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1948-07-01 第2回国会 衆議院 司法委員会 第47号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年七月一日(木曜日)     午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 井伊 誠一君    理事 鍛冶 良作君 理事 石川金次郎君    理事 八並 達雄君       岡井藤志郎君    佐瀬 昌三君       花村 四郎君    松木  宏君       山口 好一君    池谷 信一君       石井 繁丸君    猪俣 浩三君       榊原 千代君    打出 信行君       中村 俊夫君    吉田  安君  出席政府委員         法務行政長官  佐藤 藤佐君         法務廳事務官  國宗  榮君         法務廳事務官  岡咲 恕一君         法務廳事務官  齋藤 三郎君  委員外出席者         厚生委員長   山崎 岩男君         議     員 有田 二郎君         議     員 庄司 一郎君         議     員 後藤 悦治君         議     員 林  百郎君         專門調査員   村  教三君         專門調査員   小木 貞一君     ————————————— 六月三十日  商法の一部を改正する法律案内閣提出)(第  二〇四号)  有限会社法等の一部を改正する法律案内閣提  出)(第二〇五号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  少年法改正する法律案内閣提出)(第一五  六号)   請願  一 亀山町に津地方裁判所支部津地方檢察廳    支部及び津司法事務局出張所設置請願(    田中久雄紹介)(第四六号)  二 恩赦に関する請願庄司一郎紹介)(第    一八五号)  三 岩井町に簡易裁判所及び檢察廳設置請願    (庄司彦男君紹介)(第六一五号)  四 軽犯罪法制定に関する請願(林百郎君紹    介)(第六七五号)  五 鹿兒島市簡易裁判所設置請願多賀安    郎君外一名紹介)(第七一二号)  六 戸籍関係事務費國庫負担請願外一件(小    川半次紹介)(第七四七号)  七 戸籍事務公吏を官吏に登用の請願今村忠    助君紹介)(第八二三号)  八 鹿兒島市高等裁判所支部設置請願(上    林山榮吉紹介)(第八七五号)  九 宮崎市に高等裁判所支部設置請願(川野    芳滿紹介)(第九六九号) 一〇 軽犯罪法制定に関する請願星島二郎君外    二名紹介)(第九七五号) 一一 釧路市に高等裁判所支部及び高等檢察廳支    部設置請願伊藤郷一君外一名紹介)(    第九八〇号) 一二 伊丹市に拘置所支所設置請願外一件(後    藤悦治君外一名紹介)(第一二三八号) 一三 姦通に対する男女両罰の刑法制定に関する    請願坂東幸太郎紹介)(第一二五二    号)     —————————————
  2. 井伊誠一

    井伊委員長 会議を開きます。  少年法の一部を改正する法律案議題として、審査を進めます。山崎岩男君。
  3. 山崎岩男

    山崎厚生委員長 お許しをいただきまして、少年法改正する法律案に関しまして、厚生委員会といたしまして、いろいろ疑義の点がございますので、先般來協議を逐げておつたのでありますが、この機会に厚生委員会における論議の中心になりました点を、御披露申し上げまして、司法委員会における審議参考に供することができれば、まことに幸福と存ずる次第であります。  原案におきましては、犯罪を犯した少年は、家庭裁判所において取扱いまして、その他の不良少年は、兒童福祉法によつて措置をいたし、また強権の発動をしようとするような場合においては、犯罪を犯さない不良少年についても、知事または兒童相談所長から、家庭裁判所送致することになつておりまして、この原則少年法を貫いておる氣持であるかと思います。もし修正案のように改めますならば、犯罪を犯していない不良の少年についても、家庭裁判所が直接権限を有することになる次第でありまして、犯罪を犯していない不良少年は、兒童福祉法の愛の手によつて保護を受けるという大原則が破られることになるのであります。兒童相談所長との打合せというのも、実際上においては円滑な運用がなかなかめんどうに相なりまして、兒童相談所家庭裁判所とが二元的に兒童の指導に当るという結果になるのでありまして、從つて保護の徹底がめんどうになるのではないか。これが厚生委員会におきますところの意見の大要でございます。  少年保護という重大問題でございますので、少年氣持をなるべく壞さない、そしてこれを善導していき、改化遷善の誠を盡していかなければならないということは、少年保護建前でなければならぬかと考えるのであります。しかるに犯罪を犯さない少年までも犯罪を犯すおそれがある、あるいは不良の徒輩であるという名目のもとに、これを家庭裁判所送致するということになりますと、少年の前途に暗たんたる氣分を與えまして、いやしくも自分裁判所審判に付されたと、古來からの裁判所という観念にとらわれました結果、少年氣分轉換ということにも、まことにめんどうな問題が起りはしないか。兒童を指導するということは、あくまでも兒童氣持に立ち至りまして、愛の手と惠みの手によつてのみ指導することができるのではないか。その意味におきましても、兒童福祉法という法律ができ上り、また兒童善導のためにも、兒童指導のいろいろな機関が設けられまして、事に当つている次第であります。しかもその事に当つている次第は、終戰後まだ年限も浅い次第でありまして、いろいろ効果が上つておりません。從いまして檢察廳当局におきましても、あるいはまた裁判所方面におきましても、この兒童の問題を等閑に付することができないので、いろいろな意見が出てくるのがあたりまえであります。從いまして、またただいまのように、少年法改正するといつたような氣運が讓成されてくることも、あたりまえかと思います。だがこの問題は、まだ長い間の將來をみていかなければならぬ問題であります。日本國民永遠につながるところの問題でと、私は思うのであります。從いまして、終戰後のこの混沌たる世相でありますので、ひとりこれは少年のみの罪に帰することはできません。この混沌たる今日の世相というものは、ほんとう思慮分別のある男をすらも、過ちに陷れているではありませんか。この点から考えてみましても、私どもは何としても、少年ひとり愛と涙によつてのみ指導することができると思うのであります。それを裁判所側において、ただいまの改正案のごとき処置をとりまして、不良の徒輩であるとか、あるいはまた居住が一定していないとか、あるいは両親の監護を離れているとかいう名目のために、それを家庭裁判所に移すというようなことがありますれば、私はかえつて少年の自奮自励の氣持をなくすることになりまして、その結果というものは、まことに容易ならざるものが発生するのではないかと思うのでございます。どうかこの点に御勘案をたれられまして、永遠日本國民としてつながりありまする少年の改過遷善に関する大立法でありますれば、何分にもここ一、二年間の歴史的な状態によつてのみ、私は少年の問題を取計らうということに、大きな失敗のおそれがあるのではないかというふうに感ぜざるを得ない次第であります。どうぞ賢明なる皆樣方におかれましては、この点御勘案をたれられまして、私ども厚生委員会における意見を、どうぞひとつ御勘案の上、しかるべく御処置を賜わりますれば、こまとに光栄に存ずる次第であります。以上申し上げます。
  4. 齋藤三郎

