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1948-06-12 第2回国会 衆議院 司法委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月十二日(土曜日)     午前十時二十四分開議  出席委員    委員長 井伊 誠一君    理事 鍛冶 良作君       岡井藤志郎君    佐瀬 昌三君       明禮輝三郎君    池谷 信一君       石井 繁丸君    猪俣 浩三君       山中日露史君    打出 信行君       中村 俊夫君    中村 又一君       大島 多藏君  出席政府委員         法務調査意見長         官       兼子  一君         法務廳事務官  岡咲 恕一君         法務行政長官  佐藤 藤佐君  委員外出席者         参議院司法委員         長       伊藤  修君         参議院司法委員         会專門調査員  泉  芳政君         專門調査員   村  教三君         專門調査員   小木 貞一君     ————————————— 六月十日  民事訴訟用印紙法及び商事訟事件印紙法の一  部を改正する法律案内閣提出)(第一一九  号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  連合審査会開会に関する件  人身保護法案参議院送付)(予第四号)  判事補の職権の特例等に関する法律案内閣提  出)(第九〇号)  民事訴訟用印紙法及び商事訟事件印紙法の一  部を改正する法律案内閣提出)(第一一九  号)     —————————————
  2. 井伊誠一

    井伊委員長 会議を開きます。  人身保護法案を上程して、その審査を進めます。石井繁丸
  3. 石井繁丸

    石井委員 人身保護法につきましては、参議院伊藤司法委員長より、前回詳細にわたつて提案理由並びに逐條に対する解釈を承りまして、その趣旨は大体了承したのでありますが、その根本の問題にわたり、またこれが運営の実際に当りまして、いろいろと発生すべき事件につきまして、お尋ねしたいと思うのであります。大体憲法で称しておる基本的人権保護を、本法は目的としておるのでありますが、この人身保護法は、英法におきましてヘビアス・コーパスとして発達いたしまして、その歴史的根拠におきまして、いろいろと大きなる変遷を経ております。大きなる歴史的原因をもつておるのでありますが、わが國におきますこのヘビアス・コーパスとほとんど揆を同じくする人身保護法というものを制定するにつきましては、十分に日本におけるところの人権抑圧歴史、これらを包括せられまして、現在における場合いかなるときにおきまして、人権抑圧せられるであろう、また將來いかなる事情におきましては、さようなことが発生せられるであろうか、わが國民性並びに日本におけるところの法制史上における人権抑圧、これらの点を十分考察せられて、立法せられたものであるかどうか、この点をお伺いいたしておきたいのであります。
  4. 泉芳政

    泉參議院專門調査員 わが國におきまする人権蹂躙の例につきましては、石井君のつとに御承知のところと存じます。私から蛇足を加えるまでもないと思うのであります。過去におきましては、警族犯処罰令違警罪即決例とが結びついて、警察官憲によつて人権蹂躙せられたことが、非常に数多かつたことは、顯著なる事実であります。先般軽犯罪法が國会に上程せられました際におきましても、労働運動その他の大衆運動彈圧の具に供せられるおそれがないかということが、声高く呼ばれたわけであります。またそれに相伴つて人権蹂躙が行われるということが危惧されて、その声が起つたものと考えられるのであります。警察犯処罰令違警罪即決例が廃止となつた今日におきましても、なおそうした方面における人権蹂躙は、そのあとを完全に絶つたとは言い切れないのではないかというような氣もいたしまするし、統計的には正確に申し上げかねるのでありますけれども、精神病者ならざる者精神病者として監置して、これを民事紛爭の具に供したというような事例も、これまでに耳にしておるところであります。また刑事訴訟法における勾引勾留等の問題につきましても、その條件の欠けつということも將來考え得えられる問題でありまするし、ただわが國における檢察官、裁判官熟練性考えまして、形式の欠けつなどということはあまり多くあるまいと考えられまするが、しかしこれが拘禁が不当に長くなるというようなことも、また想像せられまするし、それらの場合を想定いたしまして、どうしてもこの人身保護法が必要であろうと考えられますることから、本法を立案するら至つた次第であります。具体的にこの事件、あの事件ということが指示できないことは、まことに遺憾でありまするし、またこれに関する統計等も、実は持ち合わしておりませんことを遺憾に存じまするが、曲象的には石井委員も、十分承知であろうと思いますから、その点ひとつ御了承を願いたいと思います。
  5. 石井繁丸

    石井委員 この問題について、非常に研究を要することは、ただいま泉氏が言われた通り日本においては警察並びに檢事局によつて人権の大きな彈圧近世史上において行われたと言われるのでありますが、実際日本において、人権蹂躙不当拘禁が行われたのは、警察並びに檢事当局におけるところの檢束、並びに警察犯処罰令によるところの、警察におけるところの勾留、並びにそのむしかえし、これは公知の事実だ、もう一つ行われたのは、予審でほとんど調べをしない。自白をしないでいる者は調べをしない。さようなことによつて、二年も三年も予審拘束されたるままにおいて係属をせられた。つまり裁判所によるところの不当なる監禁が長く行われておつたということも、見逃せない事実であろうと思います。もう一つ裁判所保釈をゆえなく許可をしない。本人が犯罪事実を飜えしたというような場合においては、保釈は許さないというようなことによつて、ほとんど長期にわたつて拘束をせられているというような事実も、見逃せないことであろうと思うのであります。かようなことを考えてみますると、人権擁護ということを中心として、イギリスにおきましてはコンモン・ロー裁判所が大活躍をしまして、そうして基本的人権を確立しておる。しかるに日本においては、警察檢事局、並びに裁判所が、反対人権抑圧しておつた。かようなる歴史的経過考えてみますると、日本におけるところのこの人身保護法のあり方、並びに人身保護法を求める相手方というものが、ただちに英米に行われるところのヘビアス・コーパス、この形であつていいかどうかということにつきましては、相当研究を要する問題であろうと思うのであります。この点につきまして、御質問をいたしたいと思うのであります。
  6. 泉芳政

    泉參議院專門調査員 石井委員のおおせの通り、わが國においては、從前人身保護法に関する何らの救済手段もなかつたのであります。從いまして、刑事訴訟法あるいは民事訴訟法と異なりまして、從前の経驗をもたないために、これがいかに運用せられるか、またどういう法律をつくつたらいいかというようなことは、やや暗中模索の感があるのでありますが、さいわい英米法においてヘビアス・コーパスのような先例がありますので、その範をとつて、ひとつぜひここに人身保護法を制定せられ、これによつてその運用の実績を見て、また改めるべきものは改める方がよかろうということで、一應ここに提案いたしましたような案を作成いたしたわけであります。さような意味において、十分御審議を願いたいと思います。
  7. 石井繁丸

    石井委員 大体人身保護法において予見せられるところの保護の問題は、刑事司法において、つまり警察あるいは裁判所において、勾留あるいは抑圧をする場合、並びに労働におけるところの監獄部屋の問題、あるいは長時間労働、これらの問題。次に社会問題として人身賣買、あるいは精神病者なりの監禁、かような刑事司法上の問題、労働における問題、社会問題として発生いたされようと思うのでありますが、これらの場合につきまして、いろいろとその動き方あるいは法の運営方法というような問題も、異なつて発生するような点が多かろうと思うのでありますが、これらの場合におけるところの調査、あるいは行き方等について、御研究をしておりましたならば、御意見を伺いたいのであります。
  8. 泉芳政

