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1948-05-06 第2回国会 衆議院 司法委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年五月六日(木曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長代理 理事 鍛冶 良作君    理事 八並 達雄君       岡井藤志郎君    佐瀬 昌三君       花村 四郎君    松木  宏君       明禮輝三郎君    山口 好一君       井伊 誠一君    池谷 信一君       石井 繁丸君    打出 信行君       中村 俊夫君    中村 又一君       吉田  安君  出席國務大臣         内閣総理大臣  芦田  均君         法 務 総 裁 鈴木 義男君         國 務 大 臣 苫米地義三君  出席政府委員         法務政務次官  松永 義雄君         法務廳事務官  岡咲 恕一君  委員外出席者         議     員 中山 マサ君         專門調査員   村  教三君         專門調査員   小木 貞一君     ————————————— 本日の会議の付した事件  戸籍手数料の額を定める法律案内閣提出)(  第三八号)  裁判官報酬等に関する法律案内閣提出)(  第五一号)  檢察官俸給等に関する法律案内閣提出)(  第五二号)     —————————————
  2. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 会議を開きます。  戸籍手数料の額を定める法律案を議題といたします。本案については、別に御質疑の点もないようでありまするから、ただちに討論に移りたいと存じまするがを御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 それでは討論に移ります。井伊誠一君。
  4. 井伊誠一

    井伊委員 本案現行戸籍手数料規則同一内容のもので、財政法第三條の規定が近く適用されるために、その実施前に法律もちて定める必要があつて提案されたものであります。規定内容も適切妥当であると認めるのでありまして、私は日本社会党を代表し、これに賛成をいたします。
  5. 鍛冶良作

  6. 八並達雄

    八並委員 私は民主党を代表いたしまして、原案賛成の意を表するものであります。その理由は、ただいま社会党井伊委員から申された通りでありまして、何ら申し上げることはございません。原案賛成いたします。
  7. 鍛冶良作

  8. 山口好一

    山口(好)委員 港は民主自由党を代表いたしまして、本提案党意を表するものであります。戸籍法改正に伴いこの改正は適切妥当なりと認めますので、民主自由党といたしましては、これに賛成をいたすものであります。
  9. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 これにて討論は終結いたしました。これより採決いたします。  本案について、原案賛成諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立
  10. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 起立総員。よつて本案全会一致をもつて原案通り可決せられました。  なお本案委員会報告書作成方については、委員長に御一任を願いたいと存じます。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 それではそのようにいたします。     —————————————
  12. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 次いで裁判官報酬等に関する法律案及び檢察官俸給等に関する法律案の両案について審議を進めます。総理大臣に対する質問を開始いたします。佐瀬昌三君。
  13. 佐瀬昌三

    佐瀬委員 本委員会裁判官等報酬に関する法律案、並びに檢察官俸給等に関する法律案審議を進行する必要上、総理大臣に対した本法案政府提案のために、概括的なことをこの際御質問しておきたいと思うのであります。  まず一般的にお伺いしておきたいのは、この法律案提案される過程において、内閣首班としての総理大臣が、いかように御関與なさつたか。その経過をあらかじめ承つておきたいと思います。
  14. 芦田均

    芦田國務大臣 経過のことは私の記憶をたどつてお答えいたしますが、原案大藏省給與局法務廳との事務的研究の結果を閣議に提出したのでありまして、閣議においては、きわめて愼重にこれを論議いたし、正式の政府原案として國会に提出したわけであります。
  15. 佐瀬昌三

    佐瀬委員 いわゆる二十六日案と二十七日案との食い違いということが、当委員会において問題となり、法務廳総裁からも、一應の釈明を賜わつたのでありますが、この閣議変更と思われるような問題に対して、総理大臣はいかように御関與なさつたか。その点もこの際承つておきたいと思います。
  16. 芦田均

    芦田國務大臣 閣議原則として内閣総理大臣が招集して議長を勤めますから、いずれの場合においても、原則として総理大臣が主宰をし決定を與えます。國会に提出したしましたものが、これが閣議の正式の決定であることを御了承願います。
  17. 佐瀬昌三

    佐瀬委員 その過程において、関係方面閣議決定事項を報告される、あるいは通達されるというようなことは、一般におやりになつておることであるかどうか、その点も伺つておきたいと思います。
  18. 芦田均

    芦田國務大臣 占領治下における日本政治あり方は、政府の独自の見解において立案したものといえども、この案について関係方面の協力を得るためには、ある程度打合せを必要といたします。それは御承知通りであります。その程度打合せは絶えず行つております。
  19. 佐瀬昌三

    佐瀬委員 國内の関係方面についても、事によつてはさようなことが、いわゆる閣議決定事項が通達されるということもあり得るのではないかと思うのでありますが、本法案に対する閣議決定事項について、最高裁判所なりな通告するというようなことも行われておつたように仄聞するのでありますが、その点はいかがでありますか。
  20. 芦田均

    芦田國務大臣 ただいま御質問の点が、正確に私は了解いたしかねたのでありますが、むろんいよいよ決定をした上で関係者に示すこともあり得ると思います。
  21. 佐瀬昌三

    佐瀬委員 その場合それが外部的には閣議決定であるというふうに承つてよろしいのでありましようか。
  22. 芦田均

    芦田國務大臣 閣議決定して後に通告したものは閣議決定であります。
  23. 佐瀬昌三

    佐瀬委員 その本案に関する部分については、いずれさらに具体的なことは、官房長官及び法務総裁にお尋ねすることに留保いたしておきまして、私は他の一般的な問題について、なお総理大臣に対して質問を続行したいと思います。本法案判檢事給與水準同一にするかどうかという点が、かなり重要な一つの問題とされておるのであります。それに対する賛否両論の根拠は、期するところ、新憲法下における司法権及び司法官の正確なる地位をいかに見るかという点にかかつておるのであります。そのことは同時に、政治的にはいわゆる三権分立の大原則をいかに認識し、これをいかに運用するかという問題にも関連するよう考えるのであります。從つてこの基本的問題をいかに考えるかということによつて、本法案の可否も同時に結論づけられるのではないかと思うのであります。その意味において、内閣首班である総理大臣が、いかにこの点をお考えになつておられるかということを承つておきたいと思います。
  24. 芦田均

    芦田國務大臣 御承知通りに、旧憲法時代におきましても、もとより法治國原則を採用いたしておつたのでありますが、明治以來の慣習として、行政権の作用が強力に作用した結果、司法権の働きはややもすれば法の適用を具体問題に対してどうするかということにのみ重点をおかれておつたことは、天下の認めるところだと思います。しかるに新憲法においては、旧憲法時代司法権よりも、さらに高位なる最高裁判所以下の権限を認めておるのでありまして、わが國憲法解釈機関としては、裁判所國家最高機関であるという原則を明示しておるのであります。その意味において今後の日本政治あり方、あるいは社会経済各部門にわたる日本あり方についても、最高裁判所がそのゆく道を示す程度に強い権限を與えられておる。從つて憲法による裁判所地位は、旧憲法時代に比較して著しく高く、かつ強くなつておる。かように私は信じております。
  25. 佐瀬昌三

    佐瀬委員 それが本給與法案についていかに影響するかということについてのお考えはいかがでありましようか。
  26. 芦田均

    芦田國務大臣 先ほど申し述べたよう憲法の精神に鑑みて、今後最高裁判所その他の裁判所裁判官が特にその品位を維持するため、優遇せらるべき必然性があると考えております。
  27. 佐瀬昌三

