○野木政府委員 ただいま御
質問の点につきましては、刑事身訟法應席措置法立案当時も、問題になりましたところでありまして、当時各方面の
意見な
ども聽きまして、いろいろ研究した結果、一應違憲にあらずというので、こういう結論に達したわけであります。今そのことを申し述べてみますと、まず二百十條の緊急逮捕の問題であります。これからまず申し上げますと、
憲法三十三條は「何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、
権限を有する
司法官憲が発し、且つ
理由とな
つてゐる
犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。」こういうことでありまして、結局この解釈論になるわけでありますけれ
ども、私
どもとしては、三十三條は現行犯の場合を除いては、令状によらなければ逮捕されないというので、令状があらかじめ事前に出てあることが、多くの場合原則的であることはもちろんでありますけれ
ども、必ずしも絶対に事前に出ておるわけではないということで、そこを
はつきり言
つておるわけではない。要するに令状によ
つて逮捕するということになりますから、普通の社会の見解上、令状によ
つてと認められる程度のものはよいのではないか。
憲法はそこまで嚴格なことを要求しておるわれではない。そういう解釈のもとにおきまして、この二百十條は三年以上の懲役もしくは禁錮、そういうような割合に重い罪であ
つて、しかもそれを犯したことを疑われる十分な
理由があ
つて、しかも急速を要して
裁判官が
逮捕状をもつとくることができなす。そういうような條件のもとで身体を拘束した場上には、ただちに
裁判官に
逮捕状を請求する。結局
逮捕状と逮捕という行為は、一面逮捕の行為がある
意味でまだ継続しておるという場合に、令状がおつつけ出るというようにも観念されますので、この程度のことは弊害も認めないし、
憲法も許しておる。そういう解釈のもとに、これを立案しております。
次の二百三十條の方でございますが、これも第三十三條の場合を除いてはと書いてありまして、その二の三十三條の場合というのは、現行犯として逮捕される場合、それから令状によ
つて逮捕される場合、こういうことになりまして、二百十條の緊急逮捕もやはり会状による逮捕だという解釈のもとに立ちますれば、その限度においても三十三條の場合を除いたというところにはい
つてきますので、二百二十條も違憲ではない。そういう見解であります。
七十三條の方は勾引状または
勾留状を所特しない場合においても、現実にすでに勾引状が出てお
つて、しかもたまたま持
つていないという場合でありまして、
逮捕状のところも、この
規定は同樣にな
つております。もしこれがないとすれば、
逮捕状はリユツクサツク一ぱい出さなければならぬということになりまして、実際上にも副わないし、しかもある
意味で緊急逮捕という観念が、不当に拡がる
関係にもなりますので、要するにこの場合は、すでに
逮捕状が出ておる。勾引状がすでに出ておるという場合でありますから、これは三十三條に反するということは言えない。こういう見解であります。