    泉參議院專門調査員 石井委員仰せになりました、すべての場合を、ここに網羅するつもりで規定しておるわけでありまして、そのすべての場合について、本法で画一的に大体賄い得るんじやないかというふうに考えておりますが、それがどういう形で現われるかということは、ただ異なるところは、当事者の問題だけでありまして、あと手続は、すべて裁判所によつて、この法文に現われたところで、運用してまいりたいというふうに考えております。
  9. 石井繁丸

    石井委員 この法律適用せられ、すべての場合を網羅するということが、今後あるいは予測しないところからも発生しようと思われるので、困難とは思われまするが、一應一体いかなる場合においてこの人身保護法適用せられるか、かような点を一應考えられ、あるいは構想に入れられたる範囲においてお述べおき願うということは、新しい法律であるだけに、世間一般の人がこの法律を今後運営する上において必要であろうと思われまするから、一應考え得る範囲、あるいは予見せられる範囲におきまして、本法適用せられる具体的実例をお示しを願えれば結構だと思うのであります。
  10. 泉芳政

    泉參議院專門調査員 お答えいたします。まず大きく取上げますと、刑事事件とそれ以外のものということに相なろうかと思いますが、刑事事件の場上は、拘禁されたあらゆる場合、すなわち理論的に申しますと、逮捕勾引勾留、この三つの場合は、すべて対象になると思います。そうしまして、実際問題としては、逮捕の場合は、留まること近々四十八時間を出でないのでありまするから、はたして本法適用する余地ありやということは、相当困難な問題であります。勾留につきましては、單に当初における手続の瑕疵のみならず、全過程における手続対象となろうかと思いますので、不当に勾留が長くなつた場合とか、あるいはべらぼうに保釈金が高いというような場合もはいつてくると思います。勾留上その他の拘禁上の欠けつの場合はもとよりであります。またその拘禁が全然それらの令状によらない場合はもちろんであります。次に刑事事件以外のものといたしましては、先ほど石井委員仰せられましたように、いわゆる監獄部屋に入れられておるような場合、あるいはみだりに未成年者懲戒場に入れておるような場合、それから精神病者でない者を精神病者として病院または私宅の監置室に監置しておるような場合、それから政爭関係、あるいは選挙関係で、反対派の要人を抑留あるいは軟禁しておるような場合、また労働爭議関係で労資が対立いたしまして、その片方が相手方を一室に閉じこめる、あるいは抑留軟禁するというような場合が、さしあたり考えられるのでありますそ。のほかございましたら、またご教示を願いたいと思います。
  11. 石井繁丸

    石井委員 ただいま具体的な実例につきまして説明がありまして、いかなる場合に適用せられるかということの輪郭を得たのであります。なお刑務所においてもはや刑期満了したのに釈放しないというような場合も、それらの実例にはまるのではなかろうかと思いますが、承つておきたいと思います。
  12. 泉芳政

    泉參議院專門調査員 仰せ通りであります。
  13. 石井繁丸

    石井委員 ただいまこの法律適用せられる具体的なる場合が明示せられたのでありまして、それに基いて質問を申し上げたいと思うのであります。ひとつ勾留の問題について質問を申したいと思うのでありますが、勾留が正式なる法律手続によつておらない、かような場合におきましては、当然本法適用があるというのでありますが、勾留法律上の手続從つておらないことは、ほとんどまれなことでありまして、さような場合においては、勾留決定に対する抗告というようなことによつて、ほとんどその点の救済ができるのではなかろうかと思うのでありまするが、この点について御質問をいたす次第であります。
  14. 泉芳政

    泉參議院專門調査員 石井委員の御指摘通りでありまするが、さような場合におきましては、刑事訴訟法勾留決定に対する抗告手続において爭い得ると同時に、本法によつてもまたその救済を求めるというふうに解釈しておるのであります。
  15. 石井繁丸

    石井委員 勾留されたるときの手続は適法であるが、その後に勾留理由が消滅した、あるいはまた勾留理由がない。実質的な問題になるのでありますが、こういうような場合においても、本法適用になるというようなことでありますが、この点については勾留理由の消滅、または勾留理由がないということについては、保釈の申立というようなこと、またその却下決定に対する抗告をするというようなことによつて救済されるのではなかろうかと思うのでありますが、いかがでございましよう。
  16. 泉芳政

    泉參議院專門調査員 大体において石井委員仰せ通りでありますが、ただいま政府から提案になりまして御審議を煩わしておりまする刑事訴訟法改正案の四百二十條の第三項に、勾留裁判に対しては抗告ができる、但し犯罪嫌疑がないことを理由として抗告をすることはできないということが書いてあるのであります。從つてこの限りにおいては、刑事訴訟法手続ではこの点を攻撃できないというふうに相なつておるのでありますが、本法ではそのすべての場合を網羅して救済を求める、というふうに解釈しております。從つてこの点を除く以外は、あるいは刑事訴訟法手続により、あるいは人身保護法手続により、両々相まつてその救済を求めるというふうに解釈しておるのであります。
  17. 石井繁丸

    石井委員 犯罪嫌疑がないことを理由としての抗告という問題なのでありますが、犯罪嫌疑がないのだから、勾留は不当であるというふうの建前に立つて本法適用があるとしますと、さような場合において、本法によるところの一つ裁判がなされたというときにおいて、事実犯罪事件について審理をしておる裁判所と、この法律によるところの人身保護法裁判ということについて、いろいろと矛盾が発生するようなことになろうと思うのでありますが、その点について御質問したいと思います。
  18. 泉芳政

    泉參議院專門調査員 御案内のように、勾留原因としての犯罪嫌疑、これは私がここに御説明申し上げるまでもなく、実質的な判断ではないのでありまして、一應犯罪嫌疑があるかないかということで勾留するわけでありまするから、その勾留状発付裁判をもつて裁判所の見解とは確かにそこに齟齬をきたすわけであります。終局的な裁判をする場合には、何ら支障はないものと考えております。その点御了承願いたいと思います。
  19. 石井繁丸

    石井委員 この法律は、人身保護ということを大上段にかざして、まことに適切な法案であろうと思うのでありますが、われわれとしましては、この法律ということそれ自体よりも、実際人権抑圧せられておる、この個々の場合をいかに救済するかというような立法を十分に考慮いたして、そうして実質上におけるところの人権保護法を確立する必要はあるのではなかろうかと思われるのであります。たとえて言いますと、保釈請求があつた場合において、漫然証拠を隠滅するおそれがあるというようなことによつて拘束が非常に長く続けられるというのでありまして、人身保護法ということによつて、いろいろと活動せられましても、裁判所証拠を隠滅するというこの一点につきまして、いつまでも長く勾留をするというような場合においては、おのずから人身保護が失われるのであります。かような立場から考えてみますると、現在審議に上つておりまする改正刑事訴訟法等につきましても、かような問題を十分に檢討して、そうして合法的に人権抑圧せられるというような場合がないように注意する必要があろうと思われるのでありますが、これらについて今審議されている刑事訴訟法並びに人身保護法との関係、また個々法律の場合において、人権擁護するというようなことに対する考慮は、いかが拂われているか、承りたいと思います。
  20. 泉芳政

