておるのでありまして、そての点では私どもも同感の意を表するものでございます。しかしながら、ただ町村合併させて市をつくればいいといつたことばかりではなくて、もう少し大きな國家的見地からも考えてみる必要があるのではないか。たとえば兵庫縣の例をとつて考えてみますと、先日もこの委員会にいろいろ、ごやつかいになつたのでありますが、武庫郡などにおいては、市になろうとする動きが見えております。しかし阪神間はすでに尼崎あり、西宮あり、あるいは伊丹、芦屋というように尼崎は別として、三万から五万くらいの都市がいくつもいくつも存在しているのであります。そしておのおの小さいなりにその縄張りを尊重いたしまして、他のものを合併しようという意思はあるけれども、なかなか協調してやつていけないというところがあるのであります。ところが一方において神戸市は、最近北あるいは西の方面において町村合併をいたしておるのでありますが、東の方にそれが伸びていこうといたしますと、御影、住吉、魚崎というような所が頑としてこれに應じない。一方市制促進ということがありますと、これらの神戸市の東に位いします四、五の町村がお互いに合併して、たとえば甲南市というものをつくろうとする方向に向つていく。ただ一人の縣会議員が神戸市への合併がいかぬ、こう言えば、他の人たち住民の中にはそういう希望があつても、全体としては結局神戸市への合併は反対であるという結果になり、独立した市をつくろうという方向にいくのであります。こういうふうにたとえ町村合併して市になることがいいと申しましても、小さな三万や四万くらいの市が、阪神間に数珠つなぎのようになつて存在しておることが、はたして国家全体から考えてみて適当であるかどうかという、そういう考慮も拂つていかなければならないと思います。一應町村合併さして市になるということは反対ではないのでありますけれども、大きな見地から考えてみると、やはりそういう地方的な事情もあるのでありまして、この点につきまして、小さいものでも、ちようど数珠玉のようにいくつもいくつもこしらえていつた方がよいのか、あるいはもう少し国家的な見地から経済的、社会的な事情を考慮して、大きな都市の周辺にあるものは適当に、もし住民の希望があるならば、それを小さい市にするよりは、大きい市に一緒にした方がいいというお考えであるのか、その点のところをはつきりと承つてみたいと考えるのであります。
  17. 小林與三次

    小林説明員 ただいまのお尋ねでありますが、市の形態、大きさというものは、どうあるべきかという問題になつてきますと、これは今お話通り、結局抽象的にはきまらないのであつて、それぞれの市の具体的な実情、具体的な状況によつて判断するより仕方がないと存ずるのであります。それで、ほんとうに社会上、経済上、交通上、きわめて緊密一体化しているたくさんの市が相並列をしておる、こういうのをそのままにしておいた方がよいのか、あるいは大きくした方がよいのか、こういう問題になつてきますと、それもその市町村間における実際の相互の連関性と申しますか、一体性と申しますか、そういうものの実情によつて決せられるべき問題ではないかと思うのであります。これを社会的に、あるいは経済的に、行政的に考えれば、同じものならば一つになつた方がきわめて便利な点が多いということは、十分に考えられるところであります。しかしながらそれとともに問題は、自治体というものは、住民の一体の意識、共同の意識というものが、一番根本の問題だろうと思います。その住民の一体の意識の上に、さらに社会的、経済的な條件が備わつておる。こういうことが必要じやないかと私は考えます。従いまして、その住民の意識があまり小さく固つてつてもらつては、これは大きな啓蒙の方法によつて、その考えを展開さしていかなくちやならないと思うのでありますが、ともかくも一つに固つて仲よく共同してやつていこう、こういう考えが熟しない限りは、なかなかむりをしてもうまくいかない、こういう面があるのではないかと考えられるのであります。それでありますから、経済的にあるいは行政的にみて、抽象的にはそれは同じものは一緒になつた方がいいということは言い得るのでありますが、具体的な事案についてただちにそうするがいいか、悪いかということになりますと、そこにはいろいろ考慮しなければならないその他の條件が伏在するのではないだろうかと考えられるのであります。常に区域の問題はそういう面倒な問題に逢着するのでありまして、恐らくは縣が從來もし指導しておつたとすれば、縣の立場はそういう経済的、財政的、行政的な見地から合併を奨励したのでありましようが、しかしながらたいていの場合地元が異論があるとすれば、小さくともまとまつてほんとうの共同したものだけで仲よくやつていこうじやないか。そういう一種の共同意識というものが全体化されておらない面が、いろいろなさわりになつておる場合があるだろうと思うのであります。これらは両方相調和して、初めて地方自治というものの精神的並びに物質的な條件が兼ね備わつてくる、こういうふうに私たち考えておるのでございます。
  18. 門司亮