    佐瀬委員 総理大臣は本法律案内容を御存じでありましようか。
  28. 芦田均

    芦田國務大臣 一々細かいところまては書類を見なければわからない点もあるかと思いますが、内閣総理大臣として一應心得ておるべき大綱だけは承知しておるつもりでおります。
  29. 佐瀬昌三

    佐瀬委員 これははなはだ細かい点でお氣の毒な質問でありますが、大綱的に御記憶なさつている程度で結構なのでありますが、この法律案においては、判事檢事の等差をどういうふうにつけるかということが、中心の課題になつているのであります。言いかえるならば、判事地位に鑑みて、檢事地位をいかに本法律案を通して確認するかということが、問題になつているわけであります。單に給與という金の問題ではなくして、地位をいかに憲法解釈に基いて確認するかということが、その中心の問題であります。その点について、ただいま総理大臣からは、裁判官地位職責については、御認識の仕方を承つたのでありますが、これに関連して檢事をどういうふうにそれに結びつけていくかということについて、この法案を通して御意見を承つておきたいと思います。
  30. 芦田均

    芦田國務大臣 裁判官檢事との給與については、原則としては差等を設けることが適当であると考えております。これを反面から言いますならば、裁判官を特に優遇するという方針を維持する限り、他の行政官裁判官とを同一給與におくということでは、特に優遇するという趣意が徹底しないわけでありますから、原則としては裁判官は他の行政官よりも、報酬において優遇せらるべきである。かような見地から考えるならば、檢事裁判官よりも低き俸給をもつて満足すべきである。かよう考えておりますが、しかし現在の判事檢事という職にある人々の事情から考える場合においては、同じ年齡で同じ教育を受けて政府官吏たる職に就いて、今日までは多くの待遇差別はなく勤務してきた者が、新憲法実施の後において、急激にその俸給の差を生ずるということであつては、われわれの社会通念として、その間檢事に対して同情すべき余地もあるやに考えられます。そういう意味において、暫定的にはあまり急激なる差等を設けることは適切でない。しかし原則としては、どこまでも檢事判事待遇においては差等をつくるべきである。かよう考えておる次第であります。
  31. 佐瀬昌三

    佐瀬委員 本法律案の以前の給與関係は、これまで裁判官及び檢事に対する應急措置法賄つてまいつたわけでありますが、この法案判事檢事の間に相当差を設けてきておるのであります。これに鑑みて、ただいま総理大臣が言われるように、それ以上に差を設けるということにはなつていないようにわれわれは考えるのでありますが、先ほど申しましたよう裁判官の優位ということを承認される、なお從つて給與の差を設くべきであるという御議論の上からいうと、この給與法案は、その趣旨に相反する案になつておるよう考えるのでありますが、この点はいかがでありましようか。
  32. 芦田均

    芦田國務大臣 本法律案趣意は、ただいま佐瀬君のようなふうにできておるとは考えておりません。
  33. 佐瀬昌三

    佐瀬委員 その点は見解の相違が多分にあるように思いますから、打切つておきます。  次に承つておきたいのは、政府行政官に対する給與について、いろいろ方策なり方針なりをおもちように承つておるのでありますが、これに対する一般的な御意見を承つておきたい。
  34. 芦田均

    芦田國務大臣 行政官俸給についても、國家公務員法の新しき制定に伴い、また今日の社会生活の実情に鑑みて、公正適切なる給與を至急決定する方針のもとに、目下具体案を檢討中であります。
  35. 佐瀬昌三

    佐瀬委員 その基本的な原則とでもいうものがおありになるならば、この際御説明を願つておきたい。
  36. 芦田均

    芦田國務大臣 基本原則としては、官吏たる品位を維持するに足る給與を支給したいと考えております。
  37. 佐瀬昌三

    佐瀬委員 行政官にもその地位あるいは職務の内容いかんによつて、いわゆる職階制というものを基軸とした給與案が練られておるというふうに承つておりますが、その点はいかがでありましようか。
  38. 芦田均

    芦田國務大臣 政府考え方は、仕事重要性及び責任の大小に從つて、その間に適当な給與を設けたいと考えております。
  39. 佐瀬昌三

    佐瀬委員 畢竟職階制的な差別待遇ということも御承認になるわけでありますか。
  40. 芦田均

    芦田國務大臣 差別待遇ではありません。体の大きい者に大きな洋服を着せ、小さい体の者は小さい洋服を着ることは、決して差別待遇ではないと考えます。
  41. 佐瀬昌三

    佐瀬委員 それは質的に見るか量的に見るかの観察の仕方でありまして、私もその趣旨は諒とするのであります。  次に承つておきたいのは、本給與法案について、法務総裁將來改正する意向であるというようなことを参議院司法委員会において述べられたということを、新聞紙上承知しておるのでありますが、この点は総理大臣もやはり同樣な御意見をおもちになつておられるかどうか、承つておきたい。
  42. 芦田均

    芦田國務大臣 ただいま佐瀬君から引用されました法務総裁参議院における発言というのは、内容が違うそうでありまして、ただいま法務総裁の言われたところをそのままお傳えいたしますが、参議院の小委員会においては、判事檢事との報酬は、原則として異なるものを定めるつもりであるという意味発言をしたにすぎないそうであります。
  43. 佐瀬昌三

    佐瀬委員 私のさらにお伺いしたい点は、その法務総裁説明趣意は、総理大臣としても、やはり一致した御意見でおありになるのであるかという点であります。
  44. 芦田均

    芦田國務大臣 法務総裁政府を代表して発言いたしたのでありますから、むろん私の考え同一であります。
  45. 佐瀬昌三

    佐瀬委員 これは経済界変動とか、そういう客観的情勢に左右される問題であろうと思うのでありますが、政府は近い將來において、さらにこの法律に対する改正法案を用意されておられるのであるかどうか、將來方針について一言お尋ねしておきたいと思います。
  46. 芦田均

    芦田國務大臣 ただいまのところは、修正案を用意いたしておりませんが、他日客観的情勢法律案改正を必要とする時期になれば、あるいは改正案を提出することになるかと思います。
  47. 佐瀬昌三

    佐瀬委員 これはこまかな憲法論でありますが、この裁判官報酬に關する規定としての憲法七十九條及び八十條の末頃に、それぞれ裁判官に対する報酬は、在任中これを減額することができないというふうに明らかに規定されているのであります。そこで問題は、將來法律をもつて一旦定められたものについての裁判官に対する報酬を、一般的に減額することが許されるかどうか、経済界変動國家財政の必要という面から見て、減額する改正案というものが、他日用意された場合に、はたしてこの憲法規定からそれが許されるかどうかということを、同時にこの際問題として考えておく必要があると思うのでありますが、この点についての御意見を承つておきます。
  48. 芦田均

    芦田國務大臣 現在の経済界の状況から考えまして、今後裁判官俸給を減額する必要が起るとは、今のところ考えていないのでありまして、從つて憲法規定に反するような立法を行う必要はなかろう、かよう考えております。
  49. 佐瀬昌三