    泉參議院專門調査員 保釈請求があつた場合に、被告人罪証を隠滅するおそれがあるからというのでこれを許さなかつた、そこで人身保護請求が出たという場合に、おそらくその勾留が不当に長くなつているという理由で、人身保護救済を求める形になろうかと考えます。そうした場合に、この人身保護の方の裁判所では、いきおい被告人罪証を隠滅するおそれがあるかないかということにまで判断が及ばざるを得ないことになると思うのであります。これはやや仮定の議論になりますけれども、改正案保釈請求を許さない場合の一つとして、四号の、「被告人罪証を隠滅する虞があるとき。」ということは適当なものかどうかということが、おそらくこの委員会でもかなり問題になつていると思うのでありますけれども、参議院司法委員会においても、一体起訴状一本で起訴したものが、罪証を隠滅するか否かということがどうしてわかるかというようなことから、罪証隠滅のおそれという四号は削れというような意見も、かなり活発に行われておるのでありまして、八十九條の四号の運命は、今にわかに予断を許さないような形勢にあると、私は考えておるのであります。そこでかりにこれが原案のまま通つたと仮定いたしまして、人身保護請求を受けた裁判所では、やはりそれを判断して、不当に勾留が長くなつておるかどうかということによつて、あるいは救済し、あるいはその救済を拒むということになるのではないかと考えております。
  21. 石井繁丸

    石井委員 やはり新刑事訴訟法の問題に関連するのでありますが、新刑事訴訟法においては、罪を犯したることを疑うに足る相当の理由ある場合は勾留し得る、こういうふうに規定されまして、現行刑法からみますと、大幅に勾留のでき得る範囲を拡張してあるのであります。そうして拘留して、あと証拠隠滅のおそれがあるといいますると、これはただちに保釈は却下せられる。そうして一審の判決が終るまで勾留しておいて、言渡しがあつて有罪であるという場合においては、もはやその者は保釈請求ができない。かような規定になつておりますと、その一審言渡し後、控訴は、これは覆審制度でなく、一審の審理経過控訴審において調べるというような点に留まつておるといたしますと、もし新刑事訴訟法において、被告人保釈しないで、どうしてもつなぎきりにしておきたいというような場合においては、この証拠隠滅それ自体によつて一審の判決をする。一審の判決をすれば、もはや保釈ということはあり得ないということによつて、今までとにかく一審によつて保釈せられる、そうして控訴によつて一應本人がまた再調べを受けるということが一切断ち切られるようなことになると思う。かような観点から見ましても、われわれは人身保護法という問題を取上げる必要もありますが、かような実際に將來いろいろな人権抑圧するのではなかろうかと思われる傾向のある刑事訴訟法改正案等について十分の研究をするということが、実質上の人身保護法の制定になるのではなかろうかと思われますが、この点につきまして、伊藤委員会のお考えをお聽きしたいと思います。
  22. 伊藤修

    伊藤參議院司法委員長 御質疑の点はわれわれ十分わかるのですが、もちろん現在新しく改正せられる各新法につきまして、御指摘のような人身保護に関するところに対しましては、十分われわれとして留意し、つとめてこれが改正をしていかなければならぬということに対しましては、基本的に考えている次第でありまして、衆議院におかせられましても、もちろんさような点に御留意くださいまして御審議をなされることと存じます。從つて新法に対するところの各手当につきましては、両院におきまして、極力これが人身保護の面に向い基本人権擁護という点に重点をおいて進んでいきたいということは、これは動かすことのできないわれわれの確信であると思うのであります。ただ人身保護をここに特段に制定しなければならぬというのは、憲法基本人権擁護ということが多数の條項をおいて定められておるが、これに対して直接に裏づけする法律が現在日本にはないのであります。間接的に基本人権が毀損せられた場合において、事後にこれを救済する。賠償によつて救済する、あるいは名誉回復によつて救済する、あるいは職権濫用によつてこれを救済する。事後救済手段に対する法規は明治憲法以來あるのでありますが、いわゆる毀損されておる現在の拘禁を、ただちに救済するという法規は、未だかつて存在しない。かような意味合におきまして、他の新法に制定されるにかかわらず、基本的にまずこの法案を存在せしめることが必要だということは、われわれは常に痛感するのであります。こうすることが、やがて基本人権擁護するゆえんであり、基本人権の侵害をなさしめないという裏づけにもなる、かように考える次第でありまして、ここに一般的に人身保護法というものを制定したいと考えておる次第であります。
  23. 石井繁丸

    石井委員 ただいま伊藤委員長は、憲法の各條章におきまして、基本的人権保護ということについていろいろとこまかい規定がある。これに対應して人身保護法というものをつくらなければならぬ。かように申されたのであります。そういたしますと、つまり先ほど申しました通り日本における人権抑圧歴史、あるいは今後予見せられるいろいろな人権に対する制限というようなものを考えますと、裁判所だけによつて人権保護せられる、あるいは裁判所に対する人権保護請求、これだけによつて人権保護せられると考えておられるのか。それとも裁判所によつていろいろな人権抑圧せられるというようなことも多々考えられるのでありますけれども、これらに対する保護はいかにしたらよろしいであろうかというような点についてのお考えがありましたならば、承りたいのであります。
  24. 伊藤修

    伊藤參議院司法委員長 第一のことでありますが、今日の日本制度におきまして、また世界各國の制度におきましても、かような人身に関することに対しまして、どこを一番頼りにするが、どの機関をもつてせしむるかということに対しましては、おそらく石井委員におかれましても、十分御了承賜わることと存じます。今日の制度の上におきましては、これを裁判所をして行わしむることが、もつとも適切ではないかと考えるのであります。しからば第二の御質疑のごとく、裁判所行つた場合にはどうするか。これまたいわゆる他の機関をもつて行わしむることより、裁判所において行わしむる。しかし裁判所において行わしむることは、やがて裁判所の他の部において公平に行われるのでありまして、いわゆる司法権独立、各司法官は独自の正義感をもつて審理されることでありますから、あえてそこに弊害は釀されないと存ずる次第であります。いずれの場合におきましても、これが救済機関裁判所をもつて行わしむることが一番適切であろうと考えておる次第であります。
  25. 石井繁丸

    石井委員 この問題についてでございますが、英米法におきましては、この人身保護裁判所並びに訴願というようなことによつて、この保護が行われてきたと思われるのであります。かような点から考えてみますと、日本裁判所において、裁判権独立、また裁判官が自己の責任において判決をする。あるいは裁判をするということになりますと、違う裁判所において、この人身保護請求をした場合において、不当なる人身抑圧勾留というようなことに対して保護されると思うのでありますが、なお十分將來を考慮する場合においては、英米法においてとられたところの訴願というようなことによつて、あるいは國会、これらについて保護を求めるというような手続も許されるという必要があるのではなかろうかと考えるのでありますが、この点について御意見を承りたいと思います。
  26. 伊藤修

