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1948-05-05 第2回国会 衆議院 司法委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年五月五日(水曜日)     午前十一時開議  出席委員     委員長代理 理事 鍛冶 良作君       岡井藤志郎君    佐瀬 昌三君       花村 四郎君    松木  宏君       明禮輝三郎君    山口 好一君       池谷 信一君    打出 信行君       中村 俊夫君    中村 又一君       吉田  安君    大島 多藏君  出席國務大臣         法 務 総 裁 鈴木 義男君  出席政府委員         法務政務次官  松永 義雄君     ————————————— 本日の会議に付した事件  裁判官報酬等に關する法律案内閣提出)(  第五一号)  檢察官俸給等に關する法律案内閣提出)(  第五二号)     —————————————
  2. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 会議を開きます。  裁判官報酬等に關する法律案、及び檢察官俸給等に關する法律案の両案について審議を進めます。本案については、昨日の懇談会において大体各方面の意見を聽いたので、本日は政府委員に対する質疑に移ります。花村四郎君。
  3. 花村四郎

    花村委員 私はただいま議題に上つておりまする本案に対しまして、法務総裁に若干お尋ねをいたしたいと思うのであります。  まず第一に、判事裁判制度の上における地位でありまするが、わが國の新憲法下におきまする裁判制度全般を見てみまする場合に、判事に關しまする地位を、旧來よりも向上せしめまして、眞に憲法その他この憲法を取巻く法律の上から見た判事地位というものを、ここで確立する必要があろうと思うのでありますが、本案は要するにさような見地に立つて出された一種の待遇案であろうと思うのであります。この待遇案に關しまする根本的の理念として、裁判官地位をでき得る限り向上せしめるということが、新憲法趣旨に副うゆえんであろうと思うのでありますが、法務総裁は、かような点に対していかなるお考えをもつておられるか、まずこれをお伺いしたい。
  4. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 花村君の御質問はその通りでありまして、新憲法の上において、裁判官地位というものは著しく高められ、殊に権力分立原則を確立いたしましたために、立法権行政権と対立して司法権というものが同じ高さを保つべきものであるという建前をとつておるのでありまして、そういう意味から、最高裁判所長官総理大臣と対等、最高裁判所判事國務大臣と対等というような原則が出てくるわけであります。そういう趣旨則つて待遇案につきましても立案されておる、こういうふうに御了解願いたいのであります。
  5. 花村四郎

    花村委員 そこで判事地位に関します根本的な法務総裁考え方はわかつたのでありますが、檢察官に關します地位につきまして判事との關係においていかなるお考えをもつておられるか、これを第二にお伺いいたしたい。
  6. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 檢察官地位は著しく低いのでありまして、御承知のように、國務大臣たる法務総裁のもとの檢事総長はあるのであります。檢事総長はただ一人でありまして、最高裁判所長官並びに判事が十五名、國務大臣待遇及びそれ以上の地位にあるものがあるのに比しまして著しく低いということは、申すまでもないのであります。しかし俸給の問題は、必ずしもそのこととは關係がないと考えておるのでありまして、殊に檢事地位裁判上どういうふうに置くべきかということにつきましては、私個人といたしましては、たとえば檢事弁護士とを対等の地位に置き、判事一段高い地位に置いて法廷構成し、そうして裁判を進めていくということが、理想的な裁判の形態であろうというふうに考えておりますが、それは法廷構成の問題でありまして、個々の檢事待遇を同じ年輩、同じ勤続年限をもつておりますものが一段低くなければならぬというふうには考えないのであります。俸給の問題とは切り離して、法廷構成の問題は考え、また全体として裁判官は非常な高い地位に上り得るのである。檢事檢事総長をもつて止まるというところで、すでに地位の懸隔があるのである。俸給の問題については、しかく区別して考えなくてもよろしい。こういう建前をもつております。
  7. 花村四郎

    花村委員 檢察官地位が著しく低いというのは、旧來の例に鑑みて低いとおつしやられるのか、私のお尋ねいたしたいことは、要するにこの旧來の檢察官地位が低かつたか高つたかということではなくして、根本的の考え方として、判事檢察官との地位はどうあるべきか。やはり裁判官の方が一段高くあつてしかるべきものであるというお考えをもつておられるのか、あるいはまたこれは同一に見なければならぬというお考えであるか。その根本的のお考えをお伺いしたいと思います。
  8. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 それはごく大きく申しますれば、ほぼ平等に取扱うべきものである。正しい裁判の権威を高めるために、その一番高いところのものは、檢事よりもずつと高くなり得るように制度として開いた。こういう考え方でありまして、そのために憲法規定もそのように設けられたのである。実は私も關與いたしまして原案を修正して、ただいまのような憲法にいたしたのでありますが、そういう趣旨に理解いたしております。
  9. 花村四郎

    花村委員 考え方としては同一に扱うべきものと、こういうように承つたのでありますが、しからば憲法その他の法律條章に則りまして、現行法並びに行政官の身分に關しまする法律等とにらみ合わせまして、法律規定として、やはり裁判官というものを一般上に見て、そうして檢事地位というものはむしろ裁判官よりは低いという建前に、憲法その他の法律において規定しておると、私は認められると思うのでありますが、法務総裁はどうごらんになられまするか。
  10. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 その御質問趣旨が、もし私の理解すると同じことであるならば、抽象的には仰せ通りである。ただ俸なければならぬ問題である。ただ司法権のあり方ということについては、從來よりはずつと高く評價することになつたというふうに考えております。
  11. 花村四郎