    佐瀬委員 最後にこれは官房長官等にお伺いしたいのでありますが、総理大臣にもこの機会に一言確かめておきたいと思うのであります。総理大臣は先ほど政府として外部に、關係方面に通達されたものは決定事項であるということを、お述べになつておるのでありますが、あとで官房長官に確かめたいと思うが、聞くところによれば、この給與法案については、いわゆる四月二十七日案が決定的であると言つて政府として最高裁判所に通達されたよう考えておるのでありますが、その後政府から提案された法律案を見ますと、それとは違つたものになつております。その点は先ほどの御意見とあたかも矛盾した感があるのでありますが、これについての総理大臣のお考えはいかがでありましようか。
  50. 芦田均

    芦田國務大臣 外部に通達したとかいうよう事件については、私よりも官房長官の方に、あるいは承知している点があると思いますから、官房長官からこの点はお答えすることにいたします。
  51. 佐瀬昌三

    佐瀬委員 事実の有無は、前にお断りしたように、官房長官に確かめるわけでありますが、そういう事実があつたとするならば、かなりこれは内閣の不統一なり、あるいは法務総裁のお言葉を借りるならば、それは一部の者のよけいなことである、あるいは越権行為であるというふうに、昨日の記録に残つているはずでありますが、さように思われる節があるほど、きわめてこれは重大な問題であります。從つて総理大臣として、これに対する責任ある御意見を、この際確かめておきたいという意見でお尋する次第であります。
  52. 芦田均

    芦田國務大臣 お答えいたします。官吏給與決定することは、國会の議決を経てこれを公布したときにきまることは御承知通りであります。日本國民はこれによつてその事実を知り得るのであります。またそれをもつて足りるのでありましてそれ以外に一々の官吏に向つて政府いくらいくらの賃金を決定したということを通告する義務は、政府としてはもつていないと考えております。
  53. 佐瀬昌三

    佐瀬委員 たいへん首相の御答弁の趣旨に変化があるように私考えるのでありますが、この最高裁判所が、國会に対して提案権をもたないという制度上の欠陷と申しましようか、不備と申しましようか、そういうことが、私は実はこの法律の上において大きな、しかもそれは好ましからざる影響を與えておるよう考えてのであります。しかしそれは今後の制度の問題として、私ども別機会において取上げたいと思うのでありますが、実際の問題は、最高裁判所に対して政府がかよう決定したということを、政府意向として通達した。しかしその後そういう事実を無視して、違つた案をまた國会に出したということについては、私は少くとも政治徳義と申しましようか、政治道徳と申しましようか、その面からみて、これは内閣の措置としては適正でないものがあるよう考えるのであります。そういう意味において、私は総理大臣がその間の事情をよく御承知ならば、それに対する責任ある御意見をこの際明らかにしておきたいという意味において、重ねてここにお尋ねする次第であります。
  54. 芦田均

    芦田國務大臣 先ほどお答えしたところで盡きでおると思うのですが、政府國会が可決したる法律案成規手続によつて公布するということによつて官吏及び裁判官給與が公の効力を有するのでありまして、それ以前に、あるいはその以後においても、特に政府として行政として行政手続によつて関係者に一々通達することは必要でないと考えておるのであります。それぞれ官報によつて利害關係者承知し得るのでありますから、さよう手続は正式に必要とはしない。かよう考えております。
  55. 佐瀬昌三

    佐瀬委員 法律がいかに制定され、またいかに國民に周知されるか、そういう手続等の問題は、あえて首相にお伺いせぬでも、國会の方での仕事として、われわれは憲法の命ずるままにやつておることであります。その点は問題でないのでありまして、内閣にわれわれが求めんとするものは、現在の憲法の上においても、内閣法律提案権を認められておる以上は、その提案権を適正に行使していただきたいという意味において、本法案を通じて見ると、多少遺憾の点があつたのではないかというふうに思うがゆえに、この点をただいまお伺いしておいた次第であります。しかしその点はこれ以上質問し、また御説明を求める必要を認めませんから、私の総理大臣に対する質疑は、これをもつて終りたいと思います。
  56. 鍛冶良作

  57. 中村又一

    中村(又)委員 私は裁判官に対する優遇上の問題解決のために、報酬に関する法律案提案されたことを、非常に喜んでおります。申し上げるまでもなく、裁判官——廣い意味における司法官としての判檢事に対する待遇上の改善の問題は、多年の事柄でありまして、歴代の内閣がこれを解決すること能わず今日に至つたのであります。新憲法実施せられまする今日におきまして、やつと現内閣がこれを取上げて、ここへ根本的なる解決の第一歩を試みんといたしておることを、まことに喜んでおります。しかし私は大きなる眼目から、総理大臣に一点二点だけをお伺いいたしてみたいと思います。  憲法第七十九條第六項及び第八十條第二項に——佐瀬君も大体申しましたが、報酬という文字があるのでありまするが、——お答え総理でなくてもよろしゆうございます。総裁でも結構であります。報酬という言葉があるのでありまするが、憲法上いうところの報酬は、俸給との間においてどういう意味性質が違つておるか、あるいはどういう意味であるかという、いわゆる報酬の意義について、ちよつとお伺いをしてみたいと存じております。
  58. 芦田均

    芦田國務大臣 報酬という字をそこに掲げておりますのは、憲法規定從つて裁判官報酬と書いたのでありまして、普通の文字で言えば給與といいますか、俸給といいますか、特に定額の俸給以外に特別の金銭的の給與をするという意味ではないのでありまして、裁判官國家から受け取る給與はそこに掲げてある報酬が唯一のものであります。それが全部であります。さよう承知を願います。
  59. 中村又一

    中村(又)委員 これは少しく今日まで言われたことはない考え方と思いまるから、大分的をはずした考え方かわかりませんが……。すなわちこの條文の中に、「裁判官は、すべて定期相当額報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。」というようなことになつておりまするが。裁判官定期相当額報酬を受けるということから考えまして、これは毎月給與さるる俸給と違うのではないか。裁判官の身分を保ち、その地位を保障するために、特に定期的に、たとえば盆、正月に賞與金を拂う、あるいは年に四回くらい特別に報酬という意味において手当に類すべきものを支拂うというようなことを考えたのであつて俸給というのとは、本質が違うのではないかということを私は考えるのでございます。從つてもう少し詳しく申しますと、在任中これを減額することを得ないというようなことなども思い合わせてみますと、元來この人件費物件費というようなものを取上げて考慮するときにおきまして、インフレの現状などから見通しまして、物件費いくらつても、世の中変動によつて自然に物件費解決はそのまま行われていくのでありまするが、人件費の場合におきましては、一たび増額すると、その額というものを時の勢に伴わしめるということは、非常な困難な大事業となつてしまうのであります。ところが憲法においては、これを減額することを得ないというよう文句があるのでありまするがこれは軽い意味におきまして、相当額報酬というものは——つて私の経驗から申しますと、金鵄勲章年金の値上運動を私はしたことがある。その当時、時の内閣は言うたのでありますが、金鵄勲章というものは、世の中の物價指数が大変動を來しても、年金は十年一日、百年一日のごとくすえおいておくかと言えば、この年金というものは、世の中変つても、殖やしたら最後、減らすことのできない性質のものである。そこでいわば——当時の考え方でありますが、これはお手許金であつて法律で上げたり下げたりすることは、考え得られないところの性質のものである。それだから、これはただありがたいということに中心を置いて、金額の多少ということに重きを置いていないのだ。百円、百五十円の年金では、金鵄勲章の値打がないと諸君は言うけれども、金の多寡ではないのである。とにかく恩給のよう意味において増額はまかりならぬという当時の政府説明であつた。そこで私の考えるのに、この裁判官に対する報酬というようなものを、在任中減額することはできないというよう文句などと照し合わせて考えてみるときにおきまして、相当額報酬——昔の考えから申しますと、金鵄勲章年金ように、いわゆる一つの高い考え方をもつて裁判官に対するところの尊敬の手当としての考え方をここに出しておるのじやないかということなどを私は考えまして、この俸給報酬というものを二つに考えるのではないかと思いますが、総理のお考えはいかがでございましようか。
  60. 芦田均