    伊藤參議院司法委員長 ただいま石井委員の御指摘のごとく、構想に基くところの別個な保護機関を設けるということも、あるいは制度上において考えられるべきことと存じます。但し御承知通り、現に拘束されておる人身拘束に対して、ただちにこれを救済せしめなければその実効をもたらさないのでありまして、國会においてこれを取上げて一々現に拘束されておる者の拘禁を解くところのその事実行為に対する手続をとらしむるということは、あるいは第一の手続として、裁判所に行わしむる、それに対してなお國会が予備的に上級的にというふうにその権利をもつということも、また構想考えられないこともありませんが、われわれといたしましては、速やかに拘禁を解きたい、速やかに解放せしめたい、自由を得せしめたいというところに、ねらいがあるのでありますから、從つて本法におきましても、英米法のごときいわゆる上級の裁判所のみに全権を委ねずに、下級裁判所にもこの管轄権を得せしめたという点も、そういう点から考慮されまして、いわゆる二本建てに考えた次第であります。
  27. 石井繁丸

    石井委員 立案にあたりまして、伊藤委員長は速やかにという点を非常に強調せられておるのでありますが、われわれが過去においていろいろ体驗したところによりますと、速やかにということよりは、実際上釈放せられたいという場合が、非常に多かつたろうと思います。たとえば治安維持法当時におきましては、非常に長期にわたつて、警視廳あるいは各警察署によつて、たらいまわしをするということがあつた。あるいは予審等においても、非常に長く置かれる。速やかにというふうにしまして、五日なり十日なり、あるいは一週間なり、こういう短期間のうちに、この法律を発動して、速やかに仕事を仕上げるというようなことが、本案において目標とされておりますが、実際この法律が社会的に活用せられて、あるいは日本における基本的なる人権が、非常に迫害せられまして、そうしてある活動、ある思想、こういうものが抹殺されるような傾向が生じましたときにおいては、速やかにということよりは、ほんとうに人間の人権は尊重せられるものだという立場の上に立つて、大きく活動が開始されなければなるまいと思うのであります。速やかにということでなくて、基本的なる人権擁護せられなければならないのだ、こういう点において、この法案の根本的立方の精神がなければならないと思うのでありますが、この点につきまして、本法は速やかに釈放して拘束を免れしめるということに重点を置くのか。それとも將來あり得るかもしれないところの、日本において基本的人権がいろいろな立場から迫害され、これが根本的に抑圧せられる、こういうことは、全然許されない問題である。基本的人権は、どうしても尊重せられなければならない問題である。こういう基本観念に立つて、この法律が立法せられたものであるかどうか、お伺いしたいのであります。
  28. 伊藤修

    伊藤參議院司法委員長 ただいま御指摘の点でありますが、私が速やかにということを強く申し上げたので、その部面に重点をおかれたようでありますが、先ほど御説明申し上げましたごとく、本法立案の主たる目的は、ただいま石井委員指摘のごとく、われわれ國民の基本的人権憲法が保障する、これを確然といたしたい。いわゆる憲法に明文を設けて、その施行の方面、いわゆる実行の方面について、何ら裏づけがなければ、明治憲法と同樣に空文に帰してします、働きがない、かような意味合からいたしまして、少くとも新憲法下におきましては、憲法に幾多の條項が設けてある以上、裏づけするところの法規を定め、そして國是として、いわゆる日本國家の憲法の大本の考えをまず定め、これによつて十分官権全体に対しまして、基本的人権の重んずべきゆえんを確立させ、万一これを侵された場合におきましては、速やかに本法によつて救済する。こういうような両面相まつて基本的人権の確立を具現したい。こう考えて、本法を立案いたした次第であります。
  29. 石井繁丸

    石井委員 大体今までにおきまして、基本的なる問題についての質問をいたしたのでありますが、以下各條項にわたつて少しく質問いたしたいと思います。第二條でありますが、弁護士を代理人にして人身保護請求をするということが規定せられております。大体弁護士会あるいは弁護士等が、今までにおきまして、人権尊重ということについて、非常な誠意をもち、人権擁護について、大きな活動をいたしますれば、明治憲法下におきましても、あれほど多くの人権蹂躙せられるようなことはなかつたであろうと思います。むしろ日本において人権蹂躙歴史があつたということは、弁護士の活動が不十分であつたという点に、大きな原因があるのではなかろうかと考えるのであります。かようなことを考えてみますと、些々たる事件あるいは警察、あるいは一檢事局を相手にする、あるいは一人の判事を相手とするときにおいての人権保護は、弁護士をもつてしてもよろしかろうと思いますが、大きなところの社会の人権を、どうしても保護しなければならない、強力なる團体を背景とするところの力、あるいはさような威力に対してやるときにおきましては、むしろ弁護士が今までのあり方から見ると、非常に弱体なものであるのではなかろうか。むしろこの場合において、弁護士を代理人とすることは、人権をこれによつて尊重する弁護士は、人権擁護の代理人なりという考えら出ておるのであろうと思いますが、歴史の過程において、ものを考えますときに、むしろこれは代理人ということではなくて、あるいは政党あるいはいろいろな人権擁護團体、こういうようなものに、十分にさせるというところの幅を拡げる必要があるのではなかろうかと思いますが、この点についての御意見を承りたいと思います。
  30. 伊藤修

    伊藤參議院司法委員長 過去における弁護士の活動及び態度につきましては、御指摘のような事実も首肯せられるのであります。しかしながら、われわれといたしましては、殊に新憲法下において、近く弁護士法が制定せられる場合におきましても、今後の弁護士といたしましては、さようなあり方であつてはならないと固く信ずるのであります。弁護士といたしましては、將來におきまして、少くとも社会を指導していくところの、正義の第一線に立つていかなくてはならぬと思うのであります。また弁護士の職務、地位というものが、過去における弁護士の状態であつてはならないと思います。もつともつと向上せられなくてはならぬ。これについては、弁護士各自並びに弁護士会の特に自粛自省にまたなければならないと思います。こうあることが、今後の弁護士道であり、地位であろうと思うのであります。この第二條の弁護士をもつて原則として代理人にしなくてはならぬという趣旨は、御承知通り、この人身保護というものが重要な関係をもちます。殊に相手方は官憲の場合があり、また強力なる事実上の権力と力をもつているものを相手として鬪わなくてはならぬ。かような意味からいたしまして、前提に申し上げました、將來さようにあるべき弁護士をもつて、これに当らしめる、こうすることが最も適切ではないか。しかしながら、現在の日本の状態をも鑑みまして、いわゆる例外といたしまして、本人をもつてもこれをなさしめる、こういうふうにいたしました。あるいは例外が原則になつて、事実上行われるかも存じませんが、さような趣旨において、第二條を規定されたのであります。ただいま石井委員の御指摘のような他の團体、たとえば自由人権協会というような團体をもつてやらしめるということも、考えられるのでありますが、その場合においては、もしさような事実があるといたしますれば、第一條の第二項において、何人もここにおいて自由人権協会がみずから人権擁護に立つて、当事者として爭い得るのでありますから、さような場合は、それによつて賄い得ると考えられるのであります。
  31. 石井繁丸