    花村委員 次に待遇の問題、すなわち俸の地位並びに檢察官地位に、現行法規のもとにおいて上下の差別があるということは、法務総裁もお認めになつたようでありますが、そういうことであれば、やはり俸給等も当然変つてこなければならないと思います。俸給その他の待遇に関しても、やはりそこに差別を設けるというのは、当然であろうと思いますが、その点はいかがでしようか。
  12. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 抽象的にはそう考えられるのでありますが、俸うな問題になりますと、今までの歴史並びに現実のある方を無視するわけにいかぬと思うのでありまして、それらを考慮に入れて、檢察官も準司法官であるという特殊の地位を認めまして、大体今の制度におきましても、ほぼ同様の待遇を與える。差があるとしてもごくわずかであります。ほぼ同様の待遇が與えられでおるものとして立案をいたした次第であります。
  13. 花村四郎

    花村委員 法務総裁歴史現実とに鑑みて、ほぼ同樣な待遇を與えておるとおつしやられるのでありますが、しかしこれは今までの例によりましても、たとえば明治三十二年の判檢事官等俸給令という勅令に見るも、また明治四十四年の判檢事官等俸給令等という勅令に見まするも、明らかに判事檢察官の間に差異を設けておることは、きわめて明瞭であります。さらにまた新憲法下における新たにできた俸給令によつても、差等が設けられておるのでありまして、むしろ過去の歴史を見ても、あるいはまた現実待遇等に関する法律を見ましても、差別をこの両者の間に設けておることは、きわめて明瞭であると申さなければならぬのであります。たとえば檢察官俸給等應急的措置に関する法律、あるいは裁判官報酬等應急的措置に関する法律というのが、新憲法実施後にできておるのでありますが、これらの法律によりましても、差別を明らかに設けておる。從つて過去の法令等の例に見ましても、また実際の面を見ましても、その間に差異を設けておりますことは、きわめて明瞭であります。でありますから、ただいま法務総裁が言われたごとくに、過去の歴史現実に鑑みれば、ほぼ同樣であるという御意見は間違いではなかろうかと思いますが、いかなる点からさような御見解をお述べになられるのであるか、その根拠をひとつお示しを願いたいと思います。
  14. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 言葉が簡單なために意を盡さなかつた考えますが、古い歴史において差があつたことは仰せ通りであります。その後種々の事情がありまして、ほぼ判事檢事とは同じ待遇が與えられるようになつたのでありまして、最近の俸給令におきます相違というものは、今日のインフレーシヨンのもとにおいて、特に取立ててこれを論ずるほどの大きな差異でない。こういうふうに考えましたために、若干の微細な差異があることは認めるのでありますが、今回の立案におきましては、ごく大まかな数字をあげて規定することにいたしましたので、ほぼ同樣、こういうふうに考える次第であります。
  15. 花村四郎

    花村委員 そうしますと、今までの例に見ても、また根本的の両者地位等を比較檢討いたしましても、多少の差は設けるべきがしかるべきであるというお説であると拜聽いたしてよかろうと思います。しからば、本案に対しまして、判事檢事待遇の間に差等を設けますことは、もちろん御異存のないことであろうと思いますが、その点はいかがでありますか。
  16. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 御質問趣旨がよくはつきりいたしませんが、本案において差別を設けられると仰せられるが、相当差別を設けて提出したつもりでおるのであります。つまり原案におきましては、最高裁判所判事十四名、最高裁判所長官一名というものは非常に高い地位をもつておるわけであります。それから判事の方にある一号というものは檢事の方にはないのであります。檢事はいかに高くなつて判事の一番高いところに及ぶことができない。それから長官たる檢事も、長官たる裁判所判事等には終局において及ばない。こういうことで、非常な差が設けてあるつもりであります。これ以上の差を設けることに異議がないかという御質問でありますと、それはちよつと同意申し上げかねる、こういうことに相なります。
  17. 花村四郎

    花村委員 そこで、ただいま出ております檢察官俸給等に関する法律案並びに裁判官報酬等に関する法律案の両案を比較して見ますると、ただいま法務総裁の言わるるごとく、特段なる差別をわけてあるというようなお話でありますが、われわれはそう考えません。しかしこれは程度の見ようでありまするけれども、この法案自体から申しまするならば、なるほど最高裁判所長官、あるいは高等裁判所長官といつたような最高級の人々については、多少の相違はあるのでありますけれども、しかし全般的から見て、何ら特に判事檢察官というものを区別したと認められる節はないと申し上げてよかろうと、私は思うのであります。法務総裁の言わるる多少の差でも設くるのが至当であるということは、これは判事なりあるいは檢察官なりの最高の一部の者の給與についての差等を設くるということで足りるとおつしやるのであるか、根本的な観念として、また憲法その他の法律上から見て、あるいは旧來の慣例等に鑑みて、もし判事檢事との地位に関する差等を設けなければならぬという議論であるとすれば、一、二の長官のみの俸給に関するわずかな差等を設くることによつて、すべて終れりと考えるならば、それはあまりにも理輪現実とを無視した考えようじやないかと思いますが、もう少し全般的に考えて、一部の者に限らず、公般的制度の上から見て、そこにやはり差異を設くることが必要ではなかろうかと思いますが、その点に対する法務総裁のお考えはいかがでしよう。
  18. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 憲法をつくりますときに、裁判官地位を高めたことは、司法権を高めるという意味であつたのでありまして、從つて政府が最初出した原案にも、最高裁判所長官は、内閣総理大臣が、任命する國務大臣級の官職であつたのであります。從つて今まで最高裁裁所判事はもつと低い地位にあつたのであります。それを高めるというところに司法権を高める意味があると、われわれは解して、今のような憲法の成案を得たわけであります。それで十分目的は達せられると考えますが、しかしなお実際上國民尊敬をかち得、社会的にも尊敬をかち得るためには、待遇のことも十分考えなければならぬことは、異論のないところでありまして、全般待遇を高めるということは、私どもの熱望いたしておるところでありますが、それと檢事と比較して特に低いところの檢事まで、すべて判事に比べて低からしめなければならないという理論上の根拠はないと思うのであります。ただ全体として檢事というものが一段低い地位に立つということが、ある意味において裁判権を尊重するゆえんであるとは思いますから、將來そういう制度立案するつもりがあるかと仰せられますならば、おそらく憲法の精神にも合致すると考えますから、そういう制度は樹立すべきであると考えておるのですが、しかし今の現実の姿において、檢事判事も同じ教育を受け、同じ試驗を受け、同じ修習を終り、同じく任官をして、ほぼ同樣に同じ年度の卒業者待遇を受けてきておる。これをにわかにかえるということは、当事者の感情を無視することになると思いますから、新しい制度として、そういう制度考えていきたい。そうしてただいまは既成事実として判事檢事とはほぼ同樣に扱う。こういうふうに考えておる次第であります。
  19. 花村四郎

