○
岡咲政府
委員 裁判所職員の定員に関する
法律の一部を
改正する
法律案につきまして、前会概括的な
提案理由の御
説明を申し上げましたが、これについて多少御
説明を敷衍いたしたいと思いまして、
委員長にお願いいたした次第でございます。
この
法律案の第
一條は、前会にも申し上げましたように、判事補の定員を現在より五十五人増加することを認めんとするものでございます。これは地方
裁判所におきまして、最近令状
関係の
事件が非常に錯綜してまいりまして、
昭和二十二年五月三日から昨年の末までの地方
裁判所及び支部におきまして取扱いました行政処分の請求
事件の数は、東京高等
裁判所の管内におきまして、合計三万一千四百六十九件でございまして、全國の総計を見ますと、九万八千三百八十二件という厖大なる数字に上
つておるのでございます。これは現在判事もしくは、判事補が主として処理いたしておるのでございまするが、現在の人員では、とうていこの令状
関係事務を迅速に処理いたすことは、はなはだ困難でございますので、
もつぱらこの令状
関係の事務を処理いたさしめますために、新たに五十五人判事細の増員をお願いしておる次第でございます。
それから第二項は司法研究所の教官の増員をお願いいたしますとともに、現在は一級の教官は一人でございますが、これを全部一級の教官にいたさんとするのでございます。司法研究所におきましては、申すまでもないことと存じますが、
裁判官、
檢察官、あるいは弁護士たらんとするところの司法修習生の教育訓練を主務といたすものでございますが、
昭和二十三年度におきましては、この司法修習生の教育のみならず、さらに
裁判官の個別研究をも指導いたす計画をも
つておりますし、そのほか二級及び三級の
裁判所事務官、それから簡易
裁判所判事の再教育とい
つたような問題も計画いたしまして、種々実施計画表を作成いたしておるのでございます。たとえて申しますと、司法修習生の二十三年度の実施計画表によりますと、一年間に約四百人の司法修習生の教育をいたさなければなりませんし、簡易
裁判所判事の指導再教育という点について申しますと、二十三年度中に二百七十人の再教育を一応予定いたしております。
裁判官の研究につきましては三十人、二級
裁判所事務官の再教育につきましては百八十人、三級
裁判所事務官の再教育につきましては六百人という多数の人員の訓練、教育を予定いたしておりますので、この重要なる任務を担う指導教官を選びますためには、現在のように二級の教官をも
つて充てることは、まことに不十分でございますので、教官を全部一級官にいたしますとともに、今申し上げました実施計画を完全に遂行いたしますために、その定員を増加いたしまして、專任十人に改めんとするものであります。
それから第三項の修正は、
裁判所事務官の増員をお願いいたすものでございますが、これは
もつぱら家事審
判所の
事件の処理を迅速ならしめんがためでございまして、三級の
裁判所事務官のうち五名は、司法研究所の機構の拡充のためにお願いいたしておる次第でございます。家事審
判所における受理件数は、
昭和二十三年一月から三月十五日までの全國の数を調べてみますと、審判
事件につきまして二万二百三十九件、調停
事件につきまして四千八百三十一件、
法律相談の事務につきまして八万二千五十四件というきわめて厖大な数字を示しております。現在の定員をもちましては、とうていこの事務を適切迅速に処理いたすべき
裁判所事務官の補助的な仕事を行うことが困難でございますので、人員の増加をお願いいたす次第でございます。
この
法律案につきまして、実は御
説明を兼ねてお願いを申し上げたい点がございます。それは最後に申し上げましたこの
裁判所事務官の増員の点でございますが、これは現在の定員は、この
改正法律案では、第四條中專任三百二十一人二級、專任三千六百九十五人三級を、專任三百六十九人二級、專任三千九百三十六人三級に改めるというような
條文にな
つておりますが、現在の定員は專任二百五十九人二級、專任三千百五十七人三級でございまするが、現に
國会に
提案になりまして審議中の檢察審査会法の附則におきまして、その定員を改めまして、專任三百二十一人二級、專任三千六百九十五人三級に改めるような
規定を附則の中に設けられておりますので、この檢察審査会法がおそらく
國会を通過するであろうという予定のもとに、本案を起草いたしました
関係上、第四條中の基本の員数が、檢察審査会法の附則によ
つて改正されました員数を基本といたした次第でございます。もし檢察審査会法がこの
國会において御可決を得ないということになりますと、この基本の数字を現在の定員に改めていただきます必要があろうかと存ずるのであります。それからさらにその定員に関する
改正法律案は、
昭和二十三年度の暫定予算によるところの増員に基きまして
法律案を起案いたしたのでございまするが、現在
國会に
提案しておりまする二十三年度の本予算におきまして、さらに増員の予算が認められまして、これが御審議を仰いでおるのでございまして、おそらくこの予算案は
國会において御協賛を得られるのではないかと期待いたしておりまするが、もしさような結果に相なりまするならば、この
法律案の新しく増員を認められまする定員は、相当数増加になりまして、その限度におきまして、これまた御修正をお巣いしなければならないであろうと
考えておる次第でございます。なおその詳細につきましては、御
質問によりましてお答え申し上げてもよいかと思いまするが、予算で認められておりまする新しい増員の
部分は、司法研修所の教官が專任十三人で、これが全部一級の教官が認められた次第でございます。言いかえれば現在專任の教官は一級は一人でございまするが、新しく十二人増員として認められた次第でございます。そうして現在ある二級五人の專任教官は削られたわけでございます。
次に
裁判所調査官の員数は、專任が二十人でございまして、そのうち十人を限
つて一級とすることができるように現行法ではな
つておりまするが、二十人全員を一級とすることができるように予算では認められた次第でございます。
次に
裁判所事務官の点でございまするが、これを二級官を総数で申しますると六百九十七人、三級官を四千七十一人に改めることを認められた次第でございます。
さらに
裁判所技官の員数でございまするが、これが現在は專任二人二級、專任十一人三級とな
つておりまするのを、專任四人二級、專任二十五人三級に増員を認められた次第でございます。この予算面において認められました限度おいて、本
法律案もまた増員をお認め願いまして、御修正をお願いいたしたいと
考えておる次第であります。
簡單でございまするが、補足的な御
説明を申し上げた次第でございます。