    石井委員 第三條で、管轄の問題になるのであります。たとえば高等裁判所において拘束している。これについて、その下の地方裁判所人身保護の要求をすることができるというふうなこてになると思うのでありますが、かようなときにつきましては、事実上この目的が非常に達しがたいというようなことができようと思います。これらの点は、管轄の点について御考慮してあるかどうか承りたいと思います。
  32. 泉芳政

    泉參議院專門調査員 その点も考えたのでありますが、現在の裁判機構においては、裁判官としてはさようなことをあまり意に介しない、断固として職務に邁進し得る制度になつているというふうにも考えましたし、また場合によつては、最高裁判所が、印刷では原案の十九條となつておりますが、今度改めて二十條になつております。「最高裁判所は、特に必要があると認めるときは、下級裁判所に係属する事件が、如何なる程度にあるを問わず、これを送致せしめて、みずから処理することができる。」という條項の活用によりまして、最高裁判所がこれを引取つて処理し得るという途を開いてありますので、賄い得るというふうに考えております。
  33. 石井繁丸

    石井委員 第四條でありますが、この條文におきますと、どこに拘束されておるかわからないというような場合においても、初めの構想においては、保護が求められるというふうな條文であり、その後字句が修正されておるようでありますが、実際法案の趣旨とすると、どこにおるかわからないというような場合においても、この保護を受けるということをお考えのようでありますが、もしさような場合においては、一体裁判所がいかなる方法によつてその本人の所在を確かめる。拘禁されている事実を確かめることができるかどうか、かような点についての考えを承わつておきたいと思います。
  34. 泉芳政

    泉參議院專門調査員 何人もどこに拘禁されているかわからないというような事案については、ちよつと手のつけようがないと考えられます。
  35. 石井繁丸

    石井委員 第五條であります。「必要な疏明を欠いたおるときは、決定をもつてこれを却下することができる。」というような條文に、第五條ができておるのでありますが、実際は人身保護を求めるのは、相当急な場合もあり、そしていろいろな事情によつて必要な疏明の材料を求めるというふうなことも困難であろう、かような場合において、かように端的に必要な疏明の材料を欠いておるというので、ただちに決定をもつて却下をするというようなことは、本法律の建前からして、適当であるかどうかを伺います。
  36. 泉芳政

    泉參議院專門調査員 本法適用されるような場合は、それがその本法救済に値しないということが、非常に明瞭な特殊な場合であろうと考えられまするので、この必要な疏明と申しますることは、非常に廣く解釈するように考えております。たとえばその拘禁されているという事実を知つているだれかを連れていつてもいい。つまり証人でもいいというように考えておりますので、その疏明を欠くということは、おそらく稀有な場合ではないかと、かように考えております。從つて第五條が動く場合も、非常に少いことになろうと、今のところは考えております。
  37. 石井繁丸

    石井委員 これは今後運営上いろいろ問題が起ろうと思いますが、一体この人身保護法手続の進め方は、大体民事訴訟法規定に則つて進めていくものであるか、刑事訴訟法に準じてこれを適用するものであるかどうか。またこれは刑事的裁判の性質のものであるか。民事的裁判の性質のものであるか、これらについて御意見を伺いたいと思います。
  38. 泉芳政

    泉參議院專門調査員 まつたく新しい法律であり、議員立法の関係もありまして、本法はごくその要点を、ごくわずかの條文に盛つたわけであります。その詳細は最高裁判所の規則に委ねておるのでありまするが、その根本的な観念といたしましては、大体民事訴訟的な性格のものになろうかと考えております。
  39. 石井繁丸

    石井委員 大体自分の質問は終つたのであります。冒頭において質問いたした通り人身保護法は、大陸において発達しない、英米においてこれが発達しておる。またさようなる法案の発達、あるいは基本的人権の尊重というものは、日本自体においてはほとんど発達しておらないというふうなことを考えますと、日本においてこの人権保護ということは、非常に重大な問題でありまするが、これを保護する方法、あるいはこれらの立法ということは、日本歴史と、あるいはまた断圧がいかなる形をもつて行われたか。それらの点を十分に考慮して、現在ということでなく、將來をも考慮に入れて、いろいろと対策を立てないと、この法律はつくりましたけれども、効をならない。またこの法案それ自体に則りますると、ほとんど勾留に対する保釈を申請するとあうような場合、あるいは裁判所に対して勾留理由の解除を求めるというような問題自体が全部本法による人身保護請求のような形になつて現われるのではなかろうかとも考えられるのであります。そうすると、極端に言いますと、裁判所においては煩瑣の弊にたえない。逆に極端な場合によると、本法は全然適用せられないという場合が発生されるように思うのだが、実際上に基本的人権保護されるという点において、いろいろと考慮は拂わなければならぬと思うのでありますが、それらの点についてのお考えを最後に承つて、私の質問を終りたいと思います。
  40. 泉芳政

    泉參議院專門調査員 本法の存在自体によつて裁判官が戒心いたしまして、あるいは刑事訴訟法により、あるいはその他の法律によりまして、人身保護に十分な意を注ぐようになつたならば、立案者としては、十分にその目的を達したものじやないかというふうにも考えております。御承知でもありましようが、イギリスにおきましては、数百年の歴史を経た結果、人身保護による請求は、一九三三年において、わずかに十五件という記録を示しておるのであります。わが國においても、できる限り近い機会において、さような少い統計的な数字を見るような人身保護のもつたきを期したいと考えている次第でございます。
  41. 井伊誠一

    井伊委員長 猪俣浩三君。
  42. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 総体論は石井委員がおやりになつたと思いますから、私は小さいことを二、三お尋ねしたいと思います。けさも「東宝撮影所を脱走して」というようなパンフレツトを読みましたが、労働爭議のような場合に、團体的に生産管理みたいなことで、いわゆる團体をカン詰にしているような場合があると思うのであります。そういうような場合に、やはり法律適用になる仕組になつているかどうかを伺いたい。
  43. 泉芳政

    泉參議院專門調査員 そうした場合には、もちろん拘束せられている者の意思に反しているわけでありまするから、本法適用によると思います。
  44. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 そうすると、労働組合で生産管理をやつているような場合、被告には何人を相手にする、そうしてその手続はどういうことになりますか。こういうことは、これから頻々と起ると思います。
  45. 泉芳政

    泉參議院專門調査員 その場合には現に拘束をしている者を探しまして、その者が相手方になるというふうに考えております。
  46. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 もしその場合に年少氣鋭の士があつて、本人自身は労働組合員として同僚と生産管理労働爭議をやつているのでありますが、その親近者なり、親友なりが心配をして、この請求をしたというような場合はどうなりますか。
  47. 泉芳政

    泉參議院專門調査員 本人が承諾しておりますれば、問題にはならないと思います。
  48. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 それならばそれで調和するものでありますが、今この本質が民事訴訟的のものであり、しかも人格権ということが基礎になつておるような提案理由の説明があつた。人格権と申しますと、一身專属の権利であるから、これに対した他人が請求するというときの行使は、これをどうするのであるか、その点をお伺いいたしたい。一身專属権を他人が代つて行使するというような場合には、どういうふうに調和するか。刑事訴訟的のものならば意味がわかりますが、純然たる民事訴訟的意味で、これは名誉権であり、人格権を基礎にしておるということになると、一身專属権を他人が拘束するというような形で、ちよつと調和しにくい法理になると思いますが、どういうように説明するか。
  49. 泉芳政