    花村委員 ただいま法務総裁は、判事檢事も同じに試驗を受け、同じに任用されて、同じような職場で働いておる。こういうことを言われたのでありますが、この試驗については、司法科試驗を受けて裁判官並びに檢察官になりますことは、もちろん法務総裁の言われる通りでありますが、しかし二年間の修習期間を経て、第二回の考査試驗合格をいたしますれば、檢察官になる者は、ただちに一人前の檢事としての資格を取得するということに相なつて檢事任官の辞令が交付せられるのでありますが、裁判官の方は檢事と違い、二年間の修習期間を経て、第二回の考査試驗合格をいたしましても、すぐ判事にはなり得ない。御承知のごとく、判事資格をただちに受れ得られるのではなくして、十年間の経驗を積んで、そうして初めて判事に任用せられるというような関係に相なつておりまするがゆえに、裁判官檢察官とが任用の方法において同一であるということは、実際の上から見て言い得ない。かような関係にあるのでありまするから、從つて当然裁判官檢察官との間に区別があつてしかるべきものではないでしようか。決して同一ではない。そして職場も大体同じのように見ておられるのでありますが、これは見方の相違であるということに相なるかもしれませんけれども、もちろん司法権を運用するについて、おのおのが関係をもつておりますることは、お話通りでありまするけれども、しかし檢察官の方は、純然たる司法権を運用しておりまする裁判官とは違うのです。もちろん捜査あるいは訴追といつた刑事上の事件は扱つておるのでありまするけれども、しかしこれは純然たる行政官である。行政官的の性質をもつておる。ここが司法に深い関係をもつておる裁判官と異ならなければならないところでありまするが、これは新憲法が実施せられまして臨時措置として設けられた檢察官俸給等に関しまする俸給令を見ましても、その中に明らかに書いてある。檢察官行政官俸給の上においては同一なる待遇を受けるという意味規定が設けられておるのでありまして、かような点から見ても、裁判官檢察官との間においては相違があるのでありまして、決して法務総裁の言わるるごとく、試驗任官もまたその後の仕事も、昇給に関する過程も同一であるということは、事実の上から見て間違いであると申さんければならないのでありますが、この点はいかがでしようか。
  20. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 多くの点が、結局どうも見解相違ということになるように感ずるのであります。たとえば檢事行政官であるというお言葉は、その通りでありまして、廣い意味においての行政官には相違ありません。しかし行政官の中の司法官的行政官であることも、これは否定できない事実でありまして、國家公務員法におきましても、檢察官については除外例を特に設けておるような次第であります。その採用の方法試驗方法それから待遇につきましても、除外例を認めておるような次第でありますから、一種特別なる行政官、こう言わなければならないのでありまして、結局準司法官と申して一向差支えないと思うのであります。從つてそのやります仕事が、ほぼ同じであるということは、これは何人も異論のないところであると考えるのであります。そこで制度の上における判事補判事との区別仰せ通りでありまして、これは新憲法下における司法権を高からしめるゆえんのもので、十年の練習を経たものでなければ一人前の裁判官としないということは、非常に結構なことでありますが、將來檢事なども十年以上練習をした後に初めて判事に採用されるというような道が開かれる。弁護士も同樣でありますが、そのために制度の上では判事補の時代には一号から六号まで、三千五百円から八千円までとなつておりますが、判事になるときには一躍して一番低いところが一万円と飛び超えるようになつておるのであります。ここでやはりけじめがつけてある。優待の道が講ぜられておるというふうに考えるのでありまして、これ以上特別に一つ一つに段階をつけて、檢事判事との区別をつけなければ、その差別が成り立たないというふうには考えないのであります。
  21. 花村四郎