    芦田國務大臣 ただいまの中村君の御質問の、報酬という文字に多少の疑義があるというお話は、從來世の中に使われておつた報酬といい、俸給といい、いろいろな色彩を異にして金の支給があつた例に鑑みて、一應ごもつともな点があると思いますが、しかし本法律案における裁判官報酬という文字は、平たく言えば月給ということに相当するのでありまして、憲法の用語に從つて、ここに報酬という文字を使つたにすぎないのであります。その点は誤解のないように、はつきりお答えいたしておきます。
  61. 中村又一

    中村(又)委員 総理に対する質問としまして、いま一点お伺いをいたしておきまするが、これは憲法法律上のお尋ねでありまするから、ごく簡單なお尋でございます。國費の支出というものは、もつぱら内閣の責任においてなさるるものであり、從つて予算の発議権は、内閣に專属をいたしておることは、旧憲法と同樣と私は考えております。この建前から考えますると、すでに檢察官俸給等に関する法律案、及び裁判官報酬等に関する法律案というものが、閣議決定のもとに、われわれの手もとに提案をされてしまつておるのであります。そこでかれこれ議論もありまするが、予算の発議権が内閣に專属いたしておるという建前から見るときにおきましては、唯一の立法機關の構成員たるわれわれお互いは、政府提案をいたしておるこの案に対しまして、費目の削除、あるいは金額の削減というようなことは、法律上可能でありまするけれども、出た案に対しまして、金額を増すこと及び費目を新たに設けるというようなことは、不可能だという見解を、私はもつておりまするが、総理大臣はどういうふうな見解をおもちでありますか。
  62. 芦田均

    芦田國務大臣 私の了解しているところでは、新憲法のものとおける國会権限は、從來とは変化を受けております。予算の修正の際に費目が増加するということは、歳入歳出の予算の均衡を得る限り、國会においてなし得ると了解いたしております。
  63. 中村又一

    中村(又)委員 金額の増加も、國会はなし得るのでございますか。
  64. 芦田均

    芦田國務大臣 その通り解釈しております。
  65. 佐瀬昌三

    佐瀬委員 関連事項について簡單にお尋ねいたします。法律と予算の問題でありますが、國会で立法された法律は、政府はこれを忠実に履行しなければならぬということに憲法七十三條で規定されておるのであります。予算を伴う法律の場合において、いわゆる必要費は、予算編成上これがいかように今後運用されるかという点について、概括的な総理大臣の御意見をこの際承つておきたいと思います。
  66. 芦田均

    芦田國務大臣 法律案を提出して、その法律の結果当然必要とする経費は、政府の責任において、むろん予算案に織りこんで、國会の承認を経べき責任があると考えております。
  67. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 花村君。
  68. 花村四郎

    ○花村委員 昨日は法務総裁にお尋ねをいたしまして、中途で打切ることになつたのでありますが、本日は内閣総理大臣に一應お尋ねをいたしたいと思つております。裁判官檢察官について、その本質的な性格から見、あるいは憲法その他の法令等に鑑みまして、その差異を設けなければならぬということはお認めになつておるということでありますが、それはしかるべきことであろうと思うのであります。そこで私がお尋ねいたしたいのは、しからばさように、すべての観点から見て差別を設けなければならぬという見地に立つて、本法案を見てみまる場合において、全般的から申しまするならば、ほとんどその差異が設けられておらぬと申し上げても、私は決して過言ではなかろうと思うのであります。もつとも檢事総長並びに最高裁判所長官の俸給については、差等が設けられておりまするが、その他はほとんどめぼしい差異が設けられておらない。そうしますと、総理大臣の御意見と、ただいま議題になつております本案との間に矛盾があると申さなければならぬと思うのでありますが、本案のどこがあなにのそうした持論に基いて差異が設けられておるかということの御指摘を、まづ願いたいと思います。
  69. 芦田均

    芦田國務大臣 ちよつと手もとに法律案を持つておりませんから、ごくこまかい数字を申し上げることは困難かと思いますが、裁判官檢事を対照して、現在の改正案によつて俸給同一であるというのは、ごくわずかの程度であります。全判事檢事との俸給を比較いたしますと、初任級は判事檢事同一であります。それから高等裁判所に相当する檢事俸給は、判事同一であります。それ以外は全部判事檢事とは俸給を異にしておるのでありまして、政府として、花村君の御指摘のようには考えておりません。
  70. 花村四郎

    ○花村委員 総理大臣は議案をよくごらんにならないと思うのでありますが、こういう重大な法案に対して、少くとも責任ある答弁をなされるのに法案をごらんにならぬことは、まことに遺憾であります。もしお手もとになければ差上げてもよろしいが、たとえば例をあげて申しますと、最高裁判所長官は二万五千円になつており、檢事総長は二万円であります。ところが東京高等裁判所長官は一万八千円であり、しこうして東京高等檢察廳の檢事長は一万八千円で、これは同額であります。それから東京高等裁判所長官以外の高等裁判所の長官は一万七千円になつておる。ところが東京高等檢察廳の檢事長以外のその他の檢事長は一万七千円になつておる。まずこの点だけをただいまのように指摘してみても、少しも変つておらぬではないですか。これをしもあなたは変つておるとおつしやられるのですか。
  71. 芦田均

    芦田國務大臣 花村君は私の答弁を間違つてお聽きになつておると思いますから、あとでよく速記録をお読みください。私の言つたことは、決して間違つておりません。ただいまあなたの言われて東京高等檢察廳の檢事長及び東京以外の次長檢事及び東京以外の高等檢察廳の檢事長、これは裁判所と同等だということを、先ほど私ははつきり申しました。それから初任の場合に檢事判事とが同級である。これ以外は判事檢事とははつきり俸給差別があるとつい先ほど私はお答えした。もう一遍速記をよくごらんくださればわかります。
  72. 花村四郎