    泉參議院專門調査員 その点は人格権という言葉はあまり適当じやないと思いますが、要するに何人も被拘束者のためにその請求をするのでありましと、一身專属権という観念をここに取入れておるわけではないのであります。
  50. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 民事訴訟的なものだとすることが、一体どういうものかという疑点があるのでありますが、これは確実あることにして、その次はこの人身保護法は、裁判所に対してするのでありますから、それから先というものは、裁判所の問題になると思いますけれども、この法案をつくりますときのお考えにあつたかどうか。裁判官と捜査官でありますが、殊に司法警察職員との関係、これが先ほどの御答弁にも、どうも拘束した人がわからなければ仕方がないということでありますが、捜査してそれを分業のようにすることが必要じやないかと思う。そうすると裁判所が檢事、司法警察職員に依頼しなければならぬことが起ると思うが、そういうことについては、どういうふうにお考へになつたのでありましようか。
  51. 泉芳政

    泉參議院專門調査員 その点は先ほど來仰せになりましたる民事訴訟的性格ということに関連をもつのでありますが、要するに人身保護請求は、被拘束者のために救済を申し出る者が、いわゆる原告的な立場になつて拘束者が被告的な立場になるという構想で進められるものであるから、さように申し上げているわけであります。從つてどこに拘束されておるかわからぬというような場合には、仰せのように警察を煩わして、それを捜索するということも考えられるのでありまするが、それは人身保護請求の前の手続として、現在でも警察がやつておりまするように、捜索願と申しまするか、そういうような手続で、一應拘束の場所が明瞭になつてから、初めて人身保護請求に出るということに相なろうかと考えます。
  52. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 それから第一條「法律上正当な手続によらないで、」ということがたいへん肝要なところだと思うのであります。そうしてこの御説明からすると、刑事訴訟法規定に基く令状によらない場合、令状がその公式要件を具えていない場合、令状が権限ある裁判官によつて発せられない場合、こういう場合は、要するに公権力によつて拘束の場合の、法律上正当な手続によらない場合であるというふうに、御説明になつたのでありますが、新しい刑事訴訟法によりますと、令状によらないような場合が三つあると思うのであります。緊急事件のような場合、それから現行犯の場合はもちろんでありますが、令状をたまたま持つておらないでも、司法警察官吏は逮捕できる場合というふうに、三つあつて、これが憲法違反じやないかという議論が相当あるのでありますが、この人身保護法案の場合におきまして、令状によらないで逮捕したようなものに対しまして、この規定適用になるのかどうか、これを承りたいと思います。
  53. 泉芳政

    泉參議院專門調査員 刑事訴訟法で、令状を示さないで逮捕できる場合という規定があるのでありますが、あの場合にも、令状が発付されておることが要件となつておりますので、あの條項憲法規定に反しない限り、違法でないと考えられるのでありますが、從つてあの條項による逮捕等は、法律上正当な手続によるものであるというふうに解釈せられるのであろうと考えます。
  54. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 これは拘束が実体法上正当であるかどうかということを言うのではない。形式的な意味で正当かどうかということを言うんだということになつておりますから、あるいは議論がないかもしれませんが、事実上の問題といたしまして、たとえば新刑事訴訟法に、保釈のことが規定されておりまして、今回は原則として保釈請求があれば許可しなければならぬということになつておるのであります。但し証拠隠滅のおそれがある、あるいは逃亡のおそれがあるということになると、保釈しなくてもいいようになつておるのであります。われわれが弁護士としての経驗によりますと、どうも裁判所はめんどうくさがつて、なるべく保釈しないで裁判をしたいという意向が強く、今までの裁判官においては、何でもかんでも、証拠隠滅のおそれがあるというので保釈しないという傾向があつた。今度の新刑事訴訟法では、証拠隠滅のおそれがある場合は、保釈いないでいいということになつておりますが、そうするとやはり從來の慣習から、不当に保釈を制限するような場合があるのではないかと考えますが、そのような点については、この法案をあくる場合において、御考慮にならなかつたのでありますか。
  55. 泉芳政

    泉參議院專門調査員 仰せのような場合は十分考慮してつくつたつもりであります。しかしてさような場合は、すべて本法によつて救済を求め得るというように考えております。
  56. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 そうするとそれは第何條によりますか。法律上正当な手続によらない場合の御解釈は……。
  57. 泉芳政

    泉參議院專門調査員 法律上正当な手続によらない場合と申しますのは、これは英訳ではプロパー・イン・ザ・プロセスとなつておるのでありまして、当初の手続のみならず、その手続の全過程というふうに解釈しております。最初の勾留手続が正式に行われましても、その勾留が不当に長くなるというような場合は、もちろんこれにはいるというように解釈しておる次第であります。
  58. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 今の保釈の場合でありますが、これは形式上の問題でない。結局これは実体法上正当であるかどうかという問題であります。不当に長いかどうかということは、形式上の問題でなく、実質上の問題である。なお逃亡のおそれある場合、あるいは証拠隠滅のおそれがある場合ということも、形式上の問題でなく、実体法上の問題であります。そこであなた方の御説明によれば、これは実体法上正当であるかどうかということではなくて、形式上という説明であつたために、この疑問が出るのであります。一旦有効な勾留状が出されて、それが継続しておるというようになれば、形式的には不備がないのでありますが、それが一体至当であるかということで、実体的な問題に変化するのではないか。あるいは逃亡のおそれ、証拠隠滅のおそれがないのに、なおそういうことにするのは不当だということになると、これは実体的な問題になる。そうすると、提案理由の御説明のように、形式的ということに重きを置かれますと、そういう場合にはこの法律適用がないじやないかという疑いが出るのでありますが、それはいかがでありますか。
  59. 泉芳政

    泉參議院專門調査員 御説明申し上げました中に、実体的と申しますのが、少しく言葉が足りなかつたかとも思うのでありますが、公判の裁判における事項というような意味で書いておるのであります。從つてあるいは有罪、無罪、免訴というような公判の裁判対象となるような事項をもつて勾引してはならない。しかしいわゆる手続上のことはよろしいというような意味で、形式という言葉を使つておるのであります。從つて勾留に関して、先ほど來問題になつておるような事柄は、すべていわゆる形式的、手続的な問題であるというように解釈しておる次第であります。
  60. 井伊誠一