    ○齋藤(三)政府委員 ただいま議題に相なつております少年法を改正する法律案につきまして、逐條的に若干御説明申し上げ、御審議の御参考に供したいと思います。まず活版ずりでお手もとに差上げております法律案の内容が、第三條の第二項が落ちております以外、多数誤植、誤字がございますから、ただいま正誤表を差上げておりますので、御訂正を願いたいと思います。それでは逐條的に御説明申し上げます。  第一は新しく改正される少年の目的について規定いたしておるのであります。非行のある少年と申しますのは、第三條にあげております犯罪を犯した少年犯罪を犯すおそれのある少年、両者を含んでいるのであります。それからこの法律によりまして、家庭裁判所というものができるのでございますが、この家庭裁判所の組織なり権限につきましては、裁判所法の改正によつて、これを行いたい。そうしてこの少年法は、その手続を規定するという考えでございます。これは裁判所法が憲法によりますすべての裁判所の組織なり権限を規定する法律でありますので、その方面に讓つたわけでございます。すべての法律におきまして、手続は民事訴訟法なり、刑事訴訟法でうたいまして、裁判所組織権限は、裁判所法で規定する、こういう建前になつておりまして、その建前を踏襲している次第であります。  第二條は、対象となります少年及び成人の言葉の定義でございます。現行法では、少年を十八歳未満ということにいたしておりますが、終戰後犯罪の状況を見ますると、十八歳、十九歳、二十歳、こういうところが非常に犯罪が多いのであります。この犯罪に対しまして、單なる刑罰のみをもつては、とうてい不十分でありますので、この少年法によりまして、刑罰と相並んで、保護の力によつて、若い人の犯罪をなくするようにしたい。こういう考えで、改正案におきましては、少年の年齡を二十歳まで上げた次第であります。それから保護者という言葉を使つておりますが、この保護者は、法律監護教育の義務ある者、すなわち民法に規定しておりまするような親権者、後見人、あるいは兒童福祉法により兒童福祉施設の長が親権を行う、こういう場合には、法律監護教育の義務ある者に該当すると考えておる次第であります。それから「少年を現に監護する者」というのは、雇主とか、こういう実際問題から現に監護している者、こういうものを指しておるのであります。  第二章は、少年保護事件につきまして手続を規定しておるのであります。  第三條は審判に付すべき対象を規定いたしております。第一号が罪を犯した少年及び十四歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年、第二号が虞犯少年を申しておりまして、現行法では單純に、犯罪を犯すおそれのある少年、こういうふうに書いてありますのを、具体的にイ、ロ、ハ、ニというふうにあげまして、將來罪を犯すおそれのある少年、こういうふうにいたしました。結局現行法と同じように、犯罪を犯した少年虞犯少年の両者を対象にいたしたのであります。そして第二項に、十八歳未満の虞犯少年は、都道府縣知事または兒童相談所長の送致を受けたときに限り、これを審判することができる、こういうふうに書いておるのであります。十八歳未満というふうにいたしましたのは、兒童福祉法が十八歳未満の者を対象にいたしておりますので、十八歳以上の犯罪を犯すおそれのある少年は、兒童福祉法と関係がございませんので、これは無條件に家庭裁判所審判をなし得るような建前をとつたのであります。この虞犯少年の扱いについては、いろいろ問題が考えられると存ずるのであります。第一に、家庭裁判所というものは、必來の裁判所とは、その処理の心構えでも、また形式におきましても、別個のものであるというふうに考えておるのであります。それは後ほどの條文にも、そういう点が幾多出てまいりますが、要するに少年のために保護をする裁判所でありまして、万事明るく、不愉快な冷たい暗い感じをもたないような裁判所にいたしたい。從いまして、審判の方法も非公開であり、普通の裁判所にあるような法廷において審理をするということは、いたさないのであります。そうして少年につきましては、絶対に刑罰権は行使しない裁判所であります。少年不良化の原因をつくつたようなおとなにつきましては、ある程度の刑罰権を行使するのでありますが、少年については、絶対に刑罰は科さない、こういう裁判所のでございます。要するに、少年不良化を防止するのには、犯罪を犯すに至つたその段階まで到達した少年を調べまして、そうしてそれの保護処分を加えるだけでは不十分でありまして、その一歩前のところで、なるべく早く治療の手を加えたい。こういうのが虞犯敗年を入れておる理由であります。そうして、虞犯少年と申しましても、後ほどあとの方に出てまいります保護処分の内容から見まして、一般の單純な不良というようなものを考えておるのではございませんので、まつたく犯罪に紙一重で、少護法との関係上、犯罪とは言いきれない、こういう場合に、家庭裁判所審判をして、そうして十分科学的な調査もし、形式を離れまして、ほんとうにその対象少年に適切な保護処分を加える。必ずしもこれを全部收容して矯正するというのでありませんので、場合によつてはむしろその方が多いと思いますが、適当な親兄弟にかわるような保護委員というものが相談相手になつて、そうして本人の善導をするというような処分を考えておる次第であります。現行法では、十四歳未満の者は、都道府縣知事の送致した場合に限つて、現在ありまする少年審判所審判をするということになつておりますが、今度の案では、十八歳未満の者を全部兒童相談所長の送致を受けたときに限つて審判に付する、こうなつております。これにつきましては、実際の審判をこれまでやつて來られた少年審判所長の方々も、たいへんこれでは不自由であるというようなことを申しておられます。また弁護士会方面でも、名古屋弁護士会では、わざわざ三十二條は削除してほしいということで、決議をなさつておられますので、十分この点は御審議をいただきたいと思つております。  第四條は家庭裁判所判事補の職権について規定しております。「第二十條の決定以外の裁判は、判事補が一人でこれをすることができる。」こういうふうに規定しておるのでありまして、第二十條の決定というのは、家庭裁判所裁判官が審理をした結果、犯罪の罪質とかそういう点で、どうしてもやはり刑罰を求めた方がよろしいという、きわめてまれなる場合には、檢察廳にその事件を移送するわけであります。それが二十條でありまして、その移送の決定以外の裁判は、判事補が一人でこれをすることができるということで、裁判所法の例外の規定であります。裁判所法の二十七條では、判事補法律上特別の定めがある場合を除いて、一人で裁判をすることができないという規定がありますので、それに対する例外規定を、ここに規定いたしたわけであります。  第五條は保護事件の管轄でありまして、格別の御説明を申し上げることもないかと存じます。第六條、第七條は、事件がいかにして家庭裁判所にかかつてくるかという人口の問題であります。第六條は、一般人の通告の制度であります。「家庭裁判所審判に付すべき少年を発見した者は、これを家庭裁判所に通告しなければならない。」これは一般人の場合であります。第七條は少年保護司の報告であります。これは裁判所におりまする調査をしたりいたします役人でありますが、その役人が対象の少年を発見した場合には、調査の上裁判官に報告しろ、こういう規定であります。現行法では、少年審判所自体が、事件を発見して、そうして自分がそれをすぐ裁判するという建前になつておりましたが、今度は從來の行政機関でない裁判所にいたしました関係上、裁判所が自分で問題にして自分で審理するということは、いささか裁判所としての考え方として考慮すべき点があるというふうに考えまして、裁判官以外の者が一遍それを下調べをして、そうして裁判官に申し出る。そうして裁判官がそれを冷靜に判断して、事件とすべきかすべからざるかということを調べた上、裁判所事件になる、こういう考え方でございます。從つて、第一項において、少年保護司が報告する前に、少年及び保護者について、十分諸般の事情を調査することができる。こういうふうに規定いたしたのであります。第八條は、家庭裁判所が、ただいま申しましたように、一般人の通告なり、少年保護司の報告によつて審判に付すべき事件であるというふうに考えた事件について、調査をする段階にはいるわけであります。それから、関連いたしまして、一般人の通告、少年保護司の報告以外に、さらに檢事局及び兒童相談所からくるものがあるわけであります。これは刑事事件につきましては、刑事事件の特別の処理になりますので、第四章以下に規定してございます。それから第九條は調査の方式でありまして、できるだけ科学を應用いたしまして、本人の情状なり、性格なりを十分調査する、こういうことを規定いたしたのであります。現在におきましても、少年審判所の数箇所においては、相当な権威者をお願いしまして、かような監別をいたしておるのであります。そうして今後はこの監別はどこでやるかという問題でございますが、これは少年院法に今度規定いたしたのでありますが、事件家庭裁判所にまいります。そうしてこれが窃盗であるとか、強盗であるとかいう事件も今度はまいるわけでありまして、どうしてもやむを得ず身体を拘置して、一定期間審判、決定するまでの間、身柄を留めておく必要がありますので、これについては、少年観護所、いわばおとなにつきましては拘束所というものにあたるのでありますが、そういうものを設ける考えであります。アメリカにありますデイテンシヨン・ホーム、こういうものを設けまして、そこに最高四週間だけ拘束することができる、そうしてその少年観護所少年監別所というものを設けまして、その監別所で、かような科学的な監別をいたすことにいたしておるのでございます。少年及び保護者は、家庭裁判所の許可を受けて、附添人を選任することができる。但し、弁護士は許可を要しない。保護者自体附添人になることができる。こういう規定であります。この附添人は、後ほど出てまいりますが、家庭裁判所の決定について、今度の改正では新しく抗告の制度を設けました。その抗告権を、この附添人に認めておるのであります。  それから第十一條は、家庭裁判所は、事件の調査上必要と認めるときは、少年なりあるいはその保護者裁判所に呼出すことが必要でありますので、さような場合に呼出状を発することができる。刑事訴訟法におきましては、召喚状というものが大体これに対應するものであります。