    花村委員 しかしこれは二十七日の開議に出された檢察官並びに裁判官俸給等に関する法律案があるのであります。その案によりますというと、ある程度まで両者差異を認めておる法案であつたのでありまするが、これがその後の閣議において変更せられて、そして本日の案になつてきたように伺つておるのでありまするが、その点はいかがでしようか。前の四月二十七日に内閣に出されて、閣議で諮られた案と、原案とは相違しておるということでありまするが、その点はいかがですか。
  22. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 閣議経過について大分誤り傳えられておりますることを遺憾に存ずるのであります。この機会に私から釈明をいたしておきたいと存ずるのでありますが、本來この法案のきまりました閣議は二十六日の閣議なのであります。二十七日の閣議というものは、この法案を正式に扱つた閣議でないのであります。二十六日の閣議におきまして、約二時間にわたつて熱心の討議せられました結果、到達した結論が、この提案いたしておりまする案でありまして、これは出席しておる閣僚はすべて署名をいたしまして、確定案として決定をいたしたものであります。私はその晩九時半の急行で神戸に参ることになつておりましたので、確定案に到達したことを喜びまして、署名を終るとともに、官房長人事課長にその案を渡しまして、こういうふうに確定したから、原案をつくつて議会に提案する準備をするようにということを申して、私は神戸に向つてつたのであります。しかるに神戸において長距離電話で、二十七日の閣議においてそれがむし返されて出された案は、数字が間違つておるという議論が出てきた。前の晩の閣議である閣僚が、自分はみんな千円ずつ下つておるように理解しておつたのである大藏省事務当局がつくつてきて今度正式に議会に提案すると言つて出した案を見ると、ただ一箇所千円下つておるだけで、その他の点の判事檢事も同じではないか。それじやこれは前の晩の閣議決定違つておる。直せということを言われたそうであります。私がおりましたならば、それは非常な不都合なことでありまして、そういう趣旨でなかつたのであります。議論を盡した末、ここに判事にだけあつて檢事にない一つ特号俸給を設けよう、そこでこの問題は解決にしよう、二時間の議論の末、そこの一つ解決点を見出したのでありますから、そんな生やさしいものではない。しかるに翌日私のおらないときに、それを説明する人がなかつたためでありますか、千円ずつみな違つておるのだ、これは容易ならざる変化でありまして、そういうことが言われたということを神戸で私は承りまして、驚いてただちに総理大臣電報を打ちまして、それはとんでもない誤解である、二十六日の閣議決定に反するものである、ゆえに私が帰るまでこれを議会に提案する等のことは差控えてもらいたい、こういう電報を打ちまして、また長距離電話で、官房長等にそれを命じまして、そうして帰つてまいつた次第であります。帰つてまいつて閣議に臨んで、それは明らかに誤解である、二十六日の閣議においてはこういうふうに決定したのであるということを申し上まげした。ところが閣僚諸君も、聽いてみるとなるほどそうだつた。それは誤解であつた。二十七日にそういうふうに一斉にみな千円下るというふうに解したのは間違いであるということがおわかりくださつたのであります。それで二十六日の決定がそのまま維持せられまして、議会に提案されることに相なつたのであります。これが眞相でありまして、決して檢事諸君が抗議を申し込んだから、閣議が変化した。あるいは法務総裁が主張して変更させたというようなことではないのであります。どうか御了承を願いたいと思います。
  23. 花村四郎

    花村委員 そうすると、法務総裁の言われる千円ずつが全部違つてつたというお話でありますが、今回の案に照してどう違つてつたのですか。あなたを二十六日にきめられた案はどういう案で、二十七日のはどういう案であつたとおつしやるのですか。
  24. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 二十六日の案は、ここに提案しておる通りのものであります。
  25. 花村四郎

    花村委員 檢察官の方も裁判官の方も両方ともですか。
  26. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 両方とも閣議決定案を出しておるのであります。二十七日の閣議なるものは、正式にはないと私は解しております。二十七日にはただこれを解釈するについて誤解があつただけであります。その誤解が外部に漏れたのであります。それはみな千円ずつ下つておると解釈しておつた。そういう閣僚がありましたために、そう言われればそうかなというようなことから、ここに誤解が起つたのでありまして、私が差止めを総理に要求いたしました結果、私が帰るまでその解釈についても留保せられておつたのであります。それで私が説明した結果、それは二十六日の閣議決定は、なるほどただいま提案いたしておる通りであるということを、全閣僚は納得せられまして、そうしてこれが原案として提案せられることになつたのであります。
  27. 花村四郎