    ○花村委員 そうおつしやつたといえば、私の聞き違いでありますが、それではさらにお尋ねしますが、檢事長並びに高等裁判所長官が同一であるというのは、一体どこからきておるか。それを伺いたいと思うのであります。あなたは裁判官並びに檢察官に関します旧來、並びに現在の俸給令をごらんにならぬから、そういう御答弁をなさるのじやなかろうかと私は思う。まず第一に、明治二十三年の判檢事官等俸給令という勅令に見ますれば、大審院長が勅任一級俸、それから檢事総長が勅任一級、それから檢事総長が勅任二級俸、これは前から差があります。それから控訴院長が東京、大阪が勅任二級俸、その他が勅任三級俸になつております。それから控訴院の檢事長が、東京、大阪が勅任三級俸または勅任二級俸、その他の檢事長は勅任四級または三級俸、こういうことになつておりまして、この二十三年の勅令によれば、そうした差異を認めておる。それからさらに明治四十四年の判檢事官等俸給令によりましても、やはりただいまも私が読み上げましたごとく、判事檢事の間に差異を設けてある。それからさらにその後になつて、大正三年には大審院長が親任官に相なつておる。その当時は檢事総長は勅任であります。もつともその後に檢事総長も親任官に補せられた例はあるのでありますが、これは檢事から司法大臣になられた大臣が、平沼騏一郎氏ほかずつと六、七人が継続してなられたので、これはどういう意味をもつて改正したかしれませんが、檢事俸給がやや裁判官俸給に近づいておる。それからなお現行法の規定を見ましても、昭和二十二年四月十六日の裁判官俸給等の緊急的措置に関する法律、この法律によりましても、これは檢事とは異つた特段なる裁判官独特の俸給令が設けられておる。これは一々読み上げれば長くなりますから、私はここで読み上げません。この法令をごらんになればわかると思うのでありますが、第一條、第二條、第三條、第四條、第五條に規定が設けられておるのであります。明らかに行政官と変つた特殊の規定が設けられておる。これは要するに裁判官の特異性から出た本質的の差異をここに認めたものであると申し上げてよかろうと思うのであります。ところが昭和二十二年四月十六日の檢察官俸給等の應急的措置に関する法律によりますと、こういう規定が設けられておる。第一條には檢事総長の規定がありますが、第二條に檢事総長以外の檢察官の受ける俸給の額は、当分の間一般の官吏の受ける俸給の例によるという規定があります。これは言うまでもなく、一般の行政官同一に扱うべきものであるという規定であることは、多く申し上げるまでもございません。そこで昭和二十三年三月現在の裁判官報酬檢察官俸給を対比してみますと、最高裁判所長官が三千円、檢事総長が二千四百九十円、東京高等裁判所長官が二千四百九十円、檢事長が二千円。その他の高等裁判所長官が二千四百円、檢事総長以外の次長、東京の檢事長以外の檢事長が一千九百円、判事には特号というのが特に設けられて、二千二百円ということに相なつておるのでありますが、この例に見ても、明瞭に違つておりますことは言うまでもない。こういう今までの法令において、今日までの歴史において、また現在において、こういう差異を設けておりますにもかかわらず、本案において差異を設けないという理由は一体どこにあるのですか。どういう理由に基いてこの差異をただいま出してあります法案においては設けなかつたのであるか。その理由をお聽きしたいと思います。
  73. 芦田均

    芦田國務大臣 お答えいたします。先ほど佐瀬君の御質問に答えたときに、花村君が御出席でなかつたということは、まことに遺憾なことでありまして、ただいまの御質問趣意は、佐瀬君よりもお尋ねがあつて、ただ異なるところは、詳細な書き物をお読みになつたかならないかだけの違いでありまして、一應私からお答えいたしたのであります。その意味を重ねてさらに敷衍して申しますと、なるほど明治時代には裁判官檢事の間の待遇の区別が、非常に明確であつた。ところが大正になつてこの間の差別がだんだん狹められてきまして、先ほど花村君がお読みになつ通り、当時の勅令によつて勅任官の俸給令というものによつて判事檢事同一待遇を受ける規定に変つたのであります。最近に至るまで、判事檢事との俸給の間には、特に顯著なる等差はなかつたわけであります。しかしながら、先ほどお答えした通り、新憲法の精神に基いて、裁判官の特別の地位を認め、その責任に相当する報酬を與えるべきであるということから、原則論としては、裁判官檢事との間に受取るべき給與差別をつける、ただ改正の現段階においては、檢事方面に相当の人材を新たに吸收しなければ、有為な檢察官が得られないよう事情もあり、また長い年子を経て、司法省の生活を営んで來た判事檢事とが、この改正のために著しく懸隔を生ずるということであつては、政府は今日まで採用の際に示しておつた目標と、あまりに懸隔を生じて、人材を引き止めておくことの上に困難があるのであります。ゆえにその原則は、遠からずその精神のもとに修正を加えるとしても、今日の修正案としては、特殊の場合に限つて判事檢事との間の待遇を等しくすることが、檢察事務能率刷新の上に適当である、かよう考えて特殊の例外を設けるということにいたしたのであります。
  74. 花村四郎

    ○花村委員 特殊の例外をお認めになつたというのでありますが、たとえて申しますれば、東京高等裁判所長官といつたような人々は、その事務の範囲においても、非常に廣い職域をもつておると申してよかろうと思うのであります。たとえて申しますれば、檢事の方は刑事事件、なかんずく捜査並びに訴追の面といつたような一部の職場を持つておるにすぎないのでありまするけれども、少くとも高等裁判所の裁判長においては、ただに刑事のみに止まらず、民事も行う、それに加えて特許事件も加わつており、あるいは独占禁止法に関する法律も扱い、さらに海難審判に関する事件も扱つておる。でありますから、その職務上の関係から見まするならば、著しく廣汎にわたつておる。ところがこういう廣汎にわたつて、いろいろのむづかしい事件を処理していかなければならぬという裁判官、その裁判官の職域を見ずして、檢事長と高等裁判所長官と同一に扱うというのは、一体どういう意味であるか。今檢事の方には人材があまりないので、よき人材を得るために、判事同一なる待遇をすることが望ましいのであるというようなお説であつたのでありますが、決してわれわれは今日檢察官の素質が劣つておるとは考えておらない。もちろん今後において今日よりもより以上その能率において、あるいはその人格において、すべての面から向上せしめなければならぬことは異論はないのでありますが、しかし今日現在檢察官の素質が劣つておるとは私は考えない。どういう点をごらんになつてそういうことを言われるか。そしてまた判事檢事との俸給同一にするということによつて、よりよき檢察官が得られるものであるというふうな單純な頭で、人材登用の問題を考えるならば、これは大なる誤りであると申さなければならね。むしろわが國の裁判官にしろ、檢察官にしろ、もちろんその給與等の待遇がよくなければ、その官に就くことを希望せぬというよう司法官は、まず大体ないと見てよかろうと思う。もちろんそれ相当の地位にあたるところの待遇をしてもらうべく希望することは当然でありましようし、また希望するとせざるとにかかわらず、國家機構の上にから見て、地位に相当するところの給與、あるいは特遇を與えることは、当然であります。その望むと望まざるとにかかわらず、それはやはり相当の地位に対應するところの報酬をみるのは当然のことである。でありますから、当事の俸給が少ないから、檢事にはならぬというような、そんな内閣総理大臣ようなけちな考えをもつた檢察官は一人もおらないと、私は断言してはばからない。かような観点から考えてみます場合において、憲法上認められた特異性をもつた裁判官、しかもその職域において檢事よりも廣汎なる仕事をもつている裁判官、こういう観点から見て、当然東京高等裁判所長のごときは檢事長と異なつてしかるべきものでありませんか。これははつきりしすぎるほどはつきりしておる。しかも、過去の歴史に徴しても、また現在もそうなつておる。差異を認めておる。それはあなたの言われるような人材を登用する意味同一にというような、そんな説明は、少くとも司法委員会では通らぬと、私は申し上げていいと思う。もう少し高度の、もう少し何人も納得いき得る理由がなければならない。そういう理由では、われわれが承知しないのみならず、一般國民も、おそらく承服しないでありましよう。しかも檢察官そのものも、そういう理由であつては納得しないでありましよう。もう少し何らかの理由があらねばならぬと思う。むしろ私のただいま申し上げました事例に見ても、これは差異を設くるのが当然過ぎるほど当然であろうと思うのでありまするが、内閣総理大臣の御所見を重ねてお伺いします。
  75. 芦田均