    井伊委員長 それでは本案につきましては、他の質問者の都合もありますので、次会に讓ることにいたします。     —————————————
  61. 井伊誠一

    井伊委員長 次に判事補の職権の特例等に関する法律案を議題といたします。政府の説明を願います。兼子政府委員。
  62. 兼子一

    ○兼子政府委員 ただいま議題となりました判事補の職権の特例等に関する法律案提案理由を申し上げます。  新憲法の施行によりまして、わが司法制度に画期的な改革が行われ、司法の職責のきわめて重大となりましたことは、いまさら申し上げるまでもないところでありまして、政府といたしましても、この重責を担う裁判所の機構の整備充実に、でき得る限りの力をいたしてまいつたのであります。しかしながら、終戰後のこの深刻多難な社会情勢のもとにおきましては、裁判所の機構の整備は、容易ならぬことでありまして、裁判所の廳舎、その他諸種の物的設備が十分に整わないことはもとより、人員の整備充実の点につきましても、困難を感じているのでありまして、本年三月末日現在の裁判官の欠員は三百六名に達し、特に判事の欠員は百八十二名の多きに達しているのであります。この裁判官不足の原因については、いろいろ考えられるのでありますが、そのおもなるものとしては、裁判官の待遇が、必ずしも十分でなかつたことと、その負担があまりに過重であることがあげられるのでありまして、このため裁判官の献身的な努力にもかかわらず、未済事件は増加の一途をたどり、現状のままに推移するときは、司法の運営に重大なる支障を來すおそれなしとしないのであります。このような事態に処する対策としては、裁判官の待遇を改善して、廣く有為の人材を吸收して欠員の補充をはかることと、裁判官を増員してその負担を軽くすることであります。裁判官の待遇につきましては、さきに提案して法律案によりまして、相当の改善をみることになつたのでありますが、これとて決して十分のものでなく、これのみでは今日ただちに裁判官不足の悩みを解消することは困難と存じますので、当面の措置といたしましては、現在活用し得る人材を、最も有効に活用いたしたく、その方策としては次の二つのことが考えられるのであります。第一は、判事補の活用であります。裁判所法によりまして、判事の地位は著しく高められ、判事に任命せられるには、司法修習生の修習を終え、考試に合格した後、裁判官、檢察官または弁護士等として十年以上の経驗を積まねばならず、それまでは、判事補または簡易裁判所判事としてのみ、裁判官の職務を行ひ得るにすぎないのでありまして、判事補としては、原則としては一人で裁判をしたり、同時に二人以上会議体に加わり、または裁判長となることができないというような、職権の制限を受けておるのでありますが、判事補の中には実質上判事たるにふさわしい十分な力量と経驗とを有しながら、形式上の資格要件を欠くために、判事たり得ないものが少くなく、今日の情況にありましては、これらの人々を十分に活用してしかるべきことと存ずるのでありまして、判事補のうち、裁判官、檢察官またた弁護士としての経驗年数が五年以上にもなり、最高裁判所が、判事としての職務を行わしめるに適するものと認めた者には、判事として職務を行わせるようにすることが、この際きわめて適切であり、かつ必要であると信ずるのであります。  次に第二の方策としては、裁判所法に規定せられておりまする裁判官の任命資格に関する経過規定改正でありまして、現在これに関する規定としては、裁判所法施行令の第八條ないし第十條及び第一回國会を通過成立した裁判所法の一部を改正する法律(昭和二十三年法律第一号)の附則第二項ないし第四項等がありまして、裁判所構成法による判事もしくは檢事の在職、これらの職につく資格を有する者等の朝鮮、台湾、関東州、南洋廳及び満州國における裁判官の在職、これらの外地もしくは満州國における檢察官の在職または行政裁判所評定官、司法研究所指導官、司法書記官等の在職の年数は、これを裁判所法による判事、判事補、檢察官、司法研修所教官または法務府事務官——現在の法務廳は、別に法案を提出して法務府と改称いたしたいと思いますが——等の在職の年数とみなすこと等が定められておりますが、この際これらの規定をさらに拡張して、内地、朝鮮、台湾、満州國または蒙古等で実質上右に述べた諸官職と同樣な法律的の事務を取扱う職にあつた者についても、一定の條件のもとに、その在職年数をこれに算入することとし、なお、朝鮮、台湾及び関東州の弁護士の在職年数をも、弁護士法による弁護士の在職年数とみなすこととして、実質上十分なる知識と経驗とを有しながら、形式上の資格要件を欠くために、判事簡易裁判所判事、または判事補等となり得なかつた者に、それぞれその資格を與えて、これを十分に活用することが必要であり、かつ適当であると存ずるのであります。  この法律案は、以上申しましたよな趣旨で立案提出いたしたのでありまして、第一條は、判事補裁判所法第四十二條第一項各号に掲げる判事補、簡易裁判所判事、檢察官または弁護士等の職の一または二以上にあつて、その年数を通算して五年以上になる者のうち、最高裁判所の指名する者は、当分の間、判事補としての職権の制限を受けないものとし、またその属する地方裁判所の判所官会議の構成員となり、管内の簡易裁判官の職務を行う権限を有することを定め、第二條は、裁判所構成法による判事または檢事たる資格を有する者が、同條に掲げる内地、朝鮮、台湾、満州國及び蒙古連合自治政府等における各種の職にあつたときは、その在職年数は、裁判官の任命資格に関する裁判所法第四十一條、第四十二條及び第四十四條の規定適用については、これを判事、判事補、檢察官、法務府事務官または法務府教官の在職年数とみなすこととし、第三條は、弁護士たる資格を有する者が、朝鮮、台湾、関東州等の外地弁護士の職にあつたときは、裁判所法第四十一條ないし第四十四條の規定適用については、その在職の年数は、これを弁護士の在職の年数とみなし、外地弁護士の在職年数、もしくは外地弁護士及び弁護士令による弁護士試補として実務修習を終え考試を経たものは司法修習生の修習を終えたものとみなされることを定め、さらに附則では、この法律の施行に必要な規定を設けたのでありまして、その第四條は、この法律の施行期日を定め、第五條は、第一條に定める判事補裁判官、檢察官または弁護士等としての経驗年数の計算についての経過規定を定めたものでありまして、     〔委員長退席、猪俣委員長代理着席〕 その内容は一應前に申しました裁判官の任命資格に関する経過規定にならつたのであります。また第六條は、さきに述べた裁判所法の一部を改正する法律の附則第二項ないし第四項が、この法案の成立によつて、その存在理由を失うことになりますので、これを削除することを定めたものであります。  以上この法案について概略の御説明を申し上げましたが、なお詳細につきましては、御質問に應じてお答えいたしたいと存じます。何とぞ愼重御審議の上、御可決あらんことをお願いいたします。
  63. 猪俣浩三

    ○猪俣委員長代理 御質問ありませんか。
  64. 打出信行

    ○打出委員 ちよつと御質問いたしたいと思いますが、判事兼簡易裁判所の判事の職にある人は、簡易裁判所の判事としての俸給を受けておる。どういうわけで、判事としての俸給を受けないのですか。
  65. 岡咲恕一

    岡咲政府委員 お尋ねのような判事兼簡易裁判所の判事である場合には、判事の俸給を受けていいだろうと考えております。お尋ねのような実例がございますか。
  66. 打出信行

    ○打出委員 私の知つている人は逆になつて、これは朝鮮で判事をしておつた人ですが、帰りまして、判事兼簡易裁判所の判事の辞令をもらつて、しかも給料は簡易裁判所の判事としての給料である。だから自分は判事としての職務をやらないと言つておる人もあるのですが、そういうようなことになつておるのですか。
  67. 岡咲恕一