    花村委員 法務総裁説明と、われわれの聽いて知り得た事実とは、すこぶる相違いたしておるのでありますが、法務総裁がただいまのような説明をなさぬから、私はますます誤解を招き、世間の疑惑を起すのではなかろうか、もしそれ事実ありのままを言われるならば、決してそういうことはあるまいと思う。何か法務総裁の言われることが眞実で、他の言うことがすべて誤りであるかのごとくに申されるのでありますが、しかしこれは実際閣議を経ましたその後の経過等から見ても、法務総裁の言うところとまつた違つている。もちろん法務総裁のおられた二十六日に法案がかかつたことは承つているのであります。しかし二十六日に法務総裁は、閣議決定して、そうしてすべての閣僚が了解した、こう申されているのでありますが、しかし私は閣僚の一人にも実際聽いたのでありますが、二十六日にはまだ本格的に決定しておらぬとこう言う。大体審議はいたしたのであるけれども、本格的な決定に至らず、そのまま保留されたのであるということを閣僚の一人が、明らかに言うている。また他の人の言に聽くも、大体それが事実であるように思えるのであります。そこでこの四月二十七日午前開かれた閣議で、本格的に決定をいたしたということで、その閣議決定に対しては——新聞記者を呼んだか呼ばないかこれは私は知りませんけれども、新聞記者にも官房長官の手を経てこれを発表しているのではありませんか。そうして二十七日のラジオでそれを放送し、しかも二十八日の新聞が一斉にその記事を掲げている。のみならず四月二十七日の午前十一時ころでありますが、有田官房次長が内閣官房長の代理なりと称して、最高裁判所を訪問いたしまして、そうして今朝の閣議決定したというその政府の案を示して報告しているではありませんか。しかもその内閣官房次長が報告に來たのでありますが、時あたかも最高裁判所長官がおらなかつたので、長官の代理として本間事務総長が会つているのみならず、この本間事務総長ばかりでなく、そのときに二、三の裁判所の事務官も一緒に会つている。かような事実から推して考える場合におきまして、四月二十七日の閣議決定したということは、まず大体において間違いのないことであると私は想像してもよかろうと思うのでありますが、ただいまの法務総裁言葉によると、二十六日にすでに決定している。二十七日には閣議に出たのではないということをはつきり言われているのでありますけれども、二十七日には第一あなたは東京におらず、そうしてこの閣議にも出席しておらない。でありますから、その二十七日にいかなる閣議が開かれ、いかなる処決がなされたかということは、もちろん帰られて聽いたことであろうと思うのでありますが、実際その席におらないのであるから、知られないことは、これは無理からぬことではあると思いますけれども、二十七日に決定してさように発表している。これをしもあなたは事実でないとおつしやるのですか、それをちよつてお尋ねしておきます。
  28. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 二十六日の夜閣議決定いたしまして、この案というものは二十七日の朝私が大阪で買つた新聞にみな一斉に出ておつたのであります。二十六日の閣議決定として二十七日の朝の新聞に出ておつたのであります。東京の新聞にも出ておりまするから、ごらんに入れることができます。その後二十八日になつて、また別な二十七日の閣議決定なるものが新聞に載つたから、私は驚いたのであります。それですでにその前に先ほど申し上げるように、長距離電話等で臨機の処置をとりましたけれども、それは大体花村議員の仰せられるような事実があつたでありましよう。私もあとで承りましたが、すべて誤解から起つて、そういう行為に出でたことと思うのでありまして、二十四日の閣議にガリ版にして、前の晩には朱を入れ訂正をいたしましたから、それを確定案として私は事務当局に渡したのでありまするが、殊に大藏省給與局等にも数字を間違えないように指摘いたしまして、閣議を終つたようなわけでありまするが、そのとき副檢事数字がまだ二、三日直さなければならぬものがあつたのであります。それは明日までに直して、刷り直してごらんに入れるということになつてつたのであります。その刷り直したガリ版が出てきたときに、新しく問題をとり上げたということは、私は二十七日の閣議は、二十六日の閣議決定しておるものといたしまするならば、越権の行為であり、なすべからざることをなしたものであると考えておる。ゆえに私は、それは私が帰るまで差止めてもらいたいということを総理に要求した次第でありまして、その結果再び二十六日の閣議決定というものが維持された。こういうことには間違いはないのであります。
  29. 花村四郎

    花村委員 そうしますると、これは内閣官房長が有田官房次長を代理に最高裁判所長官を訪問せしめて、四月二十七の閣議決定した旨を報告したということは越権行為になりますね。一旦二十六日の閣議できまつておるものを、その案をもつて最高裁判所長官を訪問したのでなく、二十七日の午前に決定した案をもつて最高裁判所長官を訪問して、その閣議経過を報告したというようなことは、内閣官房長として、もし法務総裁の言うがごとくんば、これはやるべきことじやない、こういうことを内閣官房長官がやつて、ことさら事実でないことを事実なりとしてやり、そして世間を騒がせ、いろいろの誤解を招いたことになりますると、内閣官房長というものは、いかにも無責任きわまるものであると申さなければならない。それで、こような不当な行為に対しまして、法務総裁はどう考えておられますか。そうして新聞等にも発表しておる。もしも法務総裁の言う通りであるといたしますると、新聞等に発表したことも間違いである。しかし新聞に書かしめて、発表しておる。こういうことを内閣官房長がやつておるのでありますが、こういう事柄は強いて世間の誤解を招き、あるいは内閣閣議決定そのものに対する疑念をもたしむるがごとき事態を引起したものであると申していいと思うのでありまするが、こういう不当な処置に対して、法務総裁はどうお考えになつておられるか。
  30. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 その問題は、けさほど花村議員が御質問になりまする直前に、私は承つたのでありまして、事の眞否については、よく確かめて、しかる後お答えいたしたいと考えまするが、感想としては、よけいなことをやつたと感ずる次第であります。私の方としては、これは法務総裁が常に最高裁判所から各委嘱を受けて提案をいたしておるような次第でありまして、事大小となく連絡をいたしておつたつもりであります。二十六日の夜の閣議決定しましたときには、やはり新聞記者に発表したはずであります。それから翌日の新聞に出たのでありまして、閣議できまつたことは、秘密事項を除いては、原則として新聞記者に発表いたすのでありますから、発表されておるわけであります。同時に私は官房長並びに人事課長にこのことを報告いたしてありますので、人事課長最高裁判所を訪ねて、二十六日の閣議決定を御報告申してあるはずであります。御報告申してあるこの報告は、受けております。それでそういうふうにきまつたのかということで了承しておる。そのあとへ官房次長がまた報告に來た、その報告の内容が違うということで、不思議に思つてつたというようなことを承つておるのでありますが、少くも私の方は正当な手続を経て、正当に最高裁判所に連絡をいたしておるつまりであります。官房次長が参つたということは、私の立場からは、よけいなことをされたものと言わざるを得ないのであります。
  31. 花村四郎