    芦田國務大臣 判檢事の間は報酬給與差別を設けることが適当だという御意見については、政府もその通り考えております。そのことは当初私からはつきり申し上げております。ただ過渡期において、一時檢察官採用等の場合において、わずかの例外を残すことが適切であるというふうに考えた結果、かような案をつくつたのでありまして、花村君がお話になつたように、現在の檢事に人材がないというごときことは、私は一言も申しておりません。これは速記録をお調べてくださればよくわかる。ただ俸給をよくすることによつて人材が集まるということは、これは今日の社会状態においては免かれ得ない現象であります。月給を安くした方が人材が集まるという理屈は、私どもの常識には通らないのでありまして、さような観点から、特にわずかな例外を設けたというにすぎないのであります。
  76. 花村四郎

    ○花村委員 特殊な例外を認めるのもまたやむを得ぬというお話でありますが、しかし特殊の例外を認めたその例外が、きわめて不合理なのであります。ただいま私が例をあげて申しましたように東京高等裁判所長官、並びに東京檢察廳檢事長この両者について例外を設けるということは不合理であり、意味をなさぬと申していいと思うのであります。先ほど私が申し上げました今までの判檢事等の俸給令に見ましても、また現在の裁判官報酬並びに檢察官俸給制度に見ましても、この両者をはつきりと区別をいたしまして、東京高等裁判所長官を上に見ておる。こういうわかり切つた事柄について、例外を設けるというようなことは、まつたく理由がないと申し上げていいと思うのであります。しかもその例外が総理大臣の根本的の考え方に副うた例外であるというのであるならば、これはまだしもでありますけれども、その根本の考え方にまつたく反するところの不当、不合理な例外であります。こういう例外を認むること自体が、すでに裁判官檢察官待遇上のすべてに暗い影を投げるようなことになるのではなかろうかと思う。こういうわかり切つたことは、何も例外を認むる必要はないのではないでしようか。それですから、こういう不合理な点は、すべからく是正すべきものであると考え、われわれもこの点に対しては、修正すべきものであるよう考えておるのでありますけれども、この点に対して、もし衆議院で修正をするという場合においては、もちろん喜んで御同意をなさるる御意見があるかどうか。それを承つておきたいと思います。
  77. 芦田均

    芦田國務大臣 國会の多数によつて可決された法律は、政府の力をもつてして、毫末も変更することはできません。これはもう御承知通りであります。
  78. 花村四郎

    ○花村委員 この点は要するに議論のわかるるところでありますから、この程度にいたしておき、われわれはわれわれとしてのとるべき処置を考えることにいたしまして、次の質問に移ろうと思うのであります。  ここに出ております本案は、法務総裁の言わるるところによりますれば、二十六日の閣議決定せられたものである、こういうことであります。しかし有力なる閣僚の言によりましても、またその他関係者等から聞き知つたところによりますれば、本案は三十日の閣議において修正せられたものである。二十七日の閣議において修正せられものである、二十七日の閣議にかけられたる裁判官並びに檢察官に関する待遇については、少くとも先ほど來内閣総理大臣が述べられたように、はつきりと裁判官の高き待遇を認められて、そうして裁判官檢察官の間にはつきりとした差異が設けられておつた。この案が二十七日の閣議に諮られて決定をいたしたということで、その二十七日の午前十一時に有田官房次長は、内閣官房長官の代理として最高裁判所長官を訪問し、時あたかも長官は不在でありましたので、最高裁判所事務総長に面会をいたしまして、そうして閣議でその朝決定した法案についての報告をされた、こういう話でありますが、その点はいかがでありましようか。
  79. 芦田均

    芦田國務大臣 閣議で二十六日以後、いろいろ議論した内容を御承知ようでありますが、これは公の席上において閣議内の議論を申し上げることはどうかと思いますから、私からは差控えておきます。  なお政府の役人が裁判所長官を訪問してどうこうという話でありますが、これも政府としては何ら行政上とるべき必要の手段をとつたという意味の行動ではなかろうと思います。全然非公式に、ただ話をしたということであつて政府としては、裁判官俸給をきめるについて、最高裁判所長官の了解を求めるとか、事実において報告をするとかいう義務は、一切もつておらぬ。その点は何ら政府としての公の措置として行われたことでないと考えます。
  80. 花村四郎

    ○花村委員 私は閣議内容を聽こうとするのではありません。内閣においても、新聞紙上に発表いたしておりまするので、新聞紙上に発表する程度のことを、司法委員会において報告するのは当然であります。また報告しても決して差支えなかろうと思う。何も閣議の内部的なこまかいことを、ここで報告してくれというのではない。閣議において決定したその法案の大体がいかなるものであり、そうしてその決定した法案が、どういうぐあいになつてきたかというようなことくらいは、この司法委員会で発表してもよいのじやないでしようか。それまで秘密で発表できぬと言うのですか。民主政治のもとにおいては、むしろ閣議も全部発表してもよい。内緒でやる閣議もそうないでしよう。秘密会議閣議が開かれて発表できぬものであるというのでありますならば、これは格別でありますが、民主政治のもとにおいて、閣議もできるなら発表してもよいじやないですか。しかし私はその閣議の詳細にわたつて、内部的のことを発表しろと言うのじやない。いかなる法案をいつきめたかというようなことくらいは、発表されてもよいじやないですか。現にこの四月二十七日決定した閣議の案は、その晩のラジオでも放送され、二十八日の朝の新聞にも出ておるのではありませんか。聞くところによると、内閣官房長官は、それを新聞記者を集めて発表したと聞いておる。さように公けに発表したことを内閣総理大臣が今日司法委員会で発表できぬというのは、それはどういうわけですか。
  81. 芦田均

    芦田國務大臣 お答えいたします。むろん閣議において確定した前後の事情についても、國民の利害に重大なる関係があるものは、必ずこれを発表いたしております。それは花村君もよく御存じのことであります。しかしながら、発表すべからざるものは、どこまでも秘密にしておることは、ちようど議会において秘密会議の速記録を公表しないのと同樣であります。いかに民主政治においても秘密会議会議録を公表することは慣例にもありません。内閣においても同じ手段をとつておるのでありまして、特に閣議を議会の秘密会議以上の秘密主義をとつておるとは考えておりません。またいつ決定したかということは、三十日の閣議決定した法律案國会に提出したのであります。それ以前に種々の議論があろうとも、これをもつて最終的に閣議決定にはならなかつた。三十日に決定した。しかしその日にちが違つておるということでありますれば、私からあらためて申し上げておきます。閣議決定は、先月の三十日に決定したということをはつきり申し上げておきます。
  82. 花村四郎

    ○花村委員 それをお聽きすれば、私の質問の大体の中心にはいつておるわけですが、私も何も秘密なことをここで発表しろと言うたのではないのであつて、秘密のことでなくて、新聞に発表するくらいなことはいいじやないか。こういうように今申し上げたのでありますが、首相の御答弁ではつきりいたしました。そこで私はさらに念のために首相に申し上げておきたいのだが、二十六日に現在出ておりますこの法案閣議にかけて決定せられ、しかも閣員がこれに署名捺印したという事実がありますかどうですか。まさかそれも秘密で発表はできぬとはおつしやいますまいけれども、そういう事実があるか、その程度はお漏しになつてもいいと思います。
  83. 芦田均