第二項は正当の理由がなく呼出しに應じない場合には同行状を出す。これは令状という考えでありまして、これによりまして場合によつては、強制力を用いて本人を裁判所に連れてくることができる、こういう考えであります。  第十二條は緊急の場合の同行状であります。  第十三條は、その同行状の執行の問題でありまして、この執行は少年保護司が執行するのが建前でありますが、警察官警察吏員観察官——これは今度の議会に提案を予定して案までできておるのでありますが、事情によつて、まだ提案ができておりません。保護委員会の制度に関する法律において観察官というものがありますので、その観察官及び保護委員——現在の制度では少年保護司というのが全國に四千人くらいございますが、それがややこれに該当するものであります。  第十四條は家庭裁判所は審理の調査の際の証人を喚んだり、鑑定を頼んだり、通訳、飜訳をする必要がございますので、その必要を認めるものでございます。第二項は現在御審議中の刑事訴訟法の中で保護事件の性質に反しない限りは、これを準用することができるという考えであります。括弧の中は、現在まだ番号がきまつておりませんので、それがはつきりした場合に入れたいと存じております。  第十五條は、檢証、押收、捜索、こういう保護に関する刑事訴訟法中必要な部分を準用できる、こういう規定であります。後ほど申し上げますが、今度の制度では、檢事局、警察から、事件は全部家庭裁判所にまいることにいたしております。現行法では、少年犯罪事件につきましては、警察から檢事局にまいりまして、檢事局が罪質その他から起訴すべきものは起訴し、起訴しない処分をしたものを少年審判所に送致するような制度になつておりましたが、今回は少年のための特別の裁判所をつくるのでありますから、そこで全部その選別もやるという建前にいたし、相当悪質の犯罪を犯したものもくることになりますので、刑事訴訟法中の必要な部分を準用することにいたしたのであります。第十六條は関係官應なり民間團体の協力を求める規定でございます。  第十七條は、家庭裁判所に警察、檢事局兒童相談所から事件が送局され、あるいは第六條、第七條にありますような一般人の通告なり、保護司認知報告による事件がまいつた際に、場合によつて事件の性質によりまして、観護所に入れたり、あるいは観護所に入れない場合には、人的なひもをつける少年保護司の観護によりまして、この審判を行う期間さような措置をとる、こういう規定であります。そうして第二項以下は複雜な書き方をいたしておりますが、警察、檢事局から同行されたというような少年につきまして、少年観護所デイテンシヨン・ホームに入れなければならぬという場合には、二十四時間以内に少年観護所に送致するという手続をするのであります。それから檢察官または司法警察官から、拘留または逮捕された少年の送致を受けたときも同樣である。すなわち檢察官搜査段階において、刑事訴訟法によつて勾留状裁判所から出してもらつて、勾留中に來た場合は、やはり二十四時間以内に、その勾留処分は無効になりまして、二十四時間以内に少年観護所に送致するという決定をいたしてデイテンシヨン・ホームに入れておく、こういう規定であります。第三項は、そのデイテンシヨン・ホーム收容期間で、これは二週間を超えることはできない。特に継続の必要のある場合には、一回だけ決定をもつてこれを更新することができる。但書は先ほど申し上げましたように、一遍家庭裁判所事件になりまして、そうして事案の性質からどうしても普通の刑罰を科す方が相当であろう、こういう考えから家庭裁判所から檢察官に移送いたします。ところが檢察官が調べて見たけれども、その後の状況なり、あるいは証拠関係から嫌疑が十分でない。あるいは起訴が不相應である。しかしこの処置をやつた方がよろしいというように状況が変つた場合に、檢察官から再び家庭裁判所に逆もどりする場合があるのであります。その場合に初めの家庭裁判所デイテンシヨン・ホームに入れたり、あるいは檢事が勾留状を求めて勾留しておつたというような場合には、デイテンシヨン・ホームには一回しか入れられない、更新はできない、こういう規定であります。第四項は、第四十三條というのは、檢察官少年被疑事件を搜査する際に、刑事訴訟法で申しますと、勾留を求めるのでありますが、少年については、なるべく勾留はやらぬ方がよろしい、そうしてやむを得なければ、少年保護司の観護に附する措置が第一項であります。檢事が搜査段階において、家庭裁判所デイテンシヨン・ホームに入れてくれというような手続をいたしまして、そうして家庭裁判所デイテンシヨン・ホームに入れるという決定をいたし、そうして入れて事件を調べてその事件家庭裁判所に送致されたときには、そのデイテンシヨン・ホームに入れるという措置は、第二項の方で出した措置と見る、こういう規定であります。そうしてこの二週間の期間は、家庭裁判所檢察官から事件が來た場合に、それから二週間というふうに起算するという規定でございます。それから第六項は観護の措置は決定をもつて取消したり変更することができる。但し第一項第二号の措置については、全部を通じて四週間を超えることはできない、こういう規定であります。  第十八條は家定裁判所少年の調査をいたした結果、二十四條に規定しておりますような保護処分に付するよりは、事案が軽微であるとか、諸般の状況が、少年のために有利である。やわらかい処置で十分であるというふうに認めたときは、兒童福祉法の規定でやることがよろしいのであるから、その事件兒童相談所長、あるいは都道府縣知事に送致しなければならない。事件が來たら全部家庭裁判所がやるというのでなくて、調査した結果やわらかい処分の方がよろしいという場合は、兒童相談所の方にお願いする。こういう規定であります。但し兒童相談所あるいては都道府縣知事から送致を受けた事件については、さような逆もどりはできない。こういうふうにいたしておるのであります。  それから十九條は、家庭裁判所が調査した結果、審判に付することができない。たとえば年齢が二十歳以上である、あるいは審判に付するのが相当でない。要件は具えているが、保護処分をするまでもない。こういう場合は、審判不開始の決定をしなければならない。この規定であります。  第二十條は、警察、檢事局から全部事件が参るのでありますが、事件が死刑、懲役または禁錮にあたる事件であつて、調査の結果、その罪質なり犯罪の情状に照らして、刑事処分が相当であるという場合には、これを管轄地方裁判所に対應する檢察廳檢察官に送致しなければならない。但しその送つてやろうと思うときに、十六歳に達しない場合には、檢察官には送致はできない。從いまして、十六歳未満の少年については、全部保護処分をいたし、刑罰は科さないという結果に相なるわけであります。  それから二十一條は、家庭裁判所が調査の結果、審判を開始するのが相当であると認めたときは、審判開始という決定をいたすのであります。  そうして二十二條で、その審判の方式は「懇切を旨として、なごやかに、これを行わなければならい。」「審判は、これを公開しない。」現行法による少年審判所におきましても、全部非公開であり、そうして形式張つた法廷などというものは、全然もちませんで、まるいテーブルに関係者を全部來てもらいまして、和やかにいろいろの事情を聽いて、そうして最も本人に適切な保護処分をする、從いましてこの家庭裁判所は、從來外部からともすると見られがちであつた冷やかな暗いという感じを全然もたない、万事が明るい、そして子供に決して不愉快な印象を與えない、新しい日本の裁判制度に、一つの画期的なものになるのではないかと思いますが、裁判所というと、とかく暗い感じを受けたのですが、今度の家庭裁判所は、家事審判所と少年保護裁判所を統合しまして、そうして形式張らない、具体的に常に妥当な決定をし、氣分も非常になごやかな明るい裁判所をつくつていきたい。こういう考えで、その一つの項目として二十二條が規定とされているわけであります。  それから二十三條は、一旦家庭裁判所は、保護処分が必要であろうかというような考えで、審判開始の決定をいたし、そうしていろいろ調べて審判をした結果、やはりこれは兒童福祉法の方でやつてもらつた方がよろしいのだという場合には、その方にお願いする。それから一旦そう思つて審判をしたが、結局保護処分を付する必要がない、こういう場合には、保護処分を付しないという決定をする。たとえようは惡いのでありますが、無罪というふうに、若干にそれに当る言葉でありますが、さように決定するわけであります。  それから二十四條は、保護処分の内容であります。さような審判の結果、いろいろなことを考慮して、やはり保護処分をしなければならないという場合は、幾種類かの保護処分をなすべきであります。第一号としまして、「十四歳に満たない少年については、これを兒童相談所に送致すること。」この規定につきましては、十分諸般のことを御考慮の上、御審議を願いたいのでありますが、十四歳に満たない者は、せつかく兒童相談所から参りましても、どんなに惡い傾向がありましても、強い保護の手は加えられないということであります。現在全國の矯正院に、都道府縣知事が、十分やわらかい愛の保護をやつてみたが、どうしても効果がない、これはやはり強い父親の愛の保護を加える方がよろしいという考えで、少年審判所に送致され、そうして矯正院にはいつておるという子供が、年々に殖えてまいつております。統計によりますると、昭和十五年当時は十四歳未満で矯正院にはいつている子供は六十七人でありましたが、昭和十八年には百五十四人、昭和二十一年には六百五十八人、昭和二十二年には千二十五人、こういうことになつております。新聞などでも傳えられておりますように、すりの親分が未成年者を使うことが非常に得策であるいうような考えから、俗称チヤリンコと称する若い子供のすりを使つておる。そうしてその子供たちは、普通の兒童相談所の收容所に入れても、すぐに出ていつてしまう。どうしても矯正院に入れなければならぬという種類の子供が、現在でも千人以上ある。この点は少年院法が、当初これと符節を合わせまして、十四歳以上というふうになつておつたのでありますが、最後に関係方面といろいろデイスカツスをした結果、「おおむね」という文字を入れていただくことができましたので、関係方面の意向も、現在では必ずしもかようなことにはなつていないのではないかと推測いたします。それから十四歳以上の少年につきましては、(イ)(ロ)(ハ)(ニ)という四種類の処置をとることにいたしております。