    花村委員 これは法務総裁一人だけが違つた説明をされております。その言を信ずるや否やは私の判断ですが、他の閣僚も二十七日の閣議決定したということを申しており、さらにまた官房長の代理が最高裁判所へその旨を報告しておる。さらにまた新聞等にも発表しておるというような四囲の事情から考えてみます場合において、やはり法務総裁の言わるることは、何かいろいろこれについて、やはり世間でとかくの批評はいたしますし、問題を起しておりますので、さような点を考慮して、何とかそういう非難を免るるような筋道をつくりたいというような意味で、事実と異なつたことを言われておるのでなかろうかと思うのでありますけれども、しかしこれは事実は事実としてよいじやないでしようか。ありのままを言う方が。そうしてこれは二十七日の閣議決定したのであるが、これは芦田総理の側近の者の話によれば、法務総裁から二十八日に電報も來、電話も來て、この案の発表は自分の帰るまで見合わしてもらいたいとあなたは東京の総理のところへ言うてこられたそうであります。その言うてこられたことはお認めになるでしよう。そう聞いた人も言うておるのであるから。そうしてこの三十日にさらに閣議を開いて、この問題を檢討した。そこであなたが、法務総裁がどうしてもこの案でなければ、法務総裁の顔が立たぬと申したのではないでしようけれども、檢事もどんどん辞職をするし、收拾ができなくなるのであるから、これはどうしても二十七日の閣議できめた案をかえてもらわなければ困るというので、極力主張された結果、その方針に変つてきたという話を聞いておるのでありまするが、これは私はその話は間違いないというてよかろう。閣僚の中の一人にも二十六日にきまつておらぬことを明瞭に言うておる。名前を言えと言えば名前を言うこともあえてかまいませんけれども、しかしそういうことは言わぬ方がよいだろうという考えもあるようですから、申しませんけれども、そうはつきり言うておる。そうして二十八日にきまつたのだということをはつきり言うており、内閣官房長の代理も最高裁判所長のところへ言うておるというような関係からいうて、どうしてもこれは法務総裁の言を私は信ずるわけにいかない。そこで三十日の閣議において、本院にただいま出ておりまするところの案に変更されたというようないきさつに相なつておるということでありまするが、その店はどうでしよう。もうひとつここまで來たらざつくばらんに事実通りにおつしやつていただく方が、かえつて明瞭になると思いますので、ひとつあまりつくろわずに言うていただきたいことを希望します。
  32. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 少しもつくろう必要を感じないのでありまして、率直に一切の証拠の示すごとく、私の言うことに間違いないことが立証できるのであります。二十六日の夜閣議決定した案として、翌日の新聞に出ておることは、二十六日の晩に一應閣議決定に到達したことを示してあまりあるのであります。それは二十七日の朝日新聞でお目におけることができます。それにはこれと同じ案が出ておるのでありますから、二十六日の夜の閣議決定しなかつたという閣僚があるならば、その閣僚の頭の健全性を疑うのであります。何となれば、決定してみな署名をしてわかれたのであります。決定せざる案に署名することはないのであります。もし未だ決定しないならば、翌日に留保して散会するのが当然のことであります。また私も、これは自分の主管の大切な仕事であります。神戸に参ることも大切ではありますが、もし決定しないならば、神戸に行くことを延期して、翌日の閣議に臨んで、そうして決定したるのち私は出発するのであります。まだ、私が何の必要があつて、その晩七時半、八時ごろ官房長人事課長を呼んで、この通り閣議決定したから、これを議会に提案する手続をせよ、また最高裁判所へそのことを報告せよということを命ずる理由がありましよう。未だ決定せざる閣議決定を、私がそういうばかなことを命じたとするならば、今度は私の頭の健全性の問題になるわけであります。そういう意味において、それは非常な色めがねでごらんになるものであると、申し上げざるを得ないのでありまして、私の申し上げることには、少しも修飾はないのであります。
  33. 花村四郎

    花村委員 二十六日にすでに閣議決定した、こうおつしやられるようですが、そうすると、その閣議決定した案を、二十七日にどうされたというのですか。変更したというのですか。変更したから、あなたが電報なり電話で自分の帰るまで待つてくれ、こう言われたのですか。それをひとつお尋ねしたいと思うのですが、変更したとするならば、いかなる案に変更したのか。
  34. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 変更したとまでは聽かなかつたのでありますが、この解釈に━━前の晩の決定について了解が違つてきた。全部檢事判事には千円ずつの差があるものと前の晩に了解したという説が、閣僚の一人からもち出された。そして、多数が、どうもそういう氣がする、ガリ版になつて出てきたものを見ると、そうなつておらぬじやないか、というようなことから、その閣議に臨席しておつた人の話によりますと、深く顧慮せずに、千円ずつの差が前の晩に決定されたものであると了解されたというのです。そういう了解は非常に間違つた了解であるから、私が帰るまでこれを決定的に取扱うことを止めてほしい。こういうことになつたわけであります。
  35. 花村四郎

    花村委員 そこがよくわかりませんが、そうすると、閣議では案を示して、そうして案によつてつまり檢討されたわけでしよう。そうしてその案によつて審議をせられた結果、その案が是なりとしてその閣僚署名せられたことであろうと思うのでありますが、今法務総裁の話によれば、閣議できまるはきまつたのだが、翌る日のガリ版の案を見たところが、ガリ版の案と閣議で諮つた事柄と違つてつた、こう言われるのでありますが、そうすると、閣議は案なしでただ口頭だけでやつたのですか。そういうことはありますまい。閣僚が全部判を押したというのであるから、從つて、案を示されて、案によつて檢討せられたことであろうと思う。また、案によらずに、こういう重大な問題を閣議に諮り、またきめたのきめないのというようなことを、私は諮ろうはずがないと思うのでありますから、やはりりつぱな案を示されて、案によつて、それぞれの係から説明があつて、そうしてその説明を聽いた上で、これならよろしいということで決定をして、判を押したということになりましようが、そういうことであれば、千円違うとか違わないとかいう問題が、二十七日に起るはずがないじやありませんか。あなたの言う通りであるとすれば、もしその案をろくろく見ずに、数字も見ずに決定したということであれば、それこそ閣議なるもののいかなるものかを疑わざるを得ない。閣議では何をやつておるかわからない。閣議というものは、そんな不見識な、そうしてその場限りのような権威のないものであるとは私は考えられない。法務総裁の話によれば、ますます疑問が起きてくる。こういう本日われわれに示されたような案によつて質問應答が行われて、そうして決定した以上は、そんな問題が起るはずがないじやありませんか。その点はどうですか。お尋ねいたします。
  36. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 私は問題が起るはずがないのに起つたことをふしぎに思つておるのです。実は私は二十六日に確定したものと思つた数字をむろん示して、それは筆を入れましたから汚くはなつておりましたが、その数字に基いて閣議決定はなされたのであります。ただ翌日それをガリ版に刷り直して閣僚に配るということの了解はありましたけれども、その数字を見ずして決定したわけではないのであります。ゆえに、まつたくそれは誤解に基くものである。こう私は主張するゆえんであります。
  37. 花村四郎

    花村委員 そうしますと、それは翌る日配付されたガリ版が違つたのですか。
  38. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 いや、ガリ版は違つておらない。大藏省給與局で刷られたガリ版は、ここに出した通りのものであります。しかるに、閣僚の中に、これは前の晩の了解と違うぞ、こう言い出した人があるのであります。
  39. 花村四郎

    花村委員 それですから、それは、翌る日、閣議決定なつた案としてガリ版で刷つて閣僚に配られたそのガリ刷版で刷つて案の数字が間違つてつたというのですか。
  40. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 閣僚のある者が間違つておると主張したのであります。少しも間違つていないものを給與局長は提出したのであります。私から見れば、少しも間違つていないものを提出したのに、これは間違つておるぞということを言つた者がある。これは誤解に基く主張であると私は申すのであります。
  41. 花村四郎

    花村委員 そういうことでありますれば、これは二十六日の閣議には何ら関係のないことですね。二十六日の閣議で、あなたがきめられて、そうして判まで押して、りつぱな案ができ上つて、東京を立たれた。しかるに、何か閣僚の一部でかれこれ言うたからというて、その案を覆されるものでもない。でありますから、何もあなたが、電報を打つたり、あるいは電話で、首相にその案の発表を止めてもらう必要はちつともないじやないですか。閣議でりつぱにきまつたものを発表しても、それはいいじやないですか。それを、発表するのを自分の帰るまで止めてくれというのは、どういうのですか。それはあなた自身でつくつた閣議のその決定に対して疑をもつたのですか。自分が立会つてつくつたその閣議決定に対して疑をもつて、そういうことを言うたのではないだろうかとまで考えられる。一旦決定したものを、いかに閣僚が何と言おうが、閣議を開いてそれを変更するという方途を講ぜざる以上は、何らその閣議決定の効力に微動だもないことでありますから、從つて、あなたが、電報を打つたり、あるいはわざわざ長距離電話をかけてそれを止めるという必要はごうもないじやありませんか。それはいかがですか。
  42. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 まつたくその通りであります。電報を打つ必要を無視して可なりなのであります。しかし世の中にはしばしば間違いがありまするから、念のために電報を打ち、また長距離電話議会に提案することは、自分が帰るまで差控えてほしい。何も発表することをさしとめることもいかぬし、さし止めて間に合わないのであります。すでに発表したのであります。発表をさし止めたのではなくて、議会に正式に提案することをさし止めたのであります。御了承願います。
  43. 花村四郎

    花村委員 そうしますると、三十日に閣議を開いて、さらにこれを檢討したということですが、三十日にあなたが帰られてから、そういうことはありませんか。
  44. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 二十七日の閣議において異なりたる解釈が行われたということでありまするから、その点を是正するために、新たに問題にいたしたわけであります。それで三十日の閣議において、やはり二十六日夜の決定が正しかつたのである、こういう決定に到達いたしまして、再確認された。その間二十六日夜の署名を除いては、二十七日には署名したことはなし、三十日の閣議においても、新たなる署名をしたことはないのでありまするから、二十六日の閣議だけが唯一生きておる閣議であります。こういうことに相なるのであります。
  45. 花村四郎