    岡咲政府委員 実は裁判所のこまかい行政のことは存じませんが、お尋ねのような例はおそらくないだろうと想像いたしております。と申しますのは、先日來御審議をお願いいたしております裁判官の報酬等に関する法律案におきまして、判事を兼ねる簡易裁判所判事は、判事の給與俸給を受けるという規定をわざわざ入れまして、実際は簡易裁判所の判事をやる。それが本職であつて、兼務といたしまして判事として、地方裁判所の判事の事務をやつておるという場合に、その簡易裁判所の判事の俸給を給與するという、特別の條項をお願いいたしました。これは嚴密に申しますと、法律規定と予算の関係とが、不調和を來すのではないかというふうな問題もございまして、相当むりな規定ではないかと思いますが、実情から考えまして、判事の定員が十分ございませんから、便宜そういう簡易裁判所判事を判事に兼任いたさせまして、判事の仕事を行わせておる。そういう場合には、事実上判事の仕事を行つておるのだから、判事の俸給を與えていいのではないかという説明によりまして、一應御了承を得たわけでございまして、そういう経緯から申しましても、判事が本職でありながら、兼任であるところの簡易裁判所の判事の俸給をもらつておるという例は、おそらくないのではないかと想像しておりますが、もし実例がございますれば、お示しいただきまして、裁判所の方へ御連絡いたしまして、そういう取扱い方の趣旨を釈明いたしたいとは存じております。     〔猪俣委員長代理退席、委員長着席〕
  68. 大島多藏

    ○大島(多)委員 ただいま御説明を聽きますと、もつともなことでございますが、この法律案通りましたならば、その結果現在の普通の判事というものは、大体埋合せがつくというようなお見込みがございますか。
  69. 岡咲恕一

    岡咲政府委員 最高裁判所の事務当局の御説明によりますと、現状におきましては、東京、大阪のような大きい裁判所におきましては、さほど御不自由もないように承つておりますけれども、地方におきましては、何分判事の定員が少い上に、事実上判事に任命されておる人も少い関係上、非常に困つておりますので、この法律案がさいわい成立して法律となりまして、判事補の職権の制限が緩和されますと、かなりいくのではないか、こういうふうなことを申しております。しかしこれは決して十分でございませんので、ここにもございますように、判事の定員が十分満たされておりませんので、その判事の定員を満たすという必要は、やはり依然として残るだろうと思われます。
  70. 井伊誠一

    井伊委員長 本案についての質疑はこの程度にいたします。     —————————————
  71. 井伊誠一

    井伊委員長 次に日程を追加して、民事訴訟用印紙法及び商事訟事件印紙法の一部を改正する法律案を議題といたします。政府の説明を願います。
  72. 佐藤藤佐

    ○佐藤(藤)政府委員 民事訴訟用印紙法及び商事訟事件印紙法の一部を改正する法律案についての提案理由を御説明いたします。  民事訴訟用印紙法及び商事訟事件印紙法によりまして、訴状等に貼用すべき印紙の額につきましては、明治四十三年法律改正によりまして、ごく少額の増加を見ましたほかは、何らの変更を加えられることなくして、今日に及んでいるのであります。いまさら申し上げるまでもなく、最近の物價の昇騰は、日に日に著しいものがありまして、これを東京小賣物價指数によつて見ましても、本年三月の物價指数は、終戰前の昭和十八年当時に比較しまして、約五十六倍の多きに達している状態であります。御承知のごとく、この物價事情に対應いたしまして、公証人の手数料等は、数次にわたつて増額せられたのでありますが、司法制度の理想といたしまして、当事者の経済的負担は、最小限度に止むべきでありますので、前述の印紙類の増額は、努めてこれを避けてまいつた次第であります。しかしながら、現下の物價事情並びに財政状態に照して考えますならば、現行の印紙額ないしその定め方については、きわめて不合理なものとなつた点が、多々あると言わざるを得ないのであります。かような見地から、この印紙額に適当な改正を加えて、実情に即し得るようにすることを主眼といたしまして、この法律案を提出した次第であります。以下本改正の要点を申し上げます。  まず民事訴訟用印紙法につきましては、第一に現行法は訴状に貼用すべき印紙の額を、訴額に應じて定めているのでありますが、現在基準となるべき訴額が、きわめて少額をもつて区分してあり、これがために実情に副わない憾みがありますので、五十円以下の訴額を三段階に大きく区分いたしました。また物價の騰貴により訴額が名目的に増加いたしますならば、印紙類もまた名目的に増加するわけでありますが、その増加率は、訴額の増加率に比して、漸次低減しておりますために、実質的には印紙額の減少を來す結果となるのであります。この不合理を是正いたしますために、物價騰貴前の一定の訴額と、これに対する印紙額との比率を、物價騰貴後の一定の訴額に移行させて、その印紙額を定め、これを基準として訴額の高低に應じ、それぞれの印紙額を定めました。第二條の改正がすなわちそれであります。  第二に現行法は非財産権上の請求については、その訴額を百円とみなしておりますが、現行民事訴訟法によりますと、非財産権上の請求は、地方裁判所の管轄に属することとなつていますので、貼用印紙額の関係において、その訴額を地方裁判所事件の最低の訴額のものと同樣に取扱うことといたしました。第三條の改正がその趣旨によるものであります。  第三に支拂命令の申立につきましては、訴額十円以下のものに対する貼用印紙額を二十銭とし、その他の支拂命令の場合と区別しておりますが、現在の物價事情に鑑み、かかる差別を設けることは、まつたく無意義と考えられますので、この差別を撤廃して、支拂命令の申立には、一律に第一審訴状の貼用印紙額の半額の印紙を貼用するこいとといたしました。第六條の改正がこれにあたるのであります。  第四に現行法は、訴額または請求額二十円を限界としまして、申立等に対する貼用印紙額に差別を設けておりますが、かかる差別を設けることが、現在の物價事情に即しないことは、前述の場合と同樣でありますので、この差別を一應廃すると同時に、簡易裁判所事件については、特に当事者の負担を軽減すべきであるという新しい観点に立ちまして、訴額または請求額五千円を限界として印紙額に差等を設けました。その印紙額につきましては、物價の昇騰程度、公証人執行吏の手数料の増額程度、及び司法制度の特質等を考慮いたしまいて、現行の印紙額の二十倍ないし二十五倍程度に止めた次第であります。第六條の二以下の改正がすなわちこれであります。なお第六條の三につきましては、現行民事訴訟法により、すでに廃止された制定に関する若干の規定を削除して整理いたしました。  最後に商事非訟事件板紙法中の印紙額につきましても、前述の第四において申し上げましたのと同一の理由によりまして、適当な改正を加えた次第であります。  以上がこの法律案提案理由であります。何とぞ愼重御審議の上、速やかに可決せられんことをお願いいたします。
  73. 井伊誠一

    井伊委員長 本案につきましては、本日はこの程度に止めまして、なおこの際お諮りいたします。かねて決算委員会において審議中の経済査察廳法案は、第一國会において当委員会において議決を見なかつた法案でありますが、これとまつたく同一の実体を有するものでありますので、先般各位の絵意見によりまして、連合審査会を開会することについて、決算委員長に勧告をすることに相なつてつたのでございます。そこで明後十四日午前十時から開会する旨の申入れが、決算委員会からありましたので、開会したいと思いますが、御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 井伊誠一

    井伊委員長 御異議ないものと認めます。そのようにいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午前十一時五十八分散会