    ○門司委員 ちよつと聽いておきたいと思います。それは、もうすでに論議が盡されておりますので、別段議論になるほどのものでもありませんが、たださつきのお話の中に、郡の境界の變更府縣において行われるというようなお話があつたと思います。郡の境界は非常に地理的、歴史的な意味をもつておるのであつて、それでは事実上の郡は独立した地方公共團体かというと、そうではない。従つてこれの變更府縣において行われるということですが、法律上の問題としてこれができるかどうか。もう一つは、なぜ私がそういうことを申すかといいますと、今神奈川縣で問題になつております問題のごときは、もう鎌倉郡というものはほとんどないといつてもいいくらいに近い。ただ大船町と深沢村をもつておるだけであつて、深沢村が鎌倉市に合併するか、藤沢市に合併する。深沢村は御存じのように鎌倉郡に従来属しておつたのであります。そうすると、郡の境界というものは、今度は残された一つ町村合併することによつて、郡は事実上消滅するということになるのであります。こういうことになると、郡の境界の変更との関連が、理論的に申しますとむずかしい形になる。要するに町村合併によつて、郡の境界を変えていかなければならぬというようなことが、二重の問題が起ると思います。この郡に対する当局のもう少しはつきりした意見をお聽きしておきたいと思うのであります。その点いかがでございますか。
  19. 小林與三次

    小林説明員 ただいまお尋ねになりました郡の区域の問題は、実は地方自治法の二百五十九條に規定が載つておるのであります。郡は今お話通り、まつたく地理的の名称、沿革的な名称でありますが、しかしこれはそれぞれ沿革と地域というものが長い問の傳統をもつておりまして、しかもこれを基礎にしていろいろな行政上の作用が行われておるのであります。二百五十九條によりますと、もうすでに皆さん御承知のことと存じますが、郡の区域を新たに盡し、もしくはこれを廃止し、または郡の区域もしくはその名称を変更しようとするときは、都道府縣知事当該都道府縣議会議決を経てこれを定める、こういうふうに手続がきまつておるのであります。なおその中にある郡と町村との関係はどうなるかと申しますと、市は一應郡の外にある。そこで郡の中に町村合併して市が設けられますと、その市の部分だけは郡の区域が減つていく、こういうことになります。それからさらに郡の境界にわたつて市の配置変更というものが行われるということになれば、そのときは郡の区域もまたおのずから変更する。こういうふうに二百五十九條に規定を設けておるのであります。     —————————————
  20. 坂東幸太郎

    坂東委員長 それでは次は消防法案起草に関する件でありますが、この件につきましては、すでに消防起草小委員会が設けられてありますので、小委員長から報告を願います。
  21. 川橋豊治郎

    川橋委員 消防法案は第一回國会中、すでに本委員会においてこれを起草し、本院において可決せられ、これを参議院に送付せられたのでありますが、時日の足りなかつたために、その議決をみるに至らなかつたものであります。しかるに最近火災の頻発に伴い、本法の制定を要すること急なるものあり、しかのみならず基本となるべき消防組織法は、第一回國会においてすでに可決成立いたしましたので、同法の運営の画から申しましても、消防法は一日も早く制定をしなければならないのであります。ここにおいて、わが治安及び地方制度委員会は、一月二十六日小暮藤三郎君外十名の小委員を選定し、法案の制定を急ぐこととなりました。  そこで、わが消防法案起算小委員会は、去る一月二十九日第一回会合を開いて、不省川橋を小委員長に互選し、今後の小委員運営方針を決定いたしました。爾来打合会を開くこと一回、小委員会を開くこと二回、合計四回の会合によりまして、法案を作成の上愼重審議を重ねました結果、二月四日の小委員会において、これを可決すべき旨議決いたしたのであります。そこで、これより法案の制定趣旨及び大体の内容について簡單に説明、報告を申し上げたいと存じます。     一、法案の趣旨   消防法案は、前述の通り、さきに第一回國会において成立を見ました消防組織法と一対をなすものでありまして、消防組織法が、警察制度の改革と並んで、消防制度の組織を規定したものであるのに対し、消防法案は、火災の予防、警戒、鎮圧、人命救護等、消防の実体的方面規定したものでありまして、この二つの法律が相合して、消防の真価を発揚することができるのであります。しかして消防の実体的方面には、従来必要な規定がなかつたために、あるいは消防関係者をして十分に活動するの便を失わしめ、あるいは人民の権利を侵害して、民主主義の原則に副わないものがあつたのであります。ここにおいて、本法案は極力これらの欠陥を補うことに意を注ぎ、その制定により、消防関係者をして十分に活動するの便宜を與えて、火災の害悪を可及的に防圧し、また人民の権利を完全に尊重して、民主主義の実を徹底することを念願いたしたのであります。     二、法案の概要   消防法案は、本文九章四十八條及び附則三條、並びに別表からなつているものでありまして、その本文は第一章総則、第二章火災の予防、第三章危険物、第四章消火の設備、第五章の火災の警戒、第六章消火の活動、第七章火災の調査、第八章雑則、第九章罰則となつているのであります。法案の内容の詳細に関しては、他日本委員会においてさらに申し上げますが、法案の中特徴的な主なな点をあげて見ますと、  (一)火災予防上必要の場合は、消防長または消防署長に、資料提出及び立入検査の権限を與え、また防火対象物の改修、移転、除却、その他必要の処分につき、命令権を與えたこと。  (二)建築物の新築、増築、改築その他の工事にあたり所轄消防署長に意見を陳述するの権限を與えたこと。  (三)危険物や消火設備に関して、特別の一章を設け、危険物から発生する危害に対して極力これが予防の手段を講じ、また種々の消火設備を設けて災害の防止に努めたこと。  (四)火災に関する警報につき、詳細な規定を設けたこと。  (五)火災現場に、警察官または警察職員がいない場合、消防吏員または消防團員に消防、警戒区域内の整理権を與えたこと。  (六)延焼防止または人命救助のため、必要があるときは、消防吏員または消防團員に破壊消防の権限を與え、そのために損害を受けた者に対し、損失補償の途を開いたこと。  (七)放火罪または失火罪の捜査権に関しては、將來國家消防廳において、これに関する制度を設け得る途を用意したこと。等であります。    以上の様な趣旨及び内容をもつて別紙の通り消防法案を起草いたした次第であります。何卒愼重審議の上、速かに適当な御決議あらんことを希望いたします。   右報告申し上げます。
  22. 坂東幸太郎

    坂東委員長 小委員長お尋ねいたしますが、これは印刷して配ばらなくてはならぬことになつておりますし、またその上で関係方面と打合せの必要がありますから、今日のは中間報告になるのですね。
  23. 川橋豊治郎

    川橋委員 そうであります。
  24. 坂東幸太郎

    坂東委員長 お聽きの通り、大要は委員長の報告通りでございます。しかしながら、これは全部印刷して各位に配つて、そして関係方面と打合せがありますから、これは中間報告にしまして、この次の機会に十分検討したいと思います。その点に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 坂東幸太郎

    坂東委員長 それではさよういたします。     —————————————
  26. 坂東幸太郎

    坂東委員長 次に新警察制度発足状況及び将來の運営に関する実情調査の事件であります。
  27. 松澤兼人

    松澤(兼)委員 先日の委員会におきまして、私僣越でありましたが、委員長までこの希望を申し上げたのであります。先日も申しましたように、警察法が発足していないという関係もあり、すでに自治警察あるいは國家地方警察などの署長、その他の関係者が任命されておるのでありますが、これがはたして自治体の公安案員と連絡をとり、その承認を得て任命されているかどうかという点について、私は多少の疑問をもつているのであります。天降り的な任命でいけないというのが新しい警察法趣旨であるのであります。どこまでも公安委員という民間の團体によつて、将来の運営がなされていかなければならないのでありまして、從つてこの切りかえにおいて多少不十分なところがあるということは、これはやむを得ないことといたしましても、私ども実際地方におきまして、どういうふうに警察制度が切りかえられているかということを、親しく実地に調査する必要があると思うのであります。この点につきまして、とりあえずできるだけ早い期間に、たとえば國会が休会にでもなつたならば、その休会の期間を利用いたしまして、実地に調査する方法をとつていただきたいということを申し上げまして、視察すべき都市、あるいはその員数等は、委員長において適当にお取計い願いたいと思います。
  28. 坂東幸太郎

    坂東委員長 ただいまの松澤委員お話でありますが、大体地方は阪神地方ですね。——松澤委員、いかがですか、派遣人数は何名くらいですか。
  29. 松澤兼人

    松澤(兼)委員 四、五名程度考えますが、委員長において適当に……。
  30. 坂東幸太郎

    坂東委員長 ただいまの松澤君の動議のように、調査に派遣することに異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 坂東幸太郎

    坂東委員長 そうすれば、まず第一回といたしまして、派遣人員を四名くらいにいたしまして、地方は阪神地方。さて第一回に行つてもらう方は今きめますか。それとも他の方法がございましようか。
  32. 松澤兼人

    松澤(兼)委員 委員長において御指名願つても結構です。
  33. 坂東幸太郎

    坂東委員長 それでは、どうせ議長に対して委員派遣の申請をいたしますから、委員長なり理事に御一任願えますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 坂東幸太郎

    坂東委員長 それではさように決します。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後零時四十一分散会