    芦田國務大臣 私の記憶によりますと、当時この俸給というものは別表についておりまして、そうして閣議決定によつて、いきおい別表が変更されるわけであります。その別表は、まだその閣議ではきまつていなかつたと思いますが、おもてについておる書類は、あるいは準備のために署名したかと思います。しかしあらためて申しますが、閣議の署名というものは、あらかじめ準備のために署名をとるということが時々ありまして、必ずしも書類が全部最後までそろわなければ署名しないという習慣ではないのであります。必要な訂正を加え、別表を附け加える程度のことならば、あらかじめ署名、捺印をとるということは、しばしば行われておる慣例でありますから、それほどむずかしくお考えくださる必要はないのであつて、いよいよ最後閣議でもつてこうきめようと話がきまつたときに、閣議決定する。大臣の署名した刹那に閣議がきまるという慣習ではないのでありまして、準備のための署名ということは時々行つております。そこはあまり窮屈にお考えくださらずに、問題は三十日にきまつたのだ。こうお考えくださればこの問題ははつきりすると思います。
  84. 花村四郎

    ○花村委員 私は別表のことを聽いたのではないが、御丁寧にも別表のことまで御報告せられて……。
  85. 芦田均

    芦田國務大臣 御入用がなければ別表だけは取消します。
  86. 花村四郎

    ○花村委員 何も私は別表についてどうこうということを聽かなくてもいい。しかし署名等に対して、窮屈に解釈しないでもいいというお話でありますが、私は決して窮屈に解釈をいたしておらない。そこで私は法務総裁一つお尋ねをいたそうと思います。総理大臣のただいまの御答弁で、きわめて明瞭になりまして、私は感謝をいたしますが、きのう私があなたに質問をいたしましたときに、これは速記録を見ても明瞭であり、他の委員もよくお聽きになつてつて、わかつておるであろうと思いますが、本日審議せられておるこの法案は、二十六日の日に閣議決定した。そうしてその閣僚が閣議決定した書面に署名捺印せられて、そうして二十六日の日に確定したのだ。であるから、それぞれの人にこの法案を議会にかけるようにということで渡したということを、あなたははつきりおつしやられた。そこで私はそれは間違いじやないのか、三十日の閣議決定したという話を、閣僚の一人からも聞き、また他の人からも聞いておるが、それは間違いだろうと言うて、念を押したところが、そうじやないということで、はつきり否認された。そうすると一つ法案について閣議というものは二つあつたわけですか。一つは二十六日の日に閣議をして、そうしてそこで決定して、総理大臣の言うように、さらにこの法案閣議にかけて決定したということで、二度決定しておるという結論になるのでありまするが、閣議というものは、そうせなければいかぬものでしようか、そういうことはあるまいと思うのでありますが、この点は法務総裁いかがでしよう
  87. 鈴木義男

    ○鈴木國務大臣 お答えをいたします。昨日詳しく申し上げました通り、私は二十六日の閣議決定したと理解しておるのであります。しかし昨日も、一應二十六日に決定したと、一應という字をつけておきましたのは、結果から見て、結局その後また解釈について疑義が生じて、二度の閣議で話題になりましたがゆえに、結局一應と申し上げなければならなくなつたわけです。私が二十六日に署名を了して、官房長、人事課長等に、こういう案になつたから、これを清書して、大藏省給與局長とも協議をして確定案にして、議会に提案する準備をせよと申し残して出発をいたしましたときには、確定したものと私は考えて出かけたのであります。その後翌日の閣議で、前の日の閣議と理解が異なるものが出てきた、それが話題となり、そして大勢がそう赴こうとすることを聞知いたしましたがゆえに、私はさらに私の帰るのを待つて、正確に解釈をして決定してほしいということで、三十日に帰つた後出席をして、やはり二十六日の決定が正しいのであるという再確認をしてもらつて、ここに初めてこれを議会に提案することになつた。こういうふうに御説明申し上げたつもりであります。総理のお考えと、私の考えとに若干の違いがあるといたしましても、事実を見ることにおいて、感じ方が違うだけでありまして、事実は少しも違つておらないと考えるのであります。
  88. 花村四郎

    ○花村委員 今法務総裁の言われたことと、きのうの答弁とは、ちよつと違つておるようであります。きのうは私はその点を何度もくどく念を押した。二十六日にきまつた。きめるときは、この法案を示して、そして閣議で一々俸給等に関する数字を見て審議をなすつたのかと言つたら、そうだというお話だつた。そして二十六日にきめた。ところが二十七日に閣僚の一部の者が、きのうきめた案では、判事の方が檢察官より俸給が千円だけ一率に高くなつておるという話がもち出されて問題になつたというお話であつたのでありますから、私はさらに念を押した。しかし二十六日にその案を示して、そしてこの数字を見てきめたものを、一千円の食い違いがあるとかないとかいう問題は起きぬではないか、もしそういう問題が起きるとすれば、二十六日の閣議では、ろくろく案を見ずにきめたというようなことにもなりはせんかとまで、口をきわめてあなたにお尋ねしたことは御承知だろうと思う。ところが二十七日は案によつてどうこう言うたのじやない。閣僚の一部の者に、千円ずつの差があるということで問題になつたというので、三十日までそれを延ばしてもらつた。そうして二十七日に他の閣僚が言われたことが間違つておるというので、三十日に了解を得たのである。了解とは申しませんが、再確認をしてもらつて、そしてそれは問題にならなかつた。こういうお話だつた。そういうあなたの言葉から言えば、二十六日の閣議でこの案が決定していることは、きわめて明瞭でありませんか。何ら疑義を挟む余地はない。ところが内閣総理大臣の言によれば、それは前にはきまらないのだ、三十日にきまつたのだと言われる。ここに内閣総理大臣法務総裁との間に大きな間違いがあるのでありますけれども、これはただに間違いとして看過するわけにはいかない。現在の閣僚の問で、いろいろ意見が不一致であることは、新聞紙上で見ておりますから、まあ意見の違う点もありますることは、現内閣といたしましてはやむを得ないでありましよう。だけれども、こういう重大問題に対して、閣議がいつ決定したか、それがはつきりせぬ。こういうことが、要するに社会にいろいろ疑惑をもたしめ、まだ議院内部においても、その閣議決定に対して大きな疑いをもつているということも、これは当然だろうと思う。きのうも日本全國の弁護士会を代表した長野君が出てまいりまして、この点に触れておりましたことは、法務総裁も御承知だろうと思う。二十七日に決定したる裁判官並びに檢察官に対する俸給閣議決定を、法務総裁は神戸から電話並びに電報で、内閣総理大臣にその延期方を申込んだそうして二十九日の朝東京に帰つてきた。ところが檢事の多くの諸君が降車口に押しかれて、そうしてこの裁判官檢察官との俸給に差異を認むることのけしからぬことを訴え、そこで法務総裁檢事の最高の行政長官として、三十日の閣議で、前に決定したものを変更したのだというようなことで、そこにいろいろの疑惑が生じておるのでありまするが、そういう疑惑の生ずるのも、これはむりからぬことであろうと思う。でありますから、日本全國の弁護士会を代表した長野君は、この点を強く詰責をいたしておつたのであります。そうして一面においては檢事の多くが辞職するというような、何と申しまするか、威嚇するがごとき態度をもつて、この閣議で一旦決定した法案を変更するというような、そういう不見識きわまる、また本質的の差別を認むべきであるということを、口には言うておりながら、そういう不合理、不條理な取扱いをするという意味において、多くの疑惑が集まつてきているということは、当然だろうと思うのであります。こういう事柄に対して、法務総裁はどういう責任をおとりになるか。それを私は一應お尋ねいたしたいと思います。
  89. 鈴木義男