(イ)は地方少年保護委員会、この保護委員会犯罪者予防更生法として提案いたすべく諸般の準備を進めたのでありますが、未だ最終的にその手続ができないのでありますが、その犯罪者予防更生法において、全國を八箇所にわかちまして、各地方に地方少年保護委員会というものをつくりまして、これには関係官廳全部、及び民間の御熱心な方にもはいつていただきまして、そうしてこの保護委員会が強力な保護をいたすことになつております。この委員会のもとに、保護委員という少年保護に熱心な方をお願いしまして、その保護委員が実際の少年を何人かずつ分担していただきまして、少年相談相手になり、遊び相手になり、そうして少年を善導しよう、こういう考えでございます。その委員会にこの観護、観察をお願いするという規定であります。それから(ロ)、(ハ)は兒童福祉法関係の福祉施設にお願いをする。それから(ニ)が少年院に送致する。こういう四つの種類を考えて、そうして第二項におきまして、観察に付した場合及び少年院に送致した場合には、地方少年保護委員会をして、家庭に行つて、本人に面会に行つてやるとか、いろいろ指導をして家底の環境の調整をはかるということをいたすのであります。  それから第二十五條は少年保護司の観察であります。少年保護司保護委員会とは関係ありませんで、この裁判所の職員であります。事件家庭裁判所にまいりました際に、家庭裁判所は、その処分を決定するまで、必要がある場合には、少年保護司の観察に付する。少年保護司は、本人の所に行つたり、呼んだりして、いろいろ本人の相談相手になつたりして、本人の性格なりを十分観察して善導する。それからさような観察のことも考えられますし、また最終の決定をなす前に、試みに本人に一定の善行を保証するような遵守事項をきめて、その事項を約束させる。あるいは條件をつけて親もとに引渡す。あるいは適当な施設や團体や個人に善導、輔導を委託する。そうしてしばらくその成行きを見定めまして、保護処分の必要ありやなしや、いかなる保護処分をなすべきかという思料を加えるのであります。  それから第二十六條は、家庭裁所がいろいろな決定をいたします。十七條の兒童観察所に入れるとか、少年保護司の観察に付する。兒童観護所に入れるというのは、第一項第二号であります。第十八條は兒童相談所の方に送る。それから二十條は檢察官に逆もどりさせる。それから二十四條が最後の家庭裁判所の決定でありますが、さような諸種の決定をしたときは、少年保護司警察吏員観察官保護委員——観察官保護委員というのは、犯罪者予防更生法で考えております制度であります。それから兒童福祉司または兒童委員をして、その決定を執行させることができる。それからさような執行をするために必要なる場合には、少年に対して呼出状を出すことができる。それに應じない者には、同行状を出すことができる。こういう規定であります。  第二十七條は保護処分の継続中に、本人に対して有罪の判決が確定したという場合には、家庭裁判所が、事情によつては、前にやつた保護処分を取消すことができる。それから保護処分継続中に、たとえば矯正院に入れておいたところが逃亡した、そしてどこかでまた間違いを起して、別な家庭裁判所で、別個に保護処分の決定がなされたという場合には、両者が競合いたしますので、その調整をしまして、新たに後に保護処分をした家庭裁判所が、前の保護処分をした裁判所の意見を聽いて、どちらかの保護処分の必要ないものを取消すという、こういう規定であります。それから二十八條は報告意見の提出であります。二十九條は委託費用。二十五條第二項第三号と申しますのは、裁判所が最終の決定をする前に、試みに家に帰したり、本人に約束させたり、あるいは適当な團体なり、施設なりに補導を委託したという場合に、それによつて生じた費用を支給することができる。こういう規定であります。三十條は証人、鑑定人等に支給する旅費等については、刑訴の費用に関する規定を準用する。第二号の参考人と申しますのは、審判になる前に、たとえば保護司がみずから事件を探知して、調査をするという場合には、証人ということにはなりませんで、ちようど檢事が調べる、それに該当するわけでございます。参考人に宣誓をさせることができる。この参考人に費用を拂うことができるという規定であります。それから第三十一條は費用徴收であります。  第三節は今回の改正で新たに設けた制度であります。從來の少年法による少年審判所におきましては、審判所のなした決定に対して、それを爭う途がなかつたのであります。新しい憲法の精神に即應いたしまして、抗告の制度を認めました。そうして少年、その法廷代理人、附添人から二週間以内に抗告する。この場合には、家庭裁判所は、裁判所のランクからいいますと、地方裁判所でありますから、管轄の高等裁判所に抗告するということであります。「但し、附添人は、選任者である保護者の明示した意思に反して、抗告することはできない。」というふうにいたしました。本人の意思に反してできるかという問題でありますが、本人は少年でありまして、十分思慮分別のないことが考えられますので、少年の意思に反してできるということになつたわけであります。  第三十三條は抗告審の裁判に関する規定でありまして、第二項におきまして、抗告が理由あるときには、高等裁判所は、下級審である家庭裁判所の前決定を取消し、事件を元の裁判に差しもどし、あるいは他の裁判所に移送することを認めておるのでありますが、高等裁利所自体が保護処分をやるということは、認めなかつたのであります。それから第三十四條は執行の停止でありまして、抗告は執行を停止する効力を認めないことにいたし、例外として場合によつて停止することができるというようにいたしたのであります。第三十五條は再抗告の制度であります。これは最高裁判所に対して、申し立てることになつておるわけであります。それから第三十六條は、この法律で定めたもののほか、審判の諸般のこまかい手続は、高等裁判所のルールにこれを委任したのであります。  それから第三章はこれも新たに今度の改正で加えたものでありますが、おとな少年不良化の原因をなしたという場合には、家庭裁判所少年事件を扱つておりまして、それを知る機会が非常に多い。また少年不良化の原因をつくつたという事件は、少年のための裁判所がやるのが適当であろうという考えから、おとなについても家庭裁判所が、処分ができるということにいたしたのであります。この手続は普通の刑事事件でありますから、刑事訴訟法をそのまま適用されるという考えであります。そうしてその事件はアメリカの法律などでは、非常に廣く少年不良化の原因を與えたものは、全部処分できるというように、非常に漠然とした廣い規定でありますが、この法案におきましては、具体的に揚げたわけでありまして、未成年者喫煙禁止法、未成年者飲酒禁止法、労働基準法、兒童福祉法、こういう子供を惡くするようなおとなの行為に限つたのであります。労働基準法の最低年齢であるとか、——五十六條でありますが、その他危險な業務につくことはできぬ。深夜業はいかぬというような、子供の保護のための幾多の規定がありますので、その違反を処罰することにいたしたのであります。兒童福祉法三十四條と申しますのは、子供に乞食をさせたり、不具の子供を見せ物にするとか、あるいは若い女を酒席に侍らせるということを禁止しております。さような違反のあつた場合には、家庭裁判所が裁判をするということにいたしたのであります。それから二項は他の犯罪と牽連関係あるいは一行為数罪のあつた場合には、前一項に掲げた各條文を適用する。結局労働基準法で危險な業務につかせてはいかぬというのにかかわらず、つかせた結果、傷害事件が起つた、けがをしたという場合に、過失傷害という問題が起りますので、さような場合の規定であります。  それから三十八條は、家庭裁判所が、少年保護事件を調査審判中にかような事犯を発見した場合には、やはり刑事訴訟の手続によりまして、檢察官の公訴提起を必要といたしますので、さような場合には檢察官または司法警察官に通知した、こういう規定であります。  それから三十九條は、家庭裁判所は以上申し上げましたように、大人の事件を裁判するのでありますが、家庭裁判所は、一人の判事が審判をいたします関係上、禁錮以上の刑を科するのを相当と認めたという場合には、通常の地方裁判所に移送する。こういう規定であります。  それから第四章以下は從來からありました少年法の通則で、少年刑事事件の処理上、刑事訴訟法の特例を認めております。それについての規定でありまして、原則として從來の法律を変更いたしておりませんが、部分的に若干変更はいたしておりますので、その変更の点だけを申し上げたいと存じます。  第四十七條は、相当大きな点でありますが、檢察官は、現行法では檢察官の認定においと起訴すべきは起訴し、不起訴にしたものを少年審判所に送致しておつたのでありますが。今回は全部少年被疑事件について搜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑があるという場合には、全部家庭裁判所に移送しなければならない。こういうことにいたしたのであります。  第四十五條第五号は、一度家庭裁判所に送りまして、家庭裁判所が刑罰を科する普通の手続の方がよろしいというふうに認めまして、檢察官に送つた場合でありますが、これは四十五條の説明のときに申し上げたいと思います。  それから犯罪の嫌疑がないという場合でも、家庭裁判所の対象中には、犯罪の確証はないが虞犯の場合を取扱つて管轄いたしておりますので、犯罪の嫌疑はない、しかし犯罪のおそれは多分にあるという場合には、これも同樣に家庭裁判所に送らなければならない。こういう規定であります。  それから四十五條は、家庭裁判所事件の罪質なり、本人の情状によりまして法処分を不適当とし、檢察官に送致した場合の規定であります。その他は大体現行法と同樣であります。ただ第三節のところをちよつとごらんいただきたいと思いますが、第三節の中に若干の変更がございます。第五十一條で「罪を犯すとき十八歳に満たない者に対しては、死刑をもつて処断すべきときは無期刑を科し、無期刑をもつて処断すべきときは、十年以上十五年以下において、懲役又は禁錮を科する。」とあります。現行法では十六歳ということに相なつておりますが、それを十八歳まで上げたのであります。それから尊属殺の場合には、緩和しないことにしておつたのでありますが、これも今度は尊属殺の場合にもやはり死刑は科さないというふうにいたしたのであります。  大体以上が今度の改正の要点でありまして、たいへん不十分でありましたが、一應これで説明を終りたいと思います。
  5. 井伊誠一

    井伊委員長 どなたか御質疑はありませんか。
  6. 山崎岩男

    山崎厚生委員長 ただいま議題となつております少年法改正する法律案とは、直接に関係ございませんが、少年裁判に関しまするところの重要なる意見としまして、兒童福祉委員会において決定しました私どもの特に注目しなければならぬ意見がございますので、これを御披露申し上げまして御参考に供したいと思いまするが、お許しいただけましようか。
  7. 井伊誠一

    井伊委員長 どうぞ。
  8. 山崎岩男

    山崎厚生委員長 これは法務廳が少年法に代るべきものとして、少年裁判所法の立法を考えておられる。それに対しまする意見でありまするが、ただいま議題になつておりまする議案にも関係がありますので、御参考に申し上げます。   目下法務廳において少年法に代るべきものとして、少年裁判所法の立案をされ、それに対して愼重に調査審議をしておられるようでありますが、本委員会といたしましても、これに関する意見を表明いたしたいと思う次第であります。   新憲法下の第一回國会におきまして、兒童保護を総合的に規定する兒童福祉法が通過、制定され、本年の二月一日にその一部が、四月一日にその全部が施行せられることになつたのであります。中央兒童福祉委員会は、兒童福祉法規定によつて設けられたものでありまして、要保護兒童の問題はもちろん、いやしくもこと兒童の問題に関する限り、すべてこれをとり上げ、拔本的に調査審議いたし、必要とあらば、関係各大臣に、その結果について意見を具申することを、その本務とするものであると確信いたす次第であります。   新しくできるであろう少年裁判所法においては、犯罪少年はもちろん、素行不良の少年も、等閑に付せられている少年も、すべてこれを少年裁判所において審判し、保護処分するようになるようでありますが、罪を犯した少年少年裁判所において審判し、保護処分することは、裁判所性質からいつて当然のことと思われますが、その他の素行不良少年及び等閑に付せられている少年は、これを放置しておけば罪を犯すおそれが多いかもしれませんが、彼らは必ずしも現実に罪を犯したという者でないのでありまして、彼らを刑事政策的色彩の強い少年裁判所において審判し、保護処分することは、少年自身のためにも、当を得たものであると言えないでありましよう。兒童福祉法は、彼らの保護に関してそれぞれの規定を設け、兒童相談所兒童福祉司、兒童委員、兒童福祉施設及び里親等の保護機関として適切にして十分な措置をとらせるようにしているのでありまして、少年裁判所が、素行不良の少年及び等閑に付せられている少年を取扱うことは、兒童福祉法と重複することとなり、兒童保護の事務をきわめて複雜難解なものにして、兒童保護の事務の効率を低下させることきわめてはなはだしいと言わざるを得ません。かくては、二重に予算を計上し、これを非効率的に使用する結果に陷ることになり、國家財政の困難な折柄まことに不適当なことと思われます。さらにまた日本人一般の感情として、裁判所裁判を受ける者は、よほどのものであるという氣持をもつております。從つて洋々たる將來をもつております少年でありまして、罪を犯しもしないのに、裁判所審判を受け保護処分を受けるということになりますれば、そのことによつて、その少年が世間から白眼視され、かえつて彼らの自立を困難にすることになりはしますまいか。これらの少年保護は、その本來の目的並びに性格からいたしまして、刑事政策的色彩をできるだけ拂拭して、純粋に社会事業的立場に立つた保護と指導によつて一貫されるべきものと思います。從つて少年裁判所においては、犯罪少年のみを取扱い、罪を犯さない他の少年兒童に光明をもたらした兒童福祉法によつて明るく保護指導されることが、最も適当なるものと確信する次第であります。   また法務廳において、從來の司法保護事業法を改正され、少年犯罪予防並びに更生について調査審議並びに決定をする中央及び地方青少年保護委員会を設置されるようでありますが、これと本委員会との関係において、無用の重複を來さないように配慮されるべきであると思います。   中央兒童福祉委員会は、右のような見解を表明いたすものでありまして、関係方面におかせられては、これが十分の研究をされんことを切望する次第であります。   昭和二十三年五月十五日     中央兒童福祉委員会        委員長 中川  望 かような委員会意見が具申されておるような次第でありまするが、何とぞこの具申書につきましても、御明鑑を垂れられまして、ただいま議題となつておりまする少年法改正に関する一助になさいまするならば、まことに光栄に存ずる次第でございます。
  9. 中村俊夫

    ○中村(俊)委員 詳細な点は後日伺いたいと思いますが、ただいま配付になりました少年保護制度概念図、この図の中に犯罪少年虞犯少年不良少年の三つに区別がされておるのであります。犯罪少年の意味はよくわかりますが、虞犯少年不良少年との限界をどこにつけるかということは、非常にむつかしい問題だと思うのでありまして、厚生委員会からのいろいろな御意見も、この限界がはつきりすれば、問題は解決すると思います。この限界がはつきりしていないために、こういうセクシヨナリズム的な意見が、法務廳と厚生省との間にあるのではないかと思うのであります。なお兒童福祉法の第四十一條に「その他環境上養護を要する兒童」という言葉がありますが、これなどは実に意味が不明でありまして、これは今われわれの手もとに來ておる概念図の不良少年に当るのではないか。從つて法務廳の考えとしては、兒童福祉法の四十一條の「その他環境上養護を要する兒童」というものは、大体不良少年の範囲内に属するものである。そうして虞犯少年というのは、ただいま御説明のあつたように、第三條二号の(イ)(ロ)(ハ)(ニ)に該当するものだと考えられるのですが、しかし常識的にものを考えると、この(イ)(ロ)(ハ)(ニ)は、一應われわれは不良少年だと普通言つておるのであつて、これを一種の法律用語のごとく虞犯少年だという点に、厚生省関係との問題があるのではないかと思うのですが、この御提出になりました虞犯少年不良少年との限界を、どこにつけるかという点について、御説明を承りたいと思うのであります。
  10. 佐藤藤佐

    ○佐藤(藤)政府委員 お説のように不良少年虞犯少年を概念上はつきり区別するということは、なかなか困難でありまして、むしろ逆に説明する方がおわかりになりやすいだろうと思うのでありますが、少年院、現在の矯正院においては、強制力を用いたいわゆる矯正教育を施して、少年保護善導しようとしておるのであります。ところが兒童相談所その他兒童福祉施設におきましては、強制力を用いないで、愛護教育しよういう方法をとつておられるのであります。両方とも少年を愛護し、その健全な育成をはかろうという、その目的は同一でありまするけれども少年を愛護し、健全な育成をはかる、その手段として教育の方法なり、その他日常の生活態度、あるいは職業訓練等において、きびしく教育するか、あるいはなまやさしく、やわらかに教育するかという、その手段方法が異なつておるのであります。できますれば、すべての少年に対して、いかに不良少年であつても、あるいは虞犯少年であつても、犯罪少年であつても、これを愛撫し、そうして健全な育成をはかることができますならば、われわれの理想とするところであります。しかしながら、御承知のように、現在の世相を見ましても、單になまやさしい愛撫一点張りで教育するのでは、その少年を改過遷善せしめることもできないし、また健全なる將來の日本國民として育成することも期しがたいような、程度の強い不良少年がかなりあるのであります。その程度の高い不良少年、つまりそのままにしておけば、必ず犯罪を犯すに至るであろうという、いわゆる犯罪性がその中に潜んでおる少年、行動としては犯罪として現われなくとも、いろいろ医学的、あるいは心理学的、あるいは犯罪学的観念から、科学的にそれを鑑別すると、これは犯罪を犯すおそれがある。いわゆる犯罪性のある少年として認定することができる少年が多数あるのであります。そういう犯罪を犯すおそれのある、いわゆる犯罪性をもつておる少年保護するには、ただなまやさしい教育だけではない。これに矯正教育を施して、健全な少年にしようというのが、少年法及び少年院法の目的とするところであります。そうして不良少年の中で、これをやさしい兒童福祉施設保護する方が適当であるか、あるいは少年矯正施設に收容して、保護する方が適当であるかということを鑑別するのが、家庭裁判所なのであります。先ほど厚生委員会委員長の述べられた中に、少年裁判所とございましたけれども、私たちのこのたび立案して御審議を願つておる家庭裁判所というのは、その少年裁判所とは性格が全然違うのであります。家庭裁判所においては、少年に犯罰を科するというようなことは絶対いたさない。保護一点張り、ただ保護するについて矯正施設に入れて保護する方が適当であるか、あるいは矯正力を何ら用いない、いわゆる厚生施設といいますか、兒童福祉施設に入れて保護する方が適当であるかということを決定するのが家庭裁判所なのでありまして、いずれも少年の愛護及び健全な育成をはかるという目的は同一でありますけれども、その保護に、矯正施設に入れて保護する方が適切であるかどうかということを裁判するのが家庭裁判所であります。その矯正施設に入れて保護するのに適当な犯罪性のある者がここでいう虞犯少年なのであります。観念上の不良少年の中から、虞犯少年不良少年、厚生施設に入れる不良少年少年院に入れる虞犯少年と、観念上どこではつきり区別するかということになりますと、なかなか文字で現わすことはむずかしいのでありまするが、お示しの第三條の第二号に例示的に掲げたのがそれでありまして、すなわちその少年の性格及び少年の生立ちの環境等に照らして、その少年が將來罪を犯すおそれがあるか、すなわち犯罪性があるか、犯罪的傾向のある少年であるかどうかということを科学的に鑑別して、その鑑別にかなつた者を矯正施設に入れるということになるのであります。從來その虞犯少年ということで、少年審判所で取扱つてまいつたのでありますけれども、さらに虞犯少年というだけでは、仰せのように不明確でありますために、第三條第二号で例示いたしたのであります。実際問題になりますと、虞犯少年なりや否や、あるいは虞犯少年とは認められない、まだ程度の軽い不良少年であるかということは、結局程度の問題になるのでありまして、それの区別のしかたは、結局保護する手段が矯正施設に入れて保護するのに適当な強い不良少年であるか、あるいは矯正施設に入れないで、いわゆる兒童福祉施設に入れて保護する方が適当である程度の軽い不良少年であるかという程度の差別にすぎないと考えております。
  11. 井伊誠一

    井伊委員長 これにて休憩いたします。     午後零時十二分休憩      ━━━━◇━━━━━     午後二時開議     〔以下筆記〕
  12. 井伊誠一

    井伊委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  これより本委員会に付託された請願審査に入るに先だちまして、審査の方針についてお諮りいたしたいと存じます。請願審査は、最も審議に愼重を期すべきものでありまして、いやしくも採択した以上は、必ずこれが実現の方途を講ずることといたし、これがためには、内容いかんにより、必要あるときは、委員会において法律案を起草することもありまするし、また予算的措置を要するものについては、必要により予算委員会と連合審査会を開く場合も当然起り得ることと考えます。かくあらゆる角度から檢討を必要といたしまするので、これより御審査を願う御所見につきましての委員会における決定は、しばらく留保いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 井伊誠一

    井伊委員長 それではそのように決定いたします。     —————————————
  14. 井伊誠一

    井伊委員長 日程第二、恩赦に関する請願請願文書表第一八五号を議題といたします。紹介議員の御紹介を願います。庄司一郎君。
  15. 庄司一郎

    庄司一郎君 本請願の趣旨を申しのべる前に、まずこの請願を提出した人の久柄を簡單に説明申し上げます。請願者は加納榮藏君と言い、その人と為りは、宮城刑務所の嘱託として、また活版印刷工場の委託業として、多年刑務所に出入勤務のほか、大河原区裁判所管内の司法保護会常任幹事として、釈放者を指導誘掖されつつある人、昨年末は、藁工品の利益二万円を保護事業に寄附した廉により、鈴木司法大臣より表彰されたほどの人格者であります。  ただいま議題となりました恩赦に関する請願内容は、恩赦法によつて恩赦の恩典を受け得ぬものがある。すなわち兇悪犯罪者、尊属殺、強窃盜、放火等の罪質の受刑者は、大赦恩赦が何回あつても、一度もそれに浴さなかつたのであります。社会的に見て兇悪な人であるが、この中にも過去に前科なき人もいる。常習犯的なものもいるが、中には突発的なでき心をもつて犯罪者となつたのも、不幸な群の中にはおるのであります。そこで請願の要点は、全部のものではなくとも、たとえ罪名罪質が悪くても、その動機、その後の悔悛の状態等によつて、他の一般的な人と差別することなく、適当に恩赦の恩典に浴せしめるのが、本請願の趣旨であります。請願者加納君はおそらく自分の体驗から、また永い間一緒にいた人々の切なる願いを妥当なりとして、この請願に出たものと考えます。そこで私も請願者と同樣な心から恩赦を拡大し、旧來の一部のみに與えるものではなくして、受刑者の一人々々を調査して、國家が恩赦を施行される場合は、かような太い線が引かれていた人の中からも、恩赦に入れていただきたい。私は縁あつて恩赦法制定の時委員長を勤めたものであり、二十七、八年司法保護の実務に力を注ぎ、前科抹消については、委員会あるいは本会議において、十七回も論述したものであります。私もそれらの体驗より請願者とまつたく同樣に考えるものであります。  以上るる申し上げましたが、要するに、罪質はいかにあれ、國家が恩赦を施行するときは、廣く一切の受刑者に及ぼすようというのであるが、これに対して政府はいかにお考えになりますか。以上が本請願の要旨でございますが、何とぞ御採択になりますようお願い申し上げます。
  16. 國宗榮

    國宗政府委員 從來の恩赦においては、特殊の罪質罪名のものに対しては、恩赦の恩典が及ばなかつたことは、事実であります。しかし例外のないこともなかつた。十一月一日の恩赦法の施行規則によつて、刑の言渡があつて、一定期間経過したものは、本人から恩赦を願い出ることができることになつているので、廣く恩赦に浴することができ、請願の趣旨に副い得るようになつております。     —————————————     〔以下速記〕     〔委員長退席、石川委員長代理著席〕
  17. 石川金次郎

    ○石川委員長代理 次に日程第一二、伊丹市に拘置所支所設置請願外一件、文書表一二三八号を議題といたします。紹介議員の御紹介を願います。後藤悦治君。
  18. 後藤悦治

    ○後藤悦治君 本請願の趣旨を私から申し述べまして、政府の御所信を併せて伺いたいと思うのであります。  本請願の趣旨は、御承知のように、尼崎市は今日二十数万の人口を有しておりまして、全國の都市の順位においても、十番ないし十一番と称せられている状態なのであります。しかるに尼崎市には裁判所がないのであります。檢事局の拘置所もないのでありまして、もつぱら旧い慣習によりまして、昔郡役所があつた時代からの傳統をもちもして、伊丹市に裁判所並びに檢事局があるのであります。しかるに尼崎市は、大阪府と兵庫縣の境界に位置いたしております立地條件と、都市の性格が工場労働都市であります関係から、非常に犯罪が多いのであります。この離れております伊丹市に送局をいたします犯罪の大部分は、尼崎市において発生もしくは檢挙したものが占めておるのであります。しかるに実情は拘置支所がございませんために、送局処分に付すべき者を、從來は伊丹市にありました伊丹警察署に、臨時に身柄を預けるという委託拘置をやつてつたのであります。ところが伊丹警察署の施設は、はなはだ狹少でございまして、一般留置人を入れます以外に、ほとんど收容力がないのであります。從いまして、尼崎警察署におきましては、送局に決しました身柄を、毎日尼崎署員がバスもしくは電車連絡をもつて、交通費を支弁して、犯人を一々檢事局にまで連行し、また同市に連れ帰らねばならぬのであります。これに要します費用と、なお警察官の定員の関係がございまして、六大都市と隣り合せになつておりながら、警察官の配置が少い、そういうことで警察官の警備力が非常に手薄な中から、それらの措置のために、さらに警察官を割かねばならぬ。これが年百年中毎日相当数繰返されておる実情であります。しかも從來の國庫が支弁をいたしました警察制度と変りまして、御承知のように自治体警察ということになつております関係からいたしまして、その警備力を割かれる点、及び費用等におきましても、地元では非常にたえがたい負担に今日では相なつておる次第でありまして、この実情に鑑みられまして、速やかに伊丹市に拘置支所を設けられまして、少くとも警察が檢挙をいたした者は、遠く離れた隣接都市に連行を朝夕にするということなくして、檢事局に附随した拘置所に拘置されることによつて、地元所轄警察署のこの余分の負担は軽減されるのであります。これを速やかに実現されたいというのが、本請願の願意でありまして、この点に関しまして、政府当局の所信を伺い得まするならば、たいへん仕合せだと存ずるのであります。
  19. 石川金次郎

    ○石川委員長代理 この際政府の御意見があれば承りたいと思います。
  20. 佐藤藤佐

    ○佐藤(藤)政府委員 本請願の御趣旨は、当局といたしまして、十分了承できるところであります。しかしながら、最近犯罪が激増し、また警察機構が改革せられましたので、伊丹市ばかりでなく、全國に同樣な事情が発生いたしておりまして、当局といたしましては、この点に十分な関心を拂いまして、國家財政の許す範囲において、改善いたしたいと思つて対策を考究いたしておるのであります。今ただちに伊丹市に拘置所の支所を設けるということは、敷地、資材、予算その他の面において、いろいろ制約を受けておりますので、実現することは困難であろうと思うのでありますが、現在警察の留置所を代用監獄として使用いたしておりますから、その代用監獄の面を改善いたしまして、いろいろな不便な点を除去いたしたい、かように考えております。
  21. 後藤悦治

    ○後藤悦治君 当局に重ねてこの機会に請願の趣旨を敷衍しておきたいと思うのであります。御承知のように、尼崎警察が存じまする地点と、伊丹市の裁判所檢事局のあります地帶とは、隣接都市なのでありますが、それらの施設から施設へは、約三里の距離があるのであります。この三里の距離が、実は電車等の交通機関がございません。それがために隣接の伊丹の檢事局へ尼崎警察から連行したします場合には、尼崎市からわざわざ阪神電車を利用して大阪市に出る。大阪市から阪急電車を利用して伊丹市に出る。從つて大阪市、神戸市へ連行するより、より以上に時間的に不便さを感じておるのであります。これらは日常のことでありますから、警察当局が、経費以外に迷惑をすることは当然なのでございまして、これらの交通機関等の関係をもお考え合わせになりますと、少くとも代用拘置所の施設を速やかに当局としてとらえんことを、特にこの特殊の事情に鑑みて——全國的の問題であろうとは存じますけれども、かような不便さは、全國にまれな例ではなかろうかと考えておるのでありまして、しかも檢挙人数の多い点等、さような実情にあるものの中で、全國的でも特殊なものであろうと考えるのであります。これらは最優先をして、何らかの措置を特別にお考えあらんことを希望してやまないのであります。
  22. 石川金次郎

    ○石川委員長代理 これに対して、政府側から何らか御答弁ございましようか。
  23. 佐藤藤佐

    ○佐藤(藤)政府委員 御趣旨は十分拜承いたしました。全國的にこの代用監獄並びに拘置所の支所の問題を目下研究いたしておるのでありますが、伊丹市においては、特別の事情もおありのように承りましたので、優先的に対策を考えたいと思つております。
  24. 石川金次郎

    ○石川委員長代理 本案について御質疑ございませんか。他に御質疑はございませんか。——それでは、本案についての審査は一應終りましたが、なお盡さない点は適当な機会に取上げたいと思います。     —————————————
  25. 石川金次郎

    ○石川委員長代理 次に日程第四、軽犯罪法制定に関する請願、文書表第六七五号を議題といたします。紹介議員の御紹介を願います。林百郎君。
  26. 林百郎

    ○林百郎君 これは全日本産業別労働組合会議から、四月七日に提出されました請願でありますが、非常に遲れまして、本日委員会審査にはいつたために、大分事情が変つてきたのであります。しかしこの請願の本旨をよく読んでみますと、結局ただいまの段階においては、軽犯罪法を撤廃してもらいたいという請願になると思うのであります。その理由につきましては、さきに本委員会において、極悪犯の発生を未然に防いで、終戰以來混乱した社会風教、道徳に一線を引くという趣旨をもつて、実は軽犯罪法が制定されたのであります。しかし右の趣旨言明は、かつての治安警察法、暴力犯取締令等の法令制度の設定の際にも言われたことであつて、しかもこの対象なつたものは、軍國法義、フアシズムに反対する労働者、農民、市民の民主的な勢力に対して行われたのであります。その彈圧の絶好の手段として適用されてきたものであることを、労働者としては、一日も忘れることができないのであります。たとえば軽犯罪法の中の一つの例を示しますと、公務員の制止を聽かずして、大きな声を出した者とか、あるいは工場または農場等に理由なくしてはいつた者とかいうようなものが、取締りの対象となつておるのでありますが、これが労働組合の團体交渉権の行使であるとか、あるいは農民組合の土地取上げ反対運動等の際に、非常な反動的な作用を及ばしてくることは明白なのであります。從つて、ここに産業別労働組合会議は、日本の民主的再建の大道を行く全労働者の要望として、次のごとく政府に申し出ているのであります。第一は、軽犯罪法は、労働運動、農民運動その他一切の民主的運動に対しては絶対適用しないようにしてもらうこと。二としては、右の趣旨をよく警察官、司法機関に徹底して、現在各地に起つておるような不法檢束、留置に対しては、ただちに釈放の手続をとつてもらうこと。三として、右の完全な保障を與えると同時に、將來速やかに適当な機会に、この軽犯罪法を撤廃してもらいたい。この三つの要項を労働者の名において、本委員会を通じ、政府に請願する次第であります。
  27. 石川金次郎

    ○石川委員長代理 この際、政府の御意見があれば承りたいと存じます。
  28. 國宗榮

    國宗政府委員 軽犯罪法は、御承知の通りに、すでに四月三十日第二回國会で法律として成立いたしまして、五月二日施行されたわけでありますが、その制定の趣旨は、あくまでも國民の日常道徳規範の遵守を確保する点にありまして、決して合法的な農民運動、あるいは労働運動等の彈圧を目的とするものでないことは、この法律審議の過程におきまして、政府側からしばしばこれを明らかにした通りであります。しかも國会におかれましては、その濫用のおそれあることを心配なさいまして、御承知のように、この法律の第四條といたしまして、いやしくも濫用することのないよう、運用上の注意規定を挿入修正されたのであります。なお政府といたしましても、この趣旨を十分に考慮いたしまして、法律事項とともに、各檢察廳に対して通牒を出しまして、そうしてかような合法運動抑圧に、その法律を利用することがあつてはならない。またその捜査のための身柄の拘束は、最小必要限度に止めるように注意しておるのでありますから、御心配になるような点は、私どもはないと信じております。なおこの法律につきまして、これを撤廃したらどうかというお話でございますが、これはただいまも申し上げましたように、國民の文化的な、日常道徳規範の遵守を確保する、こういう單なる趣旨に出ておるのでありまして、今日の社会の事態におきましては、私どもは撤廃の必要なしと考えております。
  29. 石川金次郎

    ○石川委員長代理 本案について御質疑ございませんか。他に御質疑ございませんか。——それでは、これにて本案についての審査は一應終りましたが、なお盡さない点は、適当な機会に取上げたいと思います。     —————————————
  30. 石川金次郎

    ○石川委員長代理 次に日程第一〇、軽犯罪法制定に関する請願、文書表第九七五号を議題といたします。紹介議員の御紹介を願います。中村俊夫君。
  31. 中村俊夫

    ○中村(俊)委員 本請願は、東京都建設局内にあります日本都市美協会会長澁澤秀雄君よりの提出にかかるものでありまして、大体その趣旨は、わが國の都市は敗戰により極度に荒廃に帰し、市民のすさんだ氣持を一層暗くしておる。かかるありさまであるから、少しでも市民の心を和らげ、息拔きのできる明るい場所とながめを都市内につくることを要望されるのである。都心地にある橋梁は、都市美の点より見ると、顔にたとえるならば眼のごときものであるから、これにみだりに貼紙等をして汚し、または橋上の路面で物賣り等をして、これをみだりに使用し、交通を防げ、あるいは橋台地の緑地その他の公共緑地に仮設物、廣告物等を設置することは、自分の顔に泥を塗るようなものであり、またわれわれ市民の公有財産を汚辱するものである。しかるに最近の状況ははなはだしく目にあまるものがあり、このまま放任するときは、ますます醜悪なる結果となることは明らかであるので、 一、都市の橋梁、鉄道橋脚(ガード)並びに公共建造物に許可なくして貼札貼紙をすることを禁ずる。 二、都市の橋梁の路面上において物賣り、宣傳その他のため路面を使用してはならぬ。道路交通取締法(橋梁も含む) 三、都市の公共緑地橋台地の緑地内に許可なくして仮設物並びに廣告看板等を設置してはならぬ。  こういうような規定を入れてもらいたいという希望でありますが、すでに軽犯罪法は通つておりますので、でき得べくんば、最も近き將來において改正の機のあるときには、ぜひこの趣旨を諒とされて、希望のごとき規定を挿入されんことをお願いする次第であります。
  32. 石川金次郎

    ○石川委員長代理 この際政府の御意見があれば承りたいと存じます。
  33. 國宗榮

    國宗政府委員 請願の御趣旨につきましては、まつたく同感でありまして、まことに傾聽すべき御意見だと存ずる次第であります。ただ遺憾なことには、御承知の通りに軽犯罪法案は、すでに四月三十日法律として成立し、五月一日から施行中でありますので、御希望の点はさしあたり不可能ということになりました。もつとも御趣旨の中の第一の貼札、貼紙の点につきましては、軽犯罪法の第一條の第三十三号に「みだりに他人の家屋その他の工作物にはり札をし」云々という規定がございますが、この條項に該当すると思いますので、この点につきましては、御趣旨は達していると存ずるのであります。ただそのほかの二点については、軽犯罪法には一應該当いたしませんが、第一國会で制定されました道路交通取締法の第二十六條によりますと、道路に露店あるいは屋台店を出したり、また道路に碑表、廣告板、飾塔等を設置する場合には警察署長の許可を要することになつております。またこの道路の中には、当然橋梁も含むと考えられますから、この点につきましては、御趣旨は大体これによつて達成される場合もあり得ると考えております。なおこれによりましても、不十分な点は、今後の軽犯罪法の実施によりまして、改正の際に考慮いたしたいと考えます。
  34. 石川金次郎

    ○石川委員長代理 本件について御質疑はございませんか。それでは本件についての審査は一應終りましたが、なお盡さない点は、適当な機会に取上げたいと思います。     —————————————
  35. 石川金次郎

    ○石川委員長代理 次に日程第三、岩井町に簡易裁判所設置請願、文書表第六一五号を議題といたします。專門調査員より説明を願います。
  36. 村教三

    ○村專門調査員 岩井町に簡易裁判所及び檢察廳設置についての請願、新憲法の実施に伴い、簡易裁判所及び檢察廳が新に設置され、明朗にしてしかも民主的な裁判執行されますことは、まことによろこびにたえない次第であります。さてわが岩井町は、鳥取縣岩美郡東部國道第十八号線中に位置し、往時より温泉街としてあまねく世に知られ、警察署、登記所、郵便局等、國家行政機関の分廳もあり、市井の態勢を保持し、本町財政の大半を負担しておる状況であります。仄聞いたしますと、目下貴廳におかせられては、当岩美郡東部に標題の機関を新設せられます趣き、隣接浦富町外数箇町村より本件について熱心なる運動を開始しているようでありますが、本町は前記の通り各種公共施設の恩惠により、その生命を維持しているような次第でありますので、新設されんとしている機関と最も密接な関係を有せらるる岩井警察署所在地たる当町へ設置方要望いたします。ここに謹んで請願申し上げる次第であります。
  37. 石川金次郎

    ○石川委員長代理 この際政府に御意見があれば承りたいと存じます。
  38. 岡咲恕一

    岡咲政府委員 ただいまお述べになりました御請願の御趣旨は、よく了承いたしました。簡易裁判所及び区檢察廳の設置につきましては、最初一警察署に対し一つの簡易裁判所と一つの区檢察廳とを設ける方針でありましたが、予算の関係上大体二つの警察署に対し一つの簡易裁判所と一つの区檢察廳とが設けられたのでありまして、現在全國に五百五十九箇所の簡易裁判所と区檢察廳が設立せられておりますが、四月一日現在におきまして、建物等の関係から、未開廳のものがなお六十数箇所ありまして、政府といたしましても、これらの開廳法に全力を盡しておるのでありまするが、仰せのように簡易裁判所及び区檢察廳の新設方につきましても、熱心に陳情または請願の次第もありますので、最高裁判所ともよく協議いたしまして、財政その他の事情の許す限り、なるべく御希望に副うように努力いたしたいと存じますから、さよう御了承をいただきたいと存じます。
  39. 石川金次郎

    ○石川委員長代理 本件について御質疑ございませんか。それではこれにて本件の審査は一應終りましたが、なお盡さない点は適当の機会に取上げたいと思います。     —————————————
  40. 石川金次郎

    ○石川委員長代理 次に日程第七、戸籍事務公吏を官吏に登用の請願、文書表第八二三号を議題といたします。專門調査員の説明を願います。
  41. 村教三

    ○村專門調査員 戸籍事務公吏を官吏に登用する請願、戸籍事務は國の行政事務なるにかかわらず、地方自治機関の代表たる市区町村長をもつてこれを管掌せしめておりますが、実際上市区町村長は名義のみにて、そのほとんど全部は、市区役所または町村役場の吏員をしてこれを取扱わしめております。しかしその責任者たる市区町村長においては、これが事務を理解しておる者皆無と申すもあえて過言ではなく、この事務は國政の最も重要なる基礎をなすものでありますから、都道府縣または市区町村の行政の大部分は、戸籍なくしてはほとんどこれを行うことができないものであります。從つて市区町村の他の一般行政事務に比して、最も重要なる地位を占めておることは、何人もこれを認めねばならぬはずと思いますが、往々にして軽んぜられ、事務の澁滯を來す等のおそれあるは、はなはだ遺憾な次第であります。これに反して、同じ國の行政事務である登記事務は、國の官吏をして司法行政の監督下におかれ、その事務の万全を期しておるものであります。しかるに戸籍事務は、同じ司法行政の監督であるといえどもも、市区町村の経費をもつて市区町村長の管掌に属するがゆえに、戸籍事務担当者は、このほかに数量の事務を兼務せざるを得ない状況にあり、殊に近時戸籍事務は、一層激増複雜を極むるのみにて、これが取扱いの当否遅速は、ただちに國家の政務並びに私人の権義に至大の関係を有するのみならず、國策遂行上にも、甚大なる影響を及ぼすものと思考いたす次第であります。よつて戸籍事務も司法行政の監督下にある登記事務と何ら区別することなく、速やかに國家の官吏に登用し、しかして各市区町村にこれを駐在さるるならば、戸籍事務の適正迅速なる処置をなし得ることは、信じて疑わざるところであります。  希くは右願意何とぞ御洞察の上、名義のみの市区町村長の管掌を改め、実際上の戸籍事務担当者たる市区町村吏員を國家の官吏に登用し、しかして市区町村に駐在せしめ、もつて新憲法下における戸籍事務の万全をはかられんことを請願いたします。
  42. 石川金次郎

    ○石川委員長代理 政府の御意見があれば承りたいと存じます。
  43. 佐藤藤佐

    ○佐藤(藤)政府委員 戸籍事務が國家の重要な行政事務であるひとは、ただいま仰せの通りでありまするが、この戸籍事務担当の市町村吏員を、今ただちに國の官吏に登用いたしますことについては、その経費の莫大なる点に鑑みて、とうてい実現が困難であろうと存ずるのであります。また機構の上から考えましても、さらに研究の余地があると存ずるのであります。しかしながら、この重要な國家行政事務を市町村に委任いたしておりまする関係上、國においてもできるだけその経費を負担する必要がありまするので、本年度においても、地方税のうちから数億円を戸籍事務担当者に要する経費として、市町村に補助するという提案もあるやに伺つておりますので、さような提案が実現いたしますれば、戸籍事務担当の市町村吏員も、安心してその職務に專念することができるのではないかと考えられます。
  44. 石川金次郎

    ○石川委員長代理 本件について御質疑ございませんか。——それではこれにて本件についての審査を一應終りましたが、なお盡きない点は、適当な機会に取上げたいと思います。     —————————————
  45. 石川金次郎

    ○石川委員長代理 紹介議員が見えておられませんので、残余の日程はこれを延期し、本日はこれにて請願審査を終ります。     —————————————
  46. 石川金次郎

    ○石川委員長代理 次に少年法改正する法律案議題とし、審議することにします。中村委員。
  47. 中村俊夫

    ○中村(俊)委員 少年法第十一條二項「家庭裁判所は、正当の理由がなく前項の呼出に應じない者に対して、同行状を発することができる。」こういう規定がありまして、これを第十三條によつて同行状は、少年保護司が、これを執行する。」なお第二項に「家庭裁判所は、警察官警察吏員観察官又は保護委員をして、同行状執行させることができる。」こう書かれておるのですが、この場合にこの同行状は、いわゆる刑事訴訟法上の勾引状に相当すべきものだと思われるのですが、警察官警察吏員等が、同行状執行することはわかりますが、それ以外の観察官または保護委員あるいは少年保護司に、同行状執行せしむるということは、特にこの規定によつて與えられるのであるか、ほかにそういう権限が與えられておるものが執行し得ることになつておるか、お伺いいたします。
  48. 石川金次郎

    ○石川委員長代理 これより筆記にいたします。     —————————————     〔以下筆記〕
  49. 佐藤藤佐

    ○佐藤(藤)政府委員 お尋ねの少年法第十三條において同行状執行をする職名を列挙しているのであるが、その権限はこの規定によつて生ずるのであるます。
  50. 中村俊夫

    ○中村(俊)委員 第十一條第二項の同行状については、第二十六條の同行状と違い、少年が除外されているものと思うがいかん。
  51. 佐藤藤佐

    ○佐藤(藤)政府委員 第二十六條に規定する同行状執行については、兒童福祉司及び兒童委員が、特に掲げられているが、第十一條の同行状は、少年を同行することと違い、保護者調査等が主なるものゆえ、兒童福祉司及び兒童委員を除外し、第十三條の少年保護司警察官警察吏員観察官または保護委員に限つたのであります。
  52. 中村俊夫

    ○中村(俊)委員 「少年又は保護者」とあつて少年も加わつているが、少年をあまり問題にしないという趣旨であるか。
  53. 佐藤藤佐

    ○佐藤(藤)政府委員 第十一條の同行状は、第二十六條の決定執行と違い、裁判する前に、少年または保護者を取調べる捜査の段階に必要な同行状であるから、わざわざ兒童福祉司または兒童委員を煩わす必要はないと思つたのであります。
  54. 中村俊夫

    ○中村(俊)委員 私は少年の刑事裁判については知つているが、家庭裁判については、あまり知らないから、家庭裁判の実情を知りたいと思う。一日で終りますか。犯人を調べたり、証人を喚問したり、相当の日数を要するのではないか。そのときの本人の拘束状態いかん。というのは、少年を未決においておくような規定が見えるから……。
  55. 佐藤藤佐

    ○佐藤(藤)政府委員 從來少年審判所において、少年、受取り、その日に審判できる例は少い。今後少年審判所家庭裁判所に変り、專門家を置き、調査鑑別する方法をとるので、少くとも二、三日継続して調査しなければ審判はできない。欧米でも三日は要します。
  56. 中村俊夫

    ○中村(俊)委員 拘禁の状態について。監護所を利用して拘禁しておくのか。
  57. 佐藤藤佐

    ○佐藤(藤)政府委員 保護処分決定までは、保護デイテンシヨン・ホーム監護しておく。相当自由が拘束される。逃走のおそれのないように施設をつくる。
  58. 中村俊夫

    ○中村(俊)委員 第二十四條「家庭裁判所は、前條の場合を除いて、審判を開始した事件につき、決定をもつて、次に掲げる保護処分をしなければならない。」これに対して、第三十二條には「保護処分決定に対しては、決定に」云々とあるが、決定には詳しい内容がなければならない。この決定内容をお伺いしたい。
  59. 佐藤藤佐

    ○佐藤(藤)政府委員 第二十四條により家庭裁判所保護処分決定をなす形式と要件は、最高裁判所のルールにより定められると思うが、立案者としては、普通の判決に準じて、事実関係理由等を明らかにせねばならぬ。
  60. 中村俊夫

    ○中村(俊)委員 最高裁判所の規則で定めるというが、それに関連して、第三十六條「この法律で定めるものの外、保護事件に関して必要な事項は、最高裁判所がこれを定める。」とあるが、保護事項は憲法第七十七條のどの事項に根拠をおくものであるか。
  61. 佐藤藤佐

    ○佐藤(藤)政府委員 憲法第七十七條「最高裁判所は、訴訟に関する手続弁護士裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。」によるのでありますが、刑事訴訟法によるものもあるが、別に断り書きしてない場合が、規則制定権に入る。規則制定権に入る事項中には、一部は訴訟に関する手続、一部は裁判所の内部規則また一部は司法事務処理に関する事項である。
  62. 中村俊夫

    ○中村(俊)委員 第二十五條の意味について伺いたい。二十五條措置のみによつて目的を達すればそれでいいのであるか。
  63. 佐藤藤佐

    ○佐藤(藤)政府委員 第二十五條は、保護処分決定するため必要な処分、いわゆる仮処分ゆえ、それをもらつて相当な期間観察し、決定に熟したとき、第二十四條により本決定がなされる。
  64. 中村俊夫

    ○中村(俊)委員 次に第二十三條第二項にある「審判の結果、」と第二十五條措置との関係はどうであるか。
  65. 佐藤藤佐

    ○佐藤(藤)政府委員 仮処分の結果審判の必要ないとき、審判を開かないで、ただちに第二十三條第二項の処分をせねばならぬ。ただ立案者は、審判を開かないうちに、保護処分の要なしと認めるとき、第二十五條決定をした方が簡略で適当と思う。
  66. 中村俊夫

    ○中村(俊)委員 第三十二條について質問する。これら保護処分決定内容は、最高裁判所のルールできめられ、大体政府の説明では、判決と同じものというが、決定書を渡されたときからでなければ、知る機会が少いと思うがいかん。
  67. 佐藤藤佐

    ○佐藤(藤)政府委員 普通裁判所における決定は、決定書が当事者に送達されてから抗告期間が計算されるものであるから、最高裁判所においても、この間の事情をくんで、ルールで定められることと思う。
  68. 中村俊夫

    ○中村(俊)委員 第四十四條第三号は、令状の効力のことでしようね。
  69. 佐藤藤佐

    ○佐藤(藤)政府委員 仰せの通りです。     午後三時三十分散会