    花村委員 そうしますと、三十日の閣議で是正したと言われるのだが、何も是正すべきものではないのじやないですか。二十六日の閣議でりつぱに閣議が成立して、決定になつて、そうしてその出席閣僚が判を押して、りつぱな案ができておつた。ところがそのあくる日になつてから、閣僚の一部がその案に対して疑念をもつてきた、こう言われるのですが、疑念をもつ閣僚の頭をまず第一に疑わなければならないのであります。しかし二十六日の日にそれは十分に審議せられたことであろう。ろくろく審議もやらずに、そういう案を閣議できめたということになれば、閣議というものの眞價を疑わざるを得ないのであります。少くとも閣僚の間においては、案に基いて十分に檢討せられておつたとこであろうと思うのであります。從つて二十七日に疑問をもつ必要はごうもないと私は思う。やはり数字もこういう場合にこの本案のように書いてあつて本案に基いて説明をしたのでしようが、それをどう誤解したのですか。誤解したというのは、案の文字でも読み違えたとでも言うのでしようか。閣僚が二十七日に誤解したということを具体的に説明してもらいたいと思うのです。こういう場合に案ができて、数字もはつきりしておるのだから、これに対して誤解をもつはずがないのです。それを誤解したというのは、どこをどういうぐあいに誤解をして、三十日の閣議において、その誤解をどうして解かなければならなかつたのか。そのいきさまをひとつ御説明願いたいと思います。
  46. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 私から見れば誤解されることが不思議なことであります。しかしその閣僚は、判事だけにあつて檢事にない俸給一つ設けたのであります。二十六日夜の決定で、判事の一号というのが一万四千円で、これは特号とでも言うべきものでありまするが、その他は判事檢事を平等、対等ということにいたしまして、判事の二号は檢事の一号で一万三千円、判事の三号は檢事の二号というふうにして、ずつと順序を逐うて千円づつ下つていくのであります。しかるにその閣僚は、いや、判事が一万四千円とるときには同格の檢事は一万三千円、二号は判事は一万三千円で檢事は一万二千円、判事が一万二千円のときは、檢事は一万千円、こういうふうに千円づつ開いておるものであると了解した。前の晩の閣議決定は、そういう誤解は一体起るはずがないのでありますか、これは不思議でありますが、そういうふうに主張されたというのであります。
  47. 花村四郎

    花村委員 そうすると、それはこの案にもちやんと一号、二号、三号、四号、五号と、別表というのに載つておるのでありまするから、そしてその案の通りにきめたのですから、そのときにこれは一万四千円が一号としてここに書いてあるのでありまするから、これに対して疑念をはさむ余地はないのじやないですか。
  48. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 ないです。
  49. 花村四郎

    花村委員 疑念をはさんだなら、その閣僚にだけ説明なさればいいのじやないですか。何も公の閣議を三十日の日に開いて、そうして大げさに閣議にはかつて、それを是正することも何もないと私は思う。その誤つた閣僚に、ただいまなされたような説明をすれば、それで足りるのじやないですか。だれが常識上考えても、あなたの言われることがどうも納得できぬというのは、これは当然ではないか。それはいかがですか。
  50. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 ごもつともです。外形的には二十七日にそういう解釈が行われ、そうしてその解釈に多数の閣僚が賛成をされて、外部に発表されたが、三十日にこれを是正せざるを得ないことになつたのです。
  51. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員 議事進行について、私は結論的に申上げると、本法案審議す上に、当委員会に総理大臣の出席を要求し、その上で続行したいと考えるのであります。その理由を簡單に申し上げたいと思います。ただいま同僚の花村君から閣僚の経緯について、法務総裁とるる質疑が繰返されたのでありますが、私はこれは法務総裁内閣の法務に関する最高顧問であるという地位に非常な敬意を表し、またそれだけに御発言については重大視するのであります。しかしながら、ただいままでの御説明の中に、私どもは内閣全体の問題として考慮すべきものが多々あるように見受けるのであります。この閣議の変更があつたかどうかという点については、いずれが誤解であるか、正解であるか、あるいはいずれが頭の健全性を疑われるものであるかどうかということは別問題といたしまして、少くともそこに内閣としての組織なり、運営の上において、本問題を中心にして、きわめて不統一なものがあつたということを、確認せざるを得ないのであります。この点について、私は内閣の首長としての総理大臣の釈明を求めなければならぬと考えるのであります。  次に本法案は單に判檢事給與の水準差を認めるかどうかというような問題ではなくして、事きわめて重大に、今は憲法問題に中心が発展しておるのではないかということを、私は考えるのであります。それは先ほどの法務総裁の御意見の中にもあつたようでありますが、判檢事地位そのものに対する認識のしかたにおいて、私は憲法上いわゆる三権分立の基本原則に対して、はたして現内閣がいかなる理解をもつておるかということについて疑わざるを得ないようなものが祕められておるように観察したのであります。芦田総理は新憲法趣旨徹底に、また政治家として憲法を遵奉すべき精神を、あらゆる機会に高揚されたのでありますが、この総理大臣が三権分立の基本原則について、從つて檢事地位というようなものについて、いかなる御意見をもつておるかということを、本法案審議進行する上において、確認しておきたいと思うのであります。第三番目の理由といたしましては、現在内閣では、一方において行政官給與に関する問題を取扱つておるように推測するのであります。しかもその骨子は、いわゆる職階制的給與ということが基準になつておるように見受けるのであります。私は判檢事給與についても、この職階制的な差別待遇が、行政官の場合と同じように徹底せしめらるべきものがあるのであるかどうかということについて、内閣の根本方針を確認しておきたいのであります。さような意味から、責任ある総理大臣の出席と御発言を要求する次第であります。  なおここに附け加えておきたいのは、先ほど花村君の質疑の中に明瞭にされておりますように、官房次長、またその一閣僚というものも、当時のいきさつを明瞭ならしむる上において、本委員会に出席して、発言の機会を與えるということが、必要ではないかと考えるのであります。以上議事進行について一言する次第であります。
  52. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 一閣僚ではわからないので、名前をはつきりしてもらいたいと思います。
  53. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員 われわれの推測するところによれば、官房長官と、官財次長であります。
  54. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 そうすると、内閣総理大臣及び官房長官及び官房次長を呼んで、次会に聽くという議事進行に対する発言ですが、いかがでございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 それではさようにして進めることにいたします。  明日は午前十時から開きます。本日はこれにて散会いたします。     午後零時三十三分散会