    ○鈴木國務大臣 四月二十六日の閣議決定いたしました際は、大藏省から原案が出されておつて、長時間にわたつてその数字について檢討した結果、いろいろと直して決定に到着したのでありますが、何しろこまかい数字の問題でありますし、筆を入れて訂正をしたために、あとでわかつたことでありますが、閣僚の間に若干了解の差異を生じた、これはやむを得ないことだと思います。そこで印刷物が全部そのままうのみにされたわけではないのでありますから、了解に差異があるということはやむを得ないことで、それが私から言えば誤解である。そこで私が帰つてきて、その誤解なることを釈明して、閣僚の御了解を得たのですから、結局二十六日の決定がそのまま維持されたと、こう申し上げたのであります。私の申し上げたことに少しも間違いもなく矛盾もないと考えます。
  90. 花村四郎

    ○花村委員 内閣総理大臣も、今お聽きでおわかりになつたと思いますが、ただいま私が法務総裁に申し上げたように、法務総裁内閣総理大臣との御意見がはつきりと違つておるということから、いろいろ疑惑をもち法務総裁にお氣の毒ではありますが、在野の法曹の諸君にも、また一般の國民に対しても、自分の下級官吏に関する事柄であるから、とにかく一旦閣議で公正に決定した案も変更しなれればならぬということで、無理押しをして変更したごとくに傳えられております。今法務総裁内閣総理大臣とのお言葉があつたが、私は内閣総理大臣の言われた意味にお聽きをしております。從つて内閣総理大臣の言われることが眞実であり、率直に忌憚なくここで発表せられたものであろうと存じ、大いに敬意を表しておる次第であります。しかし法務総裁の言われるところを、昨日からいろいろお聽きして考えてみるのに、どうも竹に木を接いだようなつじつまの合わぬことが多いのである。ですからこういうことから、いろいろの疑惑を起し、裁判官檢察官俸給をきめるのに、その裏面において、いろいろと何かたくらみがあつたがごとくに受取られることは、待遇改善の問題だけに、まことに遺憾に思います。この点はなお私は留保をいたしておきたいと思います。閣議のいかんによつて、当法案がどうこうなる筋のものでないことは、よくわかつておりますが、しかし同じ事柄について署名までして決定しますところの閣議決定が同じ今の内閣の中で、意見が違うはずがないと申し上げてよかろうと思う。ですから、この点については、私は法務総裁にしかるべき善処を要望しておきます。昨日弁護士会の代表者がこの点について強く述べられておる。もし檢察官がすべて職をなげうつということであるならば、日本の弁護士会が、それに代つて司法の運営に參画するとまで言われたのでありますけれども、そういう事実は、私はないと信ずる。またなきことを祈る。しかし法務総裁のごとく、かくのごとく薄暗い、また事実を捏造した御答弁をなさり、またそういう目先のみを考えておられるよう考え方であるがゆえに、そういう誤解が生じてくる。でありまするから、これはひとつ閣議の権威のため、あるいはまた現内閣の閣僚の意見が常に不一致であるというような非難も、世から往々受けておりまするが、さような点から考えてみましても、これに対して、しかるべき善処をせられるのがよいのではなかろうかと思うのでありまするが、この問題はこの程度にいたしておきます。
  91. 佐瀬昌三

    佐瀬委員 ただいま花村君に対する御答弁と、私に対する先ほどの御答弁との間に、若干矛盾もしくは不徹底と思われる点があるので、一應ここで確言しておきたいと思います。私ども一体現在のこの法案が、そのまま通つたところで、これをもつて判檢事給與が十分であるというようには考えていないのであります。否むしろ判檢事と、一般官吏との差の問題こそ、將來大きなことになるのではないかというふうにすら考えておりまして、從つて先ほど將來この法律に対する改正案を用意されておるかどうかということも、その理由に基いてお尋ねいたしたのであります。しかし同時に判檢事に差を設けるかどうかという、いわば内部的の問題について考えてみまする場合に、総理大臣原則として、差を設くべきである。しかし現在の段階においては、過渡的にこの程度にしておくのが適当であろうというふうに思われる。しかも將來において改正の考案はもつておらないというふうに御答弁になつたように承つたのでありますが、ただいま花村君の質問に対しましては、総理大臣は近い將來において修正するとしても、現段階ではこの程度法律が適切であるというふうに考えておるという趣旨のことを、述べられておるように聽いたのでありますが、一本そういつた事情のもとに、私どもは政府將來また改正案をむしろ考えられるということが、この法案をそのまま可決するか、あるいはこの機会修正案を出すかどうかという、われわれの態度を決定する上において、きわめて重大な要素になると思うのであります。從つて改正の案を將來においてもたれるかどうかということを、一應はつきりとこの際御弁になつていただきたいと思います。
  92. 芦田均

    芦田國務大臣 判檢事給與の区別を明瞭にするという原則は、今日から立つておるわけであります。從つてこの線に沿うて將來必要とする改正を行うつもりでおりますが、現在具体的に何をいくらという案は、まだできていないのであります。その意味のことを花村君にお答えをし、またあなたにお答えをした、かように私は心得ております。
  93. 佐瀬昌三

    佐瀬委員 先ほど法務総裁が、將來改正の意思があるというふうに参議院司法委員会で述べ、かつそれが新聞が出たのは誤解であるというふうに御説明もあつたようでありますけれども、ただいま総理大臣趣旨において、これは一致するというふうに認めておいてよろしいのでありますか。この点を一應お伺いいたします。
  94. 芦田均

    芦田國務大臣 参議院のことはちよつと私からお答えをいたしかねますが、私の答弁をそのまま御了解してくだされば、それで間違いはないと思います。
  95. 鈴木義男

    ○鈴木國務大臣 参議院においては、私は庄野時代から判事檢事というものは区別あるべきであつて、殊に新憲法においては裁判官を一段高くしたことは間違いないので、そうして法廷の構成も、弁護士と檢事とは対等に相闘う。そうして判事が一段上におつてこれを裁くという態勢をとらせることが望ましい。從つて將來の問題としては、ぜひそういう機構をつくり出すために努力するつもりである。そういう立法も考慮しておる。從つて將來判事となり檢事となる人は、新しいそういう制度のもとに志望してやつてくるのであるから、最初から差別待樹をされても、不愉快な感情をもつようなことはないと思います。今日の判檢事諸君は、ほぼ同樣に待遇せられてきたのであります。ここで突如として待遇差別するということは、現実の実情に合致しない。ゆえにこういう法案を提出したのである。將來の問題としては、ぜひそういう制度を近き將來に開始したい。ことしはいる人からそれが適用されるくらいにしたい、こういう氣持をもつておるということを、お答え申したのであります。今も同じ考えをもつておることを申し上げます。
  96. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 それでは総理大臣に対する質問は、明日午後に延ばしまして、これで休憩します。     午後一時十三分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた